使い捨て試験プレート及び使い捨て試験プレート集合体
【課題】複数枚積み重ねた状態において上下方向から力が加えられても、上下の試験プレートが相互に完全に嵌り合う可能性を低減させることができる試験プレート、および、試験プレート集合体を提供する。
【解決手段】試験プレートAは、使い捨てのディスク本体A2の上に、試験紙A12を装着した検査部A9を相互に間隔を開けて複数配置して成り、試験紙A12の試薬部A11に検体を点着して呈色反応を光学的に測定する分析機で用いられる使い捨て試験プレートであって、前記ディスク本体A2が、その外周に下方へ延びる外周壁A1を有し、前記外周壁A1の下端に外方に向けて伸びるフランジA3を備え、前記外周壁A1の高さ方向に沿って上端から下端まで伸びる凸状又は凹状の係止部(突起部A8)を複数周方向に不当間隔に配置した。
【解決手段】試験プレートAは、使い捨てのディスク本体A2の上に、試験紙A12を装着した検査部A9を相互に間隔を開けて複数配置して成り、試験紙A12の試薬部A11に検体を点着して呈色反応を光学的に測定する分析機で用いられる使い捨て試験プレートであって、前記ディスク本体A2が、その外周に下方へ延びる外周壁A1を有し、前記外周壁A1の下端に外方に向けて伸びるフランジA3を備え、前記外周壁A1の高さ方向に沿って上端から下端まで伸びる凸状又は凹状の係止部(突起部A8)を複数周方向に不当間隔に配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析機に用いられる使い捨て試験プレートの改良に関する。また、本発明は、前記試験プレートを複数枚積み重ねた試験プレート集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、病院等では、尿に含まれる各種成分を分析し、その分析結果から患者の健康状態を判断するために、患者から尿を採取して、これを分析することが行われている。
この出願人は、ハルンカップから試験管への尿の分注処理及び各試験管への患者識別ラベルの貼付処理を全自動で行うことができる尿自動分注装置を発明し、既に、特許出願している(特許文献1)。
しかし、尿の検査は、頻繁に行われるため、試験管及びラベルの消費量は相当多くなる。このため、試験管及びラベルの消費量を減らすことが望ましいが、従来のように、全ての分析を専用分析装置で行う場合には、試験管及びラベルの消費量を減らすことはできない。
出願人は、上記した問題点に着目し、試験管へ尿を分注せずに定性分析を行うことができ、同時に、必要に応じて、定量分析や沈査分析のためにハルンカップから試験管への尿の分注及び試験管への患者識別ラベルの自動貼付けを行うことができる自動分注機構を備えた定性分析装置を提案した(特許文献2)。
この特許文献2に係る定性分析装置では、細長い支持体に複数の試薬パッドを設けた試験紙を複数枚収容しておき、収容した試験紙を1枚ずつ取り出して点着位置及び測定位置に順次送るように構成されている。
しかし、このように1枚ずつ独立した試験紙を順次取り出して送るためには複雑な移送構造が必要になり、また、1枚ずつ独立した試験紙の場合、試験紙が小さいので、移送中に試験紙が落下したりずれたりすることがあり、試験紙が無駄になることが多いという問題があった。
出願人は、上記した問題点を解決するために、使い捨てのディスク本体の上に、複数の試薬部を備えた一検体用の検査部を、相互に間隔を開けて放射状に複数配置して成る試験プレートを発明し、これを特許出願した(特許文献3)。
図8は、出願人が先に提案した試験プレートの概略上面図、図9は、図8におけるX−X断面図である。
この試験プレートEは、周囲に下方に延びる外周壁E1が形成された円盤状のディスク本体E2を有する。また、外周壁E1の下端には径方向外方に伸びるフランジE3が形成されている。
ディスク本体E2の上面には、放射方向に伸びる細長い凹部から成る検査部E4が相互に間隔をあけて複数形成され、各検査部E4に試験紙E5が収容されている。
そして、前記試験プレートの外周壁E1の上部には径方向外方に突出する係止部E6が60度の間隔で6箇所に形成され、試験プレートEを積み重ねた時に、上側の試験プレートのフランジE3の底面が下側の試験プレートの前記係止部E6に係止して上下の試験プレートEが相互に嵌り合わずに積み重ねられるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−142235公報
【特許文献2】特開2006−275697公報
【特許文献3】特願2011-29846
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した試験プレートEによれば、外周壁E1に設けた前記係止部E6によって複数枚の試験プレートEを、相互に嵌り合うことなく、積み重ねて保管することができる。
しかし、上記した従来の試験プレートEは、図8に示すように、その係止部E6を外周壁E1の上部に設けているため、成形時に離型性が悪いという問題があった。
発明者等は、離型性の問題を解消するために、前記係止部E6を外周壁E1の高さ方向にのびる溝状に形成することを見出したが、このように構成すると以下のような問題が生じる。
ここで、問題点を明確にするために、試験プレートの使用状態について説明をする。
