二層UV可変データテキスト
【課題】二層UV可変データテキストを提供する。
【解決手段】印刷される文書の画像を定めるデジタル文書データ及び印刷文書自体に、二層セキュリティマークを含ませるための方法及びシステムが提供される。蛍光マークを含む蛍光マーク領域が、第1及び第2の条件等色性着色剤混合物を用いて定められる。UV照明下の基材蛍光のために、第1及び第2の条件等色性着色剤混合物間の着色剤の空間カバー範囲の違いが蛍光マークを定める無着色区域をもたらす。蛍光マーク領域は、蛍光マークと、第3の着色剤混合物により定められる少なくとも1つの可視光オブジェクトとをさらに含む二層蛍光マーク領域を定めるように修正される。第3の着色剤混合物は、蛍光マーク領域の無着色区域をマスクして無着色区域に対する第3の着色剤混合物データの書き込みを阻止し、無着色区域を乱さないようにすることにより蛍光マーク領域に添加される。
【解決手段】印刷される文書の画像を定めるデジタル文書データ及び印刷文書自体に、二層セキュリティマークを含ませるための方法及びシステムが提供される。蛍光マークを含む蛍光マーク領域が、第1及び第2の条件等色性着色剤混合物を用いて定められる。UV照明下の基材蛍光のために、第1及び第2の条件等色性着色剤混合物間の着色剤の空間カバー範囲の違いが蛍光マークを定める無着色区域をもたらす。蛍光マーク領域は、蛍光マークと、第3の着色剤混合物により定められる少なくとも1つの可視光オブジェクトとをさらに含む二層蛍光マーク領域を定めるように修正される。第3の着色剤混合物は、蛍光マーク領域の無着色区域をマスクして無着色区域に対する第3の着色剤混合物データの書き込みを阻止し、無着色区域を乱さないようにすることにより蛍光マーク領域に添加される。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
セキュリティは、文書及びデジタル生成、及び/又はその複製の領域において重要な問題である。周知のデジタル画像印刷/複写システムは、高品質の文書を生成するので、チケット、金融証書、通行証等を含む高価値の印刷物のような特定の文書の実効的な印刷/複写を防止する必要性が識別されている。周知の技術は、通常の用紙、トナー、又はインクのみを用いるデジタル透かしを含むようにオリジナルの文書を印刷することを含む。広義のデジタル透かしは、通常の観察条件の下では印刷された画像内に少なくとも部分的に(好ましくは完全に、又は少なくとも実質的に)隠されるが、ある特化された観察条件の下ではより明瞭に識別することができる、例えば、1又はそれ以上の文字、語、記号、又はパターンなどの情報として定義される。こうしたデジタル透かしを含む文書の許可されていない複製は、典型的には、デジタル透かしを劣化させるか又は不明瞭にし、そのことは偽造文書を検出する助けとなり得る。
【0002】
蛍光マークは、周知のデジタル透かしの一例である。通常の用紙(例えば、通常の「コピー用紙」又は「プリンタ用紙」)及び通常のインク/トナー(例えば、CMYKインク/トナー)、具体的には条件等色性着色剤混合物を用いて、印刷文書内に蛍光マークを含ませるための方法及びシステムは周知である。可視の照明条件(例えば、約400−700ナノメートル(nm)の電磁放射線波長)の下では、用紙のそれぞれの隣接する部分上に印刷された異なる着色剤混合物が一緒になって、色が実質的に均一に見える全体的な印刷文書領域を定める。紫外線(UV)照明(例えば、約400nmより短い電磁放射線波長)の下では、これらの異なる着色剤混合物は、異なるUV吸収、つまり、通常の印刷/複写用紙に用いられる蛍光増白剤のUV蛍光の異なる抑制を示すので、基材蛍光をそれほど抑制しない着色剤混合物を用いて印刷された領域がより明るい/鮮やかな領域のように見え、基材蛍光を強く抑制する着色剤混合物を用いて印刷された隣接する領域がより暗い領域のように見える。UV照明の下でのこれらのコントラストの違いを用いて、例えば、数、文字、記号、形状などの透かし様のパターンを生成する。
【0003】
この一つの例が図1に示され、ここで、着色剤混合物「B」を選択し、この例では文字数字記号「0」の形状のパッチ領域BPに適用する。さらに、着色剤混合物「A」を選択し、ここではパッチ領域BPに空間的に相当接近した状態で配置されたパッチ領域APに適用し、これによりパッチ領域BPの周りにバックグラウンドを与える。パッチ領域AP及びパッチ領域BPは協働して蛍光マーク領域FMRを定める。着色剤混合物A及び着色剤混合物Bは両方とも、適切に選択された1又はそれ以上の着色剤からなるが、着色剤混合物A及びBは異なる混合物である。着色剤混合物A又はBはそれぞれ、例えば、単一のCMYK着色剤であっても、又はCMYK着色剤のいずれかの混合物であってもよい。示した例においては、着色剤混合物Aは、着色剤混合物Bと比較すると、より大きい基材カバー範囲及びより大きい基材蛍光の抑制をもたらすように選択される。着色剤混合物A及びBはまた、可視光の条件の下で見たときに、それらの平均色及び輝度が互いに密に合致するようにも選択される。図1のUVで示されるように、UV照明条件の下では、パッチAPと比べると用紙基材における蛍光増白剤の蛍光の抑制が相対的に制限されているため、パッチBPは、パッチAPと比べてより鮮やかに見え、よって、蛍光マークFMを形成する。対照的に、VISで示される可視光条件の下では、パッチAP、BPは、少なくとも実質的に区別ができない。第1の照明条件(例えば、可視光)の下では色が合致するが、第2の照明条件(例えば、UV光)の下では色が合致しないというこの特性は、条件等色と呼ばれ、着色剤混合物A及びBは、条件等色性又はほぼ条件等色性の対を定めると言える。
【0004】
単純化した一例として、およそ50%のグレイ色を、ブラック(K)の着色剤のハーフトーンのみで実現し、着色剤混合物Bに使用し、パッチBPを印刷することができる。次に、パッチAPを印刷するために用いられる、類似したおよそ50%のグレイ色を生み出すシアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)を含む着色剤混合物Aに対して、これを色合せすることができる。一般に、着色剤混合物Aは、用紙のより多くをカバーし、よって、パッチBPと比べて固有の基材蛍光をかなり大きく抑制するので、UV照明条件の下で、パッチBPは、蛍光マークFMとして容易に明らかになる。図1のVISで示す通常の可視光観察の下で、2つの着色剤混合物は、かなり同一の「グレイ」に近いものに見える。従って、こうした蛍光マークを含む文書がUV照明に曝されると、蛍光マークFMが現われる。印刷された「類似」文書又は単なる写真複写は、透かしを適切に複製しない。
【0005】
上述の及びその他の周知のシステム及び方法は、蛍光マークFMが、例えば、ユーザ選択文字列、記号、又はパターンのような可変データを表わすことを可能にする。周知のシステム及び方法は、UV光で見たときに蛍光マークFMを不明瞭なものにしたり又は変化させたりせずに、可視光で見るために付加的なユーザ選択可変データを蛍光マーク領域FMRに印刷する「二層可変データ」を可能にしない。蛍光マーク領域FMRに二層可変データを実装するための本開発によるシステム及び方法を提供することが望ましいと考えられており、ここでは、蛍光マーク領域FMRは、蛍光マークFMとしてUV光可変データ及び可視光可変データの両方を含み、可視光可変データは蛍光マークを不明瞭なものにしたり又は変化させたりすることはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1(UV光)及び第2(可視光)可変データ領域を生成するために以前検討された1つの可能性は、以下の関係式が維持できるのであれば、色C1及び色C2を蛍光マーク可変データの条件等色性の対として用い、色C3を可視光可変データに用いるものである。
