説明

乱用抵抗性の医薬組成物

【課題】乱用可能な活性成分の離散粒子を薬学的に有効な量含んでなる、乱用抵抗性の放出制御型医薬組成物を提供する。
【解決手段】この医薬組成物において、前記粒子の表面は水に不溶性のコーティング材料で湿っており、かつ、好ましくは前記組成物が前記粒子を分布させるマトリックスを含み、マトリックス内の乱用可能な化合物がマトリックスから分離しにくくなっている。ならびに、乱用の可能性が低減された放出制御型医薬組成物の調製方法であって、この方法は、水に不溶性の材料と、即時放出型投薬形態で投与した場合に生理学的または心理学的に有害な反応を対象者において誘導し得る薬学的に活性な化合物の粒子とからなる混合物に圧力を加えることによって、表面がコーティングされた粒子を生じる工程;および前記表面がコーティングされた粒子を医薬組成物中に組み込む工程からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乱用の可能性のある物質の乱用抵抗性の(乱用されにくい)投薬形態に関する。特に、本発明の投薬形態は、乱用の可能性のある物質を経口で身体に投与することを意図したものである。
【背景技術】
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願人らは、2002年9月23日出願の米国仮特許出願第60/412,861号および2002年9月25日出願の同第60/413,495号の利益を主張し、これらの明細書は、その全体を本明細書に援用する。
【0003】
経口経路または非経口経路のいずれかによる麻薬および他の向精神薬の乱用の可能性についてはよく知られている。例えば、合成麻薬性薬物であるフェンタニルの乱用の可能性は非常に高く、麻酔医および同薬物を入手できる他の病院勤務者の主要な死因となっている。別の周知の乱用方法は、持続放出型製剤を破砕して、これを持続放出型から吸入、注射および粘膜との接触などの手段によって投与し得る即時放出形態に転換することである。持続放出型オピオイド薬物であるオキシコンチン(Oxycontin:商品名)は、乱用の可能性のある製剤の一例である。経口用医薬の別のよくある乱用方法は、製剤からオピオイドを抽出し、次いで「恍惚状態(high)」に達するためにこのオピオイドを注射することを含む(注射には「適切な」任意のビヒクルを使用する)。
【0004】
乱用の可能性のある物質の多くは、皮膚または粘膜、すなわち、鼻、膣、口腔または直腸の粘膜への薬物の直接適用によって身体に投与され得る。一般に、ある用量のオピオイド鎮痛薬は、経口投与された場合の同じ用量と比較して、非経口投与された場合に強く作用する。経口投与に適した組成物が乱用される可能性もあるので、投与すべき乱用の可能性のある物質の治療効力を減じることなく、組成物または製剤の乱用の可能性が低減される条件で、このような経口投与に適した組成物または製剤が利用可能になることが明らかに望まれている。
【0005】
したがって、本発明の目的は、乱用の可能性のある物質を対象者に経口投与するための物の組成物であって乱用の可能の低い組成物を提供することである。
(報告されている開発状況)
当技術分野では、オピオイド鎮痛薬に関連する乱用の可能性を制御するための試みが既になされてきている。これらの物質の乱用を防止するために、乱用の可能性のある物質を、同薬物を投与する目的である他の治療利益をなくすことなく同物質の乱用に伴う「恍惚状態」を排除するのに充分な量の、同物質に対するアンタゴニストと組み合わせる投薬形態が提案されている。したがって、乱用を低減させるための試みは、一般に、経口では活性をもたないが、オピオイドを溶解させて非経口投与しようとすると同オピオイドの鎮痛効果を実質的に遮断するオピオイド・アンタゴニストを経口用の投薬形態中に含めることが中心となっていた。
【0006】
特許文献1には、非経口投与すると鎮痛も多幸感も身体的依存も生じず、その結果該鎮痛剤の非経口的乱用を防止する、経口で有効な鎮痛組成物が記載されている。このような組成物は、鎮痛用の1経口用量ごとにナロキソンを含んでいる。特許文献2には、ナロキソンおよびモルヒネまたはオキシモルフォンからなる組成物が記載されており、これらの組成物は、幻覚のような望ましくない副作用を発生させることなく強力な鎮痛効果を提供するとされた。特許文献3には、ナロキソンと共に、舌下有効用量のブプレノルフィンを
投与することによって、疼痛を処置する方法が記載されている。特許文献4には、オキシコドン、プロポキシフェンおよびペンタゾシンなどの強力な鎮痛剤の経口および非経口のいずれの乱用の可能性も減じるための方法であって、鎮痛用量の該オピオイドを特定の比較的狭い範囲でナロキソンと組み合わせることによる方法が記載されている。オピオイドと組み合わせるべきナロキソンの用量は、オピオイドの経口での鎮痛活性に実質的に影響を与えることなく、オピオイドの経口または非経口のいずれかでの乱用の可能性を実質的に排除すると記述されている。
【0007】
特許文献5は、オピオイド・アゴニストであるアセトアミノフェンと経口で活性なオピオイド・アンタゴニストとの組み合わせからなる経口用の投薬形態を開示しており、このオピオイド・アンタゴニストは、オピオイド・アゴニストに対し、この組み合わせ産物を経口投与する場合は鎮痛に有効であるが、身体的依存性のある対象者においては嫌悪性となる組み合わせ産物を提供するような比率で含まれている。
【0008】
どのような種類のオピオイド・アンタゴニストも使用せず、かつ麻薬性鎮痛薬の乱用の可能性を低減し得るかもしれない放出制御製剤を開示している先行技術の報告は存在しない。
【0009】
最も成功を収めた持続放出型製剤は、制御された放出様式で機能するためには完全でなければならない個々の構造的要素からなる。特許文献6には、活性薬剤のゼロ次放出のための浸透圧デバイスが記載されている。この特許に開示された浸透圧デバイスは、半透過性の壁に封入された活性薬剤から構成されている。この半透過性の壁は、外部流体の通過に対して透過性であるが、この外部流体に溶解している活性薬剤の通過に対しては実質的に不透過性である。壁を通り抜ける浸透圧通路が、外部流体中の活性薬剤の溶液を周囲に送達するために提供される。特許文献7には、半透過性の膜の内側にヒドロゲル層を使用することによって、基本的な浸透圧ポンプの送達速度を如何に増強するかについて記載されている。特許文献8には、適切な周囲の媒体と接触させたときに制御された徐放送達パターンを有する生体活性組成物が開示されている。この組成物は、所与の周囲の媒体に可溶な、医薬として、殺虫剤として、除草剤として、または肥料として生体活性を有する生体活性物質のコアであって、少なくとも処置期間の間の総投薬量に対して充分な量のコアと、該生体活性物質のコアを被覆する第1のコーティングであって、周囲の媒体が浸透すると膨潤可能なポリマーまたはポリマーのブレンドからなるコーティングと、第1のコーティングで被覆された生体活性物質のコアを被覆する第2のコーティングであって、ポリマーまたはポリマーのブレンドからなり、前記ポリマーまたはポリマーブレンドは、水に不溶で、かつ周囲の媒体が第1のコーティングで被覆された生体活性物質のコアへと拡散するのを許容すると同時に周囲の媒体に溶解した生体活性物質が周囲の媒体へと拡散するのを許容する半透過性の障壁を形成していることを特徴とするコーティングとを含んでなる。
【0010】
先行技術には、ミクロスフェア・マトリックスが、持続放出型製剤を含む医薬製剤の調製に有用であることが開示されている。特許文献9には、脂肪もしくはワックスまたはそれらの混合物と、非経口投与に適した生物学的活性を有するタンパク質、ペプチドまたはポリペプチドとのミクロスフェア組成物が開示されている。特許文献10には、生物学的活性を有するタンパク質、ペプチドまたはポリペプチドを含む水に不溶の脂肪またはワックスのミクロスフェアが開示されており、この脂肪またはワックスの殻は、油、準軟質脂肪または脂肪酸の誘導体を含み、該油、準軟質脂肪または脂肪酸の誘導体は、混合物をスプレー噴霧した後に脂肪またはワックスのβ結晶形態の形成を加速することによってミクロスフェアを安定化するとして開示されている。特許文献11は、融解したステアリン酸をナイアシンアミド粉末と混合し、遠心分離式アトマイザを通過させて吹き付け冷却し、乾燥させ、ケイ酸を塗すことによる、ナイアシンアミドの小ビーズ(beadlet)の
調製を開示している。
【0011】
特許文献12には、水に不溶性の多様な殻材料のマトリックス中の、水溶性のコア材料からなるミクロスフェア組成物が開示されている。ミクロスフェアの調製方法も開示されており、同方法は、コア材料と第1の量の水に不溶性の殻材料との流動性混合物に圧力をかけ、圧力処理された混合物を形成する工程、ならびに前記圧力処理された混合物を、スプレー・ノズルを通して冷却領域へと通過させて、凝固した組成物を形成する工程からなる。
【0012】
先行技術には、ミクロスフェア・マトリックスが麻薬性鎮痛薬の乱用の可能性を低減し得るかもしれないことは開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第3,773,955号明細書
【特許文献2】米国特許第3,493,657号明細書
【特許文献3】米国特許第4,582,835号明細書
【特許文献4】米国特許第4,457,933号明細書
【特許文献5】米国特許第6,375,957号明細書
【特許文献6】米国特許第3,845,770号明細書
【特許文献7】米国特許第4,327,725号明細書
【特許文献8】米国特許第4,891,223号明細書
