説明

光学活性α−ヒドロキシケトン及びその製造方法

【課題】医農薬、香料等の中間体として有用な光学活性α−ヒドロキシケトンを提供すること。
【解決手段】α−ケトアルデヒドと他のアルデヒドとの不斉触媒アルドール反応により、高収率、高エナンチオ選択率で、光学活性α−ヒドロキシケトンを製造する。不斉触媒はプロリン誘導体を用いることが好ましい。該製造方法は基質汎用性が高く、従来合成しにくかった光学活性α−ヒドロキシアルキルケトンも容易に合成することができる。製造される光学活性α−ヒドロキシケトンの反応性を利用し、C−C結合の増加や、ポリオールへの変換等ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性α−ヒドロキシケトン及びその製造方法に関する。より詳細には、β位にホルミル基を有する光学活性α−ヒドロキシケトン、及び該光学活性α−ヒドロキシケトンをα−ケトアルデヒドと他のアルデヒドとの不斉触媒アルドール反応により製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性α−ヒドロキシケトンは各種医農薬、香料等の中間体として重要である。光学活性α−ヒドロキシケトンの合成法として、エノールエーテルを光学活性なシッフベースマンガン錯体触媒の存在下酸化剤と反応させる方法(特許文献1を参照)、ジアミン誘導体を配位子に持つルテニウム触媒を用いて1,2−ジケトンを不斉還元する方法(特許文献2を参照)、微生物を用いてピルビン酸とアルデヒドとを反応させる反応(特許文献3を参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−247238号公報
【特許文献2】特開2001−199928号公報
【特許文献3】特開2004−000176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの方法のうち、触媒を用いる反応は、α−ヒドロキシアリールケトンの合成に限定されており、医農薬、香料等へ展開する化合物に制限があった。また、微生物を用いる反応では、収率や収量が十分でなかった。このため、従来合成されなかったα−ヒドロキシアルキルケトン等の光学活性α−ヒドロキシケトン、及び基質汎用性が高く、高収率、高エナンチオ選択率で光学活性α−ヒドロキシケトンを合成する方法が望まれていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、新規な光学活性α−ヒドロキシケトン、及び光学活性α−ヒドロキシケトンを基質汎用性高く、高収率、高エナンチオ選択率で製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、α−ケトアルデヒドと他のアルデヒドとの不斉触媒アルドール反応が広い範囲のα−ヒドロキシケトンの製造に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下の通りである。
【0007】
(1) 下記式(a)で表される光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法であって、下記式(b)で表されるα−ケトアルデヒドと下記式(c)で表されるアルデヒドとの不斉触媒アルドール反応を行うことを特徴とする光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
【化1】

(式(a)中、R、Rはそれぞれ独立に群G1より選ばれる置換基を有していてもよいC−C20炭化水素基又は水素原子を表す。)
【化2】

(式(b)中、Rは式(a)のRと同一のものである。)
【化3】

(式(c)中、Rは式(a)のRと同一のものである。)
<群G1>:群G2より選ばれる置換基を有していてもよいC−C20アリール基、群G2より選ばれる置換基を有していてもよい芳香族複素環基、C−C12アルコキシ基、群G2より選ばれる置換基を有していてもよいC−C20アリール基を有するC−C12アルコキシ基、ハロゲン原子、オキソ基及びトリC−C12アルキルシリル基からなる群
<群G2>:C−C12アルキル基、C−C12アルコキシ基、C−C13アルコキシカルボニル基、C−C12フッ化アルキル基、C−C13アシル基、ニトロ基、シアノ基、保護されたアミノ基及びハロゲン原子からなる群
【0008】
(2) 前記不斉触媒アルドール反応で用いられる不斉触媒が下記式(d)又は(e)で表される化合物であることを特徴とする(1)記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
【化4】

(式(d)中、R及びRはそれぞれ独立に、以下の群G2より選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基、C−C12鎖式炭化水素基、C−C12脂環式炭化水素基又は水素原子を表し、Rは水素原子、フッ素原子、水酸基、C−C12アルコキシ基、C−C12フッ化アルキルオキシ基又は−OSiRを表し、R,R及びRはそれぞれ独立に、C−Cアルキル基又はC−C20アリール基を表し、*は不斉炭素原子を表す。)
【化5】

(式(e)中、R,R10及びR11はそれぞれ独立に、C−Cアルキル基又はC−C20アリール基を表し、*は不斉炭素原子を表す。)
<群G2>:C−C12アルキル基、C−C12アルコキシ基、C−C13アルコキシカルボニル基、C−C12フッ化アルキル基、C−C13アシル基、ニトロ基、シアノ基、保護されたアミノ基及びハロゲン原子からなる群
【0009】
(3) Rが水酸基であることを特徴とする(2)記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
【0010】
(4) R及びRがそれぞれ独立に、C−C12フッ化アルキル基を有していてもよいフェニル基であることを特徴とする(2)又は(3)記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
【0011】
(5) R及びRが共に、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基であることを特徴とする(2)から(4)のいずれか記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
【0012】
(6) 前記不斉触媒アルドール反応が、水の存在下で行われることを特徴とする(1)から(5)のいずれか記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
【0013】
(7) 下記式(a)で表される光学活性α−ヒドロキシケトン。
【化6】

