入力装置、およびこれを備えた表示装置
【課題】ゴーストの発生を低減させることができる入力装置、およびこれを備えた表示装置を提供する。
【解決手段】入力装置1は、基体10と、複数の検出電極21および隣り合う検出電極21を電気的に接続する接続部22を有し、かつ基体10上に設けられた検出電極パターン20と、検出電極パターン20の一端部20Sと電気的に接続され、かつ基体10上に設けられた配線導体30と、検出電極21に生じる容量を測定する容量測定部42および容量測定部42により測定された容量に基づいて入力座標を演算する座標演算部43を有し、かつ配線導体30と電気的に接続されたドライバ40と、を備え、平面視において、複数の検出電極それぞれの面積は、検出電極パターンの一端部20Sから検出電極パターンの他端部20Fにかけて順次小さくなっている。
【解決手段】入力装置1は、基体10と、複数の検出電極21および隣り合う検出電極21を電気的に接続する接続部22を有し、かつ基体10上に設けられた検出電極パターン20と、検出電極パターン20の一端部20Sと電気的に接続され、かつ基体10上に設けられた配線導体30と、検出電極21に生じる容量を測定する容量測定部42および容量測定部42により測定された容量に基づいて入力座標を演算する座標演算部43を有し、かつ配線導体30と電気的に接続されたドライバ40と、を備え、平面視において、複数の検出電極それぞれの面積は、検出電極パターンの一端部20Sから検出電極パターンの他端部20Fにかけて順次小さくなっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が入力操作した箇所を入力位置として検出する入力装置、およびこれを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電容量方式のタッチパネルに代表される入力装置では、検出電極パターンごとに検出電極に生じる容量を測定する、いわゆるラインスキャン方式が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−179871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ラインスキャン方式を採用する入力装置では、指もしくはペンなどの導体が複数の個所に同時に近接もしくは接触(いわゆるマルチタッチ)すると、入力座標の位置が定まらず、違う位置に接触したものと誤検出される、いわゆるゴーストと呼ばれる問題が発生する。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ゴーストの発生を低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の入力装置は、基体と、複数の検出電極および隣り合う前記検出電極を電気的に接続する接続部を有し、かつ前記基体上に設けられた検出電極パターンと、前記検出電極パターンの一端部と電気的に接続され、かつ前記基体上に設けられた配線導体と、前記検出電極に生じる容量を測定する容量測定部および前記容量測定部により測定された容量に基づいて入力座標を演算する座標演算部を有し、かつ前記配線導体と電気的に接続されたドライバと、を備え、平面視において、複数の前記検出電極それぞれの面積は、前記検出電極パターンの前記一端部から前記検出電極パターンの他端部にかけて順次小さくなっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の入力装置は、ゴーストの発生を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態における入力装置の一例を示す平面図である。
【図2】図1中に示したR部分を拡大した図である。
【図3】(a)は図1のI−Iに沿った断面図である。(b)は図1のII−IIに沿った断面図である。
【図4】図1の入力装置を示す等価回路図である。
【図5】図1の入力装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】従来の入力装置において、使用者が導体を入力領域に近接もしくは接触させた場合に測定される容量の大きさを示す図である。
【図7】図1の入力装置において、使用者が導体を入力領域に近接もしくは接触させた場合に測定される容量の大きさを示す図である。
【図8】図1の入力装置において、使用者が導体を入力領域に近接もしくは接触させた場合に測定される容量の大きさを示す図である。
【図9】図1の入力装置を備えた表示装置を示す断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態における入力装置の一例を示す平面図である。
【図11】図10中に示したR1部分を拡大した図である。
【図12】図10の入力装置の変形例であって、検出電極を示す拡大平面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態における入力装置の一例を示す平面図である。
【図14】図13の入力装置の要部を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態1]
まず、本発明の第1の実施形態における入力装置1について、図1〜図8を参照しながら説明する。ここで、入力装置1は、静電容量方式のタッチパネルである。また、入力装置1では、入力座標を演算するにあたり、いわゆるラインスキャン方式を採用している。
【0010】
入力装置1は、図1に示すように、使用者が指もしくはペンなどの導体を近接もしくは接触することで情報を入力するための入力領域EIと、入力領域EIの外側に位置する非入力領域EOとを有している。また、非入力領域EOは、フレキシブルプリント基板Fと電気的に接続される外部導通領域EGを有している。
【0011】
入力装置1は、基体10と、検出電極パターン20と、配線導体30と、ドライバ40とを備えている。
【0012】
基体10は、検出電極パターン20および配線導体30を支持する役割を有する。基体10は、第1主面10aと、該第1主面10aとは反対側に位置する第2主面10bとを有している。ここで、入力領域EIに対応する基体10の第2主面10bは、使用者が指もしくはペンなどの導体(以下、単に「導体」と称する)で近接もしくは直接接触する面となる。図1に示すように、基体10の平面視形状は例えば矩形状をしているが、これに
は限られず、任意である。基体10の材料としては、絶縁性および透光性を有するものが挙げられ、例えば、ガラスおよびプラスチックなどである。ここで、透光性とは、可視光に対する透過性を有することを意味する。
【0013】
検出電極パターン20は、複数の検出電極21と、複数の接続部22とを有している。検出電極パターン20は、入力領域EIに対応する基体10の第1主面10aに設けられており、X方向およびY方向に沿って配列している。以下では、X方向の入力座標を検出する検出電極パターン20を「X検出電極パターン20X」とし、Y方向の入力座標を検出する検出電極パターン20を「Y検出電極パターン20Y」とする。
【0014】
検出電極パターン20の材料としては、透光性および導電性を有するものが挙げられる。透光性および導電性を有するものとしては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide:インジウム亜鉛酸化物)、ATO(Antimony Tin Oxide:アンチモン錫酸化物)、酸化錫、酸化亜鉛が挙げられる。
