説明

修飾されたエリスロポエチン

【課題】新規なペグ化タンパク質、ならびにそれらの製造方法および使用方法の提供。
【解決手段】エリスロポエチンタンパク質は1つのポリエチレングリコール分子に結合し、あるいは2つのポリエチレングリコール分子に結合させる。エリスロポエチンタンパク質のアミノ末端を介して少なくとも1つのポリエチレングリコール分子に共有結合するが、アルデヒド結合を経由していない。特定リシン残基を経由して少なくとも1つのポリエチレングリコール分子に共有結合している少なくとも1つのエリスロポエチン分子を有する組成物を含み、その残基はリシン116である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年8月4日に出願された米国仮特許出願第60/835,429号明細書の利益を主張し、上記特許出願の全内容はあらゆる目的のために参照して本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、新規タンパク質接合体(コンジュゲート)、詳細には、新規ペグ化タンパク質、ならびにそれらの製造方法および使用方法に関する。本発明の1つの態様は、現行エリスロポエチン製剤より大きな臨床有効性ならびに輸送および保管中の安定性を有するペグ化エリスロポエチンに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、例えばポリエチレングリコールなどの(「PEG」)非抗原性水溶性ポリマーが、治療上および診断上重要なポリペプチドを共有結合修飾するために使用されてきた。PEGは、非毒性、非免疫原性、高度に水溶性であり、身体から容易に排出されるポリマーである。PEGには多数の用途があり、一般に食品、化粧品、飲料、および処方箋薬に使用されている。医薬品グレードのPEGは、FDAによって米合衆国内での使用について承認されており、高度の生体適合性を前提に、生物薬剤学的担体として広汎に使用されている。ペグ化は、生物医薬品の機能を変化させずに所定の特性を修飾することができ、それによって治療効果を増強する。
【0004】
一般に、ポリエチレングリコール分子は、タンパク質上で見いだされる反応性基を介してタンパク質に結合する。例えばリシン残基上もしくはN末端にあるアミノ基は、そのような結合のために都合がよい。PEGは、様々な化学的方法を用いることによって、鎖の末端のヒドロキシル基を通して活性生物医薬品に結合させることができる。例えば、例えばインターロイキン(非特許文献1;非特許文献2)、インターフェロン(非特許文献3)、カタラーゼ(非特許文献4)、スーパーオキシドジムスターゼ(非特許文献5)、およびアデノシンデアミナーゼ(非特許文献6)などの治療用ポリペプチドへのPEGの共有結合は、それらのインビボ半減期を延長させる、および/またはそれらの免疫原性および抗原性を減少させると報告されている。
【0005】
PEG分子は、様々な反応性部分を有するメトキシ化PEG(「mPEG」)を用いて、ポリペプチド上のアミノ基を通して結合されている。このようなポリマーには、mPEG−サクシニミジルスクシネート、mPEG−サクシニミジルカーボネート、mPEG−イミデート、およびmPEG−塩化シアヌルが含まれる。もう一つの方法として、成長ホルモン放出因子の強力なアナログのN末端、側鎖およびC末端における部位特異的ペグ化は、固相合成を通して実施されてきた(非特許文献7)。N末端での部位特異的ペグ化は、さらにアルデヒド活性化PEGを用いても実施されているが、このような反応は長い反応時間を必要とし、pH依存度が高い。例えば、反応には18〜36時間を必要とし、一般には酸性pHでのみ特異的であり、中性もしくはより高いpHではランダムとなる(例えば、これらの各々がこれにより全体として参照して本明細書に組み込まれる特許文献1および特許文献2を参照されたい)。これは、利用できるペプチドを長期間の酸性条件に抵抗できるペプチドに限定する。
【0006】
使用される追加の方法は、N末端トレオニンの過ヨウ素酸ナトリウム酸化によって生成されたN末端において、反応性アルデヒド基を通して部位特異的にリポソーム表面グラフト化PEG鎖の先端にペプチドを結合させる工程を含んでいた(非特許文献8)。しかし、この方法は、N末端セリンもしくはトレオニン残基を備えるポリペプチドに限定される。
【0007】
ポリペプチドのC末端で活性基を特異的に導入するための酵素援用法についてもまた報告されている(非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11)。一般的には、これらの活性基は、後の工程で機能的プローブをポリペプチドへ結合させるために、ヒドラジド、アルデヒド、および芳香族アミノ基であってもよい。
【0008】
部位特異的突然変異は、部位特異的ポリマー結合用のポリペプチドを調製するために使用されているさらに別の手法である。特許文献3は、システイン残基の挿入または他の残基とシステイン残基との置換によって修飾された、タンパク質の部位特異的ペグ化について記載している。特許文献3は、さらにシステイン特異的mPEG誘導体を、EPO上の組換えにより導入されたシステイン残基と反応させることによる、mPEG−エリスロポエチン(「mPEG−EPO」)の調製について記載している。同様に、インターロイキン−2は、部位特異的突然変異後に、そのグリコシル化部位でペグ化された(非特許文献12)。
【0009】
糖タンパク質は、修飾のための追加の標的部位としての炭水化物を提供する。酵素ペルオキシダーゼは、その炭水化物部分を通してPEG−ジアミンを用いて修飾されている(非特許文献13)。特許文献4は、過ヨウ素酸塩酸化炭水化物を通してmPEG−EPOを調製する方法について記載している。関係する化学反応は、mPEG−ヒドラジドとEPO上の炭水化物部分のアルデヒド基とを反応させることによるヒドラゾン形成であった。このタイプの修飾は、潜在的に炭水化物部分における様々なタイプの糖残基およびポリペプチド内の一部のアミノ酸残基、例えばメチオニンなどを酸化できる酸化工程を通して、反応性アルデヒド基を生成する。
【0010】
エリスロポエチン
改良されたペグ化法の必要性を実証する代表的なタンパク質は、エリスロポエチンである。赤血球生成は、赤血球の産生であり、細胞破壊を相殺するために発生する。赤血球生成は、適正な組織酸化のために十分な赤血球を利用できるようにする、制御された生理学的機序である。天然型ヒトエリスロポエチン(hEPO)は、腎臓で生成されるポリペプチドであり、赤血球産生を刺激する体液血漿因子である(非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17)。天然型EPOは、骨髄内での前駆赤血球始原細胞の分割および分化を刺激し、赤血球前駆細胞上の受容体に結合することによってその生物学的活性を発揮する(非特許文献18)。
【0011】
エリスロポエチンは、組換えDNA技術を用いて生合成的に製造されており(非特許文献19)、およびチャイニーズハムスターの卵巣組織細胞(CHO細胞)内に挿入されて発現したクローン化ヒトEPO遺伝子の産物である。hEPOの主な完全プロセシング型の一次構造は、配列番号1に示されている。Cys−Cys161およびCys29−Cys33の間には2つのジスルフィド架橋が存在する。糖部分を除いたEPOのポリペプチド鎖の分子量は、18,236Daである。完全EPO分子(約33kDaの分子量)では、分子量のおよそ40%は、タンパク質上のグリコシル化部位でそのタンパク質をグリコシル化する炭水化物基によって占められている(非特許文献20)。
【0012】
ヒトエリスロポエチンは赤血球形成において必須であるので、このホルモンは低赤血球生成または異常赤血球生成を特徴とする血液障害、および患者にとって赤血球産生の拡大が有益である他の疾患の治療において有用である。例えば、EPOは、慢性腎不全患者(CRF)(非特許文献21;非特許文献22;非特許文献23;非特許文献24)およびAIDSならびに化学療法を受けている癌患者(非特許文献25)における貧血の治療に使用されてきた。
【0013】
しかし、市販されているタンパク質治療薬、例えばEPOの生体利用効率は、タンパク質治療薬の短い血漿中半減期およびプロテアーゼ分解に対する感受性によって制限される。これらの欠点は、タンパク質治療薬が最高の臨床効力を達成することを妨害し、一般にはより治療頻度の増大またはより大量の薬物の投与を必要とし、結果として副作用の頻度や重症度の増加および治療スケジュールへの患者コンプライアンスの不足を生じさせる。天然型EPOならびにその誘導体化された形態および修飾された形態を含むタンパク質は、さらに一般にはアルブミン(HSAもしくは血清)を含めて調製され、使用を通して生成物の安定性を維持するのに役立つように、低温で保管および輸送される。HSA血清含有製剤は、ヒト感染因子による汚染のリスクならびに医薬品グレードのHSAおよび関連バイオアッセイに関連するコスト高のために、望ましくない。
【0014】
ARANESP(登録商標)(ダルベポエチンα)は、市販されているEPO誘導体である。これは5本のN結合オリゴ糖鎖を含むという点でヒト組換えエリスロポエチンとは相違する165アミノ酸タンパク質であるが、一方ヒト組換えエリスロポエチンは3本のオリゴ糖鎖を含む。追加した2箇所のN−グリコシル化部位は、エリスロポエチンペプチド主鎖内でのアミノ酸置換の結果として生じる。追加の炭水化物鎖は、糖タンパク質の近似分子量を30,000から37,000ダルトンへ増加させる。ARANESP(登録商標)は、相違する賦形剤を備える2種の製剤で供給されており、1つはポリソルベート80を含み、もう1つはヒト血液の派生物であるアルブミン(HSA)を含む。
【0015】
ペグ化タンパク質、例えばEPO誘導体は、開示されている(特許文献5、特許文献6および特許文献7)。しかし、これらの組成物を作製するために使用される工程は、実行および制御するのが困難であり、費用がかさみ、合成において毒性化合物を使用するか、または他の品質管理問題を有する。さらに、これらが未修飾ポリペプチドの自然的機能より大きな生物活性を有するポリペプチド接合体を生成することは公知ではない。
【0016】
したがって、依然としてペグ化組成物に対する、および/または実行するのがより容易で余り費用のかからない、そして最も重要なことは、予測可能で一貫性のある生成物を製造するために、より容易に制御できるペグ化組成物の製造方法に対する深刻な必要性がある。
【0017】
特にEPOに関しては、現在利用できる製剤と比較して、血漿中半減期の改善、活性の増加、およびプロテアーゼ分解に対する感受性の減少の性質を有する製剤が必要とされる。さらに、このような製剤は最適には、無タンパク質製剤で包装され、輸送され、および/または標準条件下で保管されなければならない。
【0018】
本明細書において言及した特許文献を含むすべての科学的刊行物は、あらゆる目的のために全体として参照して組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第6,077,939号明細書
【特許文献2】米国特許第5,985,265号明細書
【特許文献3】国際公開第90/12874号パンフレット
【特許文献4】国際公開第94/28024号パンフレット
【特許文献5】米国特許公開第2002/0115833号明細書
【特許文献6】米国特許公開第2003/0120045号明細書
【特許文献7】米国特許公開第2003/0166566号明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Knauf,M.J.et al.,J.Biol.Chem.1988,263,15,064
【非特許文献2】Tsutsumi,Y.et al.,J.Controlled Release 1995,33,447
【非特許文献3】Kita,Y.et al.,Drug Des.Delivery 1990,6,157
【非特許文献4】Abuchowski,A.et al.,J.Biol.Chem.1977,252,3,582
【非特許文献5】Beauchamp,C.O.et al.,Anal.Biochem.1983,131,25
【非特許文献6】Chen,R.et al.,Biochim.Biophy.Acta 1981,660,293
【非特許文献7】Felix,A.M.et al.,Int.J.Peptide Protein Res.1995,46,253
【非特許文献8】Zalipsky,S.et al.,Bioconj.Chem.1995,6,705
【非特許文献9】Schwarz,A.et al.,Methods Enzymol.1990,184,160
【非特許文献10】Rose,K.et al.,Bioconjugate Chem.1991,2,154
【非特許文献11】Gaertner,H.F.et al.,J.Biol.Chem.1994,269,7224
【非特許文献12】Goodson,R.J.et al.,Bio/Technology 1990,8,343
【非特許文献13】Urrutiogoity,M.et al.,Biocatalysis 1989,2,145
【非特許文献14】Carnot,P and Deflandre,C(1906)C.R.Acad.Sci.143:432
【非特許文献15】Erslev,AJ(1953) Blood 8:349
【非特許文献16】Reissmann,KR(1950)Blood 5:372
【非特許文献17】Jacobson,LO,Goldwasser,E,Freid,W and Plzak,LF(1957)Nature 179:6331−4
【非特許文献18】Krantz,BS(1991)Blood 77:419
【非特許文献19】Egrie,JC,Strickland,TW,Lane,J et al.(1986) Immunobiol.72:213−224
【非特許文献20】Sasaki,H,Bothner,B,Dell,A and Fukuda,M(1987)J.Biol.Chem.262:12059
【非特許文献21】Eschbach,JW,Egri,JC,Downing,MR et al.(1987)NEJM 316:73−78
【非特許文献22】Eschbach,JW,Abdulhadi,MH,Browne,JK et al.(1989)Ann.Intern.Med.111:992
【非特許文献23】Egrie,JC,Eschbach,JW,McGuire,T,Adamson,JW(1988)Kidney Intl.33:262
【非特許文献24】Lim,VS,Degowin,RL,Zavala,D et al.(1989)Ann.Intern.Med.110:108−114
【非特許文献25】Danna,RP,Rudnick,SA,Abels,RI In:MB,Garnick,ed.Erythropoietin in Clinical Applications−An International Perspective.New York,N.Y.:Marcel Dekker;1990:p.301−324
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、新規な形態のモノ−およびジ−ペグ化タンパク質、例えばエリスロポエチン(「EPO」)、およびそれらの混合物の予期し得なかった発見に基づいている。EPOを用いて証明されたように、本発明の製剤は、ヒト組換えEPOおよび/または他の市販されているEPO治療薬と比較して、改善された血漿中半減期および安定性を含む、改善されたインビボ活性を示す。本発明のEPO分子および組成物は、さらに無タンパク質製剤中で長期安定性を示す、および/または標準保管条件下、即ち、例えば約25℃の標準温度で保管された場合に安定である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
