説明

低屈折率光学膜用塗料、光学多層膜及び反射型スクリーン

【課題】フッ素系樹脂から成る低い屈折率かつ低表面エネルギーを持つ光学膜を形成するための低屈折率光学膜用塗料であって、その光学膜上へ、低い屈折率を維持したまま異なる屈折率をもつ膜を積層塗布でき、相互膜の密着性に優れる低屈折率光学膜用塗料を提供し、その光学膜用塗料で得られる光学膜を用いた光学多層膜及び反射型スクリーンを提供する。
【解決手段】低屈折率光学膜用塗料として、高屈折率光学膜用塗料の結合剤が有する官能基とエネルギーの吸収により化学結合する官能基を有し表面エネルギーが22dyne/cm以下であるフッ素系樹脂と、カルボキシル基および/またはヒドロキシル基の極性基を有するフッ素系添加剤とを含み、前記フッ素系添加剤の極性基のモル数が前記フッ素系樹脂の平均モル数に対して2.7〜10倍とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低屈折率光学膜用塗料、光学多層膜、さらに、光吸収層と該光学多層膜と光拡散層からなる反射型スクリーンに関する。特に、整形が容易で、生産性に優れ、表面エネルギーの低い膜上にも光学膜表面の極性基種と低屈折率光学膜用塗料に含まれる分散剤の極性を選ぶことで、コロナ放電、プラズマ処理等を行わずして、積層塗布でき、さらに密着性に優れる光透過性光学多層膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学材料には、ガラス等の無機光学材料とプラスチック等の有機高分子光学材料とがあるが、いずれの光学材料とも何らかの欠点を有しており光学材料に求められる要求をすべて満足するものではなかった。
【0003】
すなわち、有機高分子光学材料は、さまざまな形状に成形加工し易く、迅速な大量生産性があり、軽くて割れにくいという利点を有するが、屈折率が低い、軟らかい、傷つき易い、吸湿性があるために形状変化が起こって光学特性が変化する、複屈折率が大きい等の欠点を有していた。
【0004】
一方、無機光学材料は、硬くて傷つきにくく、耐熱性が高く、吸湿性が小さいこと、屈折率は有機高分子光学材料よりも高く幅広く選択できる、複屈折率が小さい、該解像度が高いという利点を有するが、衝撃で割れ易い、成形性が悪い、迅速な大量生産性が悪いという欠点を有していた。
【0005】
したがって、現状では両者ともに光学材料として不十分であり、それらの欠点のない、つぎの5つの特性を満たす新しい光学材料が求められていた。
1)成形加工性が良いこと、
2)屈折率値を自由に連続的に選択できること、
3)耐衝撃性があり、割れにくいこと、
4)着色性が少なく、広い波長域において可視光の光透過率が高いこと、
5)傷つきにくいこと
【0006】
ところで、材料の屈折率値が高いと、より薄いレンズで目的物を作ることができ、より軽量なレンズを提供することができるため、光学材料としてより高屈折率であることが要求されている。
また様々な屈折率をもつ層上に異なる屈折率をもつ光学膜を積層することにより光学材料として所望の機能を付与する手法がある。例えば、波長550nmの光に対する屈折率が1.35〜1.45の低屈折率膜の下層に高屈折率膜を設けると効果的な光反射防止膜が得られる(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
また、有機高分子材料中に種々の金属酸化物の微粒子を混入させることにより、塗膜の屈折率を自由に調整することが可能であり、これをフィルムやレンズ上に塗布することによって、ディスプレイ、モニタ、レンズの表面特性を改良する手法、あるいはそれを光学材料に用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
【特許文献1】特開平11−64601号公報
【特許文献2】特開2000−171603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、それらの光学膜用塗料の表面張力はフッ素系膜、離型フィルム等の表面エネルギーに比べて高いために、これらの膜上に積層塗布することができないこと、あるいは成膜しても密着性が悪いことが多くの場合で発生した。
【0010】
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、フッ素系樹脂から成る低い屈折率かつ低表面エネルギーを持つ光学膜を形成するための低屈折率光学膜用塗料であって、その光学膜上へ、コロナ、プラズマ処理等を行わずとも、つまり、低い屈折率を維持したまま異なる屈折率をもつ膜を積層塗布でき、相互膜の密着性に優れる低屈折率光学膜用塗料を提供し、その光学膜用塗料で得られる光学膜を用いた光学多層膜及びスクリーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために提供する本発明は、金属酸化物の微粒子と、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、またそれぞれの塩基、アンモニウム塩基、ヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種から成る極性基を有する分散剤と、エネルギーを吸収して硬化反応を起こす官能基を有する結合剤とを含む高屈折率光学膜用塗料を塗布して得られる高屈折率光学膜の下地層となる低屈折率光学膜を塗布形成するのに用いられる低屈折率光学膜用塗料であって、前記高屈折率光学膜用塗料の結合剤が有する官能基と前記エネルギーの吸収により化学結合する官能基を有し表面エネルギーが22dyne/cm以下であるフッ素系樹脂と、カルボキシル基および/またはヒドロキシル基の極性基を有するフッ素系添加剤とを含み、前記フッ素系添加剤の極性基のモル数が前記フッ素系樹脂の平均モル数に対して2.7〜10倍であることを特徴とする低屈折率光学膜用塗料である(請求項1)。
【0012】
ここで、塗布後に得られる低屈折率光学膜の表面エネルギーの極性項が、0.9dyne/cm以上であることが好ましい。
【0013】
前記課題を解決するために提供する本発明は、請求項1または2に記載の低屈折率光学膜用塗料を塗布して得られる低屈折率光学膜と、金属酸化物の微粒子と、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、またそれぞれの塩基、アンモニウム塩基、ヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種から成る極性基を有する分散剤と、エネルギーを吸収して硬化反応を起こす官能基を有する結合剤とを含む高屈折率光学膜用塗料を塗布して得られる高屈折率光学膜とが積層されてなることを特徴とする光学多層膜である(請求項3)。
【0014】
ここで、前記高屈折率光学膜用塗料では、前記分散剤が、微粒子の表面積に対して1.5〜22μmol/mの割合で含まれていることが好ましい。
また、前記微粒子が、TiOまたはZrOの微粒子であることが好ましい。
【0015】
また、透明支持体上に、前記高屈折率光学膜と前記低屈折率光学膜とが交互に積層された2n+1層(n=1,2,3)からなる積層膜であり、最外層が高屈折率光学膜であることが好適である。
【0016】
