説明

光反射体およびそれを用いた面光源装置

【課題】ポリオレフィン系樹脂フィルムを反射層として使用した光反射体であって、たわみにくくて、ロールに巻き回すことができ、内蔵式光源の部材として用いても寸法安定性に優れている光反射体を提供すること。
【解決手段】紙材からなる基材層の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂フィルムからなる反射層を設けた光反射体であって、反射層表面における反射率が95〜105%であり、テーバー剛度が0.4〜100mN・mであり、環境温度を20℃から70℃まで変化させたときの寸法変化率が−0.3〜0.3%である光反射体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面光源装置に使用される反射板、および各種照明装置に使用される光反射用の部材として有用な光反射体、並びに該光反射体を用いた面光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光源を内部に配置し、後方より発光させて視認性を高めたバックライト型の液晶ディスプレイや液晶テレビ、電飾看板等が広く普及している。バックライト型の内蔵式光源のうち、エッジライト方式の典型的な構成は図1に示すとおりであり、光反射体11、透明なアクリル板12に網点印刷13を行った導光板14、拡散板15、そして光源16などの部材からなる。光源からの光を導光板で伝え、光反射体で反射させ、拡散板で均一面状の光を形成する。近年は液晶ディスプレイや液晶テレビ等の大型化に伴い、光源の高出力化や光源ランプ数の増加などの改良が図られてきている。また輝度向上のため、光源16は図1のように複数個設置される場合もある。
【0003】
従来から光反射体には、構造体となるハウジングへの白色塗装や、白色ポリエステルフィルム(例えば特許文献1)が使用されることが多かった。ところが、白色塗装では反射光による充分な輝度向上が望めず、また白色ポリエステルフィルムを用いた光反射体の場合は近年の光量の増加により、光反射体の色調の変化(黄変)が問題になることがあった。
【0004】
こうした背景から、反射光により充分な輝度が得られ、光量が増加しても色調の変化が少ない白色ポリオレフィンフィルムを使用することが提案された(例えば特許文献2)。このものはポリオレフィンを主原料とし、延伸成形により内部に微細な空隙を多数形成して、個々の空隙の界面で光反射させることで充分な輝度を得たものである。しかしながら、近年は液晶テレビ等の大型化に合わせて、同白色ポリオレフィンフィルムを大判にしていった際に、剛度(コシ)の不足によりたわみが発生してしまい、輝度ムラを生じる場合があった。そのため、白色ポリオレフィンフィルム自体を厚くしたり、裏打ち材として他の剛性のある樹脂フィルムと貼り合せて剛度を向上させたりすることが提案され(例えば特許文献3)、それぞれ一段は成功した。
【0005】
しかしながら、さらに近年では、液晶テレビ等の画質向上が進んでおり、明部、暗部のコントラスト比向上のために更に高輝度な内蔵式光源が求められて、光源16として従来の冷陰極管から高出力のLEDを用いた製品が主流となりつつある。こうした光源の出力向上に伴って、内蔵式光源を構成する部材はより高熱に晒されるようになっている。
ポリオレフィンやポリエステルに限らず、延伸により成形された白色フィルムは、こうした液晶テレビ等のオンオフに伴う温度変化により寸法変化を起こしてしまい、特に面光源装置内の熱によってたわみが発生してしまうために、適用が困難と思われた。
このため、温度変化に対する寸法安定性を得るために近年の白色ポリエステルフィルムではより厚みを上げて対応する傾向があり、実質的に300μm近くまで厚くなっている。しかしポリエステルに比べて融点が低いポリオレフィンを用いた白色ポリオレフィンフィルムでは、単に厚みをあげたり、或いは他の剛性のある樹脂フィルムと貼り合せたりするだけでは熱による寸法安定性が足りずにたわみが発生し、輝度ムラとなることがあった。
【0006】
一方、光反射体として用いられる白色ポリオレフィンフィルムは通常、長尺のフィルムを巻き回したロール状で供給され、面光源装置を組み立てる工程で任意のサイズに断裁し使用されている。ロール状のフィルムから光反射体を採取した方が、種々の製品に合わせた大きさ・形状を得ることが容易であり、また端材ロスも少ないからである。
過去、光反射体としての白色ポリオレフィンフィルムの剛度向上を課題として、該白色ポリオレフィンフィルムと金属板を貼りあわせたもの(例えば特許文献4)や、白色ポリオレフィンフィルムと熱硬化型樹脂含浸紙を貼りあわせたもの(例えば特許文献5)も提案されている。しかしながらこれらは剛性付与を解決すべき課題としており、金属板や熱硬化型樹脂含浸紙自体は非常に比重が高く、剛度の高すぎるものであることから、これら貼合体はロール状に巻き回すことができずに、枚葉(シート)での供給に限定され、結果として携帯電話等に用いる両面光反射体など製品寸法の小さい用途にのみ有効なものであった。そのため金属板や熱硬化型樹脂含浸紙と貼り合わせたものは、たわみを生じにくい剛性や温度変化に伴う寸法安定性の観点では有利なものの、上記のごとき大型化した液晶テレビ等の光反射体としては自重が大きくなりすぎ、かつ安定供給の観点で不適なものであった。
【0007】
総括すれば、近年大型化、高精細化が進む液晶テレビ等の内蔵式光源に用いられる光反射体には、反射光により充分な輝度が得られる光反射性能のみならず、機内温度環境変化があっても寸法安定性がよく、且つ大型化しても自重で変形したわまない様な高い剛性が必要である。しかし反面この剛性は、光反射体をロールで供給するために巻き回し、また使用時は平面に戻すことが可能な程度に低いことも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−239540号公報
【特許文献2】特開2002−031704号公報
【特許文献3】特開2004−109990号公報
【特許文献4】特開2004−167820号公報