【特許文献9】米国特許第4,837,381号明細書
【特許文献10】米国特許第5,213,810号明細書
【特許文献11】米国特許第3,080,293号明細書
【特許文献12】米国特許出願第2001/0044026号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、乱用の可能性のある物質を対象者に経口投与するための物の組成物であって乱用の可能の低い組成物を提供することである。
本発明が低減することを意図する乱用の可能性とは、麻薬性組成物を不法に、処方箋なしで、または気晴らしのために使用すること、および本来なら完全な形態で投与されることが意図された本発明の組成物を他の投与方法(例えば、破砕した組成物の注射または吸入)により使用することに伴う乱用の可能性である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、乱用可能な活性化合物の離散粒子を薬学的に有効な量含んでなる、乱用抵抗性の放出制御型医薬組成物に関し、この組成物において、離散粒子の表面は水に不溶性のコーティング材料で湿っている。好ましい組成物はさらに、表面コーティングされた前記粒子を分布させるマトリックスからなる。該組成物マトリックスは不正に改変できないため、この組成物を変化させにくくなり、マトリックス内に含まれる乱用の可能性のある化合物(例えば、アヘン剤)をマトリックスから分離しにくくなる。より好ましい投薬形態は、好ましくは1日1回から4回経口投与される。
【0016】
本発明の別の態様は、アヘン剤と、このアヘン剤と結合し得る1または複数の強固な架橋ポリマーからなる不正に改変できないマトリックスとからなる医薬組成物であり、その結果、このアヘン剤は、ポリマーからの即時放出が実質的に不可能である。
【0017】
不正に改変できない組成物を使用すれば、薬物乱用と関連して一般に行われるような、
この投薬形態が有する調節された放出特性を無効にすることは困難になる。該投薬形態の不正な改変への抵抗性は、該投薬形態が異なる状態へ(例えば、水和によりゲルへ)と転換された後でも投薬形態の特性には依存しないが、組成物またはマトリックスが投薬形態中に未変化の状態で存在する場合は、該組成物またはマトリックスの物理的特性および/または化学的特性に依存する。
【0018】
本発明の別の態様は、乱用の可能性が低減された放出制御型医薬組成物を調製する方法に関し、この方法は、水に不溶性の材料と、即時放出型の投薬形態で投与されると生理学的または心理学的に有害な反応を対象者において誘導し得る医薬活性化合物の粒子とからなる混合物に圧力をかけ、それによって、表面がコーティングされた粒子と得る工程、ならびにこの表面コーティングされた粒子を医薬組成物へと組み込む工程からなる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の組成物は、乱用の可能性のある物質を、治療効果のために意図した制御速度で徐々に胃腸管に送達することが好ましい。本発明が防止しようと意図する乱用の可能性とは、本発明の組成物が仮に即時放出形態で投与された場合に、生理学的または心理学的に有害な作用(例えば、「恍惚状態」)が誘導されることである。乱用を誘発する作用を迅速に得るために、例えば、製剤を破砕して、本発明の組成物を服用またはなんらかの他の入口を介して(例えば、静脈内に)投与することによって、本発明の組成物を乱用しようとする場合、乱用の可能性のある物質の表面コーティングされた粒子が、化合物の可溶化および乱用誘発作用の発生において何らかの実質的な増大を阻害することになろう。表面コーティング材料は、乱用の可能性のある物質の治療効果には大きく影響を与えることも減じることもないが、本発明の放出制御機能の不可欠な部分である。
【0020】
ほとんどの麻薬は、経口投与される場合よりも非経口投与される場合に有意に強い作用を示し、静脈内乱用は一般に、経口乱用よりも迅速かつ強力に所望の乱用誘発作用を生じ、多くの乱用者にとって好まれる、乱用の可能性のある物質の投与経路である。したがって、本発明を使用することにより、本発明の組成物および投薬形態の乱用の可能性を実質的に低減させることができる。より具体的には、本発明の組成物は、機械的応力を加えることによって生じる乱用に対して抵抗性であり、本発明の組成物に機械的応力を加えても、経口、吸入または静脈内注射の手段によって、乱用の可能性を有する活性化合物の即時放出を実質的に増大させることはできない。
【0021】
本発明の好ましい乱用抵抗性の組成物に対して機械的応力を加えても、前記組成物中の活性化合物の当面の水への溶解は実質的には増大しない。より具体的には、このような応力を加えても、本発明の組成物中の活性成分の水への溶解は、インビトロの溶解試験の最初の1時間において、薬学的有効量全体の約15%未満、より好ましくは約10%未満しか増大しない。さらに、試験の最初の1時間の後、好ましい組成物の溶解速度は実質的に変化しない。
【0022】
組成物に対して加える機械的応力は任意の種類のものでよく、破砕(crushing)、圧縮、割砕、タンブリング、ローリング、粉砕などが挙げられる。前記組成物の乱用のために使用される可能性が最も高い機械的応力は、破砕である。
【0023】
乱用の可能性を有する薬物には、天然および合成の麻薬および他の精神活性物質が含まれる。本発明の乱用抵抗性組成物の好ましい実施形態は、水溶性の、乱用の可能性を有する化合物の粒子を、塩基性化合物またはその薬学的に許容可能な塩として含む。好ましい有機化合物塩には、薬学的に許容可能な塩、例えば、無機酸塩(例えば、ハロゲン化水素酸塩(例えば、塩酸塩)、ならびにリン酸塩および硫酸塩)が含まれる。別の部類の好ましい塩は、有機塩基の有機酸塩であり、薬学的に許容可能なカルボン酸(例えば、クエン
酸、酒石酸、酢酸、マレイン酸、エストレイン酸(estoleic acid )、コハク酸など)が含まれる。
【0024】
本発明の好ましい乱用抵抗性の組成物は、麻薬性鎮痛薬として分類され得る1または複数の化合物、または限定的ではないが鎮痛剤(例えば、薬学的に許容可能なアヘン剤および治療上有効な鎮痛薬として使用するのに適したアヘン剤ベースの誘導体)を、単独または他の物質と組み合わせて含む。適切なアヘン剤の例には、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ(benzylmorphine)、ベンジトラミド(bezitramide )、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルフォン(diamorphone )、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメサドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン(levophenacylmorphan )、ロフェンタニル(lofentanil)、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン(myrophine )、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメサドン、ナロルフィン、ナルブフェン(nalbuphene)、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン(opium )、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール(promedol)、プロペリジン(properidine )、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジンおよびトラマドールが含まれる。本発明の範囲内には、上記のいずれかの薬学的に許容可能な塩および上記のいずれかの2種以上の混合物が包含される。好ましい薬剤には、フェンタニル、スフェンタニル、カーフェンタニル、ロフェンタニル、アルフェンタニル、ヒドロモルフォン、オキシコドン、ヒドロキシコドン、プロポキシフェン、ペンタゾシン、メサドン、チリジン、ブトルファノール、ブプレノルフィン、レボルファノール、コデイン、オキシモルフォン、メペリジン、ジヒドロコデイノンおよびコカインが含まれる。最も好ましいアヘン剤には、オキシコドン、ヒドロコドン、コデイン、モルヒネおよびペタゾシン(petazocine)、ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩が含まれる。特に好ましいアヘン剤は、オキシコドンおよびその薬学的に許容可能な塩である。
【0025】
本発明の組成物のアヘン剤成分は、2種以上のアヘン剤を含み得る。例えば、半減期、溶解性、効力などの特性が異なる2種以上のアヘン剤、および上記の任意の組み合わせを使用し得る。好ましい形態において、この組成物の鎮痛薬は、一種類のアヘン剤または2種以上のアヘン剤の組み合わせを含んでなる。しかし、組成物は追加としてまたは代わりに、1種または複数のアヘン剤以外の治療活性成分を鎮痛薬として含み得る。このようなアヘン剤以外の治療活性成分は、単独または1もしくは複数のアヘン剤と組み合わせた状態で鎮痛作用を示すことが可能であり、同成分には、例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症剤(「NSAID」、例えば、イブプロフェンおよびケトプロフェン)、N‐メチル‐D‐アスパラギン酸レセプター・アンタゴニスト(例えば、デキストロメトルファンもしくはデキストロルファン(dextrorphan )などのモルヒナン、またはケタミン)、シクロオキシゲナーゼ‐II阻害剤(「COX‐II阻害剤」)、グリシン・レセプター・アンタゴニスト、および/またはプロスタグランジン合成阻害剤が挙げられる。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態において、1種または複数のアヘン剤以外の活性成分(例えば、鎮咳薬、去痰薬、充血除去剤、抗ヒスタミン薬、催眠薬、鎮静薬、CNS刺激剤またはその他の類の化合物、および2種以上のこのような化合物の混合物)を、鎮痛以外の効果を提供するために含めることも可能である。