こうした着色剤の組み合わせは、容易に生み出したり識別できたりするものではない。従って、蛍光マーク領域FMRにおいて二層可変データを実装するための代替的な方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開発の1つの態様により、印刷される文書の画像を定めるデジタル文書データに二層セキュリティマークを含ませるための方法が提供される。この方法は、蛍光マークを含む蛍光マーク領域をデジタル文書データに定めるステップを含む。蛍光マーク領域は、第1の色のための第1の着色剤混合物データと、第2の色のための第2の着色剤混合物データとにより定められ、第1の色及び第2の色はほぼ条件等色性の対であり、第1の着色剤混合物データ及び第2の着色剤混合物データは、蛍光マーク領域の無着色区域を定める。蛍光マーク領域は、蛍光マークとさらに第3の着色剤混合物データにより定められる少なくとも1つの可視光オブジェクトとを含む二層蛍光マーク領域を定めるように修正される。蛍光マーク領域の修正は、第3の着色剤混合物データを蛍光マーク領域に書き込み、無着色区域に対する第3の着色剤混合物データの書き込みを阻止するように、蛍光マーク領域の無着色区域をマスクすることを含む。
【0008】
本開発の別の態様により、印刷文書は、蛍光マークを蛍光マーク領域に定める第1の着色剤混合物及び第2の着色剤混合物を含む蛍光マーク領域を含み、蛍光マークは、無着色区域を蛍光マーク領域に含む。蛍光マークは、蛍光マーク領域をUV光で見たときに、人間の観察者が見ることができる。蛍光マーク領域に印刷された第3の着色剤混合物、及び第3の着色剤混合物は、蛍光マーク領域を可視光で見たときに、人間の観察者の目に見える可視光オブジェクトを定める。可視光オブジェクトは、蛍光マーク領域をUV光で見たときには、蛍光マークと比較すると、人間の観察者にとって見えづらく、可視光オブジェクトは、蛍光マーク領域を可視光で見たときには、蛍光マークと比較すると、人間の観察者にとって見えやすい。
【0009】
本開発の別の態様により、印刷される文書を定めるデジタル画像の蛍光マーク領域に可変データを書き込むための方法が提供される。この方法は、可変データを蛍光マーク領域に書き込む一方で、蛍光マーク領域の無着色区域に可変データが書き込まれないように蛍光マーク領域をマスクすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(従来技術)印刷文書内に蛍光マークを含ませることを図式的に開示する。
【図2】二層可変データを蛍光マーク領域に与えるための1つの方法を示すフローチャートである。
【図2A】本開発による二層マスクの生成を示す。
【図2B】本開発による二層マスクの生成を示す。
【図2C】本開発による二層マスクの生成を示す。
【図3A】(従来技術)可視光(VIS)及びUV光(UV)で見たときの蛍光マーク領域を含む印刷文書の一部を示す。
【図3B】(従来技術)異なる領域又はセルに適用された条件等色性着色剤の対を示す図3Aの印刷文書の蛍光マーク領域を大きく拡大した図である。
【図4A】可視光(VIS)及びUV光(UV)で見たときの、可視光可変データを有する蛍光マーク領域を含む印刷文書の一部を示す。
【図4B】異なる領域又はセルに適用された条件等色性着色剤の対を示し、かつ、異なる領域又はセルに適用された可視光可変データに対する着色剤混合物を示す図4Aの印刷文書の蛍光マーク領域を大きく拡大した図である。
【図4C】マスクを通しての可視光可変データの蛍光マーク領域への書き込みを図式的に示す。
【図5】(従来技術)種々の領域又はセルに適用された条件等色性着色剤の対により定められる周知の蛍光マーク領域の別の例である。
【図5A】可視光可変データを図5の蛍光マーク領域に定めるように着色剤混合物を含ませるための「単一マスク」方法を示す。
【図5B】可視光可変データを図5の蛍光マーク領域に定めるように着色剤混合物を含ませるための「二重マスク」方法を示す。
【図6】本開発による方法を実施するためのシステムの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2は、本開発による二層可変データ蛍光マーク法を示すフローチャートである。ステップ1において、上述のように着色剤混合物A及び着色剤混合物Bを用いて条件等色性着色剤の対を定めるデータを用いて従来の蛍光マーク領域FMRが生成され、この蛍光マーク領域FMRは、例えば、1又はそれ以上の長さの文字列のようないずれかの所望の可変データを表わす少なくとも1つの蛍光マークFMを含むように生成されている。ステップS1は、上述のように従来のものであり、図1に示すような従来の蛍光マーク領域FMRをもたらす。
【0012】
しかしながら、従来の方法とは異なり、本開発による二層可変データ蛍光マーク法は、蛍光マーク領域FMRの二層マスクが、予め導出された組から導出される又はロードされるステップ2を含む。二層マスクは、無着色の位置を含む又はこれに対応する蛍光マーク領域FMRのすべての区域、すなわち、蛍光マーク領域における印刷されていない又は無着色区域を表わす蛍光マーク領域FMRのすべての区域に対して「オフ」に設定される。一方、二層マスクは、蛍光マーク領域FMRのすべての他の区域、すなわち、着色剤混合物A又は着色剤混合物Bの着色剤によりカバーされた蛍光マーク領域におけるすべての区域に対して「オン」に設定される。従って、二層マスクは、マスクが「オン」に設定されている位置においてのみ、蛍光マーク領域FMRに対する可視光可変データの書き込みを許可し、マスクが「オフ」に設定されている蛍光マーク領域FMRに対するどのような可視光可変データの書き込みも阻止する。別の方法で述べると、二層マスクは、蛍光マーク領域FMRにおける無着色のすべての区域に対する可視光可変データの書き込みを阻止する。言い換えると、二層マスクは、着色剤のない全ての区域について可視光可変データを蛍光マーク領域FMRに書き込むことを阻止するが、これは、これらの領域が、印刷文書の用紙又はその他の基材の蛍光性があるため、蛍光マークを定めるためには、無着色のままでなければならないからである。
【0013】
図2の方法は、可視光可変データが、ステップS2で用いられた二層マスクを通して蛍光マーク領域FMRに書き込まれるステップS3をさらに含み、二層可変データの蛍光マーク領域FMR’を可視光で見たときに人間の観察者により知覚される可視光可変データにより定められる少なくとも1つの可視光オブジェクトVLO(例えば、テキスト文字、数字、記号等)を含む二層可変データ蛍光マーク領域FMR’(図4Aを参照されたい)を定める。二層可変データ蛍光マーク領域FMR’は、二層可変データ蛍光マーク領域FMR’をUV光で見たときに人間の観察者が見ることができる蛍光マークFM(字「X」として示される)をさらに含む。ステップS3は、ユーザ入力端末又はデジタルフロントエンドのようなソースから可視光可変データを受信するステップS3aの前に置くことができる。従って、ユーザは、二層可変データ蛍光マーク領域FMR’に含める可視光可変データのコンテンツを変更することができる。
【0014】
ステップS4において、文書は、二層可変データ蛍光マーク領域FMR’を含むように用紙又は別の基材に印刷される。
【0015】
図2A、図2B、及び図2Cは、図2のS2に用いられる二層マスクの例示的な派生物を示す。図2Aは、条件等色性の対L1及びL2は、各々が16のセル要素CEを含む2つのセルを含み、これらは無着色(白色の空間として示される)であるか又はシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)又はブラック(K)(影付きで示される)から選択された着色剤で塗りつぶされているかであり、セルL1及びL2は、共通の可視光照明の下ではほぼ条件等色性の合致を与える一方で、全体的な着色剤のカバー範囲においては明らかな差異を有しており、L1はUV鈍感であり(用紙の1/16のみを露出する(16セル要素CEのうちの1つ))、L2はUV活性である(用紙の7/16を露出する(16セル要素CEのうちの7つ))。図2AにおけるL1及びL2は、説明のための理想化された図に過ぎず、さらに実際の条件等色性の対は、一般に、より大きいセルを用い、条件等色性の合致もまた、一般に、望ましくない吸収及びその他のより高位の影響が原因で、種々の着色剤の単純な線形の組み合わせではないことが理解される。
【0016】
図2Bに示すように、ステップS2は、セルL1及びL2の、対応して配置されたセル要素CEが論理的に組み合わされて、セルL1、L2の少なくとも一方において無着色であるすべてのセル要素を識別するマップMLを生成するサブステップを含む。言い換えると、マップMLは、セルL1、L2の両方において、どのセル要素CEが少なくとも1つの着色剤を含むかを示す。従って、マップMLは、セルL1及びL2のセル要素CEと対応するように配置されるセル要素CE’により定められ、以下のようになる。
