冷媒配管用カバー
【課題】部品点数の増大を防ぎつつ、どのような材料からなる螺子を用いる場合であっても締め込み前の螺子の貫通穴からの脱落を防止することが可能な冷媒配管用カバーを提供する。
【解決手段】この冷媒配管用カバーは、互いに締結用螺子6で締結される第1構成部材2と第2構成部材4とを備え、それら2つの構成部材2,4間に通される冷媒配管100を覆う冷媒配管用カバーであって、第1構成部材2は、締結用螺子6がねじ込まれる螺子受け部20を有する一方、第2構成部材4は、螺子受け部20に対応する位置に設けられて締結用螺子6を挿通可能な貫通穴32iを有し、貫通穴32iの内面には、当該貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入方向において一部分に突起部32kが一体的に形成されている。
【解決手段】この冷媒配管用カバーは、互いに締結用螺子6で締結される第1構成部材2と第2構成部材4とを備え、それら2つの構成部材2,4間に通される冷媒配管100を覆う冷媒配管用カバーであって、第1構成部材2は、締結用螺子6がねじ込まれる螺子受け部20を有する一方、第2構成部材4は、螺子受け部20に対応する位置に設けられて締結用螺子6を挿通可能な貫通穴32iを有し、貫通穴32iの内面には、当該貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入方向において一部分に突起部32kが一体的に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒配管用カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エアコンの室内機と室外機との間で冷媒を流通させるための冷媒配管を覆う冷媒配管用カバーが知られている。この冷媒配管用カバーは、互いに嵌合する2つの構成部材を備えており、それら2つの構成部材の間に冷媒配管が通されるようになっている。そして、冷媒配管を冷媒配管用カバーに固定する際には、2つの構成部材の間に冷媒配管を挟んだ状態で、螺子で構成部材同士を締結する。この締結作業時には、作業者は、一方の構成部材に設けられた貫通穴に螺子を挿入しながら保持し、ドライバで螺子を締め込んでいく。しかし、作業者は、カバー、螺子、ドライバの3点を持つ必要があり、カバーの取り付け位置や作業者の作業姿勢等によっては、締め込む前の螺子をうまく保持できない場合や、手を滑らせて螺子を放してしまう場合がある。それらの場合には、螺子が脱落してしまう。
【0003】
そこで、下記の特許文献1には、そのような締め込み前の螺子を貫通穴に挿入された状態で保持して貫通穴からの螺子の脱落を防止することが可能な技術が開示されている。
【0004】
特許文献1に開示された技術は、ボルトの螺子部に脱落防止用のOリングを外嵌させることにより、ボルトを貫通穴に挿入した状態でOリングが貫通穴の内面に引っ掛かって締め込み前のボルトが貫通穴から脱落しないようにするものである。この技術をボルトの代わりに螺子に適用することによって締め込み前の螺子が貫通穴から脱落するのを防止することが考えられる。
【0005】
また、下記特許文献2には、螺子に着磁することにより、ドライバの先端に螺子を磁力でくっつけて螺子の脱落を防止する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−199513号公報
【特許文献2】特開2005−9536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の技術を用いて貫通穴からの締め込み前の螺子の脱落を防止しようとする場合には、別部材としてOリングが必要になるので、部品点数が増大するという問題がある。
【0008】
また、上記特許文献2の技術では、部品点数は増大しないものの、螺子の中には着磁できない金属からなるものもあり、そのような螺子を用いる場合には、螺子の脱落を防止することができない。
【0009】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、部品点数の増大を防ぎつつ、どのような材料からなる螺子を用いる場合であっても締め込み前の螺子の貫通穴からの脱落を防止することが可能な冷媒配管用カバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明による冷媒配管用カバーは、互いに螺子で締結される2つの構成部材を備え、それら2つの構成部材間に通される冷媒配管を覆う冷媒配管用カバーであって、前記2つの構成部材のうち一方の構成部材は、前記螺子がねじ込まれる螺子受け部を有する一方、他方の構成部材は、前記螺子受け部に対応する位置に設けられて前記螺子を挿通可能な貫通穴を有し、前記貫通穴の内面には、当該貫通穴に対する前記螺子の挿入方向において一部分に突起部が一体的に形成されている。
【0011】
この冷媒配管用カバーでは、前記他方の構成部材に設けられた貫通穴の内面に突起部が形成されているため、貫通穴に螺子を挿入すると螺子山が突起部に引っ掛かって保持される。このため、締め込み前の螺子の貫通穴からの脱落を防止することができる。しかも、突起部は、貫通穴の内面に一体的に形成されているため、貫通穴からの螺子の脱落を防止するために別部材を必要としない。また、貫通穴内で突起部によって螺子を保持することができるので、螺子がどのような材料によって形成されているかに係らず、貫通穴からの螺子の脱落を防止することができる。従って、この冷媒配管用カバーでは、部品点数の増大を防ぎつつ、どのような材料からなる螺子を用いる場合であっても締め込み前の螺子の貫通穴からの脱落を防止することができる。また、この冷媒配管用カバーでは、突起部は、貫通穴の内面のうち螺子の挿入方向において一部分に形成されているため、螺子の挿入方向において貫通穴の全体に突起部が形成されている場合に比べて、貫通穴への螺子の挿入抵抗が小さい。このため、貫通穴への螺子の挿入を容易に行うことができる。
【0012】
上記冷媒配管用カバーにおいて、前記突起部のうち少なくとも先端部の前記螺子の挿入方向における寸法は、前記螺子の螺子山間の間隔よりも小さいことが好ましい。
【0013】
このように突起部のうち少なくとも先端部の前記螺子の挿入方向における突起部の寸法が螺子山間の間隔よりも小さければ、螺子を貫通穴に挿入したときに少なくとも突起部の先端部が螺子山間に嵌り込むことが可能となるので、突起部に対して螺子山を引っ掛かりやすくすることができる。
【0014】
上記冷媒配管用カバーにおいて、前記突起部は、前記貫通穴の周方向に間隔をあけて複数設けられていることが好ましい。
【0015】
このように構成すれば、貫通穴の周方向に間隔をあけて複数設けられた突起部により、貫通穴に挿入した螺子をその周りの複数の位置から保持することができる。このため、貫通穴の内面の1箇所のみに設けられた突起部により螺子を保持する場合よりも貫通穴に挿入された螺子をより安定的に保持することができる。
【0016】
この場合において、前記突起部は、前記貫通穴の内面のうち互いに対向する箇所にそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0017】
このように構成すれば、螺子を貫通穴に挿入した際、突起部により螺子を互いに対向する箇所から挟み込むように保持することができる。このため、貫通穴からの螺子の脱落をより有効に防止することができる。
【0018】
さらにこの場合において、前記突起部は、前記貫通穴の内面のうち重力方向において対向する2箇所のみに設けられていることが好ましい。
【0019】
このように構成すれば、鉛直方向に延びる建物の壁面に冷媒配管用カバーを設置する場合において螺子を貫通穴に挿入した際、突起部により螺子を重力方向の上下から保持することができる。このため、突起部に引掛けられた螺子が傾くのを抑制でき、これにより、重力による貫通穴からの螺子の脱落をより有効に防止することができる。また、この構成では、貫通穴の内面に重力方向において対向する2箇所以外にも突起部が設けられている場合に比べて、貫通穴に対する螺子の挿入抵抗の増大を抑制できる。すなわち、この構成では、貫通穴に対する螺子の挿入抵抗があまりに大きくなるのを防ぎつつ、重力による貫通穴からの螺子の脱落を有効に防止することができる。
【0020】
上記冷媒配管用カバーにおいて、前記突起部は、前記螺子の挿入方向における前記貫通穴の中央位置よりも奥側の領域に配設されていることが好ましい。
【0021】
突起部が螺子の挿入方向における貫通穴の中央位置よりも手前側の領域に配設されている場合には、突起部から貫通穴の挿入口までの距離が小さくなるため、貫通穴に螺子を挿入して突起部に螺子山が引っ掛かったとしても螺子が貫通穴の内面でうまく支えられず、大きく倒れてしまいやすい。これに対して、本構成のように突起部が螺子の挿入方向における貫通穴の中央位置よりも奥側の領域に配設されていれば、突起部から貫通穴の挿入口までの距離が大きくなるので、貫通穴に螺子を挿入したときに突起部に引っ掛かった螺子山よりも螺子頭側の部分が貫通穴の内面で支えられて螺子が大きく倒れるのを防ぐことができる。従って、本構成では、貫通穴に挿入した締め込み前の螺子が大きく倒れるのを有効に防止することができる。また、本構成では、突起部が螺子の挿入方向における貫通穴の中央位置よりも奥側の領域に配設されていることによって、貫通穴に螺子を挿入して突起部に螺子が保持された状態で螺子頭と前記他方の構成部材のうち当該螺子頭に対向する面との間に残る距離を低減できる。すなわち、螺子が突起部によって保持された位置から締結完了までのねじ込み量が少なくなるので、締結作業の作業性を向上することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の冷媒配管用カバーによれば、部品点数の増大を防ぎつつ、どのような材料からなる螺子を用いる場合であっても締め込み前の螺子の貫通穴からの脱落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態による冷媒配管用カバーの分解斜視図である。