【0027】
アヘン剤は、治療上有効な量で組成物中に含まれる。このような量は、いくつかの要因(例えば、使用される個々のアヘン剤の種類、他の成分の存在、経口用製剤の特定の形態、およびこの組成物の使用が意図される個々の適用など)に従って変動する。ほとんどの適用において、組成物中に含まれるアヘン剤の量は、約0.1重量%〜約75重量%であろうと考えられる。好ましい形態において、組成物中に含まれるアヘン剤の量は、約1重量%〜約50重量%であり、より好ましくは、約1重量%〜約30重量%である。治療上の活性を有する他の成分と組み合わせる場合、組成物中に含まれるアヘン剤の量は、約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約0.5重量%〜約15重量%、より好ましくは約1重量%〜約10重量%であろう。
【0028】
このような有機塩を含み、かつ本発明の方法に従って調製されたミクロスフェア組成物は、約8時間〜約24時間にわたって、水性環境において、コア材料の約50%〜約100%を直線的に放出することが可能である。本発明の好ましいミクロスフェアは、約10時間〜約14時間、最も好ましくは約12時間にわたって、コア材料の約70%〜約100%を直線的に放出することが可能である。別の好ましい組成物は、約20時間〜約26時間、好ましくは約22時間〜約25時間、最も好ましくは約24時間にわたって、コア材料の約80%〜約100%を直線的に放出することが可能である。

本発明の組成物または投薬形態について意図される投与方法以外の、乱用の可能性のある少なくとも1つの方法によって投与される場合に、表面コーティング材料の量が、乱用の可能性のある物質の薬理学的効果の発生を防止もしくは減じるか、またはこれらの効果の発生を有意に遅延させるのに充分であれば、乱用される可能性のある化合物の粒子は、「乱用を低減する量」で表面コーティングされている。仮にいくつかの他の入口(例えば、吸入経路または静脈内経路)を介した投与によって、この組成物を乱用しようと試みた場合、表面コーティング材料は、乱用を誘発する効果の発生を防止するであろう。
【0029】
本発明の好ましい乱用抵抗性組成物は、表面コーティングされた粒子が全体に分布しているマトリックスからなる。本発明の特定の実施形態において、粒子の表面をコーティングするために使用される材料は、粒子がその中に分布するマトリックスを含んでなる。
【0030】
好ましい医薬組成物には、薬学的に許容可能で水に不溶性の材料からなるマトリックスを含むミクロスフェアが含まれる。用語「ミクロスフェア」とは、本明細書中で使用する場合、球形、球形を引き伸ばした形状または棒状にまで伸ばした形状を含む種々の形状であり、約5〜5000μm、最も好ましくは約10〜1000μm、最も好ましくは約20〜約800μmの程度の直径を有する粒子である。好ましいミクロスフェアは、ほぼ球形の形状である。
【0031】
より好ましい医薬組成物は、胃の酸性pH条件で不溶性でありかつ分解されにくい、水に不溶性のマトリックス材料を含んでなる。このような好ましい組成物はミクロスフェアを含み、このミクロスフェアの表面は、このような水に不溶性の材料に包まれ、その表面上に活性成分を呈することがなく、したがって、本質的に腸溶性の構造である。最も好ましい組成物には、このような特徴の表面がミクロスフェア構造と一体化しており、このような表面状態を達成するための別個のコーティング層を含まないミクロスフェアが挙げられる。
【0032】
本発明のさらに好ましい態様は、pHに非感受性の材料からなる水に不溶性のマトリックス材料を使用し、このpHに非感受性の材料には、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、アクリレート/メタクリレートコポリマー、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース
、ヒドロキシプロピルセルロース、トリグリセリド、水素化植物油、トリグリセリドポリアルコキシアルキルエステル、脂肪、ワックスおよび水に不溶性の部分的に分解されたタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
最も好ましい水に不溶性のマトリックス材料は、pHに非感受性でありかつ哺乳動物の腸管(最も好ましくはヒト腸管)中に存在する酵素によって消化可能な成分を少なくとも1種類含んでなる。本発明のこの態様は、好ましくは経口経路または直腸経路によって投与される本発明の好ましい医薬組成物に特に有用である。
【0034】
この医薬組成物の特に好ましい態様は、小腸内に存在する酵素によって消化されうる1種または複数の成分からなるpHに非感受性の材料を含む。これに関して、このような材料は、これらが小腸内に存在するリパーゼによって消化可能である場合に、最も好ましい。好ましい材料には、リパーゼで分解可能な脂肪、ワックス、トリグリセリド、水素化植物油およびトリグリセリドポリアルコキシアルキルエステルが含まれる。
【0035】
本発明の特定の実施形態は、少なくとも2種の成分を含むマトリックス材料からなり、この実施形態において、第1の成分は小腸で消化可能であり、かつ第2の成分は小腸で消化不能である。消化可能な成分は、リパーゼ感受性の材料でよく、マトリックス材料に対して100重量%〜約10重量%の量で存在する。より好ましいマトリックス組成物は、約5重量%〜約50重量%、最も好ましくは10重量%〜約30重量%の消化可能な成分を、約95重量%〜約50重量%、最も好ましくは約90重量%〜約70重量%の小腸で消化不能または「リパーゼ非感受性」の成分と組み合わせて含む。約15重量%〜約25重量%の消化可能な成分を含むマトリックス組成物が特に好ましい。
【0036】
小腸で消化不能または「リパーゼ非感受性」の成分は、pHに非感受性であると同時に口から大腸の盲腸までにわたる胃腸管内に存在する酵素に対して非感受性な任意の材料であり得る。例示的な材料には、水に不溶性の多糖類、ポリエチレングリコールもしくはグリコールエーテル、または非消化性のワックスもしくは長鎖脂肪族脂肪酸エステルが含まれるが、これらに限定されない。この成分の特定の実施形態は、大腸内に存在する酵素によって消化可能な材料からなる。
【0037】
医薬組成物の好ましい実施形態は、全材料の合計重量に対して、2重量%〜約50重量%、最も好ましくは10重量%〜約30重量%の、約8個〜約20個の炭素原子を有する吸収可能な脂肪族アルコールを、約98重量%〜約50重量%、最も好ましくは約90重量%〜約70重量%の量の、小腸で消化不能または「リパーゼ非感受性」の成分と組み合わせ含むマトリックス材料からなる。より好ましい実施形態は、約5重量%〜約25重量%、最も好ましくは約15重量%〜約20重量%の脂肪族アルコールを含む。最も好ましいアルコールは脂肪酸アルコールであり、セチルアルコールおよびステアリルアルコールが最も好ましい。
【0038】
最も好ましい経口組成物は、低pH環境の胃を通過した後にのみ、活性化合物を放出する。本発明の組成物の好ましい実施形態は、小腸、大腸またはこれら両方において活性化合物を送達するようにプログラムされた放出機構を含む。活性化合物の放出の位置およびタイミングは、設計によって決まる。本発明の組成物は、連続的、持続的かつ制御された放出速度で、大量の活性化合物を放出し得る。
【0039】
好ましいマトリックス材料は、約6未満のpHで非侵食性である。乱用抵抗性の組成物のさらに好ましい態様は、胆汁酸塩およびリパーゼの存在下で侵食性のマトリックス材料からなる。
【0040】
ミクロスフェアは、好ましくは、胃において見られるpHレベル(このpHは、約4より低い)で溶解または酸分解に対して耐性である、有機材料の水不溶性マトリックスからなる。この有機マトリックス材料は、トリグリセリド、水素化植物油、ポリアルコキシアルキルエーテル、ポリアルコキシアルキルエステル、部分的に分解された水不溶性のタンパク質、消化可能な、置換または非置換の長鎖(C〜C50、特にC12〜C40)炭化水素(例えば、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、鉱油および植物油、ワックスまたはワックスの混合物)からなる群から選択されたメンバーを含んでなる。好ましい炭化水素は、25℃と120℃との間の融点を有し、より好ましい炭化水素は、85℃〜120℃の融点を有し、最も好ましい炭化水素は、95℃と120℃との間の融点を有する。これらの長鎖炭化水素材料のうち、脂肪(脂肪族)アルコールが好ましい。好ましい材料の部類には、トリグリセリドおよび天然供給源から誘導した水素化トリグリセリドのような脂肪、ならびにワックスが含まれる。特に好ましい脂肪およびワックスの部類には、例えば、蜜蝋、パラフィンおよびカルナウバ・ワックスから調製された材料のような、部分的に消化可能なワックスおよび消化不能なワックスが含まれる。
【0041】