【0015】
検出電極パターン20の形成方法は、例えば、次のような方法が挙げられる。まず、スパッタリング法、蒸着法、もしくは化学気相成長法により、例えば、ITOを基体10の第1主面10aに膜として形成する。このITO膜の表面に対して感光性樹脂を塗布し、塗布した感光性樹脂に対して露光処理、現像処理を行うことで感光性樹脂に所望のパターンを形成する。次いで、ITO膜を薬液でエッチングすることで、ITO膜を所望の形状にする。そして、ITO膜の表面に設けられている感光性樹脂を除去することで、検出電極パターン20が形成される。
【0016】
X検出電極パターン20Xは、複数のX検出電極21Xと、複数のX接続部22Xとを有している。複数のX検出電極パターン20Xは、Y方向に沿って配列している。また、本実施形態では、X検出電極パターン20X1、X検出電極パターン20X2、・・・X検出電極パターン20XIのように、I個のX検出電極パターン20Xが配列させている。
【0017】
X検出電極21Xは、グランドと容量を形成するとともに、導体と容量を形成する機能を有する。また、X検出電極21Xは、所定の間隔を空けてX方向およびY方向に配置されている。また、隣り合うX検出電極21Xは、X接続部22Xによって互いに電気的に接続されている。また、X検出電極21Xは、平面視形状が例えばひし形状をしているが、これには限られず、任意である。また、図4に示すように、X検出電極21Xに電圧を印加すると、X検出電極21Xに電荷が蓄積され、X検出電極21Xとグランドとの間には容量CPXが発生する。なお、図4では、説明の簡略化のために、X検出電極パターン20Xの数を1つとするとともに、X検出電極21Xの数を3つとしている。
【0018】
図1および図2に示すように、X検出電極21Xの面積は、平面視して、配線導体30が接続されるX検出電極パターン20Xの一端部20Sから他端部20Fにかけて順次小さくなっている。すなわち、X電極20Xの一端部20SからX方向に進むにつれて、X検出電極21Xの面積が小さくなっている。
【0019】
X検出電極21Xの面積が小さくなると、このX検出電極21Xに発生する容量CPXの大きさは小さくなる。すなわち、図4に示すように、X検出電極パターン20Xにおいて、一端部20S側に位置するX検出電極21Xに発生する容量CPX1は、他端部20F側に位置するX検出電極21Xに発生する容量CPX2,CPX3に比べて大きくなる。これと同様に、X検出電極21Xに発生する容量CPX2は、X検出電極21Xに発生する容量CPX3に比べて大きくなる。
【0020】
Y検出電極パターン20Yは、複数のY検出電極21Yと、複数のY接続部22Yとを有している。
【0021】
Y検出電極パターン20Yは、複数のY検出電極21Yと、複数のY接続部22Yとを有している。複数のY検出電極パターン20Yは、X方向に沿って配列されている。また、本実施形態では、X方向に向かって、Y検出電極パターン20Y1、Y検出電極パターン20Y2、・・・Y検出電極パターン20YIのように、J個のY検出電極パターン20Yが配列されている。
【0022】
Y検出電極21Yは、X検出電極21Xと同様、グランドとの間に容量を形成するとともに、導体と容量を形成する機能を有する。Y検出電極21Yは、所定の間隔を空けてX方向およびY方向に配置されている。また、隣り合うY検出電極21Yは、Y接続部22Yによって互いに電気的に接続されている。また、Y検出電極21Yは、平面視形状が例えばひし形状をしているが、これには限られず、任意である。また、図4に示すように、Y検出電極21Yに電圧を印加すると、Y検出電極21Yとグランドとの間の容量CPYには電荷が蓄積される。なお、図4では、説明の簡略化のために、Y検出電極パターン20Yの数を1個とするとともに、Y検出電極21Yの数を3個としている。
【0023】
図1および図2に示すように、Y検出電極21Yの面積は、平面視して、配線導体30が接続されるY検出電極パターン20Yの一端部20Sから他端部20Fにかけて順次小さくなっている。すなわち、Y検出電極21Yの一端部20SからY方向に進むにつれて、Y検出電極21Yの面積が小さくなっている。
【0024】
Y検出電極21Yの面積が小さくなると、このY検出電極21Yに発生する容量CPYの大きさは小さくなる。すなわち、図4に示すように、Y検出電極パターン20Yにおいて、一端部20S側に位置するY検出電極21Yに発生する容量CPY1は、他端部20F側に位置するY検出電極21Yに発生する容量CPY2,CPY3に比べて大きくなる。これと同様に、Y検出電極21Yに発生する容量CPY2は、Y検出電極21Yに発生する容量CPY3に比べて大きくなる。
【0025】
また、X検出電極パターン20XとY検出電極パターン20Yとは、平面視して交差している。具体的には、X検出電極パターン20XとY検出電極パターン20Yとの交差する部位には、絶縁部材20Aが介在している。この絶縁部材20AによりX検出電極パターン20XとY検出電極パターン20Yとは電気的に絶縁される。絶縁部材20Aの材料としては、絶縁性を有するものが挙げられ、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂である。
【0026】
配線導体30は、検出電極パターン20とドライバ40とを電気的に接続する機能を有する。配線導体30は、外側領域EOに対応する基体10の第1主面10aに設けられている。配線導体30は、一端がX検出電極パターン20Xの一端部20SおよびY検出電極パターン20Yの一端部20Sと電気的に接続され、外部導通領域EGに位置する他端がフレキシブルプリント基板Fを介してドライバ40と接続されている。
【0027】
配線導体30の材料としては、導電性を有するものが挙げられ、例えば、ITO、酸化錫、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、もしくは銀合金などである。また、配線導体30の形成方法は、検出電極パターン20と同様の方法が挙げられる。
【0028】
図4に示すように、ドライバ40は、発振部41と、容量測定部42と、座標演算部43とを有している。
【0029】
発振部41は、検出電極パターン20に電圧信号を伝達する機能を有する。発振部41は、フレキシブルプリント基板Fを介して検出電極パターン20と電気的に接続されている。
【0030】
容量測定部42は、検出電極21に発生する容量を測定する機能を有する。容量測定部42は、オペアンプ421と、コンデンサ422と、リセットスイッチ423と、ADコンバータ424とを有している。オペアンプ421は、入力された信号を増幅する機能を有する。また、オペアンプ421は、X検出電極パターン20XおよびY検出電極パターン20Yと、コンデンサ422と、リセットスイッチ423とに電気的に接続される。
【0031】
コンデンサ422は、X検出電極21XもしくはY検出電極21Yとグランドとの間の容量Cpで、およびX検出電極21XもしくはY検出電極21Yと導体との間の容量CDX,CDYでそれぞれ電荷を蓄積する機能を有する。
【0032】