【特許文献5】特開2005−099314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのため本発明では、ポリオレフィン系樹脂フィルムを反射層として使用した光反射体において、光反射体の構造に特徴を持たせて適切な剛度を付与してたわみを改善し、同時にロールで供給することも可能とし、且つ内蔵式光源の部材として用いる際の環境温度変化があっても寸法安定性に優れた光反射体を実現することを課題とした。また、該光反射体を用いた高輝度であり輝度ムラの少ない面光源装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の手段により課題を解決するものである。
即ち本発明は、
[1]紙材からなる基材層の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂フィルムからなる反射層を設けた光反射体であって、反射層表面における反射率が95〜105%であり、テーバー剛度が0.4〜100mN・mであり、環境温度を20℃から70℃まで変化させたときの寸法変化率が−0.3〜0.3%である光反射体に関するものである。
[2]前記紙材は、植物繊維を絡み合わせ膠着させたものを50重量%以上含むものであることが好ましい。
[3]より具体的に前記紙材は、JIS−P0001:1998の定める、アイボリー、アート紙、印刷用紙、OCR用紙、オフセット用紙、加工用紙、カード用厚紙、壁紙原紙、キャストコート紙、クラフト紙、グラビア用紙、軽量コート紙、コート紙、紙器用板紙、上質紙、白板紙、セミ上質紙、中質紙、塗工印刷用紙、塗工紙原紙、難燃紙、バライタ紙、微塗工印刷用紙、防水紙、ミルクカートン原紙よりなる群より選ばれた何れか、またはレジンコート紙を含むことが好ましく、
前記紙材は、不織布、ヤーン、合成紙、樹脂フィルム、熱硬化性樹脂含浸紙を含まないことが好ましい。
【0011】
[4]前記紙材は、そのテーバー剛度は0.1〜100mN・mであることが好ましく、
[5]環境温度を20℃から70℃まで変化させたときの寸法変化率は−0.5〜0.3%であることが好ましく、
[6]密度は0.6〜1.2g/cm3であることが好ましく、
[7]厚みが70〜700μmであることが好ましい。
【0012】
[8]前記ポリオレフィン系樹脂フィルムは、プロピレン系樹脂を含むものであることが好ましい。
[9]より具体的には前記ポリオレフィン系樹脂フィルムが、平均粒径0.05〜1.5μmの無機フィラーおよび平均分散粒径0.05〜1.5μmの有機フィラーの少なくとも一方5〜75重量%を含むことが好ましく、
[10]少なくとも一軸方向に延伸されていることが好ましく、
[11]多層構造であることが好ましい。
【0013】
[12]前記ポリオレフィン系樹脂フィルムは、その反射率が95〜105%であることが好ましく、
[13]密度が0.5g/cm3以上、0.9g/cm3未満であることが好ましく、
[14]厚みが30〜500μmであることが好ましい。
[15]本発明の光反射体は、ロール状に巻き回して取り扱うことが可能である。
また本発明は、
[16]前記[1]〜[15]の何れかに記載の光反射体を用いた面光源装置を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光反射体によれば、近年大型化、高精細化が進む液晶テレビ等の内蔵式光源に用いた場合であっても、適切な剛度によりたわみを改善し、且つ環境温度変化があっても優れた寸法安定性により輝度ムラを改善することができる。同時に本発明の光反射体はロールで供給することも可能である。また本発明の光反射体を用いた面光源装置は、高輝度であり輝度ムラは少なく、大型化や高精細化に対応可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】エッジライト方式の内蔵式光源の一例の断面図である。
【図2】本発明の光反射体の一様態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下において、本発明の光反射体の形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本発明において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
【0017】
[光反射体]
本発明の光反射体は、紙材からなる基材層の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂フィルムからなる反射層を設けたものである。
該光反射体は反射層表面における反射率が95〜105%の範囲内であり、そのテーバー剛度が0.4〜100mN・mの範囲内であり、環境温度を20℃から70℃まで変化させたときの寸法変化率が−0.3〜0.3%の範囲内であることを特徴とする。
該光反射体の反射層表面における反射率が95%未満である場合は、これを用いた面光源装置の輝度が低くなる傾向にある。本構成の光反射体において105%を超える反射率は得がたい。
該光反射体のテーバー剛度が0.4mN・m未満である場合は、これを大型の面光源装置に用いた際にたわみが発生しやすい傾向にある。逆に100mN・mを超えては、これを巻き回してロール状とするのが困難になる傾向がある。
該光反射体の環境温度を20℃から70℃まで変化させたときの寸法変化率が−0.3〜0.3%の範囲外である場合は、寸法変化が大きく面光源装置の使用時にたわみが発生しやすい傾向にある。
該光反射体は、その反射層表面における反射率が96〜100%の範囲内であることが好ましい。またそのテーバー剛度が1〜60mN・mの範囲内であることが好ましい。また、環境温度を20℃から70℃まで変化させたときの寸法変化率が−0.2〜0.2%の範囲内であることが好ましい。
【0018】
[紙材]
紙材は、本発明の光反射体における基材層として、適切な剛度を付与し、且つ寸法安定性を向上させるものである。
