説明

仕分カート及び仕分システム

【課題】複数のコンテナを載置可能な仕分カートにおいて、仕分け作業の作業ミスを防止する。
【解決手段】仕分カート2では、商品を収容するための3つのコンテナを載置できるように3つの載置台が設けられ、これらの載置台のそれぞれには収容監視装置6が配置されている。収容監視装置6は、仕分個数を表示する表示器61と、近傍空間のみ通信可能な無線通信を利用するタグリーダライタ63とを備えている。この一方で、作業者は、ICタグとして機能する携帯装置3を携帯するようになっており、この携帯装置3には仕分個数が記録される。このため、作業者が収容監視装置6に近づいて初めて、収容監視装置6に仕分個数が取得されて表示されることになる。これにより、作業者の作業への注意喚起を行うことができ、作業ミスを効果的に防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕分け作業において、複数の収容器に商品を収容しつつ運搬する仕分カートを用いる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の小売店舗向けの物流センター(配送センターや出荷センター等)においては、各店舗から受注した個数に応じた各種商品を取り揃える仕分け作業を、仕分システムを用いて行うことが一般的となっている。仕分システムとしては、例えば、店舗に対応する収容器としてのコンテナを載せた仕分カートを作業者が利用しつつ、商品棚から必要な仕分個数の商品を取り出してそのコンテナに投入していくものなどがある。
【0003】
仕分システムにおいて作業者への仕分け作業に係る指示は、仕分カート上に設けられた表示パネルに、仕分対象となる商品の商品棚を識別する情報と、その商品の仕分個数とが表示されることでなされる。作業者は、この表示に基づいて、必要な商品を必要な個数分、コンテナに投入できることになる。
【0004】
また近年では、一台で複数のコンテナを載置可能な仕分カートを用い、一度の仕分け作業で、複数の店舗への仕分け作業を作業者に行わせる方式の仕分システムも提案されている。この方式では、複数のコンテナにそれぞれ対応するように複数の表示器が設けられ、これら表示器のそれぞれには、対応するコンテナへの仕分個数が表示される。これにより、コンテナごとに必要な個数分の商品を作業者が投入できるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
なお、本発明に関連する技術を開示する先行技術文献として、下記の文献がある。
【0006】
【特許文献1】特開平11−292225号公報
【特許文献2】特許第3319462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、仕分システムを利用した仕分け作業は、比較的単純な作業であるため、作業者が誤った個数の商品を投入するという作業ミスをする可能性がある。特に、複数のコンテナを載置可能な仕分カートを用いる方式では、複数のコンテナに係る数字が同時に表示されることから、異なるコンテナに係る個数分の商品を投入するという作業ミスが発生しやすい。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の収容器を載置可能な仕分カートにおいて、作業ミスを効果的に防止できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、仕分システムに用いられ、複数の収容器に商品を収容しつつ運搬する仕分カートであって、所定のサーバ装置から、前記複数の収容器ごとの仕分個数を受信する受信手段と、前記複数の収容器ごとの仕分個数を、当該仕分カートのオペレータが所持する可搬性記録装置に記録する記録手段と、前記複数の収容器をそれぞれ載置するための複数の載置台と、前記複数の載置台にそれぞれ配置され、対応する前記収容器に係る仕分個数を近傍空間に存在する前記可搬性記録装置から取得して表示する複数の表示手段と、を備えている。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の仕分カートにおいて、前記表示手段は、無線通信を利用して前記可搬性記録装置から前記仕分個数を取得する。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の仕分カートにおいて、前記可搬性記録装置は、固有の識別情報を有し、前記表示手段は、前記可搬性記録装置から前記仕分個数とともに前記識別情報を取得し、取得した前記識別情報が所定の条件を満足する場合に、取得した前記仕分個数を表示する。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1に記載の仕分カートにおいて、前記表示手段は、前記オペレータの人体をデータ伝送経路とする人体通信を利用して前記可搬性記録装置から前記仕分個数を取得する。