説明

中和されたアクリル性粘着パッチを備えた経皮治療システム

【課題】マトリックスシステムまたは貯蔵体システムとして体現される経皮治療システムの提供。
【解決手段】少なくとも1種の塩基性または中性として作用する薬学的作用物質と、アクリル酸またはメタクリル酸単位をポリマー鎖の一部として有するコンタクト接着性ポリマーとを含有し、カルボキシル基の含有量が上記ポリマー材料の0.5〜10.0%(w/w)であり、さらに上記カルボキシル基が、アルカリ塩またはアルカリ土類塩の形態で、5〜100%、好ましくは10〜50%の化学量論で存在することを特徴とする。感湿性を低減するため、水結合性添加剤を含有させることも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル酸またはメタクリル酸をそのポリマー鎖に含有する感圧接着性ポリマーまたはコポリマーの化学的な中和に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリル酸またはメタクリル酸、およびこれらのエステルをベースとするポリマーは、数ある感圧接着剤の中でも特に重要である。というのは、このようなポリマーは、感圧接着性製剤(pressure-sensitive adhesive formulation)の主鎖を構成するもの(バック
ボーンビルダー(backbone builders))であり、多くの場合、その主成分であるばかり
か、これらのポリマー自体が感圧接着性を有しているからである。このため、これらポリマーは、例えば、天然または合成ゴム(バックボーンビルダー)と天然または合成樹脂(いわゆる粘着性付与剤)との混合物とは根本的に異なっている。ポリアクリレートベースの感圧接着剤に関しては、感圧接着特性を付与するために低分子成分を添加する必要はない。
【0003】
上記ポリマーは、様々な技術的用途に使用可能であり、さらに、それ自体が感圧接着性を有するという性質ゆえに、上記ポリアクリレート系感圧接着剤(pressure-sensitive polyacrylate adhesives)は、ヒトまたは動物に使用する医薬品として特に好適である。
低分子成分は、大部分がゴムに対する粘着性付与剤として添加を要する樹脂であるが、これらは皮膚を経由して吸収される際に、炎症や、アレルギー反応さえも引き起こすことがある。このような危険は、ポリアクリレート類にはほとんど皆無である。このため、ポリアクリレート類は、医薬品として使用される際に「低アレルギー性(hypoallergenic)」と表現されることがある。
【0004】
ポリアクリレート系感圧接着剤は、現在、外傷治療、または医療処置(medicinal operations)での固定に使用する医療用パッチの製造に広く使用されている(キーワード「粘着パッチ」)。さらに、ポリアクリレート系感圧接着剤は、経皮治療システム(TTS)の製造に使用する感圧接着剤としては最も際立っている。
【0005】
その理由として、皮膚への良好な適合性(compatibility)に加え、下記の特性が挙げ
られる。
【0006】
ポリアクリレートは、多種のモノマーから、様々な方法によって構成することが可能である。このため、これらポリマーの感圧接着特性や、例えばヒトの皮膚といった接着表面に対する親和性は、広い制限範囲の中で調整が可能である。これに関しては、特にポリアクリレートの主鎖(backbone)上における側鎖(lateral chains)の化学的性質が極めて重要な役割を果たしている。上記側鎖は、ポリマー内における親水親油バランスを決定し、これにより、例えば吸湿量を決定する。これに加え、適切な側鎖やその混合物を使用することにより、特に、上記ポリマーの結晶化度を低下させることができる。結晶化度の低下や、これに伴うガラス転移温度の低下は、ポリマーの流動性を向上させ、接着表面への速やかな濡れを促進し、ポリマーの感圧接着特性に好影響を及ぼす。
【0007】
TTSの医療応用に関しては、ガラス転移温度が低いことが特に重要となる。ポリマー、より正確にはその側鎖は、非結晶状態において、薬学的作用物質および含有されている添加剤に対して特に透過性を有する。このことは、適用部位での迅速な放出には不可欠である。
【0008】
ポリアクリレートは、ほとんどの薬学的作用物質を高い溶解度で溶解する。通常、その溶解度は、例えば、天然ゴムと樹脂との混合物のような、TTSの製造に適した他の感圧接着剤の溶解度や、あるいはシリコーン系感圧接着剤の溶解度よりも高い。多くの場合、所要量の作用物質の溶解と、送達に最も適した形でのTTSへの取り込みが、ポリアクリレートによってのみ可能である。
【0009】
非エステル化アクリル酸または非エステル化メタクリル酸をポリアクリレート中で重合させた場合、後者はそのポリマー鎖上に遊離カルボキシル基を保持できる。これらのカルボキシル基は、後に複数のポリマー鎖を、これらの基を介して互いに結合させるのに適している。当業者に一般的に知られている代表的な試薬としては、例えば、アルミニウムアセチルアセトネートまたはチタニルアセチルアセトネートいった有機金属錯体が挙げられる。これらの試薬により、上記ポリマーに多価カチオンが導入され、これらのカチオンが、異なるポリマー鎖上の複数のカルボキシル基に同時に結合する。
【0010】
このようにして、線状ポリマー鎖(linear polymer chains)を三次元的に架橋するこ
とができる。通常、このような反応は、対応するポリマー溶液を最終製品へと加工する過程において、上記溶液を加熱、乾燥する際に起こる。また、適切な架橋試薬を添加した上で、例えば、UV照射のような高エネルギー量の光照射を行うことによって架橋を引き起こすことも可能である。架橋により、ポリマー塊の流動性は阻害されるが、その変形性(deformability)は保たれるので、実質的に弾性のみが残る。
