説明

代謝の調節因子および代謝に関連する障害の処置

本発明は、グルコース代謝の調節因子である4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(式I)、薬学的に許容できるその塩、溶媒和物および水和物に関する。したがって、本発明の化合物は、糖尿病および肥満症などの代謝関連障害およびそれらの合併症の治療に有用である。この代謝関連障害は、I型糖尿病、II型糖尿病、不適切なブドウ糖耐性、インスリン抵抗性、高血糖症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、異脂肪血症またはX症候群である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、グルコース代謝の調節因子である4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル、ならびに薬学的に許容できるその塩、溶媒和物および水和物に関する。したがって、本発明の化合物は、糖尿病および肥満症などの代謝関連障害およびそれらの合併症の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
糖尿病は、世界中で1億人を超える人々を苦しめている重大な疾患である。米国では、1,200万人を超える糖尿病患者が存在し、60万の新たな症例が毎年診断されている。
【0003】
糖尿病は、血糖の上昇をもたらす異常なグルコース恒常性を特徴とする一群の障害を表す診断用語である。多くのタイプの糖尿病が存在するが、2つ最も一般的なものは、I型(インスリン依存性糖尿病またはIDDMとも呼ばれる)およびII型(インスリン非依存性糖尿病またはNIDDMとも呼ばれる)である。
【0004】
異なるタイプの糖尿病の病因は、同一ではないが、糖尿病のすべての人には、肝臓によるグルコースの過剰産生およびグルコースが身体の主要燃料となる細胞中にグルコースを血液から移動する能力がほとんどまたはまったくないことという2つの共通点がある。
【0005】
糖尿病を患っていない人々は、膵臓で作られるホルモンであるインスリンに依存してグルコースを血液から身体の細胞中に移動している。しかしながら、糖尿病を患っている人々は、インスリンを産生しないか、またはそれらの人々が産生するインスリンを効率的に使用することができないかのどちらかであるため、それらの人々は、グルコースを自分たちの細胞中に移動することができない。グルコースは、血液中に蓄積し、高血糖症と呼ばれる状態を生み出し、時間とともに、重大な健康上の問題を引き起こすことがある。
【0006】
糖尿病は、代謝性、血管性、および神経障害性の構成要素が相互に関係する症候群である。代謝性症候群は、高血糖症を一般的に特徴とし、インスリン分泌の欠如もしくは著しい低下および/または無効なインスリン作用により引き起こされる炭水化物、脂肪およびタンパク質代謝の変化を含む。血管性症候群は、心血管、網膜および腎臓の合併症につながる血管の異常からなる。末梢および自律神経系の異常も、糖尿病性症候群の一部である。
【0007】
糖尿病を患っている人々の約5%〜10%は、IDDMを有する。これらの個体は、インスリンを産生せず、したがって、インスリンを注射して自分たちの血糖値を正常に保たなければならない。IDDMは、膵臓のインスリン産生β細胞の破壊により引き起こされる低レベルまたは検出不能レベルの内因性インスリン産生を特徴とし、IDDMとNIDDMを最も容易に区別する特徴である。IDDMは、かつて若年発症糖尿病と呼ばれ、若年成人と高齢者を同等に襲う。
【0008】
糖尿病の人々の約90〜95%は、II型(すなわちNIDDM)を有する。NIDDM被験者は、インスリンを産生するが、被験者の体内の細胞は、インスリン抵抗性であり、細胞は、ホルモンに対して適切に応答しないため、グルコースは、被験者の血液中に蓄積する。NIDDMは、内因性インスリン産生とインスリン必要量の間の相対的不均衡を特徴とし、血液グルコースレベルの上昇につながる。IDDMとは対照的に、NIDDMには多少の内因性インスリン産生が常に存在し、多くのNIDDM患者は、正常な血液インスリンレベルまたは血液インスリンレベルの上昇さえ有するが、他のNIDDM患者は、不十分なインスリン産生を有する(非特許文献1)。NIDDMと診断される大部分の人々は、30歳以上であり、全新症例の半数は、55歳以上である。白人およびアジア人と比較すると、NIDDMは、アメリカ先住民、アフリカ系アメリカ人、ラテン系アメリカ人、およびヒスパニックの間でより一般的である。さらに、その発症は、潜行性であるか、または臨床的に不顕性でさえあることがあり、診断を困難にしている。
【0009】
NIDDMに関する主要な病原性病変は、捕らえどころのないままであった。多くの人は、末梢組織の原発性のインスリン抵抗性が初期事象であることを示唆した。遺伝疫学的研究は、この見解を支持してきた。同様に、インスリン分泌異常は、NIDDMにおける原発性の欠陥として論じられてきた。両現象は、疾患プロセスへの重要な寄与因子であるという可能性がある(非特許文献2)。
【0010】
NIDDMの多くの人々は、座ることの多い生活スタイルを送り、肥満であり、それらの人々は、自分の身長および体格についての推奨体重を約20%超える体重がある。さらに、肥満症は、NIDDM、高血圧症およびアテローム性動脈硬化症に共通する特徴である高インスリン血症およびインスリン抵抗性を特徴とする。
【0011】
肥満症および糖尿病は、工業化社会における最も一般的なヒトの健康上の問題の1つである。先進国では、人口の3分の1が、少なくとも20%の過体重である。米国では、肥満の人々の割合は、1970年代末の25%から1990年代初頭の33%まで増加した。肥満症は、NIDDMにとって最も重要な危険因子の1つである。肥満症の定義は様々であるが、一般に、彼または彼女の身長および骨格についての推奨体重を少なくとも20%超える体重がある被験者が、肥満と見なされる。NIDDMを発症する危険性は、30%の過体重の被験者において3倍になり、NIDDMの4分の3は、過体重である。
【0012】
肥満症は、カロリー摂取量とエネルギー消費の間の不均衡の結果であり、実験動物およびヒトでは、インスリン抵抗性および糖尿病と大いに関係している。しかしながら、肥満症−糖尿病症候群に関与する分子機構は不明である。肥満症の初期発症中は、インスリン分泌の増加がインスリン抵抗性を是正し、高血糖症から患者を守る(非特許文献3)。しかしながら、数十年後には、β細胞機能が低下し、インスリン非依存性糖尿病が、肥満人口の約20%で発症する(非特許文献4および非特許文献5)。したがって、現代社会における糖尿病の高い罹患率を考えると、肥満症は、NIDDMの主要な危険因子になった(非特許文献6)。しかしながら、一部の患者に、脂肪蓄積に反応したインスリン分泌の変化を受けやすくする要因は依然として不明である。
【0013】
ある人が過体重または肥満として分類されるかどうかは、一般的に、体重(kg)を身長の二乗(m)で除することにより計算されるボディマス指数(BMI)に基づいて決定される。したがって、BMIの単位は、kg/mであり、人生の各10年における最低死亡率に関連したBMI範囲を計算することが可能である。過体重は、範囲25〜30kg/mのBMIとして定義され、肥満症は、30kg/mを超えるBMIとして定義される(下表を参照)。この定義に関しては、脂肪(脂肪組織)に対する、筋肉である体重の比率を考慮に入れていないという点で問題がある。これを考慮に入れるため、肥満症は、それぞれ男性および女性において、25%および30%を超える体脂肪含量に基づいて定義することもできる。
【0014】
【表1】

BMIが増加するにつれて、他の危険因子と無関係である様々な原因からの死亡の危険性が増加する。肥満症を伴う最も一般的な疾患は、心血管疾患(特に、高血圧症)、糖尿病(肥満症は、糖尿病の進行を悪化させる)、胆嚢疾患(特に、癌)および生殖の疾患である。研究は、体重のわずかな減少さえも、冠動脈性心疾患を発症する危険性の有意な低下に相当することがあることを明らかにしている。
【0015】
その上、肥満症は、心血管疾患を発症する危険性をかなり高める。冠動脈不全、アテローム性疾患、および心不全は、肥満症により引き起こされる心血管合併症の最前線にある。全人口が理想体重を有する場合、冠動脈不全の危険性は、25%減少し、心不全および脳血管障害の危険性は、35%減少すると推定されている。冠動脈疾患の発生率は、30%の過体重である50歳未満の被験者において2倍になる。糖尿病患者は、30%の寿命短縮に直面する。45歳を過ぎると、糖尿病の人々は、糖尿病でない人々に比べて、重大な心疾患になる可能性が約3倍高くなり、脳卒中を起こす可能性が5倍まで高くなる。これらの知見は、NIDDMおよび冠動脈性心疾患の危険因子とこれらの状態の予防への統合的アプローチの潜在的価値の間の相互関係を際だたせている(非特許文献7)。
【0016】
糖尿病は、腎疾患、眼疾患および神経系の問題の発症にも関係付けられてきた。腎疾患は、腎症とも呼ばれ、腎臓の「フィルター機構」が損傷を受け、タンパク質が尿中に過剰量で漏れた場合に起こり、最終的に、腎臓が機能しなくなる。糖尿病は、眼底における網膜への損傷の主要な原因でもあり、白内障および緑内障の危険性を高める。最後に、糖尿病は、特に脚および足における神経損傷を伴い、痛みを感じる能力に支障を来し、重篤な感染症の一因となる。まとめると、糖尿病合併症は、国家の主な死亡原因の1つである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Rotwein,R.ら、N.Engl.J.Med.(1983年)308巻、65〜71頁
【非特許文献2】Rimoin,D.L.ら、Emery and Rimoin’s Principles and Practice of Medical Genetics(1996年)第3版、1巻:1401〜1402頁
【非特許文献3】Le Stunffら、Diabetes(1989年)43巻、696〜702頁
【非特許文献4】Pederson,P.、Diab.Metab.Rev.(1989年)5巻、505〜509頁
【非特許文献5】Brancati,F.L.ら、Arch.Intern.Med.(1999年)159巻、957〜963頁
【非特許文献6】Hill,J.O.ら、Science(1998年)280巻、1371〜1374頁
【非特許文献7】Perry,I.J.ら、BMJ(1995年)310巻、560〜564頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
要旨
本発明は、本明細書でRUP3と呼ぶGPCRと結合してGPCRの活性をモジュレートする化合物、およびそれらの用途に関する。本明細書で使用するRUP3という用語は、GeneBankアクセッション番号AY288416に見いだされるヒト配列、天然に存在する対立遺伝子変異体、哺乳動物のオルソログ、およびそれらの組み換え突然変異体を包含する。本発明の化合物をスクリーニングおよび試験するのに使用するための好ましいヒトRUP3は、PCT出願第WO2005/007647号に見いだされる配列番号1のヌクレオチド配列および配列番号2の対応するアミノ酸配列として提供される。
【0019】
本発明の一態様は、式(I)に示すような化合物、4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル、
【0020】
【化1】

