説明

仕分けシステム

【課題】
作業負担の増大を回避しながら作業者が仕分け位置間で仕分け個数を取り違えて仕分けたり完了ボタンを取り違えて押下する問題を抑制できる仕分けシステムの提供を課題とする。
【解決手段】
仕分けシステム1は、複数の仕分け位置のそれぞれに表示器6を備える。表示器6は、仕分け作業の対象の仕分け位置であることを指示するための指示ランプと、仕分け個数を表示するための個数表示窓と、仕分け位置を選択するための選択ボタンと、仕分け作業の完了を通知するための完了ボタンとを具備する。表示器コントローラ5は、仕分け作業の開始時に仕分け作業の対象となるすべての仕分け位置の指示ランプを作動させる。そして、表示器コントローラ5は、選択ボタンで選択された仕分け位置の個数表示窓にのみ仕分け個数を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は倉庫や配送センター等の物流現場で行われる物品の仕分けの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多種多様な工業製品や加工食品等の物品が製造や生産されてから消費者の手に渡るまでの物流過程において品目の異なる複数の物品を出荷先毎に集品する仕分け作業が行われる。従来、仕分け作業の1つとして周知のピッキング作業は、複数の物品を品目毎に保管した棚から作業者が仕分け情報に従って集品すべき物品を集品すべき個数づつ取り出して出荷先毎の集品コンテナに投入していくものである。また、同じく仕分け作業の1つとして周知のソーティング作業は、出荷先毎に棚に設置した集品コンテナに作業者が仕分け情報に従って集品すべき物品を集品すべき個数づつ投入していくものである。
【0003】
そして、例えば特許文献1や特許文献2に開示されるように、仕分け作業を短時間で正確にかつ容易に行えるように支援するコンピュータを用いた仕分けシステムが知られており、このような仕分けシステムでは、作業者にピッキング対象の物品あるいはソーティング対象の集品コンテナがどれであるかを知らせるための指示ランプや、ピッキング個数あるいはソーティング個数を知らせるための個数表示窓、及び物品の取出し完了時あるいは集品コンテナへの投入完了時に作業者が操作して仕分け作業の完了を通知するための完了ボタン等が備えられる。
【0004】
より具体的には、前記のような仕分けシステムの仕分け作業はおよそ次のように行われる。複数の仕分け位置(ピッキング作業の場合の品目毎の物品の保管位置、ソーティング作業の場合の出荷先毎の集品コンテナの設置位置をいう)のそれぞれに、今回の仕分け作業の対象となる仕分け位置であることを指示するための前記指示ランプと、前記指示ランプで仕分け作業の対象となる仕分け位置であることが指示されたときにその仕分け個数を表示するための前記個数表示窓と、同じく前記指示ランプで仕分け作業の対象となる仕分け位置であることが指示されたときにその仕分け作業の完了を通知するための前記完了ボタンとが設けられている。そして、仕分け作業の開始時には、仕分け作業の対象となるすべての仕分け位置に設けられている前記指示ランプが一斉に点灯されると共に前記個数表示窓に仕分け個数が一斉に表示される。作業者は、前記指示ランプが点灯している仕分け位置の物品を前記個数表示窓に表示されている仕分け個数づつピッキングし、又は前記指示ランプが点灯している仕分け位置に物品を前記個数表示窓に表示されている仕分け個数づつソーティングしたのち、前記完了ボタンを押下する。
【0005】
その場合に、仕分け作業の対象となる仕分け位置がはじめから1つしかないときは問題がないが、通常は仕分け作業の対象となる仕分け位置が複数あり、したがって複数の仕分け位置で指示ランプが一斉に点灯され、また複数の仕分け位置で個数表示窓に仕分け個数が一斉に表示されるから、例えば作業者が隣接している仕分け位置間で仕分け個数を取り違えて仕分けたり、あるいは完了ボタンを取り違えて押下する問題が生じる。
【0006】