所定の実施形態では、本発明は、各エリスロポエチンタンパク質が少なくとも1つのポリエチレングリコール分子に共有結合している少なくとも1つの群(population)のエリスロポエチンタンパク質、およびタンパク質を含まない医薬担体とを含む医薬製剤に関する。特定の実施形態では、各エリスロポエチンタンパク質は、1つのポリエチレングリコール分子に共有結合している。また別の実施形態では、各エリスロポエチンタンパク質は、2つのポリエチレングリコール分子に結合している。さらに別の実施形態では、少なくとも1つの群のエリスロポエチンタンパク質は第1および第2群であり、第1群のエリスロポエチンタンパク質は1つのポリエチレングリコール分子に結合し、第2群は2つのポリエチレングリコール分子に結合している。さらにまた別の実施形態では、第1群対第2群の比率は、約1未満:約100、約10:約90、約20:約80、約30:約70、約40:約60、約50:約50、約60:約40、約70:約30、約80:約20、約90:約10、または約100:約1未満の範囲に及んでいてもよく、約1未満は当分野において公知である標準方法を用いて検出できない量を含む。
【0023】
さらにまた別の実施形態では、各エリスロポエチンタンパク質は、特定のリシン残基を経由して少なくとも1つのポリエチレングリコール分子に共有結合している。所定の実施形態では、本発明は、エリスロポエチンタンパク質のアミノ末端を介して少なくとも1つのポリエチレングリコール分子に共有結合している少なくとも1つのエリスロポエチン分子を有する組成物を含むが、この共有結合はアルデヒド結合を経由していない。他の実施形態では、本発明は、特定リシン残基を経由して少なくとも1つのポリエチレングリコール分子に共有結合している少なくとも1つのエリスロポエチン分子を有する組成物を含み、その残基はリシン116である。さらにまた別の実施形態では、本製剤は、担体タンパク質を含まない製剤中にエリスロポエチンの実質的分解を伴わずに長期間にわたって保管することができる。
【0024】
本発明は、特に医薬製剤中で使用するための、ペグ化タンパク質、例えばEPOの新規形態の製造方法および使用方法にさらに関する。本明細書に提供した製造方法を用いると、本発明のペグ化タンパク質は接合体であり、このタンパク質は少なくとも1つのポリエチレングリコール分子に共有結合している。特定の実施形態では、本発明のペグ化タンパク質は、1つまたは2つのPEG分子に共有結合しているEPO分子である。本発明のこの態様の1つの実施形態では、共有結合は、タンパク質のアミノ末端を経由する。本発明のこの態様のまた別の実施形態では、共有結合は、EPOタンパク質のリシン残基、例えばリシン116を介する。したがって、本発明のペグ化タンパク質は、少なくとも1つのポリエチレングリコール分子に共有結合しているタンパク質を包含する。特定の実施形態では、本発明は、1つまたは2つのポリエチレングリコール分子に共有結合しているEPOタンパク質(即ち、各々モノ−もしくはジ−ペグ化EPO)、および/またはそれらの混合物を包含する。所定の実施形態では、本発明のペグ化タンパク質接合体は、モノ−ペグ化タンパク質を包含する。本発明のモノ−ペグ化タンパク質は、各接合体について、ポリエチレングリコール(「PEG」)分子が同一アミノ酸残基を介してタンパク質に共有結合していると言う点で一様であり得る。他の実施形態では、本発明のモノ−ペグ化タンパク質は、各接合体について、単一PEG分子がタンパク質の相違するアミノ酸残基もしくはN末端(即ち、タンパク質のα−アミノ基)を介してEPOタンパク質に共有結合していると言う点で複数の接合体を含むが、このアミノ酸残基は、本明細書に記載したPEGに共有結合するために適合するアミノ酸残基の1つである。さらにまた別の実施形態では、本発明のペグ化タンパク質接合体は、複数部位でのペグ化を有するタンパク質、例えばジ−ペグ化タンパク質を包含する。本発明の複数のペグ化タンパク質は、各接合体について、2つ以上のPEG分子が同一部位で各タンパク質に共有結合していると言う点で一様であり得る。他の実施形態では、本発明の複数のペグ化タンパク質は、各接合体について、2つ以上のPEG分子が本明細書に記載したPEGへの共有結合のために適合する、利用できる任意の2つ以上のアミノ酸残基および/またはタンパク質のアミノ末端においてタンパク質に結合しているという点で、複数の接合体を含む。例えば、特定の実施形態では、本発明のEPO接合体は、複数のモノ−およびジ−ペグ化EPOを含むが、EPOタンパク質とPEG分子との間の共有結合の部位は一様ではない。
【0025】
したがって、特定の実施形態では、本明細書に提示した製造方法は、複数のEPO接合体を包含する組成物を製造するが、各接合体は1つまたは2つのPEG分子へ共有結合しているEPOタンパク質を含み、上記複数のEPO接合体は、タンパク質のアミノ末端において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体を含み、上記アミノ末端における共有結合はアルデヒド結合を経由していない。また別の実施形態では、本発明は、複数のEPO接合体を含み、各接合体は1つまたは2つのPEG分子へ共有結合しているEPOタンパク質を含み、上記複数のEPO接合体は、タンパク質のアミノ末端における上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体であって、上記アミノ末端における共有結合はアルデヒド結合を経由していない接合体と、ならびにリシン116において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体と、EPOタンパク質のリシン52において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体と、および/またはEPOタンパク質のリシン154において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体のうちの1つもしくは複数または全部を含む。他の実施形態では、本発明は、複数のEPO接合体を含み、各接合体は1つまたは2つのPEG分子へ共有結合しているEPOタンパク質を含み、上記複数のEPO接合体は、タンパク質のアミノ末端において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体であって、上記アミノ末端における共有結合はアルデヒド結合を経由していない接合体、および本明細書に記載した、または当分野において公知であるこのような結合のために適合する任意の部位で上記1つまたは2つの共有結合を有する接合体とを含む。
【0026】
所定の実施形態では、本発明は複数のEPO接合体を包含し、各接合体は1つまたは2つのPEG分子へ共有結合しているEPOタンパク質を含み、上記複数のEPO接合体は、リシン116において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体を含む。また別の実施形態では、本発明は、複数のEPO接合体を包含し、各接合体は1つまたは2つのPEG分子へ共有結合しているEPOタンパク質を含み、上記複数のEPO接合体は、リシン116において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体、ならびにタンパク質のアミノ末端において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体であって、上記アミノ末端における共有結合はアルデヒド結合を経由していない接合体と、EPOタンパク質のリシン52において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体と、EPOタンパク質のリシン154において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体のうちの1つもしくは複数または全部を含む。別の実施形態では、本発明は、複数のEPO接合体を包含し、各接合体は1つまたは2つのPEG分子へ共有結合しているEPOタンパク質を含み、上記複数のエリスロポエチン接合体は、リシン116において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体および本明細書に記載した、または当分野において公知であるこのような結合のために適合する任意の部位で上記1つまたは2つの共有結合を有する接合体を含む。
【0027】
特定の実施形態では、本発明は、複数のEPO接合体を包含し、各接合体は1つまたは2つのPEG分子へ共有結合しているEPOタンパク質を含み、上記複数のEPO接合体は、リシン116を介してEPOタンパク質へ共有結合しているEPO分子を有するモノ−ペグ化EPOタンパク質を含む。また別の実施形態では、本発明は、複数のEPO接合体を包含し、各接合体は1つまたは2つのPEG分子へ共有結合しているEPOタンパク質を含み、上記複数のEPO接合体は、リシン116を介してEPOタンパク質へ共有結合しているPEG分子を有するモノ−ペグ化EPO、ならびにEPOタンパク質のアミノ末端において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体であって、上記アミノ末端における共有結合はアルデヒド結合を経由していない接合体、EPOタンパク質のリシン52において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体、およびEPOタンパク質のリシン154において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体とのうちの1つまたは複数または全部を含む。他の実施形態では、本発明は、複数のEPO接合体を包含し、各接合体は1つまたは2つのPEG分子へ共有結合しているEPOタンパク質を含み、上記複数のEPO接合体は、タンパク質のアミノ末端を介してEPOタンパク質へ共有結合しているPEG分子を有するモノ−ペグ化EPOタンパク質であって、上記アミノ末端における共有結合はアルデヒド結合を経由していないEPOタンパク質を含む。また別の実施形態では、本発明は、複数のEPO接合体を包含し、各接合体は1つまたは2つのPEG分子へ共有結合しているEPOタンパク質を含み、上記複数のEPO接合体は、タンパク質のアミノ末端を介してEPOタンパク質へ共有結合しているPEG分子を有するモノ−ペグ化EPOタンパク質であって、上記アミノ末端における共有結合はアルデヒド結合を経由していないEPOタンパク質、ならびにEPOタンパク質のリシン116において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体、EPOタンパク質のリシン52において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体、およびEPOタンパク質のリシン154において上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体とのうちの1つまたは複数または全部を含む。所定の他の実施形態では、本発明は、上記の複数のEPO接合体のいずれかを包含し、本明細書に記載した、または当分野において公知であるこのような結合のために適切な任意の部位で上記1つまたは2つの共有結合を有する接合体をさらに含む。
【0028】
所定の実施形態では、本発明の複数のタンパク質接合体は、少なくとも1つの群の接合体を含み、上記少なくとも1つの群は少なくとも1つのPEG分子に共有結合しているタンパク質を含む。他の実施形態では、少なくとも1つの群のタンパク質接合体は第1および第2群であり、上記第1群は1つのPEG分子に結合し、第2群は2つ以上のPEG分子に結合している。所定の実施形態では、上記共有結合には、タンパク質のアミノ末端における非アルデヒド結合が含まれる。特定の実施形態では、少なくとも1つの群のタンパク質接合体は第1および第2群である少なくとも1つの群のEPO接合体であり、上記第1群は1つのPEG分子に共有結合しているEPO−PEGであり、第2群のEPO−PEGは2つのPEG分子に共有結合しているEPOタンパク質である。所定の実施形態では、第1群対第2群の比率は、約1未満:約100、約10:約90、約20:約80、約30:約70、約40:約60、約50:約50、約60:約40、約70:約30、約80:約20、約90:約10、または約100:約1未満の範囲に及んでよいが、約1未満は当分野において公知である標準方法を用いて検出できない量を含む。
【0029】
本発明は、複数のタンパク質接合体をさらに包含し、各接合体は少なくとも1つのPEG分子へ共有結合しているEPOタンパク質を含み、被験者への上記複数のタンパク質接合体の投与は、注射の約24、36もしくは48時間後に同等量(例えば、タンパク質濃度または活性単位、例えばEPO単位に基づく)の対照製剤の投与によって得られるものより少なくとも約10%〜700%高い、上記複数のタンパク質接合体の血清濃度、もしくは上記複数のタンパク質接合体の1つまたは複数の成分の血清濃度を生じさせる。本発明の複数のEPO接合体に関する特定の実施形態では、対照製剤は、例えば、ヒト組換えEPO(rhuEPO)、天然型EPOもしくは市販のEPO製剤、例えばARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)であってもよい。特定の実施形態では、本発明の複数のEPO接合体のSprague−Dawley系ラットへの投与(例、皮下、静脈内)は、投与約16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68もしくは72時間後に対照EPO製剤の投与によって得られるものより少なくとも約5%〜700%高い血清濃度を生じさせる。本発明は、治療用タンパク質、例えば治療用ペグ化タンパク質を被験者に送達するために適合する、本明細書に記載した、および/または当分野において公知である任意の投与方法を包含する;このような方法には、筋内、非経口、肺内、経鼻および経口が含まれるがこれらに限定されない。本発明の複数のタンパク質接合体は、特に、被験者に投与するための本明細書に記載した、および/または当分野において公知である任意の適切な薬学的に許容される担体を含む、様々な追加の物質もまた含むことができる。
【0030】
また別の特定の実施形態では、本発明は、複数のEPO接合体を包含し、各接合体は、1つまたは2つのPEG分子へ共有結合しているEPOタンパク質を含み、被験者への上記複数のEPO接合体の投与は、投与の約5、7、10、12、14、16、18もしくは21日後に同等量(例えば、EPO単位に基づく)の対照EPO製剤(例、ヒト組換えEPO(rhuEPO)、天然型EPOもしくは市販EPO製剤、例えばARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)の投与によって得られる、ヘマトクリットにおける少なくとも約5%〜250%高い増加を生じさせる。特定の実施形態では、本発明の複数のEPO接合体のSprague−Dawley系ラットへの投与(例、皮下)は、投与約5、7、10、12、14、16、18もしくは21日後に同等量(例えば、EPO単位に基づく)の対照EPO製剤(例、ヒト組換えEPO(rhuEPO)、天然型EPOもしくは市販EPO製剤、例えばARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)の投与によって得られる、ヘマトクリットにおけるより約5%〜約250%高い増加を生じさせる。
【0031】
