説明

亀裂開口幅と亀裂形状の同時測定方法及び装置

【課題】岩石試料内の単一天然亀裂の開口幅と形状の両方を高い分解能で且つ高精度で同時に測定でき、測定に際して岩石試料が消失することなく、測定に要する時間とコストの負担を軽減できるようにする。
【解決手段】単一亀裂を有する岩石試料を型として、亀裂を境とする2つの透明レプリカ試料14a,14bを、一方は無色の透明樹脂で、他方は染料で着色した透明樹脂で作製し、両者を組み合わせることで亀裂12を復元し、亀裂内に前記染料とは異なる色の染料溶液を満たして岩石レプリカ試験体10とする。それに白色光を照射し、透過光を各染料に対応したバンドパスフィルター20を通して各色毎の2次元平面座標の光強度データをCCDカメラ18で取得し、各色毎の2次元平面座標の吸光度から2種類の染料で着色された部分の厚さをデータ収録装置22で算出して亀裂開口幅と亀裂形状を同時に求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、岩石試料内に存在する単一亀裂の開口幅と形状を光学的に同時に測定する方法、及びその方法の実施に用いる装置に関するものである。この技術は、例えば岩石の亀裂内における透水や物質移行特性を詳細に評価するために有用である。
【背景技術】
【0002】
高レベル放射性廃棄物の地層処分では、その安全評価のために天然バリア内での核種移行現象の解明が必要となる。そこで、主に結晶質岩の亀裂内を物質が移行する現象に着目して、50cmスケールの岩石試料について、境界条件を正確に設定でき、原位置での透水・物質移行現象を再現できる単一亀裂を対象とした透水・トレーサー室内試験装置が開発されている(非特許文献1参照)。この試験装置を用いることで、天然亀裂内の透水・物質移行現象についての様々な知見が得られている。しかし、天然亀裂内の透水・物質移行現象の解明を更に進めるためには、岩石試料内の亀裂開口幅と亀裂形状の両方を正確に測定する必要がある。
【0003】
岩石試料内の亀裂開口幅や亀裂形状の測定には、従来から幾つかの方法が提案されている。例えば、岩石内の亀裂に樹脂を注入することにより亀裂を固定し、その岩石試料を切断あるいは研磨することにより亀裂を直接観察する方法がある(特許文献1参照)。この方法では、亀裂開口幅と亀裂形状を同条件で測定することができる。しかし、空間解像度の高いデータを取得するためには、岩石試料の切断や研磨の回数を多くする必要があり、そのため時間とコストの負担が大きい。また、測定を行うことで、岩石試料が消失してしまうことから、繰り返し試験ができず、また垂直応力の載荷などにより開口幅分布を変化させた場合のデータを取得することができないなどの問題もある。
【0004】
このような機械的な切断や研磨による方法の他、光学的な測定手法を用いて亀裂開口幅を測定する方法もある。従来の光学的な測定方法では、透明な樹脂などを使用して亀裂のレプリカを作製し、亀裂の上下面を組み合わせた状態での亀裂に平行な2次元平面の亀裂開口幅を測定する(非特許文献2参照)。これによって、高い空間解像度で且つ高精度での測定が可能となる。しかし、この測定方法では、亀裂形状を測定することはできない。亀裂形状のデータを取得するためには、亀裂の上下面を組み合わせる前に、接触式あるいは非接触式の3次元形状測定機などを用いて亀裂形状を測定する必要がある。そのため、このような方法では、亀裂開口幅測定と亀裂形状測定の測定間隔や座標を完全に一致させることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−58069号公報
【非特許文献1】「亀裂状媒体水理試験設備(LABROCK)による天然亀裂内の透水・物質移行特性評価」サイクル機構技報 No.18 2003.3
