説明

体内水分計

【課題】被検者以外の他人が容易に被検者の体内水分量の異常を検出できる体内水分計を提供する。
【解決手段】被検者の皮膚に端部を接触させ、端部において供給した電気信号に応じた物理量を検出することで被検者の体内の水分量を検出する体内水分計において、端部の、体内水分量の検出時に皮膚と接触させる部分を凸状の曲面で形成し、その曲面には、電気信号の供給を行うための第1電極と第2電極とが設けられる。そして、これら第1電極と第2電極は線状の金属パターンで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の生体の水分を計測する体内水分計に関する。
【背景技術】
【0002】
被検者の生体の水分を計測することは重要である。生体における脱水症状は、生体中の水分が減少する病態であり、日常しばしば発現し、特に発汗や体温上昇により多くの水分が体内から体外に排出される運動時や気温の高い時に多く発現する症状である。特に、高齢者においては、生体の水分保持能力自体が低下していることが多いために、高齢者は一般健常者と比較して脱水症状を起こし易いと言われている。
【0003】
一般的に、高齢者になると、水をためる筋肉が減少したり、腎臓機能の低下により尿量が増大したり、感覚鈍化により口の渇きに気づきにくくなったり、細胞内で必要とされる水分が少なくなったりする。この脱水症状を放置すると、脱水症状が引き金となって深刻な症状に進行してしまうことがある。また、同じような脱水症状は、乳幼児でも見られる。乳幼児はもともと水分量が多いが、自ら水分補給を訴えることができず、保護者が気づくのが遅れることから脱水症状を起こすことがある。
【0004】
通常、生体中の水分が体重の3%以上失われた時点で体温調整の障害が起こると言われており、体温調整の障害は体温の上昇を引き起こし、体温の上昇は更なる生体中の水分の減少を引き起こすという悪循環に陥り、遂には熱中症と称される病態にまで至ってしまう。熱中症には、熱痙攣、熱疲労、熱射病等の病態があり、時には全身の臓器障害が起こることもあり、脱水症状を的確に把握することで、熱中症に至る危険を未然に回避できるようにすることが望まれる。
【0005】
脱水症状を把握する装置としては、両手でハンドルを保持するような装置で人体インピータンスを計測し、そこから水分量を算出するものが知られている(特許文献1)。また、肌にセンサを押し当てて、簡易に肌水分を計測する装置が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−318845号公報
【特許文献2】特開2003−169788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の体内水分計は、被検者自身が両手でハンドルを把持することが要求されるため、被検者以外の他人が容易に体内水分量を計測するという用途には向いていない。すなわち、特許文献1に記載された体内水分計の構造では、乳幼児や意識障害に陥った被検者の体内水分量を計測することが困難である。
【0008】
これに対して、特許文献2に記載されたような肌水分計は、いわゆる肌の潤いをチェックすることを目的としており、「乾燥肌」における水分量と「脱水症」における体内水分量では計測される物理量のレベルが全く異なっており、血液の塩分濃度、または尿比重と水分量との相関より体内水分量を推定することで測定する。従って、外気の湿度に影響される肌の潤いの程度をみる肌水分計を上述したような脱水症を見極めるための体内水分計として利用することはできない。
【0009】
肌水分計は皮膚の平坦な部分にセンサを押し当てて計測が行なわれるため、センサは平面形状を有している。これに対して、上記の様に体表から体内水分量を計測しようとする場合には、外気の湿度の影響を受けにくい部位にての測定が必要で、口中または腋下の皮膚を介して計測を行うことが好ましい。しかしながら、口中は衛生面で問題があり、また、腋下については、肌水分計のように平面形状のセンサでは、十分に腋の下の皮膚と接触させることが困難であり、また、腋毛の影響も受けるので精度のよい体内水分量の計測は困難である。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、被検者以外の他人であっても容易に被検者の体内水分量を計測できる体内水分計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための本発明の一態様による体内水分計は、
被検者の皮膚に端部を接触させ、前記端部において供給した電気信号に応じた物理量を検出することで前記被検者の体内の水分量を検出する水分計であって、
前記端部は、水分量の検出時に皮膚と接触させるための凸状の曲面を有し、
前記曲面には、前記電気信号の供給を行うための第1電極と第2電極とが設けられ、
