説明

光学機器用防塵フード内のガスカーテン式パージ装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製鉄所や化学工場等で使用される工業用のテレビカメラや光電子スイッチ等の光学機器に取付けられる防塵フード内のガスカーテン式パージ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光学機器に装着される防塵フードとしては、特開昭55−48739号公報により公表されているように、光学機器に装着されるフードの途中に、空気によるエアーカーテンを形成するための吹込口と、その吹込口に対向する吸出口とを設け、かつ前記吹込口からの空気吹込量を少なくすると共に、前記吸出口からの空気吸出量を多くするように、吹込口に比べて吸出口を大きく形成し、前記吹込口に接続した送風管と前記吸出口に接続した吸風管とを送風機に接続し、その送風機により空気を循環させて、フード内にエアーカーテンを形成させるように構成した構造のものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の化学機器用防塵フードの場合は、空気を循環させているので、加熱炉付近などの高温部で使用すると非常に危険であり、かつエアーカーテン1枚だけによる防塵であるので、エアーカーテンの外側の雰囲気圧力が増大した場合、エアーカーテンが破られて粉塵がフード内に侵入する恐れがある。また吸出能力を送風機だけに頼っているので、吹込量が増大した場合、吸出量よりも吹込量が多くなることが懸念される。さらに図7に示すように、吹込口の一端部に送風管を接続しているので、吹込口の長さ方向の圧力分布が大きく変化して乱流が発生し、そのためエアーカーテンの能力を劣化させ、従って、従来の光学機器用防塵フードの場合は、粉塵がフード内に侵入して光学機器のガラス面に付着し、そのガラス面を曇らせるので、誤操作を起こす危険性がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、高温部で使用しても安全性を確保できると共に、防塵フード内への粉塵類の侵入を確実に防止するために、防塵フード10の一側部に、不活性ガスによるガスカーテンを形成するためのバッファーノズルを有するカーテンパージノズル1を設けると共に、前記防塵フード10の他側部に設けた排出口11に排出用ファン3を設け、前記排出口11と光学機器9との間において防塵フード10にフード内圧上昇用断続式パージノズル2を設ける。またカーテンパージノズル1から噴射される不活性ガスの圧力を均一化するために、ブロワ7の吐出管14をカーテンパージノズル1の両端に接続し、かつ粉塵類が防塵フード10内に侵入するのを確実に防止するために、防塵フード10内に内壁38を設けると共に、排出口11の周囲にガス溜り部5を設ける。
【0005】
【実施例】図1は本発明の実施例に係る光学機器用防塵フード内のガスカーテン式パージ装置を示し、図3および図4はカーテンパージノズル1を示し、図5および図6R>6はフード内圧上昇用断続式パージノズル2を示すものである。工業用テレビカメラからなる光学機器9に、レンズを囲む防塵フード10の基端部が装着され、その防塵フード10の前方の上部に、不活性ガスによるカーテンを形成するためのバッファーノズル20を有するカーテンパージノズル1が、左右方向に延長するように配置されて固定され、前記防塵フード10の前方の下部に、前記カーテンパージノズル1に対向する位置において左右方向に延長する排出口11が設けられ、かつ防塵フード10の下部に、排出口11の全周を囲むガス溜り部5が設けられ、さらにそのガス溜り部5と光学機器9との間に、用途別の内壁38が固定され、また前記防塵フード10の下部の基端部に、フード内圧上昇用断続式パージノズル2が固定されている。
【0006】前記排出口11内に複数の排出用ファン3が配置され、ブロワ7の吸引管12は前記排出口11に接続され、その吸引管12にフィルター8と流量指示調節装置6とが設けられ、前記ブロワ7の吐出管13はフード内圧上昇用ノズル2の両端部に接続され、前記吐出管13におけるノズル2の両端に連結された部分に圧力指示調節装置16が設けられ、かつ前記ブロワ7の吐出管14はカーテンパージノズル1の両端部に接続され、さらに前記吐出管14におけるカーテンパージノズル1の両端部に接続された部分に流量指示調節装置17が設けられている。前記吐出管14に調節弁27を有する不活性ガス供給口15が設けられ、この不活性ガス供給口15から窒素ガス等の不活性ガスが供給される。また前記防塵フード10の先端部は例えば加熱炉18の監視孔に接続される。
