説明

光学フィルムの製造方法及び光学フィルム

【課題】 光学フィルムを巻き取った際の巻き締まりや貼り付きなどの巻き不良をなくし、かつ光学フィルムのシワの発生を抑制することにある。
【解決手段】 ウェブ状の透明基材10上にハードコート層12を備える光学フィルムの製造方法であって、両端部側にナール部10Aを施し、該両ナール部間を平坦部10Bとした前記ウェブ状の透明基材10に対し、電離放射線硬化型材料を含むハードコート層形成用塗液を、前記平坦部10B及び前記ナール部10Aを含むように塗布して塗膜を形成する工程と、この形成された塗膜に対し、照射量が平坦部10Bよりもナール部10Aで大きくなるように電離放射線を照射し、塗膜を硬化させたハードコート層を形成する工程とを順に設けた光学フィルムの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ状の透明基材上にハードコート層を備える光学フィルムの製造方法及び光学フィルムに係り、特にロールに巻き取られる長巻の透明基材の表面にロール・ツー・ロール方式で形成されるハードコート層を備える光学フィルムの製造方法及び光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CRTの他、液晶テレビ、プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ等の種々の表示装置が開発されてきており、それら表示装置の画面サイズも大型化してきている。その結果、大画面化及び高画質化に伴い、その視認性を改善するために表示装置の前面側に反射防止層等を形成した光学フィルムを貼り付けることが行われている。また、大画面の表示装置では、画面に直接手が触れたり、物が接触したりすることがあり、傷が付き易い問題がある。
【0003】
そこで、通常,傷付き防止の観点から、透明基材上にハードコート層を形成し、その上に反射防止層等を形成したハードコート層付き反射防止フィルムが用いられてきている。
【0004】
反射防止フィルムとしては、特に画面の大サイズ化により幅1m以上といった幅広フィルムが必要となってきている。しかし、上記のように幅広のフィルムとなった場合、反射性能、着色度、位相差性能、視野拡大性能等に関して、色むらや周期的なむらが発生することから、光学フィルム巻き取り時の巻外と巻内との差、幅方向での中心と端部との差、ロット間の差などが無い、より高い均一性の高い光学フィルムが求められている。また、製造工程の取り扱いの観点から、巻きの変形の無い光学フィルムが求められている。
【0005】
従来、長巻のフィルムを取り扱う場合、フィルムの両側部にナールあるいはエンボッシングと呼ばれるフィルム面よりも嵩高くした部分を設けることにより、コアに巻き取られたロールの巻締まりや、保存時の折れ込み等が発生しないようにする方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。なお、フィルムの両側部にナールあるいはエンボッシングと呼ばれるフィルム面よりも嵩高くした部分はナール部と呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−211803号公報
【特許文献2】特許第3226190号公報
【特許文献3】特許第4479260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、従来の光学フィルムでは、そのフィルム両側部にナール部を設けているが、該ナール部の嵩高さや強度などが不足している場合、フィルムを長巻した際にナール部が巻き圧力によって押され、十分に機能せずに巻締まりや貼り付きなどの巻き不良が起こることがある。
【0008】
一方、透明基材上に塗液を塗布して硬化させることによってハードコート層を形成する際、その硬化させる電離照射線の放射量が適正値より強すぎる場合、透明基材とハードコート層との収縮差が大きくなることでシワが発生することがある。
【0009】
従って、光学フィルムに巻き不良やシワが発生した場合、該光学フィルムを後工程にて加工する際などに大きな問題となる。特に、巻き不良は長巻きした場合に発生しやすい。そこで、長巻きした場合でも巻締まりや貼り付きなどの巻き不良を発生させず、かつ、シワの生じ難い製造方法が要望されている。
【0010】
本発明は上記事情にかんがみてなされたもので、巻き取り時の巻締まりや貼り付きなどといった巻き不良が発生せず、かつシワの生じ難い光学フィルムの製造方法及び光学フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に対応する発明は、ウェブ状の透明基材上にハードコート層を備える光学フィルムの製造方法であって、両端部側にナール部を施し、該両ナール部間を平坦部とした前記ウェブ状の透明基材に対し、電離放射線硬化型材料を含むハードコート層形成用塗液を、前記平坦部及び前記ナール部を含むように塗布して塗膜を形成する工程と、この形成された塗膜に対し、照射量が前記平坦部よりも前記ナール部で大きくなるように電離放射線を照射し、前記塗膜を硬化させたハードコート層を形成する工程とを順に設けたことを特徴とする光学フィルムの製造方法である。
【0012】
