説明

乳房内皮細胞発現パターン

乳房腫瘍血管形成のより良好な理解を得るために、乳房内皮細胞(EC)を単離し、および遺伝子発現パターンを評価した。正常および悪性の乳房組織由来の乳房ECからの転写物が比較された場合、腫瘍関連乳房内皮において特異的に上昇した遺伝子が明らかにされた。これらの結果は、ヒト乳房における新生物内皮および正常な内皮が分子レベルで識別可能であること、および将来において抗血管形成治療の開発のための顕著な意味を有することを確証する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管形成および抗血管形成の分野に関する。詳細には、本発明は乳房腫瘍内皮細胞中で特徴的に発現される遺伝子に関する。なお、本願は、2003年4月1日に出願された米国仮出願出願番号第60/458,960号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
現在まで、内皮細胞特異的集団からの全体的な遺伝子発現プロフィールは、正常組織および腫瘍形成性の結腸組織に限られている[St Croix, 2000]。結腸でない腫瘍についての診断的および治療的な薬剤が開発されることが可能であるように、他の組織からの内皮細胞の分析の必要性が当技術分野において存在する。
【発明の開示】
【0003】
発明の概要
本発明の一つの態様によれば、乳房腫瘍の診断を補助するための方法が提供される。新生物であることが疑われる第1の乳房組織試料における少なくとも1種の遺伝子の発現産物(タンパク質またはRNA)が検出される。
少なくとも1種の遺伝子は、仮想タンパク質DKFZp434G171;熱ショック70kDaタンパク質1A;ジャグド1(アラジル(Alagille)症候群);サイクリン依存性キナーゼ3;6-ホスホグルコノラクトナーゼ;ラットおよびマウスのレチノイド誘導性セリンカルボキシペプチダーゼの可能性のあるホモログ;原形質膜小胞関連タンパク質;NADH:ユビキノンオキシドレダクターゼMLRQサブユニットホモログ;HIF-1応答性RTP801;リボソームタンパク質L27;分泌タンパク質、酸性、システインリッチ(オステオネクチン);ヘキソキナーゼ1;リボソームタンパク質L13a;コラーゲン、IV型、α1;インスリン様成長因子結合タンパク質7;コラーゲン、III型、α1(IV型エーラース-ダンロー症候群、常染色体優性);熱ショック10kDaタンパク質1(シャペロニン10);カルシウムチャネル、電位依存性、α1Hサブユニット;CD9抗原(p24);TEM17;TEM13、Thy-1細胞表面抗原;Tax相互作用タンパク質1;ジスフェリン、肢帯筋ジストロフィー2B(常染色体劣性);仮想のタンパク質MGC34648;推定の翻訳開始因子;インスリン様成長因子結合タンパク質4;マトリックスメタロプロテイナーゼ9(ゼラチナーゼB、92kDaゼラチナーゼ、92kDa IV型コラゲナーゼ);異種核リボヌクレオタンパク質R;bHLH因子Hes4;コラーゲン、VI型、α2;T-ボックス2;グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ;G-タンパク質共役レセプター4;コラーゲン、I型、α1;ras関連C3ボツリヌス毒素基質1(rhoファミリー、低分子量GTP結合タンパク質Rac1);リボソームタンパク質、ラージ、P1;TEM10、COL1A2、組織再構築に関与;熱ショック70kDaタンパク質8;KIAA0152遺伝子産物;Ca2+促進性Rasインアクチベーター;セリン/アルギニン反復性マトリックス2;低酸素症誘導性因子1、αサブユニット(塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス転写因子);ベンゾジアゼピンレセプター(末梢);エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼ1;ヘパラン硫酸プロテオグリカン2(パーレカン);フィブロモジュリン;YRPWモチーフ1と関連するスプリットの毛様/エンハンサー;コラーゲン、V型、α3;YRPWモチーフ様と関連するスプリットの毛様/エンハンサー;仮想タンパク質MGC2731;スプリットのアミノ末端エンハンサー;マイトジェン活性化プロテインキナーゼ9;Gタンパク質シグナル伝達のレギュレーター5;プロサイモシン、α(遺伝子配列28);チューブリン、β、2;プロテアーゼ、セリン、23;仮想タンパク質FLJ20898;カルパイン1、(mu/I)ラージサブユニット;インターフェロン、α誘導性タンパク質(クローンIFI-6-16);EST、T25031仮想タンパク質T20D3.3-Caenorhabditis elegans[C.elegans]に弱く類似;主要組織適合複合体、クラスI、C;低酸素症アップレギュレート1;補体成分4B;プレフォールジン2;細胞骨格結合タンパク質1;Rho GTPase活性化タンパク質4;Homo sapiensクローンFLC1492 PRO3121 mRNA、完全cds;スプリット2(E(sp1)ホモログ、ショウジョウバエ)のトランスデューシン様エンハンサー;リボソームタンパク質L37;仮想タンパク質MGG4677;EST、MT1A_HUMAN METALLOTHIONEIN-IA(MT-1A)[H.sapiens]に高度に類似;TEM11、ニドジェン(エナクチン(enactin));グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)、γ5;マトリックスGlaタンパク質;熱ショック105kD;GNAS複合体遺伝子座;Homo sapiens cDNA FLJ11658 fis、クローンHEMBA1004577;H19、インプリントされた母性的に発現された非翻訳mRNA;タンパク質チロシンホスファターゼIVA型、メンバー3;スネイルホモログ1(ショウジョウバエ);インテグリン結合シアロタンパク質(骨シアロタンパク質、骨シアロタンパク質II);メタロプロテイナーゼ1の組織インヒビター(赤血球強化活性、コラゲナーゼインヒビター);ペプチジルプロリルイソメラーゼB(サイクロフィリンB);MARCKS様タンパク質;FASTキナーゼ;プロテアーゼ、セリン11(IGF結合);β-2-ミクログロブリン;デルタ睡眠誘導ペプチド、免疫リアクター;コラーゲン、IV型、α2;最初期応答3;カドヘリン5、2型、VE-カドヘリン(血管上皮);RGC32タンパク質;グアニル酸シクラーゼ1、可溶性、β3;主要組織適合複合体、クラスI、B;リボヌクレアーゼ、RNaseAファミリー、1(膵臓);コラーゲン、XVIII型、α1;v-jun肉腫ウイルス17オンコジーンホモログ(鳥類);Homo sapiens mRNA;cDNA DKFZp686G1610(クローンDKFZp686G1610由来);ヌクレオリン;レクチン、ガラクトシド結合、可溶性、3結合タンパク質;リソソーム結合マルチスパニング膜タンパク質-5;リボソームタンパク質S16;グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)、γ12;セリン(またはシステイン)プロテイナーゼインヒビター、クレードE(ネキシン、プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1型)、メンバー1;ビグリカン;DnaJ(Hsp40)ホモログ、サブファミリーB、メンバー1;腫瘍拒絶抗原(gp96)1;インターフェロン、α-誘導性タンパク質(クローンIFI-15K);溶質キャリアファミリー21(プロスタグランジントランスポーター)、メンバー2;CD74抗原(主要組織適合複合体、クラスII抗原関連のインバリアントポリペプチド);血清/糖質コルチコイド調節キナーゼ;マイトジェン活性化プロテインキナーゼ;レセプター(カルシトニン)活性修飾タンパク質3;セマドメイン、免疫グロブリンドメイン(Ig);ベンゾジアゼピンレセプター(末梢)-ミトコンドリア;C1ドメイン含有ホスファターゼおよびテンシン様;ならびにノッチホモログ3(ショウジョウバエ)からなる群より選択される。第1の乳房組織試料中の少なくとも1種の遺伝子の発現は、正常である第2の乳房組織試料中の少なくとも1種の遺伝子の発現と比較される。第2の組織試料に対する第1の乳房内皮組織試料中の少なくとも1種の遺伝子の発現の増加により、第1の乳房組織試料が、新生物の可能性があると同定される。
【0004】
本発明の別の態様によれば、乳房腫瘍を治療する方法が提供される。乳房腫瘍の細胞は抗体と接触させる。抗体は、ベンゾジアゼピンレセプター(末梢);カドヘリン5、2型、VE-カドヘリン(血管上皮);カルシウムチャネル、電位依存性、α1Hサブユニット;CD74抗原(主要組織適合複合体、クラスII抗原関連のインバリアントポリペプチド);CD9抗原(p24);ジスフェリン、肢帯筋ジストロフィー2B(常染色体劣性);エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼ1;Gタンパク質共役レセプター4;仮想タンパク質FLJ20898;低酸素症アップレギュレート1;最初期応答3;インターフェロン、α誘導性タンパク質(クローンIFI-6-16);ジャグド1(アラジル症候群);KIAA0152遺伝子産物;リソソーム結合マルチスパニング膜タンパク質-5;主要組織適合複合体、クラスI、B;主要組織適合複合体、クラスI、C;NADH:ユビキノンオキシドレダクターゼMLRQサブユニットホモログ;ノッチホモログ3(ショウジョウバエ);原形質膜小胞関連タンパク質;溶質キャリアファミリー21(プロスタグランジントランスポーター)、メンバー2;TEM13、Thy-1細胞表面抗原;レセプター(カルシトニン)活性修飾タンパク質3;セマドメイン、免疫グロブリンドメイン(Ig);ベンゾジアゼピンレセプター(末梢)-ミトコンドリア;およびTEM17からなる群より選択されるタンパク質の細胞外エピトープに特異的に結合する。それによって乳房腫瘍の細胞の免疫破壊が引き起こされる。
【0005】
本発明のさらに別の態様によれば、潜在的な抗癌剤または抗乳房腫瘍剤としての試験化合物を同定する方法が提供される。試験化合物は、仮想タンパク質DKFZp434G171;熱ショック70kDaタンパク質1A;ジャグド1(アラジル症候群);サイクリン依存性キナーゼ3;6-ホスホグルコノラクトナーゼ;ラットおよびマウスのレチノイド誘導性セリンカルボキシペプチダーゼの可能性のあるホモログ;原形質膜小胞関連タンパク質;NADH:ユビキノンオキシドレダクターゼMLRQサブユニットホモログ;HIF-1応答性RTP801;リボソームタンパク質L27;分泌タンパク質、酸性、システインリッチ(オステオネクチン);ヘキソキナーゼ1;リボソームタンパク質L13a;コラーゲン、IV型、α1;インスリン様成長因子結合タンパク質7;コラーゲン、III型、α1(IV型エーラース-ダンロー症候群、常染色体優性);熱ショック10kDaタンパク質1(シャペロニン10);カルシウムチャネル、電位依存性、α1Hサブユニット;CD9抗原(p24);TEM17;TEM13、Thy-1細胞表面抗原;Tax相互作用タンパク質1;ジスフェリン、肢帯筋ジストロフィー2B(常染色体劣性);仮想のタンパク質MGC34648;推定の翻訳開始因子;インスリン様成長因子結合タンパク質4;マトリックスメタロプロテイナーゼ9(ゼラチナーゼB、92kDaゼラチナーゼ、92kDa IV型コラゲナーゼ);異種核リボヌクレオタンパク質R;bHLH因子Hes4;コラーゲン、VI型、α2;T-ボックス2;グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ;G-タンパク質共役レセプター4;コラーゲン、I型、α1;ras関連C3ボツリヌス毒素基質1(rhoファミリー、低分子量GTP結合タンパク質Rac1);リボソームタンパク質、ラージ、P1;TEM10、COL1A2、組織再構築に関与;熱ショック70kDaタンパク質8;KIAA0152遺伝子産物;Ca2+促進性Rasインアクチベーター;セリン/アルギニン反復性マトリックス2;低酸素症誘導性因子1、αサブユニット(塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス転写因子);ベンゾジアゼピンレセプター(末梢);エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼ1;ヘパラン硫酸プロテオグリカン2(パーレカン);フィブロモジュリン;YRPWモチーフ1と関連するスプリットの毛様/エンハンサー;コラーゲン、V型、α3;YRPWモチーフ様と関連するスプリットの毛様/エンハンサー;仮想タンパク質MGC2731;スプリットのアミノ末端エンハンサー;マイトジェン活性化プロテインキナーゼ9;Gタンパク質シグナル伝達のレギュレーター5;プロサイモシン、α(遺伝子配列28);チューブリン、β、2;プロテアーゼ、セリン、23;仮想タンパク質FLJ20898;カルパイン1、(mu/I)ラージサブユニット;インターフェロン、α誘導性タンパク質(クローンIFI-6-16);EST、T25031仮想タンパク質T20D3.3-Caenorhabditis