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の仕分カートにおいて、前記受信手段は、前記複数の収容器ごとの仕分個数とともに、仕分対象となる商品の第1商品コードを前記サーバ装置から受信するものであり、現にある商品から、該商品に付された第2商品コードを読み取る読取手段と、前記第1商品コードと、前記第2商品コードとを照合する照合手段と、をさらに備え、前記記録手段は、前記第1商品コードと前記第2商品コードとが一致した場合に、前記複数の収容器ごとの仕分個数を前記可搬性記録装置に記録する。
【0014】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の仕分カートにおいて、前記複数の載置台にそれぞれ配置され、対応する前記収容器に収容された商品を計量する複数の計量手段と、前記収容器ごとの仕分の完了を、当該収容器に対応する前記計量手段による計量値と、当該収容器に係る前記仕分個数に応じて導出される演算重量とに基づいて判定する判定手段と、をさらに備え、前記表示手段は、対応する前記収容器についての仕分の完了が判定されたとき、その旨を表示する。
【0015】
また、請求項7の発明は、商品を仕分るための仕分システムであって、請求項1ないし6のいずれかに記載の仕分カートと、前記仕分カートのオペレータが所持し、前記仕分カートの前記複数の収容器ごとの仕分個数を記録する可搬性記録装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし7の発明によれば、オペレータが所持し、かつ、近傍空間に存在する可搬性記録装置から表示手段が仕分個数を取得することから、オペレータが収容器へ接近して初めてそれに対応する表示手段に仕分個数が表示される。したがって、オペレータの作業への注意喚起を行うことができ、作業ミスを効果的に防止できる。
【0017】
また、特に請求項2の発明によれば、オペレータがなんら意識することなく、可搬性記録装置から表示手段への仕分個数の伝送を行うことができる。
【0018】
また、特に請求項3の発明によれば、他の可搬性記録装置から仕分個数が伝送されるなどの混信を防止できる。
【0019】
また、特に請求項4の発明によれば、オペレータが接触して初めて表示手段に仕分個数が表示されるため、混信を防止できるとともに、オペレータの作業への注意喚起を効果的に行うことができる。
【0020】
また、特に請求項5の発明によれば、商品コードが一致するまで仕分個数が可搬性記録装置に記録されないため、誤った商品について仕分け作業がなされることを防止できる。
【0021】
また、特に請求項6の発明によれば、仕分の完了の旨を、収容器ごとにオペレータに示すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
<1.システム概要>
図1は、本発明の実施の形態に係る仕分カート2を利用した仕分システム100の概略構成を示す図である。この仕分システム100は、作業者が、必要な個数の商品を商品棚4から取り出して、仕分カート2のコンテナ20に投入するピッキングシステムとも呼ばれるものである。
【0024】
図に示すように、仕分システム100においては、多数の商品棚4が配列して設けられ、これらの商品棚4により作業通路9が形成されている。仕分カート2のオペレータとなる作業者Pは、この作業通路9を移動しつつ仕分け作業を行うことになる。仕分け前の商品は、これらの商品棚4に同一種となるものごとに分けられて載置される。これにより、一の商品棚4と一の商品の種類とが対応づけされる。商品の種類ごとに商品の識別コードたる商品コードが存在するため、換言すれば、一の商品棚4と一の商品コードとが対応づけされることになる。
【0025】
商品棚4にはそれぞれ固有の識別コードである「棚番号」が割り当てられており、各商品棚4の前面には当該商品棚4の棚番号を示す番号札41が配置されている。これにより、作業者Pは、視認により各商品棚4の棚番号を認識可能となっている。
【0026】
仕分カート2は、収容器としてのコンテナ20に商品を収容しつつ運搬するものである。仕分カート2にはそれぞれ、3つのコンテナ20を載置することが可能とされている。各コンテナ20は、仕分け先となる店舗にそれぞれ対応しており、当該店舗に発送すべき商品は仕分け作業によりその店舗に対応するコンテナに収容される。
【0027】