【非特許文献2】「Measurement of fracture aperture fields using transmitted light: An evaluation of measurement errors and their influence on simulations of flow and transport through a single fracture」WATER RESOURCES RESEACH,VOL.35,NO.9,PAGES 2605-2617,SEPTEMBER,1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、岩石試料内の単一天然亀裂の開口幅と3次元形状の両方を高い分解能で且つ高精度で同時に測定でき、しかも測定に際して岩石試料が消失することなく、また測定に要する時間とコストの負担を軽減できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、単一亀裂を有する岩石試料を型として、亀裂を境とする2つの透明レプリカ試料を、一方は無色の透明樹脂により、他方は染料で着色した透明樹脂により作製し、それらを組み合わせることで亀裂を復元し、該亀裂内に前記染料とは異なる色の染料溶液を満たして岩石レプリカ試験体とし、該岩石レプリカ試験体に白色光を照射し、その透過光を前記2種類の染料の各色に対応したバンドパス特性を呈するフィルターを通して各色毎の2次元平面座標の光強度データを取得し、各色毎の2次元平面座標の吸光度から2種類の染料で着色された部分の厚さをそれぞれ算出し、それによって亀裂開口幅と亀裂形状を同時に求めることを特徴とする亀裂開口幅と亀裂形状の同時測定方法である。
【0008】
ここで、亀裂内を満たす染料溶液の屈折率を、透明レプリカ試料の材料である透明樹脂の屈折率にマッチングさせると共に、前記透明レプリカ試料の亀裂面と反対側の面を鏡面研磨加工しておく。本発明では、例えば一方の透明レプリカ試料の材料である透明樹脂の着色に青色染料を使用し、亀裂内を満たす染料溶液に赤色染料を用いる。
【0009】
更に本発明は、上記の方法を実施するための装置であって、上下2つの透明レプリカ試料を組み合わせた岩石レプリカ試験体に均一な白色光を下方から照射するフラット照明装置と、該フラット照明装置の上方に位置し前記岩石レプリカ試験体の透過光を検出するモノクロのデジタルCCDカメラと、該CCDカメラのレンズに設けられるバンドパスフィルターと、前記CCDカメラにより検出した2次元平面座標の光強度データを取り込み各色毎の2次元平面座標の吸光度から2種類の染料で着色された部分の厚さをそれぞれ算出して亀裂開口幅と亀裂形状を同時に求めるデータ収録装置を具備し、該データ収録装置を除く光学系全体が暗室内に収容されている亀裂開口幅と亀裂形状の同時測定装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る測定方法は、亀裂を境とする2つの透明レプリカ試料の一方が無色の透明樹脂、他方が染料で着色した透明樹脂からなり、それらを組み合わせることで復元された亀裂内に前記染料とは異なる色の染料溶液を満たして岩石レプリカ試験体とし、白色光を照射し、その透過光を、2種類の染料の各色に対応したバンドパスフィルターを通して2次元平面座標の光強度データを取得し、その吸光度から着色された部分の厚さを算出するものであるから、亀裂内を満たしている染料溶液の厚さと染料で着色した透明レプリカ試料の厚さを別々に算出でき、それによって亀裂開口幅と亀裂形状を同時に求めることができる。
【0011】
本発明では、使用する染料の吸収スペクトルの極大値に合わせたバンドパスフィルターを用いることにより、使用する染料の濃度を極力低く抑えることができ、それによって2種類の染料部分における互いの測定による干渉の低減に寄与しうる。亀裂内に注入する染料溶液として、透明レプリカ試料の屈折率に近い屈折率の溶液を用いると、屈折率の違いに起因するノイズを低減できる。また、亀裂面と反対の面については、鏡面研磨加工を行うことで光の散乱を防止することができる。
【0012】
各染料の吸収スペクトルの極大値に合わせたバンドパスフィルターをCCDカメラのレンズに設置することにより、吸光度に関するランバートの法則を精度よく満たすことができ、測定精度が向上する。また、照射光の強度と測定される光の強度の直線性が高いCCDカメラを用いることで測定精度が向上する。更に、本発明ではデジタルCCDカメラで光強度を検出しているので、一度に2次元平面座標の光強度データを取得することが可能となり、CCDカメラの画素数に応じた高い空間解像度で亀裂開口幅と亀裂形状の測定が可能となる。
【0013】
