説明

低圧シールガスケット

【課題】低い圧力を加えた丈けで実質的に非通気性のシールを与える、一体型の延伸膨張PTFEガスケットを提供すること。
【解決手段】多層、一体型のガスケットであって、第一の実質的に非通気性の外層14と第二の実質的に非通気性の外層14との間に配置された延伸膨張PTFEの少なくとも一つの内層15を有し、且つ第一及び第二の実質的に非通気性の層14の間をつなぐ実質的に非通気性の領域13を有するガスケット。ガスケットは、低圧で圧縮された時に実質的に非通気性のシールを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスケットに関し、より詳しくは、現存のガスケットで要求されるよりも、より低圧下でシールを形成するガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
シールを行なう用途に対して、極めて多様なガスケットが知られている。延伸膨張ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、現在ガスケット用材料として広く使用されている。ゴアの米国特許第3,953,566号に開示されているように、本材料はガスケットとして極めて望ましい多くの性質を有する。これらの性質として、圧縮性及び形態順応性が良好なこと、化学的抵抗性があること、比較的高い強度を有すること、及び非延伸膨張の完全に緻密化したPTFE丈けのものよりクリープ性及びシール圧損が遥かに少ないこと等が挙げられる。
【0003】
シールを行なう多くの場合に、パイプ間のようなフランジ間の連接個所をシールするのにガスケットが使用される。このようなシールに際して、延伸膨張PTFEのガスケットはフランジ間に配置でき、次いでボルトを締め付ける等して力を加えてフランジを一緒に圧しつけることができるので、延伸膨張PTFEはガスケット用として望ましい材料である。このように力を加えることによって、延伸膨張PTFEは圧縮される。延伸膨張PTFEが加圧されると、初期の気孔体積は減少し、かくして延伸膨張PTFEは緻密化される。特に金属対金属のフランジの場合は、延伸膨張PTFEを十分に緻密化するのに十分な力(或は圧力)を加えることが可能である。このように延伸膨張PTFEガスケットの少なくとも一部では、気孔体積は実質的に零になる迄に減少し、その結果、フランジをシールする緻密化された非多孔質PTFEガスケットによって、パイプのフランジ間の洩れが防止される。
【0004】
多くのシール適用において、特に、腐蝕性の激しい化学物質が用いられ、金属を容易に破損したり、或はその金属が輸送又は貯蔵されている化学物質を汚染する可能性がある場合には、硝子を裏打ちしたスチール、硝子、或は硝子繊維強化プラスチック(FRP)の配管及び容器を使用するのが普通である。この装置は非常にしばしば、特に腐蝕性の激しい化学物質と共に用いられるので、PTFEのよく知られた極めて大きい化学耐性の故に、この装置の接続フランジをシールするのにPTFEガスケットを使用する願望が大である。不幸にして非延伸膨張の完全充実PTFEガスケットは、この種の装置を有効にシールするのに十分な程度には一般に形態順応性がない。硝子を裏打ちしたスチールのフランジの場合、相対的に平滑な仕上げになっているけれども、しばしばフランジに関連した多くのでこぼこ、或は平坦性の欠如が存在する。このようなでこぼこ或は平坦性の欠如がある場合、有効なシールを行なうために、ガスケットは、フランジの内径及び外径間はもとより、その周縁の沿った大きな変動に対して形態順応性を持つことが求められる。このように非延伸膨張の完全充実PTFEガスケットは、これら多くの適用時のシールを十分に行なえる程形態順応性ではない。
【0005】
延伸膨張PTFEは非常に形態順応性があるので、これらの一般に平坦性のないフランジをシールするのに延伸膨張PTFEを用いるのが望ましい。不幸にしてこれらの適用の多くの場合、フランジに十分な力を加え、延伸膨張PTFEガスケットを完全に緻密化するのに十分なガスケット圧を発生させ、かくして有効なシールを得ることは不可能である。例えば、硝子を裏打ちしたスチールの配管フランジ、硝子のフランジ、或はFRPの配管フランジは、高い圧力を加えることによって変形、破砕、或は破損を生じる可能性がある。このように、これらの適用において、延伸膨張PTFEガスケットは、非多孔質状態になる程完全には緻密化されない可能性があり、そのため洩れのない状態にはならない。これはフランジを破損することなくフランジに加え得る最大圧力は、ガスケットを十分に緻密化するのに十分でないからである。
【0006】
多くの場合、貯蔵又は輸送される流体をシールできることが必要である許りでなく、更にガスケットが、工業分野で一般に知られている所謂「バブルテスト」に合格できる気密シールを提供できることが必要である。システムが生産に使用され、目的とする実際の流体を運搬することが受入れられる前に、その配管システムの洩れを調べるためのスタートアップ前の資格試験として、この種の試験を行なうのが一般的である。この試験では、ガスケットを取りつけた配管システムは空気加圧され、次いで石鹸水を吸きつけられる。パイプとフランジの集成装置は、石鹸水中に現われる空気洩れを示す気泡を目視でチェックする。洩れる個所は全てバブルテストに合格するように除去されねばならない。
【0007】
このように多年にわたって望まれてきたものは、有効に形態順応ができ、シール形成に利用可能な低い負荷又は圧力でこの装置に対して気密シールを提供できる、使用が容易で化学耐性の高いガスケットである。
【0008】
これらの困難な応用例で、有効なシールを行なうことができるガスケットを提供しようとする多くの試みがなされてきた。これらの試みの多くのものは二片より成るガスケットに関するものである。これらのガスケットは一般に封筒型ガスケットに属するものである。多くの封筒型ガスケットでは、外側のPTFEの封筒がつくられ、次いで別個により圧縮性のある充填材料がこの中に充填されるが、このような充填材としては、圧縮されたアスベスト又は他のフェルト化されたガスケット充填材、エラストマー又はプラスチック材料、或は金属、通常はステンレススチールの波形リングが挙げられる。この基本的な考えは、封筒状ガスケットのPTFEの被覆物が化学的耐性を与え、一方形態順応性は充填材料によって与えられるというものである。
【0009】
ピトライの米国特許第4,900,629号に述べられているように、不幸にして封筒型ガスケットはいくつかの不利益を受け易い。封筒状の被覆物はガスケットの取付中にしばしばそれ自体の上に折り重なり、これによって洩れを生じさせるしわをガスケット中に生成する。また封筒自体にピンホール洩れが生じる可能性があり、腐蝕性材料が封筒の充填材を侵蝕し、充填材の劣化をもたらす。充填材が劣化するとシール圧が減少し、洩れを生じさせることがある。結果として起り得る他の問題は、劣化した充填材材料が、パイプまたは容器中に存在する流体を汚染する可能性があるということである。いくつかの例で、PTFEの封筒状の被覆物が形態順応性のある充填材料から分離し、波しわまたは折り目が単に封筒状物を充填材上で引張る丈けで発生し、これがまた洩れを生じさせる可能性がある。更に平坦でないフランジによるトルクが発生した場合、被覆物に過度の張力が加わって破裂し、このためまた腐蝕材が充填材を侵蝕し、その結果充填材の劣化及びシールの損失をもたらすことを許す可能性がある。他の問題は、これらの封筒型ガスケットはまた常温流れまたはクリープを受け易く、その結果周期的にボルトに再度トルクを与える必要が生ずることである。
【0010】
ニコルソンの米国特許第5,195,759号では、封筒型のガスケットがPTFEの封筒状物を用いており、この封筒状物中には薄い金属の細片を巻いたり、または組み重ねてつくられた複数の湾曲部から成る手の込んだ金属充填物があって、この金属細片はその幅方向にレジリエンスを与えるように穴があけられている。夫々の巻回は異なった方向に動いたり潰れたりすることができ、これによってシールされるべき面の平坦性の欠如に順応している。流体を通さない材料の巻回を、穴があけられた細片の巻回の中に分布させてもよい。このガスケットは若干の利点を有するけれども、ある条件下で金属の充填物が化学侵蝕を受ける等の、上述の封筒型ガスケットに関連した不利益の多くをなお受けるものである。
【0011】
ニコルソンの米国特許第5,558,347号では、化学的耐性のあるPTFEの封筒状物から成るガスケットが開示されており、その封筒状物中の金属の詰め物のリングは、複数の小室を形成するような形となっている。これらの小室は加圧下に不活性ガスを充填させることができ、その結果ガスケットに対する負荷の増加が緩和され得る。このガスケットも若干の利点を有するが、なお封筒型ガスケットに関連した上述の同様の不利益の多くを受けるものである。
【0012】
上田等の特開平4−331876号公報では、別の封筒(被覆材)型ガスケットが提案されており、これは小繊維化されて(延伸膨張されて)、1.8g/cc以下の密度を有する低密度多孔質PTFEから成る芯の外面が、高密度焼成PTFEから成るさや状物で覆われているものである。このガスケットは100%PTFEであるという利点を有し、それ故に外部の封筒状物中のピンホール洩れにより化学的侵蝕が問題となることはないが、依然として外部の封筒状物または被覆材が、ガスケットの取付中にそれ自体の上に折れ曲り、これによってガスケットにしわができて洩れを生ずるという前述の問題の被害を受けることがある。このガスケットはまた、PTFEの封筒状被覆材が形態順応性のある充填材から分離し、洩れの危険がある波しわや折れしわを生ずると前述の問題の被害を受けることがある。このガスケットのもう一つの問題は、封筒状被覆材と内部の多孔質PTFEの芯との間に、ガスケットの内径に沿っての密接がなく、このため封筒状被覆材はこの部分で支持のない状態に置かれ、従って取付中及び使用中に一層損傷を受け易くなることである。
【0013】
ピトライの米国特許第4,900,629号で述べられているように、封筒型ガスケットに関連した問題のいくつかを是正する試みで、微細気泡(例えば硝子の微細球)を充填した均一なPTFEのガスケット材が開発された。この材料は、ニューヨーク州パルミラのガーロック社で製造された、ガーロックスタイル3504ガスケット材によって説明されているように、PTFEのバインダーに圧縮性(25%から35%)を賦与するために硝子の微細球を使用しており、これによって多成分ガスケットで経験した不利益なしに、より変形可能なガスケットを提供している。この均一なPTFEと微細球の組合せのガスケット材は、微細球の組込みによって、高度の圧縮性及びシール特性を示し、一方PTFEによって与えられる化学物質に対する耐性及び高度の温度特性を維持している。併しながら、PTFEに微細球を加えることによって、純粋のPTFEガスケット材によって与えられる筈の引張強度特性が低下することになる。その上このガスケットは、延伸膨張PTFEの方が非延伸膨張PTFEよりも上廻っている、前述の利点の中のいくつかを失なうことになる。
【0014】
ピトライの米国特許第4,900,629号では、この均一なPTFEと微細球との複合ガスケットに内在する弱点を、ガスケットの表面層にはより多くの微細球を充填し、一方中心部には充填されないPTFEを残すことによって解決しようという試みがなされている。この微細球の充填層は夫々得れるガスケット材の全体の厚さの20%から25%の範囲内に形成され、一方中心のPTFE部は、全体のガスケットの厚さの50%から60%の範囲内である。この特許で説明されているように、これらの比率は重要である。理由は、若し前記の外表面層が、全体のガスケットの厚さの25%以下に形成されると、仕上った複合シートは圧縮性を減ずることとなり、一方25%を超えるように形成されると、仕上った製品のクリープ耐性及び引張り強度が犠牲になる。このガスケットは微細球を均一に充填したガスケットに対して改良されたものであり、封筒型ガスケットに関連する諸問題を回避したものであるが、なお依然として多くの適用時の諸問題を十分に解決するには到っていない。このガスケットでは圧縮性をクリープ耐性及び引張強度との兼合いで決めざるを得ない問題が未解決である。このガスケットではまた、延伸膨張PTFEが非延伸膨張PTFEに比較した場合有する、前述のいろいろな利点のいくつかを失なうことになる。
【0015】