【図2】冷媒配管用カバーを構成する第1構成部材の正面図である。
【図3】図2に示した第1構成部材の側面図である。
【図4】図2に示した第1構成部材のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】冷媒配管用カバーを構成する第2構成部材の正面図である。
【図6】図5に示した第2構成部材の背面図である。
【図7】図5に示した第2構成部材のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】図5に示した第2構成部材のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【図9】図5に示した第2構成部材のIX−IX線に沿った断面のうち貫通穴近傍の部分を拡大して示す図である。
【図10】図6に示した第2構成部材のうち貫通穴近傍の部分を拡大して示す図である。
【図11】締結用螺子の挿入方向に沿った貫通穴の断面構造を示す断面図である。
【図12】本発明の一実施形態の変形例による冷媒配管用カバーの斜視図である。
【図13】貫通穴の一変形例による断面構造を示す上記図11に対応する断面図である。
【図14】貫通穴の他の変形例による断面構造を示す上記図11に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0025】
まず、図1〜図11を参照して、本発明の一実施形態による冷媒配管用カバーの構成について説明する。
【0026】
本実施形態による冷媒配管用カバーは、エアコンの室内機と室外機との間で冷媒を流通させるための冷媒配管100や配線102を覆うものであり、特に冷媒配管100及び配線102のうち建物の壁に設けられた孔に挿通されるとともに壁の外面に沿うように屈曲させられた屈曲部を覆うものである。
【0027】
具体的には、この冷媒配管用カバーは、図1に示すように第1構成部材2と、第2構成部材4と、2つの締結用螺子6とを備えている。
【0028】
第1構成部材2は、建物の壁面に対して固定される部材である。この第1構成部材2は、冷媒配管100及び配線102の屈曲部の内側に配設される。第1構成部材2は、樹脂製であり、基部12と、一対の側壁部14と、一対の螺子受け支持部16と、一対の係止部18と、一対の螺子受け部20とを有する。
【0029】
基部12は、その背面が建物の壁面に接触するように設置される略平板状の部分である。基部12の長手方向の一端部には、図2に示すように、円弧状に湾曲した縁部12aが形成されている。この縁部12aは、冷媒配管100及び配線102の屈曲部の内側面に対応するように配置される。また、基部12の中央部から長手方向の他端部寄りの位置には、固定用穴12cが設けられている。この固定用穴12cに図略の螺子が挿通されるとともに、その螺子が建物の壁に対してねじ込まれることによって、第1構成部材2が建物の壁面に固定される。
【0030】
また、基部12の中央部には、開口部12eとフック部12fが設けられている。フック部12fには、冷媒配管100及び配線102が図略の結束バンド等で結束される。これにより、冷媒配管100及び配線102を第1構成部材2に固定可能となっている。
【0031】
側壁部14は、基部12の幅方向の両端部からそれぞれ垂直に立ち上げられている。各側壁部14は、前記縁部12aが設けられた基部12の長手方向の一端部近傍に配置された第1側壁部14aと、その第1側壁部14aから基部12の長手方向の他端部側に離間して配置された第2側壁部14bとを備えている。
【0032】
螺子受け支持部16は、螺子受け部20を支持するための部分である。この螺子受け支持部16は、各第2側壁部14bのうち基部12の長手方向において前記固定用穴12cからわずかに前記他端部寄りの箇所にそれぞれ設けられている。各螺子受け支持部16は、図3に示すように、第2側壁部14bと連続して設けられており、幅の狭い平板状に形成されている。そして、各螺子受け支持部16は、第2側壁部14bのうち基部12と反対側の端縁から基部12に対して垂直な方向に延出されている。
【0033】
係止部18は、第2構成部材4の後述する被係止部36に係止する部分である。この係止部18は、基部12の長手方向において離間して配置された第1側壁部14aと第2側壁部14bとの間の領域に配設されている。係止部18は、基部12の幅方向の両端部の対応する位置にそれぞれ設けられている。各係止部18は、基部12の幅方向の端部から垂直に立設された立設部18aと、その立設部18aの先端部に設けられた掛部18bとを有する。掛部18bは、立設部18aの先端部から第1構成部材2の幅方向外側に突出しており、係止部18のうちこの掛部18bが第2構成部材4の後述する被係止部36に係止する。
【0034】
螺子受け部20は、締結用螺子6がねじ込まれる部分である。この螺子受け部20は、図2に示すように、第1構成部材2の幅方向において各螺子受け支持部16の内側の位置にそれぞれ設けられている。各螺子受け部20は、円柱状に形成されており、図4に示すように、対応する螺子受け支持部16に隣接した位置で基部12から垂直に立設されている。各螺子受け部20と対向する螺子受け支持部16及び第2側壁部14bの内側面とは、連結されている。これにより、螺子受け部20と螺子受け支持部16及び第2側壁部14bとが一体となって、それらの剛性が向上されている。螺子受け部20には、締結用螺子6がねじ込まれる穴部20aが当該螺子受け部20の軸方向に延びるように形成されている。
【0035】
第2構成部材4は、その長手方向において、第1構成部材2よりも大きな長さを有する。この第2構成部材4は、第1構成部材2に固定された冷媒配管100及び配線102の上に被せられ、その状態で第1構成部材2と嵌合される(図1参照)。従って、冷媒配管用カバーは、第1構成部材2と第2構成部材4との間に冷媒配管100及び配線102が通された状態で、それら冷媒配管100及び配線102を覆うようになっている。第2構成部材4は、第1構成部材2と同様の樹脂製であり、図5及び図6に示すように、本体部32と、鍔部34と、被係止部36と、係合部38とを有する。
【0036】
本体部32は、第2構成部材4の大部分を占めており、天壁部32aと、端部壁32bと、一対の側壁部32cと、一対の屈曲部32dとを有する。そして、この本体部32は、背面側と長手方向の一端部側が連続した1つの開口部として開口した湾曲形状に形成されている。
【0037】
天壁部32aは、第2構成部材4が第1構成部材2に被せられた状態で本体部32のうち基部12から最も離れた位置に位置するとともに基部12に対して略平行に配置される部分である。
【0038】
端部壁32bは、本体部32の長手方向において開口した側と反対側の端部に配設されている。本体部32の長手方向において開口した端部と反対側の端部は、この端部壁32bによって閉塞されている。端部壁32bは、図5及び図7に示すように、外側に膨らむ湾曲形状に形成されており、天壁部32aの長手方向の対応する端部から連続するように設けられている。この端部壁32bは、第2構成部材4が冷媒配管100及び配線102上に被せられて第1構成部材2に嵌合された状態で冷媒配管100及び配線102の屈曲部の外側に配置される。
【0039】
一対の側壁部32cは、図8に示すように、本体部32の幅方向における両端面、すなわち本体部32の両側面を構成する部分である。各側壁部32cは、天壁部32aに対して略垂直に配置されている。また、各側壁部32cは、端部壁32bの幅方向の対応する端部から連続するように設けられているとともに、天壁部32aの幅方向の対応する端部から屈曲部32dを介して連続するように設けられている。
【0040】
端部壁32b及び一対の側壁部32cのうち本体部32の背面側に位置する端縁によって、本体部32の背面側の開口部が形成されている。第2構成部材4は、この本体部32の背面側の開口部を形成する端縁が建物の壁面に当接するように第1構成部材2に被せられて嵌合する。そして、この嵌合時には、本体部32の各側壁部32cの内面が第1構成部材2の対応する側壁部14及び螺子受け支持部16の外面に接触する。前記鍔部34は、端部壁32b及び一対の側壁部32cのうち本体部32の背面側の開口部を形成する端部の外周に設けられている。
【0041】
また、天壁部32a、一対の屈曲部32d及び一対の側壁部32cのうち端部壁32bと反対側に位置する端縁によって、本体部32の長手方向の一端側の開口部(基部12に垂直な開口部)が形成されている。冷媒配管100及び配線102は、この本体部32の長手方向の一端側の開口部を通じて冷媒配管用カバー内から延出される。
【0042】
前記各屈曲部32dは、丸みを帯びた形状に形成されている。そして、前記両構成部材2,4同士が嵌合した状態で各屈曲部32dのうち第1構成部材2の螺子受け部20に対応する箇所には、凹部32g(図1及び図5参照)がそれぞれ形成されている。各凹部32g内の底部32hは、鍔部34に平行な平板状に形成されており、当該底部32hに貫通穴32iが設けられている。
【0043】
貫通穴32iは、締結用螺子6を挿通するためのものである。締結用螺子6は、第1構成部材2と第2構成部材4とを締結するためのタッピング螺子であり、本発明の螺子の概念に含まれるものである。この締結用螺子6は、螺子頭6aと、螺子山6bが形成され、先端部がテーパー状に尖った螺子部6cとを有する(図1参照)。この締結用螺子6として、第1構成部材2を建物の壁面に固定するための前記図略の螺子と同種の螺子を使用可能である。貫通穴32iは、前記両構成部材2,4同士が嵌合した状態で螺子受け部20の穴部20aに対応する位置に設けられている。詳細には、貫通穴32iは、両構成部材2,4同士が嵌合した状態で対応する穴部20aと同軸となる位置に設けられている。また、貫通穴32iは、いわゆる馬鹿穴になっており、締結用螺子6の螺子部6cの最外径(山径)よりも大きな内径を有する。
