説明

付着促進体を有する、偏光板のガード型カバーシート

本発明は概ね、偏光板のための保護カバーシートとして使用されるポリマーフィルム、偏光板の製造方法、該偏光板を採用する液晶ディスプレイに関する。より具体的には、本発明は、取り外し可能なキャリヤ支持体、必要に応じて前記キャリヤ支持体とは反対側のカバーシート上に、カバーシート及び偏光板の製造中に汚れや摩耗からカバーシートを保護する剥離可能な保護層を有するカバーシート複合体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概ね、偏光板のための保護カバーシートとして使用されるポリマーフィルム、偏光板の改善された製造方法、該偏光板を採用する液晶ディスプレイに関する。より具体的には、本発明は、取り外し可能なキャリヤ支持体、及び、低複屈折ポリマーフィルムと、前記キャリヤ支持体の、該低複屈折ポリマーフィルムと同じ側に位置する、ポリビニルアルコールとの付着を促進する層とを含むカバーシートを含んで成るカバーシート複合体に関する。随意選択的には、前記キャリヤ支持体とは反対側のカバーシート上に、剥離可能な保護層を適用することができる。本発明のガード型カバーシートは、カバーシート及び偏光板の製造中に汚れや摩耗による欠陥を被りにくくなる。加えて、カバーシートは、ポリビニルアルコール含有二色性フィルムとの優れた付着力を有し、そして二色性フィルムとのラミネーション前にカバーシートをアルカリ処理する必要をなくする。
【背景技術】
【0002】
種々の光学用途において、透明樹脂フィルムが使用される。具体的には、樹脂フィルムは、種々の電子ディスプレイ、具体的には液晶ディスプレイ(LCD)における偏光子のための保護カバーシートとして使用される。
【0003】
LCDは、樹脂フィルムから形成することができる数多くの光学素子を含有する。反射性LCDの構造は、液晶セル、1つ又は2つ以上の偏光板、及び1つ又は2つ以上の光管理フィルムを含むことができる。液晶セルは、液晶、例えばねじれネマティック(TN)材料又は超ねじれネマティック(STN)材料を2つの電極基板の間に分散させることにより、形成される。偏光板は典型的には、樹脂フィルムの多層素子であり、また、2つの保護カバーシートの間にサンドイッチされた偏光フィルムから成っている。偏光フィルムは通常、透明且つ高均一な非晶質樹脂フィルムから調製される。続いて非晶質樹脂フィルムは、ポリマー分子を配向するように延伸され、そして二色性フィルムを製造するように色素で染色される。偏光フィルムの形成に適した樹脂の例は、完全加水分解型ポリビニルアルコール(PVA)である。偏光子を形成するのに使用される延伸PVAフィルムは極めて脆弱であり、寸法不安定なので、保護カバーシートは通常、支持性と耐摩耗性との双方を提供するためにPVAフィルムの両側にラミネートされる。偏光板の保護カバーシートは、高い均一性、良好な寸法的及び化学的安定性、並びに高い透明性を有することが必要とされる。最初、保護カバーシートは、ガラスから形成されたが、しかし今は、数多くの樹脂フィルムを使用することにより、軽量且つフレキシブルな偏光子が製造される。セルロース、アクリル、環状オレフィン・ポリマー、ポリカーボネート、及びスルホンを含む多くの樹脂が、保護カバーシートにおいて使用するように示唆されてはいるが、アセチルセルロース・ポリマーが、偏光板用保護カバーにおいて最も広く使用されている。アセチルセルロース・タイプのポリマーは、種々様々な分子量、並びにセルロース主鎖上のヒドロキシ基のアセチル置換度で、商業的に入手可能である。これらのうち、完全置換型ポリマー、トリアセチルセルロース(TAC)を一般に使用することにより、偏光板用保護カバーシートにおいて使用するための樹脂フィルムが製造される。
【0004】
カバーシートは通常、PVA二色性フィルムとの良好な付着を保証するために、表面処理を必要とする。TACが偏光板の保護カバー・フィルムとして使用されるときには、TACフィルムにはアルカリ浴中の処理を施して、TAC表面を鹸化することにより、PVA二色性フィルムとの好適な付着を可能にする。アルカリ処理は、アルカリ金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含有する水溶液を使用する。アルカリ処理後、酢酸セルロース・フィルムは典型的には弱酸性溶液で洗浄され、続いて水で濯がれ、そして乾燥させられる。この鹸化プロセスは、煩わしくしかも多くの時間がかかる。米国特許第2,362,580号明細書に記載された層状構造の場合、2つのセルロースエステル・フィルムがそれぞれ、硝酸セルロースを含有する表面層を有し、そしてPVAフィルムの両側に改質PVAが付着させられる。特開平06-094915号公報に開示された偏光板用保護フィルムの場合、保護フィルムは、PVAフィルムとの付着を可能にする親水性層を有する。
【0005】
画像の視野角を改善するための補償フィルムとしても役立つ保護カバーシートを含有し得る、いくつかのLCDデバイスがある。補償フィルム(すなわちリターデーション・フィルム又は位相差フィルム)は通常、非晶質フィルムから調製され、これらのフィルムは、一軸延伸、又はディスコティック色素の塗膜によって、制御された複屈折レベルを有する。延伸によって補償フィルムを形成するように示唆される好適な樹脂は、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、及びスルホンを含む。色素を用いた処理によって調製される補償フィルムは通常、低複屈折を有する高透明フィルム、例えばTAC及び環状オレフィン・ポリマーを必要とする。
【0006】
保護カバーシートは、他の機能層(本明細書中では補助層ともよばれる)、例えば防眩層、反射防止層、スマッジ防止層、又は静電防止層の適用を必要とすることがある。一般に、これらの機能層は、樹脂フィルムの製造とは別個の工程段階で適用される。
【0007】
一般に、樹脂フィルムは溶融押出法又は流延押出法によって調製される。溶融押出法は、溶融(100,000 cpオーダーの概算粘度)されるまで樹脂を加熱し、次いで、高温溶融ポリマーを押出ダイを用いて高研磨金属バンド又はドラムに適用し、フィルムを冷却し、そして最後に金属サポートからフィルムを引き剥がすことを伴う。しかし、多くの理由から、溶融押出によって調製されたフィルムは、光学用途に適していない。これらの理由のうちの主要なものは、溶融押出されたフィルムが、高い光学複屈折度を示すという事実である。高置換型酢酸セルロースの場合、ポリマーを溶融する付加的な問題がある。三酢酸セルロースの融点は270〜300℃と極めて高く、この温度は分解が始まる温度を上回る。米国特許第5,219,510号明細書(Machell)に教示されているように、酢酸セルロースと種々の可塑剤とを配合することにより、より低い温度で溶融押出を行うことによって、フィルムが形成されている。しかし、米国特許第5,219,510号明細書(Machell)に記載されたポリマーは、完全置換型三酢酸セルロースではなく、より小さなアルキル置換度を有するか、又はアセテート基の代わりにプロピオネート基を有する。そうではあっても、米国特許第5,753,140号明細書(Shigenmura)に記載されているように、酢酸セルロースの溶融押出フィルムが示す平坦性は低いことが知られている。これらの理由から、溶融押出法は一般に、電子ディスプレイ内の保護カバー及び支持体を調製するために使用される三酢酸セルロースを含む多くの樹脂フィルムを製作するには現実的ではない。むしろ、これらのフィルムを製造するためには、流延法が一般に用いられる。
【0008】
光学用途のための樹脂フィルムは、ほとんど専ら流延法によって製造される。流延法は、適切な溶剤中にポリマーを先ず溶解させて、50,000 cpオーダーの高い粘度を有するドープを形成し、次いで粘性ドープを押出ダイを通して連続的な高研磨金属バンド又はドラムに適用し、湿潤フィルムを部分的に乾燥させ、金属サポートから部分乾燥したフィルムを引き剥がし、そして炉を通して、部分乾燥フィルムを搬送することにより、フィルムから溶剤をより完全に除去することを伴う。流延フィルムの最終乾燥厚は典型的には40〜200ミクロンである。一般に、引き剥がし工程中及び乾燥工程中の湿潤フィルムが脆弱であることにより、40ミクロン未満の薄いフィルムは、流延法によって製造するのが極めて難しい。厚さ200ミクロンを上回るフィルムはまた、最終乾燥工程において溶剤の除去に困難が伴うことにより、問題をはらむ。流延法の溶解工程及び乾燥工程が複雑さやコストを高めはするものの、流延フィルムは一般に、溶融押出法によって調製されたフィルムと比較して、より良好な光学特性を有し、また、高温での分解に伴う問題が回避される。
【0009】
流延法によって調製される光学フィルムの例は:1)米国特許第4,895,769号明細書(Land)及び同第5,925,289号明細書(Cael)、並びに、米国特許出願公開第2001/0039319号明細書(Harita)及び同第2002/001700号明細書(Sanefuji)のより最近の開示内容に開示されているような、偏光子を調製するために使用される酢酸セルロース・シート、2)米国特許第5,695,694号明細書(Iwata)に開示されているような、偏光子用保護カバーのために使用される三酢酸セルロース・シート、3)米国特許第5,818,559号明細書(Yoshida)及び同第5,478,518号明細書及び同第5,561,180号明細書(両方ともTaketani)に開示されているような、偏光板用又はリターデーション板用の保護カバーのために使用されるポリカーボネート・シート、及び4)米国特許第5,759,449号明細書及び同第5,958,305号明細書(両方ともShiro)に開示されているような、偏光板用又はリターデーション板用の保護カバーのために使用されるポリエーテルスルホン・シートを含む。
【0010】
光学フィルムを製造するために流延法が広く用いられてはいるものの、しかし流延技術には数多くの欠点がある。1つの欠点は、流延されたフィルムが顕著な光複屈折を有することである。流延法によって調製されたフィルムの複屈折は、溶融押出法によって調製されたフィルムと比較すれば低くはあるが、複屈折は好ましくない高さのままである。例えば流延法によって調製された三酢酸セルロース・フィルムは、米国特許第5,695,694号明細書(Iwata)に開示されているように、可視スペクトル内の光に対して面内リターデーション 7ナノメートル(nm)を示す。流延法によって調製されたポリカーボネート・フィルムは、米国特許第5,478,518号明細書及び同第5,561,180号明細書(両方ともTaketani)に開示されているように、面内リターデーション 17ナノメートル(nm)を示す。米国特許出願公開第2001/0039319号明細書(Harita)の主張によれば、フィルム内部の幅方向位置間のリターデーションの差が元の未延伸フィルムにおいて5 nm未満である場合に、延伸済酢酸セルロース・シートの色不規則性が低減される。光学フィルムの多くの用途の場合、面内リターデーション値は低いことが望ましい。具体的には、面内リターデーションの値は10 nm未満であることが好ましい。
【0011】
同一譲受人による米国特許出願公開第2003/0215658号、同第2003/0215621号、同第2003/0215608号、同第2003/0215583号、同第2003/0215582号、同第2003/0215581号、同第2003/0214715号の各明細書には、光学用途に適した、低複屈折を有する樹脂フィルムを調製するためのコーティング法が記載されている。樹脂フィルムは、流延フィルムを調製するために通常使用されるものよりも低い粘度のポリマー溶液から、不連続的な犠牲支持体上に適用される。
【0012】
製造作業中のポリマーの配向から、流延又は塗布されたフィルムにおける複屈折が生じる。この分子配向は、フィルム平面内部の屈折率をある程度異なるものにする。面内複屈折は、フィルム平面内部の垂直方向におけるこれらの屈折率間の差である。複屈折にフィルム厚を掛け算した絶対値は、面内リターデーションとして定義される。従って、面内リターデーションは、フィルム平面内部の分子異方性の尺度である。
【0013】
流延プロセス中、ダイ内のドープに作用する剪断力、適用中に金属サポートによってドープに作用する剪断力、引き剥がし工程中に部分乾燥フィルムに作用する剪断力、及び最終乾燥工程全体を通して、搬送中に自立しているフィルムに作用する剪断力、を含む数多くの源から、分子配向が生じ得る。これらの剪断力はポリマー分子を配向し、そして最終的には、不所望に高い複屈折又はリターデーション値を招く。剪断力を最小化し、そして最低複屈折フィルムを得るために、米国特許第5,695,694号明細書(Iwata)に開示されているように、流延プロセスが典型的には、1〜15 m/分という極めて低いライン速度で作業される。ライン速度を遅くすると、一般に、最高品質のフィルムが製造される。
【0014】
流延法の別の欠点は、多層を正確に適用することができないことである。米国特許第5,256,357号明細書(Hayward)に記載されているように、コンベンショナルな多スロット流延ダイは、受け入れがたいほどに不均一なフィルムを形成する。具体的には線及び筋の不均一性は、従来技術の装置の場合、5%を上回る。米国特許第5,256,357号明細書(Hayward)に教示されているような特殊なダイ・リップ構成を採用することにより、受け入れられ得る2層フィルムを調製することはできるが、しかしその構成は複雑であり、3つ以上の層を同時に適用するには現実的ではない。
【0015】
流延法の別の欠点は、ドープ粘度に対する制約である。流延の実施において、ドープ粘度は50,000 cpオーダーである。例えば、米国特許第5,256,357号明細書(Hayward)には、粘度100,000 cpのドープを使用した実際的な流延例が記載されている。例えば米国特許第5,695,694号明細書(Iwata)に記載されているように、一般に、流延フィルムの調製の際に用いられるドープの粘度が低いと、不均一なフィルムが製造されることが知られている。米国特許第5,695,694号明細書(Iwata)において、流延試料を調製するために使用される最低粘度ドープは、約10,000 cpである。しかしこれらの高粘度値では、流延ドープは濾過及び脱ガスが難しい。繊維及び大きい破片は除去することができるのに対して、材料が軟質であればあるほど、例えばポリマー・スラグを、ドープ供給システム内に見いだされる高い圧力で濾過するのは難しくなる。粒子及び気泡のアーチファクトが、目立つ包含物欠陥並びに筋を形成し、実質的な廃棄物を生み出すことがある。
【0016】
加えて、流延法は、生成物の変化に対して比較的フレキシブルでないおそれがある。流延は高粘度ドープを必要とするので、生成配合物の変化は、供給システムをクリーニングして汚染の可能性を取り除くための大幅な中断時間を必要とする。特に問題なのは、適合性のないポリマー及び溶剤を伴う配合物の変化である。事実、配合物の変化は、流延法を用いる場合には時間がかかり且つ費用がかかるので、たいていの製造機械は、専らただ1つのフィルム・タイプを生成するようになっている。
【0017】
流延フィルムは望ましくない襞又は皺を示すことがある。フィルムは薄ければ薄いほど、流延プロセスの引き剥がし・乾燥工程中、又は後続のフィルム取り扱い中に寸法上のアーチファクトを特に受けやすい。特に、樹脂フィルムから偏光板を調製するには、アルカリ浴内で鹸化前処理し、次いで接着剤、圧力、及び高い温度を加えることを伴うラミネーション・プロセスが必要となる。極めて薄いフィルムは、皺を作らずにこのラミネーション・プロセス中に取り扱うのが難しい。加えて、多くの流延フィルムは、湿分の効果によって時間の経過とともに自然に歪んでくることがある。光学フィルムの場合、貯蔵中並びに後続の偏光板製作中に、良好な寸法安定性が必要である。最後に、偏光板用保護カバーシートとして使用される樹脂フィルムは、カバーシートの製造・取り扱い中に、引掻き傷及び摩耗を被りやすく、また、汚れやダストがこれに蓄積しやすい。ディスプレイ用途のための高品質偏光板の調製は、物理的損傷、又は汚れやダストの堆積による欠陥がないことを必要とする。カバーシートが鹸化の必要性を回避することにより、生産性を高め、しかもシートの付加的な搬送及び取り扱いをなくすことも極めて有利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、コンベンショナルな流延法によって調製された従来技術の偏光子カバーシートの限界を克服し、そして偏光板の製作に必要な工程中の取り扱い及び処理を改善可能にする、より薄い新しいカバーシートを提供することである。
【0019】
別の目的は、複雑な表面処理、例えば偏光板製作前の鹸化の必要性をなくする、PVAフィルムとの付着を促進する層を含む新しいカバーシートを提供することである。
【0020】
別の目的は、偏光板製作に必要なその製造工程、貯蔵工程及び最終取り扱い工程中に、物理的損傷、例えば引掻き傷や摩耗を被りにくく、またより高い寸法安定性を有する新しいカバーシートを提供することである。
【0021】
さらに別の目的は、偏光板製作に必要なその製造工程、貯蔵工程及び最終取り扱い工程中に、汚れやダストが蓄積しにくい新しいカバーシートを提供することである。
【0022】
さらに別の目的は、本発明の新しいカバーシートを使用して、改善された偏光板製作プロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明のこれらの目的及びその他の目的は、キャリヤ支持体、及び、低複屈折ポリマーフィルムと、PVAとの付着を促進する層と、前記キャリヤの、該低複屈折ポリマーフィルムと同じ側に位置する1つ又は2つ以上の補助層とを含むカバーシートを含んで成るガード型カバーシート複合体によって達成される。本発明において有用な補助層は、耐摩耗層、防眩層、低反射層、反射防止層、静電防止層、視野角補償層、及び湿分バリヤ層を含む。ガード型カバーシート複合体は、低複屈折ポリマーフィルムの、キャリヤ支持体とは反対側に、剥離可能な保護層を含むこともできる。
【0024】
極めて薄いカバーシートの製作はキャリヤ支持体によって容易にされる。キャリヤ支持体は、乾燥プロセス全体を通して湿潤カバーシート・塗膜を支持し、そして、従来技術で記載した流延法において必要とされるような、最終乾燥工程前に金属バンド又はドラムからシートを引き剥がすことの必要性をなくする。むしろ、カバーシートは、キャリヤ支持体からの分離前に完全に乾燥させられる。実際に、カバーシートとキャリヤ支持体とを含む複合体は、巻き取られてロールにされ、偏光板製作のために必要となるまで貯蔵される。PVA二色性フィルムとの付着を促進する層を含むカバーシートは、カバーシートの鹸化の必要性をなくする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
下記定義が、本明細書中の記述内容に適用される:
層の面内位相リターデーションRinは、(nx-ny)dによって定義された量である。上記式中、nx及びnyは、x及びyの方向における屈折率である。xは、x-y平面内の最大屈折率の方向と見なされ、そしてy方向は、x-y平面に対して垂直である。x-y平面は層の表面に対して平行である。dはz方向における層の厚さである。量(nx-ny)は、面内複屈折Δninとよばれる。Δnin値は、波長λ=550nmで与えられる。
【0026】
層の面外位相リターデーションRthは、[nz-(nx+ny)/2]dによって定義された量である。nzはz方向における屈折率である。量[nz-(nx+ny)/2]は、面外複屈折Δnthとよばれる。nz>(nx+ny)/2である場合、Δnthは正であり(正の複屈折)、ひいては対応するRthも正である。nz<(nx+ny)/2である場合、Δnthは負であり(負の複屈折)、ひいてはRthも負である。Δnth値は、波長λ=550nmで与えられる。
【0027】
ポリマーの固有複屈折Δnintは、(ne-no)によって定義された量を意味し、ne及びnoはそれぞれ、ポリマーの異常光屈折率及び正常光屈折率である。ポリマー層の実際の複屈折(面内nin又は面外nth)は、これを形成するプロセス、ひいてはパラメーターΔnintに依存する。
【0028】
非晶質は、長距離秩序の欠如を意味する。従って非晶質ポリマーは、X線回折のような技術によって測定して、長距離秩序を示さない。
【0029】
透過率は、光透過性を測定するための量である。透過率は、入ってくる光の強度Iinに対する、出てゆく光の強度Ioutのパーセンタイル比によって、Iout/Iin × 100として与えられる。
【0030】
光軸は、伝搬光が複屈折を被らない方向を意味する。
一軸は、3つの屈折率nx、ny及びnzのうちの2つが事実上同じであることを意味する。
二軸は、3つの屈折率nx、ny及びnzが全て異なることを意味する。
【0031】
液晶ディスプレイにおいて採用されるカバーシートは、典型的には、光複屈折が低い高分子シートである。これらの高分子シートを二色性フィルムの各側に採用することにより、二色性フィルムの寸法安定性を維持し、そして湿分及びUV劣化からこのフィルムを保護する。下記説明において、ガード型カバーシートは、取り外し可能な保護キャリヤ支持体上に配置されたカバーシートを意味する。カバーシートの、キャリヤ支持体とは反対側には、剥離可能な保護フィルムを採用することもできるので、カバーシートの両側が、偏光板におけるその使用前に保護される。
【0032】
PVAとの付着を促進する層は、低複屈折ポリマーフィルムの適用とは別個に、又は低複屈折ポリマーフィルムの適用と同時に、塗布工程において適用される区別可能な層である。PVAとの付着を促進する層は、PVAフィルムとのラミネーション前にカバーシートに湿式前処理、例えば鹸化を施す必要なしに、PVA二色性フィルムとのカバーシートの受け入れられ得る付着力を提供する。
【0033】
本発明は、液晶ディスプレイ用偏光板の製作に際して使用される改善されたカバーシートに関する。具体的には、本発明は、キャリヤ支持体と、低複屈折ポリマーフィルムと、PVAとの付着を促進する層と、前記キャリヤ支持体の、該低複屈折ポリマーフィルムと同じ側に位置する1つ又は2つ以上の補助層とを含むガード型カバーシート複合体を提供する。本発明において使用するのに適した補助層は、耐摩耗性硬質コート層、防眩層、スマッジ防止層、ステイン防止層、反射防止層、低反射層、静電防止層、視野角補償層、及び湿分バリヤ層を含む。随意選択的には、本発明のガード型カバーシート複合体はまた、カバーシートの、キャリヤ支持体とは反対側に、剥離可能な保護層を含む。本発明のカバーシート複合体は、従来技術のカバーシートと比較して取り扱いが改善され、カバーシート製造中及びこれに続く、偏光板製作時における使用中に、物理的欠陥を被りにくくなり、また汚れやダストが蓄積されにくくなる。本発明はまた、改善された偏光板、及び本発明のガード型カバーシート複合体を使用した偏光板の製作方法に関する。
【0034】
図1に目を転じると、本発明のガード型カバーシート複合体を調製するのに適した周知のコーティング・乾燥システム10の一例の概略が示されている。コーティング・乾燥システム10は典型的には、運動中のキャリヤ支持体12に極めて薄いフィルムを適用し、続いて乾燥器14内で溶剤を除去するために使用される。システム10がただ1つの塗膜適用点及びただ1つの乾燥器14を有するように、単一のコーティング装置16が図示されているが、しかし、対応する乾燥区分を有する2つ又は3つ以上(6つの場合さえある)の付加的な塗布適用点が、複合薄型フィルムの製作において知られている。順次適用・乾燥プロセスは、タンデム型塗布作業として当業者に知られている。
【0035】
コーティング・乾燥装置10は、繰り出しステーション18を含むことにより、バックアップ・ローラ20を巡るように、運動中の支持体12をフィードする。バックアップ・ローラ20において、コーティング装置16によって塗膜が適用される。塗布済の支持体22は次いで、乾燥器14を通って進む。本発明の実施に際して、支持体12上にカバーシートを含む最終的なガード型カバーシート複合体24は、巻き上げステーション26で巻き取られてロールにされる。
【0036】
図示のように、一例としての4層塗膜が、運動中のウェブ12に適用される。各層の塗布液が、それぞれのコーティング供給容器28, 30, 32, 34内に保持される。塗布液は、コーティング供給容器からコーティング装置16の導管44, 46, 48, 50へ、ポンプ36, 38, 40, 42によって送達される。加えて、コーティング・乾燥システム10は、放電装置、例えばコロナ又はグロー放電装置52、又は極性電荷支援装置54を含むことにより、塗膜適用前に支持体12を改質することもできる。
【0037】
次に図2に目を転じると、剥離可能な保護層を適用するための別の巻き取り作業を伴う、図1に示されたものと同じコーティング・乾燥システム10例の概略が示されている。従って、図面は、巻き取り作業までは同一の符号がつけられている。本発明の実施において、カバーシートが適用されたキャリヤ支持体(樹脂フィルム、紙、樹脂コート紙又は金属であってよい)を含むガード型カバーシート複合体24は、互いに対向するニップローラ56, 58の間に運ばれる。ガード型カバーシート複合体24は、繰り出しステーション62から供給される、予め形成された剥離可能な保護層60に、接着又は静電気によって付着させられ、そして、剥離可能な保護層を含有するガード型カバーシート複合体は、巻き上げステーション64で巻き取られてロールにされる。本発明の好ましい態様の場合、予め形成された剥離可能な保護層60として、ポリオレフィン又はポリエチレンフタレート(PET)が使用される。カバーシート/キャリヤ支持体複合体24又は保護層60を、電荷発生器で前処理することにより、カバーシート/キャリヤ支持体複合体24に対する保護層60の静電気引力を高めることができる。
【0038】
運動中の支持体12に塗布液を送達するために使用されるコーティング装置16は、多層アプリケーター、例えば米国特許第2,761,791号明細書(Russell)に教示されているようなスライド・ビード・ホッパー、又は米国特許第3,508,947号明細書(Hughes)に教示されているようなスライド・カーテン・ホッパーであってよい。或いは、コーティング装置16は、単層アプリケーター、例えばスロットダイ・ビード・ホッパー又はジェット・ホッパーであってよい。本発明の好ましい態様の場合、適用装置16は、多層スライド・ビード・ホッパーである。
【0039】
上述のように、コーティング・乾燥システム10は乾燥器14を含む。乾燥器14は典型的には、塗布済のフィルムから溶剤を除去するための乾燥炉となる。本発明の方法において使用される乾燥器14の一例は、第1乾燥区分66、及びこれに続く、温度及び空気流を独立して制御することができる8つの付加的な乾燥区分68〜82を含む。乾燥器14が9つの独立した乾燥区分を有するものとして示されてはいるものの、より数少ない区画を有する乾燥炉がよく知られており、これを使用して本発明の方法を実施することもできる。本発明の好ましい態様の場合、乾燥器14は、2つ以上の独立した乾燥ゾーン又は乾燥区分を有している。
【0040】
好ましくは、乾燥区分68〜82のそれぞれは、独立した温度制御部及び空気流制御部を有している。各区分において、温度は5℃〜150℃で調節することができる。湿潤層の表面硬化又はスキニングから生じる乾燥欠陥を最小化するために、乾燥器14の初期区分において、最適な乾燥速度が必要となる。初期乾燥ゾーン内の温度が不適切である場合に形成される数多くのアーチファクトがある。例えば、ゾーン66, 68及び70内の温度が25℃に設定されると、酢酸セルロース・フィルムのカブリ又はブラッシングが観察される。このブラッシング欠陥は、塗布流体中に高い蒸気圧の溶剤(塩化メチレン及びアセトン)が使用されると、特に問題をはらむ。初期乾燥区分66, 68及び70における95℃という極端に高い温度は、キャリヤ支持体からのカバーシートの時期尚早の層間剥離を引き起こすことが見いだされる。初期乾燥区分におけるより高い温度は、他のアーチファクト、例えばカバーシートの表面硬化、網目パターン、及び膨れとも関連する。本発明の好ましい態様の場合、第1乾燥区分66が、約25℃以上、95℃未満の温度で操作され、この場合、塗布済ウェブ22の湿潤塗膜に対する直接的な空気の衝突はない。本発明の方法の別の好ましい態様の場合、乾燥区分68及び70も、約25℃以上、95℃未満の温度で操作される。初期乾燥区分66, 68が約30℃〜約60℃の温度で操作されることが好ましい。初期乾燥区分66, 68が約30℃〜約50℃の温度で操作されることが最も好ましい。乾燥区分66, 68における実際の乾燥温度は、当業者によってこれらの範囲内で実験に基づいて最適化することができる。
【0041】
ここで図3を参照すると、コーティング装置16の一例の概略が詳細に示されている。側方断面で概略的に示されたコーティング装置16は、前区分92、第2区分94、第3区分96、第4区分98、及び後板100を含む。ポンプ106を介して第1計量スロット104に塗布液を供給することにより、最下層108を形成する第2区分94内への入口102がある。ポンプ114を介して第2計量スロット112に塗布液を供給することにより、層116を形成する第3区分96内への入口110がある。ポンプ122を介して計量スロット120に塗布液を供給することにより、層124を形成する第4区分98内への入口118がある。ポンプ130を介して計量スロット128に塗布液を供給することにより、層132を形成する後板100内への入口126がある。各スロット104, 112, 120, 128は、横方向分配キャビティを含む。前区分92は傾斜スライド面134とコーティング・リップ136とを含む。第2区分94の上側には、第2傾斜スライド面138がある。第3区分96の上側には、第3傾斜スライド面140がある。第4区分98の上側には、第4傾斜スライド面142がある。後板100は傾斜スライド面142よりも上方に延びており、これにより後ろ側のランド面144を形成する。コーティング装置又はホッパー16に隣接して、コーティング・バッキング・ローラ20が存在している。コーティング・バッキング・ローラ20を巡って、ウェブ12が搬送される。塗膜層108, 116, 124, 132が多層複合体を形成する。多層複合体は、リップ136と支持体12との間にコーティング・ビード146を形成する。典型的には、コーティング・ホッパー16は、非コーティング位置から、コーティング・バッキング・ローラ20に向かって、そして塗布位置に移動可能である。コーティング装置16は、4つの計量スロットを有するものとして示されてはいるが、より数多くの計量スロット(9つ又は10個以上の場合もある)を有するコーティング・ダイがよく知られており、これらを使用して本発明の方法を実施することもできる。
【0042】
本発明の目的上、塗布流体は主として、有機溶剤中に溶解されたポリマー・バインダーから成る。特に好ましい態様の場合、低複屈折ポリマーフィルムはセルロース・エステルである。これらは、種々様々な分子量サイズにおいて、また、セルロース主鎖上のヒドロキシル基のアルキル置換のタイプ及び程度において、商業的に入手可能である。セルロース・エステルの例は、アセチル、プロピオニル及びブチリル基を有するエステルを含む。特に重要なのは、酢酸セルロースとして知られているアセチル置換を有するセルロース・エステル群である。これらのうち、合体された酢酸含有率が約58.0〜62.5%の完全アセチル置換型セルロースが、トリアセチルセルロース(TAC)として知られており、これは一般に、電子ディスプレイにおいて使用されるカバーシートを調製するのに好ましい。
【0043】
TACのための有機溶剤に関して、好適な溶剤は例えば、塩素化溶剤(塩化メチレン及び1,2ジクロロエタン)、アルコール(メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール、及びシクロヘキサノール)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びシクロヘキサノン)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸n-ブチル、及びメチルアセトアセテート)、芳香族化合物(トルエン及びキシレン)、及びエーテル(1,3-ジオキソラン、1,2-ジオキソラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、及び1,5-ジオキサン)を含む。いくつかの用途において、少量の水を使用することができる。通常は上記溶剤のブレンドで、TAC溶液が調製される。好ましい一次溶剤は塩化メチレン、アセトン、酢酸メチル、及び1,3-ジオキソランを含む。一次溶剤と一緒に使用するための好ましい補助溶剤は、メタノール、エタノール、n-ブタノール及び水を含む。
【0044】
塗膜配合物は可塑剤を含有することもできる。TACフィルムに適した可塑剤は、フタル酸エステル(ジメチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、及びブチルオクチルフタレート)、アジピン酸エステル(ジオクチルアジペート)、及びリン酸エステル(トリクレシルホスフェート、ジフェニリルジフェニルホスフェート、クレシルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、及びトリフェニルホスフェート)、グリコール酸エステル(トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、及びメチルフタリルエチルグリコレート)を含む。最終フィルムの物理特性及び機械特性を改善するために、可塑剤が通常使用される。具体的には、酢酸セルロース・フィルムのフレキシビリティ及び寸法安定性を改善することが知られている。しかし、ここではまた可塑剤を加工作業において塗布助剤として使用することにより、コーティング・ホッパーにおける時期尚早のフィルム固化を最小限に抑え、そして、湿潤フィルムの乾燥特性を改善する。本発明の方法では、可塑剤は、乾燥作業中のTACフィルムの膨れ、カール及び層間剥離を最小限に抑えるために使用される。本発明の好ましい態様の場合、最終TACフィルムの欠陥を軽減するために、ポリマーの濃度に対して最大50重量%の総濃度で、塗布流体に可塑剤が添加される。
【0045】
低複屈折ポリマーのための塗膜配合物は、1種又は2種以上のUV吸収化合物を含有することにより、UVフィルター・エレメント性能を提供し、そして/又は、低複屈折ポリマーフィルムのUV安定剤として作用することもできる。紫外線吸収化合物は一般に、紫外線吸収剤を含有しないポリマー100重量部を基準として、0.01〜20重量部の量でポリマー中に含有され、そして好ましくは0.01〜10重量部の量、特に0.05〜2重量部の量で含有される。種々の高分子要素中での使用に関して記載されている種々の紫外線吸収化合物のいずれか、例えばヒドロキシフェニル-s-トリアジン、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ホルムアミジン、又はベンゾフェノン化合物を、本発明の高分子要素中に採用することができる。同時係属中の同一譲受人による、2002年5月5日付けで出願された米国特許出願第10/150,634号明細書に記載されているように、上に挙げたような第2のUV吸収化合物と組み合わせて、ジベンゾイルメタン紫外線吸収化合物を使用すると、UV線スペクトル領域と可視線スペクトル領域との間の吸収を鋭くカットオフすること、また、UVスペクトルのより多くの範囲にわたって保護を増大することに関して、特に有利であることが見いだされている。採用することができる付加的な可能なUV吸収剤は、サリチル酸塩化合物、例えば4-t-ブチルフェニルサリチレート;及び[2,2'チオビス-(4-t-オクチルフェノレート)]n-ブチルアミンニッケル(II)を含む。最も好ましいのは、ジベンゾイルメタン化合物と、ヒドロキシフェニル-s-トリアジン、又はヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール化合物との組み合わせである。
【0046】
採用することができるジベンゾイルメタン化合物は、式(IV)の化合物を含む:
【0047】
【化1】

