説明

内装パネル取付構造及びその組立方法

【課題】トンネル内壁面等の構造物の被取付面から汚水が漏水した場合にも、被取付面に取り付けられている内装パネル表面に汚水が流れ出すことを防止し、内装面の美観や視認性を維持することができる内装パネル取付構造を提供する。
【解決手段】長手方向に沿って溝21が形成されている敷目部20を、溝21が縦方向に延びるようにしてトンネル内壁面11に配置し、内装パネル30の左右の隣接箇所が溝21に対応するようにして、内装パネル30を敷目部20を介して浮かし張りで設け、隣接する内装パネル30に跨るようにシール付座金421を配置し、シール付座金421と敷目部20とを貫通する第2アンカー42をトンネル内壁面11に打設する内装パネル取付構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば内装タイルが縦横に配置されている内装パネルをトンネル内壁面に取り付ける等、特に漏水が生じる可能性がある各種構造物の被取付面に内装パネルを直接固定して取り付ける際に適用するに好適な、内装パネル取付構造及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路トンネル等では、美観や視認性の向上のために、その内壁面に内装タイルが設置されている。内装タイルは、古いトンネルでは、内壁面に直接タイルを1枚1枚貼り付けて設置されているが、近年では、予め工場において、トンネル内壁面に沿った曲面形状の基板に多数の内装タイルを縦横に並べた状態で接着して内装パネルとし、この内装パネルをトンネル内壁面に直接取り付けることも行われている。この種の内装パネルは、アンカーやビス等によってトンネル内壁面に直接固定され(所謂「タイルパネル直張り工」)、必要に応じて縦横に並列して設置される(特許文献1、2参照)。この種の直接固定する内装パネルは、被取付面に凹凸や他の取付物があっても該被取付面から取付金具を介して所定の間隔をあけて平板状のタイルパネルを配置する方式(所謂「タイルパネル浮かし張り工」特許文献3参照)に比して、施工性が良く、内装パネル取付構造としての厚みが薄い為に内空断面を侵さないというメリットがあり、両者は取付構造及び組立方法として大別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−190295号公報
【特許文献2】特開2006−265847号公報
【特許文献3】特開平10−299144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トンネル内壁面に内装パネルを直接固定して設ける場合、トンネルの内壁面である覆工面から汚水が漏水すると、汚水が内装タイルの表面に流れ出して内装面を汚し、内装工の機能を損なうという問題がある。同様に、トンネル以外の構造物、例えば地下構造物やカルバート等の連続壁、或いはその他の背面に地盤を有する壁面等の被取付面に内装パネルを取り付ける場合にも、内装パネルを直接固定してしまうと構造物の被取付面からの漏水で同様の問題が生ずる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、トンネル内壁面等の構造物の被取付面から汚水が漏水した場合にも、被取付面に取り付けられている内装パネル表面に汚水が流れ出すことを防止し、内装面の美観や視認性を維持することができる内装パネル取付構造及びその組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内装パネル取付構造は、長手方向に沿って溝が形成されている敷目部を、前記溝が縦方向に延びるようにして構造物の被取付面に配置し、内装パネルの左右の隣接箇所が前記溝に対応するようにして、前記内装パネルを前記敷目部を介して浮かし張りで設け、前記隣接する内装パネルに跨るようにシール付座金を配置し、前記シール付座金と前記敷目部を貫通する固定部材を前記被取付面に打設することを特徴とする。
この構成によれば、トンネル内壁面等の構造物の被取付面から汚水が漏水した場合に、敷目部の溝に汚水を導入し、溝を通して汚水を排出することが可能となる。また、固定部材をシール付座金に貫通させ、シール付座金が隣接する内装パネルに跨るように配置することにより、固定部材を伝って汚水が内装パネル表面に流れ出すことを確実に防止することができる。従って、被取付面に取り付けられている内装パネルの表面に汚水が流れ出すことを防止でき、内装面の美観や視認性を維持することができる。
【0007】
また、本発明の内装パネル取付構造は、前記溝が構造物の被取付面と逆側になるように前記敷目部を配置し、前記隣接する内装パネルの相互間隔が前記溝幅より小さくなるようにして前記内装パネルを設けることを特徴とする。
この構成によれば、敷目部を被取付面に面接触で沿わせて取り付けることが可能であるから、敷目部をより安定して被取付面に取り付けることができる。また、隣接する内装パネルの相互間隔を溝幅より小さくすることにより、溝を前記逆側にした場合でも溝内を流れる汚水が途中で溝から漏出することを確実に防止することができる。
