説明

三次元基板間接続部品、電子機器及び電子機器の製造方法

【課題】 低コストで高密度な三次元基板間の配線接続を実現する。
【解決手段】 予め長方形断面の角棒状に成型された液晶ポリマー等の絶縁体1の表面に導体配線2を形成する。導体配線2は、導体配線21および22からなり、絶縁体1の対向する両側面13および14それぞれを経由して絶縁体1の上面11から下面12に至るように設けられている。互いに平行なメイン基板およびサブ基板の間に三次元基板間接続部品3を配置し、導体配線21および22の上面11の部分の上面電極23および24それぞれをサブ基板上の別々のパッドにはんだ付けして、下面12の部分である下面電極25および26をメイン基板のパッドにはんだ付けする。これでサブ基板およびメイン基板間の三次元接続構造を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの基板の配線を接続するための基板間接続部品と、この基板間接続部品を備える電子機器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元的な基板間接続構造では、小面積、低コストで、且つ任意の回路で三次元基板間接続を実現することが重要な目的となっている。
【0003】
この目的のために、従来は図14に示すように、三次元的に接続する基板101および102の各々にスタッキングコネクタのプラグ103およびレセプタクル104を実装し、プラグ103およびレセプタクル104を互いに嵌合させるという接続構造が採用されていた。
【0004】
図14において、プラグ103は絶縁物のハウジング105およびリード108からなり、リード108が基板101のパッド(図示略)にはんだ付けされる。レセプタクル104は絶縁物のハウジング106およびリード109からなり、リード109が基板102のパッド(図示略)にはんだ付けされる。
【0005】
しかしながらこの構造では、コネクタ同士を嵌合させる必要からコネクタ外形が大きくなってしまうという欠点がある。すなわち、レセプタクル104は、中央にプラグ103を嵌合させる嵌合部110を設けるとともに、嵌合部110の両側にプラグ103を挟み込むための壁107をハウジング106に設け、さらにその外側にリード109のはんだ付け部分を設けなければならない。また、これに加え、壁107の回りに沿ってリード109を曲げて取り付けることから、壁107の厚さにリード109の折り曲げしろを加えた幅111が必要となる。このため、実装占有面積が大きくなってしまうという問題がある。
【0006】
また、三次元接続する基板101および102の各々にプラグ103およびレセプタクル104のコネクタを配置しなければならないため、少なくとも2つのコネクタを必要とすることとなり、コストの観点からも有効な手段とは言えない。
【0007】
そこで、例えば特許文献1の実開平2−096766号公報には、図15に示すように電子部品123のリード電極124を上下に引き出し、この電子部品123を2枚の基板121および122の間に配置し、リード電極124を基板121および122の各々に直接接続する構造が開示されている。
【0008】
また、特許文献2の実開平5−55575号公報には、図16に示すように耐熱樹脂133の周囲に多数のコ字型の外部接続端子134を差し込んでリードアレイ135とし、リードアレイ135を2枚の基板131および132の間に配置し、外部接続端子134を基板131および132それぞれのランド電極127にはんだ136で接続する構造が開示されている。
【0009】
ここで、図17に従来のスタッキングコネクタ137を用いた電子機器におけるサブ基板144とメイン基板147との接続状態を示す。このスタッキングコネクタ137は、サブ基板144側とメイン基板147側の2つの部品からなり、各部品のはんだ付けリード139がはんだ付け部138により基板に固定される。従来のスタッキングコネクタ137を用いた接続では、図17のごとくサブ基板144とメイン基板147を接続する際に、スタッキングコネクタ137の部品形状より、5mm程度の接続面積が必要となる。また、従来のスタッキングコネクタ137は2つの部品を嵌合させる必要があるため、1.5mm程度の取り付け高さが必要となっている。
【特許文献1】実開平2−96766号公報
【特許文献2】実開平5−55575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に示された三次元基板間接続構造は、コネクタを使用せずに基板間の三次元接続を行っているので、一見すると高密度実装化、およびコスト低減の効果を奏しているように思われる。
【0011】