本発明は、本明細書に記載した複数のタンパク質接合体を含む、および/または上記複数のEPO接合体(例えば、1つのPEG分子へ共有結合している1つの群のEPO接合体および/または2つのPEG分子へ共有結合している1つの群のEPO接合体および/または1つまたは2つのPEG分子へ共有結合している1つの群のEPO接合体であって、上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つはタンパク質のアミノ末端にあり、上記アミノ末端における共有結合はアルデヒド結合を経由していない1つの群のEPO接合体)の1つまたは複数の成分、および、薬学的に許容される無タンパク質(例、無血清、無アルブミン、無ヒト血清アルブミン(「無HSA」))の担体を含む医薬製剤をさらに包含する。所定の実施形態では、無タンパク質の薬学的に許容される担体を含む本発明の医薬製剤は、本明細書に記載した、および/または当技術分野において公知である方法によって決定されるようなエリスロポエチンの実質的および/または検出可能な分解を伴わずに長期間にわたり保管することができる。所定の実施形態では、本発明の医薬製剤は、少なくとも15カ月の約−20℃または4℃での保管後に決定される、このような無タンパク質製剤中で安定(即ち、検出可能な分解を示さない、および/または実質的分解を示さない)である。他の実施形態では、本発明の医薬製剤は、少なくとも10カ月の約25℃または約37℃での保管後に決定される、このような無タンパク質製剤中で安定(即ち、検出可能な分解を示さない、および/または実質的分解を示さない)である。本発明の医薬製剤の安定性は、当分野において公知である、および/または本明細書に記載した任意の方法によって評価できる。所定の実施形態では、本発明の医薬製剤の安定性は、ビシンコニン酸(「BCA」)タンパク質アッセイによって決定されるように、タンパク質濃度中の変化を経時的に測定(monitor)することによって評価される。他の実施形態では、本発明の医薬製剤の安定性は、SDS PAGE分析によって決定されるように、経時的なタンパク質分解(即ち、EPO接合体の分解)の指標によって評価される。さらに他の実施形態では、本発明の医薬製剤の安定性は、上記製剤の活性を経時的に測定することによって評価され、上記活性は、上記製剤(例、EPO製剤)の活性を決定するために、当分野において公知の任意のインビトロ法またはインビボ法によって決定される。この実施形態にしたがった特定の実施例では、複数のEPO接合体を含む本発明の医薬製剤の活性は、上記医薬製剤がインビトロで赤血球系細胞への幹細胞分化を誘導する能力によって評価される。
【0032】
本発明のまた別の態様は、タンパク質を反応緩衝液中の活性化水溶性ポリマーと共有結合させるために上記タンパク質を上記活性化水溶性ポリマーと反応させる工程、および上記EPO接合体を得るために実質的に全部の未結合水溶性ポリマーを除去する工程を含む方法によって作製されたタンパク質接合体に関する。本発明のこの態様の好ましい実施形態では、活性化水溶性ポリマーはSC−PEGである。また別の実施形態では、活性化水溶性ポリマーは、NHS−PEGである。好ましい実施形態では、反応緩衝液はアルデヒド−PEGを含んでいない、および/または活性化水溶性ポリマーはアルデヒド−PEGではない。所定の実施形態では、反応緩衝液は約6.5〜約8.5のpHを有する。他の実施形態では、反応緩衝液は、約6.5〜約7.5、約6.6〜約7.3、または約6.7〜約7.1のpHを有する。好ましい実施形態では、反応緩衝液は約7.0の中性pHを有する。所定の実施形態では、反応緩衝液は、5(v/v)%〜80%のDMSO、および好ましくは10(v/v)%〜40%のDMSOをさらに含んでもよい。本発明の方法は、当分野において公知の標準方法に比較して反応緩衝液中においてより少ない量の、即ちより低濃度のPEGを使用することを可能にし、他方ではペグ化効率(即ち、非ペグ化生成物に比較したペグ化生成物の量として評価して)を改良する、もしくは上記公知方法と同様に維持する。本発明の方法は、当分野において公知の他の方法より高いpHでの反応の使用もまた許容できる(例えば、アルデヒドPEGを用いるタンパク質のペグ化(例えば、その各々が全体として参照して本明細書に組み込まれる、米国特許第6,077,939号明細書および米国特許第5,985,265号明細書を参照されたい))。当分野において公知である方法と比較して、このような修飾は、費用、製造効率、および/または工程の容易さに関して製造上の利点を提供できる。さらに別の実施形態では、反応緩衝液は、約1:約3から約1:約60のタンパク質対活性化水溶性ポリマーのモル比を含む。他の実施形態では、反応緩衝液は、約1:約4、約1:約5、約1:約6、約1:約7、約1:約8、約1:約9、約1:約10、約1:約15、約1:約20、約1:約25、約1:約30、約1:約35、約1:約40、約1:約45、約1:約50、約1:約55、約1:約60のタンパク質対活性化水溶性ポリマーのモル比を含む。所定の実施形態では、反応緩衝液は、約1:約7のタンパク質対活性化水溶性ポリマーのモル比を含む。さらにまた別の実施形態では、実質的に全部の未反応水溶性ポリマーの除去は、当分野において公知である方法(例、透析、クロマトグラフィー)によってルーチン的に実行できる。
【0033】
本発明のまた別の態様は、これを必要とする患者を治療有効量の上述の製剤または接合体を用いて治療する工程に関する。1つの実施形態では、本発明は、これを必要とする被験者における赤血球産生を増加させるための治療有効濃度で、組成物、特に複数の本発明のEPO接合体、または上記複数の1つまたは複数の成分を含む薬学的組成物の使用を包含する。所定の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、上記被験者において、異常な赤血球産生または不十分な赤血球産生に関連する、疾患または障害を治療もしくは管理するため、もしくはその症状を緩和するために投与される。所定の実施形態では、治療対象の被験者は、異常な赤血球産生または不十分な赤血球産生に関連する、疾患または障害を有するとは診断されていないが、上記疾患または障害を発生する素因を有すると決定されている。さらに他の実施形態では、治療対象の被験者は、異常な赤血球産生または不十分な赤血球産生に関連する、疾患または障害を有するとは診断されていないが、上記治療から利益を得られると当分野の標準によって評価されている。所定の実施形態では、患者は、少なくとも1週間に約1回、任意の用量を摂取する。他の実施形態では、患者は2週間毎に少なくとも約1回、3週間毎に少なくとも約1回、または1カ月毎に少なくとも約1回任意の用量を摂取する。
【0034】
本発明の追加の利点は、以下に詳述する、本発明の好ましい実施形態だけが明示かつ記載されている明細書から当業者には容易に明白になる。明確に理解されるように、本発明は他の相違する実施形態が可能であり、その幾つかの詳細は、すべてが本発明から逸脱せずに、様々な観点においてルーチン的な修飾が可能である。本発明は、これらの特定の詳細の一部または全部を伴わずに実行できる。したがって、図面および説明は、事実上例示であり、限定的であると見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】完全にプロセシングされた主要なヒトエリスロポエチン(「hEPO」)のアミノ酸配列(配列番号1)。
【図2】末端Arg残基を備える、エリスロポエチンのアミノ酸配列(配列番号2)。
【図3】図3A:レーン1は、分子量マーカーである。レーン2は、調製用緩衝液中での4℃での5カ月間の保管後のサンプルである。レーン3は、−20℃で5カ月間にわたり冷凍状態で保管されたサンプルの対照であり、レーン4は、未修飾EPOである。 図3B:左側から、レーン1:産生直後のサンプル、レーン2:天然型EPO、レーン3:分子量マーカーである。
【図4A】図4Aは、天然型EPOの例示的なトリプシン消化を示す。
【図4B】図4Bは、実施例1によって調製されたEPO接合体の例示的なトリプシン消化を示す。
【図5】様々な期間に渡って高温で保管されたEPEG接合体のSDS−PAGE分析。レーン1:標準分子量(単位、kDa)(200、116.3、97.4、66.3、55.4、36.5、31、21.5および14.4);レーン2:−20℃、15カ月間;レーン3:4℃、16カ月間;レーン4:25℃、10.5カ月間;レーン5:37℃、10.5カ月間。
【図6】標準(EPREX(登録商標)(エポエチンα))およびEPO接合体(「EPEG」)がMethCult(商標)−4230(無サイトカイン)における赤血球前駆細胞増殖に及ぼす活性の比較。
【図7】Sprague−Dawley系雄ラットにおける静脈内注射でのEPO、EPEGおよびARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)の薬物動態プロファイル。
【図8】本発明のEPO接合体のインビボでの活性の比較。3例のPEG−EPOサンプルの経時的なヘマトクリットレベルを、5μg/ラット用量での天然型EPOのヘマトクリットレベルと比較した。Y501P:1PEG−EPOを有する分枝鎖NHS−PEG(20,000kDa)によって修飾されたEPO。Y502P:2PEG−EPOを有する分枝鎖NHS−PEG(20,000kDa)によって修飾されたEPO。Y5012:同等量の1PEG−EPOおよび2PEG−EPOを有する分枝鎖NHS−PEG(20,000kDa)によって修飾されたEPO。
【図9】ラットにおけるヘマトクリット増加の誘導における活性についての3種のEPEG(L33、Y5012およびX6012)および天然型EPOの比較の時間経過プロット。
【図10】Sprague−Dawley系雄ラットにおける、EPEGまたはrhu−EPO(動物1匹当たり2.5μgもしくは5μg)または賦形剤(PBS)のボーラス注射後のヘマトクリット増加の時間経過。
【図11】Sprague−Dawley系雄ラットにおける、EPEG、rhu−EPO(動物1匹当たり2.5μgもしくは5μg)または賦形剤(PBS)の1または2回(各々、「非注射」もしくは「注射」)のボーラス注射後のヘマトクリット増加の時間経過。EPEGまたは対照の第2回投与は、第1回投与の14日後に行われた。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の目的は、野生型もしくは天然形にある非共有結合ポリペプチドに比して臨床的に優れているポリペプチド接合体(例、EPO接合体)を提供することである。さらに、このような共有結合ポリペプチドの追加の利点は、所望の治療作用を達成するために、より低頻度の投与を含む、(野生型もしくは天然ポリペプチドと比較して)より少ないタンパク質を投与できることである。これは、同様に、より少ない原料費用および副作用を生じさせるが、それは投与1回当たりのタンパク質の量が実質的に減少するからである。所定の実施形態では、本発明は、水溶性ポリマーに共有結合しているエリスロポエチンに関する。好ましい実施形態では、本発明は、ポリエチレングリコール(PEG)に共有結合しているポリペプチドに関する。最も好ましくは、本発明は、PEGに共有結合しているエリスロポエチン(EPEG)に関する。
【0037】
特定の実施例では、天然型EPO(即ち、結合したPEGを伴わないEPO;従来型のグリコシル化エリスロポエチン)と比較して、本発明のEPO接合体、即ちEPEGは、増加した循環中半減期および血漿滞留時間、減少したクリアランス速度、および増加したインビボ臨床活性を有する。本発明の接合体は、EPOと同一の使用を有する。特に、本発明の接合体は、EPOが同一もしくは類似の被験者を治療するために使用される方法と同一方法で、骨髄中の委任赤血球前駆細胞の分割および分化を刺激することによって、EPOを必要とする被験者における赤血球産生を増加させるのに有用である。さらに、本発明者らは驚くべきことに、本発明の接合体が、保管中の安定性用に、それらの製剤中にヒト血清アルブミン(HSA)を必要としないことを見いだした。したがって、本発明の製剤は、現在利用できるEPOをベースとする治療薬と比較してより長期の安定性、より低いコストおよび単純化された製造、輸送、保管および品質管理という利点を有する。
【0038】
本明細書において用語「N末端」、「アミノ末端」、もしくは類似の用語は、タンパク質の他の分子への共有結合の状況において使用した場合には、タンパク質のアミノ末端αアミノ基を介しての共有結合を意味する。
【0039】
本明細書において用語「野生型」もしくは「天然」は、好ましくはそれが身体内で自然に機能することが見いだされているので、その作動型または機能形にあるタンパク質もしくはポリペプチドを意味する。これらの用語は、人工的に修飾もしくは変更させられていない形状にあるタンパク質もさらに意味する。そこでこれらの用語は、組換えタンパク質にも関連し得る。したがって、これらの用語は、そのタンパク質の核酸および/またはアミノ酸配列が最初に引き出された動物において生成されるものと比較して、グリコシル化の欠如を含む、変更されたグリコシル化パターンを備えるタンパク質を意味することができる。
【0040】
本明細書においてポリペプチドの「自然的機能」は、水溶性ポリマーを用いた共有修飾以前の機能を意味する。自然的機能には、例えば酵素活性、受容体結合(例、抗体)、リガンド結合、および免疫原性が含まれる。好ましくは、エリスロポエチンの自然的機能は、骨髄細胞が網状赤血球および赤血球の産生を増加させることを誘発するインビボ生物活性を意味する。
【0041】
本明細書において用語「エリスロポエチン」もしくは「EPO」は、配列番号1(図1)もしくは配列番号2(図2)に規定されたアミノ酸配列、またはこれらと実質的に相同であるアミノ酸配列を有する糖タンパク質を意味し、これらの生物学的特性は、赤血球産生の刺激および/または骨髄中での委任赤血球前駆細胞の分割および分化の刺激に関連する。本明細書においてこれらの用語には、例えば、天然型EPOと比較してそれらがアミノ酸残基の付加、欠失、または置換を有するように、故意の特定部位突然変異誘発によって、もしくは偶発的な突然変異を通して修飾されたタンパク質が含まれる。これらの用語には、天然および組換え生成両方のヒトエリスロポエチンが含まれる。EPOは、例えば組織などの任意の従来型起源、タンパク質合成、天然もしくは組換え細胞を含む細胞培養から得られる、好ましくはヒトの天然型もしくは組換え両方のタンパク質を意味する。
【0042】
EPOと実質的に相同であるポリペプチドは、配列番号1(図1)もしくは配列番号2(図2)のアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を備えるポリペプチドを含む機能的同等物である。アミノ酸配列に関連して「実質的に同一」とは、本明細書においては、Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85,2444−2448(1988)によるFASTA検索法によって決定されるように、他のアミノ酸配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも約80%、およびより好ましくは少なくとも約90%相同である配列であると規定されている。好ましくは、EPO相同体は、本明細書に記載した方法、および/または当分野において公知の標準方法によって評価される天然もしくは野生型EPOの活性と比較して、同等以上の活性を示す。
【0043】