CE’=1 (チェッッカーボードのパターンにより示される)L1及びL2の両方がセル要素位置に着色剤を含む場合
CE’=0 (白色空間により示される)L1又はL2のいずれかが、セル要素位置に対して無着色である場合
【0017】
図2Cに示すように、ステップ2Cは、2つのセルL1及びL2のうちの少なくとも一方において用紙を露出するすべてのセル要素CEを保護することにより、好ましい二層マスクM1が生成されるサブステップをさらに含む(保護されるセルは、図2Cにおいては、黒色で塗りつぶされた部分により示される)。マスクM1は、セルL1、L2のいずれかにおいて無着色であるすべてのセル要素CEを保護することにより、L1及びL2のUV信号を完全に保護する一方で、可視信号の最大可能修正を同時に可能にするため、すなわち、保護されていない区域(図2Cにおいて白色空間として示される)が最大になるため、好ましい二層マスクである。例えば、結果としてもたらされる組み合わせの粗い色合いを維持するために特定の着色剤も保護するという要望などの付加的な設計パラメータに基づいて導出すことができる、例えばM2又はM3に示されるような、他の代替的な二層マスクを用いることができることが理解される。二層マスクM1の保護された区域の特定の一部のみを保護する二層マスクを生成できることがさらに理解されかつ明示的に含まれる。すべてのこれらマスクは、実際のUV信号の強さ、すなわち、L1及びL2のUV応答における差異を低減し、従って、一般にはあまり好ましくない。
【0018】
図3A(従来技術)は、用紙又は別の基材に印刷され可視光及びUV光で見たときの従来の蛍光マーク領域FMRを含む印刷文書Dの一部を示す。可視光においては、蛍光マーク領域FMRはどのような可視可変データもない均質的な着色領域として現れることがわかる。しかしながら、UV光においては、用紙又はその他の基材が、より少ない着色剤のカバー範囲及び増加した基材蛍光を含んでいる場合、蛍光マークFM(字「X」として示される)が見えるようになる。代替的には、蛍光マークは、基材蛍光が、周囲区域と比較すると抑制されている区域により定めることができる。
【0019】
図3Bは、従来の蛍光マーク領域FMRを大きく拡大し、単純化した図である。「X」蛍光マークFMは、ハーフトーンセル又はその他の区別できる区域とすることができる多数の区域又はセルL1、L2のマトリックスにより定められることがわかる。説明を簡単にするために、セルL1は、無着色の区域なしで、着色剤により塗りつぶされるように、着色剤混合物Aにより表わされるように定められる。他のセルL2は、少なくとも1つの無着色区域CFを含むように、着色剤混合物Bにより表わされるように定められる。当業者であれば、セルL1、L2の互いに対する配置が蛍光マークFMを定める一方で、可視光における蛍光マーク領域FMRの平均色及び輝度は一様であることを認識するであろう。当業者であれば、さらに、L1及びL2が、図2Aに示されたように、区別できる着色剤のカバー範囲を有する限り、L1は完全な着色剤のカバー範囲を示す必要はないことを認識するであろう。
【0020】
図4Aは図3Aに対応するが、本開発による二層可変データ蛍光マーク領域FMR’を含む文書D’の一部を示す。二層蛍光マーク領域FMR’は、上述の従来の蛍光マーク領域FMRに基づくものであるが、可視光可変データにより定められる少なくとも1つの可視光可変オブジェクトVLO(字「L」として示される)をさらに含み、これは二層可変データの蛍光マーク領域FMR’を可視光で見たときに、人間の観察者が見ることができる。さらに図4Aに示すように、二層蛍光マーク領域FMR’をUV光で見たときには、フォアグラウンド領域BPと比較したときのバックグラウンド領域APにおける基材蛍光の抑制の違いのために、「X」形状の蛍光マークFMが上述のように現れ、可視光可変オブジェクトVLOは、UV光においては、その色がバックグラウンド領域APの色と相当程度合致するため、少なくとも実質的に見えなくなる。
【0021】
図4Bは、図3Bと同様に大きく拡大され単純化された図であるが、ハーフトーンセル又はその他の区別できる区域とすることができる複数の区域又はセルL1’、L2’のマトリックスにより定められる二層蛍光マーク領域FMR’を示す。可視光オブジェクトVLOは、どのような着色剤も無着色区域CFに添加することなく蛍光マーク領域FMRに書き込まれる。可視光オブジェクトVLOは、着色剤混合物A又は着色剤混合物Bが、基本的蛍光マーク領域FMRに既に存在していた位置にのみ配置される着色剤混合物Cにより定められる。従って、二層蛍光マーク領域FMR’の可視光での外観は、基本蛍光マーク領域FMRにおけるものとは異なるが、二層蛍光マーク領域FMR’のUV光での外観は、基本蛍光マーク領域FMRと同じであるか又は少なくとも十分に同様であり、蛍光マークFM(ここでは字「X」)を知覚することが可能である。着色剤混合物Cは、単一の着色剤(例えば、ブラック(K))であってもよいし、又は、着色剤の混合物であってもよい。いずれの場合も、着色剤混合物Cは、可視光においては、可視光オブジェクトVLOが、着色剤混合物A又は着色剤混合物Bのいずれかで着色された文書領域とは異なる平均色及び輝度を示すが、UV光においては、可視光オブジェクトVLOが、着色剤混合物Aで着色された文書領域と同様な、UV光における平均色及び輝度を有するように選択され、すなわち、文書DをUV光で見たときには、着色剤混合物A及び着色剤混合物Cで着色された文書領域は両方とも、着色剤混合物Bで着色された文書領域より暗くなり、蛍光マークFMを知覚できるようになる。
【0022】
上述の3色C1、C2、C3を用いて、理想的な二層UVマークを再考すると、このように、近似する4色の組を導出できることがわかる。図4Bの名称を用いると、
が得られ、ここでは、可視光におけるL1’とL2’との間の関係については明示的な説明はしないが、L1’及びL2’の両方は、可視光においてはL1及びL2より明るいか又は暗く、従って、単色のバックグラウンド上で明るい/暗いテキストの外観を与えることが望ましい。近似記号
は、適用のシナリオ内容においては、ほぼ条件等色性の合致として読まれなければならないことが理解される。UVセキュリティマークの内容における正確な「=」の条件等色性の合致から可能な逸脱は、高品質画像形成用途における合致に通常課される要件よりはるかに大きい。本明細書で用いられる「条件等色性の対」という用語は、正確な条件等色結果を与える着色剤混合物の対、さらに、図1に関して説明された蛍光マークのエンコーディングを可能にするのに十分なほぼ条件等色性の結果を与える着色剤混合物の対を含むことが意図される。
【0023】
着色剤混合物Cは、前述の着色剤混合物のような空間分布を定めることにより使用してもよいし、又は、代替的には、一方が空間構造を二層マスクに埋め込み、他方の構造が基礎にある保護されたセル区域に関係なく色を表わすように2つの構造に分離することにより使用してもよいことがよく理解される。通常、同じく基礎にある着色剤混合物A及びBの上に複数の異なるVLO色が望まれる場合には、第2の手法が好ましい。
【0024】
図4Cは、従来の蛍光マーク領域FMRに書き込む所望の可視光可変データVLD(この場合は文字「L」)を示す。図2Aに定める方法により、二層マスクMが導出される。二層マスクは、無着色区域CFを含む又はこれに対応する蛍光マーク領域FMRのすべての区域に対して「オフ」に設定される(黒ベタで示される)。二層マスクMは、蛍光マーク領域FMRの他のすべての区域、すなわち、着色剤混合物A又は着色剤混合物Bからなる着色剤でカバーされた蛍光マーク領域におけるすべての区域に対して「オン」に設定される(白ベタで示される)。従って、二層マスクMは、マスクが「オン」に設定されている位置においてのみ、可視光可変データVLDを蛍光マーク領域FMRに書き込むことを許可し、マスクが「オフ」に設定されている位置では、どのような可視光可変データも蛍光マーク領域FMRに書き込むことを阻止する。図4Cに示すように、マスクMを通して可視光可変データVLDを書き込むことにより、無着色区域又は空隙Vを含む可視光可変オブジェクトVLOが定められる。可視光オブジェクトVLOは、従来の蛍光マーク領域FMRに書き込まれて、二層蛍光マーク領域FMR’を定める。空隙Vは、結果としてもたらされる印刷文書D’において無着色のまま残り、従来の蛍光マーク領域FMRの、対応して配置される無着色区域CFの位置に対応し及び少なくともこれを含むことにより、可視光オブジェクトVLOは、依然としてUV光において知覚できる基礎にある基本蛍光マークFMの無着色区域CFを変化させないが、可視光オブジェクトVLOは、可視光において人間の観察者により容易に知覚されるように依然として十分に定められる。