上記したように構成された試験プレートは、通常、複数枚の試験プレートを積み重ねた集合体をパッケージ化した状態で販売され、移送される。そして、病院や検査室においても積み重ねた集合体の状態のままで保管され、使用時にも積み重ねた集合体の状態のまま分析機等にセットされる。このように、試験プレートは、実際に分析機において使用される迄の間は、積み重ねられた状態にある。このため、例えば、移送中や分析機にセットする前の保管中等に、試験プレート集合体の上に荷物が載せられる等して、試験プレート集合体に上下方向から力が加えられることがある。
一方、前記したように外周壁の高さ方向にのびる溝状に形成された係止部が、先に提案した試験プレートのように外周壁に等間隔で形成されていると、上下の試験プレートの係止部の位置が全て合致してしまうことがある。
このように係止部の位置が全て合致している状態で、試験プレート集合体に上下方向から力が加えられると、上側の試験プレートの係止部が、下側の試験プレートの係止部に入り込み、上下の試験プレートが相互に完全に嵌り合ってしまうという問題が生じる。
本発明は、上記した従来の問題点を解決し、複数枚積み重ねた状態において上下方向から力が加えられても、上下の試験プレートが相互に完全に嵌り合う可能性を低減させることができる試験プレートを提供することを目的とし、かつ、上下方向から力が加えられても、上下の試験プレートが相互に完全に嵌り合うことがない試験プレート集合体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明に係る使い捨て試験プレートは、使い捨てのディスク本体の上に、複数の試薬部を備えた一検体用の検査部を、相互に間隔を開けて複数配置して成り、検査用試薬部に検体を点着して検査用試薬部の呈色反応を光学的に測定する分析機で用いられる使い捨て試験プレートであって、前記ディスク本体が、その外周に下方へ延びる外周壁を有し、前記外周壁の下端に外方に向けて伸びるフランジを備え、前記外周壁に、外周壁の高さ方向に沿って外周壁の上端から下端まで伸びる凸状又は凹状の係止部を複数周方向に不当間隔に配置したことを特徴とする。
また、本発明に係る使い捨て試験プレート集合体は、外周壁に凸状又は凹状の係止部が複数周方向に不当間隔に設けられた第一の試験プレートと、外周壁に凸状又は凹状の係止部が、第一の試験プレートとは異なる間隔で、複数周方向に不当間隔に設けられた第二の試験プレートとを、交互に積み重ねて成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る使い捨て試験プレートは、使い捨てのディスク本体の上に、複数の試薬部を備えた一検体用の検査部を、相互に間隔を開けて複数配置して成り、検査用試薬部に検体を点着して検査用試薬部の呈色反応を光学的に測定する分析機で用いられる使い捨て試験プレートであって、前記ディスク本体が、その外周に下方へ延びる外周壁を有し、前記外周壁の下端に外方に向けて伸びるフランジを備え、前記外周壁に、外周壁の高さ方向に沿って外周壁の上端から下端まで伸びる凸状又は凹状の係止部を複数不当間隔に配置しているので、成形時の離型性が良好であり、かつ、複数枚積み重ねた時に上下の試験プレートの係止部が全て合致してしまう可能性は極めて低くなり、その結果、上下の試験プレートが相互に完全に嵌り合う可能性を著しく低減されることができるという効果を奏する。
また、本発明に係る使い捨て試験プレート集合体は、外周壁に凸状又は凹状の係止部を複数不当間隔に設けられた第一の試験プレートと、外周壁に凸状又は凹状の係止部が、第一の試験プレートとは異なる間隔で、複数不当間隔に設けられた第二の試験プレートとを、交互に積み重ねて成るので、複数枚積み重ねた時に上下の試験プレートの係止部が全て合致してしまう可能性は完全になくなり、移送時又は保管時に該集合体に上下方向から力が加えられても、上下の試験プレートが相互に完全に嵌り合うことがない。
分析機に、試験プレートを補充する場合には、前の集合体の残りの上に、新しい集合体を乗せることになり、このような場合、前の集合体の一番上にある試験プレートが第一の試験プレートであり、補充する集合体の一番下にある試験プレートも第一の試験プレートである場合がある。しかし、このような場合であっても、第一試験プレート及び第二試験プレートの係止部が、それぞれ不当間隔に設けられているので、上下の試験プレートの係止部が全て合致してしまう可能性は極めて低く、上下の試験プレートが相互に完全に嵌り合う可能性は著しく低い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】試験プレートの上面図である。
【図2】(a)は図1におけるA−A断面図、(b)は図1におけるB−B断面図である。
【図3】(a)は図1におけるC−C断面図、(b)は図1におけるD−D断面図、(c)は図1におけるE−E断面図を夫々示している。
【図4】試験プレートが重ねられた状態を示す図である。
【図5】(a)は、本発明に係る試験プレート集合体を構成する第一試験プレートの一実施例の概略上面図であり、(b)は第二試験プレートの一実施例の概略上面図である。
【図6】第一試験プレート上に第二試験プレートを積み重ねた状態を示す概略上面図である。
【図7】本発明に係る試験プレート集合体の概略側面図である。
【図8】出願人が先に提案した試験プレートの概略上面図
【図9】図8におけるX−X断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面に示した一実施例を参照しながら本発明に係る使い捨て試験プレートの実施の形態について説明していく。
【0009】
図1は、試験プレートの一実施例の上面図であり、図2(a)は図1におけるA−A断面図、図2(b)は図1におけるB−B断面図である。また、図3(a)は図1におけるC−C断面図、図3(b)は図1におけるD−D端面図、図3(c)は図1におけるE−E断面図を夫々示している。