その上、照射光強度の分布が一様なフラット照明を用いることにより、測定領域全体においてCCDカメラの測定分解能(例えば4096階調)を有効に使用でき、測定分解能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る測定装置の一実施例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る亀裂開口幅と亀裂形状の同時測定方法の実施に用いる装置の概略構成を図1に示す。まず、単一亀裂を有する岩石試料を型とする岩石レプリカ試験体10を準備する。この岩石レプリカ試験体10は、亀裂12を境とする上下2つの透明レプリカ試料14a,14bを組み合わせて構成する。一方の透明レプリカ試料(例えば下方の透明レプリカ試料14b)は無色の透明樹脂により作製し、他方の透明レプリカ試料(例えば上方の透明レプリカ試料14a)は染料で着色した透明樹脂により作製する。それら2つの透明レプリカ試料を組み合わせることで、高さ方向のほぼ中央に、亀裂12が復元される。その亀裂内を、透明レプリカ試料の着色に用いた染料とは異なる色の染料溶液で充満させる。このようにして岩石レプリカ試験体を作製する。
【0016】
例えば、上方の透明レプリカ試料は一定濃度となるように青色染料で着色し、亀裂内を満たす染料溶液は赤色染料により一定濃度とする。これら染料には、クリアであること、吸収スペクトルの極大値が1つであることなどの特性が求められる。また、亀裂内を満たす染料溶液の染料と透明レプリカ試料を着色する染料については、吸収スペクトルが重ならず互いの測定に干渉しないように選定する必要がある。このため、使用する染料については、分光光度計による分析を行いそれぞれの波長において、干渉が無視できる程度に小さいことを確認できた染料の組み合わせを使用する。ここでは吸収スペクトルの離れている赤色と青色を用いているが、吸収スペクトルが重ならずに分離できるのであれば他の色の組み合わせでも構わない。
【0017】
また、亀裂内を満たす染料溶液の屈折率を、透明レプリカ試料の材料である透明樹脂の屈折率に近づけマッチングさせる。透明レプリカ試料と亀裂内に充填する溶液の屈折率が大きく異なると、屈折率の違いにより亀裂表面において反射や散乱が生じ、測定誤差が大きくなるからである。更に、透明レプリカ試料の亀裂面と反対側の面は平面とし鏡面研磨加工を施しておく。それによって、光の散乱を防止することができる。
【0018】
この岩石レプリカ試験体10を、フラット照明装置16の上に載せ、均一な白色光で下方から照射する。岩石レプリカ試験体10の上方にはモノクロのデジタルCCDカメラ18を設置し、該CCDカメラ18のレンズに必要なバンドパルフィルター20を取り付ける。これによって、バンドパスフィルター20を通して前記岩石レプリカ試験体の透過光が撮影される。ここでバンドパスフィルター20は、それぞれの染料の色に応じた特定の波長の光のみを透過する特性を呈するものである。即ち、亀裂12内を満たした染料溶液を透過した光と、着色した上方の透明レプリカ試料14aを、それぞれの染料の色に応じた特定の波長の光のみを透過するバンドパスフィルター20を通してCCDカメラ18で検出する。CCDカメラ18で検出した2次元平面座標の光強度データは、ケーブルでデータ収録装置22に伝送され、取り込まれる。データ収録装置22では、それぞれの吸光度から各染料で着色された部分の厚さをランベルトの法則に基づいて算出し、それによって亀裂開口幅と亀裂形状を同時に求める。
【0019】
ランベルトの法則によれば、入射光の強度をI0 、染料を透過した光の強度をIとすると、吸光度Aは、
A=−log(I/I0
で定義される。ここで、染料の濃度をC、光路長をL、染料の吸光係数をαとすると、
A=αCL
となる。染料の吸光係数αは染料に固有の値であり、規定の濃度に調整した染料を用いた場合には、染料の吸光係数αと染料濃度Cは定数とみなすことができることから、吸光度Aは光路長Lに比例することになる。この原理を用いると、吸光度から一定濃度の染料で着色された物の厚さを測定することができる。本発明において、亀裂開口幅の測定では、亀裂内に一定濃度の染料溶液を満たした場合の吸光度を用いることで、亀裂開口幅が光路長となり、また亀裂形状の測定では、透明レプリカ試料の作製に用いる透明樹脂を一定濃度の染料で着色した場合の吸光度を用いることで、染料で着色した透明レプリカ試料の厚さが光路長となる。この場合、亀裂開口幅測定と亀裂形状測定とで、使用する染料の色を変えて異なる波長の光で測定しているので、同時測定が可能となる。
【0020】
