説明

下部枠と上部枠が契合した芝生保護材

【課題】本発明は、上部枠と下部枠からなる芝生保護材における上下方向の契合手段の提案である。
【解決手段】本発明は、基盤上に敷設される下部枠と下部枠上に契合される上部枠からなる芝生保護材にあって、下部枠と上部枠は共に網目状とされ、互いに上下に契合されるときその網目の交点が一致し、下部枠の交点には上方に突出する突状部が設けられ、その上端部は中心に割れ目を設けた膨張部とされ、上枠部は柔軟な素材で形成され、その交点には下方に開き上部で閉じた筒状部が設けられ、筒状部の内径は前記膨張部の外径より小さく、下部枠の突状部が上部枠の筒状部に挿入されるとき突状部上端に設けた膨張部がその割れ目を閉じることで下部枠と上部枠の契合を確実とする下部枠と上部枠が契合した芝生保護材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の枠を契合して使用する芝生保護材の上下方向の契合技術に属する。
【背景技術】
【0002】
芝生やその他の植物を育成させた広場として、ゴルフ場、運動場、公園、庭園、工場の路側、各種の敷地空間内があり、古くは芝生保護のため芝生内は立ち入り禁止とする場合が普通であった。最近では芝生内に立入る人の、あるいは車の踏圧から植物を保護するため踏圧部と透孔部からなる図7aに示すような芝生保護材(特開平2-145137、特開平4-75541)が各種提案され使用されている。
さらにこれら芝生保護材を用いた際に人の踏圧を和らげるため、芝生保護材上に更に平坦な上部枠を設置し、人の足と上部枠との接触部の面積を大きくし踏圧部からの反力を軽減する図7bに示すような芝生保護材が特開平5-56724に開示されている。
更に特開2008-35856には最上層枠を柔軟な素材で形成した3層構造の枠を組み合わせてより一層踏み圧の軽減を図る提案がなされている。
下部枠と上部枠からなる植物保護材の契合方法は、互いに溶着あるいは接着することは異種の樹脂間であり現実的ではない。確実に勝つ簡単に契合できる手段が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-145137
【特許文献2】特開平4-75541
【特許文献3】特開平5-56724
【特許文献4】特開2008-35856
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上部枠と下部枠からなる芝生保護材における上下方向の契合手段の提案である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本第1の発明は、基盤上に敷設される下部枠と下部枠上に契合される上部枠からなる芝生保護材にあって、下部枠と上部枠は共に網目状とされ、互いに上下に契合されるときその網目の交点が一致し、下部枠の交点には上方に突出する突状部が設けられ、その上端部は膨張部とされ、上枠部は柔軟な素材で形成され、その交点には下方に開き上部で閉じた筒状部が設けられ、筒状部の内径は前記膨張部の外径より小さく、下部枠の突状部が上部枠の筒状部に挿入されるとき突状部上端に設けた膨張部が筒状部を膨らますことで下部枠と上部枠の契合を確実とする下部枠と上部枠が契合した芝生保護材である。
本第2の発明は、本第1の発明における記載の膨張部の頂部に割れ目が設けられ、下部枠の突状部が上部枠の筒状部に挿入されるとき膨張部がその割れ目を閉じることで挿入を容易にする下部枠と上部枠の契合を確実とする下部枠と上部枠が契合した芝生保護材である。
本第3の発明は、上記2つの発明において、膨張部の表面に溝を設け、筒状部に挿入されたとき筒状部中の空気が前記溝を介して外部に排出される下部枠と上部枠が契合した芝生保護材である。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、(1)下部枠の膨張部の外径が筒状部の内径より大きく設定され、且つ上部枠が柔軟な素材で形成されているため、膨張部の挿入に対し筒状部が膨らむことで、上部枠と下部枠との契合を確実にできる。
(2)下部枠の膨張部頂部に割れ目を設け、かつ上部枠は柔らかい素材で形成され、その筒状部内径より大きく設定し、膨張部が筒状部中に挿入するとき膨張部の分割部が閉じることで、上部枠と下部枠との契合を容易に且つ確実にできる。
(3)膨張部の表面に溝を設けたため、膨張部を筒状部内に挿入するとき内部の空気がこの溝を介して排出されるため挿入時の抵抗が減る。と同時に人の踏み圧時に中の空気が踏み圧により排出されるため踏み圧に対する反力が減少する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】芝生保護材を構成する上部枠の概念図である。
【図2】芝生保護材を構成する下部枠の概念図である。
【図3】下部枠の突状部の例を示す概念図である。
【図4】上部枠と下部枠を契合する状態を示す概念図である。
【図5】本芝生保護材の使用例を示す概念図である。
【図6】本芝生保護材を基礎枠と組み合わせて使用する概念図である。
【図7】従来の植物保護材の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を図により詳細に説明する。