(式(a)中、R、Rはそれぞれ独立に群G1より選ばれる置換基を有していてもよいC−C20炭化水素基又は水素原子を表す。)
<群G1>:群G2より選ばれる置換基を有していてもよいC−C20アリール基、群G2より選ばれる置換基を有していてもよい芳香族複素環基、C−C12アルコキシ基、群G2より選ばれる置換基を有していてもよいC−C20アリール基を有するC−C12アルコキシ基、ハロゲン原子、オキソ基及びトリC−C12アルキルシリル基からなる群
<群G2>:C−C12アルキル基、C−C12アルコキシ基、C−C13アルコキシカルボニル基、C−C12フッ化アルキル基、C−C13アシル基、ニトロ基、シアノ基、保護されたアミノ基及びハロゲン原子からなる群
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、α−ケトアルデヒドと他のアルデヒドとの幅広い組み合わせにより、対応する光学活性α−ヒドロキシケトンを製造することができる。製造したα−ヒドロキシケトンは、β位にホルミル基を含むため、さらにホルミル基の反応性を利用してC−C結合を増加させることができる。あるいは、還元等でポリオールに導くことができるため、生理活性物質や医薬品等の合成中間体として有用な化合物を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法は、α−ケトアルデヒドと他のアルデヒドとの不斉触媒アルドール反応を行うことを特徴とするものである。以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】
本明細書中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
【0017】
本明細書中、「C−C」とは、炭素原子数がm〜nであることを意味する。
【0018】
本明細書中、「C−C20炭化水素基」とは、C−C20脂肪族炭化水素基又はC−C20アリール基を意味する。
【0019】
本明細書中、「C−C20脂肪族炭化水素基」とは、C−C20鎖式炭化水素基又はC−C20脂環式炭化水素基を意味する。
【0020】
本明細書中、「C−C20鎖式炭化水素基」とは、C−C20アルキル基、C−C20アルケニル基又はC−C20アルキニル基を意味する。
【0021】
本明細書中、「C−C20アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜20のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、エイコシル等が挙げられる。
【0022】
本明細書中、「C−C20アルケニル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数2〜20のアルケニル基を意味し、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−ヘプテニル、1−オクテニル、1−ノネニル、1−デセニル、1−ウンデセニル、1−ドデセニル、1−トリデセニル、1−エイコセニル等が挙げられる。
【0023】
本明細書中、「C−C20アルキニル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数2〜20のアルキニル基を意味し、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−ペプチニル、1−オクチニル、1−ノニニル、1−デシニル、1−ウンデシニル、1−ドデシニル、1−トリデシニル、1−エイコシニル等が挙げられる。
【0024】
本明細書中、「C−C20脂環式炭化水素基」とはC−C20シクロアルキル基又はC−C20シクロアルケニル基を意味する。
【0025】
本明細書中「C−C20シクロアルキル基」としては、炭素原子数3〜20の環状アルキル基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル、シクトトリデシル、シクロエイコシル等が挙げられる。
【0026】
本明細書中「C−C20シクロアルケニル基」としては、炭素原子数4〜20の環状アルケニル基を意味し、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、2−シクロヘプテン−1−イル、2−シクロオクテン−1−イル、2−シクロノネン−1−イル、2−シクロデセン−1−イル、2−シクロドデセン−1−イル、2−シクロエイコセン−1−イル、2,4−シクロペンタジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、2,5−シクロヘキサジエン−1−イル等が挙げられる。
【0027】
本明細書中、「C−C20シクロアルキル基」及び「C−C20シクロアルケニル基」は、ベンゼン環と縮合してもよい。このような基としては、1,2−ジヒドロナフタレン−1−イル、1,2−ジヒドロナフタレン−2−イル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル、フルオレン−9−イル、インデン−1−イル等が挙げられる。
【0028】
本明細書中「C−C20アリール基」とは、芳香族性を示す単環式あるいは多環式の炭素数6〜20の炭化水素基を意味し、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、フェナントリル、アントリル、アセナフチル、ナフタセニル、ビフェニリル等が挙げられる。
【0029】
本明細書中「C−C12アルコキシ基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜12のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ等が挙げられる。
【0030】
本明細書中、「芳香族複素環基」とは、環構成原子として炭素原子に加えて、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1乃至4個含有する、芳香族性を示す単環式又は多環式複素環基を意味する。
【0031】
本明細書中、「単環式芳香族複素環基」としては,例えば、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル等が挙げられる。中でも、5又は6員の単環式芳香族複素環基が好ましい。
【0032】
本明細書中、「多環式芳香族複素環基」としては、例えば、キノリル、イソキノリル、キナゾリル、キノキサリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、インダゾリル、ピロロピリジル、ピラゾロピリジル、イミダゾピリジル、チエノピリジル、ピロロピラジニル、ピラゾロピラジニル、イミダゾピラジニル、チエノピラジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリミジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロチエニル等が挙げられる。
【0033】
本明細書中、「C−C12フッ化アルキル基」とは、フッ素原子で置換されたC−C12アルキル基を意味する。フッ素原子の数は特に限定されず、ペルフルオロ置換であってもよい。具体的には、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシル、7−フルオロヘプチル、8−フルオロオクチル、9−フルオロノニル、10−フルオロデシル、11−フルオロウンデシル、12−フルオロドデシル等が挙げられる。
【0034】
本明細書中、「C−C13アルコキシカルボニル基」とは、−C=O−にC−C12アルコキシ基が結合した基を意味し、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ノニルオキシカルボニル、デシルオキシカルボニル、ウンデシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0035】
本明細書中、「C−C13アシル基」とは、C−C13カルボン酸から水酸基を除いた原子団であり、C−C13脂肪族アシル基又はC−C13芳香族アシル基を意味する。
【0036】
本明細書中、「C−C13脂肪族アシル基」とは、−C=O−にC−C12脂肪族炭化水素基が結合した基を意味し、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、アクリロイル、メタアクリロイル、クロトノイル、イソクロトノイル、プロピオノイル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル等が挙げられる。
【0037】
本明細書中、「C−C13芳香族アシル基」とは、−C=O−にC−C12芳香族炭化水素基が結合した基を意味し、例えば、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル等が挙げられる。
【0038】
本明細書中、「保護されたアミノ基」とは、保護基で保護されたアミノ基を意味する。当該保護基としては、C−Cアルキル基、C−Cアルケニル基、C−C10アリール基、C−C14アラルキル基、C−Cアルキルカルボニル基、C−Cアルコキシカルボニル基、C−Cアルケニルオキシカルボニル基、C−C10アリールカルボニル基、C−C14アラルキルカルボニル基、C−C10アリールオキシカルボニル基、C−C14アラルキルオキシカルボニル基、C−C10アリールスルホニル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、トリC−Cアルキルシリル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、フタロイル基等が挙げられる。上記の置換基は、ハロゲン原子、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基又はニトロ基でそれぞれ置換されていてもよい。当該保護基の具体例としては、アセチル、トリフルオロアセチル、ピバロイル、tert−ブトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、ベンズヒドリル、トリチル、フタロイル、アリルオキシカルボニル、p−トルエンスルホニル、o−ニトロベンゼンスルホニル等が挙げられる。
【0039】
[光学活性α−ヒドロキシケトン]
本発明の光学活性α−ヒドロキシケトンは、下記式(a)のようにα位にヒドロキシル基、β位にホルミル基をもつものである。ホルミル基の反応性を利用して医農薬、香料等に有用な骨格へ変換することができる。
【化7】