前記課題を解決するために提供する本発明は、光源からの光を反射して画像を表示する反射型スクリーンにおいて、請求項3〜6のいずれか一に記載の光学多層膜と、該光学多層膜の透過光を吸収する光吸収層と、前記光学多層膜の最外層上に該光学多層膜が反射した光を拡散させる光拡散層とを備えることを特徴とする反射型スクリーンである(請求項7)。
【発明の効果】
【0017】
本発明の低屈折率光学膜用塗料によれば、該低屈折率光学膜用塗料により形成された光学膜であれば表面エネルギーの低い光学膜上にも塗布ができ、積層構造とすることができる。詳しくは、本発明の低屈折率光学膜用塗料から形成された低屈折率光学膜と所定の高屈折率光学膜用塗料との組み合わせにより、該高屈折率光学膜用塗料は濡れ性よく均一に塗布することができる。さらに、前記高屈折率光学膜用塗料の硬化反応により形成される高屈折率光学膜は前記低屈折率光学膜と密着性よく積層することが可能となる。
本発明の光学多層膜によれば、特定波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有する機能性の光学膜を塗布によって形成できる。
本発明の反射型スクリーンによれば、反射型スクリーン上の映像の黒レベルを下げて高コントラストを達成することができ、部屋が明るい状態でもコントラストの高い映像を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明に係る低屈折率光学膜用塗料の実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施の形態は例示であり、これに限定されるものではない。
【0019】
(低屈折率光学膜用塗料)
本発明に係る低屈折率光学膜用塗料は、溶媒中に溶解しエネルギーを吸収して硬化反応を生じる官能基を有する結合剤に微粒子が分散された高屈折率光学膜用塗料で成膜される光学膜との密着性に寄与する官能基を有するフッ素系樹脂と、この高屈折率光学膜用塗料の濡れ性に寄与する極性基を有するフッ素系添加剤とを含有する低屈折率タイプの光学膜用塗料とすることにより、この塗料を用いて形成される低屈折率光学膜に、組み合わされて使用される高屈折率光学膜用塗料との濡れ性をよくし、さらにこの高屈折率光学膜用塗料により形成される高屈折率光学膜との密着性をよくする機能を付与するものである。
【0020】
すなわち、本発明の低屈折率光学膜用塗料は、組み合わされて使用される高屈折率光学膜用塗料の結合剤が有する官能基とエネルギーの吸収により化学結合する官能基を有し表面エネルギーが22dyne/cm以下であるフッ素系樹脂と、マレイミド基、アミジン基、アミド基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホンアミド基、フェノール性OH基、アルコール性OH基およびフェニル基から選ばれる少なくとも1種の極性基を有するフッ素系添加剤とを含み、前記フッ素系添加剤の極性基のモル数が前記フッ素系樹脂の平均モル数に対して2.7〜10倍であることを特徴とするものである。
【0021】
本発明に用いられるフッ素系樹脂は含フッ素重合体であり、単独重合体または共重合体の繰り返し単位の主鎖構造部分がパーフルオロの重合体が好ましい。主鎖中または側鎖への結合部としてエーテル結合を有していてもよい。主鎖のパーフルオロ構造のフッ素原子の半分以下が塩素原子や水素原子に置換されていてもよい。これによって、屈折率を1.4以下に調節でき、塗膜表面エネルギーを22dyne/cm以下に下げることができる。塗布膜の透明性から、非晶質のものが好ましいが、結晶化度が30%以下、好ましくは20%以下のものであれば適用可能である。
【0022】
またフッ素系樹脂は、前記高屈折率光学膜との積層体として鑑みた時に、相互密着の観点から、高屈折率光学膜用塗料に含まれる結合剤の官能基と放射線、熱等によって化学結合するような官能基が含まれており、高屈折率光学膜との密着性を向上させることができる含フッ素重合体である。この官能基としては、例えばアクリル基、エポキシ基、イソシアネ−ト基、ヒドロキシル基等が挙げられる。さらに、種類の異なる官能基を有する含フッ素重合体の混合物や、極性基を持たない含フッ素重合体が含まれていてもよい。また、同様の官能基をもつ、単量体が含まれていても良い。
【0023】
フッ素系樹脂は、従来公知の重合方法、例えばラジカル重合、アニオン重合等の方法にて、熱、光、電子線、放射線等を重合開始エネルギーとして製造されるが、工業的には熱及び/または光を重合開始エネルギーとするラジカル重合が好ましい。これらの重合形態としては、塊状重合、溶液重合、またはエマルジョン重合等のいずれをも採ることが出来る。重合開始エネルギーとして熱を使用する場合、無触媒、またはアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパ−オキシド、t−ブチルパ−オキシ−2−エチルヘキサノエ−ト、t−ブチルパ−オキシベンゾエ−ト、t−ブチルパ−オキシイソプロピルカ−ボネ−ト、メチルオチルケトンパ−オキシド−ナフテン酸コバルト等の重合開始剤を添加し、紫外線のような光を利用する場合には、公知のいわゆる光重合開始剤、例えばd−1:ベンゾフェノン、d−2:アセトフェノン、d−3:ベンゾイン、d−4:ベンゾインエチルエーテル、d−5:ベンゾインイソブチルエーテル、d−6:ベンジルメチルケタール、d−7:アゾビスイソブチロニトリル、d−8:ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、d−9:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等に、必要に応じて光増感剤として、アミン化合物、又はリン化合物等を添加し、重合をより迅速化することができる。また、これらのラジカル重合において、必要に応じてラウリルメルカプタン、チオグリコ−ル酸オクチル、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、C1817CH2CH2SH等のメルカプト基含有連鎖移動剤を併用することにより、含フッ素重合体の重合度を調節することができる。電子線または放射線によって重合する場合、特に重合開始剤等の添加は要しない。また、溶液重合によって含フッ素重合体を得る場合、溶剤としては重合反応に悪影響を及ぼさなければ制限はない。
【0024】
本発明に用いられるフッ素系添加剤は、カルボキシル基および/またはヒドロキシル基の極性基を含む。この極性基は、フッ素系樹脂の表面エネルギーが22dyne/cm以下と非常に低くても、低屈折率光学膜の表面エネルギーの極性項を上げる役割を果たすものである。すなわち、単なるフッ素系樹脂膜上に22dyne/cmよりも大きな表面張力をもつ溶媒だけを用いるとはじいてしまい塗布できなかったが、この低屈折率光学膜に対して後述する高屈折率光学膜用塗料を用いると、低屈折率光学膜の極性基と高屈折率光学膜用塗料中の微粒子表面に吸着した分散剤の極性基との相互作用によって、濡れ性が向上し塗布できるようになる。なお、塗布後に得られる低屈折率光学膜の表面エネルギーの極性項は、0.9dyne/cm以上であることが好ましい。
【0025】
またフッ素系添加剤の添加量として、(極性基モル数)/(フッ素系樹脂平均モル数)とした場合に2.7〜10倍となるように添加することが好ましい。添加量が2.7倍よりも少ない場合には、低屈折率光学膜の表面エネルギーにおける極性項を十分に上昇させることができず、高屈折率光学膜用塗料を積層塗布することができない。一方、10倍よりも添加量を増加させると、表面に低分子成分が集まり、表面平坦性を劣化させるために塗膜の透明性が劣化する。