ならびに薬学的に許容できるその塩、溶媒和物、および水和物に関する。
【0021】
本発明の一態様は、本発明の化合物および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。
【0022】
本発明の一態様は、個体において代謝関連障害を治療する方法であって、そのような治療を必要としている個体に、治療有効量の本発明の化合物またはその医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0023】
本発明の一態様は、個体において肥満症を治療する方法であって、そのような治療を必要としている個体に、治療有効量の本発明の化合物またはその医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0024】
本発明の一態様は、個体の食物摂取量を軽減する方法であって、それを必要としている個体に、治療有効量の本発明の化合物またはその医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0025】
本発明の一態様は、個体において満腹感を誘発する方法であって、それを必要としている個体に、治療有効量の本発明の化合物またはその医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0026】
本発明の一態様は、個体の体重増加を制御または軽減する方法であって、それを必要としている個体に、治療有効量の本発明の化合物またはその医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0027】
本発明の一態様は、個体においてRUP3受容体をモジュレートする方法であって、受容体を、本発明の化合物と接触させることを含む方法に関する。一部の実施形態において、化合物は、RUP3受容体のアゴニストである。
【0028】
本発明の一部の実施形態は、代謝関連障害を治療するためにRUP3受容体をモジュレートする方法を包含する。
【0029】
本発明の一部の実施形態は、個体においてRUP3受容体をモジュレートする方法であって、受容体を、本発明の化合物と接触させることを含み、RUP3受容体のモジュレーションが、個体の食物摂取量を軽減する方法を包含する。
【0030】
本発明の一部の実施形態は、個体においてRUP3受容体をモジュレートする方法であって、受容体を、本発明の化合物と接触させることを含み、RUP3受容体のモジュレーションが、個体において満腹感を誘発する方法を包含する。
【0031】
本発明の一部の実施形態は、個体においてRUP3受容体をモジュレートする方法であって、受容体を、本発明の化合物と接触させることを含み、RUP3受容体のモジュレーションが、個体の体重増加を制御または軽減する方法を包含する。
【0032】
本発明の一態様は、代謝関連障害を治療するのに使用するための医薬品を製造するための本発明の化合物の使用に関する。
【0033】
本発明の一態様は、個体において食物摂取量を軽減するのに使用するための医薬品を製造するための本発明の化合物の使用に関する。
【0034】
本発明の一態様は、個体において満腹感を誘発するのに使用するための医薬品を製造するための本発明の化合物の使用に関する。
【0035】
本発明の一態様は、個体において体重増加を制御または軽減するのに使用するための医薬品を製造するための本発明の化合物の使用に関する。
【0036】
本発明の一態様は、療法によりヒトまたは動物の身体を治療する方法において使用するための本発明の化合物に関する。
【0037】
本発明の一態様は、療法によりヒトまたは動物の身体の代謝関連障害を治療する方法において使用するための本発明の化合物に関する。
【0038】
一部の実施形態において、個体は、哺乳動物である。一部の実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。
【0039】
本発明の一部の実施形態は、ヒトが、約18.5〜約45のボディマス指数を有する場合に関する。一部の実施形態において、ヒトは、約25〜約45のボディマス指数を有する。一部の実施形態において、ヒトは、約30〜約45のボディマス指数を有する。一部の実施形態において、ヒトは、約35〜約45のボディマス指数を有する。
【0040】
一部の実施形態において、代謝関連障害は、I型糖尿病、II型糖尿病、不適切なブドウ糖耐性(inadequate glucose tolerance)、インスリン抵抗性、高血糖症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、異脂肪血症(dyslipidemia)またはX症候群である。一部の実施形態において、代謝関連障害は、II型糖尿病である。一部の実施形態において、代謝関連障害は、高血糖症である。一部の実施形態において、代謝関連障害は、高脂血症である。一部の実施形態において、代謝関連障害は、高トリグリセリド血症である。一部の実施形態において、代謝関連障害は、I型糖尿病である。一部の実施形態において、代謝関連障害は、異脂肪血症である。一部の実施形態において、代謝関連障害は、X症候群である。
【0041】
本発明の一態様は、医薬組成物を調製する方法であって、本発明の化合物と薬学的に許容できる担体を混合することを含む方法に関する。
【0042】
出願人は、本発明の実施形態のいずれかから化合物のうちのいずれか1つまたは複数を除外する権利を留保する。さらに、出願人は、本発明の実施形態のいずれかから任意の疾患、状態または障害を除外する権利を留保する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】様々なRUP3化合物と比較した4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(すなわち、式(I)の化合物)についての用量漸増薬物動態AUC対用量を示す図である。詳細については実施例5を参照。
【発明を実施するための形態】
【0044】
詳細な説明
本発明は、特別の定めのない限り、以下に定義されている用語を用いて詳細に記載される。
【0045】
アゴニストとは、RUP3受容体などの受容体と相互作用して活性化し、その受容体の生理学的または薬理学的な反応特性を惹起する部分を意味するものとする。例えば、部分が、受容体と結合して細胞内応答を活性化するか、または膜へのGTP結合を亢進する場合。
【0046】
組成物とは、少なくとも2つの化合物または2つの成分を含む材料を意味するものとし、例えば、医薬組成物とは、本発明の化合物および薬学的に許容できる担体を含む組成物であるが、これに限定されるものではない。
【0047】
接触させるまたは接触させることとは、in vitro系であろうとin vivo系であろうと、指示された部分を一緒にすることを意味するものとする。したがって、RUP3受容体を本発明の化合物と「接触させること」は、RUP3受容体を有する個体、例えばヒトへの本発明の化合物の投与、ならびに、例えば、本発明の化合物を、RUP3受容体を含有する細胞調製物またはより精製された調製物を含有するサンプル中に導入することを包含する。
【0048】
本明細書で使用する治療を必要としているとは、個体または動物が、治療を必要とするか、または治療から恩恵を受けるであろうとの介護者(例えば、ヒトの場合には医師、看護師、ナースプラクティショナーなど、非ヒト哺乳動物を包含する動物の場合には獣医師)によりなされる判断を指す。この判断は、介護者の専門知識の領域内にあるが、本発明の化合物により治療可能である疾患、状態または障害の結果として、個体が病気であるか、または病気になるであろうという知識を包含する様々な要因に基づいてなされる。「治療」という用語は、代替方法として、「予防」も指す。したがって、一般に、「治療を必要としている」とは、個体がすでに病気であり、したがって、本発明の化合物を使用して疾患、状態または障害を軽減、抑制または改善するという介護者の判断を指す。さらに、この語句は、代替方法として、個体が病気になるであろうという介護者によりなされる判断も指す。これに関連して、本発明の化合物は、防御的または予防的に使用される。
【0049】
本明細書で使用する個体とは、任意の動物を指し、一実施形態では脊椎動物であり、別の実施形態では哺乳動物(非霊長類と霊長類の両方)であり、例は、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、他のげっ歯類、サルなどを包含するが、これらに限定されるものではない。別の実施形態では、この個体は、ヒトであり、特定の実施形態において、ヒトは、幼児、小児、青年または成人である。一実施形態において、患者は、代謝関連疾患または障害を発症する危険性がある。危険性のある患者は、代謝関連疾患または障害の遺伝歴のある患者、または患者を代謝関連疾患または障害の危険性にさらす身体的健康状態にある患者を包含するが、これらに限定されるものではない。別の実施形態において、患者は、介護者または介護者の指導の下で行動する人により、代謝関連疾患または障害があると判断されている。
【0050】
「応答」という用語との関連で、阻害するまたは阻害することとは、ある応答が、化合物の非存在下ではなく、化合物の存在下で減少するか、または妨害されることを意味するものとする。
【0051】
本明細書で使用するモジュレートするまたはモジュレートすることという用語は、特定の活性、機能もしくは分子の量、質、応答もしくは効果の増加または減少をいう。
【0052】
医薬組成物とは、少なくとも1種の本発明の化合物および少なくとも1種の薬学的に許容できる賦形剤/担体を含む組成物を意味するものとする。当業者は、そのような組成物を調製するのに適している技法を理解および認識しているであろう。
【0053】
本明細書で使用する治療有効量とは、組織、系、動物、個体またはヒトにおいて生物学的または医学的応答を誘発する活性化合物または医薬組成物の量を指し、その応答は、研究者、獣医師、医師または他の臨床家により求められているものであって、以下の
(1)疾患を予防すること、例えば、疾患、状態または障害に罹患しやすいが、疾患の病状または総体症状をまだ経験も発症もしていない個体において疾患、状態または障害を予防すること、
(2)疾患を抑制すること、例えば、疾患、状態または障害の病状または総体症状を経験または発症している個体において疾患、状態または障害を抑制すること(すなわち、病状および/または総体症状のさらなる進行を阻止すること)、
(3)疾患を改善すること、例えば、疾患、状態または障害の病状または総体症状を経験または発症している個体において疾患、状態または障害を改善すること(すなわち、病状および/または総体症状を逆転/軽減すること)のうちの1つまたは複数を包含する。
【0054】
本発明の化合物
式(I)に示す化合物4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルは、RUP3受容体の強力なアゴニストであり、oGTTモデルにおいて血液グルコースを低下させることができる。さらに、4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルは、線形の用量漸増薬物動態も示す。
【0055】
化合物、4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルは、チトクロームP450酵素に関して改善された特性も示す。
【0056】
したがって、本発明は、4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルおよび、RUP3受容体関連障害、例えば、糖尿病および肥満症などの代謝関連障害およびそれらの合併症を治療するための方法を提供する。
【0057】
本発明の一態様は、式(I)に示す化合物、4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
【0058】
【化2】