【0025】
多くの場合、制限されたデータ利用可能性及び/又は速度制約により、マスクMの「オフ」位置が最大予測無着色区域CFを含むように、マスクの「オフ」位置のすべてが最悪の場合の大きさに設定されることが要求される。可視照明に対するこの「最悪の」場合は、UV照明下の単一のマスクに好ましい場合と同一であることが容易にわかる。UV信号は、一般に可視信号より弱いことを理解すれば、好ましい使用は、UV信号に関して最適化される。図5に示すように、従来の蛍光マーク領域FMRは、相対的に大きい無着色区域CF1及び相対的に小さい無着色区域CF2を含む。こうした場合、マスクMの「オフ」位置が、マスクMの「オフ」位置が最大予測無着色区域CFを含むように最悪の場合の大きさに設定されている場合には、この方法は、図5Aの蛍光マーク領域FMR1’結果としてもたらし、ここでは、結果として生じる可視光オブジェクトVLOは、基礎にある蛍光マーク領域FMRからの着色剤混合物A又は着色剤混合物Bにより部分的に着色される。一般に、このことはセキュリティマーク用途に対しては受容可能であり、可視光オブジェクトの外観を大きく損なうことはない。
【0026】
幾つかの場合においては、二層マスクMはより大きい及びより小さい無着色区域CF1、CF2に適応することが可能であり、この場合、マスクの「オフ」区域の大きさは、基本の又は基礎にある蛍光マークの対応する無着色区域CF1、CF2の大きさに対応する。これらの場合は、各々の着色剤の組み合わせA及びBに対して1つずつ、2つの異なる二層マスクを用いる。こうしたマスクは、適応性二層マスクと呼ぶことができる。こうした場合においては、可視光オブジェクトVLOを定める着色剤混合物Cは、基礎にある蛍光マーク領域FMRの、対応して配置された基礎にある条件等色性着色剤混合物A、Bのすべてを置き換えるのに用いられ、可視光オブジェクトにおける空隙Vは、基礎にある蛍光マークFMRの、対応して配置されたそれぞれの無着色区域CF1、CF2に合致する大きさにされる。
【0027】
図5Bのシナリオは、正しく適応性マスクを選択するためにUV信号と可視信号との間の通信を必要とし、また多数の印刷システムにおいて、この通信は、不可能であるか又は少なくとも厄介なものであることが明らかである。これらのシステムにおいては、前述の単一二層マスクが好ましい方法である。
【0028】
本開発によるシステム及び方法は、印刷及び/又は複製装置の一部として提供可能な、あらゆる市販の多着色剤(「カラー」)プリンタ等の印刷システムに導入されることが好ましい。典型的には、プリンタは、CMYK色空間を使用し、ゼログラフ印刷エンジンを含むが、本開発は、インクジェット等の他の印刷方法にも適用可能である。図6は、本開発による方法を実施するための装置の一例を示す。装置10は、本明細書に開示されたデジタル画像処理動作を実行するための画像処理ユニット(IPU)14を含む。IPU14は、デジタル画像処理専用の電子回路及び/又はソフトウェアにより定められ、及び/又は、本明細書に開示される画像処理動作を実施するようにプログラムされた汎用コンピュータを含むことができる。IPU14は、スキャナ16a、コンピュータ16b(例えば、デジタルフロントエンド(DFE))、及び/又は、データ記憶装置16c等のソース、又は、装置10の一部である及び/又はネットワーク又はその他の手段によりIPU14に動作可能に接続された別のソースから画像データを受信するように適応される。例えば、一実施形態においては、IPU14は、着色剤混合物A、着色剤混合物B、及び可視光可変データの種類、大きさ、形状及び色を定めるデータを含む、二層蛍光マーク領域FMR’の大きさ、形状、色、及び位置を定めるデータを受信する。装置10は、CMYK又はその他の多着色剤色空間24を用いて、当該技術分野に周知のトナー及び/又はインクを用いて、画像データを固有の蛍光性を示す用紙又は別の記録媒体に印刷するためのゼログラフ、インクジェット、又はその他の印刷エンジン22を含む画像出力又は印刷ユニット20を含む。印刷ユニット20は、さらに、印刷された用紙、OHPフィルム、又はその他の記録媒体シート等の最終印刷製品の物理的な出力のための印刷出力ステーション26を含む。好適な市販のシステム10は、ゼロックスコーポレーションから入手可能なPhaser(商標)、WorkCentre(商標)、DocuColor(商標)、iGenr(商標)及びiGen4(商標)の印刷、複写、デジタルプレスシステムを含むが、これらに限られるものではない。
【0029】
初めに提示され、補正され得る特許請求の範囲は、現在は予期されていない又は認識されていないもの、及び、例えば、出願人、特許権者及びその他の者から生まれ得るものを含む、本明細書に開示された実施形態及び教示の変形、代替物、修正、改善、均等物、及び実質的な均等物を含む。
【符号の説明】
【0030】
AP、BP:パッチ領域
VIS:可視光
UVL:UV光
FM:蛍光マーク
FMR:蛍光マーク領域
VLO:可視光オブジェクト
L1、L2:セル
ML:マップ
CE:セル要素
M1、M2、M3:マスク
CF:無着色領域
D:文書
10:装置
14:画像処理ユニット
16a:スキャナ
16b:コンピュータ
16c:データ記憶装置
20:印刷ユニット
22:プリンタエンジン
24:CMYK
26:印刷出力ステーション
【背景技術】
【0001】
セキュリティは、文書及びデジタル生成、及び/又はその複製の領域において重要な問題である。周知のデジタル画像印刷/複写システムは、高品質の文書を生成するので、チケット、金融証書、通行証等を含む高価値の印刷物のような特定の文書の実効的な印刷/複写を防止する必要性が識別されている。周知の技術は、通常の用紙、トナー、又はインクのみを用いるデジタル透かしを含むようにオリジナルの文書を印刷することを含む。広義のデジタル透かしは、通常の観察条件の下では印刷された画像内に少なくとも部分的に(好ましくは完全に、又は少なくとも実質的に)隠されるが、ある特化された観察条件の下ではより明瞭に識別することができる、例えば、1又はそれ以上の文字、語、記号、又はパターンなどの情報として定義される。こうしたデジタル透かしを含む文書の許可されていない複製は、典型的には、デジタル透かしを劣化させるか又は不明瞭にし、そのことは偽造文書を検出する助けとなり得る。
【0002】
蛍光マークは、周知のデジタル透かしの一例である。通常の用紙(例えば、通常の「コピー用紙」又は「プリンタ用紙」)及び通常のインク/トナー(例えば、CMYKインク/トナー)、具体的には条件等色性着色剤混合物を用いて、印刷文書内に蛍光マークを含ませるための方法及びシステムは周知である。可視の照明条件(例えば、約400−700ナノメートル(nm)の電磁放射線波長)の下では、用紙のそれぞれの隣接する部分上に印刷された異なる着色剤混合物が一緒になって、色が実質的に均一に見える全体的な印刷文書領域を定める。紫外線(UV)照明(例えば、約400nmより短い電磁放射線波長)の下では、これらの異なる着色剤混合物は、異なるUV吸収、つまり、通常の印刷/複写用紙に用いられる蛍光増白剤のUV蛍光の異なる抑制を示すので、基材蛍光をそれほど抑制しない着色剤混合物を用いて印刷された領域がより明るい/鮮やかな領域のように見え、基材蛍光を強く抑制する着色剤混合物を用いて印刷された隣接する領域がより暗い領域のように見える。UV照明の下でのこれらのコントラストの違いを用いて、例えば、数、文字、記号、形状などの透かし様のパターンを生成する。
【0003】