リセットスイッチ423は、コンデンサ422に蓄積された電荷の転送回数を制御する機能を有する。リセットスイッチ423は、所定の周期でオン・オフされるように設定されており、リセットスイッチ423によって検出時間を制御できる。
【0033】
ADコンバータ424は、信号を数値化する機能を有する。すなわち、オペアンプ421により出力された信号は、ADコンバータ424によって数値化される。また、ADコンバータ424は、数値化した信号を座標演算部43に出力する。
【0034】
容量測定部42では、コンデンサ422が、X検出電極21XもしくはY検出電極21Yとグランドとの間の容量CpおよびX検出電極21XもしくはY検出電極21Yと導体との間の容量CDでそれぞれ電荷を蓄積し、この電荷をリセットスイッチ423が所定の周期でオペアンプ421を介してADコンバータ424に出力する。そして、この出力信号はADコンバータ424によって数値化される。なお、本実施形態では、容量測定部42がドライバ40に組み込まれている構成について説明したが、検出電極21に発生する容量を測定できれば、このような構成には限られない。
【0035】
座標演算部43は、導体が近接もしくは接触する個所のX座標およびY座標を演算する機能を有する。具体的には、座標演算部43は、まず、容量測定部42により測定された容量に基づいて、導体が基体10の第2主面10bに対して近接もしくは接触したか否かを判定する。この判定については、閾値が設定されており、この閾値を基準として判定される。すなわち、座標演算部43は、導体が近接もしくは接触していない場合の容量を基準として、導体が近接もしくは接触することで変化する容量が閾値を超えると、導体が近接もしくは接触したと判定する。なお、本実施形態では、座標演算部43がドライバ40に組み込まれている構成について説明したが、導体が近接もしくは接触した位置のX座標およびY座標を演算できれば、このような構成には限られない。
【0036】
次に、図4および図5を参照しながら、入力装置1の入力位置の検出原理について説明する。
【0037】
入力装置1では、ドライバ40の発振部41から配線導体30を介して、X検出電極パターン20XおよびY検出電極パターン20Yに電圧が印加される。すなわち、入力装置1では、X検出電極21XおよびY検出電極21Yには電荷が帯電され、X検出電極21Xとグランドとの間には容量CPXが発生し、Y検出電極21Yとグランドとの間には容量CPYが発生する。
【0038】
入力装置1では、まず、容量測定部42によってX検出電極パターン20X1に発生する容量CPXの測定を行う。次に、容量測定部42によってX検出電極パターン20X2に発生する容量CPXの測定を行う。このように、容量測定部42は、1からI番目の全てのX検出電極パターン20Xに発生する容量CPXの測定を行う(Op1)。
【0039】
容量測定部42によって全てのX検出電極パターン20Xの容量の測定が終了した後、座標演算部43は、X方向において導体が入力領域EIに対して近接もしくは接触したか否かを判定する(Op2)。具体的には、座標演算部43は、容量測定部42によって測定された容量(X検出電極に発生する容量)が閾値を超えているか否かを判定する。X方向において導体が入力領域EIに対して近接もしくは接触したと判定すれば(Op2にてYES)、座標演算部43は、閾値を超えたX検出電極パターン20Xの容量を抽出する(Op3)。一方、X方向において導体が入力領域EIに対して近接もしくは接触していないと判定すれば(Op2にてNO)、Op1へ戻る。
【0040】
次に、検出電極パターン20Xと同様に、容量測定部42は、1からJ番目の全てのY検出電極パターン20Yに発生する容量CPYの測定を行う(Op4)。
【0041】
容量測定部42によって全てのY検出電極パターン20Yの容量の測定が終了した後、座標演算部43は、Y方向において導体が入力領域EIに対して近接もしくは接触したか否かを判定する(Op5)。具体的には、座標演算部43は、容量測定部42によって測定された容量(Y検出電極に発生する容量)が閾値を超えているか否かを判定する。Y方向において導体が入力領域EIに対して近接もしくは接触したと判定すれば(Op5にてYES)、座標演算部43は、閾値を超えたY検出電極パターン20Yの容量を抽出する
(Op6)。一方、Y方向において導体が入力領域EIに対して近接もしくは接触していないと判定すれば(Op5にてNO)、Op1へ戻る。
【0042】
そして、座標演算部43は、Op3にて抽出されたX検出電極パターン20Xの容量、およびOp6にて抽出されたY検出電極パターン20Xの容量に基づいて、入力位置であるX座標およびY座標を算出する(Op7)。このようにして、入力装置1は、入力座標を検出することができる。なお、上述で説明した入力装置1の入力位置の検出原理は、一例であり、導体が入力領域EIに対して近接もしくは接触した位置のX座標およびY座標を求めることができれば、入力装置1の検出原理はこれに限られない。
【0043】
なお、以下では、導体が入力領域EIの2個所に同時に近接もしくは接触(いわゆるマルチタッチ)した場合における、Op7の座標演算部43の処理について、従来の入力装置の動作と比較しながら、さらに詳細に説明する。
【0044】
従来のラインスキャン方式を採用した入力装置では、平面視において、検出電極パターン20における複数の検出電極21のそれぞれの面積が略同一に形成されていた。そのため、例えば、導体が入力領域EIの2個所の部分、例えば、白丸の(X1,Y1)と、(X2,Y2)とを同時に近接もしくは接触した場合、X方向(X検出電極21X)での容量変化およびY方向(Y検出電極21Y)での容量変化は、図6に示すようになる。
【0045】
すなわち、ラインスキャン方式を採用しているため、図6に示すように、座標X1および座標X2の容量が変化することになる。具体的には、座標X1の容量CX1は、座標X2の容量CX2と略同じ大きさになる。また、ラインスキャン方式を採用しているため、座標Y1および座標Y2の容量が変化することになる。具体的には、座標Y1の容量CY1は、座標Y2の容量CY2と略同じ大きさになる。このため、座標演算部では、入力位置のX座標がX1,X2であり、入力位置のY座標がY1,Y2であることを判定することができる。そのため、座標演算部では、導体が実際に近接もしくは接触した個所(図6の白丸)を正しく判定することができなかった。具体的には、座標演算部は、入力座標が白丸の(X1,Y1)および(X2,Y2)の組み合わせであるのか、あるいは入力座標が黒丸の(X1,Y2)および(X2,Y1)の組み合わせであるのか、判定することができなかった。すなわち、従来の入力装置では、導体が複数同時に近接もしくは接触した場合、入力座標が定まらず、違う位置に接触したものと誤検出される、いわゆるゴーストの問題が発生していた。
【0046】
これに対して、本実施形態に係る入力装置1では、平面視において、検出電極パターン20における複数の検出電極21のそれぞれの面積は、配線導体30が接続される一端部20Sから他端部20Fにかけて順次小さくなっている。このため、図7に示すように、導体が入力領域EIの2個所の部分、例えば、白丸の(X1,Y1)と、(X2,Y2)とを同時に近接もしくは接触した場合、上記従来の入力装置と同様に、座標X1および座標X2の容量が変化するとともに、座標Y1および座標Y2の容量が変化することになる。しかしながら、入力装置1では、座標X1の容量CX1は、座標X2の容量CX2よりも大きくなる。また、入力装置1では、座標Y1の容量CY1は、座標Y2の容量CY2よりも大きくなる。このため、座標演算部43は、Op7の処理において、導体が実際に近接もしくは接触した2個所(図7の白丸)を正しく判定することができる。
