説明

充電支援システムおよび電動車両

【課題】 高齢者等、充電設定操作を上手くできない人であっても、安心して電動車両のバッテリ充電を行うことができるように支援する。
【解決手段】 充電設定操作が完了しないうちに充電ケーブル101が車両に接続されると、給電ECU10は車載装置20に対して充電設定情報の要求信号を送信する。車載装置20は、ドライバーが支援対象ドライバーである場合には、携帯端末30に充電設定情報の要求信号を送信する。これにより、第三者(家族)がドライバーに代わって携帯端末30を使って充電設定を行い、この充電設定情報が充電装置100の給電ECU10に送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両のバッテリを充電する際の充電設定を支援する充電支援システム、および、充電支援システムに適用される電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やプラグイン・ハイブリッド車といった電動車両の普及に伴って、電動車両のバッテリを充電するための充電施設も拡充されてきている。充電施設は、専用の充電スタンドだけでなく、コンビニエンスストア、ショッピングセンターなどの店舗や、娯楽施設等においても設けられ、駐車中にバッテリ充電を行うことができるようになってきている。
【0003】
また、例えば、特許文献1に示されているように、無線端末による遠隔操作でバッテリ充電を開始させるものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−247080号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、バッテリを充電する際には、車両と充電装置とを充電ケーブルで接続する作業に加えて、充電に関する設定操作を行う必要があり、高齢者にとっては、この設定操作が難しいことがある。充電に関する設定とは、例えば、充電速度(急速充電、普通充電の選択)、充電率、充電時間等の設定を表す。充電操作担当員が常駐している充電スタンドであれば、適切な支援を受けられるため問題はないが、バッテリ充電を主業務としていない店舗等においては、充電操作担当員がいない場合が多く、そうした状況においては、高齢者等、人によっては充電設定操作が難しくバッテリ充電をうまく行えないことがある。
【0006】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、高齢者等、充電設定操作を上手くできない人であっても、安心して電動車両のバッテリ充電を行うことができるように支援することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、充電装置(100)と電動車両(200)とを充電ケーブル(101)にて接続して前記電動車両のバッテリ(201)を充電する際の充電設定を支援する充電支援システムであって、
前記充電装置と前記電動車両とが前記充電ケーブルにより接続されたときに、前記充電装置の充電設定器とは異なる外部から設定される外部充電設定情報を要求する外部充電設定情報要求手段(S16,S25,S205)と、前記外部充電設定情報要求手段の要求に応えて送信された情報を前記外部充電設定情報として取得する外部充電設定情報取得手段(S18,S26,S205)と、前記外部充電設定情報取得手段により取得した外部充電設定情報に基づいて、前記電動車両のバッテリの充電を開始させる充電指令手段(S14,S27)とを備えたことにある。
【0008】
本発明においては、外部充電設定情報要求手段が、充電装置と電動車両とが充電ケーブルにより接続されたときに、充電装置に設けられた充電設定器とは異なる外部から設定される外部充電設定情報を要求する。この外部充電設定情報は、外部充電設定情報要求手段からの要求があったときに充電装置の充電設定器とは異なる外部で設定されるものであってもよいし、予め充電装置の充電設定器とは異なる外部で設定されて記憶されているものであってもよい。外部充電設定情報取得手段は、外部充電設定情報要求手段の要求に応えて送信された情報を外部充電設定情報として取得する。そして、充電指令手段は、外部充電設定情報取得手段により取得した外部充電設定情報に基づいて、車両のバッテリの充電を開始させる。
【0009】
従って、本発明によれば、電動車両のバッテリを充電しようとする人(例えば、ドライバー)が、バッテリ充電の設定操作が苦手であっても、電動車両と充電ケーブルとを接続すれば、充電設定器での操作をしなくても電動車両のバッテリ充電が開始される。この結果、高齢者等、充電設定操作を上手くできない人であっても、安心して電動車両のバッテリ充電を行うことができる。また、間違った設定操作が行われなくなるため、充電の失敗や誤充電を防止することができる。
【0010】
尚、電動車両とは、バッテリを備え、外部電源からバッテリに充電できるようにしたプラグイン電動車両である。従って、バッテリの電力のみで走行する電気自動車に限らず、走行用モータと内燃機関とを備えたプラグイン式ハイブリッド自動車にも適用されるものである。また、電動二輪車においても適用できるものである。
【0011】
本発明の他の特徴は、前記外部充電設定情報要求手段は、前記充電装置と前記電動車両とが前記充電ケーブルにより接続されたときに、前記電動車両と関連付けられた無線携帯端末(30)に前記外部充電設定情報を要求する要求信号を送信し、前記外部充電設定情報取得手段は、前記要求信号に応えて前記無線携帯端末から送信された情報を前記外部充電設定情報として取得することにある。
【0012】
本発明においては、外部充電設定情報を要求する要求信号が、電動車両と関連付けられた無線携帯端末に送信される。従って、充電現場(例えば、充電スタンド)とは離れた場所にいる無線携帯端末ユーザに、バッテリ充電の設定要求が通知される。これにより、無線携帯端末ユーザは、充電現場にいる者(例えば、ドライバー)に代わって、バッテリ充電にかかる設定を行うことができる。無線携帯端末で入力された設定情報は、外部充電設定情報として外部充電設定情報取得手段に取得される。これにより、本発明によれば、充電現場から離れた場所にいる無線携帯端末ユーザが、充電設定操作の苦手な者(例えば、高齢者)に代わって充電設定を行うことができる。尚、無線携帯端末は、無線通信機能を有する個人携帯端末であって、例えば、スマートフォンなどの携帯端末を使用するとよい。
【0013】
本発明の他の特徴は、前記外部充電設定情報要求手段は、前記充電装置と前記電動車両とが前記充電ケーブルにより接続されたときに、複数の電動車両の情報を管理するセンターサーバー(40)に対して、前記外部充電設定情報を要求する要求信号を前記電動車両を特定する情報とあわせて送信し、前記外部充電設定情報取得手段は、前記要求信号に応えて前記センターサーバーから送信された情報を前記外部充電設定情報として取得することにある。
