説明

二次電池状態検出装置

【課題】異なる二次電池が搭載された場合であっても正確に状態を検出すること。
【解決手段】車両に搭載された二次電池の状態を検出する二次電池状態検出装置において、二次電池が交換された際に、新たな二次電池に関する情報が設定される設定手段(可変抵抗21)と、設定手段に設定された情報を取得する取得手段(A/D変換部22)と、取得手段によって取得された情報に基づいて、新たな二次電池の状態を検出する検出手段(CPU29)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池状態検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二次電池の状態を検出する状態検出装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−300209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した状態検出装置では、対象となる二次電池の基準容量に基づいて、例えば、SOC等の状態を検出する。ところで、この基準容量としては、工場出荷時に搭載されている二次電池の基準容量が設定されているため、例えば、種類が異なる二次電池に交換した場合、基準容量が異なることから、正確に状態を検出できないという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は、異なる二次電池が搭載された場合であっても正確に状態を検出可能な二次電池状態検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、車両に搭載された二次電池の状態を検出する二次電池状態検出装置において、前記二次電池が交換された際に、新たな二次電池に関する情報が設定される設定手段と、前記設定手段に設定された前記情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された前記情報に基づいて、前記新たな二次電池の状態を検出する検出手段と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、異なる二次電池が搭載された場合であっても正確に状態を検出することが可能になる。
【0007】
また、他の発明は、前記発明に加えて、前記取得手段は、前記新たな二次電池が電気的に接続され、当該新たな二次電池から電源の供給を受けたときに、前記設定手段に設定された前記情報を取得することを特徴とする。
このような構成によれば、二次電池が接続されて電源の供給が開始されるタイミングで情報が取得されるので、ユーザが操作を行うことなく、自動的に情報を取得することができる。
【0008】
また、他の発明は、前記発明に加えて、前記取得手段は、前記新たな二次電池が接続された後に、前記設定手段に設定された情報を再度取得することを特徴とする。
このような構成によれば、二次電池を接続した後に、ユーザが設定を行った場合であっても、設定された情報を確実に取得することができる。
【0009】
また、他の発明は、前記発明に加えて、前記情報は、前記新たな二次電池の公称容量を特定するための情報であり、前記検出手段は、前記情報によって特定された前記公称容量に基づいて、前記新たな二次電池の状態を検出することを特徴とする。
このような構成によれば、公称容量を初期値として検出を行うことにより、検出の精度を向上させるとともに、検出に要する時間を短縮することができる。
【0010】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記設定手段には前記新たな二次電池の型番を示す情報が設定され、前記検出手段は、前記型番を示す情報に基づいて前記新たな二次電池の公称容量を特定し、特定した前記公称容量に基づいて前記新たな二次電池の状態を検出することを特徴とする。
このような構成によれば、ユーザが容易に知ることができる型番を利用することができるので、操作性を向上させることが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、異なる二次電池が搭載された場合であっても正確に状態を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る二次電池状態検出装置が二次電池に配置された状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る二次電池状態検出装置の構成例を示す斜視図である。
【図3】図1,2に示す二次電池状態検出装置の電気的な構成例を示すブロック図である。
