不織布要素を組込んだ基板
この発明は基板を提供する。当該基板は、第1の方向に向けられた複数の第1の繊維状部材を含む。第1の繊維状部材は、互いに対して間隔をあけて配置されている。当該基板はまた、第1の方向に対して横切る第2の方向に向けられた複数の第2の繊維状部材を含む。第2の繊維状部材は互いから間隔をあけて配置されている。第2の繊維状部材は第1の繊維状部材と織り交ぜられて、目の粗いメッシュを規定する。当該基板はまた、第1の方向に向けられた不織布材料の複数の長手の細片を含む。不織布の細片の各々は、第1の繊維状部材のうちの少なくとも2つの間に位置決めされ、第2の繊維状部材と織り交ぜられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の相互参照
本願は、2005年3月24日に出願され「不織布要素を組込んだ、織られたかまたは編まれた基板("WOVEN OR KNITTED SUBSTRATE INCORPORATING NON-WOVEN ELEMENTS")」と題され、その全体が引用によりこの明細書中に援用されている米国仮特許出願連続番号第60/665,072号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
この発明は、織られたかまたは編まれた繊維基板に関する。
【0003】
2.関連技術の説明
たとえば配線用ハーネスなどの長手の部材は、自動車、航空宇宙および海洋での用途における過酷な環境条件に耐え得る。たとえば、配線用ハーネスは車両動作中に振動を受ける可能性があり、これにより電気絶縁体が摩耗し、結果として短絡がもたらされるおそれがある。ハーネスはまた、特にエンジン区画において、入射する放射熱のために超高温に晒される可能性がある。さらに、当該ハーネスは、無線周波数もしくは電磁干渉を受けるかまたはこのような干渉の源になる可能性がある。配線用ハーネスが制御信号を伝えているかまたは無線受信を妨害する干渉を発している場合、無線周波数干渉は特に考慮すべき問題となる。
【0004】
現在、さまざまな種類の基板が用いられており、これらは、上述の環境の脅威に対する保護シールドとしての役割を果たす。このような基板は、繊維状部材から織られるかまたは編まれてもよく、特定の環境に合ったスリーブまたはライニングを提供し得る。たとえば、織られた基板は、反射金属箔を支持するための層として機能して、配線用ハーネスへの放射熱伝達を低減させ得る。同様に、導電性繊維状部材で織られた接地された管状の基板が、無線周波数または電磁干渉を防ぐためにハーネスを囲む保護スリーブとして用いられてもよい。最後に、基板はライニングとして用いられて振動を減衰させ、これにより、振動による摩耗を防ぎ得るか、または、揺動を引起こし騒音を生じさせる構成要素を静め得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
この発明は基板を提供する。当該基板は、第1の方向に向けられた複数の第1の繊維状部材を含む。第1の繊維状部材は互いに対して間隔をあけて配置されている。当該基板はまた、当該第1の方向に対して横切る第2の方向に向けられた複数の第2の繊維状部材を含む。第2の繊維状部材は互いから間隔をあけて配置されている。第2の繊維状部材は、目の粗いメッシュを規定するよう第1の繊維状部材と織り交ぜられている。当該基板はまた、第1の方向に向けられた不織布材料の複数の長手の細片を含む。不織布細片の各々は、第1の繊維状部材のうちの少なくとも2つの間に位置決めされ、第2の繊維状部材と織り交ぜられる。
【0006】
この発明の利点は、以下の詳細な説明および添付の図面に関連して考慮されるとより容易に認識されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
好ましい実施例の詳細な説明
図1はこの発明に従った基板の斜視図を示す。基板10は、矢印14で示される第1の方向に向けられた複数の第1の繊維状部材12から形成される。織られた基板については、矢印14で示される方向は縦糸方向に対応する。繊維状部材12は、複数の第2の繊維状部材16と織り交ぜられている。第2の繊維状部材16は、矢印18で示されるように、第1の繊維状部材に対して横方向に向けられている。織られた基板においては、矢印18で示される方向は横糸方向またはフィル(fill)の方向に対応する。第1の繊維状部材12は互いに対して間隔をあけて配置されており、第2の繊維状部材16も同様である。この結果として、第1の繊維状部材と第2の繊維状部材とを織り交ぜることによって比較的大きな隙間20が形成されることとなる。縦編みも可能であるが、繊維状部材を織り交ぜるための好ましい方法は織ることである。
【0008】