図1は、本芝生保護材を構成する上部枠の例を示す平面、断面を示す概念図である。図1aは、上部枠の平面図、図1bはA-A’線での断面図である。上部枠は格子状で、格子の中心はその中心に開口し他端が閉鎖された筒状部となっている。筒状部が従来の芝生保護材の踏み圧部に相当し、格子の目が透水部に相当する。上部枠はエラストマー、ゴム等の柔軟な素材で形成される。
【0009】
図2は、本芝生保護材を構成する下部枠の例を示す平面、断面を示す概念図である。図2aは、突状部の上端が膨張部とされた平面図、A-A’線での断面図である。図2bは、突状部の上端の膨張部頂部に十字の割れ目が設けられた、平面図、A-A’線での断面図である。
下部枠は格子状で、格子の中心に上方に突出する突状部が設けられその上端部には膨張部が設けられている。下枠部の膨張部が上部枠の筒状部内に挿入される特、割れ目の設けられていない膨張部は筒状部を押し広げながら挿入される。膨張部に割れ目の設けられた場合、割れ目がすぼまりながら筒状部内に挿入されるため、挿入時の抵抗が軽減される。
図3は膨張部の表面に溝を設けた例を示している。
図1、図2では上部枠、下部枠は格子状に表されているが網目状であってもよく、上部枠と下部枠の交点及び網目が重なればよい。
【0010】
図4は、上部枠と下部枠が契合される状態を示している。図4aは上部枠、図4bは下部枠、図4cは上部枠と下部枠とを契合した状態を示している。
本図の例では、下部枠の突状部に設けられた膨張部は、その頂点に十字の割れ目が設けられ、外圧によりすぼまるように形成されている。更に膨張部の最外径は筒状部の内径よりわずかに大きく設定されている。そのため下部枠の膨張部は上部枠の筒状部内に割れ目をすぼめながら挿入される。また上部枠は柔軟な素材で形成されているため膨張部の挿入により筒状部内が膨らみ、上部枠と下部枠の契合が確実に果たされる。
【0011】
以下本植物保護材の使用例を記述する。
本上部枠と下部枠の2層構造での使用例を図5に示す。
本使用例では従来の踏み圧部と透水部を有する植物保護材と同様、格子部が踏み圧部として機能し、格子の目に当たる部分が透水部として機能する。従い芝等の植物は透水部から延伸し、新芽に掛かる踏み圧は踏み圧部で支えられるため直接掛かることがない。従来の芝生保護材と同様、左右前後に連結配置されて使用される。また、前後左右に連結するための連結部を適宜設けることも従来の芝生保護材と変わらない。
【0012】
図6は、より強い踏み圧を受ける場合の使用例である。最下層部に戴円錐形の頂部を踏み圧部とし、その下部で互いに連結され、踏み圧部で囲まれた場所を透水部とする図7aに示す従来の基礎枠が用いられる。この場合下部枠の下及び基礎枠の踏み圧部頂部に互いを契合する契合部を設けることは従来の芝生保護材と同様である。
いずれの使用例においても踏み圧部が人あるいは車の踏み圧を受け、透水部が土壌を充填し芝等の植物を育成させると共に雨水等が地中に浸透する場所となることは同様である。
【0013】
本芝生保護材の材質は、基礎枠はコンクリート製品あるいは射出成形可能なポリオレフィンなどで製造される。下部枠は射出成形可能なポリオレフィンなどで製造される。上部枠と下部枠の格子の目の少なくとも一部は雨水等が地中に浸透可能となるよう、上下に連通するように配列することが好ましい。上部枠の材質は、上述したように踏圧により筒部が撓む必要があるためゴムなどを含むエラストマー製が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本芝生保護材は左右上下に連結され、広場などの芝生保護に使用される。
【符号の説明】
【0015】
1 芝生保護材
2 上部枠
3 下部枠
4 筒状部
5 突状部
6 膨張部
7 割れ目
8 溝
9 基礎枠
91 踏み圧部
92 透水部
10 平坦な上部枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基盤上に敷設される下部枠と下部枠上に契合される上部枠からなる芝生保護材にあって、下部枠と上部枠は共に網目状とされ、互いに上下に契合されるときその網目の交点が一致し、下部枠の交点には上方に突出する突状部が設けられ、その上端部は膨張部とされ、上枠部は柔軟な素材で形成され、その交点には下方に開き上部で閉じた筒状部が設けられ、筒状部の内径は前記膨張部の外径より小さく、下部枠の突状部が上部枠の筒状部に挿入されるとき突状部上端に設けた膨張部が筒状部を膨らますことで下部枠と上部枠の契合を確実とする下部枠と上部枠が契合した芝生保護材。
【請求項2】
請求項1記載の膨張部の頂部に割れ目が設けられ、下部枠の突状部が上部枠の筒状部に挿入されるとき膨張部がその割れ目を閉じることで挿入を容易にする下部枠と上部枠の契合を確実とする下部枠と上部枠が契合した芝生保護材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の膨張部の表面に溝を設け、突上部が筒状部に挿入されたとき筒状部中の空気が前記膨張部の表面に設けた溝を介して外部に排出される下部枠と上部枠が契合した芝生保護材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−172285(P2010−172285A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19659(P2009−19659)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(306024805)株式会社 林物産発明研究所 (155)