しかしながら本実装構造の場合、リード電極124付きの電子部品123を用いているため、QFP(Quad Flat Package)やSOP(Small Outline Package)といった大型のLSIパッケージにのみ適用可能で、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、QFN(Quad Flat Non−leaded package)等のような小型のLSIパッケージには適用できないという問題がある。
【0012】
また、リード電極付きのLSIパッケージは、部品の外形が大きく、リード電極124を設けた電子部品123は小さくすることができず、更なる高密度実装化において必ずしも有効な手段とは言えない。
【0013】
また、基板121または122の一方に搭載された部品で電子部品123と回路的に接続されていないもの(以降「その他の部品」と称す)については、基板121または122の他方と回路的に接続される経路が無いという問題がある。つまり、電子部品123と回路的に接続されている部品にのみに三次元実装の適用が可能な構造手法であり、適用可能な電子回路は非常に限定されている。仮に、その他の部品にも三次元実装となる配線を施す場合は、他方の基板とコネクタやケーブル配線等を用いて接続しなければならず、従来技術を併用することになってしまうという問題がある。
【0014】
更に、電子部品123は、リード電極124を上下に引き出すという特別な構造を用いるため、専用のリード電極の成型用金型や樹脂成形用金型などが必要となる他、部品収納トレーも専用になり、部品コストの大幅な上昇は必至である。
【0015】
特許文献2に示された三次元基板間接続構造は、耐熱樹脂133に外部接続端子134を並べたものであり、あまり小さくできず、実装密度を充分に高くできないという問題がある。
【0016】
そして、図17に従来のスタッキングコネクタ137を用いた電子機器においては、コネクタ部分の接続面積及び取り付け高さの低減が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1に記載の発明では、三次元基板間接続部品において、絶縁体と、前記絶縁体の表面に形成され、該絶縁体の上部から側部を経由して下部に至る導体配線と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の三次元基板間接続部品において、前記絶縁体には、上面、下面および側面が形成され、前記導体配線は、前記絶縁体の前記上面から前記側面を経由して前記下面に至ることを特徴とする。
【0019】
また、請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の三次元基板間接続部品において、前記絶縁体の側面は、互いに対向する第一の側面及び第二の側面を含み、前記導体配線は、前記上面から前記第一の側面を経由して前記下面に至る複数の第一の導体配線と、前記上面から前記第二の側面を経由して前記下面に至る複数の第二の導体配線と、を含むことを特徴とする。
【0020】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1から3のいずれか一項に記載の三次元基板間接続部品において、前記絶縁体の前記上面から前記下面まで貫通するスルーホールを備えたことを特徴とする。
【0021】
また、請求項5に記載の発明では、三次元基板間接続部品において、円筒状に形成された絶縁体と、前記絶縁体の外周面に周方向へ延びる前記導体配線と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
また、請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の三次元基板間接続部品において、前記絶縁体と前記導体配線を略面一に形成したことを特徴とする。
【0023】
また、請求項7に記載の発明では、三次元基板間接続部品において、上部から下部まで貫通する複数のスルーホールが並設された絶縁体を備えたことを特徴とする。
【0024】
また、請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の三次元基板間接続部品において、前記各スルーホールは、前記絶縁体の側面に半分割形状で形成されることを特徴とする。
【0025】
また、請求項9に記載の発明では、電子機器において、2つの基板の間に請求項1から6のいずれか一項に記載の三次元基板間接続部品を挟み、一方の前記基板に設けられた電極が前記導体配線の上端に接続されるとともに、他方の前記基板に設けられた電極が前記導体配線の下端に接続されることを特徴とする。
【0026】