【0014】
本発明においては、外部充電設定情報を要求する要求信号が、車両を特定する情報とあわせてセンターサーバーに送信される。これにより、センターサーバーは、この要求信号に応えて充電設定情報を送信し、外部充電設定情報取得手段がこの情報を外部充電設定情報として取得する。従って、本発明によれば、予め、充電設定情報をセンターサーバーに登録しておくことができるため、充電装置と電動車両とが充電ケーブルにより接続されたときに、家族等の支援者がリアルタイムで充電設定に関する遠隔操作を行う必要がない。
【0015】
本発明の他の特徴は、前記電動車両と関連付けられた無線携帯端末から送信された外部充電設定情報を記憶しておく記憶手段(25)を備え、外部充電設定情報要求手段は、前記充電装置と前記電動車両とが前記充電ケーブルにより接続されたときに、前記記憶手段に対して前記外部充電設定情報を要求し、前記外部充電設定情報取得手段は、前記要求信号に応えて前記記憶手段から送信された情報を前記外部充電設定情報として取得すること(S205)にある。
【0016】
本発明においては、電動車両と関連付けられた無線携帯端末から送信された外部充電設定情報が予め記憶手段に記憶される。そして、充電装置と電動車両とが充電ケーブルにより接続されたときに、外部充電設定情報要求手段が、記憶手段から外部充電設定情報を読み出す。従って、本発明によれば、予め、充電設定情報を記憶手段に記憶しておくことができるため、充電装置と電動車両とが充電ケーブルにより接続されたときに、家族等の支援者がリアルタイムで充電設定に関する遠隔操作を行う必要がない。例えば、記憶手段を車両に設けた場合には、センターサーバーなどの他の装置を介在させる必要がなくなり、小さなシステム構成で実施することができる。
【0017】
本発明の他の特徴は、前記電動車両のドライバーが予め設定された支援対象者であるか否かを判断する対象者判断手段(S22)を備え、前記外部充電設定情報要求手段は、前記対象者判断手段により前記ドライバーが支援対象者であると判断されている場合に、前記充電装置と前記電動車両とが前記充電ケーブルにより接続されたときに、前記外部充電設定情報を要求することにある。
【0018】
本発明においては、対象者判断手段が、電動車両のドライバーが予め設定された支援対象者であるか否かを判断する。そして、ドライバーが支援対象者であると判断されている場合に、外部充電設定情報要求手段は、充電装置と電動車両とが充電ケーブルにより接続されたときに外部充電設定情報を要求する。従って、充電設定操作の支援が必要となる状況においてのみ、外部充電設定情報が要求されるため、支援の必要がないドライバーに対しては、外部から遠隔設定されてしまうことが無い。このため、支援の必要がないドライバーは、通常通りに充電設定を行うことができる。
【0019】
また、本発明は、充電支援システムに限らず、充電支援システムに使用される電動車両にも適用することができる。
【0020】
尚、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、本発明の各構成要件は前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る充電支援システムを表す概略構成図である。
【図2】実施形態に係る給電ECUの概略構成図である。
【図3】実施形態に係る車載装置の概略構成図である。
【図4】実施形態に係る充電設定支援制御ルーチンを表すフローチャートである。
【図5】変形例1に係る充電設定支援制御ルーチンを表すフローチャートである。
【図6】変形例2に係る充電設定支援制御ルーチンを表すフローチャートである。
【図7】変形例3に係る充電設定支援制御ルーチンを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る充電支援システムおよび電動車両について図面を用いて説明する。図1は、実施形態に係る充電支援システムを表す概略構成図である。
【0023】
充電支援システムは、充電装置を使って電動車両のバッテリを充電するときの設定を支援するシステムである。充電支援システムは、外部電源となる充電装置100に設けられる給電制御ユニット10(以下、給電ECU10と呼ぶ)と、電動車両200に設けられる車載装置20と、電動車両200と関係付けられた各個人が所持する無線携帯端末30(以下、携帯端末30と呼ぶ)と、車両情報を管理する車両情報センター400に設けられるセンターサーバー40と、給電ECU10、車載装置20、携帯端末30、センターサーバー40を相互に通信可能に接続するインターネット等の通信回線網50とを備えている。車載装置20は、電動車両200のバッテリ201の充電を制御する充電制御ユニット21(以下、充電ECU21と呼ぶ)と、通信回線網50に接続して外部と通信をする車載通信端末27とを備えている。通信回線網50には、無線基地局51が接続され、車載通信端末27および携帯端末30は、この無線基地局51を介して通信回線網50に接続される。以下、通信回線網50をネットワーク50と呼ぶ。
【0024】
この充電支援システムが適用される電動車両200は、バッテリ201を備え、外部電源からバッテリ201に充電できるようにしたプラグイン電動車両である。例えば、バッテリの電力で走行用モータを駆動する電気自動車がその代表であるが、走行用モータと内燃機関とを備えたプラグイン式ハイブリッド自動車であってもよい。また、電動自転車、アシスト自転車、電動バイクなどのバッテリの出力する電力により走行する二輪車であってもよい。以下、電動車両を、単に車両と呼ぶ。
【0025】
車両200のバッテリ201は、家庭用のコンセントから充電することができるとともに、外出先においては、充電装置100を用いて充電することができる。充電装置100は、充電スタンドだけでなく、コンビニエンスストア、ショッピングセンターなどの店舗や娯楽施設等の駐車場においても設けられる。充電装置100には、電力供給会社から電力供給網(例えば、スマートグリッド)を介して商用電力が供給される。充電装置100は、充電ケーブル101を備えており、充電ケーブル101の先端に設けられたプラグ102を車両200の受電コネクタ202に差し込むことにより、車両200のバッテリ201に電力供給する。
【0026】