該紙材は、植物繊維(一般的にはパルプなど)を絡み合わせ膠着させたものを主として含む(一般的には重量比で紙材の過半量を占め、好ましくは50重量%以上を占め、より好ましくは70重量%以上を占め、特に好ましくは80重量%以上を占める)ものであり、具体例としてはJIS−P0001:1998の定める、アイボリー、アート紙、印刷用紙、OCR用紙、オフセット用紙、加工用紙、カード用厚紙、壁紙原紙、キャストコート紙、クラフト紙、グラビア用紙、軽量コート紙、コート紙、紙器用板紙、上質紙、白板紙、セミ上質紙、中質紙、塗工印刷用紙、塗工紙原紙、難燃紙、バライタ紙、微塗工印刷用紙、防水紙、ミルクカートン原紙よりなる群より選ばれた何れか、またはレジンコート紙などが挙げられる。
このような紙材は商業的に入手することが可能であり、具体例として、例えば王子製紙社製の「OKトップコート」、「OKエルカード」、「金藤」、王子特殊紙社製の「マシュマロ」等を挙げることができる。
【0019】
本発明者らは過去に、ポリオレフィン系樹脂フィルムからなる光反射体の剛度向上を目的に、裏打ち材として金属板、織布、不織布、ヤーン、合成紙、樹脂フィルム、熱硬化性樹脂含浸紙等の様々な素材を検討してきた。
しかしながら、裏打ち材に織布、不織布、ヤーン、合成紙などを用いたものは引き裂き耐性を向上できるものの、ポリオレフィン系樹脂フィルム自体の厚みを上げる程度にしか剛性を改善できず不十分であった。ここで「合成紙」とは充填材を含む合成樹脂よりなるフィルムを延伸して内部に多数の空孔を形成し白化させた樹脂延伸フィルムを指す。
一方、裏打ち材に金属板や熱硬化性樹脂含浸紙などを用いたものは光反射体に極めて高い剛性を付与できる反面、剛性が高すぎるために打抜や付形などの加工は困難であり、巻き回してロール状とすることや、ロール状としたものから平面状に戻すことが困難であった。またこれらは比重が大きいために大型化すると一部材としても重量が増大する傾向にあった。結果これらは、面光源装置を組み立てる工程において非常に作業性が悪いものとなり、携帯用機器などに搭載される小型の液晶表示装置にのみ有効なものであった。
【0020】
裏打ち材に厚手のPETフィルム等の樹脂フィルムを用いたものは、適度な剛度を付与することが可能であり、大型化に際してもたわみを生じず、巻き回してロール状とすることも可能であり、後段の加工も容易である光反射体を提供できた。しかしながら、近年高精細化が進む液晶テレビ等の内蔵式光源の部材としては、機内環境温度の上昇に伴い収縮ないし線膨張して寸法が変化し、結果的にたわみを生じてしまうことがあり、熱に対する寸法安定性の観点で不十分なものとなっていた。
【0021】
そこで本発明者らは、ポリオレフィン系樹脂フィルムからなる光反射体の裏打ち材として、適度な剛度を付与することが可能であり、熱に対する寸法安定性の優れたものを模索検討した結果、紙材を使用することに想到した。紙材、特に植物繊維を絡み合わせ膠着させたものは、熱に対して優れた寸法安定性を有しており、例えば電子写真印刷(一般的にはコピーやレーザープリント)等において、トナーが溶融する温度条件下であっても紙材自体の変形はないことから、印刷される絵柄はずれることがない。本発明者らにおけるこうした着想は、出願人の事業形態があって始めて得られたものである。
【0022】
本発明の光反射体を構成する紙材として好ましいものは、木材、草、藁、竹などから得た植物繊維を用いてこれらを主として含むものであり、より好ましくはこれらの繊維長が比較的長いものであり、より好ましくは植物繊維を蒸解して得られた化学パルプを用いたものであり、より好ましくはこれらの植物繊維を紙力増強剤により比較的高度に絡み合わせて膠着させて、抄紙したものであり、またこれら抄紙したものにポリエチレン等の樹脂を塗工したレジンコート紙である。
【0023】
本発明の光反射体における基材層として用いる該紙材は、上述の様に光反射体の剛度と寸法安定性に寄与するものであることから、そのテーバー剛度が0.1〜100mN・mの範囲内であることが好ましく、0.5〜50mN・mの範囲内であることがより好ましい。紙材のテーバー剛度が0.1mN・m以上であれば、光反射体のテーバー剛度0.4mN・m以上を達成しやすくて、たわみも発生しにくくなる傾向にある。また、100mN・m以下であれば、光反射体を巻き回してロール状とするのが容易になる傾向がある。
また、環境温度を20℃から70℃まで変化させたときの該紙材の寸法変化率は−0.5〜0.3%の範囲内であることが好ましく、−0.4〜±0%の範囲内であることがより好ましい。紙材の寸法変化率が−0.5〜0.3%の範囲内であれば、ポリオレフィン系樹脂フィルムと組み合わせた光反射体の寸法変化率を−0.3〜0.3%の範囲内に調整しやすくなる傾向がある。
【0024】
また、本発明の光反射体における基材層として用いる該紙材は、その密度が0.6〜1.2g/cm3の範囲内であることが好ましく、0.7〜1.1g/cm3の範囲内であることがより好ましい。紙材の密度が0.6g/cm3以上であれば、紙材の剛度を担保しやすくなる傾向がある。また、1.2g/cm3以下であれば、光反射体の重量が重すぎることもなく、取り扱いが容易になる傾向がある。
また、該紙材の厚みは70〜700μmの範囲内であることが好ましく、100〜600μmの範囲内であることがより好ましい。紙材の厚みが70μm以上であれば、紙材の剛度を充分に担保しやすくなる傾向がある。また、700μm以下であれば、光反射体の重量が重すぎることもなく、また剛度も適度で取り扱いが容易になる傾向がある。
【0025】
[ポリオレフィン系樹脂フィルム]
ポリオレフィン系樹脂フィルムは、本発明の光反射体における反射層として光反射性能を付与し、面光源装置の高輝度を実現するものである。
該ポリオレフィン系樹脂フィルムとしては、プロピレン系樹脂を含むものであることが好ましく、また平均粒径0.05〜1.5μmの無機フィラーおよび平均分散粒径0.05〜1.5μmの有機フィラーの少なくとも一方を5〜75重量%含むことが好ましく、また少なくとも一軸方向に延伸されていることが好ましく、その反射率が95〜105%であることが好ましい。
【0026】
(ポリオレフィン系樹脂)