【0048】
(上記式中、R1〜R5はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ニトロ、又はヒドロキシル、又はさらに置換された又は置換されていないアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ、アシルオキシ、エステル、カルボキシル、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルアミン、アリールアミン、アルキルニトリル、アリールニトリル、アリールスルホニル、又は5-6員複素環基である。)好ましくは、このような基のそれぞれの炭素原子数は20以下である。さらに好ましくは、式IVのR1〜R5は、式IV-Aに従って配置される:
【0049】
【化2】

【0050】
特に好ましいのは、R1及びR5が、炭素原子数1〜6のアルキル基又はアルコキシ基を表し、そしてR2〜R4が水素原子を表すような式IV-Aの化合物である。
【0051】
本発明の要素に従って採用することができる式(IV)の代表的な化合物は、下記のものを含む:
(IV-1):4-(1,1-ジメチルエチル)-4'-メトキシジベンゾイルメタン(PARSOL(商標)1789)
(IV-2):4-イソプロピルジベンゾイルメタン(EUSOLEX(商標)8020)
(IV-3):ジベンゾイルメタン(RHODIASTAB(商標)83)
【0052】
本発明の要素において使用することができるヒドロキシフェニル-s-トリアジン化合物は、例えば、米国特許第4,619,956号明細書に記載されているようなトリス-アリール-s-トリアジン化合物の誘導体であってよい。このような化合物は式Vによって表すことができる:
【0053】
【化3】

【0054】
(上式中、X、Y及びZはそれぞれ、3つ未満の6員環の芳香族炭素環式基であり、そしてX、Y及びZのうちの1つ以上が、トリアジン環との結合点に対してオルトでヒドロキシ基によって置換されており;またR1〜R9のそれぞれが、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、スルホン、カルボキシ、ハロ、ハロアルキル、及びアシルアミノから成る基から選択される。)特に好ましくは、式V-Aのヒドロキシフェニル-s-トリアジンである:
【0055】
【化4】

【0056】
(上記式中、Rは水素、又は炭素原子数1〜18のアルキルである。)
【0057】
本発明の要素において使用することができるヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール化合物は、例えば式VIによって表される化合物の誘導体となることができる:
【0058】
【化5】

【0059】
(上記式中、R1〜R5は独立して水素、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、又はさらに置換された又は置換されていないアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ、アシルオキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、モノ又はジアルキルアミノ、アシルアミノ、又は複素環式基であってよい。)
【0060】
本発明に従って使用することができるベンゾトリアゾール化合物の具体例は、2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール;2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール;オクチル5-tert-ブチル-3-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシベンゼンプロピオネート;2-(ヒドロキシ-5-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2-(2'-ヒドロキシ-3'-ドデシル-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール;及び2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールを含む。
【0061】
本発明の要素において使用することができるホルムアミジン化合物は、例えば米国特許第4,839,405号明細書に記載されたホルムアミジン化合物であってよい。このような化合物は、式VII又は式VIII:
【0062】
【化6】

【0063】
(上記式中、R1は、炭素原子数1〜約5のアルキル基であり;YはH、OH、Cl、又はアルコキシ基であり;R2は、炭素原子数1〜約9のフェニル基又はアルキル基であり;Xは、H、カルボアルコキシ、アルコキシ、アルキル、ジアルキルアミノ及びハロゲンから成る群から選択され;そしてZは、H、アルコキシ及びハロゲンから成る群から選択される);
【0064】
【化7】