また、請求項10に記載の発明では、電子機器において、2つの基板の間に請求項4、7または8に記載の三次元基板間接続部品を挟み、一方の前記基板に設けられた電極が前記スルーホールの上端に接続されるとともに、他方の前記基板に設けられた電極が前記スルーホールの下端に接続されることを特徴とする。
【0027】
また、請求項11に記載の発明では、請求項9または10に記載の電子機器において、前記2つの基板のうち、一方の基板は部品を搭載するモジュール基板であることを特徴とする。
【0028】
また、請求項12に記載の発明では、電子機器の製造方法において、請求項1から8のいずれか一項に記載の三次元基板間接続部品により2つの基板が電気的に接続される電子機器の製造方法であって、前記三次元基板間接続部品の上下一側を、一方の前記基板に、はんだ付けにより接続し、前記三次元基板間接続部品の上下他側を、他方の前記基板に、はんだ付けにより接続することを特徴とする。
【0029】
また、請求項13に記載の発明では、請求項12に記載の電子機器の製造方法において、前記2つの基板のうち、一方の基板は部品が搭載されるモジュール基板であり、前記一方の基板に、前記三次元基板間接続部品及び前記部品を接続した後に、前記他方の基板に、前記三次元基板間接続部品を接続することを特徴とする。
【0030】
なお、便宜的に絶縁体の上面、下面及び側面と表現したが、電子機器等における絶縁体の配置によっては、上面および下面が左右の面になり、側面が上下の面となったり、上面が下向きになり、下面が上向きになる場合をも含めている。上部および下部についても同様である。
【発明の効果】
【0031】
本発明の三次元基板間接続部品によれば、小面積、低コストで、且つ任意の回路で三次元的な基板間の配線接続を実現できる。すなわち、本発明の三次元基板間接続部品は、リード等を用いることなく、例えば、絶縁体またはプリント配線板にめっき等により導体配線を形成し、スルーホールを設けることにより、比較的狭いピッチで電極となる導体配線またはスルーホールを並設でき、高密度の三次元基板間の配線接続が可能となり、実装占有面積を非常に小さくできる効果がある。
【0032】
また、本発明の電子機器によれば、三次元基板間接続部品を用いて2つの基板を接続したので、コネクタのようにプラグ側とレセプタクル側というような2つの部品を必要としないことから、コストの低減を図ることができる。さらに、基板の接続に要する取り付け高さを飛躍的に低減することができ、機器本体内のスペースを効率よく利用することができる。従って、電子機器の小型化を図ったり、機器本体内に他の部品を配して機能を充実させたりすることができる。例えば、携帯端末のように、筐体内のスペースが限定されている場合は、実用に際して極めて有利である。
【0033】
また、本発明の電子機器の製造方法によれば、導体配線を接続相手側の基板の電極にはんだ付けする汎用の実装設備にて三次元基板間の接続が可能であるため、製造にあたって特殊な設備を要することはなく、コストの低減させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
図1(a)は、本発明の第一の実施の形態の三次元基板間接続部品の斜視図である。図1(b)は、図1(a)におけるA−A線に沿った断面図である。
【0036】
図1(a)に示すように、予め長方形断面の角棒状に成型された液晶ポリマー等の絶縁体1の表面に、めっきにより導体配線2を形成することにより三次元基板間接続部品3を形成する。
【0037】
導体配線2は、図1(b)に示すように第一の導体配線21および第二の導体配線22からなり、絶縁体1の対向する第一の側面13および第二の側面14それぞれを経由して絶縁体1の上面11から下面12に至るように設けられている。すなわち、導体配線21は、側面13を通って上面11の部分の上面電極23と下面12の部分の下面電極25とを導通させ、導体配線22は、側面14を通って上面11の部分の上面電極24と下面12の部分の下面電極26とを導通させている。導体配線2には、はんだ付け等の導電接続が可能な表面処理を施しておく。
【0038】
図2に示すように、三次元基板間接続部品3を、上面電極23および24それぞれをサブ基板4上の別々のパッド(図示せず)にはんだ付けして、他の部品5と共にサブ基板4上に表面実装し、モジュール6を形成する。すなわち、サブ基板4は他の部品5を搭載するモジュール基板である。この時、三次元基板間接続部品3の露出している下面電極25および26はモジュール6の外部電極となる。そして、下面電極25および26をメイン基板7の別々のパッド(図示せず)にはんだ付けし、モジュール6を外部電極としての下面電極25および26を介してメイン基板7に実装することにより、サブ基板4およびメイン基板7間の三次元接続構造を実現する。
【0039】
このように、予めモジュール6として組み立てておくことにより、部品管理、製品製造および修理改造等における効率化を図ることができる。