請求項2に対応する発明は、前記塗膜に対して電離放射線を照射する工程が、電離放射線照射ランプと前記透明基材との間に、当該透明基材幅方向に電離放射線透過量が異なる遮光板を配置し、前記電離放射線を前記塗膜に照射することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法である。
【0013】
請求項3に対応する発明は、前述する光学フィルムの製造方法において、前記ハードコート層を形成する工程の後に、当該ハードコート層上に反射防止層を形成する工程を設けたことを特徴とする光学フィルムの製造方法である。
【0014】
また、請求項4に対応する発明は、ウェブ状の透明基材上にハードコート層を備える光学フィルムであって、両端部側にナール部を有し、該両ナール部間を平坦部とした前記ウェブ状の透明基材と、この透明基材上に電離放射線硬化型材料を含むハードコート層形成用塗液を塗布した後に電離放射線を照射し、前記ナール部の鉛筆硬度が前記平坦部の鉛筆硬度よりも高くなるように硬化させて形成した前記ハードコート層とを備えたことを特徴とする光学フィルムである。
【0015】
さらに、請求項5に対応する発明は、前記請求項4に対応する光学フィルムのハードコート層上に高屈折率層と低屈折率層とを繰り返し積層された多層構造または低屈折率層のみからなる単層構造を有する反射防止層を形成したことを特徴とする光学フィルムである
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、巻き取り時の巻締まりや貼り付きなどといった巻き不良が発生せず、かつシワの生じ難い光学フィルムの製造方法及び光学フィルムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る光学フィルムの一実施形態を示す模式断面図。
【図2】図1に示す透明基材の斜視図。
【図3】本発明に係る光学フィルムの別の実施形態を示す模式断面図。
【図4】本発明に係る光学フィルムの製造方法を適用する製造装置の構成図。
【図5】図4に示す電離放射線照射装置である紫外線照射装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る光学フィルムの製造方法の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は本発明に係る光学フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。この光学フィルム1は、ウェブ状の透明基材10と、この透明基材10上の両端部に施される凸部11と、該透明基材10の凸部11形成面に形成されるハードコート層12とで構成される。ウェブ状の透明基材10は、その両端部側にナール部10A、両ナール部10A,10A間にはコア部と呼ばれる平坦部10Bを有する。
【0020】
本発明の光学フィルムの製造方法にあっては、ロール・ツー・ロール方式でウェブ状の透明基材10上にハードコート層12が形成される。ハードコート層12は、両端部側にナール部10Aを備えた連続搬送される透明基材10に対し、電離放射線硬化型材料を含むハードコート層形成用塗液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜に電離放射線を照射することにより形成される。
【0021】
図2は本発明に係る光学フィルムの主要構成材となる透明基材10の斜視図を示す図である。ここで、ウェブ状の透明基材10は、搬送方向と直交する方向の基材両端部側にそれぞれナール部10A,10Aを備える。
【0022】
ナール部10Aの幅は2〜50mmであることが好ましく、ナール部10Aの凸部11の高さは5〜30μmの範囲内であることが好ましい。ナール部10Aはエンボス加工、ローレット加工などにより凸部が形成される。ナール部10Aを形成するための凸部11の形状は、三角形状に限らず、菱形状、半円状、円状に形成してもよいが、これらに限定されるものではない。両ナール部10A,10A間にはコア部と呼ばれる平坦部10Bが存在する。
【0023】
なお、表示装置の表示画面に光学フィルムを貼り付ける場合、平坦部10B(コア部)が最終的に表示画面に貼り付けられ、両端のナール部10Aは取り除かれる。
【0024】
ウェブ状の透明基材10の両端部側にナール部10Aを設けることにより、平坦部10Bにおいて巻き取った際の巻締まりや貼り付きなどといった巻き不良の発生を防ぐようにする。
【0025】
特に本発明に係る光学フィルム1においては、ナール部10Aにおいても電離放射線硬化型材料を硬化して形成されるハードコート層12を平坦部10Bだけでなくナール部10Aにも一体形成することを特徴とする。
【0026】
特に、従来は、長巻きした場合にはナール部10A表面の硬度が不十分であったため、巻き不良を十分に防ぐことができなかったが、本発明においては、ナール部10Aにもハードコート層12を形成することにより、ナール部10Aの硬度を向上させることができる。
【0027】
ところで、本発明においては、ナール部10Aの硬度を向上させるために、透明基材10の幅方向全体にわたってハードコート形成用塗液からなる塗膜に対して電離放射線の照射量を大きくした場合、透明基材10とハードコート層12の熱収縮差が大きくなり、作製された光学フィルムにシワが発生する現象が見られた。
