説明

乳房炎及び耳障害を治療するための分散性医薬組成物

自然外口を有する液体含有器官、例えば乳汁産生動物の乳房又は被験者の耳の感染状態の治療及び/又は予防方法が提供される。本発明はまた、本発明の方法により該器官に注入するのに適する分散性医薬組成物、及びこのような組成物の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然外口を有する液体含有器官、例えば乳汁産生動物の乳房又は被験者の耳の感染状態の治療及び/又は予防方法に関する。本発明はまた、本発明の方法により器官に注入するのに適する分散性医薬組成物、及びこのような組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳房炎は、細菌感染により最もしばしば生じる乳汁産生動物、例えば乳牛の乳房の炎症である。細菌は動物の乳頭管から侵入し、そして急性、臨床的又は潜在性の乳房炎を引き起こすことがある。135種を超える微生物がウシ乳房炎の原因病原体として立証されている。病原体の三つの主なグループは、グラム陽性球菌、グラム陰性桿菌及びグラム陽性桿菌である。衛生状態、環境因子及び高い乳収量に起因する代謝障害は組み合わさって、乳房炎の発症に対して好ましい条件を作り出す。乳房炎に関連する体細胞の増加は、感染とは正の相関関係があり、乳汁産生とは負の相関関係がある。多くの場合、感染した牛は群れから離し、乳汁産生を止めさせることが必要である。乳房炎はこの病気を適切に治療しなければ、ウシの全生涯にしばしば影響を与える。感染率は典型的な群れでは平均して牛の10%〜30%であり、牛当たりの損失は、牛1頭当たり毎年185ドル〜250ドルに及ぶ。ウシ乳房炎は酪農業にとって経済的に最も費用のかかる病気であり、推定損失は米国単独で毎年20億ドルである。これらの損失の大部分は乳汁産生が減少するためである。
【0003】
乳汁産生動物の乳房炎を治療するために、抗生物質を含む組成物を乳房内注入することは周知である。このような投与に適する幾つかの組成物は、油性製剤として製剤化される。
【0004】
Parizeauへの米国特許第3,636,194号は、乳房内注入により乳房炎を治療するための組成物を開示しており、該組成物は、抗生物質、植物油、乳汁中への油の分散を促進するための天然レシチンリン脂質材料のアルコール可溶性分画を含み、該リン脂質は、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミン並びにそれらの混合物からなる群から選択され、そして該油中に少なくとも0.25%の量で存在する。このような組成物は、乳汁中への急速な分散及び短いミルクアウト時間を与えるといわれている。
【0005】
英国特許出願第1,181,527号は、活性物質及び製薬上許容される油基剤を含む乳房炎を治療するための組成物を開示しており、該組成物は、乳汁中への組成物の分散を促進するためのアルコール可溶性材料から実質的に完全になるリン脂質材料を含有する。
【0006】
欧州特許出願第0 222 712号は、ポリオキシエチレン化セチルアルコール及びステアリルアルコールと一緒にしたパルミチン酸及びステアリン酸のトリグリセリドの混合物からなる油中に分散され、且つ鉱物性、植物性、合成又は混合抽出物の油性媒質中に保持された1種又はそれ以上の抗菌剤を含有する組成物を開示している。このような組成物は乳腺中への抗菌剤の放出を加速し、その生物学的可能性を向上させ、且つミルクアウト時間を短縮するといわれている。
【0007】
Isakson & Talleyへの米国特許第5,756,529号は、コンパニオンアニマルの炎症を治療するためのピラゾリルベンゼンスルホンアミド化合物の使用方法を開示している。このような化合物は、疼痛、発熱、関節疾患、外傷、関節炎、筋炎、腱炎、ウマ疝痛、乳房炎、腹腔炎、皮膚状態、火傷、歯肉炎、過敏症、結膜炎、眼炎症、腫れ及び心筋虚血の治療に有用であるといわれている。
【0008】
国際特許公開第WO 02/22107号は、酸化生成物の増加したレベルを有するように改変されている液体担体中に、1種又はそれ以上の生物活性物質を含む組成物を開示しており、該生物活性物質は、抗感染剤、抗腫瘍剤、免疫調節剤、解熱剤、鎮痛剤及び抗炎症剤(例えば、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤)を包含する。このような組成物は非経口(例えば、皮下、乳房内、静脈内、腹腔内又は筋肉内)、局所、膣内、経口又は直腸経路で投与することができる。
【0009】
国際特許公開第WO 02/06865号は、非水性担体中に1種又はそれ以上の生物活性物質を含む組成物を開示しており、該組成物は約0.2〜約0.5の水分活性を有するように調節されている。非経口、局所、経口、膣内、直腸及び乳房内経路の投与が提案されている。生物活性物質の中でも、抗感染剤、抗腫瘍剤、免疫調節剤、解熱剤、鎮痛剤及び抗炎症剤(例えば、COX−2阻害剤)が挙げられている。
【0010】
国際特許公開第WO 99/20259号は、関連する炎症状態を有する感染症の治療のために獣医薬において使用するための、チアムフェニコールとジクロフェナクとの組み合わせを開示している。
【0011】
国際特許公開第WO 01/60409号は、治療剤、ヒュームド・シリカ、粘度調節剤及び親水性担体を含むペースト組成物を開示しており;該治療剤は、殺虫剤、殺ダニ剤、殺寄生虫剤、抗生物質、成長促進剤、油溶性NSAID、アベルメクチン、ミルベマイシン、ノルジュリスポリン酸(nordulisporic acid)、エストロゲン、プロゲスチン、フェニルピラゾール、置換ピリジルメチル誘導体及びCOX−2阻害剤から選択される。このペースト組成物のためには、経口、局所、経皮及び皮下経路の投与が想定されている。このような組成物は、獣医学診療において肺炎、乳房炎、子宮筋層炎、鼻炎及び気管支炎のような疾患の治療に用途を有するといわれている。
【0012】
米国特許出願公開第2002/0032228号は、下痢性疾患、百日咳、炭疽、平滑筋収縮状態及び乳房炎を治療するための、ヘテロ環含有化合物、例えばジフェニルヘテロ環誘導体の使用を開示している。セレコキシブ及びロフェコキシブが好ましいジフェニルヘテロ環誘導体として挙げられている。
【0013】
Gattefosse CorporationからのLabrafil製品カタログ(Notice OL 0050/5th edition)は、耳道におけるLabrafilTM M−1944CSの特性を論じたValetteによる論文(1957) からの抜粋を含んでいる。該論文は、ゲンチアナバイオレットと混合したLabrafilTM M−1944CSを牛の乳頭に注射することに関する実験を記載している。LabrafilTMは、乳房柔組織部分の全表面を湿潤させ、且つ乳房後方の神経節に到達したことが示された。
【0014】
Gao et al.(1995)による二つの論文、Pharmaceutical Research 12(6), 857−868, “Controlled release of a contraceptive steroid from biodegradable and injectable gel formulations: in vitro evaluation”及び“Controlled release of a contraceptive steroid from biodegradable and injectable gel formulations: in vivo evaluation”は、レボノルゲストレルであるLabrafilTM M−1944CS及びグリセリルパルミトステアレートを含有するゲルの製造を記載している。
【0015】
耳障害は、米国における小児の中で最も頻発する病気として普通感冒に次いで第2位を占める。大部分の耳障害は、耳への感染、アレルギー反応又は外傷に対する疼痛を伴う炎症性応答の結果である。耳感染は、細菌、真菌又はウイルスに由来することがあり、そして正確な病因の決定は、原因微生物を単離して培養することがしばしば困難なので、実用的でない。外耳炎(外耳感染)、中耳炎(中耳感染)及び耳漏(浸出を引き起こす鼓膜の破裂を伴う中耳炎)は、中でも最も一般的な耳障害である。
【0016】
外耳の耳道に関する外耳炎は、暑い多湿気候で主に生じる普通の耳科学的問題であり、そして水泳者では非水泳者より5倍多く発生する。初期段階における症状は、耳道の痒み及び痛み、そして外耳道が加圧されたり、耳朶が引っ張られたり又は顎を動かしたりするときの圧痛を包含する。最終的段階において、耳道で化膿が起こり、そして聴覚が減少することがある。外耳炎の症例の90%以上は細菌及び真菌感染のためである。
【0017】
病的状態は、組織表面、特に上皮表面組織の空気/液体界面の表面張力の変化によって生じることがあり、そして該変化を引き起こすことがある。外耳道は上皮がその内側を覆っている。外耳道の内側を覆う上皮組織上で普通に分泌される耳垢浸出物は、外耳道に特に高い表面張力を与える。炎症性副産物はこのような表面張力をさらに上昇させることがある。表面張力の上昇は、耳炎の症状及び治療の双方において重要な因子である。加えて、そして耳道が閉鎖されなくても、外耳道の上皮層上に表面張力の上昇が常在すると、治療剤の均一な及び/又は有効な適用が妨げられる傾向がある。
【0018】
過去において、外耳炎は抗菌活性並びに抗炎症作用を示す治療剤の局所適用により治療されてきた。抗菌剤、例えば硫酸ネオマイシン、硫酸コリスチン、ポリミキシンB又はそれらの組み合わせ(全て広い効果スペクトルを有する)を含有する耳用の広域スペクトル局所有効抗生物質懸濁剤は、原因細菌を滅ぼすために利用されている。抗真菌局所作用剤、例えばニスタチン及びクロトリマゾールは、基礎をなす真菌疾患を滅ぼすために採用されている。加えて、抗ウイルス剤であるアシクロビルは、帯状ヘルペスを包含するウイルス性外耳炎の治療に利用されている。
【0019】
上記の局所作用懸濁剤にしばしば含まれる、例えばヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン及びリン酸デキサメタゾンナトリウムを包含する抗炎症剤は、外耳炎の炎症性経過をコントロールするために採用されている。多くの場合に、抗菌剤及び抗炎症剤は、原因となり引き金となる障害、例えば細菌感染、並びに炎症性経過それ自体を治療するために、組み合わせて利用される。それらはまた、感染した耳に局所投与するための滴剤形態の懸濁液としてしばしば投与される。外耳道の上皮層へのこのような医薬のいっそう一様な送出を促進又は提供するために、コットンのような吸収性材料で作った芯状物を利用して懸濁液を外耳道内に引き入れる。しかしながら、化膿状態の外耳炎には浸出物が存在し、そして実際上全ての炎症状態には耳垢が存在するので、高い表面張力は、外耳道全体にわたるこのような医薬の一様な分布を妨げる。
【0020】
最も普通の耳障害である中耳炎は、米国における難聴の主な原因であり、そして小児期学習過程を妨害する重要な障害である。Estrada (1997), Infect. Med. 14(3), 239−244参照。中耳炎は、毎年小児科を受診する全小児の35%を超えると推定され、そして毎年の米国医療費において35億ドルを超える。
【0021】
中耳炎のエピソード中に、管腔の上皮層上にある空気/液体界面に存在する比較的高い表面張力は、このチャンネルの開放に必要な開放圧を高める。
【0022】
典型的に、中耳炎のような耳感染症は抗生物質療法の過程で治療される。The Merck Manual, 17th edition (1999), Section 7, Chapter 84参照。抗生物質の全身投与は、耳の治療レベルに達するために高い初期用量及びかなりの時間の遅れを一般的に必要とする。非経口又は経口経路による薬剤の全身的適用は、最終的に耳管及び中耳に達するが、有害な全身効果を有することがあり、より重要なことには、適用薬剤の濃縮量をそれらが真に必要とされる場合に標的組織に直接送出するためには、特に効果的ではない。同時に、薬剤の直接適用は、中耳が密閉室構造であることにより複雑になっている。
【0023】
製薬上許容される基剤中に一緒に製剤化された抗菌剤及び抗炎症剤の組み合わせは、耳への局所適用のために、下記にそれぞれ引用するものを包含する種々の特許及び刊行物において提案されている。
Cagle et al.への米国特許第6,395,746号。
Cagle et al.への米国特許第6,440,964号。
Cagle et al.への米国特許第6,509,327号。
Bergamini et al.への米国特許第5,679,665号。
Purwar & Goldman への米国特許第5,965,549号。
米国特許出願公開第2001/0049366号。
米国特許出願公開第2002/0142999号。
【0024】
米国特許出願公開第2002/0044920号は、TNF拮抗剤及びピリミジン合成阻害剤を、ステロイド、抗炎症性化合物(例えばNSAIDとしても知られている非ステロイド性抗炎症剤又はCOX−2阻害剤)、細胞毒性化合物、抗腫瘍性代謝物又は第二の抗リウマチ剤と共に投与することによる、免疫介在耳障害の治療を開示している。
【0025】
米国特許出願公開第2002/0076383号は、エアゾールとしての組成物を外耳道から投与することを開示しており、該組成物は、上皮組織層上の空気/液体界面の表面張力の低下有効量の脂質界面活性剤、展着剤及び噴射剤を含み、ここで該展着剤は脂質、ステロール、脂肪酸、コレステロールエステル、リン脂質、炭水化物及びタンパク質(これらは全て粉末状態である)からなる群から選択される。この組成物は、外耳道の開通性を増大する一方で外耳炎の発症に対して保護を与えるといわれている。
【0026】
米国特許出願公開第2002/0064503号は、エアゾールとしての組成物を外気道から投与することを開示しており、該組成物は、上皮組織層上の空気/液体界面の表面張力の低下有効量の脂質界面活性剤、並びにステロール、脂質、脂肪酸、コレステロールエステル、リン脂質、炭水化物及びタンパク質(これらは全て粉末形態である)からなる群から選択される展着剤を含む。この組成物は、耳管腔の開通性及び圧力均等化性能を増大するといわれている。
【0027】
点耳剤は、選択的COX−2阻害剤のための製剤型として、以下にそれぞれ引用するものを包含する種々の特許及び刊行物において想定されている。
Black et al.への米国特許第6,307,047号。
Adams et al.への米国特許第6,329,526号。
米国特許出願公開第2001/0041726号。
米国特許出願公開第2001/0053764号。
米国特許出願公開第2002/0010146号。
米国特許出願公開第2002/0013318号。
上記で引用した全ての特許及び刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
耳障害の原因の理解においてなされた最近の進歩にもかかわらず、それらは大部分が予防できないままであり、そして効果的に治療するのは困難である。従って、耳障害及びそれに関連する合併症を予防及び治療するための有効な方法及び組成物を提供することは有用であろう。
【0029】
抗菌活性に加えて抗炎症、麻酔、解熱又は鎮痛特性を有する抗菌剤はほとんどない。従って、抗菌剤単独による感染状態の治療は、炎症、疼痛、腫れ、発熱及びこのような感染状態にしばしば付随する他の合併症を典型的に緩和しない。これらの問題は、感染状態の原因微生物を抗菌剤により駆除するか又は発病をもたらさない程度まで微生物個体群を減少させるまでは、通常は完全に解決されない。
【0030】
炎症性要素を有する感染状態を抗炎症剤単独で治療することは、炎症、腫れ、疼痛、発熱及び他の合併症を軽減できるが、基礎をなす感染状態を治療するものではない。
【0031】
乳汁産生動物の乳房炎の治療又は予防に乳房内投与を意図した組成物のため、及び耳障害の治療に耳投与を意図した組成物のために最も普通に用いられる包装容器及び送出装置は、酸素透過性プラスチック材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど及びそれらの混合物で構成されている。抗乳房炎組成物のため、及び耳障害の治療又は予防組成物のために酸素透過性の包装容器及び送出装置を使用することは、それに入れた組成物が酸化的分解反応を受けやすい成分、例えば活性医薬又は賦形剤を含む場合には、該組成物の長期の化学的及び/又は物理的安定性に関して重大な問題を提示する。
【0032】
上記の文献は乳房炎の治療又は耳障害の治療のための多数の組成物を開示しているが、酸化的分解反応を受けやすい製薬上活性な物質及び/又は賦形剤を組成物が含む場合に、酸素透過性容器に包装した組成物の長期の化学的及び/又は物理的安定性を与えるという問題に取り組んだものは一つもない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