【0026】
フッ素系添加剤は、下記の一般式(1)(2)で表されるパーフルオロポリエーテル基を有する極性基を含有する構造が好ましい。
【0027】
【化1】

【0028】
Rf−COR−R−X ・・・(2)
【0029】
一般式(1),(2)において、Rfはパーフルオロポリエーテル基である。その分子構造としては、特に限定されるものではなく、各種鎖長のパーフルオロポリエーテル基が含まれるが、下記に示す分子構造のものが好ましい。
【0030】
−CF(OC)p(OCF)qOCF
(式中、p、qは1〜50の整数)
【0031】
また、一般式(1),(2)におけるRとしての二価の原子又は原子団としては、特に限定されるものではないが、通常は、例えばO、NH、S等の原子あるいは原子団である。
【0032】
また一般式(1),(2)におけるRは非置換又は置換の二価の炭化水素基であり、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などのアルキレン基が例示され、炭素数は特に制限されない。
また、一般式(1),(2)で表されるフッ素系化合物の分子量は特に限定されないが、安定性、取扱い易さなどの点から数平均分子量で2000〜10000程度のものが使用されることが望ましい。
【0033】
また一般式(1),(2)におけるXはカルボキシル基、ヒドロキシル基(極性基)である。
【0034】
本発明のフッ素系樹脂とフッ素系添加剤は、揮発性溶媒に希釈して塗布される。すなわち、塗料の溶媒としては、特に限定されないが、使用に当たっては、組成物の安定性、被塗布面である基材の表面に対する濡れ性、揮発性などを考慮して決めるべきであり、ここではフッ化炭化水素系溶媒を用いることが好ましい。例えばパーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、三井・デュポン社製商品名Vertrel−XFのハイドロフルオロポリカーボン、ソルベイソレクシス社製の商品名H−GALDEN−ZV75、ZV85、ZV100、C、D等のハイドロフルオロポリエーテルあるいはSV110、SV135等のパーフルオロポリエーテル、住友3M社製のFCシリーズ等のパーフルオロアルカン等を例示することができる。これらのフッ化炭化水素系溶媒の中でも、沸点が40〜240℃の範囲のものを選択し、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。膜厚ムラを抑制するためには、60℃〜140℃の沸点であるものが好ましい。
【0035】
(高屈折率光学膜用塗料)
つぎに、前記低屈折率光学膜用塗料と組み合わされて使用する高屈折率光学膜用塗料について説明する。
本発明で使用する高屈折率光学膜用塗料は、前記低屈折率光学膜用塗料から形成された低屈折率光学膜上に塗布されて光学膜を形成する材料であって、結合剤が溶解した有機溶媒中に微粒子が分散剤により分散された光学膜用塗料である。また、この光学膜用材料は塗布された後に硬化反応により、高屈折率光学膜となるものである。
【0036】
また高屈折率光学膜用塗料は、金属酸化物の微粒子と、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、またそれぞれの塩基、アンモニウム塩基、ヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種から成る極性基を有する分散剤と、エネルギーを吸収して硬化反応を起こす官能基を有する結合剤とを含むものである。
【0037】
微粒子としては、Ti、Zr、Al、Ce、Sn、La、In、Y、Sb、Si等の酸化物、または、In−Sn等の合金酸化物が挙げられる。このうち、屈折率1.75以上の膜屈折率とするためにはTiOまたはZrOであることが好ましい。なお、ZrOはTiO微粒子表面にZrOを被着した構成の微粒子であってもよい。もちろん、光触媒を抑える目的でTiに添加されるAl、Zr等の元素が適当量含有したとしても、本発明の効果を妨げるものではない。
【0038】
また、本発明に用いる微粒子の比表面積は、55〜85m/g好ましくは、75〜85m/gであることが望ましい。比表面積が上記範囲にあると、微粒子の分散処理により、塗布液中における微粒子の粒度で100nm以下に抑えることが可能となり、ヘイズの非常に小さな光学膜を得ることが可能である。
【0039】
分散剤は、微粒子の分散性向上とともに、分散によって微粒子表面に配向された分散剤が光学膜用塗料の表面上でも配向した形態をとり、少量添加でも光学膜用塗料の表面張力を低下させるのに好適である。分散剤は親油基と親水基とからなり、親水基である極性官能基の導入部位は特に限定されない。
【0040】
該分散剤の含有量は微粒子に対し1.5〜22μmol/mであることが好ましい。これより含有量が少ないと光学膜に十分な分散性を得ることができない。逆に、含有量が多いと、微粒子の分散状態を劣化させる傾向にあり、また、塗膜中における分散剤体積比率が上昇するために、膜屈折率が低下して屈折率の調整範囲が狭くなることから光学膜積層設計が困難となる。なお、上記単位μmol/mは、微粒子表面積1m当りの分散剤添加量を意味する。
本発明の分散剤以外の結合剤を含む場合には結合基を多く有する多官能ポリマー、またはモノマーが好ましい。
【0041】
上記分散剤に含まれる親水基の極性官能基の量は、1.5〜22μmol/mである。官能基がこれより少ない、あるいは多い場合には、微粒子の分散に対する効果が発現せず、分散性低下などにつながる。
【0042】
また、極性官能基として以下に示すような官能基でも凝集状態にならないため、有用である。
・−SOM、−OSOM、−COOM、P=O(OM)(ここで、式中Mは、水素原子あるいは、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属である。)、3級アミン、4級アンモニウム塩
・R(R)(R)NHX(ここで、式中R、R、Rは、水素原子あるいは炭化水素基であり、X-は塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオンあるいは無機・有機イオンである。)
・−OH、−SH、−CN、エポキシ基等
極性官能基の導入部位は特に規定はない。これら分散剤は、1種単独で用いられることが可能であるが、2種以上を併用することも可能である。
【0043】
また、塗膜における本発明の分散剤は、総量で上記微粒子100重量部に対して、5〜50重量部が好ましく、7.5〜20重量部がより好ましい。
【0044】
有機溶媒は、表面張力の低いものが好ましい。アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル等のエステル系溶媒等が用いられる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋である必要はなく、異性体、未反応物、分解物、酸化物、水分等の不純成分が20%以下であれば含まれていてもかまわない。より低い表面張力をもつ溶媒を選択することが望ましい。メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール等が挙げられる。