また、仕分システム100は、仕分けに係るデータを管理するサーバ装置として機能するホストコンピュータ10を備えている。ホストコンピュータ10は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、ディスプレイ等を備えた一般的なコンピュータで構成される。ホストコンピュータ10のハードディスクには、予め制御用プログラムが記憶されており、当該制御用プログラムに従ってCPUが演算処理を行うことにより、仕分システム100に係る所定の機能が実現される。
【0028】
ホストコンピュータ10は、無線LANなどを利用してデータ通信を行うための無線通信装置11と接続されている。これにより、ホストコンピュータ10は、この無線通信装置11を介して、仕分システム100に含まれる仕分カート2との間でデータ通信を行うことが可能とされている。
【0029】
また、仕分システム100は、可搬性の携帯装置3をさらに備えている。この携帯装置3は、各作業者Pがそれぞれ携帯して利用するものであり、データの記録装置であるICタグ(RFIDタグ)としての機能を有している。この携帯装置3には、仕分け作業に係る各種のデータが記録されることになる。
【0030】
<2.仕分カートの構成>
次に、仕分カート2の構成について説明する。図2は、仕分カート2の構成を模式的に示す図である。図に示すように、仕分カート2は、コンテナ20が載置される載置部21と、自由に方向を変更可能な車輪であるキャスター23と、オペレータたる作業者Pが把持しつつ操作するためのハンドル22とを備えて構成されている。載置部21の上面には、3つのコンテナ20を載置できるように、3つの載置台24が形成されている。
【0031】
仕分カート2は、このような一般的なカートの基本的な構成要素とともに、電気的な構成要素を備えている。すなわち、ハンドル22の前方には、作業者Pに各種の情報を示すためのドットマトリクス方式の液晶ディスプレイなどで構成される表示パネル51と、バーコードを読み取るバーコードリーダ52とを備えた仕分指示装置5が設けられている。表示パネル51は、タッチパネル機能を有しており、各種の操作を受け付けることが可能である。
【0032】
また、3つの載置台24にはそれぞれ、コンテナ20への商品の収容を監視する収容監視装置6が設けられている。これらの収容監視装置6は、それぞれ数字やアルファベットなどの簡易表示のみが可能なVFD(蛍光表示管)などで構成される表示器61を備えている。この表示器61は、載置台24にコンテナ20が載置された際に、そのコンテナ20に対応すべく載置台24の表面に露出して配置されており、当該コンテナ20に係る仕分個数を表示する。
【0033】
このような仕分指示装置5と収容監視装置6とは、電気的に独立している。図3は、主として仕分カート2の電気的構成を示すブロック図である。図に示すように、仕分指示装置5と収容監視装置6とは、電気的に接続されておらず、別個のユニットとして構成されている。
【0034】
仕分指示装置5は、上述した表示パネル51、及び、バーコードリーダ52の他、無線LANなどを利用してデータ通信を行うための無線通信部53と、ICタグに係る書き込み及び読み取りが可能なタグリーダライタ54とを備えている。仕分指示装置5は、無線通信部53を利用することで、ホストコンピュータ10との間で無線によるデータ通信を行うことが可能となっている。
【0035】
作業者Pが利用する携帯装置3はICタグとしての機能を有しているため、仕分指示装置5は、タグリーダライタ54を利用することで、携帯装置3に対してデータの書き込みや読み取りを非接触で行うことが可能となる。本実施の形態ではタグリーダライタ54を利用した無線通信が可能な距離は、例えば10cm以上30cm以下に設定されている。このため、仕分指示装置5は、その位置から人間が腕を伸ばせば届く程度の近傍空間に携帯装置3が存在するときのみ、携帯装置3に関するデータの取扱いが可能となっている。
【0036】
また、仕分指示装置5は、自装置に係る制御機能を有するコントローラ50を備えている。コントローラ50は、CPU、RAM、ROM及び不揮発性メモリ等を備えたコンピュータで構成され、表示パネル51、バーコードリーダ52、無線通信部53及びタグリーダライタ54の動作を統括制御する。不揮発性メモリには、予め制御用プログラムが記憶されており、当該制御用プログラムに従ってCPUが演算処理を行うことにより、コントローラ50の各種機能が実現される。
【0037】
一方、3つの収容監視装置6は同一の構成となっており、それぞれ上述した表示器61の他、対応するコンテナ20に収容された商品を計量するロードセルなどで構成される計量部62と、ICタグに係る書き込み及び読み取りが可能なタグリーダライタ63とを備えている。
【0038】
このタグリーダライタ63も、携帯装置3に対してデータの書き込みや読み取りを非接触で行うものである。また、このタグリーダライタ63も無線通信が可能な距離は、例えば10cm以上30cm以下に設定されているため、収容監視装置6は、その位置から人間が腕を伸ばせば届く程度の近傍空間に携帯装置3が存在するときのみ、携帯装置3に関するデータの取扱いが可能となっている。