【図4】図3に示すROMに格納されているテーブルの一例を示す図である。
【図5】図3に示す実施形態において実行される処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係る二次電池状態検出装置の構成例を示す斜視図である。
【図7】図6に示す二次電池状態検出装置の電気的な構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る二次電池状態検出装置の電気的な構成例を示すブロック図である。
【図9】図8に示すROMに格納されているテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
(A)実施形態の第1実施形態の構成の説明
図1は、本発明の第1実施形態に係る二次電池状態検出装置の構成例を示す斜視図である。この図に示すように、二次電池状態検出装置10は、上面につまみが形成された筐体を有し、二次電池1の上面2に配置される。より詳細には、二次電池1の上面2にはマイナス端子3とプラス端子4が配設され、二次電池状態検出装置10は、マイナス端子3の近傍に配置されている。二次電池状態検出装置10は、図示しない環状の締付環を有するバッテリーターミナルを有しており、このバッテリーターミナルの締付環によってマイナス端子3に固定される。なお、二次電池1は、例えば、鉛蓄電池によって構成されて自動車等の車両に搭載され、図示しないエンジンによって駆動されるオルタネータが発電する電力によって充電され、図示しない負荷機器(例えば、スタータモータ、電動ステアリング、オーディオ機器等)に対して電力を供給する。
【0015】
図2は、二次電池状態検出装置10の詳細な構成例を示す斜視図である。この図に示すように、二次電池状態検出装置10の筐体の上面11には後述する可変抵抗を調整するためのつまみ12が配置されている。つまみ12には、矢印形状の溝12aが形成されており、この溝12aに、例えば、マイナスドライバを差し込んで回転させることにより、可変抵抗の抵抗値を調整することができる。
【0016】
つまみ12の周辺には、可変抵抗のノッチによる固定位置に対応して、黒点13aが印刷等によって複数表示されている。また、黒点13aは引き出し線13bによって引き出され、それぞれの位置に対応した二次電池1の型番13cが表示されている。この例では、左下から時計回りに115D31、90D26、80D23、55B24、46B19、40B19、および、34B17が表示されている。つまみ12を回転させ、矢印形状の溝12aの先端と、所望の黒点13aを合致させることにより、所望の二次電池の型番を選択することができる。なお、図2の例では、80D23が選択されている。
【0017】
図3は、二次電池状態検出装置10の電気的な構成例を示すブロック図である。この図に示すように、二次電池状態検出装置10は、固定抵抗20、可変抵抗21、A/D(Analog to Digital)変換部22、I/F(Interface)23、電圧センサ24、電流センサ25、温度センサ26、ROM(Read Only Memory)27、RAM(Random Access Memory)28、CPU(Central Processing Unit)29、および、バス30を主要な構成要素としている。なお、図3に示す装置の各部には、二次電池1から電源電力が供給されている。
【0018】
ここで、固定抵抗20は、一端が基準電源Vrefに接続され、他端が可変抵抗21に直列接続されている。なお、基準電源Vrefは、例えば、ツェナーダイオード等によって構成したり、あるいは、I/F23にD/A(Digital to Analog)変換部を設けてそこから出力される電圧を利用するようにしたりしてもよい。可変抵抗21は、一端が固定抵抗20と直列接続され、他端が接地されている。また、可変抵抗21の両端はA/D変換部22の入力端子に接続されている。可変抵抗21の抵抗を調整するためのつまみは、図2に示す12として筐体の上面11に配設されている。したがって、つまみ12を操作することにより、可変抵抗21の抵抗値が変化し、固定抵抗20と可変抵抗21の分圧比が変化するため、A/D変換部22の入力端子に入力される電圧が変化する。
【0019】
A/D変換部22は、可変抵抗21に現れる電圧をデジタルデータに変換し、I/F23に供給する。I/F23は、A/D変換部22から供給されるデータを入力するとともに、電圧センサ24、電流センサ25、および、温度センサ23から供給される信号をデジタルデータに変換して入力する。
【0020】
電圧センサ24は、二次電池1の端子電圧を検出し、I/F23に供給する。電流センサ25は、二次電池1の充放電電流を検出し、I/F23に供給する。温度センサ26は、二次電池1の温度を検出し、I/F23に供給する。