【0040】
上記式(a)中、R、Rはそれぞれ独立に群G1より選ばれる置換基を有していてもよいC−C20炭化水素基又は水素原子を表す。
<群G1>:群G2より選ばれる置換基を有していてもよいC−C20アリール基、群G2より選ばれる置換基を有していてもよい芳香族複素環基、C−C12アルコキシ基、群G2より選ばれる置換基を有していてもよいC−C20アリール基を有するC−C12アルコキシ基、ハロゲン原子、オキソ基及びトリC−C12アルキルシリル基からなる群
<群G2>:C−C12アルキル基、C−C12アルコキシ基、C−C13アルコキシカルボニル基、C−C12フッ化アルキル基、C−C13アシル基、ニトロ基、シアノ基、保護されたアミノ基及びハロゲン原子からなる群
,Rは特に限定されないが、Rが鎖式炭化水素の場合は、R側にもさらにC−C結合を増加させることができるため、医農薬、香料等に有用な骨格への変換の幅が広がる。
【0041】
[α−ケトアルデヒド]
本発明で用いられるα−ケトアルデヒドは、下記式(b)で表される。
【化8】

【0042】
上記式(b)中、Rは上記式(a)のRと同一のものである。
【0043】
[アルデヒド]
本発明で用いられるアルデヒドは、下記式(c)で表される。
【化9】

【0044】
上記式(c)中、Rは上記式(a)のRと同一のものである。
【0045】
[不斉触媒]
本発明で用いられる不斉触媒は、特に限定されるものではないが、例えば下記式(d)〜(j)で表されるもの等が挙げられる。
【化10】

【0046】
上記式(d)中、R及びRはそれぞれ独立に、以下の群G2より選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基、C−C12鎖式炭化水素基、C−C12脂環式炭化水素基又は水素原子を表し、Rは水素原子、フッ素原子、水酸基、C−C12アルコキシ基、C−C12フッ化アルキルオキシ基又は−OSiRを表し、R,R及びRはそれぞれ独立に、C−Cアルキル基又はC−C20アリール基を表し、*は不斉炭素原子を表す。
<群G2>:C−C12アルキル基、C−C12アルコキシ基、C−C13アルコキシカルボニル基、C−C12フッ化アルキル基、C−C13アシル基、ニトロ基、シアノ基、保護されたアミノ基及びハロゲン原子からなる群
【0047】
及びRは、好ましくは、共に置換基を有してもよいフェニル基である。さらに好ましくは、共に3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基であり、エナンチオ選択性高く光学活性α−ヒドロキシケトンを製造できる。
【0048】
は、好ましくは水酸基又はシリルオキシ基であり、エナンチオ選択性高く光学活性α−ヒドロキシケトンを製造できる。
【0049】
上記式(e)中、R,R10及びR11はそれぞれ独立に、C−Cアルキル基又はC−C20アリール基を表し、*は不斉炭素原子を表す。
【0050】
1011SiO−は、好ましくはtert−ブチルジフェニルシリルオキシ、tert−ブチルジメチルシリルオキシ、トリジイソプロピルシリルオキシ基であり、エナンチオ選択性高く光学活性α−ヒドロキシケトンを製造できる。
【0051】
上記式(f)中、R12は、C−C12アルキル基、C−C20アリール基、アシル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、又はアルキルジアリールシリル基を表し、*は不斉炭素原子を表す。
【0052】
12は、好ましくはtert−ブチルジフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリジイソプロピルシリル基である。
【0053】
上記式(g)中、R13は、C−C12アルキル基、C−C20アリール基、アシル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、又はアルキルジアリールシリル基を表し、*は不斉炭素原子を表す。
【0054】
13は、好ましくはtert−ブチルジフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリジイソプロピルシリル基である。
【0055】
上記式(h)中、R14は、C−C12アルキル基、C−C20アリール基、アシル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、又はアルキルジアリールシリル基を表し、*は不斉炭素原子を表す。
【0056】
14は、好ましくはtert−ブチルジフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリジイソプロピルシリル基である。
【0057】
上記式(i)中、R15は、水素原子、置換基を有していてもよいC−C12アルキル基、C−C20アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表し、*は不斉炭素原子を表す。
【0058】
15は、好ましくはオクチルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、2−ジフェニルヒドロキシ−1−フェニルエチル基である。
【0059】
上記式(j)中、nは1〜20を表し、*は不斉炭素原子を表す。
【0060】
上記式(d)で表されるものとして、具体的には後述する不斉触媒(1a)〜(4)を挙げることができる。上記式(e)で表されるものとして、具体的には後述する不斉触媒(5)を挙げることができる。また、上記式(f)〜(j)で表されるものとして、具体的には以下の不斉触媒を挙げることができる。
【化11】

【0061】
[反応条件等]
光学活性α−ヒドロキシケトンの製造は、溶媒中に、α−ケトアルデヒド、アルデヒド及び不斉触媒を添加することによって行われる。それぞれの添加量は、特に限定されるものではないが、アルデヒドに対しα−ケトアルデヒド0.5〜2.0当量用いることが好ましい。不斉触媒は、エナンチオ選択的にアルドール反応を進行させるために必要であり、アルデヒドに対し、0.1〜10モル%用いることが好ましい。溶媒は特に限定されないが、ジクロロメタン、メタノール、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、水等が挙げられる。反応温度は−23〜30℃が好ましく、反応時間は10分間〜72時間が好ましい。
【0062】
反応終了後、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、カラムクロマトグラフィー等の処理を行い、光学活性α−ヒドロキシケトンが得られる。
【0063】
光学活性α−ヒドロキシケトンは単離してからさらに別の反応を行って、有用物質へ導くことができるが、単離することなくワンポット反応により、同様の有用物質へ導くこともできる。光学活性α−ヒドロキシケトン(a)をPhP=C(R16)CO17(式中、R16は水素原子又はC−Cアルキル基を示し、R17はC−Cアルキル基を示す。)で表されるウイティッヒ試薬と反応させると、光学活性不飽和エステル(k)へ変換することができる。
【化12】

【0064】
また、ケトン部位を還元すれば光学活性ジオールへと変換できる。還元反応に際しては適宜ヒドロキシル基を保護して行うことが好ましい。還元剤の種類によって立体を制御することができ、例えば光学活性不飽和エステル(k)から、亜鉛ボロハイドライドを用いればanti−ジオール(l)が得られ、ヒドロキシル基を保護した後にナトリウム水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムを用いればsyn−ジオール(m)が得られる。
【化13】

