説明

光学活性−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンの製造方法

本発明は下記一般式(1)で示されるDL−エリスロ−3−置換セリンのN−アシル体を


(式中、Rは、炭素数1ないし10のアルカノイル基、ベンゾイル基、ハロゲン原子により置換された炭素数1ないし5のアルカノイル基又はハロゲン原子により置換されたベンゾイル基を表し、Rはフェニル基もしくはシクロヘキシル基を意味する。)L−アミノアシラーゼまたはD−アミノアシラーゼにより不斉加水分解し、L−アミノアシラーゼの場合には未反応のN−アシル−D−エリスロ−3−置換セリンを得、D−アミノアシラーゼの場合には加水分解されたD−エリスロ−3−置換セリン得る方法に関するもので、該D−エリスロ体は医薬品、例えば抗HIV薬として有用なことが知られている薬剤(WO01/40227)等の中間体として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、医薬品の中間体等として有用な光学活性−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンの製造方法に関するものであり、例えば抗HIV薬として有用なことが知られている薬剤(WO01/40227)の中間体であるD−エリスロ−3−シクロヘキシルセリン若しくはそのN−t−ブトキシカルボニル体(以下、Boc体という)を製造する方法に関する。
【背景技術】
ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc.)1953年,75巻,p3417及び1953年,75巻,p3421.には、ベンズアルデヒドとグリシンを強アルカリ存在下で縮合させることによりDL−スレオ/エリスロ−3−フェニルセリンを得、スレオ/エリスロ体の相互分離処理を行う方法が開示されている。この方法は反応の立体選択性が低いために、スレオ/エリスロ、D/Lの組み合わせで4種類の異性体が不可逆的に生成する上に、スレオ体の方がエリスロ体よりも優先的に生成する。それ故L−またはD−エリスロ−3−フェニルセリンの分離に当たっては、これら異性体を分離するための繁雑な工程を必要とし、工業的製造法を開発する上で大きな問題となっていた。特に、エリスロ体はスレオ体よりも生成比が少ないことが問題となり、また、従来のD/L体の光学分割法は試用する光学分割剤が高価であるだけでなく、工程及びその制御が複雑で収率も低いという問題があった。
上記以外の方法として、不斉合成法を用いる方法が知られている(ジャーナルオブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)1998,63,3631−3646)。即ち、L−セリンを出発物質としカルボン酸部分を保護基により保護した後、水酸基をアルデヒドへ酸化し、さらにグリニャール不斉付加反応により光学活性−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得る方法である。しかし、この方法は工程が非常に長く、収率も低いので、工業的製造法とは言い難い。また、酵素を利用して光学分割する方法としては、D−スレオニンアルドラーゼを用いて、D体3−シクロヘキシルセリンを分解しL−スレオ/エリスロ−3−シクロヘキシルセリンとし、次いで、L−アロスレオニンアルドラーゼにより、L−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを酵素的に分解して、L−スレオ−3−シクロヘキシルセリンを得る方法が知られている(特開平06−125787)。しかしながら、N−アシル−DまたはL−エリスロ−3−置換セリンを基質とし、該化合物を加水分解するアミノシラーゼは知られていない。そのため酵素を用いて、光学活性−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得る方法は知られていない。
そのため、光学活性−エリスロ−3−シクロヘキシルセリン若しくはそのBoc体の効率的、且つ工業的な製法の開発が望まれている。
【発明の開示】
本発明者らは、光学活性−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得る方法に関し鋭意検討を行った結果、N−アシル−DまたはL−エリスロ−3−置換セリンのいずれか一方を選択的に加水分解する能力を有するLまたはD−アミノアシラーゼが有ることを見いだし、該酵素をN−アシル−DL−エリスロ−3−フェニルセリンに作用させ、いずれか一方を加水分解することにより、目的とする光学活性−エリスロ−3−フェニルセリンを高効率かつ高光学活性で得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、
(1)一般式(1):

(式(1)中、Rは、アシル基を表し、Rはフェニル基もしくはシクロヘキシル基を意味する。)
で示されるDL−エリスロ−3−置換セリンのN−アシル体に、N−アシル−L−エリスロ−3−置換セリンを選択的に加水分解する能力を有するL−アミノアシラーゼを作用させ、不斉加水分解することを特徴とする、一般式(2):