【0021】
ROM27は、不揮発性の半導体メモリによって構成され、CPU29が実行するプログラムやデータを格納している。RAM28は、揮発性の半導体メモリによって構成され、CPU29がプログラムを実行する際にプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアとして機能する。CPU29は、中央制御装置であり、ROM27に格納されているプログラムおよびデータに基づいて各種演算処理を実行する。バス30は、I/F23、ROM27、RAM28、および、CPU29を相互に電気的に接続し、これらの間でデータの授受を可能にするための電気信号線群である。
【0022】
図4は、ROM27に格納されているテーブルの一例を示す図である。この図に示す例では、検出電圧の範囲と、二次電池1の型番と、二次電池1の容量の公称値とが関連づけされて格納されている。ここで、「検出電圧範囲」は、可変抵抗21に現れる電圧の範囲を示している。また、「二次電池型番」は、二次電池1の型番を示している。また、「公称値」は、二次電池1の公称の容量(Ah)を示している。CPU29は、A/D変換部22から供給される電圧のデータを取得し、ROM27に格納されている図4のテーブルを参照し、二次電池型番と公称値を取得する。具体的には、つまみ12が操作されて「80D23」が選択された場合には、可変抵抗21に現れる電圧は、1.6〜1.9Vの範囲になる。このため、CPU29は、A/D変換部22の出力がこの範囲に収まっている場合には、つまみ12によって「80D23」が選択されていると判定することができる。
【0023】
(B)実施形態の第1実施形態の動作の説明
つぎに、図5を参照して、第1実施形態の動作について説明する。図5は、図1に示す第1実施形態において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。この図のフローチャートの処理が開始されると、以下の処理が実行される。
【0024】
ステップS10において、CPU29は、装置が再起動されたか否かを判定し、再起動されたと判定した場合(ステップS10:Yes)にはステップS11に進み、それ以外の場合(ステップS10:No)には処理を終了する。具体的には、二次電池1が交換される場合、二次電池状態検出装置10が古い二次電池1から取り外されるので、電源の供給が一時的に遮断される。その後、新たな二次電池1が車両に取り付けられ、二次電池状態検出装置10がこの新たな二次電池1に接続されると、電源の供給が再開され、装置が再起動されるので、CPU29は、Yesと判定してステップS11に進む。
【0025】
ステップS11では、CPU29は、A/D変換部22の出力を読み取る。具体的には、A/D変換部22には可変抵抗21に現れる電圧が入力され、A/D変換部22は入力された電圧に対応するデータを出力するので、CPU29はA/D変換部22によってデジタルデータに変換された入力電圧を読み取る。
【0026】
ステップS12では、CPU29は、ROM27に格納されている図4に示すテーブルから、ステップS11で取得した電圧の範囲に該当する公称値を取得する。例えば、つまみ12が操作されて「80D23」が選択された場合には、可変抵抗21に現れる電圧は、1.6〜1.9Vの範囲になるので、CPU29は公称値として54Ahを取得する。
【0027】
ステップS13では、CPU29は、再起動されてから所定時間(例えば、5分)が経過したか否かを判定し、所定時間が経過したと判定した場合(ステップS13:Yes)にはステップS14に進み、それ以外の場合(ステップS13:No)にはステップS11に戻って所定時間が経過するまで同様の処理を繰り返す。なお、ステップS11〜S13の処理を所定時間繰り返すのは、つまみ12が設定されるのは、新たな二次電池1が二次電池状態検出装置10に接続される前の場合と、接続された後の場合の2通りであり、後者に対応するためである。すなわち、新たな二次電池1が接続されて再起動された後に、つまみ12が操作されて二次電池1の型番が選択された場合、起動時(新たな二次電池1が接続されたとき)には、新たな二次電池1に対応する設定がされていないことから、起動時にステップS11で読み取った値は正しい値ではない。そこで、一定期間継続してA/D変換部22からの出力を読み取ることで、起動後に設定された値を取得することができる。
【0028】
ステップS14では、CPU29は、ステップS12において取得した公称値をRAM28に格納する。例えば、いまの例では、つまみ12が操作されて「82D23」が選択されているので、54Ahが取得される。
