説明

光半導体装置

【課題】薄型で回路基板等への接合強度が強い信頼性の高い光半導体装置を提供する。
【解決手段】光半導体装置100は、光半導体素子103と、光半導体素子103と電気的に接続される第1の導電部材101と、第1の導電部材101から離間し、光半導体素子103が載置される第2の導電部材102と、光半導体素子103を被覆するとともに、第1の導電部材101及び第2の導電部材102と接する封止部材104と、を有する光半導体装置であって、第1の導電部材101及び第2の導電部材102は、それぞれ下面が光半導体装置100の外表面を形成し、第1の導電部材101は、光半導体素子103と電気的に接続される上面を有する第1の平坦部101aと、第1の平坦部から突出する上面を有する第1の突出部101bとを有し、第1の突出部101bは、少なくとも側面の一部が光半導体装置100の外表面を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、照明器具、ディスプレイ、液晶ディスプレイのバックライト光源などに利用可能な発光装置や、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどに利用可能なCCDやフォトダイオードの受光装置等の光半導体装置に関し、特に、薄型/小型タイプで光の取り出し効率、取り込み効率に優れ、回路基板への実装精度に優れた表面実装型の光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化・軽量化に伴い、それらに搭載される発光装置(発光ダイオード)、受光装置(CCD)等の光半導体装置も小型化されたものが種々開発されている。これらの光半導体装置は、例えば、絶縁基板の両面にそれぞれ形成された一対の金属導体パターンが形成された両面スルーホールプリント基板上に発光素子や受光素子などの光半導体素子を載置し、ワイヤなどを用いて金属導体パターンと光半導体素子とを電気的に導通させるような構造を有している。
【0003】
しかしながら、このような光半導体装置は、両面スルーホールプリント基板を使用することが必須条件であり、この両面スルーホールプリント基板が少なくとも0.1mm程度以上の厚みがあるため、表面実装型光半導体装置の徹底した薄型化を阻害する要因となっている。そのため、このようなプリント基板を使用しない構造の光半導体装置が開発されている(例えば特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−79329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている発光装置は、基板に蒸着などによって薄い金属膜を形成し、これを電極とし、発光素子とともに透光性樹脂等の封止樹脂で被覆することで、従来の表面実装型の発光装置に比べて薄型化が可能となっている。
【0006】
しかしながら、回路基板等にはんだを用いて発光装置を載置する際、このような薄い金属膜からなる電極は、上記のようなプリント基板に設けられた電極や板状の金属からなる電極を用いる場合に比べて、はんだの這い上がり量が少ないため、回路基板との接合強度が低下しやすい。また、発光素子の側面に達しないような電極とすると、はんだとの接合状態が確認しにくくなる。
【0007】
また、発光装置として用いる場合、透光性樹脂のみを用いているため、光が発光素子から下面方向に抜けてしまい、光の取り出し効率が低下しやすい。擂鉢状の金属膜を設けて光を反射させるような構造も開示されているが、このような金属膜を設けるには基板に凹凸を設ける必要がある。そうすると、発光装置が小型化されているためこの凹凸も極めて微細なものになり、加工が困難になるだけでなく、凹凸構造により基板の剥離時に破損しやすくなるなどの問題が生じやすい。
【0008】
更に特許文献1に開示されているような蒸着法で形成された薄い金属膜は一般的に平坦であり、封止樹脂と十分強固な密着性を得る事が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成するため、本発明の光半導体装置は、光半導体素子と、光半導体素子と電気的に接続される第1の導電部材と、第1の導電部材から離間し、光半導体素子が載置される第2の導電部材と、光半導体素子を被覆するとともに、第1の導電部材及び第2の導電部材と接する封止部材と、とを有する光半導体装置であって、第1の導電部材及び第2の導電部材は、それぞれ下面が光半導体装置の外表面を形成し、第1の導電部材は、光半導体素子と電気的に接続される上面を有する第1の平坦部と、第1の平坦部から突出する上面を有する第1の突出部とを有し、第1の突出部は、少なくとも側面の一部が光半導体装置の外表面を形成していることを特徴とする。これにより、はんだが這い上がりやすくなり、回路基板等との接合強度が高くなる。
【0010】
本発明の請求項2に記載の光半導体装置は、第2の導電部材は、光半導体素子が載置される上面を有する第2の平坦部と、第2の平坦部から突出する第2の突出部とを有し、第2の突出部は、少なくとも側面の一部が光半導体装置の外表面を形成していることを特徴とする。これにより、はんだが這い上がりやすくなる。
【0011】
本発明の請求項3に記載の光半導体装置は、第1の突出部と、第2の突出部は、それぞれの上面が略同一平面上に位置することを特徴とする。これにより、はんだの這い上がり量を略同一にすることができ、安定して実装することができる。
【0012】
本発明の請求項4に記載の光半導体装置は、第1の導電部材と第2の導電部材の間に、光半導体素子からの光を遮光可能な樹脂からなる基体を有することを特徴とする。これにより、光の損失を低減させることができる。
【0013】
本発明の請求項5に記載の光半導体装置は、基体は、第1の突出部及び第2の突出部が埋設される側壁を有することを特徴とする。これにより、光の取り出し効率が向上する。
【0014】
本発明の請求項6に記載の光半導体装置は、側壁は、光半導体素子の周囲に設けられていることを特徴とする。これにより、光の取り出し効率が向上し、配光特性を制御し易くなる。
【0015】