【0044】
そして、貫通穴32iの内面には、図9に示すように、当該貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入方向(貫通穴32iの軸方向)において一部分に突起部32kが一体的に形成されている。この突起部32kは、貫通穴32iに締結用螺子6が挿入されたときに螺子部6cの先端のテーパー部分の螺子山6bに引っ掛かって締結用螺子6を保持するものである。なお、突起部32kは、貫通穴32iの内面のうち締結用螺子6の挿入方向における一部分のみに部分的に設けられている。具体的には、突起部32kは、締結用螺子6の挿入方向における貫通穴32iの中央位置よりも奥側に配設されている。より詳細には、突起部32kは、締結用螺子6の挿入方向における貫通穴32iの奥側の端部に配設されている。
【0045】
また、突起部32kは、図10に示すように、貫通穴32iの内面に周方向に等間隔をあけて2つ設けられており、これら2つの突起部32kは、第2構成部材4の長手方向に間隔をおいて配置されている。換言すると、2つの突起部32kは、第2構成部材4の長手方向の両側から締結用螺子6の螺子部6cを挟み込む位置にそれぞれ配置されている。そして、各突起部32kは、第2構成部材4の長手方向が重力方向と一致するように第2構成部材4が配置された場合に、貫通穴32iの内面のうち重力方向において互いに対向する箇所にそれぞれ設けられている。本実施形態では、突起部32kは、貫通穴32iの内面のうち重力方向において互いに対向する2箇所のみに部分的に設けられている。2つの突起部32kは、貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入方向において同じ位置に配置されている(図11参照)。
【0046】
また、貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入方向における各突起部32kの断面は、矩形状となっている。各突起部32kのうち貫通穴32iの挿入口32m側の面(貫通穴32iへの締結用螺子6の挿入方向手前側の面)及び挿入口32mと反対側の面(貫通穴32iへの締結用螺子6の挿入方向奥側の面)は、貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入方向に対して垂直となっており、各突起部32kの先端面は、前記締結用螺子6の挿入方向に対して平行となっている。そして、貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入方向における各突起部32kの寸法は、当該突起部32kの基端部から先端部まで一定であり、当該寸法は締結用螺子6の螺子山6b間の間隔よりも小さくなっている。また、貫通穴32iの径方向における2つの突起部32kの端面間の距離は、締結用螺子6の螺子部6cの山径よりも小さく、かつ、螺子部6cの谷径よりも大きくなっている。
【0047】
被係止部36は、前記両構成部材2,4同士が嵌合するときに第1構成部材2の係止部18が係止する部分である。この被係止部36は、図6及び図7に示すように、本体部32の各側壁部32cの内面に突設された凸部からなる。この被係止部36には、係止部18の掛部18bが係止し、それによって、両構成部材2,4同士の嵌合状態が保持される。
【0048】
係合部38は、前記各凹部32gの底部32hの背面にそれぞれ設けられている。各係合部38は、前記両構成部材2,4同士が嵌合する際、対応する螺子受け部20の先端部と係合し、それによって第1構成部材2の螺子受け部20の穴部20aと第2構成部材4の貫通穴32iとが同軸上に揃うように位置決めするために設けられている。この係合部38は、図10に示すように2つの板部38aとガイド部38bとからなる。
【0049】
各板部38aは、平板状に形成されており、底部32hの背面のうち貫通穴32iを挟んで両側に分かれた位置に垂直に立設されている。底部32hの背面からの2つの板部38aの突出量は、等しくなっている。
【0050】
ガイド部38bは、図9に示すように、底部32hの背面から垂直に立設されているとともに、本体部32の幅方向における前記板部38aの内側の端部に接続されている。このガイド部38bは、螺子受け部20の先端部の外周面にフィットするように湾曲した板状に形成されている。また、ガイド部38bは、板部38aよりも前記底部32hの背面から大きく突出している。そして、2つの板部38aの前記底部32hと反対側の端面に螺子受け部20の先端面が当接するとともに、ガイド部38bのうち板部38aよりも突出した部分の湾曲の内側面が螺子受け部20の先端部の外周面に当接することにより、係合部38と螺子受け部20の先端部とが係合するようになっている。
【0051】
次に、本実施形態による冷媒配管用カバーを建物の壁面に固定するとともに当該冷媒配管用カバーに冷媒配管100及び配線102を固定する際の作業プロセスについて説明する。
【0052】
まず、冷媒配管100及び配線102のうち建物の壁の孔に挿通されて、その孔から突出した部分の重力方向下側に第1構成部材2を配置する。この際、重力方向において上側に縁部12aが位置するように第1構成部材2を配置する。その状態で螺子を固定用穴12cに挿入し、ドライバで螺子を建物の壁に対してねじ込むことにより第1構成部材2を壁面に固定する。
【0053】
その後、重力方向下側へ屈曲させた冷媒配管100及び配線102を結束バンド等によりフック部12fに結束する。
【0054】
次に、第2構成部材4の長手方向が重力方向に一致し、かつ、本体部32の端部壁32bが重力方向上側に配置された状態で、第2構成部材4を冷媒配管100及び配線102に被せるとともに第1構成部材2に嵌合させる。この際、第1構成部材2の各側壁部14及び各螺子受け支持部16の外面に第2構成部材4の対応する側壁部32cの内面が接触し、第1構成部材2の各係止部18の掛部18bが第2構成部材4の対応する被係止部36に係止し、さらに、第1構成部材2の螺子受け部20の先端部に第2構成部材4の係合部38が係合するように、第2構成部材4を第1構成部材2に嵌合させる。このように第2構成部材4を第1構成部材2に嵌合させることによって、第2構成部材4の背面側の開口部の一部が第1構成部材2によって塞がれる。このとき、第1構成部材2の縁部12aと第2構成部材4の端部壁32bとの間に間隙が残されており、冷媒配管100及び配線102はこの間隙を通っている。
【0055】
次に、各締結用螺子6を第2構成部材4の各貫通穴32iに挿入する。この際、作業者は、締結用螺子6をねじ込み方向に少し回転させながら貫通穴32iに挿入する。これにより、貫通穴32iの内面に設けられた2つの突起部32kが締結用螺子6の螺子部6cの先端部の螺子溝に嵌り込み、それによって螺子山6bが突起部32kに引っ掛かって締結用螺子6が保持される。なお、この段階では、締結用螺子6は、螺子受け部20の穴部20aまで届かなくてよい。このときの作業では、締結用螺子6を手探りで貫通穴32iに挿入して突起部32kに保持させればよいので、ラフな作業で済む。そして、突起部32kによって締結用螺子6が保持されることにより、締め込み前の締結用螺子6が貫通穴32iから抜け落ちるのが防止される。この状態で、締結用螺子6では、螺子頭6aがその重みで下がろうとするが、2つの突起部32kにより螺子部6cが重力方向において上下から支えられ、螺子頭6aが下がるのが抑制される。
【0056】
最後に、ドライバで各締結用螺子6をねじ込む。この際、螺子頭6aが前記底部32hに当接してそれ以上ねじ込むことができなくなる締結完了位置まで締結用螺子6を締め込む。これにより、第1構成部材2に対して第2構成部材4が締結される。
【0057】
このようにして、冷媒配管用カバーを建物の壁面に固定するとともにその冷媒配管用カバーに冷媒配管100及び配線102を固定する作業が行われる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態による冷媒配管用カバーでは、第2構成部材4に設けられた貫通穴32iの内面に突起部32kが形成されているため、貫通穴32iに締結用螺子6を挿入すると螺子部6cの先端部の螺子山6bが突起部32kに引っ掛かって保持される。このため、締め込み前の締結用螺子6の貫通穴32iからの脱落を防止することができる。しかも、突起部32kは、貫通穴32iの内面に一体的に形成されているため、貫通穴32iからの締結用螺子6の脱落を防止するために別部材を必要としない。また、貫通穴32i内で突起部32kによって締結用螺子6を保持することができるので、締結用螺子6がどのような材料によって形成されているかに係らず、貫通穴32iからの締結用螺子6の脱落を防止することができる。従って、本実施形態では、部品点数の増大を防ぎつつ、どのような材料からなる締結用螺子6を用いる場合であっても締め込み前の締結用螺子6の貫通穴32iからの脱落を防止することができる。
【0059】
また、本実施形態では、突起部32kは、貫通穴32iの内面のうち締結用螺子6の挿入方向において一部分に形成されているため、締結用螺子6の挿入方向において貫通穴32iの全体に突起部が形成されている場合に比べて、貫通穴32iへの締結用螺子6の挿入抵抗が小さい。このため、貫通穴32iへの締結用螺子6の挿入を容易に行うことができる。
【0060】
また、本実施形態では、貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入方向における突起部32kの寸法は、締結用螺子6の螺子山6b間の間隔よりも小さい。このため、締結用螺子6を貫通穴32iに挿入したときに突起部32kが螺子山6b間に嵌り込むことが可能となるので、突起部32kに対して螺子山6bを引っ掛かりやすくすることができる。
【0061】