【0011】
架橋処理を行わなかった場合には、通常、外部からの力、最も単純な場合には重力の作用により、「コールドフロー」として知られる感圧接着剤の好ましくない低速流れ(slow
flow)が起こる。感圧接着剤を皮膚に適用した場合、コールドフローにより、上記感圧
接着剤が皮膚の細孔から必要以上に深く皮膚に浸透し、上記接着剤の除去が困難になり、よって痛みを伴うおそれがある。この点に関しても、架橋形成能力(capacity for crosslinking)により、対応する利点が得られる。
【0012】
よって、架橋形成能力は、ポリアクリレートの最も重要な性質の一つである。
【0013】
ポリアクリレートは、アクリル酸またはメタクリル酸のビニル残基を重合することによって得られる。このメカニズムにより、(メタ)アクリレート系モノマーと同様に、エチレン性不飽和分子部(ethylenically unsaturated molecule part)を有する異種モノマ
ー((メタ)アクリレート系でないモノマー)の取り込みが、極めて単純な方法で可能となる。上記異種モノマーとしては、例えば、エチレン、酢酸ビニル、またはビニルアルコールのその他のエステル、および特に各種ビニルピロリドン、ならびにスチレン、クロタミトンが挙げられる。
【0014】
医療用感圧接着剤の分野においては、例えば、ビニルピロリドンを含有する混合ポリマーが数多く見られる。これらの混合ポリマーにより、ある種の作用物質の溶解度を高めたり、あるいは適用部位である皮膚への吸湿または耐湿性(moisture tolerance)を高めるような調整が可能になる。
【0015】
これら全てを考慮すると、ポリアクリレートは、技術的応用以外の分野においても、欠くことのできない感圧接着剤であるといえる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特に、医療への応用に関しては、ポリアクリレートは、その数々の有利な特性に加え、低価格で入手可能であることから極めて重要なものとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、酸ポリアクリレート感圧接着剤(acid polyacrylate pressure-sensitive adhesives)の化学修飾に関する。酸ポリアクリレート感圧接着剤という用語は、以下の特性を有するポリマーを意味する。
上記ポリマーは、室温で感圧接着特性を有する。
平均ポリマー質量の50%(w/w)以上が、アクリル酸、メタクリル酸、またはこれらのエステル誘導体であるモノマーである。
平均ポリマー質量の0.5%(w/w)、最大で10%(w/w)が、非飽和アクリル酸または非飽和メタクリル酸である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、実施例1〜16において調査を行った3種類の作用物質の上記感圧接着マトリックスからの放出が、上記ポリアクリレートが中和された状態で存在する場合には著しく増加していることを示しているグラフである。
【図2】図2は、実施例1〜16において調査を行った3種類の作用物質の上記感圧接着マトリックスからの放出が、上記ポリアクリレートが中和された状態で存在する場合には著しく増加していることを示しているグラフである。
【図3】図3は、実施例1〜16において調査を行った3種類の作用物質の上記感圧接着マトリックスからの放出が、上記ポリアクリレートが中和された状態で存在する場合には著しく増加していることを示しているグラフである。
【図4】図4は、作用物質がリバスチグミンである場合を例にとり、上記効果の中和度への強い依存度を示しているグラフである。
【図5】図5は、図4と同じデータを示しているが、透過された作用物質の量を、中和度に対して直接プロットしているグラフである。
【図6】図6は、感圧接着剤の中和度が、中性の作用物質の放出に及ぼす影響を示しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の目的は、上記酸ポリアクリレート感圧接着剤の吸水性を向上させると共に、その耐湿性を全体的に向上させることである。
【0020】
これらは、ヒトまたは動物の医薬的治療において特に所望される。というのは、皮膚の上に配置された感圧接着剤は、皮膚からの水蒸気の放出に絶えずさらされ、ヒトの皮膚においては、発汗によって生じる水分にもさらされる。このような条件下では、感圧接着特性がしばしば著しく低下し、医療用パッチが尚早に皮膚から剥がれてしまう。
【0021】
従来の酸ポリアクリレート感圧接着剤を使用した場合、医療用パッチを湿った皮膚に貼り付ける時点で問題が起こる可能性がある。
【0022】
吸湿性は、さらに異なる状況においても望ましい向上をもたらす。
【0023】
経皮治療システムにおいては、薬学的作用物質は、通常、感圧接着層に含有される。このような作用物質は、大部分が脂溶性であり、ポリアクリレートに溶解しやすい場合が多い。しかしながら、接着マトリックスへの良好な溶解性は、適用部位への作用物質の放出にとっては有害である。適用部位において感圧接着性マトリックスに水分(水蒸気、汗)を吸収させれば、脂溶性作用物質の上記マトリックスへの溶解度を低下させることができる。従って、吸湿能力の増加は、多種の脂溶性作用物質のポリアクリレート系感圧接着剤からの放出に好影響を与える。
【0024】