【0040】
もっとも、メイン基板7に三次元基板間接続部品3を搭載しておき、この後に三次元基板間接続部品3を除いたモジュール6を当該メイン基板7に既に搭載してある三次元基板間接続部品3に接続するようにもできる。
【0041】
なお、サブ基板4とメイン基板7との間に配置される他の部品5の最大高さと同等以上に三次元基板間接続部品3の高さがなるように、予め絶縁体1および導体配線2を成型しておく必要がある。
【0042】
また、サブ基板とメイン基板というような関係にない平行に配置された2つの基板間を接続するのに三次元基板間接続部品3を用いることもできる。さらに、2枚の基板を三次元基板間接続部品3で三次元接続し、2枚の基板のさらに上に他の三次元基板間接続部品3を用いて他の基板を重ねて接続するというように、3枚以上の基板を多段に重ねて実装する際に、各基板間の接続に三次元基板間接続部品3を用いることもできる。
【0043】
本実施の形態の三次元基板間接続部品3では、樹脂モールドを金型により成型して絶縁体1を得た後に、絶縁体1にめっきプロセスを経て電極を形成するMID(Molded Interconnect Device)工法を採用しているので、狭いピッチで細い導体配線2を形成することが可能である。また、電極リードが不要であることから三次元基板間接続部品3自体の小型化が可能であり、実装占有面積を小さくできるという効果がある。
【0044】
更に、本実施形態の三次元基板間接続部品3は、従来の電子部品のように電子回路等を有さない部品(コネクタやケーブルと同様)であるため、任意の回路に適用可能である。
【0045】
図3は、第一の実施の形態の三次元基板間接続部品3を用いて、電子機器としての携帯電話端末のプリント配線基板8上にモジュール6を搭載した場合の斜視図である。このプリント配線基板8が前述のメイン基板7に相当する。
【0046】
図3に示すように、この電子機器は、2つの基板の間に三次元基板間接続部品3を挟み、一方の基板(サブ基板4)に設けられた電極が導体配線2の上端に接続されるとともに、他方の基板(プリント配線基板8)に設けられた電極が導体配線2の下端に接続される。尚、サブ基板4とプリント配線基板8は、電子機器内部のレイアウト等により上下逆さとなってもよい。
【0047】
このように、本実施形態の三次元基板間接続部品3を用いたことにより、従来よりもサブ基板4をプリント配線基板8側に近接させて配置することができる。この電子機器は、2つの基板が三次元基板間接続部品3により電気的に接続され、三次元基板間接続部品3の上側をサブ基板4にはんだ付けにより接続し、三次元基板間接続部品3の下側をプリント配線基板8にはんだ付けにより接続することにより製造される。すなわち、三次元基板間接続部品3及び他の部品5をサブ基板4に接続した後に、プリント配線基板8に三次元基板間接続部品3を接続する。
【0048】
この電子機器では、例えば、従来のスタッキングコネクタを用いた接続で5mm程度の接続面積が必要であったものについて、図4のごとく1mm程度の接続幅での接続が可能となった。また、接続時の取り付け高さにおいても、従来のスタッキングコネクタは1.5mm程度の取り付け高さが必要であったが、1mm程度の取り付け高さが実現されている。
【0049】
このように、本実施の形態の電子機器によれば、三次元基板間接続部品3を用いて2つの基板を接続したので、コネクタのようにプラグ側とレセプタクル側というような2つの部品を必要としないことから、コストの低減を図ることができる。さらに、基板の接続に要する取り付け高さを飛躍的に低減することができ、機器本体内のスペースを効率よく利用することができる。従って、電子機器の小型化を図ったり、機器本体内に他の部品を配して機能を充実させたりすることができる。例えば、携帯端末のように、筐体内のスペースが限定されている場合は、実用に際して極めて有利である。
【0050】
また、本実施の形態の電子機器の製造方法によれば、導体配線2を接続相手側の基板の電極にはんだ付けする汎用の実装設備にて三次元基板間の接続が可能であるため、製造にあたって特殊な設備を要することはなく、コストの低減させることが可能となる。
【0051】
なお、本実施の形態の三次元基板間接続部品3において、絶縁体1の材質として樹脂モールドではなくセラミック材料を使用し、焼成プロセスを経て銀ペースト等の導体配線2を形成しても良い。
【0052】
図5は、本発明の第二の実施の形態の三次元基板間接続部品の斜視図である。
【0053】
本実施の形態の三次元基板間接続部品29は、円筒状の絶縁体30の外周面に1周するように周方向へ延びる比較的細い導体配線31を複数本、軸方向に並べて設けたものである。図5に示すように、絶縁体30と導体配線31は略面一に形成されている。