ならびに薬学的に許容できるその塩、溶媒和物および水和物に関する。
【0059】
適応症および治療方法
本明細書に開示されている本発明の化合物についての上記の有益な用途の他に、本発明の化合物は、追加の疾患の治療に有用である。これらは、下記を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0060】
II型糖尿病における最も重要な病理は、その標的組織におけるインスリンシグナル伝達の障害(「インスリン抵抗性」)および膵臓のインスリン産生細胞が高血糖シグナルに応答して適度のインスリンを分泌することができないことである。後者を治療するための現在の療法は、内因性インスリン貯蔵の放出を誘発するβ細胞ATP感受性カリウムチャンネルの阻害薬または外因性インスリンの投与を包含する。これらのどちらも、血液グルコースレベルの正確な正常化を達成せず、両方とも、低血糖症を誘発する危険性を持っている。これらの理由から、グルコース依存性作用において機能する薬剤、すなわちグルコースシグナル伝達の増強剤の開発に極めて強い関心があった。このように機能する生理学的シグナル伝達系は、特徴がはっきりしており、腸ペプチドGLP1、GIPおよびPACAPを包含する。これらのホルモンは、それらの同種のGタンパク質共役受容体を介して作用し、膵臓β細胞におけるcAMPの産生を刺激する。cAMPの増加は、絶食状態または摂食前状態でインスリン放出の刺激をもたらさないようである。しかしながら、ATP感受性カリウムチャンネル、電位感受性カリウムチャンネルおよび開口放出機構を包含するcAMPシグナル伝達の一連の生化学的標的は、摂食後のグルコース刺激に対するインスリン分泌応答が顕著に亢進されるように修飾される。したがって、RUP3を包含する新規な同様に機能するβ細胞GPCRのアゴニストはまた、内因性インスリンの放出を刺激し、結果的に、II型糖尿病における正常血糖を促進するであろう。
【0061】
例えば、GLP1刺激の結果としてのcAMPの増加は、β細胞増殖を促進し、β細胞の死を抑制し、したがって、膵島量を改善することも立証されている。β細胞量に対するこのプラス効果は、不十分なインスリンが産生されるII型糖尿病と、β細胞が不適切な自己免疫応答により破壊されるI型糖尿病の両方に有益であることが予想される。
【0062】
RUP3を包含する一部のβ細胞GPCRは、視床下部にも存在し、それらは、空腹感、満腹感をモジュレートし、食物摂取量を軽減し、体重およびエネルギー消費を制御または軽減する。したがって、視床下部回路内のそれらの機能を考えると、これらの受容体のアゴニストまたは逆アゴニストは、空腹感を緩和し、満腹感を促進し、したがって、体重をモジュレートする。
【0063】
代謝性疾患が、他の生理系に対してマイナスの影響を与えることも十分に立証されている。したがって、複数の疾患状態(例えば、I型糖尿病、II型糖尿病、不適切なブドウ糖耐性、インスリン抵抗性、高血糖症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、異脂肪血症、肥満症または「X症候群」における心血管疾患)の同時進行または明らかに糖尿病に付随して起こる疾患(例えば、腎疾患、末梢神経障害)がしばしば存在する。したがって、糖尿病状態の有効な治療は、そのような相互に関連し合う疾患状態に対して有益であろうと予想される。
【0064】
本発明の一部の実施形態において、代謝関連障害は、高脂血症、I型糖尿病、II型糖尿病、特発性I型糖尿病(Ib型)、成人における潜在的自己免疫性糖尿病(LADA)、早期発症型II型糖尿病(EOD)、若年発症型非定型糖尿病(YOAD)、若年性成人発症型糖尿病(MODY)、栄養不良関連糖尿病、妊娠性糖尿病、冠動脈性心疾患、虚血性脳卒中、血管形成術後の再狭窄、末梢血管疾患、間欠性跛行、心筋梗塞(例えば、壊死およびアポトーシス)、異脂肪血症、摂食後脂血症、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝性アシドーシス、ケトン症、関節炎、肥満症、骨粗鬆症、高血圧症、うっ血性心不全、左心室肥大、末梢動脈疾患、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性神経障害、代謝性症候群、X症候群、月経前症候群、冠動脈性心疾患、狭心症、血栓症、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、脳卒中、血管再狭窄、高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、グルコース代謝異常、耐糖能異常の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、肥満症、勃起障害、皮膚障害および結合組織障害、足部潰瘍形成および潰瘍性大腸炎、内皮機能障害および血管コンプライアンス異常である。
【0065】
医薬組成物および塩
本発明の他の態様は、式(I)の4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル、薬学的に許容できるその塩、溶媒和物または水和物、および1種または複数の薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。本発明の一部の実施形態は、4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルおよび薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。
【0066】
本発明の一部の実施形態は、医薬組成物を製造する方法であって、4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルまたは薬学的に許容できるその塩と薬学的に許容できる担体を混合することを含む方法を包含する。
【0067】
処方物は、任意の適当な方法により、典型的には、活性化合物を、液体もしくは微粉化した固体担体、または両方と、必要な比率で均一に混ぜ、次いで、必要に応じて、得られた混合物を望ましい形状に形成することにより調製することができる。
【0068】
結合剤、充填剤、許容できる湿潤剤、錠剤化滑沢剤、および崩壊剤などの従来の賦形剤を、経口投与のための錠剤およびカプセル剤に使用することができる。経口投与のための液体調製物は、液剤、乳剤、水性または油性懸濁剤、およびシロップ剤の形態であってよい。代替方法として、経口調製物は、使用前に水または他の適当な液体ビヒクルで再構成することができる乾燥粉末の形態であってよい。懸濁化剤または乳化剤、非水性ビヒクル(食用油を包含する)、保存剤、ならびに矯味矯臭剤および着色剤などの追加の添加物を液体調製物に加えることができる。非経口剤形は、本発明の化合物を適当な液体ビヒクルに溶かし、充填前にその溶液をフィルター滅菌し、適切なバイアルまたはアンプルを密封することにより調製することができる。これらは、剤形を調製するための当該分野においてよく知られている多くの適切な方法のほんのわずかな例である。
【0069】
本発明の化合物は、当業者によく知られている技法を用いて医薬組成物に処方することができる。本明細書に記述されているもの以外の適当な薬学的に許容できる担体は、当該分野においてよく知られており、例えば、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、2000年、Lippincott WilliamsおよびWilkins、(編集者:Gennaro,A.R.ら)を参照されたい。
【0070】
治療で使用するために、本発明の化合物を、代替使用で、生のまたは純粋な化学物質として投与することが可能であるが、薬学的に許容できる担体をさらに含む医薬処方物または医薬組成物として化合物または活性成分を提供することが好ましい。
【0071】
したがって、本発明は、本発明の化合物または薬学的に許容できるその塩または誘導体を、1種または複数の薬学的に許容できるそれらの担体および/または予防的成分と一緒に含む医薬処方物をさらに提供する。1種または複数の担体は、処方物の他の成分と適合し、そのレシピエントに対して過度に有害でないという意味で「許容可能」でなければならない。
【0072】
医薬処方物は、経口、直腸、鼻、局所(口腔および舌下を含む)、膣または非経口(筋肉内、皮下および静脈内を包含する)投与に適している医薬処方物または吸入、吹送もしくは経皮パッチによる投与に適している形態の医薬処方物を包含する。経皮パッチは、薬物の分解を最小限に抑えて効率的に薬物の吸収を提供することにより、制御された速度で薬物を分配する。典型的には、経皮パッチは、不透過性の裏打ち層、単一感圧接着剤および剥離ライナー付きの取り外し可能な保護層を含む。当業者は、当業者の必要性に基づいて、望ましい有効な経皮パッチを製造するのに適した技法を理解および認識しているであろう。
【0073】
したがって、本発明の化合物は、従来の補助剤、担体、または希釈剤と一緒に、医薬処方物およびその単位用量の形態に入れることができ、そのような形態において、すべてが経口使用のための錠剤もしくは充填カプセル剤などの固形剤、または液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、ゲル剤もしくはそれらを充填したカプセル剤などの液剤として、直腸投与のための坐剤の形態で、または非経口(皮下を包含する)使用のための無菌注射用液剤の形態で用いることができる。そのような医薬組成物およびそれらの単位剤形は、追加の活性な化合物または成分の有無にかかわらず、従来の比率で従来の成分を含むことができ、そのような単位剤形は、用いるべき意図した1日用量範囲に見合った任意の適当な有効量の活性成分を含有することができる。
【0074】
経口投与の場合、医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、懸濁液または液体の形態であってよい。医薬組成物は、特定量の活性成分を含有する用量単位の形態で製造されることが好ましい。そのような用量単位の例は、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプンなどの従来の添加剤、結晶性セルロース、セルロース誘導体、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチンなどの結合剤、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンまたはカルボキシメチル−セルロースナトリウムなどの崩壊剤、およびタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤を含むカプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤または懸濁液である。活性成分は、例えば、食塩水、ブドウ糖または水を適当な薬学的に許容できる担体として使用することができる組成物として注射により投与することもできる。
【0075】
本発明の化合物を使用する場合の投与量は、幅広い制限内で変化することがあり、習慣であるようにかつ医師に知られているように、個々の症例における個々の状態に調整されるべきである。投与量は、例えば、治療すべき病気の性質および重篤度、患者の状態、用いられる化合物または急性もしくは慢性の疾患状態が治療されるかどうか、または予防が行われるかどうか、または本発明の化合物に加えて他の活性化合物が投与されるかどうかにより左右される。例えば、本発明の投与量は、約0.001mg〜約5000mg、約0.001〜約2500mg、約0.001〜約1000mg、0.001〜約500mg、0.001mg〜約250mg、約0.001mg〜100mg、約0.001mg〜約50mg、および約0.001mg〜約25mgを包含するが、これらに限定されるものではない。望ましい投与量は、1回量で、または例えば、1日当たり2、3、4回またはそれ以上のサブ用量として適切な間隔で投与される分割量として好都合に提供することができる。サブ用量それ自体を、例えば、多くの個別の大まかに間隔をおいた投与にさらに分割することができる。個体に応じて、および患者の医師または介護者から適切と見なされる時には、本明細書に記載されている投与量から上方または下方に外れることが必要であることがある。
【0076】
治療で使用するのに必要とされる本発明の化合物、または薬学的に許容できるその塩の量は、選択される特定の塩ばかりでなく、投与の経路、治療されている状態の性質ならびに患者の年齢および状態によっても変化し、最終的には、付き添い医師または臨床家の裁量に委ねられるであろう。一般に、当業者は、モデル系、典型的には動物モデルから得られるin vivoデータを、ヒトなどの別の系に外挿する方法を理解している。典型的には、動物モデルは、後の実施例1に記載されているようなげっ歯類の糖尿病モデル(ならびに、Diabetes,Obesity and Metabolism、1巻、1999年、75〜86頁でReedおよびScribnerにより報告されているものなどの当該分野で知られている他の動物モデル)を包含するが、これらに限定されるものではない。一部の環境において、これらの外挿は、単に、哺乳動物、好ましくはヒトなどの別のモデルと比較したそれぞれのモデルにおける動物の体重に基づいてもよいが、往々にして、これらの外挿は、単に体重に基づくのではなく、むしろ、様々な要因を取り入れる。代表的な要因は、患者の年齢、体重、性別、食事および医学的状態、疾患の重篤度、投与の経路、活性、効力、用いられる特定の化合物の薬物動態プロフィールおよび毒物学プロフィールなどの薬理学的考慮事項、薬物送達システムが利用されるかどうか、急性もしくは慢性疾患状態が治療されているかどうか、または予防が行われているかどうか、または本発明の化合物に加えて、および混合薬の一部として他の活性化合物が投与されるかどうかを包含するが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物および/または組成物で疾患状態を処置するための投与計画は、上記に引用されているような様々な要因に従って選択される。したがって、用いられる実際の投与計画は、大きく異なることがあり、したがって、好ましい投与計画から外れることがあり、当業者は、これらの典型的な範囲の外にある用量および投与計画を試験することができ、適切な場合には、本発明の方法において使用することができることを認識しているであろう。
【0077】
本発明の化合物は、多種多様な経口および非経口剤形で投与することができる。下記の剤形が、本発明の化合物または薬学的に許容できる本発明の化合物の塩のどちらかを活性成分として含むことができることは当業者にとって明らかであろう。
【0078】
本発明の化合物から医薬組成物を調製する場合、適当な薬学的に許容できる担体の選択は、固体、液体または両方の混合物のいずれかであってよい。固体形態の調製物は、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒剤を包含する。固体担体は、希釈剤、矯味矯臭剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、またはカプセル化材料としての役割も果たす1種または複数の物質であってよい。
【0079】
散剤において、担体は、微粉化した活性成分との混合物中にある微粉化した固体である。
【0080】
錠剤において、活性成分は、適当な比率で必要な結合能力を有する担体と混合され、望ましい形状およびサイズに圧縮される。
【0081】
散剤および錠剤は、様々なパーセンテージ量の活性化合物を含有することができる。粉末または錠剤における代表的な量は、0.5〜約90パーセントの本発明の化合物を含有することができるが、当業者は、この範囲の外にある量が必要である場合を知っているであろう。散剤および錠剤に適している担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂などである。「調製」という用語は、カプセルを提供する担体としてのカプセル化材料による活性化合物の処方を包含することを意図し、このカプセルにおいて、活性成分が、担体を含むか担体を含まずに、担体によって囲まれ、したがって、活性成分は、担体と会合している。同様に、カシェ剤およびロゼンジ剤が包含される。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、およびロゼンジ剤は、経口投与に適している固体形態として使用することができる。
【0082】
坐剤を調製する場合、脂肪酸グリセリドまたはカカオ脂の混合物などの低融点ワックスを先ず融解し、活性成分を、攪拌することにより、その中へ均一に分散させる。次いで、融解した均一混合物を好都合な大きさの鋳型に注ぎ、冷却し、それによって凝固させる。
【0083】
膣投与に適している処方物は、活性成分の他に当該分野において適切であることが知られているような担体を含有する膣坐剤、タンポン剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤またはスプレー剤として提供することができる。
【0084】
液体形態の調製物は、液剤、懸濁剤、および乳剤、例えば、水または水−プロピレングリコール液剤を包含する。例えば、非経口注射液体調製物は、水性ポリエチレングリコール溶液中の液剤として処方することができる。注射用調製物、例えば、無菌の注射用水性または油性懸濁剤は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用い、知られている技術に従って処方することができる。無菌の注射用調製物は、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液のような、無毒性で非経口的に許容できる希釈剤または溶媒中の無菌の注射用溶液または懸濁液であってもよい。用いることができる許容できるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁化媒体として好都合に用いられる。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを包含する任意の無刺激性不揮発性油が用いられることがある。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に使用される。
【0085】