【0047】
すなわち、図8に示すように、導体が入力領域EIの2個所の部分、例えば、白丸の(X2,Y1)と、(X1,Y2)とを同時に近接もしくは接触した場合、図7に示す態様とは逆に、座標X2の容量CX2は、座標X1の容量CX1よりも大きくなる。また、図7に示す態様とは逆に、座標Y2の容量CY2は、座標Y1の容量CY1よりも大きくなる。このため、座標演算部43は、Op7の処理において、導体が実際に近接もしくは接
触した2個所(図8の白丸)を正しく判定することができる。
【0048】
このように、入力装置1では、ゴーストの発生を低減させることができる。
【0049】
[表示装置の構成]
図9は、第2の実施形態における表示装置3の一例を示す断面図である。図9に示すように、表示装置3は、入力装置1と、液晶表示装置2とを備えている。
【0050】
液晶表示装置2は、液晶表示パネル2aと、光源装置2bと、筐体2cとを備えている。
【0051】
光源装置2bは、液晶表示パネル2aに向けて光を照射する機能を有し、液晶表示パネル2aと下側筐体2c2との間に配置されている。
【0052】
筐体2cは、液晶表示パネル2aおよび光源装置2bを収容する役割を担うものであり、上側筐体2cおよび下側筐体2cを有する。筐体2cの材料としては、例えば、ポリカーボネート等の樹脂、あるいはステンレス(SUS)やアルミニウム等の金属が挙げられる。
【0053】
表示装置3は、例えば、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯用の端末装置、工場等の産業用途で使用されるプログラマブル表示器、電子手帳、パーソナルコンピュータ、複写機、あるいはゲーム用の端末装置等の種々の電子機器に備えられる。
【0054】
以上のように、本実施形態の表示装置3によれば、上記の入力装置1を備えているので、ゴーストの発生を低減させることができる。
【0055】
[実施の形態2]
図10は、第2の実施形態に係る入力装置1Aの一例を示す平面図である。図11は、図10のR1部分を拡大した平面図である。
【0056】
図10および図11に示すように、入力装置1Aでは、複数の検出電極21のそれぞれは、開口部211を有している。また、平面視において、この開口部211の面積は、検出電極パターン20の一端部20Sから他端部20Fにかけて順次大きくなっている。このようにして、入力装置1Aは、入力装置1と同様、複数の検出電極21それぞれの面積は、検出電極パターン20の一端部20Sから他端部20Fにかけて順次小さくなっている。これにより、入力装置1Aは、入力装置1と同様の効果が得られる。また、入力装置1Aでは、検出電極21に開口部211を設けているので、開口部211をパターニングにて形成する際に、パターニングのずれが生じたとしても、所望の検出電極21の面積から大きくずれることを低減できる。
【0057】
また、図12に示すように、検出電極21に複数の開口部211を設けることにより、複数の検出電極21それぞれの面積を、検出電極パターン20の一端部20Sから他端部20Fにかけて順次小さくなるようにしてもよい。このようにすると、開口部211を視認され難くすることができる。
【0058】
[実施の形態3]
図13は、第3の実施形態における入力装置1Bの一例を示す平面図である。図14は、入力装置1Bの要部拡大図である。入力装置1と入力装置1Bとの異なる点は、入力装置1Bでは、隣り合う検出電極21の間に、調整パターンTが設けられている点である。
【0059】
調整パターンTは、図13および図14に示すように、平面視において、隣り合う検出電極21間に設けられている。調整パターンTは、基体10の第1主面10a上に位置している。また、調整パターンTは、検出電極21と同じ材料を含んでなる。
【0060】
検出電極21の面積が小さくなると、隣り合う検出電極21間の空間が大きくなる。すなわち、この部分では光の透過率が大きくなるので、入力領域EIで表示むらが発生する場合がある。これに対して、入力装置1Bでは、隣り合う検出電極21の間に調整パターンTを設けているので、入力領域EIでの表示むらを低減できる。
【0061】
また、入力装置1Bでは、調整パターンTの有する可視光の透過率を、検出電極21の有する可視光の透過率の±10%以内に設定することで、調整パターンTの有する可視光の透過率を、検出電極21の有する可視光の透過率と実質的に同一としている。
【0062】
なお、可視光の透過率は、例えば、以下のようにして測定できる。まず、可視光を対象物に照射して対象物を透過した透過光の発光スペクトルを測定する。測定して得られた透過光の発光スペクトルと出射光の発光スペクトルとを光の強度と波長との関係のグラフで表す。このグラフから、波長の可視光域での、透過光の発光スペクトルと出射光の発光スペクトルとの面積差を算出することで、可視光の透過率を判断できる。すなわち、この面積差が小さいほど可視光の透過率が高いことを意味する。
【0063】
以上、本発明の具体的な実施形態を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0064】
表示装置3では、入力装置1を備える例について説明したが、他の実施形態に係る入力装置1A,1Bを備えても、上述で説明した効果と同様な効果を得られる。
【0065】
入力装置X2では、検出電極20の開口部211内に調整パターンTを設けてもよい。
【0066】
表示装置3では、表示パネルが液晶表示パネル2である例について説明したが、これに限定されない。すなわち、表示パネルは、CRT、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、蛍光表示管、電界放出ディスプレイ、表面電界ディスプレイ、電子ペーパーなどであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1,1A,1B 入力装置
2 表示装置
3 液晶表示装置
10 基体
20 検出電極パターン
30 配線導体
40 ドライバ
42 容量測定部
43 座標演算部
2a 表示パネル