【0007】また、図2は本発明の実施例に係る炉内ガスを利用する光学機器用防塵フード内のガス循環カーテン式パージ装置を示すものである。工業用テレビカメラからなる光学機器9に、レンズを囲む防塵フード10の基端部が装着され、その防塵フード10の中間の上部に、不活性ガスによるカーテンを形成するためのバッファーノズル20を有するカーテンパージノズル1が、左右方向に延長するように配置されて固定され、前記防塵フード10の中間の下部に、前記カーテンパージノズル1に対向する位置において左右方向に延長する排出口11が設けられ、かつ防塵フード10の下部に、排出口11の全周を囲むガス溜り部5が設けられ、さらにそのガス溜り部5と光学機器9との間に、用途別の内壁38が固定され、また前記防塵フード10の下部の基端部に、フード内圧上昇用断続式パージノズル2が固定されている。
【0008】前記排出口11内に複数の排出用ファン3が配置され、ブロワ28の吸引管32は前記排出口11に接続され、排出口11内のガスは、ブロワ28の吐出管29を通り排出部31から加熱炉18内に戻される。
【0009】さらにブロワ7の吸引管12は炉内ガス取出部30に接続され、その吸引管12にフィルター8と流量指示調節装置6とが設けられ、前記ブロワ7の吐出管13はフード内圧上昇用断続式パージノズル2の両端部に接続され、前記吐出管13におけるノズル2の両端に連結された部分に圧力指示調節装置16が設けられ、かつ前記ブロワ7の吐出管14はカーテンパージノズル1の両端部に接続され、さらに前記吐出管14におけるカーテンパージノズル1の両端部に接続された部分に流量指示調節装置17が設けられている。また前記防塵フード10の先端部は、例えば加熱炉18の監視孔に接続される。
【0010】図3および図4はカーテンパージノズル1の構造を示すものであって、バッファーノズル20における底板33に、側板34に沿って延長するスリットが設けられ、その側板34が延長されてフランジ21が形成され、前記底板33におけるスリットの縁部に沿って延長する内壁板19は、バッファーノズル20内に配置されると共に、バッファーノズル20の底板33および両側の端板35に固定され、前記内壁板19が延長されて、前記フランジ21に平行に配置されたフランジ36が形成され、小間隔をおいて対向する一対のフランジ21,36の間に噴射口22が設けられて、カーテンパージノズル1が構成されている。
【0011】各フランジ21,36に、フランジ長手方向に間隔をおいて配置された多数の噴射口巾調節用ビス23が挿通され、噴射口22から噴射される不活性ガスの圧力がカーテンパージノズル1の全長Lにわたってほぼ均等になるように、かつ噴射口22から噴射されるガスの流量が噴射口22の全長にわたって一定になるように、多数のビス23により各フランジ21,36の間隔が調整される。また前記バッファーノズル20の両端の端板35に、開口部37が設けられると共に、前記吐出管14が接続される。
【0012】図5および図6はフード内圧上昇用断続式パージノズル2の構造を示すものであって、内管24と外管25とが同心的に配置されて連結部材(図示を省略した)を介して連結され、かつ前記外管25における防塵フード内に配置される部分には、外管長手方向に延長する多数の噴射スリット26が設けられ、さらに前記内管24と外管25との間に吐出管13が接続される。吐出管13の管内圧がある一定以上になった時だけ、弁40を開き、すぐに閉じることで断続式パージを実現する。また図7に示すような圧力不均一分布を防止するために、カーテンパージノズル1の両端に吐出管14が接続されると共に、前記断続式パージノズル2の両端に吐出管13が接続され、内管24の外径よりも吐出管13の内径が大きく設定される。図8および図9は用途別の内壁38の形状を示すものであって、開口部41の面積を最小限にするために、カメラ用内壁ではカメラ視野分のみ開口とし、レーザー用内壁ではレーザーライン幅分のみを開口とする。更に、排気効果を高めるために、内壁の端部には角度θをもたせてある。