【0028】
そこで、本発明者らは、透明基材10上に塗布されたハードコート形成用塗液からなる塗膜に対し、照射量が平坦部よりもナール部10Aに大きくなるように電離放射線を照射することにより、巻き不良の発生を防ぐとともに、シワの発生を抑制し光学フィルムを製造することができることを見出しに至った。
【0029】
本発明の光学フィルム1にあっては、ハードコート層形成工程において電離放射線照射量がナール部10Aのほうが平坦部10Bより大きいため、ハードコート層12のナール部10Aの鉛筆硬度がハードコート層12の表面となる平坦部10Bの鉛筆硬度よりも高いことを特徴とする。なお、鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4(1999)に準拠して測定される。
【0030】
さらに、光学フィルム1においては、透明基材10とハードコート層12の間、透明基材10上、ハードコート層12上に他の機能層を設けることができる。機能層としては、反射防止層、紫外線吸収層、防汚層等を挙げることができる。
【0031】
図3は本発明の別の実施形態に係る光学フィルムの模式断面図である。
この別の実施形態における光学フィルム1´にあっては、ウェブ状の透明基材10上に形成されたハードコート層12に反射防止層13を備えた構成である。
【0032】
反射防止層13は、反射防止フィルムの最表層に施されるものであって、反射防止機能を付与する。反射防止層13は高屈折率層と低屈折率層の繰り返しからなる多層構造、低屈折率層のみの単層構造を選択することが出来る。反射防止層13が低屈折率層単層で形成された場合には、低屈折率層の膜厚と該低屈折率層の屈折率を乗じることにより得られる光学膜厚が可視光波長の1/4となるように設計される。具体的には、低屈折率層の光学膜厚は50nm以上200nm以下の範囲内となるように設計される。
【0033】
さらに、本発明の光学フィルムについて、詳細に説明する。
本発明に係る反射防止フィルムにおける透明基材10は、種々の有機高分子からなるフィルムまたはシートを用いることができる。通常,ディスプレイ等の光学部材に使用される基材が挙げられるが、透明性や光の屈折率等の光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、耐久性などの諸物性を考慮しつつ使用される。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファン等のセルロース系、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド系、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、エチレンビニルアルコール等の有機高分子からなるものが用いられる。
【0034】
特に、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートが好ましい。さらに、これら有機高分子に公知の添加剤、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等を添加することにより、追加機能を付加させるものも使用できる。
【0035】
また、透明基材10は、前述した有機高分子から選ばれる1種または2種以上の混合物、または重合体からなるものでもよく、複数の層を積層させたものであってもよい。また、透明基材フィルムの厚みとしては、35μm以上120μm以下を用いることが好ましい。
【0036】
また、トリアセチルセルロースを用いる場合は、35μm以上80μm以下の厚みを用いることが好ましい。また、ポリエチレンテレフタレートを用いる場合は、20μm以上80μm以下の厚みを用いることが好ましい。さらに、ウェブ状透明基材フィルムの幅は200mm〜4500mmの範囲であることが好ましく、長さは50m〜6000mの範囲であることが好ましい。
【0037】
以上のような基材の中でも、トリアセチルセルロースフィルムは複屈折が少なく、透明性が良好であることから、本発明の反射防止フィルムを液晶ディスプレイに用いた場合でも好適に使用することができる。トリアセチルセルロースフィルムの屈折率は約1.50であって、他の透明基材と比較して屈折率が低い。また、透明基材として広範に用いられるポリエチレンテレフタレートフィルムは、1.60である。
【0038】
次に、透明基材10上に形成されるハードコート層12に関して詳細に説明する。
【0039】
ハードコート層12は、電離放射線硬化型材料を含むハードコート層塗液を前記透明基材10上に塗布し塗膜を形成し、該塗膜に電離放射線を照射することにより形成される。
【0040】
ハードコート層形成用塗液に含まれる電離放射線硬化型材料としては、アクリル系材料を用いることができる。アクリル系材料としては、多価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような単官能または多官能の(メタ)アクリレート化合物、ジイソシアネートと多価アルコール及びアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。またこれらの他にも、紫外型材料として、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができる。