【0065】
あるいは、さらにケトン部位にアルドール反応を行うと、炭素鎖を延長することができる。例えば光学活性不飽和エステル(n)からR側に炭素鎖を延長した光学活性化合物(o)を得ることができる。このように、種々の反応を組み合わせて行うことにより、様々な生理活性物質や医薬品等の中間体へ導くことができる。
【化14】

【実施例】
【0066】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0067】
以下の実施例では、次の不斉触媒及びプロリンを用いた。
【化15】

【0068】
[試験例1 反応溶媒の効果]
【化16】

【0069】
上記反応式に示すように、2−オキソプロパナール(6)を基質とし、3−フェニルプロパナールとの不斉触媒アルドール反応において溶媒の効果を検討した。
【0070】
表1に示す各溶媒0.5ml中に、2−オキソプロパナール40%水溶液112μl(0.75mmol)、3−フェニルプロパナール67.0mg(0.5mmol)、不斉触媒(1a)26.3mg(0.05mmol)を加え、化学式に従って室温で数時間反応させた。薄層クロマトグラフィーでヒドロキシケトン(7)の生成を確認した後、反応液にウイティッヒ試薬として(エトキシカルボニルメチリデン)トリフェニルホスホラン435mg(1.25mmol)を加え、さらに室温で2時間反応させた。反応液を、シリカゲル床に通し、濾液を真空濃縮して、粗α,β−不飽和エステル(8)を得た。粗α,β−不飽和エステル(8)のH−NMRから生成物のジアステレオマー比(anti:syn)を算出した。次に濃縮物を薄層クロマトグラフィー(展開溶媒は酢酸エチル:ヘキサン=1:6)によって精製し、α,β−不飽和エステル(8)を単離し、単離物の収量から収率を算出した。anti異性体のエナンチオ選択率(ee%)は、キラルカラム(0.46cm×25cm)によるHPLC分析法により決定した。
【0071】
【表1】

【0072】
表1からわかるように、種々の溶媒中で、立体選択性高くアルドール反応が進行した。特に、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランを用いた場合、収率、ジアステレオ選択率、エナンチオ選択率が高かった。得られた光学活性α,β−不飽和エステル(8)の物性値は以下の通りである。
【0073】
【化17】

(Entry6)
(4R,5R,E)−ethyl 4−benzyl−5−hydroxy−6−oxohept−2−enoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ1.27(3H,t,J=7.2Hz),
2.09(3H,s),2.84−2.92(2H,m),3.04(1H,dt,J=4.0,11.0Hz),4.09(1H,s),4.16(2H,q,J=7.2Hz),5.78(1H,d,J=15.8Hz),6.79(1H,dd,J=9.0,15.8Hz),7.22−7.34(5H,m);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ14.1,25.4,37.8,47.4,60.3,77.0,123.7,126.7,128.7,129.4,138.0,145.2,165.3,208.0,;
IR(neat):νmax3448,1717,1653,1496,1455,1369,1313,1281,1239,1177,1108,1033,989,872,740,702,683,418cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C1620Na]:299.1254,found:299.1279;
[α]22 −97.1(c=0.52,CHCl);
anti異性体のエナンチオ選択率>99%ee:
HPLC(CHIRALPAK AD−H,PrOH:hexane=1:30),1mL/min),t=16.1min(>99.5%),t=23.2min(<0.5%).
【0074】
[試験例2 不斉触媒の効果]
【化18】

【0075】
上記反応式に示すように、2−オキソプロパナール(6)を基質とし、3−フェニルプロパナールとの不斉触媒アルドール反応において不斉触媒の効果を検討した。
【0076】
不斉触媒の種類を変える他は試験例1と同様に反応、処理を行った。
【0077】
【表2】

【0078】
表2からわかるように、プロリン(Entry11)はアルドール反応を促進しないが、本発明で用いる触媒によれば、反応が促進される。シリルエーテルを含む触媒(Entry7、9)では、逆のエナンチオマー(9)が生成しやすくなった。
【化19】

【0079】
[試験例3 基質汎用性の検討]
【化20】

【0080】
上記反応式に示すように、α−ケトアルデヒド(10)とアルデヒド(11)の不斉触媒アルドール反応において基質汎用性を検討した。
【0081】
テトラヒドロフラン0.5mL中に、α−ケトアルデヒド(10)X当量を溶解させ、不斉触媒(1a)0.05mmolを添加し、次いで、アルデヒド(11)Y当量を加え、化学式に従って室温で数時間反応させた。X又はYで1当量とした方が0.5mmolとなるように添加した。α−ケトアルデヒド(10)が2−オキソプロパナールの場合(Entry12〜22)は、40wt%水溶液を、2−オキソ−ブタナールの場合(Entry23〜24)は17wt%水溶液を用いた。また、α−ケトアルデヒド(10)が2−シクロヘキシル−2−オキソアセトアルデヒドの場合はEntry25では水を12.2当量、Entry26では6.1当量添加した。α−ケトアルデヒド(10)が2−オキソ−オクタナールの場合はEntry27では水を12.2当量、Entry28では6.1当量添加した。反応後、ウイティッヒ試薬として(エトキシカルボニルメチリデン)トリフェニルホスホラン435mg(1.25mmol)を加え、室温で2時間攪拌し、α,β−不飽和エステルに変換した。反応液の処理、精製は試験例1と同様に行った。
【0082】
【表3】

【0083】
表3からわかるように、3−フェニルプロパナール以外にも種々のアルデヒドが求核試薬として働き、高いジアステレオ選択性、高いエナンチオ選択性で対応するα−ヒドロキシケトンの不飽和エステルが得られた。また、2−オキソプロパナール以外にも種々のα−ケトアルデヒドが求電子試薬として働き、高いジアステレオ選択性、高いエナンチオ選択性で対応するα−ヒドロキシケトンの不飽和エステルが得られた。このように、本発明の不斉アルドール反応による光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法は幅広い基質に適用できた。得られた不飽和エステルの物性値は以下の通りである。
【0084】
【化21】

(Entry12)
(R,E)−ethyl 5−hydroxy−6−oxohept−2−enoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ1.28(3H,t,J=7.2Hz),2.23(3H,s),2.46−2.54(1H,m),2.77(1H,ddq,J=1.4,7.6,14.8Hz),4.18(2H,q,J=7.2Hz),4.32(1H,dt,J=4.8,7.2Hz),5.94(1H,dt,J=1.4,15.6Hz),6.90(1H,dt,J=7.6,15.6Hz);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ14.1,25.4,36.4,60.6,75.6,124.9,142.5,166.3,208.3;
IR(neat):νmax3446,2924,1717,1655,1369,1269,1165,1096,1041,981,668,701cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C14NaO:209.0784,found:209.0792;
[α]17 −19.5(c=0.81,CHCl);
anti異性体のエナンチオ選択率93%ee:3,5−ジニトロベンゾイル化後のHPLC(CHIRALCEL OD−H,PrOH:hexane=1:40),1mL/min,t=37.5min(96.5%),t=56.4min(3.5%).
【0085】
【化22】

