説明

伸張耐性織布および装置

伸張耐性織布、装置、および方法は、ニット構造内の、選択された隣接する畝のニットループ間に、及び部分的に所定の段における該隣接する畝のうちの1つの畝中のループの周囲に配置された、伸張耐性糸を含むことができる。この方法では、織布は、織布の長さに沿って、畝様方向の伸張に対して耐性であるようにすることができる。伸張耐性織布は、メッシュ織布であることができる。メッシュ織布において、織布内の細孔のサイズと形状は、織布が畝様の方向に引っ張られる場合に維持することができる。伸張耐性糸は、織布内の他の糸の個々の直径よりも大きい直径を有することができる。伸張耐性糸は、例えば、ポリプロピレンまたはポリエステルのモノフィラメント糸のようなモノフィラメント糸であることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2008年3月13日に出願した米国仮特許出願第61/036239号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、伸張耐性織布および伸張耐性織布を含む装置に関する。このような伸張耐性織布および装置は、医療用途に有用であり得る。
【背景技術】
【0003】
編まれたメッシュ織布は、多くの場合、織布内のループ構造、または織布デザイン(fabric design)中の開放メッシュ、すなわち細孔の性質により、本質的に高い伸張特性を有している。例えば、2バー・メッシュ構造を有する、いくつかの従来のメッシュ織布は、5ポンドの引張力で約64%の伸張率を有することができる。このような高度な伸張性は、望まれているより多くのメッシュ織布の長手方向(longitudinal fashion)の伸張、または拡がりを引き起す可能性がある。例えば、高伸張性メッシュが、所望の位置の隣接または近傍に、物体を含み、かつ保持するように使用されている場合、物体の重量は、物体が所望の位置にもはや隣接せず、または近接しないところまで、メッシュの伸張を引き起す可能性がある。
【0004】
メッシュ織布中の伸張を減少させるための、様々な方法が試みられている。いくつかの従来の方法では、特定の網目模様(mesh design)の伸張能力は、例えば、メッシュの開口部の大きさを減少させることなどの、網目模様自体を変更することで、減少することができる。他の従来の方法では、メッシュ織布の伸張能力は、低弾性を有する糸で織布を編むことによって減少することができる。これらのような方法は欠点がある。例えば、メッシュの開口部のサイズを小さくすることは、より大きくて通気性のあるメッシュの開口部を有する必要がある、本来の目的に対する織布の有用性を変更することがある。低弾性を有する糸でできたメッシュ織布を編むことは、メッシュの開口部のサイズを小さくし、そうでないとしても、織布のパフォーマンス特性の望ましくない変更を起こし得る。また、編まれたメッシュ織布において、より大きく、および/または低い弾性の糸を使用することは、望ましくない密度を織布にもたらすだけではなく、製作コストの増大をもたらし得る。
【0005】
したがって、網目模様における開口部の本来の姿を維持し、メッシュ織布のパフォーマンス特性を維持する、減じられた伸張率を有する、メッシュ織布が求められている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の態様における、減じられた伸張率を有するメッシュ織布の図である。
【図2】本発明の態様における、伸張耐性メッシュ織布の織方図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のいくつかの態様は、伸張耐性織布、伸張耐性織布を含む装置、および伸張耐性織布の製造方法を含むことができる。いくつかの態様において、伸張耐性織布は、織布のニット構造内の選択された隣接する畝(wale)間のニットループ間に、及び部分的に、所定の段における該隣接する畝のうちの1つの畝中のループの周囲に配置(laid in)された、伸張耐性糸を含むことができる。この方法では、織布は、織布の長さに沿った畝様(walewise)方向の伸張に対して耐性であるようにすることができる。いくつかの態様において、伸張耐性織布は、メッシュ織布を含むことができる。メッシュ織布の態様において、メッシュ織布中の細孔のサイズおよび形状は、畝様の方向に織布を引っ張る場合、維持することができる。
【0008】