【0029】
ステップS15では、CPU29は、公称値を初期値として二次電池1の状態を検出する処理を実行する。具体的には、例えば、以下の状態検出を実行する。
【0030】
(1)SOC
(2)分極
(3)成層化
(4)液温
【0031】
まず、(1)SOCは充電率であり、以下の式に基づいてΔSOCを求め、このΔSOCを積算することで充電率SOCを得ることができる。
ΔSOC=ΔQ/基準容量 ・・・(1)
ここで、ΔSOCは、単位時間毎の充電率変化量であり、ΔQは単位時間毎充放電電気量変化量である。また、基準容量は、二次電池1の満充電時における容量であり、ステップS14でRAM28に格納した公称値を初期値とし、この初期値に基づいて基準容量を求める。
【0032】
つぎに、(2)分極は、電極反応の進行に伴って電極表面における反応物の濃度が変化することにより生じる。この分極が生じると、二次電池1の安定時の開放端電圧である安定OCV(Open Circuit Voltage)を求める際に、電圧が安定OCVからずれてしまう。このため、そのようなずれを防ぐために分極補正係数を用いて安定OCVからのずれを補正する。ところで、分極補正係数は、電圧変化率と電圧補正値との相関式に電圧変化率を代入して計算することができるが、この相関式には充電率SOCを変数として含んでいる。充電率SOCを算出するためには、前述したように公称値を初期値とし、この初期値に基づいて基準容量を求める。
【0033】
つぎに、(3)成層化は、充放電が行われると、比重の重い硫酸が下に沈殿する一方水が上方に溜まって成層化が形成される。このような成層化が形成されると、硫酸濃度の高い下層部の影響でOCVが高めに検出されてしまう。成層化は、充放電の履歴によって変化するため、単位時間ΔTにおける充電率の変化量ΔSOCを求め、このΔSOCに基づいて求める。このため、前述した(1)の場合と同様に、ステップS14でRAM28に格納した公称値を初期値とし、この初期値に基づいて基準容量を求める。
【0034】
つぎに、(4)液温は、二次電池1の電解液の温度である。前述した(1)〜(3)の値は液温によって変動することから、その影響を排除するために液温による補正が必要になる。ところで、液温は、二次電池1の熱容量と周囲温度から推定するため、二次電池1のサイズによって熱容量が変化すると、推定する係数が異なってしまう。そこで、公称値から熱容量を求め、この熱容量に基づいて液温を推定する。
【0035】
このように、公称値である容量を初期値として使用することにより、前述した(1)〜(3)の値を正確に検出(計算)することができるとともに、値が収束するまでの計算量を減らすことができる。
【0036】
以上に説明したように、本発明の第1実施形態によれば、つまみ12を操作することで、二次電池1の公称値が設定できるようにしたので、公称値に基づいて二次電池1の状態を正確に検出することができる。
【0037】
また、第1実施形態では、再起動されてから一定時間が経過するまでA/D変換部22からの読み取りを繰り返すようにしたので、二次電池1に二次電池状態検出装置10が接続された後につまみ12が操作された場合であっても設定値を確実に読み取ることができる。
【0038】
(C)実施形態の第2実施形態の説明
つぎに、第2実施形態について説明する。図6は本発明の第2実施形態に係る二次電池状態検出装置10の斜視図であり、図7は二次電池状態検出装置10の電気的な構成例を示すブロック図である。図6に示すように、第2実施形態では、筐体の上面11にはスイッチボックス50が配置され、スイッチボックス50にはスイッチを操作するための7つの操作部60が設けられている。操作部60は、図7に示すスイッチ51〜57をそれぞれオンまたはオフの状態にする際に操作される。スイッチ51〜57は、固定抵抗41〜47のそれぞれの両端に接続されており、これらのスイッチがオンの状態にされると並列接続されている固定抵抗が短絡状態にされる。固定抵抗41〜47は固定抵抗40と直列接続され、固定抵抗41と固定抵抗47の両端はA/D変換部22の入力端に接続されている。固定抵抗47の一端は接地され、固定抵抗40の一端は基準電源Vrefに接続されている。
【0039】
