説明

修飾されたビヒクルを含む医薬組成物

組成物であって、以下の:(a)1つ〜3つの生理活性物質;並びに(b)以下の:(i)修飾された液体担体、及び(ii)非修飾液体担体を含むビヒクルを含み、ここで、修飾された液体担体の非修飾液体担体に対する容積比が0.00001:99.99999〜0.01:99.99未満であり、それにより該組成物は予測可能な徐放特性を提供され、そしてここで、上記組成物の製造直後に、上記1つ〜3つの生理活性物質が宿主に対して徐々に放出されるように、該組成物が宿主に投与されることができる、上記組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.技術分野
本発明は、医薬組成物に関する。より具体的には、(i)修飾された液体担体及び(ii)非修飾担体を含む、薬剤として許容可能なビヒクルであって、ここで、修飾された液体担体の本質的に酸化不可能な担体に対する容積比が0.00001:99.99999〜0.01:99.99未満であって、該組成物に予測可能な徐放特性を与える上記ビヒクルの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
薬剤の分野においては、薬物送達は、薬物活性と同様に重要な要素である。インビトロの明らかな活性を有する多くの薬物又は生理活性物質が、製造、貯蔵、または十分な時間にわたって有効濃度の生理活性物質を作用部位に送達することの不可能性によって臨床段階で失敗している。
【0003】
生理活性物質の安定な貯蔵及び有効な送達プロファイルのためのビヒクルは大いに有用である。当業者は、貯蔵安定性及び有効な送達プロファイルが、ある程度、生理活性物質、該生理活性物質が投与される条件、及び対象に現れている症状に特異的であることを理解するであろう。
【0004】
徐放性の又は油ベースの製剤は、その教示が本明細書中に参考文献として援用されている、PCT国際特許出願公開第WO97/49402号(Vlaminck);同第WO94/00105号(Sabater);米国特許第US4,297,353号(Hawkins);同第5,019,395号(Mahjour);同第5,739,159号(Wolf);同第5,162,057号(Akiyama);PCT国際特許出願公開第WO96/20698号(Levy)において考察されている。動物の耳の中への抗生物質の皮下投与に関するPCT国際特許出願公開第WO98/41207号(Brown)も、参考文献として援用されている。
【0005】
米国特許第5,721,359号は、セフチオフル結晶性遊離酸(CCFA)分子を開示し、これは、哺乳動物、特に(ウシ、ヒツジ、ヤギ及びブタなどの)食用動物における使用を意図されるセファロスポリン抗生物質である。該特許は、CCFAの油懸濁液が、該油が植物油である場合に、食用動物への投与のために製造されうることを示唆する。該特許中で開示された油はそれらの天然の形態で使用されることを意図される。この分子の他の抗生物質、特にセフチオフル系のものに対する利点は、それが徐放性医薬組成物を製造するために使用可能であることである。しかしながら、米国特許第US5,721,359号中に記載された製剤の徐放性プロファイルは、容易に予測できるものではなく、天然の植物油を使用する製造直後の製品における活性薬物の放出に関して再現性のあるものではない。米国特許出願第2002/0110561号は、徐放性製剤であって、以下の:a)修飾された液体担体;及びb)本質的に酸化不可能な担体を含み、ここで、修飾された液体担体の本質的に酸化不可能な担体に対する容積比が、0.01:99.99〜90:10の間であって、組成物に予測可能な徐放特性を与える上記製剤を開示する。
【0006】
上記の教示にもかかわらず、本分野においては、生理活性物質の徐放性の送達を提供し、ここで、該放出特性が予測可能であり、且つ該製品の製造直後に再現可能である、医薬組成物がなお必要とされている。
【発明の開示】
【0007】
発明の簡単な要約
驚くべきことに、我々は、以下の:
(a)1つ〜3つの生理活性物質;及び
(b)以下の:(i)修飾された液体担体、及び(ii)非修飾液体担体を含むビヒクル、を含む組成物が、修飾された液体担体の非修飾液体担体に対する容積比が0.00001:99.99999という低い値である場合に、所望の放出性能特性を提供することを発見した。したがって、本発明は、生理活性成分に徐放性を提供する新規医薬組成物を提供し、そしてここで、該放出性能は、製品の製造直後に予測可能である。より具体的には、予測可能な性能は、酸化不可能な担体に対して非常に低い比率で修飾された液体担体を使用することによって得られる。
【0008】
本発明の1つの実施態様は、以下の:
(a)1つ〜3つの生理活性物質;並びに
(b)以下の:
(i)修飾された液体担体、及び
(ii)非修飾液体担体、
を含むビヒクル、
を含み、ここで、修飾された液体担体の非修飾液体担体に対する容積比が0.00001:99.99999〜0.01:99.99未満であり、そして、該組成物の製造直後に、1つ〜3つの生理活性物質が徐々に放出されるように、上記組成物が宿主に投与されることができる、医薬組成物を提供する。
【0009】
他の実施態様においては、上記生理活性物質はCCFAであり、上記ビヒクルの上記修飾された液体担体は、修飾された綿実油のような修飾された不飽和油であり、上記非修飾液体担体は、飽和ココナツオイルのような天然の完全飽和油である。
【0010】
