説明

便器装置

【課題】電気分解によって発生するスケールの堆積を確実に抑制することが可能な便器装置を提供すること。
【解決手段】便器装置APは、予め定められた洗浄条件を満たした場合に電解槽22の一対の電極へ通電すると共に、ヒーター21において水を所定温度以上まで昇温するように制御する第一洗浄モードを実行する一方で、第一殺菌洗浄モードの実行時以外において、電解槽22の一対の電極へ通電すると共に、ヒーター21への通電を停止して水を所定温度に至らないように制御する第二洗浄モードを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも便器本体の洗浄対象部位に、電気分解して性状を変化させた機能水を供給して殺菌洗浄する便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような便器装置の一例として、下記特許文献1に記載されているようなものが知られている。下記特許文献1には、所定の局部洗浄位置に移動して人体の局部に向けて局部洗浄水を噴出するノズルと、ノズルが所定の洗浄位置に到達した時、ノズルを局部洗浄水とその性状を異にするノズル洗浄水に晒すノズル洗浄手段と、を備えることを特徴とする局部洗浄装置が開示されている。更に、ノズル洗浄手段は、上水または中水の性状を変化させてノズル洗浄水を生成するノズル洗浄水生成部を備えている。ノズル洗浄水生成部は、電気分解によってノズル洗浄水を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−93034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術では、電気分解によって殺菌性を有する機能水を生成しているため、上水又は中水に含まれるCaイオン由来のスケールが流路内に堆積して流路を狭め、場合によっては流路を閉塞するおそれがある。このように流路内に堆積するスケールは、電気分解を行うための電極に形成されるものであるから、流路内へのスケール堆積を抑制するためには電極へのスケールの付着を防止する必要がある。Caイオン由来のスケール成分は、水の温度が低いほど溶出しやすいものであるから、一つの有効な手段は加温しない水を電気分解することが考えられる。
【0005】
しかしながら、電気分解で生成される機能水の殺菌性に着目すれば、電気分解する水の温度はある程度まで高くなっていることが好ましいものである。そのため、スケールの堆積防止を考慮すれば電気分解を行う水の温度は低く抑えたい一方で、電気分解で生成される機能水の殺菌性に着目すれば水の温度はある程度まで上げたいという、二律背反の状態に陥ってしまう。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、少なくとも便器本体の洗浄対象部位に、電気分解して性状を変化させた機能水を供給して殺菌洗浄する便器装置であって、電気分解によって発生するスケールの堆積を確実に抑制しつつ、電気分解によって生成される殺菌性の機能水の効用も十分に活用することが可能な便器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る洗浄装置は、少なくとも便器本体の洗浄対象部位に、電気分解して性状を変化させた機能水を供給して殺菌洗浄する便器装置であって、便器本体の洗浄対象部位に機能水を供給する供給部と、給水源から供給された水を前記供給部に供給する給水路と、前記給水路に設けられ、一対の電極を有し、給水源から供給された水を電気分解して性状を変化させて機能水と成す電解部と、前記給水路の前記電解部よりも上流側に設けられ、給水源から供給された水を昇温して前記電解部へ供給する加熱部と、前記電解部の前記一対の電極への通電タイミングと前記加熱部における水の昇温タイミングとを制御する制御部と、を備える。前記制御部は、予め定められた洗浄条件を満たした場合に前記一対の電極へ通電すると共に、前記加熱部において水を所定温度以上まで昇温するように制御する第一洗浄モードを実行する一方で、前記第一殺菌洗浄モードの実行時以外において、前記一対の電極へ通電すると共に、前記加熱部において水を所定温度に至らないように制御する第二洗浄モードを実行する。
【0008】