この充電装置100は、バッテリ充電に関する各種の設定を行うための操作部と給電状況や操作方法等の情報を利用者に知らせる表示部とをタッチパネルで一体的に構成した操作表示器110と、料金を精算する精算器111と、ケーシング内に設けられ電力供給を制御する給電ECU10とを備えている。給電ECU10は、マイクロコンピュータ、通信回路、記憶装置、電力供給制御回路を主要部として備え、その機能に分類すると、図2に示すように、給電制御部11と、通信端末部12とから構成される。給電制御部11は、操作表示器110で設定された充電設定あるいは外部から入力した充電設定情報にしたがって、バッテリ201への電力供給を制御する。また、給電制御部11は、精算器111と電力供給量に関する情報の授受を行う。
【0027】
通信端末部12は、PLC通信制御部12aと、外部通信制御部12bとから構成される。PLC通信制御部12aは、充電ケーブル101を介在させて車載装置20と電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)を行う。また、外部通信制御部12bは、ネットワーク50を介して外部の通信装置と通信を行う。例えば、給電ECU10は、充電装置100の給電モニタ情報や故障情報等を外部通信制御部12bを介して外部に送信する。尚、外部通信制御部12bは、充電支援システムの構成としては必ずしも必要とするものではないが、後述する充電設定情報を充電装置100に登録(記憶)する、あるいは、外部からリアルタイムで充電設定情報を充電装置100に送信する場合等においては、この外部通信制御部12bを使用することができる。
【0028】
車両200は、図1に示すように、走行駆動系として、バッテリ201から出力される直流電力を三相交流電力に変換するインバータ210と、インバータ210から出力される三相交流電力により駆動されて車輪Wを回転させる走行用のモータ211と、運転者の運転操作に応じてインバータの出力を制御するモータ制御ユニット212(モータECU212と呼ぶ)とを備えている。
【0029】
また、車両200は、バッテリ201を充電するための充電器として、受電コネクタ202に供給される交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器213を備えている。バッテリ201には、バッテリ201の充電状態を示す値であるSOC(State Of Charge)を検出するSOC検出部214が設けられる。SOC検出部214は、SOCを表す信号を充電ECU21に出力する。
【0030】
車載装置20における充電ECU21は、マイクロコンピュータ、通信回路、記憶装置、各種ドライバーを主要部として備え、その機能に分類すると、図3に示すように、PLC通信制御部22と、充電制御部23と、充電設定処理部24と、設定記憶部25とから構成される。PLC通信制御部22は、PLC用ライン220にて電力供給ラインに接続され、PLC用ライン220、電力供給ライン221、充電ケーブル101を介して給電ECU10のPLC通信制御部12aと接続される。以下、充電ECU21に設けられるPLC通信制御部22を車両側PLC部22と呼び、給電ECU10に設けられるPLC通信制御部12aを充電装置側PLC部12aと呼ぶ。
【0031】
充電制御部23は、充電ケーブル101のプラグ102が受電コネクタ202に接続されているときに、SOC検出部214から出力されるSOCを入力し、SOCが設定値より低い場合には、AC/DC変換器213を作動させてバッテリ201を充電する。
【0032】
車両側PLC部22および充電装置側PLC部12aは、互いに通信接続のトライを周期的に行い、充電ケーブル101のプラグ102が受電コネクタ202に接続されると、両者間の通信が確立するため、この通信の確立により、充電装置100と車両200とが充電ケーブル101により接続されたことを判断し、以降、充電に関する情報の授受を開始する。例えば、給電ECU10は、給電開始確認信号を充電ECU21に送信し、充電ECU21から給電許可信号が送信されたことを確認して電力供給を開始する。また、充電ECU21は、SOC検出部214により検出されたSOCを給電ECU10に送信する。従って、給電ECU10は、このSOCに基づいて、車両200への電力供給を制御することができる。充電装置100から車両200への電力供給は、充電ECU21側のみで制御するようにしてもよい。この場合は、給電ECU10側は、充電ECU21からの指令にしたがって電力供給の開始・終了を行うようにすればよい。
【0033】
尚、本実施形態においては、充電装置100の給電ECU10と車両200の充電ECU21との間でPLC通信を行う構成であるが、両者間の通信は、PLC通信に限るものではない。例えば、充電ケーブル101に、電力供給ラインとは別に専用の通信ラインを並列に設けることで、通信ラインを使って給電ECU10と充電ECU21との間で有線通信を行うようにしてもよい。また、充電装置100の給電ECU10と車両200の充電ECU21とに、それぞれ近距離無線通信装置を設けて、給電ECU10と充電ECU21とのあいだで近距離無線通信(例えば、Bluetooth)を行うようにしてもよい。
【0034】
充電装置100でバッテリ201に電力供給する際には、充電速度に関する設定(急速充電か普通充電かの選択)、充電量に関する設定(充電率または充電時間)、料金に関する設定など、充電に関する設定を行う必要がある。こうした充電に関する設定は、充電装置100の操作表示器110を使って行われるが、高齢者等においては、その操作が難しく感じられることがある。そこで、本実施形態においては、こうした設定操作が難しい人を支援するために、充電に関する設定を外部から行える機能を備えている。
【0035】
充電ECU21に設けられる充電設定処理部24および設定記憶部25は、こうした外部設定機能を実現するためのものである。充電設定処理部24は、車載通信端末27を接続して、車載通信端末27を介して携帯端末30等の外部に対して充電設定に関する情報(以下、充電設定情報と呼ぶ)を要求し、この要求に応えて送信された充電設定情報を取得して充電装置100の給電ECU10に送信する。この充電設定処理部24の処理については後述する。
【0036】
設定記憶部25は、充電設定処理部24に接続され、充電設定処理部24の処理に必要なドライバー情報や、充電設定情報等を記憶する記憶装置である。
【0037】
車載通信端末27は、マイクロコンピュータ、通信回路等を主要部として備え、その機能に分類すると、外部通信制御部28と、近距離通信制御部29とから構成される。外部通信制御部28は、無線基地局51を介してネットワーク50と接続して、ネットワーク50に接続される各種の通信装置と情報の授受を行う。例えば、外部通信制御部28は、充電ECU21をはじめ各種の車両内のECUから出力された車両情報を入力し、この車両情報を車両IDとあわせて車両情報センター400に設けられたセンターサーバー40に送信する。センターサーバー40は、各車両から送信された車両情報を車両IDに対応付けて記憶し管理する。例えば、車両の現在位置、バッテリの状態(SOC)、エラー履歴等を表す情報を定期的に取得して管理する。また、センターサーバー40は、利用者に有益な各種の情報を必要に応じて外部通信制御部28に送信する。例えば、SOCの低下が検出されている車両に対しては、車両の現在位置に近い充電施設の情報を送信する。