(Entry13)
(4R,5R,E)−ethyl 5−hydroxy−4−methyl−6−oxohept−2−enoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ1.27(3H,d,J=6.8Hz),1.28(3H,t,J=7.2Hz),2.19(3H,s),2.84−2.91(1H,m),4.17(2H,q,J=7.2Hz),4.20(1H,d,J=6.8Hz),5.84(1H,d,J=15.6Hz),6.79(1H,dd,J=8.0,15.6Hz);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ14.6,16.8,25.8,40.1,60.7,80.2,122.9,146.9,166.1,208.2;
IR(neat):νmax3467,2979,1716,1654,1459,1369,1276,1181,1035,981cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C1016NaO:223.0941,found:223.0933;
[α]17 −26.2(c=0.57,CHCl);
anti異性体のエナンチオ選択率99%ee:HPLC(CHIRALPAK IC,PrOH:hexane=1:30),1mL/min,t=33.9min(0.5%),t=46.0min(99.5%).
【0086】
【化23】

(Entry15)
(4R,5R,E)−ethyl 4−ethyl−5−hydroxy−6−oxohept−2−enoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ0.98(3H,t,J=7.2Hz),1.28(3H,t,J=7.2Hz),1.61−1.82(2H,m),2.18(3H,s),2.49−2.56(1H,m),4.16(2H,q,J=7.2Hz),4.28(1H,d,J=1.6Hz),5.80(1H,d,J=15.6Hz),6.69(1H,dd,J=9.6,15.6Hz);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ11.9,14.2,24.6,25.4,47.2,60.5,78.7,123.8,145.5,165.7,208.1;
IR(neat):νmax3461,2965,1716,1653,1459,1370,1237,1176,1137,1038,990cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C1118NaO:237.1097,found:237.1089;
[α]17 −38.6(c=1.15,CHCl);
anti異性体のエナンチオ選択率99%ee:HPLC(CHIRALPAK AD−H,PrOH:hexane=1:30),1mL/min,t=26.1min(99.5%),t=32.7min(0.5%).
【0087】
【化24】

(Entry16)
(4R,5R,E)−ethyl 5−hydroxy−6−oxo−4−propylhept−2−enoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ0.94(3H,t,J=7.2Hz),1.27(3H,t,J=7.2Hz),1.33−1.39(2H,m),1.61−1.68(2H,m),2.18(3H,s),2.61−2.67(1H,m),4.17(2H,q,J=7.2Hz),4.25(1H,dd,J=2.4,4.4Hz),5.79(1H,d,J=16.0Hz),6.70(1H,dd,J=9.6,16.0Hz);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ13.7,14.0,20.3,25.3,33.4,45.1.60.3,78.9,123.4,145.5,165.6,207.9;
IR(neat):νmax3457,2959,1717,1654,1370,1279,1176,1138,1039,990cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C1220Na]:251.1254,found:251.1257;
[α]17 −81.1(c=1.02,CHCl);
anti異性体のエナンチオ選択率99%ee:3,5−ジニトロベンゾイル化後のHPLC(CHIRALPAK IA,PrOH:hexane=1:50),1mL/min,t=41.4min(99.5%),t=74.8min(0.5%).
【0088】
【化25】

(Entry17)
(4R,5R,E)−ethyl 5−hydroxy−4−isopropyl−6−oxohept−2−enoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ0.91(3H,d,J=6.8Hz),1.11(3H,d,J=6.8Hz),1.27(3H,t,J=7.2Hz),1.97−2.07(1H,m),2.07−2.21(1H,m),2.15(3H,s),4.15(2H,q,J=7.2Hz),4.42(1H,dd,J=2.0,4.4Hz),5.75(1H,d,J=16.0Hz),6.71(1H,dd,J=10.4,16.0Hz);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ14.1,20.5,21.2,25.1,28.6,52.6,60.4,77.4,123.9,145.4,165.5,208.4;
IR(neat):νmax3457,2961,1716,1369,1278,1177,1140,1086,1037,994,750cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C1220Na]:251.1254,found:251.1259;
[α]17 −89.9(c=0.79,CHCl);
anti異性体のエナンチオ選択率98%ee:HPLC(CHIRALPAK IC,PrOH:hexane=1:30),1mL/min,t=23.0min(1.0%),t=45.0min(99.0%).
【0089】
【化26】

(Entry19)
(4R,5R,E)−ethyl 4−benzyloxy−5−hydroxy−6−oxohept−2−enoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ1.31(3H,t,J=7.2Hz),2.23(3H,s),4.19−4.25(3H,m),4.31(1H,d,J=4.8Hz),4.46(1H,d,J=12.0Hz),4.65(1H,d,J=12.0Hz),6.13(1H,d,J=16.0Hz),6.94(1H,dd,J=6.0,16.0Hz),7.28−7.36(5H,m);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ14.2,27.8,60.7,72.1,78.9,79.8,124.5,127.8,128.0,128.5,136.9,143.3,165.5,207.3;
IR(neat):νmax3448,2985,2924,1712,1365,1273,1180,1095,1034,987,741,702cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C1620NaO:315.1203,found:315.1199;
anti異性体のエナンチオ選択率99%ee:HPLC(CHIRALCEL OD−H,PrOH:hexane=1:50),1mL/min,t=35.4min(0.5%),t=43.0min(99.5%).
【0090】
【化27】

(Entry20)
(4S,5R,E)−ethyl 5−hydroxy−4−((4−methoxybenzyloxy)methyl)−6−oxohept−2−enoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ1.27(3H,t,J=7.2Hz),2.17(3H,s),2.95−3.01(1H,m),3.56(1H,dd,J=5.6,8.8Hz),3.72(1H,dd,J=8.4Hz),3.81(3H,s),4.16(2H,q,J=7.2Hz),4.48(2H,dd,J=11.6,22.4Hz),5.88(1H,d,J=15.6Hz),6.72(1H,dd,J=9.0,15.6Hz),7.29−7.41(5H,m);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ14.2,25.6,45.6,55.3,60.5,69.2,73.2,76.5,113.8,124.9,129.4,129.8,142.1,159.4,165.6,208.5;
IR(neat):νmax3456,2931,1712,1511,1365,1250,1180,1095,1034,818cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C1824NaO:359.1465,found:359.1465;
[α]17 −41.7(c=0.83,CHCl);
anti異性体のエナンチオ選択率97%ee:HPLC(CHIRALPAK AS−H,PrOH:hexane=1:10),1mL/min,t=12.6min(1.5%),t=18.1min(98.5%).
【0091】
【化28】