【0065】
(上記式中、Aは--COOR、--COOH、--CONR'R''、--NR'COR、--CN、又はフェニル基であり;そしてRは、炭素原子数1〜約8のアルキル基であり;R'及びR''はそれぞれ独立して、水素、又は炭素原子数1〜約4の低級アルキル基である)
によって表すことができる。
【0066】
本発明に従って使用することができるホルムアミジン化合物の具体例は、米国特許第4,839,405号明細書に記載された化合物、及び具体的には4-[[(メチルフェニルアミノ)メチレン]アミノ]-エチルエステルを含む。
【0067】
本発明の要素中に使用することができるベンゾフェノン化合物は、例えば、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン及び2-ヒドロキシ-4-n-ドデシルオキシベンゾフェノンを含むことができる。
【0068】
塗膜配合物は、塗布後の流れに関連するアーチファクトを制御するための塗布助剤として、界面活性剤を含有することができる。塗布後の流れ現象によって形成されるアーチファクトは、斑点、剥離、ミカン肌(Bernardセル)、及びエッジ後退を含む。塗布後の流れのアーチファクトを制御するために使用される界面活性剤は、シロキサン及びフルオロケミカル化合物を含む。シロキサン・タイプの商業的に入手可能な界面活性剤の例は、下記のものを含む:1) ポリメチルシロキサン、例えばDow CorningのDC200 Fluid、2) ポリ(ジメチル、メチルフェニル)シロキサン、例えばDow CorningのDC510 Fluid、及び3) ポリアルキル置換型ポリジメチルシロキサン、例えばDow CorningのDC190及びDC1248、並びにUnion CarbideのL7000 Silwetシリーズ(L7000、L7001、L7004、及びL7230)、及び4) ポリアルキル置換型ポリ(ジメチル、メチルフェニル)シロキサン、例えばGeneral ElectricのSF1023。商業的に入手可能なフルオロケミカル界面活性剤の例は下記のものを含む:1) フッ素化アルキル・エステル、例えば3M CorporationのFluoradシリーズ(FC430及びFC431)、2) フッ素化ポリオキシエチレンエーテル、例えばDu PontのZonylシリーズ(FSN、FSN100、FSO、FSO100)、3) アクリレート:ポリペルフルオロアルキルエチルアクリレート、例えばNOF CorporationのFシリーズ(F270及びF600)、及び4) ペルフルオロアルキル誘導体、例えばAsahi Glass CompanyのSurflonシリーズ(S383, S393及びS8405)。本発明の方法において、界面活性剤は一般に、非イオン性タイプである。本発明の好ましい態様の場合、シロキサン又はフッ素化タイプの非イオン性化合物が最上層に添加される。
【0069】
界面活性剤の分布に関して、界面活性剤は、多層塗膜の最上層内に存在すると最も効果的である。最上層において、界面活性剤の濃度は、好ましくは0.001〜1.000重量%であり、最も好ましくは0.010〜0.500重量%である。加えて、より少量の界面活性剤を上から2番目の層に使用することにより、最下層内への界面活性剤の拡散を最小限に抑えることができる。上から2番目の層内の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.000〜0.200重量%であり、最も好ましくは0.000〜0.100重量%である。界面活性剤は最上層内で必要であるにすぎないので、最終乾燥済フィルム内に留まる界面活性剤の量全体は小さい。本発明の方法において、湿潤厚が20 μmであり、密度が0.93 g/ccである最上層の実際的な界面活性剤濃度は0.200 重量%である。この濃度は、乾燥後に約37 mg/m2の最終界面活性剤量をもたらす。
【0070】
本発明の方法を実施するために界面活性剤が必要とされるわけではないが、界面活性剤は塗布済フィルムの均一性を改善する。具体的には、界面活性剤の使用によって、斑点不均一性が低減される。透明酢酸セルロースの場合、斑点不均一性は平常の検査中に、容易には視覚化されない。斑点アーチファクトを視覚化するために、最上層に有機色素を添加することにより、塗布済フィルムに色を加えることができる。これらの色素含有フィルムの場合、不均一性を見て定量化するのは容易である。こうして、最適なフィルム均一性のために、効果的な界面活性剤タイプ及びレベルを選ぶことができる。
【0071】
本発明のガード型カバーシート複合体の調製は、低複屈折ポリマーフィルムとキャリヤ支持体との予め調製された複合体上に塗布する工程を含む。例えば、図1及び図2に示されたコーティング・乾燥システム10を使用することにより、既存の低複屈折ポリマーフィルム/支持体複合体に、第2の多層フィルムを適用することができる。後続の塗膜を適用する前にフィルム/支持体複合体が巻き取られてロールにされる場合、このプロセスはマルチパス型コーティング作業とよばれる。コーティング・乾燥作業が、複数のコーティング・ステーション及び乾燥炉を有する機械上で順次行われる場合、このプロセスはタンデム型コーティング作業とよばれる。このようにして、厚いフィルムを高いライン速度で調製することができ、しかもこの場合、極めて厚い湿潤フィルムから多量の溶剤を除去することに関する問題が生じることはない。さらに、マルチパス型又はタンデム型コーティングの実施はまた、他のアーチファクト、例えば深刻な筋、深刻な斑点、及びフィルム全体の不均一性を最小限に抑えるという利点を有する。
【0072】
従来の樹脂フィルム流延法が図11に示されている。図11に示されているように、粘性高分子ドープが、加圧されたタンク204からポンプ206によって、フィード導管200を通って、押出ホッパー202に送達される。ドープは、高研磨金属ドラム208上に流延される。高研磨金属ドラム208は、乾燥炉212の第1乾燥区分210内部に配置されている。流延フィルム214は、運動中のドラム208上で部分乾燥させておかれ、次いで、ドラム208からこれを引き剥がす。次いで流延フィルム214を最終乾燥区分216に搬送することにより、残留溶剤を除去する。次いで最終乾燥済フィルム218を巻き上げステーション220で巻き取ってロールにする。従来技術の流延フィルムの厚さは典型的には40〜200 μmである。
【0073】
コーティング法は流延法とは、それぞれの技術に必要な工程段階によって区別される。これらの工程段階は、数多くの有形のもの、例えば各方法にとって独自の流体粘度、加工助剤、支持体、及びハードウェアに影響を与える。一般に、コーティング法は、薄いフレキシブルな支持体に希釈低粘度液を適用し、乾燥炉内で溶剤を蒸発させ、そして乾燥済フィルム/支持体複合体を巻き取ってロールにすることを伴う。これに対して、流延法は、高研磨金属ドラム又はバンドに、濃縮粘性ドープを適用し、金属支持体上で湿潤フィルムを部分乾燥させ、支持体から部分乾燥済フィルムを剥離し、乾燥炉内で部分乾燥済フィルムから付加的な溶剤を除去し、そして乾燥済フィルムを巻き取ってロールにすることを伴う。粘度に関して、コーティング法は、5,000 cp未満の極めて低粘度の液体を必要とする。本発明において、塗布済液体の粘度は一般には、2000 cp未満となり、1500 cp未満となることが最も多い。さらに本発明において、高速コーティング用途の場合、最下層の粘度は200 cp未満であることが好ましく、最も好ましくは100 cp未満である。これに対して、流延法は、実際的な作業速度の場合、10,000〜100,000 cpのオーダーの粘度を有する高濃縮ドープを必要とする。加工助剤に関して、コーティング法は一般に、塗布後の流れのアーチファクト、例えば斑点、剥離、ミカン肌、及びエッジ後退を制御するための加工助剤として界面活性剤を使用することを含む。これに対して、流延法は界面活性剤を必要としない。その代わりに、加工助剤は、流延法においては剥離作業を補助するために使用されるに過ぎない。例えば、TACフィルムを流延するのに際して、金属ドラムからのTACフィルムの剥離を容易にするために、加工助剤としてn-ブタノールが使用されることがある。支持体に関して、コーティング法は一般に、薄い(10〜250 μm)のフレキシブルなサポートを利用する。これに対して、流延法は厚い(1〜100 mm)の連続的な高研磨金属ドラム又は剛性バンドを採用する。工程段階のこれらの相違の結果、コーティングにおいて使用されるハードウェアは、流延において使用されるハードウェアとは、図1及び図11にそれぞれ示された概略図を比較することにより判るように、顕著に異なる。
【0074】
次に図4〜8に目を転じると、本発明により可能となる種々のガード型カバーシート複合体構造の断面が示されている。図4には、最下層162、中間層164、及び最外層168を有する3層カバーシート171を含むガード型カバーシート複合体151が、キャリヤ支持体170から部分的に引き剥がされた状態で示されている。この図面では、例えば層162は、PVAとの付着を促進する層であってよく、層164は低複屈折フィルムであってよく、そして層166は視野角補償層であってよい。層162, 164及び166は、キャリヤ支持体170上に3つの別個の液体層を適用して乾燥させることにより、或いは、多層複合塗膜を同時に適用し、次いで単一の乾燥作業でこれらの層を乾燥させることにより、形成することができる。
【0075】
図5は、カバーシート173を含む別のガード型カバーシート複合体153を示す。カバーシート173は例えば、キャリヤ支持体170に最も近い最下層162と、2つの中間層164及び166と、最上層168とを含む構成的に不連続の4つの層から成っている。図5はまた、多層カバーシート173全体をキャリヤ支持体170から引き剥がすことができることを示している。この図面では、例えば層162は、PVAとの付着を促進する層であってよく、層164は低複屈折ポリマーフィルムであってよく、層166は湿分バリヤ層であってよく、そして層168は静電防止層であってよい。
【0076】
図6は、カバーシート175を含む別のガード型カバーシート複合体155を示す。カバーシート175は、キャリヤ支持体170に最も近い最下層162と、3つの中間層164, 165及び166と、最上層168とから成っており、キャリヤ支持体170から引き剥がされている。この図面では、例えば層162は、PVAとの付着を促進する層であってよく、層164は低複屈折ポリマーフィルムであってよく、層165は湿分バリヤ層であってよく、層166は静電防止層であってよく、そして層168は耐摩耗層であってよい。
【0077】
図7は、カバーシート177を含むさらに別のガード型カバーシート複合体157を示す。カバーシート177は、キャリヤ支持体170に最も近い最下層162と、2つの中間層164及び166と、最上層168と、剥離可能な保護層169とから成っている。剥離可能な保護層169は、粘着層167によって最上カバーシート層168に接着により付着させられている。剥離可能な保護層169を有するカバーシート177は、キャリヤ支持体170から引き剥がされている。
【0078】
図8は、カバーシート179を含むさらに別のガード型カバーシート複合体159を示す。カバーシート179は例えば、キャリヤ支持体182に最も近い最下層174と、2つの中間層176及び178と、最上層180とを含む構成的に不連続の4つの層から成っている。カバーシート最下層174と支持体182との間の付着力を改変するために、キャリヤ支持体182はリリース層184で処理されている。リリース層184は、数多くの高分子材料、例えばポリビニルブチラール、セルロース、ポリアクリレート、ポリカーボネート及びポリ(アクリロニトリル-コ-塩化ビニリデン-コ-アクリル酸)から成っていてよい。リリース層内に使用される材料は、当業者によって実験に基づいて最適に選択することができる。
【0079】
上記詳細な教示内容に基づいて構成することができるガード型カバーシート複合体のうちのいくつかを示すのに図4〜8を用いるが、これらは本発明の考えられ得る全ての変更形を包括するものではない。LCD用偏光板の調製の際に使用するためのガード型カバーシート複合体として有用であるような、層の他の多くの組み合わせを、当業者であれば想到することができよう。
【0080】
ここで図9に目を転じると、本発明のガード型カバーシート複合体から偏光板を製作する方法が概略的に示されている。カバーシート171とキャリヤ支持体170とを含むガード型カバーシート複合体151(図4参照)、及びカバーシート173とキャリヤ支持体170とを含むガード型カバーシート複合体153(図5参照)が、それぞれ供給ロール232及び234から供給される。PVA-二色性フィルム238が、供給ロール236から供給される。互いに対向するピンチローラ242及び244間のラミネーション・ニップに入る前に、キャリヤ支持体170は、ガード型カバーシート複合体151及び153から引き剥がされ、これにより最下層が露出する(図4及び5の場合、これは層162であり、層162は、例えばPVAとの付着を促進する層である)。引き剥がされたキャリヤシート170は、巻き上げロール240で巻き取られてロールにされる。シート及びフィルムがピンチローラ242及び244間のニップに入る前に、PVA-二色性フィルムの両側に、又はカバーシート171及び173の最下層に、グルー溶液が任意に適用されてよい。次いで、対向するピンチローラ242及び244間に圧力(及び随意選択的に熱)を加えながら、カバーシート171及び173をPVA-二色性フィルム238のいずれの側にもラミネートすることにより、偏光板250をもたらす。次いで偏光板250を加熱により乾燥させ、そして必要とされるまで、巻き取られてロールにされてよい。採用されるガード型カバーシート複合体のための特定の層構造に応じて、補助層の種々の組み合わせを備えたカバーシートを有する種々様々な偏光板を製作することができる。
【0081】
本発明の実施に従って、PVAとの付着を促進する層がカバーシートの、PVA二色性フィルムと接触する側に位置するように、カバーシートがPVA二色性フィルムにラミネートされる。カバーフィルムとPVA二色性フィルムとをラミネートするのに有用なグルー溶液は、特に限定されず、一般に採用される例は、溶解されたポリマー、例えばPVA又はその誘導体、及びホウ素化合物、例えばホウ酸を含有する水/アルコール溶液である。或いは、溶液は、溶解ポリマーを含まないか、又は実質的に含まず、そしてPVAを架橋する試薬を含んでよい。試薬はPVAをイオン的に共有結合的に架橋することができ、或いは、両タイプの試薬の組み合わせを用いることもできる。適切な架橋イオンの一例としては、カチオン、例えばカルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、ホウ素、ベリリウム、アルミニウム、鉄、銅、コバルト、鉛、銀、ジルコニウム、及び亜鉛イオンが挙げられる。ホウ素化合物、例えばホウ酸、及びジルコニウム化合物、例えば硝酸ジルコニウム又は炭酸ジルコニウムが特に好ましい。共有結合架橋試薬の例は、ポリカルボン酸又は無水物;ポリアミン;エピハロヒドリン;ジエポキシド;ジアルデヒド;ジオール;カルボン酸ハロゲン化物、ケテン及び同様の化合物を含む。フィルム上に適用される溶液の量は、その組成に応じて大幅に変化することが可能である。例えば、湿潤フィルム被覆率は、1 cc/m2もの低さであること、並びに100 cc/m2もの高さであることが可能である。湿潤フィルム被覆率は、所要乾燥時間を低減するためには低いことが望ましい。
【0082】
図10は、いずれの側にも偏光板252及び254が配置された液晶セル260を示す断面図である。偏光板254は、LCDセルの、観察者に最も近い側にある。各偏光板は2つのカバーシートを採用する。説明のため、偏光板254は、PVAとの付着を促進する層261と、低複屈折ポリマーフィルム262と、湿分バリヤ層264と、静電防止層266と、防眩層268とを含む最上カバーシート(これは観察者に最も近いカバーシートである)とともに示されている。偏光板254内に含有される最下カバーシートは、PVAとの付着を促進する層261と、低複屈折ポリマーフィルム262と、湿分バリヤ層264と、静電防止層266と、視野角補償層272とを含む。LCDセルの反対側には、偏光板252が最上カバーシートとともに示されている。偏光板252は説明のため、PVAとの付着を促進する層261と、低複屈折ポリマーフィルム262と、湿分バリヤ層264と、静電防止層266と、視野角補償層272とを含む。偏光板252はまた、PVAとの付着を促進する層261と、低複屈折ポリマーフィルム262と、湿分バリヤ層264と、静電防止層266とを含む最下カバーシートを有する。
【0083】
本発明における使用に適したキャリヤ支持体は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリスチレン、及びその他の高分子フィルムを含む。付加的な支持体は、紙、紙と高分子フィルムとから成るラミネート、ガラス、布地、アルミニウム、及びその他の金属サポートを含むことができる。好ましくはキャリヤ支持体は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリエチレンナフタレート(PEN)を含むポリエステル・フィルムである。キャリヤ支持体の厚さは、約20〜200マイクロメートル、典型的には約40〜100マイクロメートルである。ガード型カバーシート複合体の1ロール当たりのコスト及び重量の両方に起因して、キャリヤ支持体はより薄いのが望ましい。しかし、約20マイクロメートル未満のキャリヤ支持体は、カバーシートのための十分な寸法安定性又は保護を提供しないおそれがある。
【0084】
キャリヤ支持体は、1つ又は2つ以上の下塗り層で塗布するか、或いは、放電装置を用いて前処理することにより、塗布溶液による支持体の湿潤性を高めることができる。カバーシートは最終的にキャリヤ支持体から引き剥がされなければならないので、カバーシートと支持体との間の付着力は重要な考慮事項である。下塗り層及び放電装置を採用することにより、キャリヤ支持体に対するカバーシートの付着力を改変することができる。下塗り層は従って、プライマー層として機能して湿潤性を改善するか、或いはリリース層として機能して支持体に対するカバーシートの付着力を改変することができる。キャリヤ支持体は、2つの下塗り層で塗布することができる。第1の層はプライマー層として作用して湿潤性を改善し、第2の層はリリース層として作用する。下塗り層の厚さは典型的には0.05〜5マイクロメートル、好ましくは0.1〜1マイクロメートルである。
【0085】
付着力の貧弱なカバーシート/支持体複合体は、マルチパス作業時に第2又は第3の湿潤塗膜が適用された後に、膨れが生じやすい。膨れ欠陥を回避するために、カバーシートの第1パス層とキャリヤ支持体との間の付着力は約0.3 N/mを上回るべきである。既に述べたように、付着レベルは、種々の下塗り層及び種々の電子放射処理を含む種々様々なウェブ処理によって改変することができる。しかし、カバーシートと支持体との間の過剰な付着力も望ましくない。それというのも、後続の引き剥がし作業中にカバーシートが損傷されることがあるからである。具体的には、余りにも大きい付着力を有するカバーシート/支持体複合体はうまく剥がれないことがある。受け入れられ得る引き剥がし挙動を可能にする最大付着力は、カバーシートの厚さ及び引張り特性に依存する。典型的には、カバーシートと支持体との間の付着力が約300 N/mを上回ると、複合体はうまく剥がれないことがある。このような過剰によく付着させられた複合体から引き剥がされたカバーシートは、カバーシートの裂断に起因する、及び/又はシート内部の凝集破壊に起因する欠陥を示す。本発明の好ましい態様の場合、カバーシートとキャリヤ支持体との間の付着力は、250 N/m未満である。最も好ましくは、カバーシートとキャリヤ支持体との間の付着力は0.5〜25 N/mである。
【0086】
本発明の1つの好ましい態様の場合、キャリヤ支持体は、塩化ビニリデン・コポリマーを含む第1の下塗り層(プライマー層)と、ポリビニルブチラールを含む第2の下塗り層(リリース層)とを有するポリエチレンテレフタレート・フィルムである。本発明の別の好ましい態様の場合、キャリヤ支持体は、ポリエチレンテレフタレート・フィルムであり、このフィルムは、カバーシートの適用前にコロナ放電で前処理されている。
【0087】
支持体は、機能層、例えば種々のポリマー・バインダー及び導電性添加物を含有する静電防止層を有することにより、静荷電、及び汚れやダストの吸引を制御することもできる。静電防止層は、キャリヤ支持体のいずれの側にも存在することができ、好ましくは、キャリヤ支持体の、カバーシートとは反対側に存在する。
【0088】
支持体の、カバーシートとは反対側には、裏層を採用することにより、良好な巻き取り特性及び搬送特性のための適切な粗さ及び摩擦係数を有する表面を提供することもできる。具体的には、裏層は高分子バインダー、例えば、艶消し剤(例えばシリカ又は高分子ビード)を含有するポリウレタン又はアクリルポリマーを含む。艶消し剤は、出荷中及び貯蔵中に、ガード型カバーシート複合体のおもて面が裏面にくっつくのを防止することを助ける。裏層は、摩擦係数約0.2〜0.4を提供するために潤滑剤を含むこともできる。典型的な潤滑剤は例えば、(1)流動パラフィン及びパラフィン様材料又はワックス様材料、例えばカルナバ・ワックス、天然及び合成ワックス、石油ワックス、及び鉱物ワックスなど;(2)米国特許第2,454,043号;同第2,732,305号;同第2,976,148号;同第3,206,311号;同第3,933,516号;同第2,588,765号;同第3,121,060号;同第3,502,473号;同第3,042,222号;及び同第4,427,964号の各明細書、英国特許第1,263,722号;同第1,198,387号;同第1,430,997号;同第1,466,304号;同第1,320,757号;同第1,320,565号;及び同第1,320,756号の各明細書、及び独国第1,284,295号;及び同第1,284,294号の各明細書に記載された、高級脂肪酸及び誘導体、高級アルコール及び誘導体、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸の多価アルコールエステルなど;(3)ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(トリフルオロクロロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(トリフルオロクロロエチレン-コ-塩化ビニル)、ペルフルオロアルキル側基を含有するポリ(メト)アクリレート又はポリ(メト)アクリルアミドを含むペルフルオロ-又はフルオロ-又はフルオロクロロ含有材料、などを含む。しかし、永続的な潤滑性のために、重合可能な潤滑剤、例えばメタクリルオキシ官能性シリコーンポリエーテル・コポリマーAdditive 31 (Dow Corning Corp.から提供)が好ましい。