したがって、本発明による化合物は、非経口投与(例えば、注射、例えば、ボーラス注射または持続注入による)のために処方することができ、アンプル剤、プレフィルドシリンジ剤、小容量注入液中の単位用量形態で、または保存剤が添加された複数回用量容器で提供することができる。医薬組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤、または乳剤などの形態をとることができ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの処方剤(formulatory agent)を含有することができる。代替方法として、活性成分は、使用前に適当なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質を含まない水で再構成するための、無菌固体の無菌単離により、または溶液からの凍結乾燥により得られる粉末形態であってよい。
【0086】
経口使用に適している水性処方物は、活性成分を水に溶解または懸濁し、望ましい場合に、適当な着色剤、矯味矯臭薬、安定化剤および粘稠剤を加えることにより調製することができる。
【0087】
経口使用に適している水性懸濁剤は、天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、または他のよく知られている懸濁化剤などの粘稠な材料と一緒に、微粉化した活性成分を水に分散させることにより製造することができる。
【0088】
使用直前に経口投与のための液体形態の調製物に変換することを意図した固体形態の調製物も包含される。そのような液体形態は、液剤、懸濁剤、および乳剤を包含する。これらの調製物は、活性成分の他に、着色剤、矯味矯臭薬、安定化剤、緩衝液、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有することができる。
【0089】
表皮への局所投与の場合、本発明による化合物は、軟膏剤、クリーム剤もしくはローション剤として、または経皮パッチとして処方することができる。
【0090】
軟膏剤およびクリーム剤は、例えば、適当な粘稠剤および/またはゲル化剤を添加した水性または油性基剤で処方することができる。ローション剤は、水性または油性基剤で処方することができ、一般に、1種または複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、粘稠剤、または着色剤も含有するであろう。
【0091】
口内の局所投与に適している組成物は、味の付いた基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に活性剤を含むロゼンジ剤、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤中に活性成分を含む香錠(pastilles)、ならびに適当な液体担体中に活性成分を含む含漱剤を包含する。
【0092】
液剤または懸濁剤は、従来の手段により、例えば、ドロッパー、ピペットまたはスプレーで鼻腔に直接塗布される。処方物は、単一または複数回用量形態で提供することができる。後者のドロッパーまたはピペットの場合、これは、患者が、適切なあらかじめ定められた容積の溶液または懸濁液を投与することにより行うことができる。スプレーの場合、これは、例えば、計量噴霧式スプレーポンプによって行うことができる。
【0093】
気道への投与も、活性成分が適当な噴射剤と共に加圧パックで提供されるエアロゾル処方物によって行うことができる。本発明の化合物またはそれらを含む医薬組成物が、エアロゾルとして、例えば、鼻腔エアロゾルとしてまたは吸入により投与される場合、これは、例えば、スプレー、ネブライザー、ポンプネブライザー、吸入装置、定量吸入器または乾燥粉末吸入器を用いて行うことができる。エアロゾルとして本発明の化合物を投与するための医薬形態は、当業者によく知られているプロセスにより調製することができる。それらを調製する場合、例えば、水、水/アルコール混合物または適当な食塩水溶液中の本発明の化合物の液剤または分散剤を、従来の添加物、例えば、ベンジルアルコールまたは他の適当な保存剤、生物学的利用能を高めるための吸収増強剤、可溶化剤、分散剤など、ならびに、適切な場合、例えば、二酸化炭素、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、またはジクロロテトラフルオロエタンなどのCFCを包含する従来の噴射剤を使用して用いることができる。好都合なことに、エアロゾルも、レシチンなどの界面活性剤を含有することができる。薬物の投与量は、定量バルブの提供により制御することができる。
【0094】
鼻腔内処方物を包含する気道へ投与することを意図した処方物において、化合物は、一般的に、例えば、10ミクロン以下のオーダーの小さな粒径を有するであろう。そのような粒径は、例えば、微細化により、当該分野において知られている手段により得ることができる。望ましい場合、活性成分の持続放出を得るようになされた処方物を用いることができる。
【0095】
代替方法として、活性成分は、乾燥粉末、例えば、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体およびポリビニルピロリドン(PVP)などの適当な粉末基剤中の化合物の粉末ミックスの形態で提供することができる。好都合なことに、粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成するであろう。粉末組成物は、例えば、ゼラチンのカプセル剤もしくはカートリッジ剤、または粉末を吸入器によって投与することができるブリスターパック中の単位用量形態で提供することができる。
【0096】
医薬調製物は、単位剤形であることが好ましい。そのような形態において、調製物は、適切な量の活性成分を含有する単位投与量に細分することができる。単位剤形は、包装した調製物、パック入りの錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の散剤などの個別量の調製物を含有する包装であってよい。また、単位剤形は、カプセル、錠剤、カシェ、またはロゼンジ自体であってよく、または単位剤形は、適切な数の包装形態のこれらのうちのいずれかであってよい。
【0097】
経口投与のための錠剤またはカプセル剤ならびに静脈内投与のための液剤は、好ましい組成物である。
【0098】
本発明による化合物は、場合により、無機酸および有機酸を包含する薬学的に許容できる無毒性の酸から調製される薬学的に許容できる酸付加塩を包含する薬学的に許容できる塩として存在することができる。
【0099】
酸付加塩は、化合物の合成の直接的な生成物として得ることができる。代替方法として、遊離塩基を、適切な酸を含有する適当な溶媒に溶かし、溶媒を蒸発させるか、さもなければ塩と溶媒を分離することにより塩を単離することができる。本発明の化合物は、当業者に知られている方法を用い、標準的な低分子量溶媒との溶媒和物を形成することがある。
【0100】
本発明の一部の実施形態は、本発明の少なくとも1種の化合物を本明細書に記載されているような少なくとも1種の薬剤と、薬学的に許容できる担体と一緒に混合することを含む、「併用療法」のための医薬組成物を製造する方法を包含する。
【0101】
一部の実施形態において、薬剤は、スルホニル尿素、メグリチニド、ビグアナイド、α−グルコシダーゼ阻害薬、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体−γ(すなわち、PPAR−γ)アゴニスト、インスリン、インスリン類似体、HMG−CoA還元酵素阻害薬、コレステロール低下薬(例えば、フェノフィブラート、ベザフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラートなどを包含するフィブラート;コレスチラミン、コレスチポールなどを包含する胆汁酸分離剤;およびナイアシン)、抗血小板薬(例えば、アスピリンおよびクロピドグレル、チクロピジンなどを包含するアデノシン二リン酸受容体拮抗薬)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬およびアジポネクチンからなる群から選択される。
【0102】
RUP3受容体調節因子が医薬組成物中の活性成分として利用される場合、これらは、ヒトにおけるのみでなく、その上に他の非ヒト哺乳動物における使用も意図されていることに留意されたい。実際に、動物の健康管理の領域における最近の進歩は、家畜(例えば、ネコおよびイヌ)における肥満症を治療するためのRUP3受容体調節因子、および疾患も障害も明らかでない他の家畜(例えば、ウシ、ニワトリ、魚などの食用(food−oriented)動物)におけるRUP3受容体調節因子などの活性剤の使用について検討されていることを示している。当業者は、そのような状況におけるそのような化合物の有用性を理解していると容易に考えられる。
【0103】
併用療法
本発明との関連で、本明細書に記載されているような化合物またはその医薬組成物は、本明細書に記載されているようなRUP3受容体媒介性の疾患、状態および/または障害の活動をモジュレートするために利用することができる。RUP3受容体媒介性の疾患の活動をモジュレートする例は、代謝関連障害の治療を包含する。代謝関連障害としては、高脂血症、I型糖尿病、II型糖尿病、ならびにそれらに伴う状態(例えば、冠動脈性心疾患、虚血性脳卒中、血管形成術後の再狭窄、末梢血管疾患、間欠性跛行、心筋梗塞(例えば、壊死およびアポトーシス)、異脂肪血症、摂食後脂血症、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝性アシドーシス、ケトン症、関節炎、肥満症、骨粗鬆症、高血圧症、うっ血性心不全、左心室肥大、末梢動脈疾患、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性神経障害、代謝性症候群、X症候群、月経前症候群、冠動脈性心疾患、狭心症、血栓症、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、脳卒中、血管再狭窄、高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、グルコース代謝異常、耐糖能異常の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、肥満症、勃起障害、皮膚障害および結合組織障害、足部潰瘍形成および潰瘍性大腸炎、内皮機能障害および血管コンプライアンス異常だが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、代謝関連障害は、I型糖尿病、II型糖尿病、不適切なブドウ糖耐性、インスリン抵抗性、高血糖症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、異脂肪血症およびX症候群を包含する。RUP3受容体媒介性の疾患の活動をモジュレートする他の例は、食物摂取量を軽減すること、満腹感(すなわち、膨満感)を誘発すること、体重増加を制御すること、体重を軽減すること、および/またはレシピエントが体重を減らしかつ/または体重を維持するように代謝に影響を与えることによる肥満症および/または過体重の治療を包含する。
【0104】
本明細書に記載されている疾患/状態/障害を治療するために、本発明の化合物は、唯一の活性薬剤として投与することができるが(すなわち、単独療法)、それらは、他の薬剤と組み合わせて使用することができる(すなわち、併用療法)。したがって、本発明の別の態様は、肥満症などの体重関連障害を包含する代謝関連障害を治療する方法であって、予防および/または治療を必要としている個体に、本明細書に記載されているような1種または複数の追加の薬剤と組み合わせて治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を包含する。
【0105】
本発明の化合物と組み合わせて使用することができる適当な薬剤は、アポリポタンパク質−B分泌/ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(apo−B/MTP)阻害薬、MCR−4アゴニスト、コレスシストキニン−A(CCK−A)アゴニスト、セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害薬(例えば、シブトラミン)、交感神経様作用薬、β3アドレナリン作動性受容体アゴニスト、ドーパミンアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン)、メラニン保有細胞刺激ホルモン受容体類似体、カンナビノイド1受容体拮抗薬[例えば、SR141716:N−(ピペリジン−1−イル)−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド]、メラニン凝集ホルモン拮抗薬、レプトン(lepton)(OBタンパク質)、レプチン類似体、レプチン受容体アゴニスト、ガラニン拮抗薬、リパーゼ阻害薬(テトラヒドロリプスタイン(tetrahydrolipstatin)、すなわち、Orlistatなど)、食欲抑制剤(ボンベシンアゴニストなど)、ニューロペプチド−Y拮抗薬、甲状腺ホルモン様剤、デヒドロエピアンドロステロンまたはその類似体、糖質コルチコイド受容体アゴニストまたは拮抗薬、オレキシン受容体拮抗薬、ウロコルチン結合タンパク質拮抗薬、グルカゴン様ペプチド−1受容体アゴニスト、毛様体神経栄養因子(Regeneron Pharmaceuticals,Inc.、Tarrytown、NYおよびProcter & Gamble Company、Cincinnati、OHから入手可能なAxokine(商標)など)、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)、グレリン受容体拮抗薬、ヒスタミン3受容体拮抗薬または逆アゴニスト、ニューロメディンU受容体アゴニスト、ノルアドレナリン作動性食欲抑制薬(例えば、フェンテルミン、マチンドールなど)および食欲抑制剤(例えば、ブプロピオン)などの抗肥満剤を包含する。
【0106】
当業者にとって、下に示す薬剤を包含する他の抗肥満剤は、よく知られているか、または本開示に照らして当業者に容易に明らかであろう。
【0107】
一部の実施形態において、抗肥満薬は、オルリスタット、シブトラミン、ブロモクリプチン、エフェドリン、レプチン、およびプソイドエフェドリンからなる群より選択される。他の実施形態において、本発明の化合物および併用療法は、運動および/または理にかなった食事と併せて投与される。
【0108】
本発明の化合物と、他の抗肥満薬、食欲抑制薬、食欲抑制剤および関連薬剤との併用療法の範囲は、上に列挙されているものに限定されず、原則として、過体重および肥満の個体を治療するのに有用な任意の薬剤または医薬組成物との任意の組合せを包含することが理解されよう。
【0109】
本発明の化合物と、他の薬剤との併用療法の範囲は、上または下で本明細書に列挙されているものに限定されず、原則として、代謝関連障害と関係がある疾患、状態または障害を治療するのに有用な任意の薬剤または医薬組成物との任意の組合せを包含することが理解されよう。
【0110】
本発明の一部の実施形態は、本明細書に記載されているような疾患、障害、状態またはそれらの合併症を治療する方法であって、そのような治療を必要としている個体に、治療に有効な量または投与量の本発明の化合物を、スルホニル尿素(例えば、グリブリド、グリピジド、グリメピリドおよび当該分野において知られている他のスルホニル尿素)、メグリチニド(例えば、レパグリニド、ナテグリニドおよび当該分野において知られている他のメグリチニド)、ビグアナイド(例えば、ビグアナイドは、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミン、および当該分野において知られているビグアナイドを包含する)、α−グルコシダーゼ阻害薬[例えば、アカルボース、N−(1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル)バリオールアミン(一般名;ボグリボース)、ミグリトール、および当該分野において知られているα−グルコシダーゼ阻害薬]、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体−γ(すなわち、PPAR−γ)アゴニスト(例えば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、テサグリタザル、ネトグリタゾン、GW−409544、GW−501516および当該分野において知られているPPAR−γアゴニスト)、インスリン、インスリン類似体、HMG−CoA還元酵素阻害薬(例えば、ロスバスタチン、プラバスタチンおよびそのナトリウム塩、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、BMSの「スーパースタチン」、ならびに当該分野において知られているHMG−CoA還元酵素阻害薬)、コレステロール低下薬(例えば、ベザフィブレート、ベクロブラート、ビニフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリン酸、エトフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、ニコフィブラート、ピリフィブラート、ロニフィブラート、シンフィブラート、テオフィブラート(theofibrate)、および当該分野において知られているフィブラートを包含するフィブラート;コレスチラミン、コレスチポールなどを包含する胆汁酸分離剤;およびナイアシン)、抗血小板薬(例えば、アスピリンおよびクロピドグレル、チクロピジンなどを包含するアデノシン二リン酸受容体拮抗薬)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(例えば、カプトプリル、エナラプリル、アラセプリル、デラプリル;ラミプリル、リシノプリル、イミダプリル、ベナゼプリル、セロナプリル、シラザプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、モベルトプリル(moveltopril)、ペリンドプリル、キナプリル、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル、および当該分野において知られているアンジオテンシン変換酵素阻害薬)、アンジオテンシンII受容体拮抗薬[例えば、ロサルタン(およびカリウム塩形態)]、当該分野において知られているアンジオテンシンII受容体拮抗薬、アジポネクチン、スクアレン合成阻害薬{例えば、(S)−α−[ビス[2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ)メトキシ]ホスフィニル]−3−フェノキシベンゼンブタンスルホン酸、一カリウム塩(BMS−188494)および当該分野において知られているスクアレン合成阻害薬}などからなる群から選択される少なくとも1種の薬剤と組み合わせて投与することを含む方法を包含する。一部の実施形態において、本発明の方法は、本発明の化合物を包含し、薬剤は、別々に投与される。他の実施形態において、本発明の化合物および薬剤は、一緒に投与される。