この一つの例が図1に示され、ここで、着色剤混合物「B」を選択し、この例では文字数字記号「0」の形状のパッチ領域BPに適用する。さらに、着色剤混合物「A」を選択し、ここではパッチ領域BPに空間的に相当接近した状態で配置されたパッチ領域APに適用し、これによりパッチ領域BPの周りにバックグラウンドを与える。パッチ領域AP及びパッチ領域BPは協働して蛍光マーク領域FMRを定める。着色剤混合物A及び着色剤混合物Bは両方とも、適切に選択された1又はそれ以上の着色剤からなるが、着色剤混合物A及びBは異なる混合物である。着色剤混合物A又はBはそれぞれ、例えば、単一のCMYK着色剤であっても、又はCMYK着色剤のいずれかの混合物であってもよい。示した例においては、着色剤混合物Aは、着色剤混合物Bと比較すると、より大きい基材カバー範囲及びより大きい基材蛍光の抑制をもたらすように選択される。着色剤混合物A及びBはまた、可視光の条件の下で見たときに、それらの平均色及び輝度が互いに密に合致するようにも選択される。図1のUVで示されるように、UV照明条件の下では、パッチAPと比べると用紙基材における蛍光増白剤の蛍光の抑制が相対的に制限されているため、パッチBPは、パッチAPと比べてより鮮やかに見え、よって、蛍光マークFMを形成する。対照的に、VISで示される可視光条件の下では、パッチAP、BPは、少なくとも実質的に区別ができない。第1の照明条件(例えば、可視光)の下では色が合致するが、第2の照明条件(例えば、UV光)の下では色が合致しないというこの特性は、条件等色と呼ばれ、着色剤混合物A及びBは、条件等色性又はほぼ条件等色性の対を定めると言える。
【0004】
単純化した一例として、およそ50%のグレイ色を、ブラック(K)の着色剤のハーフトーンのみで実現し、着色剤混合物Bに使用し、パッチBPを印刷することができる。次に、パッチAPを印刷するために用いられる、類似したおよそ50%のグレイ色を生み出すシアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)を含む着色剤混合物Aに対して、これを色合せすることができる。一般に、着色剤混合物Aは、用紙のより多くをカバーし、よって、パッチBPと比べて固有の基材蛍光をかなり大きく抑制するので、UV照明条件の下で、パッチBPは、蛍光マークFMとして容易に明らかになる。図1のVISで示す通常の可視光観察の下で、2つの着色剤混合物は、かなり同一の「グレイ」に近いものに見える。従って、こうした蛍光マークを含む文書がUV照明に曝されると、蛍光マークFMが現われる。印刷された「類似」文書又は単なる写真複写は、透かしを適切に複製しない。
【0005】
上述の及びその他の周知のシステム及び方法は、蛍光マークFMが、例えば、ユーザ選択文字列、記号、又はパターンのような可変データを表わすことを可能にする。周知のシステム及び方法は、UV光で見たときに蛍光マークFMを不明瞭なものにしたり又は変化させたりせずに、可視光で見るために付加的なユーザ選択可変データを蛍光マーク領域FMRに印刷する「二層可変データ」を可能にしない。蛍光マーク領域FMRに二層可変データを実装するための本開発によるシステム及び方法を提供することが望ましいと考えられており、ここでは、蛍光マーク領域FMRは、蛍光マークFMとしてUV光可変データ及び可視光可変データの両方を含み、可視光可変データは蛍光マークを不明瞭なものにしたり又は変化させたりすることはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1(UV光)及び第2(可視光)可変データ領域を生成するために以前検討された1つの可能性は、以下の関係式が維持できるのであれば、色C1及び色C2を蛍光マーク可変データの条件等色性の対として用い、色C3を可視光可変データに用いるものである。
こうした着色剤の組み合わせは、容易に生み出したり識別できたりするものではない。従って、蛍光マーク領域FMRにおいて二層可変データを実装するための代替的な方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開発の1つの態様により、印刷される文書の画像を定めるデジタル文書データに二層セキュリティマークを含ませるための方法が提供される。この方法は、蛍光マークを含む蛍光マーク領域をデジタル文書データに定めるステップを含む。蛍光マーク領域は、第1の色のための第1の着色剤混合物データと、第2の色のための第2の着色剤混合物データとにより定められ、第1の色及び第2の色はほぼ条件等色性の対であり、第1の着色剤混合物データ及び第2の着色剤混合物データは、蛍光マーク領域の無着色区域を定める。蛍光マーク領域は、蛍光マークとさらに第3の着色剤混合物データにより定められる少なくとも1つの可視光オブジェクトとを含む二層蛍光マーク領域を定めるように修正される。蛍光マーク領域の修正は、第3の着色剤混合物データを蛍光マーク領域に書き込み、無着色区域に対する第3の着色剤混合物データの書き込みを阻止するように、蛍光マーク領域の無着色区域をマスクすることを含む。
【0008】
本開発の別の態様により、印刷文書は、蛍光マークを蛍光マーク領域に定める第1の着色剤混合物及び第2の着色剤混合物を含む蛍光マーク領域を含み、蛍光マークは、無着色区域を蛍光マーク領域に含む。蛍光マークは、蛍光マーク領域をUV光で見たときに、人間の観察者が見ることができる。蛍光マーク領域に印刷された第3の着色剤混合物、及び第3の着色剤混合物は、蛍光マーク領域を可視光で見たときに、人間の観察者の目に見える可視光オブジェクトを定める。可視光オブジェクトは、蛍光マーク領域をUV光で見たときには、蛍光マークと比較すると、人間の観察者にとって見えづらく、可視光オブジェクトは、蛍光マーク領域を可視光で見たときには、蛍光マークと比較すると、人間の観察者にとって見えやすい。
【0009】
本開発の別の態様により、印刷される文書を定めるデジタル画像の蛍光マーク領域に可変データを書き込むための方法が提供される。この方法は、可変データを蛍光マーク領域に書き込む一方で、蛍光マーク領域の無着色区域に可変データが書き込まれないように蛍光マーク領域をマスクすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(従来技術)印刷文書内に蛍光マークを含ませることを図式的に開示する。
【図2】二層可変データを蛍光マーク領域に与えるための1つの方法を示すフローチャートである。
【図2A】本開発による二層マスクの生成を示す。
【図2B】本開発による二層マスクの生成を示す。
【図2C】本開発による二層マスクの生成を示す。
【図3A】(従来技術)可視光(VIS)及びUV光(UV)で見たときの蛍光マーク領域を含む印刷文書の一部を示す。
【図3B】(従来技術)異なる領域又はセルに適用された条件等色性着色剤の対を示す図3Aの印刷文書の蛍光マーク領域を大きく拡大した図である。
【図4A】可視光(VIS)及びUV光(UV)で見たときの、可視光可変データを有する蛍光マーク領域を含む印刷文書の一部を示す。
【図4B】異なる領域又はセルに適用された条件等色性着色剤の対を示し、かつ、異なる領域又はセルに適用された可視光可変データに対する着色剤混合物を示す図4Aの印刷文書の蛍光マーク領域を大きく拡大した図である。
【図4C】マスクを通しての可視光可変データの蛍光マーク領域への書き込みを図式的に示す。
【図5】(従来技術)種々の領域又はセルに適用された条件等色性着色剤の対により定められる周知の蛍光マーク領域の別の例である。
【図5A】可視光可変データを図5の蛍光マーク領域に定めるように着色剤混合物を含ませるための「単一マスク」方法を示す。
【図5B】可視光可変データを図5の蛍光マーク領域に定めるように着色剤混合物を含ませるための「二重マスク」方法を示す。
【図6】本開発による方法を実施するためのシステムの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2は、本開発による二層可変データ蛍光マーク法を示すフローチャートである。ステップ1において、上述のように着色剤混合物A及び着色剤混合物Bを用いて条件等色性着色剤の対を定めるデータを用いて従来の蛍光マーク領域FMRが生成され、この蛍光マーク領域FMRは、例えば、1又はそれ以上の長さの文字列のようないずれかの所望の可変データを表わす少なくとも1つの蛍光マークFMを含むように生成されている。ステップS1は、上述のように従来のものであり、図1に示すような従来の蛍光マーク領域FMRをもたらす。