(Entry21)
(R,E)−ethyl 4−((R)−1−hydroxy−2−oxopropyl)−7−phenylhept−2−en−6−ynoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ1.28(3H,t,J=7.2Hz),2.23(3H,s),2.68(1H,dd,J=6.0,16.4Hz),2.88(1H,dd,J=8.8,16.4Hz),2.95−3.02(1H,m),4.18(2H,q,J=7.2Hz),4.58(1H,dd,J=2.4,4.4Hz),5.92(1H,d,J=15.6Hz),6.73(1H,dd,J=9.0,15.6Hz),7.29−7.41(5H,m);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ14.4,22.4,25.5,45.0,60.7,77.7,83.3,86.4,124.6,128.1,128.3,131.7,143.4,165.5,207.8;
IR(neat):νmax3460,2924,1717,1654,1491,1370,1280,1173,1032,981,758,692cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C1820NaO:323.1254,found:323.1262;
[α]18 −63.8(c=0.85,CHCl);
anti異性体のエナンチオ選択率98%ee:HPLC(CHIRALPAK IC,PrOH:hexane=1:30),1mL/min,t=33.7min(1.0%),t=41.8min(99.0%).
【0092】
【化29】

(Entry22)
(R,2E,7Z)−ethyl 4−((R)−1−hydroxy−2−oxopropyl)deca−2,7−dienoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ0.96(3H,t,J=7.2Hz),1.27(3H,t,J=7.2Hz),1.67−1.82(2H,m),1.98−2.12(4H,m),2.17(3H,s),2.64−2.69(1H,m),4.16(2H,q,J=7.2Hz),4.24(1H,dd,J=2.0,4.4Hz),5.27−5.46(2H,m),5.79(1H,d,J=16.0Hz),6.70(1H,dd,J=9.6,16.0Hz);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ14.1,14.3,20.6,24.5,25.3,31.3,44.6,60.4,78.8,123.7,127.5,132.9,145.3,165.6,207.9;
IR(neat):νmax3446,2933,1718,1450,1370,1280,1162,1095,1038,668cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C1524Na]:291.1567,found:291.1566;
[α]16 −31.7(c=0.47,CHCl);
anti異性体のエナンチオ選択率99%ee:3,5−ジニトロベンゾイル化後のHPLC(CHIRALPAK AD−H,PrOH:hexane=1:30),1mL/min,t=20.5min(99.5%),t=24.9min(0.5%).
【0093】
【化30】

(Entry23)
(4R,5R,E)−ethyl 5−hydroxy− 4−methyl −6−oxooct−2−enoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ1.10(3H,t,J=7.2Hz),1.25(3H,d,J=7.2Hz),1.27(3H,t,J=7.2Hz),2.45(2H,q,J=7.2Hz),2.82−2.89(1H,m),4.16(2H,q,J=7.2Hz),4.19(1H,d,J=4.0Hz),5.81(1H,d,J=16.0Hz),6.78(1H,dd,J=8.0,16.0Hz);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ14.1,16.6,31.7,40.0,60.4,79.4,122.6,146.7,165.9,210.8;
IR(neat):νmax3464,2978,2939,2360,1712,1651,1458,1373,1273,1180,1142,1103,1034cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C1118NaO:237.1089,found:237.1097;
[α]23 −69.3(c=0.75,CHCl);
anti異性体のエナンチオ選択率98%ee:
HPLC(CHIRALPAK IC,PrOH:hexane=1:10),1mL/min,t=10.4min(1.0%),t=13.7min(99.0%).
【0094】
【化31】

(Entry25)
(4R,5R,E)−ethyl 6−cyclohexyl−5−hydroxy−4−methyl−6−oxohex−2−enoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ1.26−1.30(8H,m),1.45−1.84(8H,m),2.49−2.55(1H,m),2.85−2.92(1H,m),4.17(2H,q,J=7.2Hz),4.32(1H,d,J=2.4Hz),5.80(1H,d,J=16.0Hz),6.78(1H,dd,J=8.0,16.0Hz);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ14.2,16.9,25.0,25.6,25.9,26.9,30.1,39.8,46.5,60.4,70.8,122.7,146.9,165.9,213.4;
IR(neat):νmax3456,2931,2854,1712,1651,1450,1373,1304,1273,1180,1034,1003cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C1524NaO:291.1567,found:291.1565;
[α]23 −50.8(c=0.50,CHCl);
anti異性体のエナンチオ選択率99%ee:HPLC(CHIRALPAK IA,PrOH:hexane=1:30),1mL/min,t=11.3min(0.5%),t=13.5min(99.5%).
【0095】
【化32】

(Entry27)
(4R,5R,E)−ethyl 5−hydroxy−4−methyl−6−oxododec−2−enoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ0.87(3H,t,J=7.2Hz),1.24−1.28(12H,m),1.56−1.61(2H,m),2.41(2H,t,J=7.2Hz),2.81−2.88(1H,m),4.13−4.18(3H,m),5.80(1H,d,J=16.0Hz),6.77(1H,dd,J=8.0,16.0Hz);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ13.9、14.1,16.7、22.3,23.3,28.8,31.4,38.4,39.9,60.3,79.5,122.7,146.7,165.8,210.4;
IR(neat):νmax3448,2931,1712,1651,1458,1373,1273,1180,1034,872,725cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C1526NaO:293.1723,found:293.1726;
[α]22 −31.3(c=0.69,CHCl);
anti異性体のエナンチオ選択率98%ee:HPLC(CHIRALPAK IC,PrOH:hexane=1:30),1mL/min,t=19.4min(1.0%),t=27.6min(99.0%).
【0096】
[試験例4 有用中間体への応用]
【化33】