60 調整パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が入力操作した箇所を入力位置として検出する入力装置、およびこれを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電容量方式のタッチパネルに代表される入力装置では、検出電極パターンごとに検出電極に生じる容量を測定する、いわゆるラインスキャン方式が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−179871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ラインスキャン方式を採用する入力装置では、指もしくはペンなどの導体が複数の個所に同時に近接もしくは接触(いわゆるマルチタッチ)すると、入力座標の位置が定まらず、違う位置に接触したものと誤検出される、いわゆるゴーストと呼ばれる問題が発生する。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ゴーストの発生を低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の入力装置は、基体と、複数の検出電極および隣り合う前記検出電極を電気的に接続する接続部を有し、かつ前記基体上に設けられた検出電極パターンと、前記検出電極パターンの一端部と電気的に接続され、かつ前記基体上に設けられた配線導体と、前記検出電極に生じる容量を測定する容量測定部および前記容量測定部により測定された容量に基づいて入力座標を演算する座標演算部を有し、かつ前記配線導体と電気的に接続されたドライバと、を備え、平面視において、複数の前記検出電極それぞれの面積は、前記検出電極パターンの前記一端部から前記検出電極パターンの他端部にかけて順次小さくなっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の入力装置は、ゴーストの発生を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態における入力装置の一例を示す平面図である。
【図2】図1中に示したR部分を拡大した図である。
【図3】(a)は図1のI−Iに沿った断面図である。(b)は図1のII−IIに沿った断面図である。
【図4】図1の入力装置を示す等価回路図である。
【図5】図1の入力装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】従来の入力装置において、使用者が導体を入力領域に近接もしくは接触させた場合に測定される容量の大きさを示す図である。
【図7】図1の入力装置において、使用者が導体を入力領域に近接もしくは接触させた場合に測定される容量の大きさを示す図である。
【図8】図1の入力装置において、使用者が導体を入力領域に近接もしくは接触させた場合に測定される容量の大きさを示す図である。
【図9】図1の入力装置を備えた表示装置を示す断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態における入力装置の一例を示す平面図である。
【図11】図10中に示したR1部分を拡大した図である。
【図12】図10の入力装置の変形例であって、検出電極を示す拡大平面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態における入力装置の一例を示す平面図である。
【図14】図13の入力装置の要部を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態1]
まず、本発明の第1の実施形態における入力装置1について、図1〜図8を参照しながら説明する。ここで、入力装置1は、静電容量方式のタッチパネルである。また、入力装置1では、入力座標を演算するにあたり、いわゆるラインスキャン方式を採用している。
【0010】
入力装置1は、図1に示すように、使用者が指もしくはペンなどの導体を近接もしくは接触することで情報を入力するための入力領域EIと、入力領域EIの外側に位置する非入力領域EOとを有している。また、非入力領域EOは、フレキシブルプリント基板Fと電気的に接続される外部導通領域EGを有している。
【0011】
入力装置1は、基体10と、検出電極パターン20と、配線導体30と、ドライバ40とを備えている。
【0012】
基体10は、検出電極パターン20および配線導体30を支持する役割を有する。基体10は、第1主面10aと、該第1主面10aとは反対側に位置する第2主面10bとを有している。ここで、入力領域EIに対応する基体10の第2主面10bは、使用者が指もしくはペンなどの導体(以下、単に「導体」と称する)で近接もしくは直接接触する面となる。図1に示すように、基体10の平面視形状は例えば矩形状をしているが、これに
は限られず、任意である。基体10の材料としては、絶縁性および透光性を有するものが挙げられ、例えば、ガラスおよびプラスチックなどである。ここで、透光性とは、可視光に対する透過性を有することを意味する。
【0013】
検出電極パターン20は、複数の検出電極21と、複数の接続部22とを有している。検出電極パターン20は、入力領域EIに対応する基体10の第1主面10aに設けられており、X方向およびY方向に沿って配列している。以下では、X方向の入力座標を検出する検出電極パターン20を「X検出電極パターン20X」とし、Y方向の入力座標を検出する検出電極パターン20を「Y検出電極パターン20Y」とする。
【0014】
検出電極パターン20の材料としては、透光性および導電性を有するものが挙げられる。透光性および導電性を有するものとしては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide:インジウム亜鉛酸化物)、ATO(Antimony Tin Oxide:アンチモン錫酸化物)、酸化錫、酸化亜鉛が挙げられる。
【0015】
検出電極パターン20の形成方法は、例えば、次のような方法が挙げられる。まず、スパッタリング法、蒸着法、もしくは化学気相成長法により、例えば、ITOを基体10の第1主面10aに膜として形成する。このITO膜の表面に対して感光性樹脂を塗布し、塗布した感光性樹脂に対して露光処理、現像処理を行うことで感光性樹脂に所望のパターンを形成する。次いで、ITO膜を薬液でエッチングすることで、ITO膜を所望の形状にする。そして、ITO膜の表面に設けられている感光性樹脂を除去することで、検出電極パターン20が形成される。
【0016】
X検出電極パターン20Xは、複数のX検出電極21Xと、複数のX接続部22Xとを有している。複数のX検出電極パターン20Xは、Y方向に沿って配列している。また、本実施形態では、X検出電極パターン20X1、X検出電極パターン20X2、・・・X検出電極パターン20XIのように、I個のX検出電極パターン20Xが配列させている。
【0017】
X検出電極21Xは、グランドと容量を形成するとともに、導体と容量を形成する機能を有する。また、X検出電極21Xは、所定の間隔を空けてX方向およびY方向に配置されている。また、隣り合うX検出電極21Xは、X接続部22Xによって互いに電気的に接続されている。また、X検出電極21Xは、平面視形状が例えばひし形状をしているが、これには限られず、任意である。また、図4に示すように、X検出電極21Xに電圧を印加すると、X検出電極21Xに電荷が蓄積され、X検出電極21Xとグランドとの間には容量CPXが発生する。なお、図4では、説明の簡略化のために、X検出電極パターン20Xの数を1つとするとともに、X検出電極21Xの数を3つとしている。
【0018】
図1および図2に示すように、X検出電極21Xの面積は、平面視して、配線導体30が接続されるX検出電極パターン20Xの一端部20Sから他端部20Fにかけて順次小さくなっている。すなわち、X電極20Xの一端部20SからX方向に進むにつれて、X検出電極21Xの面積が小さくなっている。
【0019】
X検出電極21Xの面積が小さくなると、このX検出電極21Xに発生する容量CPXの大きさは小さくなる。すなわち、図4に示すように、X検出電極パターン20Xにおいて、一端部20S側に位置するX検出電極21Xに発生する容量CPX1は、他端部20F側に位置するX検出電極21Xに発生する容量CPX2,CPX3に比べて大きくなる。これと同様に、X検出電極21Xに発生する容量CPX2は、X検出電極21Xに発生する容量CPX3に比べて大きくなる。