本発明のさらなる目的は、酸である感圧接着性アクリレートコポリマーからの塩基性作用物質の放出を向上させることである。このようなポリマーからの塩基性作用物質の放出は、酸と塩基との化学的な相互作用により、著しく低下するか、あるいは遅れることが多い。このため、皮膚への作用物質の放出率ができるだけ高くなければならないTTSの製造には、この組み合わせは実質的にほとんど有用ではない。
【0025】
上述の目的は、酸ポリアクリレート感圧接着剤中に含有されるカルボキシル基を、アルカリ塩またはアルカリ土類塩へと変換し、部分的または完全に中和する本発明によって達成される。試薬としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルカリ化合物、好ましくは、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムといったそれらの水酸化物を使用する。
【0026】
得られたポリマー塩は、全てのイオン帯電(ionically charged)分子または分子部(molecule parts)がそうであるように、水和カバー(hydrate covers)の形態で水に対し
て高い結合能(binding capacity)を有する。特に、対イオンのナトリウムおよびカリウムは、この要領で多量の水に結合できる。
【0027】
「中和する(neutralizing)」または「中和(neutralization)」とは、酸性として作
用するカルボキシル基(acidically reacting carboxyl groups)を、塩基と反応させて
塩に変換することを意味する。中和とは、全ての酸性基が、この要領で完全に変換されることを意味する。パーセンテージで表される中和度は、理論上可能な完全な変換に対し、実際に起こった変換の比率を示すものである。
【0028】
100%を上回る中和度は避けるべきである。というのは、アルカリカルボキシレート(alkali carboxylate)と過剰なアルカリとを有するシステムは、緩衝剤を構成せずに、アルカリ性が強く、よって化学的に分解可能な媒体(chemically decomposing medium)
を構成し得るからである。しかしながら、上記製剤中に、例えば、低分子カルボン酸、スルホン酸、または脂肪酸といった他の酸性成分が含まれている場合には、100%を上回る中和度は有用である。これらの物質は、可塑剤、粘着性付与剤、または増強剤に含まれている。
【0029】
上述の目的は、通常使用されている水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液の代わりに、少量の水を任意で含むこれらのアルコール溶液、好ましくはメタノール溶液またはエタノール溶液を使用することによって達成可能であった。これらの条件によれば、上記酸ポリアクリレート感圧接着剤が上記溶液から析出せず、かつ生成物が安定して溶解している状態で、上記反応が起こり得る。
【0030】
さらに、例えば、ナトリウムエタノラート(sodium ethanolate)またはカリウムエタ
ノラート(potassium ethanolate)といったアルカリアルコラート(alkali alcoholates)を使用することも可能である。これらのアルカリ性試薬によれば、中和反応における水の使用を完全に不要になり、さらに生成物として水が形成されることもない。
【0031】
「少量の水」とは、アルコール溶液を基準とした場合に、試薬溶液中の水の容積分率が20%を上回らないことを意味し、特に、10%を上回らないことを意味する。水を含まない溶液の使用が理想的である。
【0032】
従来技術においては、カルボキシル基がアルカリによって塩に変換されているか、あるいはカルボキシル基が少なくともアルカリ媒体中において塩に変換可能であるポリアクリレート系感圧接着剤は、通常、水分散性調製物(water-dispersible preparations)の分野で使用されていた。
【0033】
上記ポリマーにおけるカルボキシル基の数が十分であれば、カルボキシル基を塩に変換することで親水性を向上させることができ、上記ポリマーを水に分散して製品を調製することが可能になる。
【0034】
上記ポリマーにおけるカルボキシル基の含有量をさらに増加させると、アルカリ水溶性環境(an alkaline aqueous environment)下においても、上記ポリマーを溶解すること
ができる。
【0035】
これとは対照的に、本明細書に記載のポリアクリレートは、カルボキシル基を少量しか含有していない。この含有量は、中和された製品に水溶性または水分散性を付与するのに十分な量ではない。このような水分散性または水溶性は、これらが付与されている場合には、皮膚の発汗による剥がれが起こる可能性があるため、実際には、皮膚への適用に関しては望ましくない。
【0036】
技術的、医学的な用途で使用される感圧接着剤の分野において、カルボキシル基含有モノマーの含有量が0.05%〜8.0%(w/w)と同様に少なく、かつこれらモノマーの一部または全てがアルカリ塩の形態で存在するポリアクリレートに関して記載した文献
が存在する。
【0037】
上記ポリアクリレートは、発汗している皮膚にパッチを貼り付けた場合にも、良好な粘着性(cohesion)、耐候性、耐エイジング性を呈するという利点を有する。
【0038】
しかしながら、このようなマトリックスからの薬学的作用物質の送達に関する改変(modification)に関しては、上記文献からはいかなる考察も為し得ない。
【0039】
JP52−059636Aは、本発明と極めて類似するケースであり、本発明と同様に、少量のカルボキシル基を有するポリアクリレート系感圧接着剤中に含有させる、アルカリとして作用するアルカリ金属化合物(akali-reacting alkali metal compounds)の含