【0039】
また、3つの収容監視装置6はそれぞれ、自装置に係る制御機能を有するコントローラ60を備えている。コントローラ60は、CPU、RAM、ROM及び不揮発性メモリ等を備えたコンピュータで構成され、表示器61、計量部62及びタグリーダライタ63の動作を統括制御する。不揮発性メモリには、予め制御用プログラムが記憶されており、当該制御用プログラムに従ってCPUが演算処理を行うことにより、コントローラ60の各種機能が実現される。また、3つの収容監視装置6のコントローラ60は、相互にデータ通信可能に接続されている。
【0040】
このように仕分カート2の仕分指示装置5と収容監視装置6とは、それぞれが独立したユニットであり、それぞれが備えるコントローラ50,60の制御下において独立して動作することになる。
【0041】
<3.携帯装置>
次に、携帯装置3の構成について説明する。図4は、作業者Pが携帯装置3を利用している様子を示す図である。図に示すように、携帯装置3は、装置本体部31とベルト32とから構成され、腕時計のように作業者Pの腕に装着して利用される。
【0042】
図5は、装置本体部31の内部構成を模式的に示す図である。前述したように、携帯装置3は、ICタグとしての機能を有している。より具体的には、携帯装置3は、ICチップで構成され演算機能を有するコントローラ30と、データを電磁的に記録する不揮発性の記憶素子であるメモリ34と、電波通信を行うためのコイル状のアンテナ33とを備えている。
【0043】
携帯装置3では、アンテナ33を利用して、仕分カート2の仕分指示装置5や収容監視装置6との間で無線のデータ通信が行われる。そして、メモリ34内には、仕分カート2の仕分指示装置5や収容監視装置6から送信された仕分けに係るデータが記録されることとなる。
【0044】
携帯装置3は、固有の装置コードを有しており、メモリ34内にはその装置コードが記録されている。メモリ34内の仕分けに係るデータが読み取られる際には、この装置コードも同時に読み取られるようになっている。
【0045】
<4.仕分テーブル>
仕分カート2の各コンテナ20にいずれの商品をいくつ投入すべきかというデータは、ホストコンピュータ10に予め入力され、そのハードディスクに仕分テーブルとして記録されている。
【0046】
図6は、この仕分テーブルTの一例を示す図である。図に示すように、仕分テーブルTは、テーブル形式のテーブルデータであり、一の商品に係るデータは、一のレコード(テーブルの行に相当)Rとして含まれている。
【0047】
一のレコードは複数のデータ項目から構成されており、データ項目は、当該商品そのものに関する情報である商品データD1と、その商品の仕分け先となる店舗ごとのデータである店舗データD2とに大別される。なお、図中においては、店舗データD2は3つのみ示しているが、実際には、出荷先となる店舗数と同一数の店舗データが仕分テーブルTに含まれている。
【0048】
商品データD1には、データ項目として、「商品コード」、「商品名」、「棚番号」及び「単位重量」が含まれている。「商品コード」は当該商品の識別コードたる商品コードを示し、「商品名」は当該商品の名称を示している。また、「棚番号」は、当該商品が載置されている商品棚4の棚番号を示し、「単位重量」は、当該商品一つあたりの重量を示している。
【0049】
また、複数の店舗データD2にはそれぞれ同一のデータ項目、すなわち、「カートID」、「コンテナID」及び「仕分個数」が含まれている。前述のように、店舗とコンテナ20とは対応付けられており、また、コンテナ20はいずれかの仕分カート2に載置される。このため、「コンテナID」は、当該店舗に対応するコンテナ20の識別コードを示し、「カートID」はそのコンテナ20が載置される仕分カート2の識別コードを示している。さらに、「仕分個数」は、当該店舗から受注した個数、すなわち、仕分すべき個数を示している。
【0050】
このような仕分テーブルTの内容は、一の商品に係るデータごと(すなわち、レコードRごと)に仕分カート2に送信される。この際には、その送信先となる仕分カート2の識別コードに基づいて、商品データD1と、その送信先となる仕分カート2に関連のある3つの店舗データD2とを含むデータが「仕分データ」として送信されることになる。
【0051】
<5.仕分カートの動作>
次に、仕分カート2の動作について説明する。図7は仕分カート2の仕分指示装置5の動作の流れを示し、図8は仕分カート2の収容監視装置6の動作の流れを示している。前述のように、仕分カート2の仕分指示装置5と収容監視装置6とは互いに独立して動作するため、図7と図8とは別個の動作となる。以下、それぞれについて詳細に説明する。