本発明の更なる実施態様は、以下のステップ:液体担体を修飾すること、及び上記修飾された液体担体を非修飾液体担体と併合して、ビヒクルを提供することを含む、医薬組成物の製造方法を提供する。上記ビヒクルはその後、生理活性物質と併合されて医薬組成物を提供する。この方法によれば、上記不飽和油は化学的、物理的又は機械的手段或いはそれらの組み合わせの使用によって修飾されて、その本来の又は非修飾の形態に比べてより高いレベルの酸化物を含む担体を生成する。上記方法の1つの実施態様は、加熱及びガンマ線照射の組み合わせの使用を含む。さらに、この方法の修飾ステップは、併合ステップの前、後、又は前と後の両方において行われることができる。
【0011】
本発明のより具体的な側面は、以下のステップ:
(a)天然の綿実油又はトリリノレインを、空気の存在下で加熱してその酸化物を増加させ、そして修飾された綿実油を得ること;
(b)上記修飾された油を飽和ココナツオイル又は飽和ココナツオイル製品と併合して、担体ビヒクルを得ること、ここで、上記修飾された油の飽和ココナツオイルに対する容積比は、0.00001:99.99999〜0.01:99.99未満であり;
(c)セフチオフル結晶性遊離酸を上記担体ビヒクルに添加すること;そしてその後、場合により、
(d)上記医薬組成物を加熱すること;
(e)上記組成物を冷却すること;
(f)1つ以上のバイアルに上記組成物を充填すること;及び
(g)上記1以上のバイアルをガンマ線照射に露出すること
を含む。
【0012】
0.01:99.99未満の、修飾された担体の酸化不可能な担体に対する容積比の非制限的な例は、0.0095:99.9905、0.0090:99.9910及び0.001:99.999である。
【0013】
本発明のさらなる実施態様は、治療を必要とする動物の医学的治療における使用のための本発明の組成物を提供する。
【0014】
本発明のさらなる実施態様は、ヒトを含む動物の病気を治療又は予防するための医薬の製造のための本発明の組成物の使用を提供する。
【0015】
本発明の他の実施態様は、そのような治療を必要とする動物に、本発明の組成物の有効量を投与することを含む、病気の治療又は予防方法を提供する。本発明の1つの側面は、食用動物を含む動物の細菌感染の本発明のCCFA組成物による治療である。
【0016】
本発明の対象は、生理活性物質の徐放を提供する新規組成物を提供することである。
【0017】
さらに他の本発明の対象は、生理活性物質の徐放を提供する新規組成物の製造方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる対象は、そのような治療を必要とする動物における病気又は状態の治療方法を提供することである。
【0019】
これらのそして他の対象は、好ましい実施態様の詳細な説明及び図面を参照することによって、当業者に容易に明らかとなるであろう。
【0020】
発明の詳細な説明
好ましい実施態様を説明するにあたって、明確性のために、ある用語法が使用される。そのような用語法は、記載された実施態様、並びに同様の結果を達成するための同様の目的のための同様のやり方で実施されるすべての同等の技術を包含することを意図される。
【0021】
1.用語法の定義
本発明は、以下の定義を参照することによってよりよく理解されるであろう。
【0022】
「生理活性物質」は、医薬、免疫原性及び(アジュバントを含む)免疫調節性組成物、リポソームのようなベクター及びプラスミド、ウイルスのような生きたベクター、胞子、栄養補給剤、並びに細菌そしてそれらの混合物を意味すると広く理解されるべきである。これらは、栄養補給剤、(抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤などの)抗感染薬、(シスプラチン化合物のような抗癌剤などの)抗腫瘍剤、(抗ヒスタミン剤、免疫賦活剤、及び免疫抑制剤などの)免疫調節剤、下剤、ビタミン、うっ血除去薬、胃腸鎮静剤、制酸剤、抗炎症性物質、抗躁薬、(心臓、脳及び末梢の)血管拡張剤、向精神薬、麻薬、賦活薬、止瀉剤、狭心症薬、鎮痛薬、鎮痛解熱薬、催眠薬、鎮静剤、制吐剤、成長促進剤、抗催吐剤、抗痙攣薬、神経筋薬、高血糖剤及び低血糖剤、甲状腺および抗甲状腺剤、利尿薬、細胞毒性化合物、鎮痙薬、抗関節炎薬、子宮弛緩剤、抗肥満薬、駆虫薬、ホルモン、ワクチン、ミネラル並びに栄養補助剤、この列挙において開示されないCNS剤そしていかなるそれらの混合物も含む。特別に好ましい生理活性物質は、セフチオフル結晶性遊離酸(CCFA)を含むセフチオフル、(シスプラチンなどの)プラチナ化合物、イブプロフェン、ピロキシカム、1‐[2‐(4‐フルオロベンゾイル)アミノエチル]‐4‐(7‐メトキシナフチル)ピペラジンハイドロクロライド(FAMP)、カンプトテシン、パクリタキセル、フルシトシン、(コキシブ及びクロメンなどの)シクロオキシゲナーゼ‐II阻害剤、並びにキニンを含むがこれらに限定されない。
【0023】
生理活性物質に関して使用される「持続性の送達又は徐放」は、生理活性物質の量が、延長された期間にわたって活性物質の治療的有効量を超える血中濃度で患者の血中に残存するような、生理活性物質の持続的放出又は分配を意味する。所望の有効な徐放性血中レベルが、生理活性物質、治療される病気、患者などによって異なることは、当業者に知られていると考えられ、そして日常の実験によって決定されることができる。例えば、生理活性物質がセフチオフル結晶性遊離酸(CCFA)である場合、有効な治療のための患者血漿中の所望のセフチオフル代謝物レベルは、約0.2μg/ml以上に維持される必要がある。本発明の1の実施態様において、単一用量の徐放性ビヒクル/CCFAは、血漿中のセフチオフル代謝物レベルを、投与後少なくとも3日間、好ましくは4〜5日間、約0.2μg/ml以上に維持する。本明細書中で使用される「持続性の送達」は、特異的には、濃度対時間のプロファイルが3つの異なる相(すなわち、濃度増加相、プラトー相および濃度減少相)を有することを必要とする同じ用語についての規定的定義と一致する。本明細書中で使用される「持続性の送達」という用語が上記の規定的定義を包含する一方、本明細書中で定義されるような持続性の送達の組成物は3つの異なる相を有する必要がないため(例えば、該組成物は、濃度増加相および延長された濃度減少相を有することができる)、これに限定されることを意図されるものではない。