【0012】
しかしながら、従来の方法とは異なり、本開発による二層可変データ蛍光マーク法は、蛍光マーク領域FMRの二層マスクが、予め導出された組から導出される又はロードされるステップ2を含む。二層マスクは、無着色の位置を含む又はこれに対応する蛍光マーク領域FMRのすべての区域、すなわち、蛍光マーク領域における印刷されていない又は無着色区域を表わす蛍光マーク領域FMRのすべての区域に対して「オフ」に設定される。一方、二層マスクは、蛍光マーク領域FMRのすべての他の区域、すなわち、着色剤混合物A又は着色剤混合物Bの着色剤によりカバーされた蛍光マーク領域におけるすべての区域に対して「オン」に設定される。従って、二層マスクは、マスクが「オン」に設定されている位置においてのみ、蛍光マーク領域FMRに対する可視光可変データの書き込みを許可し、マスクが「オフ」に設定されている蛍光マーク領域FMRに対するどのような可視光可変データの書き込みも阻止する。別の方法で述べると、二層マスクは、蛍光マーク領域FMRにおける無着色のすべての区域に対する可視光可変データの書き込みを阻止する。言い換えると、二層マスクは、着色剤のない全ての区域について可視光可変データを蛍光マーク領域FMRに書き込むことを阻止するが、これは、これらの領域が、印刷文書の用紙又はその他の基材の蛍光性があるため、蛍光マークを定めるためには、無着色のままでなければならないからである。
【0013】
図2の方法は、可視光可変データが、ステップS2で用いられた二層マスクを通して蛍光マーク領域FMRに書き込まれるステップS3をさらに含み、二層可変データの蛍光マーク領域FMR’を可視光で見たときに人間の観察者により知覚される可視光可変データにより定められる少なくとも1つの可視光オブジェクトVLO(例えば、テキスト文字、数字、記号等)を含む二層可変データ蛍光マーク領域FMR’(図4Aを参照されたい)を定める。二層可変データ蛍光マーク領域FMR’は、二層可変データ蛍光マーク領域FMR’をUV光で見たときに人間の観察者が見ることができる蛍光マークFM(字「X」として示される)をさらに含む。ステップS3は、ユーザ入力端末又はデジタルフロントエンドのようなソースから可視光可変データを受信するステップS3aの前に置くことができる。従って、ユーザは、二層可変データ蛍光マーク領域FMR’に含める可視光可変データのコンテンツを変更することができる。
【0014】
ステップS4において、文書は、二層可変データ蛍光マーク領域FMR’を含むように用紙又は別の基材に印刷される。
【0015】
図2A、図2B、及び図2Cは、図2のS2に用いられる二層マスクの例示的な派生物を示す。図2Aは、条件等色性の対L1及びL2は、各々が16のセル要素CEを含む2つのセルを含み、これらは無着色(白色の空間として示される)であるか又はシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)又はブラック(K)(影付きで示される)から選択された着色剤で塗りつぶされているかであり、セルL1及びL2は、共通の可視光照明の下ではほぼ条件等色性の合致を与える一方で、全体的な着色剤のカバー範囲においては明らかな差異を有しており、L1はUV鈍感であり(用紙の1/16のみを露出する(16セル要素CEのうちの1つ))、L2はUV活性である(用紙の7/16を露出する(16セル要素CEのうちの7つ))。図2AにおけるL1及びL2は、説明のための理想化された図に過ぎず、さらに実際の条件等色性の対は、一般に、より大きいセルを用い、条件等色性の合致もまた、一般に、望ましくない吸収及びその他のより高位の影響が原因で、種々の着色剤の単純な線形の組み合わせではないことが理解される。
【0016】
図2Bに示すように、ステップS2は、セルL1及びL2の、対応して配置されたセル要素CEが論理的に組み合わされて、セルL1、L2の少なくとも一方において無着色であるすべてのセル要素を識別するマップMLを生成するサブステップを含む。言い換えると、マップMLは、セルL1、L2の両方において、どのセル要素CEが少なくとも1つの着色剤を含むかを示す。従って、マップMLは、セルL1及びL2のセル要素CEと対応するように配置されるセル要素CE’により定められ、以下のようになる。
CE’=1 (チェッッカーボードのパターンにより示される)L1及びL2の両方がセル要素位置に着色剤を含む場合
CE’=0 (白色空間により示される)L1又はL2のいずれかが、セル要素位置に対して無着色である場合
【0017】
図2Cに示すように、ステップ2Cは、2つのセルL1及びL2のうちの少なくとも一方において用紙を露出するすべてのセル要素CEを保護することにより、好ましい二層マスクM1が生成されるサブステップをさらに含む(保護されるセルは、図2Cにおいては、黒色で塗りつぶされた部分により示される)。マスクM1は、セルL1、L2のいずれかにおいて無着色であるすべてのセル要素CEを保護することにより、L1及びL2のUV信号を完全に保護する一方で、可視信号の最大可能修正を同時に可能にするため、すなわち、保護されていない区域(図2Cにおいて白色空間として示される)が最大になるため、好ましい二層マスクである。例えば、結果としてもたらされる組み合わせの粗い色合いを維持するために特定の着色剤も保護するという要望などの付加的な設計パラメータに基づいて導出すことができる、例えばM2又はM3に示されるような、他の代替的な二層マスクを用いることができることが理解される。二層マスクM1の保護された区域の特定の一部のみを保護する二層マスクを生成できることがさらに理解されかつ明示的に含まれる。すべてのこれらマスクは、実際のUV信号の強さ、すなわち、L1及びL2のUV応答における差異を低減し、従って、一般にはあまり好ましくない。
【0018】
図3A(従来技術)は、用紙又は別の基材に印刷され可視光及びUV光で見たときの従来の蛍光マーク領域FMRを含む印刷文書Dの一部を示す。可視光においては、蛍光マーク領域FMRはどのような可視可変データもない均質的な着色領域として現れることがわかる。しかしながら、UV光においては、用紙又はその他の基材が、より少ない着色剤のカバー範囲及び増加した基材蛍光を含んでいる場合、蛍光マークFM(字「X」として示される)が見えるようになる。代替的には、蛍光マークは、基材蛍光が、周囲区域と比較すると抑制されている区域により定めることができる。
【0019】
図3Bは、従来の蛍光マーク領域FMRを大きく拡大し、単純化した図である。「X」蛍光マークFMは、ハーフトーンセル又はその他の区別できる区域とすることができる多数の区域又はセルL1、L2のマトリックスにより定められることがわかる。説明を簡単にするために、セルL1は、無着色の区域なしで、着色剤により塗りつぶされるように、着色剤混合物Aにより表わされるように定められる。他のセルL2は、少なくとも1つの無着色区域CFを含むように、着色剤混合物Bにより表わされるように定められる。当業者であれば、セルL1、L2の互いに対する配置が蛍光マークFMを定める一方で、可視光における蛍光マーク領域FMRの平均色及び輝度は一様であることを認識するであろう。当業者であれば、さらに、L1及びL2が、図2Aに示されたように、区別できる着色剤のカバー範囲を有する限り、L1は完全な着色剤のカバー範囲を示す必要はないことを認識するであろう。
【0020】
図4Aは図3Aに対応するが、本開発による二層可変データ蛍光マーク領域FMR’を含む文書D’の一部を示す。二層蛍光マーク領域FMR’は、上述の従来の蛍光マーク領域FMRに基づくものであるが、可視光可変データにより定められる少なくとも1つの可視光可変オブジェクトVLO(字「L」として示される)をさらに含み、これは二層可変データの蛍光マーク領域FMR’を可視光で見たときに、人間の観察者が見ることができる。さらに図4Aに示すように、二層蛍光マーク領域FMR’をUV光で見たときには、フォアグラウンド領域BPと比較したときのバックグラウンド領域APにおける基材蛍光の抑制の違いのために、「X」形状の蛍光マークFMが上述のように現れ、可視光可変オブジェクトVLOは、UV光においては、その色がバックグラウンド領域APの色と相当程度合致するため、少なくとも実質的に見えなくなる。
【0021】
