説明

休憩促進装置

【課題】運転者が過剰に長時間に亘って運転を継続してしまうことを防止する。
【解決手段】休憩促進装置10は、休憩位置の情報を具備する道路網情報を記憶する地図データ記憶部12と、自車両の運転者の情報を記憶する運転者情報記憶部13と、自車両の現在位置を検出する現在位置検出部21と、自車両の現在位置に基づき、所定時間経過後に自車両が到達可能な休憩位置を取得するナビゲーション処理部22と、運転者の情報に基づき、運転者が尿意を催すために必要とされる飲料物の総量を推定する必要飲料量推定部24と、推定される飲料物の総量を現在位置から休憩位置に到達するまでの間に亘って自車両の運転者に供給する飲料供給制御部25および飲料供給装置16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、休憩促進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車専用道路を走行中に所定速度以上での走行が所定時間以上継続した事を検出すると、休憩するように運転者に指示するための指示信号を表示部に出力する車載用ナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−71976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術に係る車載用ナビゲーション装置によれば、休憩を促す指示信号が出力される状態であっても、運転者が運転を継続してしまう虞があり、この場合には指示信号が無駄に出力されてしまうという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、運転者が過剰に長時間に亘って運転を継続してしまうことを防止することが可能な休憩促進装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係る休憩促進装置は、休憩位置の情報を具備する道路網情報を記憶する道路網情報記憶手段(例えば、実施の形態での地図データ記憶部12)と、自車両の運転者の情報を記憶する運転者情報記憶手段(例えば、実施の形態での運転者情報記憶部13)と、自車両の現在位置を検出する現在位置検出手段(例えば、実施の形態での現在位置検出部21)と、前記現在位置検出手段により検出される自車両の現在位置に基づき、所定時間経過後に自車両が到達可能な前記休憩位置を前記道路網情報記憶手段に記憶されている前記道路網情報から取得する休憩位置取得手段(例えば、実施の形態でのナビゲーション処理部22)と、前記運転者情報記憶手段に記憶されている前記運転者の情報に基づき、前記運転者が尿意を催すために必要とされる飲料物の総量を推定する推定手段(例えば、実施の形態での必要飲料量推定部24)と、前記推定手段により推定される前記飲料物の総量を、前記現在位置検出手段により検出される前記現在位置から前記休憩位置取得手段により取得される前記休憩位置に到達するまでの間に亘って、自車両の運転者に供給する飲料物供給手段(例えば、実施の形態での飲料供給制御部25および飲料供給装置16)とを備える。
【0005】
さらに、本発明の第2態様に係る休憩促進装置では、前記飲料物供給手段は、前記推定手段により推定される前記飲料物の総量を分割し、前記分割により得られる分割量を所定時間毎に自車両の運転者に供給する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の第1態様に係る休憩促進装置によれば、運転者が尿意を催すために必要とされる飲料物の総量を、現在位置から休憩位置に到達するまでの間に亘って自車両の運転者に供給することから、運転者を尿意により休憩位置にて休憩させることができ、運転者が過剰に長時間に亘って運転を継続してしまうことを防止することができる。
さらに、本発明の第2態様に係る休憩促進装置によれば、運転者が尿意を催すために必要とされる飲料物の総量を分割して得られる分割量を所定時間毎に運転者に供給することにより、運転者が飲料を摂取するために要する労力が過大となることを防止することができると共に、尿意を緩やかに増大させることで運転者が過剰な不快感を感じてしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態に係る休憩促進装置について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による休憩促進装置10は、例えば図1に示すように、車両状態センサ11と、地図データ記憶部12と、運転者情報記憶部13と、ECU14と、出力部15と、飲料供給装置16とを備えて構成されている。
【0008】
車両状態センサ11は、自車両の車両情報として、例えば自車両の速度(車速)を検出する車速センサや、車体の姿勢や進行方向を検出するジャイロセンサや、ヨーレート(車両重心の上下方向軸回りの回転角速度)を検出するヨーレートセンサや、車体に作用する加速度を検出する加速度センサや、例えば人工衛星を利用して自車両の位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)信号などの測位信号を受信する測位信号受信機や、運転者による運転操作(例えば、アクセルペダルの踏み込み操作量、ブレーキペダルの踏み込み操作量、ステアリングホイールの舵角など)を検出する各センサなどを備えて構成されている。
【0009】
地図データ記憶部12は、例えば出力部15の表示装置31の表示画面において地図を表示するための地図データを格納している。