(式(2)中、R、Rは、式(1)と同じ意味を表す。)
で示されるN−アシル−D−エリスロ−3−置換セリンの製造方法、
(2)アシル基が炭素数1ないし10のアルカノイル基、ベンゾイル基、ハロゲン原子により置換された炭素数1ないし5のアルカノイル基又はハロゲン原子により置換されたベンゾイル基である前項(1)記載の製造方法、
(3)Rが炭素数1ないし5のアルカノイル基である前項(1)記載の製造方法、
(4)Rがアセチル基である前項(3)記載の製造方法、
(5)一般式(1)

(式(1)中、アシル基を表し、Rはフェニル基もしくはシクロヘキシル基を意味する。)
で示されるDL−エリスロ−3−置換セリンのN−アシル体に、N−アシル−D−エリスロ−3−置換セリンを選択的に加水分解する能力を有するD−アミノアシラーゼを作用させ、不斉加水分解することを特徴とする、一般式(3):

(式(3)中、Rはフェニル基もしくはシクロヘキシル基を意味する。)
で示されるD−エリスロ−3−置換セリンの製造方法、
(6)アシル基が、炭素数1ないし10のアルカノイル基、ベンゾイル基、ハロゲン原子により置換された炭素数1ないし5のアルカノイル基又はハロゲン原子により置換されたベンゾイル基である前項(5)記載の製造方法、
(7)Rが炭素数1ないし5のアルカノイル基である前項(5)記載の製造方法、
(8)Rがアセチル基である前項(7)に記載の製造方法、
(9)前項(1)ないし(4)のいずれか一項に記載の製造方法で得られた下記式(C):

(式(C)中、Rはアシル基を表す。)
で示されるN−アシル−D−エリスロ−3−フェニルセリンを、ロジウム−カーボンにより接触水素還元して下記式(D):

(式(D)中、Rは、式(C)と同じ意味を示す。)
で示されるN−アシル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンとし、さらに上記式(D)を加水分解することを特徴とする、下記式(E):

で示されるD−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンの製造方法、
(10)前項(5)ないし(8)のいずれか一項に記載の方法で得られた下記式(G):

で示されるD−エリスロ−3−フェニルセリンを、ジ−t−ブチルジカルボナートによりBoc化して下記式(H):

で示されるN−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−フェニルセリンとし、さらに上記式(H)をロジウム−カーボンにより接触水素還元することを特徴とする、下記式(F):

で示されるN−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンの製造方法、
(11)下記式(D)’:

で示されるN−アセチル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリン、
に関する。
発明を実施数するための最良の形態
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いられる前記一般式(1)のN−アシル−DL−エリスロ−3−置換セリンは、たとえばジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc.)1953年,75巻,p238.,1953年,75巻,p89.に記載の方法に準じて得ることが出来る。
本発明で用いられるN−アシル−DまたはL−エリスロ−3−置換セリンのいずれか一方を選択的に加水分解する能力を有するLまたはD−アミノアシラーゼは、一般式(1)で表されるN−アシル体のD体またはL体の、いずれか一方のN−アシル基を選択的に加水分解する能力を有するものであれば特に制限されない。例えば動物由来または微生物由来何れであってもよい。該L−アミノアシラーゼとしては一般式(1)で表されるN−アシル体のL体を選択的に加水分解する能力を有するものであれば特に制限なく使用でき、その好ましい1例を挙げれば微生物(アスペルギルスに属する糸状菌)由来のアシラーゼ「アマノ」(商品名、天野エンザイム株式会社製)が挙げられる。これは容易に市場にて購入する事ができる。また該D−アミノアシラーゼとしては一般式(1)で表されるN−アシル体のD体のN−アシル基を選択的に加水分解する能力を有するものであれば特に制限なく使用でき、その具体例としては特公昭60−31477号記載のD−アミノアシラーゼ、より詳しくはシュードモナス アミノボランス(pseudomonas aminovorans)NCIB 9039、シュードモナス スピシーズ(P.sp.)1158(微工研菌寄第4632)またはシュードモナス スピシーズ(P.sp.)617(微工研菌寄第4631)由来のD−アミノアシラーゼや特公平7−83711記載のD−アミノアシラーゼ、より詳しくはアルカリゲネス・デニトリフィンカス・サブスピーシーズ・キシロースオキシダンスMI−4株(微工研菌寄第9413号)由来のD−アミノアシラーゼ等が挙げられる。本発明で用いられるLまたはD−アミノアシラーゼは通常精製された酵素が使用されるが、上記の選択的加水分解能力を有すれば粗酵素、微生物菌体等も使用することができる。また、該酵素または微生物菌体を高分子担体等に固定化した固定化酵素を使用することもできる。該固定化酵素は酵素や菌体等を高分子担体等に固定化し、回収再利用できるように加工したもので、通常担体結合法や架橋重合法、ゲル包括法などにより製造される。
前記一般式(1)、(2)及び前記式(C)、(D)において、Rは、アシル基を示し、該アシル基は上記LまたはD−アミノアシラーゼで、加水分解される置換カルボニル基であればどのような基であってもよい。好ましいアシル基としては炭素数1ないし10のアルカノイル基、ベンゾイル基、ハロゲン原子により置換された炭素数1ないし5のアルカノイル基又はハロゲン原子により置換されたベンゾイル基をを挙げることが出来る。
炭素数1ないし10のアルカノイル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、i−ブチリル基、n−ペンタノイル基、i−ペンタノイル基等が挙げられ、炭素数1ないし5のアルカノイル基が好ましく、特にアセチル基が好ましい。
また、ハロゲン原子としては塩素、臭素原子等が挙げられる。ハロゲン原子により置換された炭素数1ないし5のアルカノイル基の具体例としてはクロロアセチル基、クロロプロピオニル基、クロロブチリル基等が挙げられる。ハロゲン原子により置換されたベンゾイル基の具体例としてはクロロベンゾイル基、ブロモベンゾイル基等が挙げられる。
一般式(1)で示されるN−アシル−DL−エリスロ−3−置換セリンのL−アミノアシラーゼまたはD−アミノアシラーゼによる不斉加水分解は例えば下記のように行うことができる。
一般式(1)で示されるN−アシル−DL−エリスロ−3−置換セリン及びL−アミノアシラーゼまたはD−アミノアシラーゼを含む溶液または懸濁液中で、該酵素の活性化温度で反応を行えばよい。反応溶媒は該酵素の活性を失わせるものでなければ何れも使用できる。通常水が好ましく、反応に支障がない範囲でアルコールなどの極性溶媒を含んでいてもよい。反応溶液のpHは酵素により異なるが、通常pH4〜10、好ましくはpH6〜10程度である。反応液のpHは塩酸などの鉱酸、有機酸、水酸化アルカリ等の無機塩基、または各種の塩、強酸と弱塩基の塩、無機の強塩基と弱酸との塩などにより上記pH範囲に調整されているのが好ましい。また、各種の酸と塩基から緩衝液を形成していてもよい。前記アシラーゼアマノ(商品名)を使用する場合、最も好ましいpHは7〜9程度である。反応温度は、該酵素の活性化温度により異なるが、通常0〜80℃、好ましくは20〜60℃程度である。前記アシラーゼ「アマノ」(商品名)を使用する場合、最も好ましい反応温度は30〜45℃程度である。酵素の使用量はその活性等により一概に言えないので、予備的な試験により適宜決めればよい。精製酵素を使用する場合、N−アシル−DL−エリスロ−3−置換セリンに対して0.001〜0.3重量割合、好ましくは0.05〜0.2重量割合程度である。
反応液からの光学活性体(N−アシル−D−エリスロ−3−置換セリンまたはD−エリスロ−3−置換セリン)の分離は常法により、抽出等により行えばよい。例えばL−アミノアシラーゼを用いて、不要な光学活性体を加水分解したときには、反応液を塩酸等の強酸により酸性にした後、目的のN−アシル−D−エリスロ−3−置換セリンを有機溶媒、好ましくはエステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル等の酢酸(C1−C4)アルキルエステル)で抽出して、該抽出液から、濃縮等の方法で抽出溶媒を除去することにより得ることができる。また、D−アミノアシラーゼを用いて、目的の光学活性体を加水分解したときには、不要なN−アシル体を上記と同様に有機溶媒で抽出して除き、その後反応液を濃縮するなどして、反応溶媒を除去することにより、目的のD−エリスロ−3−置換セリンを得ることができる。
次に、反応図式(1)、(2)、(3)および(4)によって、原料化合物の製造工程の1部を含め、N−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンまでの合成工程をより具体的に説明する。なお、反応図式においてはR=アセチル基の例を用いて説明するが、Rがその他の官能基の場合にも同様に適用出来る。

