説明

分析システム、装置、及びそのためのカートリッジ

【課題】1つのサンプルで、少なくとも2つの異なる技法を使って少なくとも2つの異なる検体を検出又は量化するためのシステム、装置、カートリッジ、方法及びキットを提供する。
【解決手段】カートリッジは、少なくとも2つの試験部位を備えており、少なくとも1つの試験部位の位置は、対応する測定装置に依存していない。システムは、概括的には、装置、メモリ、及び処理モジュールを備えている。装置は、光源、アレイ検出器、及びカートリッジの少なくとも一部分を受け入れるように構成されているポートを備えている。処理モジュールは、カートリッジの画像分析を実行するように構成されている。本方法は、補正情報を取得する段階と、カートリッジの画像を取得する段階と、画像分析を実行する段階と、試験部位が必要とする技法に対応する特定の検出又は定量化技法を繰り返す段階とから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的には、複数の検体の検出及び定量化の分野に、より具体的には、2つ以上の測定技法と、1つのサンプルと、1つの装置を使った複数の検体の検出及び/又は定量化に関する。
【背景技術】
【0002】
現在は、特定の検出又は定量化技法を使って特定の検体を検出又は定量化することが広く行われている。例えば、酵素分析法、免疫学的測定法、化学比色分析法、蛍光標識及び測定法、化学発光標識及び測定法、電子化学発光標識及び測定法は、様々な検体の存在を検出するのに用いられる代表的な周知の分析技法の一例である。これらの技法の多くは、試験ストリップ又はカートリッジで実行される。
【0003】
試験ストリップは、通常、ストリップの周りの様々な位置に配置されている試験するための特定の区域又は部位を有している。これらのストリップの内の幾つかには、1つの検体に対して複数の試験を行うための、又は複数の検体を同時に試験するための、一列の試験区域が含まれている。使用される具体的な検出又は定量化技法次第で、試験ストリップは、個別の測定装置と組み合わせて使用されることもされないこともある。例えば、定量的光学検出が必要な場合は、試験ストリップ又はカートリッジの結果を読み取るのに追加の測定装置が必要になる。これは、例えば、観察することのできる試験ストリップ自体の変色が試験の結果を示す、大部分の店頭販売の妊娠テストに用いられているような定性的な視覚的分析の場合とは異なる。多分、個別の装置と組み合わせて使用される最も良く知られている試験ストリップの例は、例えば、グルコース計と組み合わせて使用されるグルコース試験ストリップである。
【0004】
しかしながら、追加の測定装置を試験ストリップと共に使用するか否かに関係なく、異なる検出技法と定量化技法は、通常、一体に組み合せることはない。これは、一部には、各技法が固有の感度、頑強性、及び許容値を有しているためである。更に、各技法は、通常、固有の物理的及び化学的要件を有している。更に、試験部位読み取り区域の物理的な位置は、対応する測定装置が試験結果を読み取れるようにするため、固定され、又は事前に決められている場合が多い。これは、測定装置内の光学構成要素が固定された位置にあり、従って、読み取り区域は、読み取りを行えるように光学構成要素に対応する位置に固定されるためである(例えば、大部分の光学的に読み取られるグルコースの試験ストリップでは一般的)。
【0005】
更に、1つの検体に最適な試験条件を得るのに必要な試験サンプルの希釈係数と検出システムは、第2の検体に必要な希釈係数及び検出システムとは適合しないことが多い。従って、両方の検体を試験するために、ユーザーは、別々の試験ストリップで使用するために複数のサンプルを患者から取るか、或いは、1つの大きなサンプルを抽出して複数のサンプルに分け、複数のサンプルを別々の試験ストリップ用の別々のサンプルとして使用できるようにしなければならない。複数のサンプル又は1つの大きなサンプルを抜き取る必要があるということは、患者には、不都合なだけでなく、例えば、サンプルが血液で、静脈注射又は複数の指のランセット切開(lances)で抜き取る場合には痛みを伴う。
【0006】
従って、複数の検出又は定量化技法が必要であるか又は望ましい場合に、1つのカートリッジで複数の試験を行うことは、これまでは制限されてきた。実際、異なる技法を使用することが必要であるか又は望ましい場合、ユーザーは、試験結果を得るために、時には複数の業者からの、複数の器具を使用することも多い。ユーザーが医師又は検査室の技師である場合、これらの装置は、高い価値の作業台空間の有効性を混乱させ低下させることになりかねない。
【0007】