本発明の請求項7に記載の光半導体装置は、第1の突出部及び第2の突出部は、側壁のうち、2つの側面においてそれぞれ光半導体装置の外表面を形成していることを特徴とする。これにより、側面発光型の光半導体装置として用いることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、発光装置や受光装置などの光半導体装置を載置する際、回路基板等への接合強度を強くし、信頼性に優れた光半導体装置とすることができる。また、発光装置の場合、発光素子からの光を目的の方向へ照射することができ、光の取り出し効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための光半導体装置及びその製造方法を例示するものであって、以下に限定するものではない。
【0018】
また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。尚、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0019】
<実施の形態1> 本実施の形態の光半導体装置(発光装置)100を、図1A、図1Bに示す。図1Aは図1Bに示す発光装置100のA−A’断面における断面図、図1Bは発光装置100の上面図を示す。
【0020】
本実施の形態において、発光装置100は、図1A、図1Bに示すように、発光素子103と、発光素子103と電気的に接続される第1の導電部材101、101’と、第1の導電部材101、101’から離間し、発光素子103が載置される第2の導電部材102と、発光素子103を被覆するとともに第1の導電部材101、101’及び第2の導電部材102と接する封止部材104と、を有している。第1の導電部材101、101’及び第2の導電部材102は、それぞれ下面が発光装置100の外表面を形成しており、第1の導電部材101、101’は、発光素子103と電気的に接続される上面を有する第1の平坦部101a、101a’と、第1の平坦部101a、101a’から突出する上面を有する第1の突出部101b、101b’とを有する。そして、この第1の突出部101b、101b’は、少なくともその側面の一部が発光装置100の外表面を形成していることを特徴とする。
【0021】
(第1の導電部材/第2の導電部材) 第1の導電部材は、発光素子と電気的に接続されるものであり、外部から電力を供給させるための電極として機能させるものである。また、第2の導電部材は、発光素子がその上に載置されるものであり、その支持体として機能する。第2の導電部材は、単に発光素子が載置されるのみで通電に寄与しない場合と、発光素子や保護素子への通電に寄与する場合、すなわち、電極として機能する場合と、いずれの形態をとることもできるが、実施の形態1では、第2の導電部材を導通には寄与しない支持体として用いる場合について説明している。
【0022】
本形態において、第1の導電部材、第2の導電部材とも、発光装置の下面において外表面を形成するよう、すなわち、封止部材等で被覆されず外部(下面)に露出されるように設けられている。第1の導電部材、第2の導電部材とも上
面視における形状、大きさ等については、発光装置の大きさや載置する発光素子等の数や大きさ等に応じて任意に選択することができる。
【0023】
(第1の導電部材) 本形態において第1の導電部材101、101’は、図1Aに示すように、上面視略四角形の発光装置100の対向する2つの辺側に各1つずつ設けられており、封止部材104を介して第2の導電部材102を間に挟むように設けられている。ここでは第2の導電部材102は通電に寄与せず発光素子103の支持体として用いられているため、2つの第1の導電部材101、101’で正負一対の電極となるように機能させる。
【0024】
第1の導電部材101、101’は、発光素子103と導電性ワイヤ105、105’を介して電気的に接続される上面を有する第1の平坦部101a、101a‘と、第1の平坦部101a、101a’から突出する上面を有する第1の突出部101b、101b’とを有する。そして、第1の突出部101b、101b’は、少なくともその側面の一部が発光装置100の外表面を形成するよう、すなわち、封止部材104で被覆されずに外部に露出しているように設けられている。このように第1の導電部材101、101’が発光装置の側面において厚く(高く)なるように露出されていることで、回路基板等に実装する際、はんだなどの接合部材が這い上がることができるため、強固に実装することができる。
【0025】
図1Aに示す発光装置100では、2つの第1の導電部材101、101’は、第1の突出部101b、101b’の上面視、側面視における幅や高さを略同等の大きさ、形状としており、これにより、はんだの這い上がり量が同程度とし易くなる。そのため、2つの第1の導電部材101、101’と回路基板との接合力を均等にし易くなり、片方が浮くなどの実装不良を起こしにくくなる。ただし、これに限らず、異なる大きさ、形状にしてもよく、発光装置の形状や大きさ等に応じて、適した形状、大きさとすることができる。
【0026】
第1の突出部101b、101b’は、発光装置100の側面においてその側面の全てが露出するように設ける必要なく、発光装置100の底面から第1の突出部101b、101b’の上面まで連続して露出するように設けられていればよい。これによってはんだが這い上がりやすくなる。
【0027】
また、第1の突出部101b、101b’の上面は、発光装置100の上面から離間するよう、すなわち、第1の突出部101b、101b’の上面が封止部材104によって被覆されるように設けるのが好ましい。上述のように、第1の突出部101b、101b’の側面が露出され、その側面をはんだが這い上がるため、発光装置100の上面にまで達するような高さの突出部とすると、這い上がったはんだが発光装置の上面に達する可能性がある。そうなると光が出射される発光面がはんだやはんだフラックスにより汚染され発光装置としての性能を悪化させるという問題が生じる恐れがあるためである。
【0028】
第1の導電部材101、101’の第1の平坦部101a、101a’は、発光素子103と電気的に接続させるための導電ワイヤ105、105’が接合される部分であり、接合に必要な面積を少なくとも有していればよい。尚、第1の平坦部101a、101a’に導電性ワイヤを接合するだけでなく、更に第1の突出部101b、101b’の上面などにも導電性ワイヤを接続してもよい。また、本願において上記突出部と区別するために平坦部としているが、平坦な平面だけでなく、微細な凹凸や、溝、孔などを有していてもよい。また、導電性ワイヤを用いず、発光素子の電極と第1の導電部材とを直接電気的に接続させる場合は、発光素子の電極が接合可能な領域を有するように第1の平坦部を設ける。第1の導電部材101、101’の下面は、光半導体装置の外表面を形成しており、実質的に平坦な面とするのが好ましく、微細な凹凸等が形成されていても構わない。
