説明

位置軌跡データ処理装置、及び、そのプログラム

【課題】移動体車両同士の無線通信でデータ交換することにより、地図を生成及び/または更新できる位置軌跡データ処理装置を提供する。
【解決手段】自移動体1の地球上の位置を検出して位置データを出力する位置検出部20と、複数の位置データを含む位置軌跡データを記憶する記憶部60と、他の移動体2から当該他の移動体2等の一次位置軌跡データを受信する通信部80と、位置検出部20から出力された位置データに基づき自移動体1の一次位置軌跡データを記憶部60に記憶する機能と、通信部80によって他の移動体2等から受信した一次位置軌跡データに基づく二次位置軌跡データを記憶部60に記憶する機能と、記憶部60に記憶された二次位置軌跡データに基づき報知データを生成する機能とを備える制御部40とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の移動中の位置軌跡のデータを処理する装置に関し、特に、位置軌跡データの画像化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両等の移動体に搭載されたり、携帯装置として持ち歩き可能なナビゲーション装置が知られている。一般的なナビゲーション装置は、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)により所有者の地球上の位置を検出し、予め格納されている地図データとマッチングさせて周辺領域と共に画面等に示すものである。また、そのようなナビゲーション装置の中には、移動体の検出した移動位置を所定時間毎のポイントとして記憶し、その各ポイントを連続させた移動経路を移動軌跡として、画面の地図上に示すことができるものが提案されている。
【0003】
しかし、従来のナビゲーション装置は、予め格納されている地図データの更新が、使用者の任意によるものであり、更新のためにハードディスクを郵送して書き込みするために2〜3週間使用できなかったり、更新費用が高価であるため、更新されないことがあり、その場合は使用中の自移動体の位置が道ではない畑や山林の中にいるような表示がなされる場合があった。そのような事態を避けるために、携帯電話等の大規模な回線網を利用する通信装置を備えて、更新サーバを有するサービスセンタと通信することで、各移動体から実際の走行中の最新データを、公官庁または民間サービス会社等からの公式な最新交通データと合わせて更新サーバに蓄積し、その最新データを各移動体中の地図データに反映させる提案がされている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、移動体同士の衝突回避等の主に安全上の観点から、他の移動体と直接に範囲限定の小規模な無線装置で各移動体の位置データを各移動体間でデータのコリジョンがないようにして交換し、各移動体の表示装置に他の移動体の接近状況を表示させ、運転者に他移動体の接近に対する注意を喚起させるものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、携帯電話等の大規模な回線網を利用する通信装置を備えた走行中の移動体をセンサ(プローブ)として、リアルタイムの交通データ更新サーバを有するサービスセンタと通信することで、最新で現実の渋滞状況等を反映させた交通データを提供できるシステムが提案されている。しかし、そのようなシステムでは、複数の移動体からデータ送信する移動体を特定する必要があることから、運転者の立ち寄り箇所や滞在時間等のプライバシーが侵害される可能性がある。そのため、所定時間以上停止した場合のその地点及び周辺のデータや、エンジン始動から所定時間が経過または所定距離以上移動するまでのデータについては、プライバシー保護の観点から送信しないシステムが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−227430号公報
【特許文献2】特開2006−338282号公報
【特許文献3】特開2006−11814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のナビゲーション装置は、最新の地図データを得るためには、携帯電話等の大規模な回線網を利用して更新サーバと接続する専用の装置が必要であり地図の更新データまたは最新交通データは一旦サーバで集計され、サーバから各移動体搭載装置に送信されている。従って、その際の通信は移動体搭載装置とサーバ間のような縦方向の通信のみで実施されており、特許文献1のナビゲーション装置は、移動体搭載装置同士の間のような横方向の通信を実施しない。
【0008】
また、特許文献1のナビゲーション装置の地図データとしては、不特定多数の使用者による利用を可能とするために国内全域等の広い領域の大規模で共通の地図データを用いており、使用者にとっては必要としない地方の地図も含まれている。従って、ナビゲーション装置を小型化することや小規模な装置に内蔵させることが難しく、検索等では必要でない不要な地域を含めた処理時間が必要であった。また、個人用に使いかってを良くするために必要な部分のみを選択して最小限のデータとしたり、個人用として任意のデータを追加できるものではなかった。
【0009】
特許文献2の装置では、移動体同士で通信しているものの、移動体の接近を通知しあうのみで、通信により地図データに何らかの影響を与える内容は何も示されていない。特許文献3等のシステムでは、携帯電話等の大規模な回線網を利用して最新の交通データを提供しているが、地図データを生成も更新もしていない。
【0010】
そこで本発明は、上記の課題を解決するために、移動体車両同士の無線通信でデータ交換することにより、地図を生成及び/または更新できる位置軌跡データ処理装置、及び、そのデータ処理を実施するプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の実施態様に係る位置軌跡データ処理装置においては、一の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置であって、自移動体の地球上の位置を検出して位置データを出力する位置検出手段と、位置軌跡データを記憶する記憶手段と、他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から当該他の移動体の有する位置軌跡データを受信する通信手段と、前記位置検出手段から出力された位置データに基づき自移動体の位置軌跡データを前記記憶手段に記憶する機能と、前記通信手段によって他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した位置軌跡データに基づく記憶用の位置軌跡データを前記記憶手段に記憶する機能と、前記記憶手段に記憶された位置軌跡データに基づき報知データを生成する機能とを備える制御手段とを有する。
【0012】
位置検出手段は、自移動体の地球上の位置を検出して位置データを出力するものであればよく、例えば、衛星からの電波を受信して位置を検出するもの(例えばGPSなど)や、固定位置からの電波(例えば携帯電話の基地局やPHSの基地局、無線LANの基地局からの電波)の状況に基づき位置を検出するものとするとよい。
【0013】
位置軌跡データは、移動体の移動の軌跡を示すデータであればよく、例えば、予め定めた一定時間(例えば1秒)ごとに検出した現在位置をその記録順序を示す情報(例えば、順序を特定する番号等とともに記録したり、順序を配列や各種のリスト構造で記録したりすることができる)とともに記録する構成や、あるいは、検出した現在位置と関連づけてその現在位置を検出した日時を記録する構成を採ることができる。
【0014】
記憶手段は、例えば、メモリやハードディスク等で構成することができる。記憶手段は、特に、電源の供給が断たれても記憶内容を保持できるもの(不揮発性のもの)が望ましく、例えばフラッシュメモリ等とするとよい。
【0015】
通信手段は、他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から位置軌跡データを受信可能な構成であればよく、例えば、他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から送信される位置軌跡データを単に受信する受信機のみ(他の受信機が送信し通信手段たる受信機は単に受信するだけの単方向の通信を行う構成としてもよいし)、他の移動体に要求を送信する送信機もさらに備え、他の受信機と双方向通信を行う構成としてもよい。
【0016】
制御手段は、例えば、ワイヤードロジックで構成することもできるが、CPU、ROM、RAM、I/O等を備えるコンピュータ(例えばマイコン)で構成するとよく、ROMに格納されたプログラムを実行することで各機能を実現するとよい。
【0017】
制御手段は、位置検出手段から出力された位置データに基づき自移動体の位置軌跡データを前記記憶手段に記憶する機能と、前記通信手段によって他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した位置軌跡データに基づく記憶用の位置軌跡データを前記記憶手段に記憶する機能と、前記記憶手段に記憶された位置軌跡データに基づき報知データを生成する機能とを備える。通信手段によって他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した位置軌跡データに基づく記憶用の位置軌跡データは、通信手段によって他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した位置軌跡データそのものとしてもよいし、通信手段によって他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した位置軌跡データを加工したデータとしてもよい。また、自移動体の位置軌跡データと通信手段によって他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した位置軌跡データに基づく記憶用の位置軌跡データとは、異なるデータ構造としてもよいが、同一のデータ構造とするとよい。例えば、位置と関連づけてその位置を検出した日時を記憶する構成としたり、さらにこの情報に加え、移動体を識別する識別情報を付加して記憶する構成とするとよい。
【0018】
また、記憶手段に記憶された位置軌跡データに基づき報知データを生成するとは、例えば、記憶手段に記憶された他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した位置軌跡データに基づく記憶用の位置軌跡データに基づいて報知データを生成する構成や、記憶手段に記憶された他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した位置軌跡データに基づく記憶用の位置軌跡データと記憶手段に記憶された自移動体の位置軌跡データとの双方に基づいて報知データを生成する構成など各種の態様を採ることができる。そして、生成した報知データは、報知手段から報知するとよい。
【0019】
例えば、自移動体の地球上の位置を検出して位置データを出力する位置検出手段と、複数の前記位置データを含む位置軌跡データを記憶する記憶手段と、他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から当該他の移動体の一次位置軌跡データを受信する通信手段と、前記位置検出手段から出力された位置データに基づき自移動体の一次位置軌跡データを前記記憶手段に記憶する機能と、前記通信手段によって他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した一次位置軌跡データに基づく二次位置軌跡データを前記記憶手段に記憶する機能と、前記記憶手段に記憶された二次位置軌跡データに基づき報知データを生成する機能とを備える制御手段とを有する構成とすることができる。
【0020】
本態様では、自移動体及び他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置からの一次位置軌跡データに基づき二次位置軌跡データを生成して、その二次位置軌跡データに基づいて報知データを生成することで、自移動体からの一次位置軌跡データのみに基づいて報知する場合と比較して、一台の移動体の一次位置軌跡データのみでは発生しやすい誤報知を減少させ、報知データの精度を向上させることができる。
【0021】
好ましくは、自移動体の進行方向を判定する進行方向判定手段を有し、前記制御手段は、前記他の移動体各々に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した位置軌跡データのうち、前記進行方向判定手段によって判定された前記自移動体の進行方向にある位置軌跡データを用いて前記報知データを生成するようにしてもよい。
【0022】
進行方向判定手段は、自移動体の進行方向を、例えば、前記自移動体の位置軌跡データから判定する構成(例えば、位置検出手段から出力された位置データに基づく自移動体の位置軌跡データから判定する構成や、記憶手段に記憶された自移動体の位置軌跡データから判定する構成)としてもよいし、GPS、ジャイロ、地磁気センサ、操舵角センサ等の各種のセンサを用いて判定する構成としてもよい。また、車両に有する車内LAN等からの情報に基づいて判定する構成としてもよい。
【0023】
本態様によれば、進行方向を検出することで、これから進行する経路を事前に知ることができ、さらに進行方向にいる他の移動体の位置軌跡データを優先的に用いて判定することで、処理負荷に対して自移動体の処理能力が不足気味の場合でも、移動体の操縦(運転)中に進行先の経路を確実に把握することができる。
【0024】
例えば、前記自移動体の一次位置軌跡データから自移動体の進行方向を判定する進行方向判定手段を有し、前記制御手段は、前記他の移動体各々に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した一次位置軌跡データのうち、前記進行方向判定手段によって判定された前記自移動体の進行方向にある他の移動体の一次位置軌跡データを少なくとも含んで、前記自移動体の報知データを生成する構成とすることができる。
【0025】
また、例えば、記憶手段に記憶された位置軌跡データに基づき報知データを生成する機能として、進行方向の左折先及び右折先の所定範囲内(例えば、進行方向中心線から所定角度範囲)にいる他の移動体の位置軌跡データを優先して用いて報知データを生成する構成とすれば、直進時ばかりでなく、途中で右折や左折を行う場合でも、自移動体の操縦(運転)中に進行先の経路状況及びその経路中の他の移動体の数や進行方向等を把握することができる。
【0026】
好ましくは、自移動体の進行方向を判定する進行方向判定手段を有し、前記他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信する位置軌跡データには、前記他の移動体の各位置における位置データと進行方向情報を含み、前記制御手段は、前記他の移動体各々に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した位置軌跡データのうち、前記進行方向判定手段によって判定された前記自移動体の進行方向と略一致または略対向する位置軌跡データを用いて前記自移動体の報知データを生成するようにしてもよい。
【0027】
本態様によれば、報知データを生成する場合に、進行方向が自移動体と一致する方向か対向する他の移動体の位置軌跡データを用いることで、進行方向に関係する報知データを生成することができ、報知する内容の精度を向上させることができる。例えば、進行方向が自移動体と一致する方向か対向する他の移動体の位置軌跡データを用いる際には、進行方向が自移動体と一致する方向か対向する他の移動体の位置軌跡データを優先的に用いるとよい。
