説明

冊子作成機及び冊子作成方法

【課題】冊子内のICチップに記録したデータの正当性を確認できる冊子作成機および冊子作成方法を提供する。
【解決手段】冊子作成装置14は、IC書込部23と、印刷部25と、検査部26と、IC再書込部27とを有する。IC書込部23は、初期状態の冊子に内蔵されたICチップに個人情報を含む情報を書き込む。印刷部25は、IC書込部23により冊子に内蔵されたICチップに書き込んだ情報を含む印刷内容を当該冊子の券面に印刷する。検査部26は、IC書込部23が冊子のICチップに書き込んだ情報と印刷部25が冊子の券面に印刷した情報とが整合するか否かを検査する。IC再書込部27は、検査部26により冊子の券面に印刷した情報と冊子のICチップに書き込んだ情報とが整合しないと判定した場合、冊子のICチップに書き込むべき情報を再度取得してICチップに再書込みする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冊子作成機及び冊子作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冊子作成機は、個人用の冊子に個人情報を含む情報を画像として印刷するとともに、当該冊子に内蔵されたICチップ(単に、ICとも称する)に個人情報を含む情報をデータとして記憶した個人用の冊子を作成するものがある。冊子作成機は、冊子に印刷した個人情報を含む画像については、正常に印刷されているか否かをチェックする機能を有する。しかしながら、従来の冊子作成機は、冊子に内蔵されたICチップに記録したデータについては正当性の確認を行ってない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−249799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、冊子内のICチップに記録したデータの正当性を確認できる冊子作成機および冊子作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、冊子作成装置は、IC書込部と、印刷部と、検査部と、IC再書込部とを有する。IC書込部は、初期状態の冊子に内蔵されたICチップに個人情報を含む情報を書き込む。印刷部は、IC書込部により冊子に内蔵されたICチップに書き込んだ情報を含む印刷内容を当該冊子の券面に印刷する。検査部は、IC書込部が冊子のICチップに書き込んだ情報と印刷部が冊子の券面に印刷した情報とが整合するか否かを検査する。IC再書込部は、検査部により冊子の券面に印刷した情報と冊子のICチップに書き込んだ情報とが整合しないと判定した場合、冊子のICチップに書き込むべき情報を再度取得してICチップに再書込みする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、実施形態に係る冊子作成システムの構成例を概略的に示す図である。
【図2】図2は、実施形態に係る冊子作成機の構成例を示す図である。
【図3】図3は、IC整合性チェックで冊子ICに書き込まれたデータの整合性が確認できた場合の冊子作成処理における動作シーケンスを示す図である。
【図4】図4は、冊子ICに書き込まれたデータの修正処理を実施する場合の冊子作成処理における動作シーケンスを示す図である。
【図5】図5は、冊子作成機における検査部及びIC再書込部による処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る冊子作成システムの構成例を示す図である。
冊子作成システムは、入力端末12、上位端末13、および、冊子作成機14により構成される。オペレータは、入力端末12あるいは上位端末13を操作し、冊子に記録および印刷するための情報を入力する。冊子作成機14は、入力端末12あるいは上位端末13で入力された情報に基づいて個人用の冊子を作成する。
【0008】