基板10はまた、複数の長手の不織布細片22を含む。細片22は縦糸方向14に向けられている。各々の細片は、第1の繊維状部材12のうちの少なくとも2つの間に位置決めされ、第2の繊維状部材16と織り交ぜられ、これにより基板内で細片が固定される。好ましくは、長手の細片22は、繊維状部材によって形成される隙間20を実質的に埋めるような大きさにされる。細片22は、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロンおよび繊維ガラス、エラストマー材料ならびにさまざまな発泡材を含み得る。当該材料は、織機または編機を通じて供給可能となり製造中に分解することのないように柔軟でなければならない。
【0009】
縦糸方向に延在する第1の繊維状部材12は、好ましくは、ポリエステルなどのポリマー材料で形成される多繊維ヤーン24である。多繊維ヤーンは、横糸方向18に関して、基板に優れた曲げ柔軟性を与える。しかしながら、より高い剛性が所望される場合、第1の繊維状部材は単繊維を含んでいてもよい。図1Aに詳細に示されるように、基板10は、長手の細片22の間で縦糸方向に延在する複数のヤーンまたは複数の単繊維26を有し得る。複数のヤーンは、基板の引張り強さを高め、第2の繊維状部材16が織り交ぜられ得る長手方向の構造28をもたらす。長手方向の構造28は、第2の繊維状部材16を適所に固定し、当該部材同士が間隔をあけて配置されている関係を維持するのを助ける。これと対照をなすものとして、縦糸方向にヤーンまたは単繊維を1本しか持たない基板がある。この基板では、第2の繊維状部材のより大きな運動自由度が可能となり、当該部材の位置ずれが可能となり、場合によっては基板の完全性を損なう可能性がある。
【0010】
図1Aに最もよく示されるように、横糸方向18に向けられた第2の繊維状部材16は、好ましくは、ポリエステルなどのポリマー材料から形成される単繊維30である。単繊維が好ましい理由としては、これらが高い剛性をもたらし、円形になるよう熱的、化学的または機械的手段によって容易に付勢されることにより、図4に図示のとおり基板を管またはスリーブ31へと形成することができるからである。第2の繊維状部材16は、図1Aに詳細に示されるように、2つ以上の単繊維30を含み得る。
【0011】
基板10は、図1に示されるその平坦な構成または図4に示されるその管状の実施例においては、さまざまな実用性を有する。たとえば、繊維状部材12および/または16がポリエステルなどのポリマーのヤーンでできており、長手の細片22がポリエステルもしくはナイロンフェルトを含む場合、基板10は、自動車内部の騒音抑制ライニングとして、または、振動を減衰させ、スリーブ内に受けられる長手の部材に対する振動による摩耗を減らすかもしくは防ぐ保護スリーブとして用いられてもよい。
【0012】
基板の別の実施例32が図2に示される。基板32はまた、長手の細片22が隙間20を実質的にすいている比較的目の粗いメッシュを形成するよう織り交ぜられた繊維状部材
12および16を含む。しかしながら、この実施例においては、細片22は、炭素、アルミニウム、銀または金などの導電性材料34でめっきされる。さらに、横糸方向18に延在している第2の繊維状部材16にも導電性がある。これは、銅またはアルミニウムなどの導電性材料で繊維状部材をめっきすることによって実現され得る。横糸方向への電気的導通はまた、繊維状部材16のそばに並んで導電性ワイヤ36を追加することによって実現され得る。導電性の第2の繊維状部材16および/または導電性ワイヤ36と導電性の長手の細片22との間の電気的接点により、基板32全体を通じて電気的導通がもたらされ、これにより、基板をシールドとして用いて、基板で囲まれた導体へのまたは当該導体からの無線周波数または電磁干渉を防ぐことが可能となる。しかしながら、このようなシールドを有効にするには、接地が必要となる。このために、縦糸方向14に延在する1つ以上のドレインワイヤ38が第2の繊維状部材16と織り交ぜられる。ドレインワイヤ38の末端部40が接地に取付けられ得るか、または、ドレインワイヤがその端部間で切断され得る。切断によって作り出された新しい端部はまた、基板全体を有効に接地するよう接地に接続可能であり得る。
【0013】
図4における例示的な基板31は図1の基板10に類似しているが、第2の繊維状部材16は円形になるよう付勢されている。結果として、基板31は、長手の導体を囲むためのシールドをもたらすよう管またはスリーブを形成する。
【0014】
図3に示される別の基板の実施例42においては、反射層44が基板に取付けられており、これにより放射反射材料が形成される。反射層44は、たとえば、長手の細片22ならびに繊維状部材12および16に直接接着された、たとえばアルミニウムまたは金の箔を含み得る。代替的には、反射層は、たとえば、真空蒸着またはスパッタ手段や高温プラズマ溶射技術によって銅、銀または金などの薄い金属層でコーティングされたポリエチレンテレフタラートなどの可撓性のある膜を含んでいてもよい。