該ポリオレフィン系樹脂フィルムに使用することができるポリオレフィン系樹脂フィルムの種類は特に制限されない。ポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。これらの中でも、光源光による色調の変化(黄変)が少なく、また耐薬品性や生産コストが優れる等の観点からプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。
該プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体や、主成分であるプロピレンと、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン,4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとの共重合体を用いることができる。
該プロピレン系樹脂の立体規則性は特に制限されず、アイソタクティックないしはシンジオタクティック及び種々の程度の立体規則性を示すものを用いることができる。また該プロピレン系樹脂が共重合体である場合は、2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
【0027】
このようなポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂フィルムに25〜95重量%で使用することが好ましく、30〜90重量%で使用することがより好ましい。ポリオレフィン系樹脂フィルムにおけるポリオレフィン系樹脂の含有量が25重量%以上であれば、基材層とともに剛性を向上しやすく、また後述する延伸成形時に破断しにくくなる傾向がある。また95重量%以下であれば、後述する延伸成形時に充分な空孔数が得られやすく、高い反射率を実現しやすくなる傾向がある。
特に本発明では、ポリオレフィン系樹脂として前記のプロピレン系樹脂を主として使用することが好ましい。具体的には、プロピレン系樹脂をポリオレフィン系樹脂中に50〜100重量%の割合で含有させることが好ましく、70〜95重量%の割合で含有させることがより好ましい。
【0028】
(フィラー)
該ポリオレフィン系樹脂フィルムには、主に空孔を形成する目的から、ポリオレフィン系樹脂とともにフィラーを含有させることが好ましい。該フィラーとしては、各種の無機フィラーや有機フィラーを挙げることができる。
該無機フィラーとしては、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、焼成クレー、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、珪藻土等を例示することができる。また、上記無機フィラーに種々の表面処理剤を用いて表面処理を施した表面処理品も例示することができる。中でも重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、クレー、珪藻土、及びそれらの表面処理品を使用すれば安価で延伸時の空孔形成性がよいために好ましい。特に好ましいのは、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウムの表面処理品である。
【0029】
表面処理剤としては、例えば樹脂酸、脂肪酸、有機酸、硫酸エステル型陰イオン界面活性剤、スルホン酸型陰イオン界面活性剤、石油樹脂酸、これらの酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム等の塩、または、これらの脂肪酸エステル、樹脂酸エステル、ワックス、パラフィン等が好ましく、非イオン系界面活性剤、ジエン系ポリマー、チタネート系カップリング剤、シラン系カップリング剤、燐酸系カップリング剤等も好ましい。前記硫酸エステル型陰イオン界面活性剤としては、例えば長鎖アルコール硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、硫酸化油等あるいはそれらのナトリウム、カリウム等の塩が挙げられ、スルホン酸型陰イオン界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、パラフィンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキルスルホコハク酸等あるいはそれらのナトリウム、カリウム等の塩が挙げられる。また、前記脂肪酸としては、例えばカプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヘベン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸等が挙げられる。前記有機酸としては、例えばマレイン酸、ソルビン酸等が挙げられる。前記ジエン系ポリマーとしては、例えばポリブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。前記非イオン系界面活性剤としてはポリエチレングリコールエステル型界面活性剤等が挙げられる。これらの表面処理剤は1種類または2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの表面処理剤を用いた無機フィラーの表面処理方法としては、例えば、特開平5−43815号公報、特開平5−139728号公報、特開平7−300568号公報、特開平10−176079号公報、特開平11−256144号公報、特開平11−349846号公報、特開2001−158863号公報、特開2002−220547号公報、特開2002−363443号公報などに記載の方法が使用できる。
【0030】
該有機フィラーとしては、本発明で使用するポリオレフィン系樹脂の融点またはガラス転移点よりも、高い融点またはガラス転移点(例えば、120〜300℃)を有するものを好ましく使用することができる。例えば、有機フィラーとしてポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、メラミン樹脂、環状オレフィン単独重合体、環状オレフィンとエチレンとの共重合体、ポリエチレンスルフィド、ポリイミド、ポリエチルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、アクリル系樹脂(架橋アクリルビーズ)等を例示することができる。中でも、使用するポリオレフィン系樹脂に対して非相溶性の有機フィラーを使用するのが、空孔形成の観点から好ましい。