【0041】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」の両方を示している。たとえば、「ウレタン(メタ)アクリレート」は「ウレタンアクリレート」と「ウレタンメタアクリレート」の両方を示している。
【0042】
前記単官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0043】
前記2官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】
前記3官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0045】
アクリル系材料として多官能ウレタンアクリレートを用いることもできる。ウレタンアクリレートは、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有アクリレートを反応させることによって得られる。具体的には、共栄社化学社製、UA−306H、UA−306T、UA−306l等、日本合成化学社製、UV−1700B、UV−6300B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7640B、UV−7650B等、新中村化学社製、U−4HA、U−6HA、UA−100H、U−6LPA、U−15HA、UA−32P、U−324A等、ダイセルユーシービー社製、Ebecryl−1290、Ebecryl−1290K、Ebecryl−5129等、根上工業社製、UN−3220HA、UN−3220HB、UN−3220HC、UN−3220HS等を挙げることができるがこの限りではない。
【0046】
また、これらの材料の他にも、電離放射線型材料として、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができる。
【0047】
前記ハードコート層形成用塗液には溶媒が含まれる。溶媒としては、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサンなどの炭化水素類、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、ジオキサン、ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等のエーテル類、またアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン類、また蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン等のエステル類、さらには、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、その他としてN−メチル−2−ピロリドン、炭酸ジメチルが挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
また、ハードコート層形成用塗液には、光重合開始剤を含むことができる。塗膜を硬化する際の電離放射に紫外線を用いる場合には光重合開始剤がハードコート層形成用塗液に加えられる。光重合開始剤としては、電離放射線が照射された際にラジカルを発生するものであれば良く、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類を用いることができる。また、光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化型材料に対して0.1wt%以上10wt%以下の範囲内であることが好ましく、さらには1wt%以上8.5wt%以下であることが好ましい。
【0049】
なお、ハードコート層形成用塗液には他の添加剤を加えても良い。添加剤としては、赤外線吸収剤、密着性向上剤、表面調整剤、防眩剤、帯電防止剤などを含めることができる。
【0050】
ハードコート層形成用塗液は透明基材上に塗布され、塗膜を形成する。ハードコート層形成用塗液を透明基材上に塗布するための方法としては、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーターを用いることができる。なお、本発明のハードコート層は薄い塗膜であり、均一な膜厚であることが必要であることから、マイクログラビア版を用いたマイクログラビアコーター法、ダイヘッドを用いたダイコーター法を用いることが好ましい。
【0051】
次に、透明基材10上に形成されたハードコート層12の塗膜は乾燥することにより、塗膜中の溶媒は除去される。このとき乾燥手段としては、加熱、送風、熱風等を用いることができる。
【0052】
この透明基材10上にハードコート層形成用塗液を塗布することにより得られる塗膜に対し、電離放射線を照射することにより、ハードコート層12が形成される。
【0053】