【0024】
「修飾のために好適な不飽和油」は、不飽和トリグリセリド脂肪および油を含み、植物、動物、海産生物および合成的供給源に由来するものを含む。修飾のために好適な、不飽和炭化水素側鎖を有する液体担体の例は、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、ゴマ油、ピーナツ油、および大豆油のような天然の油を含むが、これらに限定されない。例えば、綿実油は、70%不飽和の脂肪酸の調製物(Sigma, St. Louis, MO)として入手可能である。修飾のために好適な液体担体であることのできる合成油は、グリセリド、又は6〜24個の炭素原子を有する不飽和脂肪酸のプロピレングリコールジ−エステルを含む。不飽和カルボン酸の例は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などを含む。グリセリドビヒクルが脂肪酸のモノ‐、ジ‐、又はトリグリセリルエステル又は混合グリセリドおよび/又はグリセロールの少なくとも1つの水酸基が多様な長さの炭素鎖の脂肪酸とエステル化された、プロピレングリコールジ‐エステルを含むことができることは、理解される。トリ‐不飽和トリグリセリルエステルの例は、トリオレインおよびトリリノレインである。ジ‐飽和‐モノ‐不飽和からは以下の:オレオジ‐飽和は、1,2−ジパルミトイル‐3‐オレオイル‐rac‐グリセロール又は1,3‐ジパルミトイル‐2‐オレオイル‐rac‐グリセロールおよび1,3‐ジパルミトイル‐2‐リノレオイル‐rac‐グリセロールである。トリグリセリドのさらなる例は、以下のモノ‐飽和‐ジ‐不飽和エステルであり:モノ‐飽和‐オレオリノレインエステルは、1‐パルミトイル‐2‐オレオイル‐3‐リノレオイル‐rac‐グリセロールおよび1‐リノレオイル‐2‐オレオイル‐3‐ステアロイル‐rac‐グリセロール、モノ‐飽和‐ジリノレインは、1,2‐ジリノレオイル‐3‐パルミトイル‐rac‐グリセロールである。ジグリセリルエステルの例は、以下の:ジ‐不飽和エステルは1,2‐ジオレイン又は1,3‐ジオイレイン、1,2‐ジリノレイン又は1,3‐ジリノレイン、および1,2‐ジリノレニン又は1,3‐ジリノレニンであり、飽和ジ‐飽和エステルは、1,2‐ジパルミチン又は1,3‐パルミチン、1,2‐ジステアリン又は1,3‐ジステアリン、および1,2‐ジデカノイン又は1,3‐ジデカノインである。
【0025】
飽和−不飽和ジグリセリルエステルの非制限的な例は、トリ‐飽和エステルであるトリパルミチン、トリステアリン、およびトリデカノイン、1‐パルミトイル‐2‐オレオイル‐グリセロール又は1‐オレオイル‐2‐パルミトイル‐グリセロール、1‐パルミトイル‐2‐リノレオイル‐グリセロール又は1‐リノレオイル‐2‐パルミトイル‐グリセロールを含む。モノグリセリルエステルの非制限的な例は、以下の:不飽和エステル、1‐オレイン又は2‐オレイン、1‐リノレイン又は2‐リノレインおよび1‐リノレニン又は2‐リノレニンを含む。ポリエチレングリコール(PEG)不飽和ジ‐エステルの非制限的な例は、1,2‐ジオレイン又は1,3‐ジオレイン、1,2‐ジリノレイン又は1,3‐ジリノレインおよび1,2‐ジリノレニン又は1,3‐ジリノレニンを含む。飽和−不飽和ジグリセリルエステルからは、以下の:1‐パルミトイル‐2‐オレオイル‐グリセロール又は1‐オレオイル‐2‐パルミトイル‐グリセロール、1‐パルミトイル‐2‐リノレオイル‐グリセロールおよび1‐リノレオイル‐2‐パルミトイル‐グリセロールがある。
【0026】
非修飾液体担体は、修飾されていない修飾に好適な不飽和油又は本質的に酸化不可能な担体であることができる。本質的に酸化不可能な担体の例は、中鎖又は長鎖飽和脂肪酸のエステル(例えば、約C6〜約C24の鎖長の飽和脂肪酸トリグリセリド)を含むがこれらに限定されない。飽和の、本質的に酸化不可能な油の非制限的な例は、ヘキサン酸、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、エイコサン酸、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸、およびリグノセリン酸のような、炭素数6〜24の飽和脂肪酸のグリセロール又はプロピレングリコールエステルを含む。いくつかの実施態様においては、Hulsから商標MIGLYOLの下に、商品名810、812、829、および840で販売されているものを含む、(ココナツ油、パーム油、ババス油などの)天然油から得られた約C8〜約C12の飽和脂肪酸中鎖トリグリセリド(MCT)が有用である。Drew ChemicalsからはNeoBeeRTM製品が販売されている。ミリスチン酸イソプロピルは、本発明の酸化不可能なビヒクルの他の例である。ポリエチレングリコール(PEG)飽和ジ‐エステルの非制限的な例は、1,2‐ジパルミチン又は1,3‐ジパルミチン、1,2‐ジステアリン又は1,3‐ジステアリン、および1,2‐ジデカノイン又は1,3‐ジデカノインを含む。
【0027】
