説明

乳化剤形の粉体含有皮膚外用剤の製造方法

【課題】粉体を含有する乳化剤形の皮膚外用剤に於いて、エタノールなどの低級アルコールを、安定性を損なうことなく、含有させる技術を提供し、以て、粉体含有乳化剤形の皮膚外用剤の使用性を向上させる。
【解決手段】1)粉体、2)低級アルコール、及び3)グリセリン変性メチルポリシロキサンを含有する乳化剤形の皮膚外用剤の製造方法であって、
前記1)粉体と、3)グリセリン変性メチルポリシロキサンとを、油性担体に分散させ、スラリーとする工程、及び 前記スラリーと2)低級アルコール3〜20質量%を混合して乳化させる工程、を含む皮膚外用剤の製造方法による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関し、詳しくは、化粧料などに有用な、乳化剤形の粉体含有皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化亜鉛や二酸化チタンなどの粉体は、隠蔽性と紫外線防護効果を有することから、メークアップ化粧料や紫外線防護化粧料に広く使用されている。紫外線防護化粧料においては、ダメージを受けた肌に塗布される蓋然性が高いことから、塗布に際しての刺激付与を低減することが望まれ、直接粉体が皮膚を擦過しにくい乳化剤形が採用される場合が少なくない。
【0003】
その一方、乳化系に於いては、比重1程度の粘性流動組成物で比重3以上の、酸化亜鉛や二酸化チタンなどの粉体を分散し、刹那に沈降しないようにその分散を維持する必要が存し、その為に、乳化系における粘性構造を利用している。この様な乳化系としては、脂肪酸石鹸を利用した水中油乳化系(例えば、特許文献1を参照)や、カチオン変性粘土鉱物、ポリアルキレンオキシド変性シリコーン或いは低重合度ポリグリセリンの低次エステルを利用した油中水乳化系(例えば、特許文献2、特許文献3を参照)が知られている。従って、この様な系に於いては、かかる粘性構造を破壊しやすいエタノールなどの低級アルコールの添加は殆ど不可能に近いと考えられていた。報告としては、分岐型のシリコーン系界面活性剤を使用することにより、エタノールを加えても、乳化安定性が向上するとの報告も存する(例えば、特許文献4を参照)が、かかる報告における乳化安定性は、振とう試験に対する安定性であり、この様な試験で安定と判別されても、実際使用での安定性とは乖離しており、実用に耐えるものとは言えないのが現状であった。
【0004】
粉体を含有する皮膚外用剤に於いて、粉体を予め液性成分とともにスラリーに予備的に加工し、しかる後に乳化製剤に製剤化する方法は既に知られている(例えば、特許文献5、特許文献6を参照)が、この様な系にエタノールなどの低級アルコールを含有させる試みは全く為されていないし、この様な製造方法に於いて、安定性を損なうことなく低級アルコールの添加が可能になることは予想だにし得ないことであった。
【0005】
粉体含有乳化系への低級アルコールの添加は、低級アルコールが揮散成分であるが故に、化粧持ちに影響を与えず、のびが改善するなど、その使用性を向上させ、且つ、防腐の見地からも、防腐力を高めるので、望まれていることではあったが、前記の事情により達成されていないのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−83169号公報
【特許文献2】特開2007−145722号公報
【特許文献3】特開2007−217380号公報
【特許文献4】特開2005−232068号公報
【特許文献5】特開2007−39363号公報
【特許文献6】特開2007−39362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、粉体を含有する乳化剤形の皮膚外用剤
に於いて、エタノールなどの低級アルコールを、安定性を損なうことなく、含有させる技術を開発し、以て、粉体含有乳化剤形の皮膚外用剤の使用性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、粉体を含有する乳化剤形の皮膚外用剤に於いて、エタノールなどの低級アルコールを、安定性を損なうことなく、含有させる技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、グリセリン変性メチルポリシロキサン(ポリグリセリル−3−ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)を界面活性剤として用いることにより、この様な配合が為しうることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示すとおりである。
<1>1)粉体、2)低級アルコール、及び3)グリセリン変性メチルポリシロキサンを含有する乳化剤形の皮膚外用剤の製造方法であって、
前記1)粉体と、3)グリセリン変性メチルポリシロキサンとを、油性担体に分散させ、スラリーとする工程、及び