上記反応図式(1)は、式(A)のDL−エリスロ−3−フェニルセリンをアセチル化する第1工程、ついで式(B)のN−アセチル−DL−エリスロ−3−フェニルセリンをL−アミノアシラーゼにより不用な光学活性体を加水分解した後、有機溶媒での抽出等により目的の式(C)’のN−アセチル−D−エリスロ−3−フェニルセリンを得る第2工程、さらに第3工程では式(C)’のN−アセチル−D−エリスロ−3−フェニルセリンをロジウム−カーボンにより接触水素還元し、式(D)’のN−アセチル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得、ついで第4工程では式(D)’のN−アセチル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを塩酸等の強酸により加水分解し、式(E)のD−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得、さらに、第5工程では式(E)のD−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンをジ−t−ブチルジカルボナートによりBoc化し式(F)のN−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを製造する方法である。
なお上記の第2工程(加水分解及び抽出)と第3工程(接触水素還元)の2つの工程は前後入れ替わって、先に接触水素還元を行い、ベンゼン環をシクロヘキサン環に変えた後、L−アミノアシラーゼによる加水分解及び有機溶媒での抽出を行って目的の光学活性体を得ても構わない。しかしながら、接触水素還元で用いるロジウム−カーボンの価格が高価であるため、経済的にはこの順番が望ましい。
尚、上記反応図式(1)で、第2工程における式(C)’のN−アセチル−D−エリスロ−3−フェニルセリンを得るまでの工程を行い、その後、得られたN−アセチル−D−エリスロ−3−フェニルセリンを強酸等により加水分解を行い、下記反応図式(2)における式(G)のD−エリスロ−3−フェニルセリンを得、その後の工程は下記反応図式(2)に示した工程で式(F)のN−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを製造してもよい。

上記反応図式(2)は、式(A)のDL−エリスロ−3−フェニルセリンをアセチル化する第1工程、ついで式(B)のN−アセチル−DL−エリスロ−3−フェニルセリンをD−アミノアシラーゼにより、D体を加水分解し、不要なN−アセチル体を有機溶媒での抽出等で反応液から除去し、必要に応じて反応液を除去し、式(G)のD−エリスロ−3−フェニルセリンを得る第2工程、さらに第3工程では式(G)のD−エリスロ−3−フェニルセリンをジ−t−ブチルジカルボナートによりBoc化し式(H)のN−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−フェニルセリンを得ついで第4工程では式(H)のN−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−フェニルセリンをロジウム−カーボンにより接触水素還元し、式(F)のN−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを製造する方法である。なお、この工程においても、還元工程を酵素での加水分解工程の前に行ってもよい。

上記反応図式(3)は、式(I)のN−アセチル−DL−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンをL−アミノアシラーゼにより不用な立体のものを加水分解して除去した後、有機溶媒での抽出等により目的の式(D)’のN−アセチル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得る第1工程、さらに第2工程では式(D)’のN−アセチル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを加水分解し、式(E)のD−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得、続いて第3工程では式(E)のD−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンをジ−t−ブチルジカルボナートによりBoc化し式(F)のN−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを製造する方法である。