上記の教示にもかかわらず、乳房炎又は耳障害の治療に用いられる先行技術の組成物よりも優れた以下の利点の一つ又はそれ以上を有する医薬組成物が、当技術において依然として必要である:(a)酸素透過性の容器及び送出装置に包装した場合でさえ、特に酸化的分解反応を受けやすい製薬上活性な物質又は賦形剤を組成物が含む場合にさえ示される、長期の化学的及び/又は物理的安定性、(b)多種多様な感染性微生物に対する有効性、(c)乳房炎又は耳障害の炎症性要素及び感染性要素に対する効果的な治療、(d)乳房炎又は耳障害の疼痛、炎症、発熱、浮腫及び感染性要素の効果的な治療、(e)組成物投与後の刺激が最小限ないし全くないこと、(f)感染部位への活性物質の標的送出、(g)感染部位で有効医薬レベルを速やかに達成するための乳汁中及び乳房液中への抗乳房炎組成物の急速分散、(h)哺乳期牛に対する乳房炎治療後の短いミルクアウト時間、(i)乳房炎治療後ゼロ日の食肉処理中止期間、(j)非哺乳期牛の乳房炎治療後の短い出産後搾乳保留時間、(k)感染部位で有効な医薬レベルを速やかに達成するためのワックス様の湿った環境中への耳用組成物の急速分散、(l)耳道の開通性を増加する上皮組織の空気/液体界面の表面張力の低下、(m)耳の炎症粘膜のための保護コーティング、(n)活性物質の治療指数を改善する一方で、その一般毒性を減少し、且つ全身的効果の危険性を最小限にすること、(o)炎症性要素を有する感染状態の緩和に必要な時間の短縮、(p)副作用の減少、(q)より低用量の活性物質の投与が可能である一方で、依然として有効性を与えること、及び(r)副作用を増やすことなくより高用量の抗菌剤の投与が可能であること。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明において上記の有利な属性の幾つか又は全てを有する新規な治療方法及び医薬組成物が開発された。特に、自然外口を有する液体含有器官、例えば乳汁産生動物の乳房又はヒト若しくは動物被験体の耳の感染状態を治療及び/又は予防するための新規な方法が提供される。本方法は、抗菌剤を外口から器官に投与し、そして抗炎症剤、麻酔剤、ナトリウムチャンネル遮断剤、鎮痛剤及び/又は解熱剤である第二の物質を該抗菌剤との併用療法においてを投与することを含む。抗菌剤は、該抗菌剤に加えて、(a)水分散性であり且つエタノール不溶性である両親媒性油、(b)マイクロクリスタリンワックス及び(c)製薬上許容される非水性担体を含む基剤、を含む医薬組成物として投与される。
【0035】
このような組成物は、水性媒質と接触している場合に低い界面張力を有する。理論に制約されることなく、この低い界面張力は、結果として乳汁のような乳房液だけでなく、耳のより蝋様の湿潤環境にも組成物を容易に分散させると信じられる。従って、本発明の好ましい方法において、液体含有器官に投与すると、組成物は該液体中に分散する。
【0036】
本方法は、例えば、乳汁産生動物の乳房炎又は乳房の他の疾患を治療するためにこのような組成物の乳房内注入、又は耳障害を治療及び/又は予防するためにこのような組成物の耳注入を含むことができ、そして多種多様な感染性微生物に関連する多種多様な感染性障害に有効である。ここで「注入」という用語は、液体組成物を液体含有器官内に、外口から、例えば乳房内注入の場合には乳頭管から、又は耳注入の場合には外耳道から流入させる任意の手順を包含し、関与する時間尺度とは無関係である。この文脈において、「注入」及び「注射」は実質的に同義語である。例えば、組成物は、乳房炎用シリンジのカニューレノズルを乳頭管の外口に挿入し、そして組成物をノズルから乳房内に注射することにより乳房内投与することができる。
【0037】
第二の物質は、抗菌剤の投与経路とは異なる経路で投与することができる。別法として、両方の物質は同じ経路で、すなわち器官の外口から、例えば乳房の場合には乳頭管から、又は耳の場合には外耳道から投与することができる。同じ経路で投与する場合には、抗炎症剤及び抗菌剤を、上記の基剤を含む液体組成物の形態で乳房内又は耳注入により投与することが好ましい。抗菌剤及び第二の物質を、両物質を含む単一組成物として投与することが特に好ましい。
【0038】
従って、(a)水分散性であり且つエタノール不溶性である両親媒性油、(b)マイクロクリスタリンワックス及び(c)製薬上許容される非水性担体、を含む基剤を含む医薬組成物が、さらに提供される。基剤はその中に、抗菌有効量の抗菌剤、並びに抗炎症剤、麻酔剤、ナトリウムチャンネル遮断剤、鎮痛剤、抗浮腫剤及び/又は解熱剤である治療有効量の第二の物質を安定的に分散している。
【0039】
一つの実施形態において、組成物中の抗菌剤、第二の物質及び/又は賦形剤は酸化的分解反応を受けやすいが、組成物は酸素透過性壁を有する容器又は送出装置に包装した場合に長期の化学的及び/又は物理的安定性を示す。
【0040】
新規な組成物は、水性液体中で低い界面張力を有し、従って従来の油性製剤と比較して、乳汁及び乳房液中への組成物の分散性が増大する。これは結果として組成物を乳房全体にわたって急速に分布させ、これによって抗菌剤及び/又は第二の物質が感染組織に即座に到達するのを可能にし、感染部位で医薬の有効レベルを与える。水性液体中の組成物の界面張力は、該液体中への組成物の分散及び展着に必要なエネルギー、並びに組成物中の懸濁粒子が油/乳汁又は油/乳房液の界面限界を越えるのに必要なエネルギーを定める。
【0041】
組成物の低い界面張力はまた、従来の組成物と比較して、耳の蝋様の湿潤環境中への組成物の分散性を増大する。結果として生じる耳道の粘膜及び脂質含有蝋全体にわたる組成物の急速分布は、抗菌剤及び/又は第二の物質が感染組織に速やかに到達するのを可能にし、感染部位で医薬の有効レベルを与える。このような組成物はまた、耳の炎症を起こした粘膜のための保護コーティングを生成することができる。
【0042】
本発明に係る併用療法は、感染状態の感染性及び炎症性要素の両者に対して効果的な治療を提供し、そして感染状態及び関連する炎症の消失に必要な時間を短縮することができる。好ましくは、本方法又は組成物は、疼痛、炎症、発熱、腫れ、浮腫、発赤、熱、粘液又は粘液/カタル性分泌物の増加、無食欲、感覚低下、器官又は系統機能の損失、及び乳房炎又は耳感染に関連する感染性要素の効果的な治療及び/又は予防を提供する。
【0043】
感染状態に関連する炎症は、抗菌剤が感染部位に効果的に到達するのを抑制することがある。抗菌剤との併用療法に選択的COX−2阻害剤を使用すると、感染症に関連する炎症を軽減し、結果として抗菌剤が感染部位に効果的に到達する能力を改善することができる。
【0044】
一定の抗菌剤は、感染性細菌に対して極めて効果的であるが、望ましくない副作用、例えば一過性の発赤、腫れ及び炎症の危険性に関連する。幾つかの抗菌剤の許容量は、このような副作用の危険性を最小限にする必要性により実際上制限されることがある。本発明の併用療法はこれらの危険性を最小限にし、これによって乳房炎及び耳症状の改善された治療を提供する。
【0045】
理論に制約されることなく、ある種の抗菌剤はある種の被験者に投与すると、エンドトキシンの放出を促進することができ、これは次にTNFα(腫瘍壊死因子アルファ)仲介応答を始動させると考えられ、さらにこのような応答は選択的COX−2阻害剤により遮断又は軽減できると考えられる。
【0046】
本発明に係る併用療法は、効力を保持しながらも、より低用量の治療剤の投与を可能にすることができる。さらに、抗菌剤及び場合により第二の物質の本発明による局所投与は、感染及び/又は炎症部位への標的送出を提供する。
【0047】
ここで提供される併用療法は、活性物質の一般毒性の減少及び全身的な副作用の危険性の最小化により、活性物質の治療指数を改善することができる。治療指数は、薬剤の治療有効量と毒性量との差益の尺度であり、そしてLD50(集団の50%に対して致死量)とED50(集団の50%で治療有効量)との比として典型的に表される。
【0048】
例えば乳房炎の治療において乳房内注入により投与する場合、好ましい方法及び組成物は追加の利点を有することができる。例えば、好ましい方法は、好適に短いミルクアウト時間を可能にする。哺乳期牛に対するミルクアウト時間は、乳房炎治療剤の投与から販売可能な乳汁の産生の再開までの期間である。このような投与の後に、乳汁中の活性物質の濃度は、乳汁がヒトに消費されるのに適するとみなされる前に、適切な取締機関の許容レベルまで低下していなければならない。好適に短いミルクアウト時間は、乳房炎の発生に起因する酪農業者の金銭上の損失を減少させる。
【0049】
そのほかに又はそれに加えて、好ましい方法は、乳が出なくなった牛の乳房炎治療後の出産後搾乳保留時間の短縮を可能にし、子孫に活性物質が残留しない。
【0050】
そのほかに又はそれに加えて、好ましい方法は、乳房炎治療後ゼロ日の食肉処理中止期間を可能にする。この属性は、牛をその治療後に一定の時間保持して餌を与えることが要求されるよりはむしろ、治療した牛の処分が財政上有利である場合にはいつでも農場経営者がその処分を行うことを可能にするので、特に重要である。
【0051】
本明細書において「治療」という用語は、乳房炎の臨床的徴候をまだ示していないが、臨床的乳房炎を発症する危険性のある非哺乳期動物、例えば非哺乳期牛に治療剤を投与することを包含する。従って、本発明は、このような危険性のある将来哺乳期に入る動物において臨床的乳房炎を発症する危険性を減少させる方法を提供し、該方法は、抗菌剤を本明細書で定義した第二の物質との併用療法において、それぞれの治療有効量で動物に乳房内投与することを含む。
【0052】
しかしながら、好ましい実施形態において、本発明に係る併用療方法は、乳房炎の臨床的徴候を有する乳汁産生動物に投与される。従って、本発明は、乳汁産生動物の臨床的乳房炎の治療方法を提供し、該方法は、抗菌剤を本明細書で定義した第二の物質との併用療法において、それぞれの治療有効量で動物に乳房内投与することを含む。
【0053】
例えば耳の感染性障害の治療において耳注入により投与する場合、好ましい方法及び組成物は、追加の利点を有することができる。例えば、好ましい方法は、耳道の開通性を増大し、これによって音の伝達抵抗を減少させ、聴覚の明瞭度及び感度を改善する。
【0054】
そのほかに又はそれに加えて、好ましい方法は、水及び水性トキシン、刺激物及び抗原性物質の有害作用に対して保護するコーティングを耳の上皮層上に与え、そして耳障害の予防を助ける。
【0055】
本発明の方法及び組成物のもう一つの利益は、乳房内使用であろうが耳への使用であろうが、それらが感染及び/又は炎症部位への少なくとも抗菌剤の標的送出を可能にすることである。抗菌剤及び本明細書で定義した第二の物質の両者を含む本発明の組成物を用いる場合、両方の物質は感染及び/又は炎症部位に標的送出される。
【0056】
好ましい組成物のもう一つの利益は、乳房内投与であろうが耳投与であろうが、それらが投与後に最小限の刺激しか生じないか又は刺激を全く生じないことである。
【0057】
本発明の組成物のもう一つの利益は、従来の油性及び水性組成物と比較した場合の改善された物理的安定性であり、これは、例えば組成物の改善された再懸濁性のためである。本発明の組成物は一定の薬剤の凝集を引き起こすことが示されており、これによって再懸濁性を改善し、そして懸濁液が固化する問題、及び本来の効力以下の又は全く有効でない投与量が送出される可能性の問題を排除する。
【0058】
本発明の医薬組成物の製造方法が提供される。本方法は、水分散性であり且つエタノール不溶性である両親媒性油、マイクロクリスタリンワックス、製薬上許容される非水性担体、抗菌剤及び本明細書で定義した第二の物質を好適な任意の順序で混合して組成物を与えることを含み、このような組成物は本明細書に記載した長期の化学的及び/又は物理的安定性を好ましく有する。
【0059】
従って、本発明は、当技術において長期にわたる幾つかの問題の解決策を提供し、そして先行技術の方法及び組成物に対して一つ又はそれ以上の利点を有する。本発明の他の特徴、利点及び利益は以下の説明から明らかであろう。
【0060】
本発明は、自然の外口を有する液体含有器官の感染状態の治療方法を提供し、該方法は、抗菌剤を外口から器官に投与し、そして本明細書で定義した第二の物質を該抗菌剤との併用療法において投与することを含み;ここで該抗菌剤は、該抗菌剤と、(a)水分散性であり且つエタノール不溶性である両親媒性油、(b)マイクロクリスタリンワックス及び(c)製薬上許容される非水性担体、を含む基剤とを含む医薬組成物として投与される。本発明はまた、自然の外口を有する液体含有器官の感染状態を治療又は予防する医薬の製造における、本発明の組成物の使用を提供する。本発明はさらに、自然の外口を有する液体含有器官の感染状態の治療又は予防方法に使用するための組成物を提供する。
【0061】
本明細書において「抗菌剤」に関連する方法及びそれを含む組成物への言及は、1より多くの抗菌剤が使用されるこのような方法及び組成物を包含する。さらに、1より多くの抗炎症剤、麻酔剤、解熱剤、ナトリウムチャンネル遮断剤、抗浮腫剤及び/又は鎮痛剤は、場合により本明細書における「第二の物質」を形成することができる。
【0062】
本明細書において「感染状態」は、病原性細菌により媒介される全ての疾患、障害若しくは状態、又はそれ以外には、疼痛、発熱、腫れ又は炎症を伴おうが伴わなかろうが、抗生物質のような抗菌剤による治療に応答するものを包含する。しかしながら、本発明は特に、疼痛、発熱、腫れ又は炎症の要素を有するこのような状態に向けられる。
【0063】
本明細書において想定される液体含有器官は、乳房器官、例えば牛、山羊又は羊のような乳汁産生動物の乳房を包含する。「乳汁産生動物」は、全ての哺乳類の種の雌であってよいが、好ましくは乳汁供給の目的で飼育される動物、例えば牛、山羊又は羊であり、そして感染状態時又は治療時に哺乳期であろうがあるまいが、このような動物を包含する。乳房器官の自然外口は乳頭管の開口部である。液体含有器官はまた、ヒト及び動物被験体の耳を包含する。耳の自然外口は外耳道の開口部である。
【0064】
本明細書で用いられる「抗菌有効量」という用語は、本発明の方法により投与したときに、治療される感染状態の一つ又はそれ以上の症状の発現を減少、軽減、予防若しくは遅延させるのに、又は原因微生物の数及び/又は活性を減少させるのに十分である抗菌剤の量を指す。
【0065】
本明細書において「併用療法」という用語は、抗菌剤及び第二の物質を個々に又は一緒に、これらの治療剤の共同作用からの有益な効果が得られるように投与する治療計画を意味する。このような有益な効果は、治療剤の薬物動態的又は薬力学的共同作用を包含することができるが、これらに限定されるものではない。併用療法は、例えば、単独療法中に通常投与されるよりも低い用量の一方又は両物質の投与を可能にし、従ってより高い用量に関連する副作用の危険性又は発生率を減少させる。又は、併用療法は結果として、単独療法における各物質の通常の用量で治療効果を増大させることができる。本明細書において「併用療法」は、結果として偶然に逐次的又は同時治療となる個別の単独療法の一部として2種又はそれ以上の治療剤を投与することを包含することを意図していない。
【0066】
抗菌剤及び第二の物質の投与は、定められた期間(選択した組み合わせに応じて普通には数分、数時間、数日又は数週間)にわたって典型的に行われる。これらの治療剤は逐次方式で、すなわち異なる時点で、典型的には約24時間以内の間隔で、又は実質的に同時方式で投与することができる。
【0067】
同時に投与する場合、抗菌剤及び第二の物質は別個の投与形態で又は共製剤として、すなわち単一投与形態で投与することができる。二つの物質を逐次に又は個別投与形態で投与する場合、第二の物質は全ての好適な経路及び全ての製薬上許容される投与形態で、例えば抗菌剤に使用した以外の経路及び/又は投与形態で投与することができる。別法として、第二の物質は、抗菌剤のように、(a)水分散性であり且つエタノール不溶性である両親媒性油、(b)マイクロクリスタリンワックス及び(c)製薬上許容される非水性担体を含む基剤に分散させることができ、そして液体含有器官の自然外口から投与することができる。好ましい実施形態において、両方の物質は同じ基剤中に共分散され、単一操作で投与される。
【0068】
本明細書で用いられる「治療有効量」という用語は、本発明の方法により投与したときに、治療される状態の一つ又はそれ以上の症状の発現を減少、軽減、予防若しくは遅延させるのに、又は原因微生物の数及び/又は活性を減少させるのに十分である活性物質の量を指す。「それぞれの治療有効量で」という語句は、本発明の方法に係る併用療法において投与したときに、抗菌剤の量及び第二の物質の量が、抗菌効果と抗炎症、麻酔、ナトリウムチャンネル遮断、抗浮腫、鎮痛及び/又は解熱効果から選択される効果との両方を与えるのに十分であることを意味する。このような量は、単独療法で用いたときに治療上有効である抗菌剤の量又は第二の物質の量と同一であってよく、それより多くても少なくてもよい。
【0069】
本明細書において「第二の物質」は、抗炎症、麻酔、抗浮腫、鎮痛、ナトリウムチャンネル遮断及び/又は解熱特性を有する活性医薬である。好ましくは、このような物質は、本発明により投与したときに少なくとも抗炎症効果を示す。
【0070】
抗菌剤と、一定の実施形態において第二の物質とを含む医薬組成物は、これらの物質を本明細書に記載した基剤中に分散している注射用又は注入用液体組成物、例えば乳房内又は耳注入に適合した組成物である。この文脈において「分散している」という用語は、溶解(すなわち分子分散)しているか、又はコロイド状で、例えばエマルジョン若しくは懸濁液として分散していることを意味する。典型的には、少なくとも1種の治療剤は、固体粒子の形態で基剤中に懸濁している。