【0029】
また、第1の平坦部101a、101a’、第1の突出部101b、101b’とも、その側面は平坦な面でもよいが封止部材104との密着性等を考慮すると、図1Aの部分拡大図に示すような突起部Xを有するようにするのが好ましい。この突起部Xは、第1の導電部材101、101’の下面から離間した位置に設けるのが好ましく、これにより第1の導電部材101、101’が封止部材104から脱落するなどの問題が生じにくくなる。特に、第1の平坦部101a、101a’の側面に設けるのが好ましく、更に図1Aに示すように、第1の平坦部101a、101a’と第1の突出部101b、101b’の両方に突起部Xを設けるのが好ましい。また、突起部ではなく、下面側に側面が傾斜するように第1の導電部材や第2の導電部材の側面を傾斜させることで、それらが脱落を抑制することができる。
【0030】
突出部Xは、第1の導電部材101、101’の周囲のうち、発光装置100の外表面と異なる位置であれば任意の位置に設けることができ、例えば、上面視四角形の導電部材の対向する2つの側面にのみ設けるなど、部分的に設けることができる。また、より確実に脱落を防ぐためには、外表面を形成する面意外の導電部材の周囲全体に渡って形成するのが好ましい。
【0031】
(第2の導電部材) 本形態において第2の導電部材102は、図1Aに示すように、発光素子103が載置される上面と、発光装置100の外表面を形成する下面とを有している。また、第2の導電部材102の側面は、本形態においては、第2の導電部材は電極として機能させていないため、図1Bに示すように、その側面が全て封止部材で被覆されるように、すなわち、発光装置100の側面から離間するように設けることができる。これにより、切断によって個片化した発光装置を得る際に、切断刃が第2の導電部材と接触しないように切断できるため、切断が容易となる。また、第2の導電部材は、その一部が発光装置100の外表面を形成するよう、すなわち、発光装置100の側面に達するように設けてもよい(図示せず)。第2の導電部材は発光素子が搭載されているため、面積を大きくすることで放熱性を向上させることができる。
【0032】
第2の導電部材102の上面は、発光素子103が載置可能な面積以上の面積を有していればよく、図1Bに示すような上面視略四角形の他、多角形、或いは切り欠きを有する形状など、種々の形状とすることができる。また、発光素子103を載置させる領域は、平坦な面とするのが好ましく、また、発光素子に加え、保護素子などを載置することもできる。
【0033】
第2の導電部材102の側面は、平坦な面でもよいが封止部材104との密着性等を考慮すると、第1の導電部材と同様に、図1Aに示すような突起部Xを有するようにするのが好ましい。この突起部Xは、第2の導電部材102の下面から離間した位置に設けるのが好ましく、これにより第2の導電部材102が封止部材104から脱落するなどの問題が生じにくくなる。突起部Xは、第2の導電部材102の周囲の任意の位置に設けることができ、例えば、上面視四角形の導電部材の対向する2つの側面にのみ設けるなど、部分的に設けることができる。また、より確実に脱落を防ぐためには、第2の導電部材の周囲全体に渡って形成するのが好ましい。
【0034】
第1の導電部材、第2の導電部材は、同じ材料を用いるのが好ましいが、異なる材料を用いても構わない。発光素子からの光を反射可能な材料が好ましい。具体的な材料としては、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、鉄、ニッケル等の金属又は鉄−ニッケル合金、りん青銅、鉄入り銅、モリブデン、Au−Snなどの共晶はんだ、SnAgCu、SnAgCuInなどのはんだ、ITO等が挙げられる。これらはんだ材料の中でも特に組成をコントロールして、はんだ粒子と第一の金属部の反応により一旦溶融し凝固すると、リフロー実装時などの追加の熱処理時に再溶解しない組成に調整したものが好ましい。これらは単体又は合金として用いることができ、更には積層(メッキ)するなど複数層設けることもできる。
【0035】
(封止部材) 封止部材は、発光素子を被覆すると共に、第1の導電部材及び第2の導電部材と接するように設けられるものであり、発光素子や保護素子、更には導電性ワイヤなどの電子部品を、塵芥や水分、更には外力などから保護する部材である。
【0036】
本形態では、この封止部材が、導電部材や導電部材を固定させる構成部材として機能している。すなわち、図1A等に示すように、発光素子103や導電性ワイヤ105、105’を被覆するとともに、発光装置100の上面及び側面の外表面を形成するだけでなく、更に、第1の導電部材101a、101a’と第2の導電部材102との間における発光装置100の下面側の外表面を形成する部材として設けられている。このように封止部材104で全ての部材を固定させることにより、工程の簡略化及びコスト低減化などの実現が可能となる。
【0037】
封止部材の材料としては、発光素子からの光を透過可能な透光性を有し、且つ、それらによって劣化しにくい耐光性を有するものが好ましい。具体的な材料としては、シリコーン樹脂組成物、変性シリコーン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、変性エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等発光素子からの光を透過可能な透光性を有する絶縁樹脂組成物を挙げることができる。更に、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フッ素樹脂及びこれらの樹脂を少なくとも1種以上含むハイブリッド樹脂等も用いることができる。さらにまた、これらの有機物に限られず、ガラス、シリカゾル等の無機物も用いることができる。このような材料に加え、所望に応じて着色剤、光拡散剤、光反射材、各種フィラー、波長変換部材(蛍光部材)などを含有させることもできる。封止部材の充填量は、上記電子部品が被覆される量であればよい。
【0038】
また、封止樹部材の外表面の形状については配光特性などに応じて種々選択することができる。例えば、上面を凸状レンズ形状、凹状レンズ形状、フレネルレンズ形状などとすることで、指向特性を調整することができる。また、封止部材に加え別に、レンズ部材を設けてもよい。
【0039】