本発明のビヒクルに関し、そして請求項において使用される「修飾された」又は「修飾」は、不飽和ビヒクルであって、物理的、化学的又は機械的手段によって、修飾されたビヒクルが、そのもとの(又は合成液体担体の場合には「非修飾の」)形態に比較して増加したレベルの酸化物を有するように、変更されたものであると理解されなければならない。修飾は、酸素源の存在下で熱修飾、(光、紫外線、赤外線、ガンマ線、X線又はマイクロ波照射などの)エネルギー源の照射及び/又はエネルギー源への露出、触媒(すなわち、t‐ブチルペルオキサイド)の添加、特別なトリグリセリド及びそれらのヒドロペルオキシドの取り込み、ポリマー種の取り込み、架橋剤又は重合剤の取り込み、酸化法又はその組み合わせによって達成されることができる。好適な酸素源は、空気、酸素、有機又は無機ペルオキシドなどを含むが、これらに限定されない。これらのステップは、薬物のビヒクルへの添加の前または後、或いは薬物のビヒクルへの添加の前と後の両方において行われることができる。
【0028】
「実質的に過酸化された不飽和油ビヒクル」は、0.1及び600の間、いくつかの実施態様においては10、20、40又は80、或いはその間のいずれかの値である過酸化物価を有する修飾された液体担体を示す。本明細書中で使用されるとおり、過酸化物価は、1000グラムの油サンプルあたりのミリ当量(mEq)で表される。過酸化物価は、その教示が本明細書中に参考文献として援用されている、American Oil Chemist's Society (AOCS)(公式法Cd8-53)(Official Monographs, Soybean Oil, page 1434)の手動滴定法によって便利に測定される。
【0029】
2.発明
本発明は、以下の:
(a)1つ〜3つの生理活性物質;
(b)修飾された液体担体;及び
(c)本質的に酸化不可能な担体;
を含む組成物を含み、ここで、修飾された液体担体の本質的に酸化不可能な担体に対する容積比が、0.00001:99.99999〜0.01:99.99(v/v)未満であり、またここで、該組成物の製造直後に上記組成物が宿主に投与されて、1つ〜3つの生理活性物質の徐放を宿主に提供する。
【0030】
製造直後に徐放能力を提供し、その放出プロファイルを実質的な貯蔵期間中に維持する剤形及びその製造方法を同定することは、実質的に有益なものである。本発明においては、加工によって徐放性製剤を得る、製造ステップの組み合わせ及びビヒクル組成物が定義される。すべての実施態様において、主要な特徴は、担体ビヒクルの一部分が、生理活性物質との併合の前、後、又は前後において修飾されることである。
【0031】
使用される生理活性物質は上記のように定義される。好ましい生理活性物質は、細菌に感染した価値のある哺乳動物及びヒトの治療のための医薬剤形中の抗生剤薬物化合物として有用なセフチオフル結晶性遊離酸(CCFA)である。特別な実施態様においては、徐放性セフチオフル遊離酸は、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、家禽及びネコのような動物を治療するための獣医学の抗生剤薬物として有用である。そのような治療は、パスツレラ・ヘモリティカ(マンハイミア種)(Pasteurella haemolytica(Mannheimia Spp.))、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、サルモネラ・コレラエスイス(Salmonella choleraesuis)、アクチノバシラス・プルロニューモニエ(Actinobacilus pleuropneumoniae)、ストレプトコッカス・スイス(Streptococcus suis)、ストレプトコッカス・エクイ(ズーエピデミカス)(Streptococcus equi(zooepidemicus))、及び他のストレプトコッカス細菌、ヘモフィラス・ソムナス(Haemophilus somnus)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)などのような感受性のある生物体によって引き起こされる細菌感染、並びにフソバクテリウム・ネクロフォーラム(Fusobacterium necrophorum)のような適用可能な嫌気性細菌の感染の結果と戦う。これらのタイプの感染は、一般的に腐蹄疫、ウシの呼吸器病、及びブタの呼吸器病のような動物の病気と関連している。
【0032】
1つの実施例において、修飾された不飽和油は修飾された綿実油を含み、そして酸化不可能なビヒクルは飽和ココナツ油又は(MIGLYOL812などの)飽和ココナツ油製品を含む。天然の綿実油が酸素の存在下で加熱された結果としてより高レベルの酸化物を含む、いわゆる「誘導体化」綿実油は、修飾された綿実油の一つのタイプであるとして、特別に考察される。生理活性物質がCCFAである場合、組成物中のCCFAの濃度が50mg/ml〜250mg/mlの範囲内であり、そして通常100mg/ml〜200mg/mlの範囲にあるように、この実施例のビヒクルと併合されることが好ましい。他の実施例においては、修飾された油は、トリリノレインから製造される。
【0033】