【0013】本発明の防塵フード内のガスカーテン式パージ装置において、ブロワ7を運転すると共に、排出用ファン3を回転させ、不活性ガス供給口15から不活性ガスを補給すると、その不活性ガスがカーテンパージノズル1から排出口11に向かって吹込まれて、防塵フード10内に不活性ガスによるカーテンが形成され、かつ断続式パージノズル2からも防塵フード10内に不活性ガスが吹込まれて、ガスカーテンの内側の圧力が高圧になるので、ガスカーテンの外側の雰囲気圧力が多少高くなっても、ガスカーテンが破られることはなく、そのため雰囲気圧力が多少変化する悪い雰囲気の製鉄所や工場等で使用する工業用テレビカメラに、前記ガスカーテン式パージ装置を有する防塵フードを装着した場合は、雰囲気中の粉塵や金属蒸気等が防塵フード10内に侵入するのを防止することができる。
【0014】本発明の防塵フード内の炉内ガス循環カーテン式パージ装置において、ブロワ7およびブロワ28を運転すると共に、排出用ファン3を回転させ、炉内ガス取出部30から炉内ガスを補給すると、その炉内ガスがカーテンパージノズル1から排出口11に向かって吹込まれて、防塵ファン10内に炉内ガスによるカーテンが形成され、かつ断続式パージノズル2からも防塵フード10内に炉内ガスが吹込まれて、ガスカーテンの内側の圧力が高圧になるので、ガスカーテンの外側の雰囲気圧力が多少高くなっても、ガスカーテンが破られることはなく、そのため雰囲気圧力が多少変化する悪い雰囲気の製鉄所や工場等で使用する工業テレビカメラに、前記ガスカーテン式パージ装置を有する防塵フードを装着した場合は、雰囲気中の粉塵や金属蒸気等が防塵フード10内に侵入するのを防止することができる。
【0015】万一、粉塵がガスカーテンを通過して光学機器9側に侵入しようとしても、その侵入は内壁38および断続式パージノズル2から噴射される不活性ガスにより阻止される。また排出口11に侵入した粉塵は、排出用ファン3およびブロワ7(図2においてはブロワ28)の吸引力によりブロワ7(図2においてはブロワ28)に向かって移送され、フィルター8により濾過されるので、カーテンパージノズル1から清浄な不活性ガスが噴射される。
【0016】また安全のために設けられたガス溜り部5は、ある程度の吹込ガス量を蓄積することができ、さらに流量指示調節装置6,17によって流量バランスを目視確認することができる。さらにまた、前記排出口11に設けた排出用ファン3により防塵フード10内のガスが強制的に排出されるので、吹込量が排出量を上回ることはない。
【0017】本発明のガスカーテン式パージ装置においては、不活性ガスを循環させるので、加熱炉等の高温部にも設置することができ、そのため製鉄所や化学工場などでの使用に効果がある。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、不活性ガスまたは炉内ガスを、大容量外管を有するカーテンパージノズル1から噴射してガスカーテンを形成するので、防塵フード10を装着した光学機器9を高温部で使用しても安全であり、かつカーテンパージノズル1に対向する排出口11に排出用ファン3を設けると共に、排出口11と光学機器9との間において防塵フード10にフード内圧上昇用断続式パージノズル2と、内壁38とを設けたので、外部雰囲気圧力に対して強いガスカーテンを形成することができ、そのため防塵フード10内への粉塵類の侵入を有効に防止することができる。またブロワ7の吐出管14をカーテンパージノズル1の両端に接続することにより、カーテンパージノズル1から噴射される不活性ガスの圧力分布を従来の防塵ノズルにおける吹込口から噴射される空気圧力分布に比べて均一化することができ、かつ排出口11と光学機器との間に内壁38を設けると共に、排出口11の周囲にガス溜り部5を設けることにより、防塵フード10内への粉塵類の侵入を確実に防止することができる。また、炉内ガス循環によるガスカーテン式パージ装置の場合は、不活性ガスの供給が不要であるので、経済的に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学機器用防塵フード内のガスカーテン式パージ装置の縦断側面図である。
【図2】炉内ガス循環によるガスカーテン式パージ装置の縦断側面図である。
【図3】カーテンパージノズルの斜視図である。
【図4】カーテンパージノズルの断面図である。
【図5】フード内圧上昇用ノズルの斜視図である。
【図6】フード内圧上昇用ノズルの断面図である。
【図7】カメラ用内壁の斜視図である。
【図8】レーザー用内壁の斜視図である。
【図9】従来の防塵フードにおける吹込口の圧力分布を示す図である。
【符号の説明】
1 カーテンパージノズル