【0028】
また、進行方向が自移動体と一致する方向か対向する他の移動体の位置軌跡データのみを用いた場合、報知データを生成するために側道や横道、右折/左折方向の移動体の位置軌跡データを使われる可能性を小さくできるので、進行方向についての報知内容の精度を向上させることができる。
【0029】
例えば、前記自移動体の位置軌跡データから自移動体の進行方向を判定する進行方向判定手段を有し、前記他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信する一次位置軌跡データには、前記他の移動体の各位置における位置データと進行方向情報を含み、前記制御手段は、前記他の移動体各々に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した一次位置軌跡データのうち、前記進行方向判定手段によって判定された前記自移動体の進行方向と略一致または略対向する一次位置軌跡データを少なくとも含んで、前記自移動体の報知データを生成する構成とすることができる。
【0030】
好ましくは、前記制御手段は、前記報知データとして、前記記憶手段に記憶された位置軌跡データにおける各位置データの分布状況に基づき道路の位置を示す道路情報を生成するようにしてもよい。
【0031】
位置軌跡データにおける各位置データの分布状況に基づき道路の位置を示す道路情報を生成する構成としては、例えば、記憶手段に記憶された他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した位置軌跡データに基づく記憶用の位置軌跡データにおける各位置データの分布状況に基づき道路の位置を示す道路情報を生成する構成や、記憶手段に記憶された他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した位置軌跡データに基づく記憶用の位置軌跡データと記憶手段に記憶された自移動体の位置軌跡データとの双方における各位置データの分布状況に基づき道路の位置を示す道路情報を生成する構成を採ることができる。また、各位置データの分布状況に基づき道路の位置を示す道路情報を生成するとは、例えば、各位置データの分布密度の高い領域を道路の位置とした道路情報を生成するようにしたり、記憶手段に記憶された自移動体の位置軌跡データの位置データが存在する位置を優先的に道路の位置とした道路情報としたりするとよい。
【0032】
例えば、記憶手段に記憶された位置軌跡データの地球平面における分布状況から、位置軌跡データにおける各位置データの分布密度の高い領域を抽出して、交通量の多い軌跡の位置を道路として特定した道路情報を生成すればで、新規道路や、工事用の迂回路等も表示させることができる。
【0033】
また、報知データを作成する場合に、複数の移動体の位置軌跡データが領域的に重複する部分のデータのみを選択して利用することで、受信側から送信側の移動体を特定することが困難になり、送信側の移動体のプライバシーを守ることができる。
【0034】
例えば、前記制御手段は、前記報知データとして、前記一次位置軌跡データにおける各位置データの分布状況に基づき地球上の道路の位置を特定可能な二次位置軌跡データを生成する構成としてもよい。
【0035】
好ましくは、前記他の移動体各々から受信する位置軌跡データには、前記他の移動体各々の各位置における速度を検出可能な情報を含み、前記制御手段は、前記速度を検出可能な情報に基づき、前記道路における前記他の移動体各々の数と速度とを検出し、前記道路における所定範囲内の前記移動体の数が所定数以上であり、当該移動体各々の速度が幹線道路を示す所定値以上である場合、当該道路を幹線道路と判定した報知データを生成するようにしてもよい。
【0036】
本態様によれば、道路上と考えられる所定範囲内における移動体の密度に加えて、移動体の速度と数を検出することで、移動体の速度と個体数が多い場合には、その特定した道路を幹線道路とすることで、例えば、幹線道路を一般道路と分けて使用者に報知することができる。また、判定された幹線道路のみを地図データ記憶部に収納するようにすれば、記憶容量を低減させることができる。
【0037】
例えば、前記他の移動体各々から受信する位置軌跡データには、前記他の移動体各々の各位置における速度を検出可能な情報を含み、前記制御手段は、前記速度を検出可能な情報に基づき、前記一次位置軌跡データにより特定された道路における前記他の移動体各々の数と速度とを検出し、前記道路における所定範囲内の前記移動体の数が所定数以上であり、当該移動体各々の速度が幹線道路を示す所定値以上である場合、前記道路を幹線道路と判定した報知データを生成するようにしてもよい。
【0038】
好ましくは、前記他の移動体各々から受信する位置軌跡データには、前記他の移動体各々の各位置における速度を検出可能な情報を含み、前記制御手段は、前記速度を検出可能な情報に基づき、前記道路における前記他の移動体各々の速度を検出し、前記道路における前記移動体各々の速度が渋滞を示す所定値以下である場合、当該道路について渋滞発生と判定した報知データを生成するようにしてもよい。
【0039】
本態様によれば、道路上と考えられる所定範囲内における移動体の密度に加えて、移動体の速度の低下を検出することで、その道路における渋滞発生の報知データを生成でき、渋滞の発生に注意を喚起することができ、それにより、渋滞最後部への追突の危険を避けたり、迂回路に進路変更して渋滞を避けることができる。また、進行先の経路における速度の低下がわかることで、経路の先の工事渋滞や自然渋滞等の発生状況(渋滞中の速度及び渋滞長さ)がわかり、逆に渋滞中に進行先の経路における速度の上昇がわかることで、経路の先の渋滞の解消状況を事前に知ることができる。
【0040】
例えば、前記他の移動体各々から受信する位置軌跡データには、前記他の移動体各々の各位置における速度を検出可能な情報(例えば時刻データ)を含み、前記制御手段は、前記速度を検出可能な情報に基づき、前記一次位置軌跡データにより特定された道路における前記他の移動体各々の速度を検出し、前記道路における前記移動体各々の速度が渋滞を示す所定値以下である場合、前記道路について渋滞発生と判定した報知データを生成するようにしてもよい。
【0041】
好ましくは、少なくとも前記自移動体の分類上の設定をする設定手段を有し、前記他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信する位置軌跡データには、前記分類上の設定を示す設定データを含み、前記制御手段は、前記他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した位置軌跡データ内の前記分類上の設定データのうち、前記設定手段で設定された前記自移動体の分類と関連する設定データの前記受信した位置軌跡データに基づいて、当該分類の移動体用の報知データを生成するようにしてもよい。
【0042】
本態様によれば、 設定手段で移動体を分類分けして設定することで、位置軌跡データも分類分けすることができ、分類毎に適した報知データを生成することができる。
【0043】
例えば、少なくとも前記自移動体の分類上の設定をする設定手段を有し、前記他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信する位置軌跡データには、前記分類上の設定を示す設定データを含み、前記制御手段は、前記他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した位置軌跡データ内の前記分類上の設定データのうち、前記設定手段で設定された前記自移動体の分類と関連する設定データの位置軌跡データに基づいて、当該分類の移動体用の報知データを生成するようにしてもよい。
【0044】
好ましくは、前記移動体の分類上の設定は、前記移動体を寸法により分類する寸法データ、または、前記移動体を用途により分類する用途データの少なくともいずれか一方を含むようにしてもよい。
【0045】
例えば、前記移動体の分類上の設定は、前記移動体を寸法により分類する寸法データ、または、前記移動体を用途により分類する用途データの少なくともいずれか一方を含んで設定され、前記制御手段は、前記寸法データ、または、用途データの少なくともいずれか一方を含ませて前記一次位置軌跡データを生成するようにしてもよい。
【0046】
例えば、移動体を寸法、または、用途で分類した一次位置軌跡データを生成することで、自移動体の寸法や用途に絞り込んでより適した一次位置軌跡データを得ることができる。
【0047】
好ましくは、前記移動体の分類上の設定データには、前記移動体を寸法で少なくとも大型か否かに分類する寸法データ、及び、前記移動体を業務用か個人用かに分類する用途データを含み、前記制御手段は、前記道路における所定範囲内の、前記移動体の分類上の設定データが大型の寸法データであり、且つ、業務用の用途データである前記移動体の固体数が所定数以上であり、当該移動体各々の速度が高速道路を示す所定値以上である場合、高速道路用の報知データを生成するようにしてもよい。
【0048】
例えば、寸法が大きい移動体の速度と個体数が多い場合には、その二次位置軌跡データを設定する際に高速道路とすることで、一般道路と分けて高速道路用の報知データを生成することができる。
【0049】
好ましくは、前記位置軌跡データには、位置軌跡データ中の各位置データに関連付けて前記移動体の挙動を示す挙動データを含み、前記制御手段は、前記挙動データにより選択された位置データを含む位置軌跡データに基づき前記報知データを生成するようにしてもよい。
【0050】
本態様によれば、移動体の挙動データにより位置軌跡データを選択して報知することで、移動体の特定の挙動に位置軌跡データを対応させることができる。従って、地球上の位置と移動体の挙動が対応しているので、挙動データを別の測定のトリガーとすることや、挙動データで範囲を特定することが可能になり、位置軌跡データを送信開始または使用開始する位置を決めたり、挙動が起きてからの移動範囲を報知することが可能になる。
【0051】
例えば、前記位置軌跡データには、位置軌跡データ中の各位置データに関連付けて前記移動体の挙動を示す挙動データを含み、前記制御手段は、前記挙動データにより選択された位置データを含む一次位置軌跡データに基づき前記報知データを生成するようにしてもよい。
【0052】
上記課題を解決するために、前記挙動データには、前記移動体に設けられた各種物理量の検出装置により検出された各種物理量検出データ、前記移動体に設けられた撮像手段により撮像された画像データ、前記移動体に設けられた光学的文字認識手段により前記画像データから文字認識された文字データから少なくとも1つを含み、前記制御手段は、前記挙動データにより選択された位置データを含む位置軌跡データに基づき前記報知データを生成するようにしてもよい。
【0053】
本態様によれば、移動体の挙動データを物理量検出データ、撮像画像データ、文字認識データの少なくとも一つと具体的に特定することで、権利行使時の説明や主張を容易にできる。
【0054】
上記課題を解決するために、前記記憶手段は、地図データを記憶し、前記制御手段は、前記移動体の前記位置軌跡データを前記既存地図データ上にマッチングさせて付加した二次地図データを、前記報知データとして生成するようにしてもよい。
【0055】
本態様によれば、既存マップ上に生成された位置軌跡データをマッチングさせて重ねることで、各移動体が通過した範囲の既存地図データをアップデートすることができる。
【0056】
また、報知データが地図画像の場合、自移動体の位置軌跡データのみからでは偏った二次地図データになりがちであるが、他の移動体の位置軌跡データと合わせて判断することで、汎用的な二次地図データを作成できる。
【0057】
好ましくは、前記既存地図データは、POI(point of interest:位置データと連動した施設情報、スポット情報等のデジタルコンテンツ)データを含み、前記制御手段は、前記POIデータを含ませて、前記二次地図データを生成するようにしてもよい。
【0058】
本態様によれば、二次地図データ上にPOIデータをマッチングさせて重ねることで、表示される地図の使い勝手を良くすることができる。
【0059】
好ましくは、前記移動体各々の位置軌跡データにおける各位置データは、前記移動体の各位置における時刻データと関連付けられ、前記制御手段は、前記時刻データと関連付けられた前記移動軌跡データ及び前記位置データと、前記POIデータを含む既存地図データとに基づき、前記自移動体が通過した経路及び立ち寄り施設を含む記録を前記報知データとして作成するようにしてもよい。
【0060】
本態様によれば、二次地図データ上の各POIデータの施設への立ち寄り時間を記録していくことで簡単なデジタル日報の作成が可能になる。
【0061】
好ましくは、前記自移動体は少なくとも前方を撮像して画像データを出力する撮像手段を有し、前記制御手段は、前記通過した経路及び立ち寄り施設を含む記録に、前記撮像手段による画像データを加えるようにしてもよい。
【0062】
本態様によれば、簡単なデジタル日報に画像データを加えることで情報量と信頼性が増加し、信頼性のある日報の作成が可能になる。
【0063】
好ましくは、前記移動体は前記画像データから文字認識して文字データを出力する光学的文字認識手段を有し、前記制御手段は、前記通過した経路及び立ち寄り施設を含む記録に、前記画像データから文字認識された文字データをマッチングさせて付加するようにしてもよい。
【0064】
本態様によれば、画像データに文字認識した文字データを付加することで、画像だけではわかりにくい地名や施設名等を容易に含ませることができる。
【0065】
好ましくは、前記記憶手段は、所定のキーワードを記憶し、前記制御手段は、前記文字データが前記キーワードに該当する場合に、当該文字データを含ませて前記報知データを生成するようにしてもよい。
【0066】
本態様によれば、画像データに文字認識した文字データをキーワードと照合して放置を付加することで、地名や施設名等を容易に二次地図データに含ませることができる。画像だけではわかりにくい場合には特に有効である。
【0067】
好ましくは、前記通信手段は、少なくとも位置軌跡データの送信が可能であり、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された位置軌跡データに基づいて他の移動体に送信する位置軌跡データを決定して前記通信手段から送信させる機能
を有するようにしてもよい。
【0068】
本態様によれば、他の移動体に送信する位置軌跡データを選択的に決定して送信することで、通信量、記憶素子量等を減少させ、通信速度が速くなるように改善することができる。
【0069】
好ましくは、前記制御手段は、前記他の移動体に送信する位置軌跡データの決定を、前記記憶手段に記憶された位置軌跡データの中から所定のパターンで選択して行うようにしてもよい。
【0070】
本態様によれば、送信データを所定のパターンで(たとえば、所定時間毎に間欠的、所定の範囲の位置)選択することで、位置軌跡データを設定するための最低限必要なデータ量と、送信側の移動体のプライバシーを守ることの両立が可能になり、報知データの精度を損なわないで記憶量と送信量を抑制することができる。
【0071】
好ましくは、前記制御手段は、前記所定のパターンとして、前記他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した位置軌跡データに近接する位置に自移動体の位置軌跡データが有る場合に当該近接する位置軌跡データを選択するようにしてもよい。
【0072】