【0054】
本実施の形態による接続構造は、図示していないが第一の基板の上に平行に第二の基板を配置し、第一および第二の基板の間に三次元基板間接続部品29を軸方向が横となるよう配置し、導体配線31の下側の部分を第一の基板に設けられたパッドにはんだ付けし、上側の部分を第二の基板に設けられたパッドにはんだ付けする。
【0055】
本実施の形態によれば、導体配線31とパッドとの間に大きなはんだフィレットが形成され、第一および第二の基板とのはんだ付け強度が大きくなる効果がある。
【0056】
図6は、本発明の第三の実施の形態の三次元基板間接続部品の断面図である。
【0057】
本実施の形態の三次元基板間接続部品は、上面および下面が平面で両側が半円筒状の棒状、すなわち断面形状が両側の半円および中央部分の上下の直線で囲まれた長円形である絶縁体32を有し、絶縁体32の表面に導体配線33を設けたものである。導体配線33は、絶縁体32の上面の側部から側面を経由して底面の側部に至るように、絶縁体32の両側部それぞれに別々に並べて設けられ、図5に示す三次元基板間接続部品29よりも多くの導体配線33を設けることができる。
【0058】
図7は、本発明の第四の実施の形態の三次元基板間接続部品の断面図である。
【0059】
本実施の形態の三次元基板間接続部品は、上面、下面が平面で、両側面が凸状に屈曲した2つの斜面からなる断面が六角形となっている棒状の絶縁体34を有し、絶縁体34の表面に導体配線35を設けたものである。導体配線35は、絶縁体34の上面の側部から側面を経由して底面の側部に至るように、絶縁体34の両側部それぞれに別々に並べて設けられている。
【0060】
図8は、本発明の第五の実施の形態の三次元基板間接続部品の断面図である。
【0061】
本実施の形態の三次元基板間接続部品は、断面が長方形の角棒の各稜に面取りを施し、斜面38を設けた絶縁体36の表面に導体配線37を設けたものである。導体配線37は、絶縁体36の上面の側部から側面を経由して底面の側部に至るように、絶縁体36の両側部それぞれに別々に並べて設けられている。なお、斜面38の替わりに絶縁体となる角棒の稜に丸みを設けてもよい。
【0062】
図6〜図8に示す三次元基板間接続部品も図5に示す三次元基板間接続部品と同様に、接続する基板との間のはんだフィレットを大きくし、はんだ付け強度が大きくすることができる。また、必要に応じて図8に示す絶縁体36の一部の角にのみ面取りを施すようにしてもよい。同様に図6に示す絶縁体32の片側のみを半円筒状にしたり、図7に示す絶縁体34の片側のみを凸屈曲面として断面が五角形の棒状としてもよい。
【0063】
また、図6〜図8において、絶縁体32、34または36の片側のみに導体配線33、35または37を設けるようにしてもよいし、絶縁体32、34または36の外周を1周するように導体配線を設けるようにしてもよい。要するに、絶縁体の上部から側部を経由した下部に至る導体配線が形成されていればよい。
【0064】
図9(a)は、本発明の第六の実施の形態の三次元基板間接続部品の斜視図である。図9(b)は、図9(a)におけるB−B線に沿った断面図である。尚、図9は説明のために模式的に図示している。
【0065】
図9において、絶縁体としての両面プリント配線板41に、所望のピッチで上部から下部まで貫通するスルーホール43を並設し、両面のスルーホール電極42をスルーホール43で導通させる。この時、スルーホール43内に充填材料を入れ、蓋めっきを施してスルーホール43を塞いでも良い。
【0066】
図9に示す三次元基板間接続部品による接続構造は、例えば図2に示すものと同様に、プリント配線板41の上面のスルーホール電極42をサブ基板4のパッドにはんだ付けし、下面のスルーホール電極42をメイン基板7のパッドにはんだ付けして構成する。
【0067】
以上のように形成された三次元基板間接続部品は、プリント配線板の製造プロセスで製造が可能であるため、モールド成型用の金型が不要であり、図1に示す実施の形態よりも、更に低コストで実現が可能である。
【0068】
また、上記各実施例の図では電極配列が2列となっているが、本実施例の場合は電極配列を3列以上にしても良い。
【0069】
図10は、本発明の第七の実施の形態の三次元基板間接続部品の斜視図である。
【0070】
本実施の形態では、プリント配線板に2列にスルーホールを並設し、各列のスルーホールの中心を通る面でプリント配線板を切断し、両側面に半分割形状の半分割スルーホール52を並べたプリント配線板51を形成し、これを三次元基板間接続部品としている。
【0071】
本実施の形態では、プリント配線板をスルーホールの中央で切断することにより、図9に示す実施の形態と比べ半分以下の幅で三次元基板間接続部品を実現し、更なる高密度実装化が可能となる。また、半分割スルーホール52の配列を両側面で互いに半ピッチずつずらすようにしてもよい。