ウォーターランドの米国特許第5,112,664号では、封筒型ガスケットに関連した二片タイプに由来する諸問題を是正しようとするもう一つの試みとして、腐蝕性の環境で使用するために、芯が合成ゴムのガスケットで、さや材が延伸膨張PTFEを緻密化したもので、芯のガスケットの表面を少なくとも部分的に包むさや材の少なくとも一つの表面に接着剤を有する、一体型のさや付ガスケット集成体が提供されている。このガスケットは二片から成る封筒型ガスケットに由来するしわや折れ曲りを受けることはない。併しながら、このガスケットはなお、外側のさやのピンホール洩れに起因した、化学物質による侵蝕の内在的問題を受けることになる。
【0016】
封筒型ガスケットに関連した諸問題を是正するもう一つの試みとして、ヨーロッパ特許出願EP0736710A1では、衛生配管用の多孔度PTFEから成る環状ガスケットが提案されているが、これはシールされた流体と直接接するガスケットの内側部分の表層が、気孔のない状態に溶融固化した層として形成されたものである。このガスケットは多孔質材料から成るものではあるが、ガスケットの内側部分に気孔のない溶融固化層が形成されていることによって、ガスケットの内側部分からの浸透洩れが防止されると述べられている。更に、溶融固化層はガスケットの内側部分の表層に丈け形成されているので、柔軟性、順応性といった多孔質PTFEの本来の性質は損なわれることがない述べられている。このガスケットは純粋のPTFEガスケットに関連した利点を有するが、加圧下で透過耐性を十分に有する、丈夫で気孔のない溶融固化層を得ることは困難な場合がある。更に、硝子を裏打ちしたスチールのフランジは、丸くふくらんだ性質があるので、多くの場合、ガスケットの内側部分に形成された気孔のない溶融固化層と、フランジがガスケットと接する個所との間に、洩れ易い通路ができることになる。この通路は図20に示されている。この図は二個の通常の硝子を裏打ちしたスチールのフランジ96から成る、ガスケットを取付けたフランジ集成体90の側断面であって、ガスケット91の上面及び底面94と接する一対の端部95が丸くふくらんでいる。若しガスケット91の内径93の表層丈けが、含まれた流体に対して不透過性であると、流体に対して不透過性でないガスケット91の露出部分を通して、洩れ易い通路92が形成されることが判る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
一体型で、形態順応性があり、クリープ耐性で、高強度、且つ化学的耐性のあるガスケットで、特に硝子を裏打ちしたスチールのフランジに対して、比較的低圧を加えた丈けで開孔をシールすることができるものの提供が望まれている。従って、低い圧力を加えた丈けで実質的に非通気性のシールを与える、一体型の延伸膨張PTFEガスケットを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、多層、一体型のガスケットであって、第一の実質的に非通気性の外層と、第二の実質的に非通気性の外層との間に配置された、少なくとも一つの延伸膨張PTFEの内層を含み、且つ第一及び第二の実質的に非通気性の層の間をつなぐ、実質的に非通気性の領域を含むものを提供する。
【0019】
もう一つの態様において、本発明は、多層、一体型のガスケットであって、上面、底面、内辺、外辺、及び軸線を含み、更に上面に配置された第一の実質的に非通気性の層、及び底面に配置された第二の実質的に非通気性の層、並びに第一及び第二の実質的に非通気性の層の間に配置された少なくとも一つの延伸膨張PTFEの層を含み、更に第一及び第二の実質的に非通気性の層の間をつなぐ実質的に非通気性の領域を含み、且つ前記層の全てが軸線に対して実質的に垂直に配置されているものを提供する。
【0020】
もう一つの態様において、本発明は、内周、外周、上面、及び底面を有する環状ガスケットであって、内周に隣接して配置され、上面にある第一の非通気性上層及び底面にある第一の非通気性底層を有する、延伸膨張PTFEから成る第一室を含み、更に外周に隣接して配置され、上面にある第二の非通気性上層及び底面にある第二の非通気性底層を有する、延伸膨張PTFEからなる第二室を含み、且つ第一及び第二室の間に配置された、実質的に非通気性の領域を含むものを提供する。
【0021】
更にもう一つの態様において、本発明は、内周、外周、上面、及び底面を有する環状ガスケットであって、これは更に延伸膨張PTFEより成る第一室、第二室、及びこれら両室間に配置された領域を有し、第一室は内周に隣接して配置され、上面に第一の頂部を、また底面に第一の底部を有し、第一の頂部及び第一の底部は第一室の延伸膨張PTFEより通気性が少ないものであり、第二室は外周に隣接して配置され、上面に第二の頂部を、また底面に第二の底部を有し、第二の頂部及び第二の底部は第二室の延伸膨張PTFEより通気性が少ないものであり、また第一室と第二室と間の領域は、第一及び第二室の延伸膨張PTFEよりも通気性が少ないものであるガスケットを提供する。別の実施例において、本領域は内周または外周の何れかに配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の例として役立つ実施態様によるガスケットの上面図である。
【図2】図1のガスケットの側断面図である。
【図3】図2のガスケットの一部の分解された側断面図である。
【図4】本発明のもう一つの例として役立つ実施態様によるガスケットの上面図である。
【図5】図4のガスケットの側断面図である。
【図6】図5のガスケットの一部の分解された側断面図である。
【図7】本発明のもう一つの例として役立つ実施態様によるガスケットの上面図である。
【図8】図7のガスケットの側断面図である。
【図9】図8のガスケットの一部の分解された側断面図である。
【図10】GORE−TEX GR(登録商標)スタイルRシートガスケット材の側断面図である。
【図11】本発明のもう一つの例として役立つ実施態様に対するガスケットの側断面図である。
【図12】本発明のもう一つの例として役立つ実施態様に対するガスケットの側断面図である。
【図13】本発明のもう一つの例として役立つ実施態様に対するガスケットの側断面図である。
【図14】本発明の例として役立つ実施態様について行なわれた試験の結果のグラフ表示である。
【図15】本発明の例として役立つ実施態様について行なわれた試験の結果のグラフ表示である。
【図16】本発明の例として役立つ実施態様のシール性を決定するのに使用した、試験取付具の側断面図である。
【図17】本発明の例として役立つ実施態様について、非通気性を測定するのに用いた試験装置の側断面図である。
【図18】本発明の例として役立つ実施態様について行なわれた試験結果のグラフ表示である。
【図19】従来の先行技術の封筒型ガスケットの側断面図である。
【図20】フランジ間に先行技術のガスケットを有する、2個の従来の硝子の裏打ちをしたフランジの側断面図である。
【図21】本発明の例として役立つ実施態様について、液体透過性を測定するために使用した試験装置の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、ガスケットによって接合またはシールされる要素に比較的低い負荷を加え、従ってガスケットに比較的低い圧力を加えて、実質的に非通気性のシールを与える改良された延伸膨張PTFEのガスケットを提供する。本明細書中で用いる「非通気性」という語は、材料を通しての空気の移動に対して抵抗を有することを意味する。本明細書中で用いる「低い圧力」という語は、多孔質の延伸膨張PTFEガスケットを完全に緻密化するのに必要な圧力より低い(約20,700kPa (3,000psi )より低い)圧力を意味する。多孔質の延伸膨張PTFEガスケットを完全に緻密化するのには、一般に少なくとも約20,700kPa (3,000psi )が必要である。大抵の低い圧力の適用は約10,340kPa (1,500psi )のガスケット圧よりも低く、更に若干の低い圧力の適用は約2,070kPa (300psi )のガスケット圧よりも低いこともある。
【0024】
本発明の例となる実施態様を図1に示す。ガスケット10は任意の形状のものでも使用可能であるが、環状リングの形状で示されている。ガスケット10は第一室11及び第二室12を有する。第一室11と第二室12との間には、実質的に非通気性の領域13が存在する。
【0025】
図2に示すように、実質的に非通気性の領域13は、第一室及び第二室の厚さよりも減少した厚さを有する。実質的に非通気性の領域13は、第一室を第二室から隔絶するのに役立ち、一方で同時に第一室と第二室の両方に連結されている。
【0026】
図2の円で囲んだ部分の分解図である図3に示すように、第一室及び第二室は何れも、延伸膨張PTFE層15の上面及び底面の、実質的に非通気性の層14の間に挟まれた、延伸膨張PTFEの内層15でつくられている。実質的に非通気性の層14は、緻密化した延伸膨張PTFEでつくられるのが好ましい。緻密化した延伸膨張PTFEは、それがPTFEであるために最高水準の化学耐性を有する一方で、その延伸膨張特性によって高い水準の強度及びクリープ耐性が得られるという点で好ましい。実質的に非通気性の層14は、実際に複数のそのような緻密化した延伸膨張PTFE層からつくられてもよい。他の実質的に非通気性材料を使用することも可能で、このようなものとして、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(PFA)、及び切削したPTFEが挙げられる。または、非通気性層14は、エラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、或はパーフルオロポリエーテルシリコーンエラストマーのような充填材を含浸させた、延伸膨張PTFEからつくることも可能である。
【0027】
個々のガスケットの両方の非通気性層14を形成するのに、同じ材料で、材料の厚さが同じものを使用するのが一般に好ましい。併し二つの材料と材料の厚さが両方共異なるもの、或は何れか一方が異なるものも、ガスケットの非通気性層14に好ましい若干の適用例もあり得る。
【0028】
延伸膨張PTFE層15はまた複数の延伸膨張PTFEの個々の層から構成することも可能である。実質的に非通気性の領域13は、FEP、PFA、及び切削PTFEのような任意の実質的に非通気性の材料を含むことも可能であるが、緻密化した延伸膨張PTFEであることが好ましい。または、実質的に非通気性の領域13は、エラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、またはパーフルオロポリエーテルシリコーンエラストマーのような充填材を含浸させた、延伸膨張PTFEからつくることも可能である。一般に使用したエラストマーの種類、または使用した他の種類の非透過被覆或は充填材の化学的耐性が大きい程、ガスケットはより多くの応用例に有効なシール問題の解決を提供することが可能である。
【0029】
使用時にガスケット10は、実質的にガスケットの軸線に沿って(これは図1に示されたように頁に対して直角方向)、ガスケットの両面に接する対をなすフランジ(示されず)によって圧力がかけられる。この圧力によって延伸膨張PTFE層15はある程度圧縮し、このため延伸膨張PTFE層15の気孔は減少する。実質的に非通気性の層14は薄く、その結果、層14によって被覆されたガスケット10の表面が、層14が対するフランジ面にあるどのでこぼこにも順応できることが好ましい。実質的に非通気性の層14の厚さは1mm以下が有用であるが、0.5mm以下の方が一般に一層有用であり、0.15mm以下が一般に好ましい。非常に高い水準の形態順応性が望まれる若干の適用分野においては、層の厚さは0.1mm以下、0.05mm以下、更には0.025mm以下であることが好ましい。一般に実質的に非通気性の層14は、厚くなる程層の非通気性は良好となる。実質的に非通気性の層14は、薄くなる程ガスケットの形態順応性が損なわれることが少なくなる。この形態順応性は、ガスケットに用いる延伸膨張PTFE層15の特性である。更に、実質的に非通気性の層14は、パイプの内側からフランジの面に移動し、ガスケット10の周りで洩れる可能性のある流体移動に対する非通気性バリヤーを形成するのに役立つ。本発明のガスケットは、利用圧が低い応用分野での使用を意図するものであるから、延伸膨張PTFE層15は一般に完全には圧縮されない。従って延伸膨張PTFE層15中には一般に若干の気孔が残される。このためにシールされたパイプ中に含まれた流体が、延伸膨張PTFE層15を通って、図3に示した矢印の方向に透過することがあり得る。
【0030】
併しながら実質的に非通気性の領域13が、この流体の外界への逃散を防止する。特に流体は第一室11中の延伸膨張PTFE層15を透過する可能性があるが、実質的に非通気性の領域13によって、第二室12への透過が阻止される。このようにして洩れのないシールが提供される。