本態様によれば、他の移動体の位置軌跡データに近接するデータは、複数の移動体のいずれかの特定が困難で個々の特定性が低いデータであるので、当該近接するデータを送信しても送信側の移動体のプライバシーが守られると共に、自他移動体のデータが近接することで位置軌跡データを設定するためのデータ量が増えるので、位置軌跡データの設定精度や二次地図データの信頼性を増加させ、地図画像の精度を高めることができる。
【0073】
好ましくは、少なくとも自移動体の保管位置を設定する保管位置設定手段を有し、前記制御手段は、前記保管位置設定手段に設定された自移動体の保管位置の周囲の所定範囲内にある前記自移動体の前記位置軌跡データについて、他の移動体に送信するデータとして選択しないようにしてもよい。
【0074】
本態様によれば、保管場所の周囲の位置軌跡データを他の移動体に送信しないことで、送信側の移動体の保管場所が受信側に知られることが無くなり、プライバシーを守ることができる。
【0075】
好ましくは、前記通信手段は、位置軌跡データの要求範囲情報の送受信が可能であり、前記制御手段は、前記通信手段によって他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置へ送信要求する要求範囲を決定する機能と、前記所定のパターンとして、前記通信手段によって受信した位置軌跡データの要求範囲情報の示す範囲の位置軌跡データを選択する機能を備えるようにしてもよい。
【0076】
本態様によれば、位置軌跡データの要求範囲情報の範囲に通信量や処理量が限定されるため、記憶量と送信量を効果的に抑制することができる。位置軌跡データの要求範囲情報としては、例えばその範囲を示す位置情報とすることができる。
【0077】
上記課題を解決するために、本発明の実施態様に係る位置軌跡データ処理装置のプログラムにおいては、本発明の位置軌跡データ処理装置における制御手段の機能をコンピュータに実現させる。
【0078】
本態様によれば、制御部の機能をコンピュータのプログラムで実施することで、制御部内のコンピュータと記憶部のみで実施できる内容が増え、個別のハードウエアの数を減らすことができる。また、位置軌跡データ処理の内容を変更したり改善する際に、プログラムを更新するだけで対応することができるので、高コストで時間がかかるハードウエアの変更を減らすことができる。
【発明の効果】
【0079】
本発明によれば、移動体車両同士の無線通信でデータ交換することにより、地図を生成及び/または更新できる位置軌跡データ処理装置、及び、そのデータ処理をコンピュータで実施するプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態の位置軌跡データ処理装置が搭載された第1移動体の一部の内部構成を第2移動体の一部の内部構成と共に示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態の位置軌跡データ処理装置が搭載された第1移動体の一部の内部構成を他の複数の移動体と共に示すブロック図である。
【図3】図1の第1移動体の位置軌跡データ処理装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】(a)〜(d)は本発明の一実施形態の位置軌跡データ処理装置が搭載された3台の移動体の位置軌跡と送信タイミング位置の関係を示し、(a)が3台の全行程の位置軌跡を示し、(b)がB車の全行程中の送信軌跡中の送信位置を示し、(c)が(b)のB車の送信軌跡中の送信位置と近接しないA車とC車の一部の送信軌跡中の送信位置を示し、(d)が(c)のB車と近接したA車とC車の全行程の送信軌跡中の送信位置を示す図である。
【図5】(a)、(b)は本発明の一実施形態の位置軌跡データ処理装置が搭載された3台の移動体の位置軌跡を示し、(a)がC車の進行方向の所定角度内にあるA車とB車の送信軌跡中の送信位置を示し、(b)がC車の進行方向の対向方向に進むB車の送信軌跡中の送信位置を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態の第1移動体の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態の第1移動体〜第4移動体のデータ送受信の関係を示すフローチャートである。
【図8】図1の第1移動体1内のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1〜図3に示された本発明の一実施形態の位置軌跡データ処理装置10は、第1移動体1〜第7移動体7に搭載される。また、以下の説明では、第1移動体1を使用者が操縦または運転する自移動体1として示し、第2移動体2〜第7移動体7を他者が操縦または運転する他の移動体2〜7としても示す。また、本実施形態では他の移動体が第2移動体2〜第7移動体7までの6台である場合を示すが、少なくとも他の移動体が1台以上であればよく、もちろん7台以上でも本発明は実施可能であり、自移動体の処理能力に余裕があれば、他の移動体の数は多いほど確度の高い二次軌跡データ等を得ることが可能になる。
【0082】
第1移動体1〜第7移動体7は、道路を通行可能な車両であって、位置軌跡データ処理装置10を不図示の電源等と共に搭載可能であれば、大きさや形態に制限はない。各移動体1〜7は、例えば、車両が代表的な例であるが、4輪車に限らず、例えば、人力の2輪車、電動アシスト付き自転車や、エンジン駆動の2輪車と3輪車であっても電源と位置軌跡データ処理装置10を搭載できれば移動体1〜7に含むことができる。また、4輪車も軽自動車から普通車、中型車、大型車、特殊車両の全てを含んで大きさが限られず、また、用途もハイヤー/タクシーやトラック、バス等の業務用車両も個人用の車両も含んで個人用か業務用かを限らずに含む。
【0083】
第1移動体1内の位置軌跡データ処理装置10は、無線800を介して他の移動体2〜7と通信することができる。他の移動体2〜7は、少なくとも位置軌跡データ処理装置10を含み、第1移動体1と同様な構成であっても良い。他の移動体2〜7は、無線電波の送信出力が直接に届く範囲内に位置していることが望ましく、例えば、第1移動体1に隣接する位置や近傍に位置することが望ましいが、数十m離れている場合や数百m離れている場合でも、無線電波の送受信が直接にできれば位置軌跡データを得ることができる。
【0084】
本実施形態の位置軌跡データ処理装置10の中には、少なくとも位置検出部20、計時部30、制御部40、記憶部60、通信部80、交通データ検出部81、設定部82、撮像部85、挙動データ取得部87、光学的文字認識部89、画像出力部90、及び、画像表示部95を備える。それら各部の構成要素は、物理的に一体化ないし近接して配置するようにしてもよいし、分離して配置してもよい。
【0085】
位置検出部20は、衛星軌道上の数個の衛星からの信号を受信して3次元測位により自移動体(第1移動体)1の地球上の現在位置を検出して位置データを出力する。位置データは、例えば、地図等の表示画面上で特定ポイントに配置されるデータである。例えば、位置検出部20がグローバル・ポジショニング・システム(GPS)の場合には、受信機は4つの原子時計を搭載した衛星からの信号から時刻データと衛星軌道データを得て、受信機内部の時計を校正しながら、発信から受信されるまでの時刻差と電波の伝搬速度を演算することで、各衛星からの距離を計算する。3個の衛星からの距離を得られれば空間上の一点を決定することができる。上記のようにして、GPS受信装置では移動体の地球上の現在位置の緯度と経度を時刻と共に検出することで、地球上のポイントとして位置を特定可能な経度と緯度の位置データを出力する。
【0086】
なお、GPS等から得られる位置データは、上記のように各衛星からの正確な時刻の情報が含まれるGPS信号を受信することで検出が可能になるため、自移動体が通過した位置の位置データと時刻情報を関連付けること、位置データと時刻情報を連続出力すること、位置データに時刻情報を付加すること、または、位置データに時刻情報を埋め込むことが可能である。従って、GPS等から得られる位置データは、時系列の順で出力したり記憶することができる。
【0087】
計時部30は、位置検出部20又は内蔵された時計から得られた現在の時刻情報を基に時間を計測し、例えば、位置検出部20で位置データが検出された時刻を計時する。計時部30としては、クオーツ時計等の内蔵時計を用いることもできるが、位置検出部20がGPS受信機を搭載している場合には、GPS受信機内部で位置測定のために原子時計に基づくより正確な時刻を得ているので、その時刻を利用してもよい。
【0088】
制御部40は、各種の演算や様々な処理が可能なコンピュータを含み、位置検出部20で検出された現在位置の位置データ(時刻データを含む)と、外部の移動体2〜7から入力した軌跡データとに基づく各種の演算や様々な処理をそのコンピュータにより実施する。なお、制御部40のコンピュータは、例えば、演算や処理を実施するためのCPU、CPUで実行するプログラムや、処理に必要なデータ等を記憶するROM・RAM、I/O等を有する半導体素子を含んでおり、本発明の各演算処理や工程の制御は、CPU等の演算素子でプログラムを実行することにより実施されてもよい。なお、制御部40を含む移動体内部のハードウエア構成については図8を用いて後述する。
【0089】
制御部40は、位置データ選択部41、一次位置軌跡データ生成部42、送信データ選択部43、軌跡データ密度判定部44、二次位置軌跡データ生成部45、報知データ生成部46、進行方向判定部47、移動速度・距離演算部48、移動体数演算部49、移動ルート状況分析部50、画像マッチング部51、日記/日報データ作成部52、キーワード照合部53を有し、本実施形態ではそれら各部の機能がコンピュータでプログラムを実行することにより実施される。
【0090】
位置データ選択部41は、自移動体1の位置検出部20から連続的に出力された位置データを選択し、例えば、時刻順に選択して位置データ記憶部61に記憶させる。位置データ選択部41は、記憶部60の使用量(記憶量)及び通信部80の通信量を低減させるために、位置データを所定の選択条件に従って間欠的に選択して記憶させてもよい。所定の選択条件とは、位置データが連続して入力される場合に、例えば、その連続した位置データから毎秒10ポイントを選択するという条件である。なお、本実施形態では間欠的な選択を制御部40内の位置データ選択部41で実施するが、位置検出部20で選択して出力してもよい。
【0091】
一次位置軌跡データ生成部42は、位置検出部20から出力された位置データに基づき自移動体1の一次位置軌跡データを生成して記憶手段60の一次軌跡データ記憶部65に記憶する。例えば、位置検出部20から得られる位置データが連続する場合には、一次位置軌跡データ生成部42は、その各位置データのポイントを時刻順に順次、地図上の仮想地球平面上にプロットできるように連続させた線の一次位置軌跡データを生成する。それに対して位置データが間欠的である場合には、その各位置データのポイントをそのまま時刻順にプロットしても不連続になるので、一次位置軌跡データ生成部42は、各位置データのポイントを直線等により接続してデータを生成する。
【0092】
一次位置軌跡データは、例えば、位置検出部20から出力された位置データを連続させるか、又は、位置データを表示時に連続して見えるように近接させて集合的に配置させるか、又は、位置データが表示時に連続して見えない可能性がある場合には時間的に前後する各位置データ間を直線等で接続(リンク)させた形態として生成してもよい。なお、一次位置軌跡データに基づく報知データを表示画面上に表示する場合には、報知データとして、例えば、既存の地図データに基づく地図表示上に合成した軌跡、既存の地図を表示しない軌跡、又は、軌跡の表示をするかしないかに関わらず他の道路や施設等との近接状況の検出処理や判定処理の結果及びそれらに対する警告等を表示してもよい。
【0093】
報知データを生成するために、一次位置軌跡データを各種の検出処理又は判定処理に用いる場合、その検出又は判定した結果を、例えば、音声的出力・光学的出力等により報知したり、表示画面上に一次位置軌跡データの一部を少なくとも描画することによって報知することができる。また、自移動体及び他の移動体の一次位置軌跡データを用いて、使用者又は一般の人に好まれる経路の探索や、又は、使用頻度が高い経路の探索等を行うようにしてもよい。また、一次位置軌跡データ生成部42は、例えば、位置データ選択部41で選択された位置データに対して、挙動データ取得部87で取得した挙動データとを関連付けて一次位置軌跡データを構成してもよい。
【0094】
また、一次位置軌跡データ生成部42は、間欠的に記憶された位置データから連続した一次位置軌跡データを得る場合、例えば、仮想地球平面上に各位置データの間欠的なポイントを時系列にプロットしてから直線で接続しても良いし、各位置データの間欠的なポイントを先に直線で接続してからプロットしても良い。一次位置軌跡データ生成部42は、これにより連続した一次位置軌跡データを生成することができる。生成された一次位置軌跡データは、一次位置軌跡データ生成部42により記憶部60内の一次軌跡データ記憶部65に記憶される。このように送信データを所定時間毎に間欠的にすることで、通行ルートを設定するための最低限必要なデータ量と通信量及び記憶量の抑制を両立できる。また、一次位置軌跡データ生成部42は、後述する複数の移動体の位置軌跡データが重複する場所のデータを採用することで、送信側の各移動体のプライバシーを守ることが可能になる。
【0095】
また、一次位置軌跡データ生成部42は、通信部80によって他の移動体2〜7から一次位置軌跡データを受信した場合にも、その一次位置軌跡データが連続していない場合には、そのデータに対して、上記した自移動体1の場合と同様な処理を行い連続した一次位置軌跡データを生成して記憶部60内に記憶してもよい。受信した一次位置軌跡データが連続している場合には、その一次位置軌跡データをそのまま記憶部60内の一次軌跡データ記憶部65に記憶すればよい。
【0096】
また、一次位置軌跡データ生成部42は、位置データと時刻データを含む各一次位置軌跡データを生成する際に、各移動体を個別に認識するための識別(ID)符号のデータと、付加情報として、自移動体1で取得・検出した軌跡データ密度判定部44、進行方向判定部47、移動速度・距離演算部48、移動体数演算部49の各出力と、移動体・個人データ記憶部69の分類等の記憶内容、及び、挙動データ等を加えて生成してもよい。
【0097】
送信データ選択部43は、記憶部60内の一次軌跡データ記憶部65に記憶した一次位置軌跡データのうちから、所定のパターンに当てはまるデータを選択し、通信部80によって他の移動体2〜7に送信する。このように他の移動体に送信する一次位置軌跡データを例えば、所定時間毎に間欠的、所定の範囲の位置、所定の速度以上、所定の記録密度以上、等の所定のパターンにより選択的に限定して他の移動体に送信することで、通信量、記憶素子量等を減少させ、処理速度や通信速度が速くなるように改善することができ、一次位置軌跡データを設定するための最低限必要なデータ量を確保すると共に、データの送信を制限して送信側の移動体のプライバシーを守ることの両立が可能になる。
【0098】
ここで所定のパターンとは、例えば、位置軌跡データを構成する各位置データの平面上の距離の間隔、位置軌跡データを構成する各位置データの記録された時間の間隔、または、それらの両方の組み合わせで選択して限定することができ、その間隔は一定の値としてもよい。つまり、次の選択位置または時間の位置データを選択する場合、先に選択した位置データとは所定の時間ないし位置離れた範囲または時間の位置データを選択すればよい。
【0099】