【0038】
また、外部通信制御部28は、ネットワーク50を介して携帯端末30と交信して充電設定情報を要求し、この要求に応えて携帯端末30から送信された充電設定情報を受信して充電設定処理部24に出力する。また、外部通信制御部28は、充電設定情報がセンターサーバー40に記憶されている場合には、センターサーバー40と交信して充電設定情報を要求し、この要求に応えてセンターサーバー40から送信された充電設定情報を受信して充電設定処理部24に出力する。
【0039】
近距離通信制御部29は、例えば、Bluetoothを用いて近距離無線通信を行うもので、車室内に持ち込まれた車両キー230と通信を確立させて車両キー230を特定するキーIDを受信し、受信したキーIDを充電ECU20の充電設定処理部24に出力する。このキーIDは、それぞれ車両キー230ごとに異なる情報に設定されている。従って、複数の車両キー230をドライバーごとに割り当てることで、キーIDからドライバーを特定することができる。
【0040】
車両情報センター400は、車両200から送信される各種の車両情報を収集するとともに、車両ユーザに対して種々のサービス情報を提供する施設である。車両情報センター400に設けられるセンターサーバー40は、マイクロコンピュータ、記憶装置、通信回路を主要部として備え、その機能に分類すると、図1に示すように、ネットワーク50に接続して通信制御を行う通信制御部41と、車両情報を管理する車両情報サーバー42と、車両のユーザ情報を管理するユーザ情報サーバー43とから構成される。
【0041】
センターサーバー40は、車両を特定する車両ID(登録番号や車台番号に相当する情報、車載通信端末27の通信アドレスなど)と車両ユーザを特定するユーザID(ユーザ名、携帯端末30の電話番号、メールアドレス、通信アドレスなど)とを関連させる関連情報を記憶しており、何れか一方のIDを特定することで、他方のIDで特定される情報を抽出することができるように構成されている。また、センターサーバー40は、充電設定情報についても、車両IDと対応付けて、ユーザ情報サーバー43に記憶できるようになっている。
【0042】
携帯端末30は、車両ユーザ、および、車両ユーザの関係者(例えば、家族)が所持するスマートフォンなど、ネットワーク50と接続可能な無線通信機器であればよい。携帯端末30には、車両200のバッテリ201の充電に関する設定を行うためのアプリケーションが予めインストールされており、このアプリケーションを起動させてバッテリ201の充電方法を設定することにより、充電設定情報を車載通信端末27あるいはセンターサーバー40に送信することができるようになっている。
【0043】
次に、充電支援システムの動作について説明する。図4は、充電装置100の給電ECU10と、車載装置20と、携帯端末30との協働により実施される充電設定支援制御ルーチンを表す。図中において、左側が給電ECU10の実行する処理を表し、中央が車載装置20(主に充電設定処理部24)の実行する処理を表し、右側が携帯端末30の実行する処理を表す。
【0044】
給電ECU10は、ドライバーが充電装置100に接近すると、図示しない人検知センサがドライバーを感知して充電設定支援制御ルーチンを開始する。給電ECU10は、まず、ステップS11において、操作表示器110に充電設定画面を表示して、利用者に対して充電に関する設定入力を促す。続いて、ステップS12において、充電に関する設定操作が完了したか否かを判断する。給電ECU10は、設定操作が完了していない間は、ステップS13において、充電ケーブル101が車両200に接続されたか否かについて判断する。この判断は、充電装置側PLC部12aと車両側PLC部22との通信の確立の有無に基づいて行えばよいが、それに代えて、例えば、車両200の受電コネクタ202に充電ケーブル101のプラグ102が差し込まれた時に接点が変化するメカ的なスイッチを設け、このスイッチの信号を充電ケーブル101を介して入力するようにしてもよい。
【0045】
充電ケーブル101の接続が検出されていない間は、充電設定画面を表示した状態で、ステップS12〜S13の処理が繰り返される。利用者が、充電ケーブル101を車両200に接続する前に、充電設定操作を完了すると、給電ECU10は、その処理をステップS14に進めて、車両200への給電を開始する。この場合、利用者が充電ケーブル101を車両200の受電コネクタ202に接続して、充電装置側PLC12aと車両側PLC22との通信が確立すると、給電ECU10は、充電ケーブル101を介して電力供給を開始する。また、車両200の充電ECU21は、AC/DC変換器213の作動を開始して、バッテリ201の充電を開始する。
【0046】
一方、充電に関する設定操作が完了していない状態で充電ケーブル101が車両200に接続されたことが検出された場合(S13:Yes)、給電ECU10は、ステップS15において、充電設定に関して遠隔設定が不能となっているか否かについて判断する。この判断は、後述するように、車載装置20から給電ECU10に対して遠隔設定不可信号が送信されているか否かを判断するもので、最初にステップS15の判断が行われた時点においては、必ず「No」となる。続いて、給電ECU10は、ステップS16において、車載装置20に対して、充電設定情報の要求信号を送信する。
【0047】
車載装置20(充電設定処理部24)は、充電ケーブル101が接続されると、ステップS21において、充電設定情報の要求信号を受信したか否について繰り返し判断する。そして、充電設定情報の要求信号を受信すると(S21:Yes)、ステップS22において、ドライバー判定処理を行う。車載通信端末27の近距離通信制御部29は、ドライバーが車両キー230を携帯して車両200に乗り込んだとき、車両キー230との間で近距離無線通信を行って、車両キー230からキーIDを取得して、充電ECU21の充電設定処理部24に送信する。このキーIDは、ドライバーを特定できる情報となる。また、充電ECU21の設定記憶部25には、充電設定操作の支援対象となるドライバーを特定する情報として、そのドライバーの使用する車両キー230のキーIDが予め記憶されている。
【0048】