有量を規定している。
【0040】
ここでも、このようなマトリックスからの薬学的作用物質の放出に関する改変(modification)に関しては、上記文献からはいかなる考察も為し得ない。
【0041】
さらに上記文献においては、ポリアクリレート系感圧接着剤を中和する技術が、カルボキシル基を含有する薬学的作用物質と組み合わせて使用されている。
【0042】
ここでは、多量の可塑化補助物質(auxiliary substances)の添加により、粘着性が増し、さらに、作用物質であるイブプロフェンにより、特に皮膚への適合性が向上していた。
【0043】
後者は、pHを上昇させて皮膚表面の生理学的値(physiological values)に近づけた場合に観察される。その他の場合は、カルボキシル基含有薬学的作用物質を含むパッチが、あまりに高い酸性度で反応し(react too acidically)、炎症の原因となる。
【0044】
しかしながら、上記文献は、使用可能な種々の薬学的作用物質のうち、分子中にカルボキシル基を含有し、よって酸性として作用する作用物質についてしか言及していない。
【0045】
粘着性の増加、接着特性および耐湿性の向上、可塑化補助物質の含有可能量(loadability)の増加、ならびに酸性の薬学的作用物質を併用した場合における炎症低減効果は、
いずれも酸ポリアクリレート感圧接着剤を中和したことによる効果であることがわかっている。
【0046】
驚くべきことに、本発明との関連において、塩基性の薬学的作用物質と中和された酸ポリアクリレート感圧接着剤とを組み合わせて使用することにより、薬学的作用剤の放出率が、一部では極めて顕著に、増加することがわかった。
【0047】
さらに、全く予期しなかったことに、塩基性薬学的作用剤の放出率は、酸ポリアクリレート感圧接着剤の中和度により制御可能であることがわかった。
【0048】
経皮治療システムの分野において、このような組み合わせによって得られる利点は、上述のような公知の利点よりもはるかに優れている。
【0049】
さらに、全く予期しなかったことに、化学的に中性として作用する薬学的作用物質(pharmaceuticalactive substances which react chemically neutral)の放出も向上していることがわかった。
【0050】
塩基性の薬学的作用物質に関しては、酸ポリアクリレート感圧接着剤からの放出が、上
記ポリマーへの可逆結合(reversible bond)が酸と塩基との反応によって形成されるこ
とにより妨げられることは概ね予想される。上記ポリマーの中和により、この結合が解かれることは予想可能であるが、この効果の程度、ならびに観察された事実上直線性である可制御性(practically linear controllability)は、当業者に予測可能な範囲をはるかに超えるものである。
【0051】
化学的に中性として作用する薬学的作用物質を使用した場合には、酸ポリアクリレート感圧接着剤に対する酸−塩基反応型の相互作用は全く予想されない。それにもかかわらず、驚くべきことに放出挙動(release behaviour)の向上が観察されたが、おそらくこれ
は、三次元的ポリマー構造の変化と、そこに組み込まれた低分子作用物質の溶解度の変化とに関連していると考えられる。
【0052】
既に公知である酸ポリアクリレート感圧接着剤の中和による好影響の中では、粘着性の増加およびこれに伴う可塑剤に対する耐性の向上が最も重要な役割を果たしているが、これら公知の好影響に加え、これまでに知られていない、塩基性および中性の薬学的作用物質に対する好影響が存在する。
【0053】
したがって、本発明の主題は、特に、中和されたポリアクリレート系感圧接着剤をベースとする、塩基性または中性の薬学的作用物質送達用の新規な経皮治療システムである。
【0054】
塩基性の薬学的作用物質とは、ルイス塩基として化学反応できる基を少なくとも1つ、その分子構造の一部に有する物質である。このような基は、第1級、第2級、または第3級の脂肪族アミンまたは芳香族アミンであることが好ましい。しかしながら、これらの基は、塩基として作用するアミド(basic-reacting amides)であってもよいし、あるいは
グアニジン構造を有していてもよい。これらの例として、ニコチン、ツロブテロール、またはリバスチグミンが挙げられる。
【0055】
「中性」とは、塩基によっても酸によっても、薬学的に許容可能な塩形態に変換できない薬学的作用物質を指す。
【0056】
これらの例として、テストステロン、酢酸ノルエチステロン、エストラジオールといったステロイド系作用物質;ならびに硝酸の有機エステル、特に、ニトログリセリン、イソソルビドモノニトラート、イソソルビドジニトラートが挙げられる。
【0057】
中和されたポリアクリレート系感圧接着剤の高い粘着性により、このような製剤は、液状の作用物質または特に増強剤のような補助物質を、接着性マトリックスの10〜80%(w/w)、好ましくは10〜50%(w/w)と多量に取り込むのに特に適している。
【0058】
しかしながら、中和された感圧ポリアクリレート接着フィルムは粘着性が高く流動性が低いため、皮膚への自発的な粘性(spontaneous tack)が徐々に失われるおそれがあり、そのためこのようなフィルムは常時最適な接着特性を呈しているとは限らない。
【0059】
このような場合、上記フィルムの皮膚と対向する側に、別個の感圧接着層を設け、上記システムの皮膚への接着性を向上させることが必要となる。
【0060】