入力端末12は、オペレータが冊子作成機14により作成する個人用の冊子に記録する情報を入力したり、冊子の作成指示を入力したりするものである。入力端末12は、たとえば、上位端末13及び冊子作成機14との通信が可能なコンピュータ(PC)などにより構成される。
【0009】
上位端末13は、冊子作成機14により作成する個人用の冊子に記録する情報を管理する。上位端末13は、入力端末12及び冊子作成機14との通信機能を有するコンピュータ(PC)により構成できる。上位端末13は、入力端末12でオペレータが入力した個人用の冊子に記録すべき情報に基づいて個人用の冊子に印刷する情報と当該冊子に内蔵されるICチップに記録する情報とを作成する。上位端末13は、冊子に印刷する情報とICチップに記録する情報とを記憶部に保存する。上位端末13は、入力端末12からの作成開始指示に応じて情報を個人用冊子の作成開始指示とともに、冊子に印刷する情報とICチップに記録する情報とを冊子作成機14へ送信する。また、個人用の冊子に記録すべき情報および冊子の作成開始指示は、上位端末13に入力しても良い。
【0010】
冊子作成機14は、ICチップを内蔵した記録媒体としての冊子に個人情報などの情報を記録した個人用の冊子を作成する。冊子作成機14は、ICチップを内蔵する初期状態の冊子を装置内に取り込み、当該冊子に内蔵されたICチップに個人情報などの情報を書込み、さらに、当該冊子の券面にICチップに書き込んだ情報と同じ情報を含む個人情報などの情報を印刷する。冊子作成機14は、冊子の券面に印刷した印刷内容および冊子内のICチップに記録したデータなどが正常か否かをチェックする機能を有する。
【0011】
図2は、冊子作成機14の構成例を示す図である。
図2に示すように、冊子作成機14は、制御部20、供給部21、めくり部22、IC書込部23、転写前不良排出部24、印刷部25、検査部26、IC再書込部27、正常集積庫28、および不良集積庫29を有する。制御部20は、冊子作成機14全体の制御を司るものであり、プロセッサ、ROM、RAM及び各種インターフェースなどにより構成する。制御部20は、プロセッサがROMなどに記憶されたプログラムを実行することにより種々のデータ処理を実現している。
【0012】
供給部21は、複数冊の冊子を格納する格納部を有する。供給部21は、格納部にセットされた初期状態の冊子を1冊ずつめくり部22へ供給する。めくり部22は、供給部21から供給された冊子を後段の処理が行えるようにめくる。IC書込部23は、冊子に内蔵されたICチップに上位端末13から取得した情報を書き込む。ICチップは、たとえば、プロセッサ、メモリ及び非接触式通信部などを有し、冊子に内蔵できる小型の電子装置である。ICチップは、上位装置(IC書込部23、IC再書込部27)からのコマンドに応じてデータの書き込み及び読み出しなどの処理を行う。
【0013】
すなわち、IC書込部23は、冊子に内蔵されたICチップ(以下、冊子ICと称する)に対して書込みコマンドを供給することによりICチップにデータを書き込む。IC書込部23が冊子ICに書き込むデータは、個人情報などのセキュアな情報を含むデータであり、上位端末13から取得する。
【0014】
また、ICチップは、セキュリティ機能を有しており、所定の処理を施すことにより、書き込まれたデータの書き換え及び追記を不可にする(閉塞する)ことができる。本実施形態の冊子作成機14では、後段の処理(IC再書込部27によりデータ修正処理)において、冊子ICに書き込んだデータを書き換えることがある。このため、IC書込部23では、冊子ICへのデータ書込み後にデータの書き換えを禁止する閉塞処理(書換禁止処理)は実施しないようになっている。
【0015】
転写前不良排出部24は、印刷処理の前に不良と判断された冊子が排出される集積庫である。たとえば、IC書込み23による正常な書込み処理が行えない冊子は、転写前不良排出部24へ排出される。
【0016】