前記スラリーと2)低級アルコール3〜20質量%を混合して乳化させる工程、を含む皮膚外用剤の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、粉体を含有する乳化剤形の皮膚外用剤に於いて、エタノールなどの低級アルコールを、安定性を損なうことなく、含有させる技術を提供し、以て、粉体含有乳化剤形の皮膚外用剤の使用性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<1>本発明の皮膚外用剤の必須成分である粉体
本発明の皮膚外用剤は乳化剤形であって、粉体を含有することを特徴とする。前記粉体としては、例えば、酸化鉄、シリカ、アルミナ、ジルコニアなどの他の金属で、焼結、表面被覆などの複合化されていても良い二酸化チタン、酸化亜鉛、或いは、酸化鉄、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、マイカチタニア、セリサイトチタニア等の体質粉体などが好適に例示できる。これらの内では、紫外線防護効果の著しい酸化亜鉛乃至は二酸化チタンが特に好ましい。前記粉体は、表面を処理された形で含有されることが好ましく、乳化剤形が油中水乳化剤形であれば、前記表面処理は疎水化処理であることが好ましい。前記疎水化処理としては、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸による被覆処理、N−ステアロイルグルタミン酸アルミニウム、N−ラウロイルグルタミン酸アルミニウム等のN−アシルアミノ酸金属塩による被覆処理、レシチンなどのリン脂質による被覆処理、ハイドロジェンメチルポリシロキサンやジメチルポリシロキサン等のシリコーン焼付処理、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシランなどのシランカップリング剤処理によるシリル化処理などが存する。かかる処理は粉体100質量部に対して、1〜30質量部、より好ましくは10〜25質量部の処理剤を用いて行うことが好ましい。乳化剤形が油中水乳化剤形である場合、本発明では、かかる粉体表面には疎水化処理を予め行って使用することが好ましい。
【0011】
処理の仕方は、金属塩の被覆処理であれば、粉体存在下、水などを担体として、当該金属の水可溶性塩と、疎水基相当部分の可溶性塩とを水性溶液状態で混合し、塩基交換反応を行い、疎水性塩を粉体表面上に沈降させて、これを取り出し、乾燥させて疎水性被覆膜を形成させればよい。
【0012】
処理の仕方に於いて、シリコーン類の焼付処理やシリル化処理においては、処理剤を、例えば、塩化メチレンなどの非反応性揮発溶剤に溶解せしめ、粉体の表面に均一に被覆させ、溶剤を揮散させて処理剤の薄膜を形成せしめ、これに200〜400℃の熱処理を数
時間から一昼夜行うことにより、疎水性被覆膜を形成させればよい。
【0013】
<製造例1>
微粒子二酸化チタン32質量部をフローコーターに仕込み、これに塩化メチレン100質量部にハイドロジェンメチルポリシロキサン6質量部とジメチコン2質量部とを溶かした液を噴霧しながら送風してコーティングを行った。コーティング終了後更に4時間40℃の温風を送風し、溶剤を揮散させた。この粉体を電気炉に仕込み210℃で一昼夜加熱して焼付を行い、疎水化処理粉体を得た。この疎水化処理粉体を0.9mm丸穴スクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、処理粉体1を得た。
【0014】
<製造例2>
製造例1と同様に、87質量部の酸化亜鉛を、100質量部の塩化メチレンに、10質量部のジメチコンと3質量部のハイドロジェンメチルポリシロキサンとを溶かした溶液で処理し、処理粉体2を得た。
【0015】
<2>本発明の皮膚外用剤の必須成分である低級アルコール
本発明の皮膚外用剤は、低級アルコールを必須成分として含有することを特徴とする。前記低級アルコールとしては、例えば、エタノールやイソプロパノールが好適に例示できる。特にエタノールを採用することが好ましい。かかる低級アルコールの好ましい含有量は、3〜20質量%が好ましく、より好ましくは、5〜15質量%であり、更に好ましくは6〜10質量%である。本発明の皮膚外用剤における低級アルコールの効果は、塗布時の皮膚との摩擦係数を低下させる等により使用感を向上させること、塗布後に化粧膜より揮散し、化粧膜の親水性の成分の含有量を低下せしめ、これによって、塗布後に形成される化粧膜の強度を向上させること、及び、製品における防腐力を向上せしめることである。前記の配合量を下回る場合には、前記の効果の何れか或いは全てが発揮されない場合が存し、多すぎると、乳化或いは粉体分散の安定性を損なう場合が存する。
【0016】
<3>本発明の皮膚外用剤の必須成分であるグリセリン変性メチルポリシロキサン(ポリグリセリル−3−ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)