モノクロのデジタルCCDカメラは、その画素数に応じた測定解像度で、岩石レプリカ試験体を透過した光の強度を2次元座標の数値データとして検出する。CCDカメラに要求される性能は、入力した光の強度と測定される数値データとが直線関係であること、測定されるデータの分解能が高いこと(例えば12bit(4096階調)以上)である。データ収録装置は、検出データの記録及びそれに基づくデータ処理を行い、亀裂開口幅と亀裂形状を求め、その結果の表示などを行う。
【0021】
前記吸光についてのランベルトの法則は、単色光(一定の波長のみからなる光)の条件で成立する。このため、白色光源を使用するものの、CCDカメラのレンズに赤色や青色の染料の吸収スペクトルの極大値に合わせたバンドパスフィルターを取り付けており、それによって単色光に近い条件で測定を行うことができる。また、それによって使用する染料の濃度を極力低く抑えることができ、各染料についての測定における互いの干渉を低減できる。
【0022】
亀裂開口幅測定では、赤色染料の吸収スペクトルに合わせたバンドパスフィルターを用い、亀裂内を満たした染料溶液の透過光をCCDカメラで検出し、ランベルトの法則に基づき染料溶液の厚さを算出することで行う。また、亀裂形状測定では、青色染料の吸収スペクトルに合わせたバンドパスフィルターを用い、青色に着色された透明レプリカ試料を透過した光をCCDカメラで検出し、ランベルトの法則に基づき前記透明レプリカ試料の厚さを算出する。亀裂面と反対側の面は鏡面研磨された平面であるので、前記透明レプリカ試料の厚さの変化は上側の亀裂面の形状を表していることになる。その上側の亀裂面の形状に、染料溶液の厚さから算出される開口幅を重ねることで、下側の亀裂面の形状が求まり、それらによって亀裂の3次元的な形状が求まることになる。
【0023】
ところで、照射光強度が一様でない場合には、CCDカメラで検出される光強度データは最も明るい領域に最大値が調整されるため、照射光強度が低い領域においては、CCDカメラの有効階調値が低下し、測定分解能が低下してしまう。このため、照射光強度の分布が比較的一様なフラット照明を用いている。それによって、測定領域全体において、CCDカメラの測定分解能を有効に使用できるようになり、測定分解能が向上する。また、図1に示すように、データ収録装置22を除く他の光学系については、暗室24の中に設置することにより環境光の影響を受けないように配慮している。
【実施例】
【0024】
まず、岩石レプリカ試験体を作製した。透明レプリカ試料は、岩石試料の型をシリコン(信越化学工業株式会社KE−12)で作製し、そのシリコン型に透明エポキシ樹脂(日新レジン株式会社クリスタルレジン2)を注入し硬化させて作製した。
【0025】
具体的な作製手順を以下に示す。亀裂の形状を正確に再現するために、岩石試料よりも一回り大きく、分解・組立が可能な容器を用意した。容器の中央に、亀裂面を上にして岩石試料を設置し、硬化剤を加えて撹拌・脱泡したシリコンを、容器からあふれる程度に注入し、蓋をして常温で硬化させた。シリコンが硬化した後、容器を分解しながらシリコンを取り出し、シリコンから岩石試料を取り除き洗浄した。シリコン型は、変形しないように、平面度の高い板の上に設置した。岩石試料のシリコン型に、主剤に硬化剤を加えて撹拌・脱泡した透明エポキシ樹脂を注入し、常温で硬化させた。硬化した透明レプリカ試料をシリコン型から取り出し、亀裂と反対側の面はサンドペーパーとコンパウンドにより平面かつ鏡面になるように研磨を行った。
【0026】
以上の工程を亀裂の上下面について行い、上下2つの透明レプリカ試料を作製した。どちらか一方の透明レプリカ試料(例えば、上方の透明レプリカ試料)の作製に際しては、透明エポキシ樹脂を青色染料(ブレニー技研クリアブルー2106)で着色した。
【0027】
上下2つの透明レプリカ試料を重ねて荷重を掛けない状態で、側面にアクリル板を張り付けることにより、両透明レプリカ試料を支持すると共に止水と固定を行った。開放されている面については注入・排出用のポートを設置し、配管を通して亀裂内を染料溶液で満たした。亀裂内を満たす染料溶液としては、透明レプリカ試料(日新レジン株式会社クリスタルレジン2)と屈折率がほぼ等しい溶媒(ブレニー技研GM−9002主剤)を使用し、その着色にはエポキシ樹脂用の赤色染料(ブレニー技研R−11クリアレッド)を使用した。
【0028】