該ポリオレフィン系樹脂フィルムには、無機フィラーまたは有機フィラーの中から1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、有機フィラーと無機フィラーを混合して使用してもよい。
【0031】
本発明に用いうる無機フィラーの平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒子計測装置「マイクロトラック」(株式会社日機装製、商品名)により測定した累積で50%にあたる粒子径(累積50%粒径)の測定(マイクロトラック法)や、走査型電子顕微鏡による一次粒径の観察(例えば粒子100個の平均値を平均粒径とする)や、比表面積からの換算(例えば(株)島津製作所製の粉体比表面積測定装置SS−100を使用し比表面積を測定して換算する)などにより求めることができる。本発明では電子顕微鏡観察およびマイクロトラック法を用いた。
本発明に用いうる有機フィラーの平均分散粒径は、例えば、有機フィラーが溶融混練によりポリオレフィン系樹脂中に分散した状態での該樹脂フィルム断面を、走査型電子顕微鏡により分散粒子の少なくとも10個を観察して、その粒径(長径)の平均値として求める方法を用いた。
【0032】
後述するポリオレフィン系樹脂フィルムの延伸成形により、発生させる空孔サイズを調整するため、該ポリオレフィン系樹脂フィルムに添加する前記無機フィラーの平均粒径、または前記有機フィラーの平均分散粒径は、それぞれが0.05〜1.5μmの範囲内であることが好ましく、それぞれが0.1〜1μmの範囲内であることがより好ましい。
平均粒径または平均分散粒径が0.05μm以上のフィラーを用いれば、所望の空孔が得られやすく本発明の光反射体を用いた面光源装置の輝度が高くなる傾向がある。また、平均粒径または平均分散粒径が1.5μm以下のフィラーを用いれば、空孔サイズがより均一となり高反射率が得られやすくなる傾向がある。
【0033】
後述するポリオレフィン系樹脂フィルムの延伸成形により、発生させる空孔量を調整するため、該ポリオレフィン系樹脂フィルムに添加する前記フィラーの配合量は、5〜75重量%の範囲内であることが好ましく、10〜70重量%の範囲内であることがより好ましい。例えばフィラーの配合量は、15〜50重量%とすることができ、18〜42重量%とすることができる。
フィラーの配合量が5重量%以上であれば充分な空孔数が得られやすくなる傾向があり、本発明の光反射体を用いた面光源装置の輝度が高くなる傾向がある。また、フィラーの配合量が75重量%以下であれば十分なポリオレフィン系樹脂フィルムの強度が得られやすくなり、その延伸成形時に破断を防ぎやすくなる傾向がある。
【0034】
(その他の成分)
ポリオレフィン系樹脂フィルムを構成する主要なポリオレフィン系樹脂がプロピレン系樹脂の場合、延伸性を改良するために、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル等のプロピレン系樹脂より低融点の樹脂を3〜25重量%配合してもよい。
ポリオレフィン系樹脂フィルムには必要に応じて、蛍光増白剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤(光安定剤)、紫外線吸収剤、染料、顔料、帯電防止剤、分散剤、滑剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、可塑剤、結晶核剤などの各種公知の添加剤を本発明の主旨を逸脱しない範囲で配合するのが好ましい。
熱安定剤としては、立体障害フェノール系やリン系、アミン系等の安定剤を0.001〜1重量%、紫外線安定剤(光安定剤)としては、立体障害アミン系やベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系などの安定剤を0.001〜1重量%、無機フィラーの分散剤としては、シランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ないしはそれらの塩等を0.01〜4重量%配合してもよい。
【0035】
[ポリオレフィン系樹脂フィルムの製造方法]
一般的に樹脂延伸フィルムは、その樹脂組成物を、押出機を用いて溶融混練し、溶融物を押出機からシート状に押し出し、該溶融物を冷却ロール上で冷却し固化して樹脂シートを得た後に、これを延伸することで得ることができる。本発明で用いるポリオレフィン系樹脂フィルムは、空孔形成や均一な厚みを得る目的から、少なくとも一軸方向に延伸された樹脂延伸フィルムを含むことが好ましく、ポリオレフィン系樹脂フィルムを製造する方法は、少なくとも一軸方向への延伸工程を含むことが好ましく、縦延伸及び横延伸を行う二軸延伸工程を含むことがより好ましい。
前記延伸工程では、一般的な一軸延伸方法や二軸延伸方法が使用できる。具体例としてはスクリュー型押出機に接続された単層または多層のTダイやIダイを使用して溶融樹脂をシート状に押し出した後、ロール群の周速差を利用した縦延伸で一軸延伸する方法、さらにこの後にテンターオーブンを使用した横延伸を組み合わせた二軸延伸方法や、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせ、あるいはテンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時2軸延伸方法などが挙げられる。なお本明細書中、縦延伸とはMD(マシン・ディレクション)方向への延伸を表し、横延伸とはMD方向に直交するシート幅方向への延伸を表す。
【0036】
また、本発明で用いるポリオレフィン系樹脂フィルムは、単層構造のみならず、2層以上の層を有する多層構造であっても良い。