また、所定のパターンとして、他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データに近接する位置に自移動体1の一次位置軌跡データが有る場合にその近接する一次位置軌跡データを選択するようにしてもよい。この場合、他の移動体2〜7の一次位置軌跡データに近接するデータは、その近接する複数の移動体のいずれかかの特定が困難であり、個々の特定性が低いデータになる。従って、送信データ選択部43がその近接するデータを送信しても送信側の自移動体1のプライバシーが守られると共に、他移動体2〜7のデータが近接することで一次位置軌跡データを設定するためのデータ量が増えることになり、一次位置軌跡データの設定精度や二次地図データの信頼性を増加させ、地図画像の精度を高めることができる。
【0100】
また、予め自移動体1の保管位置を設定部82で設定することで、所定のパターンとして、自移動体1の保管位置から例えば500m以内や1km以内の自移動体1の一次位置軌跡データを除外するようにしてもよい。その結果、送信データ選択部43は、設定部82に設定された自移動体1の保管位置の周囲の所定範囲内にある自移動体1の一次位置軌跡データについては、他の移動体2〜7に送信するデータとして選択しない。この自移動体1の保管場所の周囲の一次位置軌跡データを他の移動体2〜7に送信しないことで、送信側の自移動体1の保管場所が受信側の移動体2〜7に知られることが無くなり、自移動体1の使用者のプライバシーを守ることができる。
【0101】
また、送信データ選択部43は、一次位置軌跡データ生成部42で各一次位置軌跡データに付加された、軌跡データの密度、進行方向、移動速度・距離、移動体数、移動体の分類、及び、挙動データ等については、そのまま各一次位置軌跡データに付加されたままで選択して、通信部80から送信先の移動体2〜7に向けて送信する。
【0102】
軌跡データ密度判定部44は、一次軌跡データ記憶部65に記憶された各一次位置軌跡データの密度分布を判定する。密度分布は、例えば、所定範囲内における一次位置軌跡データの数、又は、各一次位置軌跡データの各々が近接している程度(距離)を演算することにより判定することができる。
【0103】
二次位置軌跡データ生成部45は、少なくとも通信手段80によって他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データに基づく二次位置軌跡データを生成し、その二次位置軌跡データを記憶手段60に記憶する。その際に、二次位置軌跡データ生成部45は、例えば、自移動体1の位置データからなる一次位置軌跡データと、通信部80によって他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データとに基づいて、一部の一次位置軌跡データを二次位置軌跡データとして生成し、その二次位置軌跡データを記憶部60の二次軌跡データ記憶部66に記憶させてもよい。
【0104】
一次位置軌跡データの一部分から二次位置軌跡データを生成する場合、二次位置軌跡データ生成部45は、例えば、複数の一次位置軌跡データが重複記録されて密度が濃い部分の自移動体1の一次位置軌跡データ、又は、他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データのうちから任意のデータを選択して使用してもよい。二次位置軌跡データを一次位置軌跡データから選択する場合には、例えば、最新の一日間、一週間、又は、一ヶ月間等の所定の期間分に該当する蓄積された一次位置軌跡データ、時刻情報と位置データから演算される平均速度が所定速度以上である移動体から受信した一次位置軌跡データ、同一領域内に記録される数が多いか位置軌跡データを構成する各位置データの位置間隔が短い(密度が高い)一次位置軌跡データ等の条件に当てはまるものを選択するようにしてもよい。所定速度は、例えば、時速10km、30km以上、50km以上、又は、100km以上等から選択すればよい。自移動体1で選択する二次位置軌跡データとしては、受信した複数の一次位置軌跡データと自移動体1の一次位置軌跡データの中から、受信した一次位置軌跡データの何れかを選択しても良いし、自移動体1の一次位置軌跡データを選択しても良い。このように選択することで、道路としての確度の高い一次位置軌跡データを二次位置軌跡データとして選択することができる。
【0105】
あるいは、一次位置軌跡データの一部分から二次位置軌跡データを生成する場合、二次位置軌跡データ生成部45は、例えば、二次位置軌跡データとして、選択された一次位置軌跡データを合成、あるいは、加工することでデータを生成してもよい。自移動体1の加工された二次位置軌跡データとは、例えば、受信した一次位置軌跡データと自移動体1の一次位置軌跡データを合成したデータ、受信した一次位置軌跡データと自移動体1の一次位置軌跡データから選択した一部のデータを合成したデータ、受信した一次位置軌跡データと自移動体1の一次位置軌跡データから選択した一部のデータを所定の条件で組み合わせて合成したデータである。このように合成することで、道路として二次位置軌跡データを用いる場合に位置精度を高めることができる。
【0106】
以上のように「他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データに基づく二次位置軌跡データ」中の「基づく」には、受信した複数の一次位置軌跡データと自移動体の一次位置軌跡データとを含むデータ中から一つの一次位置軌跡データを選択する場合、受信した複数の一次位置軌跡データを単純に合成する場合、受信した複数の一次位置軌跡データから一部を選択してから上記合成や組み合わせを実施する(選択的に合成する)場合、所定の条件に従って組み合わせる場合等を含んでいる。すなわち、受信した一次位置軌跡データに基づく二次位置軌跡データには、例えば、他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データそのもの、他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データの一部を選択したデータ、他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データに加工を加えたデータを含む。
【0107】
一次位置軌跡データに基づく二次位置軌跡データを生成するには、二次位置軌跡データ生成部45は、例えば、自移動体1及び他の移動体2〜7からの一次位置軌跡データを全て一次軌跡データ記憶部65に記憶し、軌跡データ密度判定部44で一次軌跡の所定領域における密度(分布状況)を判定し、密度の濃い部分から上記選択または合成したデータを二次位置軌跡データとして生成する。また、二次位置軌跡データ生成部45は、報知データとして、前記一次位置軌跡データにおける各位置データの分布状況に基づき地球上の道路の位置を特定可能な二次位置軌跡データを生成してもよい。
【0108】
その場合、一次位置軌跡データの地球平面における分布状況から、二次位置軌跡データ生成部45が例えば密度の高い領域の一次位置軌跡データから抽出して二次位置軌跡データを生成することで、交通量の多い軌跡の位置を道路として特定できるので、新規道路や、工事用の迂回路等に対応することができる。また、二次位置軌跡データ生成部45は、一次位置軌跡データを構成する各位置データと、挙動データ取得部87で取得して挙動データ記憶部70に記憶させた挙動データとを関連付けて二次位置軌跡データを生成してもよい。また、地図データ記憶部67内の既存地図データがPOIデータ記憶部71のPOIデータと関連付けられているか、既存地図データ内にPOIデータを含む場合、二次位置軌跡データ生成部45は、POIデータを含ませて二次地図データを生成してもよい。
【0109】
また、本実施形態の二次位置軌跡データ生成部45は、例えば、一次軌跡データ記憶部65に記録された各一次位置軌跡データの平均値又は中心値を求めても良く、複数の近傍の移動体とデータの比較をして、データに距離に基づく重み付けを行った上に、比較対象となるデータに多数のデータから得られた平均値等の統計処理結果を用いてもよい。
【0110】
報知データ生成部46は、記憶手段60に記憶された一次位置軌跡データ又は二次位置軌跡データに基づき報知データを生成する。より詳しくは、報知データ生成部46は、記憶部60の一次軌跡データ記憶部65に記憶された一次位置軌跡データ又はその一次位置軌跡データに基づいて生成されて二次軌跡データ記憶部66に記憶された二次位置軌跡データに基づき報知データを生成する。報知データ生成部46は、報知データとして、一次位置軌跡データ又は二次位置軌跡データに基づく様々なデータを用いることができ、例えば、一次位置軌跡データ生成部42で生成された一次位置軌跡データまたはその加工データまたはそれにより判定されたデータ、二次位置軌跡データ生成部45で生成された二次位置軌跡データまたはその加工データまたはそれにより判定されたデータ等を用いることができる。
【0111】
また、報知データ生成部46は、例えば、他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データに各移動体2〜7の分類上の設定データを含む場合、受信した一次位置軌跡データから、その内の分類上の設定データが設定部82で設定された自移動体1の分類と関連するか、同種の設定データであるものを選択し、その一次位置軌跡データに基づいて、当該分類の移動体用の二次位置軌跡データまたは報知データを生成するようにしてもよい。このように設定部82で移動体を分類分けして設定することで、一次位置軌跡データも分類分けすることができ、分類毎に適した報知データを生成することができる。
【0112】
また、報知データ生成部46は、例えば、他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データに各移動体2〜7の挙動データを含む場合、挙動データにより選択された位置データを含む一次位置軌跡データに基づき報知データを生成することができる。他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データに各移動体2〜7の挙動データとして、移動体1〜7に設けられた各種センサ等の各種物理量の検出装置により検出された各種物理量検出データ、移動体1〜7に設けられた撮像部85により撮像された画像データ、移動体1〜7に設けられた光学的文字認識部89により画像データから文字認識された文字データから少なくとも1つを含む場合、報知データ生成部46は、挙動データにより選択された位置データを含む一次位置軌跡データに基づき報知データを生成する。
【0113】
このように、例えば、移動体の挙動データを物理量検出データ、撮像画像データ、文字認識データの少なくとも一つである移動体の挙動データにより一次位置軌跡データを選択して報知することで、移動体の特定の挙動に位置軌跡データを対応させることができる。これにより地球上の位置と移動体の挙動を対応させることができるので、挙動データにより地球上の範囲や道路上の範囲を特定することや、挙動データを別の測定等のトリガーとすることが可能になる。例えば、挙動データをトリガーとして、挙動が起きてからの移動範囲を報知することが可能になり、あるいは、挙動が起きてから所定時間後や所定距離を走行後に一次位置軌跡データを送信開始または使用開始するようにすることができる。
【0114】
また、報知データ生成部46は、移動体1〜7の位置軌跡データを既存地図データ上にマッチングさせて付加した二次地図データを、報知データとして生成してもよい。その場合、報知データ生成部46は、生成された一次位置軌跡データを既存マップ上にマッチングさせて重ねることで、各移動体が通過した範囲の既存地図データをアップデートすることができる。
【0115】
また、報知データ生成部46は、地図データ記憶部67内の既存地図データがPOIデータ記憶部71のPOIデータと関連付けられているか、既存地図データ内にPOIデータを含む場合、POIデータを含ませて報知データを生成してもよい。その場合、報知データ生成部46は、二次地図データ上にPOIデータをマッチングさせて重ねることで、表示される地図の使い勝手を良くすることができる。
【0116】
また、報知データ生成部46は、移動体1〜7の各々の一次位置軌跡データにおける各位置データが移動体1〜7の各位置における時刻データと関連付けられているので、時刻データと関連付けられた移動軌跡データ及び位置データと、POIデータを含む既存地図データとに基づき、自移動体1が通過した経路及び立ち寄り施設を含む記録を報知データとして作成するようにしてもよい。その場合、報知データ生成部46は、例えば、生成された二次地図データ上の各POIデータの施設へ立ち寄り時間等を日記/日報データ作成部52で記録していくことで簡単なデジタル日報の作成が可能になる。
【0117】
また、報知データ生成部46は、二次位置軌跡データを既存の地図上に報知データとして表示させる場合、そのままでは通常は軌跡の揺れやばらつきを有して表示される。そこで、本実施形態の報知データ生成部46は、報知データとして、二次位置軌跡データに基づく道路を地図上に示す場合、二次位置軌跡データから揺れやばらつきを抑制し、道路として地図上の表示に適した形態に変更してから既存の地図上に表示してもよい。二次位置軌跡データを道路として表示に適した形態に変更する場合には、報知データ生成部46は、例えば、軌跡の揺れやばらつきに対して、道路幅方向のゆれやばらつきの平均値や中心値を求めて一つにまとめ、さらに既存の地図データの道路とマッチングさせることができる。
【0118】
また、報知データ生成部46は、例えば、画像マッチング部51で二次位置軌跡データと従来の既存地図データとのマッチングで該当するデータが見あたらない場合、報知データとして新たな道路のデータを生成して画面上に表示しても良い。例えば、報知データ生成部46は、二次位置軌跡データから求められた道路が新設道路等で既存の地図データの道路に該当しない場合、軌跡の揺れやばらつきに対して、道路幅方向のゆれやばらつきの平均値や中心値を求めて一つにまとめて道路として適切な幅となるように表示する。道路として適切な幅は、道路幅方向のゆれやばらつきが大きいときには、複数車線の道路として表示してもよい。また、後述する進行方向判定部47及び移動速度・距離演算部48により移動体の進行方向と速度がわかる場合で、対面通行可能区間と考えられる車両の速度が落ちないですれ違う場合には、報知データ生成部46は、対面交通道路または道路の対面通行区間として表示してもよい。
【0119】
また、報知データ生成部46は、記憶部60に記憶された一次位置軌跡データに基づき報知データを生成してもよい。例えば、後述する進行方向判定部47及び移動速度・距離演算部48により移動体の進行方向と速度がわかる場合であって、さらに信号のない予め設定されたブラインドコーナーの交差点等で、右折方向又は左折方向から他の車両が交差点に近づいて来る場合、その車が交差点に近づいていることを報知するデータを生成しても良い。その他にも報知データ生成部46は、進入禁止又は袋小路等への進入、工事中で通行不能な道路への進入時、速度差のある道路に合流や進入する場合等、緊急性が高い報知用のデータを生成しても良い。
【0120】
ここでの報知データとしては、例えば、他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データそのまま、又は、他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データの一部を選択したデータ、又は、他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データを加工したデータを用いることができる。また、データの加工としては、例えば、該当する部分の道路の長さや幅、進行方向の車線と対向車線の位置の相違等に応じて、一次位置軌跡データをより道路情報として適切な形態に変更する加工等であってもよい。
【0121】