【0010】
これらの図面に示すように、試験プレートAは、周囲に下方に延びる外周壁A1が形成された円盤状のディスク本体A2を有する。また、外周壁A1の下端には径方向外方に伸びるフランジA3が形成されている。
試験プレートAの中心には、自動分析機のターンテーブル(図示せず)に係止する係止部A4が形成され、この係止部A4を囲むようにドーナツ状の溝A5が形成されており、このドーナツ状の溝A5の周囲にはドーナツ状の突起A6が形成されている。尚、図示していないが前記ターンテーブルは、一枚の試験プレートAを搭載して、該試験プレートAを保管位置から点着及び分析位置まで移送したり、点着及び分析位置において試験プレートを回転させたりするように構成されているものである。
【0011】
試験プレートAのディスク本体A2の上面には、放射方向に伸びる細長い凹部から成る検査部A9が相互に間隔をあけて複数形成されている(本実施例では22個)。各検査部A9を形成する凹部の側壁には、内部に試験紙を収容して保持するように複数の突起A10が形成されている。
各検査部A9には、検体中の被検出物質と反応して発色する試薬を担持した複数の検査用試薬部A11をストリップ上に設けて成る試験紙A12が取り付けられており、各検査部A1が一検体用の検査部として機能する。尚、図3においては試験紙A12は省略されているが、基本的には、全ての検査部A9に試験紙A12を装着して用いられる。
さらに試験プレートAのディスク本体A2には、電子コード化した個別識別子をバーコードの形態等で印字したラベルA13が貼り付けられている。また、前記ラベルA13には、光学測定用の内部標準となる色見本も印刷され得る。前記個別識別子には、個々の使い捨て試験プレートAを識別可能な識別情報に加えて、色見本が印刷されている場合には、色見本(光学測定用の内部標準となる色見本)に関する色情報が含まれ得る。色見本の色情報は、具体的には、例えば、RGB値及び明暗値であり得る。
尚、この実施例では、個別識別子及び色見本を印字したラベルA13をディスク本体A2に貼り付けているが、個別識別子及び色見本は、ディスク本体A2に直接印字してもよく、また、個体識別子はタグ等で構成してもよい。
【0012】
試験プレートAは、その中央部分と、その外周部分とのそれぞれ係止部を有する。
試験プレートAの中央部分に設けられたドーナツ状の溝A5の側壁には、径方向内方に突起する内側係止部A7が不当間隔で4箇所に形成されている(図1及び図2参照)。これらの内側係止部A7は図2に示すように、溝A5の側壁の高さ方向中間位置から下端まで、側壁の高さ方向に沿って略垂直にのびるように形成されている。
また、試験プレートAの外周壁A1には、径方向内方に凹む溝状の外側係止部A8が不当間隔で12箇所に形成されている。これらの外側係止部A8は、外周壁A1の高さ方向に沿って外周壁A1の上端から下端までのびるように形成されている(図1及び図3参照)。これら外側係止部A8は、前記したように隣接する外側係止部A8間の間隔が不等間隔である。具体的には、例えば、図示実施例では、
係止部A8−1と係止部A8−2との間の間隔は27°であり、
係止部A8−2と係止部A8−3との間の間隔は30°であり、
係止部A8−3と係止部A8−4との間の間隔は23°であり、
係止部A8−4と係止部A8−5との間の間隔は26°であり、
係止部A8−5と係止部A8−6との間の間隔は30°であり、
係止部A8−6と係止部A8−7との間の間隔は29°であり、
係止部A8−7と係止部A8−8との間の間隔は35°であり、
係止部A8−8と係止部A8−9との間の間隔は25°であり、
係止部A8−9と係止部A8−10との間の間隔は21°であり、
係止部A8−10と係止部A8−11との間の間隔は34°であり、
係止部A8−11と係止部A8−12との間の間隔は28°である。
上記したように、係止部A7及びA8を設けることにより、試験プレートAを積み重ねた時に、上側の試験プレートAの溝A5の底面が下側の試験プレートAの内側係止部A7の上に載り、上側の試験プレートAの外側係止部A8が下側の試験プレートAのディスク本体A2の上に載り、上下の試験プレートAが完全に嵌り合うことがない(図4参照)。
また、係止部A7及びA8を不等間隔に設けているので、試験プレートAを積み重ねた時に、上側の試験プレートAの係止部A8の位置と、下側の試験プレートAの係止部A8の位置が全て合致してしまう可能性は極めて低くなり、よって、試験プレートを複数枚重ねた試験プレート集合体に上方又は下方から力が加えられても、上下の試験プレートが相互に嵌り合う可能性は極めて低くなる。
さらに、全ての内側係止部A7が溝A5の側壁の高さ方向中間位置から下端まで、側壁の高さ方向に沿って略垂直にのびるように形成され、外側係止部A8が外周壁A1の高さ方向に沿って上端から下端までのびるように形成されているため、成形時に係止部が型に引っかかることがなくなるため離型性が良好になり、大量生産が可能になる。
【0013】
次に、図5〜図7を参照しながら、本発明に係る試験プレート集合体の実施の形態について説明していく。尚、この実施例に示す試験プレートは、内側係止部及び外側係止部の数及び位置が図1に示した実施例の試験プレートと異なるだけで、それ以外の構成は全て図1に示した試験プレートと同一であるため、以下の説明では重複する構成の説明については省略する。また、図5及び図6においては、図面を簡単化するために、検査部は省略する。
図5(a)は第一の試験プレートBの概略上面図であり、図5(b)は第二の試験プレートCの概略上面図である。