【0020】
Y検出電極パターン20Yは、複数のY検出電極21Yと、複数のY接続部22Yとを有している。
【0021】
Y検出電極パターン20Yは、複数のY検出電極21Yと、複数のY接続部22Yとを有している。複数のY検出電極パターン20Yは、X方向に沿って配列されている。また、本実施形態では、X方向に向かって、Y検出電極パターン20Y1、Y検出電極パターン20Y2、・・・Y検出電極パターン20YIのように、J個のY検出電極パターン20Yが配列されている。
【0022】
Y検出電極21Yは、X検出電極21Xと同様、グランドとの間に容量を形成するとともに、導体と容量を形成する機能を有する。Y検出電極21Yは、所定の間隔を空けてX方向およびY方向に配置されている。また、隣り合うY検出電極21Yは、Y接続部22Yによって互いに電気的に接続されている。また、Y検出電極21Yは、平面視形状が例えばひし形状をしているが、これには限られず、任意である。また、図4に示すように、Y検出電極21Yに電圧を印加すると、Y検出電極21Yとグランドとの間の容量CPYには電荷が蓄積される。なお、図4では、説明の簡略化のために、Y検出電極パターン20Yの数を1個とするとともに、Y検出電極21Yの数を3個としている。
【0023】
図1および図2に示すように、Y検出電極21Yの面積は、平面視して、配線導体30が接続されるY検出電極パターン20Yの一端部20Sから他端部20Fにかけて順次小さくなっている。すなわち、Y検出電極21Yの一端部20SからY方向に進むにつれて、Y検出電極21Yの面積が小さくなっている。
【0024】
Y検出電極21Yの面積が小さくなると、このY検出電極21Yに発生する容量CPYの大きさは小さくなる。すなわち、図4に示すように、Y検出電極パターン20Yにおいて、一端部20S側に位置するY検出電極21Yに発生する容量CPY1は、他端部20F側に位置するY検出電極21Yに発生する容量CPY2,CPY3に比べて大きくなる。これと同様に、Y検出電極21Yに発生する容量CPY2は、Y検出電極21Yに発生する容量CPY3に比べて大きくなる。
【0025】
また、X検出電極パターン20XとY検出電極パターン20Yとは、平面視して交差している。具体的には、X検出電極パターン20XとY検出電極パターン20Yとの交差する部位には、絶縁部材20Aが介在している。この絶縁部材20AによりX検出電極パターン20XとY検出電極パターン20Yとは電気的に絶縁される。絶縁部材20Aの材料としては、絶縁性を有するものが挙げられ、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂である。
【0026】
配線導体30は、検出電極パターン20とドライバ40とを電気的に接続する機能を有する。配線導体30は、外側領域EOに対応する基体10の第1主面10aに設けられている。配線導体30は、一端がX検出電極パターン20Xの一端部20SおよびY検出電極パターン20Yの一端部20Sと電気的に接続され、外部導通領域EGに位置する他端がフレキシブルプリント基板Fを介してドライバ40と接続されている。
【0027】
配線導体30の材料としては、導電性を有するものが挙げられ、例えば、ITO、酸化錫、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、もしくは銀合金などである。また、配線導体30の形成方法は、検出電極パターン20と同様の方法が挙げられる。
【0028】
図4に示すように、ドライバ40は、発振部41と、容量測定部42と、座標演算部43とを有している。
【0029】
発振部41は、検出電極パターン20に電圧信号を伝達する機能を有する。発振部41は、フレキシブルプリント基板Fを介して検出電極パターン20と電気的に接続されている。
【0030】
容量測定部42は、検出電極21に発生する容量を測定する機能を有する。容量測定部42は、オペアンプ421と、コンデンサ422と、リセットスイッチ423と、ADコンバータ424とを有している。オペアンプ421は、入力された信号を増幅する機能を有する。また、オペアンプ421は、X検出電極パターン20XおよびY検出電極パターン20Yと、コンデンサ422と、リセットスイッチ423とに電気的に接続される。
【0031】
コンデンサ422は、X検出電極21XもしくはY検出電極21Yとグランドとの間の容量Cpで、およびX検出電極21XもしくはY検出電極21Yと導体との間の容量CDX,CDYでそれぞれ電荷を蓄積する機能を有する。
【0032】
リセットスイッチ423は、コンデンサ422に蓄積された電荷の転送回数を制御する機能を有する。リセットスイッチ423は、所定の周期でオン・オフされるように設定されており、リセットスイッチ423によって検出時間を制御できる。
【0033】
ADコンバータ424は、信号を数値化する機能を有する。すなわち、オペアンプ421により出力された信号は、ADコンバータ424によって数値化される。また、ADコンバータ424は、数値化した信号を座標演算部43に出力する。
【0034】
容量測定部42では、コンデンサ422が、X検出電極21XもしくはY検出電極21Yとグランドとの間の容量CpおよびX検出電極21XもしくはY検出電極21Yと導体との間の容量CDでそれぞれ電荷を蓄積し、この電荷をリセットスイッチ423が所定の周期でオペアンプ421を介してADコンバータ424に出力する。そして、この出力信号はADコンバータ424によって数値化される。なお、本実施形態では、容量測定部42がドライバ40に組み込まれている構成について説明したが、検出電極21に発生する容量を測定できれば、このような構成には限られない。
【0035】
座標演算部43は、導体が近接もしくは接触する個所のX座標およびY座標を演算する機能を有する。具体的には、座標演算部43は、まず、容量測定部42により測定された容量に基づいて、導体が基体10の第2主面10bに対して近接もしくは接触したか否かを判定する。この判定については、閾値が設定されており、この閾値を基準として判定される。すなわち、座標演算部43は、導体が近接もしくは接触していない場合の容量を基準として、導体が近接もしくは接触することで変化する容量が閾値を超えると、導体が近接もしくは接触したと判定する。なお、本実施形態では、座標演算部43がドライバ40に組み込まれている構成について説明したが、導体が近接もしくは接触した位置のX座標およびY座標を演算できれば、このような構成には限られない。
【0036】
次に、図4および図5を参照しながら、入力装置1の入力位置の検出原理について説明する。
【0037】
入力装置1では、ドライバ40の発振部41から配線導体30を介して、X検出電極パターン20XおよびY検出電極パターン20Yに電圧が印加される。すなわち、入力装置1では、X検出電極21XおよびY検出電極21Yには電荷が帯電され、X検出電極21Xとグランドとの間には容量CPXが発生し、Y検出電極21Yとグランドとの間には容量CPYが発生する。
【0038】
入力装置1では、まず、容量測定部42によってX検出電極パターン20X1に発生する容量CPXの測定を行う。次に、容量測定部42によってX検出電極パターン20X2に発生する容量CPXの測定を行う。このように、容量測定部42は、1からI番目の全てのX検出電極パターン20Xに発生する容量CPXの測定を行う(Op1)。