【0045】
分散剤と硬化反応する結合剤としては、熱硬化性樹脂、UV、EB硬化型樹脂等があげられる。熱硬化性樹脂またはUV、EB硬化型樹脂の例としてはポリスチレン樹脂、スチレン共重合体、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式等)基を有するポリマーでもよい。また、炭素鎖中にフッ素、シラノール基の入った樹脂でも構わない。
【0046】
上記光学膜用塗料の製造に当たっては、混練工程、分散工程及びこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程によって行われる。本発明において使用する微粒子、樹脂、溶媒など全ての原料は何れの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。分散及び混練には、アジター、ペイントシェーカー等の従来公知の装置を用いればよい。
【0047】
(光学多層膜)
光学多層膜は、上記低屈折率光学膜用塗料を塗布して得られる低屈折率の光学膜12Lと、上記高屈折率光学膜用塗料を塗布して得られる高屈折率の光学膜12Hとが積層された構成である。詳しくは、支持体上に、まず光学膜12Hが設けられ、ついで光学膜12Lが設けられ、以降光学膜12Hと光学膜12Lとが交互に設けられ、最後に光学膜12Hが設けられた構成であり、2n+1層(nは1以上の整数。)からなる積層膜となっている。
【0048】
光学膜12Hは、支持体、または光学膜12Lの上に上記低屈折率光学膜用塗料を塗布した後に硬化反応により形成される光学膜である。
この光学膜の膜厚は、赤色、緑色、青色の三波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有するように、80nm〜15μm、より好ましくは600〜1000nmとする。15μmより厚くすると、分散し切れなかった微粒子によるヘイズ成分が増大して光学膜としての機能が得られないからである。
また、この光学膜の屈折率は、1.75〜2.10とすることが好ましい。屈折率を2.10よりも高くすると、微粒子の分散性が不充分となって光学膜としての機能が損なわれ、屈折率を1.75よりも低い場合には必要とされる光学特性が得られない場合がある。
【0049】
光学膜12Lは、光学膜12Hの上に上記低屈折率光学膜用塗料を塗布した後に硬化反応により形成される光学膜である。
この光学膜の膜厚は、光学膜の膜厚は、赤色、緑色、青色の三波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有するように、80nm〜15μm、より好ましくは600〜1300nmとする。
また、この光学膜の屈折率は、1.45以下が好ましい。
【0050】
以上の構成により、本発明の低屈折率光学膜用塗料から形成された光学膜12Lと上記高屈折率光学膜用塗料との組み合わせにより、該高屈折率光学膜用塗料は濡れ性よく塗布することができ、さらに、硬化反応により光学膜12Lと光学膜12Hとを密着性よく積層することが可能となる。
【0051】
また、本発明の光学多層膜は、赤色、緑色、青色の三波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有するようになる。なお、光学膜12H、光学膜12Lそれぞれの屈折率や厚みを調整することにより、光学多層膜として反射する三波長帯の波長位置をシフトさせて調整することが可能であり、これによりプロジェクターから投射される光の波長に対応させた光学多層膜とすることができる。
【0052】
なお、光学多層膜を構成する光学膜12H及び光学膜12Lの層数は特に限定されるものではなく、所望の層数とすることができる。また、光学多層膜はプロジェクター光の入射側及びその反対側の最外層が光学膜12Hとなる奇数層により構成されることが好ましい。光学多層膜を奇数層の構成とすることにより、偶数層とした構成の場合よりも三原色波長帯域フィルターとして機能が優れたものとなる。
【0053】
光学多層膜の具体的な層数は3〜7層の奇数層とすることが好ましい。層数が2以下の場合には反射層としての機能が十分ではないためである。一方、層数が多いほど反射率は増加するが、層数8以上では反射率の増加率が小さくなり、光学多層膜の形成所要時間をかけるほど反射率の改善効果が得られなくなるためである。
【0054】
本発明の光学多層膜は、支持体、あるいは光学機能性薄膜上に設けることが可能である。支持体は透明フィルム、ガラス板、アクリル板、メタクリルスチレン板、ポリカーボネート板、レンズ等所望の光学特性を満足するものであれば、いずれのものでも構わない。
例えば、レンズを支持体として使用する場合、その表面形状に制限はなく、球面状、非球面状のいずれの形状をとる事もできる。従来の他のレンズと組合せて用いる事もできる。光学レンズは、レンズに入った光線束を集合または発散させて実像あるいは虚像を結ばせるものであり、凸レンズ、凹レンズがある。その利用分野として、メガネ(矯正用、ファッション用)、顕微鏡、望遠鏡、拡大鏡、プロジェクション機器類(映画、オーバーヘッドプロジェクター、スライド映写機)、カメラ(ビデオカメラ、デジタルカメラ、写真用カメラ、内視鏡カメラ)、CDを主とした光メモリー用または読み取り用の対物レンズがある。
【0055】
(反射型スクリーン)
つぎに、本発明に係る反射型スクリーンの実施の形態について説明する。
本発明に係る反射型スクリーンの構成例を図1に示す。反射型スクリーン10は、支持体11上に光学多層膜12が設けられ、光学多層膜12の透過光を吸収する光吸収層13と、光学多層膜12の最外層上に光学多層膜12が反射した光を拡散させる光拡散層14とを備える構成である。
【0056】
支持体11は、透明フィルム、ガラス板、アクリル板、メタクリルスチレン板、ポリカーボネート板、レンズ等の所望の光学特性を満足するものであればよい。光学特性として、上記支持体11を構成する材料の屈折率は1.3〜1.7、ヘイズは8%以下、透過率は80%以上が好ましい。また、支持体11にアンチグレア機能をもたせてもよい。
【0057】
透明フィルムはプラスチックフィルムが好ましく、このフィルムを形成する材料としては、例えばセルロース誘導体(例、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース及びニトロセルロース)、ポリメチルメタアクリレート、メチルメタクリレートと他のアルキル(メタ)アクリレート、スチレンなどといったビニルモノマーとの共重合体などの(メタ)アクリル系樹脂;ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)などのポリカーボネート系樹脂;(臭素化)ビスフェノールA 型のジ(メタ)アクリレートの単独重合体ないし共重合体、(臭素化)ビスフェノールA のモノ(メタ)アクリレートのウレタン変性モノマーの重合体および共重合体などといった熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂;ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよび不飽和ポリエステル;アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが好ましい。また、耐熱性を考慮したアラミド系樹脂の使用も可能である。この場合には加熱温度の上限が200℃以上となり、その温度範囲が幅広くなることが予想される。