例えば突然変異タンパク質、さもなければ修飾されたタンパク質などの、EPOの活性を有する任意のタンパク質もまた包含されている。組換えEPOは、組換えDNA技術または内因性遺伝子活性化によって、CHO、BHK、COS、HeLaもしくはPER.C6細胞系または動物もしくはヒト起源の他の適切な細胞系における発現を介して調製することができる。内因性遺伝子活性化によるEPOを含むタンパク質の発現は、当分野において周知であり、例えば米国特許第5,733,761号明細書、米国特許第5,641,670号明細書、米国特許第5,733,746号明細書、米国特許第5,994,122号明細書、米国特許第5,733,761号明細書、米国特許第5,641,670号明細書、米国特許第5,981,214号明細書および米国特許第5,272,071号明細書、ならびに国際公開第90/11354号パンフレット(各々の内容は、参照して本明細書に組み込まれる)に開示されている。その調製および治療用途は、例えば、米国特許第5,547,933号明細書および米国特許第5,621,080号明細書、欧州特許第0148605(B)号明細書、Huang,S.L.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1984)2708−2712、欧州特許第0205564(B)号明細書、欧州特許第0209539(B)号明細書および欧州特許第0411678(B)号明細書、ならびにLai,P.H.et al.,J.Biol.Chem.261(1986)3116−3121、Sasaki,H.et al.,J.Biol.Chem.262(1987)12059−12076に詳細に記載されている。治療に使用するためのエリスロポエチンは、組換え手段によって生成することができ(欧州特許第0148605(B)号明細書、欧州特許第0209539(B)号明細書およびEgrie,J.C,Strickland,T.W.,Lane,J.et al.(1986)Immunobiol.72:213−224)、上記の参考文献の各々の内容は参照して本明細書に組み込まれる。エリスロポエチン糖タンパク質生成物を調製するために好ましいEPO種は、ヒトEPO種である。より好ましくは、EPO種は、配列番号1(図1)もしくは配列番号2(図2)に規定したアミノ酸配列、および最も好ましくは配列番号1(図1)に提示するアミノ酸配列を有するヒトEPOである。
【0044】
無血清培地中でエリスロポエチンを発現させて調製するための方法は、例えば1996年11月14日にBurgへ発行された国際公開第96/35718号パンフレット、および1992年6月12日にKochへ発行された欧州特許出願公開第513738(A)号明細書に記載されている(これらの各々の内容は、全体として参照して本明細書に組み込まれる)。上記に言及した刊行物に加えて、EPO遺伝子を含む組換えCHO細胞の無タンパク質発酵を実施できることは公知である。このような方法は、例えば、欧州特許出願公開第0513738(A)号明細書、欧州特許出願公開第0267678(A)号明細書、ならびに一般形では、Kawamoto,T.et al.,Analytical Biochem.130(1983)445−453、欧州特許出願公開第0248656(A)号明細書、Kowar,J et al.Methods in Enzymology 421(1986)277−292、Bavister,B.,Expcology 271(1981)45−51、欧州特許出願公開第0481791(A)号明細書、欧州特許出願公開第0307247(A)号明細書、欧州特許出願公開第0343635(A)号明細書、国際公開第96/35718号パンフレットおよび国際公開第88/00967号パンフレット(これらの各々の内容は、全体として参照して本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0045】
欧州特許出願公開第0267678(A)号明細書(これにより全体として参照して組み込まれる)では、透析後に無タンパク質培養中で生成されたEPOを精製するためのS−セファロースでのイオン交換クロマトグラフィー、Cカラムでの分取的逆相HPLCおよびゲル濾過クロマトグラフィーについて記載されている。これに関連して、ゲル濾過クロマトグラフィー工程は、S−セファロース高流速でのイオン交換クロマトグラフィーと置換することができる。さらにまた、Blue Trisacrylカラムでの色素クロマトグラフィーをイオン交換クロマトグラフィーの前に実施することもまた提案されている。
【0046】
組換えEPOを精製するための工程もまたNobuo,I.et al.,J.Biochem.107(1990)352−359(全体として参照して組み込まれる)によって記載されている。しかしこの工程では、EPOは、精製工程の前にTween−20、フッ化フェニルメチルスルホニル、エチルマレイミド、ペプスタチンA、硫酸銅およびオキサミド酸の溶液を用いて処理される。
【0047】
本明細書においてタンパク質もしくはポリペプチドに関連する用語「接合体」は、共有結合によって結合された1つまたは複数の他の化学基と相互作用して機能する、タンパク質もしくはポリペプチドまたはそれらの群である。好ましくは、タンパク質は、エリスロポエチンもしくはその相同体であり、および化学基は水溶性ポリマーである。最も好ましくは、タンパク質は、エリスロポエチンもしくはその相同体であり、および水溶性ポリマーはPEGである。本発明の接合体は、各EPOタンパク質に結合した少なくとも1つまたは2つのPEG分子を有する。さらにより好ましくは、本発明の接合体は、本明細書に開示した方法によって作製される。
【0048】
好ましくは本明細書に記載した方法によって作製された本発明のペグ化タンパク質は、一般に「タンパク質接合体」と呼ばれる。タンパク質がエリスロポエチン(「EPO」)である特定の実施例では、本発明の分子は、「EPO接合体」、「EPEG接合体」、および/または類似の用語について言及するが、これらの用語は互換的に使用される。本発明のこれらの用語「タンパク質接合体」は、本発明の接合体化タンパク質の混合物、すなわち複数の本発明の接合体化タンパク質、例えばEPOも意味している。例えば、EPEG接合体および/またはEPO接合体は、1つ(「1PEG−EPO」;モノ−ペグ化EPO)もしくは2つ(「2PEG−EPO」;ジ−ペグ化EPO)PEG分子、および/または上記の組み合わせとそこで結合した各EPOタンパク質を備える、実質的に均質な群のEPOタンパク質を意味する可能性がある。
【0049】
大多数のポリペプチドは、複数の潜在的PEG結合部位を有する。このため、均質群の1PEG−タンパク質接合体は各タンパク質分子に結合した1つのPEG分子を有するが、その結合は必ずしも群内の各タンパク質上の同一場所にはない可能性がある。同様に、均質群の2PEG−タンパク質接合体は各タンパク質分子に結合した2つのPEG分子を有するが、その結合は必ずしも群内の各タンパク質上の同一箇所にはない可能性がある。特定の実施形態では、本発明は、複数のEPO接合体を包含し、各接合体は1つまたは2つのPEG分子へ共有結合しているEPOタンパク質を含み、上記複数のEPO接合体は、リシン116を介してPEG分子への上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有するEPO接合体を含む。他の実施形態では、本発明は、複数のEPO接合体を包含し、各接合体は1つまたは2つのPEG分子へ共有結合しているEPOタンパク質を含み、上記複数のEPO接合体は、EPOタンパク質のアミノ末端を介してPEG分子への上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有するEPO接合体を含み、上記アミノ末端における共有結合はアルデヒド結合を経由していない。さらに他の実施形態では、本発明は、複数のEPO接合体を包含し、各接合体は1つまたは2つのPEG分子へ共有結合しているEPOタンパク質を含み、上記複数のEPO接合体は、リシン52、またはリシン154であるPEG分子への上記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有するEPO接合体を含む。他の実施形態では、本発明は、上記の複数のEPO接合体のいずれか、およびこのような結合のために適合することが当分野において公知である任意の部位を介して、上記1つまたは2つのPEG分子に共有結合している接合体を包含する。
【0050】
所定の実施形態では、1PEG−タンパク質および2PEG−タンパク質接合体を含む複数のタンパク質接合体(例、EPEG接合体の異質な混合物)は、2つの上記の群の混合物を意味するが、各群は均質であっても均質でなくてもよい。特定の実施形態では、混合物の1PEG−タンパク質接合体:2PEG−タンパク質接合体の比率は、約1未満:約100、約10:約90、約20:約80、約30:約70、約40:約60、約50:約50、約60:約40、約70:約30、約80:約20、約90:約10、または約100:約1未満であるが、約1未満は当分野において公知の標準方法を用いて検出不能な量を含む。
【0051】
本発明に包含される「水溶性ポリマー」は、以下に限定されないPEG、メトキシ化PEG(「mPEG」)、PEGホモポリマー、ポリプロピレングリコールホモポリマー、エチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマーを含む、ポリアルキレングリコールおよびその誘導体を含み、上記ホモポリマーおよびコポリマーは、未置換、またはその一端でアルキル基により置換されている。好ましい実施形態では、ポリマーは、mPEGであり、最も好ましくはモノ−メトキシ化PEGである。水溶性ポリマーは、広範囲の分子量を備える直鎖状、分枝状、または星状であってもよい。PEGのサイズは、10〜約100kDaの範囲に及んでよい。特定の実施形態では、PEGのサイズは、約10〜約40kDaである。
【0052】
ポリエチレングリコール(PEG)および類似のポリ(アルキレンオキシド)を1つの分子への、詳細には1つのタンパク質への共有結合を生じさせるためには、ポリマーのヒドロキシル末端基が最初に反応性官能基に変換させられなければならない。この工程は本明細書においては「活性化」と呼ばれ、生成物は「活性化PEG」と呼ばれる。例えば、メトキシ化PEG(「mPEG」)は、当分野において周知の方法によってその後のアミノ基への共有結合のために活性化することができる。すなわち、mPEGは、利用できるアミノ残基、例えばリシニル残基を含むアミノ酸残基を介するその後のタンパク質への結合のために適合する様々な反応性部分を含むように修飾することができる。このような活性化mPEGポリマーには、mPEG−サクシニミジルスクシネート、mPEG−サクシニミジルカーボネート、mPEG−イミデート、およびmPEG−塩化シアヌルが含まれる。例えば、メトキシポリエチレングリコリルサクシニミジルスクシネート(「SS−PEG」)は、ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下で、mPEGスクシネートからヒドロキシスクシンイミドとの反応によって生成できる(例えば、Abuchowski et al.(1984),Cancer Biochem.Biophys.7:175−186(全体として参照して組み込まれる)を参照されたい)。PEGは、当分野において公知および/または本明細書に記載の任意の方法によって活性化することができる。所定の実施形態では、N−ヒドロキシ−サクシニミジルPEGは、活性化PEGとして使用される。好ましい実施形態では、ポリ(エチレングリコール)−サクシニミジルカーボネート(「SC−PEG」)は、活性化PEGとして使用される(例えば、全体として参照して組み込まれる米国特許第5,122,614号明細書を参照されたい)。好ましい実施形態では、SC−PEGをタンパク質へ共有結合させるための反応は、タンパク質のアミノ基を介したカルバメート結合を経由してポリペプチドに結合したN−ヒドロキシサクシニミジル基およびPEG鎖の遊離を生じさせる(例えば、米国特許第5,122,614号明細書を参照されたい)。しかし当分野において公知である以前の方法とは相違して、そして本発明の方法を用いて本明細書において証明したように、接合体化反応は、ペグ化の部位を優先的に選択(例、リシニル残基のアミノ末端α−アミノ基とε−アミノ基との間の優先選択)できるように制御することができる。
【0053】
所定の実施形態では、本発明はPEGを活性化する方法を包含するが、PEGクロロホルメートは、ホスゲンを用いたポリマー(PEG)の処理によってインサイチューで生成される。次に結果として生じるクロロギ酸エステルは、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、次にトリエチルアミン(TEA)と反応させると、PEGの所望の活性化誘導体が得られる。次に活性化ポリマー調製物は、低分子量反応物質から精製し、理論量の活性基の存在について評価することができる。
【0054】
本明細書に記載した方法によって任意のタンパク質をペグ化することができるが、本発明は、詳細には、治療用ポリペプチドのペグ化を包含する。所定の実施形態では、本発明の方法によって使用するための治療用タンパク質は、例えば、プロテアーゼ、下垂体ホルモンプロテアーゼ阻害剤、ポエチン、コロニー刺激因子、ホルモン、凝固因子、抗凝固因子、神経向性因子、リウマチ様因子、CDタンパク質、骨誘導因子、インターロイキン、成長因子、インターフェロン、サイトカイン、ソマトメジン(somatomedian)、ケモカイン、免疫グロブリン、ゴナドトロピン、インターロイキン、ケモタクチン、インターフェロン、脂質結合タンパク質アレルゲン、または上記の組み合わせであってもよい。このような治療用タンパク質の特定の非限定的な例には、インターフェロン−α2A、インターフェロン−α2B、インターフェロンβ、インターフェロン−γ、インスリン様成長因子−1(IGF−1)、インスリン様成長因子−2(IGF−2)、インスリン、ヒト成長ホルモン(hGH)、形質転換増殖因子(TGF)、エリスロポエチン(EPO)、毛様体神経突起トランスフォーミング因子(CNTF)、トロンボポエチン(TPO)、脳由来神経突起因子(BDNF)、IL−1、インスリントロピン、IL−2、グリア細胞由来神経突起因子(GDNF)、IL−1 RA、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、ウロキナーゼ、カタラーゼ、ストレプトキナーゼ、線維芽細胞成長因子(FGF)、ヘモグロビン、神経突起成長因子、アデノシンデアミダーゼ(NGF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、ウシ成長ホルモン(BGH)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、カルシトニン、血小板由来成長因子(PDGF)、殺菌作用/透過性増加タンパク質(BPI)、L−アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、ウリカーゼ、γ−インターフェロン、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、濾胞刺激ホルモン、プロインスリン、表皮成長因子、線維芽細胞成長因子、神経成長因子(NGF)、腫瘍壊死因子、カルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH、ヒトPTHを含む)、骨形態形成タンパク質、造血成長因子、黄体化ホルモン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、ペプチドYY(PYY)、第VIIIC因子、第IX因子、組織因子、およびフォンビルブランド因子、タンパク質C、心房性ナトリウム利尿因子、肺サーファクタント、ボンベシン、トロンビン、エンケファリナーゼ、ミュラー管阻害剤、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、プロリラキシン、DNase、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子、インテグリン、タンパク質AもしくはD、骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニュートロフィン−3、−4、−5、もしくは−6(NT−3、NT−4、NT−5、もしくはNT−6)、CD−3、CD−4、CD−8、CD−19、M−CSF、GM−CSF、G−CSF、上記のいずれかの生物活性フラグメント、または上記の組み合わせであってもよい。好ましい実施形態では、タンパク質もしくはポリペプチドは、天然型EPOである。