【0039】
容量測定部42によって全てのX検出電極パターン20Xの容量の測定が終了した後、座標演算部43は、X方向において導体が入力領域EIに対して近接もしくは接触したか否かを判定する(Op2)。具体的には、座標演算部43は、容量測定部42によって測定された容量(X検出電極に発生する容量)が閾値を超えているか否かを判定する。X方向において導体が入力領域EIに対して近接もしくは接触したと判定すれば(Op2にてYES)、座標演算部43は、閾値を超えたX検出電極パターン20Xの容量を抽出する(Op3)。一方、X方向において導体が入力領域EIに対して近接もしくは接触していないと判定すれば(Op2にてNO)、Op1へ戻る。
【0040】
次に、検出電極パターン20Xと同様に、容量測定部42は、1からJ番目の全てのY検出電極パターン20Yに発生する容量CPYの測定を行う(Op4)。
【0041】
容量測定部42によって全てのY検出電極パターン20Yの容量の測定が終了した後、座標演算部43は、Y方向において導体が入力領域EIに対して近接もしくは接触したか否かを判定する(Op5)。具体的には、座標演算部43は、容量測定部42によって測定された容量(Y検出電極に発生する容量)が閾値を超えているか否かを判定する。Y方向において導体が入力領域EIに対して近接もしくは接触したと判定すれば(Op5にてYES)、座標演算部43は、閾値を超えたY検出電極パターン20Yの容量を抽出する
(Op6)。一方、Y方向において導体が入力領域EIに対して近接もしくは接触していないと判定すれば(Op5にてNO)、Op1へ戻る。
【0042】
そして、座標演算部43は、Op3にて抽出されたX検出電極パターン20Xの容量、およびOp6にて抽出されたY検出電極パターン20Xの容量に基づいて、入力位置であるX座標およびY座標を算出する(Op7)。このようにして、入力装置1は、入力座標を検出することができる。なお、上述で説明した入力装置1の入力位置の検出原理は、一例であり、導体が入力領域EIに対して近接もしくは接触した位置のX座標およびY座標を求めることができれば、入力装置1の検出原理はこれに限られない。
【0043】
なお、以下では、導体が入力領域EIの2個所に同時に近接もしくは接触(いわゆるマルチタッチ)した場合における、Op7の座標演算部43の処理について、従来の入力装置の動作と比較しながら、さらに詳細に説明する。
【0044】
従来のラインスキャン方式を採用した入力装置では、平面視において、検出電極パターン20における複数の検出電極21のそれぞれの面積が略同一に形成されていた。そのため、例えば、導体が入力領域EIの2個所の部分、例えば、白丸の(X1,Y1)と、(X2,Y2)とを同時に近接もしくは接触した場合、X方向(X検出電極21X)での容量変化およびY方向(Y検出電極21Y)での容量変化は、図6に示すようになる。
【0045】
すなわち、ラインスキャン方式を採用しているため、図6に示すように、座標X1および座標X2の容量が変化することになる。具体的には、座標X1の容量CX1は、座標X2の容量CX2と略同じ大きさになる。また、ラインスキャン方式を採用しているため、座標Y1および座標Y2の容量が変化することになる。具体的には、座標Y1の容量CY1は、座標Y2の容量CY2と略同じ大きさになる。このため、座標演算部では、入力位置のX座標がX1,X2であり、入力位置のY座標がY1,Y2であることを判定することができる。そのため、座標演算部では、導体が実際に近接もしくは接触した個所(図6の白丸)を正しく判定することができなかった。具体的には、座標演算部は、入力座標が白丸の(X1,Y1)および(X2,Y2)の組み合わせであるのか、あるいは入力座標が黒丸の(X1,Y2)および(X2,Y1)の組み合わせであるのか、判定することができなかった。すなわち、従来の入力装置では、導体が複数同時に近接もしくは接触した場合、入力座標が定まらず、違う位置に接触したものと誤検出される、いわゆるゴーストの問題が発生していた。
【0046】
これに対して、本実施形態に係る入力装置1では、平面視において、検出電極パターン20における複数の検出電極21のそれぞれの面積は、配線導体30が接続される一端部20Sから他端部20Fにかけて順次小さくなっている。このため、図7に示すように、導体が入力領域EIの2個所の部分、例えば、白丸の(X1,Y1)と、(X2,Y2)とを同時に近接もしくは接触した場合、上記従来の入力装置と同様に、座標X1および座標X2の容量が変化するとともに、座標Y1および座標Y2の容量が変化することになる。しかしながら、入力装置1では、座標X1の容量CX1は、座標X2の容量CX2よりも大きくなる。また、入力装置1では、座標Y1の容量CY1は、座標Y2の容量CY2よりも大きくなる。このため、座標演算部43は、Op7の処理において、導体が実際に近接もしくは接触した2個所(図7の白丸)を正しく判定することができる。
【0047】
すなわち、図8に示すように、導体が入力領域EIの2個所の部分、例えば、白丸の(X2,Y1)と、(X1,Y2)とを同時に近接もしくは接触した場合、図7に示す態様とは逆に、座標X2の容量CX2は、座標X1の容量CX1よりも大きくなる。また、図7に示す態様とは逆に、座標Y2の容量CY2は、座標Y1の容量CY1よりも大きくなる。このため、座標演算部43は、Op7の処理において、導体が実際に近接もしくは接
触した2個所(図8の白丸)を正しく判定することができる。
【0048】
このように、入力装置1では、ゴーストの発生を低減させることができる。
【0049】
[表示装置の構成]
図9は、第2の実施形態における表示装置3の一例を示す断面図である。図9に示すように、表示装置3は、入力装置1と、液晶表示装置2とを備えている。
【0050】
液晶表示装置2は、液晶表示パネル2aと、光源装置2bと、筐体2cとを備えている。
【0051】
光源装置2bは、液晶表示パネル2aに向けて光を照射する機能を有し、液晶表示パネル2aと下側筐体2c2との間に配置されている。
【0052】
筐体2cは、液晶表示パネル2aおよび光源装置2bを収容する役割を担うものであり、上側筐体2cおよび下側筐体2cを有する。筐体2cの材料としては、例えば、ポリカーボネート等の樹脂、あるいはステンレス(SUS)やアルミニウム等の金属が挙げられる。
【0053】
表示装置3は、例えば、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯用の端末装置、工場等の産業用途で使用されるプログラマブル表示器、電子手帳、パーソナルコンピュータ、複写機、あるいはゲーム用の端末装置等の種々の電子機器に備えられる。
【0054】
以上のように、本実施形態の表示装置3によれば、上記の入力装置1を備えているので、ゴーストの発生を低減させることができる。
【0055】
[実施の形態2]
図10は、第2の実施形態に係る入力装置1Aの一例を示す平面図である。図11は、図10のR1部分を拡大した平面図である。
【0056】