この問題に対処する技術として、前記特許文献1や特許文献2に開示の仕分けシステムでは、仕分け作業の対象となるすべての仕分け位置に設けられている指示ランプは一斉に点灯するが、個数表示窓には仕分け個数を一斉に表示せず、作業者が選択ボタンで選択した仕分け位置の仕分け個数だけを個数表示窓に表示することが開示されている。そして、これにより、仕分け作業中は常に1つの仕分け位置の仕分け個数しか表示されないから、たとえ仕分け作業の対象となる仕分け位置が複数あっても、作業者が仕分け位置間で仕分け個数や完了ボタンを取り違えることがなくなると共に、作業者が自己の意思で仕分け位置を選択するから、動作の無駄がなくなって仕分け作業を合理的に行うことができるとしている。
【0007】
【特許文献1】特公平6−20930号公報
【特許文献2】実公昭63−16647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記特許文献1に開示の仕分けシステムでは、前記のような指示ランプや個数表示窓あるいは完了ボタン等が、物品が保管され又は集品コンテナが設置された棚の側にではなく、作業者が走行操作する移動車の側に備えられているので、そもそも仕分け情報が仕分け位置のある棚の側に表示されず、したがって作業者は移動車の表示と棚の仕分け位置とを見比べて対応付けしなければならなくなって、作業負担が増大し、間違いが生じ易い、という不具合がある。
【0009】
この点、前記特許文献2に開示の仕分けシステムでは、前記のような指示ランプや個数表示窓あるいは完了ボタン等が、物品が保管され又は集品コンテナが設置された棚の側に備えられているので、前記特許文献1に開示の仕分けシステムのような不具合は免れる。しかし、その場合に、指示ランプと完了ボタンとは一体化されて複数の仕分け位置のそれぞれに設けられているが、そもそもピッキング個数又はソーティング個数を表示するための個数表示窓が複数の仕分け位置のそれぞれに設けられておらず、複数の仕分け位置に対して共用の1つしか設けられていないため、作業者は仕分け作業時にいちいち棚から目を離して個数表示窓を見なければならなくなって、やはり作業負担が増大し、間違いが生じ易い、という不具合がある。
【0010】
そこで、本発明は、作業負担の増大を回避しながら、作業者が仕分け位置間で仕分け個数を取り違えて仕分けたり、あるいは完了ボタンを取り違えて押下する問題を抑制することのできる仕分けシステムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本願の請求項1に記載の発明は、複数の仕分け位置のそれぞれに、仕分け作業の対象の仕分け位置であることを指示するための作業対象指示手段と、前記仕分け作業の仕分け個数を表示するための個数表示手段と、前記仕分け作業の完了を通知するための完了通知手段とが設けられている仕分けシステムであって、仕分け作業の開始時に、仕分け作業の対象となるすべての仕分け位置に設けられている前記作業対象指示手段を作動させる制御手段と、複数の仕分け位置のそれぞれに設けられて、前記制御手段で前記作業対象指示手段が作動された仕分け位置のうちの1つの仕分け位置を選択するための選択手段とを有し、前記制御手段は、前記選択手段で選択された仕分け位置に設けられている前記個数表示手段を作動させるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
次に、請求項2に記載の発明は、複数の仕分け位置のそれぞれに、仕分け作業の対象の仕分け位置であることを指示するための作業対象指示手段と、前記仕分け作業の仕分け個数を表示するための個数表示手段と、前記仕分け作業の完了を通知するための完了通知手段とが設けられている仕分けシステムであって、仕分け作業の開始時に、仕分け作業の対象となるすべての仕分け位置に設けられている前記作業対象指示手段又は前記個数表示手段の少なくとも一方を作動させる制御手段と、複数の仕分け位置のそれぞれに設けられて、前記制御手段で前記作業対象指示手段又は前記個数表示手段の少なくとも一方が作動された仕分け位置のうちの1つの仕分け位置を選択するための選択手段とを有し、前記制御手段は、前記選択手段で選択された仕分け位置に設けられている前記作業対象指示手段又は前記個数表示手段の少なくとも一方を他の仕分け位置における作動状態と異なる作動状態で作動させるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