【0014】
図5(a)に示すように、第一の試験プレートBは、その中心部分にあるドーナツ状の溝B1の側壁に、径方向内方に突起する内側係止部B2が4つ形成されており、かつ、その外周壁B3に、径方向内方に凹む溝状の係止部B4が4つ形成されている。
4つの内側係止部B2は不当間隔に設けられており、具体的には、
係止部B2−1と係止部B2−2との間の間隔は100°であり、
係止部B2−2と係止部B2−3との間の間隔は80°であり、
係止部B2−3と係止部B2−4との間の間隔は110°であり、
係止部B2−4と係止部B2−1との間の間隔は70°である。
また、4つの外側係止部B4も不当間隔に設けられており、具体的には、
係止部B4−1と係止部B4−2との間の間隔は80°であり、
係止部B4−2と係止部B4−3との間の間隔は100°であり、
係止部B4−3と係止部B4−4との間の間隔は70°であり、
係止部B4−4と係止部B4−1との間の間隔は110°である。
【0015】
図5(b)に示すように、第二の試験プレートCは、その中心部分にあるドーナツ状の溝C1の側壁に、径方向内方に突起する内側係止部C2が5つ形成されており、かつ、その外周壁C3に、径方向内方に凹む溝状の係止部C4が5つ形成されている。
5つの内側係止部C2は不当間隔に設けられており、具体的には、
係止部C2−1と係止部C2−2との間の間隔は65°であり、
係止部C2−2と係止部C2−3との間の間隔は85°であり、
係止部C2−3と係止部C2−4との間の間隔は80°であり、
係止部C2−4と係止部C2−5との間の間隔は70°であり、
係止部C2−5と係止部C2−1との間の間隔は60°である。
また、5つの外側係止部C4も不当間隔に設けられており、具体的には、
係止部C4−1と係止部C4−2との間の間隔は80°であり、
係止部C4−2と係止部C4−3との間の間隔は60°であり、
係止部C4−3と係止部C4−4との間の間隔は85°であり、
係止部C4−4と係止部C4−5との間の間隔は65°であり、
係止部C4−5と係止部C4−1との間の間隔は70°である。
【0016】
上記したように、第一試験プレートBと第二試験プレートCとは、それぞれ係止部B2及びB4並びにC2及びC4が不当間隔で設けられている。そして、第一試験プレートBと第二試験プレートCとは、相互に、係止部B2及びB4並びにC2及びC4の数及び位置が異なる。
従って、図6に示すように、第一試験プレートBと第二試験プレートCとを上下に重ね合わせた時に、第一試験プレートBの係止部B2及びB4と、第二試験プレートCの係止部C2及びC4との位置が全て合致することはない。
試験プレート組立体は、第一試験プレートB及び第二試験プレートCを交互に積み重ねることによって構成され(図7参照)、その状態で移送及び保管が行われ、さらに、積み重ねられたままの状態で分析機にセットされ得る。
試験プレート組立体は、分析機にセットされた後、一枚づつターンテーブル上に取り出され、点着及び分析に供される。
ディスク本体上に検査部が放射状に配置された試験プレートは、適当な測定装置の下方で回転させられ、点着後の各検査部の試薬部の呈色反応が光学的に検出される。
【0017】
上記した実施例では、外側係止部が全て径方向内方に凹む溝状に形成されているが、外側係止部の構成は本実施例に限定されることなく、例えば、径方向外方に突出するように形成してもよい。
また、内側係止部及び外側係止部の数は本実施例に限定されることなく、任意の数でよい。さらにまた、内側係止部及び外側係止部の数は、本実施例に限定されることなく、不当間隔であれば任意の間隔でよい。
さらにまた、上記した実施例では、ディスク本体が円形であり、検査部が放射状に配置されているが、ディスク本体の形状及び検査部の配置は本実施例に限定されるものではない。例えば、ディスク本体の形状は矩形であってもよい。また、検査部は並行に配置してもよい。
【符号の説明】
【0018】
A 試験プレート
A1 外周壁
A2 ディスク本体
A3 フランジ
A4 係止部
A5 ドーナツ状の溝
A6 ドーナツ状の突起
A7 突起部
A8 突起部
A9 検査部
A10 突起
A11 試薬部
A12 試験紙
A13 個別識別子を印字したラベル
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析機に用いられる使い捨て試験プレートの改良に関する。また、本発明は、前記試験プレートを複数枚積み重ねた試験プレート集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、病院等では、尿に含まれる各種成分を分析し、その分析結果から患者の健康状態を判断するために、患者から尿を採取して、これを分析することが行われている。
この出願人は、ハルンカップから試験管への尿の分注処理及び各試験管への患者識別ラベルの貼付処理を全自動で行うことができる尿自動分注装置を発明し、既に、特許出願している(特許文献1)。
しかし、尿の検査は、頻繁に行われるため、試験管及びラベルの消費量は相当多くなる。このため、試験管及びラベルの消費量を減らすことが望ましいが、従来のように、全ての分析を専用分析装置で行う場合には、試験管及びラベルの消費量を減らすことはできない。
出願人は、上記した問題点に着目し、試験管へ尿を分注せずに定性分析を行うことができ、同時に、必要に応じて、定量分析や沈査分析のためにハルンカップから試験管への尿の分注及び試験管への患者識別ラベルの自動貼付けを行うことができる自動分注機構を備えた定性分析装置を提案した(特許文献2)。