【0055】
好ましい接合体は、天然タンパク質もしくはポリペプチドを活性化水溶性ポリマーと反応させる工程によって作製される。好ましくは、水溶性ポリマーは、PEGである。いっそうより好ましくは、水溶性PEGは、mPEGである。好ましくは、mPEGは、約10〜約100kDa、より好ましくは、約10kDa〜約50kDa、一層より好ましくは約10kDa〜約25kDa、および最も好ましくは約12kDaの分子量を有する。所定の実施形態では、活性化PEGは、N−ヒドロキシ−スクシンイミド−PEG(「NHS−PEG」)である。好ましい実施形態では、活性化PEGは、スクシニミジル炭酸エステル(「SC−PEG」)である。好ましくは、活性化PEGおよび天然型EPOは、反応緩衝液中で反応する。
【0056】
変異体EPEG(すなわち、EPO接合体)製剤は、複数種の活性化PEGを用いて生成した。40kDaの分枝状PEGを用いて製造された製剤を除く試験した全製剤は、ヘマトクリット誘導のインビボラットモデルにおいて、天然型EPOより高い活性を証明した。この結果は、SC−PEGもしくはNHS−PEGのいずれが使用されたのか、またはPEGの分子量が12kDaもしくは20kDaのいずれであったのか、またはPEGの形状が直鎖状もしくは分枝状のいずれであったのかに依存していなかった。
【0057】
本明細書において「反応緩衝液」は、アミン成分を含まない標準緩衝液、例えばリン酸緩衝食塩液(PBS)である。好ましくは、反応緩衝液は、約0.1mM〜約100mM、最も好ましくは約1mM〜約50mM、および一層より好ましくは約10mM〜約20mMの濃度の塩、例えばNaを有する。所定の実施形態では、ポリペプチドは、攪拌下で無水活性化水溶性ポリマーと混合される。好ましくは、反応緩衝液は、約6.5〜約8.5または約6.6〜約7.5のpHを有する。好ましい実施形態では、反応緩衝液は、約7.0の中性pHを有する。所定の実施形態では、反応緩衝液中のタンパク質(例、EPO)対活性化水溶性ポリマーのモル比は、約1:約3〜約1:約60である。他の実施形態では、反応緩衝液は、約1:約6〜約1:約60のモル比のタンパク質(例、EPO)対活性化水溶性ポリマーを含む。好ましい実施形態では、反応緩衝液は、約1:約7のモル比のエリスロポエチンタンパク質対活性化水溶性ポリマーを含む。好ましい反応条件は、約pH7.0であり、約7:約1のモル比の水溶性ポリマー:ポリペプチドを含む中性反応緩衝液である。
【0058】
所定の他の実施形態では、反応緩衝液は、有機溶媒をさらに含んでもよい。そのような実施形態では、好ましい有機溶媒は、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)である。DMSOは、反応混合液中に5〜80%、および好ましくは10〜40%(v/v)の濃度で存在してよい。DMSOは、ペグ化反応に影響を及ぼさない、詳細には上記反応の結果として生じるペグ化の部位に優先的に影響を及ぼさない、一般的溶媒として広く使用される。本明細書に記載した反応条件は、特に活性化PEGの共有結合を特定リシン部位に向かうように駆動すると思われる。さらに、現在では、反応緩衝液へのDMSOの添加は、ペグ化の部位を変化させることが見いだされている。詳細には、本明細書に記載した反応緩衝液へのDMSOの添加は、そのアミノ末端、すなわちアミノ末端α−アミノ基でのタンパク質の優先的ペグ化に向かうように駆動する。したがって、本発明の方法は、対象となるタンパク質の特定アミノ基の選択的修飾、特にタンパク質のアミノ末端の修飾を可能にする。そのようなタンパク質のこの選択的修飾は、水溶性ポリマー、例えばPEGがタンパク質とアミノ基を介して結合すると活性の消失を生じさせることが一般に理解されているだけに、有益である。ペグ化と一般に関連している活性の消失は、先行技術の無作為のリシン標的化反応に起因したと考えられている。リシン残基の無作為修飾は、上記タンパク質の三次構造または形態を実質的に変化させることによってタンパク質機能を偶発的に変化させる可能性がある。決して任意の理論に限定することは望まないが、本明細書に開示した反応条件は、一般にはタンパク質の活性に寄与するとは考えられていない選択的残基またはそのアミノ末端で、タンパク質の選択的修飾を可能にすると思われる。特定の実施例では、本発明の方法は、1つから2つのEPO分子を、それらのEPOリシン残基へ特異的に結合させるために使用され、それらのPEGへの結合は天然型EPOに比較して生物活性の消失を生じさせず、むしろ驚くべきことに天然型EPOよりはるかに臨床的に有効であるEPO接合体を生じさせる。
【0059】
タンパク質のアミノ末端特異的ペグ化は、以前にアルデヒド活性化PEGを用いて報告されている。しかし、この反応は低pHでのみ特異的であり、7以上のpHでは特異性を消失する(例えば、全体として参照して組み込まれる米国特許第6,077,939号明細書および米国特許第5,985,265号明細書を参照されたい)。したがって、本発明の方法は、pH感受性タンパク質のペグ化および/または接合体化において特に有用であり得る。
【0060】
好ましい反応では、活性化水溶性ポリマーは、モル過剰で存在し、したがって未反応の過剰な活性化水溶性ポリマーは、新しく生成されたタンパク質接合体から除去される必要がある。本明細書において、「実質的に全部の未結合水溶性ポリマーを除去する工程」は、例えば透析を通しての分離を実施するための一般に公知の方法を意味する。一般に、約80%の未結合水溶性ポリマーが除去され、好ましくは約90%が除去され、より好ましくは約95%が除去され、最も好ましくは約99%が除去される。
【0061】
本発明は、タンパク質接合体、特にEPO接合体を提供するが、上記接合体は、それに結合した少なくとも1つの水溶性ポリマーを有し、および骨髄細胞が網状赤血球および赤血球の産生を増加させることを誘発するインビボ生物活性を有するエリスロポエチン糖タンパク質を含む。好ましい実施形態では、EPO糖タンパク質は、ヒトエリスロポエチンおよび/またはヒトエリスロポエチンの配列(例、配列番号1(図1);配列番号2(図2))もしくは実質的にそれと同一のアミノ酸配列を有するこれらのアナログである。
【0062】
EPOもしくはEPEG接合体の特異的活性は、本明細書に記載した方法または当分野において公知である標準的アッセイによって決定できる。本発明の精製されたEPO接合体の生物活性は、本発明の製剤(例、複数の本発明のEPO接合体、またはそれらの1つまたは複数の成分、および薬学的に許容される担体)のヒト患者への投与が、未注射群もしくは対照群の被験者に比較して網状赤血球および赤血球の産生を増加させる骨髄細胞を生じさせるような生物活性である。本発明の方法によって入手かつ精製されるEPO接合体、またはそれらのフラグメントの生物活性は、例えばAnnable et al.Bull.Wld.Hlth.Org.(1972)47:99−112およびPharm.Europa Spec.Issue Erythropoietin BRP Bio 1997(2)による方法によって試験することができる。
【0063】
本明細書において「Sprague−Dawley系ラットへの注射の約36時間後に天然エリスロポエチンより少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%もしくは50%以上高い血清レベルを達成することができる」は、本発明のEPEG接合体がSprague−Dawley系ラットを用いたインビボアッセイにおいて天然型EPOもしくは市販されているグリコシル化EPOより実質的に緩徐な速度で被験者から排出され、対照化合物と比較してより高く広範囲のPKプロファイルを生じさせるという事実を意味する。本発明のEPEG接合体の血清レベルは、当業者であれば、例えば放射性標識およびイムノアッセイなどであるがそれらに限定されない、当分野におけるルーチン法を用いて容易に決定することができる。好ましくは、血清中レベルは、下記の実施例4に記載した方法によって決定される。
【0064】
実施例4は、天然型EPOが注射後まもなく最大血清濃度に到達し(すなわち、放射標識EPO接合体の最高血行性活性を達成する)、その後13時間以内に排出されることを証明している。現在利用できるグリコシル化EPO治療薬であるARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)(Amgen社、カリフォルニア州サウザンドオークス)は、注射12〜18時間後にピーク血行性放射能を有し、天然型EPOに比して長い半減期を示す。しかし、ARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)は、天然型EPOより有意に高い血中濃度を達成することができない。これとは対照的に、本発明のEPEG接合体の血液由来活性の濃度は、初期約12時間にわたってEPOおよびARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)の両方に類似している;しかし、約12時間後に、血清中のEPEG接合体の活性の濃度は増加し続け、注射36時間後にEPOまたはARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)のいずれよりも約50%高い最高レベルに到達した。EPEGは、ARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)より約26%〜約38%緩徐に身体から排出される。結果として、EPEG接合体は、曲線下面積に関して、対照EPOもしくはARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)のいずれよりも増加した全薬物曝露を提供する。実際に、EPEGは、ARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)に比して約25%〜約45%大きな曲線下面積(AUC);および天然型EPOより4倍高いAUCを有する(例えば、実施例4を参照されたい)。結果として、EPEGは、それでもまだより高レベルの生物活性を達成しながら、天然型EPOもしくは他のグリコシル化−エリスロポエチン製剤、例えばARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)より低頻度で投与することができる。
【0065】
本明細書に提供した実施例は、本発明の接合体を未修飾ポリペプチドと同一方法で使用できることをさらに証明する。詳細には、本明細書に開示したEPEG接合体は、天然型EPOと同一方法で使用できる。しかし、本発明の接合体は、少なくとも2つの予想外の、当分野において公知である先行ペグ化ポリペプチドに比較して優れた特性を有する。詳細には、本発明のEPEG接合体は、予想外にも対照製剤と比較して予想外に高い効力を有し、長期間にわたって無タンパク質製剤中で保管することができる(すなわち、無タンパク質の薬学的に許容される担体中に保管することができる)。本明細書に開示した実験結果は、本発明の接合体が対照製剤と比較して、増加した循環中半減期および血漿中滞留時間、減少したクリアランス率および増加したインビボ臨床活性を有することを証明している。
【0066】
決して任意の特定の理論に縛られる、または限定されることは望まないが、対照製剤と比較した本発明のEPEG製剤のインビボ活性における増加は、増加した血漿中半減期に起因する可能性があると理論付けられている。受容体が結合すると、天然型EPOおよびその受容体は細胞によって処理されて内在化されることが公知である。全EPO受容体が結合して内在化されると、EPOシグナリングは最大化され、細胞は身体内に依然として存在する任意の過剰な天然型EPOに対して非感受性にさせられる。本明細書の実施例において証明されるように、過剰な天然型EPOは次に身体によって急速に排出される。本発明の複数のEPO接合体、またはそれらの1つまたは複数の成分の増加した生物活性は、受容体回転時間と比較して増加した生体利用効率および増加した半減期(すなわち、増加した循環時間)の関数である可能性があると考えられている。EPO−受容体が内在化されると、新規な受容体を発生させるための期間が必要になる。本発明の複数のEPO接合体、またはそれらの1つまたは複数の成分の循環寿命は、排出前に複数の世代の受容体に結合できるように十分に長い可能性がある。これにより本発明のEPO接合体は、天然型EPOまたは現在入手できるグリコシル化EPO製剤と比較して、インビボ活性を増加させる、例えばヘマトクリット誘導を増加させる。
【0067】
これらの改善された特性のため、本発明の接合体は、未修飾EPOまたは現在利用できるEPOをベースとする製剤と比較して、減少した用量および/または減少したスケジュール、例えば各々週3回の代わりに週1回で投与することができる。本発明のEPO接合体は、必要とする被験者に、少なくとも1日1回、少なくとも1日おきに1回または少なくとも3日毎に1回投与することもできる。しかし、本発明のEPO接合体製剤は、必要とする患者に、少なくとも週1回投与できるのが好ましい。より好ましくは、本発明のEPO接合体製剤は、患者に少なくとも2週間毎に1回投与することができる。より好ましくは、本発明のEPO接合体製剤は、患者に少なくとも月1回または少なくとも6週間〜2カ月間に1回投与することができる。
【0068】
投与頻度の減少は、患者コンプライアンスの改善を生じさせて、治療転帰ならびに患者のクオリティ・オブ・ライフの改善を導くと予想される。従来型のグリコシル化EPOと比較して、本発明の接合体の分子量およびリンカー構造を有する接合体は、改善された効力、安定性、循環中AUC、循環中半減期、および商品原価プロファイルを有することが見いだされている。
【0069】
予防法および治療法
本発明のタンパク質接合体は、天然タンパク質の使用と同様に使用できる。例えば、EPEG製剤は、例えばEPOの腎臓疾患、癌合併症、化学療法、またはHIV療法に起因する貧血の治療における使用と同様に使用できる。本発明のこの態様によるその他の特定の潜在的な用途には、赤血球の増大が患者にとって有益であるすべての疾患(例、貧血)が含まれる。接合体の正確な量は、治療される状態の正確なタイプ、治療される患者の状態、ならびに組成物中の他の成分などの因子に支配される、優先的な問題である。
【0070】
治療有効量とは、骨髄細胞が網状赤血球および赤血球の産生の増加を惹起するインビボ生物活性のために必要な接合体の量である。接合体の正確な量は、治療される状態の正確なタイプ、治療される患者の状態、ならびに組成物中の他の成分などの因子に支配される、優先的な問題である。本接合体を含む薬学的組成物は、低い赤血球産生または欠陥のある赤血球産生を特徴とする血液疾患を経験しているヒト患者へ、様々な手段によって投与するために有効な強度で調製することができる。本接合体の平均治療有効量は変動する可能性があり、詳細には、資格を有する医師の推奨および処方に基づかなければならない。例えば、0.01〜10μg/kg(体重)、好ましくは0.1〜3μg/kg(体重)を例えば週1回投与することができる。または、本発明の薬学的組成物は、様々な量のEPEG、例えば、約10〜約1,000μg/mL、好ましくは約50μg/mL〜約400μg/mLを含んでもよい。
【0071】
しかし、当業者であれば、本発明の接合体を含む薬学的組成物は、低い赤血球産生または欠陥のある赤血球産生を特徴とする血液疾患を経験しているヒト患者へ様々な手段によって投与するために有効な強度で調製できることを認識する。本接合体の平均治療有効量は変動する可能性があり、資格を有する医師の推奨および処方に基づかなければならない。