【0031】
実質的に非通気性の層14及び実質的に非通気性の領域13は、液体、多くの溶剤のような低表面張力の液体さえも含む、流体一般に対して実質的に非透過性であることが認識されなければならない。
【0032】
本発明の望ましい利点は、流体が第一室11の延伸膨張PTFE層15中に移動し、更なる流体の透過が実質的に非通気性の領域13によって引続いて阻止されることによって、第一室11中に「捕えられる」流体が、実質的に非通気性の層14に対して外向きの力を働かせることである。この現象は実質的に非通気性の層14をフランジ面に対して更に順応させてシールするのを助け、これによってガスケット10によるシールを改良する。理論によって制限されることなく、第二室12は実質的に非通気性の領域13の背後に抗力を与えるのを助け、この抗力が実質的に非通気性の領域13の破損を防止するのを助けるものと考えられる。
【0033】
ガスケット10は、一層以上の緻密化された延伸膨張PTFEを、マンドレルに巻付けて第一の非通気性層14を形成し、次いで一層以上(好ましくは可成りより多くの層)の延伸膨張PTFEを、非通気性層14の周りに巻付けて延伸膨張PTFE層15を形成し、更に一層以上の実質的に非通気性の層を、延伸膨張PTFE層15の周りに巻付け、第二の(外側の)実質的に非通気性の層14を形成するといった具合にしてつくられるのが好ましい。巻付けられたチューブとマンドレルの集成体を加熱し、別々の層を一体になるように溶融した後、巻付けられたチューブを冷却し、次いで長さ方向に切断してシートの形に平らに拡げる。シートは次いで望ましい大きさの環状リングに打抜かれる。各リングは次に例えば二本の金属管の間で圧縮処理にかけられ、これによって環状リングの独立部分を圧縮して、実質的に非通気性の領域13を形成する。
【0034】
延伸膨張PTFE層15に対するよりよい接着を得るための非通気性層14を形成しようとすれば、マンドレルに巻付けるには、焼成、緻密化した延伸膨張PTFE層と対照するものとして、未焼成の緻密化した延伸膨張PTFE層を用いるのが一般的に好ましい。
【0035】
本発明の別の実施態様が図4〜6に示されている。この実施態様において、ガスケット20は、ガスケット20の内縁に配置された、実質的に非通気性の領域13を有する唯一つの室21を含む。室21は、第一の実施態様に関連して述べた室11及び12の構造と同様に、実質的に非通気性の層14の外側層によって挟まれた、延伸膨張PTFEの内側層15によって形成される。この実施態様は、多くの薬品分野での適用のように、ガスケット中に如何なる流体の侵入があることも好ましくないタイプの適用分野において一般に好まれる。
【0036】
本発明のもう一つの実施態様が図7〜9に示されている。この実施態様では、ガスケット30は、ガスケット30の外縁に配置された、実質的に非通気性の領域13を有する唯一つの室31を有する。前の実施態様と同様に、室31は実質的に非通気性の層14によって挟まれた、延伸膨張PTFEの層15からつくられるのが好ましい。
【0037】
ある適用例では、一つより多くの実質的に非通気性の領域13をつくり、室の数がより多くなるようにすることが有利である場合があることも認識される必要がある。これらの追加の非透過性領域13は、図1〜9の前述の実施態様の組合せ、或は内径と外径との間に含まれた一つより多くの非通気性領域13からのものであってよい。これらの追加の非透過性領域13は、内径及び外径の間の一つより多くの非透過性領域13と共に、内径及び、または外径にある非透過性の領域13を含むことも可能である。このように非通気性領域13の数及び場所によって、ガスケット内に二つより多くの室が存在することもあり得る。複数の部屋があることの一つの利点は、ガスケット上の負荷の増加が緩和されることが可能であるため、ガスケットの複数の閉じた部分が空気緩和効果に対する備えとなりうることである。一つより多くの非通気性領域13を持つことのもう一つの利点は、ガスケットを通しての洩れの通路が形成されるには、越えねばならないより多くの非通気性領域13があるということである。
【0038】
本発明のものが従来の封筒型ガスケットに対して有する更なる著しい利点は、内層15と二つの実質的に非透過性の層14及び実質的に非通気性の領域13との間に、密な接触がつくられるということもまた評価されなければならない。内層15と実質的に非透過性の領域13との間に、この密な接触を持つことは特に重要である。この密な接触によって、洩れを生じさせる危険のある被覆材のさざ波状のしわ、折れしわ、畳みしわ等の生成といった、封筒型ガスケットに関連した前述の諸問題が防止される。この密な接触はまた、実質的に非通気性の領域13に対して、取付及び使用中の損傷を一層生じにくくする裏張りを提供することにもなる。図19に典型的な封筒型ガスケット、特に前述の上田等の特開平4−331876号公報に開示された、被覆材付ガスケット80を代表するガスケットが示されている。このガスケット80は、被覆材またはさや82と芯83との間に、束縛されない空間81を有する。この(密接を欠く)束縛されない空間は、前述の理由によって、適用時にガスケットに対して有害となる。
【実施例】
【0039】
本発明を次の実施例との関連でここに説明するが、これらの実施例は本発明を説明することを意図したもので、これを限定するためのものではない。
【0040】
実施例1
本発明の環状ガスケットが次の方法でつくられた。ゴアの米国特許第4,187,390号に教示されているように、ペースト成形技術によってファインパウダーPTFE樹脂からつくられた連続延伸膨張PTFEシートを得、これを相対する90度の方向(長さ方向及び幅方向)に延伸膨張し、微細多孔質の延伸膨張PTFEシートを形成した。約0.015mmの厚さのこのシートを次に一定の間隙の二本のローラーの間で伸ばし、微細多孔質の延伸膨張PTFEシートを圧縮して完全に緻密化した非多孔質の延伸膨張PTFEシートにした。この非多孔質のシートの最後の厚さは約0.005mmで、最後の幅は約1,270mmであった。この完全緻密化したシートの5層を、584mmの直径のマンドレルの周りに巻付けた。
【0041】
ゴアの米国特許第4,187,390号に教示されているように、ペースト成形技術によってファインパウダーPTFE樹脂からつくられた第二の連続延伸膨張PTFEシートを得、これを相対する90度の方向(長さ方向及び幅方向)に延伸膨張し、微細多孔質の延伸膨張PTFEシートを形成した。次に約1,600mmの幅と0.038mmの厚さのこの微細多孔質延伸膨張PTFEシートの100層を、前述の完全緻密化した延伸膨張PTFEシートを巻付けて被覆したマンドレルに巻付けた。
【0042】
次に第一の非多孔質延伸膨張PTFEシートの更に5層を、微細多孔質延伸膨張PTFEシートを被覆したマンドレルに再度巻付けた。次にこの微細多孔質延伸膨張PTFE層をマンドレルの両端で固定し、この材料が高温で元の状態に収縮しようとするのを阻止するようにした。次いでこれらの層をマンドレルに固定した状態で、オーブン中で370℃で約45分間焼成し、これらの層を一緒に接着させた。冷却後PTFE材をマンドレルから長さ方向に切断しシートの形態にした。
【0043】
次いで89mmの内径と135mmの外径を有する環状リングの形状のものを前記のシートから切り出し、完全緻密化PTFEの実質的に非通気性の層14の間に、実質的に非通気性の領域13を形成するように選択的に圧縮を行なった。実質的に非通気性の領域13は、ガスケットを内径104.8mm、外径108.0mmの環状ダイス間で圧縮することにより、この実施例の環状ガスケット中に形成された。ダイスは200℃に加熱され、約51.7MPa (7,500psi )の圧に負荷をかけられた。負荷は約15秒間維持された。
【0044】
この実施例の実質的に非通気性の層の厚さは何れも0.025mm(0.001インチ)であった。このガスケットは、89mmの内径、135mmの外径、及び3.0mmの全体の厚さを有する環状リングガスケットであった。圧縮された非通気性領域13は、104.8mmの内径と108.0mmの外径を有していた。これは本発明の図1〜3に示された一様式である。
【0045】
比較例2
ドラン等の米国特許第5,879,789号に開示され、デラウェア州のニューアークにあるダブリューエルゴアアンドアソシエーツ社から市販されている、一枚の厚さ0.125インチ(3.2mm)のGORE−TEX GR(登録商標)スタイルRのシート状ガスケット材を入手した。このシート材から環状リングガスケットを切り出した。図10はこの環状リングガスケット40の断面を示し、形態順応性のある微細多孔質延伸膨張PTFE材から成る外層41、外層41の夫々に付着した完全緻密化延伸膨張PTFE材から成るかたい内層43、及びかたい内層43の夫々の間に付着された形態順応性の微細多孔質延伸膨張PTFEの中心層42から構成される。
【0046】
この環状ガスケットは、89mmの内径及び135mmの外径を有し、厚さは3.2mmであった。
【0047】
実施例3
図1〜3に示された構造の本発明によるもう一つの環状ガスケットをつくった。先ず比較例2に記述したGORE−TEX GR(登録商標)スタイルRシート状ガスケット材の厚さ0.125インチ(3.2mm)の市販の一枚のシートを入手した。その外側の形態順応性の微細多孔質延伸膨張PTFE層41をこのシート材から手ではぎ取り、PTFEのかたい内層43を新しい外層として露出させた。GORE−TEX GR(登録商標)スタイルRのシート状ガスケット材のこのかたい内層43は、完全緻密化密度の2.2g/ccまたはそれに近い密度を有する緻密化された延伸膨張PTFE材から構成されており、厚さは0.15mm(0.006インチ)であった。
【0048】
次いで89mmの内径及び135mmの外径を有する環状リングの形態のものがこの剥離シートから切り出され、完全緻密化されたPTFEの実質的に非通気性の層14の間に、実質的に非通気性の領域13を形成するように選択的に圧縮された。この実質的に非通気性の領域13は、104.8mmの内径及び108.0mmの外径を有する環状のダイスの間でガスケットを圧縮することによって、この実施例の環状ガスケットの中に形成された。ダイスは200℃に加熱され、約51.7MPa (7,500psi )の圧力に負荷が加えられた。負荷は約15秒間維持された。
【0049】
この環状リングガスケットは、89mmの内径、135mmの外径、及び3.0mmの厚さを有していた。この圧縮された非通気性領域13は、104.8mmの内径及び108.0mmの外径を有していた。
【0050】
実施例4
本発明によるガスケットが実施例1と同様の方法によってつくられた。実施例1でつくられたのと同じ完全緻密化した非多孔質の延伸膨張PTFEシートが、実質的に非通気性の層14を形成するために使用され、また実施例1でつくられたのと同じ微細多孔質延伸膨張PTFEシートが、形態順応性のある微細多孔質の内層15を形成するために使用された。
【0051】
先ず非多孔質の延伸膨張PTFEシートの2層を584mmの直径のマンドレルの周りに巻付けた。次に微細多孔質の延伸膨張PTFEシートの100層をマンドレルの周りに巻付けた。続いて非多孔質の延伸膨張PTFEのもう2層をマンドレルの周りに巻付けた。これらの微細多孔質層をマンドレルの両端に固定し、実施例1で用いたのと同じ熱処理を行なって、これらの層を一緒に接合させた。次いで冷却後PTFE材を長さ方向にマンドレルからシートの形状に切り出した。
【0052】
次に89mmの内径及び135mmの外径を有する環状リングの形のものを前記のシートから切り出し、完全に緻密化したPTFEの実質的に非通気性の層14の間に、実質的に非通気性の領域13を形成するように選択的に圧縮した。この実質的に非通気性の領域13は、104.8mmの内径と108.0mmの外径を有する環状ダイスの間でガスケットを圧縮することによって形成された。ダイスは200℃に加熱され、約51.7MPa (7,500psi )の圧力に負荷をかけられた。負荷は約15秒間維持された。
【0053】
この実施例の実質的に非通気性の層は何れも厚さは0.01mm(0.0004インチ)であった。このガスケットは、89mmの内径、135mmの外径、及び3.0mmの全体の厚さを有する環状のリングガスケットであった。圧縮された非通気性の領域13は、104.8mmの内径及び108.0mmの外径を有していた。これは図1〜3に示された本発明のガスケットのもう一つの様式である。
【0054】
実施例5