【0008】
また、本発明の内装パネル取付構造は、前記溝が構造物の被取付面側となるように前記敷目部を配置することを特徴とする。
この構成によれば、覆工面から漏水する汚水を溝内により確実時に導いて、溝内を流して汚水をより確実に排水することができる。
【0009】
また、本発明の内装パネル取付構造の組立方法は、長手方向に沿って溝が形成されている敷目部の複数を、前記溝が縦方向に延びるようにして構造物の被取付面に所定間隔を開けて配置固定する工程と、前記敷目部に架設して浮かし張りにして第一の内装パネルを配置固定すると共に、前記第一の内装パネルの左右方向に隣接して、第二の内装パネルを前記敷目部に架設して浮かし張りにして配置固定し、前記第一の内装パネルと前記第二の内装パネルを、左右隣接箇所を前記溝に対応させるようにして設ける工程と、前記第一の内装パネルと前記第二の内装パネルに跨るようにシール付座金を配置し、前記シール付座金と前記敷目部を貫通する固定部材を前記被取付面に打設する工程と、前記被取付面の逆側において、前記第一の内装パネルの上端部が第三の内装パネルの下端部に被るように、前記第三の内装パネルを前記第一の内装パネルに係合して配置する工程とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、本発明の内装パネル取付構造と同様の効果を発揮できると共に、簡単に本発明の内装パネル取付構造を構築することができる。また、第一の内装パネルの上端部が第三の内装パネルの下端部に被るように係合することにより、内装パネルの背面側の汚水が内装パネル表面に漏出することを防止し、より確実に内装面の美観や視認性を維持することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、トンネル内壁面等の構造物の被取付面から汚水が漏水した場合にも、被取付面に取り付けられている内装パネル表面に汚水が流れ出すことを防止することが可能であり、内装面の美観や視認性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による実施形態の内装パネル取付構造が設置されるトンネルの縦断面図。
【図2】(a)は図1のトンネルに於ける監視員通路側の一部を示す縦断面図、(b)はその監査廊側の一部を示す縦断面図。
【図3】図2(b)に於ける実施形態の内装パネル取付構造の拡大縦断面図。
【図4】(a)は実施形態の内装パネル取付構造の正面図、(b)はその平面図。
【図5】(a)は図4のA部の拡大平面図、(b)は図4のB部の拡大正面図、(c)は図3のC部の拡大断面図、(d)は図4のX−X断面図。
【図6】(a)は図4のD部の拡大平面図、(b)は図4のE部の拡大正面図。
【図7】図3のF部の拡大断面図。
【図8】実施形態の内装パネル取付構造の斜視図。
【図9】(a)〜(d)は実施形態の内装パネル取付構造の前半の組立手順を示す斜視説明図。
【図10】(a)〜(d)は実施形態の内装パネル取付構造の後半の組立手順を示す斜視説明図。
【図11】(a)〜(e)は実施形態の内装パネル取付構造における敷目部の第1〜第6変形例を示す部分断面図。
【図12】(a)〜(f)は実施形態の内装パネル取付構造における敷目部の第7〜第12変形例を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態の内装パネル取付構造及びその組立方法〕
本発明による実施形態の内装パネル取付構造について説明する。
【0013】
本実施形態の内装パネル取付構造は、図1及び図2に示すように、構造物の被取付面に相当するトンネル10の内壁面11に設けられており、そのトンネル内壁面11は凹曲面のコンクリート製の覆工面になっている。トンネル10内には、図示左側に監視員通路12が形成され、監視員通路12の側壁121と監視員通路12の下側の下側側壁122に内装パネル30がそれぞれ設けられており、下側側壁122の下部に沿って排水路13が設けられている。また、その図示右側には監査廊14が形成され、監査廊14の側壁141に内装パネル30が設けられていると共に、監査廊14の下側側壁に沿って排水路15が設けられている。図中、16はトンネル10の底部に打設したインバートコンクリートである。
【0014】
内装パネル30は、図3〜図8に示すように、敷目部20を介在してトンネル内壁面11に直接取り付けられる。敷目部20は、長手方向に沿って溝21が形成され、溝21が縦方向に延びるようにしてトンネル内壁面11に配置され固定される。本例の敷目部20は、高じん性ボード等の可撓性の略矩形帯板状の敷目板22と、敷目板22の厚さ方向における一方の面の両側に、長手方向に沿ってそれぞれ延設されているシール材23とから構成され、両側のシール材23・23と敷目板22とで形成される凹部が溝21になっている。敷目部20は、敷目板22をトンネル内壁面11に沿わせるようにして配置され、後述する第1アンカー41と第2アンカー42とでトンネル内壁面11に固定される。
