説明

内装ボード及びその施工方法

【課題】作業者の熟練を要することなく誰でも容易にかつ短時間で施工することができる内装ボードを提供すること。
【解決手段】本発明では、家屋の内壁を構成する内装ボード(1)において、基材(2)の表裏両面にシート(3,4)を貼着するとともに、表裏のシート(3,4)に吸着性塗料を塗布することにした。また、前記基材(2)の表面側のシート(3)を裏面側のシート(4)よりも薄くするとともに、基材(2)の表面側の吸着性塗料を裏面側の吸着性塗料よりも厚くすることにした。さらに、家屋の内壁として内装ボード(1)を複数枚並べて取付け、隣接する内装ボード(1)の間に前記吸着性塗料を塗布することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋の内壁を構成する内装ボード及びその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、家屋においては、室内の不快な臭気や湿気を除去して快適に生活できる室内空間を形成するために、家屋の内壁の改善が行われている。
【0003】
その一例として、家屋の内壁に炭や酸化チタンなどの機能性物質を含有する吸着性塗料を塗布し、吸着性塗料によって室内の臭気や湿気を吸着して室内から除去するようにしたものが知られている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−29742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の家屋の内壁に吸着性塗料を塗布する方法では、吸着性塗料を均一に塗布する作業に熟練を要し、また、家屋の建設途中において吸着性塗料の塗布工程を行う必要があるために施工期間が長くなるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、請求項1に係る本発明では、家屋の内壁を構成する内装ボードにおいて、基材の表裏両面にシートを貼着するとともに、表裏のシートに吸着性塗料を塗布することにした。
【0007】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記基材の表面側のシートを裏面側のシートよりも薄くするとともに、基材の表面側の吸着性塗料を裏面側の吸着性塗料よりも厚くすることにした。
【0008】
さらに、請求項3に係る本発明では、内装ボードの施工方法において、家屋の内壁として前記請求項1又は請求項2に記載の内装ボードを複数枚並べて取付け、隣接する内装ボードの間に前記吸着性塗料を塗布することにした。
【発明の効果】
【0009】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0010】
すなわち、本発明では、家屋の内壁を構成する内装ボードにおいて、基材の表裏両面にシートを貼着するとともに、表裏のシートに吸着性塗料を塗布することにしているために、家屋の内装として内装ボードを貼着するだけでよくなり、作業者の熟練を要することなく誰でも容易にかつ短時間で施工することができる。
【0011】
特に、基材の表裏両面にシートを貼着することで、吸着性塗料で吸着した水分等が基材の内部に浸入してしまうのを防止することができるので、基材の劣化が防止され、内装ボードの長寿命化を図ることができる。
【0012】
また、基材の表裏両面にシートを貼着するとともにシートに吸着性塗料を塗布することで、内装ボードの強度を増大させることができるとともに、内装ボードの変形を防止することができる。
【0013】
また、基材の表面側のシートを裏面側のシートよりも薄くするとともに、基材の表面側の吸着性塗料を裏面側の吸着性塗料よりも厚くすることで、内装ボードの表面側をわずかに凸状に撓ませることができ、家屋の内壁として複数枚の内装ボードを並べて貼着した際に隣接する内装ボード同士を密着させることができ、内装ボードの施工をより一層容易なものとすることができる。
【0014】
さらに、家屋の内壁として内装ボードを複数枚並べて取付け、隣接する内装ボードの間に吸着性塗料を塗布することにした場合には、隣接する内装ボードの間の隙間を無くして全ての内装ボードに塗布した吸着性塗料を同電位に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る内装ボードを示す斜視説明図。
【図2】内装ボードの施工方法を示す斜視説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る内装ボード及びその施工方法の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1に示すように、内装ボード1は、MDF(中密度繊維板)の合板やべニア板などの矩形薄板状の基材2の表裏両面に基材2と同サイズのシート3,4を接着剤にて貼着している。ここで、内装ボード1は、基材2の表面(家屋の内壁として施工した時に家屋の内側となる面)側に貼着したシート3を印刷用シートとする一方、基材2の裏面側に貼着したシート4を防湿シートとし、基材2の表面側に貼着したシート3を基材2の裏面側に貼着したシート4よりも厚みの薄いものを用いている。
【0018】