elegans[C.elegans]に弱く類似;主要組織適合複合体、クラスI、C;低酸素症アップレギュレート1;補体成分4B;プレフォールジン2;細胞骨格結合タンパク質1;Rho GTPase活性化タンパク質4;Homo sapiensクローンFLC1492 PRO3121 mRNA、完全cds;スプリット2(E(sp1)ホモログ、ショウジョウバエ)のトランスデューシン様エンハンサー;リボソームタンパク質L37;仮想タンパク質MGG4677;EST、MT1A_HUMAN METALLOTHIONEIN-IA(MT-1A)[H.sapiens]に高度に類似;TEM11、ニドジェン(エナクチン);グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)、γ5;マトリックスGlaタンパク質;熱ショック105kD;GNAS複合体遺伝子座;Homo sapiens cDNA FLJ11658 fis、クローンHEMBA1004577;H19、インプリントされた母性的に発現された非翻訳mRNA;タンパク質チロシンホスファターゼIVA型、メンバー3;スネイルホモログ1(ショウジョウバエ);インテグリン結合シアロタンパク質(骨シアロタンパク質、骨シアロタンパク質II);メタロプロテイナーゼ1の組織インヒビター(赤血球強化活性、コラゲナーゼインヒビター);ペプチジルプロリルイソメラーゼB(サイクロフィリンB);MARCKS様タンパク質;FASTキナーゼ;プロテアーゼ、セリン11(IGF結合);β-2-ミクログロブリン;デルタ睡眠誘導ペプチド、免疫リアクター;コラーゲン、IV型、α2;最初期応答3;カドヘリン5、2型、VE-カドヘリン(血管上皮);RGC32タンパク質;グアニル酸シクラーゼ1、可溶性、β3;主要組織適合複合体、クラスI、B;リボヌクレアーゼ、RNaseAファミリー、1(膵臓);コラーゲン、XVIII型、α1;v-jun肉腫ウイルス17オンコジーンホモログ(鳥類);Homo sapiens mRNA;cDNA DKFZp686G1610(クローンDKFZp686G1610由来);ヌクレオリン;レクチン、ガラクトシド結合、可溶性、3結合タンパク質;リソソーム結合マルチスパニング膜タンパク質-5;リボソームタンパク質S16;グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)、γ12;セリン(またはシステイン)プロテイナーゼインヒビター、クレードE(ネキシン、プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1型)、メンバー1;ビグリカン;DnaJ(Hsp40)ホモログ、サブファミリーB、メンバー1;腫瘍拒絶抗原(gp96)1;インターフェロン、α-誘導性タンパク質(クローンIFI-15K);溶質キャリアファミリー21(プロスタグランジントランスポーター)、メンバー2;CD74抗原(主要組織適合複合体、クラスII抗原関連のインバリアントポリペプチド);血清/糖質コルチコイド調節キナーゼ;マイトジェン活性化プロテインキナーゼ;レセプター(カルシトニン)活性修飾タンパク質3;セマドメイン、免疫グロブリンドメイン(Ig);ベンゾジアゼピンレセプター(末梢)-ミトコンドリア;C1ドメイン含有ホスファターゼおよびテンシン様;ならびにノッチホモログ3(ショウジョウバエ)からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子を発現する細胞に接触させる。少なくとも1種の遺伝子の発現産物がモニターされる。試験化合物は、それが少なくとも1種の遺伝子の発現を減少する場合に潜在的な抗癌剤であると同定される。
【0006】
本発明のなお別の態様は、乳房腫瘍に対する免疫応答を誘導するための方法である。タンパク質またはタンパク質をコードする核酸は、哺乳動物、好ましくはヒトに投与される。タンパク質は、仮想タンパク質DKFZp434G171;熱ショック70kDaタンパク質1A;ジャグド1(アラジル症候群);サイクリン依存性キナーゼ3;6-ホスホグルコノラクトナーゼ;ラットおよびマウスのレチノイド誘導性セリンカルボキシペプチダーゼの可能性のあるホモログ;原形質膜小胞関連タンパク質;NADH:ユビキノンオキシドレダクターゼMLRQサブユニットホモログ;HIF-1応答性RTP801;リボソームタンパク質L27;分泌タンパク質、酸性、システインリッチ(オステオネクチン);ヘキソキナーゼ1;リボソームタンパク質L13a;コラーゲン、IV型、α1;インスリン様成長因子結合タンパク質7;コラーゲン、III型、α1(IV型エーラース-ダンロー症候群、常染色体優性);熱ショック10kDaタンパク質1(シャペロニン10);カルシウムチャネル、電位依存性、α1Hサブユニット;CD9抗原(p24);TEM17;TEM13、Thy-1細胞表面抗原;Tax相互作用タンパク質1;ジスフェリン、肢帯筋ジストロフィー2B(常染色体劣性);仮想のタンパク質MGC34648;推定の翻訳開始因子;インスリン様成長因子結合タンパク質4;マトリックスメタロプロテイナーゼ9(ゼラチナーゼB、92kDaゼラチナーゼ、92kDa IV型コラゲナーゼ);異種核リボヌクレオタンパク質R;bHLH因子Hes4;コラーゲン、VI型、α2;T-ボックス2;グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ;G-タンパク質共役レセプター4;コラーゲン、I型、α1;ras関連C3ボツリヌス毒素基質1(rhoファミリー、低分子量GTP結合タンパク質Rac1);リボソームタンパク質、ラージ、P1;TEM10、COL1A2、組織再構築に関与;熱ショック70kDaタンパク質8;KIAA0152遺伝子産物;Ca2+促進性Rasインアクチベーター;セリン/アルギニン反復性マトリックス2;低酸素症誘導性因子1、αサブユニット(塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス転写因子);ベンゾジアゼピンレセプター(末梢);エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼ1;ヘパラン硫酸プロテオグリカン2(パーレカン);フィブロモジュリン;YRPWモチーフ1と関連するスプリットの毛様/エンハンサー;コラーゲン、V型、α3;YRPWモチーフ様と関連するスプリットの毛様/エンハンサー;仮想タンパク質MGC2731;スプリットのアミノ末端エンハンサー;マイトジェン活性化プロテインキナーゼ9;Gタンパク質シグナル伝達のレギュレーター5;プロサイモシン、α(遺伝子配列28);チューブリン、β、2;プロテアーゼ、セリン、23;仮想タンパク質FLJ20898;カルパイン1、(mu/I)ラージサブユニット;インターフェロン、α誘導性タンパク質(クローンIFI-6-16);EST、T25031仮想タンパク質T20D3.3-Caenorhabditis elegans[C.elegans]に弱く類似;主要組織適合複合体、クラスI、C;低酸素症アップレギュレート1;補体成分4B;プレフォールジン2;細胞骨格結合タンパク質1;Rho GTPase活性化タンパク質4;Homo sapiensクローンFLC1492 PRO3121 mRNA、完全cds;スプリット2(E(sp1)ホモログ、ショウジョウバエ)のトランスデューシン様エンハンサー;リボソームタンパク質L37;仮想タンパク質MGG4677;EST、MT1A_HUMAN METALLOTHIONEIN-IA(MT-1A)[H.sapiens]に高度に類似;TEM11、ニドジェン(エナクチン);グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)、γ5;マトリックスGlaタンパク質;熱ショック105kD;GNAS複合体遺伝子座;Homo sapiens cDNA FLJ11658 fis、クローンHEMBA1004577;H19、インプリントされた母性的に発現された非翻訳mRNA;タンパク質チロシンホスファターゼIVA型、メンバー3;スネイルホモログ1(ショウジョウバエ);インテグリン結合シアロタンパク質(骨シアロタンパク質、骨シアロタンパク質II);メタロプロテイナーゼ1の組織インヒビター(赤血球強化活性、コラゲナーゼインヒビター);ペプチジルプロリルイソメラーゼB(サイクロフィリンB);MARCKS様タンパク質;FASTキナーゼ;プロテアーゼ、セリン11(IGF結合);β-2-ミクログロブリン;デルタ睡眠誘導ペプチド、免疫リアクター;コラーゲン、IV型、α2;最初期応答3;カドヘリン5、2型、VE-カドヘリン(血管上皮);RGC32タンパク質;グアニル酸シクラーゼ1、可溶性、β3;主要組織適合複合体、クラスI、B;リボヌクレアーゼ、RNaseAファミリー、1(膵臓);コラーゲン、XVIII型、α1;v-jun肉腫ウイルス17オンコジーンホモログ(鳥類);Homo sapiens mRNA;cDNA DKFZp686G1610(クローンDKFZp686G1610由来);ヌクレオリン;レクチン、ガラクトシド結合、可溶性、3結合タンパク質;リソソーム結合マルチスパニング膜タンパク質-5;リボソームタンパク質S16;グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)、γ12;セリン(またはシステイン)プロテイナーゼインヒビター、クレードE(ネキシン、プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1型)、メンバー1;ビグリカン;DnaJ(Hsp40)ホモログ、サブファミリーB、メンバー1;腫瘍拒絶抗原(gp96)1;インターフェロン、α-誘導性タンパク質(クローンIFI-15K);溶質キャリアファミリー21(プロスタグランジントランスポーター)、メンバー2;CD74抗原(主要組織適合複合体、クラスII抗原関連のインバリアントポリペプチド);血清/糖質コルチコイド調節キナーゼ;マイトジェン活性化プロテインキナーゼ;レセプター(カルシトニン)活性修飾タンパク質3;セマドメイン、免疫グロブリンドメイン(Ig);ベンゾジアゼピンレセプター(末梢)-ミトコンドリア;C1ドメイン含有ホスファターゼおよびテンシン様;ならびにノッチホモログ3(ショウジョウバエ)からなる群より選択される。タンパク質に対する免疫応答がそれによって誘導される。
【0007】
従って、本発明は、乳房腫瘍を診断する方法および治療する方法を当技術分野に提供する。
【0008】
発明の詳細な説明
SAGE(遺伝子発現の連続分析(Serial Analysis of Gene Expression))プロフィールを使用して、本発明者らは、非増殖性細胞と病理的内皮細胞との間を区別する、以前に認識されていない、血管形成特異的マーカーを同定することが可能であった。さらに、他の腫瘍型(結腸および/または脳)から以前に同定された血管形成特異的マーカーのセットは、同様に乳房腫瘍内皮において発現されることが見い出された。本発明者らは、正常乳房内皮においてよりも乳房腫瘍内皮において有意に高いレベルで発現した111種のヒト遺伝子を同定した。表1を参照されたい。11種のヒト遺伝子に対して同様に使用されることが可能であるさらなるこのような遺伝子は表2に示される。本発明者らは、これらのマーカーをBEM(乳房腫瘍内皮マーカー(breast tumor endothelial markers))と名付けた。結腸と乳房の両方の腫瘍上皮において発現されるBEMは表3において同定される。脳と乳房の両方の腫瘍上皮において発現されるBEMは表4において同定される。脳、結腸および乳房のそれぞれの腫瘍内皮において発現されるBEMは表5において同定される。
【0009】
(表1)111種の乳房マーカー