前記第1電極と前記第2電極は線状の金属パターンで構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被検者以外の他人であっても、容易に被検者の体内水分量を計測できる体内水分計が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態による体内水分計の外観を示す図である。
【図2】実施形態による体内水分計の機能構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態による体内水分計の、インピーダンス計測系の回路ブロック図である。
【図4】実施形態による体内水分計の、インピーダンス計測系の回路ブロック図である。
【図5】実施形態による体内水分計の動作を説明するフローチャートである。
【図6】実施形態による体内水分計の端部における電極のパターンを説明する図である。
【図7】実施形態による体内水分計の端部におけるヘッド部の構造を説明する図である。
【図8】金属パターンに金属毛を植毛した様子の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して本発明の一実施形態による体内水分計について詳細に説明する。
【0015】
図1は、実施形態による体内水分計の外観の一例を示す図である。体内水分計10は、被検者の皮膚に端部を接触させ、端部において供給した電気信号に応じた物理量を検出することで被検者の体内の水分量を検出する。本実施形態の体内水分計10では、被検者の腋の下に端部を接触させ、物理量としてインピ−ダンス法により計測されたインピ−ダンス値を計測することにより、腋下の皮膚の湿り具合を検出し、体内の水分の異常を検出する。なお、体内水分量を計測するために検出する物理量はインピーダンスに限られるものではなく、例えば、静電容量を用いることもできる。
【0016】
体内水分計10において、本体部11には、各種ユーザインターフェースが配置されるとともに、体内水分量を計測するための電子回路が収納される。ユーザインターフェースとしては、電源スイッチ21、計測スタートスイッチ22及び表示部23が備わっている。ユーザが電源スイッチ21をオンして体内水分計10を動作状態とし、端部を被検者の肌に押し当てた後に、計測スタートスイッチ22を押すことで、体内水分量の計測が開始される。表示部23の結果表示部26は、その計測結果を、例えば、緑、黄、赤といった色のグラデーションを用いてユーザに示す。なお、表示部23のエラー表示部24は、無効な計測結果が得られた場合に、その旨をユーザに報知する。また、表示部23の電池表示部25は、電池の残量をユーザに報知する。
【0017】
本体部11には、ロッド部12が矢印15a、15bの方向にスライド可能に設けられている。ロッド部12は、端部の皮膚への密着を補償する上での押し圧を確保するため、一定不図示のばねにより、矢印15aの方向へ付勢されており、端部が肌に押し当てられてロッド部12が矢印15bの方向へ所定量以上移動した場合に計測スタートが可能となるようになっている。この仕組みにより、肌への密着の程度を一定にしている。ロッド部12の先端側には、リジッド13が接続されており、リジッド13にはヘッド部14が装着されている。ヘッド部14は、体内水分量の検出時において皮膚と接触させるための凸状の曲面を有した部材で、その曲面には電気信号の供給を行うとともに体内水分量に依存した物理量を検出するための第1電極と第2電極を有する電極30が設けられている。ヘッド部14の曲面の形状の例としては、球面(例えば半径15mmの球面)の一部とすることが挙げられる。
【0018】
図2は、実施形態の体内水分計10の機能構成例を示すブロック図である。図2において、CPU201は、ROM221に格納されているプログラムを実行することにより、体内水分計10における種々の制御を実行する。例えば、CPU201は、表示部23の表示制御、ブザー27の鳴動の制御、体内水分量の計測(本実施形態ではインピーダンス計測)などを制御する。RAM220は、計測値などを一時的に格納する。
【0019】
矩形波発信部202は、所定周波数(本実施形態では10kHz)の矩形波状の電気信号を出力する。なお、矩形波発信部202による電気信号の出力のオン、オフは、CPU201によって制御される。供給信号生成部203は、定電圧回路または定電流回路を含み、矩形波発信部202から出力された矩形波の電気信号から、被検者へ供給するための電気信号を生成する。供給信号生成部203で生成される電気信号は、矩形波発信部202が出力する矩形波信号が有する所定周波数と、所定電圧振幅(本実施形態では0.5V)或いは所定電流振幅(本実施形態では100μA)を有する。
【0020】