2 フード内圧上昇用断続式パージノズル
3 排出用ファン
4 仕切板
5 ガス溜り部
6 流量指示調節装置
7 ブロワ
8 フィルター
9 光学機器
10 防塵フード
11 排出口
12 吸引管
13 吐出管
14 吐出管
15 不活性ガス供給口
16 圧力指示調節装置
17 流量指示調節装置
18 加熱炉
19 内壁板
20 大容量外管
21 フランジ
22 噴射口
23 噴射口巾調節用ビス
24 内管
25 外管
26 噴射スリット
27 調節弁
28 ブロワ
29 吐出管
30 炉内ガス取出部
31 炉内ガス排出部
32 吸引管
33 底板
34 側板
35 端板
36 フランジ
37 開口部
38 内壁
39 検出器
40 電磁弁
41 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 光学機器9の前部に装着された防塵フード10の一側部に、不活性ガスによるガスカーテンを形成するためのバッファーノズル20を有するカーテンパージノズル1が設けられ、前記防塵フード10の他側部に、カーテンパージノズル1に対向する位置において排出口11が設けられると共に、その排出口11内に排出用ファン3が設けられ、前記排出口11と光学機器9との間にフード内圧上昇用断続式パージノズル2と、内壁38とが設けられ、ブロワ7の吸引管12が前記排出口11に接続され、ブロワ7の吐出管13が前記断続式パージノズル2に接続され、ブロワ7の吐出管14が前記カーテンパージノズル1の両端部に接続され、ブロワ7の吸引管12または吐出管に不活性ガス供給口15が設けられている光学機器用防塵フード内のガスカーテン式パージ装置。
【請求項2】 光学機器9の前部に装着された防塵フード10の一側部に、不活性ガスによるガスカーテンを形成するためのバッファーノズル20を有するカーテンパージノズル1が設けられ、前記防塵フード10の他側部に、カーテンパージノズル1に対向する位置において、排出口11とガス溜り部5と排出用ファン3とが設けられ、ガス溜り部5と光学機器9との間に内壁38が設けられ、その内壁38と光学機器9との間に、フード内圧上昇用断続式パージノズル2が設けられ、ブロワ7の吸引管12が前記排出口11に接続され、ブロワ7の吐出管13が前記断続式パージノズル2に接続され、ブロワ7の吐出管14が前記カーテンパージノズル1に接続され、ブロワ7の吸引管12または吐出管に不活性ガス供給口15が設けられている光学機器用防塵フード内のガスカーテン式パージ装置。
【請求項3】 炉内ガス循環カーテン式パージ装置において、光学機器9の前部に装着された防塵フード10の一側部に、不活性ガスによるガスカーテンを形成するためのバッファーノズル20を有するカーテンパージノズル1が設けられ、前記防塵フード10の他側部に、カーテンパージノズル1に対向する位置において排出口11が設けられると共に、その排出口11内に排出用ファン3が設けられ、前記排出口11と光学機器9との間にフード内圧上昇用断続式パージノズル2が設けられ、ブロワ7の吸引管12が炉内ガス取出部30に接続され、ブロワ7の吐出管13が前記断続式パージノズル2に接続され、ブロワ7の吐出管14が前記カーテンパージノズル1の両端部に接続されている光学機器用防塵フード内の炉内ガス循環カーテン式パージ装置。
【請求項4】 炉内ガス循環カーテン式パージ装置において、光学機器9の前部に装着された防塵フード10の一側部に、炉内ガスによるガスカーテンを形成するためのバッファーノズル20を有するカーテンパージノズル1が設けられ、前記防塵フード10の他側部に、カーテンパージノズル1に対向する位置において、排出口11とガス溜り部5と排出用ファン3とが設けられ、ガス溜り部5と光学機器9との間に内壁38が設けられ、その内壁38と光学機器9との間にフード内圧上昇用断続式パージノズル2が設けられ、ブロワ7の吸引管12が炉内ガス取出口30に接続され、ブロワ7の吐出管13が前記断続式パージノズル2に接続され、ブロワ7の吐出管14が前記カーテンパージノズル1に接続されている光学機器用防塵フード内の炉内ガス循環カーテン式パージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図9】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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