【0015】
図5は、不織布要素を組込み、縦編みによって形成された基板50の一例を示す。基板50は、互いに対して間隔をあけて配置された長手方向の縦編み経路52の領域から形成される。長手方向の不織布細片54は、経路52の領域の間に縦糸方向56に挿入される。2つの繊維状横糸挿入部58および60は基板50の両側に位置決めされ、長手の細片を捉えるのに用いられる。横糸挿入部は、縦編み経路52に係止されている。繊維状横糸挿入部58および60のうちの1つまたは両方は、保護スリーブが必要とされる場合に、基板を縦糸方向に沿ってその長手方向の軸を有する管状形に適合させるよう円形に付勢することのできるポリエステル、ポリプロピレンまたはナイロンなどのポリマー単繊維であり得る。
【0016】
図6は、基板62についての編みパターンの一例を概略的に示す。単純な縦編みを用いて形成される縦編み経路64が示されており、ここには横糸要素66が挿入されている。図7〜図9は、目の詰まったトリコットステッチ68(図7)、目の粗いトリコットステッチ70(図8)および目の粗いピラー(pilar)ステッチ72(図9)を含み同様に使用可能である他のさまざまな種類の縦編みステッチの例を概略的に示す。ラッセル(Raschel)編みによって形成される網タイプの構造も、特に中心経路64a(図5を同様に参照)に適している。
【0017】
上述の基板の捕捉の他に特徴を提供するために付加的な横糸挿入繊維74が組込まれてもよい。図6の例においては、付加的な縦糸挿入要素74は編み経路64に制限されており、高タックの熱可溶性ヤーンで構成される。このようなヤーンは、スイス(Switzerland)のイー・エム・エス・グリルテック(EMS-Griltech)によって供給され、「グリロン溶融接着ヤーン(GRILON Fusible Bonding Yarn)」という商標名で販売されている。縦糸挿入要素74は、接着層の代わりに、基板62を、要望に応じて反射箔、膜または織ら
れた繊維などの別の基板に接着する役割を果たし得る。別個の接着層を必要とせずに積層物を形成するには、たとえば加熱されたニップローラの場合と同様に、接合基板と重ね合わせる際に基板62に熱および圧力を加えるだけでよい。
【0018】
高タックのヤーン74を特徴とする基板のさらなる例が図10〜図13に示される。ヤーン74は、これらの例においては経路のうちの隔離された領域に限定されないが、基板の幅全体にわたっている。図10においては、基板76は、横糸挿入ヤーン74でもって、目の詰まったピラーステッチを用いて形成される。図11は目の粗いピラーステッチを有する基板78を示す。横糸挿入ヤーン74でもって目の詰まったトリコットステッチおよび目の粗いトリコットステッチから形成された基板80および82が図12および図13にそれぞれ示される。
【0019】
長手の不織布細片とともに粗いメッシュに織られたかまたは縦編みされた繊維状部材を含む基板は、広い多用性を有する有効な構造を提供する。当該基板は不織布細片の優れたエネルギ吸収特性によって振動減衰をもたらし得るか、当該基板は反射層を支持する熱シールドとして機能し得るか、または、当該基板は、導電性コーティングおよび材料を用いることによって無線周波数および電磁干渉に対してシールドをもたらすよう構成され得る。この発明に従った基板は、繊維状部材の代わりに、繊維状部材よりも安価である不織布材料を実質的に使用することで安価に製造できる。基板がライニングとして平坦な構成で用いられ得るか、または、当該基板が閉じられた管状の構成になるよう容易に付勢されて、長手の部材を受けかつ保護するための保護スリーブをもたらし得る、といった多用性がさらに示されている。
【0020】
明らかに、上述の教示を考慮すると、この発明の多くの変更例および変形例が実現可能となる。したがって、この発明が、特に規定のない限り添付の特許請求の範囲内で実施可能であることが理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の第1の実施例に従った織られた基板を示す斜視図である。
【図1A】図1に示される基板を示す詳細な断面図である。
【図2】この発明の第2の織られた実施例を示す斜視図である。
【図3】この発明の第3の織られた実施例を示す斜視図である。
【図4】スリーブに巻かれたこの発明の第1の実施例を示す斜視図である。
【図5】この発明の第4の織られた実施例を示す斜視図である。
【図6】この発明の編まれた実施例を示す概略図である。
【図7】この発明の代替的な実施例についての編みの種類を概略的に示す図である。
【図8】この発明の代替的な実施例についての編みの種類を概略的に示す図である。
【図9】この発明の代替的な実施例についての編みの種類を概略的に示す図である。
【図10】付加的な横糸挿入要素がこの発明の編まれた実施例に組合されている、この発明のさらなる代替的な実施例を示す概略図である。