この特許文献2に係る定性分析装置では、細長い支持体に複数の試薬パッドを設けた試験紙を複数枚収容しておき、収容した試験紙を1枚ずつ取り出して点着位置及び測定位置に順次送るように構成されている。
しかし、このように1枚ずつ独立した試験紙を順次取り出して送るためには複雑な移送構造が必要になり、また、1枚ずつ独立した試験紙の場合、試験紙が小さいので、移送中に試験紙が落下したりずれたりすることがあり、試験紙が無駄になることが多いという問題があった。
出願人は、上記した問題点を解決するために、使い捨てのディスク本体の上に、複数の試薬部を備えた一検体用の検査部を、相互に間隔を開けて放射状に複数配置して成る試験プレートを発明し、これを特許出願した(特許文献3)。
図8は、出願人が先に提案した試験プレートの概略上面図、図9は、図8におけるX−X断面図である。
この試験プレートEは、周囲に下方に延びる外周壁E1が形成された円盤状のディスク本体E2を有する。また、外周壁E1の下端には径方向外方に伸びるフランジE3が形成されている。
ディスク本体E2の上面には、放射方向に伸びる細長い凹部から成る検査部E4が相互に間隔をあけて複数形成され、各検査部E4に試験紙E5が収容されている。
そして、前記試験プレートの外周壁E1の上部には径方向外方に突出する係止部E6が60度の間隔で6箇所に形成され、試験プレートEを積み重ねた時に、上側の試験プレートのフランジE3の底面が下側の試験プレートの前記係止部E6に係止して上下の試験プレートEが相互に嵌り合わずに積み重ねられるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−142235公報
【特許文献2】特開2006−275697公報
【特許文献3】特願2011-29846
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した試験プレートEによれば、外周壁E1に設けた前記係止部E6によって複数枚の試験プレートEを、相互に嵌り合うことなく、積み重ねて保管することができる。
しかし、上記した従来の試験プレートEは、図8に示すように、その係止部E6を外周壁E1の上部に設けているため、成形時に離型性が悪いという問題があった。
発明者等は、離型性の問題を解消するために、前記係止部E6を外周壁E1の高さ方向にのびる溝状に形成することを見出したが、このように構成すると以下のような問題が生じる。
ここで、問題点を明確にするために、試験プレートの使用状態について説明をする。
上記したように構成された試験プレートは、通常、複数枚の試験プレートを積み重ねた集合体をパッケージ化した状態で販売され、移送される。そして、病院や検査室においても積み重ねた集合体の状態のままで保管され、使用時にも積み重ねた集合体の状態のまま分析機等にセットされる。このように、試験プレートは、実際に分析機において使用される迄の間は、積み重ねられた状態にある。このため、例えば、移送中や分析機にセットする前の保管中等に、試験プレート集合体の上に荷物が載せられる等して、試験プレート集合体に上下方向から力が加えられることがある。
一方、前記したように外周壁の高さ方向にのびる溝状に形成された係止部が、先に提案した試験プレートのように外周壁に等間隔で形成されていると、上下の試験プレートの係止部の位置が全て合致してしまうことがある。
このように係止部の位置が全て合致している状態で、試験プレート集合体に上下方向から力が加えられると、上側の試験プレートの係止部が、下側の試験プレートの係止部に入り込み、上下の試験プレートが相互に完全に嵌り合ってしまうという問題が生じる。
本発明は、上記した従来の問題点を解決し、複数枚積み重ねた状態において上下方向から力が加えられても、上下の試験プレートが相互に完全に嵌り合う可能性を低減させることができる試験プレートを提供することを目的とし、かつ、上下方向から力が加えられても、上下の試験プレートが相互に完全に嵌り合うことがない試験プレート集合体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明に係る使い捨て試験プレートは、使い捨てのディスク本体の上に、複数の試薬部を備えた一検体用の検査部を、相互に間隔を開けて複数配置して成り、検査用試薬部に検体を点着して検査用試薬部の呈色反応を光学的に測定する分析機で用いられる使い捨て試験プレートであって、前記ディスク本体が、その外周に下方へ延びる外周壁を有し、前記外周壁の下端に外方に向けて伸びるフランジを備え、前記外周壁に、外周壁の高さ方向に沿って外周壁の上端から下端まで伸びる凸状又は凹状の係止部を複数周方向に不当間隔に配置したことを特徴とする。
また、本発明に係る使い捨て試験プレート集合体は、外周壁に凸状又は凹状の係止部が複数周方向に不当間隔に設けられた第一の試験プレートと、外周壁に凸状又は凹状の係止部が、第一の試験プレートとは異なる間隔で、複数周方向に不当間隔に設けられた第二の試験プレートとを、交互に積み重ねて成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る使い捨て試験プレートは、使い捨てのディスク本体の上に、複数の試薬部を備えた一検体用の検査部を、相互に間隔を開けて複数配置して成り、検査用試薬部に検体を点着して検査用試薬部の呈色反応を光学的に測定する分析機で用いられる使い捨て試験プレートであって、前記ディスク本体が、その外周に下方へ延びる外周壁を有し、前記外周壁の下端に外方に向けて伸びるフランジを備え、前記外周壁に、外周壁の高さ方向に沿って外周壁の上端から下端まで伸びる凸状又は凹状の係止部を複数不当間隔に配置しているので、成形時の離型性が良好であり、かつ、複数枚積み重ねた時に上下の試験プレートの係止部が全て合致してしまう可能性は極めて低くなり、その結果、上下の試験プレートが相互に完全に嵌り合う可能性を著しく低減されることができるという効果を奏する。