図4〜6に示された構造の本発明による環状ガスケットが、実施例3と同様の方法でつくられた。形態順応性のある微細多孔質延伸膨張PTFEの内層と共に、完全に緻密化された延伸膨張PTFEの外層を有する剥離シートが、実施例3と同様につくられた。次いで104.8mmの内径及び160mmの外径を有する環状リングガスケットを、前記の剥離シートから切り出した。次に非通気性の領域13が、ガスケットの内径に等しい内径(104.8mm)と108.0mmの外径を有する環状ダイスの間で、前記リングガスケットを圧縮することによって形成された。ダイスは200℃に加熱され、約51.7MPa (7,500psi )の圧力に負荷をかけられた。負荷は約15秒間維持された。
【0055】
最終的に得られた環状ガスケットは、104.8mmの内径、160mmの外径、及び3.0mmの厚さを有していた。圧縮された非通気性領域は、104.8mmの内径及び108.0mmの外径を有していた。非通気性層14は0.15mm(0.006インチ)の厚さを有していた。
【0056】
実施例6
この実施例は、図11に示されているように、本発明の更なる実施態様を説明するものであり、ここでは環状リングガスケットの形に切り出された形態順応性のある微細多孔質延伸膨張PTFE材が、実質的に非通気性の被覆でおおわれている。
【0057】
先ずダブリューエルゴアアンドアソシエーツ社から市販の、GORE−TEX GR(登録商標)のシート状ガスケット材の厚さ0.125インチ(3.2mm)の微細多孔質延伸膨張PTFEシートを入手した。このシートから86mmの内径及び133mmの外径を有する環状リングを切り出した。次いでこの環状リングを次の方法で、信越化学工業(株)から入手可能のパーフルオロポリエーテルシリコーンエラストマーSIFELTM610で塗布した。この環状リングを前記エラストマーの浴中に5分間浸漬し、エラストマーをGORE−TEX GR(登録商標)シートガスケット材の表面の気孔中にしみ込ませた。5分間の浸漬直後に過剰のエラストマーを環状リングの表面からかき落した。塗布された環状リングは次にオーブン中で175℃で4時間硬化され、最終の環状リングガスケット50がつくられた。
【0058】
この実施例では、二つの非通気性層14及び非通気性領域13は、微細多孔質延伸膨張PTFEの気孔中にエラストマーをしみ込ませることによって形成された。延伸膨張PTFEの内層15は、エラストマーがしみ込まなかった延伸膨張PTFEのその部分であった。非通気性領域13は、ガスケット50の内径及び外径のところであった。非通気性層14及び非通気性領域13の厚さは約0.13mmであった。
【0059】
実施例7
本発明による環状ガスケットが、実施例1と同様の方法でつくられた。実施例1でつくったのと同じ完全緻密化された非多孔質延伸膨張PTFEシートが、実質的に非通気性の層14を形成するために使用され、実施例1でつくったのと同じ微細多孔質延伸膨張PTFEシートが、形態順応性のある微細多孔質の内層15を形成するために使用された。
【0060】
先ず非多孔質の延伸膨張PTFEシートの10層を、584mmの直径のマンドレルの周りに巻付けた。次に微細多孔質延伸膨張PTFEシートの100層をマンドレルの周りに巻付けた。これに続いて非多孔質の延伸膨張PTFEシートの更に10枚をマンドレルの周りに巻付けた。微細多孔質層をマンドレルの両端に固定し、実施例1と同じ加熱処理を用いてこれらの層を一体に接着させた。次いで冷却後にPTFE材を長さ方向にマンドレルからシートの形態に切り出した。
【0061】
次に89mmの内径及び135mmの外径を有する環状リングの形態のものを前記のシートから切り出し、選択的に圧縮して、完全に緻密化したPTFEの実質的に非通気性の層14の間に実質的に非通気性の領域13を形成した。実質的に非通気性の領域13は、104.8mmの内径及び108.0mmの外径を有する環状ダイスの間で、ガスケットを圧縮することによって形成された。ダイスは200℃に加熱し、約51.7MPa (7,500psi )の圧力に負荷をかけた。負荷は約15秒間維持させた。
【0062】
この実施例の実質的に非通気性の層14の厚さは夫々0.05mm(0.002インチ)であった。このガスケットは、89mmの内径、135mmの外径、及び3.0mmの全体の厚さを有する環状リングガスケットであった。圧縮された非通気性領域13は、104.8mmの内径及び108.0mmの外径を有していた。これは図1〜3に示された本発明のガスケットのもう一つの様式である。
【0063】
実施例8
図7〜9に示された構造の本発明による環状ガスケットが、実施例3と同様の方法でつくられた。形態順応性のある微細多孔質延伸膨張PTFEの内層と共に、完全に緻密化した延伸膨張PTFEの外層を有する剥離シートが、実施例3と同様につくられた。次いで前記剥離シートから、60mmの内径と108mmの外径を有する環状リングの形態のものを切り出した。次いで非通気性領域13が、ガスケットの外径に等しい外径(108.0mm)及び104.8mmの内径を有する環状ダイスの間で、リングガスケットを圧縮することにより形成された。ダイスは200℃に加熱され、約51.7MPa (7,500psi )の圧力に負荷を加えられた。負荷は約15秒間維持された。
【0064】
最後の環状ガスケットは、60mmの内径、108mmの外径、及び3.0mmの厚さを有していた。圧縮された非通気性領域は、104.8mmの内径及び108.0mmの外径を有していた。非通気性層14は0.15mm(0.006インチ)の厚さであった。
【0065】
比較例9
先ずダブリューエルゴアアンドアソシエーツ社から市販の、GORE−TEX GR(登録商標)シートガスケット材の厚さ0.125インチ(3.2mm)の微細多孔質延伸膨張PTFEシートを入手した。このシートから環状リングガスケットを切り出した。この環状リングガスケットは、60.8mmの内径、107mmの外径、及び3.2mmの厚さを有していた。
【0066】
実施例10
図4〜6に示された構造の本発明による環状ガスケットが、実施例3と同様の方法でつくられた。形態順応性のある微細多孔質延伸膨張PTFEの内層と共に、完全に緻密化した延伸膨張PTFEの外層を有する剥離シートが、実施例3と同様につくられた。次にこの剥離シートから、60.8mmの内径及び107mmの外径を有する環状リング形態のものが切り出された。次いで非通気性領域13が、ガスケットの内径と同じ内径(60.8mm)及び64.0mmの外径を有する環状ダイスの間のリングガスケットを圧縮することにより、完全に緻密化された延伸膨張PTFEの実質的に非通気性の層14の間に形成された。ダイスは200℃に加熱され、約51.7MPa (7,500psi )の圧力に負荷をかけられた。負荷は約15秒間維持された。
【0067】
本環状リングガスケットは、60.8mmの内径、107mmの外径、及び3.0mmの厚さを有していた。圧縮された非通気性の領域13は、60.8mmの内径及び64.0mmの外径を有していた。非通気性層14の厚さは0.15mm(0.006インチ)であった。
【0068】
実施例11
図1〜3に示された構造の本発明による環状ガスケットが、実施例3と同様の方法でつくられた。形態順応性のある微細多孔質延伸膨張PTFEの内層と共に、完全に緻密化した延伸膨張PTFEの外層を有する剥離シートが、実施例3と同様につくられた。次にこの剥離シートから、60.8mmの内径及び107mmの外径を有する環状リング形態のものが切り出された。次いで非通気性の領域13が、81.5mmの内径と、84.7mmの外径を有する環状ダイスの間でリングガスケットを圧縮することにより、完全に緻密化された延伸膨張PTFEの実質的に非通気性の層14の間に形成された。ダイスは200℃に加熱され、約51.7MPa (7,500psi )に負荷をかけられた。負荷は約15秒間維持された。
【0069】
本環状リングガスケットは、60.8mmの内径、107mmの外径、及び3.0mmの厚さを有していた。圧縮された非通気性領域13は、81.5mmの内径及び84.7mmの外径を有していた。非通気性層14の厚さは0.15mm(0.006インチ)であった。
【0070】
実施例12
図13に示された構造の本発明による環状ガスケットが次のようにつくられた。先ず形態順応性のある微細多孔質延伸膨張PTFEの内層と共に、完全に緻密化された延伸膨張PTFEの外層を有する剥離シートが、実施例3と同様につくられた。次いでこの剥離シートから環状リングの形態のものが切り出された。次に実施例6と同様に、この環状リング形態のものを、パーフルオロポリエーテルシリコーンエラストマーのSIFELTM610の浴中に5分間浸漬した。5分間の浸漬後直ちに過剰のエラストマーを環状リングの表面からかき取った。塗布された環状リングは次にオーブン中で175℃で4時間硬化され、最終のガスケット70がつくられた。
【0071】
この実施例で非通気性の領域13は、微細多孔質延伸膨張PTFEの内層15の気孔中にしみ込んだエラストマーから形成された。非通気性の領域13はガスケットの内径及び外径のところにあった。完全に緻密化した延伸膨張PTFEの外層は非多孔質であるために、エラストマーはこれらの外層にしみ込むことができなかった。従って非通気性層14は完全に緻密化された延伸膨張PTFEの外層から形成され、一方非通気性の領域13は硬化されたエラストマーと延伸膨張PTFEとの複合体から形成された。
【0072】
実施例13
図12に示された構造の本発明による環状ガスケットが次のようにしてつくられた。先ず形態順応性の微細多孔質延伸膨張PTFEの内層と共に、完全に緻密化した延伸膨張PTFEの外層を有する剥離シートが、実施例3のようにつくられた。次にこの剥離シートから環状リングの形態のものが切り出された。次にこの環状リングの形状のものを平滑面上に平らに置き、環状リングの内径によって仕切られた空洞を満たすように、パーフルオロポリエーテルシリコーンエラストマーのSIFELTM610を注ぎ入れ、その結果、環状リングの内径はエラストマーに露出していたが、外径はエラストマーに露出していなかった。5分間しみ込ませた後、過剰のエラストマーを環状リングの露出された表面からかき取った。次いで塗布された環状リングをオーブン中で175℃で4時間硬化し、最終のガスケット60をつくった。
【0073】
この実施例では、非通気性領域13は、微細多孔質延伸膨張PTFEの内層15の気孔中にしみ込んだエラストマーから形成された。非通気性の領域13は、外径がエラストマーに露出していなかったので、ガスケットの内径に丈け存在した。完全に緻密化した延伸膨張PTFEの外層の非多孔質の特性のため、エラストマーはこれらの外層にはしみ込むことができなかった。従って非通気性層14は完全緻密化した延伸膨張PTFEの外層から形成され、一方非通気性の領域13は硬化されたエラストマーと延伸膨張PTFEとの複合物から形成された。
【0074】
比較例14
先ずダブリューエルゴアアンドアソシエーツ社から市販の、GORE−TEX GR(登録商標)シートガスケット材の厚さ0.125インチ(3.2mm)の微細多孔質延伸膨張PTFEシートを入手した。このシートから環状リングガスケットを切り出した。この環状ガスケットは、89mmの内径と135mmの外径を有し、厚さは3.2mmであった。
【0075】
比較例15
比較用のガスケットが次のようにつくられた。先ず比較例2に記述した市販のGORE−TEX GR(登録商標)スタイルRシートガスケット材の厚さ0.125インチ(3.2mm)のシートを入手した。外側の形態順応性の微細多孔質延伸膨張PTFE層41を前記のシート材から手で剥離し、かたいPTFEの内層43を新しい外層として露出させた。GORE−TEX GR(登録商標)スタイルRシートガスケット材のかたい内層43は、完全に緻密化した密度の2.2g/ccまたはその近くの密度を有する、緻密化した延伸膨張PTFE材から成り、0.15mm(0.006インチ)の厚さを有し実質的に非通気性であった。
【0076】
次いでこの剥離シートから、89mmの内径と135mmの外径を有する環状リング形状のガスケットが切り出された。
【0077】
このガスケットは実質的に非通気性の層14を有していたけれども、実質的に非通気性の領域13を有しなかった。
【0078】
比較例16
先ずダブリューエルゴアアンドアソシエーツ社から市販されている、厚さ0.125インチ(3.2mm)のGORE−TEX GR(登録商標)シートガスケット材の微細多孔質延伸膨張PTFEシートを入手した。このシートから89mmの内径及び135mmの外径を有する環状リングが切り出された。実質的に非通気性の領域13が、104.8mmの内径及び108.0mmの外径を有する環状ダイスの間でガスケットを圧縮することによって形成された。ダイスは200℃に加熱され、約51.7MPa (7,500psi )の圧力に負荷をかけられた。負荷は約15秒間維持された。