更に、市販されている分析装置は、1つの検体を測定するか、又は複数の検体を測定できる場合には大きなサンプルサイズを必要とするか、の何れかに限定されている。例えば、DCA2000システム(Bayer社診断局、ニューヨーク州タリタウン)は、少量(1μL)の血液サンプルを使ってヘモグロビンAlc(「HbAlc」)を測定することができるが、少量を使って1つのカートリッジで1つの検体を検出できるにすぎない。1つのカートリッジ試験につき1つの検体である。DCA2000が、2つ以上の検体を1つのカートリッジで検出できるように作られている場合、必要なサンプルの量はもっと多くなる。例えば、マイクロアルブミンとクレアチニンを検出する試験は、40μLの尿のサンプルが必要である。同様に、Care Chemistry and Electrolyte SystemのPiccolo point(Abaxis社、カリフォルニア州ユニオンシティー)は、一枚のパネルを、約12回まで試験に使用することができるが、血液、血漿、又は血清サンプルを100μL必要とする。
【0008】
一般的に、市販の分析装置は、ユーザーには意識されない方式でソフトウェアを更新する(例えば、分析の改良又はメニューの拡張)ことができない点でも制限されている。更に、ポイントオブケア医療用途に設計された装置の中には、自動品質管理(「QC」)検査を実施するものもあるが、多くの装置は、正確な性能を保証するために、サンプルを手動で制御することをユーザーに求める。ユーザーは、更に、新たな分析などのためのソフトウェア又はデータを手動でアップロードするように求められる。これらの操作は、ユーザーが、QC試験要件と器具の保守の知識に関し、多くの潜在的なユーザーが喜んで習得するか習得できる程度以上に、精通していることを必要とする。更に、自動更新能力を備えていない装置は、新たな試験、アルゴリズム及び手順が開発される度に、旧式のものを調整せざるを得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、2つ以上の検出又は定量化技法を使って1つのサンプルで複数の試験を実行することのできるシステム、装置、及びカートリッジを有することが望ましい。更に、少量のサンプルでこれらのことを実行することのできるカートリッジ及び装置を提供することが望ましい。更に、自動QC検査、更新、及びデータ保存を提供する装置を有することが望ましい。
【0010】
ここに引用している全ての特許、発行物、雑誌、記事、及び他の関連文献は、その全体を、参考文献として個々に援用すると言及したものとして、ここに援用する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
少なくとも2つの異なる検体を、少なくとも2つの異なる技法を使って、1つのサンプルで検出及び/又は定量化するためのシステム、装置、カートリッジ、及びキットをここに説明する。2つの異なる検体を少なくとも2つの異なる技法を使って検出するための方法についても説明する。概括的には、ここに説明するカートリッジは、少なくとも2つの異なる検体を検出及び定量化するための少なくとも2つの試験部位を備えており、少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するための少なくとも2つの異なる技法を使用するように構成されている。少なくとも1つの試験部位読み取り区域の正確な位置は、対応する測定装置に左右されない。
【0012】
カートリッジは、少なくとも一部分が多孔質ではない底部層と、サンプル分配層と、少なくとも2つの試験部位読み取り区域を有する少なくとも2つの試験部位と、を備えている。試験部位は、通常、サンプル分配層に埋め込まれているか、又はそれに隣接しており、2つの異なる技法を使って少なくとも2つの検体を検出するように構成されている。先に述べたように、少なくとも1つの試験部位読み取り区域の位置は、対応する測定装置に左右されない。
【0013】
或る変形例では、サンプル分配層は多孔質材料を備えており、別の変形例では、サンプル分配層は開放チャネル毛管層を備えている。カートリッジは、赤血球分離層を、単独又は保持層と組み合わせて含んでいてもよい。保持層は、底部層、サンプル分配層、試験部位、及び何らかの追加の随意層と、一体に接着するように構成されている。
【0014】
或る変形例では、カートリッジは、少なくとも3つの試験部位読み取り区域を備えている。他の変形例では、カートリッジは、少なくとも4つ、5つ、又は6つの試験部位読み取り区域を備えている。少なくとも1つの試験部位は、治療、病気、機能不全、又は慢性疾患に固有の検体を検出又は定量化するように構成されている。同様に、少なくとも1つの試験部位は、濫用物質、薬物又はその副産物、環境性の有毒又は汚染物質、或いは生物学的又は化学的抗血液凝固剤である検体を検出又は定量化するように構成されている。各試験部位は、高さが同じでも異なっていてもよい。同様に、幾つかの試験部位の高さが同じで、同じカートリッジの別の試験部位の高さが異なっていてもよい。自明のように、1つの試験カートリッジにおいて、高さが混じっていることも有り得る。
【0015】