【0072】
薬学的組成物
本発明の組成物、例えば、本発明によって調製された複数のタンパク質またはエリスロポエチン糖タンパク質接合体、もしくはこれらの1つまたは複数の成分は、当分野において公知の方法によって追加の薬学的に許容される担体または賦形剤との混合物もしくは組み合わせによって注射するために、さらに適合させることができる。本発明の生成物を調製するための特に薬学的に許容される担体は、食塩液、ヒト血清アルブミン、ヒト血漿タンパク質などである。本発明は、上記に記載した接合体および薬学的に許容される賦形剤および/または担体を含む薬学的組成物にさらに関する。このような薬学的に許容される担体は、水性もしくは非水性の溶液、懸濁液、およびエマルジョンであってもよい。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。水性担体には、食塩液および緩衝液を含む水、アルコール/水溶液、エマルジョンもしくは懸濁液が含まれる。非経口賦形剤には、塩化ナトリウム溶液、リンゲル(Ringer)デキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液もしくは固定油が含まれる。静脈内賦形剤には、水分および栄養素補充液、例えばリンゲルデキストロースなどに基づく電解質補充液などが含まれる。保存料およびその他の添加物、例えば、抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、不活性気体などもまた存在してもよい。
【0073】
本発明によって調製されるタンパク質接合体は、当分野において公知の方法によって薬学的に許容される担体もしくは賦形剤を用いて、注射のために適合する薬学的組成物中で調製することができる。例えば、国際公開第97/09996号パンフレット、国際公開第97/40850号パンフレット、国際公開第98/58660号パンフレット、および国際公開第99/07401号パンフレット(これらの各々は全体として参照して組み込まれる)を参照されたい。本発明の化合物は、例えば、132mM塩化ナトリウムなどの等張化剤を含む10mMリン酸ナトリウム/カリウム緩衝液(pH7)中で調製することができる。任意で、本薬学的組成物は、保存料を含むことができる。
【0074】
好ましくは、本薬学的組成物は、上記に規定したEPO接合体と、約5.5〜約7.0の範囲内の溶液pHを維持するために適合する薬学的に許容される緩衝液中の多価無機アニオンと、ならびに任意で1つまたは複数の薬学的に許容される担体および/または賦形剤と、を含む。例えば、本発明の組成物は、約10μg〜約1,000μg/mLのエリスロポエチン接合体、10〜200mmol/Lの硫酸塩、約10〜約50mmol/Lのリン酸塩(pH6.0〜6.5)、任意で約1mMまでのCaCl、および任意で約1〜5%のポリオールを含んでもよい。
【0075】
本発明のEPEG接合体は、無タンパク質溶液中において低温(例、−20℃、4℃)での少なくとも15カ月間の保管後、または高温(例、25℃、37℃)での少なくとも10カ月間の保管後にEPEG活性の分解もしくは消失に抵抗性であることが証明されており、長期間にわたりそのような安定性を保持すると予想されている。このような無タンパク質製剤中の本発明のEPEG接合体は、例えば室温などの通常の条件下で輸送および保管するために十分に安定である可能性がある。相対的に、市販されているEPO、例えばEPREX(登録商標)(エポエチンα)は、保護のために0.2%ヒト血清アルブミン(HSA)を必要とし、低温で輸送および保管される。例えばHSAなどのヒト生物学的もしくは血清由来成分を含む医薬製剤は、より厳密な製造要件および規制コンプライアンスに制約される:および、結果として実質的に多大な経費に関連している。しかし、無タンパク質塩緩衝液中では、薬学的の有効成分の消失を伴わずに本発明のタンパク質接合体、例えばEPO接合体を調製することが可能である。そこで、無タンパク質の薬学的に許容される担体中で薬物(例、EPEG)を送達する能力は、重要な経済的利点を備える。
【0076】
このために、最も好ましい実施形態では、本薬学的組成物は、EPEG接合体および無タンパク質の薬学的に許容される担体から製造される。任意で、無タンパク質の薬学的に許容される担体は、本EPEG接合体の薬理学的特性をさらに増強するために非タンパク質賦形剤を含むことができる。これらには、マンニトールなどの糖、ヒスチジンなどのアミノ酸、または低レベルの例えばTween−80などの従来型の界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0077】
本発明は、本明細書に記載した本発明を具体的に説明するが限定しない、以下の実施例を参照することによってより明確に理解される。
【実施例1】
【0078】
SC−PEG−12KによるEPOのペグ化
サクシニミジル炭酸エステル(SC−PEG−12K)として活性化されたモノ−メトキシ化PEG(分子量、12,000kDa)をペグ化試薬として使用した。CHO細胞中で生成されたEPOをポリペプチドとして使用した。EPO−タンパク質(50mg)は、0.15mM NaCl、および10mMリン酸ナトリウム(pH6.9)を含む反応緩衝液中において0.61mg/mLの濃度で調製した。所定の実験のために、反応緩衝液は、15%のDMSOをさらに含んでいた。
【0079】
ポリペプチド溶液は、7:1の最終PEG/EPOモル比に到達させるために、攪拌しながら無水PEG試薬と混合した。DMSOを含む反応生成物、および未反応PEG分子は、25,000kDaの分子量カットオフ値を有する膜を用いた透析によって分離した。反応緩衝液の組成、すなわちDMSOを含むか含まないかとは無関係に、最終生成物は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)によって決定され、適切な同等比率のモノ−ペグ化EPOおよびジ−ペグ化EPOの混合物を含んでいた(例えば、図3Bを参照されたい)。この様式で調製された生成物は、EPEGと指名された。
【実施例2】
【0080】
ペグ化の部位
SC−PEG(12kDa)を使用して、実施例1のプロトコールによってEPOをペグ化し、生じたEPEG製剤もしくはEPO(対照)を当分野における標準としてトリプシン消化にかけた。100ピコモルのタンパク質を、100mMリン酸ナトリウム(pH8.4)中において4%の基質重量で、37℃で18時間にわたりTPCK−処理トリプシン(Sigma社、ミズーリ州)で消化した。消化物は、C18逆相カラム(Apollo C−18、粒径5μ、4.6×100mm)上で分析した。画分は、100%の0.125%TFA(トリフルオロ酢酸)から75%のアセトニトリル/0.125%のTFAまでの、50分間にわたる線形勾配を用いて溶出させた。溶出させた画分は、230nmのUV波長で分析した。実施例のクロマトグラムは、EPOおよびPEG−EPOについて各々図3Aおよび3Bに示されている。ピークがEPOクロマトグラムには存在したがPEG−EPO溶出プロファイル中では減少もしくは存在しなかったことは、PEG修飾を示しているので、それらのペグ化部位について特性解析した。
【0081】
PEGを含む画分は、ABI Prociseシステム(ABI社、カリフォルニア州)を用いて、標準方法に従ったタンパク質シーケンシングによって分析した。ペグ化部位は、検出された配列をEPOのアミノ配列とマッチさせることによって決定した。結果は、表1に提示した。
【0082】
【表1】

【0083】
驚くべきことに、反応緩衝液中のDMSOの存在がペグ化反応を優先的にシフトさせ、および主としてタンパク質のN末端(即ち、α−アミノ基)をペグ化することが見いだされた。詳細には、DMSOの存在は、リシン116のペグ化から反応をシフトさせた。以前の報告は、アルデヒド活性化PEGおよび酸性pHだけを使用してタンパク質のN末端のペグ化を証明していた(例えば、その各々が全体として参照して組み込まれる米国特許第6,077,939号明細書および米国特許第5,985,265明細書を参照されたい)。
【0084】
反応緩衝液へのDMSO添加によって可能にされた優先的ペグ化は、N末端シーケンシングを用いて確証された。実施例1によって(DMSOを含む)調製された未消化EPOもしくはその対応物であるEPEGを標準方法によって、N末端シーケンシングにかけた。比較すると、N末端アラニンの予想量の50%超をEPEGサンプル中では検出することができず、これは上記の結果を確証した。類似の結果は、stapholoccusプロテアーゼV8、キモトリプシン、もしくはトリプシンなどのプロテアーゼを用いたタンパク質分解保護分析を用いた場合にも達成された。
【0085】
予備試験データは、さらにまた、本発明のペグ化法が、タンパク質の選択的N末端ペグ化を含む他のタンパク質の選択的ペグ化をさらに可能にすることも示している。例えば、タンパク質顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)を実施例1の方法によって、SC−PEGおよびDMSOを用いてペグ化し、続いてSPカラム上で精製すると、同時にPEG−GCSFが本発明のN末端修飾種の画分と同一画分中に溶出した;DMSOの非存在下では、溶出時間が変化した。結果は、本発明の方法がおそらくタンパク質の選択的ペグ化、および詳細には、α−アミノ基の標的ペグ化を可能にすると思われることを示唆している。
【実施例3】
【0086】
PEG−EPOの調製および安定性
EPEGは、DMSOを含む反応緩衝液を用いて、実施例1の方法によって調製した。生成物を0.2μM膜に通して濾過してバイオバーデン(bioburden)を除去し、次にPBS(リン酸緩衝食塩液、pH6.9)を用いて、下記に説明するBCAタンパク質アッセイによって決定されるように、最終濃度50μg/mLに希釈した。生成物は、保管のために除菌濾過して1mLバイアル中へ入れた。最終生成物はLAL試験(リムルス・アメーバ様細胞溶解質発熱性物質アッセイ、Cambrex社、メリーランド州)によって試験し、0.1EU/mL未満のエンドトキシンレベルを有していた。これらのバイアルは、その後の安定性および/または活性試験のために、37℃、25℃、4℃または−20℃で保管した。定期的に、サンプルは、PAGEによる物理的保全、BCAタンパク質アッセイによるタンパク質含量、ならびに幹細胞の増殖およびヘマトクリット産生の刺激によるEPO活性について試験した(例えば、活性アッセイについては実施例3を参照されたい)。
【0087】
−20℃もしくは4℃での15カ月間の保管後に、SDS PAGEによるEPEGの分解もしくは消失の証拠は得られなかった(例えば、図5の各々レーン2および3を参照されたい)。驚くべきことに、SDS PAGEはさらに、薬物を保護するための賦形剤としてHSA(ヒト血清アルブミン)などの担体タンパク質が存在しなかったにもかかわらず、25℃または37℃のいずれかでの少なくとも10カ月間にわたる保管後に、検出可能な物理的保全の消失を示さなかった(図5の各々レーン4および5)。相対的に、市販のEPOであるEPREX(登録商標)(エポエチンα)は、保護のために0.2%のHSAを必要とする。このため、薬学的の有効成分であるEPEGの消失を伴わずに無タンパク質塩緩衝液中で本発明のタンパク質接合体を調製することが可能である。サンプルの安定性は、BCAタンパク質含量アッセイによっても評価した。
【0088】
サンプルの安定性は、BCAタンパク質含量アッセイによっても評価した。37℃、25℃、4℃もしくは−20℃で保管された代表的サンプルは、全タンパク質濃度を定量するために、BCAタンパク質アッセイ(Pierce Chemical社、ミネソタ州)を選択した。50μLのサンプルもしくは対照を37℃で2時間にわたり175μLの作業試薬溶液中でインキュベートし、650nmで吸光度を決定した。タンパク質濃度を決定するために、4パラメータ回帰を実施した。標準曲線はBSA(ウシ血清アルブミン)を用いて作成したが、0.999の相関係数を有していた。12週間の保管後に、本アッセイは37℃で保管されたサンプルについては50.5μg/mL、および25℃で保管されたサンプルについては51.3μg/mLのタンパク質濃度を測定した。47週間の保管後に、本アッセイは−20℃で保管されたサンプルについては51.4μg/mL、および4℃で保管されたサンプルについては49.5μg/mLのタンパク質濃度を測定した。実験の開始時には、サンプルはBCAで測定されたおよそ50μg/mLの濃度を有していた。このため、経時的にタンパク質の消失は生じなかった。EPREX(登録商標)(エポエチンα)は、0.2%のHSAを含むためにBCAアッセイにおける標準物質としては使用できない。
【0089】
サンプルの安定性についてのさらに別の証拠は、加速試験においてそれらが幹細胞分化(実施例4において記載した)を誘導する効力についてサンプルが評価された場合に観察された。活性は3単位/mL(生成物)で評価され、同一用量のEPREX(登録商標)(エポエチンα)によって誘導されたコロニー形成の割合として表示される。37℃で12週間にわたり保管されたサンプルは対照活性の76.3%、25℃で17週間にわたり保管されたサンプルは76.5%、4℃で54週間にわたり保管されたサンプルは85.3%、および−20℃で47週間にわたり保管されたサンプルは77.9%を有していた。時点0でのサンプルは対照活性の76.5%を有していた;これは、オリジナル活性のおよそ100%が担体タンパク質を含まない製剤中での保管中に保存されたことを示す。
【実施例4】
【0090】
メチルセルロースに基づくインビトロコロニーアッセイを用いた、赤血球前駆細胞増殖にPEG−EPOが及ぼす機能的作用の評価
EPEGは、DMSOを含まない反応緩衝液を用いて、実施例1の方法によって調製した。EPEGの有効性は、赤血球系細胞への幹細胞分化を刺激する能力によって評価した。正常ヒト骨髄を幹細胞の起源として使用した。光密度細胞は、Ficoll分離(Poietics社製のキット)後に入手した。細胞は、2%のFBSを含む10mLのIscove培養液中に再懸濁させ、トリパンブルーを用いて生存能力についてチェックした。50μg/mLでのEPEG試験サンプルおよび対照サンプルは、実施例2に記載したBCAタンパク質アッセイによるタンパク質濃度の決定に続く標準125,000単位/mgのEPOを前提とする比較のために、単位/mLに変換した。コロニー形成細胞(CFC)アッセイのためには、300単位/mLのストック液を作製し、2%のFBSを含むIscove培養液中で連続希釈液を調製した。対照として、EPREX(登録商標)(エポエチンα)(20,000IU/mL、ロット番号58B097)の類似のストック液もまたプレーティングのために調製した。標準EPO(EPREX(登録商標)(エポエチンα)およびEPEGは、最終濃度3、1、0.3、0.1および0.03単位/mLになるように加えた。造血コロニーアッセイは、20,000個/培養の骨髄細胞を用いて開始した。全培養は3つずつ準備し、14日間にわたりインキュベートした。第14日に、コロニー数をスコア付けした。コロニーは、当分野においてルーチンであるように、形態に基づいて、以下のカテゴリーのCFU−E、BFU−EおよびCFU−GMに分類した。CFU−Eは、より成熟した前駆細胞に由来する赤芽球コロニーであり、200個未満の赤芽細胞を含む。BFU−Eは、原始細胞に由来する赤芽球コロニーであり、200個超の赤芽細胞を含む。CFU−GMは、40個以上の顆粒球および/またはマクロファージ細胞を備えるコロニーを産生できるコロニー形成細胞(CFC)に由来するコロニーである。全赤血球(CFU−E+BFU−E)ならびに全CFC(全赤血球+CFU−GM)について定量した。培養液を用いるアッセイは、検出不可能な赤芽球コロニーしか生成しなかった。これは、観察されたコロニーが試験サンプルに起因することを確証している。この結果は、前駆細胞アッセイにおいて添加されたサイトカインの非存在下で、対照EPREX(登録商標)(エポエチンα)および試験EPEGの両方について赤芽球前駆細胞増殖に及ぼす用量依存性作用を証明している。3μ/mLの飽和濃度では、EPEG A、B、およびCは、78〜82%のEPREX(登録商標)(エポエチンα)コントロール増殖を誘導する。これらのレベルは、図6に示したように、サブ飽和濃度(1および3単位/mL)ではより低い。このグラフは、3回の示度の平均数を示している。平均変動係数は、3単位/mLについては11%、1単位/mLについては25%、0.3単位/mLについては30%、および0.1単位/mLについては50%である。信頼性のレベルについてのp値は、P<0.01であった。無タンパク質培養液中への数カ月間の保管後、EPEGサンプルは完全な活性を維持した。アッセイ結果は、統計的分析にかけた。同等濃度でEPOおよびPEG−EPOを用いて試験した培養間で生成されたコロニー数における相違を評価するためには、標準t−検定を実施した。0.01未満のp値は有意と見なされる。観察されたデータは、結果がこの有意性レベル内に含まれることを示している。同様の結果が、DMSOを含む反応緩衝液中で調製されたEPEGを用いて得られた。