これら多層構造を有するポリオレフィン系樹脂フィルムの製造方法としては、個々の樹脂組成物の溶融原料を、多層のTダイやIダイを使用して共押出する方法や、多数のダイを使用してラミネートする方法、個別に製造したフィルムをドライラミネーション等の手法により積層する方法などが挙げられる。また、得られた積層体を更に延伸成形しても良い。例としてポリオレフィン系樹脂フィルムが表面層/支持層/表面層の多層構造を有する場合、これらの層の延伸軸数は全て一軸延伸でも良く、全て二軸延伸でも良く、一軸/二軸/一軸など異なる延伸軸数を有するものでも良い。
前記ポリオレフィン系樹脂フィルムが二軸延伸の場合、全ての層を積層後に二軸延伸してもよいが、支持層の一軸方向の延伸(例えば縦延伸)が終了したのちに、この両面に表面層の溶融原料を押し出し貼合して多層構造とし、これを更に異なる軸方向に延伸(例えば横延伸)して、支持層のみ二軸延伸したポリオレフィン系樹脂フィルムを製造する方法も挙げられる。
【0037】
該ポリオレフィン系樹脂フィルム中に発生させる空孔の大きさを調整するために、前記延伸工程における面積延伸倍率は1.3〜80倍の範囲が好ましく、より好ましくは7〜70倍の範囲、特に好ましくは22倍〜65倍、最も好ましくは25〜60倍とする。面積延伸倍率が1.3〜80倍の範囲内であれば、微細な空孔が得られやすく、反射率の低下も抑えやすい。なお、本明細書中、面積延伸倍率とは、縦延伸倍率×横延伸倍率で表される倍率である。
【0038】
該ポリオレフィン系樹脂フィルムを延伸する際の延伸温度は、本発明で用いるポリオレフィン系樹脂の融点よりも低い温度とすることが好ましい。同温度条件とすることで、ポリオレフィン系樹脂フィルムにはフィラーを核とした空隙が形成される。
より詳細に該延伸温度は、使用するポリオレフィン系樹脂の融点より2〜60℃低い温度、ガラス転移点より2〜60℃高い温度であることが好ましい。
具体的には、使用するポリオレフィン系樹脂がプロピレン系樹脂(融点155〜167℃)のとき延伸温度は95〜165℃の範囲内であることが好ましい。また、前記延伸工程における延伸速度は20〜350m/分の範囲内であることが好ましい。
得られたポリオレフィン系樹脂フィルムは、必要により熱処理(アニーリング処理)を行い、結晶化の促進や、該フィルムの熱収縮率低減などを図ることもできる。
【0039】
本発明の光反射体における反射層として用いる該ポリオレフィン系樹脂フィルムは、光反射体の反射率に寄与するものであることから、その反射率が95〜105%の範囲内であることが好ましく、96〜100%の範囲内であることがより好ましい。ポリオレフィン系樹脂フィルムの反射率が95%以上であれば、光反射体の所望の光反射性能を達成しやすくなる傾向にある。105%を超えるポリオレフィン系樹脂フィルムは、現状(上記)の配合や成形方法では得にくい傾向にある。
【0040】
また、本発明の光反射体における反射層として用いる該ポリオレフィン系樹脂フィルムは、その密度が0.5g/cm3以上、0.9g/cm3未満であることが好ましく、0.55〜0.8g/cm3の範囲内であることがより好ましい。ポリオレフィン系樹脂フィルムの密度が0.5g/cm3以上であれば、ポリオレフィン系樹脂フィルムの強度が得られやすくなり、その延伸成形時に破断を防ぎやすくなる傾向がある。また、0.9g/cm3以下であれば、ポリオレフィン系樹脂フィルムの高反射率を維持しやすく、光反射体の重量が重すぎることもないので取り扱いやすくなる傾向がある。
該ポリオレフィン系樹脂フィルムの厚みは30〜500μmの範囲内であることが好ましく、50〜400μmの範囲内であることがより好ましい。ポリオレフィン系樹脂フィルムの厚みが30μm以上であれば、ポリオレフィン系樹脂フィルムを透過する光量が過度に増加することもなく、所望の光反射率を達成しやすくなる傾向がある。また、500μm以下であれば、光反射体の重量が重すぎることもなく、また剛度も適度で取り扱いやすくなる傾向がある。
【0041】
[積層]
本発明の光反射体は、紙材からなる基材層の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂フィルムからなる反射層を設けたものである。従って本発明の光反射体は、反射層/基材層、または反射層/基材層/反射層を含む積層構造を有する。通常反射層は片面で足りるが、両面に貼合すればカールを防ぐことができ、より取り扱いやすい傾向がある。
紙材へのポリオレフィン系樹脂フィルムの積層は、従来公知のラミネート法を採用することができる。例えば、溶剤系の接着剤を用いたドライラミネート法、水溶性の接着剤を用いたウェットラミネート法、加熱軟化したホットメルト接着剤を用いたホットメルトラミネート法、加熱溶融した樹脂を用いた押出しラミネート法など、何れも使用可能である。紙材またはポリオレフィン系樹脂フィルムが接合面にヒートシール性樹脂層を有するものであれば、サーマルラミネート法も使用できる。ポリオレフィン系樹脂フィルムへの熱履歴を極力抑える目的や、手法の容易さからドライラミネート法またはウェットラミネート法を用いることが好ましい。
これら反射層と基材層を積層後の本発明の光反射体は、そのまま巻き取り、ロール状とすることができる。また本発明の光反射体は、面光源装置用の光反射体として好適に用いることができる。
【実施例】
【0042】
以下に製造例、実施例、比較例および試験例を用いて、本発明を更に具体的に説明する。以下に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。なお、本発明の実施例、比較例で用いた紙材を表1にまとめて示す。
【0043】
【表1】

【0044】
[ポリオレフィン系樹脂フィルムの製造例]
(製造例1〜4)