充電設定処理部24は、ステップS22のドライバー判定処理において、現時点におけるドライバーが、充電設定操作の支援対象となるドライバー(以下、支援対象ドライバーと呼ぶ)であるか否かについて、キーIDを用いて判断する。具体的には、充電設定処理部24は、車載通信端末27から取得したキーIDが、設定記憶部25に記憶されているキーIDと一致するか(複数記憶されている場合には、それらのキーIDの一つに一致するか)否かについて判断し、一致する場合には、現在のドライバーは支援対象ドライバーであると判定し、一致しない場合には、現在のドライバーは支援対象ドライバーではないと判定する。
【0049】
車載装置20は、現在のドライバーが支援対象ドライバーでない場合には(S23:No)、ステップS24において、給電ECU10に対して、遠隔設定不可信号を送信して、本ルーチンを終了する。一方、現在のドライバーが支援対象ドライバーである場合には(S23:Yes)、ステップS25において、携帯端末30に対して充電設定情報の要求信号を送信する。この要求信号は、車載通信端末27の外部通信制御部28からネットワーク50を介して、携帯端末30に送信される。この場合、要求信号とともにドライバーを特定するドライバー情報も一緒に送信するとよい。ドライバー情報は、予め、設定記憶部25にキーIDと対応付けて記憶しておき、要求信号の送信時に、キーIDに対応するドライバー情報(例えば、ドライバー名)を読み出して送信すればよい。また、設定記憶部25には、携帯端末30の通信アドレスも記憶されており、車載通信端末27の外部通信制御部28は、設定記憶部25に記憶されている通信アドレスを読み出して、予め設定された携帯端末30に要求信号を送信する。尚、送信先は、複数設定されていてもよい。
【0050】
尚、車載装置20は、本ルーチンの作動中に、充電装置100で適正に充電設定操作が行われて車両200への給電が開始された場合には、本ルーチンをその時点で終了する。
【0051】
携帯端末30は、ステップS31において、充電設定情報の要求信号を受信したか否かについての判断を所定の周期で繰り返す。そして、充電設定情報の要求信号を受信すると(S31:Yes)、ステップS32において、バッテリ201の充電設定を行うための充電設定アプリケーションを起動し、表示操作器(図示略)に充電設定画面を表示して、携帯端末30のユーザ(例えば、ドライバーの家族)にバッテリ201の充電に関する遠隔設定操作を行うように通知する。この充電設定画面は、例えば、充電装置100の操作表示器110に表示される画面と同様のものであるが、ドライバー名も表示されるようにするとよい。
【0052】
携帯端末30のユーザ(以下、遠隔ユーザと呼ぶ)は、充電設定画面にしたがって充電に関する設定を行う。携帯端末30は、充電設定が完了すると、ステップS33において、充電設定情報をネットワーク50を介して車載装置20(車載通信端末27の外部通信制御部28)に送信して充電設定アプリケーションを終了する。尚、携帯端末30は、ステップS31の充電設定情報の要求信号の受信(S31:Yes)から、予め設定した上限待機時間が経過しても充電設定が完了しなかった場合には、ステップS33において、初期設定値を充電設定情報として送信する。この初期設定値は、固定値であってもよいが、充電設定アプリケーションの初期設定モード画面において、任意に設定できるようにしてもよい。この携帯端末30から送信される充電設定情報が、本発明における外部充電設定情報に相当する。
【0053】
車載装置20は、ステップS26において、車載通信端末27に充電設定情報が送信されるまで待機し、充電設定情報を受信すると、ステップS27において、充電設定情報を車両側PLC部22を介して充電装置100の給電ECU10に送信して本ルーチンを終了する。尚、充電設定処理部24は、ステップS25の充電設定情報の要求信号の送信(S25)から、予め設定した上限待機時間が経過しても携帯端末30から充電設定情報が送信されてこない場合(S26:No)には、ステップS27において、初期値に設定した充電設定情報を送信する。この初期値は、予め設定記憶部25に記憶されている。
【0054】
給電ECU10は、ステップS16において、充電設定情報の要求信号を送信した後は、ステップS17において、遠隔設定不可信号を受信したか否かを判断する。給電ECU10は、遠隔設定不可信号を受信した場合(S17:Yes)、その処理をステップS12に戻す。従って、充電設定操作が完了していない場合(S12:No)は、ステップS13,S15の判断を繰り返す。
【0055】
一方、ステップS17において、遠隔設定不可信号を受信していないと判断した場合には、ステップS18において、充電設定情報を受信したか否かを判断する。給電ECU10は、遠隔設定不可信号と充電設定情報のいずれも受信していない間は、ステップS17,S18の処理を繰り返す。給電ECU10は、こうした処理を繰り返し、充電設定情報を受信すると、ステップS14において、受信した充電設定情報にしたがって車両200への給電を開始する。この場合、充電設定情報は、給電ECU10に対して車両200への給電(バッテリ201の充電)を開始させる充電指令として機能する。
【0056】
充電設定支援制御ルーチンは、ステップS14において、車両200への給電を開始すると終了する。尚、給電ECU10が車両200への給電を終了したとき、あるいは、充電ECU21がバッテリ201の充電を終了したとき、携帯端末30へ充電完了信号を送信するようにしてもよい。そして、携帯端末30は、充電完了信号を受信して、充電設定アプリケーションを終了するようにしてもよい。
【0057】
以上説明した充電設定支援制御ルーチンによれば、バッテリ201を充電する際に、充電ケーブル101を車両200に接続するだけで、充電設定情報の要求信号が車載装置20を介して携帯端末30に送信され、携帯端末30において充電設定アプリケーションが起動する。遠隔ユーザは、充電設定アプリケーションの起動により、支援対象ドライバーがバッテリ充電を行おうとしていることを認識し、この充電設定アプリケーションの操作画面から充電設定を行う。つまり、支援対象ドライバーに代わって、遠隔操作によりバッテリ充電の設定を行う。遠隔操作により設定された充電設定を表す充電設定情報は、ネットワーク50を介して車載通信端末27に送信され、充電ECU21を介して充電装置100の給電ECU10に送信される。給電ECU10は、受信した充電設定情報にしたがって車両200への給電を開始する。
【0058】