【0097】
上記反応式に示すように、表3のEntry14で得られた(4R,5R,E)−エチル−5−ヒドロキシ−4−メチル−6−オキソヘプト−2−エノエート(12b)(anti:syn=10:1混合物)34.6mg(0.17mmol)をテトラヒドロフラン0.7mLに溶解させ、0℃でZn(BHの0.5Mテトラヒドロフラン溶液1.5mLを添加した。0℃で30分攪拌した後、水、次いで10%HClを添加して反応を停止した。クロロホルムで4回抽出し、有機層を飽和NaHCO水、食塩水で洗浄した後、無水MgSOで乾燥した。濾過後、真空濃縮したものをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)で精製し、(4R,5R,6S,E)−エチル−5,6−ジヒドロキシ−4−メチルヘプト−2−エノエート(13)を得た(収率80%)。物性値は以下の通りである。
【0098】
【化34】

(4R,5R,6S,E)−ethyl 5,6−dihydroxy−4−methylhept−2−enoate
dr=10:1混合物として;
H−NMR(CDCl,400MHz):δ1.08(3H,d,J=6.8Hz),1.21(3H,d,J=6.4Hz),1.29(3H,t,J=7.2Hz),2.43−2.54(1H,m),3.48(1H,dd,J=4.8,6.8Hz),3.85(1H,dd,J=4.8,6.0Hz),4.19(2H,q,J=7.2Hz),5.85(1H,d,J=16.0Hz),6.97(1H,dd,J=8.0,16.0Hz);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ14.2,16.0,17.1,38.9,60.4,68.4,77.7,122.0,150.5,166.7;
IR(neat):νmax3417,2970,1705,1651,1458,1373,1281,1188,1041,995,771cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C1018NaO:225.1097,found:225.1088;
[α]24 +10.5(c=0.44,CHCl).
【0099】
次に、下記反応式に示すように、2−オキソプロパナールとプロパナールによる不斉触媒アルドール反応、(エトキシカルボニルメチリデン)トリフェニルホスホランによるウイティッヒ反応、Zn(BHによる還元の3段階の反応を、途中で単離することなくワンポットで行ったところ、同じ物性をもつジオール(13)が得られ、ワンポット反応でもキラル部位が構築されたことがわかった。
【0100】
【化35】

【0101】
[試験例5 有用中間体への応用]
【化36】

【0102】
上記反応式に示すように、表3のEntry14で得られた(4R,5R,E)−エチル−5−ヒドロキシ−4−メチル−6−オキソヘプト−2−エノエート(12b)(anti:syn=10:1混合物)261mg(1.31mmol)をジクロロメタン2.6mLに溶解させ、0℃でTIPSOTf0.52mL(1.96mmol)、2,6−ルチジン0.38mL(3.26mmol)を添加した。室温で12時間攪拌した後、飽和NHCl水溶液を添加して反応を停止した。有機物をクロロホルムで3回抽出し、食塩水で洗浄した後、無水NaSOで乾燥した。濾過後、真空濃縮したものをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:クロロホルム=1:40)で精製し、(4R,5R,E)−エチル−4−メチル−6−オキソ−5−(トリイソプロピルシリルオキシ)ヘプト−2−エノエート(15)が得られた(anti:syn=10:1混合物として収率38%)。
【0103】
シリカゲルカラムクロマトグラフィーで一部単離されたanti体の(4R,5R,E)−エチル−4−メチル−6−オキソ−5−(トリイソプロピルシリルオキシ)ヘプト−2−エノエート(15)31.5mg(0.088mmol)をトルエン0.9mLに溶解させ、−78℃でナトリウム水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムの65wt%トルエン溶液0.04mLを添加した。−78℃で30分攪拌した後、酒石酸ナトリウムカリウムの飽和水溶液を添加して反応を停止した。有機物をクロロホルムで3回抽出し、食塩水で洗浄した後、無水NaSOで乾燥した。濾過後、真空濃縮したものをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:4)で精製し、(4R,5R,6R,E)−エチル−6−ヒドロキシ−4−メチル−5−(トリイソプロピルシリルオキシ)ヘプト−2−エノエート(16)を得た(収率94%)。
得られた(15)及び(16)の物性値は以下の通りである。
【0104】
【化37】

(4R,5R,E)−ethyl 4−methyl−6−oxo−5−(triisopropylsilyloxy)hept−2−enoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ1.04−1.10(24H,d,J=6.8Hz),1.27(3H,d,J=7.2Hz),2.16(3H,s),2.58−2.67(1H,m),4.08(1H,d,J=4.8Hz),4.17(2H,q,J=7.2Hz),5.86(1H,d,J=16.0Hz),6.95(1H,dd,J=8.0,16.0Hz);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ12.3,14.2,14.7,18.0,26.1,41.8,60.3,82.5,122.0,148.8,166.2,210.6;
IR(neat):νmax2947,2870,1720,1466,1365,1273,1180,1111,1041,987,879,818,679cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C1936NaOSi]:379.2275,found:379.2288;
[α]22 +15.1(c=0.77,CHCl).
【0105】
【化38】

(4R,5R,6R,E)−ethyl 6−hydroxy−4−methyl−5−(triisopropylsilyloxy)hept−2−enoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ1.10−1.18(27H,m),1.17(3H,t,J=7.2Hz),2.64−2.67(1H,m),3.67−3.71(2H,m),4.19(2H,q,J=7.2Hz),5.83(1H,d,J=16.0Hz),6.99(1H,dd,J=7.2,16.0Hz);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ13.4,14.3,14.4,18.2,18.3,21.0,60.3,67.7,79.3,121.4,150.3,166.6;
IR(neat):νmax3487,2939,2870,1720,1651,1446,1373,1265,1095,1041,879,679cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C1938NaOSi]:381.2432,found:381.2435;
[α]26 +7.0(c=1.31,CHCl).
【0106】
[試験例6 有用中間体への応用]
【化39】

【0107】
上記反応式に示すように、(4R,5R,E)−エチル−4−メチル−6−オキソ−5−(トリイソプロピルシリルオキシ)ヘプト−2−エノエート(15)(anti:syn=8.5:1混合物)44.5mg(0.116mmol)をジクロロメタン0.77mLに溶解させ、−78℃でPrNEt37μL(0.216mmol)、BuBOTf0.185mL(0.185mol)を添加した。0℃で3時間攪拌した後、再び−78℃に冷却し、イソブチルアルデヒド28μL(0.308mmol)を滴下した。−78℃から徐々に−20℃へ上昇する間30分間攪拌した。pH=7の緩衝液を添加し、反応を停止させ、有機層を分離した。水層をジクロロメタンで抽出した後、有機層をあわせて真空濃縮し、残渣をメタノール、pH=7の緩衝液、30%過酸化水素水の混合物に溶解させた。2時間攪拌した後、有機層を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、飽和NaHCO水溶液、次いで食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥した。濾過後、真空濃縮したものを薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:6)で精製し、anti:syn=14.3:1混合物の(4R,5R,8R,E)−エチル−8−ヒドロキシ−4,9−ジメチル−6−オキソ−5−(トリイソプロピルシリルオキシ)デセ−2−エノエート(18)が得られた(収率70%)。得られた(18)の物性値は以下の通りである。
【0108】
【化40】