このような層は、基本的に、医療応用に適したあらゆる感圧接着剤で構成することができる。上記層は、上記中和されたポリアクリレートマトリックスの層からの薬学的作用物質の放出を著しく低減しないことが好ましい。このため、いかなる場合でも、上記層を可能な限り薄く形成すべきである。皮膚に対向するこの感圧接着層の形成に適したポリマーは、ポリアクリレート、シリコーンゴム、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ならびに
スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーおよびスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーである。
【0061】
中和されたアクリレートコポリマー、特に、ポリマー中に非エステル化アクリル酸またはメタクリル酸を高比率(平均ポリマー質量の3〜10%w/w)で含有し、かつ中和度が高い(70〜100%)コポリマーの感圧接着性フィルムは、長時間皮膚に装着する場合には、感湿性が高すぎることが判明した。このため、同じ構成の中和されていない感圧接着剤と比較すると、接着力の減退が早すぎたり、または皮膚表面から剥がれるのが早すぎるという問題が起こり得る。
【0062】
このため、上記TTSが、皮膚の発汗による影響を受けやすくなり、これに伴い、例えば、16時間以上の長時間の使用に対する適性が悪くなる。このことは、特に長時間作用するTTS(24時間、あるいはいわゆる2日用または3日用のパッチ)においては不都合である。
【0063】
しかしながら、感湿性の問題は、強力な吸水性添加剤を混合することによって相殺できる。水分中に溶解されること無く多量の水分を吸収できる好適な添加剤としては、薬学的に許容可能な膨張剤(swelling agents)、好ましくは、架橋カルボキシメチルセルロー
ス(クロスカルメロース(croscarmellose))のナトリウム塩またはカルシウム塩、架橋ポリアクリル酸または架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン(crospovidone))のナトリウム塩またはカルシウム塩が挙げられる。
【0064】
上記添加剤のさらなる例として、ガラクトグルコマンナンのような製品、セルロース製品、トラガカント、ポリグリコシド、細粉ポリアミド、水溶性ポリアクリルアミド、カルボキシビニルポリメリセート(carboxyvinyl polymerisate)、寒天状藻類製品、メチル
ビニルエーテルとマレイン酸無水物とからなる混合ポリマー、グアルゴム(guar gum)、ヒドロキシプロピルグアルゴムまたはグアル粉(guarflour)、アラビアゴム、デキスト
リンおよびデキストラン、多糖B1459または高水溶性ケルトロールといった微生物学的に生成された多糖ゴム(polysaccharide gum)、フィコール製品のような合成多糖類、メチルグルコース誘導体、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ペクチンまたはアミド化製品であるペクチンアミド(pectinamide)のようなポリガラクツロン酸誘導体が挙げ
られる。
【0065】
これらの中でも、ガラクトグルコマンナンおよび微結晶性セルロースが特に好ましい。
【0066】
1997年の欧州薬局方に基づいて測定したこのような物質の膨張数(swelling number)は、2以上である必要があり、4を上回ることが好ましい。これら物質の粒径は、1
〜50μmの範囲である必要があり、5〜25μmであることが好ましい。これらの条件下では、このような物質を含有する接着剤の溶液によるコーティングが、少なくとも100〜1000μmの薄い膜厚でスムーズに(without problems)行える。
【0067】
水結合剤(water-binding agent)の添加量は、必要最低限とすべきである。というの
は、上記TTS中においてこの水結合剤が占める体積により、一般に、作用物質の含有可能量が低下するからである。上述の目的のためには、このような水結合性添加剤が、0.1〜5重量%(作用物質を含有する感圧接着性ポリマーフィルムの総重量を基準にする)存在すれば十分である。
【0068】
本発明について、実施形態例を参照しながら以下に説明する。
【0069】
[エチレンビニルアセテート(EVA)コポリマーフィルム透過のモデルに対する熱力
学的調査]
3種類の薬学的作用物質の、上記接着剤の中和ならびに中和のために使用した試薬に依存した、酸ポリアクリレート感圧接着性フィルムからの放出挙動を調べた。
【0070】
EVA膜に関する試験は全て、3つの試料を用いて行った。
【0071】
この調査にあたり、上記作用物質含有感圧接着性フィルムを担体膜(carrier membrane)であるEVAフィルムに貼り付け、このEVAフィルムと対向するように配置した、緩衝剤によってpH5.5に調整した水性媒体に、上記EVAフィルムを介して時間の経過と共に放出された作用物質の量を、適切なHPLC法によって測定した。
【0072】
皮膚等の生体膜と比べ、EVAフィルムには規格化しやすいという利点があり、よって極めて有効な比較測定が可能である。透過装置(permeation device)として、TTS開
発の分野では一般的に知られているフランツ(Franz)の改良型透過セル(modified permeation cell)を使用した。
【0073】
この試験条件(test design)でEVAフィルムを膜として使用すれば、上記感圧接着
性マトリックスに含まれる作用物質の熱力学的活性のみを観察することができる。
【0074】