【実施例5】
【0091】
EPEG(PEG−EPO)の薬物動態学的試験
EPEGの2つの相違するロット(EPO−PEG201およびEPO−PEG202)は、DMSOを含まない反応緩衝液を使用して実施例1の方法によって調製し(即ち、天然型EPOをリシン部位でSC−PEG−12Kによって修飾した)、生じたサンプルのタンパク質濃度は、実施例3に記載したようにBCAアッセイによって決定した。これらのEPEG化合物を使用して、天然、未修飾、天然の機能的EPOおよび高度にグリコシル化されたFDA承認EPO(Amgen社(カリフォルニア州サウザンドオークス)からのARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa))と薬物動態学的プロファイルを比較した。ARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)は、FDA承認製品であり、タンパク質の高グリコシル化に起因する長期半減期を有するので、基準物質として使用した。血液中のタンパク質を検出するために、4種のサンプル(EPO−天然型EPO−PEG201、EPO−PEG202およびARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa))は、当分野において公知であるクロラミンT法を用いて、それらのチロシン部位を125Iにより標識した。各分子は、結合した約1〜2の125Iを有した。各サンプル(80μg)を標識し、脱塩カラムを用いて残留未結合125Iを分離した。タンパク質の活性を検出し、ポリアクリルアミドゲルおよび逆相カラム上で検証した。ペグ化サンプルは、1PEG分子に結合しているEPOの下位群(1PEG−EPO)、または2PEG分子に結合しているEPOの下位群(2PEG−EPO)について評価した。1PEG−EPO対2PEG−EPO比は、EPO−PEG201においては54:46であり;およびEPO−PEG202においては45:55であった。4つの放射標識タンパク質バッチの薬物動態学的プロファイルを分析するために、4Ci/kg(体重)の用量のタンパク質溶液をSprague−Dawley系雄ラットに皮下注射した。ラットは、各動物について3回より多い血液サンプリングを回避するために、動物各4匹を含む5つのサブグループに分割した。血液サンプルは、注射後の様々な時点(0、0.5、1、2、4、8、12、16、24、36、48、72、96および120時間後)に採取した。血液サンプル中の放射標識タンパク質の量は、シンチレーションカウンタを用いて決定し、生成されたデータを統計学的に評価した。結果を、図7に示す。EPO−PEG201およびEPO−PEG202は、類似の薬物動態学的プロファイルを有する。驚くべきことに、本発明者らは、どちらもARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)または天然型EPOいずれよりも、高度かつ広範囲のPKプロファイルを有することを見いだした。表2は、1区画モデルおよび用量累積を用いたPKパラメータの分析の結果を示している。
【0092】
【表2】

【0093】
天然型EPOは、注射後まもなく高レベルに到達し、13時間以内に排出された。現在承認されているEPOの長時間作用性形であるARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)は、12〜18時間後にピークに達し、EPOより長い半減期を示したが、血中では有意に高い濃度には到達できなかった。本明細書に開示した方法によって作製されたEPEGの血中レベルは、初期12時間にわたりEPOおよびARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)の両方について類似であり、その時間後に活性濃度は増加し続け、36時間後にはEPOもしくはARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)いずれよりも約50%高い最高レベルに到達した。EPEGは、ARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)より約26%〜約38%緩徐に身体から排出された。これは、曲線下面積に関して、対照EPOもしくはARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)のいずれよりも優れた全薬物曝露を生じさせる。実際に、EPEGは、ARANESP(登録商標)(darbopoietin alfa)に比して約25%〜約45%大きな曲線下面積(AUC);および天然型EPOより4倍大きいAUCを有する。
【実施例6】
【0094】
様々な形状のPEG−EPOの製造
複数バッチのEPEGは、DMSOを含まない反応緩衝液を使用し、そして種々様々な活性化PEGを用いて、実施例1の方法によって調製した。ペグ化反応において使用される活性化PEGの量は、最終生成物がほぼ同等量の1PEG−EPOおよび2PEG−EPOを含むように調整した。1PEG−EPOおよび2PEG−EPOは、DEAEカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。カラムは、75mM NaCL、5mMリン酸ナトリウム(pH6.75)を含む緩衝液を用いて平衡化させた。反応後、サンプルは同一緩衝液に対して透析し、次に精製のためにカラムへ装填した。小量の高度に修飾されたPEG−EPOは、カラムに結合せず、洗浄液中へ溶出した。サンプルは、97.5mM NaCL−5mMリン酸ナトリウム(pH6.75)の勾配を用いて溶出した。任意の天然型EPOは、リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.75)中の150mM NaCLを用いて溶出させた。溶出した画分は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって評価した。画分は、1PEG−EPO、2−PEG−PEGおよびこれら2つの当量混合物の、3つの群に分離された。Y501P、1PEG−EPOを備える分枝鎖NHS−PEG(20kDa)によって修飾したEPO;Y502P、2PEG−EPOを備える分枝鎖NHS−PEG(20kDa)によって修飾したEPO;Y5012、同等量の1PEG−EPOおよび2PEG−EPOを備える分枝鎖NHS−PEG(20kDa)によって修飾したEPO;L33、同等量の1PEG−EPOおよび2PEG−EPOを備える直鎖SC−PEG(12kDa)によって修飾したEPO;ならびにX6012、同等量の1PEG−EPOおよび2PEG−EPOを備える分枝状NHS−PEG(40kDa)によって修飾したEPOの、5つの代表サンプルを作成した。最終サンプルのタンパク質濃度は、実施例3に記載したように決定した。
【実施例7】
【0095】
PEG−EPO変異体についての薬力学的試験
実施例6に記載の作成したEPEGサンプルをラットに投与して、活性を比較および評価した。Y501P(1PEG−EPO)、Y502P(2PEG−EPO)およびY5012(1PEG−EPOおよび2PEG−EPOの混合物)。
【0096】
Sprague−Dawley系ラット(特異的病原体無し、5週齢、雄)は、空調管理された動物施設内のフィルタートップケージ内に収容した。水は任意に与えた。ラットは、試験前に到着後1週間にわたり順応させる。EPEGサンプルは、注射前にPBSにより希釈した。ラット(各々およそ250g)には1mLの緩衝液(PBS)もしくは1mL PBS(対照)中の5μgの全タンパク質を皮下注射し、25日間にわたりヘマトクリットを測定した。ヘマトクリットは、尾静脈からヘパリン化キャピラリーチューブ(Marienfld社、ドイツ国)内へ血液を採取することによって決定した。密封した後、キャピラリーチューブは、ヘマトクリット遠心機(Hanil Science Industrial社、韓国)を用いて、最大回転速度で10分間にわたり遠心した。ヘマトクリットのレベルは、標準方法を用いて血中血球容積率の計算によって決定した(図8)。驚くべきことに、2PEG−EPOは、1PEG−EPOと類似の活性を有していた。
【実施例8】
【0097】
様々な形状のPEG−EPOのヘマトクリット誘導
実施例6に記載したように生成したEPEG変異体を、実施例7に記載したヘマトクリット誘導のマウスモデルにおいてさらに試験した。本アッセイのために選択したEPEG製剤は、各々ほぼ同等量の1PEG−EPOおよび2PEG−EPO:L33、Y5012、およびX6012を含んでいた(実施例5を参照されたい)。これらのインビボ活性を、ヘマトクリット増加に関してPBSおよび天然型EPOと比較した。上記に記載したように、各動物は、ほぼ5μgの活性物質、即ち全タンパク質を摂取した。図9に示したように、L33およびY5012は類似の作用を有するが、Y5012はわずかにより活性である。より高分子量のPEGは、この活性をそれ以上増加させなかった。試験した全EPEG製剤は、40kの分枝状−PEGを用いて修飾したPEG−EPO(X6012)を除いて、天然型EPOより高い活性を示した。天然型EPOに比較して活性において観察された増加はSC−PEGもしくはNHS−PEGの使用とは無関係で、12kDaもしくは20kDa PEGの使用とは無関係で、もしくは直鎖状または分枝状PEGの使用とは無関係であった。
【実施例9】
【0098】
PEG−EPOは天然型EPOより強力である
L33 EPEG(即ち、活性化PEGとしての直鎖状SC−PEG−12K)は、実施例6によって調製し、タンパク質濃度を実施例3に記載したように定量した。EPEG製剤は、実施例7および8によるラットモデルによってインビボ活性を評価した。ヘマトクリットレベルは、0、2、5、7、10および14日後に評価した。対照のための天然型EPOは、バキュロウイルス発現系において生成されたヒト組換えEPO(rhu−EPO)であった(当分野において一般に公知であるように、Rhu−EPOはオリジナルのヒトEPOと同一アミノ酸配列を有するが、グリコシル化パターンは相違する)。EPEGもしくはrhu EPOはラットへ動物1匹(各々およそ250g)当たり2.5もしくは5μg用量で、単回注射で投与した。
【0099】
14日間にわたるヘマトクリットを、図10に示す。ラット1匹当たりタンパク質2.5μgでのEPEGの投与は、5μg用量の対照であるrhu−EPOと同一作用を示したが、これは本発明のEPEGが対照より2倍強力であることを証明した。5μg用量を用いると、EPEGは約80%のヘマトクリットレベルを誘導したが、これは未修飾、即ち非ペグ化EPOによって誘導可能なレベルのほぼ2倍であった。5μg用量での対照であるrhu−EPOは、2.5μg用量と類似レベルのヘマトクリット誘導を生じさせた。この結果は、対照EPOが試験した用量でのヘマトクリット誘導において既にプラトーに達したことを示唆している。これらの結果は、以前の刊行物が、EPO製剤が試験された2.5μg用量より高用量では用量反応作用を示せなかったと主張していたので、驚くべきことではなかった。これとは対照的に、本発明のEPEG製剤は、高用量では用量反応作用を示したが、これは対照化合物を用いて達成できるより実質的に高いヘマトクリット誘導を生じさせた。したがって、本発明のEPEG製剤は、当分野において現在理解されているように薬物の薬学的特性および潜在能力の両方を供与する。
【実施例10】
【0100】
二重注射はEPEGの持続作用を示す
DMSOを含む反応緩衝液を用いる実施例1によって調製したEPEG製剤の連続投与の作用を、実施例7および8のラットモデルによってインビボ活性をアッセイした。
【0101】
Sprague−Dawley系雄ラットを1回(第0日)または一連の投与(第0日、第14日)のEPEG製剤を摂取する群に分けた(図11における各々「未注射」または「注射」群)。ヘマトクリットレベルを21日間にわたり測定した(図11)。単回5μg注射を用いて得られた驚くべきヘマトクリットレベル(図9および図10)と比較して、EPEG製剤の活性、即ちヘマトクリット誘導は、連続注射投与スキームを用いた場合の方がより顕著になった(図10;EPEGが5回注射された)。連続投与スキーム(各々用量5μg)を用いると、ヘマトクリットレベルは予想外の90%のレベルへ近づき、これは対照化合物に比較して改良された活性を証明した。
【0102】
本開示は、本発明の好ましい実施形態およびほんの数例の多用途性についてのみ記載している。本発明は様々な他の組み合わせおよび環境において使用することができ、本明細書に明示した本発明の概念の範囲内で変更もしくは修飾が可能であることを理解されたい。そこで、例えば、当業者であれば、単なる定番の実験機器を用いて、本明細書に記載した特定の物質および方法にとっての数多くの同等物を認識する、または確認できる。そのような同等物は、本発明の範囲内に含まれると見なされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリスロポエチン接合体であって、前記接合体の各々は1つまたは2つのポリエチレングリコール分子に共有結合しているエリスロポエチンタンパク質を含み、前記複数のエリスロポエチン接合体は、リシン116において前記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの接合体を含む、複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項2】
複数のエリスロポエチン接合体であって、前記接合体の各々は1つまたは2つのポリエチレングリコール分子に共有結合しているエリスロポエチンタンパク質を含み、前記複数のエリスロポエチン接合体は前記タンパク質のアミノ末端において前記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの接合体を含み、前記アミノ末端における共有結合はアルデヒド結合を経由していない、複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項3】
前記複数のエリスロポエチン接合体は、リシン116において前記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの接合体をさらに含む、請求項2に記載の複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項4】