【0079】
この環状リングガスケットは、89mmの内径と135mmの外径を有し、厚さは3.2mmであった。圧縮された非通気性の領域13は、104.8mmの内径と108.0mmの外径を有していた。このガスケットは実質的に非通気性の領域13を有していたけれども、実質的に非通気性の層14を有していなかった。
【0080】
実施例17
ペンジルバニア州、フィラデルフィアのフルオロプラスチックス社から市販されている、一巻きの完全に緻密化した切削PTFE(厚さ0.051mm、幅610mm)を入手した。このシートの単一層を直径168mmのステンレススチールのマンドレルの周のまわりに巻付けた。次いで0.038mmの厚さの実施例1でつくった第二の微細多孔質延伸膨張PTFEシートの100層を、さきに巻付けた切削PTFE層をおおうようにマンドレル上に巻付けた。厚さ0.051mmの切削PTFEの1層を前記の膜の層の周りに巻付けた。微細多孔質延伸膨張PTFE膜の追加の40層を切削PTFE膜層の上に巻付けて、加熱サイクル中接触しているフイルムを把持するようにした。次いで微細多孔質延伸膨張PTFE層をマンドレルの両端に固定し、高温時にこの材料が元の状態に収縮しようとするのを阻止するようにした。前記のシートを巻付けたマンドレルを電熱式空気オーブン中に置き、次いでオーブンを2時間にわたって365℃に加熱した。加熱サイクルの最初の1時間でオーブンは設定した温度に上った。第二の1時間はオーブンは設定温度であった。加熱サイクル完了と同時にラミネートを室温に冷却させ、スチールのマンドレルから切り離した。次いで接触しているフイルムを把持するために使用された追加の40層の微細多孔質延伸膨張PTFE膜を、接着したシートからはがして除いた。切削PTFEフイルムの延伸膨張PTFEに対する接着性は中位であることが判った。
【0081】
次いで89mmの内径及び135mmの外径を有する環状リングの形状のものを接着シートから切り出し、完全に緻密化した切削PTFEの実質的に非通気性の層14の間に、実質的に非通気性の領域13を形成するように選択的に圧縮した。この実質的に非通気性の領域13は、104.8mmの内径及び108.0mmの外径を有する環状ダイスの間でガスケットを圧縮することにより、この実施例の環状ガスケットの中に形成された。ダイスは200℃に加熱され、約51.7MPa (7,500psi )の圧力に負荷をかけられた。負荷は約15秒間維持された。
【0082】
この実施例の二つの実質的に非通気性の層14は夫々0.05mm(0.002インチ)の厚さであった。このガスケットは、89mmの内径、135mmの外径、及び3.0mmの全体の厚さを有する環状リングガスケットであった。圧縮された非通気性の領域13は、104.8mmの内径及び108.0mmの外径を有していた。これは図1〜3に示された本発明のもう一つの様式である。
【0083】
実施例18
実施例17の切削PTFEの単一層(0.051mm、610mm幅)が、168mmの直径のステンレススチールのマンドレルの周のまわりに巻付けられた。この層はマンドレルからガスケット材を取り除くための剥離用裏張りとして作用するものである。デラウェア州、ウイルミントンのイーアイデュポンドネムアールズ社から市販されている0.051mmの厚さのPFAフイルムで、幅457mmの200LP高性能PFAフイルムと称するものの3層を、さきの切削PTFE層の周りに巻付けた。次に実施例1でつくった第二の微細多孔質延伸膨張PTFEシートで0.038mmの厚さのものの100層を、さきに巻付けたPFAフイルムの層をおおうようにマンドレルに巻付けた。次に0.051mmの厚さのPFAフイルムの3層を、この微細多孔質延伸膨張PTFE膜の上に巻付けた。次いで厚さ0.051mmの切削PTFEの1層を、さきのPFA層の周りに巻付けた。追加の微細多孔質延伸膨張PTFE膜の40層を切削PTFE層の上に巻付け、加熱サイクル中に接触するフイルムを把持するようにした。次いで微細多孔質延伸膨張PTFE層をマンドレルの両端に固定し、高温時にこの材料が元の状態に収縮しようとするのを阻止するようにした。
【0084】
巻付けたマンドレルを電熱空気オーブン中に置き、次いでオーブンを2時間にわたって365℃に加熱した。加熱サイクルの最初の1時間でオーブンは設定温度に上昇した。オーブンは次の1時間は設定温度にあった。加熱サイクルが完了したところでラミネートを室温に冷却させ、スチールのマンドレルから切り離した。次いで接触フイルムを把持するのに用いた微細多孔質延伸膨張PTFE膜の追加の40層及び切削PTFE層を、接着したシートからはぎ取って除いた。ここで接着シートは、微細多孔質延伸膨張PTFE層の内層及び外側のPFAフイルムの層から成るものであった。
【0085】
次いで89mmの内径及び135mmの外径を有する環状リングの形状のものを接着シートから切り出し、PFAの実質的に非通気性の層14の間に実質的に非通気性の領域13を形成するように選択的に圧縮した。この実質的に非通気性の領域13は、104.8mmの内径と108.0mmの外径を有する環状ダイスの間でガスケットを圧縮することによって、この実施例の環状ガスケット中に形成された。ダイスは200℃に加熱され、約51.7MPa (7,500psi )の圧力になるように負荷が加えられた。負荷は約15秒間維持された。
【0086】
この実施例の二つの実質的に非通気性の層14は夫々厚さ0.15mm(0.006インチ)であった。このガスケットは、89mmの内径、135mmの外径、及び3.0mmの全体の厚さを有する環状リングガスケットであった。圧縮された非通気性領域13は、104.8mmの内径と108.0mmの外径を有していた。これは図1〜3に示された本発明のガスケットのもう一つの様式である。
【0087】
比較例19
先ずダブリューエルゴアアンドアソシエーツ社から市販されている、厚さ0.125インチ(3.2mm)のGORE−TEX GR(登録商標)シートガスケット材の微細多孔質延伸膨張PTFEシートを入手した。このシートから環状リングガスケットが切り出された。この環状ガスケットは、89mmの内径及び132mmの外径を有し、厚さ3.2mmであった。
【0088】
実施例20
図11に示された構造の本発明による環状ガスケットが、実施例6のガスケットと同じようにしてつくられた。唯一の違いは、微細多孔質延伸膨張PTFEシートから切り出された環状リングが、89mmの内径と132mmの外径を有していたという点である。
【0089】
この実施例において、二つの非通気性層14及び非通気性の領域13は、微細多孔質延伸膨張PTFEの気孔中にしみ込んだエラストマーから形成された。延伸膨張PTFEの内層15は、エラストマーがしみ込まなかった延伸膨張PTFEのその部分であった。非通気性の領域13は、ガスケット50の内径と外径の二つのところにあった。非通気性層14及び非通気性領域13は厚さ約0.13mmであった。
【0090】
この環状ガスケットは、89mmの内径と132mmの外径を有し、厚さ3.2mmであった。
【0091】
実施例21
本発明によるガスケットが、実施例1と同様にしてつくられた。実施例1でつくったのと同じ完全に緻密化された非多孔質延伸膨張PTFEシートが、実質的に非通気性の層14を形成するために使用され、実施例1でつくったのと同じ微細多孔質延伸膨張PTFEシートが、形態順応性のある微細多孔質の内層15を形成するために使用された。
【0092】
先ず2層の非多孔質延伸膨張PTFEシートを、584mmの直径のマンドレルの周りに巻付けた。次いで微細多孔質延伸膨張PTFEシートの100層をマンドレルの周りに巻付けた。続いてもう2層の非多孔質延伸膨張PTFEシートをマンドレルの周りに巻付けた。微細多孔質層をマンドレルの両端に固定し、実施例1と同じ加熱処理を用いてこれらの層を一緒に接着させた。次いで冷却後PTFE材をマンドレルから長さ方向にシートの形状に切り出した。
【0093】
次いで89mmの内径及び132mmの外径を有する環状リングの形状のものを前記のシートから切り出し、完全に緻密化されたPTFEの実質的に非通気性の層14の間に、実質的に非通気性の領域13を形成するように選択的に圧縮した。実質的に非通気性の領域13は、環状リングの内径(89.0mm)と同じ内径及び93.2mmの外径を有する環状ダイスの間で、ガスケットを圧縮することによって形成された。ダイスは200℃に加熱され、約51.7MPa (7,500psi )の圧力になるように負荷をかけられた。負荷は約15秒間維持された。
【0094】
この実施例の両方の実質的に非通気性の層14の厚さは夫々0.01mm(0.0004インチ)であった。このガスケットは、89mmの内径、132mmの外径、及び3.0mmの全体の厚さを有する環状リングガスケットであった。圧縮された非通気性領域13は、89.0mmの内径と93.2mmの外径を有していた。これは図4〜6に示された本発明のガスケットのもう一つの様式であった。
【0095】
シール性試験1
シール性は、ASTM F37−95試験方法Bに概略説明された方法及び装置によって行なわれる、洩れ速度試験によって決められたが、この方法は最高6L/時から最低0.3mL/時迄の正確な洩れ速度を測定するのに適している。ガスケット圧は10.3MPa (1,500psi )になるように選ばれた。試験流体は0.62MPa (90psi )の空気であった。室温に保持された、RMS32の表面仕上げの2個の平滑なスチールのプレス定盤の間で、選択された圧縮圧力になるようにガスケットに負荷をかけた。次いでガスケットは、プレス定盤の間で圧縮されている環状ガスケットの中央部に導入された0.62MPa の内部空気圧に暴露された。次いで試験装置内の圧力は、バルブを閉じることによって外界から遮断された。洩れ速度は、ガスケット試験の取付具から上流のラインに設置された、マノメーターの流体のレベルの或る時間にわたっての変化によって決定された。マノメーターの変化は、空気がガスケットを通過して外界に洩れ、空気内圧が減少することによるものであった。マノメーターの読みは、次の方程式を用いて洩れ速度に変換された。
【0096】
【数1】

ここでLRは洩れ速度(mL/時)
MRはマノメーターの読み(インチ)
2.54はマノメーターの読みを(インチ)から(cm)に変換する定数
Aはマノメーターチューブの内側の断面積(cm2
Tは時間(分)
60は時間を(分)から(時)に変換する定数
SGはマノメーター流体の比重
【0097】
マノメーターの等分目盛は使用した流体の比重に合せなければならない。この試験では、マノメーターの目盛は0.827の比重の流体に対して較正された。使用した流体は、ニューメキシコ州、アルバカーキのダイナテックフロンティア社から市販のR827オイル(比重0.827)であった。使用したマノメーターは0.25インチ(0.635cm)の内側チューブ径を有していた。マノメーターの読みは、5分、10分、15分で読まれた。
【0098】
前記のシール性試験は、比較例2,14,15、及び16と比較して実施例1,3,4,5,6、及び7の本発明の実施態様について行ない、それらの結果を次の表Iに示す。
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
【表3】

【0102】
【表4】

【0103】
これらの結果はまた図14にグラフ化する。このグラフは、本発明のガスケットの異なる構造を代表する実施例の全てが、全ての比較例よりも極めて低い洩れ速度を有していたことを示す。
【0104】
比較例14及び2は、市販の延伸膨張PTFEガスケットを代表するものであった。比較例14は微細多孔質延伸膨張PTFEガスケットであった。比較例2は、完全に緻密化された延伸膨張PTFE材の二つのかたい内層を内側に備えた、微細多孔質延伸膨張PTFEのガスケットであった。比較例15は、比較例2の微細多孔質の外層をはぎ取ることによってつくられたもので、完全に緻密化されたPTFEの外層を有する微細多孔質PTFEのガスケットであった。従って比較例15は実質的に非通気性の層14を有していたが、実質的に非通気性の領域13を持っていなかった。従って比較例15の洩れ速度には、比較例2の市販ガスケットにまさる著しい改良はみられなかった。併しながら実施例3及び5では、比較例2及び15の両方にまさる著しい改良がみられる。実施例3及び5は、比較例15と同じ非通気性層14を有する。比較例15と実施例3及び5の本発明のガスケットとの違いは、実施例3及び5は、実質的に非通気性の層14の効能を高めるための実質的に非通気性の領域13を有していることである。従って比較例15のガスケットは、実質的に非通気性の領域13がないために、非通気性層14のシールにおける潜在的な利益を受けることができなかったことが判る。