電離放射線としては、紫外線、電子線を用いることができる。紫外線硬化の場合は、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等の光源が利用できる。また、電子線硬化の場合はコックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される電子線が利用できる。電子線は、50〜1000KeVのエネルギーを有するのが好ましい。100〜300KeVのエネルギーを有する電子線がより好ましい。
【0054】
図4は本発明に係る光学フィルムの製造方法を適用した製造装置の一例を示す構成図である。
【0055】
この製造装置は、ウェブ状の透明基材10が連続繰り出し走行可能に巻き取られた基材巻出し部20、この基材巻出し部20から繰り出される透明基材10の走行方向を反転させるように支持するバックアップロール21、このバックアップロール21で方向変換される透明基材10の面に対峙するように配置され、ハードコート層形成用塗液を塗布するダイヘッド22、透明基材10に塗布された塗液を乾燥する乾燥装置23、乾燥後の塗膜を硬化するための電離放射線照射装置24及び乾燥硬化されたハードコート層12が形成された透明基材10をロール状に巻き取る巻取り部25を備えた構成である。27、28aはガイドローラである。
【0056】
従って、光学フィルムの製造方法においては、基材巻出し部20から繰り出される透明部材10は、ガイドローラ27を介してバックアップロール21へ案内され、走行方向を反転するようにバックアップロール21外周に巻き掛けられる。
【0057】
このとき、ダイヘッド22からハードコート層形成用塗液が透明部材10にハードコート層形成用塗液が塗布され、ガイドローラ28aを介して乾燥装置23に導入され、当該乾燥装置23を通過する間に透明基材10上の塗膜を乾燥させる。その後、乾燥装置23を通過した透明基材10は、電離放射線照射装置24を通過する間に透明基材10上の塗膜を硬化させる。
【0058】
以上のような工程を経ることにより、透明基材10上にハードコート層12を形成する。そして、ハードコート層12の形成された透明基材10は、ガイドローラ28bを介して巻取り部25に案内され、順次巻取り部25に巻き取られる。以上のようにしてウェブ状の透明基材10の一方面にハードコート層12が形成され、ロール・ツー・ロール方式により光学フィルムが製造される。この光学フィルムの製造方法では、照射量が平坦部10Bよりもナール部10Aで大きくなるように電離放射線を照射し、ハードコート層12が形成される。
【0059】
図5は光学フィルムの製造装置に用いられる電離放射線照射装置24である紫外線照射装置を説明する図である。図5(a)は、紫外線照射装置を透明基材10の幅方向(透明基材の搬送方向と垂直方向)から示したものである。一方、図5(b)は、紫外線照射装置を搬送方向から示したものである。
【0060】
電離放射線照射装置24である紫外線照射装置は、ランプ24Aとランプカバー24Bを備える。ランプ24Aは、透明基材10の幅方向にわたって設けられている。ランプ24Aから発生する電離放射線は、ハードコート層形成用塗液が塗布された透明基材10に照射される。このとき、電離放射線の照射量を平坦部10Bよりもナール部10Aで大きくなるように照射する。そのため、紫外線照射ランプ24Aと透明基材10間に幅方向に紫外線透過量が異なる遮光板31を設置することが好ましい。幅方向に紫外線透過量が異なる遮光板31は、例えば両端のナール部10Aに対応する部分31Aを空洞で形成し、ナール部間の平坦部10Bに対応する部分31Bを遮光材料で形成することにより実施できる。
【0061】
また、幅方向に紫外線透過量が異なる遮光板31は、両端のナール部10Aに対応する部分31Aを紫外線の透過しやすい材料で形成し、平坦部10Bに対応する部分31Bを紫外線の透過しずらい材料で形成することによっても実施できる。なお、透明基材10の平坦部分の塗膜にも紫外線を照射する必要があるため、遮光板31によって平坦部10Bに照射される紫外線をすべて遮光しないようにする。
【0062】
次に、ハードコート層12上に形成される反射防止層13の形成方法について説明する。反射防止層13は、低屈折率層単層で構成される単層構造の反射防止層や、低屈折率層と高屈折率層の繰り返し構造からなる多層構造の反射防止層が挙げられる。また、反射防止層を形成する方法としては、反射防止層形成用塗液を塗布し反射防止層13を形成する湿式成膜法による方法と、真空蒸着法やスパッタリング法やCVD法といった真空中で反射防止層を形成する真空成膜法による方法に分けられる。
【0063】
以下、反射防止層13として、例えば低屈折率層形成塗液をハードコート層12表面に塗布し、湿式成膜法により低屈折率層単層を形成する例について述べる。反射防止層13である低屈折率層単層の膜厚(d)は、その膜厚(d)に低屈折率層の屈折率(n)を乗算することによって得られる光学膜厚(nd)が可視光の波長の1/4と等しくなるように設計される。低屈折率層としてはバインダマトリックス中に低屈折粒子を分散させたものを用いることができる。
【0064】