プラスチックフィルムは、これらの樹脂を伸延あるいは溶剤に希釈後フィルム状に成膜して乾燥するなどの方法で得ることができる。厚さは剛性の面からは厚いほうがよいが、ヘイズの面からは薄いほうが好ましく、通常25〜500μm程度である。
【0058】
また、上記プラスチックフィルムの表面がハードコートなどの被膜材料で被覆されたものであってもよく、無機物と有機物からなる光学多層膜の下層にこの被膜材料を存在させることによって、付着性、硬度、耐薬品性、耐久性、染色性などの諸物性を向上させることも可能である。
【0059】
また、支持体11上に光学機能性薄膜、あるいは透明支持体表面処理として、下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、オルガノアルコキシメタル化合物やポリエステル、アクリル変性ポリエステル、ポリウレタンが挙げられる。また、コロナ放電、UV照射処理を行うのが好ましい。
【0060】
光学多層膜12は、上記高屈折率光学膜用塗料を基体上に塗布・硬化して得られる高屈折率の光学膜12Hと、上記低屈折率光学膜用塗料を基体上に塗布・硬化して得られる低屈折率の光学膜12Lとが交互に積層された構成であり、上記で示した光学多層膜の構成であればよい。
【0061】
光吸収層13は、光学多層膜12を透過した光を吸収させるためのもので、例えば、図1では支持体11の光学多層膜12が設けられた面とは反対面に黒色の樹脂フィルムを貼り付けた態様を示している。
【0062】
あるいは、光吸収層13は、黒色の塗料を用いて塗布によって得られた層でもよい。
黒色の塗料として、カーボンブラック微粒子、シリカ微粒子等表面にカーボンブラックを被着させた微粒子等が挙げられる。これらの微粒子には導電性があっても良い。
また、カーボンブラック微粒子の製法は、オイルファーネス法、チャンネル法、ランプ法、サーマル法等が知られている。
【0063】
黒色を沈める目的の場合、微粒子の一次粒子径、分散性が塗膜としての黒色を決定する大きな要素となり、一次粒子径が小さく表面積が大きなものほど漆黒性は向上する。また、表面官能基の多いカーボンブラックは、アルキド樹脂のようにOH基やカルボキシル基など極性官能基を有するビヒクルと親和性が高く、極性の低い炭化水素系溶剤と組み合わせることにより、樹脂との濡れ性がよくなり、光沢や漆黒度が高くなる。また、上記樹脂がもつ官能基と反応性のあるイソシアネート基、カルボキシル基をもつ硬化剤を添加して、塗膜を硬化させると良い。
【0064】
一般に表面官能基の量は、チャンネルカーボンの方がファーネスカーボンよりも多いが、ファーネス法でも酸化処理を施すことによって、官能基量を増やすことができる。カーボンブラックの一次粒子径は、好ましくは30nm以下であり、より好ましくは20nm以下である。粒子径が大きくなると、漆黒度が下がり、光吸収層としての性能が落ちる。
【0065】
塗布方法は、スクリーン塗布、ブレード塗布、スプレー塗布等従来既知の方法で構わない。
【0066】
また、膜厚は、10〜50μm程度が好ましく、より好ましくは15〜25μmである。膜厚が10μmよりも小さい場合には、とくにスプレー塗布の場合に漆黒度が低下してしまう。一方、膜厚が50μmよりも大きい場合には、塗膜が脆くなり、クラックが発生し易くなる。
【0067】
光拡散層14は、片面の表面が凹凸形状となっており、その構成材料はプロジェクターで使用する波長域の光を透過する性質のものであれば特に制約はなく、拡散層として通常使用されるガラスやプラスチックなどでよい。例えば、光学多層膜12の上に透明エポキシ樹脂を塗布し、エンボス加工などにより表面に凹凸を設けてもよいし、すでにそのような形状となった拡散フィルムを貼り合わせてもよい。光学多層膜12で選択的に反射された光は光拡散層14を透過して射出される際に拡散し、視聴者はこの拡散した反射光を観察することで自然な画像を視認することができるようになる。光拡散層14における拡散角はその視認性を決める重要な要因であり、拡散板を構成する材料の屈折率や表面の凹凸形状などを調整することによってその拡散角を増大させる。
また、プロジェクターの光源がレーザである場合にはスクリーン上のぎらつきであるスペックルパターンの発生を防止するために光拡散層14の表面形状パターンをランダムにするとよい。
【0068】
上記反射スクリーン10によって、プロジェクターからの特定波長の光を反射し、外光などのそれ以外の波長領域の入射光を透過・吸収する選択反射が可能となり、スクリーン10上の映像の黒レベルを下げて高コントラストを達成するものであり、部屋が明るい状態でもコントラストの高い映像を表示することが可能となる。例えば、グレーティング・ライト・バルブ(GLV)を用いた回折格子型プロジェクターのようなRGB光源からの光を投射した場合にスクリーン10上で広視野角で、かつコントラストが高く、外光の映り込みのない良好な映像が鑑賞できるようになる。
【0069】
すなわち、スクリーン10に入射する光は、光拡散層14を透過し、光学多層膜12に到達し、当該光学多層膜12にて入射光に含まれる外光成分は透過されて光吸収層13で吸収され、映像に関わる特定波長領域の光のみ選択的に反射され、その反射光は光拡散層14の表面にて拡散され視野角の広い画像光として視聴者に供される。したがって、上記反射光である画像光への外光の影響を高いレベルで排除することができ、従来にない高コントラスト化が可能となる。
【0070】
つぎに、本発明に係る反射型スクリーン10の製造方法について以下に説明する。
(s1)支持体11としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、当該支持体11の主面に上記高屈折率光学膜用塗料を所定量塗布する。
(s2)高屈折率光学膜用塗料の塗膜を乾燥後、紫外線を照射して硬化させ、所定膜厚の光学膜12Hを形成する。
(s3)ついで、光学膜12H上に本発明の低屈折率光学膜用塗料を所定量塗布する。
(s4)その塗膜を乾燥後、熱硬化させ、所定膜厚の光学膜12Lを形成する。これにより、光学膜12Hと光学膜12Lとの積層構成となる。
(s5)ついで、支持体11の最外層にある光学膜12L上に所定量の上記高屈折率光学膜用材料を塗布する。ここで、本発明の低屈折率光学膜用塗料から形成された光学膜12Lと上記高屈折率光学膜用塗料との組み合わせにより、該高屈折率光学膜用塗料は濡れ性よく塗布することができる。
(s6)塗布型光学膜用材料の塗膜を乾燥後、紫外線を照射して硬化させ、所定膜厚の光学膜12Hを形成する。ここで、光学膜12Lと光学膜12Hとは密着性よく積層される。
【0071】
以降、ステップs3〜s6までの処理を所定回数行い、支持体11上に光学多層膜12を形成する。なお、上記高屈折率光学膜用塗料と低屈折率光学膜用塗料との積層塗布による膜厚変化のない場合には、2層積層後にまとめて硬化する方法がよい。一方で、積層塗布による膜厚変化のある場合には、支持体からの硬化により、塗膜表面近傍における官能基のみの硬化度を低くした状態にて積層塗布を実施し、積層体を硬化することが望ましい。
【0072】