印刷部25は、冊子に印刷を行う。印刷部25は、冊子におけるパーソナル頁に上位端末13から取得する個人情報(氏名、顔画像等)を含む情報を印刷する。印刷部25は、顔画像を印刷するためのカラープリンタ、蛍光画像を印刷するための蛍光プリンタ、および、所定のフォーマットで所定情報を所定位置(MRZ:マシンリーダブルエリア)にプリントするモノクロプリンタなどを有する。印刷部25が冊子に印刷する情報には、冊子ICに書き込む情報が含まれるものとする。
【0017】
検査部26は、冊子のパーソナル頁に印刷された印刷内容および冊子ICに書き込まれた情報の正当性を検査する。検査部26は、印刷内容を検査するために、印刷部25による印刷処理された冊子のパーソナル頁の券面をスキャナ26aによりスキャンする。スキャナ26aは、印刷内容に対応した画像を読み込める構成を有する。たとえば、スキャナ26aは、印刷された顔画像を読取るためのカラースキャナ、蛍光画像を読取るための蛍光スキャナ、および、MRZの画像を読取るためのスキャナを有する。
【0018】
検査部26は、スキャナ26aが読み取る画像によりパーソナル頁の券面に印刷された印刷内容をチェックする機能を有する。検査部26は、印刷内容をチェックする機能として、顔画像における縦スジの有無をチェックする縦スジチェック機能、蛍光画像をチェックする蛍光チェック機能、および、MRZの印刷内容をチェックするMRZのリードチェック機能を有する。MRZのリードチェック機能は、MRZの領域を読取った画像を対象としてOCR処理を行うことにより、MRZの領域に所定の情報が所定フォーマットで印刷されているかをチェックする機能である。
【0019】
さらに、検査部26は、冊子ICに書き込んだデータをチェックする機能も有する。検査部26は、冊子の印刷された印刷内容と冊子ICに書き込まれたデータとの整合性をチェックするIC整合性チェックを行う。本実施形態では、冊子の券面に印刷される情報と冊子ICに書き込まれる情報とは、同じ情報を含むものとする。たとえば、MRZのリードチェックで文字認識される情報には、冊子ICに書き込まれているべき情報が含まれるものとする。例えば、氏名などの個人情報は、MRZのリードチェックで文字認識される情報と冊子ICに書き込まれるべき情報とに含まれるものとする。この場合、検査部26は、IC整合性チェックとして、MRZに対する文字認識結果と冊子ICに書き込まれた情報とに同じ情報が含まれるか否かにより、両者が整合しているか否かをチェックする処理を行う。
【0020】
IC再書込部(IC書込部)27は、検査部26により冊子に印刷された情報と冊子ICに書き込まれている情報とが整合性していると判断された場合、当該冊子ICを閉塞する閉塞処理(IC書込禁止処理)を行う。また、検査部26により冊子に印刷された情報と冊子ICに書き込まれている情報とが整合性していないと判断された場合、IC再書込部27は、冊子ICに書き込まれたデータを修正する修正(再書き込み)処理を行う。たとえば、IC再書込部27は、上位端末13から冊子ICに書き込むべき情報を取得し、取得した情報により冊子ICにデータを上書きすることにより冊子ICのデータを修正する。冊子ICのデータを修正すると、IC再書込部27は、当該冊子ICを閉塞する閉塞処理(IC書込禁止処理)を行う。
【0021】
冊子ICの情報の整合性が確認された冊子、あるいは、データ修正が完了した冊子は、IC書込禁止処理を実施した後、正常に作成された冊子として、正常集積庫に集積される。また、顔の縦スジチェック、蛍光チェック、或いは、MRZのリードチェックで異常が検出された冊子、冊子ICの情報が印刷情報と整合せず、かつ、データ修正もできなかった冊子、および、IC書込禁止処理が正常に終了できなかった冊子は、不良冊子として、不良集積庫に集積される。正常集積庫および不良集積庫は、複数の冊子を集積することが可能な集積庫である。
【0022】
次に、上記冊子作成システムの動作について説明する。
図3は、冊子作成システムにおいて、冊子作成機14が検査部26における各種のチェックで正常と判定される冊子を作成する動作シーケンスを示す図である。
