説明

仕分けシステム

【課題】作業者の作業負担を重くすることなく、検品しようとする物品を特定することのできる仕分けシステムの提供をする。
【解決手段】仕分けシステム1は、物品の重量を計量するための計量検品機7と、作業者に装着され、非接触的にデータの書込み及び読取りが可能なRFID9と、作業者が物品を保管場所から取り出すときに、その物品の特定に必要なデータ又はその物品の検品に必要なデータの少なくともいずれかを前記RFID9に非接触的に書き込む書込装置6と、作業者が保管場所から取り出した物品を前記計量検品機7で計量するときに、前記RFID9に書き込まれているデータを非接触的に読み取る読取装置8とを有している。そして、計量検品機7は、読取装置8で読み取られたデータと、計量した物品の計量値とに基いて、物品の検品を行うように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は倉庫や配送センター等の物流現場で行われる物品の仕分けの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多種多様な工業製品や加工食品等の物品が製造あるいは生産されてから消費者の手に渡るまでの物流過程において品目の異なる複数の物品を出荷先毎に集品する仕分け作業が行われる。従来、仕分け作業の1つとして周知のピッキング作業は、複数の物品を品目毎に保管した棚から作業者が仕分け指示に従って集品すべき物品を集品すべき個数づつ取り出して出荷先毎の集品コンテナに投入していくものである。そして、このような仕分け作業を短時間で正確にかつ容易に行えるように支援するコンピュータを用いた仕分けシステムが知られている。
【0003】
そのような仕分けシステムのうち、作業者が棚からピッキングした物品を集品コンテナに投入する前に検品を行うように構成された仕分けシステムがある。例えば特許文献1に開示の仕分けシステムでは、作業者は、棚から物品をピッキングしたら、その物品をいったん仮置き台に仮置きし、該仮置き台に内蔵した秤によって前記物品の重量を計量する。仕分けシステムは、物品1個あたりの単位重量(以下「単重」と記すことがある)を記録装置に登録しており、前記秤で計量した計量値を前記単重で割り算することによって、ピッキングした仮置き台上の物品の個数を算出する。そして、その算出した物品の個数と仕分け指示における指示個数(ピッキング個数)とを比較して、所定の検品正数範囲内で一致すれば検品正常を報知し、一致しなければ検品異常を報知する。
【0004】
その場合に、いま仮置き台に仮置きしている物品が何であるかを特定しなければ、その単重が決まらない。そのために、前記特許文献1に開示の仕分けシステムでは、物品に付された物品コードをバーコードリーダで読み取り、読み取った物品コードで記録装置の登録内容を検索して、該当する物品の単重を読み出すようになっている。
【0005】
また、特許文献2には、作業者の仕分け作業量を把握するために、作業者の識別番号を表すバーコードを腕輪に貼り付けて、検品時に、前記物品コードを読み取るためのバーコードリーダで前記作業者の識別番号も読み取って、作業者毎に仕分け作業履歴を記録装置に記録していくように構成された仕分けシステムが開示されている。
【特許文献1】特開2001−114407号公報
【特許文献2】特開2003−128215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述したように、いま検品中の物品が何であるかを特定するために、物品に付された物品コードをバーコードリーダで読み取ることは、いかにも煩雑であるという問題がある。例えば、作業者は、検品のたびに、ピッキングした物品のどこに物品コードが付されているかを探さねばならない。また、物品が缶や瓶等で、物品コードが曲面上に付されている場合や、物品が詰替用液体洗剤のパック等で、物品コードが撓み易い素材上に付されている場合には、物品コードの読み取りが容易でない。さらに、物品がアルミ缶等で、物品コードが反射体に付されている場合は、物品コードの読み取りが困難となる。その結果、作業者の作業時間が長引き、作業負担が重くなり、作業効率が低下する。