特定の態様において、メッシュ織布は、ラッセルニットメッシュ織布のように作成することができる。このようなメッシュ織布において、各畝は、それぞれの織布構造の段において、第1のガイドバー(guide bar)からループに編まれた表糸と、第2のガイドバーから表糸ループの周囲に編まれた裏糸とを含むことができる。伸張耐性糸は、部分的に、所定の段における該隣接する畝のうちの1つの畝中の表面糸のループの周囲の第3のガイドバーから、織布構造内に配置することができる。
【0009】
いくつかの態様において、伸張耐性織布は、織布の長さ方向に沿って、6番目毎の段に1つの隣接する畝中のループに、部分的に配置することができる。いくつかの態様において、伸張耐性糸は、各畝の間に配置することができる。 他の態様において、伸張耐性糸は、3番目毎の畝の間に配置することができる。
【0010】
いくつかの態様において、伸張耐性糸は、織布内の他の糸の個々の直径よりも大きい直径を有することができる。特定の態様において、伸張耐性糸はモノフィラメント糸を含むことができる。特定の態様において、モノフィラメント糸は、ポリプロピレンまたはポリエステルを含むことができる。モノフィラメント糸は、2ミル(mil.)〜12ミルの範囲内の直径を有することができる。
【0011】
いくつかの態様において、本発明は、織布のニット構造の、選択された隣接する畝のニットループの間に、及び部分的に、所定の段におけるの該隣接する畝のうち1つの畝中のループの周囲に配置された伸張耐性糸を含む伸張耐性織布を含む装置を含むことができる。 このような装置では、織布は、織布の長さに沿った畝様方向の伸張に対して耐性であるようにされている。特定の態様において、装置の織布はメッシュ織布とすることができる。特定の態様においては、装置中の伸張耐性糸は、装置織布内の他の糸の個々の直径よりも大きい直径を有することができる。装置の特定の態様は、例えば臓器支持装置などの、埋め込み型医療機器を含むことができる。
【0012】
いくつかの態様において、本発明は、織布の長さに沿った畝用方向の伸張に対して耐性であるようにされている伸張耐性織布を作成することを含む方法を含むことができる。このような作成方法は、選択された隣接する畝中のニットループ間に伸張耐性糸を配置すること、及び部分的に、所定の段における該隣接する畝のうちの一つの畝中のループの周囲に伸張耐性糸を配置すること、を含むことができる。特定の態様において、このような方法で作成された伸張耐性織布は、メッシュ織布を含むことができる。
【0013】
特定の態様において、伸張耐性織布を作成する方法は、第1のガイドバーからの表糸を、各畝におけるループに編むことをさらに含むことができる。裏糸は、織布の各段の表糸ループの周囲の、第2のガイドバーから編むことができる。伸張耐性糸は、部分的に所定の段における該隣接する畝のうちの1つの畝中の表糸ループの周囲の、第3のガイドバー内に配置することができる。特定の態様において、伸張耐性糸は、織布の長さに沿った6番目毎の段に配置することができる。方法の特定の態様では、伸張耐性糸はモノフィラメント糸を含むことができる。
【0014】
伸張耐性織布、装置、および/または方法の特徴は、1つまたは複数の本発明の態様において、単独でまたは組み合わせて、達成することができる。伸張耐性織布、装置、および/または方法の多くの異なる態様が可能であることは、当業者によって認識される。その他の用途、利点、および本発明の態様の特徴は、ここでの詳細な説明に記載の例示的な態様に記載されており、そして以下の実施例により、当業者にとってより明らかになるであろう。
【0015】
本発明のいくつかの態様により、伸張耐性織布および伸張耐性織布を含む装置を提供することができる。図1と2は、このような伸張耐性織布10の態様を例示している。図1は、特定のサイズ(比較的大きなサイズ)の孔12と、減じられた伸張率を有するメッシュ織布11の態様を示す。図2は、伸張耐性メッシュ織布の織方図13の態様を示す。このような態様において、メッシュ織布11は、メッシュ織布11がその使用目的のために機能することができるように、特性を維持することができる。このような特性は、例えば、メッシュ織布11の使用中に比較的変形しない、メッシュの開口部のサイズおよび/または形状、または細孔12を含むことができる。メッシュ織布11のこのような態様は、伸張耐性糸20を含む織布構造31を含むことができる。伸張耐性糸20は、メッシュ設計の本来の特性を維持しながら、メッシュ織布11の伸張を制限することができる、引張機構(tensioning mechanism)の役割をすることができる。メッシュ織布の設計の本来の特性を維持することは、とりわけ、メッシュ織布11内の孔12のサイズと形状を維持することを指す。特定の態様において、伸張耐性糸20は、織布10の縦編み中に、ニットループ30の間に「配置(laid in)」することができる。