【0015】
内装パネル30は、高じん性ボード等からなり内壁面11の曲面形状に沿うよう可撓性を有する略矩形平板状の基板31と、基板31の片面側に接着材等で固着される陶磁器製等で略矩形平板状である内装タイル32とから構成される。内装タイル32は、基板31の片面側に縦横に並列配置されて複数固着され、内装タイル32側をトンネル内壁面11と逆側に向けて配置されている。内装パネル32の大きさや目地幅は適宜である。
【0016】
内装パネル30には、所定箇所で縦横に隣接して並ぶ4枚の内装タイル32のコーナー部と、所定箇所の縁部で縦に隣接して並ぶ2枚の内装タイル32のコーナー部とに、内装タイル32を対角線方向に斜めに切除した切欠部33が形成されている。前者の4枚の内装タイル32のコーナー部における切欠部33は略菱形の基板露出部34を構成し、後者の2枚の内装パネル32のコーナー部に於ける切欠部33は、隣接する別の内装パネル30に形成されている対応する切欠部33と共に略菱形の基板露出部34を構成する。各基板露出部34では、後述する第2アンカー42、第3アンカー43が打設され、内装パネル30がトンネル内壁面11に取り付けられる。
【0017】
敷目部20は、図3及び図4に示すように、トンネル内壁面11に沿わせて縦方向に延びるようにし、敷目板20をトンネル内壁面11側に、溝21をその逆側にして配置され、図5(d)のように、長手方向に所定間隔を開けて第1アンカー41を敷目板22を貫通するようにトンネル内壁面11に打設することにより、トンネル内壁面11に固定される。また、左右に隣接して配置される内装パネル30の隣接箇所は、敷目部20の溝21に対応するようにして配置され、隣接する内装パネル30の相互間隔が溝21の溝幅より小さくなるようにして設けられており、各内装パネル30の基板31がシール材23に載置され、内装パネル30は敷目部20を介して浮かし張りで設けられる。
【0018】
左右に隣接する内装パネル30の基板露出部34では、図5(a)〜(c)に示すように、敷目部20の長手方向に所定間隔を開けて第2アンカー42を敷目板22を貫通するようにトンネル内壁面11に打設することにより、敷目部20がトンネル内壁面11に固定される。第2アンカー42による固定部分では、隣接する内装パネル30に跨るように基板31の外側に、トンネル内壁面11側である内面側にシール材が施されているシール付座金421が配置され、固定部材に相当する第2アンカー42をシール付座金421と敷目部20を貫通するようにして被取付面であるトンネル内壁面11に打設する。
【0019】
また、本実施形態では、内装パネル30の左右方向の略中央に対応する位置にも上記と同様に第1アンカー41で固定されて敷目部20が設けられており、この略中央位置の敷目部20に、内装パネル30の4枚の内装タイル32のコーナー部における基板露出部34が対応して配置される。そして、この基板露出部34では、図6(a)、(b)に示すように、敷目部20の長手方向に所定間隔を開けて第3アンカー43を敷目板22を貫通するようにトンネル内壁面11に打設することにより、敷目部20がトンネル内壁面11に固定される。第3アンカー43による固定部分でも、隣接する内装パネル30に跨るように基板31の外側に、トンネル内壁面11側である内面側にシール材が施されているシール付座金431が配置され、第3アンカー43をシール付座金431と敷目部20を貫通するようにして被取付面であるトンネル内壁面11に打設する。
【0020】
各内装パネル30の上端部では、最上部に位置する内装タイル32が基板31よりも上方に突出して設けられており、その下端部では、最下部に位置する内装タイル32よりも基板31が下方に突出して設けられている(図7参照)。そして、内装パネル30を上下に隣接して並べて配置する場合に、トンネル内壁面11の逆側において下側の内装パネル30の上端部である内装タイル32が、上側の内装パネル30の下端部である基板31に被るようにして配置され、下側の内装パネル30と上側の内装パネル30とを相決り形状で係合される。
【0021】
次に、本発明による実施形態の内装パネル取付構造の組立方法について説明する。図9及び図10はその組立手順を示す斜視説明図である。
【0022】
先ず、図9(a)、(b)に示すように、トンネル内壁面11に敷目部20の下端墨及び割付墨をして墨出しをし、複数の敷目部20を下端墨及び割付墨の位置に合わせてトンネル内壁面11に配置する。この際、敷目部20は、溝21がトンネル内壁面11と逆側になるようにし、且つ溝21が縦方向に延びるようにしてトンネル内壁面11に所定間隔を開けて配置され、その長手方向の所定箇所に第1アンカー41を打設してトンネル内壁面11に固定される。
【0023】
