説明

二軸配向ポリエステルフィルム

【課題】フィルム幅方向のいずれの位置を用いても、はんだリフロー処理といった高温熱処理でのカール発生が抑制され、FPC回路基板や電子機器用途として好適に使用することができる二軸配向ポリエステルフィルムを提供すること。
【解決手段】二軸配向フィルムの幅方向100cmにおいて、両端部および中央部の250℃熱収縮の平均値をTD方向およびMD方向のいずれについても−1.0%以上1.0%以下とし、さらに熱収縮率のばらつきもTD方向およびMD方向のいずれについても0.5%以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温下での熱寸法安定性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。さらに詳しくは、高温下での熱寸法安定性の優れると共に、フィルム幅方向において熱収縮率のばらつきが小さい二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの電子機器の技術進歩に伴って、フレキシブルプリント回路(以下、FPCと略記することがある)基板の需要が急激に伸びている。従来、本用途では銅箔張り合わせのポリイミドフィルムや薄膜化ポリイミドが使用されてきた。しかしながら、ポリイミドは、その素材の性質上、フィルム化や薄膜化が困難であり、素材自体も高価なため、非常に高価なものである。また、ポリイミドは比較的吸水しやすくFPCなどの電子材料には好ましくない特性も有している。一方、耐熱性に優れてはいるが、本用途においては過剰品質である点も否めない。
FPC基板用フィルムとしては、ポリイミド以外の素材も検討されている。例えば特許文献1には、ポリエチレンナフタレートフィルムを用いたFPC基板用フィルムが提案されている。しかしこのフィルムは、250℃といった高温下での寸法安定性が不十分なものであり、はんだリフロー処理を行うとカールが発生するという問題がある。
【0003】
一方、特許文献2〜3には、250℃以上といった高温下での寸法安定性に優れたポリエチレンナフタレートフィルムが開示されている。しかしながら、これらの文献にはいずれも、幅1m以上の広幅フィルムに関する記載は一切認められない。本発明者らの検討によれば、これらの文献に具体的に記載されている製膜方法では、フィルム長さ方向の250℃熱収縮率はばらつきを比較的小さくできるものの、フィルム幅方向250℃熱収縮率はフィルム幅方向でのばらつきが大きいため、例えば幅1mの全幅ではんだリフロー処理時のカール問題を抑制することは困難であることが判明した。さらに、特許文献3の方法では、金枠で固定して熱処理する方法が採用されているため、生産性が低いという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−129699号公報
【特許文献2】特公昭48−40917号公報
【特許文献3】特開2006−316217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記を鑑みなされたもので、その目的は、フィルム幅方向のいずれの位置を用いても、250℃といった高温下での熱処理時のカール問題が抑制され、FPC回路基板や電子機器用途などとして好適に使用することができる二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、高温下での熱固定処理、続いて施される弛緩熱処理の条件を選択すると共に、さらに処理条件が選択されたオフアニール処理を組合せることによって、250℃といった高温下での低熱収縮率とフィルム幅方向の位置による熱収縮率のばらつき低減とを両立できること、そしてかかる二軸配向ポリエステルフィルムは、幅方向のいずれの位置を用いても高温熱処理時のカール問題が解消されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明の前記課題は、「フィルム幅方向100cmにおいて、両端部および中央部の250℃熱収縮の平均値がTD方向およびMD方向のいずれも−1.0%以上1.0%以下であり、さらに熱収縮率のばらつきがTD方向およびMD方向のいずれも0.5%以下である二軸配向ポリエステルフィルム」により達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム幅方向のいずれの位置を用いても、はんだリフロー処理といった高温熱処理でのカール発生が抑制されているので、FPC回路基板や電子機器用途として好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳しく説明する。なお、フィルム連続製膜方向を縦方向、長手方向またはMD方向と呼称する場合がある。また、フィルム連続製膜方向と直交する方向を横方向、幅方向またはTD方向と呼称する場合がある。
【0010】
[ポリエステル]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに用いられるポリエステルは、ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとを主たる構成成分とするポリエチレンナフタレートであり、中でもポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
【0011】
本発明におけるポリエステルは、ホモポリマーであることが好ましいが、他の成分が全酸成分を基準として10モル%以下、特に5モル%以下含有する、共重合体または2種以上のポリエステルの混合体であってもかまわない。好ましく用いられる他成分としては、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分が挙げられる。