【0007】
本発明は、ピッキングした物品の検品が可能に構成された仕分けシステムにおける前記のような不具合に対処するもので、作業者の作業負担を重くすることなく、検品しようとする物品を特定することのできる仕分けシステムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本願の請求項1に記載の発明は、作業者が所定の仕分け指示に従って指示された物品を指示された個数づつ保管場所から取り出して集品するための仕分けシステムであって、物品の重量を計量するための計量手段と、作業者に装着され、非接触的にデータの書込み及び読取りが可能なIDタグと、作業者が物品を保管場所から取り出すときに、その物品の特定に必要なデータ又はその物品の検品に必要なデータの少なくともいずれかを前記IDタグに非接触的に書き込む書込手段と、作業者が保管場所から取り出した物品を前記計量手段で計量するときに、前記IDタグに書き込まれているデータを非接触的に読み取る読取手段と、該読取手段で読み取られたデータと、前記計量手段で計量された前記物品の計量値とに基いて、前記物品を検品する検品手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の仕分けシステムにおいて、物品の検品に必要なデータを記録するデータ記録手段が備えられ、前記書込手段は、物品の特定に必要なデータとして物品の保管場所を表すデータのみをIDタグに書き込み、前記検品手段は、前記物品の保管場所を表すデータから特定される物品の検品に必要なデータを前記データ記録手段から入手して、該物品を検品することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1に記載の仕分けシステムにおいて、物品の検品に必要なデータを記録するデータ記録手段が備えられ、前記書込手段は、物品の検品に必要なデータとして物品の単位重量及び指示個数又は物品の総重量を表すデータのみを前記データ記録手段から入手してIDタグに書き込み、前記検品手段は、前記物品の単位重量及び指示個数又は物品の総重量を表すデータから、該物品を検品することを特徴とする。
【0011】
そして、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から3のいずれかに記載の仕分けシステムにおいて、前記IDタグには、作業者の識別番号が記録されており、前記読取手段は、前記IDタグに書き込まれているデータを読み取るときに前記作業者の識別番号も読み取り、かつ、前記読取手段で読み取られた作業者の識別番号毎に作業履歴を記録していく作業履歴記録手段が備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
まず、請求項1に記載の発明によれば、ピッキング作業を支援するように構成された仕分けシステムにおいて、作業者は、非接触的にデータの書込み及び読取りが可能なIDタグ(ICタグあるいはRFID(Radio Frequency Identification)とも呼ばれる)を装着している。そして、作業者が物品を保管場所から取り出すときには、その物品の特定に必要なデータ又はその物品の検品に必要なデータの少なくともいずれかが、書込手段によって、前記IDタグに非接触的に書き込まれる。一方、作業者が保管場所から取り出した物品を計量手段で計量するときには、前記IDタグに書き込まれているデータが、読取手段によって、非接触的に読み取られる。そして、前記読取手段で読み取られたデータと、前記計量手段で計量された物品の計量値とに基いて、前記物品の検品が行われる。
【0013】
このように、IDタグと書込手段及び読取手段との間で自動的に物品の特定に必要なデータや物品の検品に必要なデータが伝達されるから、作業者は、いま検品しようとする物品を特定しあるいは検品するために、わざわざ特別の動作や操作をする必要がない。これにより、ピッキングした物品を検品することが可能に構成された仕分けシステムにおいて、作業者の作業負担を重くすることなく、検品しようとする物品を特定しあるいは検品することが可能となる。
【0014】