図1は、この実施態様の徐放性製品を製造するための有用な加工スキームを表す。天然の(非修飾の)綿実油が混合槽に添加され、それはその後、過酸化物価を増加させるために加熱され、空気でパージされる。綿実油はその後冷却され、窒素でパージされる。この時点での綿実油は、修飾された綿実油と考えられる。そして、好適な容積の修飾された綿実油が好適な容積の飽和ココナツ油または飽和ココナツ油製品、例えばMiglyol 812、と混合されて、修飾された担体の非修飾担体に対する比が、0.00001:99.99999〜0.01:99.99未満であるビヒクルを生じる。生理活性物質、例えばCCFA、はビヒクルに添加され、混合物は窒素でパージされる。パージされた混合物は加熱され、加工中におけるアッセイ手順を用いて薬物放出速度がモニターされ、いつ所望の放出速度が達成されたかが決定される。この時点で加熱は終了し、混合物は冷却され、バイアルに充填され、最後にガンマ線照射によって滅菌され、そして最終的な仕様に従う。
【0034】
他の実施態様の徐放性製剤が、開示された方法中の別の経路によって達成されうることもさらに考察される。例えば、そのような1つの方法において、薬物は非修飾不飽和油及び本質的に酸化不可能な油の混合物に添加され、そしてすぐに最終的な照射を受けて、不飽和油を修飾し、徐放性特性を有するビヒクルを生じる。他の方法では、該方法は充填後に、最終的な滅菌なしに終了する。PEG400のような修飾された油以外の物質、及びMiglyol812のような本質的に酸化不可能な油の混合物からなる実施態様においては、該薬物/PEG-400/Miglyol812混合物は窒素でパージされ、加熱、冷却、そして充填される。各プロトコールにおいて徐放特性を有する組成物を得るために、すべての加工ステップが必要ではないことは本発明の重要な側面である。しかしながら、本発明によれば、なんらかのタイプの化学的、物理的、又は機械的修飾又はそれらのいずれかの組み合わせが必要である。
【0035】
本発明にかかるビヒクルに加えて、本発明の組成物は、慣用の賦形剤、すなわち、腸管外、腸内(たとえば、経口又は吸入)或いは局所適用のための薬剤として許容可能な有機又は無機担体物質であって活性組成物と有害な作用を起こさないもの、と混合されて使用可能である。好適な薬剤として許容可能な担体は、水、塩溶液、アルコール、アラビアゴム、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース又はでんぷんのような炭水化物、ステアリン酸マグネシウム、タルク、珪酸、粘性パラフィン、香料油、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどを含むが、これらに限定されない。医薬製剤は、滅菌可能であり、所望により、潤滑剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝剤、着色剤、フレーバー剤及び/または芳香剤などの、活性組成物と有害な作用を起こさない補助剤と混合される。それらはまた、所望によりビタミンなどの他の活性物質と併合されることもできる。特別な実施態様において、液体担体はさらに、蜜蝋、ハードパラフィン又はセチルアルコールなどのシックナー剤を含むことができる。任意の添加剤としてはベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、粘性パラフィン、香料油、及び脂肪酸エステルがあることも注記される。
【0036】
本発明の組成物はヒト及び獣医学の薬剤のために有用である。より特別には、本発明の組成物は、ヒト、食用動物又はペットの治療に使用されることができる。これは、以下の:ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、及びシカなどの食用動物;ウマ、ネコ及びイヌのようなペット;家禽;又はヒトを含むが、これらに限定されない。投与される本発明の組成物の量は、患者に毒性の問題を起こさずに、病気を治療又は予防するのに必要な治療的利益を提供するための量及び持続期間で生理活性物質を送達するであろう量である。選択される特別な量は、当業者の通常の能力の範囲内にあるとみなされる。例えば、CCFAが生理活性物質として選択される場合、それは約0.5〜約10.0mg/CCFA/患者のkg体重、好ましくはウシについては約4.4〜6.6mg/kg、そしてブタについては5.0〜7.5mg/kgの範囲を含む、筋肉内又は皮下投与のための剤形単位で投与される。完全を期すために必要な用量は、本明細書に参考文献として援用されている米国特許第US5,721,359号、及び同第US6,074,657号中に記載されたとおりである。
【0037】
組成物の投与は、慢性、急性又は中間の治療計画を含み、そして液体の投与が可能ないずれの様式も選択され得ると考えられる。本発明の組成物は、(皮下、乳房内、静脈内、腹腔内、筋肉内注射によって)腸管外投与されることができ、(表面の治療、経皮適用及び鼻腔内適用を含むがこれらに限定されない)局所的に、経膣的に、経口的に、又は直腸内に投与されることができる。
【0038】
経口の治療剤投与のためには、組成物はカプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、などの形態で投与されることができる。そのような組成物及び製剤は、典型的には、少なくとも0.1%の活性化合物を含むべきである。組成物及び製剤のパーセンテージは、もちろん、可変であり、都合のよいように所定の剤形単位の重量の2〜約60%の間であることができる。そのような治療的に有用な組成物中の活性化合物の量は、有効用量レベルが得られるようなものである。シロップ又はエリキシルは、活性化合物、甘味剤としてのシュークロース又はフルクトース、保存剤としてのメチル及びプロピルパラベン、着色料並びにチェリー又はオレンジフレーバーなどのフレーバー剤を含むことができる。
【0039】
もちろん、いかなる剤形単位を製造するために使用されるいかなる物質も薬剤として許容可能であり、使用される量において実質的に無毒であるべきである。