また、報知データ生成部46は、各一次位置軌跡データまたは二次位置軌跡データ中の位置データと時刻データに加えて、軌跡データ密度判定部44、進行方向判定部47、移動速度・距離演算部48、移動体数演算部49の各出力と、移動体・個人データ記憶部69の分類等の記憶内容、受信した一次位置軌跡データに付加された移動体のデータ等の付加情報を参照して、道路の種類を判定することができる。例えば、報知データ生成部46は、一次位置軌跡データにより特定された道路上と考えられる所定範囲内で、移動体2〜7の個体数が所定の基準値よりも多い場合か、または移動体2〜7の密度が所定の基準値よりも高い場合に、その道路を一般道路と分けて幹線道路である確率が高いと判定して、二次軌跡データを幹線道路と設定して報知したり、道路の報知データに一般道路と分けて幹線道路である旨を使用者に示すことができる。
【0122】
さらに報知データ生成部46は、一次位置軌跡データに関連して通信または記憶されたデータから大型と設定された移動体2〜7の個体数が多い場合には、さらに幹線道路である確率が高いと判定でき、その移動体2〜7各々の速度が一般的に一般道路よりも高い幹線道路を示す所定値以上である場合にも、さらに幹線道路である確率が高いと判定できる。
【0123】
また、報知データ生成部46は、各移動体の速度が高速道路と考えられる所定の値よりも高い場合にはその道路を高速道路と判定できる。また、報知データ生成部46は、道路における移動体2〜7各々の速度が渋滞を示す所定値以下であり、一次位置軌跡データにより特定された道路における所定範囲内の移動体2〜7の数が多く密度が高い場合、その道路について渋滞発生と判定した報知データを生成することができる。また、判定された幹線道路のみを地図データ記憶部67に収納することで、道路の記憶容量を低減させることができる。
【0124】
報知データ生成部46は、その一次位置軌跡データを構成する位置データと挙動データ取得部87で取得した挙動データとを関連付けて報知データを生成してもよい。この場合の挙動データとしては、各種の電波や音その他物理量の検出状況を示すデータ・検出内容を示すデータ、車両の挙動に関するデータ(例:加速度、速度、イグニッションオン・オフ、ウインカー、ワイパー、ライト等)、カメラから取得した画像データ、画像データから文字認識された文字データなどのうち少なくとも1つを含むことができる。挙動データの取得は、例えば、位置軌跡データ処理装置10と有線・無線等により電気的に接続された各種の検出部(センサ等)で行うことができる。検出部は、位置軌跡データ処理装置10と一体の筐体内に設けてもよいし、他の筐体に設けてもよい。他の筐体としては例えば車体があり、たとえば、車両制御のために車体内に設けた車内LANから取得するようにしてもよい。
【0125】
報知データ生成部46は、例えば、自移動体1から挙動データを入力させて、挙動データに基づき所定条件が満たされた時に通信部80から他の各移動体2〜7に報知データを送信することで、二次位置軌跡データを設定するために最低限必要な他の移動体2〜7の一次位置軌跡データの量と、送信側の自移動体1のプライバシーを守ることの両立が可能になる。プライバシーを守ることについては、例えば、自移動体1の保管場所から自移動体1が所定距離以上離れた後に報知データ生成部46が一次位置軌跡データを送信することで、送信側の自移動体1の保管場所の位置が他の移動体2〜7では検出できなくなり、自移動体1の使用者のプライバシーを守ることが可能になる。
【0126】
逆に、自移動体1が車庫や保管場所に戻る時には、自移動体1が自移動体1の保管場所から所定距離以内に入った後には、報知データ生成部46が一次位置軌跡データを送信しないことで、自移動体1の使用者のプライバシーを守ることが可能になる。また、例えば、報知データ生成部46が一次位置軌跡データを所定時間分だけ遅延させて送信し、速度が0になった場合や、エンジンが停止した場合には、遅延分の一次位置軌跡データを送信しないようにすると、自移動体1の停車位置が他の移動体2〜7からわからないようになり、プライバシーを守ることが可能になる。
【0127】
また、報知データ生成部46は、例えば、自移動体1から他の移動体2〜7に送信する一次位置軌跡データの量を、直進時の速度が高いときには増加させ、直進時の速度が低いときには減少させることで、データ通信量を減少させることができる。また、操舵角度が大きい時とターンシグナル発生時に増加させ、直進時には速度に応じて減少させることで、データ通信量を減少させると共に、交差点等では確実に位置軌跡データを送信することができる。
【0128】
また、報知データ生成部46は、例えば、自移動体1の交通データ検出部81から入力した交通データが所定条件に合致する時に一次位置軌跡データを他の移動体2〜7に送信するようにしてもよい。この場合、自移動体1の通行する道路において、事故が起きやすい場所、通行に注意が必要な場所について、一般的な報知に加えて、報知データ生成部46により自移動体1用に特化された追加の報知や特別な報知が可能になる。
【0129】
進行方向判定部47は、自移動体1の一次位置軌跡データから自移動体1の進行方向を判定する。一次位置軌跡データには、経度データと緯度データを含む位置データが時刻データと対応させて含まれているので、進行方向判定手段47では、例えば、ある地点から次の地点への2地点の各位置データから、経度データと緯度データの差と、時刻データの差が得られる。これにより、進行方向判定手段47は、先のデータの位置(緯度及び経度)から後のデータの位置(緯度及び経度)へ進行していることが判定でき、地球上における進行方向を得ることができる。
【0130】
この進行方向判定部47を設けることにより、報知データ生成部46は、他の移動体2〜7の各々から受信した一次位置軌跡データのうち、進行方向判定手段47によって判定された自移動体1の進行方向にある他の移動体2〜7の一次位置軌跡データを少なくとも含んで、自移動体1の報知データを生成することができる。より詳しくは、報知データ生成部46は、他の移動体2〜7の各々から受信した一次位置軌跡データのうち、進行方向判定手段47によって判定された自移動体1の進行方向と略一致または略対向する一次位置軌跡データを少なくとも含ませて自移動体1の報知データを生成することができる。なお、本実施形態では、自移動体1の進行方向を自移動体1の一次位置軌跡データから検出するようにしているが、GPS等の各種センサーの出力から直接に取得したり、車両制御用の車内LAN等から取得してもよい。
【0131】
このように進行方向判定部47で進行方向を検出することで、これから進行する経路を事前に知ることができる。さらに進行方向にいる他の移動体の位置軌跡データを優先的に用いて判定することで、処理負荷に対して自移動体の処理能力が不足気味の場合でも、移動体の操縦(運転)中に進行先の経路を確実に把握することができる。また、進行方向の左折先及び右折先の所定範囲内(例えば、進行方向中心線から所定角度範囲)にいる他の移動体の位置軌跡データを優先して判定することで、直進時ばかりでなく、途中で右折や左折を行う場合でも、自移動体の操縦(運転)中に進行先の経路状況及びその経路中の他の移動体の数や進行方向等を把握することができる。
【0132】
また、通信部80は、位置軌跡データの要求範囲情報を送受信し、制御部40は、他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置へ送信要求する要求範囲を決定して通信部80から位置軌跡データの要求範囲情報を送信する一方、他の装置から送信された位置軌跡データの要求範囲情報の示す要求範囲情報を受信し通信部80によって受信した位置軌跡データの要求範囲情報の示す範囲の位置軌跡データを選択するようにしてもよい。位置軌跡データの要求範囲情報は、進行方向判定部47で進行方向を示す情報とするとよい。
【0133】
また、例えば、進行方向判定部47で検出された進行方向を用いて、報知データ生成部46が、自移動体と一致する方向か対向する他の移動体2〜7の一次位置軌跡データを優先的か、そのデータのみを用いて報知データを生成するようにしてもよい。その場合、進行方向に関係する報知データを生成することができ、報知データを生成するために側道や横道、右折/左折方向の移動体の一次位置軌跡データを使われなくなるので、進行方向についての報知する内容の精度を向上させることができる。
【0134】
また、進行方向判定部47で検出された自移動体1の進行方向を基準として、軌跡データ密度判定部44が、他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データのうち、例えば、検出された進行方向を中心線として自移動体1から所定角度の所定範囲内のデータを優先的に密度を判定するようにしてもよい。
【0135】
移動速度・距離演算部48は、位置検出部20で検出された各位置データに基づく一次位置軌跡データに基づいて自移動体の移動速度と移動距離を演算する。また、受信した他の移動体の一次位置軌跡データと自移動体の一次位置軌跡データに基づいて、自移動体と受信した他の移動体との間の距離及び相対速度を演算することもできる。なお、受信した他の移動体の一次位置軌跡データには、各移動体を個別に認識するための識別(ID)符号のデータと、そのデータが取得された時刻のデータが付随する。識別符号については、個別に識別可能であれば任意の符号を用いることができる。
【0136】
他の移動体2〜7の各々から受信する位置軌跡データには、他の移動体2〜7の各々の各位置における速度を検出可能な時刻情報を含んでいるので、移動速度・距離演算部48は、速度を検出可能な位置情報と時刻情報に基づき、一次位置軌跡データにより特定された道路における他の移動体2〜7各々の速度と距離を検出することができる。移動速度・距離演算部48では、この一次位置軌跡データ中の各位置における位置データと時刻データに基づき移動する速度を特定(演算)することができる。
【0137】
また、移動体の速度を特定するための情報としては、例えば、位置軌跡データ中の各位置における速度データそのものであってもよい。また、移動体の速度を特定するための情報は、例えば、一次位置軌跡データ中の各位置データにより特定される位置を当該移動体1〜7が通過した時刻か、その位置におけるその当該移動体1〜7が位置データを取得した時刻のデータとしてもよい。
【0138】
移動体数演算部49は、所定の時刻データの範囲内で、所定領域中の一次位置軌跡データの数を計数することで、移動体の数を演算することができる。移動体数演算部49は、所定時刻における、道路と判定できる所定領域中の一次位置軌跡データの数を計数することで、道路の交通量を演算することができる。
【0139】
移動体数演算部49は、他の移動体2〜7の各々から受信する位置軌跡データに他の移動体2〜7の各々がどの位置にいるかの情報と時刻情報を含んでいるので、移動体数演算部49は、その位置情報と時刻情報に基づき、一次位置軌跡データにより特定された道路における他の移動体2〜7各々の所定時刻における数を検出する。また、位置検出部20で検出された各位置データに加えて移動速度・距離演算部48で得られた移動体の移動距離のデータを利用すれば、例えば一次位置軌跡データが間欠的なデータであっても道路上の所定範囲の移動体の密度を検出することができる。
【0140】
このように一次位置軌跡データにより特定された道路における他の移動体2〜7各々の数と速度と密度を移動速度・距離演算部48と移動体数演算部49を用いて検出することで、報知データ生成部46は、一次位置軌跡データにより特定された道路における所定範囲内の移動体2〜7の数が所定数以上であり、その移動体2〜7各々の速度が幹線道路を示す所定値以上である場合、その道路を幹線道路と判定した報知データを生成することができる。また、報知データ生成部46は、道路における移動体2〜7各々の速度が渋滞を示す所定値以下であり、一次位置軌跡データにより特定された道路における所定範囲内の移動体2〜7の数が多く密度が高い場合、その道路について渋滞発生と判定した報知データを生成することができる。
【0141】
道路上と考えられる所定範囲内における移動体の密度に加えて、移動体の速度と数を検出することで、移動体の速度と個体数が多い場合には、報知データ生成部46は、その二次位置軌跡データを設定する際に幹線道路とすることで、幹線道路を一般道路と分けて使用者に示すことができる。また、判定された幹線道路のみを地図データ記憶部67に収納することで、記憶部60の記憶容量を低減させることができる。
【0142】
また、移動体数演算部49による道路上と考えられる所定範囲内における移動体の密度に加えて、移動速度・距離演算部48で移動体の速度の低下を検出することで、報知データ生成部46では、その道路における渋滞発生の報知データを生成でき、渋滞の発生に注意を喚起することで、渋滞最後部への追突の危険を避けたり、迂回路に進路変更して渋滞を避けることができる。また、報知データ生成部46は、さらに進行方向判定部47の判定結果も利用して、進行先の経路における速度の低下がわかることで、経路の先の工事渋滞や自然渋滞等の発生状況(渋滞中の速度及び渋滞長さ)がわかり、逆に渋滞中に進行先の経路における速度の上昇がわかることで、経路の先の渋滞の解消状況を事前に知ることができる。
【0143】
移動ルート状況分析部50は、例えば、道路上と考えられる所定範囲内における移動体、特に大型の移動体の個体数が所定の基準値よりも多く、密度が高い場合、一般道路と分けて使用者に示す幹線道路と判定する。所定の基準値は、固定値であってもよいし可変値であってもよい。また、さらに移動速度・距離演算部48により道路上の移動体の速度を検出し、移動体の速度が所定の速度よりも早いことで、幹線道路である確率の確度を向上させることができる。また、さらに移動体の速度が所定の速度よりも早い場合には、当該道路が高速道路である確率を高めることができる。
【0144】
また、移動ルート状況分析部50で、道路の通行状況と各移動体の寸法データや型式等を分析することで、報知データ生成部46では、例えば、自移動体1が大型の移動体である場合に、小型の移動体しか通行していない道路については、大型の移動体の移動可能な道路から除外か、大型の移動体の通行に注意を要する道路と報知することできる。このようにすれば、大型の自移動体1が狭い道路へ進入して立ち往生すること等を避けることができる。
【0145】
また、逆に、小型の移動体にとっては、大型の移動体が多い道路は、大型の移動体により前方視界が悪くなり運転が難しくなる場合があり、あるいは、周囲を大型移動体に囲まれると不快や恐怖感を感じる場合がある。このような場合に、移動ルート状況分析部50で、道路の通行状況と各移動体の寸法データや型式等を分析することで、報知データ生成部46では、大型車の少ない道路を選択して報知するか、優先順位を上げるように報知することで、運転のストレスを軽減し、不快感や恐怖感を避けることができる。
【0146】
また、例えば、タクシーやトラック等の業務用の移動体の多い道路は、個人用の移動体の不慣れな運転手にとっては移動スピードが速かったり、道路のレーン移動が速かったり、トラックの荷台等で前方が視認できなくなったりして危険が多い。逆に、業務用の移動体の慣れている運転手には、不慣れな運転手の個人用移動体は、運転の傷害となりストレスとなる。業務用移動体と個人用移動体の混在する走行は双方にとってストレスであり、安全運転上の問題となる場合がある。そこで、報知データ生成部46では、個人用移動体の道路を選択する場合に、業務用移動体の多い道路は優先順位を下げ、個人用移動体の多い道路は優先順位を上げる。同様に業務用移動体の道路を選択する場合には、業務用移動体の多い道路は優先順位を上げ、個人用移動体の多い道路は優先順位を下げる。これにより、各移動体の運転手に対するストレスを軽減でき、安全運転に貢献できる。
【0147】