次いで、所定の敷目部20・20(図示例では1つ置きに配置された敷目部20・20)間に、第一の内装パネル或いは下段の内装パネルに相当する内装パネル30を架設して浮かし張りにして配置し、その内装パネル30の中間に位置する敷目部20に基板露出部34から第3アンカー43を打設し、トンネル内壁面11に仮付けで固定する。また、この内装パネル30と左右方向で隣接する第二の内装パネル或いは下段の内装パネルに相当する別の内装パネル30を、所定の敷目部20・20(図示例では1つ置きに配置された敷目部20・20)間に架設して浮かし張りにして配置し、その内装パネル30の中間に位置する敷目部20に基板露出部34から第3アンカー43を打設し、トンネル内壁面11に仮付けで固定する(図示省略)。
【0024】
第一の内装パネルと第二の内装パネルに相当する内装パネル30は、図9(d)に示すように、その端部を架設された所定の敷目部20のシール材23上に載置され、その左右方向の隣接箇所は敷目部20の溝21に対応するようにして設けられる。そして、この内装パネル30・30の隣接箇所における基板露出部34には、第一、第二の内装パネル30・30に跨るようにシール付座金421を配置し、シール付座金421と敷目部20を貫通する第二アンカー42をトンネル内壁面11に打設し、第一、第二の内装パネル30をトンネル内壁面11に固定する。同様に、第一の内装パネル30と横並びになる下段に内装パネル30を所定個数配置して固定する。
【0025】
次いで、図10(a)に示すように、トンネル内壁面11の逆側において、下段に位置する第一の内装パネル30の上端部である内装タイル32が、上段に位置する第三の内装パネル30の下端部である基板31の外側に被るようにして、第三の内装パネル30を第一の内装パネル30に相決りで係合して上段に配置する。同様に、第二の内装パネル30など第一の内装パネル30と横並びとなる内装パネル30にも、上段に内装パネル30をそれぞれ相決りで係合して配置する。これらの上段の内装パネル30は、図10(b)〜(c)に示すように、上述の下段の内装パネル30と同様に固定される。そして、これらの作業を繰り返すことで内装パネル取付構造が組み立てられる。
【0026】
本実施形態によれば、トンネル内壁面11から汚水が漏水した場合に、敷目部20の溝21に汚水を導入し、溝21を通して汚水を排出することが可能となる。また、第二アンカー42をシール付座金421に貫通させ、シール付座金421が隣接する内装パネル30・30に跨るように配置することにより、第二アンカー42を伝って汚水が内装パネル30の表面に流れ出すことを確実に防止することができる。従って、トンネル内壁面11に取り付けられている内装パネル30の表面に汚水が流れ出すことを防止でき、内装面の美観や視認性を維持することができる。
【0027】
また、敷目部20の敷目板22をトンネル内壁面11に面接触で沿わせて取り付けることが可能であるから、敷目部20をより安定してトンネル内壁面11に取り付けることができる。また、隣接する内装パネル30の相互間隔を敷目部20の溝21の溝幅より小さくすることにより、溝21をトンネル内壁面11の逆側にした場合でも溝21内を流れる汚水が途中で溝21から漏出することを確実に防止することができる。
【0028】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明には、各発明や実施形態等の構成の他に、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものも含まれ、例えば下記変形例も包含する。
【0029】
例えば上記実施形態における敷目部20は、細長矩形状の敷目板22の片面側の両側にシール材23を配置し、断面視略コ字形としたが、図11(a)のように全体を敷目板22aで構成して断面視略コ字形にし、溝21aが形成される敷目部20a、図11(b)のように細長矩形板状の敷目板22bの片面側に断面視略半円形の溝21bが形成されている敷目部20b、図11(c)のように細長矩形板状の敷目板22cの片面側に断面視略台形の溝21cが形成されている敷目部20c、図11(d)のように細長矩形板状で片面側の両側に円形の面取りがされている敷目板22dの片面側に断面視略台形の溝21dが形成されている敷目部20d、図11(e)のように細長矩形板状で片面側の両側に円形の面取りがされている敷目板22eの片面側に、断面視略台形で側面が若干へこんだ弧状になっている溝21eが形成されている敷目部20e等としてもよい。
【0030】