【0052】
<5−1.仕分指示装置の動作>
最初に、図7を参照して仕分指示装置5の動作の流れを説明する。仕分指示装置5は、まず、無線通信部53を利用し、ホストコンピュータ10に対して仕分データの送信を要求する要求信号を送信する。この要求信号には、当該仕分カート2の識別コードが含まれる(ステップS11)。
【0053】
この要求信号に応答して、ホストコンピュータ10からは、仕分テーブルTのうち、仕分けの完了していない商品に係る商品データD1と、当該仕分カート2の識別コードに対応する3つの店舗データD2とを含む「仕分データ」が返信される。これにより、この仕分データが仕分指示装置5に取得される。仕分データには、3つの店舗データの「仕分個数」として、3つのコンテナ20ごとの仕分個数が含まれることになる(ステップS12)。
【0054】
次に、これらの仕分個数の数値が加算され、3つのコンテナ20に係る仕分けの「総個数」がコントローラ50により導出される。そして、この「総個数」と、仕分データに含まれる商品データの内容(「商品名」、「棚番号」等)とが、仕分指示装置5の表示パネル51に表示される。この表示により、当該仕分カート2の作業者Pは、仕分け作業の内容、すなわち、仕分け作業を行うべき商品と、その商品が載置されている商品棚4の棚番号と、仕分け作業を行うべき総個数とを把握できることになる(ステップS13)。
【0055】
作業者Pは、これらの内容を把握すると、商品棚4の番号札41を参照しつつ、表示された棚番号の商品棚4の前まで仕分カート2を移動させる。そして、作業者Pは、取り扱う商品が仕分け対象の商品として正当であるかをチェックするため、その商品棚4から一の商品を取り出し、その商品に付されたバーコードをバーコードリーダ52に読み取らせる。このバーコードは、当該商品の商品コードを示すものである。したがって、その現に存在する商品から、当該商品の商品コードが仕分指示装置5に取得される(ステップS14)。
【0056】
次に、バーコードリーダ52で取得された商品コードと、仕分データに含まれる「商品コード」とが、コントローラ50により照合される(ステップS15)。この照合により、これらの商品コードが一致しなかった場合は、作業者Pが、誤った商品棚4から誤った商品を取り出したことになる。このためこの場合は、その商品が仕分け対象の商品として正当でない旨を示す警告表示が、表示パネル51になされる(ステップS16)。このような処理は、現に存在する商品から取得される商品コードと、仕分データに含まれる「商品コード」とが一致するまで繰り返されることになる。
【0057】
商品コードが一致した場合は、次に、ホストコンピュータ10から仕分指示装置5に取得された仕分データが、さらに、タグリーダライタ54を利用して、作業者Pが装着している携帯装置3に書き込まれる(ステップS17)。この際においては、商品のバーコードをバーコードリーダ52に読み取らせた直後であることから、作業者Pは仕分指示装置5に近接して作業をしており、携帯装置3はタグリーダライタ54の通信可能範囲に存在するため、携帯装置3へ正常に書き込みがなされることになる。
【0058】
作業者Pは、商品の正当性をチェックすると、続いて、3つのコンテナ20のそれぞれに対して商品を投入する仕分作業を行うことになる(ステップSp)。この際には、収容監視装置6による処理が主としてなされる。そして、一のコンテナ20に関する仕分が完了すると、それに対応する収容監視装置6からその旨を示す完了データが携帯装置3に記録される(詳細は後述)。したがって、作業者Pが、3つのコンテナ20の仕分けを完了したときには、携帯装置3に3つの完了データが記録されることになる。
【0059】
作業者Pは、仕分け作業を完了すると、次の仕分け作業の内容を確認するため、仕分指示装置5に接近する。このようにして作業者Pが仕分指示装置5に接近し、携帯装置3がタグリーダライタ54の通信可能範囲内となると、タグリーダライタ54により携帯装置3の内容が取得される。
【0060】
この際において、3つの完了データが取得されなかった場合は、コンテナ20のいずれかの仕分けが完了していないことになるため、仕分指示装置5の動作は待機される(ステップS18にてNo)。一方、3つの完了データが取得された場合は、3つのコンテナ20の全ての仕分けが完了したことになるため(ステップS18にてYes)、次の商品の仕分け作業を行うために、再び、仕分指示装置5から、ホストコンピュータ10に対して仕分データの送信を要求する要求信号が送信される(ステップS19)。
【0061】
そして、仕分けの完了していない商品がある場合は、ホストコンピュータ10から、次の仕分データが仕分カート2に返信される。この仕分データが取得されると(ステップS20にてYes)、処理は再びステップS13に戻ることになる。一方、全ての商品の仕分けが完了した場合は、ホストコンピュータ10から、その旨を示す信号が仕分カート2に返信される(ステップS20にてNo)。この場合は、仕分カート2は動作を終了することになる。