上記の2種類の染料を使用しているのは、クリアで、吸収スペクトルの極大値が1つであり、吸収スペクトルが重ならないことによる。染料濃度は、測定対象(開口幅あるいは透明レプリカ試料の厚さ)の最大値での透過光強度が入射光強度の1/10程度になるように調整した。濃度が薄い場合には測定分解能が低くなり、濃度が濃い場合には測定精度が低くなるためである。実際には、亀裂内を満たす染料溶液の染料濃度は5%、透明レプリカ試料を染色する染料濃度は0.5%とした。
【0029】
バンドパスフィルターは、使用する染料の吸光スペクトルの極大値の波長に合わせたもので、透過光波長の半値幅が狭いバンドパスフィルターを使用した。実施例では、亀裂内を満たしている染料溶液の測定には、赤色染料の吸収スペクトルの極大値に合わせたバンドバスフィルター(朝日分光株式会社製MX0510(透過中心波長510nm、半値幅10nm))を、染料で着色した透明レプリカ試料の測定には、青色染料の吸収スペクトルの極大値に合わせたバンドバスフィルター(朝日分光株式会社製MX0680(透過中心波長680nm、半値幅12nm))を使用した。
【0030】
フラット照明装置としては、LED光源が側面にあるエッジライト方式(導光板方式)を採用した。この種のフラット照明装置は、光の強さが一様であり、光の強さが時間的に変化せず光源が熱を持たないため、特に好ましいからである。使用したCCDカメラは、測定データの分解能が高い12bit(4096階調)のモノクロのデジタルCCDカメラである
【0031】
このような方法と装置により、岩石試料内に存在する単一天然亀裂の開口幅と3次元的形状を同時に測定することができた。
【符号の説明】
【0032】
10 岩石レプリカ試験体
12 亀裂
14a,14b 透明レプリカ試料
16 フラット照明装置
18 CCDカメラ
20 バンドパスフィルター
22 データ収録装置
24 暗室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一亀裂を有する岩石試料を型として、亀裂を境とする2つの透明レプリカ試料を、一方は無色の透明樹脂により、他方は染料で着色した透明樹脂により作製し、それらを組み合わせることで亀裂を復元し、該亀裂内に前記染料とは異なる色の染料溶液を満たして岩石レプリカ試験体とし、該岩石レプリカ試験体に白色光を照射し、その透過光を前記2種類の染料の各色に対応したバンドパス特性を呈するフィルターを通して各色毎の2次元平面座標の光強度データを取得し、各色毎の2次元平面座標の吸光度から2種類の染料で着色された部分の厚さをそれぞれ算出し、それによって亀裂開口幅と亀裂形状を同時に求めることを特徴とする亀裂開口幅と亀裂形状の同時測定方法。
【請求項2】
亀裂内を満たす染料溶液の屈折率を、透明レプリカ試料の材料である透明樹脂の屈折率にマッチングさせると共に、前記透明レプリカ試料の亀裂面と反対側の面を鏡面研磨加工しておく請求項1記載の亀裂開口幅と亀裂形状の同時測定方法。
【請求項3】
一方の透明レプリカ試料の材料である透明樹脂の着色に青色染料を使用し、亀裂内を満たす染料溶液に赤色染料を用いる請求項1又は2記載の亀裂開口幅と亀裂形状の同時測定方法。
【請求項4】
請求項1記載の測定方法を実施するための装置であって、上下2つの透明レプリカ試料を組み合わせた岩石レプリカ試験体に均一な白色光を下方から照射するフラット照明装置と、該フラット照明装置の上方に位置し前記岩石レプリカ試験体の透過光を検出するモノクロのデジタルCCDカメラと、該CCDカメラのレンズに設けられるバンドパスフィルターと、前記CCDカメラにより検出した2次元平面座標の光強度データを取り込み各色毎の2次元平面座標の吸光度から2種類の染料で着色された部分の厚さをそれぞれ算出して亀裂開口幅と亀裂形状を同時に求めるデータ収録装置を具備し、該データ収録装置を除く光学系全体が暗室内に収容されている亀裂開口幅と亀裂形状の同時測定装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−47571(P2012−47571A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189543(P2010−189543)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(505374783)独立行政法人日本原子力研究開発機構 (727)
【Fターム(参考)】