特に好ましい水不溶性の材料は、ワックスまたはワックスの混合物からなる。水不溶性の有機材料は、好ましくは、天然に誘導されたワックス材料または合成により生成されたワックス材料であり、該ワックス材料は、単一の化学成分からなるものでも、その混合物からなるものでもよい。用語「ワックス」は、本明細書中で使用する場合、可能な限り広い意味を有することが意図されており、動物供給源、植物供給源および鉱物供給源由来の有機エステル化合物およびワックス性化合物に、3つ全ての供給源から誘導されたそのような化合物の改変物、ならびに類似の特性を有する合成材料を含めたものを意図する。単独で、または本発明と組み合わせて使用され得るいくつかのワックスの例には、トリステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル;Dynasan(商標)110、114、116、118;Sterotex(商標);キャノーラ・ワックス/油;綿フレーク;ダイズ・フレーク;カスター(トウゴマ)・ワックス;菜種ワックス;蜜蝋;カルナウバ・ワックス;キャンデリラ・ワックス;マイクロワックス(petroleum boler(商標)Wax 1014ベース);Dritex C(商標);special fat(商標)42、44、168t;Be Square(商標)Wax #195a;Be Square(商標)Wax#195w;Energybooster(商標);Astor(商標)Wax 180;Astor(商標)Wax 150;およびポリエチレンが含まれる。
【0042】
脂肪は、一般的に使用される部類のワックスであり、本発明の特定の実施形態においては、トリグリセリドとして公知のものが好まれる。本来、トリグリセリドは通常、複雑な混合物中に見出される。動物または植物であるかといった、トリグリセリドの供給源に依存して、トリグリセリドは比較的短いカルボン酸からも比較的長いカルボン酸からも形成可能であり、飽和不飽和のいずれでもよい。比較的短鎖の不飽和カルボン酸から形成されたトリグリセリドは、通例、長鎖の飽和酸から形成されたトリグリセリドよりも低い温度で融解する。ほとんどの場合、トリグリセリドは、2種以上のカルボン酸から形成される。さらに、トリグリセリドの物理的特徴(例えば、室温で液体であるか固体であるか)は、どのカルボン酸がエステル化によって取り込まれたかだけでなく、あるカルボン酸がグリセリルのどの水酸基部位に取り込まれたかによっても、決定される。したがって、動物のトリグリセリドは、飽和もしくは不飽和の酸、またはある長さの酸の全体的な比率においては植物のトリグリセリドとあまり異ならないが、グリセリル分子中の3つの水酸基部位のどこに不飽和酸が見出されるかは、植物のトリグリセリドとかなり異なっている。また、一般に、ほとんどの天然産物中には様々なトリグリセリドが存在するので、天然に存在するトリグリセリド・ワックス(室温で固体である)は単一の明確な融点を示さない。
【0043】
トリグリセリド・ワックスは市販されており、トリグリセリドを形成するカルボン酸の
鎖長を選択し、かつ純度の等級を選択することができる。トリグリセリドの工業的調製は、いくつかの異なるトリグリセリドが互いに結合している天然産物を開始材料とする。加工処理により、酸の置換基が飽和されるのみならず、最終材料中のトリグリセリドの多様性が低減される。本発明の方法および装置は、1種類の酸のトリグリセリドである、グリセリルの3つの水酸基全てが炭素数18のステアリン酸でエステル化されて形成されたトリステアリン酸グリセリル(「トリステアリン」)を使用して、明らかに実証され得る。ステアリン酸は、完全に飽和したカルボン酸である。市販の等級のトリステアリンで好適なものの1つは、ハルズアメリカ社(Hulls America )の子会社であるダイナミット・ノベル社(Dynamit Nobel )によって製造されている、商標「Dynasan(商標)118」を有する製品である。Dynasan(商標)118は、様々な長さの酸でエステル化されているトリグリセリド分子を比較的わずかしか含まない植物供給源から高度に精製された材料である。同様に、いくらか純度の低いトリグリセリド材料であるものの、商標Sterotex(商標)のもとで市販されているトリグリセリド材料もある。製造業者から供給される際は、Dynasan 118はβ型に結晶化した白色微小結晶粉末であり、そのDSCは、約72℃を中心とする単一の吸熱ピークを示すが、このことは、該β型結晶の融点温度範囲内に融点を有する単一の多型形態のみが存在することを示す。他の好ましいトリグリセリド・ワックスには、Dritex C(商標、水素化された綿実油ワックス)およびBF117(Bakers Flake 117)(現在、Shurset 117として販売されている)(部分的に水素化したダイズ油)が含まれ、これらは両方とも、エーシーハムコ社(AC Humko)より市販されている。
【0044】
好ましい水不溶性マトリックス材料は、約48.9℃(約120°F)と約107.2℃(約225°F)との間、好ましくは約87.2℃(約189°F)と104.4℃(220°F)との間、最も好ましくは約93.3℃(約200°F)と約104.4℃(約220°F)との間で、融解する。マトリックス材料の融解曲線中に単一の吸熱ピークがあることが好ましいが、必要というわけではない。比較的鋭い融点ピークが最も好ましい。
【0045】
表面コーティング材料またはマトリックス材料もまた、ポリアルキレングリコールを含み得る。1つの適切な放出制御型コーティング材料は、少なくとも1種の水不溶性材料(例えば、アルキル−セルロース(特にエチルセルロース))と、任意選択で、少なくとも1種のポリアルキレングリコールとからなり、投薬形態中に存在する該材料の量は、上記のように、必要とされるオピオイドの放出速度によって決定される。材料の量はまた、少なくとも1種のポリアルキレングリコールが経口用の該投薬形態中に存在するか存在しないかによっても変わる。別の適切な放出制御型マトリックスは、アルキル−セルロース、C12〜C36の脂肪族アルコール、および任意選択でポリアルキレングリコールからなる。
【0046】
本発明の特定の好ましい実施形態において、表面コーティング材料は、疎水性ポリマー(例えば、薬学的に許容可能なアクリルポリマー)からなり、この疎水性ポリマーには、アクリル酸およびメタクリル酸のコポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリメタクリル酸、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸無水物)、メチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミドおよびグリシジルメタクリレートコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態において、アクリルポリマーは、1種または複数のアンモニオメタクリレートコポリマーからなる。アンモニオメタクリレートコポリマーは当該分野で周知であり、第四級アンモニウム基含有量の低い、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルの、完全に重合したコポリマーとして、NF XVII中に記載されている。
【0047】
好ましい一実施形態において、アクリル・コーティングは、商品名Eudragit(商標)としてロームファーマ社(Rohm Pharma )から市販されているようなアクリル樹脂ラッカーから誘導される。さらに好ましい実施形態において、アクリル・コーティングは、商品名Eudragit(商標)RL30DおよびEudragit(商標)RS30Dとしてそれぞれロームファーマ社から市販されている2種のアクリル樹脂ラッカーの混合物からなる。Eudragit(商標)RL30DおよびEudragit(商標)RS30Dは、第四級アンモニウム基含有量の低い、アクリルエステルおよびメタクリルエステルのコポリマーであり、残りの中性のアクリル(メタクリル)エステルに対するアンモニウム基のモル比は、Eudragit(商標)RL30においては1:20であり、Eudragit(商標)RS30Dにおいては1:40である。平均分子量は、約150,000である。コード番号が示すRL(高透過性)およびRS(低透過性)は、これらの薬剤の透過性特性を意味する。Eudragit(商標)RL/RS混合物は、水および消化液中で不溶性である。しかし、Eudragit(商標)RL/RS混合物から形成したコーティング剤は、水性溶液および消化液中で膨潤可能かつ透過性である。
【0048】
本発明のEudragit(商標)RL/RS分散物を、所望の溶解特性を有する表面コーティングされた製剤を最終的に得るために、任意の所望の比率で一緒に混合すればよい。例えば、100%のEudragit(商標)RL、50%のEudragit(商標)RLおよび50%のEudragit(商標)RS、ならびに10%のEudragit(商標)RL:90%のEudragit(商標)RS由来の遅延剤コーティングから、所望の徐放性製剤を得ることができる。もちろん、当業者には当然のことであるが、他のアクリルポリマー(例えば、Eudragit(商標)L)を使用することも可能である。
【0049】
他の好ましい実施形態において、乱用可能な粒子の表面をコーティングするために使用され得る疎水性ポリマーは、エチルセルロースのような疎水性セルロース材料である。当業者には当然のことであるが、他のアルキルセルロースポリマーを含む他のセルロースポリマーで、本発明の疎水性ポリマー・コーティング中に含まれるエチルセルロースの一部または全てを置き換えてもよい。