カートリッジは、更に、バーコード、機械的パターン、マイクロチップ、又は印刷パターンの様な固有の識別子タグを備えている。カートリッジは、密閉性であるが開放可能な耐水パッケージで包装してもよい。或る変形例では、カートリッジは、約20μL又はそれ未満のサンプル量を受け入れるように構成されており、また或る変形例では、サンプルは、血液全般、血漿、血清、汗、唾液、涙、間質液、髄液、眼球流体、膿、乳、精液、羊水、膣液、粘液質分泌物、及び尿の様な体液である。
【0016】
少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するためのシステムも提供されている。概括的には、本システムは、装置、メモリ、及び処理モジュールを備えている。装置は、少なくとも2つの試験部位読み取り区域を有する、カートリッジの少なくとも一部分を受け入れるように作られたポートと、光源と、アレイ検出器と、を備えている。装置は、更に、カートリッジの電子化学試験と通信するための電気的接点を有している。処理モジュールは、アレイ検出器からの信号を受信し、カートリッジの画像分析を実行して、試験部位読み取り区域の位置と、正確で厳密な判断をするための画像の最適部分とを識別するように構成されている。システムは、少なくとも2つの異なる検出又は定量化技法を使って、少なくとも2つの検体の検出又は定量化を行えるようにする。これらの検出又は定量化技法は、酵素分析法、特定結合分析法、免疫学的測定法、核酸雑種形成分析、蛍光標識法、化学発光標識法、電子化学発光標識法、蛍光測定法、化学発光測定法、電子化学発光測定法、反射率測定法、透過率測定法、吸収率測定法、濁度測定法、電気化学法、及びその組み合わせから成るグループから独立して選択される。これらの検出技法の好適な位置は、固定されておらず、各カートリッジの試験の組み合わせの機能に合わせて最適となるように独立して選択される。
【0017】
処理モジュールも、例えば、失効カートリッジ、不適切なサンプル量、不可能な検体値、試薬の機能不全、機械的機能不全、電子的機能不全、及びそれらの混合の様なエラー状態を判断できるように構成されている。同様に、処理モジュールは、自動的にアップグレードできるようになっている。更に、システムは、カートリッジ上の固有の識別子タグを読み取るように構成されており、自己補正する。システムは、更に、サーバー接続配線、不揮発性メモリ、コンピューター、又はそれらの混合物を備えている。ソフトウェアのアップグレード、新しい試験のソフトウェアアルゴリズム、特定のロット補正情報、特定のロット失効情報、及び、関連のソフトウェアとデータを自動的に得るためのシステム、装置及び方法も提供されている。
【0018】
少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するためのキットについても、ここに記載している。概括的には、キットは、随意のインストラクション付き又は無しの、カートリッジを備えている。或る変形例では、キットは、直ぐ上に述べたシステムと、カートリッジとを備えている。キットのカートリッジは、カートリッジの少なくとも一部分が装置のポートから突き出るように構成されている。この突出部分は、赤血球分離器、固有の識別子タグ、又はその混合物を備えている。カートリッジは、使い捨てであってもよい。
【0019】
少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するための装置も、ここに提供されており、通常は、少なくとも1つの試験部位読み取り区域を有する、カートリッジの少なくとも一部分を受け入れるように構成されているポートと、光源と、アレイ検出器と、メモリと、処理モジュールと、を備えている。処理モジュールは、アレイ検出器から信号を受信し、カートリッジの画像分析を実施して、試験部位読み取り区域の位置を識別する。装置は、少なくとも2つの異なる検出又は定量化技法を使って、少なくとも2つの検体の検出又は定量化を行えるようにする。
【0020】
光源は、少なくとも1つの発光ダイオード(「LED」)、白熱ランプ、又はフィルターホイール付き又は無しの広範囲な波長を発する他の放射エネルギー源、又はそれらの組み合わせ、を備えている。アレイ検出器は、通常、電荷結合デバイス(「CCD」)又は相補型金属酸化物半導体(「CMOS」)技術を備えている。処理モジュールは、先に述べた様なエラー状態を判定するように構成されている。装置は、カートリッジ上の固有の識別子タグを読み取るように構成されている。装置は、更に、偏光光学部品、バックアップ電源、不揮発性メモリ、及びそれらの組み合わせ、を含んでいる。或る変形例では、装置は、約0.0283立方メートル以上の体積を占有することはない。
【0021】