これにより、充電装置100の充電設定操作を上手くできない人であっても、充電ケーブル101を車両200に接続するだけで、バッテリ充電を開始させることができる。また、ドライバーが支援対象ドライバーであるか否かを判定し、支援対象ドライバーである場合にのみ、遠隔ユーザに対して通知が行われる(携帯端末30の充電設定アプリケーションが起動する)ため、支援の必要のないドライバーに対しては、外部からバッテリ充電に関して遠隔設定されてしまうことが無い。従って、支援の必要のないドライバーは、通常通りに充電設定を行うことができる。
【0059】
これらの結果、本実施形態によれば、高齢者等、充電設定操作を上手くできない人であっても、安心して車両200のバッテリ充電を行うことができる。また、間違った設定操作が行われなくなるため、充電の失敗や誤充電を防止することができる。また、支援対象ドライバーの家族は、支援対象ドライバーを安心してドライブに送り出すことができる。また、支援対象ドライバーの家族は、支援対象ドライバーがバッテリ充電を行うことを、その都度、リアルタイムで認識することができる。また、だれでも簡単にバッテリ充電ができるようになるため、電動車両および充電施設の普及に貢献することができる。また、充電施設においては、セルフ化(無人化)を進めることができ、店舗や娯楽場等の駐車場における充電施設の拡充を図ることができる。
【0060】
次に、変形例について説明する。
【0061】
<変形例1>
上述した実施形態においては、充電装置100の給電ECU10が車載装置20を介して遠隔ユーザの携帯端末30に充電設定情報の要求信号を送信しているが、充電設定情報の要求信号の発信元は、給電ECU10ではなくて車載装置20であってもよい。変形例1は、充電設定情報の要求信号の発信元を車載装置20としたものである。図5は、変形例1としての充電設定支援制御ルーチンを表す。実施形態と同一の処理については、図面に実施形態と同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0062】
給電ECU10における処理では、実施形態に対してステップS13,S15,S16の処理が削除され、車載装置20における処理では、ステップS21に代わってステップS201の処理が組み込まれている。
【0063】
車載装置20は、ステップS201において、充電ケーブル101の接続が検出されるまで待機する。そして、充電ECU21と給電ECU10との通信が確立すると、充電ケーブル101が接続されたと判断して、その処理をステップS22に進め、ドライバーが支援対象ドライバーである場合には、充電設定情報の要求信号を携帯端末30に送信し(S25)、ドライバーが支援対象ドライバーでない場合には、遠隔設定不可信号を給電ECU10に送信する。
【0064】
給電ECU10は、車載装置20から遠隔設定不可信号を受信した場合には(S17:Yes)、操作表示器110からの入力による設定操作の完了を待ち(S12)、車載装置20から充電設定情報を受信した場合には(S18:Yes)、受信した充電設定情報に基づいて車両200への給電を開始する(S14)。
【0065】
この変形例1においても、実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0066】
<変形例2>
上述した実施形態においては、支援対象ドライバーが充電ケーブル101を車両200に接続したときに、遠隔ユーザの携帯端末30に充電設定情報の要求信号がリアルタイムで送信されるが、状況によっては、遠隔ユーザが即座に対応できない、つまり、携帯端末30で設定操作を行うことができない場合が考えられる。そこで、第2変形例においては、予め、充電設定情報を車両情報センター400のセンターサーバー40に登録しておくようにして、支援対象ドライバーが充電ケーブル101を車両200に接続したときに、センターサーバー40に対して、登録されている充電設定情報を要求する。
【0067】
例えば、ユーザは、事前に、携帯端末30で充電設定アプリケーションを立ち上げ、バッテリ充電に関する設定を行うとともに、充電設定情報の要求信号の送信先をセンターサーバー40に設定する。こうした設定が完了すると、携帯端末30は、センターサーバー40に充電設定情報を送信する。センターサーバー40は、携帯端末30の通信アドレスと車両IDとを関連付ける関連付け情報を記憶している。従って、センターサーバー40は、携帯端末30の通信アドレスに基づいて、受信した充電設定情報を車両IDと関連付けてユーザ情報サーバー43に記憶する。また、このとき、携帯端末30は、車載装置20に対して、充電設定情報の要求信号の送信先をセンターサーバー40に設定する設定信号を送信する。この要求信号の送信先を表す情報は、充電ECU21の設定記憶部25に記憶される。
【0068】
図6は、変形例2としての充電設定支援制御ルーチンを表す。実施形態と同一の処理については、図面に実施形態と同一のステップ番号を付して説明を省略する。この充電設定支援制御ルーチンは、充電設定情報の要求信号の送信先が、予め、センターサーバー40に設定されている場合に実行される処理である。
【0069】
この変形例においては、図面右側の処理がセンターサーバー40により実行される。車載装置20は、ステップS25において、充電設定情報の要求信号を、車両を特定する車両IDとあわせてセンターサーバー40に送信する。
【0070】
センターサーバー40は、ステップS41において、充電設定情報の要求信号を受信するまで待機する。そして、充電設定情報の要求信号を受信すると(S41:Yes)、続くステップS42において、要求信号とともに送信された車両IDに対応する充電設定情報をユーザ情報サーバー43から読み出す。続いて、センターサーバー40は、ステップS43において、ユーザ情報サーバー43から読み出した充電設定情報を車載装置20(車載通信端末27)に送信する。
【0071】
この変形例2においては、事前に充電設定情報をセンターサーバー40に登録しておくことができるため、支援対象ドライバーが充電操作を行うときにリアルタイムで遠隔操作をする必要がない。従って、遠隔ユーザが即座に対応できない場合に有効なものとなる。また、充電設定をほとんど変更する必要が無い場合には、充電設定情報をセンターサーバー40に登録しておくことで、設定操作の頻度を減らすことができる。また、第三者(例えば、家族の一人)に、お使いとして自分の車両200のバッテリ充電をしてきてもらう場合には、前もって、充電設定情報を送信しておくことができるため、第三者に充電設定に関する指示をする必要がなく使い勝手がよい。尚、変形例2は、実施形態において、要求信号の送信先をセンターサーバー40にしたものであるが、変形例1において、要求信号の送信先をセンターサーバー40にしたものであってもよい。
【0072】
<変形例3>