まず、オペレータは、入力端末12を使用し、冊子に記録及び印刷するための情報を入力する(ステップS11)。冊子に記録及び印刷する情報が入力されると、入力端末12は、上位端末13へ入力された情報を送信する。上位端末13は、入力端末12で入力された情報を基に作成する冊子ICに書き込むべき情報と作成する冊子の券面(パーソナル頁)に印刷すべき情報とを作成する。上位端末13は、冊子作成機14に対して冊子の作成を指示するとともに(ステップS12)、冊子ICに書き込むべき情報と券面に印刷すべき情報と送信する。
【0023】
上位端末13から冊子の作成指示を受けた冊子作成機14の制御部20は、供給部21により初期状態の冊子をめくり部22へ供給する(ステップS13)。めくり部22は、供給部21から供給された冊子を後段の処理が行えるようにめくる(ステップS14)。IC書込部23は、上位端末13から冊子ICへの書き込みが指示された情報を当該冊子ICへ書き込む処理を行う(ステップS15)。IC書込部23は、データの書き込みコマンドを冊子ICへ供給し、冊子ICから当該コマンドに対する書き込み完了を示すレスポンスを受けることより、データの書き込み処理を行う。IC書込部23による書込み処理では、冊子ICを閉塞する処理は実施しない。
【0024】
印刷部25は、IC書込部23により冊子ICにデータが書き込まれた冊子のパーソナル頁に入力端末12から取得する個人情報(氏名、顔画像等)を含む情報を印刷する(ステップS16)。印刷部25は、顔画像、蛍光画像、および、MRZにおける所定の情報を当該冊子のパーソナル頁に印刷する。パーソナル頁への印刷が終了した冊子は、検査部26へ供給される。
【0025】
検査部26は、冊子のパーソナル頁に印刷された印刷内容をチェックし、さらに、印刷内容と冊子ICに書き込まれた情報との整合性をチェックする。検査部26は、冊子のパーソナル頁の券面をスキャナ26aによりスキャンする(ステップS18)。たとえば、スキャナ26aは、カラースキャナにより顔画像の印刷領域を読取り、蛍光スキャナにより蛍光画像の印刷領域を読取り、モノクロスキャナによりMRZの画像を読取る。
【0026】
検査部26は、顔画像の印刷領域を読取った画像における縦スジをチェックする(ステップS19)。縦スジが無いと判断すると、検査部26は、蛍光画像が正常か否かをチェックする(ステップS20)。蛍光画像が正常であると判断すると、検査部26は、MRZのリードチェックを行う(ステップS21)。検査部26は、MRZの印刷領域を読取った画像に対して文字認識処理を実行する。検査部26は、文字認識処理の結果として得られた情報がMRZに印刷されているべき情報と一致するか否かをチェックする。文字認識処理の処理結果がMRZに印刷されているべき情報と一致すると判断した場合、検査部26は、MRZが正常に印刷されていると判断する。
【0027】
なお、顔の縦スジチェック、蛍光画像の有無チェック、あるいは、MRZのリードチェックの3つのチェックのうちどれかでNGと判定された場合、制御部20は、当該冊子を不要冊子として不良集積庫29へ排出する。
【0028】
MRZが正常に印刷されていると判断した場合、検査部26は、IC整合性チェックとして、冊子ICに書き込んだ情報とパーソナル頁に印刷した情報とが整合しているか否かをチェックする(ステップS22)。ここでは、検査部26は、冊子ICに書き込んだ情報として上位端末13から取得した情報とパーソナル頁に印刷した情報(例えば、MRZの文字認識結果)との整合性をチェックする。また、IC整合性チェックとしては、冊子ICに実際に書き込まれている情報を読み取り、冊子ICから読み取った情報とパーソナル頁に印刷した情報(例えば、MRZの文字認識結果)との整合性をチェックするようにしても良い。
【0029】
IC整合性チェックにより冊子ICに書き込んだ情報とパーソナル頁に印刷した情報とを整合していることが確認された場合、制御部20は、当該冊子に内蔵されている冊子ICをIC再書込部27により閉塞処理する(ステップS23)。作成した冊子の冊子ICを閉塞すると、制御部20は、作成した冊子を正常に作成された個人用の冊子として、正常集積庫28に排出し、上位端末13および入力端末12へ冊子の作成完了を通知する(ステップS24、S25)。