【0071】
基剤は、三つの必須成分を場合により追加の成分と一緒に含む。
【0072】
これらの必須成分の第一成分は、水分散性であり且つエタノール不溶性である両親媒性油である。「両親媒性油」は、明確に極性の領域及び明確に非極性の領域のある分子構造を有する物質と定義される。構造的に、両親媒性油のこれら二つの領域は、二つの領域の独自の特性が明確に独立するように十分遠く離れている。「エタノール不溶性」という用語は、両親媒性油がエタノールに20℃で基本的に溶解しないことを意味する。
【0073】
基剤の第二の必須成分は、マイクロクリスタリンワックスである。
【0074】
基剤の第三の必須成分は、製薬上許容される非水性担体である。このような担体は、典型的には、以下でさらに十分に説明する油である。
【0075】
基剤成分の選択は、液体含有器官に投与したときに、該液体中に分散する組成物を与えるために重要である。理論に制約されることなく、器官内の液体中へのこのような分散は、結果として抗菌剤及び場合により第二の物質を器官の感染部位に標的送出させると考えられる。
【0076】
本発明の方法が、組成物を乳頭管から乳房内に注射又は注入すること、すなわち関連する時間尺度とは無関係に「乳房内注入」と本明細書に記載する工程を含む場合には、それは乳房炎、乳房の他の疾患及び/又は乳房疾患に関連する状態の効果的な治療を与えることができる。
【0077】
本発明の方法が、組成物を外耳道から耳内に注射又は注入すること、すなわち関連する時間尺度とは無関係に「耳注入」と本明細書に記載する工程を含む場合には、それは耳障害及び/又はそれに関連する合併症の効果的な治療及び/又は予防を与えることができる。このような耳障害又はそれに関連する合併症に罹った被験者は、ヒト、コンパニオン動物、ウマ、家畜などであってよい。
【0078】
このような耳障害の例は以下のものを包含するが、それらに限定されるものではない:外耳炎(外耳感染)、急性中耳炎、分泌性中耳炎、漿液性中耳炎及び慢性中耳炎を包含する中耳炎(中耳感染)、耳漏(浸出を引き起こす鼓膜の破裂を伴う中耳炎)、急性乳様突起炎、耳の外科的処置(例えば中耳腔換気術など)に関連する感染症、耳硬化症、耳痛、耳の苦痛、耳炎症、耳出血、レルモワイエ症候群、メニエル病、前庭神経炎、良性発作性体位目眩、耳ヘルペス、ラムゼイ・ハント症候群、ウイルス性神経炎、神経節炎、膝ヘルペス、化膿性迷路炎及びウイルス性内リンパ迷路炎を包含する迷路炎、外リンパ瘻、老年性難聴、薬剤誘発性耳毒性、聴神経腫、航空性中耳炎、感染性鼓膜炎、水疱性鼓膜炎、耳新生物、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、他の耳癌、耳前癌状態、非クロム親和性傍神経節腫、ケモデクトーマ、頸静脈球腫瘍、鼓膜球腫瘍、軟骨膜炎、耳湿疹様皮膚炎、悪性外耳炎、軟骨膜下血腫、耳垢腺腫、耳垢栓塞、皮脂嚢胞、骨腫、ケロイド、耳鳴り、目眩、鼓膜感染、鼓膜炎、耳フルンケル、錐体炎、伝音及び感音難聴、硬膜外膿瘍、外側静脈洞血栓症、硬膜下膿瘍、耳性水頭症、ダンディー症候群、水疱性鼓膜炎、びまん性外耳炎、異物、閉塞性角化症、耳真菌症、外傷、急性気圧性中耳炎、急性耳管閉塞、上記の感染の何れかに関連する合併症(例えば難聴、脳膿瘍、発熱、コレステリン腫、中耳及び内耳の石灰化、鼓膜破裂、髄膜炎、顔面神経麻痺など)、術後耳痛など。
【0079】
本発明の方法は、外耳炎、中耳炎、耳漏、及び耳の外科的処置に関連する炎症性成分を有する感染症の治療に特に適している。
【0080】
一つの実施形態において、耳障害は新生物である。このような新生物の例は、耳新生物、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、悪性外耳炎、悪性非クロム親和性傍神経節腫、悪性頸静脈腫瘍、悪性鼓膜球腫瘍、耳前癌状態などであるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
第二の物質と一緒の抗菌剤の併用療法は、抗菌剤又は第二の物質の何れかの単独投与と比較して、増大した治療選択肢を提供する。上記のように、抗菌剤は、(a)水分散性であり且つエタノール不溶性である両親媒性油、(b)マイクロクリスタリンワックス及び(c)製薬上許容される非水性担体を含む基剤中に分散しており、そして例えば乳房内又は耳注入により投与される一方で、第二の物質は、任意の許容される即時放出性又は持続放出性の医薬投与形態に製剤化される。第二の物質にとって好適な投与形態は、懸濁液、溶液、エマルジョン、錠剤、カプセル、ピル、粉末、顆粒、エリキシル、チンキ、シロップ、ロゼンジ、糖衣錠、ゲル、軟膏、展着性ペースト、スラリー、エアゾールスプレー、点耳剤、点鼻剤、点眼剤、坐剤、インプラントなどを包含するが、これらに限定されるものではなく、そして経口腔及び口腔内、例えば舌下、頬側などを包含する経口;非経口、例えば筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内、関筋内、皮内、髄腔内、胸骨内、髄内、滑液嚢内、鞘内、心腔内、心室内、嚢内、頭蓋内など;乳房内、局所、経皮、鼻内、耳、粘膜、直腸、膣内、肺などを包含するいずれかの経路で投与することができるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
好ましくは、第二の物質は製薬上許容される基剤中に製剤化され、抗菌剤及び第二の物質の両者は、例えば乳房内又は耳注入により前記液体含有器官に投与される。製薬上許容される担体又は基剤は、組成物の成分として必要量で投与したときに、動物に対して許容し難い有害又は毒性効果を有しないものである。このような担体又は基剤の賦形剤成分の何れも、組成物中の別の賦形剤又は治療剤と有害な形で反応しない。
【0083】
場合により、上記の治療剤の投与は、他の生物活性物質及び非薬物療法とさらに組み合わせて行うことができる。例えば、耳の癌又は前癌状態(例えば耳新生物、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、悪性外耳炎、悪性非クロム親和性傍神経節腫、悪性頸静脈腫瘍、悪性鼓膜球腫瘍、耳前癌状態など)を治療するために、抗新生物剤を本発明の併用療法に加えることができる。このような抗新生物剤は、アナストロゾール、炭酸カルシウム、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、ドセタキセル、エフロルニチン、エトポシド、エキセメスタン、フルオキシメストリン、ゲムシタビン、ゴセレリン、イリノテカン、ケトコナゾール、レトロゾール、ロイコボリン、レバミゾール、メグセトロール、パクリタキセル、ラロキシフェン、レチノイン酸、セレン(セレノメチオニン)、スリンダクスルホン、タモキシフェン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、ビンバスチン、ビンクリスチン、ビンオレルビンなど、及びそれらの組み合わせを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0084】
本発明の全ての実施形態において、少なくとも抗菌剤は局所投与される。乳房炎のような局所感染状態の治療の成功に不可欠な要件は、抗菌剤が最小阻止濃度付近の濃度又はそれより高い濃度で感染部位に到達すべきこと、及びこのような濃度が一定の最小時間持続されるべきことである。抗菌剤間では、それらが例えば乳房の感染部位に到達する能力に有意差があり、これらの差は抗菌剤の固有の抗菌活性の差よりも大きい。本発明による局所投与の一つの利点は、抗菌剤及び好ましくは第二の物質が、それらの作用部位に選択的に向けられ、結果として、筋肉内、皮下及び経口経路のような他の投与経路と比較して、より急速な治療作用の開始及びより完全な感染部位への送出をもたらすことである。局所投与は、所定の効果のための全治療用量を減少させることができ、そして肝初回通過効果を回避する。加えて、局所投与は、感染部位以外の部位での副次的効果、特に活性物質の一方又は両方に関連するものを減少又は排除する。活性物質の局所投与はまた、その一般毒性の減少及び望ましくない全身効果の危険性の最小化により、その治療指数を改善することができる。
【0085】
本発明は、もう一つの実施形態において、(a)分散性であり且つエタノール不溶性である両親媒性油、(b)マイクロクリスタリンワックス及び(c)製薬上許容される非水性担体、を含む基剤を含む、乳房内注入に適合した医薬組成物を提供し;該基剤はその中に、抗菌有効量の抗菌剤及び治療有効量の本明細書で定義した第二の物質を安定的に分散している。このような組成物は、本発明の方法に係る併用療法を与える単独投与に適している。
【0086】
好ましくは、このような組成物は、耳障害に関連する上皮組織の空気/液体界面の高い表面張力を、耳道の開通性を増大するように低下させる。上皮層の空気/液体界面の表面張力の低下は、液体の蓄積を最小化することができ、そして若干の場合には、耳道中の表面張力が上昇するために耳道中に保持された液体の排出を可能にし、そして/又は耳道の近位及び反対側の上皮壁(組織の表面張力が上昇するために距離がしばしば縮まっている)の分離を可能にし、これによって音の伝達を改善する。本明細書で用いられる「開通性を増大する」という用語は、開通した管路が形成されるように耳道を開放し、且つその閉塞を減少又は除去することを指す。音の伝達抵抗は、炎症、上皮壁上に増量して分泌された耳垢の蓄積、及び/又はそこの液体のコレクション(免疫反応の老廃物又は外からの水を含有する液体を包含する)の結果として上皮壁が膨化したための耳道の体積減少、部分的閉塞又は完全閉塞に起因する。
【0087】
本発明の特別の実施形態において、組成物の成分(抗菌剤及び/又は第二の物質及び/又は賦形剤成分)は、酸化分解反応を受けやすい。このような組成物は、酸素透過性容器又は送出装置に包装した場合でさえ、長期の化学的及び/又は物理的安定性を示す。本明細書において「長期の化学的及び/又は物理的安定性」という用語は、この実施形態の組成物が、同じ医薬を同じ濃度で含む対照組成物よりも大きい化学的及び/又は物理的安定性を有することを意味する。この文脈において「対照組成物」は、両親媒性油及びマイクロクリスタリンワックスの一方又は両方が欠けているが、その他の点では本発明の組成物と同様の組成物を意味する。
【0088】
酸素透過性容器又は送出装置は、全ての好適な熱可塑性材料で作ることができる。このような材料の例は、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及び特にポリオレフィンのポリマー及びコポリマーを包含するが、これらに限定されるものではない。ポリオレフィンは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリペンテン、それらのコポリマー及びそれらの混合物を包含する。
【0089】
乳房内投与のための組成物は、普通、組成物を乳頭管から乳腺に直接押出すのを可能にするための乳頭への挿入用カニューレノズルを備えたシリンジに包装される。乳房内懸濁製剤は、組成物の不完全な排出をもたらすノズル詰まりを引き起こすことのあるカニューレノズル中での薬剤粒子の沈降を防止するために、増粘した基剤中に一般的に調製される。
【0090】
セファロスポリンは抗菌物質の一クラスであり、それらの多くはグラム陽性及びグラム陰性細菌に対して広域スペクトルの活性を有する。
【0091】
本出願人は初期に、セファロスポリンであるセフチオフルの乳房内懸濁液を開発しようと努力して、12.5mg/mlの塩酸セフチオフルを、ラッカセイ油中に20mg/mlのグリセリルモノステアレートを含む増粘した基剤中に懸濁した。臨床的に有効であったが、この組成物の効力は、ポリエチレン製シリンジに包装した場合に室温で18ヵ月間未満貯蔵した後に、表示効力の90%未満に低下した。塩酸セフチオフルの酸化分解反応は、この効力低下の主な原因と決定された。乳房内懸濁液にとって、表示効力の少なくとも90%が短くても24ヵ月間保持される室温貯蔵寿命が望ましい。
【0092】
次いで、多数の塩酸セフチオフル懸濁液組成物を種々の増粘した基剤中で調製し、そして酸素透過性ポリエチレン製シリンジに包装した。濃度12.5mg/mlの塩酸セフチオフル製剤を製造した。全ての基剤は綿実油に基づくものであり、下記の追加成分を含んでいた:
1)50mg/mlのマイクロクリスタリンワックス。
2)70mg/mlのマイクロクリスタリンワックス+1.0mg/mlの没食子酸プロピル。
3)100mg/mlのマイクロクリスタリンワックス+50mg/mlのLabrafilTM M−1944CS。
4)40mg/mlのGelucireTM 62/05 +10mg/mlのGelucireTM 33/01。
5)70mg/mlのLexemulTM AR。
6)2.5mg/mlのCoagulanTM GP−1。
7)10mg/mlのマイクロクリスタリンワックス+5mg/mlのHydrofol GlyceridesTM T 57L。
8)30mg/mlのDrewpolTM 10−10−S。
9)15mg/mlの蜜蝋ブレンド。
10)60mg/mlのDrewpolTM 10−10−S。
11)10mg/mlの蜜蝋ブレンド+50mg/mlのLabrafilTM M−1944CS。
12)100mg/mlのマイクロクリスタリンワックス+1.0mg/mlの没食子酸プロピル。
13)70mg/mlのマイクロクリスタリンワックス+100mg/mlのLabrafilTM M−1944CS。
14)70mg/mlのマイクロクリスタリンワックス+100mg/mlのLabrafilTM M−1944CS+0.2mg/mlのブチル化ヒドロキシトルエン。
15)70mg/mlのマイクロクリスタリンワックス+50mg/mlのLabrafilTM M−1944CS+1.0mg/mlの没食子酸プロピル。
16)70mg/mlのマイクロクリスタリンワックス+50mg/mlのLabrafilTM M−1944CS+0.2mg/mlのブチル化ヒドロキシトルエン。
17)50mg/mlのマイクロクリスタリンワックス+1.0mg/mlの没食子酸プロピル。
18)100mg/mlのマイクロクリスタリンワックス+100mg/mlのLabrafilTM M−1944CS+1.0mg/mlの没食子酸プロピル。
19) 100mg/mlのマイクロクリスタリンワックス+100mg/mlのLabrafilTM M−1944CS+0.2mg/mlのブチル化ヒドロキシトルエン。
20)100mg/mlのマイクロクリスタリンワックス+50mg/mlのLabrafilTM M−1944CS+1.0mg/mlの没食子酸プロピル。
21)100mg/mlのマイクロクリスタリンワックス+50mg/mlのLabrafilTM M−1944CS+0.2mg/mlのブチル化ヒドロキシトルエン。
22)50mg/mlのマイクロクリスタリンワックス+100mg/mlのLabrafilTM M−1944CS+0.2mg/mlのブチル化ヒドロキシトルエン。
【0093】
LabrafilTM M−1944CSは、水分散性であり且つエタノールに20℃で本質的に溶解しない両親媒性油である。GelucireTM 62/05及びGelucireTM 33/01は、食品等級の天然水素化脂肪及び油から誘導される本質的に不活性な賦形剤である。LexemulTM ARは、酸に安定なカチオン自己乳化性グリセリルモノステアレートである。「蜜蝋ブレンド」は、白蝋、カルナウバ蝋及びカンデリラ蝋を含有するブレンドを指す。CoagulanTM GP−1 は、N−アシルグルタミン酸ジアミド、すなわち油のアミノ酸ゼラチン化剤である。DrewpolTMは、変性グリセリドである。
【0094】
最も驚くべきことに、酸素透過性ポリエチレン製シリンジ中で室温において24ヵ月間貯蔵した後に、LabrafilTM M−1944CS及びマイクロクリスタリンワックスの両者を含む塩酸セフチオフル組成物だけが、表示効力の少なくとも90%を維持した製剤を与えたことを見いだした。綿実油中にLabrafilTM M−1944CS及びマイクロクリスタリンワックスの両者を含む塩酸セフチオフル製剤の推定室温貯蔵寿命は、LabrafilTM M−1944CSを含有しない比較可能な製剤の推定室温貯蔵寿命よりも2.4〜3.7倍大きかった。さらに、室温で貯蔵した綿実油中にLabrafilTM M−1944CS及び蜜蝋ブレンドを含有する塩酸セフチオフル組成物は、室温で、酸素透過性ポリエチレン製シリンジ中で24ヵ月間貯蔵した後に90%未満の効力を有した一方で、綿実油中にLabrafilTM M−1944CS及びマイクロクリスタリンワックスを含む比較可能な粘度を有する塩酸セフチオフル製剤は、同じ貯蔵条件で24ヵ月後に表示の90%より大きな効力を示した。
【0095】