【0062】
<5−2.収容監視装置の動作>
次に、図8を参照して収容監視装置6の動作について説明する。収容監視装置6は、まず、タグリーダライタ63により、携帯装置3から仕分データが取得できるまで動作が待機される(ステップS21)。そして、図7のステップS17の処理により仕分データが記録された状態の携帯装置3が、タグリーダライタ63の通信可能範囲内となると携帯装置3から仕分データが取得される。つまり、作業者Pがコンテナ20への商品を投入するために、コンテナ20(及び収容監視装置6)へ接近して初めて、そのコンテナ20に対応する収容監視装置6に仕分データが取得されることになる。
【0063】
タグリーダライタ63では、仕分データとともに、読み取り対象となった携帯装置3の装置コードも取得される。そして、取得した装置コードが、予めRAMなどに記憶されている装置コードと一致するか否かがコントローラ60により判断される(ステップS22)。このとき、装置コードが一致しなかった場合は、当該仕分カート2の作業者Pとは別の作業者Pが装着する携帯装置3から仕分データが取得されたことになる。このため、この場合は、正当な仕分データでないため、処理は再びステップS21に戻ることになる。
【0064】
装置コードが一致した場合は、次に、取得された仕分データに含まれる店舗データのうちから、「コンテナID」に基づいて自装置に対応するコンテナ20に係る一の店舗データが選択される。自装置に対応するコンテナ20のコンテナIDも予めRAMなどに記憶されている。そして、選択された店舗データに含まれる「仕分個数」が、表示器61に表示される(ステップS23)。これにより、作業者Pに対して、当該表示器61に対応するコンテナ20に投入すべき商品の個数が示されることになる。
【0065】
続いて、仕分データに含まれる「単位重量」と「仕分個数」とが乗算された値が「演算重量」としてコントローラ60により導出される。この「演算重量」は、「仕分個数」の商品をコンテナ20に投入する前と投入した後とで生じるコンテナ20の重量差の理論値となる(ステップS24)。
【0066】
次に、計量部62において、その時点のコンテナ20の全体を計量した重量が風袋とされ、ゼロ調整がなされる(ステップS25)。そして以降、計量部62により、コンテナ20に収容された実際の商品の計量値(以下、「実重量」という。)が繰り返し取得される(ステップS26)。そして、この実重量が、コントローラ60により監視される。
【0067】
具体的には、実重量が演算重量と一致するか否かがコントローラ60により判断される(ステップS27)。実重量が演算重量と一致するということは、「仕分個数」の商品をコンテナ20に投入したことに相当する。すなわち、実重量が演算重量と一致した場合は、当該コンテナ20への仕分けが完了したことになるわけである。なお、商品の重量は、結露や乾燥等によりある程度は変化するものであるため、この場合における「一致」とは、必ずしも厳密な意味での一致でなくてよく、ある程度(例えば、±10g程度)の許容幅を持たせた「略一致」であればよい。
【0068】
このような実重量が演算重量との照合により仕分けの完了が判定されると、その完了の旨を示す表示(例えば、「END」という表示)が表示器61になされる。この表示により、作業者Pは、当該表示器61に対応するコンテナ20についての仕分けが完了したことを認識できることになる(ステップS28)。なお、「仕分個数」が「0」であったときには、ステップS23〜S28までの処理が瞬時になされ、即座に完了の旨を示す表示が表示器61になされることになる。
【0069】
次に、仕分けを完了した旨を示す完了データが、タグリーダライタ63により携帯装置3に記録される。このとき同時に、当該収容監視装置6に対応するコンテナ20に係る店舗データは、携帯装置3から削除される。この際においては、作業者Pは、その直前までコンテナ20及びそれに対応する収容監視装置6に近接して作業をしていたことから、携帯装置3はタグリーダライタ54の通信可能範囲に存在するため、携帯装置3に係るデータの書き込み及びデータの削除が正常になされることになる(ステップS29)。
【0070】
これにより、当該収容監視装置6に対応するコンテナ20に関する処理は完了するが、以降は、コントローラ60が、他の2つの収容監視装置6のコントローラ60と相互に通信を行い、全てのコンテナ20に対する仕分けが完了したか否かが確認される(ステップS30)。そして、全てのコンテナ20に対する仕分けが完了すると、表示器61の表示が消去されることになる(ステップS31)。
【0071】