【0050】
市販されているエチルセルロース水性分散物の1つは、Aquacoat(商標)(米国ペンシルベニア州フィラデルフィア所在のエフエムシーコーポレーション社(FMC Corp. ))である。別のエチルセルロース水性分散物は、Surelease(商標)(米国ペンシルベニア州ウエストポイント所在のカラコンインコーポレイテッド社(Colorcon, Inc.))として市販されている。ポリマー、可塑剤(セバシン酸ジブチル)および安定化剤(オレイン酸)の加熱溶融物が均質な混合物として調製され、次いで該混合物がアルカリ性溶液で希釈されて、粒子表面上に直接スプレーして塗布可能な水性分散物が得られる。
【0051】
コーティングが疎水性ポリマーの水性分散物から誘導される本発明の実施形態において、疎水性ポリマーの水性分散物中に有効量の可塑剤を含めることにより、被膜の物理的特性がさらに改善される。例えば、エチル−セルロースは比較的高いガラス転移温度を有し、かつ通常のコーティング条件下では可撓性の被膜を形成しないので、コーティング材料としてエチルセルロースを使用する前に可塑化することが必要である。一般に、コーティング溶液中に含まれる可塑剤の量は、被膜形成剤の濃度に基づき、例えば、被膜形成剤の約1重量%〜約50重量%であることが最も多い。しかしながら、可塑剤の濃度は、特定のコーティング溶液および適用方法を用いた注意深い実験の後にのみ、適切に決定され得る。
【0052】
エチルセルロースに適切な可塑剤の例には、水の不溶性の可塑剤(例えば、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチルおよびトリアセチン)が含まれるが、その他の水に不溶性の可塑剤(例えば、アセチル化モノグリセリド、フタル酸エステル、ヒマシ油など)も使用可能であるといえる。クエン酸トリエチルが特に好ましい。
【0053】
本発明のアクリルポリマーに適切な可塑剤の例には、クエン酸エステル(例えば、クエン酸トリエチルNF XVI)、クエン酸トリブチル、フタル酸ジブチルおよび見込みのあるものとして1,2−プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ヒマシ油およびトリアセチンが含まれるが、その他の水に不溶性の可塑剤(例えば、アセチル化モノグリセリド、フタル酸エステル、ヒマシ油など)も使用可能であるといえる。クエン酸トリエチルが特に好ましい。
【0054】
コーティングがエチルセルロースの水性分散物からなる場合、粒子をコーティングした後に続いて硬化させることが好ましく、硬化は、コーティング溶液(すなわち、エチルセルロース)のガラス転移温度より高い温度でかつ相対湿度約60%〜約100%で硬化が終了するまで、例えば、約60℃、相対湿度約60%〜約100%で約48時間〜約72時間にわたって実施することが好ましい。
【0055】
アクリル・コーティングに関する本発明の好ましい一実施形態では、粒子の表面を、可塑化されたアクリルポリマーのTgより高い温度で必要な時間コーティングすることによって、表面をコーティングされた製品が得られ、個々の製剤についての温度および時間の最適な値は、実験的に決定される。本発明のある実施形態では、表面がコーティングされた製品は、約100℃の温度で得られる。本発明のマトリックス組成物は、材料の総重量に対して0〜約50重量%の水に不溶性の多糖類、ポリエチレングリコールもしくはグリコールエーテル、または第2の消化不能なワックスを含んでなる。
【0056】
最も好ましいマトリックス組成物は、材料の総重量に対して約1〜約50重量%の、炭素原子を約8個〜約20個有する脂肪族アルコールを含んでなる。特に好ましいアルコールは脂肪酸アルコールである。最も好ましいアルコールには、ステアリルアルコールおよびセチルアルコールが含まれる。
【0057】
別の実施形態において、アヘン剤成分は、マトリックスに化学的に結合される。さらなる実施形態において、本発明の組成物の不正な改変への抵抗性は、アヘン剤成分とマトリックスとの間の物理的配置および化学的結合の両方を組み合わせた結果である。このような実施形態において、この組み合わせは、マトリックスからなる単一の材料を用いて、または2種以上の材料の組み合わせを用いて達成され得る。これらの実施形態の全てにおいて、この組成物の徐放特性は、マトリックスからアヘン剤を細孔もしくは侵食のいずれかにより放出制御すること、または胃腸液による分解によって、実現されることが好ましい。高度に架橋されたポリマーがマトリックスとして使用される実施形態において、組成物の強固さは、マトリックスの硬度に起因する。架橋の度合いの低いポリマーまたは粘弾性ポリマーがマトリックスとして使用される代替的実施形態では、組成物の強固さは、マトリックスの弾性に起因する。これらの実施形態において、マトリックスの強固さまたはアヘン剤成分の放出に対する抵抗性は、薬学的に許容可能な架橋ポリマー(例えば、コレスチラミン樹脂)の使用によって、この組成物に付与される。
【0058】
経口用の投薬形態は、アヘン剤に加えて1または複数の活性成分をさらに含んでもよく、これらの追加の活性成分は、アヘン剤と相乗的に作用してもしなくてもよい。一実施形態では、2種以上のアヘン剤の組み合わせが、経口用の投薬形態中に含まれ得る。例えば、この投薬形態は、異なる特性(例えば、半減期、溶解性、効力)を有する2種のアヘン
剤および前述のいずれかの組み合わせを含み得る。別の実施形態では、1または複数のアヘン剤が、この投薬形態において1種または複数のアヘン剤以外の薬物と組み合わされる。このようなアヘン剤以外の薬物は、さらなる鎮痛を提供することが好ましく、例えば、アスピリン;アセトアミノフェン;NSAID(例えば、イブプロフェン、ケトプロフェンなど);N−メチル−D−アスパラギン酸レセプター・アンタゴニスト(例えば、デキストロメトルファンもしくはデキストロルファンのようなモルヒナン、またはケタミン);COX−II阻害剤;グリシン・レセプター・アンタゴニスト;および/またはプロスタグランジン合成阻害剤が含まれる。このような実施形態では、本発明は、1種または複数のさらなる非アヘン剤(例えば、NSAIDまたはCOX−2阻害剤)を含むことによって、鎮痛という点で、より低い用量のアヘン剤を有効に利用することができる。低量の、いずれかまたは両方の薬物を使用することによって、高い投薬量に伴う副作用が低減され得る。
【0059】
適切なNSAIDには、イブプロフェン、アセメタシン、アミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキス酸(bucloxic acid)、カープロフェン、クリダナク、ジクロフェナク、ジフルニサル、ジフルリサル(diflurisal)、エトドラク、フェノプロフェン、フェンチアザク、フルブフェン(flubufen)、フルフェナミン酸、フルフェニサル(flufenisal)、フルプロフェン(fluprofen )、フルルビプロフェン、インドメタシン、インドプロフェン、イソキシカム(isoxicam)、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート(meclofenamate )、メクロフェナム酸(meclofenamic acid )、メフェナム酸、メロキシカム、ムロプロフェン(muroprofen)、ナブメトン、ナプロキセン、ニフルム酸(niflumic acid )、オキサプロジン、オキシピナク(oxpinac )、ピロプロフェン(piroprofen)、ピロキシカム、プラモプロフェン(pramoprofen )、サルサレート、スドキシカム(sudoxicam )、スリンダク、スプロフェン、チアプロフェン酸、チオピナク(tiopinac)、トルフェナム酸、トルメチン、トリオキサプロフェン(trioxaprofen)、ジドメタシン(zidometacin )またはゾメピラクなどが含まれる。これらの薬物の有用な投薬量は、当業者に周知である。
【0060】
さらなる実施形態では、アヘン剤以外の薬物を経口投薬形態中に含めることが可能であり、該薬物により鎮痛以外の所望の効果が提供される。このような治療的に活性な薬剤の例には、抗ヒスタミン薬(例えば、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンおよびd−マレイン酸クロルフェニラミン)、制吐薬(例えば、メトクロプラミド、メチルナルトレキソン)、抗癲癇薬(例えば、フェニトイン、メプロバメートおよびニトラゼパム)、血管拡張薬(例えば、ニフェジピン、パパベリン、ジルチアゼムおよびニカルジピン)、鎮咳剤および去痰薬(例えば、リン酸コデイン)、抗喘息薬(例えば、テオフィリン)、制酸薬、抗痙攣薬(例えば、アトロピン、スコポラミン)、抗糖尿病薬(例えば、インスリン)、利尿薬(例えば、エタクリン酸、ベンドロフルチアジド(bendrofluthiazide ))、抗低血圧薬(例えば、プロプラノロール、クロニジン)、抗高血圧薬(例えば、クロニジン、メチルドパ)、気管支拡張薬(例えば、アルブテロール)、ステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、プレドニゾン)、抗生物質(例えば、テトラサイクリン)、鎮痔薬、催眠薬、向精神薬、下痢止め薬、粘液溶解薬、鎮静薬、充血除去剤、緩下薬、ビタミン、刺激薬(フェニルプロパノールアミンのような食欲抑制薬を含む)、ならびにこれらの塩、水和物および溶媒和物が含まれる。