また、本実施形態では、2つの突起部32kが貫通穴32iの周方向に間隔をあけて設けられているため、それらの突起部32kにより貫通穴32iに挿入した締結用螺子6をその周りの2箇所から保持することができる。このため、貫通穴の内面の1箇所のみに設けられた突起部により締結用螺子6を保持する場合よりも貫通穴32iに挿入された締結用螺子6をより安定的に保持することができる。
【0062】
また、本実施形態では、突起部32kは、貫通穴32iの内面のうち互いに対向する箇所にそれぞれ設けられているため、締結用螺子6を貫通穴32iに挿入した際、突起部32kにより締結用螺子6を互いに対向する箇所から挟み込むように保持することができる。このため、貫通穴32iからの締結用螺子6の脱落をより有効に防止することができる。
【0063】
また、本実施形態では、突起部32kは、貫通穴32iの内面のうち重力方向において対向する2箇所のみに設けられている。このため、締結用螺子6を貫通穴32iに挿入した際、2つの突起部32kにより締結用螺子6を重力方向の上下から保持することができる。このため、重力による貫通穴32iからの締結用螺子6の脱落をより有効に防止することができる。また、本実施形態では、貫通穴32iの内面に重力方向において対向する2箇所以外にも突起部が設けられている場合に比べて、貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入抵抗の増大を抑制できる。すなわち、本実施形態では、貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入抵抗があまりに大きくなるのを防ぎつつ、重力による貫通穴32iからの締結用螺子6の脱落を有効に防止することができる。
【0064】
また、本実施形態では、突起部32kは、締結用螺子6の挿入方向における貫通穴32iの中央位置よりも奥側の領域に配設されている。このため、突起部32kから貫通穴32iの挿入口32mまでの距離が大きくなるので、貫通穴32iに締結用螺子6を挿入したときに突起部32kに引っ掛かった螺子山6bよりも螺子頭6a側に位置する螺子部6cの部分が貫通穴32iの内面で支えられて締結用螺子6が大きく倒れるのを防ぐことができる。従って、本実施形態では、貫通穴32iに挿入した締め込み前の締結用螺子6が大きく倒れるのを有効に防止することができる。
【0065】
また、本実施形態では、突起部32kが締結用螺子6の挿入方向における貫通穴32iの中央位置よりも奥側の領域に配設されていることによって、貫通穴32iに締結用螺子6を挿入して突起部32kに締結用螺子6が保持された状態で螺子頭6aと第2構成部材4の底部32hのうち当該螺子頭6aに対向する面との間に残る距離を低減できる。すなわち、本実施形態では、締結用螺子6が突起部32kによって保持された位置から締結完了までのねじ込み量が少なくなるので、締結作業の作業性を向上することができる。
【0066】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0067】
例えば、上記貫通穴32iの内面に突起部32kを設ける構成は、建物の壁面から突出した冷媒配管100及び配線102の屈曲部を覆う冷媒配管用カバー以外の種々の冷媒配管用カバーにも適用可能である。
【0068】
具体的には、図12に示すようなエルボー形の冷媒配管用カバーにおいて上記貫通穴32iの内面に突起部32kを設ける構成を適用してもよい。このエルボー形の冷媒配管用カバーは、建物の壁面等に沿って設置される冷媒配管の屈曲部を覆うものである。このエルボー形の冷媒配管用カバーは、共に略L形の第1構成部材42と第2構成部材44とを備えている。そして、両構成部材42,44を締結することによって略L形で筒状の冷媒配管用カバーが構成されるようになっている。
【0069】
第1構成部材42には、そのL形の屈曲形状の内側面を構成する側壁部42aに隣接した1箇所と、屈曲形状の外側面を構成する側壁部42bに隣接した2箇所とに上記実施形態と同様の螺子受け部(図示せず)がそれぞれ設けられている。第2構成部材44には、第1構成部材42の各螺子受け部に対応する位置に凹部52gがそれぞれ設けられているとともに、各凹部52gの底部52hに貫通穴52iがそれぞれ形成されている。そして、各貫通穴52iの内面に上記実施形態と同様の突起部が設けられている。
【0070】
また、このようなエルボー形以外の各種形状の冷媒配管用カバーでも、上記貫通穴の内面に設ける突起部の構成を適用することができる。
【0071】
また、冷媒配管用カバーは、冷媒配管100のみを覆うものであってもよい。
【0072】
また、冷媒配管用カバーは、その長手方向が重力方向と異なる方向に配置された状態で設置されるものであってもよい。
【0073】
また、冷媒配管用カバーの第1構成部材と第2構成部材は、互いに嵌合するように構成されていなくてもよい。
【0074】
また、突起部32kのうち貫通穴32iの挿入口32m側の面を当該突起部32kの先端側へ向かうにつれて貫通穴32iの奥側へ向かうように傾斜するテーパー面としてもよい。この場合の一例として、突起部32kを貫通穴32iへの締結用螺子6の挿入方向に沿った断面が三角形となるように形成してもよい。この場合には、締結用螺子6を貫通穴32iに挿入する際、突起部32kのテーパー面が締結用螺子6の螺子部6cを案内し、それによって締結用螺子6を貫通穴32iと同軸となる位置へより挿入しやすくなる。
【0075】
また、図13に示すように、2つの突起部32kを貫通穴32iへの締結用螺子6の挿入方向において互いにずらして配置してもよい。この場合において、2つの突起部32kは、締結用螺子6を貫通穴32iに挿入してその貫通穴32iと締結用螺子6が同軸に配置された状態で共に螺子溝に嵌り込むことが可能な位置に配置されていることが好ましい。すなわち、2つの突起部32kは、貫通穴32iへの締結用螺子6の挿入方向において締結用螺子6の螺子ピッチの半ピッチ分だけずれるように配置されていることが好ましい。このように構成すれば、締結用螺子6の螺子部6cを2つの突起部32kで保持した状態で、締結用螺子6を貫通穴32iと同軸となる姿勢で保持することができる。その結果、貫通穴32iに挿入した締め込み前の締結用螺子6が傾くのを防止することができ、その締結用螺子6を螺子受け部20の穴部20aへねじ込む際に容易にまっすぐにねじ込むことが可能となる。
【0076】
また、この場合のさらなる変形例として、図14に示すように、貫通穴32iへの締結用螺子6の挿入方向において互いにずらして配置した2つの突起部32kを貫通穴32iの内面に対して傾斜させて配置してもよい。具体的には、各突起部32kを先端側(貫通穴32iの径方向内側)に向かうにつれて貫通穴32iの奥側に向かうように傾斜した姿勢で貫通穴32iの内面に設けてもよい。このように構成すれば、上記した締め込み前の締結用螺子6の傾きを防止する効果に加えて、各突起部32kのうち貫通穴32iの挿入口32m側のテーパー面で締結用螺子6の螺子部6cを案内して締結用螺子6を貫通穴32iと同軸となる位置へ挿入しやすくすることができるという効果をも得ることができる。
【0077】
また、突起部の個数、形状、貫通穴の内面における突起部の設置位置は、上記したものに限定されない。
【0078】
例えば、突起部は、貫通穴の内面に1つのみ設けられていてもよく、また、3つ以上設けられていてもよい。
【0079】
また、突起部のうち少なくともその先端部が締結用螺子の貫通穴への挿入方向において螺子山間の間隔よりも小さければよく、突起部の基端部側の前記挿入方向における寸法は螺子山間の間隔以上であってもよい。
【0080】
また、締結用螺子の貫通穴への挿入方向における突起部の寸法は、螺子山間の間隔以上であってもよい。
【0081】
また、突起部は、上記実施形態で示したものよりも貫通穴の周方向に幅広に形成されていてもよい。
【0082】
また、2つの突起部は、重力方向において互いに対向する位置に設けられていなくてもよい。すなわち、2つの突起部は、重力方向と異なる方向において互いに対向する位置に配置されていてもよい。
【0083】
また、長手方向が横向きになるように設置される冷媒配管用カバーに対しては、2つの突起部を冷媒配管用カバーの長手方向と異なる方向において対向するように配設してもよい。これにより、冷媒配管用カバーの長手方向が重力方向と異なる横向きに配置されていても、2つの突起部は重力方向に対向させることが可能となる。
【0084】
また、2つの突起部は、貫通穴の内面において互いに対向していない位置にそれぞれ配置されていてもよい。
【0085】
また、突起部は、締結用螺子の挿入方向における貫通穴の中央位置から手前側の領域に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0086】
2、42 第1構成部材(一方の構成部材)
4、44 第2構成部材(他方の構成部材)
6 締結用螺子(螺子)
6b 螺子山
20 螺子受け部
32i、52i 貫通穴
32k 突起部
100 冷媒配管
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒配管用カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エアコンの室内機と室外機との間で冷媒を流通させるための冷媒配管を覆う冷媒配管用カバーが知られている。この冷媒配管用カバーは、互いに嵌合する2つの構成部材を備えており、それら2つの構成部材の間に冷媒配管が通されるようになっている。そして、冷媒配管を冷媒配管用カバーに固定する際には、2つの構成部材の間に冷媒配管を挟んだ状態で、螺子で構成部材同士を締結する。この締結作業時には、作業者は、一方の構成部材に設けられた貫通穴に螺子を挿入しながら保持し、ドライバで螺子を締め込んでいく。しかし、作業者は、カバー、螺子、ドライバの3点を持つ必要があり、カバーの取り付け位置や作業者の作業姿勢等によっては、締め込む前の螺子をうまく保持できない場合や、手を滑らせて螺子を放してしまう場合がある。それらの場合には、螺子が脱落してしまう。