上記反応図式(4)は、式(I)のN−アセチル−DL−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンをD−アミノアシラーゼによりD体を加水分解し、不要なN−アセチル体を有機溶媒での抽出等で反応液から除去し、必要に応じて不溶物及び反応溶媒を除去し、式(E)のD−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得る第1工程、さらに第2工程では式(E)のD−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンをジ−t−ブチルジカルボナートによりBoc化し式(F)のN−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを製造する方法である。
更に各工程を詳しく説明する。
まず、前記反応図式(1)について具体的に説明する。
前記反応図式(1)の式(A)のDL−エリスロ−3−フェニルセリンは次のようにして調製できる。たとえば(ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc.)1953,75,238.,1953,75,89.)に記載の方法により、エチルベンゾイルアセテートからエチルベンゾイルオキシイミノアセテートを経てこれをパラジウム−カーボンにより接触水素還元し得られたDL−エリスロ−3−フェニルセリンエチルエステルを加水分解することにより得ることが出来る。この加水分解工程は、一般的な手法により行うことができる。例えばセオドア ダブリュー グリーン(Theodor W.Green)著、「プロテクティブ・グループ・イン・オーガニック・シンセシス(“Protective Group in Organic Synthesis”)」(ジョーン ウィリー アンド サンズ(John Willey & Sons)出版、(1981))の550項から563項に記載されているような各種の手法が挙げられる。
前記反応図式(1)の第1工程におけるアセチル化は一般的な手法により行うことができる。たとえば、セオドア ダブリュー グリーン(Theodor W.Green)著、「プロテクティブ・グループ・イン・オーガニック・シンセシス(“Protective Group in Organic Synthesis”)」(ジョーン ウィリー アンド サンズ(John Willey & Sons)出版、(1981))の550項から563項に記載されているような各種の手法が挙げられる。すなわち式(A)のDL−エリスロ−3−フェニルセリンを水など一般的に用いられる溶媒に溶解し水酸化ナトリウムと無水酢酸を同時に滴下することにより、目的とする式(B)のN−アセチル−DL−エリスロ−3−フェニルセリンを得ることが出来る。
前記反応図式(1)の第2工程における加水分解酵素としては式(B)で示されるDL−エリスロ体におけるL体のN−アセチル−基を選択的に加水分解するL−アミノアシラーゼを挙げることができる。この酵素を用い式(B)で示されるN−アセチル−DL−エリスロ−3−フェニルセリンを不斉加水分解すると、式(C)’のN−アセチル−D−エリスロ−3−フェニルセリンを得ることが出来る。
この加水分解酵素、例えばアシラーゼ「アマノ」(商品名)を用い、本発明の方法を実施する場合には、例えば式(B)で示されるN−アセチル−DL−エリスロ−3−フェニルセリンをpH4〜10、好ましくはpH6〜10に調整した水溶液または緩衝溶液に懸濁するか溶解し、式(B)のN−アセチル−DL−エリスロ−3−フェニルセリンに対して酵素を好ましくは0.001〜0.3重量割合、好ましくは0.01〜0.2重量割合を添加し、0〜80℃、好ましくは20〜60℃で撹拌することにより反応を進行せしめる。反応は通常1時間〜数日間で完了する。反応が完了するまでの間、反応液をpH6〜10に保つことが好ましい。
上記の水溶液としては硫酸、塩酸、リン酸等の鉱酸、酢酸、クエン酸等の有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等の塩を添加した水溶液を用いる事が出来る。緩衝溶液としてはリン酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム、リン酸二水素カリウム−リン酸二水素ナトリウム、フタル酸水素カリウム−塩酸、グリシン−塩化ナトリウム−水酸化ナトリウム等の一般的緩衝溶液が用いられるが、反応を妨げるもの以外は特に制限はない。また、本発明を実施する場合、必要に応じてメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールの如きアルコール系溶媒、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンの如きエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒またはソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノラウレート等の如き界面活性剤を添加することもできる。
前記反応図式(1)の第3工程における接触水素還元は一般的な手法により行うことができる。たとえば日本化学会編「新実験化学講座15[II]」(丸善株式会社出版、1977年)の333項から448項に記載されているような接触水素添加の方法を用いれば良い。すなわち式(C)’のN−アセチル−D−エリスロ−3−フェニルセリンをメタノールなどのアルコール系溶媒に溶解し、水素添加触媒として、たとえばロジウム−カーボンなどの触媒を用い接触水素還元を行うと目的とする式(D)’のN−アセチル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得ることが出来る。さらに式(D)’のN−アセチル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンは新規な化学物質であり、目的とする式(E)を得るための重要な化合物である。