その場合に、請求項2に記載の発明によれば、IDタグには、物品の特定に必要なデータとして物品の保管場所を表すデータのみが書き込まれ、その他の物品の検品に必要なデータは、検品手段の側でデータ記録手段から別ルートで入手するようにしたから、IDタグとして記憶容量が小さくコンパクトで安価なIDタグが使用できる。
【0015】
一方、請求項3に記載の発明によれば、IDタグには、物品の検品に必要なデータとして物品の単位重量及び指示個数又は物品の総重量を表すデータのみがデータ記録手段から入手されて書き込まれるようにしたから、検品手段の側で物品の検品に必要なデータを別ルートで入手する必要がなくなる。
【0016】
そして、請求項4に記載の発明によれば、IDタグと読取手段との間で自動的に作業者の識別番号が伝達されるから、作業者は、自己の識別番号を読み取らせるために、わざわざ特別の動作や操作をする必要がない。これにより、作業者の仕分け作業履歴を記録することが可能なようにも構成された仕分けシステムにおいて、作業者の作業負担を重くすることなく、作業者の仕分け作業履歴ないし仕分け作業量を記録し把握することが可能となる。以下、本発明の最良の実施の形態を通して本発明をさらに詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本実施形態においては、本発明は、図1に示す仕分けシステム1に適用されている。この仕分けシステム1は、ピッキング作業を支援するように構成されており、仕分け作業場のフロアに、棚10が設置されている。棚10は、複数の保管場所(棚ポケット)X…Xを有し、各保管場所Xに、物品Yが品目毎に保管されている。なお、図1は、便宜上、2つの保管場所X,Xにのみ、物品Y,Yが保管されている様子を示している。保管場所Xには、表示器5がそれぞれ備えられている。表示器5は、物品Yの指示個数を表示する個数表示窓51と、物品Yのピッキング完了時に押下操作する完了ボタン52とを具備している。
【0018】
棚10の前方に、搬送コンベア11が設けられている。搬送コンベア11は、出荷先毎の集品コンテナZ…Zを矢印方向に間欠的に搬送する。搬送コンベア11の近傍に、計量検品機7が設置されている。計量検品機7は、仮置き台71に置かれた物品Yの重量を計量することができる。計量検品機7は、物品Yの計量開始時に押下操作する計量開始ボタン72と、検品正常時に点灯するOKランプ73と、検品異常時に点灯するNGランプ74とを具備している。なお、図1は、出荷先毎の集品コンテナZ…Zが計量検品機7の近傍で停止している様子を示している。
【0019】
そして、この仕分けシステム1は、作業者Aに装着されたRFID(Radio Frequency Identification:IDタグもしくはICタグとも呼ばれる)9を構成要素の1つとして含んでいる。なお、図1は、RFID9が作業者Aの右手首に巻かれているところを示している。ただし、これに限らず、RFID9は、例えば作業者Aの帽子や腰や胸等に装着されていてもよい。そして、前記RFID9にデータを非接触的に書き込むための書込装置6が各表示器5に具備され、前記RFID9からデータを非接触的に読み取るための読取装置8が前記計量検品機7に具備されている。
【0020】
図2に示すように、この仕分けシステム1の制御構成としては、最上位に仕分けコントローラとして機能する制御PC(パーソナルコンピュータ)2が位置し、その下位に、操作卓3と表示器コントローラ4と表示器5…5とが順にネットワークN1で接続されている。また、計量検品機7は、別の第2ネットワークN2を介して制御PC2と直接接続されており、制御PC2と直接電文を遣り取りすることができる。
【0021】
制御PC2の記録装置2a(図9参照)には、図3〜図6に例示するような、物品保管データテーブルと、物品重量データテーブルと、仕分け指示データテーブルと、作業履歴データテーブルとが格納されている。
【0022】
図3の物品保管データテーブルは、物品Yとその保管場所Xとの関係を登録するもので、棚10の保管場所X毎に、保管場所Xの番号と、備えられている表示器5の番号と、保管されている物品Yの品目番号と、保管されている物品Yの品目名称とが記録されている。