尚、主として発光装置について上述のように説明したが、受光装置についてもほぼ上記と同様であり、用いる封止部材として、光の入射効率を高めるたり、受光装置内部での2次反射を避ける目的で白色もしくは黒色などの有色フィラーを用いても良い。特に赤外線発光装置や赤外線検知装置には可視光の影響を避けるために黒色の有色フィラー含有の封止部材を用いるのが好ましい。
【0040】
(接合部材) 接合部材は、第1の導電部材や第2の金属材上に発光素子や保護素子などを載置し接続させるための接合部材であり、載置する素子の基板によって導電性接合部材又は絶縁性接合部材のいずれかを選択することができる。例えば、絶縁性基板であるサファイア上に窒化物半導体層を積層させた半導体発光素子の場合、接合部材は絶縁性でも導電性でも用いることができ、SiC基板などの導電性基板を用いる場合は、導電性接合部材を用いることで導通を図ることができる。絶縁性接合部材としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。これらの樹脂を用いる場合は、半導体発光素子からの光や熱による劣化を考慮して、発光素子裏面にAlやAg膜などの反射率の高い金属層や誘電体反射膜を設けることができる。この場合、蒸着やスパッタあるいは薄膜を接合させるなどの方法を用いることができる。また、導電性ダイボンド部材としては、銀、金、パラジウムなどの導電性ペーストや、Au−Sn共晶などのはんだ、低融点金属等のろう材を用いることができる。さらに、これらダイボンド部材のうち、特に透光性のダイボンド部材を用いる場合は、その中に半導体発光素子からの光を吸収して異なる波長の光を発光する蛍光部材を含有させることもできる。
【0041】
(導電性ワイヤ) 発光素子の電極と、第1の導電部材、第2の導電部材とを接続する導電性ワイヤは、金、銅、白金
、アルミニウム等の金属及びそれらの合金を用いた導電性ワイヤが挙げられる。特に、熱抵抗などに優れた金を用いるのが好ましい。
【0042】
(波長変換部材) 上記封止部材中に、波長変換部材として半導体発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して異なる波長を有する光を発する蛍光部材を含有させることもできる。
【0043】
蛍光部材としては、半導体発光素子からの光を、より長波長に変換させるものの方が効率がよい。蛍光部材は、1種の蛍光物質等を単層で形成してもよいし、2種以上の蛍光物質等が混合された単層を形成してもよいし、1種の蛍光物質等を含有する単層を2層以上積層させてもよいし、2種以上の蛍光物質等がそれぞれ混合された単層を2層以上積層させてもよい。
【0044】
蛍光部材としては、例えば、発光素子として窒化物系半導体を発光層とする半導体発光素子を用いる場合、その発光素子からの光を吸収し異なる波長の光に波長変換するものであればよい。例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体、Eu等のランタノイド系の元素、Mn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類のハロシリケート蛍光体、アルカリ土類シリケート蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類ケイ酸塩、アルカリ土類硫化物、アルカリ土類チオガレート、アルカリ土類窒化ケイ素、ゲルマン酸塩、または、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩、希土類ケイ酸塩またはEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体等から選ばれる少なくともいずれか1以上であることが好ましい。好ましくは、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体である、YAl12:Ce、(Y0.8Gd0.2Al12:Ce、Y(Al0.8Ga0.212:Ce、(Y,Gd)(Al,Ga)12の組成式で表されるYAG系蛍光体である。また、Yの一部もしくは全部をTb、Lu等で置換したTbAl12:Ce、LuAl12:Ceなどもある。さらに、上記蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、作用、効果を有する蛍光体も使用することができる。
【0045】
(半導体発光素子) 本発明においては、半導体発光素子(単に発光素子ともいう)として発光ダイオードを用いるのが好ましい。
【0046】
半導体発光素子は、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、ZnSeや窒化物系半導体(InAlGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaPを用いたものを用いることができる。また、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどを用いることができる。さらに、これ以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子の組成や発光色、大きさや、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。
【0047】
蛍光物質を有する発光装置とする場合には、その蛍光物質を効率良く励起できる短波長が発光可能な窒化物半導体(InAlGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好適に挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。
【0048】
また、可視光領域の光だけでなく、紫外線や赤外線を出力する発光素子とすることができる。さらには、発光素子とともにもしくは単独で、受光素子などを搭載することができる。
【0049】
受光素子としては、フォトIC、フォトダイオード、フォトトランジスタ、CCD(電荷結合素子)イメージセンサー、CMOSイメージセンサー、Cdセルなどを上げることができる。
【0050】
<実施の形態2> 実施の形態2の発光装置200を、図2A、図2Bに示す。図2Aは、図2Bに係る発光装置のB−B’断面における断面図、図2Bは、実施の形態2に係る発光装置を示す上面図である。
【0051】