【0010】
(表2)乳房におけるさらなる腫瘍内皮マーカー

【0011】
(表3)結腸および乳房の腫瘍上皮におけるマーカー

【0012】
(表4)脳および乳房の腫瘍上皮におけるマーカー

【0013】
(表5)乳房、脳、および結腸腫瘍の内皮マーカー

【0014】
内皮細胞(EC)は、正常組織または腫瘍組織中での全体の細胞のマイナーな画分のみを表し、より高いレベルで発現されたEC転写物のみが分画されていない組織から構築されたライブラリー中で表されることが期待される。それゆえに、現在の研究において記載される遺伝子は、未来におけるヒト乳房血管形成の基礎的および臨床的な研究のための価値ある資源を提供する。
【0015】
本発明に従う単離および精製された核酸は、それらがヒトゲノム中で連結された遺伝子には連結されていない核酸である。さらに、それらは、別個の遺伝子から区別される多数の配列を含むライブラリーのような混合物中には存在しない。しかし、それらは、それらが天然には隣接しないベクター配列または他の遺伝子の配列のような他の遺伝子に連結され得る。
【0016】
核酸配列は、センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれかを表し得る。核酸およびタンパク質は特定の配列を伴って本明細書中で開示されたが、単一の個体に由来し得る。ヒトの集団中に存在する対立遺伝子改変体は、このような核酸およびタンパク質の範囲内に含まれる。当業者は、同じ遺伝子またはタンパク質であるとして対立遺伝子改変体を十分に同定することができる。核酸が与えられれば、当業者は容易に存在するオープンリーディングフレームを、および結果的にそのオープンリーディングフレームによってコードされるポリペプチドの配列を決定することができ、そして当該分野において周知の技術を使用して、適切な宿主中でこのようなタンパク質を発現することができる。このようなポリペプチドを含むタンパク質は、天然に存在するタンパク質、ヒトまたは他の種由来の他の遺伝子からの外因性配列を含む融合タンパク質、エピトープタグ化ポリペプチドなどであり得る。単離および精製されたタンパク質は細胞中になく、核酸、脂質などのような通常の細胞構成成分から分離されている。代表的には、タンパク質は、それがタンパク質の優勢な種を含むような程度まで、例えば、存在するタンパク質の50%、60%、70%、80%、90%、または95%さえよりも高くまで精製される。
【0017】
本発明に従うタンパク質を使用して、当業者は、タンパク質に特異的に結合する抗体を容易に産生し得る。このような抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。これらは、キメラ抗体、ヒト化抗体、または全体としてヒト抗体であり得る。Fab、Fab'、Fab2、Fab'2、および単鎖可変領域を含む、抗体の任意の機能的フラグメントまたは誘導体が使用され得る。フラグメントまたは誘導体が内皮マーカータンパク質についての結合の特異性を保持する限り、それは使用され得る。抗体は、所定の一連の条件下での関連性のない抗原または抗原の混合物への結合に対して適切な抗原への結合を比較することによって結合の特異性について試験され得る。抗体が、関連性のない抗原または抗原の混合物よりも適切な抗原に少なくとも2倍、5倍、7倍、および好ましくは10倍結合するならば、これは特異的であると見なされる。
【0018】
このような部分的なヒト抗体から完全なヒト抗体までを作製するための技術は当該分野において公知であり、任意のそのような技術が使用され得る。1つの特に好ましい態様に従って、完全なヒト抗体配列は、ヒト重鎖抗体遺伝子およびヒト軽鎖抗体遺伝子を発現するように操作されたトランスジェニックマウスにおいて作製される。異なるクラスの抗体を産生し得るこのようなトランスジェニックマウスの複数の系統が作製され得る。所望の抗体を産生するトランスジェニックマウスからのB細胞は、所望の抗体の継続的な産生のためのハイブリドーマ細胞株を作製するために融合され得る。例えば、以下を参照されたい:



【0019】
抗体はまた、ファージディスプレイ技術を使用して作製され得る。このような技術は最初の抗体を単離するために、または変化した特異性または結合活性特性を有する改変体を生成するために使用され得る。単鎖Fvもまた、好都合に使用され得る。これらは、所望される場合、ワクチン投与されたトランスジェニックマウスから作製され得る。抗体は、細胞培養、ファージ、または種々の動物(雌ウシ、ウサギ、ヤギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、類人猿を含むがこれらに限定されない)中で産生され得る。
【0020】
抗体は、放射性原子、発色団、蛍光団などのような検出可能な部分で標識され得る。このような標識された抗体は、インビボまたは単離された試験試料のいずれかにおいて、診断的技術のために使用され得る。抗体はまた、例えば、化学療法剤または毒素のような薬学的剤に結合体化され得る。これらは、サイトカイン、リガンド、別の抗体に結合され得る。抗腫瘍効果を達成するために抗体に結合するための適切な薬剤には、インターロイキン2(IL-2)および腫瘍壊死因子(TNF)のようなサイトカイン;光線力学的治療における使用のための光増感剤(アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホネート、ヘマトポルフィリン、およびフタロシアニンを含む);ヨウ素-131(131I)、イットリウム-90(90Y)、ビスマス-212(212Bi)、ビスマス-213(213Bi)、テクネチウム-99m(99mTc)、レニウム-186(186Re)、およびレニウム-188(188Re)のような放射性核種;ドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、メトトレキサート、ダウノマイシン、ネオカルチノスタチン、およびカルボプラチンのような抗生物質;ジフテリア毒素、pseudomonas外毒素A、staphylococcalエンテロトキシンA、abrin-A毒素、リシンA(脱グリコシル化リシンAおよび未変性リシンA)、TGFα毒素、チャイニーズコブラ(naja naja atra)由来のサイトトキシン、およびゲロニン(植物毒素)のような細菌、植物、および他の毒素;レストリクトシン(Aspergillus restrictusによって産生されるリボソーム不活性化タンパク質)、サポリン(Saponaria officinalisからのリボソーム不活性化タンパク質)、およびRNaseのような植物、細菌、および真菌からのリボソーム不活性化タンパク質;チロシンキナーゼインヒビター;ly207702(2フッ素化プリンヌクレオチド);抗腫瘍剤を含むリポソーム(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、毒素、メトトレキサートなどをコードするプラスミド);および他の抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab))が含まれる。
【0021】
当業者は、それらが当該分野において周知であるので、このような抗体誘導体を容易に理解しかつ作製することができる。この抗体は、それら自体上で細胞傷害性であり得、またはこれらは身体の特定の位置に細胞傷害性薬剤を送達するために使用され得る。抗体は、受動免疫の形態としての必要に応じて個体に投与され得る。
【0022】
タンパク質配列からの細胞表面についての細胞外領域および分泌タンパク質の特徴付けは、シグナル配列、膜貫通ドメイン、および機能的ドメインの予測に基づく。抗体は、好ましくは、膜結合タンパク質と免疫反応性であり、特にそのようなタンパク質の細胞外ドメインに、または分泌タンパク質に対してであり得る。このような標的は、細胞または核の内部への接近を代表的には有しない抗体に対して容易に接近可能である。しかし、いくつかの適用において、細胞内タンパク質に指向された抗体が同様に有用であり得る。さらに、診断目的のために、細胞内タンパク質は等しく良好な標的であり得る。なぜなら、細胞溶解物が全細胞アッセイよりもむしろ使用され得るからである。
【0023】
コンピュータプログラムが、その配列が未知であるタンパク質の細胞外ドメインを同定するために使用され得る。そのようなプログラムには、SMARTソフトウェア(Schultzら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95 : 5857-5864, 1998)および Pfamソフトウェア(BaBEManら、Nucleic acids Res. 28 : 263-266,2000) ならびにPSORTIIが含まれる。代表的には、そのようなプログラムは膜貫通ドメインを同定し;細胞外ドメインは膜貫通ドメインにじかに隣接すると同定される。細胞外ドメインおよびシグナル切断部位の予測は近似的にすぎない。これは、+5残基または-5残基の誤差の限界を有し得る。シグナル配列は、より高い正確さのために3つの異なる方法を使用して予測され得る(Nielsenら、Protein Engineering 10: 1-6,1997、 Jaglaら、Bioinformatics 16: 245-250,2000, Nakai, KおよびHorton, P. Trends in Biochem. Sci. 24: 34-35,1999)。同様に、膜貫通(TM)ドメインは複数の予測方法によって同定され得る(Pasquierら、Protein Eng. 12: 381-385,1999, Sonnhammerら、Proc. of Sixth Int. Conf. on Intelligent Systems for Molecular Biology, 175-182頁, J. Glasgow, T. Littlejohn, F. Major, R. Lathrop, D. Sankoff, and C. Sensen Menlo Park, CA編: AAAI Press, 1998, Kleinら、Biochim. Biophys. Acta, 815: 468,1985, NakaiおよびKanehisa Genomics, 14: 897-911,1992)。不明瞭な場合において、十分に特徴付けられたタンパク質中の機能的ドメインの位置が、細胞局在化を割り当てるためのガイドとして使用される。
【0024】
新規なタンパク質の推定の機能または機能ドメインは、BLAST検索 (Altschulら、Nucleic Acid Res. 25: 3389-3402,1997) によって、ならびに/またはPfam(BaBEManら、Nucleic Acids Res. 27: 260-262 1999) 、BLOCKS (Henikoffら、Nucl. Acids Res. 28: 228- 230,2000)、およびSMART (Pontingら、Nucleic Acid Res. 27,229-232, 1999) のような保存性ドメインデータベースから、同定されたデータベース中の相同領域から推測され得る。細胞外ドメインには、単一の膜貫通ドメインタンパク質(アウト-インまたはI型クラス)中の膜貫通ドメインに隣接する領域が含まれる。複数の膜貫通ドメインタンパク質について、細胞外ドメインはまた、2つの隣接する膜貫通ドメイン(イン-アウトおよびアウト-イン)の間の領域を含む。N末端領域が細胞質性であるII型膜貫通ドメインについては、膜貫通ドメインの後の領域は一般的に細胞外である。他方、分泌されたタンパク質は膜貫通ドメインを有さず、それゆえに、全体のタンパク質が細胞外と見なされる。
【0025】
膜結合タンパク質は膜貫通ドメインを欠失するように操作され得、従って、リガンドに結合し得る細胞外部分を遊離させる。このような可溶性型の膜貫通レセプタータンパク質は、リガンドへの結合のための天然型と競合させるために使用され得る。従って、このような可溶性型はインヒビターとして機能し、抗血管形成剤として治療的に、天然のリガンドの定量のための診断ツールとして、およびBEM:リガンド複合体の活性を調節または模倣する低分子の同定のためのアッセイにおいて使用され得る。
【0026】
代替的には、内皮マーカーそれ自体がワクチン投与された動物またはヒトにおける免疫応答を惹起するためのワクチンとして使用され得る。このような使用のために、関心対象の細胞内、細胞外、または分泌性のBEMに対応するタンパク質またはこのようなタンパク質の免疫原性フラグメントが被験体に投与される。免疫原性薬剤は精製された調製物として、または適切に発現された細胞中で提供され得る。投与は、被験体に対する免疫原性薬剤の送達によって直接的であり得るか、または、被験体中で関心対象の免疫原性薬剤の発現を生じる条件下での免疫原性薬剤をコードする核酸の送達を通して間接的であり得る。関心対象のBEMは、乳房腫瘍内皮細胞の精製された集団または融合された乳房腫瘍内皮細胞および樹状細胞の集団のような発現細胞中で送達され得る。関心対象のBEMをコードする核酸はウイルス性または非ウイルス性の送達ベクターまたはビヒクル中で送達され得る。関心対象のヒトBEMまたは他の哺乳動物ホモログをコードする非ヒト配列が、ヒト被験体中の所望の免疫応答を誘導するために使用され得る。本発明のBEMのいくつかについては、マウス、ラット、または他のオルソログ配列が文献からもしくは当該分野に十分にある技術を使用して入手され得る。
【0027】