【0023】
図4の物品重量データテーブルは、物品Yとその各種重量データとを登録するもので、物品Yの品目番号毎に、単位重量と、誤差許容範囲と、理論検品重量と、検品正量範囲(物品Yを重量で検品する場合に用いる:特許請求の範囲における「物品の総重量を表すデータ」に相当)と、検品正数範囲(物品Yを個数で検品する場合に用いる)とが記録されている。
【0024】
図5の仕分け指示データテーブルは、仕分け指示(ピッキング指示)の内容を登録するもので、出荷先毎に、物品Yの品目番号と、物品Yの品目名称と、指示個数(ピッキング個数)とが記録されている。
【0025】
図6の作業履歴データテーブルは、作業者Aの仕分け作業量を把握するために、作業者Aの仕分け作業を登録するもので、作業者Aの識別番号毎に、完了ボタン52の押下時刻と、保管場所Xの番号とが順に記録され、蓄積されている。
【0026】
一方、図7は、前記RFID9の記録領域の構成を示す図であって、(a)は書き換え前の内容を示し、(b)は書き換え後の内容を示している。図示したように、このRFID9を装着している作業者Aの識別番号と、完了ボタン52の押下時刻と、保管場所Xの番号とが書き換え可能に記録される。
【0027】
以下、図8に示すフローチャートに従って、この仕分けシステム1による仕分け作業の具体的動作の1例を説明する。なお、図8のフローチャートにおいて、ステップS1,S6,S8,S12を破線で表したのは、その動作が仕分けシステム1が行う動作ではなく、作業者Aが人的に行う動作であることを示している。
【0028】
まず、ステップS1で、作業者Aは、制御PC2に、仕分け指示を入力する(図5参照)。次いで、ステップS2で、制御PC2は、操作卓3に、前記仕分け指示を送信する。次いで、ステップS3で、操作卓3は、表示器コントローラ4に、前記仕分け指示を送信する。
【0029】
次いで、ステップS4で、表示器コントローラ4は、仕分け指示のある表示器5、つまり今回の仕分け指示に含まれる物品Yを保管している保管場所Xの表示器5に、指示個数(ピッキング個数)を送信する。次いで、ステップS5で、表示器5、つまり表示器コントローラ4から前記指示個数を受信した表示器5は、個数表示窓51にその指示個数を表示する。
【0030】
次いで、ステップS6で、作業者Aは、前記指示個数を見て仕分け(ピッキング)を行い、表示器5の完了ボタン52を押す。次いで、ステップS7で、完了ボタン52が押された表示器5は、書込装置6を使って、作業者AのRFID9に、完了ボタン52の押下時刻と、自己が備えられている保管場所Xの番号(特許請求の範囲における「物品の特定に必要なデータ」に相当)とを上書きする(図7参照)。また、前記表示器5は、表示器コントローラ4に完了実績を送信する。さらに、個数表示窓51の指示個数を消す。
【0031】
次いで、ステップS8で、作業者Aは、計量検品機7の仮置き台71上に、ピッキングした物品Yを仮置きし、計量開始ボタン72を押す。次いで、ステップS9で、計量検品機7は、読取装置8を使って、作業者AのRFID9から、前記保管場所Xの番号を読み取る。そして、その読み取った保管場所Xの番号を制御PC2に送信する(図2の第2ネットワークN2を使う)。
【0032】
次いで、ステップS10で、制御PC2は、計量検品機7から受信した保管場所Xの番号から物品Yが何であるかを特定する(図3参照)。そして、その特定した物品Yの単位重量(図4参照)と指示個数(図5参照)とを検索する。そして、その検索した単位重量及び指示個数(特許請求の範囲における「物品の検品に必要なデータ」に相当)を計量検品機7に送信する(図2の第2ネットワークN2を使う)。
【0033】
次いで、ステップS11で、計量検品機7は、制御PC2から受信した単位重量と仮置き台71上の物品Yの計量値とから、物品Yの個数を計算する。そして、計量検品機7は、その計算値と指示個数とを比較して、検品正数範囲(図4参照)内であれば、OKランプ73を点灯し、一方、検品正数範囲外であれば、NGランプ74を点灯する(計量検品機7はこのような検品判定のプログラムを有している)。次いで、ステップS12で、作業者Aは、OKランプ73が点灯したときに、計量検品機7の仮置き台71上の物品Yを集品コンテナZに投入する。