図4Bは、図3Bと同様に大きく拡大され単純化された図であるが、ハーフトーンセル又はその他の区別できる区域とすることができる複数の区域又はセルL1’、L2’のマトリックスにより定められる二層蛍光マーク領域FMR’を示す。可視光オブジェクトVLOは、どのような着色剤も無着色区域CFに添加することなく蛍光マーク領域FMRに書き込まれる。可視光オブジェクトVLOは、着色剤混合物A又は着色剤混合物Bが、基本的蛍光マーク領域FMRに既に存在していた位置にのみ配置される着色剤混合物Cにより定められる。従って、二層蛍光マーク領域FMR’の可視光での外観は、基本蛍光マーク領域FMRにおけるものとは異なるが、二層蛍光マーク領域FMR’のUV光での外観は、基本蛍光マーク領域FMRと同じであるか又は少なくとも十分に同様であり、蛍光マークFM(ここでは字「X」)を知覚することが可能である。着色剤混合物Cは、単一の着色剤(例えば、ブラック(K))であってもよいし、又は、着色剤の混合物であってもよい。いずれの場合も、着色剤混合物Cは、可視光においては、可視光オブジェクトVLOが、着色剤混合物A又は着色剤混合物Bのいずれかで着色された文書領域とは異なる平均色及び輝度を示すが、UV光においては、可視光オブジェクトVLOが、着色剤混合物Aで着色された文書領域と同様な、UV光における平均色及び輝度を有するように選択され、すなわち、文書DをUV光で見たときには、着色剤混合物A及び着色剤混合物Cで着色された文書領域は両方とも、着色剤混合物Bで着色された文書領域より暗くなり、蛍光マークFMを知覚できるようになる。
【0022】
上述の3色C1、C2、C3を用いて、理想的な二層UVマークを再考すると、このように、近似する4色の組を導出できることがわかる。図4Bの名称を用いると、
が得られ、ここでは、可視光におけるL1’とL2’との間の関係については明示的な説明はしないが、L1’及びL2’の両方は、可視光においてはL1及びL2より明るいか又は暗く、従って、単色のバックグラウンド上で明るい/暗いテキストの外観を与えることが望ましい。近似記号
は、適用のシナリオ内容においては、ほぼ条件等色性の合致として読まれなければならないことが理解される。UVセキュリティマークの内容における正確な「=」の条件等色性の合致から可能な逸脱は、高品質画像形成用途における合致に通常課される要件よりはるかに大きい。本明細書で用いられる「条件等色性の対」という用語は、正確な条件等色結果を与える着色剤混合物の対、さらに、図1に関して説明された蛍光マークのエンコーディングを可能にするのに十分なほぼ条件等色性の結果を与える着色剤混合物の対を含むことが意図される。
【0023】
着色剤混合物Cは、前述の着色剤混合物のような空間分布を定めることにより使用してもよいし、又は、代替的には、一方が空間構造を二層マスクに埋め込み、他方の構造が基礎にある保護されたセル区域に関係なく色を表わすように2つの構造に分離することにより使用してもよいことがよく理解される。通常、同じく基礎にある着色剤混合物A及びBの上に複数の異なるVLO色が望まれる場合には、第2の手法が好ましい。
【0024】
図4Cは、従来の蛍光マーク領域FMRに書き込む所望の可視光可変データVLD(この場合は文字「L」)を示す。図2Aに定める方法により、二層マスクMが導出される。二層マスクは、無着色区域CFを含む又はこれに対応する蛍光マーク領域FMRのすべての区域に対して「オフ」に設定される(黒ベタで示される)。二層マスクMは、蛍光マーク領域FMRの他のすべての区域、すなわち、着色剤混合物A又は着色剤混合物Bからなる着色剤でカバーされた蛍光マーク領域におけるすべての区域に対して「オン」に設定される(白ベタで示される)。従って、二層マスクMは、マスクが「オン」に設定されている位置においてのみ、可視光可変データVLDを蛍光マーク領域FMRに書き込むことを許可し、マスクが「オフ」に設定されている位置では、どのような可視光可変データも蛍光マーク領域FMRに書き込むことを阻止する。図4Cに示すように、マスクMを通して可視光可変データVLDを書き込むことにより、無着色区域又は空隙Vを含む可視光可変オブジェクトVLOが定められる。可視光オブジェクトVLOは、従来の蛍光マーク領域FMRに書き込まれて、二層蛍光マーク領域FMR’を定める。空隙Vは、結果としてもたらされる印刷文書D’において無着色のまま残り、従来の蛍光マーク領域FMRの、対応して配置される無着色区域CFの位置に対応し及び少なくともこれを含むことにより、可視光オブジェクトVLOは、依然としてUV光において知覚できる基礎にある基本蛍光マークFMの無着色区域CFを変化させないが、可視光オブジェクトVLOは、可視光において人間の観察者により容易に知覚されるように依然として十分に定められる。
【0025】
多くの場合、制限されたデータ利用可能性及び/又は速度制約により、マスクMの「オフ」位置が最大予測無着色区域CFを含むように、マスクの「オフ」位置のすべてが最悪の場合の大きさに設定されることが要求される。可視照明に対するこの「最悪の」場合は、UV照明下の単一のマスクに好ましい場合と同一であることが容易にわかる。UV信号は、一般に可視信号より弱いことを理解すれば、好ましい使用は、UV信号に関して最適化される。図5に示すように、従来の蛍光マーク領域FMRは、相対的に大きい無着色区域CF1及び相対的に小さい無着色区域CF2を含む。こうした場合、マスクMの「オフ」位置が、マスクMの「オフ」位置が最大予測無着色区域CFを含むように最悪の場合の大きさに設定されている場合には、この方法は、図5Aの蛍光マーク領域FMR1’結果としてもたらし、ここでは、結果として生じる可視光オブジェクトVLOは、基礎にある蛍光マーク領域FMRからの着色剤混合物A又は着色剤混合物Bにより部分的に着色される。一般に、このことはセキュリティマーク用途に対しては受容可能であり、可視光オブジェクトの外観を大きく損なうことはない。
【0026】
幾つかの場合においては、二層マスクMはより大きい及びより小さい無着色区域CF1、CF2に適応することが可能であり、この場合、マスクの「オフ」区域の大きさは、基本の又は基礎にある蛍光マークの対応する無着色区域CF1、CF2の大きさに対応する。これらの場合は、各々の着色剤の組み合わせA及びBに対して1つずつ、2つの異なる二層マスクを用いる。こうしたマスクは、適応性二層マスクと呼ぶことができる。こうした場合においては、可視光オブジェクトVLOを定める着色剤混合物Cは、基礎にある蛍光マーク領域FMRの、対応して配置された基礎にある条件等色性着色剤混合物A、Bのすべてを置き換えるのに用いられ、可視光オブジェクトにおける空隙Vは、基礎にある蛍光マークFMRの、対応して配置されたそれぞれの無着色区域CF1、CF2に合致する大きさにされる。
【0027】
図5Bのシナリオは、正しく適応性マスクを選択するためにUV信号と可視信号との間の通信を必要とし、また多数の印刷システムにおいて、この通信は、不可能であるか又は少なくとも厄介なものであることが明らかである。これらのシステムにおいては、前述の単一二層マスクが好ましい方法である。
【0028】
本開発によるシステム及び方法は、印刷及び/又は複製装置の一部として提供可能な、あらゆる市販の多着色剤(「カラー」)プリンタ等の印刷システムに導入されることが好ましい。典型的には、プリンタは、CMYK色空間を使用し、ゼログラフ印刷エンジンを含むが、本開発は、インクジェット等の他の印刷方法にも適用可能である。図6は、本開発による方法を実施するための装置の一例を示す。装置10は、本明細書に開示されたデジタル画像処理動作を実行するための画像処理ユニット(IPU)14を含む。IPU14は、デジタル画像処理専用の電子回路及び/又はソフトウェアにより定められ、及び/又は、本明細書に開示される画像処理動作を実施するようにプログラムされた汎用コンピュータを含むことができる。IPU14は、スキャナ16a、コンピュータ16b(例えば、デジタルフロントエンド(DFE))、及び/又は、データ記憶装置16c等のソース、又は、装置10の一部である及び/又はネットワーク又はその他の手段によりIPU14に動作可能に接続された別のソースから画像データを受信するように適応される。例えば、一実施形態においては、IPU14は、着色剤混合物A、着色剤混合物B、及び可視光可変データの種類、大きさ、形状及び色を定めるデータを含む、二層蛍光マーク領域FMR’の大きさ、形状、色、及び位置を定めるデータを受信する。装置10は、CMYK又はその他の多着色剤色空間24を用いて、当該技術分野に周知のトナー及び/又はインクを用いて、画像データを固有の蛍光性を示す用紙又は別の記録媒体に印刷するためのゼログラフ、インクジェット、又はその他の印刷エンジン22を含む画像出力又は印刷ユニット20を含む。印刷ユニット20は、さらに、印刷された用紙、OHPフィルム、又はその他の記録媒体シート等の最終印刷製品の物理的な出力のための印刷出力ステーション26を含む。好適な市販のシステム10は、ゼロックスコーポレーションから入手可能なPhaser(商標)、WorkCentre(商標)、DocuColor(商標)、iGenr(商標)及びiGen4(商標)の印刷、複写、デジタルプレスシステムを含むが、これらに限られるものではない。