実施の形態2では、発光装置200は、発光素子203と、発光素子203と電気的に接続される第1の導電部材201と、第1の導電部材201から離間し、発光素子203が載置される第2の導電部材202と、発光素子203を被覆するとともに第1の導電部材201及び第2の導電部材202と接する封止部材204と、を有している。第1の導電部材201及び第2の導電部材202は、それぞれ下面が発光装置200の外表面を形成しており、第1の導電部材201は、発光素子203と電気的に接続される上面を有する第1の平坦部201aと、第1の平坦部201aから突出する上面を有する第1の突出部201bとを有する。第2の導電部材202は、導電性ワイヤ205’が接続される第2の平坦部202aと、その第2の平坦部202aから突出する第2の突出部202bとを有する。第1の突出部201bと第2の突出部402bは、少なくともその側面の一部が発光装置200の外表面を形成している。
【0052】
実施の形態2では、第2の導電部材を発光装置の電極としても機能するよう用いる点が実施の形態1と異なっており、他の部材等については実施の形態1と同様である。
【0053】
図2A、図2Bに示すように、第2の導電部材202は、上面に発光素子203が載置されると共に導電性ワイヤ205’が接合されている第2の平坦部202aと、第2の平坦部202aから突出する上面を有する第2の突出部202bとを有している。第2の平坦部202aは、少なくとも発光素子203を載置可能な面積が必要であり、且つ、導電性ワイヤ205’が接合される領域も確保できるような大きさとする必要がある。ただし、発光素子203の基板が導電性の場合、例えばSiC基板を用いたGaN系発光素子などの場合は、導電性接合部材を用いて第2の平坦部202aに接合させることで導通が図れるため、そのような場合は発光素子が載置できるだけの面積でもよい。
【0054】
第2の突出部202bは、第1の導電部材201の第1の平坦部201aから突出する上面を有する第1の突出部201bと同程度の幅、高さとするのが好ましく、特に発光素装置200の外表面となる突出部の側面が、略同じ幅、高さとなるようにするのが好ましい。
【0055】
また、実施の形態2では、第1の導電部材201と第2の導電部材202とで正負一対の電極となるようにしているため、第1の導電部材は少なくとも1以上有していればよい。
【0056】
<実施の形態3> 実施の形態3にかかる発光装置300を、図3に示す。図3は、本発明に係る発光装置300の断面図であり、上面視は図1Bに示すような略四角形の外形を有する発光装置300である 発光装置300は、発光素子303と、発光素子303と電気的に接続される第1の導電部材301、301’と、第1の導電部材301、301’から離間し、発光素子303が載置される第2の導電部材302と、発光素子303を被覆するとともに第1の導電部材301、301’及び第2の導電部材302と接する封止部材304と、を有している。第1の導電部材301、301’及び第2の導電部材302は、それぞれ下面が発光装置300の外表面を形成しており、第1の導電部材301、301’は、発光素子303と電気的に接続される上面を有する第1の平坦部301a、301a’と、第1の平坦部301a、301a’から突出する上面を有する第1の突出部301b、301b’とを有する。そして、この第1の突出部301b、301b’は、少なくともその側面の一部が発光装置300の外表面を形成しており、第1の導電部材301、301’と第2の導電部材302の間に、発光素子303からの光を遮光可能な樹脂からなる基体306を有していることを特徴とする。その他の部材等についは実施の形態1と同様である。また、第2の導電部材を電極としても用いることもでき、その他の部材等については実施の形態2と同様である。
【0057】
(基体) 実施の形態3において、基体306は、第1の導電部材301、301’と第2の導電部材302の間に設けられる樹脂であり、発光素子303からの光を遮光可能な樹脂からなる。このような位置に遮光性の基体306を設けることで、発光素子303からの光が、発光装置300の下面側から外部に漏れ出すのを抑制することができるため、上面方向への光の取り出し効率を向上させることができる。
【0058】
基体306の厚さは、発光装置300の下面側への光の漏れを抑制できる厚さであればよく、また、第1の導電部材301、301’の側面と第2の導電部材の側面との両方に接するよう、すなわち、封止部材304が第1の導電部材301、301’と基体306との間、第2の導電部材302と基体306との間に介在しないように設けるのが好ましい。
【0059】
発光装置300の幅と第1の導電部材301、301’や第2の導電部材302の幅が異なる場合、例えば図1Bに示すように第1の導電部材102(302)の幅が狭く、その第1の導電部材の側面と発光装置100(300)の側面とが離間している場合は、その部分にも基体を設けることができる。このようにすることで、発光装置300の下面は、第1の導電部材301、301’、基体306、第2の導電部材302が外表面として形成されていることになり、下面方向への光の漏れを効率よく抑制することができる。また、第1の平坦部301a、301a’の上面や、第2の金属部302の上面の一部を部分的に被覆するように設けてもよい。
【0060】
基体は発光素子からの光が遮光可能なものであればよく、さらに、絶縁性部材を用いるのが好ましい。好ましい材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの樹脂を用いることができ、具体的にはエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などをあげることができ、これら樹脂中にTiO、SiO、Alなどを混入させることで光の透過率を調整し、発光素子からの光の約60%以上を遮光するよう、より好ましくは約90%を遮光するようにするのが好ましい。尚、ここでは基体によって光を反射するか、又は吸収するかどちらでもよいが、より好ましくは反射させることによって遮光するのが好ましい。そのため、発光素子からの光に対する反射率が60%以上であるものが好ましく、より好ましくは90%以上反射するものが好ましい。
【0061】
<実施の形態4> 実施の形態4にかかる発光装置400を、図4A、図4Bに示す。図4Aは、本発明に係る発光装置400の内部を示す斜視図であり、図4Bは、図4Aに係る発光装置400の凹部を封止した状態のC−C’断面における断面図である。