これらの実施形態例においては、移動可能な、低分子の成分は上記作用物質のみであるため、この作用物質だけが上記感圧接着剤のポリマーマトリックスから浸出してEVA膜を通過し、受容媒体(acceptor medium)に移動して記録されるという傾向が見られる。
【0075】
このような作用物質に対するヒトの皮膚の透過特性とは無関係に、ここで測定した上記システムにおける上記作用物質の放出傾向は、このようなシステムによる経皮治療における最も重要な推進力(impetus)である。
【0076】
試験を行ったTTSは、いずれも単位面積当たりの重量が80g/m2の作用物質含有
感圧接着層で構成されていた。作用物質の含有量は、作用物質がツロブテロール(tulobuterol)、リバスチグミン、キサノメリンの場合は5%(w/w)、テストステロンの場
合は2.5%(w/w)であった。
【0077】
上記TTSを調製するため、市販の感圧接着性溶液であるデュロタック(Durotak)(
登録商標)387−2051(ナショナルスターチ社(National Starch)製)を、可能
であれば、上記ポリアクリレートの中和度が100%となる量の水酸化アルカリの10%(w/w)メタノール性溶液(methanolic solution)と混合した。この作業を行った後
、得られた塊に上述の作用物質を添加して溶解した。
【0078】
この溶液を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)の担体フィルム上に塗布し、ドローイングオフ空気炉(drawing-off air oven)により80℃で10分間乾燥してフィルムを形成した。得られた乾燥膜は、膜厚が15μmのPET膜でコーティングされていた。
【0079】
この積層体から適切な切片を打ち抜き、上記担体フィルムを取り外してから、上記作用物質含有フィルムを上記EVA担体フィルムに貼り付けた。
【0080】
【表1】

【0081】
[作用物質がニコチンである実施例17]
本実施例は、塩基性作用物質であるニコチンを含有する二層式マトリックスのTTSを示している。中和されたアクリレートコポリマーの感圧接着層は、水結合性添加剤(いわゆる吸水剤(hydroabsorbent)、本実施例ではクロスカルメロースナトリウム(croscarmellose sodium)、すなわち架橋カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩)を含有す
る。完成したTTSは、24時間の装着の間、完璧に皮膚に付着しており、皮膚から剥がれることは全く無かった。
【0082】
第1マトリックス層形成用のポリマー溶液は、テーブル2に示す組成を有していた。この溶液を、単位面積当たりの重量が54g/μm2になるよう、塗布装置(application unit)を用いてポリエチレンテレフタレートのフィルム(19μmのPET)上に平坦に
塗布した。この直後に、コーティングされたこの製品を、テーブル3に記載の組成をする膜厚144g/m2の感圧接着層に積層した。
【0083】
この積層製品を10分間加熱して60℃にした後、これを渦巻状に巻いてロール製品を形成した。この直後、あるいは中間貯蔵を行った後、上記ロール製品を、従来の方法により、縦方向に切削し、打ち抜きを行ってTTSを形成した。
【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
テーブル3に記載の接着剤の層は、従来行なわれている溶媒含有コーティングプロセスを行い、次に乾燥を行うことによって調製する。プロセス用溶媒(process solvents)は、エチルアセテート、メタノール、およびアセチルアセトンである。同テーブル中に記載の量は、乾燥膜中における含有量である。
【0087】
第1マトリックス層の液体成分(例えば、作用物質および共溶媒(co-solvent))は、拡散により、作用物質を含有していない上記マトリックス層に移動する。このプロセスは数日で完了し、完成したTTSが使用可能な状態となる。
【0088】
図1〜3は、実施例1〜16において調査を行った3種類の作用物質の上記感圧接着マトリックスからの放出が、上記ポリアクリレートが中和された状態で存在する場合には著しく増加していることを示している。
【0089】
さらに、水酸化ナトリウムよりも、水酸化カリウムを使用する方が有利であることも同図より明らかである。この効果は、カリウムイオンの方がイオン半径が大きいことに関連すると推測されるが、そのメカニズムは未だにわかっていない。
【0090】
図4は、作用物質がリバスチグミンである場合を例にとり、上記効果の中和度への強い依存度を示している。
【0091】
図5は、図4と同じデータを示しているが、透過された作用物質の量を、中和度に対して直接プロットしている(注:図中の0〜100%の中和度は、製剤4、10、11、12、13、5に、記載の順に対応している)。
【0092】
同図より、驚くべきことに、事実上0〜100%までの中和度全般にわたり、一次従属
性(linear dependence)が存在していることがわかった。この従属性を、線形回帰(linear regressions)により破線で示している。
【0093】
従って、時間当たりに放出される作用物質の量は、中和度によって正確に制御可能である。
【0094】
図6は、感圧接着剤の中和度が、中性の作用物質の放出に及ぼす影響を示している。同図からも、放出率が中和によって著しく増加することがわかる。調査を行った塩基性の作用物質とは対照的に、放出率の中和度への一次従属性は、明らかに存在していない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックスシステムまたは貯蔵体システム(reservoir system)として体現される経皮治療システムであって、