【図11】付加的な横糸挿入要素がこの発明の編まれた実施例に組合されている、この発明のさらなる代替的な実施例を示す概略図である。
【図12】付加的な横糸挿入要素がこの発明の編まれた実施例に組合されている、この発明のさらなる代替的な実施例を示す概略図である。
【図13】付加的な横糸挿入要素がこの発明の編まれた実施例に組合されている、この発明のさらなる代替的な実施例を示す概略図である。
【技術分野】
【0001】
関連する出願の相互参照
本願は、2005年3月24日に出願され「不織布要素を組込んだ、織られたかまたは編まれた基板("WOVEN OR KNITTED SUBSTRATE INCORPORATING NON-WOVEN ELEMENTS")」と題され、その全体が引用によりこの明細書中に援用されている米国仮特許出願連続番号第60/665,072号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
この発明は、織られたかまたは編まれた繊維基板に関する。
【0003】
2.関連技術の説明
たとえば配線用ハーネスなどの長手の部材は、自動車、航空宇宙および海洋での用途における過酷な環境条件に耐え得る。たとえば、配線用ハーネスは車両動作中に振動を受ける可能性があり、これにより電気絶縁体が摩耗し、結果として短絡がもたらされるおそれがある。ハーネスはまた、特にエンジン区画において、入射する放射熱のために超高温に晒される可能性がある。さらに、当該ハーネスは、無線周波数もしくは電磁干渉を受けるかまたはこのような干渉の源になる可能性がある。配線用ハーネスが制御信号を伝えているかまたは無線受信を妨害する干渉を発している場合、無線周波数干渉は特に考慮すべき問題となる。
【0004】
現在、さまざまな種類の基板が用いられており、これらは、上述の環境の脅威に対する保護シールドとしての役割を果たす。このような基板は、繊維状部材から織られるかまたは編まれてもよく、特定の環境に合ったスリーブまたはライニングを提供し得る。たとえば、織られた基板は、反射金属箔を支持するための層として機能して、配線用ハーネスへの放射熱伝達を低減させ得る。同様に、導電性繊維状部材で織られた接地された管状の基板が、無線周波数または電磁干渉を防ぐためにハーネスを囲む保護スリーブとして用いられてもよい。最後に、基板はライニングとして用いられて振動を減衰させ、これにより、振動による摩耗を防ぎ得るか、または、揺動を引起こし騒音を生じさせる構成要素を静め得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
この発明は基板を提供する。当該基板は、第1の方向に向けられた複数の第1の繊維状部材を含む。第1の繊維状部材は互いに対して間隔をあけて配置されている。当該基板はまた、当該第1の方向に対して横切る第2の方向に向けられた複数の第2の繊維状部材を含む。第2の繊維状部材は互いから間隔をあけて配置されている。第2の繊維状部材は、目の粗いメッシュを規定するよう第1の繊維状部材と織り交ぜられている。当該基板はまた、第1の方向に向けられた不織布材料の複数の長手の細片を含む。不織布細片の各々は、第1の繊維状部材のうちの少なくとも2つの間に位置決めされ、第2の繊維状部材と織り交ぜられる。
【0006】
この発明の利点は、以下の詳細な説明および添付の図面に関連して考慮されるとより容易に認識されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
好ましい実施例の詳細な説明
図1はこの発明に従った基板の斜視図を示す。基板10は、矢印14で示される第1の方向に向けられた複数の第1の繊維状部材12から形成される。織られた基板については、矢印14で示される方向は縦糸方向に対応する。繊維状部材12は、複数の第2の繊維状部材16と織り交ぜられている。第2の繊維状部材16は、矢印18で示されるように、第1の繊維状部材に対して横方向に向けられている。織られた基板においては、矢印18で示される方向は横糸方向またはフィル(fill)の方向に対応する。第1の繊維状部材12は互いに対して間隔をあけて配置されており、第2の繊維状部材16も同様である。この結果として、第1の繊維状部材と第2の繊維状部材とを織り交ぜることによって比較的大きな隙間20が形成されることとなる。縦編みも可能であるが、繊維状部材を織り交ぜるための好ましい方法は織ることである。
【0008】