【0012】
ポリエステルの固有粘度は、ο−クロロフェノール中、35℃において、0.40dl/g以上であることが好ましく、0.40dl/g以上0.80dl/g以下であることがさらに好ましい。固有粘度が0.40dl/g未満ではフィルム製膜時に切断が多発したり、成形加工後の製品の強度が不足することがある。一方固有粘度が0.80dl/gを超える場合はポリエステル製造時の生産性が低下する。
【0013】
上記のポリエステルには、本発明の目的を損なわない範囲で、各種添加剤、例えば滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、熱安定剤を混合して含有させてもてもよい。例えば滑剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、酸化チタンなどの無機粒子、シリコーンや熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂からなる有機粒子といった不活性粒子を単独あるいは2種以上を含有させることができる。これらの添加剤を含む場合、その含有量はフィルムの重量を基準として5重量%以下であることが好ましく、さらに3重量%以下、特に1重量%以下であることが好ましい。
【0014】
[熱収縮率]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、後述する方法で測定した、フィルム中央部および両端部における250℃熱収縮率の平均値がフィルムMD方向およびTD方向の両方向において−1.0%以上1.0%以下であることが必要である。かかる熱収縮率の下限値は、好ましくは−0.3%、さらに好ましくは−0.2%であり、熱収縮率の上限値は好ましくは0.5%、さらに好ましくは0.3%である。MD方向およびTD方向のいずれか一方でも熱収縮率が下限値に満たない場合、あるいは上限値を超える場合には、例えばFPC基板として用いる際に、はんだリフロー工程でカールが発生したり、二軸延伸ポリエステルフィルムに他の層を積層した接着界面に剥がれや膨れが発生したりする。また、他の用途においても同様に、高温加熱工程での熱によるしわ発生や、他の層の剥がれや膨れなどの問題が生じることとなる。
【0015】
[熱収縮率のばらつき]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、上記の要件に加えて、後述する方法で測定したフィルム中央部および両端部における250℃熱収縮率のばらつきが、MD方向およびTD方向の両方向において0.5%以下であることが肝要であり、好ましくは0.4%以下、特に好ましくは0.2%以下である。かかる熱収縮率のばらつきが0.5%を超える場合には、FPC基板などの高温加熱処理が施される用途に用いられる際に、1m以上の広幅フィルムの中央部ではカールや、他の層との接着界面での剥がれや膨れが発生しなくとも、フィルム両端部で上記の問題が発生することとなる。
【0016】
かかる低熱収縮率で、かつ幅方向の熱収縮率のばらつきも小さいフィルムは、詳細には後述するが、高温で熱固定した後に幅方向に制限収縮熱処理(*%の弛緩熱処理と称することがある)し、次いで幅方向は無緊張下で長さ方向に制限収縮熱処理して一旦フィルムロールとして巻取り、次いでロールtoロールで幅方向は無緊張下で長さ方向に制限収縮熱処理(アニール処理)し、その際これらの処理条件(処理温度、収縮率)を適宜調整することにより製膜することができる。
【0017】
[フィルム厚み]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚みは特に限定されるものではないが、12μm以上250μm以下が適当である。
【0018】
[カール]
本発明のフィルムにおいては、後述の方法によって求められるカールは10mm以下、特に5mm以下であることが好ましい。このカール値が10mm以下であると、反りの少ない品質に優れたFPC基板を得ることができる。
【0019】
[その他の層]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、必要に応じて少なくとも片面に他の層、例えば塗布層を積層してもよい。塗布剤のバインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の各種樹脂を用いることができる。たとえば、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィンや、これらの共重合体またはブレンド物が挙げられる。なかでもポリエステル、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリウレタンが好ましい。さらに架橋剤を加えて架橋したものであってもよい。また、所望に応じて、帯電防止剤、着色剤、界面活性剤、軟質重合体、フィラー、熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、レベリング剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、乳剤、充填剤、硬化剤、難燃剤などを適宜配合してもよい。
【0020】
[製膜方法]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得る方法としては、例えば以下の方法をあげることができる。すなわち、前述のポリエステルを、所望に応じて乾燥後、押出機に供給してTダイよりシート状に押し出す。