【0089】
本発明における使用に適した低複屈折ポリマーフィルムは、低い固有複屈折Δnintを有する高分子材料を含む。これらの材料は、高い光透過率(すなわち>85%)を有する高透明性フィルムを形成する。好ましくは、低複屈折ポリマーフィルムの面内複屈折Δninは約1 × 10-4未満であり、面外複屈折Δnthは、0.005〜-0.005である。
【0090】
本発明の低複屈折ポリマーフィルムにおいて使用するための高分子材料の一例としては、とりわけ、セルロース・エステル(トリアセチルセルロース(TAC)、二酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロースを含む)、ポリカーボネート(例えばGeneral Electric Corp.から入手可能なLexan(商標))、ポリスルホン(例えば、Amoco Performance Products Inc.から入手可能なUdel(商標))、ポリアクリレート、及び環状オレフィン・ポリマー(例えばJSR Corp.から入手可能なArton(商標)、Nippon Zeonから入手可能なZeonex(商標)及びZeonor(商標)、Ticonaによって供給されるTopas(商標))が挙げられる。好ましくは、本発明の低複屈折ポリマーフィルムは、商業的な入手可能性、及び優れた光学特性に基づいて、TAC、ポリカーボネート、又は環状オレフィン・ポリマーを含む。
【0091】
低複屈折ポリマーフィルムの厚さは、約5〜100マイクロメートル、好ましくは約5〜50マイクロメートル、最も好ましくは約10〜40マイクロメートルである。コスト、取り扱い、より薄い偏光板を提供できること、改善された光透過性、及びキャリヤシート上のカールがないことに基づいて、厚さ10〜40マイクロメートルのフィルムが最も好ましい。低複屈折ポリマーフィルム厚が約80マイクロメートルのコンベンショナルなカバーシートから製作された偏光板の総厚は180マイクロメートル以上である。本発明の好ましい態様の場合、本発明のカバーシートから集成された偏光板の総厚は、120マイクロメートル未満、最も好ましくは80マイクロメートル未満である。
【0092】
PVAとの付着を促進する層を形成するのに有用な材料は、典型的には水膨潤性の親水性ポリマーである。これらのポリマーは、合成型ポリマー及び天然型ポリマーの両方を含む。天然発生型物質は、タンパク質、タンパク質誘導体、セルロース誘導体(セルロース・エステル)、多糖、及びカゼインなどを含み、そして合成型ポリマーは、ポリ(ビニルラクタム)、アクリルアミド・ポリマー、ポリビニルアルコール及びその誘導体、加水分解型ポリビニルアセテート、アルキル及びスルホアルキルアクリレート及びメタクリレートのポリマー、ポリアミド、ポリビニルピリジン、アクリル酸ポリマー、無水マレイン酸コポリマー、ポリアルキレンオキシド、メタクリルアミド・コポリマー、ポリビニルオキサリジノン、マレイン酸コポリマー、ビニルアミン・コポリマー、メタクリル酸コポリマー、アクリロイルオキシアルキルスルホン酸コポリマー、ビニルイミダゾール・コポリマー、ビニルスルフィド・コポリマー、スチレンスルホン酸を含有するホモポリマー又はコポリマーを含む。最も好ましいポリマーはポリビニルアルコール及びその誘導体である。
【0093】
PVAとの付着を促進する層において有用な他の好適なポリマーは、水分散性ポリマー又はポリマー・ラテックスを含む。好ましくは、これらの水分散性ポリマーは、1つ以上の親水性部分を含有する。親水性部分は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、又はスルホニル部分を含有する。このようなポリマーは、エチレン系不飽和型モノマー、例えばアクリル酸を含むアクリレート、メタクリル酸を含むメタクリレート、アクリルアミド及びメタクリルアミド、イタコン酸及びその半エステル及びジエステル、置換型スチレンを含むスチレン、アクリロニトリル及びメタクリルニトリル、ビニルアセテート、ビニルエーテル、ビニル及びビニリデンハロゲン化物、及びオレフィンから調製された付加タイプのポリマー及びインターポリマーを含む。加えて、架橋用モノマー及びグラフト結合用モノマー、例えば、1,4-ブチレングリコールメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、及びジニビルベンゼンなどを使用することができる。その他の好適なポリマー分散体は、ポリウレタン分散体又はポリエステルイオノマー分散体、ポリウレタン/ビニルポリマー分散体、フルオロポリマー分散体である。これらのポリマー分散体の粒子サイズは、10ナノメートル〜1ミクロンである。
【0094】
PVAとの付着を促進する層は、架橋剤を含有することもできる。本発明の実施のために有用な架橋剤は、ポリマーバインダーに結合された親水性部分と反応することができる任意の化合物を含む。このような架橋剤は、アルデヒド及び関連化合物、ピリジニウム、オレフィン、例えばビス(ビニルスルホニルメチル)エーテル、カルボジイミド、エポキシド、トリアジン、多官能性アジリジン、メトキシアルキルメラミン、及びポリイソシアネートなどを含む。これらの化合物は、合成有機化学の当業者には容易に明らかとなる発表済みの合成処置又は日常的な改質を用いて、容易に調製することができる。PVAとの付着を促進する層においてやはり成功裡に採用することができる付加的な架橋剤は、多価金属イオン、例えば亜鉛、カルシウム、ジルコニウム、及びチタニウムを含む。
【0095】
PVAとの付着を促進する層は、光学的に透明な粘着層であってもよい。種々様々なこれらの粘着剤が入手可能である。カバーシートをPVA二色性フィルムにラミネートするのに有用な接着材料は、良好な付着力を有し、透明であり、そして化学的な、及びUVによる老化及び黄ばみに関して不活性である一般クラスの「改質アクリル」から選択することができる。本発明において有用な高い強度の接着剤は、水性接着剤、例えばAshland Chemical Co.から商業的に利用可能なAerose(商標)2177又はAeroset(商標)t 2550, 3240及び3250、H.B. Fullerから入手可能なPD 0681、AP 6903、及びW 3320、又は溶剤系粘着剤、例えばAshland Chemical Co.によって販売されているPS 508である。接着剤は別個に又は組み合わせで使用することができる。
【0096】
PVAとの付着を促進する層は典型的には、乾燥塗膜厚0.1〜5マイクロメートル、好ましくは0.25〜1マイクロメートルで適用される。PVAとの付着を促進する層は、カバーシートの、低複屈折フィルムに対していずれの側に位置してもよい。好ましくは、PVAとの付着を促進する層は、キャリヤ支持体と低複屈折フィルムとの間に位置する。最も好ましくは、PVAとの付着を促進する層は、キャリヤ支持体上に、又はキャリヤ支持体上の下塗り層上に直接に適用される。PVAとの付着を促進する層は、別個の塗膜適用において塗布することができ、或いは、1つ又は2つ以上の層と同時に適用することができる。
【0097】
好ましい態様の場合、ガード型カバーシート複合体は、キャリヤ支持体とは反対側の、カバーシートの表面上に、剥離可能な保護層を含む。剥離可能な保護層は、層を塗布することにより適用することができ、或いは、予め形成された保護層を接着によって付着させることにより、又は静電気によって付着させることにより、適用することもできる。好ましくは、保護層は透明ポリマー層である。1つの特定の態様の場合、保護層は低複屈折層である。低複屈折層は、保護層を除去する必要なしにカバーシートの光学検査を可能にする。保護層内で使用するための特に有用なポリマーは:セルロース・エステル、アクリル、ポリウレタン、ポリエステル、環状オレフィン・ポリマー、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、及びその他のものを含む。予め形成された保護層が使用されるときには、保護層は好ましくは、ポリエステル、ポリスチレン、又はポリオレフィン・フィルムの層である。
【0098】
剥離可能な保護層の厚さは典型的には、5〜100マイクロメートルである。好ましくは、保護層の厚さは、十分な引掻き抵抗及び耐摩耗性を保証し、そして保護層の除去中の容易な取り扱いを可能にするように、20〜50マイクロメートルである。
【0099】
剥離可能な保護層がコーティング法によって適用される場合、保護層は既に塗布・乾燥済のカバーシートに適用することができ、或いは、保護層は、カバーシートを構成する1つ又は2つ以上の層で同時に塗布することもできる。
【0100】
剥離可能な保護層が、予め形成された層である場合、この層は一方の表面上に粘着層を有することができる。粘着層は、コンベンショナルなラミネーション技術を用いて、保護層がガード型カバーシート複合体に接着によりラミネートされるのを可能にする。或いは、カバーシート又は予め形成された保護層の表面上に静電荷を発生させ、次いで2つの材料をローラー・ニップ内で接触させることにより、予め形成された保護層を適用することもできる。静電荷は、任意の周知の電荷発生器、例えばコロナ・チャージャー、摩擦チャージャー、導電性高電位ロール電荷発生器、又は接触チャージャー、及び静電荷発生器などによって発生させることができる。カバーシート又は予め形成された保護層には、DC電荷を、又はDC電荷に続いてAC電荷を帯電させることにより、2つの表面間に十分な電荷付着レベルを形成することができる。カバーシートと、予め形成された保護層との間に十分な結合を提供するために印加される静電荷レベルは、少なくとも50ボルト超、好ましくは少なくとも200ボルト超である。カバーシート又は保護層の荷電表面の抵抗率は、静電荷が長持ちすることを保証するように、約1012Ω/スクエア以上、好ましくは約1016Ω/スクエア以上である。
【0101】
液晶ディスプレイは典型的には、液晶セルの各側に1つずつ配置される、2つの偏光板を採用する。各偏光板は、PVA-二色性フィルムの各側に1つずつ配置される、2つのカバーシートを採用する。各カバーシートは、液晶ディスプレイの性能を改善するのに必要な種々の補助層を有してよい。本発明のカバーシートにおいて採用される有用な補助層は:耐摩耗性硬質コート層、防眩層、スマッジ防止層又はステイン防止層、反射防止層、低反射層、静電防止層、視野角補償層、及び湿分バリヤ層を含む。典型的には、観察者に最も近いカバーシートは、下記補助層のうちの1つ又は2つ以上を含有する:耐摩耗層、スマッジ防止層又はステイン防止層、反射防止層、及び防眩層。液晶セルに最も近いカバーシートのうちの一方又は両方は、典型的には視野角補償層を含有する。LCDにおいて採用される4つのカバーシートのうちのいずれか又は全ては、随意選択的には、静電防止層及び湿分バリヤ層を含有することができる。
【0102】
本発明のガード型カバーシート複合体は、キャリヤ支持体の、低複屈折ポリマーフィルムと同じ側には耐摩耗層を含有することができる。好ましくは、耐摩耗層は、低複屈折ポリマーフィルムの、キャリヤとは反対側に配置される。
【0103】
本発明において使用するための特に効果的な耐摩耗層は、輻射線硬化型又は熱硬化型組成物を含み、好ましくは組成物は輻射線硬化型である。紫外線(UV)輻射及び電子ビーム線輻射が、最も広く採用される輻射線硬化法である。UV硬化性組成物が、本発明の耐摩耗層を形成するのに特に有用であり、硬化化学反応、フリーラジカル化学反応及びカチオン化学反応のうちの2つの主要タイプを利用して、硬化させることができる。アクリレート・モノマー(反応性希釈剤)及びオリゴマー(反応性樹脂及びラッカー)が、フリーラジカル系配合物の主成分であり、硬化された塗膜にその物理特性のほとんどを与える。UV線エネルギーを吸収し、分解してフリーラジカルを形成し、そしてアクリレート基のC=C二重結合を攻撃して重合を開始するためには、光重合開始剤が必要となる。カチオン化学反応は、脂環式エポキシ樹脂及びビニルエーテル・モノマーを主成分として利用する。光重合開始剤がUV光を吸収することにより、ルイス酸を形成し、ルイス酸はエポキシ環を攻撃して重合を開始する。UV硬化とは、紫外線硬化を意味し、波長280〜420nm、好ましくは320〜410nmのUV線の使用を伴う。
【0104】
本発明において有用な耐摩耗層のために使用できるUV線硬化性樹脂及びラッカーの例は、光重合可能なモノマー及びオリゴマー、例えば多官能性化合物、例えば(メト)アクリレート官能基(例えばエトキシル化トリメチロールプロパントリ(メト)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メト)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メト)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メト)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メト)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メト)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メト)アクリレート、又はネオペンチルグリコールジ(メト)アクリレート及びこれらの混合物)を有する多価アルコール及びこれらの誘導体のアクリレート及びメタクリレート・オリゴマー(本明細書中の(メト)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレートを意味する)から誘導されたもの、及び低分子量ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、スピロアセタール樹脂、エポキシアクリレート、ポリブタジエン樹脂、及びポリチオール-ポリエン樹脂など及びこれらの混合物から誘導されたアクリレート及びメタクリレート・オリゴマー、及び比較的多量の反応性希釈剤を含有する電離線硬化性樹脂である。本明細書中で使用可能な反応性希釈剤は、単官能性モノマー、例えばエチル(メト)アクリレート、エチルへキシル(メト)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン及びN-ビニルピロリドン、及び多官能性モノマー、例えばトリメチロールプロパントリ(メト)アクリレート、ヘキサンジオール(メト)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メト)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メト)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メト)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メト)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メト)アクリレート、又はネオペンチルグリコールジ(メト)アクリレートを含む。
【0105】
とりわけ本発明の場合、好都合に使用される輻射線硬化性ラッカーは、ウレタン(メト)アクリレート・オリゴマーを含む。これらのオリゴマーは、ジイソシアネートと、オリゴ(ポリ)エステル又はオリゴ(ポリ)エーテルポリオールとを反応させることにより誘導され、これによりイソシアネートを末端基とするウレタンを産出する。続いて、ヒドロキシを末端基とするアクリレートを末端イソシアネート基と反応させる。このアクリル化は、オリゴマーの末端に不飽和を提供する。ウレタンアクリレートの脂肪族又は芳香族の性質は、ジイソシアネートの選択によって決定される。芳香族ジイソシアネート、例えばトルエンジイソシアネートは、芳香族ウレタンアクリレート・オリゴマーを産出することになる。脂肪族ジイソシアネート、例えばイソフォロンジイソシアネート又はヘキシルメチルジイソシアネートを選ぶことにより、脂肪族ウレタンアクリレートが生じる。イソシアネートの選択以上に、ポリオール主鎖が、最終オリゴマーの性能を決定する上で中枢的な役割を演じる。ポリオールは一般に、エステル、エーテル又はこれら2つの組み合わせとして分類される。オリゴマー主鎖は2つ又は3つ以上のアクリレート単位又はメタクリレート単位によって末端形成される。これらの単位は、フリーラジカル重合のための反応部位として役立つ。イソシアネート、ポリオール、及びアクリレート又はメタクリレート末端単位の中からの選択は、ウレタンアクリレート・オリゴマーの発生においてかなりの許容度を可能にする。ウレタンアクリレートはほとんどのオリゴマーと同様に、典型的には分子量及び粘度が高い。これらのオリゴマーは多官能性であり、そして複数の反応部位を含有する。反応部位数が増大することにより、硬化速度は改善され、最終生成物は架橋される。オリゴマー官能価は2〜6であってよい。
【0106】
とりわけ、好都合に使用される輻射線硬化性樹脂は、多価アルコール及びこれらの誘導体、例えば、ペンタエリトリトールのアクリレート誘導体、例えばペンタエリトリトールテトラアクリレート及びペンタエリトリトールトリアクリレートで官能化された、イソフォロンジイソシアネートから誘導された脂肪族ウレタンの混合物から誘導された多官能性アクリル化合物を含む。商業的に入手可能な本発明の実施において使用されるウレタンアクリレート・オリゴマーのいくつかの例は、Sartomer Company(Exton, PA)のオリゴマーを含む。本発明の実施において好都合に使用される樹脂の例は、Sartomer CompanyのCN 968(商標)である。
【0107】
紫外線硬化用組成物中には、光重合開始剤、例えばアセトフェノン化合物、ベンゾフェノン化合物、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、α-アミルオキシムエステル、又はチオキサントン化合物及び光増感剤、例えばn-ブチルアミン、トリエチルアミン、又はトリ-n-ブチルホスフィン、又はこれらの混合物が内蔵される。本発明の場合、好都合に使用される開始剤は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパノン-1である。
【0108】
耐摩耗層は典型的には、低複屈折ポリマーフィルムを塗布して乾燥させた後に適用される。本発明の耐摩耗層は塗膜組成物として適用され、塗膜組成物はまた典型的には有機溶剤を含む。好ましくは、有機溶剤の濃度は、総塗膜組成物の1〜99重量%である。
【0109】
本発明の耐摩耗層を塗布するために採用可能な溶剤の例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン及びキシレン、エステル、例えばメチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート及びこれらの混合物のような溶剤を含む。溶剤を適正に選択することにより、耐摩耗層の付着力を改善することができる一方、低複屈折ポリマーフィルムからの可塑剤と他の添加物との移動が最小限に抑えられ、耐摩耗層の硬度の維持が可能になる。TAC低複屈折ポリマーフィルムに適した溶剤は、芳香族炭化水素及びエステル溶剤、例えばトルエン及びプロピルアセテートである。
【0110】
UV重合性モノマー及びオリゴマーを、塗布して乾燥させ、続いてUV線に当てることにより、光学的に透明な架橋型耐摩耗層が形成される。好ましいUV硬化線量は、50〜1000mJ/cm2である。
【0111】
耐摩耗層の厚さは一般に約0.5〜50マイクロメートル、好ましくは1〜20マイクロメートル、より好ましくは2〜10マイクロメートルである。
【0112】
耐摩耗層は好ましくは無色であるが、しかし、オーバーコートを通してディスプレイの構成又は観察に有害な影響を与えない限り、この層が色補正のために又は特殊効果のために何らかの色を有し得ることが具体的には考えられる。従って、ポリマー中には、色を付与する色素を内蔵することができる。加えて、ポリマー中には、層に所望の特性を与えることになる添加剤を内蔵することができる。界面活性剤、乳化剤、塗布助剤、潤滑剤、艶消し粒子、レオロジー改質剤、架橋剤、カブリ防止剤、無機充填剤、例えば導電性及び非導電性金属酸化物粒子、顔料、磁性粒子、及び殺生剤などを含む他の付加的な化合物を、塗膜組成物に添加することができる。
【0113】
本発明の耐摩耗層は典型的には、(鉛筆試験ASTM D 3363による硬度の標準試験法を用いて)鉛筆硬度2H以上、好ましくは2H〜8Hの層を提供する。
【0114】
本発明のガード型カバーシート複合体は、キャリヤ支持体の、低複屈折ポリマーフィルムと同じ側に、防眩層、低反射層、又は反射防止層を含有することができる。好ましくは、防眩層、低反射層、又は反射防止層は、低複屈折ポリマーフィルムの、キャリヤとは反対側に配置される。このような層は、特に明るい周囲光内で観察されたときのディスプレイの観察特性を改善するために、LCDにおいて採用される。耐摩耗性硬質コートの屈折率が約1.50であるのに対して、周囲空気の屈折率は1.00である。屈折率のこのような差は、表面からの反射率約4%をもたらす。
【0115】