内皮細胞特異的であると本明細書に開示されているマーカーを使用して内皮細胞が同定され得る。これらのマーカーに対して特異的な抗体は、抗体をいくつかの内皮細胞を含む細胞の集団と接触させることによって、このような細胞を同定するために使用され得る。抗体と交差反応性の物質の存在は、特定の細胞を内皮性であると同定する。同様に、細胞の溶解物は、交差反応性物質の存在について試験され得る。交差反応性物質を検出するための任意の公知の様式または技術が使用され得、これには、イムノブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA、免疫沈降、および免疫組織化学が含まれる。さらに、これらのマーカーのための核酸プローブもまた、内皮細胞を同定するために使用され得る。ノーザンブロッティング、RT-PCR、マイクロアッセイ、ハイブリダイゼーション、およびインサイチューハイブリダイゼーションを含む、当該分野において公知のハイブリダイゼーション技術が使用され得る。
【0028】
1種または複数のBEMを含むことが疑われる細胞を試験して、診断目的のために乳房腫瘍内皮細胞を同定し得る。被験体の組織と身体の両方を試験し得る。例えば、細胞内および膜結合BEMの証明のため、ならびに分泌されたBEMのために、患者の血液を試験し得る。本明細書中において特に興味深いのは、乳房腺管液の試験である。細胞内および/または膜結合BEMは、これらの因子の高レベル発現の結果として、および/またはBEMを発現する細胞の溶解を通して、体液中に存在し得る。
【0029】
種々の型の内皮細胞の集団がまた、本発明の内皮マーカーに対する抗体を使用して作製され得る。この抗体は、蛍光活性化セルソーティングを含むがこれに限定されない、当該分野で公知の任意の技術に従って細胞集団を精製するために使用され得る。このような技術は、正常、腫瘍、または汎内皮的であるかに関わらず、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、および99%でさえの所望される内皮細胞である集団の単離を可能にする。抗体は、このような集団をポジティブに選択するのとネガティブに選択するのの両方のために使用され得る。好ましくは、適切なマーカーの少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、または25%が内皮細胞集団によって発現される。
【0030】
本明細書中に記載されるように作製された内皮細胞の集団は、腫瘍の血管構造の増殖を阻害することによって、腫瘍の増殖を阻害することに適切な因子を同定するための薬物をスクリーニングするために使用され得る。
【0031】
本明細書中に記載されるように作製された内皮細胞の集団は、腫瘍の血管系の増殖を阻害することによって、腫瘍もしくは他の望ましくない血管構造の増殖を阻害すること、または代替的には、内皮細胞の増殖を促進し、および従って、新規なもしくはさらなる大きな血管もしくは微小血管構造を刺激することのような、血管形成を調節することに適切なものを同定するための候補薬物をスクリーニングするために使用され得る。
【0032】
内皮細胞の増殖を阻害することは、対照系と比較した場合に、すでに存在している血管構造の退化、または処理した系における新規な血管新生の発生の遅延化もしくは非存在のいずれかを意味する。内皮細胞の増殖を刺激することによって、新規な血管構造の発生(新血管形成)またはさらなる血管構造の発生(血管再生)に影響を与え得る。所定の候補薬物の血管形成特性および/または抗血管形成特性を試験するための種々のモデルスクリーニング系が利用可能である。典型的な試験には、増殖、移動、分化、および/または所定の候補薬物との細胞内相互作用のような内皮細胞応答を測定するアッセイが含まれる。このような試験によって、試験刺激のシグナルおよび効果を研究し得る。いくつかの一般的なスクリーニングには、ヘパラナーゼの阻害の測定、Matrigel上での内皮管形成、内皮細胞の引っ掻き傷誘導性運動性、血小板由来成長因子によって駆動される血管平滑筋細胞の増殖、および大動脈環アッセイ(これは1種のみの細胞型よりも毛細血管形成の利点を提供する)の測定が含まれる。
【0033】
薬物は、腫瘍内皮細胞および/または内皮細胞の増殖を、模倣または調節、阻害または刺激する能力についてスクリーニングし得る。薬物は、腫瘍内皮増殖を阻害するが正常な内皮の増殖または生存を阻害しない能力についてスクリーニングされ得る。同様に、ヒト細胞集団、例えば、正常な内皮集団または乳房腫瘍内皮細胞集団が、試験物質と接触され得、乳房腫瘍内皮マーカーおよび/または正常な内皮マーカーの発現が決定される。乳房腫瘍内皮マーカー(BEM)の発現を減少させる試験物質は、血管形成および腫瘍の増殖を阻害するための候補である。BEMの活性が既知である場合において、薬剤は活性を減少または増加させるそれらの能力についてスクリーニングされ得る。
【0034】
膜貫通領域を含むと同定された乳房腫瘍内皮マーカーについて、細胞表面で見い出されたBEMレセプターに結合することができる薬物候補を同定することが所望される。いくつかの応用のために、そのネイティブなリガンドからのBEMレセプターをブロックすることができる薬物候補の同定が所望される。いくつかの応用のために、BEMレセプターに結合することができる薬物候補の同定は、治療薬剤または診断薬剤を送達するための手段として使用され得る。他の応用のために、ネイティブなリガンドの活性を模倣することができる薬物候補の同定が所望される。従って、膜貫通BEMレセプター:リガンド複合体の結合を操作することによって、さらなる内皮細胞の発生、およびそれゆえに血管新生を促進または阻害することができ得る。
【0035】
分泌タンパク質、すなわち、細胞外であると同定された乳房腫瘍内皮マーカーについては、分泌されたBEMタンパク質に結合することができる薬物候補を同定することが所望される。いくつかの応用のために、分泌されたBEMの結合を妨害することができる薬物候補の同定は、ネイティブなレセプターである。他の適用のために、ネイティブなレセプターの活性を模倣することができる薬物候補の同定が所望される。従って、分泌されたBEM:レセプター複合体の結合を操作することによって、内皮細胞のさらなる発生、およびそれゆえに血管新生を促進または阻害することができ得る。
【0036】
任意の便利な方法に従って発現がモニターされ得る。タンパク質またはmRNAがモニターされ得る。特定の遺伝子発現をモニターするために当該分野において公知の任意の技術が使用され得、これらには、ELISA、SAGE、マイクロアレイハイブリダイゼーション、ウェスタンブロットが含まれるがこれらに限定されない。単一のマーカーの発現の変化は、潜在的な血管形成促進性、抗血管形成性、または抗腫瘍剤として有意な効果のための判断基準として使用され得る。しかし、少なくとも5、10、15、または20の関連するマーカーの発現を調節することができる試験物質(例えば、腫瘍内皮マーカーまたは正常な内皮マーカー)をスクリーニングすることもまた所望され得る。BEMタンパク質活性の阻害はまた、薬物スクリーニングとして使用され得る。
【0037】
スクリーニングのための試験物質は任意の供給源由来であり得る。これらは、天然産物のライブラリー、コンビナトリアル化学ライブラリー、組換えライブラリーによって作製された生物学的生成物などであり得る。試験物質の供給源は本発明に対して決定的ではない、本発明は、他のスクリーニングスキームにおいて以前に見落とされていたかもしれない化合物および組成物をスクリーニングするための手段を提供する。本発明の核酸および対応するコードされるタンパク質は種々の様式で治療的に使用され得る。BEMは、血管構造の増殖を刺激するために例えば、創傷治癒のために、またはブロックされた血管を回避するために使用され得る。核酸およびコードされたタンパク質は、当該分野で公知の任意の方法によって投与され得る。そのような方法には、リポソーム、ナノスフェア、ウイルスベクター、ポリカチオンを含む非ウイルスベクターなどを使用することが含まれる。適切なウイルスベクターには、アデノウイルス、レトロウイルス、およびシンドビスウイルスが含まれる。投与様式は当該分野において任意の公知のものであり得、非経口、静脈内、筋肉内、腹腔内、局所的、鼻内、直腸内、気管支内などが含まれる。
【0038】
BEMの特異的生物学的アンタゴニストはまた、治療的利益のために使用され得る。例えば、抗体、BEMに特異的なT細胞、BEMに対するアンチセンス、BEMに対する干渉RNA、およびBEMに特異的なリボザイムが、腫瘍または他の異常なまたは望ましくない血管系増殖を制限、阻害、減少、および/または減退させるために使用され得る。このようなアンタゴニストは、一般的にこれらのアンタゴニストのクラスについて当該分野において知られているように投与され得る。抗血管形成薬物および薬剤は、腫瘍増殖を阻害するために、ならびに、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、乾癬、腎多嚢胞病(PKD)、およびそれらの病理のための血管形成を必要とする他の疾患を治療するために使用され得る。
【0039】
ヒトBEMに対するマウス対応物は、マウス癌モデルにおいて、または細胞株において、またはインビトロにおいて、潜在的な抗血管形成性または抗腫瘍性の化合物または治療剤を評価するために使用され得る。これらの発現は、効果の指標としてモニターされ得る。マウスBEMは、マウス腫瘍モデルにおいて試験され得る抗体を惹起させるための抗原として使用され得る。膜貫通ドメインを有するマウスBEMは、この目的のために特に好ましい。マウスBEMはまた、ヒトオルソログに対して、ヒトにおける免疫応答を惹起させるためのワクチンとして使用され得る。
【0040】
上記の開示は一般的に本発明を記載する。本明細書中で開示されるすべての参考文献は、明白にその全体が参照として組み入れられる。より完全な理解は、例証のみの目的のために提供され、本明細書の範囲を制限することを意図しない、以下の特定の実施例への参照によって得られ得る。
【0041】
実施例1
BEMタンパク質の機能は、バイオインフォマティックスツールを使用して決定した。短い細胞質テールを有する推定機能的レセプターであるBEMは、特に関心対象の標的を生じる。