次に、請求項3に記載の発明は、複数の仕分け位置のそれぞれに、仕分け作業の対象の仕分け位置であることを指示するための作業対象指示手段と、前記仕分け作業の仕分け個数を表示するための個数表示手段と、前記仕分け作業の完了を通知するための完了通知手段とが設けられている仕分けシステムであって、仕分け作業の開始時に、仕分け作業の対象となるすべての仕分け位置のうちの1つの仕分け位置に設けられている前記作業対象指示手段を作動させる制御手段と、複数の仕分け位置のそれぞれに設けられて、前記制御手段で前記作業対象指示手段が作動された仕分け位置を選択するための選択手段とを有し、前記制御手段は、前記選択手段で選択された仕分け位置に設けられている前記個数表示手段を作動させ、かつ、前記個数表示手段を作動した仕分け位置に設けられている前記完了通知手段で仕分け作業の完了が通知されたときに、仕分け作業の対象となる残りの仕分け位置のうちの1つの仕分け位置に設けられている前記作業対象指示手段を作動させるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
そして、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から3のいずれかに記載の仕分けシステムにおいて、前記選択手段は、前記完了通知手段を用いて構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
まず、請求項1から請求項4に記載の発明によれば、仕分けシステムは、作業対象指示手段、個数表示手段及び完了通知手段が、複数の仕分け位置のそれぞれに設けられた構成であるから、仕分け情報が各仕分け位置の近傍に表示されることとなり、その結果、例えば作業者が移動車の表示と棚の仕分け位置とを見比べて対応付けしなければならないという不具合や、作業者が仕分け作業時に個数表示窓を見るためにいちいち棚から目を離さねばならないという不具合が免れて、作業者の仕分け作業の負担が軽減され、間違いが低減する、という利点が得られる。
【0016】
そのうえで、請求項1に記載の発明によれば、作業者が選択した1つの仕分け位置に設けられている個数表示手段のみが仕分け個数を表示するようにしたから、仕分け作業中は、作業者が選択した仕分け作業中の1つの仕分け位置でしか仕分け個数が表示されず、作業者が選択した仕分け作業中の1つの仕分け位置と、作業者が選択していない仕分け作業前の他の仕分け位置とが視覚的に明瞭に区別できることとなり、また個数表示が1つしか行われないから、その結果、たとえ仕分け作業の対象となる仕分け位置が複数あっても、作業者が仕分け位置間で仕分け個数を取り違えて仕分けたり、あるいは完了ボタンを取り違えて押下する問題が回避できる。
【0017】
次に、請求項2に記載の発明によれば、作業者が選択した1つの仕分け位置に設けられている作業対象指示手段又は個数表示手段の少なくとも一方を他の仕分け位置における作動状態と異なる作動状態で作動するようにしたから、仕分け作業中は、作業者が選択した仕分け作業中の1つの仕分け位置と、作業者が選択していない仕分け作業前の他の仕分け位置とが視覚的に明瞭に区別できることとなり、その結果、たとえ仕分け作業の対象となる仕分け位置が複数あっても、作業者が仕分け位置間で仕分け個数を取り違えて仕分けたり、あるいは完了ボタンを取り違えて押下する問題が回避できる。
【0018】
次に、請求項3に記載の発明によれば、仕分けシステムが自動で選択した1つの仕分け位置を作業者が追って選択(追認)し、その仕分け位置に設けられている個数表示手段のみが仕分け個数を表示するようにしたから、仕分け作業中は、仕分けシステムが自動選択し作業者が追認した仕分け作業中の1つの仕分け位置でしか仕分け個数が表示されず、作業者が追認した仕分け作業中の1つの仕分け位置と、作業者が追認していない仕分け作業前の他の仕分け位置とが視覚的に明瞭に区別できることとなり、また個数表示が1つしか行われないから、その結果、たとえ仕分け作業の対象となる仕分け位置が複数あっても、作業者が仕分け位置間で仕分け個数を取り違えて仕分けたり、あるいは完了ボタンを取り違えて押下する問題が回避できる。
【0019】