【0111】
本発明の化合物と併せて使用することができる適当な薬剤は、アミリンアゴニスト(例えば、プラムリンチド)、インスリン分泌促進物質(例えば、GLP−1アゴニスト;エキセンディン−4;インスリノトロピン(insulinotropin)(NN2211);ジペプチル(dipeptyl)ペプチダーゼ阻害薬(例えば、NVP−DPP−728)、アシルCoAコレステロールアセチルトランスフェラーゼ阻害薬(例えば、エゼミチブ、エフルシミブ、および類似化合物)、コレステロール吸収阻害薬(例えば、エゼミチブ、パマクエシド、および類似化合物)、コレステロールエステル輸送タンパク質阻害薬(例えば、CP−529414、JTT−705、CETi−1、および類似化合物)、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質阻害薬(例えば、インプリタピド、および類似化合物)、コレステロール調節因子(例えば、NO−1886、および類似化合物)、胆汁酸調節因子(例えば、GT103−279、および類似化合物)、タンパク質チロシンホスファターゼ(PTPase)の阻害薬のようなインスリンシグナル伝達経路調節因子、非低分子の模倣化合物およびグルタミン−フルクトース−6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)の阻害薬、グルコース−6−ホスファターゼ(G6Pase)の阻害薬、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ(F−1,6−BPase)の阻害薬、グリコーゲンホスホリラーゼ(GP)の阻害薬、グルカゴン受容体拮抗薬およびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)の阻害薬のような調節不良な肝臓でのグルコース産生に影響を与える化合物、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ(PDHK)阻害薬、インスリン感受性促進剤、インスリン分泌促進剤、胃内容排出の阻害薬、α−アドレナリン作動性拮抗薬ならびにレチノイドX受容体(RXR)アゴニストを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0112】
本発明によれば、組合せは、上で本明細書に記載されているように、それぞれの活性成分、本発明の化合物および薬剤をすべて一緒か独立してのどちらかで、生理学的に許容できる担体、賦形剤、結合剤、希釈剤などと混ぜ、医薬組成物として経口的か非経口的かのどちらかで1つまたは複数の混合物を投与することにより使用することができる。本発明の化合物または化合物の混合物が、別の活性化合物との併用療法として投与される場合、治療薬は、同時にまたは異なった時間に与えられる別々の医薬組成物として処方することができ、または治療薬は、単一の組成物として与えることができる。
【0113】
他の有用性
本発明の別の目的は、ヒトを包含する組織サンプル中でRUP3受容体を局在化および定量するため、ならびに放射性標識化合物の阻害結合によりRUP3受容体リガンドを同定するため、in vitroとin vivoの両方で、放射性イメージングにおけるだけでなくアッセイにおいても有用であろうと思われる放射性標識化合物に関する。そのような放射性標識化合物を含む新規なRUP3受容体アッセイを開発することは、本発明の他の目的である。
【0114】
本発明は、式(I)の同位体的に標識された化合物および薬学的に許容できるその塩を包含する。「同位体的に」または「放射性標識した」化合物は、1個または複数の原子が、天然において典型的に見いだされる(すなわち、天然に存在する)原子量または質量数と異なる原子量または質量数を有する原子により置き換えられているか置換されているという事実を除いて、本明細書に開示されている化合物と同一である化合物である。本発明の化合物に組み入れることができる適当な放射性核種は、H(重水素についてはDとも書かれる)、H(トリチウムについてはTとも書かれる)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125Iおよび131Iを包含するが、これらに限定されるものではない。本発明の放射性標識化合物に組み入れられる放射性核種は、その放射性標識化合物の具体的な用途によって決まるであろう。例えば、in vitroでのRUP3受容体標識化および競合アッセイの場合、H、14C、82Br、125I、131I、35Sを組み入れる化合物が一般的に最も有用であろう。放射性イメージング用途の場合、11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Brまたは77Brが一般的に最も有用であろう。
【0115】
「放射性標識」または「標識化合物」は、少なくとも1個の放射性核種を組み入れた本発明の化合物であり、一部の実施形態において、放射性核種は、H、14C、125I、35Sおよび82Brからなる群より選択されることが理解されよう。
【0116】
本発明の特定の同位体的に標識された化合物は、化合物および/または基質の組織分布アッセイにおいて有用である。一部の実施形態において、放射性核種Hおよび/または14C同位体は、これらの研究において有用である。さらに、重水素(すなわち、H)などのより重い同位体による置換は、より大きな代謝安定性に由来する特定の治療上の利点(例えば、in vivo半減期の増加または用量要件の軽減)を提供することがあるため、一部の環境において好ましいことがある。本発明の同位体的に標識された化合物は、一般的に、上記のスキームおよび下記の実施例に開示されているものに類似した手順に従うことにより、同位体的に標識されていない試薬の代わりに同位体的に標識された試薬を用いることにより調製することができる。有用である他の合成方法は、以下で議論される。さらに、本発明の化合物中に描かれているすべての原子は、そのような原子の最も一般的に存在する同位体であるか、またはよりまれな放射性同位体もしくは非放射性同位体のどちらかであってもよいことが理解されるべきである。
【0117】
有機化合物に放射性同位体を組み入れるための合成方法は、本発明の化合物に適用可能であり、当該分野においてよく知られている。これらの合成方法は、中間体または最終化合物についても使用することができ、例えば、本発明の化合物に活性レベルのトリチウムを組み入れる方法は、以下の通りである:
A.トリチウムガスによる接触還元−この手順は、通常、高い比放射能の生成物を与え、ハロゲン化または不飽和前駆体を必要とする。
【0118】
B.水素化ホウ素ナトリウム[H]による還元−この手順は、やや安価であり、アルデヒド、ケトン、ラクトン、エステルなどの還元可能な官能基を含有する前駆体を必要とする。
【0119】
C.水素化リチウムアルミニウム[H]による還元−この手順は、ほぼ理論的な比放射能で生成物を与える。この手順も、アルデヒド、ケトン、ラクトン、エステルなどの還元可能な官能基を含有する前駆体を必要とする。
【0120】
D.トリチウムガス曝露標識化−この手順は、適当な触媒の存在下で交換可能なプロトンを含有する前駆体をトリチウムガスに曝露するものである。
【0121】
E.ヨウ化メチル[H]を用いるN−メチル化−この手順は、通常、高い比放射能のヨウ化メチル(H)で適切な前駆体を処理することによりO−メチルまたはN−メチル(H)生成物を調製するために用いられる。一般に、この方法により、例えば、約70〜90Ci/mmolなどのより高い比放射能が可能である。
【0122】
本発明の放射性標識RUP3受容体化合物は、化合物を同定/評価するためのスクリーニングアッセイにおいて使用することができる。一般論として、新たに合成または同定された化合物(すなわち、試験化合物)は、本発明の「放射性標識化合物」のRUP3受容体との結合を減少させるその能力について評価することができる。したがって、RUP3受容体との結合について本発明の「放射性標識化合物」と競合する試験化合物の能力は、その結合親和性と直接相関している。
【0123】
本発明の標識化合物は、RUP受容体と結合する。一実施形態において、標識化合物は、約500μM未満のIC50を有し、別の実施形態において、標識化合物は、約100μM未満のIC50を有し、さらに別の実施形態において、標識化合物は、約10μM未満のIC50を有し、さらに別の実施形態において、標識化合物は、約1μM未満のIC50を有し、さらに別の実施形態において、標識阻害薬は、約0.1μM未満のIC50を有し、さらに別の実施形態において、標識阻害薬は、約0.01μM未満のIC50を有し、さらに別の実施形態において、標識阻害薬は、約0.001μM未満のIC50を有する。
【0124】
認識されているように、本発明の方法のステップは、任意の特定の回数または任意の特定の順序で行われる必要はない。本発明の追加の目的、利点および新規な特徴は、例示的であることを意図するものであって、限定することを意図するものではない以下の実施例を検討することで当業者に明らかになるであろう。
【実施例】
【0125】
(実施例1)
ラットにおけるグルコース恒常性に対するRUP3アゴニストのin vivo効果
一般手順−経口耐糖能試験(oGTT)
体重約350〜375gの雄性Sprague Dawleyラット(Harlan、San Diego、CA)を16時間絶食させ、無作為にグループ化し(n=6)、0.3、3または30mg/kgでRUP3アゴニストを与えた。化合物は、胃管栄養針を介して経口的に送達した(経口、容積2mL/kg)。時間0で、血液グルコースのレベルを、グルコメーター(Accu−Chek Advantage、Roche Diagnostics)を用いて評価し、ラットにビヒクル(20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)または試験化合物のどちらかを投与した。試験化合物の投与から30分後、血液グルコースのレベルを再び評価し、ラットに3g/kgの投与量でブドウ糖を経口的に投与した。次いで、この時点から30分、60分、および120分後に血液グルコース測定を行った。RUP3アゴニスト、4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル[式(I)]は、治療群における6匹の動物を平均して、グルコース可動域の38%の平均阻害率を示した。このことは、RUP3アゴニスト、4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルが、グルコースのチャレンジ後に血液グルコースを低下させたことを示している。
【0126】
(実施例2)
受容体結合アッセイ
本明細書に記載されている方法の他に、試験化合物を評価するための別の手段は、RUP3受容体に対する結合親和性を決定することによるものである。このタイプのアッセイは、一般的に、RUP3受容体に対する放射性標識リガンドを必要とする。RUP3受容体について知られているリガンドおよびそれらの放射性標識を使用することなく、式(I)の化合物を放射性同位体で標識し、RUP3受容体に対する試験化合物の親和性を評価するためのアッセイにおいて使用することができる。
【0127】
式(I)の放射性標識RUP3化合物は、化合物を同定/評価するためのスクリーニングアッセイにおいて使用することができる。一般論として、新たに合成または同定された化合物(すなわち、試験化合物)は、「式(I)の放射性標識化合物」のRUP3受容体との結合を減少させるその能力について評価することができる。したがって、RUP3受容体との結合について「式(I)の放射性標識化合物」または放射性標識RUP3リガンドと競合する能力は、RUP3受容体に対する試験化合物の結合親和性と直接相関している。
【0128】
RUP3に対する受容体結合を決定するためのアッセイプロトコル:
A.RUP3受容体調製
10μgのヒトRUP3受容体および60μlのリポフェクタミン(15cmディッシュ1枚当たり)を一過性にトランスフェクトした293細胞(ヒト腎臓、ATCC)を、培地交換しながら24時間にわたってディッシュ中で培養し(75%の密集度)、1ディッシュ当たり10mlのHepes−EDTA緩衝液(20mM Hepes+10mM EDTA、pH7.4)で取り出した。次いで、細胞を、17,000rpm(JA−25.50ローター)で20分にわたってBeckman Coulter遠心分離機中で遠心分離した。続いて、ペレットを、20mM Hepes+1mM EDTA、pH7.4に再懸濁し、50mLのDounceホモジナイザーでホモジナイズし、再び遠心分離した。上清を除去した後、結合アッセイで使用するまで、ペレットを−80℃にて保存した。アッセイで使用する場合、膜を20分にわたって氷上で解凍し、次いで、10mLのインキュベーション緩衝液(20mM Hepes、1mM MgCl、100mM NaCl、pH7.4)を加えた。次いで、膜をボルテックスし、粗製の膜ペレットを再懸濁し、設定6にて15秒にわたってBrinkmann PT−3100 Polytronホモジナイザーでホモジナイズした。膜タンパク質の濃度は、BRL Bradfordタンパク質アッセイを用いて決定した。
【0129】
B.結合アッセイ
全結合の場合、50ulの適切に希釈した膜の全量(50mM Tris HCl(pH7.4)、10mM MgCl、および1mM EDTAを含有するアッセイ緩衝液中で希釈;タンパク質5〜50ug)を、96ウェルのポリプロピレンマイクロタイタープレートに加え、続いて、100ulのアッセイ緩衝液および50ulの放射性標識RUP3リガンドを加える。非特異的結合の場合、100ulの代わりに50μlのアッセイ緩衝液を加え、50ulの10uMのコールドなRUP3をさらに加えた後、50μlの放射性標識RUP3リガンドを加える。次いで、プレートを60〜120分にわたって室温にてインキュベートする。結合反応は、Brandell96ウェルプレートハーベスターを備えたMicroplate Devices GF/C Unifilter濾過プレートを通してアッセイプレートを濾過し、続いて、0.9%NaClを含有する冷たい50mM Tris HCl、pH7.4で洗浄することにより終了させた。次いで、濾過プレートの底部を密閉し、50ulのOptiphase Supermixを各ウェルに加え、プレートの上部を密閉し、プレートを、Trilux MicroBetaシンチレーションカウンタ中でカウントする。化合物競合研究の場合、100ulのアッセイ緩衝液を加える代わりに、100ulの適切に希釈した試験化合物を適切なウェルに加え、続いて、50μlの放射性標識RUP3リガンドを加える。
【0130】
C.計算
試験化合物を、最初は1および0.1μMにて、次いで、中間用量が放射性RUP3リガンド結合の約50%阻害を引き起こす(すなわち、IC50)ように選択された濃度の範囲にてアッセイする。試験化合物の非存在下での特異的結合(B)は、全結合(B)から非特異的結合(NSB)を引いた差であり、同様に、特異的結合(試験化合物の存在下での)(B)は、置換結合(B)から非特異的結合(NSB)を引いた差である。IC50は、阻害応答曲線、%B/B対試験化合物の濃度のロジットログプロットから決定される。
【0131】
は、ChengおよびPrustoff変換により計算される:
=IC50/(1+[L]/K
ここで、[L]は、アッセイで使用される放射性標識RUP3リガンドの濃度であり、Kは、同じ結合条件下で独立して決定される放射性標識RUP3リガンドの解離定数である。
【0132】
(実施例3)
本発明の化合物およびそれらの合成を、以下の実施例によりさらに例示する。しかしながら、以下の実施例は、これらの実施例の詳細に本発明を限定することなく、本発明をさらに明確にするために提供されるものとする。本明細書に記載されている化合物は、CS Chem Draw Ultra Version 7.0.1に従って命名される。場合によっては、慣用名が使用され、これらの慣用名は、当業者により認識されていることが理解されよう。
【0133】
化学:プロトン核磁気共鳴(H NMR)スペクトルは、4原子核自動切替可能プローブおよびz−グラジエントを備えたVarian Mercury Vx−400またはQNP(Quad Nucleus Probe)もしくはBBI(Broad Band Inverse)およびz−グラジエントを備えたBruker Avance−400に記録した。化学シフトは、基準として残留溶媒シグナルを使用して百万分率(ppm)で示す。NMRの略語を、以下の通り使用する:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、br=ブロード。マイクロ波照射は、Emrys Synthesizer(Personal Chemistry)を用いて行った。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、シリカゲル60F254(Merck)で行い、調製用薄層クロマトグラフィー(プレップTLC)は、PK6Fシリカゲル60A1mmプレート(Whatman)で行い、カラムクロマトグラフィーは、Kieselgel60、0.063〜0.200mm(Merck)を用いるシリカゲルカラムで行った。蒸発は、Buechiロータリーエバポレーターにより真空中で行った。パラジウム濾過中にはCelite545(登録商標)を使用した。
【0134】
LCMSの仕様:1)PC:HPLCポンプ:LC−10AD VP、Shimadzu Inc.;HPLCシステムコントローラー:SCL−10A VP、Shimadzu Inc;UV検出器:SPD−10A VP、Shimadzu Inc;オートサンプラー:CTC HTS、PAL、Leap Scientific;質量分析計:Turbo Ion Spray源付きのAPI 150EX、AB/MDS Sciex;ソフトウェア:Analyst 1.2。2)Mac:HPLCポンプ:LC−8A VP、Shimadzu Inc;HPLCシステムコントローラー:SCL−10A VP、Shimadzu Inc.UV検出器:SPD−10A VP、Shimadzu Inc;オートサンプラー:215 Liquid Handler、Gilson Inc;質量分析計:Turbo Ion Spray源付きのAPI 150EX、AB/MDS Sciex
ソフトウェア:Masschrom 1.5.2。
【0135】
(実施例3.1)
4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルの調製
【0136】
【化3】