セファロスポリン、水分散性であり且つエタノール不溶性である両親媒性油、マイクロクリスタリンワックス及び非水性担体を含む組成物は、長期の化学的及び/又は物理的安定性を与えるのに加えて、広範囲の感染性微生物に対する効力、感染部位で有効医薬レベルを速やかに達成するための乳汁及び乳房液中への組成物の急速分散、哺乳期牛に対して短いミルクアウト時間、ゼロ日の食肉処理中止期間、非哺乳期牛の治療後の出産後搾乳保留時間の短縮、及び投与後の刺激が最小限ないし全くないことをも与えることができる。
【0096】
本発明に係る使用に応用できる抗菌剤は、乳房障害及び/又は耳障害及び/又はそれらに関連する合併症の治療及び/又は予防に有効であるような全ての物質を包含する。好適な抗菌剤は以下のものを包含するが、それらに限定されるものではない:天然及び合成ペニシリン型物質のようなベータラクタム抗菌剤であって、ペナムペニシリン(例えばベンジルペニシリン、フェノキシメチルペニシリン、コキサシリン、ナフシリン、メチシリン、オキサシリン、アモキシシリン、テモシリン、チカルシリンなど)、ペニシリナーゼ安定型ペニシリン、アシルアミノ及びカルボキシペニシリン(例えばピペラシリン、アズロシリン、メズロシリン、カルベニシリン、テモシリン、チカルシリンなど)、及びより広域スペクトルのペニシリン(例えばストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、ゲンタマイシン、アプラマイシン、アミカシン、スペクチノマイシン、アモキシシリン、アンピシリンなど)を包含するもの、セファロスポリン、マクロライド(例えばチロシン、チルミコシン、アイブロシン、エリスロマイシン、アジトロマイシン、スピラマイシン、ジョサマイシン、キタサマイシンなど)、リンコサミド(例えばリンコマイシン、クリンダマイシン、ピルリマイシンなど)、プルロムチリン(例えばチアムリン、バルネムリンなど)、ポリペプチド、グリコペプチド(例えばバンコマイシンなど)、ポリミキシン(例えばポリミキシンB、ポリミキシンEなど)、スルホンアミド(例えばスルファメタジン、スルファジアジン、スルファジアジン銀、スルファトロキサゾール、スルファメトキシピリダジン、スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、スルフィソキサゾール、スルファメチゾール、マフェニドなどの単独又はトリメトプリムとの組み合わせ)、クロラムフェニコール、チアムフェニコール、フロルフェニコール、テトラサイクリン型物質(例えばテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ドメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリンなど)、キノロン及びフルオロキノロン(例えばシプロフロキサシン、エノキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシン、トロバフロキサシン、シノカシン、ナリジキシン酸など)、チアムリン、コリスチン、メロペネム、スルバクタム、タゾバクタム、メタサイクリン、ピリメタミン、スルファセタミド、オキサゾリジノン、例えばエペレゾリド、リネゾリド、N−((5S)−3−(3−フルオロ−4−(4−(2−フルオロエチル)−3−オキシ−1−ピペラジニル)フェニル−2−オキシ−5−オキサゾリジニル)メチル)アセトアミド、(S)−N−((3−(5−(3−ピリジル)チオフェン−2−イル)−2−オキシ−5−オキサゾリジニル)メチル)アセトアミド、2,2−ジフルオロ−N−({(5S)−3−[3−フルオロ−4−(4−グリコロイルピペラジン−1−イル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)エタンチオアミド、(S)−N−((3−(5−(4−ピリジル)ピリド−2−イル)−2−オキシ−5−オキサゾリジニル)メチル)アセトアミド塩酸塩など、アミノグリコシド(カナマイシン、トブラマイシン、ネチルマイシンなど)、アミノシクリトール、アンフェニコール、アンサマイシン、カルバフェネム、セファマイシン、リファムピシン、モノバクタム、オキサセフェム、ストレプトグラミン(例えばキヌプリスチン、ダルホプリスチンなど)、サイクロセリン、ムピロシン、ヒドロキサム酸尿素、葉酸類似体(例えばトリメトプリムなど)、抗生物質型抗新生物剤(例えばアクラルビシン、アクチノマイシンD、アクチノプラノン、アエロプリシニン誘導体、Nippon Sodaアニソマイシン、アントラサイクリン、アジノ−マイシン−A、ブスカベリン、硫酸ブレオマイシン、ブリオスタチン−1、カリケマイシン、クロモキシマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジトリサルビシンB、ドキソルビシン、ドキソルビシン−フィブリノゲン、エルサマイシン−A、エピルビシン、エルブスタチン、エソルビシン、エスペラマイシン−A1b、フォストリエシン、グリドバクチン、グレガチン−A、グリンカマイシン、ヘルビマイシン、イダルビシン、イルジン、カズサマイシン、ケサリロジン、メノガリル、マイトマイシン、マイトキサントロン、ムタマイシン、マイコフェノレートモフェチル、ネオエナクチン、オキサリシン、オキサウノマイシン、ペプロマイシン、ピラチン、ピラルビシン、ポロトラマイシン、ピリンダマイシンA、ラパマイシン、リゾキシン、ロドルビシン、シバノマイシン、シウェンマイシン、ソランギシン−A、スパルソマイシン、ステフィマイシンB、タリソマイシン、テルペンテシン、トラジン、トリクロザリンA、ゾルビシン、全身性抗菌剤(例えば2,4−ジアミノピリミジン)、ニトロフランスルホン、マルボフロキサシンなど、及びそれらの組み合わせ。
【0097】
本明細書における個々の医薬化合物への全ての言及は、その化合物の互変異性体、立体異性体、エナンチオマー、塩、水和物及びプロドラッグを包含し、そして文脈がそのように要求しない限り、薬剤の何れか一つの確固たる状態の形に特有のものではないと理解すべきである。
【0098】
好ましい抗菌剤は以下のものを包含するセファロスポリンであるが、それらに限定されるものではない:塩酸セフチオフル、セフチオフル遊離酸、例えばセフチオフル結晶性遊離酸、セフチオフルナトリウム、他のセフチオフル塩、セファレキシン、セフラジン、セフキノム、セファセトリル、セファロニウム、セフロキシム、セファジジム、セフォペラゾン、セフェメトカルボン酸ナトリウム、セフェム七水和物、セファロスポリン二又は三水和物、セファドロキシル一水和物、セファゾリンナトリウム一水和物、セフィキシミン、セフタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、o−ホルミルセファマンドール、3−アセトキシメチル−7−(イミノセタミド)−セファロスポラン酸誘導体の塩、7−(D−アルファ−アミノ−アルファ−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミノ)−3−メチル−3−セフェム−1−カルボン酸の一水和物、syn−7−((2−アミノ−1−チアゾリル)(メトキシイミノ)アセチル)アミノ)−3−メチル−3−セフェム−4−カルボン酸の塩酸塩、セフェム酸付加塩、7−ベータ−(2−(2−アミノ−4−チアゾリル)アセトアミド)−3−(((1−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イル)チオ)メチル)−3−セフェム−4−カルボン酸(ピバロイルオキシ)メチル、セファレキシン、セファレキシン一水和物、7−(D−2−ナフチルグリシルアミノ)−3−メチル−3−セフェム−4−カルボン酸四水和物など。本発明に係る使用に最も好ましいセファロスポリンは、セフチオフル及びその製薬上許容される塩である。特に好ましいものはセフチオフル遊離酸、最も特別には結晶性形態のもの、及び塩酸セフチオフルである。
【0099】
抗菌剤がセフチオフル又はその塩、その他の形態である場合、本発明の組成物中の好ましい濃度範囲は、約1〜約1000mg/ml、より好ましくは約5〜約750mg/ml、よりいっそう好ましくは約10〜約100mg/mlである。セフチオフル以外の抗菌剤にとって、抗菌的に同等である好適な濃度範囲は、発表されたデータに基づいて当業者が決定することができる。
【0100】
第二の物質は、抗炎症、麻酔、ナトリウムチャンネル遮断、抗浮腫、鎮痛及び解熱特性の一つ又はそれ以上を有することができる。抗炎症、鎮痛及び/又は解熱特性を有する物質の例は以下のものを包含するが、それらに限定されるものではない:アセクロフェナク、アセメタシン、ε−アセトアミドカプロン酸、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセトアニリド、アセチルサリチル酸(アスピリン)、S−アデノシルメチオニン、アルクロフェナク、アルクロメタゾン、アルフェンタニル、アルゲストン、アリルプロジン、アルミノプロフェン、アロキシプリン、アルファプロジン、ビス(アセチルサリチル酸)アルミニウム、アムシノニド、アムフェナク、アミノクロルテノキサジン、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、2−アミノ−4−ピコリン、アミノプロピロン、アミノピリン、アミキセトリン、サリチル酸アンモニウム、アムピロキシカム、アムトルメチングアシル、アニレリジン、アンチピリン、アントラフェニン、アパゾン、ベクロメタゾン、ベンダザク、ベノリレート、ベノキサプロフェン、ベンジトラミド、ベンズピペリロン、ベンジダミン、ベンジルモルフィン、ベルモプロフェン、ベタメタゾン、ベジトラミド、α−ビサボロール、ブロムフェナク、p−ブロモアセトアニリド、酢酸5−ブロモサリチル酸、ブロモサリゲニン、ブセチン、ブクロキシン酸、ブコロム、ブデソニド、ブフェキサマク、ブマジゾン、ブプレノルフィン、ブタセチン、ブチブフェン、ブトファノール、カルバマゼピン、カルビフェン、カルプロフェン、カルサラム、セレコキシブ、クロロブタノール、クロロプレドニゾン、クロルテノキサジン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、コリンサリチレート、シンコフェン、シンメタシン、シンノキシカム、シラマドール、クリダナク、クロベタゾール、クロコルトロン、クロメタシン、クロニタゼン、クロニキシン、クロピラク、クロプレドノール、クローブ、コデイン、コデインメチルブロミド、リン酸コデイン、硫酸コデイン、コルチゾン、コルチバゾール、クロプロパミド、クロテタミド、シクラゾシン、デフラザコルト、デヒドロテストステロン、デラコキシブ、デソモルフィン、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、デキソキサドロール、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、デゾシン、ジアモルフォン、ジアムプロミド、ジクロフェナク、ジフェナミゾール、ジフェンピラミド、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルニサル、ジフルプレドネート、ジヒドロコデイン、酢酸ジヒドロコデイノンエノール、リン酸ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、アセチルサリチル酸ジヒドロキシアルミニウム、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、酪酸ジオキサフェチル、塩酸ジフェンヒドラミン、ジピパノン、ジプロセチル、ジピロン、ジタゾール、マレイン酸dl−クロルフェニラミン、ドロキシカム、エモルファゾン、エンフェナム酸、エノキソロン、エピリゾール、エプタゾシン、エテルサレート、エテンザミド、エトヘプタジン、エトドラク、エトキサゼン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルフィン、エトドラク、エトフェナメート、エトニタゼン、エトリコキシブ、オイゲノール、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロフェナク、フェンクロジン酸(fenclozic acid)、フェンドサル、フェノプロフェン、フェンタニル、フェンチアザク、フェプラジノール、フェプラゾン、フロクタフェニン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルフェナム酸、フルメタゾン、フルニソリド、フルニキシン、フルノキサプロフェン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオレゾン、フルオロメトロン、フルペロロン、フルピルチン、フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルプロフェン、フルプロクアゾン、フルランドレノリド、フルランドレノロンアセトニド、フルルビプロフェン、フルチカゾン、フォルモコルタル、フォスフォサル、フロフェナク、ゲンチジン酸、グラフェニン、グルカメタシン、サリチル酸グリコール、グアイアズレン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ハロメタゾン、ハロプレドノン、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イブフェナク、イブプロフェン、イブプロキサム、サリチル酸イミダゾール、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラク、酢酸イソフルプレドン、イソラドール、イソメタドン、イソニキシン、イソキセパク、イソキシカム、ケトベミドン、ケトプロフェン、ケトロラク、p−ラクトフェネチド、レフェタミン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシル−モルファン、ロフェンタニル、ロナゾラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、アセチルサリチル酸リジン、塩化リゾチーム、マジプレドン、メクロフェナム酸、メドリゾン、メフェナム酸、メロキシカム、メペリジン、メプレドニゾン、メプタジノール、メサラミン、メタゾシン、メタドン、メトトリメプラジン、塩酸メチルエフェドリン、メチルプレドニゾロン、サリチル酸メチル、メチアジン酸、メトフォリン、メトポン、ミロプロフェン、モフェブタゾン、モフェゾラク、モメタゾン、モラゾン、モルフィン、塩酸モルフィン、硫酸モルフィン、サリチル酸モルフィン、ミロフィン、ナブメトン、ナルブフィン、ナロルフィン、サリチル酸1−ナフチル、ナプロキセン、ナルセイン、ネフォパム、ニコモルフィン、ニフェナゾン、ニフルミン酸、ニメスリド、5'−ニトロ−2'−プロポキシアセトアニリド、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルフィン、ノルピパノン、ノスカピン、オルサラジン、オピウム、オキサセプロール、オキサメタシン、オキサプロジン、オキセピナク、オキシコドン、オキシモルフォン、オキシフェンブタゾン、パパベレツム、パラメタゾン、パラニリン、パレコキシブ、パルサルミド、ペンタゾシン、ペリソキサル、フェナセチン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、塩酸フェナゾピリジン、フェノコル、フェノペリジン、フェノピラゾン、アセチルサリチル酸フェニル、フェニルブタゾン、塩酸フェニルプロパノールアミン、サリチル酸フェニル、フェニラミドール、ピケトプロフェン、ピミノジン、ピペブゾン、ピペリロン、ピプロフェン、ピラゾラク、ピリトラミド、ピロキシカム、プラノプロフェン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、ピルプロフェン、ピロキシカム、プログルメタシン、プロヘプタジン、プロメドール、プロパセタモール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、プロピフェナゾン、プロクアゾン、プロチジン酸、プロキサゾール、ラミフェナゾン、ラミフェンタニル、リマゾリウムメチスルフェート、ロフェコキシブ、サラセタミド、サリシン、サリチルアミド、サリチルアミドo−酢酸、サリチル酸、サリチル硫酸、サルサレート、サルベリン、セラチオペプチダーゼ、シメトリド、スドキシカム、スフェンタニル、スルファサラジン、スリンダク、スペロキシドジスムターゼ、スプロフェン、スキシブゾン、タルニフルメート、テニダプ、テノキシカム、テロフェナメート、テトランドリン、チアゾリノブタゾン、チアプロフェン酸、チアプロフェン酸、チアラミド、チリジン、チノリジン、チオピナク、チオキサプロフェン、チキソコルトール、トルフェナム酸、トルメチン、トラマドール、トリアムシノロン、トロペシン、バルデコキシブ、ビミノール、キセンブシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、ジドメタシン、ゾメピラクなど、及びそれらの組み合わせ。
【0101】