また、本発明に係る使い捨て試験プレート集合体は、外周壁に凸状又は凹状の係止部を複数不当間隔に設けられた第一の試験プレートと、外周壁に凸状又は凹状の係止部が、第一の試験プレートとは異なる間隔で、複数不当間隔に設けられた第二の試験プレートとを、交互に積み重ねて成るので、複数枚積み重ねた時に上下の試験プレートの係止部が全て合致してしまう可能性は完全になくなり、移送時又は保管時に該集合体に上下方向から力が加えられても、上下の試験プレートが相互に完全に嵌り合うことがない。
分析機に、試験プレートを補充する場合には、前の集合体の残りの上に、新しい集合体を乗せることになり、このような場合、前の集合体の一番上にある試験プレートが第一の試験プレートであり、補充する集合体の一番下にある試験プレートも第一の試験プレートである場合がある。しかし、このような場合であっても、第一試験プレート及び第二試験プレートの係止部が、それぞれ不当間隔に設けられているので、上下の試験プレートの係止部が全て合致してしまう可能性は極めて低く、上下の試験プレートが相互に完全に嵌り合う可能性は著しく低い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】試験プレートの上面図である。
【図2】(a)は図1におけるA−A断面図、(b)は図1におけるB−B断面図である。
【図3】(a)は図1におけるC−C断面図、(b)は図1におけるD−D断面図、(c)は図1におけるE−E断面図を夫々示している。
【図4】試験プレートが重ねられた状態を示す図である。
【図5】(a)は、本発明に係る試験プレート集合体を構成する第一試験プレートの一実施例の概略上面図であり、(b)は第二試験プレートの一実施例の概略上面図である。
【図6】第一試験プレート上に第二試験プレートを積み重ねた状態を示す概略上面図である。
【図7】本発明に係る試験プレート集合体の概略側面図である。
【図8】出願人が先に提案した試験プレートの概略上面図
【図9】図8におけるX−X断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面に示した一実施例を参照しながら本発明に係る使い捨て試験プレートの実施の形態について説明していく。
【0009】
図1は、試験プレートの一実施例の上面図であり、図2(a)は図1におけるA−A断面図、図2(b)は図1におけるB−B断面図である。また、図3(a)は図1におけるC−C断面図、図3(b)は図1におけるD−D端面図、図3(c)は図1におけるE−E断面図を夫々示している。
【0010】
これらの図面に示すように、試験プレートAは、周囲に下方に延びる外周壁A1が形成された円盤状のディスク本体A2を有する。また、外周壁A1の下端には径方向外方に伸びるフランジA3が形成されている。
試験プレートAの中心には、自動分析機のターンテーブル(図示せず)に係止する係止部A4が形成され、この係止部A4を囲むようにドーナツ状の溝A5が形成されており、このドーナツ状の溝A5の周囲にはドーナツ状の突起A6が形成されている。尚、図示していないが前記ターンテーブルは、一枚の試験プレートAを搭載して、該試験プレートAを保管位置から点着及び分析位置まで移送したり、点着及び分析位置において試験プレートを回転させたりするように構成されているものである。
【0011】
試験プレートAのディスク本体A2の上面には、放射方向に伸びる細長い凹部から成る検査部A9が相互に間隔をあけて複数形成されている(本実施例では22個)。各検査部A9を形成する凹部の側壁には、内部に試験紙を収容して保持するように複数の突起A10が形成されている。
各検査部A9には、検体中の被検出物質と反応して発色する試薬を担持した複数の検査用試薬部A11をストリップ上に設けて成る試験紙A12が取り付けられており、各検査部A1が一検体用の検査部として機能する。尚、図3においては試験紙A12は省略されているが、基本的には、全ての検査部A9に試験紙A12を装着して用いられる。
さらに試験プレートAのディスク本体A2には、電子コード化した個別識別子をバーコードの形態等で印字したラベルA13が貼り付けられている。また、前記ラベルA13には、光学測定用の内部標準となる色見本も印刷され得る。前記個別識別子には、個々の使い捨て試験プレートAを識別可能な識別情報に加えて、色見本が印刷されている場合には、色見本(光学測定用の内部標準となる色見本)に関する色情報が含まれ得る。色見本の色情報は、具体的には、例えば、RGB値及び明暗値であり得る。
尚、この実施例では、個別識別子及び色見本を印字したラベルA13をディスク本体A2に貼り付けているが、個別識別子及び色見本は、ディスク本体A2に直接印字してもよく、また、個体識別子はタグ等で構成してもよい。
【0012】
試験プレートAは、その中央部分と、その外周部分とのそれぞれ係止部を有する。
試験プレートAの中央部分に設けられたドーナツ状の溝A5の側壁には、径方向内方に突起する内側係止部A7が不当間隔で4箇所に形成されている(図1及び図2参照)。これらの内側係止部A7は図2に示すように、溝A5の側壁の高さ方向中間位置から下端まで、側壁の高さ方向に沿って略垂直にのびるように形成されている。