【0030】
また、図4は、冊子作成システムにおいて、冊子作成機14のIC整合性チェックでデータの不一致と判定された場合の動作シーケンスを示す図である。
図4に示す動作シーケンスは、冊子の作成開始からIC整合性チェックまでの処理の流れは、図3に示す動作シーケンスと同様である。このため、ここでは、IC整合性チェックまでの処理については、詳細な説明を省略する。
冊子作成機14に検査部26によるIC整合性チェックにおいて冊子ICに書き込んだ情報とパーソナル頁に印刷した情報とが整合しないと判定された場合、制御部20は、冊子ICに書き込むべきデータの取得を要求する電文(ICデータの取得要求)を上位端末13へ送信する(ステップS31)。
【0031】
上位端末13は、冊子作成機14からのICデータ取得要求に応じて、当該冊子の冊子ICに書き込むべきデータを再作成する。たとえば、上位端末13は、入力端末12により入力された情報に基づく当該冊子に記録すべき情報を記憶部に保持しておき、冊子作成機14からのICデータ取得要求に応じて当該冊子の冊子ICに記憶すべき情報を再作成する。上位端末13は、冊子作成機14からのICデータ取得要求に対する応答(ICデータ取得応答)として、当該冊子の冊子ICに書き込むべき情報を冊子作成機14へ送信する(ステップS32)。
【0032】
ICデータ取得要求に対するICカード取得応答として上位端末13から新たに冊子ICに書き込むべきデータを取得した場合、制御部20は、新たに取得したデータをIC再書込部27により冊子ICに再度書き込む(例えば、上書き)することにより冊子ICに書き込んだデータを修正するデータ修正処理を行う(ステップS33)。冊子ICに対するデータ修正処理が終了すると、IC再書込部27は、当該冊子の冊子ICを閉塞する閉塞処理を行う(ステップS23)。冊子ICを閉塞すると、制御部20は、作成された冊子を正常集積庫28に排出し、上位端末13および入力端末12へ冊子の作成完了を通知する(ステップS24、S25)。
【0033】
次に、冊子作成機14における検査部26及びIC再書込部27の動作について説明する。
図5は、冊子作成機14における検査部26及びIC再書込部27による処理を説明するためのフローチャートである。
まず、パーソナル頁の券面に印刷が施された冊子が検査部26へ供給されたものとする。すると、検査部26は、印刷部25により印刷処理された冊子の券面をスキャナ26aによりスキャンする(ステップS51)。検査部26は、スキャナ26aにより冊子の券面から読み取った顔画像の印刷領域の画像において縦スジの有無をチェックする(ステップS52)。顔の縦スジが有ると判断した場合(ステップS52、NG)、検査部26は、当該冊子に印刷された顔画像にスジが有ることを制御部20へ通知する。顔画像に縦スジがあることが通知された場合、制御部20は、当該冊子を不良冊子として不良集積庫29へ排出し(ステップS59)、当該冊子の作成処理を終了する。
【0034】
顔の縦スジが無いと判断した場合(ステップS52、OK)、検査部26は、当該冊子に蛍光画像があるか否かをチェックする(ステップS53)。当該冊子に蛍光画像がないと判断した場合(ステップS53、NG)、検査部26は、当該冊子に蛍光画像が印刷されていない旨を制御部20へ通知する。蛍光画像の印刷不良の通知を受けた場合、制御部20は、当該冊子を不良冊子として不良集積庫29へ排出し(ステップS59)、当該冊子の作成処理を終了する。
【0035】
当該冊子に蛍光画像が有ると判断した場合(ステップS53、OK)、検査部26は、当該冊子の券面におけるMRZの印刷領域の読取画像に基づいてMRZのリードチェックを行う(ステップS54)。MRZのリードチェックにおいて、検査部26は、MRZの印刷領域の読取画像に対する文字認識結果に基づいて、MRZに印刷されるべき情報が所定のフォーマットで正しく印刷されているかをチェックする。券面のMRZに印刷されるべき情報が正しく印刷されていないと判断した場合(ステップS54、NG)、検査部26は、MRZの領域が正しく印刷されていない旨を制御部20へ通知する。MRZが正しく印刷されていない旨の通知を受けた場合、制御部20は、当該冊子を不良冊子として不良集積庫29へ排出し(ステップS59)、当該冊子の作成処理を終了する。