上述した変形例2においては、予め、充電設定情報を車両情報センター400のセンターサーバー40に登録(記憶)しておく構成であるが、変形例3においては、予め、車載装置20の設定記憶部25に充電設定情報を登録しておき、支援対象ドライバーが充電ケーブル101を車両200に接続したときに、設定記憶部25に登録されている充電設定情報を読み出すようにする。
【0073】
例えば、ユーザは、事前に、携帯端末30で充電設定アプリケーションを立ち上げ、バッテリ充電に関する設定を行うとともに、充電設定情報の要求信号の送信先を車載装置20に設定する。こうした設定操作が完了すると、携帯端末30は、車載装置20(車載通信端末27)に充電設定情報を送信する。車載装置20の充電設定処理部24は、車載通信端末27を介して受信した充電設定情報を設定記憶部25に記憶する。
【0074】
図7は、変形例3としての充電設定支援制御ルーチンを表す。実施形態と同一の処理については、図面に実施形態と同一のステップ番号を付して説明を省略する。変形例3においては、給電ECU10と車載装置20との処理のみとなる。この充電設定支援制御ルーチンは、充電設定情報の要求信号の送信先が車載装置20に設定されている場合に実行される処理である。
【0075】
車載装置20は、ステップS21において、充電設定情報の要求信号を受信すると、ドライバー判定処理を行い、ドライバーが支援対象ドライバーである場合には、ステップS205において、設定記憶部25に記憶されている充電設定情報を読み出す。つまり、充電設定処理部24が、設定記憶部25に対して充電設定情報を要求し、その要求に応えて設定記憶部25から送信された充電設定情報を取得する。従って、このステップS205の処理は、本発明における外部充電設定情報要求手段と外部充電設定情報取得手段との両方に相当する。
【0076】
続いて、車載装置20は、ステップS27において、設定記憶部25から読み出した充電設定情報を給電ECU10に送信する。
【0077】
この変形例3においては、事前に充電設定情報を車載装置20に登録しておくことができるため、支援対象ドライバーが充電操作を行うときにリアルタイムで遠隔操作をする必要がない。従って、遠隔ユーザが即座に対応できない場合に有効なものとなる。また、充電設定をほとんど変更する必要が無い場合には、充電設定情報を車載装置20に登録しておくことで、設定操作の頻度を減らすことができる。また、第三者(例えば、家族の一人)に、お使いとして自分の車両200のバッテリ充電をしてきてもらう場合には、前もって、充電設定情報を送信しておくことができるため、第三者に充電設定に関する指示をする必要がなく使い勝手がよい。尚、変形例3は、実施形態において、要求信号の送信先を設定記憶部25にしたものであるが、変形例1において、要求信号の送信先を設定記憶部25にしたものであってもよい。この変形例3によれば、センターサーバー40を介在させる必要が無いため、小さなシステム構成で実施することができる。
【0078】
以上、本実施形態に係る充電支援システムおよび電動車両について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0079】
例えば、本実施形態では、ドライバーが支援対象ドライバーであるか否かについて判定するドライバー判定処理を行っているが、ドライバー判定処理を行わず、全てのドライバーを支援対象とする構成であってもよい。この場合、支援を必要としないドライバーは、充電ケーブル101を接続する前に、充電に関する設定操作を完了するようにすれば、要求信号が外部に送信されないので、通常通り使用することができる。
【0080】
また、ドライバー判定処理に関して、本実施形態においては、車両キー230から読み取ったキーIDに基づいてドライバーを判別しているが、他の方法により判別することもできる。例えば、ドライバーを識別できるカード(運転免許証など)の情報を読み取るカードリーダーを車室内に設けて、ドライバーがカードリーダーにカード情報を読み込ませるようにしてもよい。また、ドライバーの顔をカメラで撮影して、その撮像からドライバーを識別するようにしてもよい。また、ドライバー毎に異なるシートポジション、ステアリングポジションなどの設定情報に基づいて、ドライバーを判別するようにしてもよい。
【0081】
また、変形例2あるいは変形例3においては、充電設定情報をセンターサーバー40あるいは車載装置20に登録(記憶)しておく構成であるが、それ以外の場所に登録しておく構成であってもよい。例えば、携帯端末30を使って充電設定情報を充電装置100に登録しておくようにしてもよい。この場合、給電ECU10は、充電設定情報と車両IDとを関連付けて記憶する記憶装置を備え、充電ケーブル101が車両200に接続されたときに、車載装置20から車両IDを読み込んで、充電設定情報が登録されている車両か否かを判断する。そして、充電設定情報が登録されている車両である場合には、記憶装置に記憶されている充電設定情報を読み出して、その充電設定情報にしたがって車両200へ給電するようにすればよい。
【0082】
また、車両の購入時に、充電設定情報を車載装置20あるいはセンターサーバー40に登録しておくシステム構成であってもよい。この場合、充電ケーブル101が車両200に接続されたとき、登録されている情報を読み出すようにすればよい。このシステムにおいては、第三者が充電設定操作をする必要がないため、例えば、一人暮らしの高齢者などにとって有益なものとなる。
【0083】
また、本実施形態および変形例1,2においては、車載装置20の車載通信端末27から充電設定情報の要求信号を外部に送信しているが、車載通信端末27を用いなくてもよい。例えば、車載装置20に、ドライバーの所持する携帯端末30と近距離無線通信を行う近距離無線通信端末を設け、この近距離無線通信端末からドライバーの所持する携帯端末30に充電設定情報の要求信号を送信する。そして、ドライバーの所持する携帯端末30は、近距離無線通信端末から受信した充電設定情報の要求信号を、遠隔ユーザの携帯端末30あるいはセンターサーバー40に送信し、それに応えて返信された充電設定情報を受信して、近距離無線通信端末に送信するようにすればよい。つまり、ドライバーの所持する携帯端末30を介して外部との交信を行うようにしてもよい。このシステムにおいては、車載装置20に外部通信制御部28を設ける必要がなく低コストにて実施できる。
【0084】
また、例えば、充電装置100の給電ECU10がセンターサーバー40に充電設定情報の要求信号を送信するようにしてもよい。この場合、給電ECU10は、充電ケーブル101が車両200に接続されたとき、車載装置20から車両IDを受信し、受信した車両IDをセンターサーバー40に送信することで、センターサーバー40が、当該車両の充電設定情報を給電ECU10に送信するように構成すればよい。また、給電ECU10が、遠隔ユーザの携帯端末30に充電設定情報の要求信号を送信するシステムであってもよい。