【0061】
本発明はまた、本発明のミクロスフェアを製造するための方法に関する。乱用の可能性が低減された本発明の徐放性医薬組成物は、乱用の可能性を有する化合物の粒子および水に不溶性の材料からなる混合物に圧力を加えることによって表面がコーティングされた粒子を得て、得られた表面がコーティングされた粒子を、応力にさらされても水性環境中での前記化合物の即時放出を実質的に増大させない医薬組成物内に組み込むことによって、調製され得る。
【0062】
水に不溶性の流動性媒体中の前記粒子の分散物に上記の圧力を加える方法が、特に好ましい。 上記の分散物に加えられる圧力は、ピストンの圧縮または超音波装置によって引き起こされた急激な高い圧力の形態でよい。本明細書中に援用される米国特許第5,209,879号に記載されている方法および機器(β機器)に従って、分散物に好適な圧力が加えられる。圧縮力は、短い時間間隔の間にこの分散物を凝縮させ、凝縮した分散物に「β」チャンバを通らせることによって、この混合物を、後の圧力低減チャンバにおいて発生された高圧のサージ電圧および電流から生じる剪断力およびキャビテーション力に供することによって、発生される。この方法は、米国特許第4,978,483号、同第5,460,756号および同第5,209,879号(これらは全て、本明細書中に援用される)に記載されている。本発明において必要とされる圧力は、圧力が加えられる時間間隔に依存する。必要とされる圧力は、その時間間隔に半比例して変動する。圧力パルス処理は、この圧力が分散物に対して維持される限り継続するが、このマトリックス分散物は、非常に短時間(好ましくは1秒以下の規模)の圧力が加えられる場合に、最も有効である。圧力処理の有効性を増幅するために、圧力処理された混合物を、β機器において繰り返し圧力処理してもよい。所望の効果であるサイズ低減およびカプセル化を達成するために、流動性組成物を、1回、2回または実に3回、β機器を通過させてもよい。
【0063】
本発明の特定の実施形態は、水に不溶性の流体マトリックス材料の凝固温度より低い温度に維持された冷蔵領域へと、水に不溶性の流体マトリックス中の活性粒子の流動性分散物をスプレーする方法によって、表面がコーティングされた粒子からミクロスフェアを形成する。最も好ましい方法は、前記水に不溶性のマトリックスに対して静電電荷を付与し、かつ前記分散物の液滴を形成する条件を使用する。この方法は、液滴がミクロスフェアへと凝固する前に、液滴内に粒子を静電的に分布させるのに充分な時間、液滴の流動性および液滴上の電荷を維持することが好ましい。
【0064】
スプレー・ノズルに達するときの流体混合物の温度は、前記マトリックス材料の融解温度より下であるが、同材料の凝固温度より高い温度に維持されるべきである。スプレーの温度、スプレー・ノズルの構成およびこのノズルを通過する流速は、全て、得られるミクロスフェアの物理的特徴に影響を与える。最も好ましい方法は、圧力処理された混合物をスプレーで大量に押し出すために適切な粘度を確実に維持する加熱式スプレー・ノズル(ならびに前記ノズルまで続く加熱式チュービングおよび導管)を使用する。このように大量に押し出すことにより、スプレーで押し出された液体混合物の粒子を、マトリックス材料の凝固温度より低い温度に冷却する際に、実質的に球形のミクロスフェアの形成することが可能になる。
【0065】
流動性マトリックス材料は、最も好ましくは、融解がT1において開始してT2にて実質的に終了する融解曲線を示し、かつ凝固がT3において開始してT4にて実質的に終了する冷却曲線を示し、T3はT1より低い。本発明の方法において使用される任意の特定のマトリックス材料についてのT1とT2との間の差異は、前記流動性媒体マトリックスからなる材料の比率によって決定される。成分の比率を改変することによって、本発明の方法によって生産されるミクロスフェアの温度に関する特徴と、したがって放出に関する特徴とを、予め決定することができる。さらに、本発明の方法において使用される特定のマトリックス材料について融解温度および凝固温度を決定することによって、操作中の機器の誤作動または詰りを回避するために、処理中の混合物の温度を適宜調整することが可能である。
【0066】
好ましい方法は、約32.2℃(約90°F)〜約107.2℃(約225°F)で融解する水に不溶性の有機マトリックス材料を利用するが、この方法は、流動性分散物を、前記水に不溶性の媒体の凝固温度より高いが、前記水に不溶性の媒体の融解温度より低い
温度に維持する。より好ましい方法は、約35℃(約95°F)で開始し、かつ約60℃(約140°F)で実質的に終了する融点を有する水に不溶性のマトリックスを使用する。
【0067】
形成されたミクロスフェアのさらなる処理には、約6より高いpHで可溶性の、第2の量の水に不溶性の材料との接触が挙げられる。この接触処理を達成する好ましい手段は、スプレー・コーティングを用いることである。塗布されるpH>6の材料は、凝固させた前記ミクロスフェアを形成するために使用された前記水に不溶性のマトリックス材料を約5重量%〜約30重量%含んでいてよく、好ましくは、pH>6の同材料は、前記第2の量の前記水に不溶性のマトリックス材料を約10重量%含む。
【0068】
特に好ましい方法は、凝固させた前記組成物をアニーリングする工程からさらになる。アニーリングは、凝固させた組成物を、水に不溶性の有機材料の融点より低い温度に約1分〜約4時間にわたって加熱する工程を含み得る。アニーリング時間は、使用される特定の有機材料に依存して変動し得る。アニーリングは、前記水に不溶性の材料が、多型材料のように2つ以上の結晶形態へと凝固し得る場合、例えば、前記多型材料がトリグリセリド・ワックスからなる場合に、特に好ましい。
【0069】
徐放速度は、被覆化物内部のマトリックス全体に「曲がりくねった」通路を形成することによって水性媒体の入口および溶解した被膜の出口を提供する、本発明のミクロスフェア中の微細な不完全さが侵食されることに起因して生じると考えられる。
【0070】
本発明に従う方法から形成されたミクロスフェアは、大きさが約50μm〜約900μmのサイズ範囲であり、かつ球形、細長またはさらに棒状を含む種々の形状を有し得る。好ましいミクロスフェアは、実質的に球形形状であり、かつ約150μm〜約800μmの平均粒径を有する。適用によっては、好ましいミクロスフェアは、50〜250μmの平均粒径を有し、約10μm〜約50μmの平均粒径を有する活性化合物の粒子を含む。他の適用においては、より好ましいミクロスフェアは、約300μm〜約500μm、最も好ましくは約300μm〜約450μmの平均粒径を有する。
【0071】
上記2工程の方法を使用して調製したミクロスフェアの放出特性は、ミクロスフェアのマトリックス組成物中の活性粒子の割合、ミクロスフェアのサイズおよび形状、ならびにマトリックス組成物の関数である。
【0072】
1または複数の放出改変剤を添加して、表面がコーティングされた粒子を混合することによって、本発明の徐放性製剤からの活性化合物の放出にさらに影響を与えることができる。水溶性材料に対する疎水性ポリマーの比率は、他の要因のなかでもとりわけ、必要とされる放出速度および選択された材料の溶解性によって決まる。
【0073】
細孔形成剤として機能する放出改変剤は、有機物でも無機物でもよく、かつ使用される環境においてコーティング剤から溶解、抽出または浸出され得る材料が挙げられる。細孔形成剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの1種または複数の親水性ポリマーを含んでいてもよい。
【0074】
本発明の徐放性組成物はまた、デンプンおよびゴムのような侵食促進剤を含み得る。
放出改変剤は、半透過性ポリマー含んでいてもよい。
特定の好ましい実施形態において、放出改変剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸金属および前記のうちの任意の混合物から選択される。
【0075】
本発明に従う方法は、活性化合物を含む徐放性医薬組成物を、該化合物を必要とする患
者に投与することに関し、この方法は、本明細書中で上記した、表面がコーティングされた活性化合物からなるミクロスフェアを含む、薬学的に有効な量の組成物を前記対象者に投与する工程からなる。本発明の目的のために、本発明の徐放性組成物は、アヘン剤の血漿中濃度が治療範囲内(最小有効鎮痛濃度を超える)であるが、毒性レベルより低く維持されるような速度で、約8時間〜約36時間、好ましくは約5時間〜約24時間にわたって、マトリックスからアヘン剤を放出する。最も好ましい方法は、活性化合物が前記患者に対して好ましくは約8時間〜約24時間、あるいは約12時間〜約30時間、最も好ましくは約18時間〜24時間にわたって放出される組成物の投与を提供する。
【0076】
本発明の組成物は必要に応じてビヒクルを含むが、ビヒクルの性質は組成物の形態に依存することになろう。本発明の組成物のミクロスフェアは、任意の適切な形態で(例えば、錠剤の形態で圧縮されて、カプセル中に多数の粒子が充填された形態で、および液体担体中に懸濁されて)、使用され得る。本発明の組成物の徐放特性は別として、これらの錠剤およびカプセルをさらに改変して、放出をさらに遅延させたり、徐放性としたり、または即時放出性となるようにしてもよい。本発明の組成物は、固体の経口用の投薬形態において最も広範に使用されると考えられる。
【0077】