【0105】
他方比較例16は、実質的に非通気性の領域13を有する微細多孔質PTFEガスケットであったが、実質的に非通気性の層14を有しなかった。このガスケットもまた、市販のガスケットにまさる大きな改良を示さなかった。実質的に非通気性の領域13があったけれども、実質的に非通気性の領域13の効能を高めるための実質的に非通気性の層14がなかったので、微細多孔質延伸膨張PTFEを通しての洩れに対する自由な通路が存在した。従ってこのガスケットは、実質的に非通気性の層14がなかったので、非通気性の領域13のシールにおける潜在的な利益を受けることができなかったことが判る。
【0106】
実施例1,3,4、及び7の本発明のガスケットを観察する時、完全に緻密化した延伸膨張PTFEの実質的に非通気性の層14の厚さが増加すると共に、洩れ速度が減少したことがまた図14で判る。実施例1,3,4、及び7の本発明のガスケットを相互に比較すると、それらは全て実質的に非通気性の領域13の位置が同じであり、且つ内外径の寸法が同じである。更に実質的に非通気性の層14は全て完全に緻密化した延伸膨張PTFEである。それらの違いは実質的に非通気性の層14の厚さのレベルであり、実質的に非通気性の層14の厚さが増す程、実質的に非通気性の層14の厚さがより薄いものより非通気性の程度が高くなる。
【0107】
この結論は更に図15に図解されており、ここには平均の洩れ速度が、実質的に非通気性の完全に緻密化した延伸膨張PTFEの層14の厚さに対してプロットされている。平均の洩れ速度は、5分、10分、15分の計算された洩れ速度から計算され、表Iに示されている。図15のグラフ化したデータは、実施例1,3,4、及び7からのものである。
【0108】
シール性試験2
このシール性試験は前記のシール性試験1と全く同様に行なわれたが、異なる点は、ガスケット圧が10.3MPa (1,500psi )の代りに6.9MPa (1,000psi )になるように選ばれたことである。試験流体はここでも0.62MPa (90psi )の空気であった。この試験ではマノメーターの読みは、異なるガスケットに応じて60分迄の種々の時間間隔で読まれた。
【0109】
シール性試験は実施例3,5、及び8について行なわれ、結果は次記の表IIに示した。
【0110】
【表5】

【0111】
これらの結果はまた図18にグラフ化されている。この試験は図1〜9に示された本発明の異なる構造を比較するために行なわれたが、ここではガスケットは同じ厚さの完全に緻密化した延伸膨張PTFEの実質的に非通気性の層14を有していた。試験されたガスケットの違いは、非通気性領域13の場所であった。
【0112】
最も低い洩れ速度(最良の性能)は、図1〜3に示された本発明の実施態様を代表する実施例3によって達せられた。このガスケットは、非通気性領域がガスケットの内径と外径との間に置かれていた。この実施態様の望ましい利点は、流体が第一室の延伸膨張PTFE層15中に移動し、次に実質的に非通気性の領域13によって流体の更なる透過が阻止されると、第一室に捕捉される流体が実質的に非通気性の層14に対して外向きの力を働かせることであると考えられる。この現象が実質的に非通気性の層14がフランジ面に対して更に順応し、シールすることを助け、これによってガスケット10によるシールを改良すると考えられる。理論によって制限されることなく、第二室は実質的に非通気性の領域13の背後に抗力を与え、これが実質的に非通気性の領域13の破裂を防止するのを助けると考えられる。
【0113】
2番目に低い洩れ速度は、図4〜6に示された本発明のガスケットを代表する実施例5によって達せられた。このガスケットでは実質的に非通気性の領域13は、ガスケットの内径のところに置かれていた。3番目に低い洩れ速度は、図7〜9に示された本発明のガスケットを代表する実施例8によって達せられた。このガスケットでは実質的に非通気性の領域13は、ガスケットの外径のところに置かれていた。
【0114】
シール性試験3(バブルテスト)
工業分野で「バブルテスト」として知られているものを代表するもう一つのタイプのシール性試験を行なったが、これは石鹸水を用いて、ガスケットを取付けた配管フランジからの空気の洩れを調べることを含むものであった。この試験を行なうのに用いたバブルテストの取付具の断面図を図16に示す。バブルテストの結果は次の表III に示す。
【0115】
【表6】

【0116】
テストの取付具100は、4本の5/8インチのボルト102によって一緒にきつく締められた、RMS32の表面仕上を有する2インチ×150ポンドクラスの盲のスチールフランジ101のセットから成るものである。フランジ101の一つに空気の導入口103を穿孔し、空気導入の接続手段が、試験されたガスケットの内径から集成体を加圧するために取付けられるようにする。この試験では試験されるガスケット104は、テストの取付具100のフランジ101の間に置かれた。潤滑処理されたボルト102は、三つに均等に分けられた力の増加ステップで交差タイプのパタン(例えば時計の12時の位置−6時の位置−3時の位置−9時の位置)になるように、所望のトルク水準に達する迄締め付けられた。トルク水準をガスケット圧に換算するために次の方程式が用いられた。
【0117】
トルク(フィート・ポンド)=Fp ×K×D/12
ここでFp は夫々のボルトによって加えられた力(ポンド)
Kはナット係数(0.2と考えられる)
Dはボルトの直径(インチ)
ガスケット圧(psi )=Fp ×ボルト本数/ガスケットの接触面積(平方インチ)
【0118】
このガスケット圧(psi )は次の方程式を用いて、更に(MPa )の単位に換算することができる。
【0119】
ガスケット圧(MPa)=ガスケット圧(psi)×0.00689476
【0120】
次いでガスケット圧の最初の水準(250psi )または(1.72MPa )に達して10分後に、締め付けられたガスケットとフランジの集成体を最初の希望の一定空気圧(30psi )または(0.21MPa )に加圧した。次にガスケットとフランジの集成体に石鹸水溶液をふりかけた。次にガスケットとフランジの集成体は、ガスケット104の外径に沿って石鹸水中に現われる空気の洩れを示す気泡がないかどうかを肉眼で調べられた。若し洩れが存在すると石鹸水の泡が生じ、これはガスケット104の周りから及び/またはガスケット104を貫いて通過する空気の透過を示す。空気泡が存在するか否かを決定した後、内部の空気圧が次の水準である(60psi )または(0.41MPa )に増加された。再びこの圧力水準での空気泡が存在するか否かを決定した後、内部の空気圧が最後の水準である(90psi )または(0.62MPa )に増加され、ここでもう一度空気泡が存在するか否かが決定された。次いで内部の空気圧が解放された。
【0121】
次いでフランジとガスケットの集成体を、さきに行なったのと同様に、締め付けの力の増分を均一に三つに分け、交差タイプのパタンで、次の水準(500psi )または(3.45MPa )になるように締め付けた。次いで夫々の内部空気圧の水準に対して、さきに説明したのと同じようにバブルテストを行なったが、唯一の違いは、最初の内部空気圧を適用する前に、さきの10分間の待時間の代りに15分間の待時間をとったということである。
【0122】
この方法が15分間の待時間を用いて、表III に示した夫々のガスケット圧の水準に対して繰り返された。
【0123】
バブルテストは比較例9と実施例10及び11のガスケットに対して行なわれた。結果を表III に示す。試験の結果は、本発明のガスケットに対しては、どの試験条件においても如何なる空気泡も存在しなかったことによって裏付けられるように、実施例10及び11の本発明のガスケットのシール性は、比較例9のGORE−TEX GR(登録商標)シートガスケット材のガスケットによって代表された従来の微細多孔質延伸膨張PTFEガスケットのシール性にまさる改良がなされたことをはっきりと示している。従来の微細多孔質延伸膨張PTFEガスケットは、試験された条件の全てにおいて洩れを示す気泡を示した。試験の境界条件をみると、従来のガスケットが最少の要求試験条件の30psi (0.21MPa )の内圧で、1500psi (10.34MPa )のガスケット圧において洩れを示したのに対し、本発明のガスケットは、最高の要求試験条件である90psi (0.62MPa )の内圧で、僅かに250psi (1.72MPa )のガスケット圧においても洩れを示さなかった。これは従来の微細多孔質延伸膨張PTFEガスケットに比較して、低いガスケット圧でのシール性に著しい改良がなされたことをはっきり示している。
【0124】
通気性試験4
種々のフイルムまたはシートの通気性の水準及び非通気性の水準を測定する手段として、50ccの全体の内部の空気容積を有する試験取付具がつくられた。この非通気性試験取付具を図17に示す。この通気性試験取付具120は1.5インチ(3.81cm)の直径の衛生フランジフェルール121を用いてつくられた。フェルール121は5.2cmの長さに切断され、ステンレススチールのベース122に溶接された。孔123をベースに穿孔し、加圧空気源及び圧力測定の全器具への接続用とした。試験取付具120の全ての構成物は、1/8インチのチューブ及び加圧付属品を用いて接続された。デジタルマノメーター124(オハイオ州、クリーブランドのマリアムインストルメント社から市販の350スマートマノメーター)が、圧力を正確に測定するために用いられた。試験取付具を適当な出発圧に迄加圧するために調節された空気供給が用いられた。加圧付属品に接続された遮断弁126が、所要の内圧に達したら試験取付具への空気流または同取付具からの空気流を遮断するために用いられた。試験取付具120の全体の内部空気容積は取付具120の内部の空気容積をベースとしたものであり、遮断弁126とフランジフェルール121の内部との間の付属品及びチューブ部分に関連した容積を含むものである。全体の取付具容積(室及びチューブと付属品中の容積)は50立方センチメートル(±0.5cc)と計算された。
【0125】
フイルムまたはシートのサンプル127を試験するため、サンプル127が5.1mm(2.0インチ)の直径を有する円に切り取られた。フイルム127は衛生フランジフェルール121の開孔上に置かれた。ニュージャージー州、アンドバーのラバーファブモールドアンドガスケット社から市販され、パートナンバー40MP−ES150として出されているEPDMゴムにより周囲に境界をつけられた、メッシュの大きさが40のステンレススチールのスクリーンを有する、1.5インチ(3.81cm)の直径のスクリーン付のEPDMガスケット128が、試験サンプル127の上に置かれ、試験中に試験フイルム127が膨張及び、または破裂をしないようにするための裏打ちの役目をさせた。1.5インチ(3.81cm)の直径の短かい溶接衛生フランジフェルール129をスクリーン付EPDMガスケット128の上に置き、衛生フランジのクランプ125をきちんと締め付け、フランジのフェルール121、フイルムサンプル127、スクリーン付EPDMガスケット128、及び短かい溶接衛生フランジのフェルール129の間のシールをつくった。試験取付具120の最初の内圧を生じさせるため、弁126に接続された調節された空気供給が用いられた。取付具120は50.0kPa の圧に加圧され、弁126を遮断した。ストップウォッチを用いて、フイルム試験サンプル127を空気が透過する結果として、試験取付具120内の圧力が50.0kPa から10.0kPa に落ちるのに要する時間を測定した。高度に非透過性のフイルムサンプルに対しては(この場合取付具の内圧が50.0kPa から10.0kPa に落下するのに10分より多くの時間を要する)、10分後の圧力が記録された。次の表IVは非通気性の結果を示すが、種々のフイルムタイプのサンプルに対して前述の試験方法を用いたものである。
【0126】
【表7】

【0127】
夫々のフイルムタイプのサンプルに対して、3個の試験サンプルをつくって試験がなされた。次のフイルムタイプのサンプルが試験された。
【0128】
フイルムタイプサンプルA−実施例4でマンドレルから切り出したシートより、非多孔質延伸膨張PTFEの外層の1つをはぎ取ることにより、0.01mm(0.0004インチ)の厚さの非多孔質(完全に緻密化された)延伸膨張PTFEフイルムをつくった。このフイルムから5.1mmの直径を有する3個の円形を切り出し試験サンプルをつくった。