【0003】
そこで、下記の特許文献1には、そのような締め込み前の螺子を貫通穴に挿入された状態で保持して貫通穴からの螺子の脱落を防止することが可能な技術が開示されている。
【0004】
特許文献1に開示された技術は、ボルトの螺子部に脱落防止用のOリングを外嵌させることにより、ボルトを貫通穴に挿入した状態でOリングが貫通穴の内面に引っ掛かって締め込み前のボルトが貫通穴から脱落しないようにするものである。この技術をボルトの代わりに螺子に適用することによって締め込み前の螺子が貫通穴から脱落するのを防止することが考えられる。
【0005】
また、下記特許文献2には、螺子に着磁することにより、ドライバの先端に螺子を磁力でくっつけて螺子の脱落を防止する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−199513号公報
【特許文献2】特開2005−9536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の技術を用いて貫通穴からの締め込み前の螺子の脱落を防止しようとする場合には、別部材としてOリングが必要になるので、部品点数が増大するという問題がある。
【0008】
また、上記特許文献2の技術では、部品点数は増大しないものの、螺子の中には着磁できない金属からなるものもあり、そのような螺子を用いる場合には、螺子の脱落を防止することができない。
【0009】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、部品点数の増大を防ぎつつ、どのような材料からなる螺子を用いる場合であっても締め込み前の螺子の貫通穴からの脱落を防止することが可能な冷媒配管用カバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明による冷媒配管用カバーは、互いに螺子で締結される2つの構成部材を備え、それら2つの構成部材間に通される冷媒配管を覆う冷媒配管用カバーであって、前記2つの構成部材のうち一方の構成部材は、前記螺子がねじ込まれる螺子受け部を有する一方、他方の構成部材は、前記螺子受け部に対応する位置に設けられて前記螺子を挿通可能な貫通穴を有し、前記貫通穴の内面には、当該貫通穴に対する前記螺子の挿入方向において一部分に突起部が一体的に形成されている。
【0011】
この冷媒配管用カバーでは、前記他方の構成部材に設けられた貫通穴の内面に突起部が形成されているため、貫通穴に螺子を挿入すると螺子山が突起部に引っ掛かって保持される。このため、締め込み前の螺子の貫通穴からの脱落を防止することができる。しかも、突起部は、貫通穴の内面に一体的に形成されているため、貫通穴からの螺子の脱落を防止するために別部材を必要としない。また、貫通穴内で突起部によって螺子を保持することができるので、螺子がどのような材料によって形成されているかに係らず、貫通穴からの螺子の脱落を防止することができる。従って、この冷媒配管用カバーでは、部品点数の増大を防ぎつつ、どのような材料からなる螺子を用いる場合であっても締め込み前の螺子の貫通穴からの脱落を防止することができる。また、この冷媒配管用カバーでは、突起部は、貫通穴の内面のうち螺子の挿入方向において一部分に形成されているため、螺子の挿入方向において貫通穴の全体に突起部が形成されている場合に比べて、貫通穴への螺子の挿入抵抗が小さい。このため、貫通穴への螺子の挿入を容易に行うことができる。
【0012】
上記冷媒配管用カバーにおいて、前記突起部のうち少なくとも先端部の前記螺子の挿入方向における寸法は、前記螺子の螺子山間の間隔よりも小さいことが好ましい。
【0013】
このように突起部のうち少なくとも先端部の前記螺子の挿入方向における突起部の寸法が螺子山間の間隔よりも小さければ、螺子を貫通穴に挿入したときに少なくとも突起部の先端部が螺子山間に嵌り込むことが可能となるので、突起部に対して螺子山を引っ掛かりやすくすることができる。
【0014】
上記冷媒配管用カバーにおいて、前記突起部は、前記貫通穴の周方向に間隔をあけて複数設けられていることが好ましい。
【0015】
このように構成すれば、貫通穴の周方向に間隔をあけて複数設けられた突起部により、貫通穴に挿入した螺子をその周りの複数の位置から保持することができる。このため、貫通穴の内面の1箇所のみに設けられた突起部により螺子を保持する場合よりも貫通穴に挿入された螺子をより安定的に保持することができる。
【0016】
この場合において、前記突起部は、前記貫通穴の内面のうち互いに対向する箇所にそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0017】
このように構成すれば、螺子を貫通穴に挿入した際、突起部により螺子を互いに対向する箇所から挟み込むように保持することができる。このため、貫通穴からの螺子の脱落をより有効に防止することができる。
【0018】
さらにこの場合において、前記突起部は、前記貫通穴の内面のうち重力方向において対向する2箇所のみに設けられていることが好ましい。
【0019】
このように構成すれば、鉛直方向に延びる建物の壁面に冷媒配管用カバーを設置する場合において螺子を貫通穴に挿入した際、突起部により螺子を重力方向の上下から保持することができる。このため、突起部に引掛けられた螺子が傾くのを抑制でき、これにより、重力による貫通穴からの螺子の脱落をより有効に防止することができる。また、この構成では、貫通穴の内面に重力方向において対向する2箇所以外にも突起部が設けられている場合に比べて、貫通穴に対する螺子の挿入抵抗の増大を抑制できる。すなわち、この構成では、貫通穴に対する螺子の挿入抵抗があまりに大きくなるのを防ぎつつ、重力による貫通穴からの螺子の脱落を有効に防止することができる。
【0020】
上記冷媒配管用カバーにおいて、前記突起部は、前記螺子の挿入方向における前記貫通穴の中央位置よりも奥側の領域に配設されていることが好ましい。
【0021】
突起部が螺子の挿入方向における貫通穴の中央位置よりも手前側の領域に配設されている場合には、突起部から貫通穴の挿入口までの距離が小さくなるため、貫通穴に螺子を挿入して突起部に螺子山が引っ掛かったとしても螺子が貫通穴の内面でうまく支えられず、大きく倒れてしまいやすい。これに対して、本構成のように突起部が螺子の挿入方向における貫通穴の中央位置よりも奥側の領域に配設されていれば、突起部から貫通穴の挿入口までの距離が大きくなるので、貫通穴に螺子を挿入したときに突起部に引っ掛かった螺子山よりも螺子頭側の部分が貫通穴の内面で支えられて螺子が大きく倒れるのを防ぐことができる。従って、本構成では、貫通穴に挿入した締め込み前の螺子が大きく倒れるのを有効に防止することができる。また、本構成では、突起部が螺子の挿入方向における貫通穴の中央位置よりも奥側の領域に配設されていることによって、貫通穴に螺子を挿入して突起部に螺子が保持された状態で螺子頭と前記他方の構成部材のうち当該螺子頭に対向する面との間に残る距離を低減できる。すなわち、螺子が突起部によって保持された位置から締結完了までのねじ込み量が少なくなるので、締結作業の作業性を向上することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の冷媒配管用カバーによれば、部品点数の増大を防ぎつつ、どのような材料からなる螺子を用いる場合であっても締め込み前の螺子の貫通穴からの脱落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態による冷媒配管用カバーの分解斜視図である。
【図2】冷媒配管用カバーを構成する第1構成部材の正面図である。
【図3】図2に示した第1構成部材の側面図である。
【図4】図2に示した第1構成部材のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】冷媒配管用カバーを構成する第2構成部材の正面図である。
【図6】図5に示した第2構成部材の背面図である。
【図7】図5に示した第2構成部材のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】図5に示した第2構成部材のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【図9】図5に示した第2構成部材のIX−IX線に沿った断面のうち貫通穴近傍の部分を拡大して示す図である。
【図10】図6に示した第2構成部材のうち貫通穴近傍の部分を拡大して示す図である。
【図11】締結用螺子の挿入方向に沿った貫通穴の断面構造を示す断面図である。
【図12】本発明の一実施形態の変形例による冷媒配管用カバーの斜視図である。
【図13】貫通穴の一変形例による断面構造を示す上記図11に対応する断面図である。
【図14】貫通穴の他の変形例による断面構造を示す上記図11に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0025】
まず、図1〜図11を参照して、本発明の一実施形態による冷媒配管用カバーの構成について説明する。
【0026】
本実施形態による冷媒配管用カバーは、エアコンの室内機と室外機との間で冷媒を流通させるための冷媒配管100や配線102を覆うものであり、特に冷媒配管100及び配線102のうち建物の壁に設けられた孔に挿通されるとともに壁の外面に沿うように屈曲させられた屈曲部を覆うものである。
【0027】
具体的には、この冷媒配管用カバーは、図1に示すように第1構成部材2と、第2構成部材4と、2つの締結用螺子6とを備えている。
【0028】
第1構成部材2は、建物の壁面に対して固定される部材である。この第1構成部材2は、冷媒配管100及び配線102の屈曲部の内側に配設される。第1構成部材2は、樹脂製であり、基部12と、一対の側壁部14と、一対の螺子受け支持部16と、一対の係止部18と、一対の螺子受け部20とを有する。
【0029】