移動ルート状況分析部50は、移動体・個人データ記憶部69の記憶内容を用いることで、さらにトラック等の貨物搬送業務用移動体と、タクシー等の貨客送迎業務用移動体とを分類することも可能である。一般的にタクシー等は人通りが多い駅や繁華街近辺等で客待ちするので、その場合、その駅や繁華街近辺がタクシーで渋滞するかその所定範囲内に多く集合する。従って、タクシー等の場合、報知データ生成部46で、例えば遠隔地に送迎した帰りに不慣れな場所であっても人通りが多い場所に行き、客待ちをすることができる。
【0148】
画像マッチング部51は、地図データ記憶部67に記憶された既存地図データ上に、例えば、移動体1〜7の一次位置軌跡データ又は二次位置軌跡データの画像をマッチングさせて付加し、二次地図データを生成する。また、その場合に報知データ生成部46は、二次地図データを用いて報知データを生成することができる。このように既存マップ上に、生成された一次位置軌跡データ又は二次位置軌跡データの画像をマッチングさせて重ねることで、各移動体が通過した範囲の既存地図データを容易にアップデートすることができる。
【0149】
地図データ記憶部67に記憶された今までの地図データとPOIデータ記憶部71に記憶されたPOIデータとが関連しているか、地図データ記憶部67に記憶された今までの地図データにPOIデータを含む場合、画像マッチング部51は、そのPOIデータを含ませたままで二次地図データを生成し、報知データ生成部46は、POIデータを含ませたままで報知データを生成する。このように既存の地図データのPOIデータを残したまま、あるいは、POIデータとの関連を維持したままで、二次位置軌跡データをマッチングさせて重ねることで、表示される地図の表示内容を犠牲にすることなく、自移動体1の使用者にとっての使い勝手を良くすることができる。
【0150】
日記/日報データ作成部52は、報知データ生成部46及び画像マッチング部51と共に、例えば、画像マッチング部51で生成された二次地図データ上の各POIデータの施設へ、一次位置軌跡データの時刻データに基づき、所定期間内に通過した経路及び立ち寄り施設と立ち寄り時間等を含ませて記録していくことで簡単な日記または日報を作成することができる。また、日記/日報データ作成部52は、撮像85で撮像された自移動体1の前方を撮像した画像データを、作成する日記または日報に、必要に応じてマッチングさせて加えることで、情報量と信頼性を増加させることができ、信頼性のある日記または日報を作成することができる。
【0151】
キーワード照合部53は、キーワード記憶部73に記憶されたキーワードを読み出し、光学的文字認識部89により撮像された画像データから文字認識された文字データと、地図データ記憶部67に記憶された二次地図データ上の文字データ、または、キーワードとが一致または類似するかを照合する。
【0152】
この照合結果を用いる場合、例えば、設定部82で目的地の二次地図データ上の文字データまたは目的地に関係するキーワードを設定し、キーワード照合部53で設定された文字と文字認識された文字データとを照合し、一致または類似した場合に、報知データ生成部46でその文字データを含ませて報知データを生成する。このようにすれば、地名や施設名等を容易に探すことができる。
【0153】
または、報知データ生成部46で二次地図データを作成する場合に、二次地図データ等の画像データ上に、文字認識した文字データをキーワードと照合して二次地図データや報知内容を作成することで、画像だけでは読み取り内容がわかりにくい場合でも、キーワードとの一致を判断することで誤りを減ら地名や施設名等を誤りなく、容易に二次地図データ等に含ませることができる。
【0154】
また、制御部40には、一次軌跡データ記憶部65に格納されている他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した各一次位置軌跡データの統計値を演算する統計演算部が設けられていてもよい。統計値とは、例えば、平均値、中心値、標準偏差値等である。また、移動速度・距離演算部48で演算された各移動体までの距離に基づき、各一次位置軌跡データに所定係数を掛ける等の重み付けを行ったデータに対して、統計演算を実施してもよい。その演算結果は、記憶部60内の二次軌跡データ記憶部66、地図データ記憶部67に格納される。
【0155】
記憶部60は、プログラムや外部から入力したデータを記憶する。記憶部60の中には、位置データ記憶部61、位置検出時刻記憶部62、移動体ID記憶部63、データ数記憶部64、一次軌跡データ記憶部65、二次軌跡データ記憶部66、地図データ記憶部67、交通データ記憶部68、移動体・個人データ記憶部69、挙動データ記憶部70、POIデータ記憶部71、日記/日報データ記憶部72、キーワード記憶部73等の各記憶部を有する。
【0156】
位置データ記憶部61は、位置データ選択部41から出力された自移動体1の位置検出部20から連続的に出力された位置データを時刻順に位置データ記憶部61に記憶する。それと共に、位置データ選択部41で選択された同位置または近隣に位置する位置データを有する他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置から受信した一次位置記憶データ中の位置データを記憶する。
【0157】
位置検出時刻記憶部62は、位置検出部20で位置データが検出された時に、その位置データに関連付けて、計時部30で計測された時刻データを記憶する。また、第2移動体2や第3移動体3から受信した一次位置軌跡データに付随する時刻データを、受信した各一次位置軌跡データに関連付けて記憶する。
【0158】
移動体ID記憶部63は、通信時に使用する第1移動体1を個別に認識するための識別(ID)符号のデータを、位置検出部20で検出された位置データに基づく一次位置軌跡データに関連付けて記憶する。また、第2移動体2や第3移動体3から受信した一次位置軌跡データに付随する第2移動体2や第3移動体3を個別に認識するための識別(ID)符号のデータを、受信した各一次位置軌跡データに関連付けて記憶する。
【0159】
データ数記憶部64は、受信した他の移動体の一次位置軌跡データの数を記憶する。データの数が1個の場合よりも、複数の場合の方が二次位置軌跡データの信頼性が増加する。また、近傍に存在する他の移動体の数を把握することができる。
【0160】
一次軌跡データ記憶部65は、位置検出部20から出力された位置データに基づき生成された自移動体1の一次位置軌跡データと通信手段80によって他の移動体2〜7から受信した全ての一次位置軌跡データを基本的に記憶する。例えば、一次軌跡データ記憶部65は、少なくとも自移動体1の走行中又は停車中に、時間的に異なる複数の位置データを間欠的に得て、その各位置データを時系列で並べて各位置データを接続できるように含ませた一次位置軌跡データを記憶し、さらに、他の移動体2〜7から受信した全ての一次位置軌跡データを記憶する。
なお、他の移動体2〜7から受信する一次位置軌跡データについては、例えば、一次位置軌跡データ生成部42で、進行方向判定部47の判定結果から進行方向の所定領域に絞り込むか、移動体の分類や属性等により絞り込むことで、記憶量及び演算量を減少させることができる。
【0161】
二次軌跡データ記憶部66は、少なくとも通信部80によって他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データに基づき生成された二次位置軌跡データを記憶する。例えば、二次軌跡データ記憶部66は、他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データ及び自移動体1の一次位置軌跡データに基づいて二次位置軌跡データ生成部45で生成された二次位置軌跡データを記憶する。
【0162】
地図データ記憶部67は、少なくとも既存の地図データを記憶し、さらに、画像マッチング部51で既存の地図データ上に、一次位置軌跡データ生成部42、二次位置軌跡データ生成部45、または、報知データ生成部46で生成されたデータを合成した二次地図データを記憶するようにしてもよい。
【0163】
交通データ記憶部68は、交通データ検出部81で検出されたVICS(登録商標)のFM多重放送方式や道路上の電波ビーコン方式や光ビーコン方式の発信器からの交通データ、レーダー探知装置による探知結果等を含む交通データや道路データを記憶する。
【0164】
移動体・個人データ記憶部69は、入力手段を含む設定部82により入力された移動体の寸法や用途による分類や、移動体の保管場所等の移動体に固有のデータを記憶する。寸法による分類としては、例えば、大型、中型、小型、軽車両等の寸法による分類を含み、用途による分類は、例えば、タクシーや配送トラック等の業務用か個人用かの分類を含む。
【0165】
挙動データ記憶部70は、各種の電波や音その他物理量の検出状況を示すデータ・検出内容を示すデータ、車両の挙動に関するデータ(例:加速度、速度、イグニッションオン・オフ、ウインカー、ワイパー、ライト等)、カメラから取得した画像データ、画像データから文字認識された文字データなどのうち少なくとも1つを含む挙動データを記憶する。この挙動データを得ることで、報知データ生成部46は、例えば、移動体の挙動データにより、移動体の特定の挙動に対応する一次位置軌跡データを選択して報知することができる。例えば、地球上の位置と移動体の挙動を対応させることで、挙動データをデータ送信や別の測定のトリガーとすることや、挙動データでデータ送信や別の測定の範囲を特定することが可能になる。つまり、この挙動データにより、一次位置軌跡データを送信開始または使用開始する位置を決めたり、挙動が起きてからの移動範囲を報知することが可能になる。
【0166】
POIデータ記憶部71は、既存地図データに関連させたPOI(point of interest:位置データと連動した施設情報、スポット情報等のデジタルコンテンツ)データを記憶する。従って、表示させる地図データにはPOIデータを含ませることができる。これにより報知データ生成部46は、二次地図データを生成する際に、POIデータを含ませて二次地図データを生成することができる。二次地図データ上にPOIデータをマッチングさせて重ねることで、表示される地図の使い勝手を良くすることができる。
【0167】
日記/日報データ記憶部72は、日記/日報データ作成部52で作成された日記または日報を記憶する。日記/日報用のフォーマットがある場合には、そのフォーマットを記憶するようにしてもよい。
【0168】
キーワード記憶部73は、キーワード照合部53で、光学的文字認識部89により撮像された画像データから文字認識された文字データと一致または類似するかを照合するキーワードを記憶する。
【0169】
通信部80は、他の移動体とのデータ及びコマンド等の送受信、特に一次位置軌跡データの送受信が可能である。例えば、自移動体1の通信部80は、他の移動体2〜7と通信することで、各他の移動体2〜7で検出及び生成された当該他の移動体2〜7の一次位置軌跡データを受信することができる。また、通信部80の通信方式としては、無線通信方式であり、微弱電波、特定小電力、各種無線LAN対応方式、携帯電話回線利用方式等の様々な方式を利用することができる。
【0170】
第1移動体1の通信部80は、各他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データを、一次軌跡データ記憶部65に送出する。また、第2移動体2〜第7移動体7が第1移動体1と同様に位置軌跡データ処理装置10等を有している場合には、通信部80は、位置検出部20で検出された一次位置軌跡データを送信する。その際に、通信部80は、進行方向情報、時刻のデータ、各移動体の分類に関するデータ、挙動データ等の一次位置軌跡データに付随される情報も送受信することができる。一次位置軌跡データに付随させて送受信するデータとしては、上記の他に、例えば、各位置データがプライバシー保護の点で非公開の自宅近辺等の特定の領域に入っていることや、多車線道路におけるどの車線かを示すこと等の局所性のデータや、付随する各時刻データの時間についての連続性又は間隔等の時間属性についてのデータを付随させることができる。
【0171】
また、通信部80が携帯電話等の大規模な通信ネットワークを用いた方式である場合で、交通監視センタ等を設けて地図データを含む交通情報の集中管理を行う場合には、その交通監視センタに向けて一次位置軌跡データを送信するようにしてもよい。また、第1移動体1の使用者の子機や携帯電話に無線接続可能である場合には、その子機や携帯電話に向けて二次位置軌跡データ、道路情報、又は、交通情報を送信するようにしてもよい。
【0172】
また、通信部80で送受信する一次位置軌跡データには、移動体1〜7の各位置における位置データとその各位置データを取得した時刻を示す時刻データ、移動体が進行する方向を示す進行方向データ、移動体の寸法や形式及び用途等に関する分類データ、移動体の発進や停止、右折、左折、バック等の動作種類を示す挙動データを位置軌跡データ中の各位置データに関連付けて含んでいてもよい。他の移動体2〜7の各々から受信する位置軌跡データに時刻情報を含むことで、他の移動体2〜7各々の移動時間と移動距離が演算できるので、各位置における速度を検出することができる。
【0173】
交通データ検出部81は、FM多重放送又はビーコン等の無線電波等による交通データを検出し、例えば、VICS(登録商標)のFM多重放送方式や道路上の電波ビーコン方式や光ビーコン方式の発信器からの交通データを受信する装置や、レーダー探知装置等を含む交通データや道路データの検出装置または受信装置を含む。
【0174】
設定部82は、使用者が入力可能なキーボード等の入力手段を含み、自移動体1の保管位置の設定と分類上の設定を入力することができる。設定部82による移動体1〜7の設定は、各移動体1〜7の保管位置、移動体1〜7を寸法により少なくとも大型か否かに分類する寸法データ、または、移動体1〜7を個人用か/業務用か等の用途により分類する用途データ、及び、所有者の個人情報等の少なくともいずれか一つを含んで入力して設定される。その場合、設定されたデータは、例えば、記憶部60内の移動体・個人データ記憶部69に設定される。
設定部82の設定方法としては、入力手段であるキーボードやタッチパネル等により使用者の操作内容を検出して設定するようにしてもよいし、センサ等(例:GPS)によって検出された値やその値等の履歴等に基づいて自動的に設定するようにしてもよい。また、設定部82は、例えば、移動体・個人データ記憶部69等に設定値を記憶しておき、電源再投入時は、その記憶された設定値に基づいて設定するようにしてもよい。
【0175】
設定部82を設けることにより、一次位置軌跡データ生成部42は、自移動体1の寸法データ、または、用途データの少なくともいずれか一方を含ませて自移動体1の一次位置軌跡データを生成することができ、それにより、自移動体1の寸法や用途に絞り込んで、より適した他の移動体に搭載される位置軌跡データ処理装置からの一次位置軌跡データを得ることができる。その結果、報知データ生成部46は、例えば、道路における所定範囲内の移動体1〜7の分類上の設定データが大型の寸法データであり、業務用の用途データである移動体1〜7の固体数が所定数以上であり、その移動体1〜7各々の速度が幹線道路を示す所定値以上である場合、二次位置軌跡データを生成する場合に一般道路と分けて幹線道路用の報知データを生成できる。また、移動体1〜7各々の速度が高速道路を示す所定値以上である場合、二次位置軌跡データを生成する場合に一般道路と分けて高速道路用の報知データを生成してもよい。
【0176】
この設定部82で自移動体1の保管位置を設定することで、送信データ選択部43では保管場所の周囲の所定範囲の自移動体で検出された一次位置軌跡データを他の移動体2〜7に送信しないようにできる。これにより、送信側である自移動体1の保管場所が受信側の移動体に知られることが無くなる。また、報知データ生成部46も、自移動体で検出された一次位置軌跡データを報知に使用しないようにできる。これにより、本実施形態の位置軌跡データ処理装置では、各移動体及びその使用者のプライバシーを守ることができる。