【0016】
図2中の織方図13に示すように、縦編みメッシュ構造31は、複数の畝32を含むことができ、各畝32は、織布の長さ33に沿った、連続的な段34における1つの針の操作によって形成される、一連のループ30を有する。段34は、ループ30の行、または織布10の幅35に亘るステッチとして定義される。図2中の織方図13の態様は、3バー織布を示す。ガイドバーは、一連の糸ガイド(yarn guide)を保持している、縦編み機の幅に亘るバーとして定義される。各糸ガイド、または小穴には、1つまたは複数の糸を通すことができる。ガイドバーの動きは、ニット針に縦糸を運び、その後糸を針の周りに巻きつけることができる。特定のガイドバー内の小穴中の各糸は、同じ動きをする。縦編み機、及び縦編み織布は、織布を編むのに必要な編機内のガイドバーの数で示すことができ、例えば、3バー・メッシュは、3つのガイドバーを使用するニットである。
【0017】
本発明の伸張耐性織布10のいくつかの態様は、様々な様式や型の織布ニットを含むことができる。例えば、このような織布10のいくつかの態様は、ラッセルニットであることができ、他には、トリコットニットであることができ、さらに他には様々な他の方法で編まれたものであることことができる。図2に例示するラッセルニットメッシュ織布11の態様では、第1のガイドバーは、糸を織布11の前面に編まれるように運ぶ。第1のガイドバーは、「固体」のスレッド(threading)を含む。つまり、第1のガイドバー内の各小穴は、表糸40を運ぶ。この方法では、ニット織布11内の各畝32は、表糸40を含むことができる。第2のガイドバーは、糸を織布11の裏面に編むように運ぶ。第2のガイドバーは、「固体」のスレッドを含むため、第2のガイドバー内の各小穴は、裏糸41を運ぶ。その結果、ニット織布11の各畝32は、裏糸41を含むことができる。第3のガイドバーは、伸張耐性糸20を、織布構造内に「配置(laid in)」するように運ぶ。第3のガイドバーは、「1イン、1アウト(1−in,1−out)」のスレッド、または一つ飛ばしの(または半ゲージの)スレッドを含むため、第3のガイドバー内の一つおきの小穴が、伸張耐性糸20を運ぶ。この方法では、伸張耐性糸20を、ニットループ30とメッシュ織布11内の一つ飛ばしの畝32との間に「配置」することができる。
【0018】
いくつかの態様において、伸張耐性糸20は、織布構造内に「配置」することができる。「配置」された織布において、編まれた、または重複した(縦編み)糸42の基本構造は、同じニットサイクル中で、該構造中に組み込まれ、または「配置」される他の編まれていない糸43を、所定の位置に保持する。針のフックに入らないので、内部糸(inlaid yarn)43はニットループ30には形成されないが、基本の織布構造は、例えば、内部糸43を保持するために、トリコットラップステッチ、または「1−1」(1and1)ステッチなどの、様々なニットステッチを利用することができる。
【0019】
図2に示すラッセルニット織方図13において、強調表示された領域は、メッシュ織布のステッチパターン13のいずれかの一つの繰り返し44の領域を示している。表1は、図2に示す織方図13のステッチの表記法を示している。
【0020】
【表1】

【0021】
数字の0、1、2、は、畝32間のスペース45、または一連の畝32に関連する糸の位置を表している。内畝(interwale)スペース「0」(45)は、繰り返し44の領域の右手側の畝32と、繰り返し44の領域のすぐ右側の隣接する畝32との間の、繰り返し44の領域の右手側のスペースまたは位置を表す。内畝スペース「2」(47)は、繰り返し44の領域の左手側の畝32と、繰り返し44の領域のすぐ左側の隣接する畝32との間の、繰り返し44の領域の左手側のスペースまたは位置を表す。内畝スペース「1」(46)は、繰り返し44の領域内の2つの隣接する畝32の間の「0」(45)と「2」(47)の、スペース間または位置間の、領域または位置を表す。言い換えれば、このステッチ表記は、織布11を編む針の周囲で、ガイドバーおよび小穴が前後に移動するやり方を表す。
【0022】