基部12は、その背面が建物の壁面に接触するように設置される略平板状の部分である。基部12の長手方向の一端部には、図2に示すように、円弧状に湾曲した縁部12aが形成されている。この縁部12aは、冷媒配管100及び配線102の屈曲部の内側面に対応するように配置される。また、基部12の中央部から長手方向の他端部寄りの位置には、固定用穴12cが設けられている。この固定用穴12cに図略の螺子が挿通されるとともに、その螺子が建物の壁に対してねじ込まれることによって、第1構成部材2が建物の壁面に固定される。
【0030】
また、基部12の中央部には、開口部12eとフック部12fが設けられている。フック部12fには、冷媒配管100及び配線102が図略の結束バンド等で結束される。これにより、冷媒配管100及び配線102を第1構成部材2に固定可能となっている。
【0031】
側壁部14は、基部12の幅方向の両端部からそれぞれ垂直に立ち上げられている。各側壁部14は、前記縁部12aが設けられた基部12の長手方向の一端部近傍に配置された第1側壁部14aと、その第1側壁部14aから基部12の長手方向の他端部側に離間して配置された第2側壁部14bとを備えている。
【0032】
螺子受け支持部16は、螺子受け部20を支持するための部分である。この螺子受け支持部16は、各第2側壁部14bのうち基部12の長手方向において前記固定用穴12cからわずかに前記他端部寄りの箇所にそれぞれ設けられている。各螺子受け支持部16は、図3に示すように、第2側壁部14bと連続して設けられており、幅の狭い平板状に形成されている。そして、各螺子受け支持部16は、第2側壁部14bのうち基部12と反対側の端縁から基部12に対して垂直な方向に延出されている。
【0033】
係止部18は、第2構成部材4の後述する被係止部36に係止する部分である。この係止部18は、基部12の長手方向において離間して配置された第1側壁部14aと第2側壁部14bとの間の領域に配設されている。係止部18は、基部12の幅方向の両端部の対応する位置にそれぞれ設けられている。各係止部18は、基部12の幅方向の端部から垂直に立設された立設部18aと、その立設部18aの先端部に設けられた掛部18bとを有する。掛部18bは、立設部18aの先端部から第1構成部材2の幅方向外側に突出しており、係止部18のうちこの掛部18bが第2構成部材4の後述する被係止部36に係止する。
【0034】
螺子受け部20は、締結用螺子6がねじ込まれる部分である。この螺子受け部20は、図2に示すように、第1構成部材2の幅方向において各螺子受け支持部16の内側の位置にそれぞれ設けられている。各螺子受け部20は、円柱状に形成されており、図4に示すように、対応する螺子受け支持部16に隣接した位置で基部12から垂直に立設されている。各螺子受け部20と対向する螺子受け支持部16及び第2側壁部14bの内側面とは、連結されている。これにより、螺子受け部20と螺子受け支持部16及び第2側壁部14bとが一体となって、それらの剛性が向上されている。螺子受け部20には、締結用螺子6がねじ込まれる穴部20aが当該螺子受け部20の軸方向に延びるように形成されている。
【0035】
第2構成部材4は、その長手方向において、第1構成部材2よりも大きな長さを有する。この第2構成部材4は、第1構成部材2に固定された冷媒配管100及び配線102の上に被せられ、その状態で第1構成部材2と嵌合される(図1参照)。従って、冷媒配管用カバーは、第1構成部材2と第2構成部材4との間に冷媒配管100及び配線102が通された状態で、それら冷媒配管100及び配線102を覆うようになっている。第2構成部材4は、第1構成部材2と同様の樹脂製であり、図5及び図6に示すように、本体部32と、鍔部34と、被係止部36と、係合部38とを有する。
【0036】
本体部32は、第2構成部材4の大部分を占めており、天壁部32aと、端部壁32bと、一対の側壁部32cと、一対の屈曲部32dとを有する。そして、この本体部32は、背面側と長手方向の一端部側が連続した1つの開口部として開口した湾曲形状に形成されている。
【0037】
天壁部32aは、第2構成部材4が第1構成部材2に被せられた状態で本体部32のうち基部12から最も離れた位置に位置するとともに基部12に対して略平行に配置される部分である。
【0038】
端部壁32bは、本体部32の長手方向において開口した側と反対側の端部に配設されている。本体部32の長手方向において開口した端部と反対側の端部は、この端部壁32bによって閉塞されている。端部壁32bは、図5及び図7に示すように、外側に膨らむ湾曲形状に形成されており、天壁部32aの長手方向の対応する端部から連続するように設けられている。この端部壁32bは、第2構成部材4が冷媒配管100及び配線102上に被せられて第1構成部材2に嵌合された状態で冷媒配管100及び配線102の屈曲部の外側に配置される。
【0039】
一対の側壁部32cは、図8に示すように、本体部32の幅方向における両端面、すなわち本体部32の両側面を構成する部分である。各側壁部32cは、天壁部32aに対して略垂直に配置されている。また、各側壁部32cは、端部壁32bの幅方向の対応する端部から連続するように設けられているとともに、天壁部32aの幅方向の対応する端部から屈曲部32dを介して連続するように設けられている。
【0040】
端部壁32b及び一対の側壁部32cのうち本体部32の背面側に位置する端縁によって、本体部32の背面側の開口部が形成されている。第2構成部材4は、この本体部32の背面側の開口部を形成する端縁が建物の壁面に当接するように第1構成部材2に被せられて嵌合する。そして、この嵌合時には、本体部32の各側壁部32cの内面が第1構成部材2の対応する側壁部14及び螺子受け支持部16の外面に接触する。前記鍔部34は、端部壁32b及び一対の側壁部32cのうち本体部32の背面側の開口部を形成する端部の外周に設けられている。
【0041】
また、天壁部32a、一対の屈曲部32d及び一対の側壁部32cのうち端部壁32bと反対側に位置する端縁によって、本体部32の長手方向の一端側の開口部(基部12に垂直な開口部)が形成されている。冷媒配管100及び配線102は、この本体部32の長手方向の一端側の開口部を通じて冷媒配管用カバー内から延出される。
【0042】
前記各屈曲部32dは、丸みを帯びた形状に形成されている。そして、前記両構成部材2,4同士が嵌合した状態で各屈曲部32dのうち第1構成部材2の螺子受け部20に対応する箇所には、凹部32g(図1及び図5参照)がそれぞれ形成されている。各凹部32g内の底部32hは、鍔部34に平行な平板状に形成されており、当該底部32hに貫通穴32iが設けられている。
【0043】
貫通穴32iは、締結用螺子6を挿通するためのものである。締結用螺子6は、第1構成部材2と第2構成部材4とを締結するためのタッピング螺子であり、本発明の螺子の概念に含まれるものである。この締結用螺子6は、螺子頭6aと、螺子山6bが形成され、先端部がテーパー状に尖った螺子部6cとを有する(図1参照)。この締結用螺子6として、第1構成部材2を建物の壁面に固定するための前記図略の螺子と同種の螺子を使用可能である。貫通穴32iは、前記両構成部材2,4同士が嵌合した状態で螺子受け部20の穴部20aに対応する位置に設けられている。詳細には、貫通穴32iは、両構成部材2,4同士が嵌合した状態で対応する穴部20aと同軸となる位置に設けられている。また、貫通穴32iは、いわゆる馬鹿穴になっており、締結用螺子6の螺子部6cの最外径(山径)よりも大きな内径を有する。
【0044】
そして、貫通穴32iの内面には、図9に示すように、当該貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入方向(貫通穴32iの軸方向)において一部分に突起部32kが一体的に形成されている。この突起部32kは、貫通穴32iに締結用螺子6が挿入されたときに螺子部6cの先端のテーパー部分の螺子山6bに引っ掛かって締結用螺子6を保持するものである。なお、突起部32kは、貫通穴32iの内面のうち締結用螺子6の挿入方向における一部分のみに部分的に設けられている。具体的には、突起部32kは、締結用螺子6の挿入方向における貫通穴32iの中央位置よりも奥側に配設されている。より詳細には、突起部32kは、締結用螺子6の挿入方向における貫通穴32iの奥側の端部に配設されている。
【0045】
また、突起部32kは、図10に示すように、貫通穴32iの内面に周方向に等間隔をあけて2つ設けられており、これら2つの突起部32kは、第2構成部材4の長手方向に間隔をおいて配置されている。換言すると、2つの突起部32kは、第2構成部材4の長手方向の両側から締結用螺子6の螺子部6cを挟み込む位置にそれぞれ配置されている。そして、各突起部32kは、第2構成部材4の長手方向が重力方向と一致するように第2構成部材4が配置された場合に、貫通穴32iの内面のうち重力方向において互いに対向する箇所にそれぞれ設けられている。本実施形態では、突起部32kは、貫通穴32iの内面のうち重力方向において互いに対向する2箇所のみに部分的に設けられている。2つの突起部32kは、貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入方向において同じ位置に配置されている(図11参照)。
【0046】
また、貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入方向における各突起部32kの断面は、矩形状となっている。各突起部32kのうち貫通穴32iの挿入口32m側の面(貫通穴32iへの締結用螺子6の挿入方向手前側の面)及び挿入口32mと反対側の面(貫通穴32iへの締結用螺子6の挿入方向奥側の面)は、貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入方向に対して垂直となっており、各突起部32kの先端面は、前記締結用螺子6の挿入方向に対して平行となっている。そして、貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入方向における各突起部32kの寸法は、当該突起部32kの基端部から先端部まで一定であり、当該寸法は締結用螺子6の螺子山6b間の間隔よりも小さくなっている。また、貫通穴32iの径方向における2つの突起部32kの端面間の距離は、締結用螺子6の螺子部6cの山径よりも小さく、かつ、螺子部6cの谷径よりも大きくなっている。