供給信号生成部203で生成された電気信号は第1電極31に供給される。第1電極31により供給され、生体を介して第2電極32に到達した電気信号は、電流検出回路または電圧検出回路を含む信号検出部204により検出され、計測信号に変換される。信号検出部204で得られた計測信号は、ローパスフィルタ(LPF205)により高周波ノイズ分が除去され、A/D変換器210に供給される。A/D変換器210は、供給された計測信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換して、測定値としてCPU201に提供する。
【0021】
図3は、供給信号生成部203を定電圧回路を用いて構成し、信号検出部204を電流検出回路を用いて構成した場合の、より詳細な回路構成を説明するブロック図である。定電圧回路302は、矩形波発信部202から供給される10kHzの矩形波信号と、ツェナーダイオード301により供給される定電圧(本例では0.5V)とから、周波数が10kHz、電圧振幅が0.5Vの矩形波状の電気信号を生成する。定電圧回路302で生成された電気信号はドライバ303を介して出力され、コンデンサ211を経て第1電極31に供給される。
【0022】
また、第2電極32より取得された電気信号は、コンデンサ212を経て電流検出回路(電流電圧変換回路)を用いて構成された信号検出部204のアンプ311に入力される。アンプ311は、抵抗器312の値に応じた係数で電流信号を電圧信号に変換して出力する。こうして信号検出部204で得られた電圧信号は、LPF205を経由してA/D変換器210に供給される。
【0023】
図4は、供給信号生成部203を定電流回路を用いて構成し、信号検出部204を電圧検出回路を用いて構成した場合の、より詳細な回路構成を説明するブロック図である。定電圧回路402は、矩形波発信部202から供給される10kHzの矩形波信号と、ツェナーダイオード401により供給される定電圧Vとから、周波数が10kHz、電圧振幅Vの矩形波状の電気信号を生成する。アンプ404には抵抗値Rの抵抗器403が接続されており、定電圧回路402から電圧振幅Vの信号が入力されると、I=V/Rの定電流にて電気信号を出力する。
【0024】
第1電極31に定電流の電気信号が印加されるため、信号検出部204には第2電極32を介して取得される電気信号の電圧を検出する電圧検出回路が用いられる。信号検出部204において、アンプ413は、差動増幅器であり、生体のインピ-ダンスにより生ずる第1電極31と第2電極32との電位差を増幅して出力する。アンプ413から出力された電気信号はLPF205を介してA/D変換器210に供給される。
【0025】
次に、以上のような構成を備えた本実施形態の体内水分計の動作について、図5のフローチャートを用いて説明する。なお、図5に示される処理は、CPU201がROM221に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0026】
ユーザが電源スイッチ21を押して体内水分計10の電源をオンにすると、不図示のバッテリーから電源が供給され、CPU201は処理を開始する。まず、ステップS501において、CPU201は自身をリセットするとともに、装置内の各種初期設定を行う。次に、CPU201は、電池電圧が所定値以上であるか否かを判定する。電池電圧が所定値以上でない場合は、体内水分量の計測に不具合を生じる可能性があるので、CPU201は、ブザー27を鳴動し(ステップS521)、電池表示部25に電池不足であることを表示する(ステップS522)。
【0027】
一方、電池電圧が正常と判定された場合、CPU201は、ステップS503において表示部23のバックライトを点灯し、ステップS504で計測スタートスイッチ22がユーザによって押されるのを待つ。計測スタートスイッチ22が押されると、ステップS505において、CPU201は、矩形波発信部202に矩形波信号を出力させることにより被検体への通電(第1電極31への電気信号の供給)を開始する。
【0028】
上述したように、供給信号生成部203(定電圧回路または定電流回路)が第1電極31へ電気信号を供給すると、信号検出部204は、第2電極32より取得される電気信号に対応した電圧値を生成する。CPU201は、ステップS507において、信号検出部204で生成され、A/D変換器210によりデジタル信号に変換された電圧値を取得し、ステップS508において、その電圧値を計測値としてメモリ(RAM220)に記憶する。
【0029】
続いて、CPU201は、ステップS508において計測回数Nを1つインクリメントし、ステップS509においてNが規定回数以上となったか否かを判定する。Nが規定回数以上でなければ処理はステップS506に戻る。他方、Nが規定回数以上となった場合は、処理はステップS510に進む。こうして、CPU201は、規定回数分の計測値(電圧値)をRAM220に記憶する。
【0030】