【0040】
腸管外投与のためには、組成物は静脈内又は腹腔内に、輸注又は注射によって投与可能である。CCFAが生理活性物質である場合の1つの実施態様において、米国特許第US6,074,657号による耳の皮下注射は、適切な投与様式である。筋肉内、乳房内及び一般的皮下投与もまた、特別に考察される。
【0041】
局所投与のためには、組成物は(例えば、目の病気又は感染を治療するための)滴下剤の形態、又は皮膚への適用のための塗布可能なペースト、ゲル、軟膏、石鹸、などの形態で適用されることができる。得られた液体組成物は、さらに絆創膏及び他の包帯剤を含浸するために使用される吸収パッド又は坐剤から適用されることができ、或いはポンプタイプスプレー又はエアロゾルスプレーを使用して患部にスプレーされることができる。
【0042】
特別な場合において、活性組成物の実際に好ましい量が、利用される特別な組成物、製剤される特別な組成物、適用の様式、及び治療される特別な部位及び生物体によって変動することは理解されるであろう。所定の宿主のための用量は、対象の組成物及び既知の作用物質の差別的な作用の、適切な慣用の薬理学的プロトコールによる慣例的な比較などによる慣用の考察を用いて決定されることができる。
【0043】
本発明の重要な側面は、担体ビヒクルの修飾を行うことによって、生理活性物質のインビボでの性能が完全に制御され、予測可能であることである。したがって、生理活性物質のインビボでの性能は、製造時から何ヶ月もの貯蔵期間にわたって類似している。例えば、製造の30日、60日、90日、180日、360日又は720日後にインビボ投与された生理活性物質の性能は、製造直後のものに匹敵する。
【実施例】
【0044】
本発明は以下の非制限的な実施例中にさらに記載される。
【0045】
実施例1:修飾された綿実油の製造
実質的に過酸化された不飽和油を天然の綿実油から製造する。天然の綿実油を加熱のための蒸気ジャケットを有する容器に加える。ジャケットに蒸気を適用し、該油を85℃と110℃の間に加熱する。振とうしながら、油に空気をあわ立たせて通す。空気の流速は標準状態で約1立方フィート毎時(SCFH)/リッター〜20SCFH/リッターの間で異なる。振とうは、油の温度が加熱中に一定のままであるようにする。油は、米国薬局方(1870ページのUSP24NF19)の方法またはAOCS法8−53によって測定された過酸化物価を達成するのに必要な時間および温度で加熱され、ことなる容器に移され、そして窒素条件下で貯蔵される。約10の過酸化物価を達成するためには、約89℃の温度で約9時間、油を加熱し;約100℃において油を約3時間加熱し、;約105℃で約2.3時間油を加熱する。約40の過酸化物価を達成するためには、約100℃の温度で約6.75時間、油を加熱し、そして約105℃で油を約5.5時間加熱する。約80の過酸化物価を達成するためには、約105℃で油を約8時間加熱する。その過酸化物価に比較した時間及び油の温度の関係は、直線的であり、当業者は加工のために選ばれた時間および温度に依存する所望の過酸化物価を達成することができる。
【0046】
実施例2:放出特性の分析
以下の実施例において、セフチオフル徐放性組成物の徐放特性の測定法が記載される。該方法は、図2に例解されるようにインビトロの結果とインビボの血中レベルとを相関させることが示された。図2においては、製剤の活性成分(セフチオフル)の放出がインビボの血中レベルと比較される。
【0047】
本発明の組成物のインビトロの試験
a)一般的溶解法
装置:
プラットフォームシェーカー: Eberbachから商業的に入手可能な往復振とう機モデル5850、名目上の振幅はおよそ2.54cm、振とう数200サイクル/分。バイアルは水平位置にありそして振とう方向に対して平行に整列した。プラットフォームシェーカーを適切に制御された温度環境(例えば、22℃)に維持する。
バイアル: 40mL(EPAタイプ)Teflon張りのねじ口栓。Qorpakから商業的に入手可能(部品番号7588T)。
プラスチックシリンジ: BDディスポーザブル10mLプラスチックシリンジ又は同等のもの。
フィルター: Acrodisk0.2ミクロン(部品番号4496)。
【0048】
薬物放出実験は、溶解媒体として、31.98グラムのリン酸一カリウム及び15.39グラムのリン酸二カリウムを脱イオン水に加えそして1000mLに希釈し、そして脱イオン水で再び10倍に希釈する(すなわち、100mLの原緩衝液を脱イオン水で1000mLにする)ことによって調製した0.05モルpH6.5リン酸緩衝液を使用する。
【0049】
b)方法:
溶解試験のための適切な量(例えば、30〜70mg)の組成物を空の40mLバイアルに入れる。適切な温度(例えば、22℃)で平衡化する。溶解媒体を適切な温度(例えば、22℃)で平衡化する。適切な容積(例えば、30mL)の溶解媒体を溶解試験のためのサンプルを含むバイアルに加える。すべてのサンプルについて繰り返す。この過程を約2〜3分以内で完了する。振とうを開始する。
【0050】
所定の時点(例えば、30分又は60分)において、サンプルを定量分析のために取り出す。必要に応じてろ過する。定量分析に進む。
【0051】
c)一般的な定量分析方法
特記しない限り、以下の一般的方法に従う。
装置: 均一溶媒を用いる操作が可能なHPLC(例えば、Agilent Technologiesから商業的に入手可能なAgilent 1100)。
検出器: 254nmにおけるUV−可視光検出器(例えば、Agilent Technologies から商業的に入手可能なDiode アレイディテクター、検出波長:254nm)。