また、内装ボード1は、基材2に貼着した表裏のシート3,4に同一の吸着性塗料をそれぞれ塗布して、基材2の表裏両面に吸着性塗料層5,6を形成している。ここで、内装ボード1は、基材2の表面側に形成した吸着性塗料層5を基材2の裏面側に形成した吸着性塗料層6よりも厚みが厚くなるように吸着性塗料を塗布している。
【0019】
吸着性塗料は、木炭や竹炭などの炭や、ゼオライトや珪藻土などの多孔質無機素材や、酸化チタンや金属酸化物などの分解機能性素材などの吸着性を有する1又は複数種類の物質を含有し、アクリルやウレタンやフッ素やシリコンやエポキシやポリエステルやポリアミドなどの1又は複数種類の樹脂をバインダーとする塗料を用いている。
【0020】
この吸着性塗料は、基材2に直接塗布することも可能ではあるが、基材2に直接塗布すると、吸着性塗料で吸着した水分等が基材2の内部にまで浸入してしまい、基材2が劣化したり変形してしまうおそれがある。そこで、内装ボード1では、基材2に吸着性塗料を直接塗布するのではなく、シート3,4を介して塗布するようにしている。これにより、吸着性塗料で吸着した水分等が基材2の内部に浸入してしまうのを防止することができ、基材2の劣化や変形を防止し、内装ボード1の長寿命化を図るようにしている。
【0021】
また、吸着性塗料は、基材2の表面側に塗布するだけでもよいが、基材2の裏面側にも塗布した場合には、表裏の吸着性塗料の塗布量を調整することで内装ボード1の反りを抑制することができるとともに、家屋の内壁の内部での結露を防止することができる。
【0022】
そして、吸着性塗料を基材2の表裏両面にシート3,4を介して塗布することで、基材2の表裏両面の構成が同等なものとなり、内装ボード1の反りや経年変形などを防止することができる。また、基材2の表裏にシート3,4を貼着することで、薄い基材2を用いても良好な強度を有する軽量な内装ボード1とすることができる。
【0023】
特に、基材2の表面側のシート3を裏面側のシート4よりも薄くするとともに、基材2の表面側の吸着性塗料(吸着性塗料層5)を裏面側の吸着性塗料(吸着性塗料層6)よりも厚くすることで、内装ボード1の表面側がわずかに凸状に撓んだ状態の内装ボード1を形成することができる。
【0024】
上記構成の内装ボード1は、家屋の施工現場とは別の工場内で大量生産することができ、図2に示すように、家屋の施工現場にて、下地石膏ボード等の下地材7の表面に並べて貼着することで、家屋の内壁を形成することができる。
【0025】
その際に、下地材7の表面に複数枚の内装ボード1を端面同士を密着させた状態で並べて取付け、その後、隣接する内装ボード1の間に内装ボード1の吸着性塗料層5,6と同一の吸着性塗料をパテ代わりに塗布して、隣接する内装ボード1の間にも吸着性塗料層8を形成するようにしている。なお、内装ボード1の表面には通気性クロス等の仕上げ材を貼着する。
【0026】
このように、家屋の内壁として複数枚の内装ボード1を並べて貼着し、隣接する内装ボード1の間に吸着性塗料を塗布することで、隣接する内装ボード1の間の隙間を無くすことができるとともに、全ての内装ボード1に塗布した吸着性塗料を電気的に接続して同電位に保持することができ、これにより、吸着性塗料の機能をより一層発揮させることができる。
【0027】
また、家屋の内壁として複数枚の内装ボード1を並べて貼着する場合には、内装ボード1の表面側がわずかに凸状に撓んでいたほうが隣接する内装ボード1同士を密着させることができ、内装ボード1の施工をより一層容易なものとすることができる。
【0028】
以上に説明したように、上記内装ボード1は、基材2の表裏両面にシート3,4を貼着するとともに、表裏のシート3,4に吸着性塗料を塗布した構成となっているために、家屋の内装として下地材7に内装ボード1を貼着するだけ施工することができるので、作業者の熟練を要することなく誰でも容易にかつ短時間で施工することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 内装ボード
2 基材
3,4 シート
5,6 吸着性塗料層
7 下地材
8 吸着性塗料層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋の内壁を構成する内装ボードにおいて、
基材の表裏両面にシートを貼着するとともに、表裏のシートに吸着性塗料を塗布したことを特徴とする内装ボード。
【請求項2】
前記基材の表面側のシートを裏面側のシートよりも薄くするとともに、基材の表面側の吸着性塗料を裏面側の吸着性塗料よりも厚くしたことを特徴とする請求項1に記載の内装ボード。
【請求項3】
家屋の内壁として前記請求項1又は請求項2に記載の内装ボードを複数枚並べて取付け、隣接する内装ボードの間に前記吸着性塗料を塗布することを特徴とする内装ボードの施工方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−14941(P2013−14941A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148511(P2011−148511)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(511162244)株式会社石川 (1)
【出願人】(301055424)アーテック工房株式会社 (3)
【Fターム(参考)】