基板10はまた、複数の長手の不織布細片22を含む。細片22は縦糸方向14に向けられている。各々の細片は、第1の繊維状部材12のうちの少なくとも2つの間に位置決めされ、第2の繊維状部材16と織り交ぜられ、これにより基板内で細片が固定される。好ましくは、長手の細片22は、繊維状部材によって形成される隙間20を実質的に埋めるような大きさにされる。細片22は、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロンおよび繊維ガラス、エラストマー材料ならびにさまざまな発泡材を含み得る。当該材料は、織機または編機を通じて供給可能となり製造中に分解することのないように柔軟でなければならない。
【0009】
縦糸方向に延在する第1の繊維状部材12は、好ましくは、ポリエステルなどのポリマー材料で形成される多繊維ヤーン24である。多繊維ヤーンは、横糸方向18に関して、基板に優れた曲げ柔軟性を与える。しかしながら、より高い剛性が所望される場合、第1の繊維状部材は単繊維を含んでいてもよい。図1Aに詳細に示されるように、基板10は、長手の細片22の間で縦糸方向に延在する複数のヤーンまたは複数の単繊維26を有し得る。複数のヤーンは、基板の引張り強さを高め、第2の繊維状部材16が織り交ぜられ得る長手方向の構造28をもたらす。長手方向の構造28は、第2の繊維状部材16を適所に固定し、当該部材同士が間隔をあけて配置されている関係を維持するのを助ける。これと対照をなすものとして、縦糸方向にヤーンまたは単繊維を1本しか持たない基板がある。この基板では、第2の繊維状部材のより大きな運動自由度が可能となり、当該部材の位置ずれが可能となり、場合によっては基板の完全性を損なう可能性がある。
【0010】
図1Aに最もよく示されるように、横糸方向18に向けられた第2の繊維状部材16は、好ましくは、ポリエステルなどのポリマー材料から形成される単繊維30である。単繊維が好ましい理由としては、これらが高い剛性をもたらし、円形になるよう熱的、化学的または機械的手段によって容易に付勢されることにより、図4に図示のとおり基板を管またはスリーブ31へと形成することができるからである。第2の繊維状部材16は、図1Aに詳細に示されるように、2つ以上の単繊維30を含み得る。
【0011】
基板10は、図1に示されるその平坦な構成または図4に示されるその管状の実施例においては、さまざまな実用性を有する。たとえば、繊維状部材12および/または16がポリエステルなどのポリマーのヤーンでできており、長手の細片22がポリエステルもしくはナイロンフェルトを含む場合、基板10は、自動車内部の騒音抑制ライニングとして、または、振動を減衰させ、スリーブ内に受けられる長手の部材に対する振動による摩耗を減らすかもしくは防ぐ保護スリーブとして用いられてもよい。
【0012】
基板の別の実施例32が図2に示される。基板32はまた、長手の細片22が隙間20を実質的にすいている比較的目の粗いメッシュを形成するよう織り交ぜられた繊維状部材
12および16を含む。しかしながら、この実施例においては、細片22は、炭素、アルミニウム、銀または金などの導電性材料34でめっきされる。さらに、横糸方向18に延在している第2の繊維状部材16にも導電性がある。これは、銅またはアルミニウムなどの導電性材料で繊維状部材をめっきすることによって実現され得る。横糸方向への電気的導通はまた、繊維状部材16のそばに並んで導電性ワイヤ36を追加することによって実現され得る。導電性の第2の繊維状部材16および/または導電性ワイヤ36と導電性の長手の細片22との間の電気的接点により、基板32全体を通じて電気的導通がもたらされ、これにより、基板をシールドとして用いて、基板で囲まれた導体へのまたは当該導体からの無線周波数または電磁干渉を防ぐことが可能となる。しかしながら、このようなシールドを有効にするには、接地が必要となる。このために、縦糸方向14に延在する1つ以上のドレインワイヤ38が第2の繊維状部材16と織り交ぜられる。ドレインワイヤ38の末端部40が接地に取付けられ得るか、または、ドレインワイヤがその端部間で切断され得る。切断によって作り出された新しい端部はまた、基板全体を有効に接地するよう接地に接続可能であり得る。
【0013】
図4における例示的な基板31は図1の基板10に類似しているが、第2の繊維状部材16は円形になるよう付勢されている。結果として、基板31は、長手の導体を囲むためのシールドをもたらすよう管またはスリーブを形成する。
【0014】
図3に示される別の基板の実施例42においては、反射層44が基板に取付けられており、これにより放射反射材料が形成される。反射層44は、たとえば、長手の細片22ならびに繊維状部材12および16に直接接着された、たとえばアルミニウムまたは金の箔を含み得る。代替的には、反射層は、たとえば、真空蒸着またはスパッタ手段や高温プラズマ溶射技術によって銅、銀または金などの薄い金属層でコーティングされたポリエチレンテレフタラートなどの可撓性のある膜を含んでいてもよい。
【0015】