本発明によれば、所定温度以上に昇温した水を用いて電気分解を行う第一洗浄モードと、所定温度には至らないようにした水を用いて電気分解を行う第二洗浄モードとを、選択的に実行するものとしている。第一洗浄モードは、温水を用いた電気分解によって性状を変化させた機能水を生成しているので、その機能水の殺菌性は強いものである。そこで、第一洗浄モードを、予め定められた洗浄条件を満たした場合に実行するものとし、特に強い殺菌性が求められる場面に対応することができるものとしている。一方、第二洗浄モードは冷水を用いた電気分解によって性状を変化させた機能水を生成しているので、一対の電極におけるスケールの発生を抑制すると共に、機能水の殺菌性は第一洗浄モードにおける機能水ほどではない殺菌性を供給することで、スケール抑制と殺菌性機能水の供給とを両立している。この第二洗浄モードは、第一洗浄モードが実行されていないタイミングで実行されるものとしているので、強い殺菌性は求められない場面に対応することができるものとしている。本発明はこのように、強い殺菌性の機能水が供給できる第一洗浄モードと、スケールの発生を抑制しつつ殺菌性の機能水が供給できる第二洗浄モードとを適切に組み合わせることで、清潔性が高く、且つスケールによる流路閉塞の恐れも低減することができる便器装置を提供することができる。
【0009】
また本発明に係る便器装置では、前記制御部は、前記第一洗浄モードの完了後に、前記一対の電極のアノードとカソードとを交換する極反転を実行することも好ましい。
【0010】
温水を用いて電気分解を行う第一洗浄モードでは、一対の電極のカソード側にスケールが発生しやすくなる。そこでこの好ましい態様では、第一洗浄モードの完了後に、アノードとカソードとを交換する極反転を実行するので、一方の電極に過度にスケールが堆積することなく、微細な粒子の状態で離脱させることができる。従って、離脱したスケールによる流路閉塞の恐れを確実に低減することができる。
【0011】
また本発明に係る便器装置では、前記制御部は、前記第一洗浄モードの実行時間が、前記第二洗浄モードの実行時間よりも短くなるように制御することも好ましい。
【0012】
この好ましい態様では、第一洗浄モードの実行時間を第二洗浄モードの実行時間よりも短くなるように制御することで、第一洗浄モードを実行する際に生じるスケールの過度な堆積を確実に抑制することができる。
【0013】
また本発明に係る便器装置では、前記制御部は、前記便器本体を使用者が使用した場合に前記第二洗浄モードを実行する一方で、前記便器本体を使用者が使用しない時間が予め定められた上限時間を上回った場合に前記洗浄条件を満たしたものとして前記第一洗浄モードを実行することも好ましい。
【0014】
この好ましい態様では、便器本体を使用者が使用した場合に第二洗浄モードを実行するので、使用の都度、スケールの発生し難い電気分解による殺菌性機能水の供給を行うことで、こまめに洗浄しつつスケールの堆積を抑制することができる。一方、使用者が便器本体を使用しない時間が長くなると、菌の繁殖を抑制するための設備保護洗浄が必要となる。そこでこの好ましい態様では、便器本体を使用者が使用しない時間が予め定められた上限時間を上回った場合に洗浄条件を満たしたものとして、第一洗浄モードを実行するように構成し、菌の繁殖抑制とスケールの堆積防止とを抑制することができるものとしている。
【0015】
また本発明に係る便器装置では、人体の局部に洗浄水を吐出して洗浄する衛生洗浄装置を備え、前記供給部は、前記衛生洗浄装置の洗浄対象部位にも機能水を供給して殺菌洗浄するものであって、前記制御部は、前記便器本体に設けられた便座に使用者が着座した場合に前記洗浄条件を満たしたものとして前記第一洗浄モードを実行する一方で、前記便座から使用者が離座した場合に前記第二洗浄モードを実行することも好ましい。
【0016】
供給部がノズルといった衛生洗浄装置の洗浄対象部位に機能水を供給して殺菌洗浄する場合、使用者が衛生洗浄装置を使用する前に実行することが好ましいものである。これは、使用者が衛生洗浄装置を使用する前に衛生洗浄装置を使用しない不使用時間帯が長くなると菌の繁殖が顕著になることや、使用者と菌とを確実に接触させないために好ましいからである。そこでこの好ましい態様では、便器本体に設けられた便座に使用者が着座した場合に洗浄条件を満たしたものとして第一洗浄モードを実行する一方で、便座から使用者が離座した場合に第二洗浄モードを実行するものとしている。このようにすることで、使用者が衛生洗浄装置を使用する前には強い殺菌性の機能水で洗浄対象部位を洗浄することができると共に、使用後においてはスケールの堆積を抑制できる状態で生成される殺菌性の機能水で洗浄対象部位を洗浄することができ、菌の繁殖抑制とスケールの堆積防止とを抑制することができるものとしている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電気分解によって発生するスケールの堆積を確実に抑制しつつ、電気分解によって生成される殺菌性の機能水の効用も十分に活用することが可能な便器装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】発明の実施形態である便器装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態である便器装置の構成を示すブロック構成図である。