カートリッジの画像分析を実行するためのコードを含んでいるコンピューター読み取り可能媒体についても、ここに記載されている。概説すると、カートリッジは、少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するための少なくとも2つの試験部位読み取り区域を有しており、少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するために少なくとも2つの異なる技法を使用するように構成されている。画像分析は、少なくとも1つの試験部位読み取り区域の位置を識別する。コンピューターの読み取り可能媒体は、或る変形例ではファームウェアであり、別の変形例ではソフトウェアである。
【0022】
更に、少なくとも2つの異なる検出又は定量化技法を使って1つのカートリッジで少なくとも2つの異なる検体の有無を検出し、又は定量化するための方法も記載されている。概括的には、本方法は、通常、少なくとも2つの試験部位読み取り区域を有するカートリッジの補正情報を取得する段階と、アレイ検出器を使ってカートリッジの画像を取得する段階と、カートリッジの画像分析を実行して少なくとも1つの試験部位読み取り区域の位置を識別する段階と、試験部位に必要な検出又は定量化技法に相当する特定の検出又は定量化技法を繰り返す段階と、から成り、少なくとも2つの異なる技法が用いられている方法である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1Aと図1Bは、ここに記載の適したシステム及び装置の例示的概略図である。
【図2A】図2Aは、例示的カートリッジ構成を示す分解図である。
【図2B】図2Bは、例示的カートリッジ構成を示す分解図である。
【図2C】図2Cは、それぞれ負及び正のフォトレジスト技法で使用されるマスク又はレチクルを示している。
【図2D】図2Dは、それぞれ負及び正のフォトレジスト技法で使用されるマスク又はレチクルを示している。
【図3】図3A−図3Fは、代表的なサンプル分配層の構成を示している。
【図3G】図3Gは、代表的なサンプル分配層の構成を示している。
【図4】図4Aは、対応する装置のポートから突き出るように構成された部分を有するサンプル分配層を示しており、前記部分はサンプル回収ポートを備えている。図4Bは、対応する装置のポートから突き出るように構成された部分を有するサンプル分配層を示しており、前記部分は、全体を通して均一に混合された赤血球分離器を有するサンプル回収ポートを備えている。図4Cは、対応する装置のポートから突き出るように構成された部分を有するサンプル分配層を示しており、前記サンプル分配層への入口は赤血球分離器バリアを有している。図4Dは、対応する装置のポートから突き出るように構成された部分を有するサンプル分配層を示しており、前記部分は複数のサンプル回収ポートを有している。図4Eは、対応する装置のポートから突き出るように構成された部分を有するサンプル分配層を示しており、前記部分は、サンプル回収ポートと固有の識別子タグの両方を有している。図4Fは、電気化学的能力と、対応する装置のポートから突き出るように構成された部分を有するサンプル分配層を示しており、前記部分は固有の識別子タグを有している。
【図5】図5Aは、1つの試験部位が試験する全血液を受け入れ、別の試験部位が血漿を受け入れるサンプル分配層を示している。図5Bは、対応する装置のポートから突き出るように構成された部分と、層状の試験部位とを有するサンプル分配層を示している。
【図6】図6Aと図6Bは、例示的カートリッジ構成の断面図を示している。
【図6C】図6Cは、図6Aと図6Bの上面図である。
【図7】図7Aは、ここに記載しているカートリッジと共に用いるのに適した構成の例示的断面図である。図7Bは、図7Aの上面図である。
【図8】図8Aは、ここに記載しているカートリッジと共に用いるのに適した構成の例示的断面図である。図8Bは、図8Aの上面図である。
【図9】図9Aは、ここに記載しているカートリッジと共に用いるのに適した構成の例示的断面図である。図9Bは、図9Aの上面図である。
【図10】光学的検出が必要な場合に、ここに記載しているカートリッジと共に用いるのに適した構成の例示的断面図である。
【図11】図11Aと図11Bは、光学的検出が必要な場合に、ここに記載しているカートリッジと共に用いるのに適した構成の例示的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
概括的には、ここに記載しているカートリッジ、システム、及び装置は、少なくとも2つの異なる技法を使って少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化することができ、1つのサンプルを試験するのに、これらの異なる技法を使用することができる。従って、感度用件又は化学的性質が異なるために異なる検出技法を要する試験は、例えば、同じ試験カートリッジに組み合わせることができ、1つのサンプルを使って行うことができる。異なる技法を使って複数の検体を測定する能力を有していれば、実施できる試験の種類、及びカートリッジ上の個々の試験部位の数と位置に、大きな柔軟性が生まれる。