図10および図11に示すように、入力装置1Aでは、複数の検出電極21のそれぞれは、開口部211を有している。また、平面視において、この開口部211の面積は、検出電極パターン20の一端部20Sから他端部20Fにかけて順次大きくなっている。このようにして、入力装置1Aは、入力装置1と同様、複数の検出電極21それぞれの面積は、検出電極パターン20の一端部20Sから他端部20Fにかけて順次小さくなっている。これにより、入力装置1Aは、入力装置1と同様の効果が得られる。また、入力装置1Aでは、検出電極21に開口部211を設けているので、開口部211をパターニングにて形成する際に、パターニングのずれが生じたとしても、所望の検出電極21の面積から大きくずれることを低減できる。
【0057】
また、図12に示すように、検出電極21に複数の開口部211を設けることにより、複数の検出電極21それぞれの面積を、検出電極パターン20の一端部20Sから他端部20Fにかけて順次小さくなるようにしてもよい。このようにすると、開口部211を視認され難くすることができる。
【0058】
[実施の形態3]
図13は、第3の実施形態における入力装置1Bの一例を示す平面図である。図14は、入力装置1Bの要部拡大図である。入力装置1と入力装置1Bとの異なる点は、入力装置1Bでは、隣り合う検出電極21の間に、調整パターンTが設けられている点である。
【0059】
調整パターンTは、図13および図14に示すように、平面視において、隣り合う検出電極21間に設けられている。調整パターンTは、基体10の第1主面10a上に位置している。また、調整パターンTは、検出電極21と同じ材料を含んでなる。
【0060】
検出電極21の面積が小さくなると、隣り合う検出電極21間の空間が大きくなる。すなわち、この部分では光の透過率が大きくなるので、入力領域EIで表示むらが発生する場合がある。これに対して、入力装置1Bでは、隣り合う検出電極21の間に調整パターンTを設けているので、入力領域EIでの表示むらを低減できる。
【0061】
また、入力装置1Bでは、調整パターンTの有する可視光の透過率を、検出電極21の有する可視光の透過率の±10%以内に設定することで、調整パターンTの有する可視光の透過率を、検出電極21の有する可視光の透過率と実質的に同一としている。
【0062】
なお、可視光の透過率は、例えば、以下のようにして測定できる。まず、可視光を対象物に照射して対象物を透過した透過光の発光スペクトルを測定する。測定して得られた透過光の発光スペクトルと出射光の発光スペクトルとを光の強度と波長との関係のグラフで表す。このグラフから、波長の可視光域での、透過光の発光スペクトルと出射光の発光スペクトルとの面積差を算出することで、可視光の透過率を判断できる。すなわち、この面積差が小さいほど可視光の透過率が高いことを意味する。
【0063】
以上、本発明の具体的な実施形態を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0064】
表示装置3では、入力装置1を備える例について説明したが、他の実施形態に係る入力装置1A,1Bを備えても、上述で説明した効果と同様な効果を得られる。
【0065】
入力装置X2では、検出電極20の開口部211内に調整パターンTを設けてもよい。
【0066】
表示装置3では、表示パネルが液晶表示パネル2である例について説明したが、これに限定されない。すなわち、表示パネルは、CRT、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、蛍光表示管、電界放出ディスプレイ、表面電界ディスプレイ、電子ペーパーなどであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1,1A,1B 入力装置
2 表示装置
3 液晶表示装置
10 基体
20 検出電極パターン
30 配線導体
40 ドライバ
42 容量測定部
43 座標演算部
2a 表示パネル
60 調整パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
複数の検出電極および隣り合う前記検出電極を電気的に接続する接続部を有し、かつ前記基体上に設けられた検出電極パターンと、
前記検出電極パターンの一端部と電気的に接続され、かつ前記基体上に設けられた配線導体と、
前記検出電極に生じる容量を測定する容量測定部および前記容量測定部により測定された容量に基づいて入力座標を演算する座標演算部を有し、かつ前記配線導体と電気的に接続されたドライバと、を備え、
平面視において、複数の前記検出電極それぞれの面積は、前記検出電極パターンの前記一端部から前記検出電極パターンの他端部にかけて順次小さくなっていることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
複数の前記検出電極のそれぞれは、開口部を有しており、
平面視において、前記開口部の面積は、前記検出電極パターンの前記一端部から前記他端部にかけて順次大きくなっている、請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
隣り合う前記検出電極間には、調整パターンが設けられている、請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の入力装置と、
前記入力装置と対向配置される表示パネルと、を備えた表示装置。
【請求項5】
前記表示パネルは、液晶表示パネルである、請求項4に記載の表示装置。
【請求項1】
基体と、
複数の検出電極および隣り合う前記検出電極を電気的に接続する接続部を有し、かつ前記基体上に設けられた検出電極パターンと、
前記検出電極パターンの一端部と電気的に接続され、かつ前記基体上に設けられた配線導体と、
前記検出電極に生じる容量を測定する容量測定部および前記容量測定部により測定された容量に基づいて入力座標を演算する座標演算部を有し、かつ前記配線導体と電気的に接続されたドライバと、を備え、
平面視において、複数の前記検出電極それぞれの面積は、前記検出電極パターンの前記一端部から前記検出電極パターンの他端部にかけて順次小さくなっていることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
複数の前記検出電極のそれぞれは、開口部を有しており、
平面視において、前記開口部の面積は、前記検出電極パターンの前記一端部から前記他端部にかけて順次大きくなっている、請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
隣り合う前記検出電極間には、調整パターンが設けられている、請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の入力装置と、
前記入力装置と対向配置される表示パネルと、を備えた表示装置。
【請求項5】
前記表示パネルは、液晶表示パネルである、請求項4に記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−232928(P2011−232928A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102064(P2010−102064)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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