一つの実施形態において、第二の物質はステロイド性抗炎症剤である。好適なステロイドは以下のものを包含するが、それらに限定されるものではない:アルクロメタゾン、アムシノニド、ベタメタゾン、17−吉草酸ベタメタゾン、クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、クロコルトロン、コルチゾン、デヒドロテストステロン、デオキシコルチコステロン、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、21−イソニコチン酸デキサメタゾン、ジフルラゾン、フルオシノニド、フルオシノロン、フルオロメトロン、フルランドレノリド、フルチカゾン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、ヘミコハク酸ヒドロコルチゾン、21−リジン酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、イソフルプレドン、酢酸イソフルプレドン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、メチルプレドニゾロンスレプトネート、モメタゾン、ブレドニカルベート、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、ヘミコハク酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、吉草酸−酢酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドなど、及びそれらの組み合わせ。
【0102】
別の実施形態において、第二の物質は、例えば以下のものから選択される鎮痛剤である:アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、デゾシン、ジアムプロミド、ジアモルフォン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシル−モルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルフィン、ミロフィン、ナルブフィン、ナロルフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルフィン、ノルピパノン、オピウム、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレツム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェナゾシン、フェノモルファン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドールなど、及びそれらの組み合わせ。
【0103】
また別の実施形態において、第二の物質は、例えば以下のものから選択される NSAIDである:サリチル酸誘導体(例えばサリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、ジフルニサル、オルサラジン、サルサレート、スルファサラジンなど)、インドール及びインデン酢酸(例えばインドメタシン、エトドラク、スリンダクなど)、フェナメート(例えばエトフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミン酸及びトルフェナム酸など)、ヘテロアリール酢酸(例えばアセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンチアザク、フロフェナク、イブフェナク、イソキセパク、ケトロラク、オキシピナク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシン、ゾメピラクなど)、アリール酢酸及びプロピオン酸誘導体(例えばアルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシン酸(bucloxic acid)、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸、チオキサプロフェンなど)、エノール酸(例えばオキシカム誘導体であるアンピロキシカム、シンノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、ピロキシカム、スドキシカム及びテノキシカム、並びにピラゾロン誘導体であるアミノピリン、アンチピリン、アパゾン、ジピロン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾンなど)、パラアミノフェノール誘導体(例えばアセトアミノフェンなど)、アルカノン(例えばナブメトンなど)、ニメスリド、プロクアゾンなど、及びそれらの組み合わせ。
【0104】
好ましい実施形態において、第二の物質は、選択的COX−2阻害剤のクラスの抗炎症剤である。選択的COX−2阻害剤は、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)活性を選択的に阻害する化合物である。「選択的COX−2阻害剤」及び「選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤」という用語は互いに交換可能であり、酵素シクロオキシゲナーゼのCOX−2アイソフォームを選択的に阻害し、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)をあまり有意に阻害しないで治療化合物を指す。本明細書で用いられるように、「選択的COX−2阻害剤」という用語はまた、COX−1と比べてCOX−2の選択的阻害を示す化合物にインビボで変換するプロドラッグ又は塩を指す。好ましい選択的COX−2阻害剤は、少なくとも約10、より好ましくは少なくとも約50、よりいっそう好ましくは少なくとも約100の選択係数を示し、ここで、「選択係数」は、IC50(COX−1)/IC50(COX−2)と定義され、IC50は、インビトロ又はインビボ試験において酵素活性の50%阻害を生じる化合物濃度である。
【0105】
本発明に応用できる選択的COX−2阻害剤は、以下に記載する化合物を包含するが、これらに限定されるものではなく、そしてそれらの互変異性体、立体異性体、エナンチオマー、塩、水和物、プロドラッグ及び組み合わせを包含する。当技術で公知の全てのこのような選択的COX−2阻害剤又はプロドラッグを使用することができる。
【0106】
本発明に有用な好ましい選択的COX−2阻害剤は、式(I)の化合物:
【化1】

又はそのプロドラッグ若しくは製薬上許容される塩であり、
【0107】
式中:
Aは、部分不飽和又は不飽和のヘテロシクリル及び部分不飽和又は不飽和の炭素環式環から選択される置換基、好ましくはピラゾリル、フラノニル、イソオキサゾリル、ピリジニル、シクロペンテノニル及びピリダジノニル基から選択されるヘテロシクリル基であり;
Xは、O、S又はCH2であり;
nは、0又は1であり;
1は、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル及びアリールから選択される少なくとも1個の置換基であり、そして場合により置換可能な位置でアルキル、ハロアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、アルコキシアルキル、アルキルスルフィニル、ハロ、アルコキシ及びアルキルチオから選択される1個又はそれ以上の基で置換されており;
2は、メチル、アミノ又はアミノカルボニルアルキルであり;
3は、ヒドリド、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、オキソ、シアノ、カルボキシル、シアノアルキル、ヘテロシクリルオキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、シクロアルキル、アリール、ハロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルケニル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、アシル、アルキルチオアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アラルケニル、アルコキシアルキル、アリールチオアルキル、アリールオキシアルキル、アラルキルチオアルキル、アラルコキシアルキル、アルコキシアラルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニル、N−アリールアミノカルボニル、N−アルキル−N−アリールアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルアルキル、カルボキシアルキル、アルキルアミノ、N−アリールアミノ、N−アラルキルアミノ、N−アルキル−N−アラルキルアミノ、N−アルキル−N−アリールアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、N−アリールアミノアルキル、N−アラルキルアミノアルキル、N−アルキル−N−アラルキルアミノアルキル、N−アルキル−N−アリールアミノアルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アリールチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、N−アリールアミノスルホニル、アリールスルホニル及びN−アルキル−N−アリールアミノスルホニルから選択される1個又はそれ以上の基であり、R3は場合により置換可能な位置でアルキル、ハロアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、アルコキシアルキル、アルキルスルフィニル、ハロ、アルコキシ及びアルキルチオから選択される1個又はそれ以上の基で置換されており;そして
4は、ヒドリド及びハロから選択される。
【0108】
選択的COX−2阻害剤の特に好ましい群は、式(II)を有する化合物:
【化2】

(式中、R5はメチル又はアミノ基であり、R6は水素又はC1-4アルキル又はアルコキシ基であり、X’はN又はCR7であり、ここで、R7は水素又はハロゲンであり、そしてY及びZは独立して、5〜6員環の隣接原子を定める炭素又は窒素原子であり、該環は場合により一つ又はそれ以上の位置でオキソ、ハロ、メチル又はハロメチル基で置換されている)、又はその異性体、互変異性体、製薬上許容される塩若しくはプロドラッグである。好ましいこのような5〜6員環は、一つ以下の位置で置換されたシクロペンテノン、フラノン、メチルピラゾール、イソオキサゾール及びピリジン環である。
【0109】
選択的COX−2阻害剤の別の特に好ましい群は、式(III)を有する化合物:
【化3】

(式中、X”はO、S又はN−低級アルキルであり;R8は低級ハロアルキルであり;R9は水素又はハロゲンであり;R10は水素、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ若しくはハロアルコキシ、低級アラルキルカルボニル、低級ジアルキルアミノスルホニル、低級アルキルアミノスルホニル、低級アラルキルアミノスルホニル、低級ヘテロアラルキルアミノスルホニル又は5〜6員の窒素含有ヘテロシクロスルホニルであり;そしてR11及びR12は独立して、水素、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ又はアリールである);及びその製薬上許容される塩である。
【0110】
特に有用な式(III)の化合物は、(S)−6,8−ジクロロ−2−(トリフルオロメチル)−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸である。
【0111】
選択的COX−2阻害剤の別の特に好ましい群は、5−アルキル−2−アリールアミノフェニル酢酸及びその誘導体である。このクラスの特に有用な化合物は、ルミラコキシブ及びその製薬上許容される塩である。
【0112】
実例として、セレコキシブ、デラコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、2−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−2−シクロペンテン−1−オン、(S)−6,8−ジクロロ−2−(トリフルオロメチル)−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸、2−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブトキシ)−5−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3−(2H)−ピリダジノン、4−[5−(4−フルオロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミド(アベラコキシブとしても知られている)、1−ベンジル−4−[(4−オキソピペリジン−1−イル)スルホニル]ピペリジン−4−カルボン酸tert−ブチル、4−[5−(フェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミド及びそれらの塩、より特別にはセレコキシブ、デラコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ及びその塩、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、4−[5−(4−フルオロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミド、1−ベンジル−4−[(4−オキソピペリジン−1−イル)スルホニル]ピペリジン−4−カルボン酸tert−ブチル及び4−[5−(フェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミドが、本発明の方法及び組成物に有用である。
【0113】
本発明の組成物に用いられるバルデコキシブは、任意の公知方法により、例えばTalley et al.への米国特許第5,633,272号に記載されたようにして製造することができる。本発明の組成物に用いられるパレコキシブ及びその塩は、任意の公知方法により、例えばTalley et. al.への米国特許第5,932,598号に記載されたようにして製造することができる。本発明の組成物に用いられるロフェコキシブは、任意の公知方法により、例えばDucharme et al.への米国特許第5,474,995号に記載されたようにして製造することができる。本発明の組成物に用いられるエトリコキシブは、任意の公知方法により、例えば国際特許公開第WO 98/03484号に記載されたようにして製造することができる。本発明の組成物に用いられる2−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−2−シクロペンテン−1−オンは、任意の公知方法により、例えば欧州特許第0 863 134号に記載されたようにして製造することができる。本発明の組成物に用いられるデラコキシブは、任意の公知方法により、例えばTalley et al.への米国特許第5,466,823号に記載されたようにして製造することができる。本発明の組成物に用いられる2−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブトキシ)−5−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3−(2H)−ピリダジノンは、任意の公知方法により、例えば国際特許公開第WO 00/24719号に記載されたようにして製造することができる。他の選択的COX−2阻害剤は、このような薬剤を開示している特許刊行物に記載された方法を包含する任意の公知方法により;例えばセレコキシブの場合は上記の米国特許第5,466,823号又はZhi et al.への米国特許第5,892,053号に記載されたようにして製造することができる。上記で引用した全ての特許及び公開は参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
第二の物質が選択的COX−2阻害剤である場合、本発明の組成物中の好ましい濃度範囲は、約0.01〜約1000mg/ml、より好ましくは約0.1〜約750mg/ml、よりいっそう好ましくは約5〜約250mg/mlである。選択的COX−2阻害剤以外の第二の物質にとって、好適な濃度範囲は、発表されたデータに基づいて当業者が決定することができる。
【0115】