【0177】
自移動体1の分類上の設定とは、例えば、大型移動体(大型車)、中型移動体(中型車)、小型移動体(小型車、軽自動車)等の寸法上の分類である。自移動体1が大型移動体である場合、分類上の設定を大型にする。その結果、二次位置軌跡データ生成部45では、例えば、小型移動体からの一次位置軌跡データしか受信しない領域の道路については、大型移動体の移動可能な二次位置軌跡データとして設定しないようにでき、大型移動体である自移動体が狭い経路へ誤進入することを避けることができる。また逆に、例えば、自移動体が小型移動体である場合、分類上の設定を小型にする。その結果、二次位置軌跡データ生成部45では、例えば、大型車の少ない道路を二次位置軌跡データとして選択するように優先順位を上げることで、運転手の不快感や恐怖感を避けることができる。
【0178】
設定部82は、静止画または動画を撮影可能なカメラ等であり、各移動体1〜7の少なくとも正面の画像を撮像して画像データを出力することができる。
【0179】
挙動データ取得部87は、自移動体1の挙動により変化するデータである挙動データを取得し、挙動データ記憶部70に記憶する。挙動データは、各種の電波や音その他物理量の検出状況を示すデータ・検出内容を示すデータ、車両の挙動に関するデータ(例:加速度、速度、イグニッションオン・オフ、ウインカー、ワイパー、ライト等)、カメラから取得した画像データ、画像データから文字認識された文字データなどのうち少なくとも1つを含む。挙動データの取得は、例えば、位置軌跡データ処理装置10と有線・無線等により電気的に接続された各種の検出部(センサ等)で行うことができる。検出部は、位置軌跡データ処理装置10と一体の筐体内に設けてもよいし、他の筐体に設けてもよい。他の筐体としては例えば車体があり、たとえば、車両制御のために車体内に設けた車内LANから取得するようにしてもよい。
【0180】
光学的文字認識部89は、撮像部85で撮像した画像データから文字を認識して、その画像中の文字を文字データに変換して出力する。これにより、画像マッチング部51は、その文字を二次地図データ上にマッチングさせて合成したり、POIデータとして記憶することができる。このようにして認識された文字データが通過した経路の地名や立ち寄った施設名である場合には、報知データ生成部46は、多くの地名や施設名を二次位置軌跡データにより生成された道路を含む二次地図データ上に画像マッチング部51で合成することで、従来の地図をアップデートしたり、新規の地図を作成することができる。
【0181】
また、従来の地図の情報が不足していたり、過多である場合には、報知データ生成部46は、地図をアップデートしたり新規に作成することで、表示内容が使用者にとって適度な情報量である地図にすることができる。地図が写真情報であったり、地図に写真情報が付属する場合も同様であり、報知データ生成部46は、写真情報に付加する内容をアップデートしたり、画像データから写真情報を新規に作成することで、表示内容が使用者にとって適度な情報量である写真情報にすることができる。この場合、画像データに文字認識した文字データを付加できるので、画像だけではわかりにくい地名や施設名等を容易に地図や写真情報に含ませることができる。
【0182】
また、例えば、キーワード記憶部73に「ラーメン」とキーワードを設定しておき、光学的文字認識部89で入力画像中から「ラーメン」を認識すれば、報知データ生成部46では、自移動体1の移動中にラーメン屋の看板に「ラーメン」の字があれば、報知を実施したり、ラーメン屋の情報を収集することが可能になる。この処理は、自動的に実施したり、他の処理よりも優先的に実施させることができる。また、キーワードを交通標識のデザインや文字にすれば、その走行区間の制限速度等を交通標識を認識することで認識できる。すると、報知データ生成部46は、各移動体の使用者が交通標識に気づかない場合でも、その走行区間の制限速度等を使用者に報知したり、交通車両の指示内容を認識して使用者に報知することができる。
【0183】
また、画像データから文字を認識する処理は、制御部40にとっては処理負荷が高くて重い処理になるので、例えば、通信部80でこの文字認識結果を送受信しあうことで、複数の移動体により分散実施することができる。また、地図データ記憶部67やPOIデータ記憶部71等に既に文字認識結果と同じ内容が含まれている場合には、報知データ生成部46が報知することで、新規に文字認識処理は行わないようにできる。
【0184】
また、この文字認識結果の場所が挙動データと対応付けられて記憶されている場合、報知データ生成部46が報知することで、その挙動データに対応付けられた位置においては文字認識を行わないようにできる。同様にして、他の処理負荷が高い処理についても、報知データ生成部46が報知することで、挙動データに対応付けられた位置においてはその処理を実施しないようできる。
【0185】
画像出力部90は、地図データ記憶部67等に記憶された情報及び/又は画像を読み出して、画像表示部95に表示可能なデータとして出力することができる。報知データの表示態様としては、例えば、道路として表示する場合、道路の色を変えたり、道路の輪郭線を実線と破線等で変えたり、時間経過に伴い表示内容を点滅や点灯、反転表示等を変化させて動的な表示態様の報知データを生成してもよい。具体的には、例えば、一次位置軌跡データに多車線道路におけるどの車線かのデータを付随させる場合、移動速度に応じてルートの表示色や輪郭線等の表示態様を変えて報知データを生成してもよい。
【0186】
画像表示部95は、例えば、液晶表示装置(LCD)等のように画像情報及び文字情報を表示させることができる表示装置である。
【0187】
通信ネットワーク800は、微弱電波、特定小電力、各種無線LAN対応方式、携帯電話回線利用方式等を利用する各種の無線通信方式から目的や用途に合わせて選択された通信回線又はネットワークであり、無線電波の届く範囲にある第1移動体1と他の移動体とを接続する。移動体同士で直接に接続する場合について説明するが、無線通信方式や無線電波の強度によっては基地局やリピータを介して自移動体1と他の移動体2〜7とを接続してもよい。
【0188】
通信ネットワーク800で自移動体1と他の移動体2〜7とを接続することで、自移動体1及び他の移動体2〜7からの一次位置軌跡データに基づき二次位置軌跡データを生成して、その二次位置軌跡データに基づいて報知データを生成することができる。この場合、自移動体1からの一次位置軌跡データのみに基づいて報知する場合と比較して、一台の移動体の一次位置軌跡データのみでは発生しやすい誤報知を減少させ、報知データの精度を向上させることができる。また、報知データが地図画像の場合、自移動体1の一次位置軌跡データのみからでは偏った二次地図データになりがちであるが、他の移動体2〜7の一次位置軌跡データと合わせて判断することで、汎用的な二次地図データを作成できる。また、報知データを作成する場合に、複数の移動体1〜7の一次位置軌跡データが領域的に重複する部分のデータのみを選択して利用するようにすれば、受信側から送信側の移動体を特定することが困難になり、送信側の移動体のプライバシーを守ることができる。また、報知データを記憶し送信する場合に、送信側では間欠的に位置軌跡データを記憶したり送信することで、報知データの精度を損なわないで記憶量と送信量を抑制することができる。
【0189】
図4(a)〜(d)は、本発明の一実施形態の位置軌跡データ処理装置が搭載されたA車、B車、C車の3台の移動体の位置軌跡と送信タイミングでの位置の関係を示している。図4(a)では、A車の全行程の位置軌跡の各位置をA1〜A8の△マークで示し、B車の全行程の位置軌跡の各位置をB1〜B6の◇マークで示し、C車の全行程の位置軌跡の各位置をC1〜C3の○マークで示している。A車は図面の左側の位置A1から右側に向かって移動し、位置A6と位置A7の間で左折して、位置A8まで移動している。B車は図面の上側の位置B1から下側に向かって移動し位置B6まで移動している。C車は図面の下側の位置C1から上側に向かって移動し位置C3まで移動している。
【0190】
A車の位置A7とB車の位置B3は、同じ道路のほぼ同位置で進行方向が対向している関係と考えられる。A車の位置A8とB車の位置B2の関係も同様である。次に、C車の位置C1とB車の位置B6、C車の位置C2とB車の位置B5、及び、C車の位置C3とB車の位置B4は、同じ道路のほぼ同位置で進行方向が対向している関係と考えられ、なお、各車の送信タイミングは不明である。
【0191】
図4(b)は、B車の全行程中の間欠的な送信軌跡中の送信位置Tb1とTb2を示している。B車は、位置B2で最初の一次位置軌跡データを送信(送信位置Tb1)し、その後に間隔を置いて、位置B4で次の一次位置軌跡データを送信(送信位置Tb2)している。
【0192】
図4(c)は、図4(b)のB車の送信軌跡中の送信位置と近接しないA車とC車の一部の送信軌跡中の送信位置を示している。B車については図4(b)と同様であるが、A車については、位置A7で最初の一次位置軌跡データを送信(送信位置Ta1)している。C車は、位置C1で最初の一次位置軌跡データを送信(送信位置Tc1)している。送信位置Tb1と送信位置Ta1は近接しておらず、送信位置Tb2と送信位置Tc1は近接しておらず、進行方向が対向することから同じ道路とは考えられるがほぼ同じ位置とは言えない。
【0193】
図4(d)が(c)のB車と近接したA車とC車の全行程の送信軌跡中の送信位置を示す図である。B車は、位置B2で最初の一次位置軌跡データを送信(送信位置Tb1)し、位置B3で次の一次位置軌跡データを送信(送信位置Tb3)し、その後に、位置B4でさらに次の一次位置軌跡データを送信(送信位置Tb2)している。A車については、位置A7で最初の一次位置軌跡データを送信(送信位置Ta1)し、位置A8で次の一次位置軌跡データを送信(送信位置Ta2)している。C車は、位置C1で最初の一次位置軌跡データを送信(送信位置Tc1)し、その後に、位置C3で次の一次位置軌跡データを送信(送信位置Tc2)している。送信位置Tb1と送信位置Ta2は近接しており、送信位置Tb3と送信位置Ta1は近接している。また、送信位置Tb2と送信位置Tc2も近接している。近接している各送信位置は、進行方向が対向しているだけで同じ道路とは考えられ、ほぼ同じ位置と言える。
【0194】
図4(c)と図4(d)を比較した場合、A車は、B車の送信位置Tb1での一次位置軌跡データを受信して、位置A8で一次位置軌跡データを送信(送信位置Ta2)している。B車は、A車の送信位置Ta1での一次位置軌跡データを受信して、位置B3で一次位置軌跡データを送信(送信位置Tb3)している。C車は、B車の送信位置Tb2での一次位置軌跡データを受信して、位置C3で一次位置軌跡データを送信(送信位置Tc2)している。
【0195】
A車の送信位置Ta1とB車の送信位置Tb3はほぼ同位置であり、A車の送信位置Ta2とB車の送信位置Tb1はほぼ同位置であり、これらの位置で地図等の報知データを作成しても、A車とB車の何れの一次位置軌跡データに基づくかの判断は難しい。同様に、C車の送信位置Tc2とB車の送信位置Tb2はほぼ同位置であり、これらの位置で地図等の報知データを作成しても、C車とB車の何れの一次位置軌跡データに基づくかの判断は難しい。
【0196】
図5(a)、(b)は、本発明の一実施形態の位置軌跡データ処理装置が搭載された3台の移動体の位置軌跡を示している。図5では、自車をC車とした場合に、他車であるA車とB車から条件に合致する一部の一次位置軌跡データを優先取得する場合を示している。
【0197】
図5(a)は、C車の進行方向の所定角度内にあるA車とB車の送信軌跡中の送信位置を示している。図5(a)では、自車がC車であり進行方向を中心線として、中心線から所定角度内にあるA車とB車の送信軌跡中の送信位置で送信された一次位置軌跡データを優先取得する。具体的には、Pa1、Pa2、Pa3、Pa4、Pb1、Pb2、Pb3、及び、Pb4が中心線から所定角度内であるので、その位置で送信された一次位置軌跡データを優先取得する。なお、B車の位置B1については、中心線から所定角度内であるがC車からの距離が遠いため、便宜上で優先取得する送信位置から除外している。
【0198】
図5(b)は、C車の進行方向の対向方向に進むB車の送信軌跡中の送信位置を示す図である。図5(b)では、自車がC車であり対向して進行するB車の送信軌跡中の送信位置で送信された一次位置軌跡データを優先取得する。具体的には、Pb1、Pb2、Pb3、Pb4、Pb5、及び、Pb6の位置で送信された一次位置軌跡データを優先取得する。
【0199】
図6は、図1〜図3の第1移動体1の処理フローの一例を示すフローチャートである。本実施形態の第1移動体1の動作としては、まず、位置検出部20で位置を検出し(S1)、位置データ選択部41で、例えば、毎秒10ポイント等に位置データを選択し(S2)、一次位置軌跡データ生成部42で各位置データから一次位置軌跡データを生成し(S3)、その生成された一次位置軌跡データを一次軌跡データ記憶部65に順次記憶する(S4)。
【0200】
次に、送信データ選択部44では、記憶された一次位置軌跡データから間欠的に送信する部分を選択する(S5)。通信部80では、選択された第1移動体1の一次位置軌跡データを送信する(S6)。
【0201】
次に、第1移動体1は、他の移動体2〜7から一次位置軌跡データを受信したか否かを判断する(S7)。受信していない場合(S7:NO)には、再度受信処理を実施する。受信した場合(S7:YES)には、一次軌跡データ記憶部65内の他の移動体2〜7から受信した一次位置軌跡データと第1移動体1の一次位置軌跡データの密度が高い部分を判定する(S8)。判定された部分を二次位置軌跡データとして、二次軌跡データ記憶部66に記憶する(S9)。
【0202】
報知データ生成部46では、二次軌跡データ記憶部66の二次位置軌跡データに基づいて使用者に報知するために画像表示部95に表示させる報知データを生成する(S10)。なお、本実施形態では、報知データは地図データに合成する内容であり、不図示の音響データを含んでもよい。次に報知データ生成部46は、画像マッチング部51を用いて、地図データ記憶部67から読み出した地図データ上に報知データを合成し(S11)、報知データが合成された地図データを再度地図データ記憶部67に記憶すると共に、画像出力部90を介して画像表示部95に表示させる(S12)。
【0203】
図7は、本発明の一実施形態の第1移動体〜第4移動体のデータ送受信の関係を示すフローチャートである。第1移動体1〜第4移動体4は、同様な位置軌跡データ処理装置10を備え、同様に動作するものとする。フローチャートでは、第1移動体1の動作をステップS21〜S30で示し、第2移動体2の動作をステップS41〜S50で示し、第3移動体3の動作をステップS61〜S70で示し、第4移動体4の動作をステップS81〜S90で示した。
【0204】
第1移動体1のステップS21「位置検出」と、その右横の第2移動体2のステップS41「位置検出」と、その右横の第3移動体3のステップS61「位置検出」と、その右横の第4移動体4のステップS81「位置検出」とは、同様な動作を実施する。以下の第1移動体1の各ステップの動作も、各々の横に位置する他の移動体のステップにおいて同様な動作が実施される。そのため以下の説明では、特に必要がない場合には第1移動体1のステップのみについて説明し、他の移動体の動作については説明を省略する。
【0205】
第1移動体1は「位置検出」ステップS21で、図6のステップS1と同様に位置を検出し、「一次軌跡データ生成」ステップS22で、図6のステップS3と同様に一次位置軌跡データを生成し、「一次軌跡データ記憶」ステップS23で、図6のステップS4と同様に一次位置軌跡データを記憶する。その後、第1移動体1は、「送信データ選択」ステップS24で、図6のステップS5と同様にデータを選択し、「一次軌跡データ送信」ステップS25で、図6のステップS6と同様にデータを送信する。