【符号の説明】
【0085】
10…給電ECU、11…給電制御部、12…通信端末部、12a…PLC通信制御部、12b…外部通信制御部、20…車載装置、21…充電ECU、22…PLC通信制御部、23…充電制御部、24…充電設定処理部、25…設定記憶部、27…車載通信端末、28…外部通信制御部、29…近距離通信制御部、30…無線携帯端末、40…センターサーバー、41…通信制御部、42…車両情報サーバー、43…ユーザ情報サーバー、50…通信回線網(ネットワーク)、100…充電装置、101…充電ケーブル、102…プラグ、110…操作表示器、200…電動車両、201…バッテリ、202…受電コネクタ
230…車両キー、400…車両情報センター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電装置と電動車両とを充電ケーブルにて接続して前記電動車両のバッテリを充電する際の充電設定を支援する充電支援システムであって、
前記充電装置と前記電動車両とが前記充電ケーブルにより接続されたときに、前記充電装置の充電設定器とは異なる外部から設定される外部充電設定情報を要求する外部充電設定情報要求手段と、
前記外部充電設定情報要求手段の要求に応えて送信された情報を前記外部充電設定情報として取得する外部充電設定情報取得手段と、
前記外部充電設定情報取得手段により取得した外部充電設定情報に基づいて、前記電動車両のバッテリの充電を開始させる充電指令手段と
を備えたことを特徴とする充電支援システム。
【請求項2】
前記外部充電設定情報要求手段は、前記充電装置と前記電動車両とが前記充電ケーブルにより接続されたときに、前記電動車両と関連付けられた無線携帯端末に前記外部充電設定情報を要求する要求信号を送信し、
前記外部充電設定情報取得手段は、前記要求信号に応えて前記無線携帯端末から送信された情報を前記外部充電設定情報として取得することを特徴とする請求項1記載の充電支援システム。
【請求項3】
前記外部充電設定情報要求手段は、前記充電装置と前記電動車両とが前記充電ケーブルにより接続されたときに、複数の電動車両の情報を管理するセンターサーバーに対して、前記外部充電設定情報を要求する要求信号を前記電動車両を特定する情報とあわせて送信し、
前記外部充電設定情報取得手段は、前記要求信号に応えて前記センターサーバーから送信された情報を前記外部充電設定情報として取得することを特徴とする請求項1または2記載の充電支援システム。
【請求項4】
前記電動車両と関連付けられた無線携帯端末から送信された外部充電設定情報を記憶しておく記憶手段を備え、
外部充電設定情報要求手段は、前記充電装置と前記電動車両とが前記充電ケーブルにより接続されたときに、前記記憶手段に対して前記外部充電設定情報を要求し、
前記外部充電設定情報取得手段は、前記要求信号に応えて前記記憶手段から送信された情報を前記外部充電設定情報として取得することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか一項記載の充電支援システム。
【請求項5】
前記電動車両のドライバーが予め設定された支援対象者であるか否かを判断する対象者判断手段を備え、
前記外部充電設定情報要求手段は、前記対象者判断手段により前記ドライバーが支援対象者であると判断されている場合に、前記充電装置と前記電動車両とが前記充電ケーブルにより接続されたときに、前記外部充電設定情報を要求することを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか一項記載の充電支援システム。
【請求項6】
充電装置と電動車両とを充電ケーブルにて接続してバッテリを充電する際の充電設定を支援する充電支援システムに適用される電動車両であって、
前記充電装置と電動車両とが前記充電ケーブルにより接続されたときに、前記充電装置の充電設定器とは異なる外部から設定される外部充電設定情報を要求する外部充電設定情報要求手段と、
前記外部充電設定情報要求手段の要求に応えて送信された情報を前記外部充電設定情報として取得する外部充電設定情報取得手段と、
前記外部充電設定情報取得手段により取得した外部充電設定情報に基づいて、前記電動車両のバッテリの充電を開始させる充電指令手段と
を備えたことを特徴とする電動車両。
【請求項7】
前記外部充電設定情報要求手段は、前記充電装置と電動車両とが前記充電ケーブルにより接続されたときに、電動車両と関連付けられた無線携帯端末に前記外部充電設定情報を要求する要求信号を送信し、
前記外部充電設定情報取得手段は、前記要求信号に応えて前記無線携帯端末から送信された情報を前記外部充電設定情報として取得することを特徴とする請求項6記載の電動車両。
【請求項8】
前記外部充電設定情報要求手段は、前記充電装置と電動車両とが前記充電ケーブルにより接続されたときに、複数の電動車両の情報を管理するセンターサーバーに対して、前記外部充電設定情報を要求する要求信号を電動車両を特定する情報とあわせて送信し、
前記外部充電設定情報取得手段は、前記要求信号に応えて前記センターサーバーから送信された情報を前記外部充電設定情報として取得することを特徴とする請求項6または7記載の電動車両。
【請求項9】
電動車両と関連付けられた無線携帯端末から送信された外部充電設定情報を記憶しておく記憶手段を備え、
外部充電設定情報要求手段は、前記充電装置と電動車両とが前記充電ケーブルにより接続されたときに、前記記憶手段に対して前記外部充電設定情報を要求し、
前記外部充電設定情報取得手段は、前記要求信号に応えて前記記憶手段から送信された情報を前記外部充電設定情報として取得することを特徴とする請求項6ないし請求項8の何れか一項記載の電動車両。
【請求項10】
電動車両のドライバーが予め設定された支援対象者であるか否かを判断する対象者判断手段を備え、
前記外部充電設定情報要求手段は、前記対象者判断手段により前記ドライバーが支援対象者であると判断されている場合に、前記充電装置と電動車両とが前記充電ケーブルにより接続されたときに、前記外部充電設定情報を要求することを特徴とする請求項6ないし請求項9の何れか一項記載の電動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−85316(P2013−85316A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221481(P2011−221481)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】