防眩塗膜は、粗面化又はテキスチャ加工された表面を提供する。この表面は、正反射を低減するために使用される。望ましくない反射光の全てがまだ存在するが、しかし、この反射光は正反射させられるのではなく、散乱させられる。本発明の目的上、防眩塗膜は好ましくは輻射線硬化型組成物を含む。輻射線硬化型組成物は、有機又は無機(艶消し)粒子を添加することにより、又は表面をエンボス加工することにより得られる、テキスチャ加工又は粗面化された表面を有する。耐摩耗層のための上記輻射線硬化型組成物は、防眩層においても効果的に採用される。輻射線硬化型組成物に艶消し粒子を添加することにより、表面粗さが好ましく得られる。好適な粒子は、金属の酸化物、窒化物、硫化物、又はハロゲン化物を有する無機化合物を含み、金属酸化物が特に好ましい。金属原子としては、Na, K, Mg, Ca, Ba, Al, Zn, Fe, Cu, Ti, Sn, In, W, Y, Sb, Mn, Ga, V, Nb, Ta, Ag, Si, B, Bi, Mo, Ce, Cd, Be, Pb及びNiが好適であり、そして、Mg, Ca, B及びSiがより好ましい。2つのタイプの金属を含有する無機化合物を使用することもできる。特に好ましい無機化合物は、二酸化ケイ素、つまりシリカである。
【0116】
本発明の防眩層における使用に適した付加的な粒子は、2003年10月21日付けで出願された同一譲受人による米国特許出願第10/690,123号明細書に記載された層状粘土を含む。最適な層状粘土は、高アスペクト比の板形状を成す材料を含む。アスペクト比は、非対称粒子における短方向に対する長方向の比である。好ましい層状粒子は天然粘土、特に天然スメクタイト粘土、例えばモンモリロナイト、ノントロナイト、ベイデライト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、ソボッカイト、スチーブンサイト、スビンフォルダイト、ハロイサイト、マガジアイト、ケニアイト及びバーミキュライト、並びに層状複水酸化物又はヒドロタルカイトである。最も好ましい粘土材料は、これらの材料の商業的な入手可能性に基づいて、天然モンモリロナイト、ヘクトライト及びヒドロタルカイトを含む。
【0117】
本発明に適した層状材料は、フィロシリケート、例えばモンモリロナイト、具体的にはナトリウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイト、及び/又はカルシウムモンモリロナイト、ノントロナイト、ベイデライト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、ソボッカイト、スチーブンサイト、スビンフォルダイト、バーミキュライト、マガジアイト、ケニアイト、タルク、マイカ、カオリナイト、及びこれらの混合物を含むことができる。他の有用な層状材料は、イライト、混合型層状イライト/スメクタイト鉱物、例えばレジカイト、及びイライトと上記層状材料との混和物を含んでよい。アニオン性マトリックス・ポリマーとともに特に有用な、その他の有用な層状材料は、層状複水酸化粘土又はヒドロタルカイト、例えばMg6Al3.4(OH)18.8(CO3)1.7H2Oを含み、これらは正電荷層、及び層間スペース内の交換可能なアニオンを含む。好ましい層状材料は、膨潤可能であることにより、他の物質、普通は有機イオン又は分子が層状材料を拡開、すなわち、インターカレート/展開することができ、その結果、無機相の所望の分散体が生じるようになっている。これらの膨潤可能な層状材料は、文献(例えば「An introduction to clay colloid chemistry」H. van Olphen, John Wiely & Sons Publishers)に定義されているような2:1タイプのフィロシリケートを含む。100グラム当たりのイオン交換容量が50〜300ミリ当量である典型的なフィロシリケートが好ましい。一般に、小板状粒子を防眩塗膜に導入する前に、小板状粒子凝集体を分離してタクトイドともよばれる小さな結晶にするように、選択された粘土材料を処理することが望ましい。小板状粒子の前分散又は分離はまた、バインダー/小板界面を改善する。上記目標を達成するいかなる処理をも用いることができる。有用な処理の一例としては、水溶性又は水不溶性ポリマー、有機試薬又はモノマー、シラン化合物、金属又は有機金属、カチオン交換を引き起こすための有機カチオン、及びこれらの組み合わせを用いたインターカレーションを含む。
【0118】
本発明の防眩層において使用するための付加的な粒子は、当業者に知られたポリマー艶消し粒子又はビードを含む。ポリマー粒子は固形又は多孔質であってよいが、好ましくはこれらは架橋型ポリマー粒子である。防眩層において使用するための多孔質ポリマー粒子は、2003年11月18日付けで出願された同一譲受人による米国特許出願第10/715,706号明細書に記載されている。
【0119】
防眩層において使用するための粒子の平均粒子サイズは、2〜20マイクロメートル、好ましくは2〜15マイクロメートル、最も好ましくは4〜10マイクロメートルである。これらの粒子は層内に、2 wt%以上、50 wt%未満、典型的には約2〜40 wt%、好ましくは2〜20 %、最も好ましくは2〜10 %である。
【0120】
防眩層の厚さは一般に、約0.5〜50マイクロメートル、好ましくは1〜20マイクロメートル、より好ましくは2〜10マイクロメートルである。
【0121】
本発明において使用される防眩層の、ASTM D523に基づく60°光沢値は、100未満、好ましくは90未満であり、また、ASTM D-1003法及びJIS K-7105法に基づく透過曇り値は、50%未満、好ましくは30%未満である。
【0122】
本発明の別の態様の場合、低反射層又は反射防止層が、耐摩耗性硬質コート層又は防眩層との組み合わせで使用される。低反射塗膜又は反射防止塗膜は、耐摩耗層又は防眩層の上側に適用される。典型的には、低反射層が提供する平均正反射(分光光度計によって測定し、波長領域450〜650 nmにわたって平均する)は、2%未満である。反射防止層が提供する平均正反射値は、1%未満である。
【0123】
本発明における使用に適した低反射層は、屈折率1.48未満、好ましくは屈折率約1.35〜1.40のフッ素含有ホモポリマー又はコポリマーを含む。好適なフッ素含有ホモポリマー及びコポリマーは:フルオロオレフィン(例えばフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)、(メト)アクリル酸の部分フッ素化又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体、及び完全フッ素化又は部分フッ素化ビニルエーテルなどを含む。この層の効果は、塗膜内部に間質空気ボイドを誘発するサブミクロン・サイズの無機粒子又はポリマー粒子を内蔵することにより、改善することができる。この技術はさらに、米国特許第6,210,858号明細書及び同第5,919,555号明細書に記載されている。2003年11月18日付けで出願された、同一譲受人による米国特許出願第10/715,655号明細書に記載されているように、サブミクロン・サイズのポリマー粒子の内部粒子空間に空気ボイドを制限することにより、塗膜曇りの不利益が低減されるので、低反射層の効果をさらに改善することができる。
【0124】
低反射層の厚さは、0.01〜1マイクロメートルであり、好ましくは0.05〜0.2マイクロメートルである。
【0125】
反射防止層は、単層又は多層を含んでよい。単層を含む反射防止層は典型的には、(450〜650 nmのより広い範囲内の)単一の波長だけで1%未満の反射率値を提供する。本発明における使用に適した、一般に採用される単層反射防止塗膜は、金属フッ化物、例えばフッ化マグネシウム(MgF2)の層を含む。層は、よく知られた真空蒸着技術又はゾル・ゲル技術によって適用することができる。典型的には、このような層は、反射率最小値が望まれる波長において、ほぼ4分の1波長の光学的厚さ(層の屈折率と層厚との積)を有する。
【0126】
単層は極めて狭い波長範囲内の光の反射を効果的に低減するが、互いに重ね合わされたいくつかの(典型的には金属酸化物系の)透明層を含む多層を使用することにより、幅広い波長領域にわたる反射を低減する(すなわち広帯域反射制御)ことの方が多い。このような構造の場合、半波長層を4分の1波長層と交互に配置することにより、性能を改善する。多層反射防止塗膜は、2つ、3つ、4つ、又は5つ以上の層を含んでよい。この多層の形成は、典型的には、それぞれが所定の屈折率と厚さとを有する層の数に相当する多数の蒸着処置又はゾル・ゲル塗膜を含む複雑なプロセスを必要とする。これらの干渉層には、各層の厚さの正確な制御が必要とされる。本発明における使用に適した多層反射防止塗膜の構成は特許文献及び技術文献においてよく知られており、また、種々のテキスト、例えばH. A. Macleod, 「Thin Film Optical Filters」, Adam Hilger, Ltd., Bristol 1985、及びJames D. Rancourt, 「Optical Thin Films User's Handbook」, Macmillan Publishing Company, 1987に記載されている。
【0127】
本発明のガード型カバーシート複合体は、キャリヤ支持体の、低複屈折ポリマーフィルムと同じ側に、湿分バリヤ層を含有することができる。バリヤ層は、低複屈折ポリマーフィルムの一方又は両方の側に配置することができる。湿分バリヤ層は、疎水性ポリマー、例えば塩化ビニリデン・ポリマー、フッ化ビニリデン・ポリマー、ポリウレタン、ポリオレフィン、フッ素化ポリオレフィン、ポリカーボネート、及び透湿性が低いその他のものを含む。好ましくは、疎水性ポリマーは塩化ビニリデンを含む。より好ましくは、疎水性ポリマーは70〜99重量パーセントの塩化ビニリデンを含む。有機溶剤系又は水性の塗膜配合物を適用することにより、湿分バリヤ層を適用することができる。効果的な湿分バリヤ特性を提供するために、層の厚さは、1マイクロメートル以上、好ましくは1〜10マイクロメートル、最も好ましくは2〜8マイクロメートルであるべきである。湿分バリヤ層を含む本発明のカバーシートは、ASTM F-1249に基づく水蒸気透過速度(MVTR)が1000 g/m2/日未満、好ましくは800 g/m2/日未満、最も好ましくは500 g/m2/日未満である。本発明のカバーシートにおいてこのようなバリヤ層を使用することにより、湿度の変化に対する抵抗性が改善され、また、特にTACカバーシートの厚さが約40マイクロメートル未満である場合に、カバーシートを含む偏光子の耐久性が高められる。
【0128】
本発明のガード型カバーシート複合体は、キャリヤ支持体の、低複屈折ポリマーフィルムと同じ側に、透明静電防止層を含有することができる。静電防止層は、低複屈折ポリマーフィルムのいずれの側にも配置することができる。静電防止層は、カバーシート複合体の製造中及び使用中に発生するおそれのある静電荷を制御するのを助ける。静電荷を効果的に制御すると、カバーシート複合体への汚れ及びダストの吸引傾向が低減される。本発明のガード型カバーシート複合体は、キャリヤ支持体からのカバーシートの引き剥がし中に、特に摩擦電気を帯びやすい。カバーシートと支持体との分離から生じる、いわゆる「分離電荷(separation charge)」は、抵抗率約1 × 1011Ω/スクエア未満、好ましくは1 × 1010Ω/スクエア未満、そして最も好ましくは1 × 109Ω/スクエア未満の静電防止層によって効果的に制御することができる。
【0129】
種々の高分子バインダー及び導電性材料を静電防止層内に採用することができる。静電防止層において有用な高分子バインダーは、コーティング技術において広く使用されるポリマーのうちのいずれか、例えばエチレン系不飽和型モノマーのインターポリマー、セルロース誘導体、ポリウレタン、ポリエステル、親水性コロイド、例えばゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びその他のものを含む。
【0130】
静電防止層において採用される導電性材料は、イオン伝導性又は電子伝導性であってよい。イオン伝導性材料は、単純な無機塩、界面活性剤のアルカリ金属塩、アルカリ金属塩を含有する高分子電解質、及びコロイド状金属酸化物ゾル(金属塩によって安定化)を含む。これらのうち、イオン伝導性ポリマー、例えばスチレンスルホン酸コポリマーのアニオン性アルカリ金属塩、及び米国特許第4,070,189号明細書のカチオン性第四アンモニウムポリマー、及びシリカ、酸化錫、チタニア、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、アルミナで塗布されたシリカ、アルミナ、ベーマイト、及びスメクタイト粘土を含むイオン伝導性コロイド金属酸化物ゾルが好ましい。
【0131】
本発明において採用される静電防止層は、好ましくは、湿度及び温度とは独立した導電性を有することにより、電子伝導性材料を含有する。好適な材料は下記のものを含む:
1)ドナーでドープされた金属酸化物、酸素欠乏を有する金属酸化物、及び導電性窒化物、炭化物、及び臭化物を含む電子伝導性金属含有粒子。特に有用な粒子の具体例は、導電性SnO2、In2O、ZnSb2O6、InSbO4、TiB2、ZrB2、NbB2、TaB2、CrB、MoB、WB、LaB6、ZrN、TiN、WC、HfC、HfN、及びZrCを含む。これらの電子伝導性粒子を記載する特許明細書の例は、米国特許第4,273,103号;同第4,394,441号;同第4,416,963号;同第4,418,141号;同第4,431,764号;同第4,495,276号;同第4,571,361号;同第4,999,276号;同第5,122,445号;及び同第5,368,995号の各明細書を含む。
【0132】
2)例えば、米国特許第4,845,369号明細書及び同第5,166,666号明細書に記載されているような、非導電性チタン酸カリウム・ホイスカー上に塗布されたアンチモン・ドープ型酸化錫、米国特許第5,719,016号明細書及び同第5,731,119号明細書に記載されているような、アンチモン・ドープ型酸化錫のファイバー又はホイスカー、及び米国特許第4,203,769号明細書に記載されている銀ドープ型五酸化バナジウム・ファイバーを含むファイバー状電子伝導性粒子。
【0133】
3)電子伝導性ポリアセチレン、ポリチオフェン、及びポリピロール、好ましくは米国特許第5,370,981号明細書に記載された、Bayer CorpからBaytron(商標)Pとして商業的に入手可能なポリエチレンジオキシチオフェン。
【0134】
本発明の静電防止層において使用される導電性物質の量は、採用される導電性物質に応じて幅広く変化することができる。例えば、有用な量は、約0.5 mg/m2〜約1000 mg/m2、好ましくは約1 mg/m2〜約500 mg/m2である。静電防止層は、高い透明性を保証するために、0.05〜5マイクロメートル、好ましくは0.1〜0.5マイクロメートルの厚さを有する。
【0135】
液晶技術を採用する電子ディスプレイにとって、コントラスト、色再現、及び安定なグレースケール強度が重要な品質属性である。液晶ディスプレイのコントラストを制限する主要ファクターは、光が、暗又は「黒」画素状態にある液晶素子又はセルを通って「漏れる」傾向である。さらに、漏れ、ひいては液晶ディスプレイのコントラストはまた、ディスプレイ・スクリーンがどの方向から観察されるか、その方向に依存する。典型的には、最適なコントラストは、ディスプレイに対する法線入射を中心とする狭い視野角内でしか観察されず、そして、観察方向がディスプレイ法線から逸れるのに伴って急速に低下する。カラー・ディスプレイの場合、漏れの問題はコントラストを劣化させるだけでなく、色又は色相のずれをも引き起こし、これには色再現の劣化が伴う。
【0136】
このように、LCDの品質を測定する主要なファクターのうちの1つが、視野角特性である。視野角特性は、異なる視野角からのコントラスト比の変化を表す。大きく変化する視野角から同じ画像を見ることができることが望ましく、またこの可能性は、液晶ディスプレイ・デバイスには不足している。視野角特性を改善するための1つの方法は、視野角補償層(補償層、リターダー層、又は位相差層ともよばれる)を有するカバーシートを採用することである。視野角補償層は、米国特許第5,583,679号、同第5,853,801号、同第5,619,352号、同第5,978,055号、及び同第6,160,597号の各明細書に開示されているように、PVA-二色性フィルムと液晶セルとの間に適正な光学特性を有する。負の複屈折を有するディスコティック液晶に基づいた、米国特許第5,583,679号明細書及び同第5,853,801号明細書による補償フィルムが幅広く使用されている。
【0137】
本発明において有用な視野角補償層は、光学異方性層である。光学異方性視野角補償層は、正の複屈折材料又は負の複屈折材料を含んでよい。補償層は光学的に一軸性又は光学的に二軸性であってよい。補償層は、層に対して垂直な平面内で傾斜したその光軸を有してよい。光軸の傾斜は層厚方向で一定であってよく、又は光軸の傾斜は層厚方向で変化してもよい。
【0138】
本発明において有用な光学異方性視野角補償層は、米国特許第5,583,679号明細書及び同第5,853,801号明細書に記載された負の複屈折のディスコティック液晶;米国特許第6,160,597号明細書に記載された正の複屈折のネマティック液晶:同一譲受人による米国特許出願公開第2004/0021814号明細書及び2003年12月23日付けで出願された米国特許出願第10/745,109号明細書に記載された負の複屈折の非晶質ポリマーを含んでよい。これらの後者の2つの特許出願明細書に記載された補償層が含むポリマーは、不可視発色団、例えばビニル、カルボニル、アミド、イミド、エステル、カーボネート、スルホン、アゾ、及び芳香族基(すなわちベンゼン、ナフタレート、ビフェニル、ビスフェノールA)をポリマー主鎖内に含有し、そして好ましくは180℃を上回るガラス転移温度を有する。このようなポリマーは、本発明の補償層内で特に有用である。このようなポリマーは、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、及びポリチオフェンを含む。これらのうち、本発明において使用するのに特に好ましいポリマーは:1)ポリ(4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデン-ビスフェノール)テレフタレート-コ-イソフタレート、2)ポリ(4,4'-ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-5-イリデンビスフェノール)テレフタレート、3)ポリ(4,4'-イソプロピリデン-2,2',6,6'-テトラクロロビスフェノール)テレフタレート-コ-イソフタレート、4)ポリ(4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデン)-ビスフェノール-コ-(2-ノルボルニリデン)-ビスフェノールテレフタレート、5)ポリ(4,4'-ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-5-イリデン)-ビスフェノール-コ-(4,4'-イソプロピリデン-2,2',6,6'-テトラブロモ)-ビスフェノールテレフタレート、又は6)ポリ(4,4'-イソプロピリデン-ビスフェノール-コ-4,4'-(2-ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート-コ-イソフタレート、又はポリ(4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデン-ビスフェノール-コ-4,4'-(2-ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート-コ-イソフタレート、又は前記のもののいずれかのコポリマーを含む。これらのポリマーを含む補償層は、典型的には、-20nmよりも負である面外リターデーションRthを有し、好ましくはRthは、-60〜-600nmであり、最も好ましくはRthは、-150〜-500nmである。
【0139】
本発明に適した別の補償層は、特開平11-95208号公報に記載されているように、展開された無機粘土材料を高分子バインダー中に含む光学異方性層を含む。
【0140】
本発明の防眩層は、多くのよく知られた液体コーティング技術、例えば浸漬コーティング、ロッド・コーティング、ブレード・コーティング、エアナイフ・コーティング、グラビア・コーティング、マイクログラビア・コーティング、リバースロール・コーティング、スロット・コーティング、押出コーティング、スライド・コーティング、カーテン・コーティングのいずれかによって、又は真空蒸着技術によって適用することができる。液体塗布の場合、湿潤層は一般に、シンプルな蒸発によって乾燥させられる。この蒸発は既知の技術、例えば対流加熱によって加速することができる。補助層は、他の層、例えば下塗り層及び低複屈折ポリマーフィルムと同時に適用することができる。いくつかの異なる補助層を、スライド・コーティングを用いて同時に塗布することができ、例えば静電防止層を湿分バリヤ層と同時に塗布することができ、或いは、湿分バリヤ層を視野角補償層と同時に塗布することもできる。リサーチディスクロージャ(Research Disclosure) No. 308119(1989年12月発行)第1007〜1008頁には、既知のコーティング法及び乾燥法がさらに詳細に記載されている。
【0141】
本発明のカバーシートは、種々様々なLCDディスプレイ様式、例えばねじれネマティック(Twisted Nematic(TN))、超ねじれネマティック(Super Twisted Nematic(STN))、光学補償屈曲(Optically Compensated Bend(OCB))、面内切換え(In Plane Switching(IPS))、又は垂直配向(Vertically Aligned(VA))液晶ディスプレイとともに使用するのに適している。これら種々の液晶ディスプレイ技術は、米国特許第5,619,352号明細書(Koch他)、同第5,410,422号明細書(Bos)、及び同第4,701,028号明細書(Clerc他)に概説されている。
【0142】
前述の詳細な説明に基づいて明らかなように、補助層の種々のタイプ及び配列を有する種々様々なガード型カバーシート複合体を調製することができる。本発明に基づいて考えられ得る構造のうちのいくつかを、下記非限定的例によって示す。
【0143】
ガード型カバーシート複合体C1:
【0144】