ジクロロメタン(1.0L)中の4−ヒドロキシピペリジン(70.3g、695mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(105mL、600mmol)の磁気的に攪拌した溶液を、N下で10℃まで冷却した。クロロギ酸イソプロピルの溶液(トルエン中1.0M、580mL、580mmol)を2時間かけて滴加し、10〜15℃の温度を維持した。反応混合物をさらに2時間にわたって攪拌し、次いで、1N HCl(1.2L)で抽出した。有機抽出液をMgSOで乾燥し、溶媒を減圧下で除去すると、淡い麦わら色の油として表題化合物(90.3g、83%)が得られた。C17NOの正確な質量計算値:187.1,実測値:LCMS m/z = 188.2 (M+H),210.3 (M+Na); H NMR (400 MHz,CDCl) δ 1.24 (d,J = 6.3 Hz,6 H),1.47 (m,2 H),1.86 (m,2 H),3.08 (m,2 H),3.86 (m,3 H),4.90 (m,1 H)。
【0137】
(実施例3.2)
2−メチル−6−(メチルスルホニル)ピリジン−3−アミンの調製(方法1)
【0138】
【化4】

DMSO(300mL)中の6−ブロモ−2−メチルピリジン−3−アミン(40.0g、214mmol)、メタンスルフィン酸ナトリウム(87.3g、855mmol)、銅(I)トリフルオロメタンスルホナート−ベンゼン錯体(10.8g、21.4mmol)およびN,N−ジメチルエタン−l,2−ジアミン(10.8g、21.4mmol)の混合物を、150℃で4時間加熱し、冷却し、そしてHO(100mL)を加えた。暗褐色の溶液を、酢酸エチルで抽出した(6×30mL)。有機層を、HO(100mL)で洗浄して、DMSOを除去した。水層を、酢酸エチルで3回逆抽出した。有機層をあわせ、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、そして濾過した。減圧下で、濾液の容積を約200mLまで減らした後、固体生成物を沈殿させ、濾過によって集め、表題化合物を褐色の粉末として得た(24.0g、60%)。C10Sの正確な質量計算値:186.1、実測値:LCMS m/z=187.1(M+H
【0139】
【化5】