少なくとも1種の塩基性または中性として作用する薬学的作用剤(basic- or neutral-reacting pharmaceutical active agent)と、
アクリル酸またはメタクリル酸単位をそのポリマー鎖に備えた感圧接着性ポリマーとを含有し、
カルボキシル基の含有量が、平均ポリマー質量(mean polymer mass)の0.5〜10
.0%(w/w)であり、前記カルボキシル基が、アルカリ塩またはアルカリ土類塩の形態で、化学量論的に5〜100%、好ましくは10〜50%の割合で存在していることを特徴とする経皮治療システム。
【請求項2】
非接着性の裏当て層(backing layer)と、1〜3層、好ましくは1または2層の感圧接
着層と、剥離可能に形成された取外し可能な保護層(a removable protective layer rendered dehesive)とで構成されたマトリックスシステムであることを特徴とする請求項1に記載の経皮治療システム。
【請求項3】
前記アルカリ塩が、ナトリウム塩またはカリウム塩であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項4】
前記アルカリ土類金属がマグネシウム塩またはカルシウム塩であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項5】
前記薬学的作用物質が、20℃の温度条件下においては液体で存在することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項6】
前記薬学的作用物質が、前記作用物質含有マトリックスの2〜50%(m/m)、好ましくは5〜25%(m/m)の割合で存在することを特徴とする請求項5に記載の経皮治療システム。
【請求項7】
塩基性の薬学的作用物質を、薬学的に許容可能な塩の形態で、好ましくは、アセテート、クエン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシラート、硫酸塩、または酒石酸塩の形態で含有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項8】
前記カルボキシル基含有ポリマーが、アルミニウムイオンに架橋した状態で存在し、アルミニウム量として算出したその濃度が、前記ポリマー質量の0.005〜0.5%(m/m)、好ましくは0.01〜0.1%(m/m)であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項9】
使用される(utilised)架橋試薬がアルミニウムアセチルアセトネート(aluminium acetyl acetonate)であることを特徴とする請求項8に記載の経皮治療システム。
【請求項10】
前記作用物質含有マトリックスが、一般式CXYCH2OH(X=9〜17、Y=19〜
33)によって表される直鎖状または枝分れ鎖状の脂肪アルコールである少なくとも1種の増強剤(enhancer)、好ましくは、デカノール、ドデカノール、2−ヘキシルデカノール、2−オクチルデカノール、またはオレイルアルコールを含有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項11】
前記作用物質含有マトリックスが、一般式CXYCOOH(X=9〜17、Y=19〜33)によって表される飽和または非飽和脂肪酸である少なくとも1種の増強剤、好ましくは、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸またはオレイン酸を含有することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項12】
前記作用物質含有マトリックスが、ソルビタン脂肪酸エステルまたはエトキシ化によって得られるその誘導体である少なくとも1種の増強剤、好ましくは、ソルビタンモノラウレートおよびソルビタンモノオリエートを含有し、前記ソルビタンモノラウレートおよびソルビタンモノオリエートは、ソルビタンエステル分子がそれぞれ5〜20個の酸化エチレンの分子によってエーテル化された状態で存在してもよいことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項13】
前記作用物質含有マトリックスが、脂肪アルコールエトキシレートである少なくとも1種の増強剤、好ましくは、ドデカノールまたはオレイルアルコールと1〜5単位の酸化エチレンとによって得られる反応生成物を含有することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項14】
前記作用物質含有マトリックスが、脂肪酸とメタノール、エタノール、またはイソプロパノールとのエステルである少なくとも1種の増強剤、好ましくは、ラウリン酸メチル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、またはパルミチン酸イソプロピルを含有することを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項15】
前記作用物質含有マトリックスが、脂肪アルコールと酢酸または乳酸とのエステルである少なくとも1種の増強剤、好ましくは、乳酸ラウリルまたは酢酸オレイルを含有することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項16】