表糸40(第1のガイドバー上)は、1−0/1−2の繰り返しパターンで編むことができる。すなわち、表糸40は「1」の位置(46)から開始し、「0」の位置に移動(45)して、ループ30を形成した後、「1」の位置(46)に戻り、その後「2」の位置(47)に移動する。「2」の位置(47)より、表糸40はその後別のループ30を形成後、「1」の位置(46)に戻ることができる。このパターンは、織布11の長さ33に沿って、次の段34に繰り返すことができる。裏糸41(第2のガイドバー上)は、0―1/2−1の繰り返しパターンで編むことができる。すなわち、裏糸41は、「0」の位置(45)から開始し、「1」の位置(46)に全ループ30を形成することなく針の周囲に移動し、全ループ30を形成することなく針の周囲の「2」の位置に移動(47)した後、「1」の位置(46)に戻る。「1」の位置(46)より、裏糸41はその後、「0」の位置(45)に移動することができる。裏糸41は、このパターンを、織布11の長さ33に沿って、次の段34に繰り返すことができる。
【0023】
伸張耐性内部糸20(第3のガイドバー上)は、の1−1/1−1/1−1/1−1/1−1/0−0の繰り返しパターンで編むことができる。このパターンでは、伸張耐性糸20は、5つの段34に対する「1」の位置(46)に沿った畝32との間に配置することができる。6番目の段48では、伸張耐性糸20は、「0」の位置(45)に揺らすことができ、表糸40によって形成されるループ30を回避する。このように、内部伸張耐性糸20は、6番目の段48中のそれぞれ40及び41の表糸及び裏糸について、ニット構造31の位置に保持することができる。このような配置技術は、メッシュの開口部または孔12のサイズの崩壊を避けるために利用することができ、かつメッシュ構造の全体性を維持する。
【0024】
本発明のいくつかの態様において、織布構造に内包されている伸張耐性糸20は、方向における伸張、特に、畝様の方向49、すなわち織布10の長さ33に沿った伸張を減らすことができる。このような伸張耐性糸20及び編み技術を含む複数の態様は、織布10における、または、このような織布10を含む装置の、伸張度の変化を達成するために利用することができる。
【0025】
いくつかの態様において、伸張耐性糸20は、様々な材料および/またはサイズを含むことができる。例えば、いくつかの態様において、伸張耐性糸20は、単一のモノフィラメント糸を含むことができる。特定の態様において、モノフィラメントは、ポリプロピレン、ポリエステル、その他の伸張耐性糸20のような様々な繊維を含むことができる。ポリプロピレン繊維は、例えば、良好な弾力性と優れた弾性回復特性を有している。特定の態様において、伸張耐性モノフィラメント糸20は、好ましくは織布10に含まれる他の糸よりも大きい。特定の態様において、モノフィラメント糸は、例えば、2ミル〜12ミルの範囲の直径を有しても良い。「ミル」とは、織布モノフィラメント糸の直径を記述するために使用される、1インチの1/1000と同等の長さの単位として定義される。2ミル糸は、約50デニールに相当するサイズを有することができ、6ミルの糸は約150デニールに相当するサイズを有することができる。このようなモノフィラメント糸は、様々な基礎糸や基礎構造を含むメッシュ織布11に使用することができる。例えば、約2ミル(またはそれ以上、伸張耐性ポリプロピレン糸20が基礎糸よりも大きい場合)のポリプロピレン糸の基礎構造を含む、メッシュ織布11内に配置されている2ミル〜12ミルのポリプロピレンは、効果的な伸張耐性構造を提供することができる。
【0026】
モノフィラメント伸張耐性糸20がメッシュ織布ニット構造31内に配置されている態様においては、織布11は5ポンドの引張力で約30%の伸張を有することができる。本発明のいくつかの形態において、2つのポリプロピレンフィラメント糸などの、2つのモノフィラメント糸は、第3のガイドバー内の一つ飛ばしの小穴にスレッド(すなわち、配置される糸を含む前記小穴内に)することができる。この方法では、2倍量の伸張耐性糸20は、織布10内の一つ飛ばしの畝32の間に挿入することができる。2倍量の内部モノフィラメント糸20を有するメッシュニット構造31の特定の態様では、織布11は5ポンドの引張力で約17%またはそれ以下、またはその半分の引張力で9%と同等かそれ以下の伸張を有することができる。
【0027】