【0047】
被係止部36は、前記両構成部材2,4同士が嵌合するときに第1構成部材2の係止部18が係止する部分である。この被係止部36は、図6及び図7に示すように、本体部32の各側壁部32cの内面に突設された凸部からなる。この被係止部36には、係止部18の掛部18bが係止し、それによって、両構成部材2,4同士の嵌合状態が保持される。
【0048】
係合部38は、前記各凹部32gの底部32hの背面にそれぞれ設けられている。各係合部38は、前記両構成部材2,4同士が嵌合する際、対応する螺子受け部20の先端部と係合し、それによって第1構成部材2の螺子受け部20の穴部20aと第2構成部材4の貫通穴32iとが同軸上に揃うように位置決めするために設けられている。この係合部38は、図10に示すように2つの板部38aとガイド部38bとからなる。
【0049】
各板部38aは、平板状に形成されており、底部32hの背面のうち貫通穴32iを挟んで両側に分かれた位置に垂直に立設されている。底部32hの背面からの2つの板部38aの突出量は、等しくなっている。
【0050】
ガイド部38bは、図9に示すように、底部32hの背面から垂直に立設されているとともに、本体部32の幅方向における前記板部38aの内側の端部に接続されている。このガイド部38bは、螺子受け部20の先端部の外周面にフィットするように湾曲した板状に形成されている。また、ガイド部38bは、板部38aよりも前記底部32hの背面から大きく突出している。そして、2つの板部38aの前記底部32hと反対側の端面に螺子受け部20の先端面が当接するとともに、ガイド部38bのうち板部38aよりも突出した部分の湾曲の内側面が螺子受け部20の先端部の外周面に当接することにより、係合部38と螺子受け部20の先端部とが係合するようになっている。
【0051】
次に、本実施形態による冷媒配管用カバーを建物の壁面に固定するとともに当該冷媒配管用カバーに冷媒配管100及び配線102を固定する際の作業プロセスについて説明する。
【0052】
まず、冷媒配管100及び配線102のうち建物の壁の孔に挿通されて、その孔から突出した部分の重力方向下側に第1構成部材2を配置する。この際、重力方向において上側に縁部12aが位置するように第1構成部材2を配置する。その状態で螺子を固定用穴12cに挿入し、ドライバで螺子を建物の壁に対してねじ込むことにより第1構成部材2を壁面に固定する。
【0053】
その後、重力方向下側へ屈曲させた冷媒配管100及び配線102を結束バンド等によりフック部12fに結束する。
【0054】
次に、第2構成部材4の長手方向が重力方向に一致し、かつ、本体部32の端部壁32bが重力方向上側に配置された状態で、第2構成部材4を冷媒配管100及び配線102に被せるとともに第1構成部材2に嵌合させる。この際、第1構成部材2の各側壁部14及び各螺子受け支持部16の外面に第2構成部材4の対応する側壁部32cの内面が接触し、第1構成部材2の各係止部18の掛部18bが第2構成部材4の対応する被係止部36に係止し、さらに、第1構成部材2の螺子受け部20の先端部に第2構成部材4の係合部38が係合するように、第2構成部材4を第1構成部材2に嵌合させる。このように第2構成部材4を第1構成部材2に嵌合させることによって、第2構成部材4の背面側の開口部の一部が第1構成部材2によって塞がれる。このとき、第1構成部材2の縁部12aと第2構成部材4の端部壁32bとの間に間隙が残されており、冷媒配管100及び配線102はこの間隙を通っている。
【0055】
次に、各締結用螺子6を第2構成部材4の各貫通穴32iに挿入する。この際、作業者は、締結用螺子6をねじ込み方向に少し回転させながら貫通穴32iに挿入する。これにより、貫通穴32iの内面に設けられた2つの突起部32kが締結用螺子6の螺子部6cの先端部の螺子溝に嵌り込み、それによって螺子山6bが突起部32kに引っ掛かって締結用螺子6が保持される。なお、この段階では、締結用螺子6は、螺子受け部20の穴部20aまで届かなくてよい。このときの作業では、締結用螺子6を手探りで貫通穴32iに挿入して突起部32kに保持させればよいので、ラフな作業で済む。そして、突起部32kによって締結用螺子6が保持されることにより、締め込み前の締結用螺子6が貫通穴32iから抜け落ちるのが防止される。この状態で、締結用螺子6では、螺子頭6aがその重みで下がろうとするが、2つの突起部32kにより螺子部6cが重力方向において上下から支えられ、螺子頭6aが下がるのが抑制される。
【0056】
最後に、ドライバで各締結用螺子6をねじ込む。この際、螺子頭6aが前記底部32hに当接してそれ以上ねじ込むことができなくなる締結完了位置まで締結用螺子6を締め込む。これにより、第1構成部材2に対して第2構成部材4が締結される。
【0057】
このようにして、冷媒配管用カバーを建物の壁面に固定するとともにその冷媒配管用カバーに冷媒配管100及び配線102を固定する作業が行われる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態による冷媒配管用カバーでは、第2構成部材4に設けられた貫通穴32iの内面に突起部32kが形成されているため、貫通穴32iに締結用螺子6を挿入すると螺子部6cの先端部の螺子山6bが突起部32kに引っ掛かって保持される。このため、締め込み前の締結用螺子6の貫通穴32iからの脱落を防止することができる。しかも、突起部32kは、貫通穴32iの内面に一体的に形成されているため、貫通穴32iからの締結用螺子6の脱落を防止するために別部材を必要としない。また、貫通穴32i内で突起部32kによって締結用螺子6を保持することができるので、締結用螺子6がどのような材料によって形成されているかに係らず、貫通穴32iからの締結用螺子6の脱落を防止することができる。従って、本実施形態では、部品点数の増大を防ぎつつ、どのような材料からなる締結用螺子6を用いる場合であっても締め込み前の締結用螺子6の貫通穴32iからの脱落を防止することができる。
【0059】
また、本実施形態では、突起部32kは、貫通穴32iの内面のうち締結用螺子6の挿入方向において一部分に形成されているため、締結用螺子6の挿入方向において貫通穴32iの全体に突起部が形成されている場合に比べて、貫通穴32iへの締結用螺子6の挿入抵抗が小さい。このため、貫通穴32iへの締結用螺子6の挿入を容易に行うことができる。
【0060】
また、本実施形態では、貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入方向における突起部32kの寸法は、締結用螺子6の螺子山6b間の間隔よりも小さい。このため、締結用螺子6を貫通穴32iに挿入したときに突起部32kが螺子山6b間に嵌り込むことが可能となるので、突起部32kに対して螺子山6bを引っ掛かりやすくすることができる。
【0061】
また、本実施形態では、2つの突起部32kが貫通穴32iの周方向に間隔をあけて設けられているため、それらの突起部32kにより貫通穴32iに挿入した締結用螺子6をその周りの2箇所から保持することができる。このため、貫通穴の内面の1箇所のみに設けられた突起部により締結用螺子6を保持する場合よりも貫通穴32iに挿入された締結用螺子6をより安定的に保持することができる。
【0062】
また、本実施形態では、突起部32kは、貫通穴32iの内面のうち互いに対向する箇所にそれぞれ設けられているため、締結用螺子6を貫通穴32iに挿入した際、突起部32kにより締結用螺子6を互いに対向する箇所から挟み込むように保持することができる。このため、貫通穴32iからの締結用螺子6の脱落をより有効に防止することができる。
【0063】
また、本実施形態では、突起部32kは、貫通穴32iの内面のうち重力方向において対向する2箇所のみに設けられている。このため、締結用螺子6を貫通穴32iに挿入した際、2つの突起部32kにより締結用螺子6を重力方向の上下から保持することができる。このため、重力による貫通穴32iからの締結用螺子6の脱落をより有効に防止することができる。また、本実施形態では、貫通穴32iの内面に重力方向において対向する2箇所以外にも突起部が設けられている場合に比べて、貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入抵抗の増大を抑制できる。すなわち、本実施形態では、貫通穴32iに対する締結用螺子6の挿入抵抗があまりに大きくなるのを防ぎつつ、重力による貫通穴32iからの締結用螺子6の脱落を有効に防止することができる。
【0064】
また、本実施形態では、突起部32kは、締結用螺子6の挿入方向における貫通穴32iの中央位置よりも奥側の領域に配設されている。このため、突起部32kから貫通穴32iの挿入口32mまでの距離が大きくなるので、貫通穴32iに締結用螺子6を挿入したときに突起部32kに引っ掛かった螺子山6bよりも螺子頭6a側に位置する螺子部6cの部分が貫通穴32iの内面で支えられて締結用螺子6が大きく倒れるのを防ぐことができる。従って、本実施形態では、貫通穴32iに挿入した締め込み前の締結用螺子6が大きく倒れるのを有効に防止することができる。
【0065】
また、本実施形態では、突起部32kが締結用螺子6の挿入方向における貫通穴32iの中央位置よりも奥側の領域に配設されていることによって、貫通穴32iに締結用螺子6を挿入して突起部32kに締結用螺子6が保持された状態で螺子頭6aと第2構成部材4の底部32hのうち当該螺子頭6aに対向する面との間に残る距離を低減できる。すなわち、本実施形態では、締結用螺子6が突起部32kによって保持された位置から締結完了までのねじ込み量が少なくなるので、締結作業の作業性を向上することができる。