前記作用物質含有マトリックスが、多価脂肪族アルコールまたはポリエチレングリコール(polyethylene glykols)である少なくとも1種の水混和性増強剤(water-miscible enhancer)、好ましくは、1,2−プロピレングリコール(1,2-propylene glykol)、グリ
セリン、1,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール(dipropylene glykol)、または平均分子量が200〜600Daであるポリエチレングリコール(polyethylene glykols)を含有することを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項17】
前記のいわゆる増強剤が、部分的または完全に分散された状態で前記マトリックス中に存在し、エマルジョンの場合には、前記増強剤が好ましくはグリセリンであることを特徴とする請求項16に記載の経皮治療システム。
【請求項18】
前記作用物質含有マトリックスが、クエン酸エステルまたは飽和トリグリセリドである少なくとも1種の可塑剤、好ましくは、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、トリアセチン、またはその脂肪酸鎖の長さが炭素原子数8〜12の範囲である中鎖トリグリセライドを含有することを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項19】
前記増強剤、または前記増強剤2種以上の混合物、または前記増強剤と前記以外の増強剤との混合物が、前記作用物質含有マトリックスの10〜80%、好ましくは10〜50%(m/m)を占めることを特徴とする請求項10から18の1項以上に記載の経皮治療システム。
【請求項20】
水吸着性または水吸収性の固形剤、好ましくは、カルボキシメチルセルロースのナトリウ
ム塩またはカリウム塩、架橋ポリビニルピロリドン、架橋ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸のナトリウム塩またはカリウム塩、またはカルボキシメチルデンプンのナトリウム塩またはカリウム塩が、乾燥状態で前記システムに分散されていることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項21】
皮膚に対向する側が感圧接着性で、かつカルボキシル基を含有する感圧性アクリレート接着剤で構成された別個の層をさらに備え、前記カルボキシル基は塩形態では存在せず、好ましくはアルミニウムイオンによって架橋されていることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項22】
皮膚に対向する側が感圧接着性で、かつカルボキシル基を含有せずヒドロキシル基を含有する感圧性アクリレート接着剤で構成された別個の層をさらに備え、前記感圧性アクリレート接着剤がアルミニウムイオンまたはチタンイオンによって架橋されていることを特徴とする請求項1から21のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項23】
皮膚に対向する側が感圧接着性であり、シリコーンベースの感圧接着剤で構成された別個の層を備えることを特徴とする請求項1から22のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項24】
皮膚に対向する側が感圧接着性であり、2以上の異なる中間分子量を有するポリイソブチレンの混合物をベースにした感圧接着剤で構成された別個の層が設けられていることを特徴とする請求項1から23のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項25】
皮膚に対向する側が感圧接着性である上記層の単位面積当たりの重量が、10〜100g/m2、好ましくは20〜50g/m2であることを特徴とする請求項21から24のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項26】
前記作用物質が、ニコチン、キサノメリン(xanomeline)、またはリバスチグミン(rivastigmin)であることを特徴とする請求項1から25のいずれか1項に記載の経皮治療シ
ステム。
【請求項27】
前記作用物質が、ステロイドホルモンであり、好ましくは、エストラジオール、レボノルゲストレル、酢酸ノルエチステロン、ゲストデン、またはテストステロンであることを特徴とする請求項1から26のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項28】
前記作用物質が、硝酸の有機エステルであり、好ましくは、ニトログリセリン、イソソルビドモノニトラート、またはイソソルビドジニトラートあることを特徴とする請求項1から27のいずれか1項に記載の経皮治療システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−82727(P2013−82727A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−277968(P2012−277968)
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2008−222415(P2008−222415)の分割
【原出願日】平成12年4月7日(2000.4.7)
【出願人】(397036170)エルティエス ローマン テラピー−ズュステーメ アーゲー (6)
【Fターム(参考)】