別の実施形態において、第二の物質は麻酔剤である。麻酔剤は以下のものを包含するが、それらに限定されるものではない:アンブカイン、アモラノン、アミロカイン、ベノキシネート、ベノカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、ブタカイン、ブタンベン、ピクリン酸ブタンベン、ブタニリカイン、ブテタミン、ブトキシカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペロドン、ジフェニルヒドラミン、ジクロニン、エクゴニジン、エクゴニン、塩化エチル、エチドカイン、β−ユーカイン、フォモカイン、ヘキシルカイン、ヒドロプロカイン、ヒドロキシプロカイン、ヒドロキシテトラカイン、イソブカイン、p−アミノ安息香酸イソブチル、ケトカイン、ロイシノカイン、レボキサドロール、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、メタブテタミン、ミルテカイン、オクタカイン、オルトカイン、オキセタゼイン、オキシプロカイン、パレトキシカイン、フェナカイン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プリマカイン、プロパラカイン、プロピオカイン、プロポキシカイン、プソイドコカイン、ピロカイン、レプリビカン、ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、トリカイン、トリメカイン、キシロカインなど、及びそれらの組み合わせ。
【0116】
好ましい麻酔剤は、リドカイン、ブピバカイン、プリロカイン、ロピバカイン、並びにそれらの互変異性体、立体異性体、エナンチオマー、塩、水和物、プロドラッグ及び組み合わせである。
【0117】
別の実施形態において、第二の物質はナトリウムチャンネル遮断剤である。本発明に有用なナトリウムチャンネル遮断剤は、抗炎症剤の効果を、疼痛の軽減、浮腫の軽減などを包含する任意の機構(これらに限定されるものではない)により補完するものを含む。
【0118】
本発明により有用なナトリウムチャンネル遮断剤は、以下の非限定的リストから選択することができる:NaV1.8(PN3)サブタイプナトリウムチャンネル遮断剤、NaV1.3(タイプIII)サブタイプナトリウムチャンネル遮断剤、カルボキサミド、フェナメート、オキシカム、プロパンアミド、ピラジノイルグアニジンセミカルバゾン、セミカルバジドなど。
【0119】
その代わりに、本発明に係る使用に応用できるナトリウムチャンネル遮断剤は、以下の非限定的リストから選択することができる:アミロライド、4−アミノ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−5−(2,3,5−トリクロロフェニル)ピリミジン、アミトリプチリン、アンヒドロテトロドトキシン、アプリンジン、アズールA、ベンザミル、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサジネート、カルベジロール、デオキシテトロドトキシン、ジソピラミド、エンカイニド、エトキシテトロドトキシン、ユープロシン、フェナルコミン、フルアリジン、ガバペンチン、イソフルラン、リファリジン、ロルカイニド、1−メタンスルホニル−3−(4−フェノキシ)フェニル−1H−ピラゾール、メトキシフルランキシロカイン、メトキシテトロドトキシン、塩化メチル、2−メチル−1−[3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾール]プロパノン、メキシレチン、N−アセナフタ−5−イル−N' −4−メトキシナフチルグアニジン、ネパイン、N−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−N−4−ピリジル尿素、N−[3−(2,6−ジメチル−1−ピペリジニル)]−α−フェニルベンゼンアセトアミド、N−メチルストリキニン、1−[3−[4−(4−ニトロフェノキシ)フェニル]−1H−ピラゾール]エタノン、オキシカバゼピン、オキセサゼイン、オキシブロカイン、オキシザゼイン、パンクロニウム、フェナミル、フェニルベンゾチアゾール、フェニトイン、プレガバリン、プロカインアミド、プロパフェノン、プロパノカイン、ラリトリン、リルゾール、サキシトキシン、テカカイン、テトロジアミノトキシン、テトロドン酸、テトロドトキシン、トピラメート、5−(2,3,5−トリクロロフェニル)−2,4−ジアミノ−ピリミジン、6−(2,3,5−トリクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン−5−イルアミン、ベラパミル、ゾラミン、ゾニサミドなど、及びそれらの組み合わせ。
【0120】
本発明に応用できる両親媒性油は、水分散性であり且つエタノール不溶性である全ての両親媒性油を包含する。
【0121】
好ましいこのような両親媒性油は、ポリエチレングリコールによる天然トリグリセリドのアルコール分解反応によって製造されるポリグリコール化グリセリドであり、その例は、以下のGattefosse社の油又は他の製造業者からの実質的に同等の油を包含するが、それらに限定されるものではない:LabrafilTM M−1944CS、LabrafilTM M−1966CS、LabrafilTM M−1969CS、LabrafilTM M−1980CS、LabrafilTM M−2125CS、LabrafilTM WL−2609BS、LabrafilTM ISO及びそれらの組み合わせ。
【0122】
よりいっそう好ましい両親媒性油は、脂肪酸主成分としてオレイン酸又はリノレン酸の何れかを含む上記のように製造されるポリグリコール化グリセリドであり、その例は、以下のGattefosse社の油又は他の製造業者からの実質的に同等の油を包含するが、それらに限定されるものではない:LabrafilTM M−1944CS、LabrafilTM M−1966CS、LabrafilTM M−1969CS、LabrafilTM M−1980CS、LabrafilTM M−2125CS、LabrafilTM WL−2609BS及びそれらの組み合わせ。
【0123】
よりいっそう好ましい両親媒性油は、脂肪酸主成分としてオレイン酸を含む上記のように製造されるポリグリコール化グリセリドであり、その例は、以下の Gattefosse社の油又は他の製造業者からの実質的に同等の油を包含するが、それらに限定されるものではない:LabrafilTM M−1944CS、LabrafilTM M−1966CS、LabrafilTM M−1980CS及びそれらの組み合わせ。
【0124】
最も好ましい両親媒性油は、5−オレイン酸ペギコール(pegicol 5-oleate)、例えばGattefosse CorporationのLabrafilTM M−1944CSである。
【0125】
本発明の組成物中の両親媒性油の好ましい濃度範囲は、約0.01%〜約99%重量/体積、より好ましくは約1%〜約80%重量/体積、よりいっそう好ましくは約3%〜約25%重量/体積である。
【0126】
マイクロクリスタリンワックスは、例えばHandbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd ed.又は National Formulary, 19th ed. (NF 19)で定義されたとおりであり、そしてWitco Corporationを包含する多数の製造業者から入手することができる。
【0127】
本発明の組成物中のマイクロクリスタリンワックスの好ましい濃度範囲は、約0.001%〜約50%重量/体積、より好ましくは約0.1%〜約40%重量/体積、よりいっそう好ましくは約1%〜約15%重量/体積である。
【0128】
本発明の製薬上許容される非水性担体は、完全飽和、又は部分若しくは完全不飽和であってよい。非水性担体の例は、植物油、鉱物油、合成油及びそれらの組み合わせを包含するが、それらに限定されるものではない。完全飽和の非水性担体の例は、中鎖ないし長鎖脂肪酸のエステル(例えば鎖長が約C6〜約C24の脂肪酸トリグリセリド)を包含するが、それらに限定されるものではない。脂肪酸の混合物は、天然油(例えばヤシ油、パーム核油、ババス油など)から分離され、そして精留される。幾つかの実施形態において、中鎖(約C8〜約C12)トリグリセリドが有用である。具体例としての飽和の非水性担体は、カプリン酸(約20%〜約45%)及びカプリル酸(約45%〜約80%)を含む。他の完全飽和の非水性担体は、飽和ヤシ油(これは典型的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、カプリン酸及びカプロン酸の混合物を含む)を包含するが、これに限定されるものではなく、Huls社からのMiglyolTMの商標で販売され、そして810、812、829及び840の取引表示が付されたものを包含する。Drew Chemicalsから販売されている NeoBeeTM 製品も注目される。ミリスチン酸イソプロピルは、本発明の組成物に有用な非水性担体の別の例である。合成油の例は、6〜 24個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪酸、例えばヘキサン酸、オクタン(カプリル)酸、ノナン(ペラルゴン)酸、デカン(カプリン)酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、テトラデカン(ミリスチン)酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン(パルミチン)酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン(ステアリン)酸、ノナデカン酸、ヘプタデカン酸、エイコサン酸、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸及びリグノセリン酸などのトリグリセリド及びポリプロピレングリコールジエステルを包含する。不飽和カルボン酸の例は、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸などを包含する。当然ながら非水性担体は、脂肪酸のモノ−、ジ−若しくはトリグリセリルエステル又は混合グリセリド及び/又はプロピレングリコールジエステルを含むことができ、グリセロールの少なくとも1分子は様々な炭素原子鎖長を有する脂肪酸でエステル化されている。本発明の組成物中の担体として有用な「ノンオイル」の非限定的例は、ポリエチレングリコールである。
【0129】
好ましい非水性担体は、植物油、例えば綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、ダイズ油、オリーブ油、精留ヤシ油、ラッカセイ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、パーム核油、ババス油、ブナ実油、アマニ油、ナタネ油などである。最も好ましい非水性担体は、綿実油である。一例として、綿実油はSigma Chemical Co.から70%不飽和脂肪酸の調製物として入手できる。
【0130】
本発明の組成物中の非水性担体の好ましい濃度範囲は、約0.5%〜約99%重量/体積、より好ましくは約10%〜約95%重量/体積、よりいっそう好ましくは約40%〜約90%重量/体積である。
【0131】
本発明の組成物は、場合により、組成物の必須成分と有害な反応を行わない任意の従来の製薬用賦形剤をさらに含むことができる。このような賦形剤は、抗酸化剤、保存剤、懸濁化剤、安定剤、可溶化剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、着色剤、アルコール、等張剤、透過剤、抗刺激剤、緩衝剤及びそれらの組み合わせを包含するが、それらに限定されるものではない。
【0132】
抗菌剤及び場合により第二の物質を含む組成物は、乳房炎の治療又は予防のために、乳汁産生動物の乳房の乳頭管の外口に乳房炎用シリンジのカニューレノズルを挿入し、そして組成物を乳房に注入することにより投与することができる。
【0133】
抗菌剤及び場合により第二の物質を含む組成物は、耳障害の治療又は予防のために、被験者の耳の外耳道に耳用シリンジ、点耳剤ディスペンサー又は他の適切な耳用送出装置のノズルを挿入し、そして組成物を耳に注入することにより投与することができる。
【0134】
特定の症例において投与すべき組成物の好ましい量は、利用される特定の組成物、適用の様式、治療される特別の位置及び生物、並びに他の要因により変化することが理解されるだろう。所定の目的のための投与量は、従来の考慮事項を用いて、例えば、本発明の組成物と既知物質との活性の差を例えば適切な従来の医薬品プロトコールにより慣例的に比較することによって決定できる。
【0135】
抗菌剤、例えば塩酸セフチオフル及び第二の物質、例えば選択的COX−2阻害剤であるデラコキシブを含有する具体的な懸濁液組成物は、下記の組成を有する:
抗菌剤 1〜150mg/ml
第二の物質 1〜350mg/ml
LabrafilTM M−1944CS 1〜75%
マイクロクリスタリンワックス 0.1〜25%
綿実油 適量100%まで
(全ての%は重量/体積である)
【実施例】
【0136】
下記の実施例により本発明の態様を説明するが、限定と解釈してはならない。
【0137】
〔実施例1〕
乳房内注入により投与される下記の組成を有する懸濁液を調製した:
塩酸セフチオフル(微粉末化) 12.5mg/ml
LabrafilTM M−1944CS 50mg/ml
マイクロクリスタリンワックスNF 70mg/ml
綿実油NF 適量
【0138】
マイクロクリスタリンワックス及び綿実油の全量の約27%を、ケトル中で混合しながら85〜98℃に加熱した。綿実油の残りを製造用タンク中で混合しながら85〜98℃に加熱した。マイクロクリスタリンワックスが完全に溶融した後、ケトル中のマイクロクリスタリンワックス/綿実油混合物を、綿実油を含む製造用タンクに移し、十分に混合した。生成した混合物を38〜45℃に冷却し、LabrafilTM M−1944CSを製造用タンクに混合しながら加えて基剤を形成した。次いで塩酸セフチオフルを基剤に加え、生成した組成物を混合して均一懸濁液を形成した。この懸濁液をスクリーンで濾し、12ml容量の高密度ポリエチレン製乳房炎用シリンジに充填した。この包装した生成物を25〜40kGyの線量でガンマ線照射することにより最終的に滅菌した。
【0139】
上記懸濁液の界面張力を、39℃の脱イオン水による滴容法を用いて、綿実油中の70mg/mlのマイクロクリスタリンワックスを用いて製造したがLabrafilTM M−1944CSを含まない対照懸濁液の界面張力と比較することにより決定した。
【0140】
綿実油中にLabrafilTM M−1944CS及びマイクロクリスタリンワックスの両者を含有する懸濁液の界面張力は6.5dyne/cmであり、対照懸濁液の界面張力(22.5 dyne/cm)よりも約3.4倍低かった。
【0141】
上記懸濁液を、125mg/4回/日(2〜8日間)の用量で乳汁分泌中の牛に乳房内注入することにより、4mg/kg体重/日の用量で投与されるリン酸緩衝生理食塩水の基剤中の100mg/mlパレコキシブナトリウム非経口注射剤との併用療法において投与する。この併用療法は、乳汁分泌中の牛の乳房炎の治療に有効である。
【0142】
〔実施例2〕
乳房内注入により投与される下記の組成を有する懸濁液を調製した:
塩酸セフチオフル(微粉末化) 12.5mg/ml
LabrafilTM M−1944CS 50mg/ml
マイクロクリスタリンワックスNF 100mg/ml
綿実油NF 適量
【0143】
マイクロクリスタリンワックス及び綿実油を、製造用タンク中で混合しながら 85〜98℃に加熱した。マイクロクリスタリンワックスが完全に溶融した後、この混合物を38〜45℃に冷却し、LabrafilTM M−1944CSを製造用タンクに混合しながら加えて基剤を形成した。塩酸セフチオフルを生成した基剤に加え、混合して均一懸濁液を形成した。この懸濁液をスクリーンで濾し、12ml容量の高密度ポリエチレン製乳房炎用シリンジに充填した。この包装した生成物を25〜40kGyの線量でガンマ線照射することにより最終的に滅菌した。
【0144】
上記懸濁液の界面張力を、39℃の脱イオン水による滴容法を用いて、綿実油中の100mg/mlのマイクロクリスタリンワックスを用いて製造したがLabrafilTM M−1944CSを含まない対照懸濁液の界面張力と比較することにより決定した。
【0145】
綿実油中にLabrafilTM M−1944CS 及びマイクロクリスタリンワックスの両者を含有する懸濁液の界面張力は7.1dyne/cm であり、対照懸濁液の界面張力(28.1 dyne/cm)よりも約4.0倍低かった。
【0146】
上記懸濁液を、125mg/4回/日(2〜8日間)の用量で乳汁分泌中の牛に乳房内注入することにより、4mg/kg体重/日の用量で投与されるリン酸緩衝生理食塩水の基剤中の200mg/mlパレコキシブナトリウム非経口注射剤との併用療法において投与する。この併用療法は、乳汁分泌中の牛の乳房炎の治療に有効である。
【0147】
〔実施例3〕
乳房内注入により投与される下記の組成を有する懸濁液を調製した:
塩酸セフチオフル(微粉末化) 12.5mg/ml
LabrafilTM M−1944CS 200mg/ml
マイクロクリスタリンワックスNF 100mg/ml
綿実油NF 適量
【0148】