用語「ビヒクル」は、本発明の組成物の活性化合物ならびにポリマーおよび/または脂肪族アルコールの成分以外の、組成物を構成し得る、様々な種類の薬学的に許容可能な成分を含むように、広い意味で使用される。ビヒクルの例としては、充填剤、希釈剤、賦形剤および活性化合物の放出特性に対し影響を有する材料、すなわち、放出制御材料が含まれる。
【0078】
充填剤または増量剤には、微結晶セルロース(例えば、Avicel(商標)、エフエムシーコーポレーション社(FMC Corp. )、Emcocel(商標)、メンデルインコーポレイテッド社(Mendell Inc.))、マンニトール、キシリトール、リン酸二カルシウム(例えば、Emcompress(登録商標)、メンデルインコーポレイテッド社)、硫酸カルシウム(例えば、Compactrol(登録商標)、メンデルインコーポレイテッド社)、デンプン、ラクトース、スクロース(Dipac(商品名)、アムスター社(Amstar)、およびNutab(商品名)、イングレディエントテクノロジー社(Ingredient Technology ))、デキストロース(Emdex(登録商標)、メンデルインコーポレイテッド社)、ソルビトール、セルロース粉末(Elcema(登録商標)、デグサ社(Degussa )、およびSolka Floc(登録商標)、メンデルインコーポレイテッド社)が含まれるが、これらに限定されない。増量剤は、約5重量%〜約90重量%、好ましくは約10重量%〜約50重量%の量で、組成物中に存在し得る。
【0079】
この組成物中に含まれ得る崩壊剤には、微結晶セルロース、デンプン、クロスポビドン(例えば、Polyplasdone(登録商標)XL、インターナショナルスペシャルティプロダクツ(International Specialty Products. ))、デンプングリコール酸ナトリウム(Explotab(登録商標)、メンデルインコーポレイテッド社)、およびクロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac‐Di‐Sol(登録商標)、エフエムシーコーポレーション社)が含まれるが、これらに限定されない。崩壊剤は、約0.5重量%〜約30重量%、好ましくは約1重量%〜約15重量%の量で、組成物中に存在し得る。
【0080】
本発明の組成物中に使用され得る固結防止剤および流動促進剤には、タルク、トウモロコシ・デンプン、二酸化ケイ素、ラウリル硫酸ナトリウム、およびステアリン酸金属が含まれるが、これらに限定されない。固結防止剤または流動促進剤は、約0.2重量%〜約15重量%、好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の量で、組成物中に存在し得る。
【0081】
本発明の組成物中に使用され得る滑沢剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン
酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、水素化綿実油(Sterotex、登録商標)、タルク、およびワックス(蜜蝋、カルナウバ・ワックス、セチルアルコール、ステアリン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、水素化植物油およびステアリルアルコールが含まれるが、これらに限定されない)が含まれるが、これらに限定されない。滑沢剤は、約0.2重量%〜約20重量%、好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の量で存在し得る。
【0082】
使用され得る結合剤には、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スクロース溶液、デキストロース溶液、アカシア・ゴム、トラガカント・ゴムおよびローカスト・ビーン・ゴムが含まれるが、これらに限定されない。結合剤は、約0.2重量%〜約10重量%、好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の量で、組成物中に存在し得る。
【0083】
本発明の組成物は、直接圧縮法または湿式造粒法によって、作製され得る。直接圧縮法では、ミクロスフェアおよび他の成分は、ステンレス鋼スクリーン(例えば、40メッシュの鋼スクリーン)を通して篩にかけられる。次いで、篩にかけられた材料は、適切なブレンダーに充填され、増強バー(インテンシファイア・バー)を3分間オンにして、10分間混合される。次いで混合物は、適切な機械設備を使用して回転式打錠機で錠剤へと圧縮される。所望の場合、圧縮された錠剤をコーティングしてもよい。
【0084】
湿式造粒法では、ミクロスフェアおよび他の成分は、プラネタリー式ミキサー、高剪断ミキサーまたは流動床造粒機において、造粒用流体(例えば、イソプロピルアルコール、エチルアルコールおよび水)を用いて造粒される。結合剤が、この造粒用流体中に含まれてもよいし、乾燥混合物中に含まれてもよい。湿った顆粒は、オーブンまたは流動床乾燥機で乾燥され、次いで適切なスクリーンを通して篩にかけられて、自由に流動する顆粒が得られる。得られた顆粒は、適切な滑沢剤および流動促進剤とブレンドされ、滑沢化した顆粒は、適切な機械設備を使用して回転式打錠機で錠剤へと圧縮される。所望の場合、この圧縮された錠剤にコーティングを施すことが可能である。
【0085】
本発明の特定の実施形態では、即時放出形態の有効量のオピオイドが、本発明の基材を含んでなる単位投薬形態中に含まれる。アヘン剤がオキシコドンからなる実施形態において、経口投薬形態は、1単位用量当たり約10mg〜約360mg、好ましくは約10mg〜約160mgの鎮痛用量のオキシコドンを含み得る。一般に、このオピオイドの即時放出形態は、血液(例えば、血漿)中のオピオイドが最大濃度に至るまでの時間を短縮するのに有効な量で、例えばTmaxが約2時間〜約4時間まで短縮されるように含められる。これにより、当業者によって現在推奨されている実質的に平坦な曲線ではなく、初期ピークを有する血中濃度曲線が得られる。単位用量中にこのような有効量の即時放出オピオイドを含めることによって、患者が比較的高レベルの疼痛を経験することが実質的に低減される、ということが発見されている。このような実施形態では、即時放出形態の有効量のオピオイドが本発明の組成物中に含まれ得る。例えば、表面がコーティングされた粒子によって製剤からオピオイドが持続放出される場合、該オピオイドと即時放出成分とが混合されることになろう。有効単位用量のオピオイドを含んでなる複数のミクロスフェアが硬質ゼラチン・カプセル中に取り込まれる場合、オピオイドの用量のうち即時放出される部分は、このカプセル内の粉末または顆粒として充分量の即時放出オピオイドを含めることによって、ゼラチン・カプセル中に取り込まれ得る。あるいは、このゼラチン・カプセル自体が、オピオイドの即時放出層でコーティングされ得る。当業者であれば、即時放出されるオピオイドの部分を単位投与形態へと取り込むための、さらに別の代替様式を認識できよう。そのような代替様式は、添付の特許請求の範囲に包含されると考えられる。
【0086】
治療上有効な化合物の多数の粒子の単位用量は、硬質ゼラチン・カプセル内に含まれ得
る。あるいは、この多数の粒子の単位用量は、サシェ剤を含む、当業者に公知の他の投薬形態として調製され得る。硬質ゼラチン・カプセルは開封されてもよく、薬物を含む粉末層構造のビーズが流体中に散在せられてもよいし、食物、特に冷たく軟らかい食物(例えば、リンゴソースまたはプディング)もしくは液体(例えば、水またはオレンジ・ジュース)と混合されてもよい。
【実施例1】
【0087】
428gの粉砕したヒドロキシコドンHCl(粒子サイズ10μm未満)を、800gのDritex(登録商標)C(市販の多型ワックス)の融解物中に混合する。この流動性分散物を、621kPa(90psi)に設定した水圧ピストン駆動ポンプ(米国特許第5,209,879号に記載されている「β」機)(βチャンバ構成=4穴からなる入口ノズル(内径0.508mm(0.02インチ))、長さ約1.016mm(約0.04インチ)で直径約6.35mm(約0.25インチ)のスペーサーから形成されるチャンバ体積、ならびに4穴(内径0.508mm(0.02インチ))からなる出口ノズル)を2回通過させることによって、該流動性分散物に圧力を加える。圧力処理した混合物を、77℃に維持したノードソン(Nordson )のホット・メルト・アプリケータ(電子ギヤ・ポンプ(ノードソン3700シリーズ、速度設定=40%)によって駆動、アスピレータ圧力69kPa(10psi)、針を閉鎖位置から7/8ひねった状態に開けて設定)を通して、冷蔵領域へとスプレーする。このヒドロキシコドンHClは、ミクロスフェア組成物の34.9重量%を構成する。
【実施例2】
【0088】
472.5gの粉砕したヒドロキシコドンHCl(粒子サイズ10μm未満)を、975gのカルナバ・ワックスと52.5gのキサンタン・ガムとの混合物の融解物中に混合する。次いで、この流動性分散物を、621kPa(90psi)に設定した水圧ピストン駆動ポンプ(米国特許第5,209,879号に記載されている「β」機)(βチャンバ構成=4穴からなる入口ノズル(内径0.508mm(0.02インチ))、長さ約1.016mm(約0.04インチ)で直径約6.35mm(約0.25インチ)のスペーサーから形成されるチャンバ体積、ならびに4穴(内径0.508mm(0.02インチ))からなる出口ノズル)を2回通過させることによって、該流動性分散物に圧力を加える。圧力処理した混合物を、123℃に維持したノードソン(Nordson )のホット・メルト・アプリケータ(電子ギヤ・ポンプ(ノードソン3700シリーズ、速度設定=50%)によって駆動、アスピレータ圧力69kPa(10psi)、針を閉鎖位置から1.5回転した状態に開けて設定)を通して、冷蔵領域へとスプレーする。このヒドロキシコドンHClは、ミクロスフェア組成物の31.5重量%を構成する。