TAC
PVA層
キャリヤ支持体
【0145】
100マイクロメートル厚のポリエチレンテレフタレートのキャリヤ支持体をコロナ処理し、これに、乾燥厚1マイクロメートルのポリビニルアルコールCervol(商標)325 PVA(98〜99%加水分解型、Celanese Corp.から入手可能)を含む、PVAとの付着を促進する層を塗布する。次いで、乾燥PVA層に、トリアセチルセルロース(TAC)配合物をオーバー塗布する。乾燥済TAC層は厚さ20マイクロメートルであり、11 wt%のトリフェニルホスフェート可塑剤、1 wt%のTINUVIN(商標) 8515 UV吸収剤(2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールと、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールとの混合物、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能)、及び約0.1 wt%のPARSOL(商標) 1789 UV吸収剤(4-(1,1-ジメチルエチル)-4'-メトキシジベンゾイルメタン、Roche Vitamins Inc.から入手可能)を含有する。
【0146】
ガード型カバーシート複合体C2:
【0147】

PVA層
TAC
キャリヤ支持体
【0148】
ガード型カバーシート複合体C2を複合体C1と同様に調製する。ただしここでは、キャリヤ支持体上にTAC層が適用され、そして乾燥TAC層上にPVA層が適用される。
【0149】
ガード型カバーシート複合体C3:
【0150】