表2に記載の材料を表3に記載の配合比率で混合した支持層(a)用組成物を250℃に設定した押出機を用いて溶融混練した。その後これをシート状に押し出し、冷却ロールで約60℃まで冷却することによって支持層(a)を得た。この支持層(a)を145℃に再加熱して、多数のロール群の周速差を利用して縦方向に表3に記載の倍率で延伸した。次いで、表2に記載の材料を表3に記載の配合比率で混合した表面層(b)用組成物を250℃に設定した押出機を用いて溶融混練し、上記で得られた基材層(a)の両面に溶融押し出しして、表面層(b)/支持層(a)/表面層(b)となるように積層して積層物を得た。次いで、この積層物を160℃に再加熱して、テンターを利用して横方向に表3に記載の倍率で延伸した。その後、160℃でアニーリング処理をした後、60℃まで冷却し、耳部をスリットして、表3に記載の厚みを有する三層構造のポリオレフィン系樹脂フィルムを得た。
【0045】
(製造例5)
表2に記載の材料を表3に記載の配合比率で混合した支持層(a)用組成物、および表2に記載の材料を表3に記載の配合比率で混合した表面層(b)用組成物を、それぞれ250℃に設定した3台の押出機を用いて溶融混練した。次いでこれらの組成物を多層ダイ内で表面層(b)/支持層(a)/表面層(b)となるように積層し、これをシート状に押し出し、冷却ロールで約60℃まで冷却することによって積層物を得た。この積層物を145℃に再加熱して、多数のロール群の周速差を利用して縦方向に表3に記載の倍率で延伸した。次いで、この積層物を160℃に再加熱して、テンターを利用して横方向に表3に記載の倍率で延伸した。その後、160℃でアニーリング処理をした後、60℃まで冷却し、耳部をスリットして、表3に記載の厚みを有する三層構造のポリオレフィン系樹脂フィルムを得た。
【0046】
(製造例6)
市販の合成紙(ユポ・コーポレーション製、商品名:FPG200)をポリオレフィン系樹脂フィルムとした。
【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
[光反射体の製造]
(実施例1〜8、比較例1〜4)
表1に記載の紙材(基材層)、および上記製造例で得たポリオレフィン系樹脂フィルム(反射層)を表4に記載の組合せで用い、ポリオレフィン系樹脂フィルムの片面に、ポリエーテルウレタン系接着剤(東洋モートン(株)製 、商品名:TM−317)60重量部およびポリイソシアネート系硬化剤(東洋モートン(株)製、商品名:CAT−11B)40重量部からなる接着剤塗料を乾燥後固形分が4g/m2となるように塗工し、これに60℃で1分間乾燥させ、接着層を設けた。次いでこれを紙材の片面に重ねあわせ、圧着ロールを用いて圧着し、反射層/基材層の2層構造からなる光反射体を得た。
実施例4においては、高密度ポリエチレンのラミネート層が外側となるように積層して、反射層/基材層/ラミネート層の3層構造からなる光反射体を得た。
【0050】
(実施例9〜12)
表1に記載の紙材(基材層)、および上記製造例で得たポリオレフィン系樹脂フィルム(反射層)を表4に記載の組合せで用い、ポリオレフィン系樹脂フィルムの片面に、ポリエーテルウレタン系接着剤(東洋モートン(株)製 、商品名:TM−317)60重量部およびポリイソシアネート系硬化剤(東洋モートン(株)製、商品名:CAT−11B)40重量部からなる接着剤塗料を乾燥後固形分が4g/m2となるように塗工し、これに60℃で1分間乾燥させ、接着層を設けた。次いでこれを紙材の両面に重ねあわせ、圧着ロールを用いて圧着し、反射層/基材層/反射層の3層構造からなる光反射体を得た。
【0051】
(比較例5)
表1に記載の紙材の製造例2のみを用いて(反射層を積層せず)、光反射体とした。
【0052】
(比較例6)
ポリオレフィン系樹脂フィルムの製造例3で得たもののみを用いて(基材層には積層せず)、光反射体とした。
【0053】
[試験例]
(テーバー剛度)
各製造例で得た紙材、および各実施例、比較例で得た光反射体につき、JIS P8125:2000のこわさ試験方法に従い、テーバーこわさ試験機(熊谷理器工業(株)製、商品名:テーバーステフネステスター)を用いてテーバー剛度を測定した。結果を表1および表4に示す。
【0054】
(環境温度を20℃から70℃まで変化させたときの寸法変化率)
各製造例で得た紙材、および各実施例、比較例で得た光反射体を、幅4mm、長さ20mmのサンプルサイズに断裁し、熱機械分析装置(セイコー電子(株)社製、商品名:TMA120C)を用いて、荷重5g、昇温速度5℃/minの条件下で、20℃から70℃まで昇温させたときの寸法変化率を測定した。結果を表1および表4に示す。
【0055】
(ポリオレフィン系樹脂フィルムの反射率)
各製造例で得たポリオレフィン系樹脂フィルムの表面層(b)側における反射率と、各実施例、比較例で得た光反射体の反射層表面における反射率は、直径150mmの積分球を搭載した分光光度計((株)日立製作所製、商品名:U−3310)を用いて、JIS−Z8722条件d記載の方法に従って、波長550nmでの反射率として測定した。測定結果は、基準板として付属の酸化アルミニウム白板の反射率を100%としたときの相対反射率として表した。結果を表3および表4に示す。
なお、実施例11の光反射体における反射率は、製造例2の反射層側の表面で測定した。
【0056】
(厚み、密度)
各製造例で得た紙材およびポリオレフィン系樹脂フィルムの厚み、密度は、JIS−P8118:1998に従い測定した。ポリオレフィン系樹脂フィルムにおける各層の厚みは、電子顕微鏡を用いて各フィルムの断面を観察し、外観より層間の界面を判断し、上で求めた全体厚みと各層の厚み比率から算出した。結果を表1および表3に示す。
【0057】
【表4】

【0058】
[面光源装置の製造]
(実施例13)
32インチ型のLEDエッジライト型大型液晶テレビ((株)東芝製、商品名:レクザ 32RE1W)の面光源装置を用いて、これより光反射体を除き、代わりに各実施例で得た光反射体を設置して、面光源装置を得た。
製造された面光源装置は、いずれも高輝度であり、輝度ムラは認められなかった。
【0059】
[本発明の実施例の利点]