本発明は、伸張耐性織布10および/または伸張耐性織布10を含む装置の、別の態様を含むことができる。例えば、本発明のいくつかの態様は、メッシュ構造以外の基礎構造を有する織布10を含むことができる。このような態様において、例えば、ジャージーニット織布、リブニット織布、トリコットニット織布、または他のニット特性を有する織布において、伸張耐性糸20は、織布の伸張能力を低下させるために、織布10に内包することができる。このようないくつかの態様において、望ましくない伸張または伸縮は、最小限に抑えることができ、かつ織布のニット構造は、織布10が畝様の方向49に引っ張られても維持される。この方法では、織布10の元のサイズ、形状、およびパフォーマンス特性を保存することができ、これにより織布10の耐用年数を延長する。本発明のいくつかの態様は、ポリプロピレン以外の伸張耐性糸20を含むことができる。例えば、伸張耐性糸20は、織布構造に編まれている基本糸よりも低い伸張能力を有する、任意の糸や材料であることができる。
【0028】
織布構造に導入された伸張耐性糸20の長さは、伸張耐性織布10の伸張特性に影響を与えることができる。すなわち、織布10中の伸張耐性糸20が短ければ、織布10はより低い伸張を受けることができる。逆に、織布10中の伸張耐性糸20が長ければ、織布10はより伸張を受けることができる。したがって、伸張耐性織布10の一部の態様は、織布10に対して、それ以下またはそれ以上の伸張をそれぞれできるようにするため、短いかまたは長い伸張耐性糸20を含めることができる。
【0029】
また、伸張耐性糸20の長さは、メッシュの開口部または孔12の全体性(サイズと形状)に影響を与える可能性がある。例えば、伸張耐性糸20がメッシュ織布11より短いと、織布11はあまり伸張することができず、織布11の長手方向への引張によるメッシュ孔12の変形の可能性を低くする。従って、伸張耐性織布10の一部の態様は、織布の伸張におけるメッシュ12孔の変形に対してより多くの保護を提供するように、短い伸張耐性糸20を含むことができる。また、カスタムカット材中に配置された糸43の工学的な配置は、材料を含む装置の選択された領域内での、安定性および/または伸張の減少を、戦略的に添加する。
【0030】
いくつかの態様において、伸張耐性糸20は、畝32を交差する、異なる間隔で配置することができる。図2に示す織方図13に例示される態様において、伸張耐性糸20は一つ飛ばしの畝32との間に配置される。他の態様において、伸張耐性糸20は、織布10における大きな伸張耐性を提供するために、各畝32の間に配置することができる。さらに他の態様において、伸張耐性糸20は、織布10が低い伸張耐性を有することができるように、低頻度、例えば、3番目毎の畝32に配置することができる。
【0031】
いくつかの態様において、織布10は、織布10の伸張耐性を強化するために、図1に示されている以外の網目模様を含むことができる。例えば、織布10は、織布の伸張抵抗性の向上を提供し得る、より緊密な、すなわち、より小さな孔12を有する網目模様を含むことができる。いくつかの態様において、織布10は、図2における織方図13に示すものとは異なるステッチ構造を含むことができる。特定の態様において、例えば、より密接な(またはより高密度の)ニットステッチの構造は、織布の伸張耐性の向上を提供し得る。より密接な網目模様および/またはより密接なニット構造を有するこのような態様において、織布10は、織布の伸張に抵抗するために織布構造に組み込まれた伸張耐性糸20を含むことができる。
【0032】
本明細書中に記載されているように、本発明のいくつかの態様は、伸張耐性織布10を含む装置を含むことができる。このような装置の例示的な態様は、織布11に内包された伸張耐性糸20を有する、メッシュ織布11を含む医療機器(図示せず)である。特定の態様において、このような医療機器は、安定性および/または体内の構造体への支持を提供するのに順応した、埋め込み型伸張耐性織布11を含むことができる。例えば、このような埋め込み型伸張抵抗装置は、特定の外科手術の用途において、様々な臓器、生体組織、筋膜、筋肉および/または他の解剖学的構造を、持ち上げ、固定し、および/または支持するのに利用することができる。伸張耐性織布10を含む装置の特定の態様は、一般的な手術と同様に、美容整形手術、心臓血管外科手術、消化管手術、および/または他の手術でも有用である。
【0033】