【図3】図2に示す便器装置を用いた場合の動作を説明するフローチャートである。
【図4】図2に示す便器装置を用いた場合の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0020】
本発明の実施形態である便器装置について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態である便器装置APを示す概略斜視図である。図1に示されるように、便器装置APは、大便器CBと、温水洗浄便座WA(衛生洗浄装置)と、を備えている。温水洗浄便座WAは、大便器CBに戴置されて使用されるものである。温水洗浄便座WAは、本体WAaと、便座WAbと、便蓋WAcと、操作部10とを備えている。操作部10には操作パネルが設けられていて、操作パネルの操作に応じた操作信号が本体WAaに送信される。
【0021】
例えば、操作パネルの「大洗浄」「小洗浄」といった表示がされた部分を操作すると、「大洗浄」「小洗浄」に対応する洗浄動作がなされるように指示する操作信号が本体WAaに送信される。本体WAaは、このような操作信号が送信されると、大便器CBのボウル面CBaを洗浄するために洗浄水をボウル面CBaに流す動作を実行する。
【0022】
また、例えば、操作パネルの「おしり洗浄」「ビデ洗浄」といった表示がされた部分を操作すると、「おしり洗浄」「ビデ洗浄」に対応する洗浄水の吐出がなされるように指示する操作信号が本体WAaに送信される。本体WAaは、このような操作信号が送信されると、ノズル18を繰り出して洗浄水を吐出する動作を実行する。
【0023】
ノズル18は、便座WAbに着座している使用者の肛門近傍や膣口近傍や尿道口近傍を洗浄するために洗浄水を吐出するものである。ノズル18には、ビデ洗浄吐水孔181とおしり洗浄吐水孔182とが設けられている。使用者が操作パネルの「おしり洗浄」と表示された部分を操作すると、おしり洗浄吐水孔182から洗浄水が吐出される。また使用者が操作パネルの「ビデ洗浄」と表示された部分を操作すると、ビデ洗浄吐水孔181から洗浄水が吐出される。
【0024】
続いて、図2を参照しながら、便器装置APの構成について説明する。図2は、本発明の実施形態である便器装置APの構成を示すブロック構成図である。図2において、各機能ブロックを繋ぐ実線は水の流れる流路を示し、各機能ブロックを繋ぐ破線は制御的な信号の授受が行われる経路を示している。図2に示すように、便器装置APは、制御部20と、ヒーター21と、電解槽22と、切替部23と、ノズル供給部24と、便器供給部25と、給水路26と、使用検知部31と、着座検知部32と、を備えている。
【0025】
ヒーター21は、給水路26に設けられており、給水路26を通る水を昇温することが可能なように構成されている。ヒーター21は、制御部20によって、通電の開始及び停止が行われるように構成されている。
【0026】
電解槽22は、給水路26におけるヒーター21の下流側に設けられている。電解槽22は一対の電極(図示せず)を有し、給水源から供給された水を電気分解して性状を変化させて機能水と成すものである。電解槽22に設けられた一対の電極への通電は、制御部20によってその開始及び停止が行われるように構成されている。制御部20は、一対の電極の一方がカソードとなり他方がアノードとなるように、通電の制御を行っている。制御部20は、カソードとアノードとが逆の電極になるように、極反転を行う通電制御も行っている。
【0027】
切替部23は、給水路26における電解槽22の下流側に設けられている。切替部23は、電解槽22から流れてくる機能水を、ノズル供給部24側へ流すか、便器供給部25側に流すかを切り替える弁の役割を果たしている。切替部23は、制御部20によって、ノズル供給部24及び便器供給部25のいずれに機能水を流すかを切り替えるように構成されている。
【0028】
ノズル供給部24は、給水路26における切替部23の下流側に設けられている。ノズル供給部24は、洗浄対象としてのノズル18を機能水で洗浄することができるように、ノズル18に機能水を供給する供給口として構成されている。ノズル供給部24は、ビデ洗浄吐水孔181及びおしり洗浄吐水孔182を供給口として、機能水をノズル18に供給するように構成されることも好ましい態様である。
【0029】
便器供給部25は、給水路26における切替部23の下流側に設けられている。便器供給部25は、洗浄対象としてのボウル面CBaを機能水で洗浄することができるように、ボウル面CBaに機能水を供給する供給口として構成されている。
【0030】