TAC
PVA
リリース層
プライマー層
キャリヤ支持体
【0151】
ガード型カバーシート複合体C3を複合体C1と同様に調製する。ただしここでは、ポリエチレンテレフタレート・キャリヤ支持体は、ポリ(塩化ビニリデン-コ-アクリロニトリル-コ-アクリル酸)を含む0.1マイクロメートル厚のプライマー層である第1下塗り層と、ポリビニルブチラールを含む0.5マイクロメートル厚のリリース層である第2下塗り層とを有する。
【0152】
ガード型カバーシート複合体C4:
【0153】

耐摩耗層
静電防止層
湿分バリヤ層
TAC
PVA層
キャリヤ支持体
【0154】
ガード型カバーシート複合体C4を複合体C1と同様に調製する。ただしここでは、78 wt%の塩化ビニリデンを含有するポリ(塩化ビニリデン-コ-アクリロニトリル-コ-アクリル酸)を含む5マイクロメートル厚の湿分バリヤ層がTAC層上に適用される。ポリ(塩化ビニリデン-コ-アクリロニトリル-コ-アクリル酸)バインダー中にBaytron(商標)P(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート、Bayer Corpから入手可能)を含む静電防止層を湿分バリヤ層上に適用する。静電防止層は、3 mg/m2のBaytron(商標)Pを含有し、約1 × 108Ω/スクエアの表面抵抗率を有する。静電防止層上に耐摩耗層を適用する。耐摩耗層の適用は、ウレタンアクリレート・オリゴマー(Sartomer CompanyのCN 968(商標))を塗布し、乾燥させ、次いでUV硬化させることにより行われる。
【0155】
ガード型カバーシート複合体C5:
【0156】

剥離可能な保護層
感圧粘着層
耐摩耗層
静電防止層
湿分バリヤ層
TAC
PVA層
キャリヤ支持体
【0157】
剥離可能な保護層を接着によりラミネートすることによって、複合体C4から、ガード型カバーシート複合体C5を調製する。剥離可能な保護層は、保護層の一方の側に、予め塗布された粘着層を有する。保護層は、予め形成された25マイクロメートル厚のポリエステル・フィルムである。粘着層は好適には、薄い(1〜5マイクロメートル厚)のアクリル系接着剤である。この接着剤は、当業者によく知られており、容易に商業的に入手可能である。
【0158】
ガード型カバーシート複合体C6:
【0159】

耐摩耗層
静電防止層
湿分バリヤ層
環状オレフィン・ポリマー
PVA層
キャリヤ支持体
【0160】
ガード型カバーシート複合体C6を複合体C4と同様に調製する。ただしここでは、環状オレフィン・ポリマー(Nippon Zeonから入手可能なZeonor(商標))から成る20マイクロメートル厚の層をTACの代わりに、低複屈折ポリマーフィルムとして使用する。
【0161】
ガード型カバーシート複合体C7:
【0162】