ステップS510において、CPU201は、RAM220に記憶した規定回数分の計測値を平均し、平均値からインピーダンス換算値Mを取得する。そして、CPU201は、ステップS511で、インピーダンス換算値Mの絶対値が、臨床的に求めた血液の塩分濃度または尿比重による体内水分量とインピ-ダンス値の相関関係から、まず、計測の不具合を確認するため体内水分量が規定値未満か否かを判定する。インピーダンス換算値Mが規定値未満の場合は、計測値に信頼性がないため、CPU201は、ブザー27を鳴動し(ステップS531)、エラー表示部24によりエラー表示を行う(ステップS532)。
【0031】
他方、インピーダンス換算値Mの絶対値が規定値未満であった場合、CPU201はブザー27を鳴動し(ステップS512)、結果表示部26に体内水分量のレベルを表示する(ステップS513)。
【0032】
その後、ステップS514において、CPU201はタイマを起動し、3分が経過するのを待つ(ステップS515)。3分が経過すると、CPU201は体内水分計10の電源をオフする。こうして、計測終了後は、ユーザが電源スイッチ21を操作しなくても、所定時間(本例では3分)が経過すると、体内水分計10の電源は自動的にオフとなる。これにより、ユーザによる電源の切り忘れがあっても自動的に電源がオフとなり、電池が無駄に消耗されることを防止できる。
【0033】
なお、ステップS512、ステップS521、ステップS532におけるブザー27の鳴動では、それぞれ音色を変えたり、鳴動のパターンを変えたりするなど、それぞれの報知内容に対応した鳴動としてもよい。
【0034】
また、体内水分計10のロッド部12が矢印15bの方向へ所定量以上押された場合、或いは、矢印15bへのロッド部12の移動量が所定範囲である場合に、計測スタートスイッチ22を受け付け可能としてもよい。また、計測スタートスイッチ22を用いずに、体内水分計10のロッド部12が矢印15bの方向へ所定量以上押された場合、或いは、矢印15bへのロッド部12の移動量が所定範囲になった場合に自動的に計測を開始するようにしてもよい。また、ロッド部12が矢印15bの方向へ所定量以上押された場合、或いは、矢印15bへのロッド部12の移動量が所定範囲である場合にのみ、ステップS506〜S508の処理を実行するようにしてもよい。このようにロッド部12の押し込み量を計測の許可/不許可判定に用いることで、所定の押圧力の範囲で計測を実施でき、計測精度をより向上させるとができる。
【0035】
本実施形態の体内水分計10においては、異常を判断する閾値は1MΩ以上であり、一般的な肌水分計が計測する環境に比べてはるかに高い抵抗値となっている。従って、そのような体内水分計10において、電極30が腋下の皮膚に密着し、低い接触抵抗を実現することは重要である。そこで、本実施形態では、図1に関して上述したように、ヘッド部14の皮膚と接触させる面を曲面(例えば、球面の一部分や円筒形の側面の一部分)とし、その曲面上に電極30を形成する金属パターンを配置して、腋の下に電極30をより適切に密着させるようにしている。また、金属パターンとして配置された金属には金属メッキを施して、接触抵抗をより低減させている。
【0036】
更に、その金属パターンは、線状であり、第1電極31の金属パターンと第2電極32の金属パターンが所定の長さにわたって所定の間隔を維持するように配置されたものとする。例えば、図6(a)に示すようなくし型電極を形成してもよい。例えば、第1電極31と第2電極の隣接する線状の金属パターンは、幅a=0.5mm、長さb=5mmであり、間隔c=0.5mmで等間隔に配置されている。また、くし型電極のバスバー部分は幅d=0.5mm〜1mmの線状の金属パターンにより形成されている。このように、線状の第1電極31と第2電極32が所定間隔で並ぶ領域(長さ)を大きくすることで、皮膚に良好に接触する確立が増し、体内水分計10による計測精度が端部の被検体の皮膚への接触状況によって左右されることを低減することができる。
【0037】
なお、第1電極31と第2電極32の金属パターンを所定の長さにわたって所定の間隔を維持するように配置する方法は、上述のくし型電極に限られるものではない。例えば、図6(b)に示されるように、第1電極31と第2電極32の線状の金属パターンを渦巻状にして組み合わせてもよい。
【0038】