マイクロクリスタリンワックス及び綿実油を、製造用タンク中で混合しながら 85〜98℃に加熱した。マイクロクリスタリンワックスが完全に溶融した後、この混合物を38〜45℃に冷却し、LabrafilTM M−1944CSを製造用タンクに混合しながら加えて基剤を形成した。次いで塩酸セフチオフルを生成した基剤に加え、混合して均一懸濁液を形成した。この懸濁液をスクリーンで濾し、12ml容量の高密度ポリエチレン製乳房炎用シリンジに充填した。この包装した生成物を25〜40kGy の線量でガンマ線照射することにより最終的に滅菌した。
【0149】
上記懸濁液の界面張力を、39℃の脱イオン水による滴容法を用いて、綿実油中の100mg/mlのマイクロクリスタリンワックスを用いて製造したがLabrafilTM M−1944CSを含まない対照懸濁液の界面張力と比較することにより決定した。
【0150】
綿実油中にLabrafilTM M−1944CS及びマイクロクリスタリンワックスの両者を含有する懸濁液の界面張力は<1dyne/cmであり、対照懸濁液の界面張力(28.1 dyne/cm)よりも28倍以上低かった。
【0151】
上記懸濁液を、125mg/4回/日(2〜8日間)の用量で乳汁分泌中の牛に乳房内注入することにより、4mg/kg体重/日の用量で投与されるリン酸緩衝生理食塩水中の15%ポリエチレングリコールの基剤中の100mg/mlパレコキシブナトリウム非経口注射剤との併用療法において投与する。この併用療法は、乳汁分泌中の牛の乳房炎の治療に有効である。
【0152】
〔実施例4〕
乳房内注入により投与される下記の組成を有する懸濁液を調製する:
セフチオフル結晶性遊離酸(微粉末化) 25mg/ml
デラコキシブ 170mg/ml
LabrafilTM M−1966CS 100mg/ml
マイクロクリスタリンワックスNF 50mg/ml
トウモロコシ油NF 適量
【0153】
マイクロクリスタリンワックス及びトウモロコシ油を、製造用タンク中で混合しながら85〜98℃に加熱する。マイクロクリスタリンワックスが完全に溶融した後、この混合物を30〜45℃に冷却し、LabrafilTM M−1966CSを製造用タンクに混合しながら加えて基剤を形成する。セフチオフル結晶性遊離酸及びデラコキシブを基剤に加え、混合して均一懸濁液を形成する。この懸濁液をスクリーンで濾し、12ml容量の高密度ポリエチレン製乳房炎用シリンジに充填する。この包装した生成物を25〜40kGyの線量でガンマ線照射することにより最終的に滅菌する。
【0154】
上記の懸濁液を、500mgセフチオフル結晶性遊離酸/4回及び3,400mgデラコキシブ/4回の用量で乳汁を分泌しなくなった牛の四つの乳房全部に乳房内注入することにより投与する。この懸濁液は、乳汁を分泌しなくなった牛の乳房炎の治療に有効である。
【0155】
〔実施例5〕
耳注入により投与される下記の組成を有する懸濁液を調製する:
ピルリマイシン 25mg/ml
ロフェコキシブ 25mg/ml
LabrafilTM M−1980CS 500mg/ml
マイクロクリスタリンワックスNF 0.10mg/ml
没食子酸プロピル 1.0mg/ml
鉱物油 適量
【0156】
マイクロクリスタリンワックス及び鉱物油の全量の約27%を、ケトル中で混合しながら85〜98℃に加熱する。鉱物油の残りを製造用タンク中で混合しながら85〜98℃に加熱する。マイクロクリスタリンワックスが完全に溶融した後、ケトル中のマイクロクリスタリンワックス/鉱物油混合物を、鉱物油を含む製造用タンクに移し、十分に混合する。生成した混合物を38〜45℃に冷却し、LabrafilTM M−1980CSを製造用タンクに混合しながら加える。没食子酸プロピルを製造用タンクに混合しながら加えて基剤を形成する。ピルリマイシン及びロフェコキシブを生成した基剤に加え、混合して均一懸濁液を形成する。この懸濁液をスクリーンで濾し、20ml容量のポリプロピレン製容器に充填する。
【0157】
上記の懸濁液を、2.5mgピルリマイシン/kg体重及び2.5mgロフェコキシブ/kg体重の用量でイヌの耳に注入することにより投与する。この懸濁液は、イヌの外耳炎の治療に有効である。
【0158】
〔実施例6〕
乳房内注入により投与される下記の組成を有する懸濁液を調製する:
塩酸セフチオフル(微粉末化) 50mg/ml
デラコキシブ 300mg/ml
LabrafilTM M−1944CS 50mg/ml
マイクロクリスタリンワックスNF 70mg/ml
綿実油NF 適量
【0159】
マイクロクリスタリンワックス及び綿実油の全量の約27%を、ケトル中で混合しながら85〜98℃に加熱する。綿実油の残りを製造用タンク中で混合しながら85〜98℃に加熱する。マイクロクリスタリンワックスが完全に溶融した後、ケトル中のマイクロクリスタリンワックス/綿実油混合物を、綿実油を含む製造用タンクに移し、十分に混合する。生成した混合物を38〜45℃に冷却し、LabrafilTM M−1944CSを製造用タンクに混合しながら加えて基剤を形成する。塩酸セフチオフル及びデラコキシブを生成した基剤に加え、混合して均一懸濁液を形成する。この懸濁液をスクリーンで濾し、12ml容量の高密度ポリエチレン製乳房炎用シリンジに充填する。この包装した生成物を25〜40 kGyの線量でガンマ線照射することにより最終的に滅菌する。
【0160】
上記の懸濁液を、500mg塩酸セフチオフル/4回及び12,000mgデラコキシブ/4回の用量で乳汁を分泌しなくなった牛の四つの乳房全部に乳房内注入することにより投与する。この懸濁液は、乳汁を分泌しなくなった牛の乳房炎の治療に有効である。
【0161】
〔実施例7〕
乳房内注入により投与される下記の組成を有する懸濁液を調製する:
セフチオフルナトリウム(微粉末化) 25mg/ml
バルデコキシブ 1.5mg/ml
LabrafilTM WL−2609BS 75mg/ml
マイクロクリスタリンワックスNF 100mg/ml
MiglyolTM 812 適量
【0162】
マイクロクリスタリンワックス及びMiglyolTM 812の全量の約30%を、ケトル中で混合しながら85〜98℃に加熱する。MiglyolTM 812の残りを製造用タンク中で混合しながら85〜98℃に加熱する。マイクロクリスタリンワックスが完全に溶融した後、ケトル中のマイクロクリスタリンワックス/MiglyolTM 812混合物を、MiglyolTM 812を含む製造用タンクに移し、十分に混合する。生成した混合物を38〜45℃に冷却し、LabrafilTM WL−2609BSを製造用タンクに混合しながら加えて基剤を形成する。セフチオフルナトリウム及びバルデコキシブを生成した基剤に加え、混合して均一懸濁液を形成する。この懸濁液をスクリーンで濾し、12ml容量の高密度ポリエチレン製乳房炎用シリンジに充填する。この包装した生成物を25〜40 kGyの線量でガンマ線照射することにより最終的に滅菌する。
【0163】
上記の懸濁液を、500mgセフチオフルナトリウム/4回及び30mgバルデコキシブ/4回の用量で乳房内注入することにより投与する。この懸濁液は、乳汁を分泌しなくなった牛の乳房炎の治療に有効である。
【0164】
〔実施例8〕
耳注入により投与される下記の組成を有する懸濁液を調製する:
塩酸セフチオフル(微粉末化) 100mg/ml
デラコキシブ 100mg/ml
LabrafilTM M−1944CS 700mg/ml
マイクロクリスタリンワックスNF 0.05mg/ml
鉱物油 適量
【0165】
マイクロクリスタリンワックス及び鉱物油の全量の約27%を、ケトル中で混合しながら85〜98℃に加熱する。鉱物油の残りを製造用タンク中で混合しながら85〜98℃に加熱する。マイクロクリスタリンワックスが完全に溶融した後、ケトル中のマイクロクリスタリンワックス/鉱物油混合物を、鉱物油を含む製造用タンクに移し、十分に混合する。生成した混合物を38〜45℃に冷却し、LabrafilTM M−1944CSを製造用タンクに混合しながら加えて基剤を形成する。塩酸セフチオフル及びデラコキシブを生成した基剤に加え、混合して均一懸濁液を形成する。この懸濁液をスクリーンで濾し、50ml容量のポリプロピレン製容器に充填する。
【0166】
上記の懸濁液を、4mg塩酸セフチオフル/kg体重及び4mgデラコキシブ/kg体重の用量で被験者の耳に注入することにより投与する。この懸濁液は、中耳炎の治療及び/又は予防に有効である。
【0167】
〔実施例9〕
耳注入により投与される下記の組成を有する懸濁液を調製する:
塩酸セフチオフル(微粉末化) 100mg/ml
LabrafilTM M−1944CS 700mg/ml
マイクロクリスタリンワックスNF 0.1mg/ml
綿実油NF 適量
【0168】
マイクロクリスタリンワックス及び綿実油を製造用タンク中で混合しながら85〜98℃に加熱する。マイクロクリスタリンワックスが完全に溶融した後、この混合物を38〜45℃に冷却し、LabrafilTM M−1944CSを製造用タンクに混合しながら加えて基剤を形成する。塩酸セフチオフルを生成した基剤に加え、混合して均一懸濁液を形成する。この懸濁液をスクリーンで濾し、60ml容量のポリプロピレン製容器に充填する。
【0169】
上記の懸濁液を、4mg塩酸セフチオフル/kg体重の用量で被験者の耳に注入することにより、毎日2回投与される200mg Celebrex(登録商標)(セレコキシブ)カプセルの経口投与との併用療法において投与する。この併用療法は、外耳炎の治療及び/又は予防に有効である。
【0170】
耳注入により投与される下記の組成を有する懸濁液を調製する:
塩酸セフチオフル(微分末化) 75mg/ml
LabrafilTM M−1944CS 750mg/ml
マイクロクリスタリンワックスNF 0.05mg/ml
鉱物油 適量
【0171】
マイクロクリスタリンワックス及び鉱物油を製造用タンク中で混合しながら85〜98℃に加熱する。マイクロクリスタリンワックスが完全に溶融した後、この混合物を38〜45℃に冷却し、LabrafilTM M−1944CSを製造用タンクに混合しながら加えて基剤を形成する。塩酸セフチオフルを生成した基剤に加え、混合して均一懸濁液を形成する。この懸濁液をスクリーンで濾し、20ml容量のポリプロピレン製送出装置に充填する。
【0172】
上記の懸濁液を、2mg塩酸セフチオフル/kg体重の用量で被験者の耳に注入することにより、毎日1回投与される10mg Bextra(登録商標)(バルデコキシブ)錠剤の経口投与との併用療法において投与する。この併用療法は、感染性鼓膜炎の治療に有効である。
【0173】
〔実施例11〕
耳注入により投与される下記の組成を有する懸濁液を調製する:
塩酸セフチオフル(微粉末化) 100mg/ml
パレコキシブ遊離酸 100mg/ml
LabrafilTM M−1944CS 700mg/ml
マイクロクリスタリンワックスNF 0.1mg/ml
綿実油NF 適量
【0174】
マイクロクリスタリンワックス及び綿実油を製造用タンク中で混合しながら85〜98℃に加熱する。マイクロクリスタリンワックスが完全に溶融した後、この混合物を38〜45℃に冷却し、LabrafilTM M−1944CSを製造用タンクに混合しながら加えて基剤を形成する。塩酸セフチオフル及びパレコキシブを生成した基剤に加え、混合して均一懸濁液を形成する。この懸濁液をスクリーンで濾し、60ml容量のポリプロピレン製容器に充填する。
【0175】
上記の懸濁液を、4mg塩酸セフチオフル/kg体重及び4mgパレコキシブ/kg体重の用量で被験者の耳に注入することにより投与する。この併用療法は、外耳炎の治療及び/又は予防に有効である。
【0176】
〔実施例12〕
耳注入により投与される下記の組成を有する懸濁液を調製する:
リドカイン 100mg/ml
リネゾリド 100mg/ml
パレコキシブ遊離酸 100mg/ml
LabrafilTM M−1944CS 700mg/ml
マイクロクリスタリンワックスNF 0.1mg/ml
綿実油NF 適量
【0177】
マイクロクリスタリンワックス及び綿実油を、製造用タンク中で混合しながら85〜98℃に加熱する。マイクロクリスタリンワックスが完全に溶融した後、この混合物を38〜45℃に冷却し、LabrafilTM M−1944CSを製造用タンクに混合しながら加えて基剤を形成する。リネゾリド、リドカイン及びパレコキシブを生成した基剤に加え、混合して均一懸濁液を形成する。この懸濁液をスクリーンで濾し、60ml容量のポリプロピレン製容器に充填する。
【0178】
上記の懸濁液を、4mgリネゾリド/kg体重、4mgリドカイン/kg体重及び4mgパレコキシブ/kg体重の用量で被験者の耳に注入することにより投与する。この併用療法は、外耳炎の治療及び/又は予防に有効である。
【0179】
本発明を、詳細に且つその好ましい実施形態を参照することにより説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく改変及び変更が可能であることが明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然外口を有する液体含有器官の感染状態の治療及び/又は予防方法であって、該方法は、抗菌剤を外口から器官に投与し、そして麻酔剤、ナトリウムチャンネル遮断剤及び抗浮腫剤からなる群から選択される第二の物質を該抗菌剤との併用療法において投与することを含み、ここで該抗菌剤は、該抗菌剤と、(a)水分散性であり且つエタノール不溶性である両親媒性油、(b)マイクロクリスタリンワックス及び(c)製薬上許容される非水性担体を含むビヒクルとを含む医薬組成物として投与される、上記の治療及び/又は予防方法。
【請求項2】
感染状態が乳汁産生動物の乳房の疾患であり、そして抗菌剤を含む組成物が乳房内注入により投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
疾患が乳房炎である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
感染状態が被験者の耳の障害又はこのような傷害に関連する合併症であり、そして抗菌剤を含む組成物が耳注入により投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
障害が、外耳炎、中耳炎、耳漏、急性乳様突起炎、耳硬化症、耳疼痛、耳出血、耳炎症、レルモワイエ症候群、メニエル病、前庭神経炎、良性発作性体位目眩、耳ヘルペス、ラムゼイ・ハント症候群、ウイルス性神経炎、神経節炎、膝ヘルペス、迷路炎、化膿性迷路炎、外リンパ瘻、老年性難聴、薬剤誘発性耳毒性、聴神経腫、航空性中耳炎、感染性鼓膜炎、水疱性鼓膜炎、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、耳前癌症状、非クロム親和性傍神経節腫、ケモデクトーマ、頸静脈球腫瘍、鼓膜球腫瘍、軟骨膜炎、耳湿疹様皮膚炎、悪性外耳炎、軟骨膜下血腫、耳垢腺腫、耳垢栓塞、皮脂嚢胞、骨腫、ケロイド、耳痛、耳鳴り、目眩、鼓膜感染、鼓膜炎、耳フルンケル、錐体炎、伝音及び感音難聴、硬膜外膿瘍、外側静脈洞血栓症、硬膜下膿瘍、耳性水頭症、ダンディー症候群、水疱性鼓膜炎、びまん性外耳炎、異物、閉塞性角化症、耳新生物、耳真菌症、外傷、急性気圧性中耳炎、急性耳管閉塞、術後耳痛、コレステリン腫、耳外科手術に関連する感染症、及び上記障害の何れかに関連する合併症からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
障害が、外耳炎、中耳炎、耳漏及び耳外科手術に関連する感染症からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
障害が新生物である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
抗新生物剤及び抗炎症剤による併用療法をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第二の物質が、抗菌剤の投与経路とは異なる経路により投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第二の物質が、抗菌剤と同じ経路により投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第二の物質が、該第二の物質と、(a)水分散性であり且つエタノール不溶性である両親媒性油、(b)マイクロクリスタリンワックス及び(c)製薬上許容される非水性担体を含むビヒクルとを含む医薬組成物として投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
医薬組成物が第二の物質をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
抗菌剤が、天然及び合成ペニシリン型抗生物質、セファロスポリン、マクロライド、リ