前記反応図式(1)の第4工程における加水分解反応は一般的な手法により行うことができる。たとえば、セオドア ダブリュー グリーン(Theodor W.Green)著、「プロテクティブ・グループ・イン・オーガニック・シンセシス(“Protective Group in Organic Synthesis”)」(ジョーン ウィリー アンド サンズ(John Willey & Sons)出版、(1981))の550項から563に記載されているような各種の手法が挙げられる。すなわち式(D)’のN−アセチル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを水など一般的に用いられる溶媒に溶解し、酸としてたとえば塩酸などを加え加熱還流させることにより目的とする式(E)のD−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得ることが出来る。
前記反応図式(1)の第5工程におけるN−t−ブトキシ化は一般的な手法により行うことができる。たとえば、セオドア ダブリュー グリーン(Theodor W.Green)著、「プロテクティブ・グループ・イン・オーガニック・シンセシス(“Protective Group in Organic Synthesis”)」(ジョーン ウィリー アンド サンズ(John Willey & Sons)出版、(1981))の503項から549項に記載されているような各種の手法が挙げられる。すなわち式(E)のD−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンにたとえばジ−t−ブチルカルバマートを作用させることにより、目的とする式(F)のN−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得ることが出来る。
次に、本発明の製造方法における前記反応図式(2)について具体的に説明する。
前記反応図式(2)における式(B)のN−アセチル−DL−エリスロ−3−フェニルセリンを得るまでの行程は、前記反応図式(1)の項で記載したと同じである。従って、第2行程以降の行程について説明する。
前記反応図式(2)の第2工程で使用される加水分解酵素としては、N−アセチル−D−エリスロ−3−フェニルセリンのN−アセチル基を選択的に加水分解するD−アミノアシラーゼを挙げることができる。これを用い、式(B)で示されるN−アセチル−DL−エリスロ−3−フェニルセリンを不斉加水分解した後、有機溶媒での抽出等により反応液から未反応のN−アセチル−L−エリスロ−3−フェニルセリンを除去し、必要に応じて不溶物及び反応溶媒を除去することにより、式(G)のD−エリスロ−3−フェニルセリンを得ることが出来る。
該酵素での不斉加水分解は、前記反応図式(1)の第2工程と同様に行うことができる。
前記反応図式(2)の第3工程におけるN−t−ブトキシ化は、前記反応図式(1)の第5工程で示した方法により行われ、目的とする式(H)のN−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−フェニルセリンを得ることが出来る。
前記反応図式(2)の第4工程における接触水素還元は、前記反応図式(1)の第3工程で示した方法により行われ、目的とする式(F)のN−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得ることが出来る。
次に、前記反応図式(3)について、具体的に説明する。
前記反応図式(3)の式(I)のDL−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンの合成は次のようにして行うことができる。たとえば(ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc.)1953,75,238.,1953,75,89.)に記載の方法により、エチルベンゾイルアセテートからエチルベンゾイルオキシイミノアセテートを得、これをパラジウム−カーボンにより接触水素還元して得られたDL−エリスロ−3−フェニルセリンエチルエステルを加水分解することにより、DL−エリスロ−3−フェニルセリン得る。さらにこれを前記反応図式(1)の第1工程と同様の方法によりアセチル化し、前記反応図式(1)の第3工程と同様にロジウム−カーボンにより接触水素還元することにより、目的とする式(I)のDL−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得ることが出来る。
前記反応図式(3)の第1工程における加水分解酵素としてはN−アセチル−L−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンのアシル基を選択的に加水分解するL−アミノアシラーゼを挙げることができる。該酵素としては先に挙げたアシラーゼ「アマノ」を具体的に挙げることが出来る。該L−アミノアシラーゼを用い式(I)で示されるN−アセチル−DL−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを不斉加水分解し、N−アセチル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを有機溶媒で抽出して、必要に応じて溶媒を除去することにより、式(D)’のN−アセチル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得ることが出来る。
上記不斉加水分解は、前記反応図式(1)の第2工程と同様に行うことが出来る。
前記反応図式(3)の第2工程における加水分解は、前記反応図式(1)の第4工程で示した方法により行われ、目的とする式(E)のD−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得ることが出来る。
前記反応図式(3)の第3工程におけるN−t−ブトキシ化は、前記反応図式(1)の第5工程と同様の方法により、目的とする式(F)のN−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得ることが出来る。
次ぎに、前記反応図式(4)について、具体的に説明する。
前記反応図式(4)の式(I)のN−アセチル−DL−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンは、前記反応図式(3)の項で記載した方法により得ることが出来る。