(実施例3.3)
2−メチル−6−(メチルスルホニル)ピリジン−3−アミンの調製(方法2)
ステップ1:2−メチル−6−(メチルスルホニル)−3−ニトロピリジンの調製
【0140】
【化6】

DMSO(300mL)中の6−ブロモ−2−メチル−3−ニトロピリジン(100g、461mmol)およびメタンスルフィン酸ナトリウム(47.0g、461mmol)を、室温で1.5時間攪拌した。反応混合物を氷水(1L)に注ぎ、全ての氷が解けるまで攪拌した。この氷冷した溶液を濾過し、暗い紫色の固体を収集した。収集した固体を酢酸エチル(1L)に溶解させた。この溶液を活性炭で処理し、CeliteTMを通して濾過した。CeliteTMケーキを酢酸エチルで洗浄し、濾液を集めた。減圧下で、溶媒を濾液から蒸発させ、表題化合物を黄色の固体として得た(87.0g、87%)。CSの正確な質量計算値:216.0、実測値:LCMS m/z = 217.2(M+H)。
【0141】
ステップ2:2−メチル−6−(メチルスルホニル)ピリジン−3−アミンの調製
【0142】
【化7】

亜鉛末(146g、2.01mol)および塩化アンモニウム水溶液(3M、800ml)の懸濁物へ、0℃で添加漏斗を介して、酢酸エチル(500mL)中の2−メチル−6−(メチルスルホニル)−3−ニトロピリジン(87.0g、401mmol)の溶液を滴下して加えた。この混合物を、室温で17時間攪拌し、CeliteTMを通して濾過した。次に、この濾液を酢酸エチルで抽出した。有機相を分離し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、エタノールから再結晶させて、表題化合物を固体として得た(34.7g、46%)。C10Sの正確な質量計算値:186.1、実測値:LCMS m/z = 187.2(M+H)。
【0143】
(実施例3.4)
4−(6−クロロ−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ)−ピペリジン−l−カルボン酸イソプロピルエステルの調製
【0144】
【化8】

THF(250mL)中のイソプロピル4−ヒドロキシピペリジン−l−カルボキシレート(29.0g、155mmol)および4,6−ジクロロ−5−メチルピリミジン(25.0g、153mmol)の溶液へ、THF中のカリウムtert−ブトキシド(1M、154mL、154mmol)を0℃で滴下して加えた。45分後、粗製の混合物を酢酸エチルとHOとの間で分配し、有機相をブラインで洗浄した。有機抽出物をMgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(10%→15% v/v)を使用したシリカゲルでのカラムクロマトグラフィによって精製し、表題化合物を固体として得た(15.4g、収率32%)。C1420ClNの正確な質量計算値:313.1、実測値:LCMS m/z = 314.4(M+H
【0145】
【化9】

(実施例3.5)
4−[6−(6−メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−l−カルボン酸イソプロピルエステルの調製
【0146】
【化10】

ジオキサン(210ml)中の4−(6−クロロ−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ)−ピペリジン−l−カルボン酸イソプロピルエステル(13.7g、43.6mmol)、6−メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミン(8.10g、43.5mmol)、酢酸パラジウム(97.7mg、0.435mmol)、2,8,9−トリイソブチル−2,5,8,9−テトラアザ−1−ホスファビシクロ[3.3.3]ウンデカン(309μl、0.870mmol)およびナトリウムt−ブトキシド(10.0g、104mmol)の混合物を、90℃で2時間加熱した。反応混合物をHOでクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過して濃縮した。残渣をまず、ヘキサン/酢酸エチル(1:1、v/v)を使用したシリカゲルでのカラムクロマトグラフィによって精製し、次にメタノールから再結晶させて、表題化合物を白色固体として得た(5.76g、29%)。C2129Sの正確な質量計算値:463.2、実測値:LCMS m/z = 464.3(M+H
【0147】
【化11】