このとき、低屈折率粒子としては、フッ化マグネシウムやフッ化カルシウムやシリカ等の低屈折材料からなる低屈折率粒子を挙げることができる。一方、バインダマトリックス形成材料としては、電離放射線型材料である、例えば多価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート、ジイソシアネートと多価アルコール及びアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタンアクリレートを使用することができる。
【0065】
また、これらの材料の他にも、電離放射線型材料として、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等のハードコート層形成用塗液の項で例示した電離放射線硬化型材料を使用することができる。これら電離放射線硬化型材料を用いた場合には、紫外線や電子線等の電離放射線を照射することによりバインダマトリックスが形成される。また、バインダマトリックス形成材料としては、テトラメトキシシランやテトラエトキシシラン等の珪素アルコキシド等の金属アルコキシドを用いることができる。これらは、加熱によって、加水分解、脱水縮合を行うことにより、無機系または有機無機複合系バインダマトリックスとすることができる。
【0066】
なお、低屈折率層としては、バインダマトリックス中に低屈折率粒子を分散させたものだけでなく、低屈折粒子を用いずに低い屈折率を備えるフッ素系の有機材料から形成することも可能である。また、低屈折率層形成塗液には、必要に応じて、溶媒や各種添加剤を加えることができる。溶媒や各種添加剤は、ハードコート層形成用塗液の項で示したものが例示される。
【0067】
低屈折率材料とバインダマトリックス形成材料とを含む低屈折率層形成塗液はハードコート層12表面に塗布される。そして、塗液を透明基材10上に塗布することにより得られる塗膜に対し、バインダマトリックス形成材料として電離放射線硬化型材料を用いた場合にあっては、必要に応じて塗膜の乾燥を行った後、電離放射線を照射することにより、反射防止層13が形成される。また、バインダマトリックス形成材料として、金属アルコキシドを用いた場合には、乾燥、加熱等により低屈折率層が形成される。
【実施例】
【0068】
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
両端部から5mm〜20mmの位置にナール部10Aを形成している80μmのトリアセチルセルロースフィルムに、乾厚みで5μmハードコート層12をダイコート方式にて塗布形成して60℃で乾燥した後、紫外線照射装置24にてハードコート層12を硬化させた。その紫外線照射装置24とフィルム基材10との間には紫外線照射装置と同じ幅の遮光板31を設置し、遮光板31の透明基材平坦部10Bに対応する部分31BはSUS304製で、流れ方向長さL=50mm、遮光板31の透明基材ナール部10Aに対応する部分31Aに直径D=30mmの空洞部を設けた。
【0069】
ハードコート層形成用塗液としては下記処方のものを用いた。
(ハードコート層形成用塗液)
ウレタンアクリレート(共栄社化学社製UA−306H) 100重量部 に対して、
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 50重量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 50重量部
・光重合開始剤
(チバ・ジャパン社製、イルガキュア184) 10重量部
・アルキルポリエーテル変性シリコーンオイル
(モメンティブ社製、TSF4460) 4重量部
・メチルエチルケトン 50重量部
・酢酸メチル 150重量部
電離放射線照射装置24である紫外線照射装置によりハードコート層12を硬化させた後、そのまま連続して透明基材10を搬送させ、ハードコート層12の上に低屈折率層を乾厚みで100nmダイコート方式にて塗布形成し、60℃で乾燥させてから遮光板31を設置していない紫外線照射装置にて硬化させた後、連続して500m巻き取っていくことでフィルムロールを作製した。
【0070】
また、低屈折率層形成用塗液としては下記処方のものを用いた。
(低屈折率層形成用塗液)
・多孔質シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、固形分20%、溶剤:メチルイソブチルケトン) 15重量部
・EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(日本化薬社製、DPEA−12) 2重量部
・光重合開始剤
(チバ・ジャパン社製、イルガキュア184) 0.1重量部
・パーフルオロアルキル基・親水性基・親油性基含有オリゴマー
(DIC社製、メガファックF−470) 0.1重量部
を用いて、溶媒であるメチルイソブチルケトン82重量部で希釈して反射防止層形成用塗液を調整した。
【0071】
(実施例2〜3、比較例1〜7:表1参照)
ハードコート層12の硬化工程における紫外線照射装置について、遮光板31の平坦部に対応する部分31Bの材質、長さLと、遮光板31のナール部対応する部分31Aの材質、径Dを(表1)のように変更し、他の条件は全て実施例1と同条件にしてフィルムロールを作製した。
【表1】

【0072】
前述した実施例1〜3、比較例1〜7について、各種物性評価方法を説明する。
「鉛筆引掻き試験」