Tダイより押し出されたシート状成形物を表面温度10〜60℃の冷却ドラムで冷却固化し、この未延伸フィルムを例えばロール加熱または赤外線加熱によって加熱した後、縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。かかる縦延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。縦延伸温度はポリエステルのガラス転移点(Tg)より高い温度、さらにはTgより20〜40℃高い温度とするのが好ましい。縦延伸倍率は2.0倍以上3.5倍以下の範囲で行うことが好ましく、さらに好ましくは2.5倍以上3.3倍以下の範囲、特に好ましくは2.8倍以上3.2倍以下の範囲である。縦延伸倍率が下限に満たない場合、強度が十分でないことがある他、フィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られないことがある。一方縦延伸倍率が上限を超える場合には、本発明の熱収縮率特性が得られないことがある。
【0021】
得られた縦延伸フィルムは、続いて横延伸(連続製膜方向に垂直な方向への延伸)を行う。横延伸処理は、ポリエステルのTgより20℃以上高い温度から始め、ポリエステルの融点(Tm)より(120〜30)℃低い温度まで昇温しながら行う。この横延伸開始温度は、(Tg+40)℃以下であることが好ましい。また横延伸最高温度は、Tmより(100〜40)℃低い温度であることが好ましい。
横延伸過程の昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが、通常は段階的に昇温する。例えば、ステンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、各ゾーンごとに所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。
【0022】
横延伸倍率は2.8倍以上4.0倍以下の範囲で行うことが好ましく、さらに好ましくは3.0倍以上3.5倍以下の範囲、特に好ましくは3.0倍以上3.3倍以下の範囲である。横延伸倍率が下限値に満たない場合、強度が十分でないことがある他、フィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られないことがある。また横延伸倍率が上限値を超える場合、本発明の熱収縮率特性が得られないことがあり、またフィルムが破断するなどの問題が発生しやすくなる。
二軸延伸されたフィルムは、高温下での熱固定処理に続いて、横方向の弛緩熱処理および横方向無緊張下での縦方向の弛緩熱処理を施して一旦ロールとして巻取り、さらにオフアニール処理を施すことが大切である。
【0023】
熱固定処理温度は(Tm−50℃)以上、好ましくは(Tm−30)℃〜(Tm−10)℃の範囲、特に好ましくは240℃〜255℃の範囲で行う。熱固定処理後、(Tm−50℃)以上〜(Tm−10)℃の温度条件、特に230℃〜255℃の温度条件で幅方向に1〜5%、好ましくは1〜3%の弛緩熱処理を行い、さらに(Tg+50)℃〜(Tg+110)℃、好ましくは(Tg+70)℃〜(Tg+90)℃の温度条件で、横方向は無緊張として(クリップをはずして)縦方向に0.1〜1%、好ましくは0.1〜0.5%の弛緩熱処理を行った後、冷却して一旦ロールとして巻き取る。巻き取られた二軸延伸フィルムは、オフライン工程にて150〜250℃、好ましくは200〜240℃の温度で0.1〜2%、好ましくは0.5〜1.5%の弛緩熱処理(オフアニール処理)を20秒以上施した後、80〜110℃の雰囲気下で除冷する。このオフアニール処理では、上記温度範囲内で温度を高くするか処理時間を長くすることにより、またIRヒーターやセラミックヒーターを用いることにより、本発明の目的とする熱収縮率特性を容易に達成することができる。
【0024】
なお、オフアニール処理時間は長くすることが好ましいので、熱処理装置の大きさとの関係でフィルムの処理速度は製膜速度と比較して遅い方が好ましく、通常は2m/分以上10m/分以下が適当であり、特に3m/分以上8m/分以下が好ましい。なお、オフアニール処理時間の上限は特に制限する必要はないが、長時間すぎるとフィルム物性が低下する可能性があるため、高々1時間であることが好ましい。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下に示した実施例に制限されるものではない。なお、実施例中の物性や特性は、下記の方法にて測定または評価した。
【0026】
1.熱収縮率
100cm×100cmのフィルムサンプルに10cm間隔で標点をつけ、荷重をかけずに250℃のオーブンで5分間熱処理し、熱処理後の標点間隔を測定して、フィルム連続製膜方向(MD)と製膜方向に垂直な方向(TD)の熱収縮率を求めた。
具体的には、100cm×100cmのフィルムサンプルから、MD方向の真ん中に沿って前後10cmの間(したがって長さ20cm)から、TD方向の両端(A、C)および中央(B)の3ヶ所に幅20cm×長さ20cmの領域を選択する。そして、各領域の中心を通るTD方向およびMD方向の熱収縮率を下記式より算出した(熱処理前標点間距離は10cmとする)。
それぞれの方向について、A、B、Cにおける熱収縮率の平均より平均値を求め、またA、B、Cにおける熱収縮率の最大と最小の差から熱収縮率のばらつきを求めた。
熱収縮率(%)
={(熱処理前標点間距離−熱処理後標点間距離)/熱処理前標点間距離}×100
【0027】
2.はんだリフロー耐熱性