複数のエリスロポエチン接合体であって、前記接合体の各々は1つまたは2つのポリエチレングリコール分子に共有結合しているエリスロポエチンタンパク質を含み、前記複数のエリスロポエチン接合体は、Sprague−Dawley系ラットへの注射の約36時間後に対照エリスロポエチンより少なくとも50%高い血清濃度を到達できる、複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項5】
複数のエリスロポエチン接合体であって、前記接合体の各々は1つまたは2つのポリエチレングリコール分子に共有結合しているエリスロポエチンタンパク質を含み、前記複数のエリスロポエチン接合体は、Sprague−Dawley系ラットへの投与約7日間後に対照エリスロポエチン投与によって誘導される場合と比較して少なくとも20%のヘマトクリット増加を誘導する、複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項6】
前記複数のエリスロポエチン接合体は、リシン116において前記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの接合体を含む、請求項4または5に記載の複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項7】
前記複数のエリスロポエチン接合体は、エリスロポエチンタンパク質のアミノ末端において前記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの接合体を含み、前記アミノ末端における共有結合はアルデヒド結合を経由していない、請求項4または5に記載の複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項8】
前記複数のエリスロポエチン接合体は、リシン116において前記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの接合体をさらに含む、請求項7に記載の複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項9】
前記アミノ末端における前記共有結合は、カルバメート結合を経由する、請求項2に記載の複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項10】
前記アミノ末端における前記共有結合は、カルバメート結合を経由する、請求項7に記載の複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項11】
前記複数のエリスロポエチン接合体は、1つのポリエチレングリコール分子に共有結合している第1群のエリスロポエチンタンパク質および2つのポリエチレングリコール分子に共有結合している第2群のエリスロポエチンタンパク質を含む、請求項1、2、4または5のいずれか一項に記載の複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項12】
前記第1群対前記第2群の比率は、約1未満〜約100、約10〜約90、約20〜約80、約30〜約70、約40〜約60、約50〜約50、約60〜約40、約70〜約30、約80〜約20、約90〜約10、または約100〜約1未満である、請求項11に記載の複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項13】
前記複数のエリスロポエチン接合体は、−20℃または4℃で担体タンパク質が含まれていない医薬製剤中での少なくとも11カ月間にわたる保管後に、エリスロポエチン活性のSDS−PAGE分析、BCAタンパク質アッセイまたはインビトロアッセイによって決定される安定性を保持する、請求項1、2、4または5のいずれか一項に記載の複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項14】
前記複数のエリスロポエチン接合体は、25℃または37℃で担体タンパク質が含まれていない医薬製剤中での少なくとも12週間にわたる保管後に、エリスロポエチン活性のSDS−PAGE分析、BCAタンパク質アッセイまたはインビトロアッセイによって決定される安定性を保持する、請求項1、2、4または5のいずれか一項に記載の複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項15】
エリスロポエチン活性の前記インビトロアッセイは、赤血球系細胞への幹細胞分化の誘導である、請求項13または14に記載の複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項16】
複数のエリスロポエチン接合体であって、前記接合体の各々は1つまたは2つのポリエチレングリコール分子に共有結合しているエリスロポエチンタンパク質を含み、前記複数のエリスロポエチン接合体はリシン116において前記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体、リシン52において前記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体、リシン154において前記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体、および前記タンパク質の前記アミノ末端において前記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する接合体とを含み、前記アミノ末端における共有結合はアルデヒド結合を経由していない、複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項17】
前記共有結合の大多数は前記タンパク質の前記アミノ末端にあり、前記アミノ末端における共有結合はアルデヒド結合を経由していない、請求項2、3、7および16のいずれか一項に記載の複数のエリスロポエチン接合体。
【請求項18】
a.治療有効量の複数のエリスロポエチン接合体であって、前記接合体の各々は1つまたは2つのポリエチレン分子に共有結合しているエリスロポエチンタンパク質を含む複数のエリスロポエチン接合体;
b.および無タンパク質の薬学的に有効な担体を含む、医薬製剤。
【請求項19】
前記複数のエリスロポエチン接合体は、リシン116において前記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの接合体を含む、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項20】
前記複数のエリスロポエチン接合体は、前記タンパク質の前記アミノ末端において前記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの接合体を含み、前記アミノ末端における共有結合はアルデヒド結合を経由していない、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項21】
前記複数のエリスロポエチン接合体は、リシン116において前記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの接合体を含む、請求項20に記載の医薬製剤。
【請求項22】
前記アミノ末端における前記共有結合は、カルバメート結合を経由する、請求項20に記載の医薬製剤。
【請求項23】
前記複数のエリスロポエチン接合体は、1つのポリエチレン分子に共有結合している第1群のエリスロポエチンタンパク質および2つのポリエチレン分子に共有結合している第2群のエリスロポエチンタンパク質を含む、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項24】
前記第1群対前記第2群の比率は、約1未満〜約100、約10〜約90、約20〜約80、約30〜約70、約40〜約60、約50〜約50、約60〜約40、約70〜約30、約80〜約20、約90〜約10、または約100〜約1未満である、請求項23に記載の医薬製剤。
【請求項25】
前記製剤は、−20℃または4℃で担体タンパク質が含まれていない医薬製剤中での少なくとも11カ月間にわたる保管後に、エリスロポエチン活性のSDS−PAGE分析、BCAタンパク質アッセイまたはインビトロアッセイによって決定される安定性を保持する、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項26】
前記製剤は、25℃または37℃で担体タンパク質が含まれていない医薬製剤中での少なくとも12週間にわたる保管後に、エリスロポエチン活性のSDS−PAGE分析、BCAタンパク質アッセイまたはインビトロアッセイによって決定される安定性を保持する、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項27】
エリスロポエチン活性の前記インビトロアッセイは、赤血球系細胞への幹細胞分化の誘導である、請求項25または26に記載の医薬製剤。
【請求項28】
タンパク質のアミノ末端α−アミノ基でPEG分子に共有結合しているタンパク質を含む組成物であって、前記共有結合はカルバメート結合を経由する前記組成物。
【請求項29】
a.前記タンパク質を反応緩衝液中で活性化水溶性ポリマーと共有結合させるために前記タンパク質を前記活性化水溶性ポリマーと反応させる工程と、
b.前記接合体を入手するために実質的に全部の未結合水溶性ポリマーを除去する工程と、
を含む方法によって作製される、タンパク質接合体。
【請求項30】
前記タンパク質は、エリスロポエチン(EPO)である、請求項29に記載のタンパク質接合体。
【請求項31】
前記活性化水溶性ポリマーは、SC−PEGである、請求項29に記載のタンパク質接合体。
【請求項32】
前記反応緩衝液は、アルデヒド−PEGを含んでいない、請求項29に記載のタンパク質接合体。
【請求項33】
前記反応緩衝液は、10〜40%のDMSOを含む、請求項29または31に記載のタンパク質接合体。
【請求項34】
前記共有結合は、前記タンパク質のN末端に存在する、請求項33に記載のタンパク質接合体。
【請求項35】
前記共有結合は、カルバメート結合を経由する、請求項34に記載のタンパク質接合体。
【請求項36】
前記共有結合は、リシン116においてである、請求項29に記載のタンパク質接合体。
【請求項37】
前記活性化水溶性ポリマーは、NHS−PEGである、請求項29に記載のタンパク質接合体。
【請求項38】
前記反応緩衝液は、約6.5〜約8.5のpHである、請求項29に記載のタンパク質接合体。
【請求項39】
前記反応緩衝液は、約7.0のpHである、請求項38に記載のタンパク質接合体。
【請求項40】
前記反応緩衝液は、約7.0のpHである、請求項33に記載のタンパク質接合体。
【請求項41】
前記反応緩衝液は、約1:約5〜約1:約60のエリスロポエチンタンパク質対活性化水溶性ポリマーのモル比を含む、請求項29に記載のタンパク質接合体。
【請求項42】
前記反応緩衝液は、約1:約7のタンパク質対活性化水溶性ポリマーのモル比を含む、請求項41に記載のタンパク質接合体。
【請求項43】
前記接合体は、少なくとも1つの群のタンパク質接合体を含み、各タンパク質は少なくとも1つのポリエチレングリコール分子に共有結合している、請求項29に記載のタンパク質接合体。
【請求項44】
前記少なくとも1つの群のタンパク質接合体は第1群および第2群であり、前記第1群のタンパク質接合体は1つのポリエチレングリコール分子に共有結合し、前記第2群のタンパク質接合体は2つのポリエチレングリコール分子に共有結合している、請求項43に記載のタンパク質接合体。
【請求項45】
前記第1群対前記第2群の前記比率は、約1未満〜約100、約10〜約90、約20〜約80、約30〜約70、約40〜約60、約50〜約50、約60〜約40、約70〜約30、約80〜約20、約90〜約10、または約100〜約1未満である、請求項44に記載のタンパク質接合体。
【請求項46】
前記接合体は、−20℃または4℃で担体タンパク質が含まれていない医薬製剤中での少なくとも11カ月間にわたる保管後に、エリスロポエチン活性のBCAタンパク質アッセイまたはインビトロアッセイによって決定される安定性を保持する、請求項29に記載のタンパク質接合体。
【請求項47】
前記接合体は、25℃または37℃で担体タンパク質が含まれていない医薬製剤中での少なくとも12週間にわたる保管後に、エリスロポエチン活性のBCAタンパク質アッセイまたはインビトロアッセイによって決定される安定性を保持する、請求項29に記載のタンパク質接合体。
【請求項48】
エリスロポエチン活性の前記インビトロアッセイは、赤血球系細胞への幹細胞分化の誘導である、請求項46または47に記載のタンパク質接合体。
【請求項49】
赤血球産生を必要とする患者における赤血球産生を増加させる方法であって、前記患者に、
a.治療有効量の複数のエリスロポエチン接合体であって、前記接合体の各々は1つまたは2つのポリエチレン分子に共有結合しているエリスロポエチンタンパク質を含み、前記複数のエリスロポエチン接合体は前記タンパク質の前記アミノ末端において前記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの接合体を含み、前記アミノ末端における共有結合はアルデヒド結合を経由していない、複数のエリスロポエチン接合体、
b.薬学的に許容される担体
を投与する工程を含む、方法。
【請求項50】
前記アミノ末端における前記共有結合は、カルバメート結合を経由する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記複数のエリスロポエチン接合体は、リシン116において前記1つまたは2つの共有結合のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの接合体を含む、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
前記複数のエリスロポエチン接合体は、−20℃または4℃で担体タンパク質が含まれていない医薬製剤中での少なくとも11カ月間にわたる保管後に、エリスロポエチン活性のBCAタンパク質アッセイまたはインビトロアッセイによって決定される安定性を保持する、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記複数のエリスロポエチン接合体は、25℃または37℃で担体タンパク質が含まれていない医薬製剤中での少なくとも12週間にわたる保管後に、エリスロポエチン活性のBCAタンパク質アッセイまたはインビトロアッセイによって決定される安定性を保持する、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
エリスロポエチン活性の前記インビトロアッセイは、赤血球系細胞への幹細胞分化の誘導である、請求項52または53に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−79258(P2013−79258A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−267283(P2012−267283)
【出願日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【分割の表示】特願2009−522923(P2009−522923)の分割
【原出願日】平成19年7月16日(2007.7.16)
【出願人】(509033882)プロロング ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】