【0062】
実施の形態4では、発光装置400は、発光素子403及び保護素子410と、発光素子403及び保護素子410と電気的に接続される第1の導電部材401と、第1の導電部材401から離間し、発光素子403が載置される第2の導電部材402と、発光素子403を被覆するとともに第1の導電部材401及び第2の導電部材402と接する封止部材404と、を有している。第1の導電部材401及び第2の導電部材402は、それぞれ下面が発光装置400の外表面を形成しており、第1の導電部材401は、発光素子403と電気的に接続される上面を有する第1の平坦部401aと、第1の平坦部401aから突出する上面を有する第1の突出部401bとを有する。第2の導電部材402は、導電性ワイヤ405’が接続される第2の平坦部402aと、その第2の平坦部402aから突出する第2の突出部402bとを有する。第1の突出部401bと第2の突出部402bは、少なくともその側面
の一部が発光装置400の外表面を形成している。そして、第1の導電部材401と第2の導電部材402の間に、発光素子403からの光を遮光可能な樹脂からなる基体406を有し、更に、導電部材導電部材その基体406は、基体の底面406aと、第1の突出部401b及び第2の突出部402bを埋設する側壁406bを有するような形状とすることを特徴とする。これにより、発光装置400に凹部S1が形成され、発光装置400の側面側に光が放出されるのを抑制し、上面方向に向けて光を放出することができる。その他の部材等については、実施の形態1〜3と同様のものを用いることができる。
【0063】
実施の形態1〜3では、第1の突出部や第2の突出部に発光素子からの光が照射されることになるので、その部分においては発光装置の側面方向への光は放出されない。それに対し、実施の形態4では、その突出部を埋設させる側壁を設けることで、より広い面積で光を遮断することができる。また、図4Bに示すように、この側壁406bを、傾斜のある側面を有するようにすることで、光を発光装置の上面方向へ反射し易くすることができる。
【0064】
<実施の形態5> 実施の形態5にかかる発光装置500を、図5A〜図5Dに示す。図5Aは、実施の継体に係る発光装置500を示す斜視図、図5Bは、図5Aに係る発光装置500の内部を示す上面図、図5Cは、図5Aに係る発光装置500の底面図、図5Dは、図5Aに係る発光装置500のD−D’断面における断面図である。
【0065】
実施の形態5では、発光装置500は、発光素子503と、発光素子503と電気的に接続される第1の導電部材501と、第1の導電部材501から離間し、発光素子503が載置される第2の導電部材502と、発光素子503を被覆するとともに第1の導電部材501及び第2の導電部材502と接する封止部材504と、を有している。第1の導電部材501及び第2の導電部材502は、それぞれ下面が発光装置500の外表面を形成しており、第1の導電部材501は、発光素子503と電気的に接続される上面を有する第1の平坦部501aと、第1の平坦部501aから突出する上面を有する第1の突出部501bとを有する。第2の導電部材502は、導電性ワイヤ505’が接続される第2の平坦部502aと、その第2の平坦部502aから突出する第2の突出部502bとを有する。第1の突出部501bと第2の突出部502bは、少なくともその側面の一部が発光装置500の外表面を形成している。第1の導電部材501と第2の導電部材402の間に、発光素子503からの光を遮光可能な樹脂からなる基体506を有し、更に、その基体506は、基体の底面506aと、第1の突出部501b及び第2の突出部502bを埋設する側壁506bを有している。
【0066】
そして、第1の突出部501b及び第2の突出部502bは、基体の側壁506bのうち、2つの側壁において発光装置500の外表面を形成していることを特徴とする。これにより、発光装置500に凹部S2が形成され、発光装置500の側面側に光が放出されるのを抑制し、凹部S2の開口部方向に向けて光を放出することができ、しかも、2つの側面において外表面を形成するように第1の導電部材501と第2の導電部材502とを設けるため、より安定して回路基板等に実装することができる。
【0067】
さらに、図5Aに示すように、対向する側壁506の外側面F1、F2において外表面を形成するよう第1の導電部材501、第2の導電部材502が形成されるとともに、共通の側壁506の外側面F3において第1の導電部材501と第2の導電部材502とが形成されていることで、この外側面F3側を実装面として回路基板に実装可能な側面発光型の発光装置とすることができる。
【0068】
発光装置500を側面発光型の発光装置として用いる場合、第1の導電部材501と第2の導電部材502は、図5Cに示すように、発光装置500の下面において、外側面Fにおける第1の導電部材501の幅L1と、第2の導電部材502の幅L2とは、略等しい幅となるように設けるのが好ましい。更に、外表面F1、F2における第1の導電部材501の高さH1と第2の導電部材の高さH2とを略等しい高さとなるように設けるのが好ましい。このようにすることで、回路基板への実装時に片方が浮き上るなどの不具合が発生しにくく、安定して実装できる。また、図5Cでは、第2の導電部材は幅L2の部分だけが外表面F3に接しているが、幅L2の部分と切り欠き等を介して外表面F3に接するように設けてもよい。すなわち、図5C中で略中央部分の発光素子が載置されている領域の第2の導電部材502aを、図示はしないが、外表面F3にまで延在する延在部を設けてもよい。このようにすることで、発熱量の多い発光素子からの熱が、より近い位置から、すなわち延在部分を介して回路基板等放熱することができるため、放熱性が向上する。
【0069】
また、実施の形態5では、第1の突出部501bと第2の突出部502bとは、それぞれ金属層が2層になるように設けられており、図4Bで示す実施の形態の第1の突出部401b、第2の突出部402よりも、高さが高くなるように設けられている。このようにすることで、側面発光型の発光装置として用いる際の回路基板の実装面(図5A等における外表面F3)における露出面積をより広くすることができるため、安定して実装できる。
【0070】
尚、実施の形態5においても、実施の形態1等のように、2つの第1の導電部材を設けて正負一対の電極として機能させることができる。また、その他の部材等についても、実施の形態1〜4と同様のものを用いることができる。
【0071】