以上説明した収容監視装置6の動作は、3つの収容監視装置6のそれぞれでなされることになる。したがって、作業者Pがある一のコンテナ20に接近すると、それにより初めて当該コンテナ20に対応する表示器61に仕分個数が表示される。これにより、接近する前から表示器61に仕分個数が表示されている場合よりも、作業者Pは作業にあたって表示器61の表示により注目することになる。このため、作業者Pの作業への注意喚起を行うことができ、作業ミスを効果的に防止できる。
【0072】
また、ある一のコンテナ20に対応する表示器61に仕分個数の表示がなされても、他の表示器61には近づかない限り仕分個数の表示はなされない。このようなことから、作業者Pは一のコンテナ20に関する作業を集中して行うことができる。
【0073】
さらに、各コンテナ20ごとに、計量部62の計量値と演算重量とに基づいてコンテナ20への仕分けの完了が判定されて、その完了の旨が表示される。したがって、作業者Pは、作業が完了したコンテナ20と、作業が未完了のコンテナ20とを明確に区別でき、作業ミスをさらに防止できる。
【0074】
また一方で、仕分指示装置5では、現に存在する商品から取得された商品コードと、仕分データに含まれる商品コードとが一致するまで、携帯装置3に仕分データの記録がなされない。このため商品コードが一致しない場合は、作業者Pがコンテナ20に近づいたとしても表示器61に仕分個数が表示されることはない。したがって、誤った商品についての仕分け作業がなされることを確実に防止することができる。
【0075】
また、仕分指示装置5と収容監視装置6とは、それぞれが備えるコントローラ50,60の制御下で独立して動作することから、一の装置のコントローラに処理が集中することがなく分散して処理を行うことができる。このため、仕分指示装置5及び収容監視装置6のそれぞれのコントローラ50,60の負荷を効果的に低減できる。
【0076】
<6.他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態(以下、「代表形態」という。)に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような他の実施の形態について説明する。
【0077】
<6−1.人体通信>
代表形態では、近傍空間のみ通信可能な無線通信を採用することで、仕分指示装置5と携帯装置3との間のデータ通信を制限するようにしていた。これによれば、作業者Pがなんら意識することなくデータの伝送が可能という点では有利であるが、作業者Pにより高い意識付けを持たせて作業を行わせたい場面もあり得る。このため、作業者Pが接触して初めてデータの伝送が可能となる人体通信を採用してもよい。
【0078】
図9は、作業者Pが、人体通信を行う携帯装置3を利用している様子を示す図である。この場合においても、携帯装置3は、装置本体部31とベルト32とから構成され、腕時計のように作業者Pの腕に装着して利用される。そして、人体通信を採用した場合では、この携帯装置3を装着した側の指で、通信対象の装置に設けられる電極7に触れると、人体をデータ伝送経路として、携帯装置3と、通信対象の装置との間でデータの伝送が可能となる。このような人体通信の原理については、例えば、特許文献2に開示されている。
【0079】
この場合における携帯装置3の装置本体部31の構成は、図10に示すように、図5におけるアンテナ33に替えて、人体通信を行うための人体通信部35を設けることになる。また、仕分指示装置5及び収容監視装置6においても、図11に示すように、図3のタグリーダライタ54,63に替えて、人体通信を行うための人体通信部55,64を設けることになる。これら人体通信部55,64のそれぞれは、触れることが出来るように装置の表面に露出して図9の如き電極7を備えている。
【0080】
また、この場合における仕分カートの動作は代表形態とほぼ同様であるが、仕分指示装置5と携帯装置3との間のデータ通信(図7のステップS17,S18)、及び、収容監視装置6と携帯装置3との間のデータ通信(図8のステップS21,S29)は、人体通信によって行われる。したがって、作業者Pは、仕分け作業を行うにあたって取り扱う装置の電極7に対して、意識的に接触する必要がある。
【0081】
このような接触が必要となることは、いわゆる指差確認と同様の効果を生み、作業者Pに対して、作業に対する高い意識付けを持たせることができることになる。これにより、作業ミスを効果的に防止できる。また、正当な携帯装置3以外の携帯装置3と誤ってデータ通信が行われるなどの混信も有効に防止できる。
【0082】
<6−2.その他の変形例>
代表形態において携帯装置3は、腕時計のように腕に装着する態様のものに限定されず、作業者Pが所持すること(身につけること)が可能なものであればどのような態様のものであってもよい。例えば、携帯装置3は、衣服のポケットに入れて利用するようなものであってもよい。