【0129】
フイルムタイプサンプルB−実施例1でマンドレルから切り出したシートより、非多孔質延伸膨張PTFEの外層の1つをはぎ取ることにより、0.025mm(0.001インチ)の厚さの非多孔質(完全に緻密化された)延伸膨張PTFEフイルムをつくった。このフイルムから5.1mmの直径を有する3個の円形を切り出し試験サンプルをつくった。
【0130】
フイルムタイプサンプルC−実施例7でマンドレルから切り出したシートより、非多孔質延伸膨張PTFEの外層の1つをはぎ取ることにより、0.05mm(0.002インチ)の厚さの非多孔質(完全に緻密化された)延伸膨張PTFEフイルムをつくった。このフイルムから5.1mmの直径を有する3個の円形を切り出し試験サンプルをつくった。
【0131】
フイルムタイプサンプルD−実施例3でできたあらかじめ剥離したシートから、緻密化した延伸膨張PTFEの外層の1つをはぎ取ることにより、0.15mm(0.006インチ)の厚さの非多孔質(完全に緻密化された)延伸膨張PTFEフイルムをつくった。このフイルムから5.1mmの直径を有する3個の円形を切り出し試験サンプルをつくった。
【0132】
フイルムタイプサンプルE−0.051mmの厚さの切削PTFEは、実施例17の市販の切削PTFEフイルムからのものであった。このフイルムから5.1mmの直径を有する3個の円形を切り出し試験サンプルをつくった。
【0133】
フイルムタイプサンプルF−0.051mmの厚さのPFAフイルムは、実施例18の市販のPFAフイルムからのものであった。このフイルムから5.1mmの直径を有する3個の円形を切り出し試験サンプルをつくった。
【0134】
フイルムタイプサンプルG−0.013mmの厚さのPFAフイルムを入手し、これはデラウェア州、ウイルミントンのイーアイデュポンドネムアールズ社から、パートナンバー50LPの高性能PFAフイルムとして市販されているものである。このフイルムから5.1mmの直径を有する3個の円形を切り出し試験サンプルをつくった。
【0135】
フイルムタイプサンプルH−0.038mmの厚さの微細多孔質延伸膨張PTFEフイルムは、実施例1でつくった第二の連続微細多孔質延伸膨張PTFEシートからのものであった。このフイルムから5.1mmの直径を有する3個の円形を切り出し試験サンプルをつくった。
【0136】
フイルムタイプサンプルI−3.2mmの厚さのGORE−TEX(登録商標)GRシートは、比較例14の市販のGORE−TEX(登録商標)GRシートガスケット材からのものであった。これは微細多孔質延伸膨張PTFEシートガスケット材である。このフイルムから5.1mmの直径を有する3個の円形を切り出し試験サンプルをつくった。
【0137】
フイルムタイプサンプルJ−1.0mmの厚さのGORE−TEX(登録商標)GRシートを入手したが、これはダブリューエルゴアアンドアソシエーツ社から市販のものである。これは微細多孔質延伸膨張PTFEシートガスケット材である。このフイルムまたはシートから5.1mmの直径を有する3個の円形を切り出し試験サンプルをつくった。
【0138】
フイルムタイプサンプルK−2.3mmの厚さの微細多孔質延伸膨張PTFEフイルムが、実施例3の予め剥離されたシートから、外側の完全に緻密化された延伸膨張PTFE層をはぎ取ることによってつくられた。これによりGORE−TEX GR(登録商標)スタイルRのシートガスケット材から残っている唯一つの部分は、形態順応性のある微細多孔質延伸膨張PTFE材の中心層42であった。この微細多孔質延伸膨張PTFE材から、5.1mmの直径を有する3個の円形を切り出し試験サンプルをつくった。
【0139】
フイルムタイプサンプルL−3.0mmの厚さの微細多孔質延伸膨張PTFEフイルムが、実施例1でマンドレルから切り出したシートから、外側の完全に緻密化したPTFE層をはぎ取り、内側の微細多孔質延伸膨張PTFE層を残すことによってつくられた。この微細多孔質延伸膨張PTFEフイルム(層)から、5.1mmの直径を有する3個の円形を切り出し試験サンプルをつくった。
【0140】
試験結果の観察から、本発明に用いられた実質的に非通気性の層14を代表する材料の全てが、微細多孔質延伸膨張PTFEの内層15を代表するものとして用いられた材料よりも非通気性であったことが判る。このことは、微細多孔質延伸膨張PTFEの内層15を代表するフイルムタイプサンプルと比較して、実質的に非通気性の層14を代表するフイルムタイプサンプルは、50.0kPa から10.0kPa に落下するのにより長時間かかったことから明らかである。フイルムタイプサンプルAからGは、本発明の実施例において実質的に非通気性の層14として用いた種々の異なった材料を代表した。フイルムタイプサンプルK及びLは、本発明の実施例において微細多孔質延伸膨張PTFEの内層15として用いた異なった材料を代表した。フイルムタイプサンプルHは微細多孔質延伸膨張PTFEフイルムの単一層を代表し、本発明の実施例のいくつかの微細多孔質延伸膨張PTFEの内層15をつくるために用いたものであった。フイルムタイプサンプルのI及びJは、市販の微細多孔質延伸膨張PTFEシートガスケット材を代表した。
【0141】
これらの結果から、厚さ水準によって区別される同様の材料の組分け内では、圧力低下にかかる時間がより長くなることから明かなように、厚さがより厚い材料程より非通気性になることも判る。フイルムタイプサンプルA,B,C及びDの同様な緻密化された延伸膨張PTFE材の種々の異なった水準の厚さを比較すると、材料の厚さ水準が増加する程非通気性の水準も増加した。フイルムタイプサンプルH,I,J,K、及びLの同様の微細多孔質延伸膨張PTFE材の種々の異なった厚さ水準を比較すると、ここでもまた材料の厚さが増す程より非通気性であった。同様の材料で厚さ水準が影響の違いを示さなかった唯一の場合は、フイルムタイプサンプルF及びGの二つのPFAサンプルについてであり、これらは両方共極めて非通気性であり、このことは600秒(10分)後の空気圧の落下が僅か50kPa から48.8−49.9kPa であったことから判る。
【0142】
これらの結果から、本発明の実施例で実質的に非通気性の層14として用いた材料を代表するフイルムタイプサンプル(フイルムタイプサンプルA−F)は全て、微細多孔質延伸膨張PTFEの内層15として用いた材料を代表するフイルムタイプサンプル(フイルムタイプサンプルK及びL)よりも、厚さが遙かに薄いものであったことも判る。さきに述べたように、最後のガスケットの形態順応性を高めるためには、比較的低い水準の厚さで高度に非通気性である材料を使用することが有利である。従って、完全に緻密化された延伸膨張PTFE、PFAフイルム、及び切削PTFEは全て、実質的に非通気性の層14として有効に使用できる材料であることが明らかに示されている。
【0143】
シール性試験1の結果及びこの試験の結果を組合せることによって、この試験の結果が6.9秒以上の材料は、非通気性層14として有用であることが更にはっきり示された。またこの試験の結果が30秒より長い材料は、非通気性層14として更に一層有効であることも示された。更にこの試験の結果が100秒より長い材料は、非通気性層14としてより一層有効であることも示された。更にこの試験の結果が600秒より長い材料は、非通気性層14として最も有効であることが示された。
【0144】
液体透過性試験5
この試験は溶剤をベースとしたインクのガスケット断面中への、及びこれを貫通する透過を測定するために行なわれた。図21に示したこのインク試験取付具130は、バックアップリング133を有する3インチ×150ポンドクラスのPVDFパイプフランジ135、及び4個の潤滑処理された5/8インチのボルト132で一緒に締め付けた盲の3インチ×150ポンドクラスのFRPフランジ134から構成される。この試験で試験されるガスケット131は、試験取付具130のフランジ135及び134の間に置かれた。ボルトは35フィート・ポンド(47.5N・m)のトルクになるように交差タイプのパタンで締め付けられた。ジョージャ州、スミアナのイマジェインクジェットプリンティング社から市販のパートナンバー1300−RD赤インクである、エチルアルコールをベースとした赤インク136が、PVDFパイプフランジ135のスロートに約25mmの厚さになる迄注がれた。インク136はガスケット131の内径137と接触し、試験継続中しみ込ませるようにした。特定の時間の後、インク136を試験取付具130から流し出した。試験取付具130を解体し、ガスケット131を取り出した。ガスケット131を約1時間乾かした。ガスケット131は乾燥後、ガスケット131の直径に沿って半分に切断した。インク136の透過はガスケットの断面中の何らかの赤い汚れによって検知された。
【0145】
このインク試験は、比較例19の従来の微細多孔質延伸膨張PTFEガスケット、及び実施例20及び21の本発明のガスケットについて行なわれた。比較例19の従来のガスケットについて7.5時間浸漬した後、インクはGRシートガスケットの断面積の幅方向に(暴露された内径から始まって)8.5mmの深さ迄透過した。実施例20の本発明のガスケットに関しては、12時間浸漬した後もインクはガスケットの断面中に透過しなかった。実施例21の本発明のガスケットについては、14時間浸漬した後もインクは断面中に透過しなかった。このことは、ガスケットを通しての液体透過耐性に対して、本発明のガスケットは従来のガスケットにまさる著しい改良がなされていることを明かに示すものである。
【0146】
本明細書で本発明の特別の実施態様を図解して記述してきたが、本発明はこのような図解や記述に限られるものではない。次の特許請求の範囲内で、いろいろな変化や変更が本発明の部分として組み入れられ、具体化され得ることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の実質的に非通気性の外層と、第二の実質的に非通気性の外層との間に配置された、少なくとも一つの延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンの内層を有し、且つ前記の第一及び第二の実質的に非通気性の層の間をつなぐ、実質的に非通気性の領域を有する、多層、一体型のガスケット。
【請求項2】
前記の少なくとも一つの延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンの内層が、内辺及び外辺を有する、請求項1に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項3】
前記の実質的に非通気性の領域が、前記の内辺に配置されている、請求項2に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項4】
前記の実質的に非通気性の領域が、前記の外辺に配置されている、請求項2に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項5】
前記の実質的に非通気性の領域が、前記の内辺と、前記の外辺との間に配置されている、請求項2に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項6】
前記の実質的に非通気性の領域が、緻密化された延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項1に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項7】
前記の実質的に非通気性の領域が、相互に連結した通路状の構造を有する延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンを含み、且つ前記の通路状部の少なくとも一部に配置された充填材を有する、請求項1に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項8】
前記の充填材がエラストマーである、請求項7に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項9】
前記の充填材がフルオロエラストマーである、請求項7に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項10】
前記の充填材がパーフルオロエラストマーである、請求項7に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項11】