(s7)光学多層膜12の最外層表面に低屈折率の透明接着剤(EPOXY TECHNOLOGY社製EPOTEK396)を塗布し、その上に板形状の光拡散層14の凹凸の有る面とは反対面を接触面として搭載した後に当該接着剤を硬化させて光学多層膜12と光拡散層14とを貼り合わせる接着層とする。
【0073】
(s8)支持体11の裏面に黒色の光吸収剤を含有した樹脂を塗布し、光吸収層13を形成し、本発明に係る反射型スクリーン10とする。
【0074】
なお、塗布型光学膜用材料の塗布方法としては、このほかグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、ダイコーティング、ディッピングなど従来公知の塗布方式によって塗布されてもよい。
【0075】
また、本発明に係る反射型スクリーンの他の実施の形態における構成として、図2に示すように、支持体11の両面それぞれに上記と同じ構成の光学多層膜12が形成され、そのうち一方の光学多層膜12の最外層表面に光拡散層14が形成され、他方の光学多層膜12の最外層表面に光吸収層13が形成された構成としてもよい。この反射型スクリーン20でも、プロジェクターからの特定波長の光を反射し、外光などのそれ以外の波長領域の入射光を透過・吸収することにより反射スクリーン上の黒レベルを下げて高コントラストを達成することが可能である。
【実施例】
【0076】
上記本発明を実際に実施した例を以下に説明する。この実施例は例示であり、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0077】
(実施例1)
実施例1における低屈折率光学膜用塗料、高屈折率光学膜用塗料の組成と製造方法及び積層テスト方法を以下に示す。
(1)低屈折率光学膜用塗料(塗料(II))
・フッ素系樹脂:アクリル基を含有するパーフルオロ系重合体
(デュポン社製開発品) 100重量部
・フッ素系添加剤:カルボキシル基を含有するパーフルオロオリゴマー
(ソルベイソレクシス社製 Z-diac) 20重量部
【0078】
(2)高屈折率光学膜用塗料(塗料(I))
・微粒子:TiO2微粒子
(石原産業社製、平均粒径約20nm、屈折率2.48) 100重量部
・分散剤:SO3Na基含有ウレタンアクリレート
(重量平均分子量:500、SONa基濃度:2×10−3 mol/g)
20重量部
・結合剤:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物
(日本化薬社製UV硬化性樹脂、商品名DPHA) 30重量部
・有機溶媒:メチルイソブチルケトン(MIBK) 4800重量部

上記微粒子と分散剤と有機溶媒とを混合し、ペイントシェーカーで分散処理を行い微粒子分散液を得た。この微粒子分散液に結合剤を添加し、攪拌機にて攪拌処理を行い、高屈折率光学膜用塗料とした。
【0079】
(3)積層テスト方法
(s11)PETフィルム(厚み188μm、東レ社製、商品名U426)の主面にディッピング方式により低屈折率光学膜塗料(塗料(I))を塗布する。
(s12)ステップs11の塗膜を室温で乾燥し、表面エネルギーが14dyne/cmである光学膜12Lとした。
(s13)ついで、ステップs12の膜上に高屈折率光学膜用塗料(塗料(II))をディッピング方式により塗布する。
(s14)ステップs13の塗膜を室温で乾燥後、紫外線(UV)硬化(1000mJ/cm2)させ、所定膜厚の光学膜12Hを形成する。
【0080】
このとき、ステップs13の段階で高屈折率光学膜用塗料の濡れ状態を観察し、低屈折率光学膜12L上への積層塗布の可否を評価した。すなわち、高屈折率光学膜用塗料の積層性の評価として、完全に濡れている状態を積層可能、一部でもはじいた状態が認められるとはじくとして積層不良と評価した。
また、ステップs14の段階で光学膜12Lと光学膜12Hとの密着性を評価した。すなわち、試料の光学膜12H表面にメンディングテープ(ニチバン製ニチバンNo.405)を貼った後、一定の速度で引き剥がすことによる光学膜12Hの剥離状態を観察し、剥離面積率として0%を◎、0%超、30%以下を○、30%超、100%未満を△、100%を×と判定した。
また、上記ステップs12終了時に低屈折率光学膜12Lの屈折率をフィルメトリックス(松下インターテクノ社製)で測定し、低屈折率光学膜の全体の表面エネルギーγs、極性項表面エネルギーγpを測定した。なお、表面エネルギーの測定は水、ジヨードメタンの接触角測定により行った。さらに、ステップs14終了時に高屈折率光学膜の屈折率を低屈折率光学膜の場合と同様の方法で測定した。
【0081】
(実施例2)
実施例1において、塗料(II)に含まれるフッ素系樹脂をアクリル基含有パーフルオロ系重合体(大日本インキ社製 OP38Z)とし、塗料(II)をスピンコート方式によって塗布した。これを室温で乾燥し、基板側からUV硬化(1000mJ/cm)を行い、表面エネルギーが15dyne/cmである光学膜12Lとした。その後は、実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0082】
(実施例3)
実施例1において、塗料(II)に含まれるフッ素系樹脂をエポキシ基含有パーフルオロ系重合体(社内開発品)とし、90℃30分間の乾燥により光学膜12Lとし、塗料(I)に添加する結合剤をUV硬化性樹脂であるOXT−331(東亞合成社製)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0083】
(実施例4)
実施例1において、塗料(II)に含まれるフッ素系添加剤(パーフルオロオリゴマー)を、ヒドロキシル基含有パーフルオロオリゴマー(ソルベイソレクシス社製 Z−deal)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0084】
(実施例5〜7)
実施例1において、塗料(II)に含まれるフッ素系添加剤(パーフルオロオリゴマー)の添加量(フッ素樹脂に対する添加量)を、それぞれ11,16,40wt%((フッ素系添加剤極性基モル数)/(フッ素系樹脂平均モル数)として2.7,4,10)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0085】
(実施例8)
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤をリン酸エステル基含有物(クローダ社製、クロダホスN3A)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0086】
(実施例9)
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤をリン酸Na基含有物(日光ケミカルズ社製、DOP−8N)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0087】
(実施例10)
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤をカルボン酸基含有物(花王社製、ホモゲノール L−18)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0088】
(実施例11)