図5は、不織布要素を組込み、縦編みによって形成された基板50の一例を示す。基板50は、互いに対して間隔をあけて配置された長手方向の縦編み経路52の領域から形成される。長手方向の不織布細片54は、経路52の領域の間に縦糸方向56に挿入される。2つの繊維状横糸挿入部58および60は基板50の両側に位置決めされ、長手の細片を捉えるのに用いられる。横糸挿入部は、縦編み経路52に係止されている。繊維状横糸挿入部58および60のうちの1つまたは両方は、保護スリーブが必要とされる場合に、基板を縦糸方向に沿ってその長手方向の軸を有する管状形に適合させるよう円形に付勢することのできるポリエステル、ポリプロピレンまたはナイロンなどのポリマー単繊維であり得る。
【0016】
図6は、基板62についての編みパターンの一例を概略的に示す。単純な縦編みを用いて形成される縦編み経路64が示されており、ここには横糸要素66が挿入されている。図7〜図9は、目の詰まったトリコットステッチ68(図7)、目の粗いトリコットステッチ70(図8)および目の粗いピラー(pilar)ステッチ72(図9)を含み同様に使用可能である他のさまざまな種類の縦編みステッチの例を概略的に示す。ラッセル(Raschel)編みによって形成される網タイプの構造も、特に中心経路64a(図5を同様に参照)に適している。
【0017】
上述の基板の捕捉の他に特徴を提供するために付加的な横糸挿入繊維74が組込まれてもよい。図6の例においては、付加的な縦糸挿入要素74は編み経路64に制限されており、高タックの熱可溶性ヤーンで構成される。このようなヤーンは、スイス(Switzerland)のイー・エム・エス・グリルテック(EMS-Griltech)によって供給され、「グリロン溶融接着ヤーン(GRILON Fusible Bonding Yarn)」という商標名で販売されている。縦糸挿入要素74は、接着層の代わりに、基板62を、要望に応じて反射箔、膜または織ら
れた繊維などの別の基板に接着する役割を果たし得る。別個の接着層を必要とせずに積層物を形成するには、たとえば加熱されたニップローラの場合と同様に、接合基板と重ね合わせる際に基板62に熱および圧力を加えるだけでよい。
【0018】
高タックのヤーン74を特徴とする基板のさらなる例が図10〜図13に示される。ヤーン74は、これらの例においては経路のうちの隔離された領域に限定されないが、基板の幅全体にわたっている。図10においては、基板76は、横糸挿入ヤーン74でもって、目の詰まったピラーステッチを用いて形成される。図11は目の粗いピラーステッチを有する基板78を示す。横糸挿入ヤーン74でもって目の詰まったトリコットステッチおよび目の粗いトリコットステッチから形成された基板80および82が図12および図13にそれぞれ示される。
【0019】
長手の不織布細片とともに粗いメッシュに織られたかまたは縦編みされた繊維状部材を含む基板は、広い多用性を有する有効な構造を提供する。当該基板は不織布細片の優れたエネルギ吸収特性によって振動減衰をもたらし得るか、当該基板は反射層を支持する熱シールドとして機能し得るか、または、当該基板は、導電性コーティングおよび材料を用いることによって無線周波数および電磁干渉に対してシールドをもたらすよう構成され得る。この発明に従った基板は、繊維状部材の代わりに、繊維状部材よりも安価である不織布材料を実質的に使用することで安価に製造できる。基板がライニングとして平坦な構成で用いられ得るか、または、当該基板が閉じられた管状の構成になるよう容易に付勢されて、長手の部材を受けかつ保護するための保護スリーブをもたらし得る、といった多用性がさらに示されている。
【0020】
明らかに、上述の教示を考慮すると、この発明の多くの変更例および変形例が実現可能となる。したがって、この発明が、特に規定のない限り添付の特許請求の範囲内で実施可能であることが理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の第1の実施例に従った織られた基板を示す斜視図である。
【図1A】図1に示される基板を示す詳細な断面図である。
【図2】この発明の第2の織られた実施例を示す斜視図である。
【図3】この発明の第3の織られた実施例を示す斜視図である。
【図4】スリーブに巻かれたこの発明の第1の実施例を示す斜視図である。
【図5】この発明の第4の織られた実施例を示す斜視図である。
【図6】この発明の編まれた実施例を示す概略図である。
【図7】この発明の代替的な実施例についての編みの種類を概略的に示す図である。
【図8】この発明の代替的な実施例についての編みの種類を概略的に示す図である。
【図9】この発明の代替的な実施例についての編みの種類を概略的に示す図である。
【図10】付加的な横糸挿入要素がこの発明の編まれた実施例に組合されている、この発明のさらなる代替的な実施例を示す概略図である。
【図11】付加的な横糸挿入要素がこの発明の編まれた実施例に組合されている、この発明のさらなる代替的な実施例を示す概略図である。