そして、請求項4に記載の発明によれば、作業者が仕分け位置を選択や追認するための選択手段と、同じく作業者が仕分け作業の完了を通知するための完了通知手段とを兼用するようにしたから、仕分けシステムの部品点数ないしコストの増大が回避される。以下、本発明の最良の実施の形態を通して本発明をさらに詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本実施形態においては、本発明は、図1に示す仕分けシステムに適用されている。この仕分けシステム1は、ピッキング作業にもソーティング作業にも使用し得るものである。仕分け作業場のフロアには、複数の物品を品目毎に保管するための棚2(ピッキングの場合)又は複数の集品コンテナを出荷先毎に設置するための棚2(ソーティングの場合)が複数並んで設置されている。作業者aは、台車bを走行させながら、矢印cで示す進行方向に沿って棚2…2の間を通過していく。対面する2つの棚2,2が1つのゾーンZを構成し、作業者aは、図例では6つのゾーンZ…ZをS字状に蛇行していく。もちろん、作業者aは、ピッキング作業の対象でない棚2を飛ばしてもよい。
【0021】
図2に示すように、この仕分けシステム1の制御構成としては、最上位に仕分けコントローラとして機能する制御PC(パーソナルコンピュータ)3を有し、その下位に、操作卓4と表示器コントローラ5…5とが順にネットワークで接続されている。表示器コントローラ5は、ゾーンZ毎に備えられ(図1参照)、さらに下位の複数の表示器6…6を制御する。制御PC3は、品目毎の物品の在庫データや入出荷データ、あるいは顧客毎の注文データや納期データ等を登録し、それらの登録データに基いて出荷先毎の仕分け情報(どの出荷先にどの物品を何個集品するかの情報)を作成し、その仕分け情報を順次操作卓4に送信する。そして、操作卓4は、表示器コントローラ5からの要求に応じて、蓄積した仕分け情報のうち要求に合致する仕分け情報を表示器コントローラ5に送信する。
【0022】
図3に示すように、棚2には複数(図例では21個)の仕分け位置X…Xが設けられ、各仕分け位置Xに表示器6と物品保管容器7(ピッキングの場合)又は集品コンテナ7(ソーティングの場合)とが設置されている。作業者aは台車bに出荷先毎の集品コンテナd…d(ピッキングの場合)又は品目毎の物品収容容器d…d(ソーティングの場合)を積載しており、棚2の物品保管容器7から取り出した物品を台車bの集品コンテナd…dに投入していき(ピッキングの場合)又は台車bの物品収容容器d…dから取り出した物品を棚2の集品コンテナ7に投入していく(ソーティングの場合)。
【0023】
図4に示すように、表示器6は、表示器ケース61の前面に指示ランプ62と個数表示窓63と完了ボタン64と選択ボタン65とを具備している。ここで、指示ランプ62は、それが設けられている仕分け位置Xが今回の仕分け作業の対象となる仕分け位置Xであることを点灯や点滅等することによって作業者aに指示するものである。また、個数表示窓63は、前記指示ランプ62によって今回の仕分け作業の対象であることが指示された仕分け位置Xにおけるその仕分け個数を作業者aに表示するものである。さらに、完了ボタン64は、前記指示ランプ62によって今回の仕分け作業の対象であることが指示され、前記個数表示窓63によって仕分け個数が表示された仕分け位置Xの仕分け作業が完了したことを、例えば作業者aの押下操作により、上位の表示器コントローラ5等に通知するものである。そして、選択ボタン65は、後述するように、前記指示ランプ62や前記個数表示窓63が作動された1つ又は複数の仕分け位置Xのうちから作業者aが1つの仕分け位置Xを選択するときに例えば押下操作するものである。
【0024】
このように、この仕分けシステム1は、指示ランプ62、個数表示窓63及び完了ボタン64が、複数の仕分け位置X…Xのそれぞれに設けられた構成であるから、仕分け情報が各仕分け位置Xの近傍に表示されることとなり、その結果、例えば作業者aが台車bの表示と棚2の仕分け位置Xとを見比べて対応付けしなければならないという不具合や、作業者aが仕分け作業時に個数表示窓63を見るためにいちいち棚2から目を離さねばならないという不具合が免れて、作業者aの仕分け作業の負担が軽減され、間違いが低減する、という利点が得られる。
【0025】