本発明の皮膚外用剤は、乳化剤形であって、グリセリン変性メチルポリシロキサン(ポリグリセリル−3−ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)を必須成分として含有する。本発明の皮膚外用剤は、前述の如くに、乳化によって形成される構造を破壊しやすいエタノールを必須成分として含有するが、界面活性剤としてグリセリン変性メチルポリシロキサンを採用することにより、この様なアルコールによる影響を軽減することを特徴とする。この様なグリセリン変性シリコーンは化粧料原料として市販されているものを使用することが出来、かかる市販品としては、例えば、信越化学株式会社製の「シリコーンKF6104」等が好適に例示できる。かかるグリセリン変性メチルポリシロキサンは唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。かかる成分の好ましい含有量は、総量で、皮膚外用剤全量に対して、0.5〜4質量%であり、より好ましくは0.8〜1.5質量%である。かかる成分は、疎水化処理粉体の分散性向上に優れた作用を有するため、予め、疎水化処理粉体をかかる成分とともにジメチコンやシクロメチコンなどの油性担体に分散させ、スラリーの形に加工して、皮膚外用剤の製造に用いることが好ましい。スラリーの作成に際しては、グリセリン変性メチルポリシロキサン1質量部に対し、粉体10〜20質量部、油性担体10〜20質量部を加え、ボールミル、コボルミル、ダイノミルなどの媒体ミルを用いてスラリーに加工することが好適に例示できる。かかるグリセリン変性メチルポリシロキサンは、スラリーとは別に油相に乳化の界面活性剤として添加することも出来る。
【0017】
<4>本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分を含有し、乳化剤形であることを特徴とする。前
記乳化剤形としては、脂肪酸石鹸の界面活性剤乳化構造を利用した水中油乳化剤形、或いは、有機変性粘土鉱物、ポリグリセリン脂肪酸エステル、シリコーン系界面活性剤を利用した油中水乳化剤形が好適に例示できる。特に油中水乳化剤形が、エタノールの影響を粉体分散性に及ぼしにくいので好ましい。油中水乳化剤形にあっては、前記のグリセリン変性メチルポリシロキサンに加えて、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン変性メチルポリシロキサンを含有することが好ましく、かかるシリコーン系界面活性剤は、乳化の安定性を向上せしめる。この様な効果を奏するためには、当該成分は、皮膚外用剤全量に対して、0.1〜4質量%含有することが好ましく、0.2〜1質量%含有することが特に好ましい。ここで、油中水乳化剤形とは、最外相に油相を配する乳化剤形の総称で、油中水中油剤形などの複合剤形も包含する概念である。
【0018】
本発明の皮膚外用剤は、乳化剤形であって、エタノールなどの低級アルコールを含有し、のびの良さ、化粧持ちの良さなどの特徴を有する。この為、ダメージを受けた肌に塗布しても、粉体が直接皮膚を擦過することによって生じる、物理的な刺激も低い。加えて、酸化亜鉛や二酸化チタンを粉体として用いると、紫外線遮蔽効果が著しく、紫外線防護用の化粧料としての優れた機能を有する。この為、紫外線防護化粧料に適用することが好ましい。
【0019】
本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分以外に、通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボカド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステ
ル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤;桂皮酸系紫外線吸収剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB塩酸塩、ビタミンBトリパルミテート、ビタミンBジオクタノエート、ビタミンB又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。
【0020】
前記の必須成分、好ましい成分、任意成分を常法に従って処理することにより、本発明の皮膚外用剤は製造できる。
以下に、実施例を挙げて、本発明について、更に詳細に説明を加える。
【実施例】
【0021】
<実施例1>
<スラリーの製造1>
下記に示す処方に従って、スラリー1を製造した。即ち、処方成分をコボルミルに仕込み、0.1質量倍のジルコニアのボールを加えて、高速回転で1時間分散させ、濾過により分散媒体のジルコニアボールを取り除き、スラリー1を得た。同様に操作して、「シリコーンKF6104」を「シリコーンKF6017」(POE変性メチルポリシロキサン;信越化学株式会社製)に置換した比較スラリー1も作成した。
【0022】
【表1】