【0036】
当該冊子の券面のMRZに印刷されるべき情報が正しく印刷されていると判断した場合(ステップS54、OK)、検査部26は、当該冊子の冊子ICに書き込まれた情報が当該冊子の券面に実際に印刷された情報とが整合しているか否かをチェックするIC整合性チェックを行う(ステップS55)。
【0037】
冊子ICに書き込まれた情報と券面に実際に印刷された情報とが整合していると判定した場合(ステップS55、OK)、検査部26は、当該冊子において冊子ICに書き込んだ情報と券面に印刷した情報とが整合している旨を制御部20へ通知する。冊子ICに書き込んだ情報と券面に印刷した情報とが整合している旨の通知を受けた場合、制御部20は、IC再書込部27により当該冊子の冊子ICに対して閉塞処理を実施する(ステップS59)。閉塞処理は、冊子ICに書き込んだデータの書き換えを禁止する処理である。閉塞処理が完了すると、制御部20は、当該冊子の作成完了を上位端末13へ通知し(ステップS57)、当該冊子を正常に作成された冊子として、正常集積庫28に排出し(ステップS58)、当該冊子の作成処理を終了する。
【0038】
IC整合性チェックにより冊子ICに書き込まれた情報と券面に実際に印刷された情報とが整合していないと判定した場合(ステップS55、NG)、検査部26は、当該冊子において、冊子ICに書き込んだ情報と券面に印刷した情報とが整合していない旨を制御部20へ通知する。冊子ICに書き込んだ情報と券面に印刷した情報とが整合していない旨の通知を受けた場合、制御部20は、上位端末13に対して、当該冊子の冊子ICに書き込むべきデータの転送を要求するICデータ取得要求を送信する。制御部20は、ICデータ取得要求に対するICデータ取得応答として当該冊子の冊子ICに書き込むべき情報を上位端末13から取得する(ステップS60)。
【0039】
当該冊子の冊子ICに書き込むべき情報を取得すると、制御部20は、IC再書込部27により当該冊子の冊子ICに上位端末13から取得した情報を書き込むことにより、冊子ICが記憶するデータのデータ修正処理を行う(ステップS61)。このような冊子ICに記憶するデータの修正処理が正常に終了した場合(ステップS62、YES)、制御部20は、IC再書込部27により当該冊子の冊子ICに対して閉塞処理を実施する(ステップS56)。冊子ICに対する閉塞処理が正常に完了すると、制御部20は、当該冊子の作成完了を上位端末13へ通知し(ステップS57)、当該冊子を正常に作成された冊子として、正常集積庫28に排出し(ステップS58)、当該冊子の作成処理を終了する。
【0040】
また、書込み異常などにより冊子ICに記憶するデータの修正が正常に行えなかった場合(ステップS62、NO)、制御部20は、当該冊子を不良冊子として、不良集積庫29へ排出し(ステップS59)、当該冊子の作成処理を終了する。
【0041】
上記した処理によれば、冊子作成機は、券面に印刷した印刷内容のチェックだけでなく、冊子に内蔵したICチップに書き込んだ情報と券面に印刷した印刷内容との整合性をチェックするIC整合性チェックを行うようにしたものである。これにより、冊子作成機内におけるプログラムの不具合あるいはハードディスクの故障等によって冊子ICに誤った情報が書き込まれた状態で冊子の作成処理が終了することを防止でき、不良冊子が作成されることを少なくできる。この結果として、無駄な冊子が作成されることを低減でき、冊子作成機による冊子作成処理の信頼性を高めることができる。
【0042】