【0206】
このステップS25で、第1移動体1から送信された一次位置軌跡データは、第2移動体2と第3移動体3と第4移動体4で受信することができる。この時点で、他の移動体(第2移動体2と第3移動体3と第4移動体4)も各一次位置軌跡データを送信しており、各々の自移動体以外の他の移動体でその各一次位置軌跡データを受信することができる。
【0207】
その後、第1移動体1は「一次軌跡データ受信」ステップS26で、図6のステップS7と同様に他の移動体(図7では第2移動体2と第3移動体3と第4移動体4)からの各一次位置軌跡データを受信し、その受信した各一次位置軌跡データが記憶される。次に第1移動体1は、「一次軌跡データの密度判定」ステップS27で、図6のステップS8と同様に軌跡データ密度判定部44で、各一次位置軌跡データの密度が高い部分を判定し、「二次軌跡記憶」ステップS28で、図6のステップS9と同様に二次位置軌跡データ生成部45で、その判定された密度の高い部分を二次位置軌跡データとして二次軌跡データ記憶部66に記憶する(S28)。
【0208】
さらに第1移動体1は、「二次軌跡を地図上に合成」ステップS29で、図6のステップS10、S11と同様に報知データ生成部46で、画像マッチング部51を用いて、二次位置軌跡データまたはそれに基づく報知データを地図上に合成し、「合成した地図の画像データ記憶」ステップS30で、図6のステップS12と同様に報知データ生成部46で、合成された地図を地図データ記憶部68に記憶する。
【0209】
以上は第1移動体1についての動作を示したが、第2移動体2のステップS41〜S50、第3移動体3のステップS61〜S70で示し、第4移動体4のステップS81〜S90についての動作もステップ番号を読み替えるのみで同様であるので、それらについては記載を省略する。なお、図7では第1移動体1〜第4移動体4におけるデータ交換を通信により行う様子を示したが、図2等に示したように第2移動体2〜第7移動体7あるいはそれ以上の任意の数の移動体と通信してデータ交換してもよい。なお、第2移動体2〜第7移動体7等は、図3に示した第1移動体1の一次位置軌跡データ処理装置10と同様な構成を少なくとも備える移動体である。
【0210】
このように本実施形態では、移動体が通過した一次位置軌跡データに基づき道路を設定することができ、その際に複数の移動体から一次位置軌跡データを受信して、それらの密度の高い部分を道と判定するので、誤判定を減少させて角度の高い道路の更新データを得ることができる。
【0211】
図8は、上記した実施形態の第1移動体1内のハードウェア構成の一例を示す図である。
なお、以下に説明する図8に示した第1移動体1の内部構成ブロックは、必要に応じて第2移動体2〜第7移動体7にも適用することができる。また、移動体の数は、複数(2個以上)であれば、7個以下でも、8個以上であっても良い。また、第1移動体1は、記憶媒体としてRAMとROMのみ又はそれにHDドライブのみを追加した構成であってもよい。また、第2移動体2〜第7移動体7は、表示装置やユーザインターフェース及び入出力装置等の対人インターフェース部分を有していない構成であってもよい。
【0212】
上記した制御部40内の各部は、図8に示したCPUおよびRAM等のコンピュータでプログラムを実行して実施される。プログラムでコンピュータに実施させることで、制御部40と記憶部60のみで実施できる内容が増え、個別のハードウエア数を減らすことができ、また、変更や改善するために、プログラムを更新するだけで対応することができ、使用中のハードウエアの変更も減らすことができる。
【0213】
第1移動体1は、主コントローラ111により相互に接続されるCPU101、RAM103、グラフィック・コントローラ109、及び表示装置110を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ112により主コントローラ111に接続される通信インターフェイス104、ハードディスクドライブ105、及びCD−ROMドライブ107を有する入出力部と、入出力コントローラ112に接続されるROM102、フレキシブルディスク・ドライブ106、及び入出力チップ108を有するレガシー入出力部とを備える。
【0214】
主コントローラ111は、RAM103と、高い転送レートでRAM103をアクセスするCPU101、及びグラフィック・コントローラ109とを接続する。CPU101は、ROM102、及びRAM103に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ109は、CPU101等がRAM103内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置110上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ109は、CPU101等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0215】
入出力コントローラ112は、主コントローラ111と、比較的高速な入出力装置であるハードディスクドライブ105、通信インターフェイス104、CD−ROMドライブ107、ユーザインターフェース113、データインターフェース121を接続する。ハードディスクドライブ105は、CPU101が使用するプログラム、及びデータを格納する。通信インターフェイス104は、通信装置115を介して通信ネットワーク800に接続してプログラムまたはデータを送受信する。通信装置115は、本実施形態では無線方式の通信装置であり、その無線通信方式は、微弱電波、特定小電力、各種無線LAN対応方式、携帯電話回線利用方式等の様々な方式を利用することができる。通信ネットワーク800は、無線通信を用いて各移動体間の通信を確立する。
【0216】
CD−ROMドライブ107は、CD−ROM160からプログラムまたはデータを読み取り、RAM103を介してハードディスクドライブ105、及び通信インターフェイス104に提供する。ユーザインタフェース113には、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の手入力装置、又は、音声入力装置等が接続される。データインターフェース121には、例えば、グローバルポジショニングシステム(GPS)等が位置検出装置123及び計時装置122として接続される。これにより、移動体の正確な緯度データと経度データ及びその正確な取得時刻データを得ることができる。
【0217】
また、入出力コントローラ112には、例えば、さらにROM102と、及び入出力チップ108の比較的低速な入出力装置(フレキシブルディスク・ドライブ106)とが接続される。ROM102は、第1移動体1が起動時に実行するブート・プログラムや、第1移動体1のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ106は、フレキシブルディスク150からプログラムまたはデータを読み取り、RAM103を介してハードディスクドライブ105、及び通信インターフェイス104に提供する。入出力チップ108は、フレキシブルディスク・ドライブ106や、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0218】
CPU101が実行するプログラムは、例えば、フレキシブルディスク150、CD−ROM160、またはICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。記録媒体に格納されたプログラムは圧縮されていても非圧縮であってもよい。プログラムは、記録媒体からハードディスクドライブ105にインストールされ、RAM103に読み出されてCPU101により実行される。
【0219】
CPU101により実行されるプログラムは、第1移動体1を、図1〜図7に関連して説明したように機能させる。また、図2の第2移動体2〜第7移動体等の他の移動体についても、同様の構成を有する場合は、同様に機能させる。
【0220】
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク150、CD−ROM160の他に、DVDやPD等の光学記録媒体、MD等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークやインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスクまたはRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介して第1移動体1に提供してもよい。
【0221】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0222】
1 第1移動体(自移動体)、
2 第2移動体(他の移動体)、
3 第3移動体(他の移動体)、
4 第4移動体(他の移動体)、
5 第5移動体(他の移動体)、
6 第6移動体(他の移動体)、
7 第7移動体(他の移動体)、
10 位置軌跡データ処理装置、
20 位置検出部、
30 計時部、
40 制御部、
41 位置データ選択部、
42 一次位置軌跡データ生成部、
43 送信データ選択部、
44 軌跡データ密度判定部、
45 二次位置軌跡データ生成部、
46 報知データ生成部、
47 進行方向判定部、
48 移動速度・距離演算部、
49 移動体数演算部、
50 移動ルート状況分析部、
51 画像マッチング部、
52 日記/日報データ作成部、
53 キーワード照合部、
60 記憶部、
61 位置データ記憶部、
62 置検出時刻記憶部、
63 移動体ID記憶部、
64 データ数記憶部、
65 一次軌跡データ記憶部、
66 二次軌跡データ記憶部、
67 地図データ記憶部、
68 交通データ記憶部、
69 移動体・個人データ記憶部、
70 挙動データ記憶部、
71 POIデータ記憶部、
72 日記/日報データ記憶部、
73 キーワード記憶部、
80 通信部、
81 交通データ検出部、
82 設定部、
85 撮像部、
87 挙動データ取得部、
89 光学的文字認識部、
90 画像出力部、
95 画像表示部、
101 CPU(セントラル・プロセシング・ユニット)、
102 ROM(リード・オンリー・メモリ)、
103 RAM(ランダム・アクセス・メモリ)、
104 通信インターフェース(I/F)、
105 ハードディスク(HD)ドライブ、
106 フロッピーディスク(登録商標)(FD)ドライブ、
107 CD−ROMドライブ、
108 入出力(I/O)チップ、
109 グラフィックコントローラ、
110 表示装置、
111 主コントローラ、
112 入出力(I/O)コントローラ、
113 ユーザーインターフェース(I/F)、
114 入出力装置、
115 通信装置、
121 データインターフェース(I/F)、
122 計時装置、
123 位置検出装置、
800 通信ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の各位置における時刻データと関連付けられた位置データから位置軌跡データを生成し、該位置軌跡データの軌跡をPOI(point of interest)データを含む地図上に加えた二次地図を作成し、該二次地図から移動体の通過経路及び立ち寄り施設を含む日報を生成する
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記位置軌跡データは、自移動体の位置軌跡データと通信手段によって他の移動体に搭載されるシステムから受信した位置軌跡データに基づく記憶用の位置軌跡データとを備え、当該位置軌跡データに基づき前記日報を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記位置軌跡データは、各POIデータの立ち寄り施設への立ち寄り時間を含ませて記録したこと
を特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記通過した経路及び立ち寄り施設を含む記録に、当該移動体の少なくとも前方を撮像した画像データをマッチングさせて付加する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記通過した経路及び立ち寄り施設を含む記録に、前記画像データを文字認識した文字データをマッチングさせて付加する
ことを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記文字データが所定のキーワードに該当する場合に、当該文字データを含ませて前記日報を生成する
ことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記日報は、他の道路や施設との近接状況の検出処理及び/又は判定処理の結果、及び/又はそれらに対する警告を含む
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記二次地図データは、前記位置軌跡データを前記POIデータを含む前記既存地図データ上にマッチングさせて付加する
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のシステム。
【請求項9】
自移動体及び他の移動体の位置軌跡データを用いて、使用者又は一般の人に好まれる経路の探索、及び/又は使用頻度が高い経路の探索を行う
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のシステム。
【請求項10】
位置データと時刻データを含む各位置軌跡データを生成する際に、移動体について、個別に認識するための識別(ID)符号のデータ、軌跡データ密度、進行方向、移動速度、移動距離、移動体の分類、個人データ、車両の挙動データの少なくとも一つを加えて生成する
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記挙動データは、移動体に設けられた各種センサの各種物理量の検出装置により検出された各種物理量検出データを含む
ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記位置軌跡データを生成する場合に、時刻情報と位置データから演算される平均速度、及び/又は該平均速度が所定速度以上であることを含む
ことを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載のシステム。
【請求項13】
道路における移動体の速度が渋滞を示す所定値以下であり、位置軌跡データにより特定された道路における所定範囲内の移動体の数が多く密度が高い場合、その道路について渋滞発生と判定した日報を生成する
ことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載のシステム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のシステムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−61351(P2013−61351A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−264353(P2012−264353)
【出願日】平成24年12月3日(2012.12.3)
【分割の表示】特願2009−229196(P2009−229196)の分割
【原出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】