地図データは、例えば地形図のデータと道路網のデータとを備え、道路網のデータは、例えば道路形状および道路の種別および幅員および交差角度および道路の接続状態および各種の施設(例えば、高速道路のサービスエリアおよびパーキングエリア、その他の休憩施設など)の位置データなどとを備えて構成されている。
【0010】
運転者情報記憶部13は、自車両の運転者の情報(運転者情報)として、例えば体重などの運転者の膀胱容量を推定するために必要とされる各種の情報を記憶している。
【0011】
ECU14は、例えば現在位置検出部21と、ナビゲーション処理部22と、出力制御部23と、必要飲料量推定部24と、飲料供給制御部25とを備えて構成されている。
【0012】
現在位置検出部21は、車両状態センサ11の測位信号受信機により受信された測位信号によって、あるいは、車両状態センサ11により検出された車速やヨーレート等に基づく自律航法の算出処理によって、自車両の現在位置を算出する。
【0013】
ナビゲーション処理部22は、例えば、地図データ記憶部12から取得する地図データに対して、現在位置検出部21から出力される現在位置に基づいてマップマッチングを行うと共に、操作者の入力操作などに応じて設定された目的地に対して経路探索や経路誘導などの処理を実行し、出力部15の表示装置31およびスピーカ32の動作を指示する制御指令を出力する。
また、ナビゲーション処理部22は、車両状態センサ11により検出された車速やヨーレートなどの自車両の走行状態量に対する検出結果と、現在位置検出部21から出力される現在位置とに基づき、所定時間経過後(例えば、運転の継続を開始してから2時間経過後など)までに自車両が到達可能な休憩位置(例えば、高速道路のサービスエリアおよびパーキングエリア、他の休憩施設など)を、地図データ記憶部12に格納されている地図データから検索し、検索して得た休憩位置の情報を出力する。
【0014】
出力制御部23は、例えば、ナビゲーション処理部22から出力される制御指令あるいは操作者の入力操作などに応じて、出力部15の表示装置31およびスピーカ32を制御する。
【0015】
必要飲料量推定部24は、運転者情報記憶部13に格納されている自車両の運転者の情報(運転者情報)に基づき、運転者が所定程度の尿意を催すために必要とされる飲料物の総量を推定する。
例えば、必要飲料量推定部24は、運転者の膀胱容量を運転者の体重に基づき推定(例えば、体重1kgあたりに膀胱容量7mlとして推定)し、この膀胱容量に対応する飲料物の総量を設定する。
【0016】
飲料供給制御部25は、必要飲料量推定部24により推定される運転者が尿意を催すために必要とされる飲料物の総量と、ナビゲーション処理部22から出力される休憩位置の情報とに基づき、自車両が現在位置から休憩位置に到達するまでの間に亘って、飲料物の総量を分割して得た分割量の飲料物を、所定時間毎に飲料供給装置16から自車両の運転者に供給することを指示する制御信号を出力する。
【0017】
飲料供給装置16は、例えば図2に示すように、車室内の運転者周辺の位置に配置され、飲料供給制御部25から出力される制御信号に応じて各種の飲料物を供給する。
【0018】
本実施の形態による休憩促進装置10は上記構成を備えており、次に、この休憩促進装置10の動作について説明する。
【0019】
先ず、例えば図3に示すステップS01においては、自車両の運転者の情報(例えば、体重など)を取得する。
そして、ステップS02においては、運転者の情報に応じて、運転者の膀胱容量を推定する。
そして、ステップS03においては、運転者の膀胱容量に応じて、運転者が所定程度の尿意を催すために必要とされる飲料物の総量を推定する。
【0020】
そして、ステップS04においては、測位信号、あるいは、自律航法の算出処理によって、自車両の現在位置を取得する。
そして、ステップS05においては、自車両の現在位置と、自車両の走行状態量に対する検出結果とに基づき、所定時間経過後の自車両の位置を推定する。
そして、ステップS06においては、所定時間経過後の自車両の位置周辺に存在し、所定時間経過後までに自車両が到達可能な休憩位置(例えば、高速道路のサービスエリアおよびパーキングエリア、他の休憩施設など)を、地図データ記憶部12に格納されている地図データから検索する。
【0021】
そして、ステップS07においては、運転者が所定程度の尿意を催すために必要とされる飲料物の総量を分割して分割量を算出し、各分割量を所定時間毎に飲料供給装置16から自車両の運転者に供給する時刻(飲料供給時刻)を設定する。
そして、ステップS08においては、現在時刻が飲料供給時刻であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS10に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS09に進む。
そして、ステップS09においては、分割量の飲料物を飲料供給装置16から自車両の運転者に供給する。
そして、ステップS10においては、自車両が休憩位置に到達したか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS08に戻る。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS11に進む。
そして、ステップS11においては、休憩位置への自車両の誘導を行い、一連の処理を終了する。
【0022】
上述したように、本実施の形態による休憩促進装置10によれば、運転者が尿意を催すために必要とされる飲料物の総量を、現在位置から休憩位置に到達するまでの間に亘って自車両の運転者に供給することから、運転者を尿意により休憩位置にて休憩させることができ、運転者が過剰に長時間に亘って運転を継続してしまうことを防止することができる。