仕分け作業に際しては、作業者aは、図1に示されているように、まず操作卓4を使って台車bを作業にエントリしたのち、各ゾーンZの入口に進む。ここで、他の作業者a及び台車bがゾーンZにいるうちは入口で待機する。作業者aは、ゾーンZの入口で、例えば台車bの識別コード等をバーコードやIDタグ等を用いて入力することにより、どの台車bがどのゾーンZの入口に到着したかを表示器コントローラ5に通知する。表示器コントローラ5は、台車bの到着の通知を受けて、その台車b用の仕分け情報の送信を操作卓4に要求する。あるいは表示器コントローラ5は、作業者aが操作卓4を使って作業にエントリした時点で、前もって操作卓4からその台車b用の仕分け情報を受信し蓄積しておいてもよい。いずれにしても、表示器コントローラ5は、操作卓4から送信されてきた仕分け情報に基いて前記表示器6…6及びゾーンランプ7の作動制御を行う。以下、図5に示すフローチャートに従ってさらに詳しく仕分け作業を説明する。なお、図5のフローチャートにおいてステップS1,S7,S12を破線で表したのは、その動作が当該仕分けシステム1が行う動作ではなく、作業者aが人的に行う動作であることを示している。
【0026】
まず、ステップS1で、作業者aは、制御PC3に、ピッキング指示データ又はソーティング指示データ(仕分け情報のこと:以下同じ)を入力する。次いで、ステップS2で、制御PC3は、操作卓4に、前記指示データを送信する。次いで、ステップS3で、操作卓4は、表示器コントローラ5に、前記指示データを送信する。
【0027】
次いで、ステップS4で、仕分けシステム1は、隣接する表示器6…6に指示が有るか無いかを判定する。その結果、有る場合は、ステップS5で、表示器コントローラ5は、指示があるすべての表示器6…6にランプ点滅コマンドを一斉に送信する。次いで、ステップS6で、前記ランプ点滅コマンドを受信した表示器6…6は指示ランプ62…62を点滅する。
【0028】
次いで、ステップS7で、作業者aは、指示ランプ62が点滅している表示器6…6のうちの任意の1つの表示器6の選択ボタン65を押す。次いで、ステップS8で、前記選択ボタン65が押された表示器6は、そのことを表示器コントローラ5に送信する。次いで、ステップS9で、表示器コントローラ5は、前記選択ボタン65が押された表示器6にのみ指示数(仕分け個数のこと:以下同じ)を送信する。
【0029】
一方、前記ステップS4で隣接する表示器6…6に指示が無い場合は、ステップS10で、表示器コントローラ5は、指示があるすべての表示器6…6に指示数を一斉に送信する。
【0030】
そして、いずれの場合も、ステップS11で、前記指示数を受信した1つ又は複数の表示器6又は6…6は、その指示数を個数表示窓63に表示する。
【0031】
次いで、ステップS12で、作業者aは、前記表示器6の指示数を見てピッキング又はソーティングを行い、完了ボタン64を押す。次いで、ステップS13で、前記完了ボタン64が押された表示器6は、表示を消灯し(指示ランプ62及び個数表示窓63共)、表示器コントローラ5に、完了実績を送信する。
【0032】
次いで、ステップS14で、仕分けシステム1は、個数表示窓63に指示数が表示されている表示器6の有無を判定し(この判定はステップS4からステップS10を経由した場合に意味をなす)、有る場合は、前記ステップS12に戻り、無い場合には、ステップS15で、仕分けシステム1は、指示ランプ62が点滅している表示器6の有無を判定し(この判定はステップS4からステップS5〜S9を経由した場合に意味をなす)、有る場合は、前記ステップS7に戻り、無い場合には、ステップS16で、表示器コントローラ5は、操作卓4に、完了実績を送信する。
【0033】
次いで、ステップS17で、操作卓4は、制御PC3に、完了実績を送信する。次いで、ステップS18で、仕分けシステム1は、次の指示データの有無を判定し、無い場合は、終了となり、有る場合には、ステップS19で、表示器コントローラ5は、操作卓4に、次の指示データを要求した後、前記ステップS3に戻る。
【0034】