全実施例・比較例にてナール部10Aと、平坦部(ナール部〜200mmの点)10Bについて3Hの鉛筆の芯を用いてJISK5600に準じて測定を行った。鉛筆引掻き試験は、長さ15mmの引掻きを5mm間隔で5回行い、試料の面に45度の角度から目視でキズの有無を確認した。5本引掻いたうち、キズのつかなかった回数xを数え、x/5と評価した。その評価結果を表1に示している。
【0073】
「巻芯貼り付き変形」
500m巻き取った反射防止フィルムロールについて、ロールを解いていき巻芯のフィルムの貼り付き変形を下記基準にて目視評価した。
丸印 :巻芯の貼り付き変形が全くない。
三角印:巻芯がやや貼り付き変形をしている。
バツ印:巻芯の貼り付き変形がはっきり分かる。
「シワ」
光硬化型ハードコート層12と反射防止層13を塗布したフィルムについて3波長蛍光灯下で走行方向のシワを目視評価した。その評価結果を表1に示している。
丸印 :凝視すると僅かにシワを確認できる。
三角印:凹凸の浅いシワを確認できる。
バツ印:明確に凹凸の深いシワを確認できる。
【0074】
その結果、表1に示すように、ハードコート層硬化工程の紫外線照射装置について、比較例1のように遮光板31を全く設置しない場合、巻芯貼り付き変形は良好なもののシワが悪いという結果となり、比較例2、3のように平坦部10B・ナール部10Aで同じように遮光板31を設置した場合は、シワが良好なものの巻芯貼り付き変形が悪いという結果となった。そこで、実施例1〜3のように平坦部10B対応する部分31Bに遮光板31を設置し、ナール部10Aに対応する部分31Aのみ遮光板31を空洞化させる(実施例1)、もしくはナール部10Aに対応する部分31Aのみ遮光板31として紫外光を透過する材質を用いることにより、ナール部10Aの強度を向上させると、巻芯貼り付き変形を抑制しシワも良好な状態を保つことができた。
【0075】
また、上記実施形態、実施例等は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や実施例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1…光学フィルム、1´…反射防止層13を備える光学フィルム、10…透明基材、10A…透明基材ナール部、10B…透明基材平坦部、11…ハードコート層形成面の凸部、12…ハードコート層、13…反射防止層、20…基材巻出し部、21…バックアップロール、22…ダイヘッド、23…乾燥装置、24…電離放射線照射装置、24A…紫外線照射装置ランプ、24B…紫外線照射装置ランプカバー、25…巻取り部、31…遮光板、31A…透明基材ナール部に対応する部分、31B…透明基材平坦部に対応する部分、L…遮光板の流れ方向長さ、D…遮光板ナール位置部径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ状の透明基材上にハードコート層を備える光学フィルムの製造方法であって、
両端部側にナール部を施し、該両ナール部間を平坦部とした前記ウェブ状の透明基材に対し、電離放射線硬化型材料を含むハードコート層形成用塗液を、前記平坦部及び前記ナール部を含むように塗布して塗膜を形成する工程と、この形成された塗膜に対し、照射量が前記平坦部よりも前記ナール部で大きくなるように電離放射線を照射し、前記塗膜を硬化させたハードコート層を形成する工程とを順に設けたことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記塗膜に対し電離放射線を照射する工程が、電離放射線照射ランプと前記透明基材との間に、当該透明基材幅方向に電離放射線透過量が異なる遮光板を配置し、前記電離放射線を前記塗膜に照射することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光学フィルムの製造方法において、
前記ハードコート層を形成する工程の後に、当該ハードコート層上に反射防止層を形成する工程を設けたことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項4】
ウェブ状の透明基材上にハードコート層を備える光学フィルムであって、
両端部側にナール部を有し、該両ナール部間を平坦部とした前記ウェブ状の透明基材と、この透明基材上に電離放射線硬化型材料を含むハードコート層形成用塗液を塗布した後に電離放射線を照射し、前記ナール部の鉛筆硬度が前記平坦部の鉛筆硬度よりも高くなるように硬化させて形成した前記ハードコート層とを備えたことを特徴とする光学フィルム。
【請求項5】
請求項4に記載の光学フィルムにおいて、
前記ハードコート層上に高屈折率層と低屈折率層とを繰り返し積層された多層構造または低屈折率層のみからなる単層構造を有する反射防止層を形成したことを特徴とする光学フィルム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−187532(P2012−187532A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54175(P2011−54175)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】