さらに、運転者が尿意を催すために必要とされる飲料物の総量を分割して得られる分割量を所定時間毎に運転者に供給することにより、運転者が飲料を摂取するために要する労力が過大となることを防止することができると共に、尿意を緩やかに増大させることで運転者が過剰な不快感を感じてしまうことを防止することができる。
【0023】
なお、上述した実施の形態において、飲料供給装置16は、飲料としてコーヒーやお茶などを供給することにより、利尿作用を有効に利用して運転者の尿意を促しやすくすることができると共に、コーヒーやお茶に含まれるカフェイン成分による覚醒作用を利用することができる。
【0024】
なお、上述した実施の形態において、飲料供給装置16は、車両に搭載された燃料電池から排出される水を飲料用に採用してもよい。この場合には、飲料供給装置16への水の補給が自動化されるため、水が不足して飲料物の供給が困難となることを防止することができる。
【0025】
なお、上述した実施の形態では、予め運転者情報記憶部13に格納されている自車両の運転者の情報(運転者情報)、例えば運転者の体重などに基づき、運転者が所定程度の尿意を催すために必要とされる飲料物の総量を推定するとしたが、これに限定されず、例えば図4に示す上述した実施の形態の変形例に係る休憩促進装置10のように、運転者の体重を検出可能な体重センサ41を備え、この体重センサ41から出力される検出結果に基づき、運転者が所定程度の尿意を催すために必要とされる飲料物の総量を推定してもよい。
以下に、この変形例に係る休憩促進装置10の動作として、体重取得の処理について説明する。
先ず、例えば図5に示すステップS21においては、運転者の体重測定が可能であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS22に進み、このステップS22においては、運転者の体重を測定して得た測定値を、体重として設定して、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS23に進む。
【0026】
そして、ステップS23においては、自車両の運転者の情報(例えば、体重など)が予め記憶されているか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS24に進み、このステップS24においては、運転者情報記憶部13から取得して得た運転者の体重にかかる情報の取得値を、体重として設定して、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS25に進み、予め必要飲料量推定部24に記憶されている所定値(例えば、平均体重など)を、体重として設定して、一連の処理を終了する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る休憩促進装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る飲料供給装置の配置の例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る休憩促進装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態の変形例に係る休憩促進装置の構成図である。
【図5】本発明の実施の形態の変形例に係る体重取得の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
10 休憩促進装置
12 地図データ記憶部(道路網情報記憶手段)
13 運転者情報記憶部(運転者情報記憶手段)
16 飲料供給装置(飲料物供給手段)
21 現在位置検出部(現在位置検出手段)
22 ナビゲーション処理部(休憩位置取得手段)
24 必要飲料量推定部(推定手段)
25 飲料供給制御部(飲料物供給手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
休憩位置の情報を具備する道路網情報を記憶する道路網情報記憶手段と、
自車両の運転者の情報を記憶する運転者情報記憶手段と、
自車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記現在位置検出手段により検出される自車両の現在位置に基づき、所定時間経過後に自車両が到達可能な前記休憩位置を前記道路網情報記憶手段に記憶されている前記道路網情報から取得する休憩位置取得手段と、
前記運転者情報記憶手段に記憶されている前記運転者の情報に基づき、前記運転者が尿意を催すために必要とされる飲料物の総量を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定される前記飲料物の総量を、前記現在位置検出手段により検出される前記現在位置から前記休憩位置取得手段により取得される前記休憩位置に到達するまでの間に亘って、自車両の運転者に供給する飲料物供給手段と
を備えることを特徴とする休憩促進装置。
【請求項2】
前記飲料物供給手段は、前記推定手段により推定される前記飲料物の総量を分割し、前記分割により得られる分割量を所定時間毎に自車両の運転者に供給することを特徴とする請求項1に記載の休憩促進装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−198217(P2009−198217A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37740(P2008−37740)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】