以上により、図6に示したように、ステップS7で選択ボタン65が押された表示器6は、ステップS9,S11で指示ランプ62が点滅状態のまま個数表示窓63に仕分け個数が表示されることとなる。つまり、作業者aが選択した1つの仕分け位置Xの個数表示窓63のみが仕分け個数を表示するようにしたから、仕分け作業中は、作業者aが選択した仕分け作業中の1つの仕分け位置Xでしか仕分け個数が表示されず、作業者aが選択した仕分け作業中の1つの仕分け位置Xと、作業者aが選択していない仕分け作業前の他の仕分け位置X…Xとが視覚的に明瞭に区別できることとなり、また個数表示が1つしか行われないから、その結果、たとえ仕分け作業の対象となる仕分け位置X…Xが複数あっても、作業者aが仕分け位置X,X間で仕分け個数を取り違えて仕分けたり、あるいは完了ボタン64,64を取り違えて押下する問題が回避できる。
【0035】
前記例は、請求項1に記載の発明の実施形態であったが、請求項2に記載の発明の実施形態として、例えば、図7に示したように、指示ランプ62が点灯されかつ個数表示窓63に仕分け個数が表示された表示器6の選択ボタン65を押すと、個数表示窓63の仕分け個数表示がそのままで、指示ランプ62が点滅状態に変化するようにしてもよい。あるいは、図8に示したように、個数表示窓63に仕分け個数が表示された表示器6の選択ボタン65を押すと、個数表示窓63の仕分け個数表示が点滅状態に変化するようにしてもよい。
【0036】
つまり、作業者aが選択した1つの仕分け位置Xの指示ランプ62又は個数表示窓63の少なくとも一方を他の仕分け位置Xにおける作動状態と異なるようにしたから、仕分け作業中は、作業者aが選択した仕分け作業中の1つの仕分け位置Xと、作業者aが選択していない仕分け作業前の他の仕分け位置X…Xとが視覚的に明瞭に区別できることとなり、その結果、たとえ仕分け作業の対象となる仕分け位置X…Xが複数あっても、作業者aが仕分け位置X,X間で仕分け個数を取り違えて仕分けたり、あるいは完了ボタン64,64を取り違えて押下する問題が回避できる。
【0037】
さらに、請求項2に記載の発明の実施形態として、前記例のように、指示ランプ62及び個数表示窓63の消灯、点滅、点灯の組合せの他に、点滅又は点灯の輝度を変化させたり、点滅周期を変化させたり、点滅又は点灯の色彩を変化させることによって、仕分け作業中と仕分け作業前とを区別するようにしてもよい。
【0038】
さらに、仕分け作業中と仕分け作業前とを区別するその他の例として、作業中であることを示す文字や記号を、個数表示窓63の空いている桁部分や空いているセグメントを利用して、該個数表示窓63に個数表示をしながら、選択ボタン65を押した作業中は同時表示するようにしてもよい。あるいは、作業中であることを示す作業中ランプを表示器6に設けて、作業前は該作業中ランプを消灯し、選択ボタン65を押した作業中は該作業中ランプを点灯するようにしてもよい。
【0039】
次に、請求項3に記載の発明の実施形態として、仕分けシステム1が自動で選択した1つの仕分け位置Xの指示ランプ62のみが点灯し、作業者aがその仕分け位置Xの選択ボタン65を押すことによって、追って選択(追認)し、その仕分け位置Xの個数表示窓63のみが仕分け個数を表示するようにしてもよい。つまり、仕分け作業中は、仕分けシステム1が自動選択し作業者aが追認した仕分け作業中の1つの仕分け位置Xでしか仕分け個数が表示されず、作業者aが追認した仕分け作業中の1つの仕分け位置Xと、作業者aが追認していない仕分け作業前の他の仕分け位置X…Xとが視覚的に明瞭に区別できることとなり、また個数表示が1つしか行われないから、その結果、たとえ仕分け作業の対象となる仕分け位置X…Xが複数あっても、作業者aが仕分け位置X,X間で仕分け個数を取り違えて仕分けたり、あるいは完了ボタン64,64を取り違えて押下する問題が回避できる。
【0040】
ここで、前記図5のフローチャートは、表示器コントローラ5が表示器6の指示ランプ62や個数表示窓63の作動を制御するものであったが、これに代えて、表示器6自身が指示ランプ62や個数表示窓63の作動を制御するようにしてもよい。その場合の仕分け作業を図9に示すフローチャートに従って説明する。なお、図9のフローチャートにおいてステップS21,S27,S30を破線で表したのは、その動作が当該仕分けシステム1が行う動作ではなく、作業者aが人的に行う動作であることを示している。
【0041】
まず、ステップS21で、作業者aは、制御PC3に、ピッキング指示データ又はソーティング指示データ(仕分け情報のこと:以下同じ)を入力する。次いで、ステップS22で、制御PC3は、操作卓4に、前記指示データを送信する。次いで、ステップS23で、操作卓4は、表示器コントローラ5に、前記指示データを送信する。