また、体内水分量を計測するにおいて、汗などの体外の水分が第1電極31と第2電極32にまたがってしまうと、その水分を介して両電極が導通してしまい、計測精度が損なわれてしまう。そこで、皮膚表面に付着した汗などの影響を排除するため、汗が第1電極31と第2電極32とを短絡しないように、それら電極間に溝または穴を設けることが好ましい。例えば、図7(a)に示されるように、ヘッド部14において、第1電極31と第2電極32とが配置された間に凹部としての溝701を形成することで、汗などが電極間をまたがないようにする。このとき、溝701の深さは、皮膚に押し当てたとき、電極が肌に食い込むことで、汗の逃げるスペ−スがなくなることを防ぐため、深いほど良く、1mm以上であることが好ましい。なお、凹部の構造としては、図7(a)に示すような、電極間の全域に溝701を形成するものに限られるものではない。例えば、図7(b)に示すように、電極間において、ヘッド部14の曲面を形成する部材に複数の穴702を設けるようにしてもよい。このとき、溝701の深さ同様、汗の逃げるスペースを確保するため、穴702の深さは1mm以上であることが好ましい。更に、ヘッド部14の部材の少なくとも電極間に撥水処理を施すことで、より効果を高めることができる。
【0039】
また、計測用の電極30が腋下の皮膚への密着性をさらに向上させるために、ヘッド部14を、例えばウレタンフォームのような、可撓性を持った材料(エラストマ−)を用いて形成することが好ましい。
【0040】
更に、腋毛による皮膚表面と電極30との密着の悪さを改善するために、図8に示すように、各電極上に、極細の導電性の金属毛801を電気的接続を有するように植毛してもよい。金属毛801の径としては、例えば直径100μm以下とすることが好ましく、第1電極31と第2電極32の間隔よりも狭い間隔で金属パターン上に植毛される。本実施形態では、例えば、直径が60μm、長さが0.2mmの金属毛801を、0.1mmの間隔で起立させて植えている。このようにすることで、腋毛が電極上に存在しても、電極と皮膚の密着性を維持することができ、腋毛の影響が低減され、精度の良い体内水分量の検出を行えるようになる。なお、図8に示したように、くし型電極の場合、計測精度に影響を与えるのは線状の第1電極31と第2電極が交互に並ぶ部分であるため、バスバー部分を除いた部分に金属毛801を植えているが、金属パターンの全面に金属毛801を植えてもよい。
【0041】
以上のように、本実施形態の体内水分計によれば、ヘッド部14の構造、電極30の配置などを工夫したので、腋下の皮膚を介して精度よく、手軽に体内水分量を計測することが可能になる。
【符号の説明】
【0042】
10:体内水分計 11:本体部 12:ロッド部 13:リジッド 14:ヘッド部 21:電源スイッチ 22:計測スタートスイッチ 23:表示部 24:エラー表示部 25:電池表示部 26:結果表示部 30:電極 31:第1電極 32:第2電極 409〜412:抵抗器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の皮膚に端部を接触させ、前記端部において供給した電気信号に応じた物理量を検出することで前記被検者の体内の水分量を検出する水分計であって、
前記端部は、水分量の検出時に皮膚と接触させるための凸状の曲面を有し、
前記曲面には、前記電気信号の供給を行うための第1電極と第2電極とが設けられ、
前記第1電極と前記第2電極は線状の金属パターンで構成されている、ことを特徴とする体内水分計。
【請求項2】
前記金属パターンの表面に金属メッキが施されていることを特徴とする請求項1に記載の体内水分計。
【請求項3】
前記第1電極と前記第2電極の金属パターンの間には凹部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の体内水分計。
【請求項4】
前記端部の前記曲面を形成する部材には撥水処理がなされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の体内水分計。
【請求項5】
前記端部の前記曲面を形成する部材は可撓性を有する材料で構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の体内水分計。
【請求項6】
前記金属パターン上に、前記曲面に対して起立するように金属毛を植毛したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の体内水分計。
【請求項7】
前記第1電極と前記第2電極はくし型電極を形成していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の体内水分計。
【請求項8】
前記第1電極と前記第2電極の間隔が所定間隔に維持されながら、渦巻状に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の体内水分計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−176120(P2012−176120A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40811(P2011−40811)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】