第2実施形態では、スイッチ51〜57のオンまたはオフの状態を二次電池1の型番に応じて設定する。一例として、選択する型番のみをオフの状態とし、他を全てオンの状態とすることで型番を入力することができる。例えば、スイッチ51が115D31に対応する場合、115D31を選択する場合にはスイッチ51のみをオフとし、他のスイッチ52〜57を全てオンの状態にする。この結果、固定抵抗40と固定抵抗41の直列接続状態となり、A/D変換部22には固定抵抗41に現れる電圧が入力されるので、この電圧が図4に示す2.4〜2.7Vの範囲になるように固定抵抗40と固定抵抗41の抵抗値を設定すればよい。なお、スイッチの操作によってA/D変換部22に入力される電圧が一意に決まればよいので、前述した以外の方法でスイッチ51〜57を設定するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0040】
なお、第2実施形態において実行される処理は、第1実施形態の場合と同様であるので、その説明は省略する。
【0041】
(D)実施形態の第3実施形態の説明
つぎに、第3実施形態について説明する。図8は第3実施形態の電気的な構成例を示すブロック図である。第3実施形態では、7つのスイッチ71〜77の一端が相互に接続されてI/F23から電源が供給され、他端のそれぞれがI/F23の入力ポートに接続されている。図8の例では、スイッチ71〜77のそれぞれがI/F23の入力ポートにビット情報として入力される。具体的には、例えば、スイッチ71がLSB(Least Significant Bit)とされ、スイッチ77がMSB(Most Significant Bit)とされ、これら7つのスイッチ71〜77のオンまたはオフの組み合わせにより、0〜127の数値が表現される。
【0042】
図9はスイッチ71〜77のオン/オフによって表現される値と、公称値との関係を示すテーブルの一例である。例えば、スイッチ71〜77の全てがオフの状態とされた場合には「0」を示し、その場合には図9に示すように国内Aメーカの115D31の公称値72Ahの二次電池であることを示す。また、スイッチ71のみがオンにされ、それ以外がオフの状態とされた場合には、図9に示すように国内Aメーカの90D26の公称値58hAの二次電池であることを示す。また、スイッチ71〜77によって125が設定された場合には、図9の右側に示すように、国外Bメーカの型番が「xxxx」で、公称値が「aa」の二次電池であることを示す。
【0043】
図9に示すテーブルは、ROM27に格納されており、CPU29は、I/F23を介してスイッチ71〜77の状態を読み込み、読み込んだ値とROM27に格納されているテーブルを比較することで、公称値を得ることができる。
【0044】
なお、第3実施形態において実行される処理は、第1実施形態の場合と同様であるので、その説明は省略する。
【0045】
(E)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の各実施形態では、二次電池状態検出装置10はマイナス端子の近くに設けるようにしたが、これ以外の場所(例えば、プラス端子の近く)に設けることも可能である。
【0046】
また、以上の各実施形態では、つまみ12および操作部60は、二次電池状態検出装置10の上面11に設けるようにしたが、側面に設けるようにしてもよい。そのような構成によれば、ユーザが誤操作によって設定を変更してしまうことを防止できる。
【0047】
また、以上の各実施形態では、7種類の型番の二次電池の中から選択できるようにしたが、これ以外の数の種類から選択できるようにしてもよい。例えば、一般的には1つ上のサイズまたは下のサイズに変更される場合が多いので、現行サイズ、1つ上のサイズ、1つ下のサイズの3つの中から選択できるようにしてもよい。そのような構成によれば、構成を簡略化して製造コストを引き下げるとともに、操作性を向上させることができる。
【0048】
また、以上の各実施形態では、図5のステップS11〜S13に示すように、再起動されてから所定時間、A/D変換部22の出力を繰り返し読み出すようにしたが、例えば、所定時間が経過するまではA/D変換部22の値を読み出さずに待機し、所定時間の経過後にA/D変換部22の出力を読み出して公称値をテーブルから取得するようにしてもよい。あるいは、再起動時にA/D変換部22の出力を読み出して公称値をRAM28に格納し、その後は一定の周期(例えば、1分周期)で、A/D変換部22の出力を読み出し、値が変化した場合にはRAM28に格納されている公称値を上書きするようにしてもよい。あるいは、I/F23にリセットスイッチを接続し、つまみ12または操作部60が操作されて二次電池1の型番が設定された後に、このリセットスイッチが操作された場合に、A/D変換部22の出力を読み出して公称値をRAM28に格納するようにしてもよい。そのような方法によれば、ユーザの意志に基づくタイミングで、二次電池1の種類を選択することができる。また、図5における所定時間をユーザに明確に示すために、例えば、所定時間が経過するまで、LED(Light Emitting Diode)等のインジケータを明滅させたり、あるいは音声によるガイダンス(二次電池の種類を設定して下さい)等を出力させたりするようにしてもよい。そのような方法によれば、所定時間をユーザに明確に示すとともに、設定の変更が必要であることを伝えることができる。