また、試験プレートAの外周壁A1には、径方向内方に凹む溝状の外側係止部A8が不当間隔で12箇所に形成されている。これらの外側係止部A8は、外周壁A1の高さ方向に沿って外周壁A1の上端から下端までのびるように形成されている(図1及び図3参照)。これら外側係止部A8は、前記したように隣接する外側係止部A8間の間隔が不等間隔である。具体的には、例えば、図示実施例では、
係止部A8−1と係止部A8−2との間の間隔は27°であり、
係止部A8−2と係止部A8−3との間の間隔は30°であり、
係止部A8−3と係止部A8−4との間の間隔は23°であり、
係止部A8−4と係止部A8−5との間の間隔は26°であり、
係止部A8−5と係止部A8−6との間の間隔は30°であり、
係止部A8−6と係止部A8−7との間の間隔は29°であり、
係止部A8−7と係止部A8−8との間の間隔は35°であり、
係止部A8−8と係止部A8−9との間の間隔は25°であり、
係止部A8−9と係止部A8−10との間の間隔は21°であり、
係止部A8−10と係止部A8−11との間の間隔は34°であり、
係止部A8−11と係止部A8−12との間の間隔は28°である。
上記したように、係止部A7及びA8を設けることにより、試験プレートAを積み重ねた時に、上側の試験プレートAの溝A5の底面が下側の試験プレートAの内側係止部A7の上に載り、上側の試験プレートAの外側係止部A8が下側の試験プレートAのディスク本体A2の上に載り、上下の試験プレートAが完全に嵌り合うことがない(図4参照)。
また、係止部A7及びA8を不等間隔に設けているので、試験プレートAを積み重ねた時に、上側の試験プレートAの係止部A8の位置と、下側の試験プレートAの係止部A8の位置が全て合致してしまう可能性は極めて低くなり、よって、試験プレートを複数枚重ねた試験プレート集合体に上方又は下方から力が加えられても、上下の試験プレートが相互に嵌り合う可能性は極めて低くなる。
さらに、全ての内側係止部A7が溝A5の側壁の高さ方向中間位置から下端まで、側壁の高さ方向に沿って略垂直にのびるように形成され、外側係止部A8が外周壁A1の高さ方向に沿って上端から下端までのびるように形成されているため、成形時に係止部が型に引っかかることがなくなるため離型性が良好になり、大量生産が可能になる。
【0013】
次に、図5〜図7を参照しながら、本発明に係る試験プレート集合体の実施の形態について説明していく。尚、この実施例に示す試験プレートは、内側係止部及び外側係止部の数及び位置が図1に示した実施例の試験プレートと異なるだけで、それ以外の構成は全て図1に示した試験プレートと同一であるため、以下の説明では重複する構成の説明については省略する。また、図5及び図6においては、図面を簡単化するために、検査部は省略する。
図5(a)は第一の試験プレートBの概略上面図であり、図5(b)は第二の試験プレートCの概略上面図である。
【0014】
図5(a)に示すように、第一の試験プレートBは、その中心部分にあるドーナツ状の溝B1の側壁に、径方向内方に突起する内側係止部B2が4つ形成されており、かつ、その外周壁B3に、径方向内方に凹む溝状の係止部B4が4つ形成されている。
4つの内側係止部B2は不当間隔に設けられており、具体的には、
係止部B2−1と係止部B2−2との間の間隔は100°であり、
係止部B2−2と係止部B2−3との間の間隔は80°であり、
係止部B2−3と係止部B2−4との間の間隔は110°であり、
係止部B2−4と係止部B2−1との間の間隔は70°である。
また、4つの外側係止部B4も不当間隔に設けられており、具体的には、
係止部B4−1と係止部B4−2との間の間隔は80°であり、
係止部B4−2と係止部B4−3との間の間隔は100°であり、
係止部B4−3と係止部B4−4との間の間隔は70°であり、
係止部B4−4と係止部B4−1との間の間隔は110°である。
【0015】
図5(b)に示すように、第二の試験プレートCは、その中心部分にあるドーナツ状の溝C1の側壁に、径方向内方に突起する内側係止部C2が5つ形成されており、かつ、その外周壁C3に、径方向内方に凹む溝状の係止部C4が5つ形成されている。
5つの内側係止部C2は不当間隔に設けられており、具体的には、
係止部C2−1と係止部C2−2との間の間隔は65°であり、
係止部C2−2と係止部C2−3との間の間隔は85°であり、
係止部C2−3と係止部C2−4との間の間隔は80°であり、
係止部C2−4と係止部C2−5との間の間隔は70°であり、
係止部C2−5と係止部C2−1との間の間隔は60°である。
また、5つの外側係止部C4も不当間隔に設けられており、具体的には、
係止部C4−1と係止部C4−2との間の間隔は80°であり、
係止部C4−2と係止部C4−3との間の間隔は60°であり、
係止部C4−3と係止部C4−4との間の間隔は85°であり、
係止部C4−4と係止部C4−5との間の間隔は65°であり、
係止部C4−5と係止部C4−1との間の間隔は70°である。
【0016】
上記したように、第一試験プレートBと第二試験プレートCとは、それぞれ係止部B2及びB4並びにC2及びC4が不当間隔で設けられている。そして、第一試験プレートBと第二試験プレートCとは、相互に、係止部B2及びB4並びにC2及びC4の数及び位置が異なる。
従って、図6に示すように、第一試験プレートBと第二試験プレートCとを上下に重ね合わせた時に、第一試験プレートBの係止部B2及びB4と、第二試験プレートCの係止部C2及びC4との位置が全て合致することはない。