前記の充填材がパーフルオロポリエーテルシリコーンエラストマーである、請求項7に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項12】
前記の第一及び第二の実質的に非通気性の層が、緻密化された延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項1に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項13】
前記の第一及び第二の実質的に非通気性の層が、切削ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項1に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項14】
前記の第一及び第二の実質的に非通気性の層が、ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項1に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項15】
前記の第一及び第二の実質的に非通気性の層が、PFA及びFEPから成る群より選ばれたものである、請求項1に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項16】
前記の延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンの内層が少なくとも二つあり、且つ前記の少なくとも二つの内層の間に配置された実質的に非通気性の層を更に有する、請求項1に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項17】
前記の実質的に非通気性の領域をさらに複数含む、請求項1に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項18】
上面、底面、内辺、外辺及び軸線を有する環状リング、
前記の上面に配置された第一の実質的に非通気性の層、
前記の底面に配置された第二の実質的に非通気性の層、
前記の第一及び第二の実質的に非通気性の層の間に配置された、少なくとも一つの延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンの層、並びに
前記の第一及び第二の実質的に非通気性の層の間をつなぐ実質的に非通気性の領域、を有し、且つ前記の層の全てが、前記の軸線に対して実質的に垂直に配置されている、多層、一体型のガスケット。
【請求項19】
前記の実質的に非通気性の領域が、前記の環状リングの前記内辺に配置されている、請求項18に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項20】
前記の実質的に非通気性の領域が、前記の環状リングの前記外辺に配置されている、請求項18に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項21】
前記の実質的に非通気性の領域が、前記の環状リングの前記内辺と前記外辺との間に配置されている、請求項18に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項22】
前記の第一及び第二の実質的に非通気性の層の少なくとも一つが、緻密化された延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項19に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項23】
前記の第一及び第二の実質的に非通気性の層の少なくとも一つが、緻密化された延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項20に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項24】
前記の第一及び第二の実質的に非通気性の層の少なくとも一つが、緻密化された延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項21に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項25】
前記の実質的に非通気性の領域が、緻密化された延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項22に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項26】
前記の実質的に非通気性の領域が、緻密化された延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項23に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項27】
前記の実質的に非通気性の領域が、緻密化された延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項24に記載の、多層、一体型のガスケット。
【請求項28】
内周、外周、上面及び底面を有する環状ガスケットであって、次のもの、即ち
前記の内周に隣接して配置され、且つ前記上面の第一の非通気性上層及び前記底面の第一の非通気性底層を有する、延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンの第一室、
前記の外周に隣接して配置され、且つ前記上面の第二の非通気性上層及び前記底面の第二の非通気性底層を有する、延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンの第二室、並びに
前記の第一室及び第二室の間に配置された、実質的に非通気性の領域、を有する環状ガスケット。
【請求項29】
前記の実質的に非通気性の領域が、前記の第一室及び第二室の厚さよりも薄い厚さを有する、請求項28に記載の環状ガスケット。
【請求項30】
硝子が裏打ちされたスチールのフランジに使用された、請求項28に記載の環状ガスケット。
【請求項31】
硝子のフランジに使用された、請求項28に記載の環状ガスケット。
【請求項32】
硝子繊維で強化したプラスチックのフランジに使用された、請求項28に記載の環状ガスケット。
【請求項33】
内周、外周、上面及び底面を有する環状ガスケットであって、次のもの、即ち
延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンの第一室であって、前記内周に隣接して配置されており、前記上面にある第一の頂部と前記底面にある第一の底部とを有し、且つ前記第一の頂部及び前記第一の底部は、前記第一室の前記延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンよりも通気性が少ない第一室、
延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンの第二室であって、前記外周に隣接して配置されており、前記上面にある第二の頂部と前記底面にある第二の底部とを有し、且つ前記の第二の頂部及び前記第二の底部は、前記第二室の前記延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンよりも通気性が少ない第二室、並びに
前記第一及び第二室の間に配置された領域であって、前記第一及び第二室の延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンよりも通気性が少ない領域、を有する環状ガスケット。
【請求項34】
内周、外周、上面及び底面を有する環状ガスケットであって、次のもの、即ち
延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンの第一室であって、前記内周に隣接して配置されており、前記上面にある第一の頂部バリヤー及び前記底面にある第一の底部バリヤーを有する第一室、
延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンの第二室であって、前記外周に隣接して配置されており、前記上面にある第二の頂部バリヤー及び前記底面にある第二の底部バリヤーを有する第二室、並びに
前記の第一及び第二室の間に配置され、且つこれらを連結するバリヤー、を有する環状ガスケット。
【請求項35】
内周、外周、上面、及び底面を有する環状ガスケットであって、次のもの、即ち
延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンより成る室であって、前記上面にある頂部及び前記底面にある底部を有し、且つ前記頂部及び前記底部が、前記室の前記延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンよりも通気性が少ない室、並びに
前記の内周に沿って、前記頂部及び前記底部の間に配置された領域であって、延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンより成る前記室と密接し、且つ前記室の延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンよりも通気性が少ない領域、を有する環状ガスケット。
【請求項36】
内周、外周、上面、及び底面を有する環状ガスケットであって、次のもの、即ち
延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンより成る室であって、前記上面にある頂部及び前記底面にある底部を有し、且つ前記頂部及び前記底部が、前記室の前記延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンよりも通気性が少ない室、並びに
前記の外周に沿って、前記頂部及び前記底部の間に配置された領域であって、延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンより成る前記室と密着し、且つ前記室の延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンよりも通気性が少ない領域、を有する環状ガスケット。
【請求項37】
内周、外周、上面、及び底面を有する環状ガスケットであって、次のもの、即ち
延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンより成る第一室であって、前記上面にある第一の頂部及び前記底面にある第一の底部を有し、且つ前記第一の頂部及び前記第一の底部が、前記第一室の前記延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンよりも通気性が少ない第一室、
延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンより成る第二室であって、前記上面にある第二の頂部及び前記底面にある第二の底部を有し、且つ前記第二の頂部及び前記第二の底部が、前記第二室の前記延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンよりも通気性が少ない第二室、並びに
前記第一及び第二室の間に配置された領域であって、第一及び第二室の延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンよりも通気性が少ない領域、を有する環状ガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−257006(P2011−257006A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−172264(P2011−172264)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【分割の表示】特願2001−515491(P2001−515491)の分割
【原出願日】平成12年8月11日(2000.8.11)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【出願人】(391018178)ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (40)
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】