ポリエステルフィルムを用いて作成した銅張積層板を、ピーク温度250℃で10秒間のはんだリフロー炉(株式会社タムラ製作所製TNX25−537EM)での熱処理を行い、処理後の4隅の反り量(mm)の最大値を測定した。なお銅張積層板は、ポリエステルフィルムにアクリル系接着剤を塗布し、銅箔(三井金属鉱山株式会社製 プリント配線板用電解銅箔3EC−THE35μm)を貼合せ、150℃に加熱して接着剤を硬化させることにより作成した。
(基材の反り(カール))
試料寸法を15cm×15cmとし、リフロー処理後のフレキシブルプリント回路基板積層体サンプルを相対湿度55%、23℃の雰囲気下で24時間放置した後、フィルムのカールが下に凸となるように水平な盤上に置いた状態で、盤上からの4隅のカール高さ(mm)を測定し、最も大きい値を基材の反り(カール)とした。
【0028】
[実施例1]
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度0.6dl/g(o−クロロフェノール中、35℃)、平均粒径0.3μmの球状シリカ粒子含有量0.1重量%)を290℃に加熱された押出機に供給し、290℃のダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度60℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを140℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向)に3.0倍で延伸し、60℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き150℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に3.1倍で延伸した。その後テンタ−内で250℃の熱固定を行い、250℃で横方向(TD方向)に2%の弛緩後、フィルム両端のクリップを外して200℃で長さ方向(MD方向)に0.5%の弛緩を入れた後、均一に除冷して室温まで冷やし、幅120cm、厚さ125μmの二軸配向ポリエステルフィルムを巻き取った。得られたロールを、さらにライン速度6m/分でIRヒーターを用いて、230℃で長さ方向に1.5%の弛緩をさせながら1分間のアニール処理を行った後、100℃の温度雰囲気下で除冷した。得られたフィルムを用いて銅張積層板を作成し、はんだリフローテストを行ったところ、表1に示すとおり基材の反り(カール)は小さく、ばらつきも小さかった。
【0029】
[実施例2]
アニール処理を、IRヒーターを用いて230℃で1%の弛緩をさせながら行った以外は実施例1と同様の方法にてフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0030】
[実施例3]
アニール処理を、IRヒーターを用いて230℃で0.9%の弛緩をさせながら行った以外は実施例1と同様の方法にてフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0031】
[実施例4]
アニール処理を、IRヒーターを用いて230℃で0.6%の弛緩をさせながら行った以外は実施例1と同様の方法にてフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0032】
[比較例1]
テンタ−内でフィルム両端のクリップを外して200℃で長さ方向(MD方向)に0.5%の弛緩を入れる処理を行わず、かつアニール処理を、230℃で長さ方向に1.5%の弛緩をさせながら行った以外は実施例1と同様の方法にてフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0033】
[比較例2]
アニール処理を、220℃で1.3%の弛緩をさせながら行った以外は比較例1と同様の方法にてフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0034】
[比較例3]
弛緩させながらのアニール処理を行わなかった以外は実施例1と同様の方法にてフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0035】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム幅方向のいずれの位置を用いても、例えばはんだリフロー処理といった高温熱処理でのカール発生が抑制されているので、FPC回路基板や電子機器用途として好適に使用することができ、その工業的価値はきわめて大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム幅方向100cmにおいて、両端部および中央部の250℃熱収縮の平均値がTD方向およびMD方向のいずれも−1.0%以上1.0%以下であり、さらに熱収縮率のばらつきがTD方向およびMD方向のいずれも0.5%以下である二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項2】
ポリエステルがポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートである請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフィルムを用いてなるフレキシブルプリント回路基板。

【公開番号】特開2012−224674(P2012−224674A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91131(P2011−91131)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】