また、上記冊子作成機は、上記IC整合性チェックにより、オペレータには目視できないような冊子ICに書き込まれたデータをチェックする。このため、上記冊子作成機によれば、オペレータには確認できないような冊子IC内のデータ異常などの不要冊子を排除できる。さらには、上記冊子作成機は、1つの冊子の作成処理の途中での冊子ICに書き込むべきデータの修正が可能となる。このため、上記冊子作成機によれば、オペレータが冊子作成処理を開始するための操作をオペレータが最初から実行する必要はなくなり、効率的な作業を実現できる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
12…入力端末、13…上位端末、14…冊子作成機、20…制御部、21…供給部、23…IC書込部、24…転写前不良排出部、25…印刷部、26…検査部、26a…スキャナ、27…IC再書込部、28…正常集積庫、29…不良集積庫。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人用の冊子を作成する冊子作成機において、
初期状態の冊子に内蔵されたICチップに個人情報を含む情報を書き込むIC書込部と、
前記IC書込部により前記冊子に内蔵されたICチップに書き込んだ情報を含む印刷内容を当該冊子の券面に印刷する印刷部と、
前記IC書込部が前記冊子のICチップに書き込んだ情報と前記印刷部が前記冊子の券面に印刷した情報とが整合するか否かを検査する検査部と、
前記検査部により前記冊子の券面に印刷した情報と前記冊子のICチップに書き込んだ情報とが整合しないと判定した場合、前記冊子のICチップに書き込むべき情報を再度取得して前記ICチップに再書込みするIC再書込部と、
を具備することを特徴とする冊子作成機。
【請求項2】
前記検査部は、前記印刷部により印刷処理された前記冊子の券面における印刷領域に対して文字認識を行い、当該冊子のICチップに書き込んだ情報と同じ情報が文字認識結果に含まれるか否かにより、前記券面に印刷した情報と前記ICチップに書き込んだ情報とが整合するか否かを判定する、
ことを特徴とする前記請求項1に記載の冊子作成機。
【請求項3】
前記IC再書込部は、前記券面に印刷した情報と前記ICチップに書き込んだ情報とが整合すると判定された冊子、および、前記ICチップに再度取得した情報を再書込みした冊子に対して、前記ICチップを閉塞する閉塞処理を実行する、
ことを特徴とする前記請求項1又は2に何れかに記載の冊子作成機。
【請求項4】
個人用の冊子を作成する冊子作成方法であって、
初期状態の冊子に内蔵されたICチップに個人情報を含む情報を書き込み、
前記冊子に内蔵されたICチップに書き込んだ情報を含む印刷内容を当該冊子の券面に印刷し、
前記冊子のICチップに書き込んだ情報と前記冊子の券面に印刷した情報とが整合するか否かを確認し、
この確認により前記冊子の券面に印刷した情報と前記冊子のICチップに書き込んだ情報とが整合しないと判定された場合、当該冊子のICチップに書き込むべき情報を再度取得して前記ICチップに再書込みする、
ことを特徴とする冊子作成方法。
【請求項5】
さらに、印刷処理後の前記冊子の券面における印刷領域に対して文字認識を行い、
前記整合性の確認は、当該冊子のICチップに書き込んだ情報と同じ情報が文字認識結果に含まれるか否かにより、前記券面に印刷した情報と前記ICチップに書き込んだ情報とが整合するか否かを判定する、
ことを特徴とする前記請求項4に記載の冊子作成方法。
【請求項6】
さらに、前記券面に印刷した情報と前記ICチップに書き込んだ情報とが整合すると判定された冊子、および、前記ICチップに再度取得した情報を再書込みした冊子に対して、前記ICチップを閉塞する閉塞処理を実行する、
ことを特徴とする前記請求項4又は5に何れかに記載の冊子作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−69029(P2013−69029A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205785(P2011−205785)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】