【0049】
また、以上の各実施形態では、テーブルに格納されている値としては、容量の公称値だけとしたが、例えば、内部抵抗の初期値および熱容量値等を併せて格納するようにしてもよい。そのような構成によれば、初期パラメータを増やすことにより、二次電池1の状態検出をより正確に行うことができる。
【0050】
また、第1実施形態では、固定抵抗20と可変抵抗21を直列接続し、第2実施形態では固定抵抗40と固定抵抗41〜47を直列接続するようにしたが、これらを並列接続して電圧を検出するようにしたり、あるいは、電圧ではなく電流を検出するようにしたりしてもよい。要は、つまみ12または操作部60の操作によって、A/D変換部22から異なるデータが出力されるように構成すればよい。
【0051】
また、以上の各実施形態では、二次電池1の型番を入力するようにしたが、例えば、二次電池1の公称値を直接入力するようにしてもよい。例えば、第1実施形態の場合には型番の代わりに「72Ah」、「58Ah」等の数値を選択するようにしたり、あるいは、2つのつまみを設けて十の位と一の位を個別に入力したりするようにしてもよい。また、第2実施形態の場合には、型番の代わりに容量を表す数値を選択するようにすればよい。また、第3実施形態の場合には、数値をビット情報として入力するようにすればよい。例えば、72Ahの場合は「1001000」を入力するようにすればよい。
【符号の説明】
【0052】
1 二次電池
2 上面
3 マイナス端子
4 プラス端子
10 二次電池状態検出装置
11 上面
12 つまみ
13a 黒点
13b 引き出し線
13c 型番
20 固定抵抗
21 可変抵抗(設定手段)
22 A/D変換部(取得手段)
23 I/F
24 電圧センサ
25 電流センサ
26 温度センサ
27 ROM
28 RAM
29 CPU(検出手段)
30 バス
40〜47 固定抵抗
50 スイッチボックス
51〜57 スイッチ(設定手段)
60 操作部
71〜77 スイッチ(設定手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された二次電池の状態を検出する二次電池状態検出装置において、
前記二次電池が交換された際に、新たな二次電池に関する情報が設定される設定手段と、
前記設定手段に設定された前記情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記情報に基づいて、前記新たな二次電池の状態を検出する検出手段と、
を有することを特徴とする二次電池状態検出装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記新たな二次電池が電気的に接続され、当該新たな二次電池から電源の供給を受けたときに、前記設定手段に設定された前記情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の二次電池状態検出装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記新たな二次電池が接続された後に、前記設定手段に設定された情報を再度取得することを特徴とする請求項2に記載の二次電池状態検出装置。
【請求項4】
前記情報は、前記新たな二次電池の公称容量を特定するための情報であり、
前記検出手段は、前記情報によって特定された前記公称容量に基づいて、前記新たな二次電池の状態を検出する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二次電池状態検出装置。
【請求項5】
前記設定手段には前記新たな二次電池の型番を示す情報が設定され、
前記検出手段は、前記型番を示す情報に基づいて前記新たな二次電池の公称容量を特定し、特定した前記公称容量に基づいて前記新たな二次電池の状態を検出する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二次電池状態検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−57522(P2013−57522A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194620(P2011−194620)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】