【0042】
実施例2
プロテインキナーゼをBEM間で同定した。これらは、とりわけ低分子のための、特に良好な薬物標的である。

【0043】
実施例3
非タンパク質基質を有するキナーゼもまた同定した。これらは、同様に、非常に良好な薬物標的と考えられる。

【0044】
実施例4
成長因子をBEM間で同定した。

【0045】
実施例5
ホスファターゼは、キナーゼと同様に、インヒビター、とりわけ低分子インヒビターのスクリーニングに容易に適用することが出来る。

【0046】
実施例6
GPCRをBEM間で同定した。

【0047】
実施例7
BEMの細胞局在を、以下に示すように、細胞質、細胞外、膜、または核のいずれかとして決定した。







【0048】
参考文献



【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳房腫瘍の診断を補助するための方法であって、以下の工程を含む方法:
新生物であることが疑われる第1の脳組織試料における少なくとも1種の遺伝子の発現産物を検出する工程であって、該少なくとも1種の遺伝子が、
仮想タンパク質DKFZp434G171;熱ショック70kDaタンパク質1A;ジャグド1(アラジル(Alagille)症候群);サイクリン依存性キナーゼ3;6-ホスホグルコノラクトナーゼ;ラットおよびマウスのレチノイド誘導性セリンカルボキシペプチダーゼの可能性のあるホモログ;原形質膜小胞関連タンパク質;NADH:ユビキノンオキシドレダクターゼMLRQサブユニットホモログ;HIF-1応答性RTP801;リボソームタンパク質L27;分泌タンパク質、酸性、システインリッチ(オステオネクチン);ヘキソキナーゼ1;リボソームタンパク質L13a;コラーゲン、IV型、α1;インスリン様成長因子結合タンパク質7;コラーゲン、III型、α1(IV型エーラース-ダンロー症候群、常染色体優性);熱ショック10kDaタンパク質1(シャペロニン10);カルシウムチャネル、電位依存性、α1Hサブユニット;CD9抗原(p24);TEM17;TEM13、Thy-1細胞表面抗原;Tax相互作用タンパク質1;ジスフェリン、肢帯筋ジストロフィー2B(常染色体劣性);仮想のタンパク質MGC34648;推定の翻訳開始因子;インスリン様成長因子結合タンパク質4;マトリックスメタロプロテイナーゼ9(ゼラチナーゼB、92kDaゼラチナーゼ、92kDa IV型コラゲナーゼ);異種核リボヌクレオタンパク質R;bHLH因子Hes4;コラーゲン、VI型、α2;T-ボックス2;グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ;G-タンパク質共役レセプター4;コラーゲン、I型、α1;ras関連C3ボツリヌス毒素基質1(rhoファミリー、低分子量GTP結合タンパク質Rac1);リボソームタンパク質、ラージ、P1;TEM10、COL1A2、組織再構築に関与;熱ショック70kDaタンパク質8;KIAA0152遺伝子産物;Ca2+促進性Rasインアクチベーター;セリン/アルギニン反復性マトリックス2;低酸素症誘導性因子1、αサブユニット(塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス転写因子);ベンゾジアゼピンレセプター(末梢);エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼ1;ヘパラン硫酸プロテオグリカン2(パーレカン);フィブロモジュリン;YRPWモチーフ1と関連するスプリットの毛様/エンハンサー;コラーゲン、V型、α3;YRPWモチーフ様と関連するスプリットの毛様/エンハンサー;仮想タンパク質MGC2731;スプリットのアミノ末端エンハンサー;マイトジェン活性化プロテインキナーゼ9;Gタンパク質シグナル伝達のレギュレーター5;プロサイモシン、α(遺伝子配列28);チューブリン、β、2;プロテアーゼ、セリン、23;仮想タンパク質FLJ20898;カルパイン1、(mu/I)ラージサブユニット;インターフェロン、α誘導性タンパク質(クローンIFI-6-16);EST、T25031仮想タンパク質T20D3.3-Caenorhabditis elegans[C.elegans]に弱く類似;主要組織適合複合体、クラスI、C;低酸素症アップレギュレート1;補体成分4B;プレフォールジン2;細胞骨格結合タンパク質1;Rho GTPase活性化タンパク質4;Homo sapiensクローンFLC1492 PRO3121 mRNA、完全cds;スプリット2(E(sp1)ホモログ、ショウジョウバエ)のトランスデューシン様エンハンサー;リボソームタンパク質L37;仮想タンパク質MGG4677;EST、MT1A_HUMAN METALLOTHIONEIN-IA(MT-1A)[H.sapiens]に高度に類似;TEM11、ニドジェン(エナクチン(enactin));グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)、γ5;マトリックスGlaタンパク質;熱ショック105kD;GNAS複合体遺伝子座;Homo sapiens cDNA FLJ11658 fis、クローンHEMBA1004577;H19、インプリントされた母性的に発現された非翻訳mRNA;タンパク質チロシンホスファターゼIVA型、メンバー3;スネイルホモログ1(ショウジョウバエ);インテグリン結合シアロタンパク質(骨シアロタンパク質、骨シアロタンパク質II);メタロプロテイナーゼ1の組織インヒビター(赤血球強化活性、コラゲナーゼインヒビター);ペプチジルプロリルイソメラーゼB(サイクロフィリンB);MARCKS様タンパク質;FASTキナーゼ;プロテアーゼ、セリン11(IGF結合);β-2-ミクログロブリン;デルタ睡眠誘導ペプチド、免疫リアクター;コラーゲン、IV型、α2;最初期応答3;カドヘリン5、2型、VE-カドヘリン(血管上皮);RGC32タンパク質;グアニル酸シクラーゼ1、可溶性、β3;主要組織適合複合体、クラスI、B;リボヌクレアーゼ、RNaseAファミリー、1(膵臓);コラーゲン、XVIII型、α1;v-jun肉腫ウイルス17オンコジーンホモログ(鳥類);Homo sapiens mRNA;cDNA DKFZp686G1610(クローンDKFZp686G1610由来);ヌクレオリン;レクチン、ガラクトシド結合、可溶性、3結合タンパク質;リソソーム結合マルチスパニング膜タンパク質-5;リボソームタンパク質S16;グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)、γ12;セリン(またはシステイン)プロテイナーゼインヒビター、クレードE(ネキシン、プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1型)、メンバー1;ビグリカン;DnaJ(Hsp40)ホモログ、サブファミリーB、メンバー1;腫瘍拒絶抗原(gp96)1;インターフェロン、α-誘導性タンパク質(クローンIFI-15K);溶質キャリアファミリー21(プロスタグランジントランスポーター)、メンバー2;CD74抗原(主要組織適合複合体、クラスII抗原関連のインバリアントポリペプチド);血清/糖質コルチコイド調節キナーゼ;マイトジェン活性化プロテインキナーゼ;レセプター(カルシトニン)活性修飾タンパク質3;セマドメイン、免疫グロブリンドメイン(Ig);ベンゾジアゼピンレセプター(末梢)-ミトコンドリア;C1ドメイン含有ホスファターゼおよびテンシン様;ならびにノッチホモログ3(ショウジョウバエ)からなる群より選択される工程;ならびに
第1の乳房組織試料中の少なくとも1種の遺伝子の発現を、正常である第2の乳房組織試料中の少なくとも1種の遺伝子の発現と比較する工程であって、第2の組織試料に対する第1の乳房組織試料中の少なくとも1種の遺伝子の発現の増加により、第1の乳房組織試料が、新生物の可能性があると同定される工程。
【請求項2】
第2の組織試料に対する第1の乳房組織試料中の少なくとも1種の遺伝子の発現の増加が少なくとも2倍高い、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第2の組織試料に対する第1の乳房組織試料中の少なくとも1種の遺伝子の発現の増加が少なくとも5倍高い、請求項1記載の方法。
【請求項4】
第2の組織試料に対する第1の乳房組織試料中の少なくとも1種の遺伝子の発現の増加が少なくとも10倍高い、請求項1記載の方法。
【請求項5】
発現産物がRNAである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
発現産物がタンパク質である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
第1の組織試料および第2の組織試料がヒト由来である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第1の組織試料および第2の組織試料が同じヒト由来である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
検出する工程がウェスタンブロットを使用して実行される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
検出する工程がイムノアッセイを使用して実行される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