【0034】
次いで、ステップS13で、個数表示窓51に指示個数を表示している表示器5の有無を判定する。そして、個数表示窓51に指示個数を表示している表示器5が有るときは、前記ステップS6に戻り、一方、無いときは、ステップS14で、次の仕分け指示の有無を判定する。そして、次の仕分け指示が有るときは、ステップS15で、表示器コントローラ4は、操作卓3に、次の仕分け指示を送信するよう要求したのち、前記ステップS3に戻り、一方、無いときは、終了となる。
【0035】
このように、本実施形態においては、ピッキング作業を支援するように構成された仕分けシステム1において、作業者Aは、非接触的にデータの書込み及び読取りが可能なRFID9を装着している。そして、作業者Aが物品Yを保管場所Xから取り出すときには、その物品Yの特定に必要なデータ(前記例では保管場所Xの番号)が、書込装置6によって、前記RFID9に非接触的に書き込まれる(ステップS7)。一方、作業者Aが保管場所Xから取り出した物品Yを計量検品機7で計量するときには、前記RFID9に書き込まれているデータ(同じく保管場所Xの番号)が、読取装置8によって、非接触的に読み取られる(ステップS9)。そして、最終的に(ステップS11)、前記読取装置8で読み取られたデータと、前記計量検品機7で計量された物品Yの計量値とに基いて、前記物品Yの検品が行われる。
【0036】
このように、本実施形態においては、RFID9と書込装置6及び読取装置8との間で自動的に物品Yの特定に必要なデータが伝達されるから、作業者Aは、検品しようとする物品Yを特定するために、特別の動作や操作をする必要がない。したがって、この仕分けシステム1は、ピッキングした物品Yを集品コンテナZに投入する前に検品することが可能に構成されているのであるが、作業者Aの作業負担を重くすることなく、検品しようとする物品Yを特定することが可能となる。
【0037】
その場合に、本実施形態においては、RFID9には、物品Yの特定に必要なデータとして物品Yの保管場所Xを表すデータ、すなわち保管場所Xの番号のみが書き込まれ、その他の物品Yの検品に必要なデータ、すなわち物品Yの単位重量及び指示個数は、計量検品機7の側で制御PC2の記録装置2aから別ルート、すなわち第2ネットワークN2経由で入手するようにしたから(ステップS9〜S11)、RFID9として記憶容量が小さくコンパクトで安価なものが使用可能となる。
【0038】
そして、本実施形態においては、RFID9に作業者Aの識別番号が記録されており(図7参照)、前記読取装置8は、前記RFID9に書き込まれているデータを非接触的に読み取るときに(ステップS9)、前記作業者Aの識別番号及び完了ボタン52の押下時刻もまた同時に読み取り、かつ、制御PC2は、記録装置2a(図9参照)に、その読み取られた作業者Aの識別番号毎に、作業履歴を順に記録し、蓄積していくようになっている(図6参照)。これにより、RFID9と読取装置8との間で自動的に作業者Aの識別番号が伝達されるから、作業者Aは、自己の識別番号を読み取らせるために、特別の動作や操作をする必要がない。したがって、この仕分けシステム1は、作業者Aの仕分け作業履歴を記録することが可能にも構成されているのであるが、作業者Aの作業負担を重くすることなく、作業者Aの仕分け作業履歴ないし仕分け作業量を記録し把握することが可能となる。
【0039】
次に、この仕分けシステム1による仕分け作業の具体的動作の変形例をいくつか説明する。1部繰り返しになるが、図9に示すように、制御PC2は、その記録装置2aに、物品保管データテーブル(図3参照)と、物品重量データテーブル(図4参照)と、仕分け指示データテーブル(図5参照)とを保有している。これらのうち、特許請求の範囲における「物品の特定に必要なデータ」は、例えば、物品保管データテーブルに登録されている、保管場所番号、表示器番号、物品品目番号等である。一方、特許請求の範囲における「物品の検品に必要なデータ」は、例えば、物品重量データテーブルに登録されている、単位重量、検品正量範囲(物品Yを重量で検品する場合に用いる)、検品正数範囲(物品Yを個数で検品する場合に用いる)や、仕分け指示データテーブルに登録されている、指示個数等である。