【0072】
また、最外列のもののみを図10のようなプリント配線板の側面に並べられた半分割のスルーホールとし、その他のものは図9のような完全な形状のスルーホールとする3列以上に並べられた配列としても良い。また、半分割スルーホールは、プリント基板の1側面にのみ設けるようにしてもよい。
【0073】
図11は、本発明の第八の実施の形態の三次元基板間接続部品の斜視図である。
【0074】
本実施の形態は、平面形状が一定幅のL字型であるプリント配線板60にスルーホール43を列設したものである。
【0075】
図12は、本発明の第九の実施の形態の三次元基板間接続部品の斜視図である。
【0076】
本実施の形態は、平面形状が一定幅のT字型であるプリント配線板61にスルーホール43を列設したものである。
【0077】
図13は、本発明の第十の実施の形態の三次元基板間接続部品の斜視図である。
【0078】
本実施の形態は、平面形状が一定幅の口字型であるプリント配線板62にスルーホール43を列設したものである。
【0079】
図11〜図13に示すように、本発明の三次元基板間接続部品は任意の平面形状に成形可能であり、接続すべき基板上のパッドの配置に合わせてスルーホールを配置し、この配置に合わせた平面形状にプリント配線板を形成することができる。従って、1つの三次元基板間接続部品でも様々な配置の多くのパッドすなわち電極を接続可能である。
【0080】
なお、本発明の第一ないし第五の実施の形態の三次元基板間接続部品でも平面形状をL字型、T字型、口字型等の様々な形状にすることが可能である。
【0081】
なお、図1に示すような導体配線2が形成された絶縁体1を樹脂モールドによることなく、プリント配線板等を細長く切断することにより製作することも可能である。また、樹脂モールド等により成型した板にスルーホールや半分割スルーホールを設けて図9や図10に示すような三次元基板間接続部品としてもよい。
【0082】
さらに、図1に示すような樹脂モールドによる絶縁材の側部に導体配線2を設けるほかに、中央部にスルーホールを設けることもできるし、図9に示すようなプリント配線板41においてスルーホール43のほかに側部に導体配線を設けることもできる。
【0083】
また、図11ないし図13に示すような様々な平面形状の絶縁体に導体配線、スルーホールまたは半分割スルーホールを併設することもできる。
【0084】
また、第二〜第十の実施の形態についても、第一の実施の形態と同様に電子機器における2つの基板の接続に用いると効果的である。さらに、絶縁体等の形状は基板の配置、使用等に応じて変更可能であるし、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】(a)は、本発明の第一の実施の形態の三次元基板間接続部品の斜視図である。(b)は、(a)のA−A線に沿った断面図である。
【図2】三次元基板間接続部品を用いた三次元基板間接続構造を示す側面図である。
【図3】三次元基板間接続部品を用いてプリント配線基板上にモジュール部品を載せた携帯電話端末の内部構造の斜視図である。
【図4】三次元基板間接続部品を用いてメイン基板とサブ基板を接続した携帯電話端末の内部構造の断面図である。
【図5】本発明の第二の実施の形態の三次元基板間接続部品の斜視図である。
【図6】本発明の第三の実施の形態の三次元基板間接続部品の断面図である。
【図7】本発明の第四の実施の形態の三次元基板間接続部品の断面図である。
【図8】本発明の第五の実施の形態の三次元基板間接続部品の断面図である。
【図9】(a)は、本発明の第六の実施の形態の三次元基板間接続部品の斜視図である。(b)は、(a)におけるB−B線に沿った断面図である。
【図10】本発明の第七の実施の形態の三次元基板間接続部品の斜視図である。
【図11】本発明の第八の実施の形態の三次元基板間接続部品の斜視図である。
【図12】本発明の第九の実施の形態の三次元基板間接続部品の斜視図である。
【図13】本発明の第十の実施の形態の三次元基板間接続部品の斜視図である。
【図14】従来の三次元基板間接続構造に用いるコネクタのレセプタクルおよびプラグを示す断面図である。
【図15】特許文献1に開示された三次元基板間接続構造を示す断面図である。
【図16】特許文献2に開示された三次元基板間接続構造を示す断面図である。
【図17】従来の基板間接続に用いるスタッキングコネクタを使用してメイン基板とサブ基板を接続した電子機器の内部構造の断面図である。
【符号の説明】
【0086】
1 絶縁体
2 導体配線
3 三次元基板間接続部品
4 サブ基板
5 他の部品
6 モジュール
7 メイン基板
11 上面