実施例の光反射体は、白色ポリエステルフィルムからなる従来の光反射体(例えば特開平4−239540号公報参照)とは異なり、光量が増加しても色調の変化が少ないという利点がある。また、実施例の光反射体は、白色ポリオレフィンフィルムからなる従来の光反射体(例えば特開2002−031704号公報および特開2004−109990号公報参照)とは異なり、大判にしてもたわみが発生しにくくて、輝度ムラも生じにくいという利点がある。さらに、実施例の光反射体は、白色ポリオレフィンフィルムに他の剛性のある樹脂フィルムを裏打ち材として貼り合せた従来の光反射体(例えば特開2004−109990号公報参照)とは異なり、熱による寸法変化が小さい。このため、オンオフに伴う温度変化が頻繁に生じる液晶テレビ等に適用しても、たわみが発生しにくく、輝度ムラも生じにくいという利点がある。
【0060】
また、実施例の光反射体は、問題なくロール状に巻き回すことができる。また、巻き回してロール状にした光反射体を再び引き出し、所望のサイズに切断したり加工したりすることも可能である。白色ポリオレフィンフィルムと金属板を貼りあわせた従来の光反射体(例えば特開2004−167820号公報参照)や、白色ポリオレフィンフィルムと熱硬化型樹脂含浸紙を貼りあわせた従来の光反射体(例えば特開2005−099314号公報参照)は、ロール状に巻き回すことができないため応用用途が限られていた。本発明の光反射体は、これらの従来の光反射体では事実上適用することができなかった大型液晶テレビ用に安定に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
11 光反射体
12 アクリル板
13 網点印刷
14 導光板
15 拡散板
16 光源
21 光反射体
22 基材層
23 反射層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙材からなる基材層の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂フィルムからなる反射層を設けた光反射体であって、反射層表面における反射率が95〜105%であり、テーバー剛度が0.4〜100mN・mであり、環境温度を20℃から70℃まで変化させたときの寸法変化率が−0.3〜0.3%である光反射体。
【請求項2】
前記紙材が、植物繊維を絡み合わせ膠着させたものを50重量%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の光反射体。
【請求項3】
前記紙材が、JIS−P0001:1998の定める、アイボリー、アート紙、印刷用紙、OCR用紙、オフセット用紙、加工用紙、カード用厚紙、壁紙原紙、キャストコート紙、クラフト紙、グラビア用紙、軽量コート紙、コート紙、紙器用板紙、上質紙、白板紙、セミ上質紙、中質紙、塗工印刷用紙、塗工紙原紙、難燃紙、バライタ紙、微塗工印刷用紙、防水紙、およびミルクカートン原紙よりなる群より選ばれた何れか、またはレジンコート紙を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光反射体。
【請求項4】
前記紙材のテーバー剛度が0.1〜100mN・mであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の光反射体。
【請求項5】
環境温度を20℃から70℃まで変化させたときの前記紙材の寸法変化率が−0.5〜0.3%であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の光反射体。
【請求項6】
前記紙材の密度が0.6〜1.2g/cm3であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の光反射体。
【請求項7】
前記紙材の厚みが70〜700μmであることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の光反射体。
【請求項8】
前記ポリオレフィン系樹脂フィルムが、プロピレン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の光反射体。
【請求項9】
前記ポリオレフィン系樹脂フィルムが、平均粒径0.05〜1.5μmの無機フィラーおよび平均分散粒径0.05〜1.5μmの有機フィラーの少なくとも一方5〜75重量%を含むことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の光反射体。
【請求項10】
前記ポリオレフィン系樹脂フィルムが、少なくとも一軸方向に延伸されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の光反射体。
【請求項11】
前記ポリオレフィン系樹脂フィルムが、多層構造であることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の光反射体。
【請求項12】
前記ポリオレフィン系樹脂フィルムの反射率が95〜105%であることを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の光反射体。
【請求項13】
前記ポリオレフィン系樹脂フィルムの密度が0.5g/cm3以上、0.9g/cm3未満であることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の光反射体。
【請求項14】
前記ポリオレフィン系樹脂フィルムの厚みが30〜500μmであることを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載の光反射体。
【請求項15】
前記光反射体がロール状に巻き回されることを特徴とする請求項1〜14の何れか一項に記載の光反射体。
【請求項16】
請求項1〜15の何れか一項に記載の光反射体を用いた面光源装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−133155(P2012−133155A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285463(P2010−285463)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000122313)株式会社ユポ・コーポレーション (73)
【Fターム(参考)】