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤をカルボン酸Na基含有物(花王社製、SS−40N)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0089】
(実施例12)
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤をスルホン酸基含有物(ライオン社製、ライポンLH−200)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0090】
(実施例13)
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤をヒドロキシル基含有物(ドデシルフェノール)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0091】
(実施例14)
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤をテトラエトキシアンモニウム塩基含有物(ライオン社製、LT−270)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0092】
(実施例15)
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤の添加量(微粒子に対する添加量)を、22μmol/mとし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0093】
(実施例16)
実施例1において、塗料(I)に含まれる微粒子を、TiO微粒子をコアとし、該微粒子表面にZrOを被着したもの(石原産業社製、TTO−51D)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0094】
(実施例17〜19)
実施例1において、塗料(I)に含まれる微粒子の濃度を、1,16,55wt%とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0095】
(試験例1,2)
実施例1において、塗料(II)に含まれるフッ素系添加剤(パーフルオロオリゴマー)を、極性基のないパーフルオロオリゴマー(ソルベイソレクシス社製 FLUOROLINK A10)とし、それぞれの添加量フッ素樹脂に対する添加量)を、20,40wt%とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0096】
(試験例3)
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤を、極性基のないウレタンアクリレートとし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0097】
(試験例4)
実施例1において、塗料(I)に微粒子を添加せず、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0098】
(試験例5,6)
実施例1において、塗料(I)に含まれる分散剤の添加量(微粒子に対する添加量)を、それぞれ23,1.3μmol/mとし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0099】
(試験例7,8)
実施例1において、塗料(I)に含まれる微粒子の濃度を、0.5,56wt%とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0100】
(試験例9)
実施例1において、塗料(II)に含まれるフッ素系樹脂を官能基のないパーフルオロ系重合体(デュポン社製 TF)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0101】
(試験例10,11)
実施例1において、塗料(II)に含まれるフッ素系添加剤(パーフルオロオリゴマー)の添加量(フッ素樹脂に対する添加量)を、それぞれ10,44wt%((フッ素系添加剤極性基モル数)/(フッ素系樹脂平均モル数)として2.6,11)とし、それ以外は実施例1と同様の組成並びに方法として積層テストを行った。
【0102】
実施例1〜19の結果を表1に示す。いずれの実施例においても、塗料(II)で形成された低屈折率光学膜12Lの上に塗料(I)を問題なく均一に積層塗布でき、かつ密着性よく所望の高屈折率光学膜12Hを設けることができた。
【0103】
【表1】

【0104】
試験例1〜11の結果を表2に示す。それぞれの結果は次の通りであった。
・試験例1〜4:塗料(II)で形成された低屈折率光学膜の上で塗料(I)がはじかれる現象が認められ、積層塗布に不適であった。また、試験例3では塗料(I)で形成された膜は微粒子の分散不良により透明膜とはならず屈折率が測定できなかった。
・試験例5〜9:塗料(II)で形成された低屈折率光学膜の上に塗料(I)を積層塗布できた。しかしながら、各試験例は次の点で不充分であった。
試験例5:高屈折率光学膜の屈折率が1.73と低く、スクリーン用途としては不充分であった。
試験例6:塗料(I)で形成された膜は、微粒子に対する分散剤添加量が低すぎたために溶媒に対して微粒子が濡れきれずに、分散不良により透明膜とはならず屈折率が測定できなかった。
試験例7:高屈折率光学膜の膜厚が検出限界(80nm)以下と薄すぎて、スクリーン用途としては使用できない厚さであった。
試験例8:塗料(I)で形成された膜は、微粒子濃度が高すぎたために溶媒に対して微粒子が濡れきれず、分散不良により透明膜とはならず屈折率が測定できなかった。
・試験例9:形成された高屈折率光学膜の密着性が不良であった。
・試験例10:塗料(II)で形成された低屈折率光学膜の上で塗料(I)がはじかれる現象が認められ、積層塗布に不適であった。
・試験例11:塗料(II)で形成された低屈折率光学膜の上に塗料(I)を積層塗布できたが、形成された高屈折率光学膜の密着性が不良であった。また、高屈折率光学膜は透明膜とはならず屈折率が測定できなかった。低屈折率光学膜における過剰なフッ素系添加剤が溶出し、高屈折率光学膜に悪影響を及ぼしたと推察される。
【0105】
【表2】

【0106】
つぎに、実施例1の条件に基づいて光学多層膜及び反射型スクリーンを実際に作製した例を以下に説明する。
【0107】
(実施例20)
以下に示す光学膜形成条件で、PETフィルム上に片面当たり高屈折率光学膜(以下、光学膜12H)/低屈折率光学膜(以下、光学膜12L)/光学膜12Hの3層、計6層の光学多層膜を得た。なお、高屈折率、低屈折率それぞれの光学膜用塗料は実施例1に示す塗料を使用した。
【0108】
(s21)PETフィルム(厚み188μm、東レ社製、商品名U426)の主面にディッピング方式により高屈折率光学膜用塗料(塗料(I))を塗布する。
(s22)塗料(I)の塗膜を室温で乾燥し、膜厚600nmの高屈折率の光学膜12Hを形成する。
(s23)ついで、その光学膜12H上にディッピング方式により低屈折率光学膜用塗料(塗料(II))を塗布する。
(s24)塗料(II)の塗膜を室温で乾燥し、膜厚1000nmの低屈折率の光学膜12Lを形成する。
(s25)光学膜12L上にディッピング方式により塗料(I)を塗布する。