【0042】
次いで、ステップS24で、表示器コントローラ5は、指示があるすべての表示器6…6に指示データを一斉に送信する。次いで、ステップS25で、仕分けシステム1は、隣接する表示器6…6に指示が有るか無いかを判定する。その結果、有る場合は、ステップS26で、指示があるすべての表示器6…6は、指示ランプ62…62を点滅する。
【0043】
次いで、ステップS27で、作業者aは、指示ランプ62が点滅している表示器6…6のうちの任意の1つの表示器6の選択ボタン65を押す。次いで、ステップS28で、前記選択ボタン65が押された表示器6は、指示数(仕分け個数のこと:以下同じ)を個数表示窓63に表示する。
【0044】
一方、前記ステップS25で隣接する表示器6…6に指示が無い場合は、ステップS29で、指示があるすべての表示器6…6は、指示数を個数表示窓63に一斉に表示する。
【0045】
次いで、ステップS30で、作業者aは、前記表示器6の指示数を見てピッキング又はソーティングを行い、完了ボタン64を押す。次いで、ステップS31で、前記完了ボタン64が押された表示器6は、表示を消灯し(指示ランプ62及び個数表示窓63共)、表示器コントローラ5に、完了実績を送信する。
【0046】
次いで、ステップS32で、仕分けシステム1は、個数表示窓63に指示数が表示されている表示器6の有無を判定し(この判定はステップS25からステップS29を経由した場合に意味をなす)、有る場合は、前記ステップS30に戻り、無い場合には、ステップS33で、仕分けシステム1は、指示ランプ62が点滅している表示器6の有無を判定し(この判定はステップS25からステップS26〜S28を経由した場合に意味をなす)、有る場合は、前記ステップS27に戻り、無い場合には、ステップS34で、表示器コントローラ5は、操作卓4に、完了実績を送信する。
【0047】
次いで、ステップS35で、操作卓4は、制御PC3に、完了実績を送信する。次いで、ステップS36で、仕分けシステム1は、次の指示データの有無を判定し、無い場合は、終了となり、有る場合には、ステップS37で、表示器コントローラ5は、操作卓4に、次の指示データを要求した後、前記ステップS23に戻る。
【0048】
以上の実施形態では、図4に示したように、表示器6に、指示ランプ62と個数表示窓63と完了ボタン64と選択ボタン65とを別々に具備したが、これに代えて、請求項4に記載の発明の実施形態として、図10に例示するように、単一の選択/完了ボタン66で完了ボタンと選択ボタンとを兼用させてもよい。このようにいくつかのボタンを統合することで、この仕分けシステム1の部品点数ないしコストの増大が回避される。
【0049】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の最良の実施形態ではあるが、特許請求の範囲を逸脱しない限り、なお種々の修正や改良が可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上、具体例を挙げて詳しく説明したように、本発明によれば、作業者の仕分け作業の負担増を回避しながら、作業者が仕分け位置間で仕分け個数を取り違えて仕分けたり、あるいは完了ボタンを取り違えて押下する問題を抑制することのできる仕分けシステムが提供される。本発明は、ピッキングシステムやソーティングシステム等の仕分けシステムの技術分野において幅広い産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係る仕分けシステムのレイアウトを示す平面図である。
【図2】前記仕分けシステムの制御構成図である。
【図3】前記仕分けシステムの複数の仕分け位置の配置を示す棚の正面図である。
【図4】前記仕分け位置のそれぞれに設けられた表示器の正面図である。
【図5】前記仕分けシステムの仕分け作業の動作例を示すフローチャートである。
【図6】前記仕分け作業の動作例によって変化する表示器の外観を示す図4と類似の正面図である。
【図7】同じく別の仕分け作業の動作例によって変化する表示器の外観を示す図4と類似の正面図である。
【図8】同じくさらに別の仕分け作業の動作例によって変化する表示器の外観を示す図4と類似の正面図である。