使用検知部31は、便器装置APを使用者が使用したか否かを検知する部分である。使用検知部31は、便器装置APを使用者が使用したことを検知可能であれば、その検知態様は問わないものである。例えば、操作部10を使用者が操作したことで、使用者が便器装置APを使用したものと検知してもよく、使用者の接近をセンサで検知することで、使用者が便器装置APを使用したものと検知してもよい。使用検知部31は、便器装置APを使用者が使用したと検知した場合に、その情報を制御部20に出力する。
【0031】
着座検知部32は、便座WAbに使用者が着座したか否かを検知するセンサである。着座検知部32は、便座WAbに使用者が着座したと検知した場合に、その情報を制御部20に出力する。また、着座検知部32は、便座WAbから使用者が離座したと検知した場合に、その情報を制御部20に出力する。
【0032】
制御部20は、使用検知部31及び着座検知部32から出力される情報に基づいて所定の演算を実行し、ヒーター21,電解槽22,及び切替部23を制御する部分である。制御部20の具体的な制御フローについて、図3を参照しながら説明する。図3は、便器装置APを用いて機能水洗浄を行う場合の動作を説明するフローチャートである。
【0033】
ステップS01では、制御部20が、便器装置APを使用者が使用したか否かを判断する。制御部20は、便器装置APを使用者が使用したと判断すればステップS02の処理に進み、便器装置APを使用者が使用していないと判断すればステップS03の処理に進む。
【0034】
ステップS02では、制御部20が、第二洗浄モードを実行する。具体的には、制御部20は、ヒーター21への通電を停止すると共に、電解槽22の一対の電極に通電し電気分解を行うように制御する。ヒーター21への通電が停止されることで、ヒーター21を通る水は昇温されず、冷水のまま下流側へ流れる。電解槽22の一対の電極に通電し、冷水を用いて電気分解を行うので、一対の電極へスケールを生成し難い状態で殺菌性を有する機能水が生成される。制御部20は更に、切替部23を切り替えて、電解槽22から供給される機能水が便器供給部25に供給されるように制御する。制御部20は、予め定められた所定のタイミングで、ステップS02の処理を終了しリターンする。
【0035】
ステップS03では、制御部20が、便器装置APの不使用時間が予め定められている上限時間を超過したか否かを判断する。制御部20は、便器装置APの不使用時間が予め定められた上限時間を超過していなければステップS01の処理に戻り、便器装置APの不使用時間が予め定められた上限時間を超過していればステップS04の処理に進む。
【0036】
ステップS04では、制御部20が、第一洗浄モードを実行する。具体的には、制御部20は、ヒーター21への通電を開始すると共に、電解槽22の一対の電極に通電し電気分解を行うように制御する。ヒーター21に通電されることで、ヒーター21を通る水は所定温度以上となるように昇温される。電解槽22の一対の電極に通電し、ヒーター21を通る温水を用いて電気分解を行うので、殺菌性の高い機能水が生成される。制御部20は更に、切替部23を切り替えて、電解槽22から供給される機能水が便器供給部25に供給されるように制御する。制御部20は、予め定められた所定のタイミングで、ステップS04の処理を終了しステップS05の処理に進む。
【0037】
ステップS04に続くステップS05では、制御部20は、電解槽22において極反転を実行する。具体的には、電解槽22における一対の電極の一方をアノードとし他方をカソードとしている態様から、一対の電極の一方をカソードとして他方をアノードとするように通電態様を反転させる。ステップS05の処理が終了するとリターンする。
【0038】
図3を参照しながら説明したフローは、ボウル面CBaを機能水で洗浄する場合のフローの一例である。続いて、図4を参照しながら、ノズル18を機能水で洗浄する場合のフローの一例について説明する。図4は、便器装置APを用いて機能水洗浄を行う場合の動作を説明するフローチャートである。
【0039】
ステップS11では、制御部20が、便座WAbに使用者が着座したか否かを判断する。制御部20は、便座WAbに使用者が着座したと判断すればステップS12の処理に進み、便座WAbに使用者が着座していないと判断すればステップS11の処理を繰り返す。
【0040】
ステップS12では、制御部20が、第一洗浄モードを実行する。具体的には、制御部20は、ヒーター21への通電を開始すると共に、電解槽22の一対の電極に通電し電気分解を行うように制御する。ヒーター21に通電されることで、ヒーター21を通る水は所定温度以上となるように昇温される。電解槽22の一対の電極に通電し、ヒーター21を通る温水を用いて電気分解を行うので、殺菌性の高い機能水が生成される。制御部20は更に、切替部23を切り替えて、電解槽22から供給される機能水がノズル供給部24に供給されるように制御する。制御部20は、予め定められた所定のタイミングで、ステップS12の処理を終了しステップS13の処理に進む。