前記反応図式(4)の第1工程におけるエステル加水分解酵素としてはD−アミノアシラーゼを挙げることができ、これを用い、式(I)で示されるN−アセチル−DL−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを不斉加水分解し、不要なN−アセチル体を有機溶媒での抽出等で反応液から除去し、必要に応じて不溶物及び反応溶媒を除去し、式(E)のD−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得ることが出来る。
上記の不斉加水分解は、前記反応図式(1)の第2工程と同様に行うことが出来る。
前記反応図式(4)の第2工程におけるN−t−ブトキシ化は、前記反応図式(1)の第5工程に記載の方法により行われ、目的とする式(F)のN−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンを得ることが出来る。
なお、本願発明の方法で得られた光学活性−エリスロ−3−シクロヘキシルセリン若しくはそのBoc体を用いてWO01/40227の実施例45,46等に記載の方法で抗HIV薬として有用な薬剤が得られる。
【実施例】
以下、実施例により本発明の方法をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。例中%は重量%を示す。
参考例1
N−アセチル−DL−エリスロ−3−フェニルセリン(式(B))の製造
DL−エリスロ−3−フェニルセリンエチルエステル11.0gを水30mlに懸濁し、40℃に加温した。10%水酸化ナトリウム水溶液42mlを滴下後、さらに65℃に加温し2時間撹拌した。この溶液を5℃に冷却したのち、無水酢酸4.6gと1N−水酸化ナトリウム水溶液をpH10〜13、10℃以下を保ちながら、同時に滴下し、その後室温で一晩撹拌した。
この溶液を塩酸によりpH1とした後、酢酸エチルにより抽出を行い、得られた有機層を飽和食塩水により洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥後、減圧濃縮し、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合液(酢酸エチル:n−ヘキサン=19:7)を加え、結晶を析出させた。得られた結晶を濾過後、真空乾燥し、N−アセチル−DL−エリスロ−3−フェニルセリン(式(B))5.79gを得た。
H−NMR(200MHz,CDOD:δ7.42−7.28(m,5H),δ4.97(d,1H)δ4.76(d,1H)δ1.86(s,3H)
【実施例1】
N−アセチル−D−エリスロ−3−フェニルセリン(式(C)’)の製造
N−アセチル−DL−エリスロ−3−フェニルセリン(式(B))2.23gに水100mlを加え懸濁しアンモニア水にてpH8に調整し、水浴バスにより内温を37℃±5℃に設定した。これにL−アミノアシラーゼ(アシラーゼ「アマノ」、天野エンザイム株式会社製)200mgを加え37℃±5℃にて68時間撹拌した後、さらにL−アミノアシラーゼ100mgを加えアンモニア水にてpH8に調整し24時間反応した。この反応液に酢酸を加えpH5とした後、60℃に加温し1時間撹拌後、不溶物を濾過・除去した。これを減圧濃縮し後、1N−塩酸水溶液によりpH3とし、食塩を加え酢酸エチルにより抽出を行い、得られた有機層を飽和食塩水により洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥後、減圧濃縮し、N−アセチル−D−エリスロ−3−フェニルセリン(式(C)’)0.9gを得た。
H−NMR(200MHz,CDOD:δ4.68(d,IH),δ3.49(dd,IH),δ2.03(s,3H),δ1.99−0.94(m,11H)
【実施例2】
(1)N−アセチル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリン(式(D)’)の製造
実施例1で得られたN−アセチル−D−エリスロ−3−フェニルセリン(式(C)’)0.9gをメタノール20mlに溶解し5%ロジウム−カーボンを加え、0.9Mpaの水素圧下、50℃で4時間撹拌した。得られた反応液から触媒などの不溶物を濾過により取り除き、濾液を減圧濃縮し、N−アセチル−D−エリスロ−シクロヘキシルセリン(式(D)’)1.0gを得た。
(2)D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリン(式(E))の製造
N−アセチル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリン(式(D)’)1.0gを水10mlと塩酸3mlの混合液に懸濁し、3時間加熱還流した。その後、減圧濃縮し、得られた残渣に水40mlを加え、28%アンモニア水によりpH7として結晶を析出させた。得られた結晶を濾過しD−エリスロ−3−シクロヘキシルセリン(式(E))0.46gを得た。
(3)N−t−ブトキシカルボニル−D−3−エリスロ−シクロヘキシルセリン(式(F))の製造
D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリン(式(E))0.46gを水10mlに懸濁し、水酸化ナトリウム0.11gを加え10℃以下に冷却した。その後、アセトン10mlを加え、ジ−t−ブチルジカルボナート0.54gをアセトン10mlに溶解した溶液を滴下し、室温で一晩撹拌した。反応液を塩酸により酸性としたのち、酢酸エチルにより抽出を行い、得られた有機層を飽和食塩水により洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥後、減圧濃縮し、残渣にn−ヘプタンを加え、結晶を析出させた後、濾過しN−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリン(式(F))0.65gを得た。
H−NMR(200MHz,CDOD:δ4.33(d,1H),δ3.72(dd,1H),δ1.05(s,9H),δ2.07−0.94(m,11H)
【産業上の利用可能性】
本発明のL−アミノアシラーゼまたはD−アミノアシラーゼによる不斉加水分解を利用する上記一般式(2)で示されるN−アシル−光学活性−エリスロ−3−置換セリンの製造方法は、化学合成法や光学分割剤を用いる方法に比し、安価かつ簡便で、かつ高効率であり、さらに有機溶媒の使用量を押さえることが出来るため、低環境負荷であるので、工業的に有用な製造方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):