(4R,5R,8R,E)−ethyl−8−hydroxy−4,9−dimethyl−6−oxo−5−(triisopropylsilyloxy)dec−2−enoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ0.83(3H,d,J=6.8Hz),0.84(3H,d,J=6.8Hz),0.98−1.05(24H,m),1.22(3H,t,J=7.2Hz),1.60−1.66(1H,m),2.50(1H,dd,J=6.0,18.4Hz),2.57−2.62(1H,m),2.66(1H,dd,J=2.0,18.4Hz),3.65−3.69(1H,m),4.11(2H,q,J=7.2Hz),4.14(1H,d,J=4.8Hz),5.73(1H,d,J=15.6Hz),6.89(1H,dd,J=8.0,15.6Hz);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ12.5,14.2,14.9,17.9,18.0,32.9,42.1,42.3,60.4,71.6,82.3,122.0,148.4,166.1,215.0;
IR(neat):νmax4327,3525,2947,2870,1720,1651,1466,1373,1265,1180,1111,1041,995,879,818,679,579,509cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C2344NaOSi]:451.2850,found:451.2856.
【0109】
[試験例7 絶対配置の決定]
【化41】

【0110】
上記反応式に従い、不斉触媒(1b)を用いた2−オキソプロパナールとアセトアルデヒドとのアルドール反応、ウイティッヒ反応、ヒドロキシル基の保護、還元、脱保護、アセタール化、オゾン分解、還元、ベンジル化を経て既存物質へ導き、文献(Kochekovl,N.K.;A.I.Tetrahedron,1963,19,973)の旋光度と比較し、絶対配置を決定した。合成した2−((4S,5S)−2,2,5−トリメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)エチルベンゾエートの物性値は以下の通りである。
【0111】
【化42】

2−((4S,5S)−2,2,5−trimethyl−1,3−dioxolan−4−yl)ethyl benzoate
H−NMR(CDCl,400MHz):δ1.28(3H,d,J=6.0Hz),1.39(3H,s),1.40(3H,s),1.93−2.07(2H,m),3.67−3.83(2H,m),4.39−4.54(2H,m),7.42−8.04(5H,m);
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ17.3、27.2,27.3,31.5,62.0;79.3,108.2,128.4,129.6,130,2,133.0,166.5;
IR(neat):νmax2985,2931,1720,1604,1450,1373,1273,1173,1095,1026,1003,856,710,517cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] calcd for[C1520NaO4]:287.1254,found:287.1247;
[α]24−24.5(c=1.00,CHCl),文献値:−25.6(c=4.95,CHCl

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(a)で表される光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法であって、下記式(b)で表されるα−ケトアルデヒドと下記式(c)で表されるアルデヒドとの不斉触媒アルドール反応を行うことを特徴とする光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
【化1】

(式(a)中、R、Rはそれぞれ独立に群G1より選ばれる置換基を有していてもよいC−C20炭化水素基又は水素原子を表す。)
【化2】

(式(b)中、Rは式(a)のRと同一のものである。)
【化3】

(式(c)中、Rは式(a)のRと同一のものである。)
<群G1>:群G2より選ばれる置換基を有していてもよいC−C20アリール基、群G2より選ばれる置換基を有していてもよい芳香族複素環基、C−C12アルコキシ基、群G2より選ばれる置換基を有していてもよいC−C20アリール基を有するC−C12アルコキシ基、ハロゲン原子、オキソ基及びトリC−C12アルキルシリル基からなる群
<群G2>:C−C12アルキル基、C−C12アルコキシ基、C−C13アルコキシカルボニル基、C−C12フッ化アルキル基、C−C13アシル基、ニトロ基、シアノ基、保護されたアミノ基及びハロゲン原子からなる群
【請求項2】
前記不斉触媒アルドール反応で用いられる不斉触媒が下記式(d)又は(e)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
【化4】

(式(d)中、R及びRはそれぞれ独立に、以下の群G2より選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基、C−C12鎖式炭化水素基、C−C12脂環式炭化水素基又は水素原子を表し、Rは水素原子、フッ素原子、水酸基、C−C12アルコキシ基、C−C12フッ化アルキルオキシ基又は−OSiRを表し、R,R及びRはそれぞれ独立に、C−Cアルキル基又はC−C20アリール基を表し、*は不斉炭素原子を表す。)
【化5】

(式(e)中、R,R10及びR11はそれぞれ独立に、C−Cアルキル基又はC−C20アリール基を表し、*は不斉炭素原子を表す。)
<群G2>:C−C12アルキル基、C−C12アルコキシ基、C−C13アルコキシカルボニル基、C−C12フッ化アルキル基、C−C13アシル基、ニトロ基、シアノ基、保護されたアミノ基及びハロゲン原子からなる群
【請求項3】
が水酸基であることを特徴とする請求項2記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
【請求項4】
及びRがそれぞれ独立に、C−C12フッ化アルキル基を有していてもよいフェニル基であることを特徴とする請求項2又は3記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
【請求項5】
及びRが共に、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基であることを特徴とする請求項2から4のいずれか記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
【請求項6】
前記不斉触媒アルドール反応が、水の存在下で行われることを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
【請求項7】
下記式(a)で表される光学活性α−ヒドロキシケトン。
【化6】

(式(a)中、R、Rはそれぞれ独立に群G1より選ばれる置換基を有していてもよいC−C20炭化水素基又は水素原子を表す。)
<群G1>:群G2より選ばれる置換基を有していてもよいC−C20アリール基、群G2より選ばれる置換基を有していてもよい芳香族複素環基、C−C12アルコキシ基、群G2より選ばれる置換基を有していてもよいC−C20アリール基を有するC−C12アルコキシ基、ハロゲン原子、オキソ基及びトリC−C12アルキルシリル基からなる群
<群G2>:C−C12アルキル基、C−C12アルコキシ基、C−C13アルコキシカルボニル基、C−C12フッ化アルキル基、C−C13アシル基、ニトロ基、シアノ基、保護されたアミノ基及びハロゲン原子からなる群

【公開番号】特開2013−35809(P2013−35809A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175236(P2011−175236)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【Fターム(参考)】