カラム: Waters Corporationから商業的に入手可能なWaters Symmetry C8、3.9×50mm。
注入容積: 10μl
流速: 1〜2ml/分
圧力: 3000psi
移動相: 3.85gの酢酸アンモニウム、13.5mlの40%水酸化テトラブチルアンモニウムをMilli-Q水に溶解して総容積700mlとした。pHを6.7±0.1に氷酢酸を用いて調節した。その後、溶液を0.45μmメンブレンフィルターを通してろ過した。ろ過後、200mlのメタノール及び110mlのテトラヒドロフランを加え、そして混合物を真空下で超音波処理して脱気する。
【0052】
d)分析物の放出量の計算
各時間点において放出された分析物(例えば、セフチオフル)の量は、以下の式にしたがって計算することができる。
【数1】

【0053】
ここで、
Wstdは、mgで表した標準製剤の重量
Pは、セフチオフル遊離酸である対照標準の純度
Rstdは、標準製剤のピーク面積
DISVOLは、mLで表した溶解液の容積(30)
WSVOLは、mLで表した、較正標準の容積(10)
Rsamは、サンプル製剤のピーク面積
Wsamは、mgで表したサンプル懸濁液の重量
1000は、サンプル重量をmgからグラムへ換算する変換係数
【0054】
本発明の組成物のインビボ試験
ウシ呼吸器病又は趾間部の嫌気性細菌感染に罹ったウシに、CCFAの投与レベルが約4.4〜約6.6mgCCFA/kg動物体重の間になるように、実施例1〜8のいずれかの組成物を注射する。米国特許第6,074,657号に記載のとおり、投与は首への皮下注射又は耳への皮下注射による。有効なCCFA代謝物のウシの血漿中濃度は、投与の1時間以内で少なくとも0.2μg/mlまで上昇し、このレベル以上で少なくとも80〜約140時間持続する。1回のみのCCFA投与が治療計画のために必要とされる。
【0055】
インビトロ及びインビボでの徐放性の相関
インビボでの放出とインビトロの方法との評価において、異なるインビボ薬物動態特性を示す3つのロットのセフチオフル遊離酸懸濁液を使用した。これらのロットは異なるインビボ薬物動態特性をしめした。薬物動態特性における相違を、徐放効果の持続性の相違によって証明し、徐放効果の持続性は、一般的に「0.2mcg/mLを超える時間(time above 0.2mcg/mL)」と呼ばれるセフチオフルが動物の血流中に検出された時間数によって表される。インビトロの薬物放出結果と0.2mcg/mLを超える時間の相関を図2に示す。インビトロの結果を、60分(四角によって表されたデータ点)及び150分(三角によって表されたデータ点)の時点で取り出したサンプルについて示す。実線は、データにもっとも適合した最小二乗近似であり、インビトロでの放出量とインビボで観察された徐放効果の持続との間の逆相関を例解するために含めた。インビトロで所定の時間においてより多くのCCFAを放出したロットは、インビボでの徐放性の持続がより短かった。図2に見られるように、インビトロアッセイで60分あたり50及び70mg/グラム組成物の間の放出速度を示す組成物は、インビボでの徐放性を150時間よりも長い間提供する。
【0056】
【化1】

【0057】
実施例3:0.01%(0.0001部分)の綿実油(CSO)及び99.99%(0.9999部分)のMiglyol812を含むビヒクル中の100mg/mLCCFA製剤の製造
(i)担体ビヒクルを形成するために、容積で0.0001部分(0.3mL)のCSOを、容積で0.9999部分(2999.7mL)のMiglyol812と混合した。
(ii)重量で0.111部分のCCFAを加え、混合して、得られたCCFA濃度が100mg/mLとなるように、均一な懸濁液を形成した。
(iii)上記懸濁液を95℃で22.9時間加熱した。
(iv)上記懸濁液を容器に入れ、ガンマ線照射によって滅菌した。
【0058】
得られた製品は、100mg/mLの濃度の安定なCCFA徐放性製剤であり、インビトロの52.6mg/gmの徐放性を有する。
【0059】
実施例4:0.001%(0.00001部分)の綿実油及び99.999%(0.99999部分)のMiglyol812を含むビヒクル中の100mg/mLCCFA製剤の製造
(i)担体ビヒクルを形成するために、容積で0.00001部分(0.03mL)のCSOを、容積で0.99999部分(2999.97mL)のMiglyol812と混合した。
(ii)重量で0.111部分のCCFAを加え、混合して、得られたCCFA濃度が100mg/mLとなるように、均一な懸濁液を形成した。
(iii)上記懸濁液を95℃で22.6時間加熱した。
(iv)上記懸濁液を容器に入れ、ガンマ線照射によって滅菌した。
【0060】
得られた製品は、100mg/mLの濃度の安定なCCFA徐放性製剤であり、インビトロの52.0mg/gmの徐放性を有する。
【0061】
実施例5:0.0001%(0.000001部分)の綿実油及び99.9999%(0.999999部分)のMiglyol812を含むビヒクル中の100mg/mLCCFA製剤の製造
(i)担体ビヒクルを形成するために、容積で0.000001部分(0.003mL)のCSOを、容積で0.999999部分(2999.997mL)のMiglyol812と混合した。
(ii)重量で0.111部分のCCFAを加え、混合して、得られたCCFA濃度が100mg/mLとなるように、均一な懸濁液を形成した。
(iii)上記懸濁液を95℃で23.0時間加熱した。
(iv)上記懸濁液を容器に入れ、ガンマ線照射によって滅菌した。
【0062】