【0083】
また、代表形態では、仕分システムの一例として商品を商品棚から取り出して仕分カートのコンテナに投入するピッキングシステムについて説明を行ったが、逆に、商品を仕分カートのコンテナから取り出して商品棚に投入するソーティングシステムであっても、代表形態において説明した技術を好適に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】仕分システムの概略構成を示す図である。
【図2】仕分カートの構成を模式的に示す図である。
【図3】仕分カートの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】作業者が携帯装置を利用している様子を示す図である。
【図5】携帯装置の内部構成を模式的に示す図である。
【図6】仕分テーブルの一例を示す図である。
【図7】仕分指示装置の動作の流れを示す図である。
【図8】収容監視装置の動作の流れを示す図である。
【図9】作業者が携帯装置を利用している様子を示す図である。
【図10】携帯装置の内部構成を模式的に示す図である。
【図11】仕分カートの電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0085】
2 仕分カート
3 携帯装置
4 商品棚
5 仕分指示装置
6 収容監視装置
61 表示器
10 ホストコンピュータ
20 コンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕分システムに用いられ、複数の収容器に商品を収容しつつ運搬する仕分カートであって、
所定のサーバ装置から、前記複数の収容器ごとの仕分個数を受信する受信手段と、
前記複数の収容器ごとの仕分個数を、当該仕分カートのオペレータが所持する可搬性記録装置に記録する記録手段と、
前記複数の収容器をそれぞれ載置するための複数の載置台と、
前記複数の載置台にそれぞれ配置され、対応する前記収容器に係る仕分個数を近傍空間に存在する前記可搬性記録装置から取得して表示する複数の表示手段と、
を備えることを特徴とする仕分カート。
【請求項2】
請求項1に記載の仕分カートにおいて、
前記表示手段は、無線通信を利用して前記可搬性記録装置から前記仕分個数を取得することを特徴とする仕分カート。
【請求項3】
請求項2に記載の仕分カートにおいて、
前記可搬性記録装置は、固有の識別情報を有し、
前記表示手段は、
前記可搬性記録装置から前記仕分個数とともに前記識別情報を取得し、
取得した前記識別情報が所定の条件を満足する場合に、取得した前記仕分個数を表示することを特徴とする仕分カート。
【請求項4】
請求項1に記載の仕分カートにおいて、
前記表示手段は、前記オペレータの人体をデータ伝送経路とする人体通信を利用して前記可搬性記録装置から前記仕分個数を取得することを特徴とする仕分カート。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の仕分カートにおいて、
前記受信手段は、前記複数の収容器ごとの仕分個数とともに、仕分対象となる商品の第1商品コードを前記サーバ装置から受信するものであり、
現にある商品から、該商品に付された第2商品コードを読み取る読取手段と、
前記第1商品コードと、前記第2商品コードとを照合する照合手段と、
をさらに備え、
前記記録手段は、前記第1商品コードと前記第2商品コードとが一致した場合に、前記複数の収容器ごとの仕分個数を前記可搬性記録装置に記録することを特徴とする仕分カート。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の仕分カートにおいて、
前記複数の載置台にそれぞれ配置され、対応する前記収容器に収容された商品を計量する複数の計量手段と、
前記収容器ごとの仕分の完了を、当該収容器に対応する前記計量手段による計量値と、当該収容器に係る前記仕分個数に応じて導出される演算重量とに基づいて判定する判定手段と、
をさらに備え、
前記表示手段は、対応する前記収容器についての仕分の完了が判定されたとき、その旨を表示することを特徴とする仕分カート。
【請求項7】
商品を仕分るための仕分システムであって、
請求項1ないし6のいずれかに記載の仕分カートと、
前記仕分カートのオペレータが所持し、前記仕分カートの前記複数の収容器ごとの仕分個数を記録する可搬性記録装置と、
を備えることを特徴とする仕分システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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