【図9】前記仕分けシステムの仕分け作業の別の動作例を示すフローチャートである。
【図10】本発明で採用し得る表示器の他の例を示す図4と類似の正面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 仕分けシステム
2 棚
5 表示器コントローラ(制御手段)
6 表示器(制御手段)
7 物品保管容器(ピッキング時)又は集品コンテナ(ソーティング時)
62 指示ランプ(作業対象指示手段)
63 個数表示窓(個数表示手段)
64 完了ボタン(完了通知手段)
65 選択ボタン(選択手段)
a 作業者
b 台車
d 集品コンテナ(ピッキング時)又は物品収容容器(ソーティング時)
X 仕分け位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の仕分け位置のそれぞれに、仕分け作業の対象の仕分け位置であることを指示するための作業対象指示手段と、前記仕分け作業の仕分け個数を表示するための個数表示手段と、前記仕分け作業の完了を通知するための完了通知手段とが設けられている仕分けシステムであって、
仕分け作業の開始時に、仕分け作業の対象となるすべての仕分け位置に設けられている前記作業対象指示手段を作動させる制御手段と、
複数の仕分け位置のそれぞれに設けられて、前記制御手段で前記作業対象指示手段が作動された仕分け位置のうちの1つの仕分け位置を選択するための選択手段とを有し、
前記制御手段は、前記選択手段で選択された仕分け位置に設けられている前記個数表示手段を作動させるように構成されていることを特徴とする仕分けシステム。
【請求項2】
複数の仕分け位置のそれぞれに、仕分け作業の対象の仕分け位置であることを指示するための作業対象指示手段と、前記仕分け作業の仕分け個数を表示するための個数表示手段と、前記仕分け作業の完了を通知するための完了通知手段とが設けられている仕分けシステムであって、
仕分け作業の開始時に、仕分け作業の対象となるすべての仕分け位置に設けられている前記作業対象指示手段又は前記個数表示手段の少なくとも一方を作動させる制御手段と、
複数の仕分け位置のそれぞれに設けられて、前記制御手段で前記作業対象指示手段又は前記個数表示手段の少なくとも一方が作動された仕分け位置のうちの1つの仕分け位置を選択するための選択手段とを有し、
前記制御手段は、前記選択手段で選択された仕分け位置に設けられている前記作業対象指示手段又は前記個数表示手段の少なくとも一方を他の仕分け位置における作動状態と異なる作動状態で作動させるように構成されていることを特徴とする仕分けシステム。
【請求項3】
複数の仕分け位置のそれぞれに、仕分け作業の対象の仕分け位置であることを指示するための作業対象指示手段と、前記仕分け作業の仕分け個数を表示するための個数表示手段と、前記仕分け作業の完了を通知するための完了通知手段とが設けられている仕分けシステムであって、
仕分け作業の開始時に、仕分け作業の対象となるすべての仕分け位置のうちの1つの仕分け位置に設けられている前記作業対象指示手段を作動させる制御手段と、
複数の仕分け位置のそれぞれに設けられて、前記制御手段で前記作業対象指示手段が作動された仕分け位置を選択するための選択手段とを有し、
前記制御手段は、前記選択手段で選択された仕分け位置に設けられている前記個数表示手段を作動させ、
かつ、前記個数表示手段を作動した仕分け位置に設けられている前記完了通知手段で仕分け作業の完了が通知されたときに、仕分け作業の対象となる残りの仕分け位置のうちの1つの仕分け位置に設けられている前記作業対象指示手段を作動させるように構成されていることを特徴とする仕分けシステム。
【請求項4】
前記請求項1から3のいずれかに記載の仕分けシステムにおいて、
前記選択手段は、前記完了通知手段を用いて構成されていることを特徴とする仕分けシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−213464(P2006−213464A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27899(P2005−27899)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】