ンコサミド、プルロムチリン、ポリペプチド、ポリミキシン、スルホンアミド、クロラムフェニコール、チアムフェニコール、フロルフェニコール、テトラサイクリン型抗生物質、キノロン、フルオロキノロン、チアムリン、シプロフロキサシン、コリスチン、ドメクロサイクリン、マフェニド、メタサイクリン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ピリメタミン、スルファジアジン銀、スルファセタミド、スルフィソキサゾール、トブラマイシン、バネムリン、オキサゾリジノン、グリコペプチド、アミノグリコシド及びアミノシクリトール、アンフェニコール、アンサマイシン、カルバフェネム、セファマイシン、バンコマイシン、モノバクタム、オキサセフェム、全身性抗菌剤、抗生物質型抗新生物剤、ニトロフランスルホン、マルボフロキサシン、並びにそれらの互変異性体、立体異性体、エナンチオマー、塩、水和物及びプロドラッグからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
セファロスポリンが、セフチオフル、セファレキシン、セフラジン、セフキノム、セファセトリル、セフポドキシム、セフォベシン、セファロニウム、セフロキシム、セファジジム、セフォペラゾン、セフェメトカルボン酸ナトリウム、セフェム、セファドロキシル、セファゾリンナトリウム、セフィキシミン、セフタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、o−ホルミルセファマンドール、3−アセトキシメチル−7−(イミノセタミド)−セファロスポラン酸誘導体の塩、7−(D−α−アミノ−α−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミノ)−3−メチル−3−セフェム−1−カルボン酸、syn−7−((2−アミノ−1−チアゾリル)(メトキシイミノ)アセチル)アミノ)−3−メチル−3−セフェム−4−カルボン酸の塩酸塩、セフェム酸、7−ベータ−(2−(2−アミノ−4−チアゾリル)アセトアミド)−3−(((1−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イル)チオ)メチル)−3−セフェム−4−カルボン酸(ピバロイルオキシ)メチル、セファレキシン、7−(D−2−ナフチルグリシルアミノ)−3−メチル−3−セフェム−4−カルボン酸、並びにそれらの互変異性体、立体異性体、エナンチオマー、塩、水和物及びプロドラッグ、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
抗菌剤が、セフチオフル又はその製薬上許容される塩若しくは形態を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
抗菌剤がセフチオフル塩酸塩を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
抗菌剤がセフチオフル結晶性遊離酸を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
抗菌剤が、エペレゾリド、リネゾリド、N−((5S)−3−(3−フルオロ−4−(4−(2−フルオロエチル)−3−オキシ−1−ピペラジニル)フェニル−2−オキシ−5−オキサゾリジニル)メチル)アセトアミド、(S)−N−((3−(5−(3−ピリジル)チオフェン−2−イル)−2−オキシ−5−オキサゾリジニル)メチル)アセトアミド及び(S)−N−((3−(5−(4−ピリジル)ピリド−2−イル)−2−オキシ−5−オキサゾリジニル)メチル)アセトアミド塩酸塩、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されるオキサゾリジノンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
第二の物質が麻酔剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
第二の物質がナトリウムチャンネル遮断剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
第二の物質が抗浮腫剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
自然外口を有する液体含有器官の感染状態の治療及び/又は予防方法であって、該方法は、抗菌剤を外口から器官に投与し、そして抗炎症剤及び麻酔剤を含む第二の物質を該抗菌剤との併用療法において投与することを含み、ここで該抗菌剤は、該抗菌剤と、(a)水分散性であり且つエタノール不溶性である両親媒性油、(b)マイクロクリスタリンワックス及び(c)製薬上許容される非水性担体を含むビヒクルとを含む医薬組成物として投与される、上記の治療及び/又は予防方法。
【請求項23】
第二の物質が、選択的COX−2阻害剤及び麻酔剤を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
抗菌剤が、セフチオフル又はその製薬上許容される塩若しくは形態であり;抗炎症剤が、デラコキシブ、パレコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、2−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−2−シクロペンテン−1−オン、(S)−6,8−ジクロロ−2−(トリフルオロメチル)−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸、2−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブトキシ)−5−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3−(2H)−ピリダジノン、4−[5−(4−フルオロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミド、1−ベンジル−4−[(4−オキソピペリジン−1−イル)スルホニル]ピペリジン−4−カルボン酸tert−ブチル、4−[5−(フェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミド、それらの塩及びプロドラッグからなる群から選択され;そして麻酔剤がリドカインである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
抗菌剤がリネゾリドであり、そして第二の物質が、選択的COX−2阻害剤及びリドカインを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
医薬組成物が第二の物質をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
(a)水分散性であり且つエタノール不溶性である両親媒性油、(b)マイクロクリスタリンワックス及び(c)製薬上許容される非水性担体を含むビヒクル、を含む医薬組成物であって;該ビヒクルがその中に、抗菌有効量の抗菌剤と、麻酔剤、ナトリウムチャンネル遮断剤及び抗浮腫剤からなる群から選択される治療有効量の第二の物質とを安定的に分散している、上記の医薬組成物。
【請求項28】
乳汁産生動物の乳房への乳房内注入による投与に適する、乳房の細菌性疾患の治療及び/又は予防のための請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
細菌性疾患が乳房炎である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
耳への投与に適する、耳の感染症の治療及び/又は予防のための請求項27に記載の組成物。
【請求項31】
抗菌剤が、セフチオフル、セファレキシン、セフラジン、セフキノム、セファセトリル、セフポドキシム、セフォベシン、セファロニウム、セフロキシム、セファジジム、セフォペラゾン、セフェメトカルボン酸ナトリウム、セフェム、セファドロキシル、セファゾリンナトリウム、セフィキシミン、セフタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、o−ホルミルセファマンドール、3−アセトキシメチル−7−(イミノセタミド)−セファロスポラン酸誘導体の塩、7−(D−α−アミノ−α−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミノ)−3−メチル−3−セフェム−1−カルボン酸、syn−7−((2−アミノ−1−チアゾリル)(メトキシイミノ)アセチル)アミノ)−3−メチル−3−セフェム−4−カルボン酸の塩酸塩、セフェム酸、7−ベータ−(2−(2−アミノ−4−チアゾリル)アセトアミド)−3−(((1−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イル)チオ)メチル)−3−セフェム−4−カルボン酸(ピバロイルオキシ)メチル、セファレキシン、7−(D−2−ナフチルグリシルアミノ)−3−メチル−3−セフェム−4−カルボン酸、並びにそれらの互変異性体、立体異性体、エナンチオマー、塩、水和物及びプロドラッグ、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項32】
抗菌剤が、セフチオフル又はその製薬上許容される塩若しくは形態を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項33】
抗菌剤がセフチオフル塩酸塩を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項34】
抗菌剤がセフチオフル結晶性遊離酸を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項35】
抗菌剤が1〜1000mg/mlの濃度で存在する、請求項32に記載の組成物。
【請求項36】
抗菌剤が5〜750mg/mlの濃度で存在する、請求項32に記載の組成物。
【請求項37】
抗菌剤が10〜100mg/mlの濃度で存在する、請求項32に記載の組成物。
【請求項38】
抗菌剤が、エペレゾリド、リネゾリド、N−((5S)−3−(3−フルオロ−4−(4−(2−フルオロエチル)−3−オキシ−1−ピペラジニル)フェニル−2−オキシ−5−オキサゾリジニル)メチル)アセトアミド、(S)−N−((3−(5−(3−ピリジル)チオフェン−2−イル)−2−オキシ−5−オキサゾリジニル)メチル)アセトアミド及び(S)−N−((3−(5−(4−ピリジル)ピリド−2−イル)−2−オキシ−5−オキサゾリジニル)メチル)アセトアミド塩酸塩からなる群から選択されるオキサゾリジノンを含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項39】
両親媒性油が、ポリエチレングリコールとの天然トリグリセリドのアルコール分解反応によって製造されるポリグリコール化グリセリドである、請求項27〜38の何れかに記載の組成物。
【請求項40】
ポリグリコール化グリセリドが、オレイン酸又はリノール酸の脂肪酸主成分を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
ポリグリコール化グリセリドが、オレイン酸の脂肪酸主成分を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項42】
ポリグリコール化グリセリドが、5−オレイン酸ペギコールである、請求項39に記載の組成物。
【請求項43】
両親媒性油が、組成物の0.01%〜99%重量/体積を占める、請求項39に記載の組成物。
【請求項44】
両親媒性油が、組成物の1%〜80%重量/体積を占める、請求項39に記載の組成物。
【請求項45】
両親媒性油が、組成物の3%〜25%重量/体積を占める、請求項39に記載の組成物。
【請求項46】
マイクロクリスタリンワックスが、組成物の0.001%〜50%重量/体積を占める、請求項27〜38の何れかに記載の組成物。
【請求項47】
マイクロクリスタリンワックスが、組成物の0.1%〜40%重量/体積を占める、請求項27〜38の何れかに記載の組成物。
【請求項48】
マイクロクリスタリンワックスが、組成物の1%〜15%重量/体積を占める、請求項27〜38の何れかに記載の組成物。
【請求項49】
非水性担体が、植物油、鉱物油、中鎖ないし長鎖脂肪酸及びそれらのアルキルエステル、中鎖ないし長鎖脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、脂肪酸のモノ−、ジ−及びトリグリセリルエステル、ポリエチレングリコール、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項27〜38の何れかに記載の組成物。
【請求項50】
非水性担体が、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、ダイズ油、オリーブ油、ヤシ油、精留ヤシ油、ラッカセイ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、パーム核油、ババス油、ブナ実油、アマニ油、ナタネ油及びそれらの組み合わせからなる群から選択される植物油である、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
非水性担体が綿実油である、請求項49に記載の組成物。
【請求項52】
非水性担体が、該非水性担体の20%〜45重量%の量のカプリン酸及び45%〜80重量%の量のカプリル酸を含む、請求項49に記載の組成物。
【請求項53】
非水性担体が、組成物の0.5%〜99%重量/体積を占める、請求項49に記載の組成物。
【請求項54】
非水性担体が、組成物の10%〜95%重量/体積を占める、請求項49に記載の組成物。
【請求項55】
非水性担体が、組成物の40%〜90%重量/体積を占める、請求項49に記載の組成物。
【請求項56】
上記の第二の物質が麻酔剤である、請求項27に記載の組成物。
【請求項57】
上記の第二の物質がナトリウムチャンネル遮断剤である、請求項27に記載の組成物。
【請求項58】
抗酸化剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、着色剤、アルコール及び緩衝剤からなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤をさらに含む、請求項25〜36の何れかに記載の組成物。
【請求項59】
(a)水分散性であり且つエタノール不溶性である両親媒性油、(b)マイクロクリスタリンワックス及び(c)製薬上許容される非水性担体、を含むビヒクルを含む医薬組成物であって;該ビヒクルがその中に、抗菌有効量の抗菌剤と、抗炎症剤及び麻酔剤を含む治療有効量の第二の物質とを安定的に分散している、上記の医薬組成物。
【請求項60】
両親媒性油が5−オレイン酸ペギコールであり;非水性担体が綿実油であり;抗菌剤が、セフチオフル又はその製薬上許容される塩若しくは形態を含み;抗炎症剤が、デラコキシブ、パレコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、2−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−2−シクロペンテン−1−オン、(S)−6,8−ジクロロ−2−(トリフルオロメチル)−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸、2−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブトキシ)−5−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3−(2H)−ピリダジノン、4−[5−(4−フルオロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミド、1−ベンジル−4−[(4−オキソピペリジン−1−イル)スルホニル]ピペリジン−4−カルボン酸tert−ブチル、4−[5−(フェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミド、それらの塩及びプロドラッグからなる群から選択され;そして麻酔剤がリドカインである、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
酸素透過性壁を有する容器又は送出装置を含み、そしてその中に請求項27に記載の組成物を入れた製品。
【請求項62】
該壁が、ポリエチレンを含む酸素透過性材料から構成されている、請求項61に記載の製品。
【請求項63】
組成物が、長期の化学的及び/又は物理的安定性を示す、請求項61に記載の製品。

【公表番号】特表2007−500692(P2007−500692A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521704(P2006−521704)
【出願日】平成16年7月19日(2004.7.19)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002474
【国際公開番号】WO2005/009472
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】