試験プレート組立体は、第一試験プレートB及び第二試験プレートCを交互に積み重ねることによって構成され(図7参照)、その状態で移送及び保管が行われ、さらに、積み重ねられたままの状態で分析機にセットされ得る。
試験プレート組立体は、分析機にセットされた後、一枚づつターンテーブル上に取り出され、点着及び分析に供される。
ディスク本体上に検査部が放射状に配置された試験プレートは、適当な測定装置の下方で回転させられ、点着後の各検査部の試薬部の呈色反応が光学的に検出される。
【0017】
上記した実施例では、外側係止部が全て径方向内方に凹む溝状に形成されているが、外側係止部の構成は本実施例に限定されることなく、例えば、径方向外方に突出するように形成してもよい。
また、内側係止部及び外側係止部の数は本実施例に限定されることなく、任意の数でよい。さらにまた、内側係止部及び外側係止部の数は、本実施例に限定されることなく、不当間隔であれば任意の間隔でよい。
さらにまた、上記した実施例では、ディスク本体が円形であり、検査部が放射状に配置されているが、ディスク本体の形状及び検査部の配置は本実施例に限定されるものではない。例えば、ディスク本体の形状は矩形であってもよい。また、検査部は並行に配置してもよい。
【符号の説明】
【0018】
A 試験プレート
A1 外周壁
A2 ディスク本体
A3 フランジ
A4 係止部
A5 ドーナツ状の溝
A6 ドーナツ状の突起
A7 突起部
A8 突起部
A9 検査部
A10 突起
A11 試薬部
A12 試験紙
A13 個別識別子を印字したラベル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨てのディスク本体の上に、複数の試薬部を備えた一検体用の検査部を、相互に間隔を開けて複数配置して成り、検査用試薬部に検体を点着して検査用試薬部の呈色反応を光学的に測定する分析機で用いられる使い捨て試験プレートであって、
前記ディスク本体が、その外周に下方へ延びる外周壁を有し、
前記外周壁の下端に外方に向けて伸びるフランジを備え、
前記外周壁に、外周壁の高さ方向に沿って外周壁の上端から下端まで伸びる凸状又は凹状の係止部を複数周方向に不当間隔に配置した
ことを特徴とする使い捨て試験プレート。
【請求項2】
前記ディスク本体が円形であり、
前記検査部が放射状に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の使い捨て試験プレート。
【請求項3】
前記ディスク本体が、その中心部分に、ドーナツ状の溝を有し、該ドーナツ状の溝の側壁に、径方向内方に突出する突起が複数周方向に不当間隔に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の使い捨て試験プレート。
【請求項4】
外周壁に凸状又は凹状の係止部が複数周方向に不当間隔に設けられた請求項1〜3の何れか一項に記載の第一の試験プレートと、
外周壁に凸状又は凹状の係止部が、第一の試験プレートとは異なる間隔で、複数周方向に不当間隔に設けられた請求項1〜3の何れか一項に記載の第二の試験プレートと
を、交互に積み重ねて成る
ことを特徴とする使い捨て試験プレート集合体。
【請求項1】
使い捨てのディスク本体の上に、複数の試薬部を備えた一検体用の検査部を、相互に間隔を開けて複数配置して成り、検査用試薬部に検体を点着して検査用試薬部の呈色反応を光学的に測定する分析機で用いられる使い捨て試験プレートであって、
前記ディスク本体が、その外周に下方へ延びる外周壁を有し、
前記外周壁の下端に外方に向けて伸びるフランジを備え、
前記外周壁に、外周壁の高さ方向に沿って外周壁の上端から下端まで伸びる凸状又は凹状の係止部を複数周方向に不当間隔に配置した
ことを特徴とする使い捨て試験プレート。
【請求項2】
前記ディスク本体が円形であり、
前記検査部が放射状に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の使い捨て試験プレート。
【請求項3】
前記ディスク本体が、その中心部分に、ドーナツ状の溝を有し、該ドーナツ状の溝の側壁に、径方向内方に突出する突起が複数周方向に不当間隔に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の使い捨て試験プレート。
【請求項4】
外周壁に凸状又は凹状の係止部が複数周方向に不当間隔に設けられた請求項1〜3の何れか一項に記載の第一の試験プレートと、
外周壁に凸状又は凹状の係止部が、第一の試験プレートとは異なる間隔で、複数周方向に不当間隔に設けられた請求項1〜3の何れか一項に記載の第二の試験プレートと
を、交互に積み重ねて成る
ことを特徴とする使い捨て試験プレート集合体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−79922(P2013−79922A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221374(P2011−221374)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(591086854)株式会社テクノメデイカ (50)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(591086854)株式会社テクノメデイカ (50)
【Fターム(参考)】
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