(実施例4)
メラニン保有細胞におけるRUP3用量反応についてのプロトコル
メラニン保有細胞を、Pigment Cell Research、第5巻、372〜378頁、1992年の中でPotenza,M.N.およびLerner,M.R.により報告されているような培養液中に維持し、エレクトロポレーションを用いてRUP3発現ベクター(pCMV)をトランスフェクトする。エレクトロポレーション後、トランスフェクトされた細胞を、アッセイのために96ウェルプレートにプレーティングする。次いで、細胞を、エレクトロポレーション手順からの回復および最大受容体発現レベルの達成の両方のため、48時間にわたって培養する。
【0148】
アッセイ日に、細胞上の培養培地を、10nMメラトニンを含有する無血清緩衝液で置き換える。メラトニンは、メラニン保有細胞中の内因性Gi共役GPCRを介して作用し、細胞内cAMPレベルを低下させる。cAMPレベルの低下に応答して、メラニン保有細胞は、それらの色素を細胞の中心に移動する。この正味の効果は、600〜650nMにて測定されるように、ウェルにおける細胞単層の吸光度読み値の有意な減少である。
【0149】
メラトニン中の1時間のインキュベーション後、細胞は、完全に色素凝集する。この時点で、ベースラインの吸光度読み値を集める。次いで、試験化合物の段階希釈液をプレートに加えると、RUP3を刺激する化合物は、細胞内cAMPレベルの増加をもたらす。これらのcAMPレベルの増加に応答して、メラニン保有細胞は、それらの色素を細胞周辺に移動する。1時間後、刺激された細胞は、完全な色素分散状態である。分散した状態の細胞単層は、600〜650nmの範囲においてより多くの光を吸収する。ベースライン読み値と比較した吸光度の増加を測定すると、受容体刺激の程度を定量し、用量反応曲線をプロットすることができる。
【0150】
式(I)に示す化合物4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルは、多くの異なる種におけるRUP3受容体の強力なアゴニストであり、EC50は、2nM(ヒト)、8nM(イヌ)、43nM(マウス)、および42nM(ラット)である。
【0151】
(実施例5)
4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルについてのラット用量範囲PK研究
動物、化合物処方物、投与、および血液サンプル収集:
雄性SDラット(250〜300g)は、Charles River Laboratoryから購入し、受け入れ時点で、動物を、明暗サイクル(6:30am〜6:30pm点灯)下に置いた。ラットには、水および毎日4片の飼料(Purina Meals Rodent Diet、Product Number5001)を自由に与えた。
【0152】
化合物処方物は、以下の通り調製した:IV注射処方物は、0.667mg/mLの濃度で20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン中で調製した。PO処方物は、0.3、3、および30mg/Kgの濃度で0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース中で調製した。IV注射の投与容積は、3mL/Kgとし、PO投与の投与容積は、10mL/Kgとした。各投与群には4匹のラットを用いた。IV注射の投与量は、2mg/kgとし、POの投与量は、それぞれ3、30、または300mg/Kgとした。
【0153】
すべてのラット(個々に収容された1群当たり4匹のラット)を生存相の前に一夜にわたって絶食させた。翌朝、ラットに、8am(IV)および9am(PO)から始めて化合物のIV(尾静脈注射を介する)注射または胃管投与を行った。次に、各ラットから、0.085、0.25、0.5、1、2、4、6、8、および24時間(IV)または0.5、1、2、4、6、8、および24時間(PO)に眼窩採血を行い、PK分析用の血液サンプルを集めた。
【0154】
血液サンプルは、眼窩採血を介して、EDTAを含有する管に毎回0.25mLの血液を集めた。これらのサンプルを氷の上に置き、2時間以内に、4℃にて30分にわたって3,000rpmで遠心分離することにより血漿を調製した。血漿100μlを、PK分析用の96管ボックスに移した。
【0155】
サンプル分析:
血漿サンプルは、以下の通り調製した。内部標準を含有するアセトニトリル200マイクロリットルを血漿100μLに加え、タンパク質を沈殿させた。サンプルを5分にわたって3000gで遠心分離し、LC−MS−MSによる分析のために上清を除去した。較正標準品および品質管理サンプルは、既知容積の標準ストック溶液(50%メタノール、50%HO)をブランク血漿に直接加えることにより調製し、集めた血漿サンプルとまったく同じように処理した。較正標準品は、典型的には、定量のための線形回帰で2.0ng/mL〜10μg/mLの範囲で調製した。これらのサンプル調製ステップは、96ウェルフォーマットで液体ハンドリングワークステーション(Tomtec Quadra 96)を用いて自動化した。逆相LC−MS−MS分析は、各薬物候補に特徴的なイオンを検出するための多重反応モニタリングか選択イオンモニタリングのどちらかを用いて行い、使用される内部標準は、陽イオンについてはプロプラノロールまたは陰イオンについてはクロラムフェニコールとした。
【0156】
データ解釈:
結果は、個々の動物についての血漿濃度−時間プロフィールに基づき、WinNonlin Proバージョン3.1を用いる非コンパートメント解析により計算した。血漿レベルを上記に記載されているように決定し、経口および静脈内の濃度対時間曲線下面積(AUCは、最後の測定可能な濃度まで線形台形法則を用いて計算し、次いで、無限まで外挿した)を比較し、以下の式:用量(IV)AUC(経口)/用量(経口)AUC(IV)により%生物学的利用能(%F)を決定した。
【0157】
個々の動物および分析方法の範囲内で有意な変動があることから、その変動を%CVにより明示した。AUMCは、AUCの一次の統計学的モーメントであり、それを用い、化合物が動物中にある平均時間である平均滞留時間(MRT=AUMC/AUC)を計算した。Cmaxは、観察された最高濃度を表し、Tmaxは、最高濃度に到達するまでの時間とし、T1/2は、十分な消失相データポイント(Cmaxを除く終末相における少なくとも3つのデータポイント)がある場合にlog濃度対時間プロットの勾配を用いる血漿中の化合物の計算された終末半減期とした。全身クリアランス(CL=用量(IV)/AUC(IV))は、化合物が単位時間当たりに完全に除去される体液(化合物を含有する)の容積とした。定常状態における分布容積(Vss=CLMRT)は、定常状態における血漿から組織への薬物の分布の程度とした。
【0158】
RUP3アゴニスト、4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルは、図1に見られるように、実質的に線形の用量漸増薬物動態を示した。
【0159】
図1に示す各々の化合物に関連する数値データは、下表中に見いだすことができる。
【0160】
【表2】

図1には、PCT/US2004/022417中に見いだされる部類に記載されている化合物A[すなわち、4−[1−(2−フルオロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル];PCT/US2004/022327中に見いだされる部類に記載されている化合物B[すなわち、(2−フルオロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−{6−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−5−メチル−ピリミジン−4−イル}−アミン];PCT/US2006/000567中に見いだされる部類に記載されている化合物C[すなわち、4−[6−(6−メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メトキシ−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル];PCT/US2006/000567中に見いだされる部類に記載されている化合物D[すなわち、4−[6−(6−メタンスルホニル−4−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メトキシ−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル];PCT/US2004/001267中に見いだされる部類に記載されている化合物E;PCT/US/2006/000567中に見いだされる部類に記載されている化合物F[すなわち、{6−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−ピペリジン−4−イルオキシ]−5−メトキシ−ピリミジン−4−イル}−(6−メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イル)−アミン];およびPCT/US2004/022327中に見いだされる部類に記載されている化合物G[すなわち、4−[5−メトキシ−6−(2−メチル−6−[1,2,4]トリアゾール-1−イル-ピリジン−3−イルアミノ)−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル]も示す。
【0161】
RUP3アゴニストは、本明細書に記載されている多くの代謝関連障害の治療において治療薬として有用であるが、4−[6−(6-メタンスルホニル−2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−5−メチル−ピリミジン−4−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルなどの線形の用量漸増薬物動態特性を示す化合物は、様々な理由から特に有益である。例えば、線形の曝露対用量関係のある化合物は、以下の有益性を有する。
【0162】
薬物動態パラメーターは、異なる投与量が投与された場合、または薬物が異なる投与経路を通してもしくは単一もしくは複数用量として与えられた場合に変動しない。患者は、用量をわずかに増やした場合に、過剰摂取になる可能性が低い。
【0163】
これらの化合物は、よりよい吸収を有し、増強された経口生物学的利用能を有することがある。非線形性の薬物は、胃腸管における薬物の溶解度限界に近づく薬物濃度、または吸収のための飽和性の輸送系を包含するいくつかの可能性のある理由のために経口生物学的利用能が低下することがある。
【0164】
前臨床的薬物開発中に、これらの化合物は、高用量で投与された場合に高い曝露を達成することができるであろう。
【0165】
当業者は、本明細書に記載されている例示的な実施例に対する様々な改変、付加、置換、および変化は、本発明の精神から逸脱することなく行うことができ、したがって、本発明の範囲内にあると見なされることを理解しているであろう。印刷された刊行物、ならびに仮のおよび正規の特許出願を包含するがそれらに限定されない、上記で言及されるすべての文書は、参照により全体として本明細書に組み込まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化12】

の化合物から選択される化合物ならびに薬学的に許容できるその塩、溶媒和物、および水和物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項3】
個体において代謝関連障害を治療する方法であって、そのような治療を必要としている該個体に、治療有効量の、請求項1に記載の化合物または、請求項2に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項4】
前記代謝関連障害が、I型糖尿病、II型糖尿病、不適切なブドウ糖耐性、インスリン抵抗性、高血糖症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、異脂肪血症およびX症候群からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記代謝関連障害がII型糖尿病である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記代謝関連障害が高血糖症である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記代謝関連障害が高脂血症である、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記代謝関連障害が高トリグリセリド血症である、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記代謝関連障害がI型糖尿病である、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記代謝関連障害が異脂肪血症である、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記代謝関連障害がX症候群である、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記個体が哺乳動物である、請求項3から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記哺乳動物がヒトである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
個体において肥満症を治療する方法であって、治療を必要としている該個体に、治療有効量の、請求項1に記載の化合物または、請求項2に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項15】
個体の食物摂取量を軽減する方法であって、それを必要としている該個体に、治療有効量の、請求項1に記載の化合物または、請求項2に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項16】
個体において満腹感を誘発する方法であって、それを必要としている該個体に、治療有効量の、請求項1に記載の化合物または、請求項2に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項17】
個体の体重増加を制御または軽減する方法であって、それを必要としている前記個体に、治療有効量の、請求項1に記載の化合物または、請求項2に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項18】
前記個体が哺乳動物である、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記哺乳動物がヒトである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ヒトが、約18.5〜約45のボディマス指数を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ヒトが、約25〜約45のボディマス指数を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記ヒトが、約30〜約45のボディマス指数を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記ヒトが、約35〜約45のボディマス指数を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
代謝関連障害を治療するのに使用するための医薬品を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項25】
I型糖尿病、II型糖尿病、不適切なブドウ糖耐性、インスリン抵抗性、高血糖症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、異脂肪血症またはX症候群を治療するのに使用するための医薬品を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項26】
個体において食物摂取量を軽減するのに使用するための医薬品を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項27】
個体において満腹感を誘発するのに使用するための医薬品を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項28】
個体において体重増加を制御または軽減するのに使用するための医薬品を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項29】
前記個体が哺乳動物である、請求項26から28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
前記哺乳動物がヒトである、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
前記ヒトが、約18.5〜約45のボディマス指数を有する、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
前記ヒトが、約25〜約45のボディマス指数を有する、請求項30に記載の使用。
【請求項33】
前記ヒトが、約30〜約45のボディマス指数を有する、請求項30に記載の使用。
【請求項34】
前記ヒトが、約35〜約45のボディマス指数を有する、請求項30に記載の使用。
【請求項35】
療法によりヒトまたは動物の身体を治療する方法において使用するための、請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
療法によりヒトまたは動物の身体の代謝関連障害を治療する方法において使用するための、請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
請求項1に記載の化合物と薬学的に許容できる担体を混合することを含む、医薬組成物を製造する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−542702(P2009−542702A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518404(P2009−518404)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/015681
【国際公開番号】WO2008/005576
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(500478097)アリーナ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (97)
【Fターム(参考)】