【0040】
そして、これらのデータがどういうルートで制御PC2から計量検品機7へ伝達されるかを考えたときに、前記図8に示した動作例1は、図10に示すように、保管場所番号(物品Yの特定に必要なデータ)のみが表示器5及びRFID9を介するルートa(第1ネットワークN1を利用するルート)で伝達され、その他の単位重量及び指示個数(物品Yの検品に必要なデータ)は制御PC2から別ルートc(第2ネットワークN2を利用するルート)で伝達されるものであった(請求項2に記載の動作に相当)。なお、このとき、物品Yの特定と、該物品Yの単位重量及び指示個数の検索とのために、計量検品機7から制御PC2へ前記保管場所番号がルートb(第2ネットワークN2を利用するルート)を介して送信される。
【0041】
そこで、動作例2は、図10に示したように、保管場所番号に代えて、表示器番号を、前記ルートaを介して制御PC2から計量検品機7へ伝達するものである。この場合、物品Yの特定と、該物品Yの単位重量及び指示個数の検索とのために、計量検品機7から制御PC2へ前記表示器番号がルートbを介して送信され、その返信として、特定された物品Yの単位重量及び指示個数が制御PC2から計量検品機7へルートcを介して伝達される。
【0042】
動作例3は、制御PC2から計量検品機7へルートaを介して物品品目番号を伝達するものである。この場合も、計量検品機7から制御PC2へルートbを介して前記物品品目番号が送信されるが、すでに物品Yは特定されているので、制御PC2はその物品Yの単位重量及び指示個数の検索を行うだけでよくなる。
【0043】
これらに対し、動作例4は、物品Yの単位重量及び指示個数(物品Yの検品に必要なデータ)をルートaを介して制御PC2から計量検品機7へ伝達するものである(請求項3に記載の動作に相当)。この場合は、すでに物品Yの検品に必要なデータが揃っているので、計量検品機7は物品Yの検品に必要なデータをルートbやルートcを使って別途制御PC2から入手する必要がなくなる。
【0044】
さらに、動作例5は、前記単位重量及び指示個数に代えて、検品正量範囲を、前記ルートaを介して制御PC2から計量検品機7へ伝達するものである(請求項3に記載の動作に相当)。前述したように、検品正量範囲は、特許請求の範囲における「物品の総重量を表すデータ」に相当するもので、物品Yを重量で検品する場合に用いられる。つまり、先に述べた動作例は、いずれも、物品Yの個数の計算値が検品正数範囲(図4参照)内にあるか否かを判定する(物品Yを個数で検品する)ものであったが、この動作例5のように、物品Yの計量値そのものが検品正量範囲内にあるか否かを判定する(物品Yを重量で検品する)ようにしてもよいのである。この場合、検品のために、物品Yの計量値を物品Yの単重で割り算して物品Yの個数を計算する必要がなくなる。
【0045】
そして、動作例6は、前記動作例1において、制御PC2が単位重量及び指示個数ではなく前記検品正量範囲を返信し、計量検品機7がそれを受けて物品Yを重量で検品するようにしたものである。
【0046】
以上説明した実施形態は、本発明の最良の実施形態ではあるが、特許請求の範囲を逸脱しない限り、なお種々の修正や改良が可能であることはいうまでもない。例えば、以上の各例では、個数による検品及び重量による検品のいずれにおいても、計量検品機7が検品判定プログラムを有して、最終的に計量検品機7が物品Yを検品するものであったが(例えばステップS11参照)、これに限らず、制御PC2が検品判定プログラムを有して、制御PC2が計量検品機7から物品Yの計量値を受信し、その物品Yの検品を行い、その検品判定の結果だけを計量検品機7に返信して、計量検品機7は、それに応じてOKランプ73及びNGランプ74の点灯制御だけを行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、ピッキングした物品を検品可能に構成された仕分けシステムにおいて、作業者の作業負担を重くすることなく、検品しようとする物品を特定することができ、もって倉庫や配送センター等の物流現場で行われる物品の仕分けの技術分野において幅広い産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係る仕分けシステムを採用したピッキング作業場を示す斜視図である。