<製造方法1> 以下、本発明の発光装置の製造方法について、図を用いて説明する。図6A〜図6Cは、発光装置の集合体6000を形成する工程を説明する図であり、この集合体6000を切断することで、実施の形態1において説明した発光装置100を得ることができる。
【0072】
まず、図6A(a)に示すように、金属板などからなる支持基板6070を用意し、この表面にレジスト6080を塗布する。このレジスト6080の厚みによって後に形成される第1の導電部材や第2の導電部材の厚みを調整することができる。用いるレジストはポジ型、ネガ型のいずれを用いてもよい。ここでは、ポジ型のレジストを複数回用いる方法について説明するが、ポジ型、ネガ型を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
塗布したレジストを乾燥させた後、その上部に開口部を有するマスク6090を配置させて、図中の矢印のように紫外線を照射して露光する。ここで用いる紫外線は、レジスト6070の感度等によって適した波長を選択することができる。その後、洗浄することで図6A(b)に示すように開口部Kを有するレジスト6080が形成される。
【0074】
次いで、金属を用いてメッキすることで、図6A(c)に示すようにレジスト6080の開口部K内に第1の導電部材6010と第2の導電部材6020とを形成させる。このとき、メッキ条件を調整することでレジスト6080の膜厚よりも厚くなるようにメッキすることができ、これにより導電部材をレジストの上面にまで形成させ、図1Aに示すような突起部Xを形成させることができる。メッキ後、レジスト6080を洗浄して除去することで、図6A(d)に示すような状態となる。尚この突出部Xは、上記のようなメッキのほか、つぶし加工、印刷後の焼き付け工法などでも形成することができる。
【0075】
図6Bは第1の突出部6081を形成する工程であり、基本的には図6Aで説明した工程の繰り返しとなる。まず、図6B(a)に示すように、図6A(d)で得られたメッキ済みの支持基板6070に更にレジスト6081を塗布し、マスク6091を配置させて紫外線を照射して露光する。このとき、レジスト6081の厚みによって第1の突出部の高さを調整することができる。また、第1の導電部材(第1の平坦部)6010の上に、マスク6090よりも開口部の小さい開口部を有するマスク6091を用いることで、露光・洗浄後に図6B(b)に示すような開口部Lを形成することができる。次いで、図6B(c)に示すようにメッキすることで第1の突出部6011を形成することができ、洗浄によってレジスト6081を除去することで、図6B(d)に示すような第1の突出部6011が形成された第1の導電部材6010が得られる。
【0076】
次いで、図6C(a)に示すように、第2の導電部材6020上に発光素子6030を接合部材(図示せず)を用いて接合し、導電性ワイヤ6050を用いて第1の導電部材6010の平坦部に接続される。その後、発光素子6030、導電性ワイヤ6050を被覆するように封止部材6040を印刷等の方法によって形成する。そして、封止部材6040を硬化後に、図6C(c)に示すように支持基板6070を剥がす。
【0077】
以上のような工程を経て、図6C(d)に示すような発光装置の集合体6000を得ることができる。最後に図6C(d)中の破線で示す部分、すなわち、第1の突出部6011を切断するような位置で切断することで、例えば図1Aに示すような、第1の突出部が発光装置の外表面に形成された発光装置を得ることができる。
【0078】
以上のように、メッキ工程を1度以上の複数回行い、その際に用いるマスク形状を変更することで、所望の位置にのみ膜厚の厚いメッキを行うことができ、この厚いメッキ部分を突出部として用いることができる。
【0079】
<製造方法2> 製造方法2では、発光素子からの光を遮光可能な基体を有する発光装置についての製造方法、更に、メッキ工程を複数回行う方法について説明する。
【0080】
図7Aは、製造方法1の図6B(d)の後に行う工程であり、第1の突出部7011の上に、更に、2層目を形成して、より高さを高くした第1の突出部7011を形成する工程である。尚、最後に切断されるまでは第1の導電部材と第2の導電部材とは一体のものである。
【0081】
まず図7A(a)に示すように、既に形成された第1の突出部の上にレジスト7080を塗布し、その上方に開口部を有するマスク7090を配置して露光する。このとき、マスクの開口部は先に用いたマスクと同じものをもちいることで、同じ幅の第1の突出部を形成することができる。ただし、異なる形状を用いることもできる。
【0082】
レジスト7080を乾燥後、洗浄して除去することで、図7A(b)に示すような開口部Mを有するレジスト7080とすることができる。そして、この開口部M内に露出された第1の突出部7011(第2の突出部7021)の上に、更にメッキすることで2層構造とする。その後、レジスト7080を洗浄して除去することで、図7A(d)に示すような2層構造の第1の突出部7011(第2の突出部7021)を得ることができる。
【0083】
次いで、図7B(a)に示すように、第1の突出部7011(第2の突出部7021)を埋設させるよう、射出成形等によって基体7060bを形成する。これによって凹部S3が形成されることになる。また、このとき、同時に第1の導電部材7010(第2の導電部材7020)の間を埋めるように基体7060aも形成させる。尚、ここでは同時に形成させているが、基体の底面部7060aと側壁7060bとは、別工程で行うこともでき、用いる樹脂も異なるものを用いることができる。
【0084】
基体7060形成後、図7B(b)に示すように発光素子7030を接合部材(図示せず)を用いて第1の導電部材7011上に接合し、導電性ワイヤ7050を用いて第2の導電部材7020上に接続させる。
【0085】
凹部S3内に封止部材7040を設けて発光素子7030等を被覆し、封止部材7040を硬化後、図7B(c)に示すように支持基板7070を剥がす。
【0086】
以上のような工程を経て、図7B(d)に示すような発光装置の集合体7000を得ることができる。最後に図7B(d)中の破線で示す部分、すなわち、第1
の突出部7011(第2の突出部7021)が埋設された基体の側壁7060bを切断するような位置で切断することで、例えば図4Aに示すような、第1の突出部が発光装置の外表面に形成された発光装置を得ることができる。
【0087】