【0066】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0067】
例えば、上記貫通穴32iの内面に突起部32kを設ける構成は、建物の壁面から突出した冷媒配管100及び配線102の屈曲部を覆う冷媒配管用カバー以外の種々の冷媒配管用カバーにも適用可能である。
【0068】
具体的には、図12に示すようなエルボー形の冷媒配管用カバーにおいて上記貫通穴32iの内面に突起部32kを設ける構成を適用してもよい。このエルボー形の冷媒配管用カバーは、建物の壁面等に沿って設置される冷媒配管の屈曲部を覆うものである。このエルボー形の冷媒配管用カバーは、共に略L形の第1構成部材42と第2構成部材44とを備えている。そして、両構成部材42,44を締結することによって略L形で筒状の冷媒配管用カバーが構成されるようになっている。
【0069】
第1構成部材42には、そのL形の屈曲形状の内側面を構成する側壁部42aに隣接した1箇所と、屈曲形状の外側面を構成する側壁部42bに隣接した2箇所とに上記実施形態と同様の螺子受け部(図示せず)がそれぞれ設けられている。第2構成部材44には、第1構成部材42の各螺子受け部に対応する位置に凹部52gがそれぞれ設けられているとともに、各凹部52gの底部52hに貫通穴52iがそれぞれ形成されている。そして、各貫通穴52iの内面に上記実施形態と同様の突起部が設けられている。
【0070】
また、このようなエルボー形以外の各種形状の冷媒配管用カバーでも、上記貫通穴の内面に設ける突起部の構成を適用することができる。
【0071】
また、冷媒配管用カバーは、冷媒配管100のみを覆うものであってもよい。
【0072】
また、冷媒配管用カバーは、その長手方向が重力方向と異なる方向に配置された状態で設置されるものであってもよい。
【0073】
また、冷媒配管用カバーの第1構成部材と第2構成部材は、互いに嵌合するように構成されていなくてもよい。
【0074】
また、突起部32kのうち貫通穴32iの挿入口32m側の面を当該突起部32kの先端側へ向かうにつれて貫通穴32iの奥側へ向かうように傾斜するテーパー面としてもよい。この場合の一例として、突起部32kを貫通穴32iへの締結用螺子6の挿入方向に沿った断面が三角形となるように形成してもよい。この場合には、締結用螺子6を貫通穴32iに挿入する際、突起部32kのテーパー面が締結用螺子6の螺子部6cを案内し、それによって締結用螺子6を貫通穴32iと同軸となる位置へより挿入しやすくなる。
【0075】
また、図13に示すように、2つの突起部32kを貫通穴32iへの締結用螺子6の挿入方向において互いにずらして配置してもよい。この場合において、2つの突起部32kは、締結用螺子6を貫通穴32iに挿入してその貫通穴32iと締結用螺子6が同軸に配置された状態で共に螺子溝に嵌り込むことが可能な位置に配置されていることが好ましい。すなわち、2つの突起部32kは、貫通穴32iへの締結用螺子6の挿入方向において締結用螺子6の螺子ピッチの半ピッチ分だけずれるように配置されていることが好ましい。このように構成すれば、締結用螺子6の螺子部6cを2つの突起部32kで保持した状態で、締結用螺子6を貫通穴32iと同軸となる姿勢で保持することができる。その結果、貫通穴32iに挿入した締め込み前の締結用螺子6が傾くのを防止することができ、その締結用螺子6を螺子受け部20の穴部20aへねじ込む際に容易にまっすぐにねじ込むことが可能となる。
【0076】
また、この場合のさらなる変形例として、図14に示すように、貫通穴32iへの締結用螺子6の挿入方向において互いにずらして配置した2つの突起部32kを貫通穴32iの内面に対して傾斜させて配置してもよい。具体的には、各突起部32kを先端側(貫通穴32iの径方向内側)に向かうにつれて貫通穴32iの奥側に向かうように傾斜した姿勢で貫通穴32iの内面に設けてもよい。このように構成すれば、上記した締め込み前の締結用螺子6の傾きを防止する効果に加えて、各突起部32kのうち貫通穴32iの挿入口32m側のテーパー面で締結用螺子6の螺子部6cを案内して締結用螺子6を貫通穴32iと同軸となる位置へ挿入しやすくすることができるという効果をも得ることができる。
【0077】
また、突起部の個数、形状、貫通穴の内面における突起部の設置位置は、上記したものに限定されない。
【0078】
例えば、突起部は、貫通穴の内面に1つのみ設けられていてもよく、また、3つ以上設けられていてもよい。
【0079】
また、突起部のうち少なくともその先端部が締結用螺子の貫通穴への挿入方向において螺子山間の間隔よりも小さければよく、突起部の基端部側の前記挿入方向における寸法は螺子山間の間隔以上であってもよい。
【0080】
また、締結用螺子の貫通穴への挿入方向における突起部の寸法は、螺子山間の間隔以上であってもよい。
【0081】
また、突起部は、上記実施形態で示したものよりも貫通穴の周方向に幅広に形成されていてもよい。
【0082】
また、2つの突起部は、重力方向において互いに対向する位置に設けられていなくてもよい。すなわち、2つの突起部は、重力方向と異なる方向において互いに対向する位置に配置されていてもよい。
【0083】
また、長手方向が横向きになるように設置される冷媒配管用カバーに対しては、2つの突起部を冷媒配管用カバーの長手方向と異なる方向において対向するように配設してもよい。これにより、冷媒配管用カバーの長手方向が重力方向と異なる横向きに配置されていても、2つの突起部は重力方向に対向させることが可能となる。
【0084】
また、2つの突起部は、貫通穴の内面において互いに対向していない位置にそれぞれ配置されていてもよい。
【0085】
また、突起部は、締結用螺子の挿入方向における貫通穴の中央位置から手前側の領域に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0086】
2、42 第1構成部材(一方の構成部材)
4、44 第2構成部材(他方の構成部材)
6 締結用螺子(螺子)
6b 螺子山
20 螺子受け部
32i、52i 貫通穴
32k 突起部
100 冷媒配管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに螺子で締結される2つの構成部材を備え、それら2つの構成部材間に通される冷媒配管を覆う冷媒配管用カバーであって、
前記2つの構成部材のうち一方の構成部材は、前記螺子がねじ込まれる螺子受け部を有する一方、他方の構成部材は、前記螺子受け部に対応する位置に設けられて前記螺子を挿通可能な貫通穴を有し、
前記貫通穴の内面には、当該貫通穴に対する前記螺子の挿入方向において一部分に突起部が一体的に形成されている、冷媒配管用カバー。
【請求項2】
前記突起部のうち少なくとも先端部の前記螺子の挿入方向における寸法は、前記螺子の螺子山間の間隔よりも小さい、請求項1に記載の冷媒配管用カバー。
【請求項3】
前記突起部は、前記貫通穴の周方向に間隔をあけて複数設けられている、請求項1又は2に記載の冷媒配管用カバー。
【請求項4】
前記突起部は、前記貫通穴の内面のうち互いに対向する箇所にそれぞれ設けられている、請求項3に記載の冷媒配管用カバー。
【請求項5】
前記突起部は、前記貫通穴の内面のうち重力方向において対向する2箇所のみに設けられている、請求項4に記載の冷媒配管用カバー。
【請求項6】
前記突起部は、前記螺子の挿入方向における前記貫通穴の中央位置よりも奥側の領域に配設されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷媒配管用カバー。
【請求項1】
互いに螺子で締結される2つの構成部材を備え、それら2つの構成部材間に通される冷媒配管を覆う冷媒配管用カバーであって、
前記2つの構成部材のうち一方の構成部材は、前記螺子がねじ込まれる螺子受け部を有する一方、他方の構成部材は、前記螺子受け部に対応する位置に設けられて前記螺子を挿通可能な貫通穴を有し、
前記貫通穴の内面には、当該貫通穴に対する前記螺子の挿入方向において一部分に突起部が一体的に形成されている、冷媒配管用カバー。
【請求項2】
前記突起部のうち少なくとも先端部の前記螺子の挿入方向における寸法は、前記螺子の螺子山間の間隔よりも小さい、請求項1に記載の冷媒配管用カバー。
【請求項3】
前記突起部は、前記貫通穴の周方向に間隔をあけて複数設けられている、請求項1又は2に記載の冷媒配管用カバー。
【請求項4】
前記突起部は、前記貫通穴の内面のうち互いに対向する箇所にそれぞれ設けられている、請求項3に記載の冷媒配管用カバー。
【請求項5】
前記突起部は、前記貫通穴の内面のうち重力方向において対向する2箇所のみに設けられている、請求項4に記載の冷媒配管用カバー。
【請求項6】
前記突起部は、前記螺子の挿入方向における前記貫通穴の中央位置よりも奥側の領域に配設されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷媒配管用カバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−43186(P2011−43186A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190322(P2009−190322)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【出願人】(393024717)オーケー器材株式会社 (58)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【出願人】(393024717)オーケー器材株式会社 (58)
【Fターム(参考)】
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