【図2】前記仕分けシステムの制御構成図である。
【図3】前記仕分けシステムの制御PCの記録装置に記録された物品保管データのテーブルである。
【図4】同じく物品重量データのテーブルである。
【図5】同じく仕分け指示データのテーブルである。
【図6】同じく作業履歴データのテーブルである。
【図7】前記仕分けシステムのRFIDの記録領域の構成図であって、(a)は書き換え前の内容を示し、(b)は書き換え後の内容を示している。
【図8】前記仕分けシステムによる仕分け作業の動作例を示すフローチャートである。
【図9】前記仕分けシステムによるデータの伝達ルートを示すブロック図である。
【図10】前記データの伝達ルートの違いによる複数の動作例1〜6を示すテーブルである。
【符号の説明】
【0049】
1 仕分けシステム
2 制御PC
2a 記録装置(データ記録手段、作業履歴記録手段)
3 操作卓
4 表示器コントローラ
5 表示器
6 書込装置(書込手段)
7 計量検品機(計量手段、検品手段)
8 読取装置(読取手段)
9 RFID
10 棚
11 搬送コンベア
51 個数表示窓
52 完了ボタン
71 仮置き台
72 計量開始ボタン
73 OKランプ
74 NGランプ
A 作業者
N1,N2 ネットワーク
X 保管場所
Y 物品
Z 集品コンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が所定の仕分け指示に従って指示された物品を指示された個数づつ保管場所から取り出して集品するための仕分けシステムであって、
物品の重量を計量するための計量手段と、
作業者に装着され、非接触的にデータの書込み及び読取りが可能なIDタグと、
作業者が物品を保管場所から取り出すときに、その物品の特定に必要なデータ又はその物品の検品に必要なデータの少なくともいずれかを前記IDタグに非接触的に書き込む書込手段と、
作業者が保管場所から取り出した物品を前記計量手段で計量するときに、前記IDタグに書き込まれているデータを非接触的に読み取る読取手段と、
該読取手段で読み取られたデータと、前記計量手段で計量された前記物品の計量値とに基いて、前記物品を検品する検品手段とを有することを特徴とする仕分けシステム。
【請求項2】
前記請求項1に記載の仕分けシステムにおいて、
物品の検品に必要なデータを記録するデータ記録手段が備えられ、
前記書込手段は、物品の特定に必要なデータとして物品の保管場所を表すデータのみをIDタグに書き込み、
前記検品手段は、前記物品の保管場所を表すデータから特定される物品の検品に必要なデータを前記データ記録手段から入手して、該物品を検品することを特徴とする仕分けシステム。
【請求項3】
前記請求項1に記載の仕分けシステムにおいて、
物品の検品に必要なデータを記録するデータ記録手段が備えられ、
前記書込手段は、物品の検品に必要なデータとして物品の単位重量及び指示個数又は物品の総重量を表すデータのみを前記データ記録手段から入手してIDタグに書き込み、
前記検品手段は、前記物品の単位重量及び指示個数又は物品の総重量を表すデータから、該物品を検品することを特徴とする仕分けシステム。
【請求項4】
前記請求項1から3のいずれかに記載の仕分けシステムにおいて、
前記IDタグには、作業者の識別番号が記録されており、
前記読取手段は、前記IDタグに書き込まれているデータを読み取るときに前記作業者の識別番号も読み取り、かつ、
前記読取手段で読み取られた作業者の識別番号毎に作業履歴を記録していく作業履歴記録手段が備えられていることを特徴とする仕分けシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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