【0023】
スラリー1と比較スラリー1とを比較した。比較は、皮膚に延展時の白さの加減と、20℃で平衡状態に達したときの粘度で行った。白さの加減は、スラリーを20μlとり、
これを前腕内側部の2cm×4cmの部位に手指で延展し、広がったところでの見た目の白さを、スコア0:白く感じない、スコア1:白いが自然な白さ、スコア2:やや不自然さが伺える白さ、スコア3:少し不自然な白さ、スコア4:不自然な白さの基準でスコアを賦して行った。結果を表2に示す。本発明の皮膚外用剤に好適なスラリーは粘度が低く、白が突出していないことが分かる。
【0024】
【表2】

【0025】
<スラリーの製造2>
スラリーの製造1と同様に、下記の処方に従ってスラリー2及び、「シリコーンKF6104」を「シリコーンKF6017」(POE変性メチルポリシロキサン;信越化学株式会社製)に置換した比較スラリー2を作成した。前記の手技に従って、評価も行った。結果を表4に示すが、同様の結果であった。
【0026】
【表3】

【0027】
【表4】

【0028】
前記のスラリーを使用して、本発明の皮膚外用剤を作成した。即ち、イ、ロの成分をそれぞれ80℃に加熱し、攪拌下イに徐々にロを加え乳化し、これを攪拌冷却し、本発明の皮膚外用剤1(紫外線防護化粧料)を得た。同様に、スラリー1を比較スラリー1に、且つ、スラリー2を比較スラリー2に置換した比較例1も作成した。
【0029】
【表5】

【0030】
<実施例2>
同様に操作して、本発明の皮膚外用剤である、皮膚外用剤2(紫外線防護化粧料)を作成した。
【0031】
【表6】

【0032】
<実施例3>
同様に操作して、本発明の皮膚外用剤である、皮膚外用剤3(紫外線防護化粧料)を作成した。
【0033】
【表7】

【0034】
<参考例4>
同様に操作して、皮膚外用剤4(紫外線防護化粧料)を作成した。
【0035】
【表8】

【0036】
<評価例1>
皮膚外用剤1〜4及び比較例1について、その性状を評価した。評価はスラリーと同様に粘度と、白ぽっさを評価した。又、40℃で1ヶ月、3ヶ月保存したときの性状の変化も観察した。保存安定性は外観の観察で分離や粉体の沈降の有無を観察した。結果を表9に示す。本発明の皮膚外用剤は使用実感に優れており、安定性も高いことが分かった。又、スラリー中にグリセリン変性メチルポリシロキサンを含有せしめることが好ましいことも分かった。
【0037】
【表9】

【0038】
<評価例2>
日焼け後1日の人5人に右腕に皮膚外用剤1を、左腕に比較例1を塗布してもらい、塗布時と塗布後の刺激感を答えてもらった。結果は5人とも皮膚外用剤1の方が刺激感を感じないと答えた。これはアルコール添加によるのびの改善によるものであると推察する。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、紫外線防護化粧料等の皮膚外用剤に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)粉体、2)低級アルコール、及び3)グリセリン変性メチルポリシロキサンを含有する乳化剤形の皮膚外用剤の製造方法であって、
前記1)粉体と、3)グリセリン変性メチルポリシロキサンとを、油性担体に分散させ、スラリーとする工程、及び 前記スラリーと2)低級アルコール3〜20質量%を混合して乳化させる工程、を含む皮膚外用剤の製造方法。
【請求項2】
前記油性担体は、ジメチコン及び/又はシクロメチコンを含む、請求項1に記載の皮膚外用剤の製造方法。
【請求項3】
前記1)粉体は、二酸化チタン及び/又は酸化亜鉛を含む、請求項1または2に記載の皮膚外用剤の製造方法。
【請求項4】
前記低級アルコールは、エタノール及び/又はイソプロパノールを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤の製造方法。
【請求項5】
前記2)低級アルコールの含有量は、5〜15質量%である、請求項1から4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤の製造方法。
【請求項6】
前記2)低級アルコールの含有量は、6〜10質量%である、請求項1から4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤の製造方法。



【公開番号】特開2013−35872(P2013−35872A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−228518(P2012−228518)
【出願日】平成24年10月16日(2012.10.16)
【分割の表示】特願2007−257678(P2007−257678)の分割
【原出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】