12 下面
13 第一の側面
14 第二の側面
21 第一の導体配線
22 第二の導体配線
23 上面電極
24 上面電極
25 下面電極
26 下面電極
29 三次元基板間接続部品
30 絶縁体
31 導体配線
32 絶縁体
33 導体配線
34 絶縁体
35 導体配線
36 絶縁体
37 導体配線
38 斜面
41 プリント配線板
42 スルーホール電極
43 スルーホール
51 プリント配線板
52 半分割スルーホール
60 プリント配線板
61 プリント配線板
62 プリント配線板
101 基板
102 基板
103 プラグ
104 レセプタクル
105 ハウジング
106 ハウジング
107 壁
108 リード
109 リード
110 嵌合部
111 幅
121 基板
122 基板
123 電子部品
124 リード電極
127 ランド電極
131 基板
132 基板
133 耐熱樹脂
134 外部接続端子
135 リードアレイ
136 はんだ
137 スタッキングコネクタ
138 はんだ付け部
139 はんだ付けリード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体と、
前記絶縁体の表面に形成され、該絶縁体の上部から側部を経由して下部に至る導体配線と、を備えたことを特徴とする三次元基板間接続部品。
【請求項2】
前記絶縁体には、上面、下面および側面が形成され、
前記導体配線は、前記絶縁体の前記上面から前記側面を経由して前記下面に至ることを特徴とする請求項1に記載の三次元基板間接続部品。
【請求項3】
前記絶縁体の側面は、互いに対向する第一の側面及び第二の側面を含み、
前記導体配線は、前記上面から前記第一の側面を経由して前記下面に至る複数の第一の導体配線と、前記上面から前記第二の側面を経由して前記下面に至る複数の第二の導体配線と、を含むことを特徴とする請求項2に記載の三次元基板間接続部品。
【請求項4】
前記絶縁体の前記上面から前記下面まで貫通するスルーホールを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の三次元基板間接続部品。
【請求項5】
円筒状に形成された絶縁体と、
前記絶縁体の外周面に周方向へ延びる導体配線と、を備えたことを特徴とする三次元基板間接続部品。
【請求項6】
前記絶縁体と前記導体配線を略面一に形成したことを特徴とする請求項5に記載の三次元基板間接続部品。
【請求項7】
上部から下部まで貫通する複数のスルーホールが並設された絶縁体を備えたことを特徴とする三次元基板間接続部品。
【請求項8】
前記各スルーホールは、前記絶縁体の側面に半分割形状で形成されることを特徴とする請求項7に記載の三次元基板間接続部品。
【請求項9】
2つの基板の間に請求項1から6のいずれか一項に記載の三次元基板間接続部品を挟み、
一方の前記基板に設けられた電極が前記導体配線の上端に接続されるとともに、他方の前記基板に設けられた電極が前記導体配線の下端に接続されることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
2つの基板の間に請求項4、7または8に記載の三次元基板間接続部品を挟み、
一方の前記基板に設けられた電極が前記スルーホールの上端に接続されるとともに、他方の前記基板に設けられた電極が前記スルーホールの下端に接続されることを特徴とする電子機器。
【請求項11】
前記2つの基板のうち、一方の基板は部品を搭載するモジュール基板であることを特徴とする請求項9または10に記載の電子機器。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか一項に記載の三次元基板間接続部品により2つの基板が電気的に接続される電子機器の製造方法であって、
前記三次元基板間接続部品の上下一側を、一方の前記基板に、はんだ付けにより接続し、
前記三次元基板間接続部品の上下他側を、他方の前記基板に、はんだ付けにより接続することを特徴とする電子機器の製造方法。
【請求項13】
前記2つの基板のうち、一方の基板は部品が搭載されるモジュール基板であり、
前記一方の基板に、前記三次元基板間接続部品及び前記部品を接続した後に、
前記他方の基板に、前記三次元基板間接続部品を接続することを特徴とする請求項12に記載の電子機器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−303248(P2006−303248A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−124058(P2005−124058)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】