得られた製品は、100mg/mLの濃度の安定なCCFA徐放性製剤であり、インビトロの52.0mg/gmの徐放性を有する。
【0063】
実施例6:0.00000048部分のトリリノレイン及び0.99999952部分)のMiglyol812を含む、200mg/mLCCFA製剤の製造
(i)担体ビヒクルを形成するために、容積で0.00000048部分(0.0009mL)のトリリノレインを容積で0.99999952部分(1874.9991mL)のMiglyol812と混合する。
(ii)重量で0.22部分のCCFAを加え、1時間混合して、得られたCCFA濃度が200mg/mLとなるように、均一な懸濁液を形成する。
(iii)上記懸濁液を約85〜110℃で加熱し、冷却させる。
(iv)上記懸濁液を容器に入れ、ガンマ線照射によって滅菌する。
【0064】
得られた製品は、200mg/mLの濃度の安定なCCFA徐放性製剤である。
【0065】
本発明を詳細に説明したので、そしてその好ましい実施態様を参照することによって、添付した請求項の範囲から離れることなく、改変及び変形が可能であることは明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、本発明の組成物を製造するたのに使用されることのできる方法の工程図である。
【図2】図2は、インビトロ及びインビボの放出データの相関を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、以下の:
(a)1つ〜3つの生理活性物質;並びに
(b)以下の:
(i)修飾された液体担体、及び
(ii)非修飾液体担体、
を含むビヒクル、
を含み、ここで、上記修飾された液体担体の上記非修飾液体担体に対する容積比が0.00001:99.99999〜0.01:99.99未満であり、それにより該組成物は予測可能な徐放特性を提供され、そしてここで、前記組成物の製造直後に、上記1つ〜3つの生理活性物質が宿主に対して徐々に放出されるように、該組成物が宿主に投与されることができる、前記組成物。
【請求項2】
前記1つ〜3つの生理活性物質が、医薬、免疫原性、及び免疫調節性組成物、ベクター、ウイルス、胞子、栄養補給剤、並びに細菌そしてそれらの混合物から成る群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記生理活性物質がセフチオフル結晶性遊離酸を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ビヒクルが修飾された液体担体及び修飾に好適な修飾されていない不飽和油を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ビヒクルが修飾された油及び酸化不可能な油を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記修飾された液体担体が、修飾された植物油を含み、ここで、前記植物油がコーン油、ピーナツ油、ゴマ油、オリーブ油、パーム油、サフラワー油、大豆油、綿実油、菜種油、ヒマワリ油、及びそれらの混合物から成る群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記修飾された液体担体が修飾された綿実油を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記非修飾液体担体がココナツ油を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
セフチオフル結晶性遊離酸、修飾された綿実油及び飽和ココナツ油を含む、組成物。
【請求項10】
セフチオフル結晶性遊離酸、修飾されたトリリノレイン及び飽和ココナツ油を含む、組成物。
【請求項11】
修飾された綿実油の飽和ココナツ油に対する容積比が、0.00001:99.99999〜0.01:99.99未満の間である、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物中のセフチオフル結晶性遊離酸の濃度が、50mg/ml〜250mg/mlの範囲である、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物中のセフチオフル結晶性遊離酸の濃度が、約100mg/ml〜約200mg/mlの範囲である、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
以下のステップ:
液体ビヒクルを修飾すること;及び
前記修飾された液体ビヒクルを生理活性物質と併合すること、
を含む、医薬組成物の製造方法。
【請求項15】
以下のステップ:
(i)液体ビヒクルを修飾すること;及び
(ii)前記修飾された液体ビヒクルを生理活性物質と併合すること、
を含む方法によって製造された製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−514629(P2006−514629A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553024(P2004−553024)
【出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005234
【国際公開番号】WO2004/045646
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
TEFLON
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】