【図12】付加的な横糸挿入要素がこの発明の編まれた実施例に組合されている、この発明のさらなる代替的な実施例を示す概略図である。
【図13】付加的な横糸挿入要素がこの発明の編まれた実施例に組合されている、この発明のさらなる代替的な実施例を示す概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板であって、
第1の方向に向けられ、互いに対して間隔をあけて配置された複数の第1の繊維状部材と、
前記第1の方向に対して横切る第2の方向に向けられ、互いに対して間隔をあけて配置され、前記複数の第1の繊維状部材と織り交ぜられ、これにより、複数の隙間で目の粗いメッシュを規定する複数の第2の繊維状部材と、
前記第1の方向に向けられた不織布材料の複数の長手の細片とを含み、前記不織布の細片の各々は、前記複数の第1の繊維状部材のうちの2つの間、および、前記複数の第2の繊維状部材のうちの2つの間に位置決めされている、基板。
【請求項2】
前記複数の第1の繊維状部材のうちの少なくとも2つは、前記複数の長手の細片のうちの2つの間に位置決めされる、請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記複数の第2の繊維状部材の各々は複数の単繊維を含む、請求項1に記載の基板。
【請求項4】
前記複数の第2の繊維状部材は、前記基板が管を形成するように円形に付勢される、請求項1に記載の基板。
【請求項5】
前記複数の長手の細片は、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、ナイロンフェルト、繊維ガラス、エラストマーおよび発泡材からなる群から選択される材料から形成される、請求項1に記載の基板。
【請求項6】
前記複数の長手の細片上にコーティングされた導電性材料をさらに含む、請求項1に記載の基板。
【請求項7】
前記導電性材料はさらに、炭素、アルミニウム、銀および金のうちの少なくとも1つとして規定される、請求項7に記載の基板。
【請求項8】
前記複数の第2の繊維状部材はさらに、導電性のものとして規定される、請求項7に記載の基板。
【請求項9】
前記複数の長手の細片と平行に延在し、前記複数の第2の繊維状部材と織り交ぜられたドレインワイヤをさらに含む、請求項1に記載の基板。
【請求項10】
前記複数の第1の繊維状部材および前記複数の第2の繊維状部材および前記複数の長手の細片の上に重なる反射層をさらに含む、請求項1に記載の基板。
【請求項11】
前記複数の第1の繊維状部材の各々は縦編み経路である、請求項1に記載の基板。
【請求項12】
第2の方向に向けられ、前記複数の第1の繊維状部材のうちの少なくともいくつかと織り交ぜられた挿入要素をさらに含む、請求項1に記載の基板。
【請求項13】
前記挿入要素はさらに、前記複数の第1の繊維状部材のすべてよりも少ない数の第1の繊維状部材と織り交ぜられるものとして規定される、請求項12に記載の基板。
【請求項14】
前記挿入要素はさらに、前記複数の第1の繊維状部材のすべてと織り交ぜられるものとして規定される、請求項12に記載の基板。
【請求項15】
前記挿入要素はさらに、熱可溶性ヤーンとして規定される、請求項12に記載の基板。
【請求項16】
前記熱可溶性ヤーンに接着される反射箔をさらに含む、請求項15に記載の基板。
【請求項17】
基板を形成するための方法であって、
互いに対して間隔をあけて配置された複数の第1の繊維状部材を第1の方向に向ける第1のステップと、
互いに対して間隔をあけて配置され、第1の繊維状部材と織り交ぜられ、これにより、複数の隙間で目の粗いメッシュを規定する複数の第2の繊維状部材を、第1の方向に対して横切る第2の方向に向ける第2のステップと、
不織布材料の複数の長手の細片を第1の方向に向ける第3のステップとを含み、不織布の細片の各々は、第1の繊維状部材のうちの2つの間、および、第2の繊維状部材のうちの2つの間に位置決めされている、方法。
【請求項19】
前記第2の向けるステップはさらに、
複数の第1の繊維状部材と複数の第2の繊維状部材とを互いに織り合わせるステップとして規定される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の向けるステップはさらに、
複数の第1の繊維状部材と複数の第2の繊維状部材とを互いに縦編みするステップとして規定される、請求項18に記載の方法。
【請求項1】
基板であって、
第1の方向に向けられ、互いに対して間隔をあけて配置された複数の第1の繊維状部材と、
前記第1の方向に対して横切る第2の方向に向けられ、互いに対して間隔をあけて配置され、前記複数の第1の繊維状部材と織り交ぜられ、これにより、複数の隙間で目の粗いメッシュを規定する複数の第2の繊維状部材と、