以上のように、メッキ工程を複数回行って、所定の位置に突出部となる膜厚の厚いメッキ部分を設け、更にその突出部を埋設するような基体を設けて切断によって露出させることで、配光特性が制御された発光装置を得ることができる。
【0088】
<その他の製造方法> 第1の突出部、第2の突出部の形成を、上記のようなメッキ法ではなく導電部材の滴下、マスクを用いた蒸着、スパッタ、印刷、或いは、ワイヤボンディング装置等を用いてAuバンプ、Cuバンプを形成する方法、各種プラズマCVD等を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明に係る光半導体装置は、電極となる導電部材を光半導体装置の外部に露出されている領域において高く(厚く)形成できるため、回路基板等への実装時に強固に実装することができる。これらの光半導体装置は、各種表示装置、照明器具、ディスプレイ、液晶ディスプレイのバックライト光源、さらには、デジタルビデオカメラ、ファクシミリ、コピー機、スキャナ等における画像読取装置、プロジェクタ装置、などにも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1A】図1Aは、図1Bに係る発光装置のA−A’断面における断面図及び部分拡大図である。
【図1B】図1Bは、本発明係る発光装置を示す上面図である。
【図2A】図2Aは、図2Bに係る発光装置のB−B’断面における断面図である。
【図2B】図2Bは、本発明に係る発光装置を示す上面図である。
【図3】図3は、本発明に係る発光装置の断面図である。
【図4A】図4Aは、本発明に係る発光装置の内部を示す斜視図である。
【図4B】図4Bは、図4Aに係る発光装置の凹部を封止した状態のC−C’断面における断面図である。
【図5A】図5Aは、本発明に係る発光装置を示す斜視図である。
【図5B】図5Bは、図5Aに係る発光装置の内部を示す上面図である。
【図5C】図5Cは、図5Aに係る発光装置の底面図である。
【図5D】図5Dは、図5Aに係る発光装置のD−D’断面における断面図である。
【図6A】図6Aは、本発明に係る発光装置の製造方法を説明する工程図である。
【図6B】図6Bは、本発明に係る発光装置に製造方法を説明する工程図である。
【図6C】図6Cは、本発明に係る発光装置の製造方法を説明する工程図である。
【図7A】図7Aは、本発明に係る発光装置に製造方法を説明する工程図である。
【図7B】図7Bは、本発明に係る発光装置に製造方法を説明する工程図である。
【符号の説明】
【0091】
100、200、300、400、500・・・発光装置101、101’、201、301、401、501・・・第1の導電部材101a、101a’、201a、301a、301a’、401a、501a・・・第1の平坦部101b、101b’、201b、401b、501b・・・第1の突出部102、202、302、402、502・・・第2の導電部材202a、402a、502a・・・第2の平坦部202b、402b、502b・・・第2の突出部103、203、303、403、503・・・導電部材発光素子104、204、304、404、504・・・封止部材105、105’、205、205’、305、305’405、405’505、505’・・・導電ワイヤ106、406、406a、406b’、506、506a、506b’・・・基体406a、506a・・・基体の底面部406b、506b・・・基体の側壁410・・・保護素子6000、7000・・・発光装置の集合体6010、7010・・・第1の導電部材6011、7011・・・第1の突出部6020、7020・・・第2の導電部材6030、7030・・・発光素子6040、7040・・・封止部材6050、7050・・・導電性ワイヤ6070、7070・・・支持基板6080、6081、7080・・・レジスト6090、6091、7090・・・マスク7060、7060a、7060b・・・基体X・・・突起部S1、S2、S3・・・凹部F1、F2、F3・・・外表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光半導体素子と、 前記光半導体素子と電気的に接続される第1の導電部材と、 該第1の導電部材から離間し、前記光半導体素子が載置される第2の導電部材と、 前記光半導体素子を被覆するとともに、前記第1の導電部材及び第2の導電部材と接する封止部材と、 とを有する光半導体装置であって、 前記第1の導電部材及び第2の導電部材は、それぞれ下面が光半導体装置の外表面を形成し、 前記第1の導電部材は、前記光半導体素子と電気的に接続される上面を有する第1の平坦部と、該第1の平坦部から突出する上面を有する第1の突出部とを有し、 該第1の突出部は、少なくとも側面の一部が光半導体装置の外表面を形成していることを特徴とする光半導体装置。
【請求項2】
前記第2の導電部材は、前記光半導体素子が載置される上面を有する第2の平坦部と、該第2の平坦部から突出する第2の突出部とを有し、該第2の突出部は、少なくとも側面の一部が光半導体装置の外表面を形成している請求項1記載の光半導体装置。
【請求項3】
前記第1の突出部と、前記第2の突出部は、それぞれの上面が略同一平面上に位置する請求項2記載の光半導体装置。
【請求項4】
前記第1の導電部材と前記第2の導電部材の間に、前記光半導体素子からの光を遮光可能な樹脂からなる基体を有する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【請求項5】
前記基体は、前記第1の突出部及び前記第2の突出部が埋設される側壁を有する請求項4記載の光半導体装置。
【請求項6】
前記側壁は、前記光半導体素子の周囲に設けられている請求項5記載の光半導体装置。
【請求項7】
前記第1の突出部及び第2の突出部は、前記側壁のうち、2つの側壁においてそれぞれ光半導体装置の外表面を形成している請求項6記載の光半導体装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2013−102175(P2013−102175A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−281017(P2012−281017)
【出願日】平成24年12月25日(2012.12.25)
【分割の表示】特願2008−202438(P2008−202438)の分割
【原出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】