【実施例3】
【0089】
268gの未粉砕のヒドロキシコドンHClを、520gのDritex(登録商標)C(市販の多型ワックス)の融解物中に混合する。この流動性分散物を、621kPa(90psi)に設定した水圧ピストン駆動ポンプ(米国特許第5,209,879号に記載されている「β」機)(βチャンバ構成=4穴からなる入口ノズル(内径0.508mm(0.02インチ))、長さ約1.016mm(約0.04インチ)で直径約6.35mm(約0.25インチ)のスペーサーから形成されるチャンバ体積、ならびに4穴(内径0.508mm(0.02インチ))からなる出口ノズル)を2回通過させることによって、該流動性分散物に圧力を加える。圧力処理した混合物を、77℃に維持したノードソン(Nordson )のホット・メルト・アプリケータ(ポンプ速度30%、アスピレータ圧力69kPa(10psi)、針を閉鎖位置から1.5回転した状態に開けて設定)を通して、冷蔵領域へとスプレーする。このヒドロキシコドンHClは、ミクロスフェア組成物の約34重量%を構成する。
【実施例4】
【0090】
54gの粉砕したヒドロコドン重酒石酸塩(粒子サイズ10μm未満)を、975gのカルナバ・ワックスと52.5gのキサンタン・ガムとの混合物の融解物中に混合する。次いで、この予め混合した流動性混合物を、621kPa(90psi)に設定した水圧ピストン駆動ポンプ(米国特許第5,209,879号に記載されている「β」機)(βチャンバ構成=4穴からなる入口ノズル(内径0.508mm(0.02インチ))、長さ約1.016mm(約0.04インチ)で直径約6.35mm(約0.25インチ)のスペーサーから形成されるチャンバ体積、ならびに4穴(内径0.508mm(0.02インチ))からなる出口ノズル)を2回通過させることによって、該流動性分散物に圧力を加える。圧力処理した混合物を、123℃に維持した空気噴霧ノズルを介して、置換用空気の最大圧力が13.8kPa(2psi)の閉鎖容器から、アスピレータ圧力69kPa(10psi)で、温度維持したチャンバへとスプレーする。この組成物は、5重量%のヒドロコドン重酒石酸塩を含むミクロスフェアからなる。
【実施例5】
【0091】
58gの未粉砕のヒドロコドン重酒石酸塩を、520gのSterotex(登録商標)NF(市販の多型ワックス)の融解物中に混合する。次いで、この予め混合した流動性混合物を、621kPa(90psi)に設定した水圧ピストン駆動ポンプ(米国特許第5,209,879号に記載されている「β」機)(βチャンバ構成=4穴からなる入口ノズル(内径0.508mm(0.02インチ))、長さ約1.016mm(約0.04インチ)で直径約6.35mm(約0.25インチ)のスペーサーから形成されるチャンバ体積、ならびに4穴(内径0.508mm(0.02インチ))からなる出口ノズル)を2回通過させることによって、該流動性分散物に圧力を加える。圧力処理した混合物を、77℃に維持した空気噴霧ノズルを介して、置換用空気の最大圧力が13.8kPa(2psi)の閉鎖容器から、アスピレータ圧力69kPa(10psi)で、温度維持したチャンバへとスプレーする。この組成物は、約10重量%のヒドロコドン重酒石酸塩を含むミクロスフェアからなる。
【実施例6】
【0092】
108gの粉砕したヒドロコドン重酒石酸塩(粒子サイズ10μm未満)を、975gのカルナバ・ワックスと52.5gのペクチンとの混合物の融解物中に混合する。次いで、この予め混合した流動性混合物を、621kPa(90psi)に設定した水圧ピストン駆動ポンプ(米国特許第5,209,879号に記載されている「β」機)(βチャンバ構成=4穴からなる入口ノズル(内径0.508mm(0.02インチ))、長さ約1.016mm(約0.04インチ)で直径約6.35mm(約0.25インチ)のスペーサーから形成されるチャンバ体積、ならびに4穴(内径0.508mm(0.02インチ))からなる出口ノズル)を2回通過させることによって、該流動性分散物に圧力を加える。圧力処理した混合物を、123℃に維持した空気噴霧ノズルを介して、置換用空気の最大圧力が13.8kPa(2psi)の閉鎖容器から、アスピレータ圧力69kPa(10psi)で、温度維持したチャンバへとスプレーする。この組成物は、約10重量%のヒドロコドン重酒石酸塩を含むミクロスフェアからなる。
【実施例7】
【0093】
(破砕溶解比較)
水溶性の薬物を含み、かつ上記実施例に記載される方法を使用して調製したミクロスフェア組成物を、乳鉢と乳棒とを使用して砕く(応力を加える)。加圧サンプルおよび非加圧サンプルを、顕微鏡を用いて調べるとともに薬物放出速度について試験する。調製された2つのサンプル間で比較を行う。
【0094】
これらのミクロスフェアを、3つの異なる程度に破砕する。
砕いたサンプルには、微細な破片から大きい破片まで分布した、変形および割砕されたミクロスフェアが見られる。中程度に破砕されたサンプル中には無傷のミクロスフェアが一部残っている。砕いていないサンプルは、元々製造されたとおりに球形かつ均一(−20+40メッシュの画分を得たとおり)である。
【0095】
砕いたサンプルおよび砕いていないサンプルからの水溶性の活性成分の溶解について決定する。砕いたサンプルは、短期間の初期バースト相と、続く残りの試験期間にわたって一定な第2放出相とを含む、2相の放出速度によって特徴付けられる。砕いていないサンプルは、バースト期間を伴わずに全試験期間にわたって放出速度が一定である、単一相によって特徴付けられる。砕いたサンプルについての、バースト期間の後の薬物放出速度と、砕いていないサンプルについての薬物放出速度とは、非常に類似している。さらに応力を加えて一層粉砕すると、バーストにおいて多少の増大が見られるが、その後の放出速度は同じままである。
【0096】
本発明のマトリックス材料は、薬物粒子表面を湿らせると該薬物粒子表面に非常に密接に会合するようであり、粒子と単純に混合されているのではない。各薬物粒子は、カプセル化のための何らかの第三の成分の存在とは無関係に、マトリックス材料によって個々にカプセル化されているとみなすことができる。マトリックスは、それ自体がカプセル化の機能を果たし得る。また、砕くことにより支障を来たすのは、ミクロスフェアの初期溶解を遅延させる機能だけのように思われる。本発明のマトリックス材料が、製造工程を通じて、その弾性体様の性質を維持することもまた、示唆される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乱用抵抗性の医薬組成物であって、
(i)ポリマー部分と、全マトリックス組成物重量に対して2〜50%の8個〜20個の炭素原子を有する脂肪族アルコールとから本質的になるポリマーマトリックス組成物と、
(ii)水に不溶性の制御放表面コーティングが施された乱用可能な活性成分の複数の粒子であって、該粒子が前記ポリマーマトリックスに化学結合されることにより、該乱用可能な活性成分はポリマーマトリックスから即時放出できない、複数の粒子と、を備え、
前記医薬組成物は前記乱用可能な活性成分のアンタゴニストを含まない、乱用抵抗性医薬組成物。
【請求項2】
前記脂肪族アルコールは脂肪酸アルコールである請求項1に記載の乱用抵抗性医薬組成物。
【請求項3】
前記脂肪酸アルコールはセチルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの組み合わせから選択される請求項2に記載の乱用抵抗性医薬組成物。
【請求項4】
前記マトリックス材料が、胆汁酸塩およびリパーゼの存在下で侵食性である、請求項1に記載の乱用抵抗性組成物。
【請求項5】
前記水溶性活性成分がオピオイド鎮痛薬である請求項2に記載の乱用抵抗性組成物。
【請求項6】
前記オピオイド鎮痛薬は、ヒドロモルフォン、オキシコドン、ヒドロキシコドン、プロポキシフェン、メサドン、チリジン、ブトルファノール、ブプレノルフィン、レボルファノール、コデイン、オキシモルフォン、メペリジン、およびジヒドロコデイノンから選択される請求項1に記載の乱用抵抗性組成物。
【請求項7】
前記ポリマー部分が、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、アクリレート/メタクリレートコポリマー、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、トリグリセリド、水素化植物油、トリグリセリドポリアルコキシアルキルエステル、脂肪、水素化された綿実油ワックス、部分的に水素化したダイズ油、カルナウバ・ワックス、水に不溶性の部分的に分解されたタンパク質、およびこれらの混合物から選択される請求項1に記載の乱用抵抗性組成物。

【公開番号】特開2012−21024(P2012−21024A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221108(P2011−221108)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【分割の表示】特願2004−538423(P2004−538423)の分割
【原出願日】平成15年9月23日(2003.9.23)
【出願人】(500370883)エラン ファーマ インターナショナル,リミティド (45)
【Fターム(参考)】