更に、別例として、図12(a)のように細長矩形板状の敷目板22fの片面側に2つの突条24fを長手方向に沿って形成し、突条24f・24f間を溝21fとする敷目部20f、図12(b)のように細長で片面が円弧状になっている敷目板22gの円弧面側に断面視略矩形の溝21gが形成されている敷目部20g、図12(c)のように細長矩形板状の敷目板22hの片面側に断面視略三角形の溝21hが形成されている敷目部20h、図12(d)のように細長矩形板状の敷目板22iの片面側に断面視略台形で端縁が敷目板22iの縁にまで近接する幅広の溝21iが形成されている敷目部20i、図12(e)のように細長矩形状の敷目板22jの片面側の両側に断面視で丸みを帯びたシール材23j・23jを配置し、その間を溝21jとする敷目部20j、図12(f)のように細長矩形状の敷目板22kの片面側の両側に断面視で丸みを帯びたシール材23k・23kを左右方向に層状に配置し、その間を溝21kとする敷目部20k等としてもよい。
【0031】
また、敷目部20、20a〜20kは、トンネル内壁面11側に溝21等が向けられるように配置し、第一アンカー41、第二アンカー42等で固定する構成としてもよい。この構成によれば、トンネル内壁面11の覆工面から漏水する汚水を溝21等内により確実時に導いて、溝21等内を流して汚水をより確実に排水することができる。
【0032】
また、上記実施形態では、構造物の被取付面としてトンネル10の内壁面11に内装パネル取付構造を設ける場合について説明したが、本発明の構造物の被取付面は適宜であり、例えばビル等の建築物の壁面等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、例えば内装タイルが縦横に配置されている内装パネルをトンネル内壁面に取り付ける場合等に利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
10…トンネル 11…内壁面 12…監視員通路 121…側壁 122…下側側壁 13…排水路 14…監査廊 141…側壁 15…排水路 16…インバートコンクリート 20、20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i、20j、20k…敷目部 21、21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、21i、21j、21k…溝 22、22a、22b、22c、22d、22e、22f、22g、22h、22i、22j、22k…敷目板 23、23j、23k…シール材 24f…突条 30…内装パネル 31…基板 32…内装タイル 33…切欠部 34…基板露出部 41…第1アンカー 42…第2アンカー 421…シール付座金 43…第3アンカー 431…シール付座金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って溝が形成されている敷目部を、前記溝が縦方向に延びるようにして構造物の被取付面に配置し、
内装パネルの左右の隣接箇所が前記溝に対応するようにして、前記内装パネルを前記敷目部を介して浮かし張りで設け、
前記隣接する内装パネルに跨るようにシール付座金を配置し、
前記シール付座金と前記敷目部を貫通する固定部材を前記被取付面に打設することを特徴とする内装パネル取付構造。
【請求項2】
前記溝が構造物の被取付面と逆側になるように前記敷目部を配置し、
前記隣接する内装パネルの相互間隔が前記溝幅より小さくなるようにして前記内装パネルを設けることを特徴とする請求項1記載の内装パネル取付構造。
【請求項3】
前記溝が構造物の被取付面側となるように前記敷目部を配置することを特徴とする請求項1記載の内装パネル取付構造。
【請求項4】
長手方向に沿って溝が形成されている敷目部の複数を、前記溝が縦方向に延びるようにして構造物の被取付面に所定間隔を開けて配置固定する工程と、
前記敷目部に架設して浮かし張りにして第一の内装パネルを配置固定すると共に、前記第一の内装パネルの左右方向に隣接して、第二の内装パネルを前記敷目部に架設して浮かし張りにして配置固定し、前記第一の内装パネルと前記第二の内装パネルを、左右隣接箇所を前記溝に対応させるようにして設ける工程と、
前記第一の内装パネルと前記第二の内装パネルに跨るようにシール付座金を配置し、前記シール付座金と前記敷目部を貫通する固定部材を前記被取付面に打設する工程と、
前記被取付面の逆側において、前記第一の内装パネルの上端部が第三の内装パネルの下端部に被るように、前記第三の内装パネルを前記第一の内装パネルに係合して配置する工程と、
を備えることを特徴とする内装パネル取付構造の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−67474(P2012−67474A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211639(P2010−211639)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【出願人】(000126609)株式会社エーアンドエーマテリアル (99)
【出願人】(000129758)株式会社ケー・エフ・シー (120)
【Fターム(参考)】