検出する工程が免疫組織化学アッセイを使用して実行される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
検出する工程がSAGEを使用して実行される、請求項1記載の方法。
【請求項13】
検出する工程がマイクロアレイに対するハイブリダイゼーションを使用して実行される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
乳房腫瘍を治療する方法であって、以下の工程を含む方法:
乳房腫瘍の細胞を抗体と接触させる工程であって、ここで、該抗体が、ベンゾジアゼピンレセプター(末梢);カドヘリン5、2型、VE-カドヘリン(血管上皮);カルシウムチャネル、電位依存性、α1Hサブユニット;CD74抗原(主要組織適合複合体、クラスII抗原関連のインバリアントポリペプチド);CD9抗原(p24);ジスフェリン、肢帯筋ジストロフィー2B(常染色体劣性);エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼ1;Gタンパク質共役レセプター4;仮想タンパク質FLJ20898;低酸素症アップレギュレート1;最初期応答3;インターフェロン、α誘導性タンパク質(クローンIFI-6-16);ジャグド1(アラジル症候群);KIAA0152遺伝子産物;リソソーム結合マルチスパニング膜タンパク質-5;主要組織適合複合体、クラスI、B;主要組織適合複合体、クラスI、C;NADH:ユビキノンオキシドレダクターゼMLRQサブユニットホモログ;ノッチホモログ3(ショウジョウバエ);原形質膜小胞関連タンパク質;溶質キャリアファミリー21(プロスタグランジントランスポーター)、メンバー2;TEM13、Thy-1細胞表面抗原;レセプター(カルシトニン)活性修飾タンパク質3;セマドメイン、免疫グロブリンドメイン(Ig);ベンゾジアゼピンレセプター(末梢)-ミトコンドリア;およびTEM17からなる群より選択されるタンパク質の細胞外エピトープに特異的に結合し、それによって該乳房腫瘍の細胞の免疫破壊が引き起こされる工程。
【請求項15】
抗体が診断用薬剤または治療用薬剤に結合している、請求項14記載の方法。
【請求項16】
乳房腫瘍が多剤耐性感受性である、請求項14記載の方法。
【請求項17】
薬剤が化学療法剤である、請求項14記載の方法。
【請求項18】
薬剤が細胞毒である、請求項14記載の方法。
【請求項19】
薬剤が非放射活性標識である、請求項14記載の方法。
【請求項20】
薬剤が放射活性化合物である、請求項14記載の方法。
【請求項21】
乳房腫瘍がヒトにおけるものである、請求項14記載の方法。
【請求項22】
潜在的な抗癌剤または抗乳房腫瘍剤としての試験化合物を同定する方法であって、以下の工程を含む方法:
仮想タンパク質DKFZp434G171;熱ショック70kDaタンパク質1A;ジャグド1(アラジル症候群);サイクリン依存性キナーゼ3;6-ホスホグルコノラクトナーゼ;ラットおよびマウスのレチノイド誘導性セリンカルボキシペプチダーゼの可能性のあるホモログ;原形質膜小胞関連タンパク質;NADH:ユビキノンオキシドレダクターゼMLRQサブユニットホモログ;HIF-1応答性RTP801;リボソームタンパク質L27;分泌タンパク質、酸性、システインリッチ(オステオネクチン);ヘキソキナーゼ1;リボソームタンパク質L13a;コラーゲン、IV型、α1;インスリン様成長因子結合タンパク質7;コラーゲン、III型、α1(IV型エーラース-ダンロー症候群、常染色体優性);熱ショック10kDaタンパク質1(シャペロニン10);カルシウムチャネル、電位依存性、α1Hサブユニット;CD9抗原(p24);TEM17;TEM13、Thy-1細胞表面抗原;Tax相互作用タンパク質1;ジスフェリン、肢帯筋ジストロフィー2B(常染色体劣性);仮想のタンパク質MGC34648;推定の翻訳開始因子;インスリン様成長因子結合タンパク質4;マトリックスメタロプロテイナーゼ9(ゼラチナーゼB、92kDaゼラチナーゼ、92kDa IV型コラゲナーゼ);異種核リボヌクレオタンパク質R;bHLH因子Hes4;コラーゲン、VI型、α2;T-ボックス2;グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ;G-タンパク質共役レセプター4;コラーゲン、I型、α1;ras関連C3ボツリヌス毒素基質1(rhoファミリー、低分子量GTP結合タンパク質Rac1);リボソームタンパク質、ラージ、P1;TEM10、COL1A2、組織再構築に関与;熱ショック70kDaタンパク質8;KIAA0152遺伝子産物;Ca2+促進性Rasインアクチベーター;セリン/アルギニン反復性マトリックス2;低酸素症誘導性因子1、αサブユニット(塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス転写因子);ベンゾジアゼピンレセプター(末梢);エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼ1;ヘパラン硫酸プロテオグリカン2(パーレカン);フィブロモジュリン;YRPWモチーフ1と関連するスプリットの毛様/エンハンサー;コラーゲン、V型、α3;YRPWモチーフ様と関連するスプリットの毛様/エンハンサー;仮想タンパク質MGC2731;スプリットのアミノ末端エンハンサー;マイトジェン活性化プロテインキナーゼ9;Gタンパク質シグナル伝達のレギュレーター5;プロサイモシン、α(遺伝子配列28);チューブリン、β、2;プロテアーゼ、セリン、23;仮想タンパク質FLJ20898;カルパイン1、(mu/I)ラージサブユニット;インターフェロン、α誘導性タンパク質(クローンIFI-6-16);EST、T25031仮想タンパク質T20D3.3-Caenorhabditis elegans[C.elegans]に弱く類似;主要組織適合複合体、クラスI、C;低酸素症アップレギュレート1;補体成分4B;プレフォールジン2;細胞骨格結合タンパク質1;Rho GTPase活性化タンパク質4;Homo sapiensクローンFLC1492 PRO3121 mRNA、完全cds;スプリット2(E(sp1)ホモログ、ショウジョウバエ)のトランスデューシン様エンハンサー;リボソームタンパク質L37;仮想タンパク質MGG4677;EST、MT1A_HUMAN METALLOTHIONEIN-IA(MT-1A)[H.sapiens]に高度に類似;TEM11、ニドジェン(エナクチン);グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)、γ5;マトリックスGlaタンパク質;熱ショック105kD;GNAS複合体遺伝子座;Homo sapiens cDNA FLJ11658 fis、クローンHEMBA1004577;H19、インプリントされた母性的に発現された非翻訳mRNA;タンパク質チロシンホスファターゼIVA型、メンバー3;スネイルホモログ1(ショウジョウバエ);インテグリン結合シアロタンパク質(骨シアロタンパク質、骨シアロタンパク質II);メタロプロテイナーゼ1の組織インヒビター(赤血球強化活性、コラゲナーゼインヒビター);ペプチジルプロリルイソメラーゼB(サイクロフィリンB);MARCKS様タンパク質;FASTキナーゼ;プロテアーゼ、セリン11(IGF結合);β-2-ミクログロブリン;デルタ睡眠誘導ペプチド、免疫リアクター;コラーゲン、IV型、α2;最初期応答3;カドヘリン5、2型、VE-カドヘリン(血管上皮);RGC32タンパク質;グアニル酸シクラーゼ1、可溶性、β3;主要組織適合複合体、クラスI、B;リボヌクレアーゼ、RNaseAファミリー、1(膵臓);コラーゲン、XVIII型、α1;v-jun肉腫ウイルス17オンコジーンホモログ(鳥類);Homo sapiens mRNA;cDNA DKFZp686G1610(クローンDKFZp686G1610由来);ヌクレオリン;レクチン、ガラクトシド結合、可溶性、3結合タンパク質;リソソーム結合マルチスパニング膜タンパク質-5;リボソームタンパク質S16;グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)、γ12;セリン(またはシステイン)プロテイナーゼインヒビター、クレードE(ネキシン、プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1型)、メンバー1;ビグリカン;DnaJ(Hsp40)ホモログ、サブファミリーB、メンバー1;腫瘍拒絶抗原(gp96)1;インターフェロン、α-誘導性タンパク質(クローンIFI-15K);溶質キャリアファミリー21(プロスタグランジントランスポーター)、メンバー2;CD74抗原(主要組織適合複合体、クラスII抗原関連のインバリアントポリペプチド);血清/糖質コルチコイド調節キナーゼ;マイトジェン活性化プロテインキナーゼ;レセプター(カルシトニン)活性修飾タンパク質3;セマドメイン、免疫グロブリンドメイン(Ig);ベンゾジアゼピンレセプター(末梢)-ミトコンドリア;C1ドメイン含有ホスファターゼおよびテンシン様;ならびにノッチホモログ3(ショウジョウバエ)からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子を発現する細胞に試験化合物を接触させる工程;
該少なくとも1種の遺伝子の発現産物をモニタリングする工程;および