【0041】
ステップS13では、制御部が、便座WAbから使用者が離座したか否かを判断する。制御部20は、便座WAbから使用者が離座したと判断すればステップS14の処理に進み、便座WAbから使用者が離座していないと判断すればステップS13の処理を繰り返す。
【0042】
ステップS14では、制御部20が、第二洗浄モードを実行する。具体的には、制御部20は、ヒーター21への通電を停止すると共に、電解槽22の一対の電極に通電し電気分解を行うように制御する。ヒーター21への通電が停止されることで、ヒーター21を通る水は昇温されず、冷水のまま下流側へ流れる。電解槽22の一対の電極に通電し、冷水を用いて電気分解を行うので、一対の電極へスケールを生成し難い状態で殺菌性を有する機能水が生成される。制御部20は更に、切替部23を切り替えて、電解槽22から供給される機能水がノズル供給部24に供給されるように制御する。制御部20は、予め定められた所定のタイミングで、ステップS14の処理を終了しリターンする。
【0043】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0044】
10:操作部
18:ノズル
20:制御部
21:ヒーター
22:電解槽
23:切替部
24:ノズル供給部
25:便器供給部
26:給水路
31:使用検知部
32:着座検知部
181:ビデ洗浄吐水孔
182:おしり洗浄吐水孔
AP:便器装置
CB:大便器
CBa:ボウル面
WA:温水洗浄便座
WAa:本体
WAb:便座
WAc:便蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも便器本体の洗浄対象部位に、電気分解して性状を変化させた機能水を供給して殺菌洗浄する便器装置であって、
便器本体の洗浄対象部位に機能水を供給する供給部と、
給水源から供給された水を前記供給部に供給する給水路と、
前記給水路に設けられ、一対の電極を有し、給水源から供給された水を電気分解して性状を変化させて機能水と成す電解部と、
前記給水路の前記電解部よりも上流側に設けられ、給水源から供給された水を昇温して前記電解部へ供給する加熱部と、
前記電解部の前記一対の電極への通電タイミングと、前記加熱部における水の昇温タイミングとを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、予め定められた洗浄条件を満たした場合に前記一対の電極へ通電すると共に、前記加熱部において水を所定温度以上まで昇温するように制御する第一洗浄モードを実行する一方で、
前記第一殺菌洗浄モードの実行時以外において、前記一対の電極へ通電すると共に、前記加熱部において水を所定温度に至らないように制御する第二洗浄モードを実行することを特徴とする便器装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第一洗浄モードの完了後に、前記一対の電極のアノードとカソードとを交換する極反転を実行することを特徴とする請求項1に記載の便器装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第一洗浄モードの実行時間が、前記第二洗浄モードの実行時間よりも短くなるように制御することを特徴とする請求項1に記載の便器装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記便器本体を使用者が使用した場合に前記第二洗浄モードを実行する一方で、前記便器本体を使用者が使用しない時間が予め定められた上限時間を上回った場合に前記洗浄条件を満たしたものとして前記第一洗浄モードを実行することを特徴とする請求項1に記載の便器装置。
【請求項5】
人体の局部に洗浄水を吐出して洗浄する衛生洗浄装置を備え、
前記供給部は、前記衛生洗浄装置の洗浄対象部位にも機能水を供給して殺菌洗浄するものであって、
前記制御部は、前記便器本体に設けられた便座に使用者が着座した場合に前記洗浄条件を満たしたものとして前記第一洗浄モードを実行する一方で、前記便座から使用者が離座した場合に前記第二洗浄モードを実行することを特徴とする請求項1に記載の便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−154139(P2012−154139A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16294(P2011−16294)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】