装置のいくつかの態様において、伸張耐性織布10は、選択された隣接する畝32中のニットループ30の間の織布10のニット構造に配置された、伸張耐性糸20を含むことができる。伸張耐性織布10は、所定の段34内の1つの隣接する畝32中のループ30の周囲に、部分的に配置することができる。このような装置において、織布10は、織布10の長さ33に沿った畝様方向49における伸張に対して耐性であるようにされている。特定の態様において、装置の織布はメッシュ織布11とすることができる。特定の態様において、装置内の伸張耐性糸20は、装置織布内の他の糸の個々の直径よりも大きい直径を有することができる。特定の態様において、装置は、例えば埋め込み型臓器支持装置などの、埋め込み型医療機器をさらに含むことができる。
【0034】
本発明は、伸張耐性織布10、及び伸張耐性織布10を含む装置の製造方法の態様を提供することができる。本発明は、伸張耐性織布10、及び伸張耐性織布10を含む装置を使用する方法の態様を提供することができる。伸張耐性織布10、及び伸張耐性織布10を含む装置を作成及び/または使用する方法は、伸張耐性織布10の様々な部品と、本明細書中に記載される伸張耐性織布10を含む装置を組み合わせることを含むことができる。
【0035】
方法の一部の態様において、伸張耐性織布10は、織布10の長さ33に沿った畝様方向49の伸張に対して耐性であるように作成することができる。このような構造は、選択した隣接する畝32中のニットループ30の間に伸張耐性糸20を配置すること、及び所定の段34における該隣接する畝32のうちの1つの畝中のループ30の周囲に、部分的に伸張耐性糸20を配置することを含むことができる。特定の態様において、このような方法で作成した伸張耐性織布10は、メッシュ織布11を含むことができる。
【0036】
特定の態様において、伸張耐性織布10の作成方法は、ラッセル編機上で、第1のガイドバーから表糸40を、各畝32におけるループ30に編むことをさらに含むことができる。裏糸41は、第2のガイドバーから、織布10の各方向34中の表糸ループ30の周囲に、編むことができる。伸張耐性糸20は、部分的に、所定の段34における隣接する畝32のうちの1つの畝中の表糸40のループ30の周囲に、第3のガイドバーから配置することができる。特定の態様において、伸張耐性糸20は、織布10の長さ33に沿って、6番目毎の段48に配置することができる。方法の特定の態様において、伸張耐性糸20はモノフィラメント糸を含むことができる。モノフィラメント糸は、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、その他の伸張耐性糸20を含むことができる。
【0037】
本発明による伸張耐性織布10、及び伸張耐性織布10を含む装置のいくつかの態様は、従来の織布及び装置を超える利点を提供することができる。例えば、本発明のいくつかの態様は、改善された伸張耐性を有するメッシュ織布11を提供することができる。低伸張特性を有するこのような織布10、11は、例えば、仕込み(laying−in)技術を利用することにより、簡単、かつ比較的安価に作成することができる。もう一つの利点は、伸張耐性メッシュ織布11、装置、および/または方法の態様は、メッシュ織布11の開口部または孔12の全体性を維持することができる、伸張耐性織布10を含むことができる。
【0038】
本発明の伸張耐性織布10、及び伸張耐性織布10を含む装置、並びに伸張耐性織布10、及び伸張耐性織布10を含む装置を作成及び/または使用する方法の特徴は、本発明の態様を単独で、または組み合わせて達成することができる。特定の態様が記載されているが、これらの態様は単に本発明の原理の例示されていることを認識すべきである。当業者は、伸張耐性織布10、装置、および本発明の方法は、他の方法および態様において作成かつ実行することができることを理解する。従って、本明細書の記載は、本発明を制限するものとして、また他の態様が本発明の範囲内に含まれると解釈してはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織布のニット構造内の、選択された隣接する畝のニットループ間に、及び部分的に、所定の段における前記隣接する畝のうちの1つの畝中のループの周囲に配置された伸張耐性糸を含み、織布の長さに沿った畝様方向の伸張に対して耐性であるようにされている、伸張耐性織布。
【請求項2】
前記織布はメッシュ織布をさらに含む、請求項1に記載の織布。
【請求項3】
前記メッシュ織布内の細孔のサイズ及び形状は、織布が畝様の方向に引っ張られる場合に維持される、請求項2に記載の織布。
【請求項4】