該少なくとも1種の遺伝子の発現を減少する場合に、該試験化合物を潜在的抗癌剤であると同定する工程。
【請求項23】
細胞がヒト細胞である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
細胞が乳房腫瘍細胞である、請求項22記載の方法。
【請求項25】
細胞がヒト乳房腫瘍細胞である、請求項22記載の方法。
【請求項26】
発現産物がRNAである、請求項22記載の方法。
【請求項27】
発現産物がタンパク質である、請求項22記載の方法。
【請求項28】
細胞が同じ組織の正常細胞と比較して少なくとも1種の遺伝子を過剰発現する、請求項22記載の方法。
【請求項29】
少なくとも2種の遺伝子の発現がモニターされる、請求項22記載の方法。
【請求項30】
少なくとも3種の遺伝子の発現がモニターされる、請求項22記載の方法。
【請求項31】
少なくとも4種の遺伝子の発現がモニターされる、請求項22記載の方法。
【請求項32】
試験化合物が、発現の減少が少なくとも2倍である場合に同定される、請求項22記載の方法。
【請求項33】
試験化合物が、発現の減少が少なくとも5倍である場合に同定される、請求項22記載の方法。
【請求項34】
発現の減少が少なくとも10倍である、請求項22記載の方法。
【請求項35】
試験化合物が抗乳房腫瘍剤として同定される、請求項22記載の方法。
【請求項36】
乳房腫瘍に対する免疫応答を誘導するための方法であって、以下の群からなる群より選択されるタンパク質またはタンパク質をコードする核酸を哺乳動物へ投与し、それによってタンパク質に対する免疫応答が誘導される工程を含む方法:
仮想タンパク質DKFZp434G171;熱ショック70kDaタンパク質1A;ジャグド1(アラジル症候群);サイクリン依存性キナーゼ3;6-ホスホグルコノラクトナーゼ;ラットおよびマウスのレチノイド誘導性セリンカルボキシペプチダーゼの可能性のあるホモログ;原形質膜小胞関連タンパク質;NADH:ユビキノンオキシドレダクターゼMLRQサブユニットホモログ;HIF-1応答性RTP801;リボソームタンパク質L27;分泌タンパク質、酸性、システインリッチ(オステオネクチン);ヘキソキナーゼ1;リボソームタンパク質L13a;コラーゲン、IV型、α1;インスリン様成長因子結合タンパク質7;コラーゲン、III型、α1(IV型エーラース-ダンロー症候群、常染色体優性);熱ショック10kDaタンパク質1(シャペロニン10);カルシウムチャネル、電位依存性、α1Hサブユニット;CD9抗原(p24);TEM17;TEM13、Thy-1細胞表面抗原;Tax相互作用タンパク質1;ジスフェリン、肢帯筋ジストロフィー2B(常染色体劣性);仮想のタンパク質MGC34648;推定の翻訳開始因子;インスリン様成長因子結合タンパク質4;マトリックスメタロプロテイナーゼ9(ゼラチナーゼB、92kDaゼラチナーゼ、92kDa IV型コラゲナーゼ);異種核リボヌクレオタンパク質R;bHLH因子Hes4;コラーゲン、VI型、α2;T-ボックス2;グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ;G-タンパク質共役レセプター4;コラーゲン、I型、α1;ras関連C3ボツリヌス毒素基質1(rhoファミリー、低分子量GTP結合タンパク質Rac1);リボソームタンパク質、ラージ、P1;TEM10、COL1A2、組織再構築に関与;熱ショック70kDaタンパク質8;KIAA0152遺伝子産物;Ca2+促進性Rasインアクチベーター;セリン/アルギニン反復性マトリックス2;低酸素症誘導性因子1、αサブユニット(塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス転写因子);ベンゾジアゼピンレセプター(末梢);エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼ1;ヘパラン硫酸プロテオグリカン2(パーレカン);フィブロモジュリン;YRPWモチーフ1と関連するスプリットの毛様/エンハンサー;コラーゲン、V型、α3;YRPWモチーフ様と関連するスプリットの毛様/エンハンサー;仮想タンパク質MGC2731;スプリットのアミノ末端エンハンサー;マイトジェン活性化プロテインキナーゼ9;Gタンパク質シグナル伝達のレギュレーター5;プロサイモシン、α(遺伝子配列28);チューブリン、β、2;プロテアーゼ、セリン、23;仮想タンパク質FLJ20898;カルパイン1、(mu/I)ラージサブユニット;インターフェロン、α誘導性タンパク質(クローンIFI-6-16);EST、T25031仮想タンパク質T20D3.3-Caenorhabditis elegans[C.elegans]に弱く類似;主要組織適合複合体、クラスI、C;低酸素症アップレギュレート1;補体成分4B;プレフォールジン2;細胞骨格結合タンパク質1;Rho GTPase活性化タンパク質4;Homo sapiensクローンFLC1492 PRO3121 mRNA、完全cds;スプリット2(E(sp1)ホモログ、ショウジョウバエ)のトランスデューシン様エンハンサー;リボソームタンパク質L37;仮想タンパク質MGG4677;EST、MT1A_HUMAN METALLOTHIONEIN-IA(MT-1A)[H.sapiens]に高度に類似;TEM11、ニドジェン(エナクチン);グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)、γ5;マトリックスGlaタンパク質;熱ショック105kD;GNAS複合体遺伝子座;Homo sapiens cDNA FLJ11658 fis、クローンHEMBA1004577;H19、インプリントされた母性的に発現された非翻訳mRNA;タンパク質チロシンホスファターゼIVA型、メンバー3;スネイルホモログ1(ショウジョウバエ);インテグリン結合シアロタンパク質(骨シアロタンパク質、骨シアロタンパク質II);メタロプロテイナーゼ1の組織インヒビター(赤血球強化活性、コラゲナーゼインヒビター);ペプチジルプロリルイソメラーゼB(サイクロフィリンB);MARCKS様タンパク質;FASTキナーゼ;プロテアーゼ、セリン11(IGF結合);β-2-ミクログロブリン;デルタ睡眠誘導ペプチド、免疫リアクター;コラーゲン、IV型、α2;最初期応答3;カドヘリン5、2型、VE-カドヘリン(血管上皮);RGC32タンパク質;グアニル酸シクラーゼ1、可溶性、β3;主要組織適合複合体、クラスI、B;リボヌクレアーゼ、RNaseAファミリー、1(膵臓);コラーゲン、XVIII型、α1;v-jun肉腫ウイルス17オンコジーンホモログ(鳥類);Homo sapiens mRNA;cDNA DKFZp686G1610(クローンDKFZp686G1610由来);ヌクレオリン;レクチン、ガラクトシド結合、可溶性、3結合タンパク質;リソソーム結合マルチスパニング膜タンパク質-5;リボソームタンパク質S16;グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)、γ12;セリン(またはシステイン)プロテイナーゼインヒビター、クレードE(ネキシン、プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1型)、メンバー1;ビグリカン;DnaJ(Hsp40)ホモログ、サブファミリーB、メンバー1;腫瘍拒絶抗原(gp96)1;インターフェロン、α-誘導性タンパク質(クローンIFI-15K);溶質キャリアファミリー21(プロスタグランジントランスポーター)、メンバー2;CD74抗原(主要組織適合複合体、クラスII抗原関連のインバリアントポリペプチド);血清/糖質コルチコイド調節キナーゼ;マイトジェン活性化プロテインキナーゼ;レセプター(カルシトニン)活性修飾タンパク質3;セマドメイン、免疫グロブリンドメイン(Ig);ベンゾジアゼピンレセプター(末梢)-ミトコンドリア;C1ドメイン含有ホスファターゼおよびテンシン様;ならびにノッチホモログ3(ショウジョウバエ)。
【請求項37】
タンパク質が投与される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
核酸が投与される、請求項36記載の方法。
【請求項39】
核酸が筋肉内に投与される、請求項38記載の方法。
【請求項40】
哺乳動物に免疫アジュバントを投与する工程をさらに包含する、請求項36記載の方法。
【請求項41】
哺乳動物が乳房腫瘍を有する、請求項36記載の方法。
【請求項42】
哺乳動物の乳房腫瘍が外科的に除去されている、請求項36記載の方法。

【公表番号】特表2007−525167(P2007−525167A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509475(P2006−509475)
【出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2004/009704
【国際公開番号】WO2004/091383
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(500034653)ジェンザイム・コーポレーション (37)
【出願人】(502058666)ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティー スクール オブ メディシン (3)
【Fターム(参考)】