視野角補償層
TAC
PVA層
キャリヤ支持体
【0163】
ガード型カバーシート複合体C7を複合体C1と同様に調製する。ただしここでは、視野角補償層がTAC層上に適用される。視野角補償層は、ポリ(4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデン-ビスフェノール-コ-4,4'-(2-ノルボルニリデン)-ビスフェノール)テレフタレート-コ-イソフタレートを含む3マイクロメートル厚の層である。
【0164】
ガード型カバーシート複合体C8:
【0165】

視野角補償層
静電防止層
湿分バリヤ層
TAC
PVA層
キャリヤ支持体
【0166】
ガード型カバーシート複合体C8を複合体C4と同様に調製する。ただしここでは、耐摩耗層の代わりに、視野角補償層がTAC層上に適用される。視野角補償層は、ポリ(4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデン-ビスフェノール-コ-4,4'-(2-ノルボルニリデン)-ビスフェノール)テレフタレート-コ-イソフタレートを含む3マイクロメートル厚の層である。
【0167】
ガード型カバーシート複合体C9:
【0168】

視野角補償層
環状オレフィン・ポリマー
PVA層
キャリヤ支持体
【0169】
ガード型カバーシート複合体C9を複合体C7と同様に調製する。ただしここでは、環状オレフィン・ポリマー(Nippon Zeonから入手可能なZeonor(商標))から成る20マイクロメートル厚の層をTACの代わりに、低複屈折ポリマーフィルムとして使用する。
【0170】
ガード型カバーシート複合体C10:
【0171】

視野角補償層
静電防止層
湿分バリヤ層
環状オレフィン・ポリマー
PVA層
キャリヤ支持体
【0172】
ガード型カバーシート複合体C10を複合体C8と同様に調製する。ただしここでは、環状オレフィン・ポリマー(Nippon Zeonから入手可能なZeonor(商標))から成る20マイクロメートル厚の層をTACの代わりに、低複屈折ポリマーフィルムとして使用する。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1】図1は、本発明の方法を実施する際に使用することができるコーティング・乾燥装置の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、支持体から分離された酢酸セルロース・ウェブが別個に巻き取られるステーションを含む、図1のコーティング・乾燥装置例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明を実施する際に使用することができる多スロット・コーティング装置の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、3層カバーシートと、部分的に引き剥がされたキャリヤ支持体とを含む本発明のガード型カバーシート複合体を示す断面図である。
【図5】図5は、4層カバーシートと、部分的に引き剥がされたキャリヤ支持体とを含む本発明のガード型カバーシート複合体を示す断面図である。
【図6】図6は、5層カバーシートと、部分的に引き剥がされたキャリヤ支持体とを含む本発明のガード型カバーシート複合体を示す断面図である。
【図7】図7は、4層カバーシートと、剥離可能な保護層と、部分的に引き剥がされたキャリヤ支持体とを含む本発明のガード型カバーシート複合体を示す断面図である。
【図8】図8は、4層カバーシートと、部分的に引き剥がされたキャリヤ支持体とを含み、キャリヤ支持体上にはリリース層が形成されている本発明のガード型カバーシート複合体を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明のガード型カバーシート複合体を使用して、偏光板を製作する方法を示す概略図である。
【図10】図10は、セルのいずれの側にも偏光板を有する液晶セルを示す断面図である。
【図11】図11は、酢酸セルロース・フィルムを流延するために従来技術で使用される流延装置を示す概略図である。
【符号の説明】
【0174】
10 乾燥システム
12 運動中の支持体/ウェブ
14 乾燥器
16 コーティング装置
18 繰り出しステーション
20 バックアップ・ローラ
22 塗布済のウェブ
24 カバーシート複合体
26 巻き上げステーション
28 コーティング供給容器
30 コーティング供給容器
32 コーティング供給容器
34 コーティング供給容器
36 ポンプ
38 ポンプ
40 ポンプ
42 ポンプ
44 導管
46 導管
48 導管
50 導管
52 放電装置
54 極性電荷支援装置
56 対向するローラ
58 対向するローラ
60 予め形成された保護層
62 繰り出しステーション
64 巻き上げステーション
66 乾燥区分
68 乾燥区分
70 乾燥区分
72 乾燥区分
74 乾燥区分
76 乾燥区分
78 乾燥区分
80 乾燥区分
82 乾燥区分
92 前区分
94 第2区分
96 第3区分
98 第4区分
100 後板
102 入口
104 計量スロット
106 ポンプ
108 最下層
110 入口
112 第2計量スロット
114 ポンプ
116 層
118 入口
120 計量スロット
122 ポンプ
124 層
126 入口
128 計量スロット
130 ポンプ
132 層
134 傾斜スライド面
136 コーティング・リップ
138 第2傾斜スライド面
140 第3傾斜スライド面
142 第4傾斜スライド面
144 後ろ側のランド面
146 コーティング・ビード
151 ガード型カバーシート複合体
153 ガード型カバーシート複合体
155 ガード型カバーシート複合体
157 ガード型カバーシート複合体
159 ガード型カバーシート複合体
162 最下層
164 中間層
165 中間層
166 中間層
167 粘着層
168 最上層
169 予め形成された保護層
170 キャリヤ支持体
171 カバーシート
173 カバーシート
175 カバーシート
177 カバーシート
179 カバーシート
174 最下層
176 中間層
178 中間層
180 最上層
182 キャリヤ支持体
184 リリース層
200 フィード導管
202 押出ホッパー
204 加圧されたタンク
206 ポンプ
208 金属ドラム
210 乾燥区分
212 乾燥炉
214 流延フィルム
216 最終乾燥区分
218 最終乾燥済フィルム
220 巻き上げステーション
232 ガード型カバーシート複合体供給ロール
234 ガード型カバーシート複合体供給ロール
236 PVA−二色性フィルム供給ロール
238 PVA−二色性フィルム
240 キャリヤ支持体巻き上げロール
242 対向するピンチローラ
244 対向するピンチローラ
250 偏光板
252 偏光板
254 偏光板
260 LCDセル
261 PVAとの付着を促進する層
262 低複屈折ポリマーフィルム
264 湿分バリヤ層
266 静電防止層
268 防眩層
272 視野角補償層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリヤ支持体並びに低複屈折ポリマーフィルム、及び前記キャリヤの、該低複屈折ポリマーフィルムと同じ側に位置する、ポリビニルアルコールとの付着を促進する層を含むカバーシートを含む、ガード型カバーシート複合体。
【請求項2】
耐摩耗層をさらに含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
前記耐摩耗層が、前記低複屈折ポリマーフィルムの、前記キャリヤとは反対側に配置されている、請求項2に記載の複合体。
【請求項4】
前記耐摩耗層の鉛筆硬度が2Hを上回る、請求項2に記載の複合体。
【請求項5】
前記耐摩耗層が、輻射線硬化型アクリル・ポリマーを含む、請求項2に記載の複合体。
【請求項6】
前記キャリヤの、前記低複屈折ポリマーフィルムと同じ側に静電防止層をさらに含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項7】
前記キャリヤの、前記低複屈折ポリマーフィルムと同じ側に反射防止層をさらに含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項8】
前記キャリヤの、前記低複屈折ポリマーフィルムと同じ側に低反射層をさらに含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項9】
前記低反射層が、フッ素含有ポリマーを含む、請求項8に記載の複合体。
【請求項10】
前記低反射層のスペクトル反射率が2%未満である、請求項8に記載の複合体。
【請求項11】
前記キャリヤ支持体とは反対側の、前記複合体の表面上に、剥離可能な保護層をさらに含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項12】
前記剥離可能な保護層が、ポリエステル又はポリオレフィン・フィルムを含む、請求項11に記載の複合体。
【請求項13】
前記剥離可能な保護層の厚さが、5〜100マイクロメートルである、請求項11に記載の複合体。
【請求項14】
前記剥離可能な保護層が、前記層を塗布することにより適用される、請求項11に記載の複合体。
【請求項15】
前記剥離可能な保護層が、予め形成された保護層を接着によって付着させることにより適用される、請求項11に記載の複合体。
【請求項16】
前記剥離可能な保護層が、予め形成された保護層を静電気によって付着させることにより適用される、請求項11に記載の複合体。
【請求項17】
湿分バリヤ層をさらに含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項18】
前記キャリヤ支持体と前記カバーシートとの間にリリース層をさらに含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項19】
前記リリース層がポリビニルブチラールを含む、請求項18に記載の複合体。
【請求項20】
前記リリース層が前記キャリヤに、前記カバーシートよりも強く付着されている、請求項18に記載の複合体。
【請求項21】
前記キャリヤシートがポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項22】
前記低複屈折ポリマーフィルムが、セルロース・エステルを含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項23】
前記低複屈折ポリマーフィルムが、トリアセチルセルロースを含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項24】
前記低複屈折ポリマーフィルムが、ポリカーボネートを含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項25】
前記低複屈折ポリマーフィルムの厚さが、5〜50マイクロメートルである、請求項1に記載の複合体。
【請求項26】
前記低複屈折ポリマーフィルムが、環状オレフィン・コポリマーを含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項27】
前記キャリヤの、該低複屈折ポリマーフィルムと同じ側に位置する静電防止層をさらに含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項28】
視野角補償層をさらに含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項29】
前記反射防止層のスペクトル反射率が1%未満である、請求項7に記載の複合体。
【請求項30】
前記視野角補償層が、1)ポリ(4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデン-ビスフェノール)テレフタレート-コ-イソフタレート、2)ポリ(4,4'-ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-5-イリデンビスフェノール)テレフタレート、3)ポリ(4,4'-イソプロピリデン-2,2',6,6'-テトラクロロビスフェノール)テレフタレート-コ-イソフタレート、4)ポリ(4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデン)-ビスフェノール-コ-(2-ノルボルニリデン)-ビスフェノールテレフタレート、5)ポリ(4,4'-ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-5-イリデン)-ビスフェノール-コ-(4,4'-イソプロピリデン-2,2',6,6'-テトラブロモ)-ビスフェノールテレフタレート、6)ポリ(4,4'-イソプロピリデン-ビスフェノール-コ-4,4'-(2-ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート-コ-イソフタレート、又はポリ(4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデン-ビスフェノール-コ-4,4'-(2-ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート-コ-イソフタレート、又は前記のもののいずれかのコポリマーを含む、請求項28に記載のガード型カバーシート複合体。
【請求項31】
前記視野角補償層が、-20nmよりも負である面外リターデーションを有する、請求項28に記載のガード型カバーシート複合体。
【請求項32】
前記湿分バリヤ層が、塩化ビニリデン・コポリマーを含む、請求項17に記載のガード型カバーシート複合体。
【請求項33】
前記カバーシートの水蒸気透過速度が、500グラム/平方メートル/日未満である、請求項17に記載のガード型カバーシート複合体。
【請求項34】
前記複合体が、下記層:視野角補償層、湿分バリヤ層、静電防止層、防眩層、反射防止層、及び耐摩耗層、のうちの2つ以上を含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項35】
前記複合体が、下記層:視野角補償層、湿分バリヤ層、静電防止層、防眩層、反射防止層、及び耐摩耗層、のうちの2つ以上を含む、請求項11に記載の複合体。
【請求項36】
前記複合体が、下記層:視野角補償層、湿分バリヤ層、静電防止層、防眩層、反射防止層、及び耐摩耗層、のうちの2つ以上を含む、請求項18に記載の複合体。
【請求項37】
前記ポリビニルアルコールとの付着を促進する層が、前記キャリヤ支持体に隣接している、請求項1に記載の複合体。
【請求項38】
前記ポリビニルアルコールとの付着を促進する層が、該低複屈折フィルムの、該キャリヤ支持体とは反対側に位置する、請求項1に記載の複合体。
【請求項39】
前記ポリビニルアルコールとの付着を促進する層が、親水性ポリマーを含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項40】
前記ポリビニルアルコールとの付着を促進する層が、ポリビニルアルコールを含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項41】
前記ポリビニルアルコールとの付着を促進する層が、粘着剤を含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項42】
前記ポリビニルアルコールとの付着を促進する層の厚さが0.1〜5マイクロメートルである、請求項1に記載の複合体。
【請求項43】
前記ポリビニルアルコールとの付着を促進する層の厚さが1〜3マイクロメートルである、請求項1に記載の複合体。
【請求項44】
キャリヤ支持体並びにポリビニルアルコールとの付着を促進する層及び低複屈折ポリマーフィルムを含むカバーシートを、それぞれが含む2つのガード型カバーシート複合体を用意し、二色性フィルムを用意し、そして前記カバーシートを前記二色性フィルムと同時に接触させて、前記2つのカバーシートのそれぞれにおける該ポリビニルアルコールとの付着を促進する層が前記二色性フィルムと接触するようにすることを含む、偏光板の形成方法。
【請求項45】
該カバーシートを前記二色性フィルムと接触させる前に、前記キャリヤ支持体を取り除く、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
該カバーシートを前記二色性フィルムと接触させた後に、前記キャリヤ支持体を取り外す、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記ガード型カバーシート複合体が、前記キャリヤ支持体とは反対側に、保護層をさらに含み、そして前記保護層が、該カバーシートを前記二色性フィルムと接触させた後に取り外される、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記ガード型カバーシート複合体が、前記キャリヤ支持体とは反対側に、保護層をさらに含み、そして前記保護層が、該カバーシートを前記二色性フィルムと接触させる前に取り外される、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記二色性フィルムと前記カバーシートとを接触させるのと同時に、接着剤が適用される、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記接着剤がポリビニルアルコール溶液を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記二色性フィルムと前記カバーシートとが接触させられるのに伴って、圧力が加えられる、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記二色性フィルムと前記カバーシートとが接触させられた後に、該偏光板が乾燥させられる、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
前記ポリビニルアルコールとの付着を促進する層が、前記キャリヤ支持体に隣接している、請求項44に記載の方法。
【請求項54】
前記ポリビニルアルコールとの付着を促進する層が、該低複屈折フィルムの、該キャリヤ支持体とは反対側に位置する、請求項44に記載の方法。
【請求項55】
前記ポリビニルアルコールとの付着を促進する層が、親水性ポリマーを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項56】
前記ポリビニルアルコールとの付着を促進する層が、ポリビニルアルコールを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項57】
前記ポリビニルアルコールとの付着を促進する層が、粘着剤を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項58】
前記ポリビニルアルコールとの付着を促進する層の厚さが0.1〜5マイクロメートルである、請求項44に記載の方法。
【請求項59】
前記ポリビニルアルコールとの付着を促進する層の厚さが1〜3マイクロメートルである、請求項44に記載の方法。
【請求項60】
前記二色性フィルムと前記カバーシートとを接触させるのと同時に、水が適用される、請求項44に記載の方法。
【請求項61】
前記水が、該ポリビニルアルコール二色性フィルムと、前記ポリビニルアルコールとの付着を促進する層との間を化学的に架橋することになる材料をさらに含む、請求項60に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−536570(P2007−536570A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511398(P2007−511398)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/013457
【国際公開番号】WO2005/111667
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】