【0029】
初めに提示され、補正され得る特許請求の範囲は、現在は予期されていない又は認識されていないもの、及び、例えば、出願人、特許権者及びその他の者から生まれ得るものを含む、本明細書に開示された実施形態及び教示の変形、代替物、修正、改善、均等物、及び実質的な均等物を含む。
【符号の説明】
【0030】
AP、BP:パッチ領域
VIS:可視光
UVL:UV光
FM:蛍光マーク
FMR:蛍光マーク領域
VLO:可視光オブジェクト
L1、L2:セル
ML:マップ
CE:セル要素
M1、M2、M3:マスク
CF:無着色領域
D:文書
10:装置
14:画像処理ユニット
16a:スキャナ
16b:コンピュータ
16c:データ記憶装置
20:印刷ユニット
22:プリンタエンジン
24:CMYK
26:印刷出力ステーション
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷される文書の画像を定めるデジタル文書データに二層セキュリティマークを含ませるための方法であって、
蛍光マークを含む蛍光マーク領域を前記デジタル文書データに定めるステップであって、前記蛍光マーク領域は、第1の色を定める第1の着色剤混合物データ及び第2の色を定める第2の着色剤混合物データにより定められ、前記第1の色及び前記第2の色は条件等色性の対であり、前記第1の着色剤混合物データ及び前記第2の着色剤混合物データは、前記蛍光マーク領域の無着色区域を定める、ステップと、
前記蛍光マークを含み、かつ、さらに第3の着色剤混合物データにより定められる少なくとも1つの可視光オブジェクトを含む二層蛍光マーク領域を定めるように、前記蛍光マーク領域を修正するステップと、
を含み、前記蛍光マーク領域を修正する前記ステップは、前記第3の着色剤混合物データを前記蛍光マーク領域に書き込むステップと、前記蛍光マーク領域の前記無着色区域の少なくとも幾つかをマスクにより保護して前記マスクにより保護される該無着色区域に対する該第3の着色剤混合物データの書き込みを阻止するステップとを含み、
前記第3の着色剤混合物データは、可視光において、前記第1の色及び前記第2の色の両方とは平均色及び輝度が異なる第3の色を定める、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記マスクは、前記蛍光マーク領域の前記無着色区域のすべてを少なくとも含む「オフ」位置を含み、該マスクのすべての他の位置は「オン」位置であり、該マスクの前記「オフ」位置は、該マスクにより保護される該蛍光マーク領域の区域に対応し、
前記蛍光マーク領域を修正する前記ステップは、前記マスクを通して前記第3の着色剤混合物データを前記蛍光マーク領域に書き込むステップを含み、該マスクの該「オフ」位置は、前記蛍光マーク領域の前記対応して配置された無着色区域に対する該第3の着色剤混合物データの書き込みを阻止することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二層蛍光マーク領域を含む前記文書データを用いて文書を用紙に印刷するステップをさらに含み、前記第1、第2及び第3の着色剤混合物データによりそれぞれ定められた前記第1、第2及び第3の色が印刷され、前記第3の色、並びに、該第1の色及び該第2の色のうちの一方は、前記印刷文書をUV光で見たときに、該第1の色及び該第2の色のうちの他方より暗い又は明るいことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記蛍光マーク領域を修正する前記ステップは、前記第1及び第2の着色剤混合物データの一部を前記第3の着色剤混合物データで置き換えるステップを含むことを特徴とする、請求項1、請求項2、又は請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
印刷される文書の画像を定めるデジタル文書データに二層セキュリティマークを含ませるための方法であって、
蛍光マークを含む蛍光マーク領域を前記デジタル文書データに定めるステップであって、前記蛍光マーク領域は、第1の色を定める第1の着色剤混合物データ及び第2の色を定める第2の着色剤混合物データにより定められ、前記第1の色及び前記第2の色は条件等色性の対であり、前記第1の着色剤混合物データ及び前記第2の着色剤混合物データは、前記蛍光マーク領域の無着色区域を定める、ステップと、
前記蛍光マークを含み、かつ、さらに第3の着色剤混合物データにより定められる少なくとも1つの可視光オブジェクトを含む二層蛍光マーク領域を定めるように、前記蛍光マーク領域を修正するステップと、
を含み、前記蛍光マーク領域を修正する前記ステップは、前記第3の着色剤混合物データを前記蛍光マーク領域に書き込むステップと、前記蛍光マーク領域の前記無着色区域の少なくとも幾つかをマスクにより保護して前記マスクにより保護される該無着色区域に対する該第3の着色剤混合物データの書き込みを阻止するステップとを含み、
前記第3の着色剤混合物データは、可視光において、前記第1の色及び前記第2の色の両方とは平均色及び輝度が異なる第3の色を定める、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記マスクは、前記蛍光マーク領域の前記無着色区域のすべてを少なくとも含む「オフ」位置を含み、該マスクのすべての他の位置は「オン」位置であり、該マスクの前記「オフ」位置は、該マスクにより保護される該蛍光マーク領域の区域に対応し、
前記蛍光マーク領域を修正する前記ステップは、前記マスクを通して前記第3の着色剤混合物データを前記蛍光マーク領域に書き込むステップを含み、該マスクの該「オフ」位置は、前記蛍光マーク領域の前記対応して配置された無着色区域に対する該第3の着色剤混合物データの書き込みを阻止することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二層蛍光マーク領域を含む前記文書データを用いて文書を用紙に印刷するステップをさらに含み、前記第1、第2及び第3の着色剤混合物データによりそれぞれ定められた前記第1、第2及び第3の色が印刷され、前記第3の色、並びに、該第1の色及び該第2の色のうちの一方は、前記印刷文書をUV光で見たときに、該第1の色及び該第2の色のうちの他方より暗い又は明るいことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記蛍光マーク領域を修正する前記ステップは、前記第1及び第2の着色剤混合物データの一部を前記第3の着色剤混合物データで置き換えるステップを含むことを特徴とする、請求項1、請求項2、又は請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【図2】
【図6】
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【公開番号】特開2010−214949(P2010−214949A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52584(P2010−52584)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
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