(s26)塗料(I)の塗膜を室温で乾燥し、膜厚1000nmの高屈折率の光学膜12Hを形成する。最終的にすべての光学膜12Hについて紫外線(UV)硬化(1000mJ/cm2)させ、これにより片面当たり高屈折率の光学膜12Hと低屈折率の光学膜12Lとの3層光学多層膜を得た。
【0109】
得られた光学多層膜の反射特性をフィルメトリックス(松下インターテクノ社製)で測定した。なお、反射特性として、波長465nmの青領域、波長545nmの緑領域、波長665nmの赤領域の三原色波長域におけるそれぞれの反射率を測定した。
【0110】
(実施例21)
実施例20における光学膜の積層数を片面当たり光学膜12H/光学膜12L/光学膜12H/光学膜12L/光学膜12Hの5層、計10層とし、それ以外の条件は実施例20の条件と同じとして、光学多層膜を得た。
【0111】
(実施例22)
実施例20における光学膜の積層数を片面当たり光学膜12H/光学膜12L/光学膜12H/光学膜12L/光学膜12H/光学膜12L/光学膜12Hの7層、計14層とし、それ以外の条件は実施例20の条件と同じとして、光学多層膜を得た。
【0112】
実施例20〜22の結果を表3に示す。3層構造の光学多層膜の反射率は55%であり、積層数が増えるにしたがって反射率の増加が認められ、7層構造の光学多層膜では88%の反射率が得られた。
【0113】
【表3】

【0114】
(実施例23)
実施例20で得られた光学多層膜に対して、該光学多層膜の一方の表面に粘着層を介して黒色PETフィルム(帝人社製)を貼合し、他方の光学多層膜の表面に粘着層を介して拡散フィルムを貼合して、反射型スクリーンを作製し、この反射型スクリーンのゲインを分光放射輝度計(ミノルタ社製、CS-1000)で測定した。なお、ゲインとは、白色板に光を照射した際の該白色板における輝度(cd/m2)を1とした場合の比の最大値である。
【0115】
(実施例24)
実施例21で得られた光学多層膜に対して、実施例23と同様の処理を施し反射型スクリーンを得た。
【0116】
(実施例25)
実施例22で得られた光学多層膜に対して、実施例23と同様の処理を施し反射スクリーンを得た。
【0117】
(実施例26)
実施例20で得られた光学多層膜に対して、該光学多層膜の一方の表面にスプレー塗布にて黒色塗料を塗布し、乾燥、硬化工程として75℃で30分間保温し、黒色の光吸収層を形成した。
黒色塗料は、次の組成物に溶剤を加えたものを用いた。
・カーボンブラック微粒子:オリジン電機社製、商品名オリジプレート
(一次粒子径:15nm)
・樹脂:ヒドロキリル基を有するアルキド樹脂
また、硬化剤として、オリジン電機社製、商品名ポリハードMH(イソシアネート系)を用いた。
ついで、他方の光学多層膜の表面に粘着層を介して拡散フィルムを貼り合せて反射型スクリーンを得た。
【0118】
(実施例27)
実施例21で得られた光学多層膜に対して、実施例26と同様の処理を施し反射型スクリーンを得た。
【0119】
(実施例28)
実施例22で得られた光学多層膜に対して、実施例26と同様の処理を施し反射型スクリーンを得た。
【0120】
実施例23〜28の結果を表4に示す。
反射型スクリーンにおいて、積層数に比例してゲインの増加が認められ、7層構造の反射スクリーンでは光吸収層が黒色PETフィルム(実施例25)の場合には1.6のゲインが得られ、黒色塗膜の場合(実施例28)には1.9のゲインが得られた。
【0121】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明に係る反射型スクリーンの一の実施の形態の構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る反射型スクリーンの他の実施の形態の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0123】
10,20…反射型スクリーン、11…支持体、12…光学多層膜、12H,12L
…光学膜、13…光吸収層、14…光拡散層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物の微粒子と、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、またそれぞれの塩基、アンモニウム塩基、ヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種から成る極性基を有する分散剤と、エネルギーを吸収して硬化反応を起こす官能基を有する結合剤とを含む高屈折率光学膜用塗料を塗布して得られる高屈折率光学膜の下地層となる低屈折率光学膜を塗布形成するのに用いられる低屈折率光学膜用塗料であって、
前記高屈折率光学膜用塗料の結合剤が有する官能基と前記エネルギーの吸収により化学結合する官能基を有し表面エネルギーが22dyne/cm以下であるフッ素系樹脂と、カルボキシル基および/またはヒドロキシル基の極性基を有するフッ素系添加剤とを含み、前記フッ素系添加剤の極性基のモル数が前記フッ素系樹脂の平均モル数に対して2.7〜10倍であることを特徴とする低屈折率光学膜用塗料。
【請求項2】
塗布後に得られる低屈折率光学膜の表面エネルギーの極性項が、0.9dyne/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載の低屈折率光学膜用塗料。
【請求項3】
請求項1または2に記載の低屈折率光学膜用塗料を塗布して得られる低屈折率光学膜と、
金属酸化物の微粒子と、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、またそれぞれの塩基、アンモニウム塩基、ヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種から成る極性基を有する分散剤と、エネルギーを吸収して硬化反応を起こす官能基を有する結合剤とを含む高屈折率光学膜用塗料を塗布して得られる高屈折率光学膜とが積層されてなることを特徴とする光学多層膜。
【請求項4】
前記高屈折率光学膜用塗料では、前記分散剤が、微粒子の表面積に対して1.5〜22μmol/mの割合で含まれていることを特徴とする請求項3に記載の光学多層膜。
【請求項5】
前記微粒子が、TiOまたはZrOの微粒子であることを特徴とする請求項3に記載の光学多層膜。
【請求項6】
透明支持体上に、前記高屈折率光学膜と前記低屈折率光学膜とが交互に積層された2n+1層(n=1,2,3)からなる積層膜であり、最外層が高屈折率光学膜であることを特徴とする請求項3に記載の光学多層膜。
【請求項7】
光源からの光を反射して画像を表示する反射型スクリーンにおいて、
請求項3〜6のいずれか一に記載の光学多層膜と、該光学多層膜の透過光を吸収する光吸収層と、前記光学多層膜の最外層上に該光学多層膜が反射した光を拡散させる光拡散層とを備えることを特徴とする反射型スクリーン。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−58453(P2006−58453A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238409(P2004−238409)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】