(式(1)中、Rは、アシル基を表し、Rはフェニル基もしくはシクロヘキシル基を意味する。)
で示されるN−アシル−DL−エリスロ−3−置換セリンに、N−アシル−L−エリスロ−3−置換セリンを選択的に加水分解する能力を有するL−アミノアシラーゼを作用させ、不斉加水分解することを特徴とする、一般式(2):

(式(2)中、R、Rは、式(1)と同じ意味を表す。)
で示されるN−アシル−D−エリスロ−3−置換セリンの製造方法。
【請求項2】
アシル基が炭素数1ないし10のアルカノイル基、ベンゾイル基、ハロゲン原子により置換された炭素数1ないし5のアルカノイル基又はハロゲン原子により置換されたベンゾイル基である請求項第1項に記載の製造方法。
【請求項3】
が炭素数1ないし5のアルカノイル基である請求項第1項に記載の製造方法。
【請求項4】
がアセチル基である請求項第3項に記載の製造方法。
【請求項5】
一般式(1)

(式(1)中、Rはアシル基を表し、Rはフェニル基もしくはシクロヘキシル基を意味する。)
で示されるN−アシル−DL−エリスロ−3−置換セリンに、N−アシル−D−エリスロ−3−置換セリンを選択的に加水分解する能力を有するD−アミノアシラーゼを作用させ、不斉加水分解することを特徴とする、一般式(3):

(式(3)中、Rはフェニル基もしくはシクロヘキシル基を意味する。)
で示されるD−エリスロ−3−置換セリンの製造方法。
【請求項6】
アシル基が炭素数1ないし10のアルカノイル基、ベンゾイル基、ハロゲン原子により置換された炭素数1ないし5のアルカノイル基又はハロゲン原子により置換されたベンゾイル基である請求の範囲第5項に記載の製造方法。
【請求項7】
が炭素数1ないし5のアルカノイル基である請求の範囲第5項に記載の製造方法。
【請求項8】
がアセチル基である請求の範囲第7項に載の製造方法。
【請求項9】
請求の範囲第1項ないし第4項のいずれか一項に記載の製造方法で得られた下記式(C):

(式(C)中、Rは、アシル基を表す。)
で示されるN−アシル−D−エリスロ−3−フェニルセリンを、ロジウム−カーボンにより接触水素還元して下記式(D):

(式(D)中、Rは、式(C)と同じ意味を示す。)
で示されるN−アシル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンとし、さらに上記式(D)を加水分解することを特徴とする、下記式(E):

で示されるD−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンの製造方法。
【請求項10】
請求の範囲第5項〜第8項のいずれか一項に記載の方法で得られた下記式(G):

で示されるD−エリスロ−3−フェニルセリンを、ジ−t−ブチルジカルボナートによりBoc化して下記式(H):

で示されるN−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−フェニルセリンとし、さらに上記式(H)をロジウム−カーボンにより接触水素還元することを特徴とする、下記式(F):

で示されるN−t−ブトキシカルボニル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリンの製造方法。
【請求項11】
下記式(D)’:

で示されるN−アセチル−D−エリスロ−3−シクロヘキシルセリン。

【国際公開番号】WO2004/024934
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【発行日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−535902(P2004−535902)
【国際出願番号】PCT/JP2003/011390
【国際出願日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】