前記第1の方向に向けられた不織布材料の複数の長手の細片とを含み、前記不織布の細片の各々は、前記複数の第1の繊維状部材のうちの2つの間、および、前記複数の第2の繊維状部材のうちの2つの間に位置決めされている、基板。
【請求項2】
前記複数の第1の繊維状部材のうちの少なくとも2つは、前記複数の長手の細片のうちの2つの間に位置決めされる、請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記複数の第2の繊維状部材の各々は複数の単繊維を含む、請求項1に記載の基板。
【請求項4】
前記複数の第2の繊維状部材は、前記基板が管を形成するように円形に付勢される、請求項1に記載の基板。
【請求項5】
前記複数の長手の細片は、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、ナイロンフェルト、繊維ガラス、エラストマーおよび発泡材からなる群から選択される材料から形成される、請求項1に記載の基板。
【請求項6】
前記複数の長手の細片上にコーティングされた導電性材料をさらに含む、請求項1に記載の基板。
【請求項7】
前記導電性材料はさらに、炭素、アルミニウム、銀および金のうちの少なくとも1つとして規定される、請求項7に記載の基板。
【請求項8】
前記複数の第2の繊維状部材はさらに、導電性のものとして規定される、請求項7に記載の基板。
【請求項9】
前記複数の長手の細片と平行に延在し、前記複数の第2の繊維状部材と織り交ぜられたドレインワイヤをさらに含む、請求項1に記載の基板。
【請求項10】
前記複数の第1の繊維状部材および前記複数の第2の繊維状部材および前記複数の長手の細片の上に重なる反射層をさらに含む、請求項1に記載の基板。
【請求項11】
前記複数の第1の繊維状部材の各々は縦編み経路である、請求項1に記載の基板。
【請求項12】
第2の方向に向けられ、前記複数の第1の繊維状部材のうちの少なくともいくつかと織り交ぜられた挿入要素をさらに含む、請求項1に記載の基板。
【請求項13】
前記挿入要素はさらに、前記複数の第1の繊維状部材のすべてよりも少ない数の第1の繊維状部材と織り交ぜられるものとして規定される、請求項12に記載の基板。
【請求項14】
前記挿入要素はさらに、前記複数の第1の繊維状部材のすべてと織り交ぜられるものとして規定される、請求項12に記載の基板。
【請求項15】
前記挿入要素はさらに、熱可溶性ヤーンとして規定される、請求項12に記載の基板。
【請求項16】
前記熱可溶性ヤーンに接着される反射箔をさらに含む、請求項15に記載の基板。
【請求項17】
基板を形成するための方法であって、
互いに対して間隔をあけて配置された複数の第1の繊維状部材を第1の方向に向ける第1のステップと、
互いに対して間隔をあけて配置され、第1の繊維状部材と織り交ぜられ、これにより、複数の隙間で目の粗いメッシュを規定する複数の第2の繊維状部材を、第1の方向に対して横切る第2の方向に向ける第2のステップと、
不織布材料の複数の長手の細片を第1の方向に向ける第3のステップとを含み、不織布の細片の各々は、第1の繊維状部材のうちの2つの間、および、第2の繊維状部材のうちの2つの間に位置決めされている、方法。
【請求項19】
前記第2の向けるステップはさらに、
複数の第1の繊維状部材と複数の第2の繊維状部材とを互いに織り合わせるステップとして規定される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の向けるステップはさらに、
複数の第1の繊維状部材と複数の第2の繊維状部材とを互いに縦編みするステップとして規定される、請求項18に記載の方法。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−537641(P2008−537641A)
【公表日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503217(P2008−503217)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/010740
【国際公開番号】WO2006/102579
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(599058372)フェデラル−モーグル コーポレイション (234)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/010740
【国際公開番号】WO2006/102579
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(599058372)フェデラル−モーグル コーポレイション (234)
【Fターム(参考)】
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