前記メッシュ織布は、ラッセルニットメッシュ織布を含む、請求項2に記載の織布。
【請求項5】
前記各畝は、織布の構造の各段において、第1のガイドバーからループに編まれた表糸と、第2のガイドバーから表糸ループの周囲に編まれた裏糸を含む、請求項4に記載の織布。
【請求項6】
前記伸張耐性糸は、部分的に、所定の段における前記隣接する畝のうちの1つの表糸ループの周囲から、第3のガイドバーからの織布構造に配置されている、請求項5に記載の織布。
【請求項7】
前記所定の段は、織布の長さに沿った6番目毎の段を含む、請求項1に記載の織布。
【請求項8】
前記伸張耐性糸は、各畝の間に配置される、請求項1に記載の織布。
【請求項9】
前記伸張耐性糸は、3番目毎の畝の間に配置される、請求項1に記載の織布。
【請求項10】
前記伸張耐性糸は、織布内の他の糸の個々の直径よりも大きな直径を有する、請求項1に記載の織布。
【請求項11】
前記伸張耐性糸はモノフィラメント糸を含む、請求項1に記載の織布。
【請求項12】
前記モノフィラメント糸は、ポリプロピレンまたはポリエステルを含む、請求項11に記載の織布。
【請求項13】
前記モノフィラメント糸は、2ミル〜12ミルの範囲内の直径を有する、請求項11に記載の織布。
【請求項14】
前記メッシュ織布は、2ミル〜12ミルの直径を有する単一のモノフィラメント糸を含み、かつ前記メッシュ織布は、5ポンドの引張力に対して、約30%の伸張率を有する、請求項2に記載の織布。
【請求項15】
前記メッシュ織布は、それぞれが2ミル〜12ミルの直径を有する2つのモノフィラメント糸を含み、かつ前記メッシュ織布は、5ポンドの引張力に対して約17%の伸張率を有する、請求項2に記載の織布。
【請求項16】
織布のニット構造内の、選択された隣接する畝のニットループ間の、及び部分的に、所定の段における前記隣接する畝のうちの1つの畝中のループの周囲に配置された伸張耐性糸を含み、織布の長さに沿った畝様方向の伸張に対して耐性であるようにされている、伸張耐性織布を含む装置。
【請求項17】
前記織布はメッシュ織布をさらに含む、請求項16の装置。
【請求項18】
前記伸張耐性糸は、前記織布内の他の糸の個々の直径よりも大きい直径を有する、請求項16の装置。
【請求項19】
前記装置は埋め込み型医療機器をさらに含む、請求項16の装置。
【請求項20】
前記埋め込み型医療機器は臓器支持装置を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
選択された隣接する畝内のニットループ間に伸張耐性糸を配置することと、
部分的に所定の段における隣接する畝のうちの1つの畝中のループの周囲に伸張耐性糸を配置することによって、織布の長さに沿って畝様方向の伸張に対して耐性であるようにされている伸張耐性織布を作成すること
を含む、方法。
【請求項22】
前記伸張耐性織布を作成することは、メッシュ織布を作成することをさらに含む、請求項21の方法。
【請求項23】
前記伸張耐性織布を作成することは、
ラッセル編機上で、第1のガイドバーから表糸を、各畝におけるループに編むことと、
第2のガイドバーから裏糸を、前記織布の各畝中の表糸ループの周囲に編むことと、
第3のガイドバーから伸張耐性糸を、部分的に、所定の段における前記隣接する畝のうちの1つの畝中の表糸ループの周囲に配置すること
をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記所定の段は、織布の長さに沿った6番目毎の段を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記伸張耐性糸はモノフィラメント糸を含む、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−517473(P2011−517473A)
【公表日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550889(P2010−550889)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/037098
【国際公開番号】WO2009/114769
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(509244260)エイテックス テクノロジーズ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】