【0025】
本明細書で検出する又は定量化するという句を用いる場合、検出(例えば、検体の存在の有無を検出すること)又は定量化(例えば、所与のサンプル内に存在している検体の量を定量化すること)を、単独で又は組み合わせて含むという意味であると理解頂きたい。検出と定量化は、ここに記載している目的では、互いに排他的ではない。ここに記載している装置及びカートリッジと共に用いるのに適している検出及び定量化技法の例には、酵素分析法、特定結合分析法、免疫学的測定法、蛍光標識及び測定法、化学発光標識及び測定法、電子化学発光標識及び測定法、反射率測定法、透過率測定法、吸収率測定法、濁度測定法、電気化学法、及びその組み合わせが含まれる。自明のように、2つの異なる型式の同じ技法(例えば、2つの異なる型式の電気化学技法)を使用することも、この説明に含まれるので、この2つの技法は「異なる」ものとする。例えば、競合するサンドイッチ状の免疫学的測定法は、同質と異質の免疫学的測定法のように異なる技法である。同様に、反射率測定法を使用する免疫学的測定法は、蛍光測定法を使用している同じ型式の免疫学的測定法とは異なる技法である。この様に、2つ以上の異なる濃度範囲の検体に対し、異なる技法が各濃度範囲の測定に使用される場合、これは本発明の範囲に含まれる。
【0026】
I.一般的用途
ここに記載されているシステム、装置、及びカートリッジは、どの様な目的にでも用いられる。例えば、それらは、医師の診療室、外来診療所、薬局、病院の枕元、救命室、移動医療設備、軍隊の設備などで使用するための広範囲に亘る診断試験に用いられる。つまり、カートリッジは、特定の病気、機能障害、又は慢性疾患の診断時に役立つ複数の試験を行うように構成されている。例えば、咽喉炎を患っている人は、1つのカートリッジと1つのサンプルを使って、例えば、連鎖球菌咽喉炎、単核症、咽頭炎、扁桃炎などに対して試験される。同様に、性的伝染病の疑いのある人は、1つのカートリッジと1つのサンプルを使って、クラミジア、陰部ヘルペス、AIDS、淋病、梅毒などに対して試験される。これは、異なる検体にも当てはまり、特定の病気の有無を確認するためには、異なる技術を使って検出しなければならない。
【0027】
ここに記載されているカートリッジと装置は、更に、関心事の具体的な検体のレベルを確立するために複数の試験を行うように構成されている。これは、例えば、潜在的に危険な高い血液検体濃度だけでなく、有効でないほどに低い血液検体濃度も検出するために、有用である。この型式の構成は、特定の病気の存在(例えば、糖尿病、甲状腺機能減退症など)を検出し、病気、病気の層化を監視し、及び/又は所与の病気又は状態の危険を評価するのにも有用である。例えば、通常、2つ以上の検体(又は高濃度の様々な検体)が所与の病気と関係付けられれば、これらの検体の検出(それらの高濃度検体の検出)は、その人が患っている病気を判定する助けとなる。
【0028】
この型式の構成は、患者の、様々な処方との整合性を監視するのにも用いられる。例えば、血液はサンプルとして採取され、血液内の様々な薬物の濃度が定量化される。患者の整合性を監視することは、精神病患者の場合には特に有用であり、そうでなければ(例えば、単に患者に尋ねることによって)整合性を判断するのは難しい。この様に、例を挙げると、精神科医は、患者の血流内の精神安定剤の濃度、並びに様々な器官の健康に影響を及ぼす血液レベルの安全に関する重要な情報を得ることができる。つまり、肝臓、腎臓、又は他の内臓が傷み、対応する特定の物質が血流内に検出される潜在的な副作用は、この様にして監視される。例えば、両極性障害を治療する場合、バルプロ酸が投与される。試験は、(治療が確実に効果的であるようにするため)バルプロ酸の濃度を監視し、同時に、肝臓の損傷が確実に起きないようにするため、関心対象の様々な酵素を監視できるように構成されている。この種の検体では、1つのカートリッジで行う試験の一般的な組み合わせは、例えば、バルプロ酸と、アラニンアミノトランスフェラーゼ(「ALT」「SGPT」)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(「AST」「SGOT」)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(「LDH」)の様な肝臓酵素と、のための試験部位を含んでいる。
【0029】
カートリッジは、更に、様々な濫用物質に対する試験を行うように構成されている。これらの物質には、ヘロイン、コカイン、メタンフェタミンの粉末状結晶、覚醒剤、リセルグ酸ジエチルアミド(「LSD」)などの通りで売っている麻薬が含まれており、警察には特に有用である。同様に、これらの試験は、例えば、患者が病院に無意識で到着したときに、医者が特定の薬剤の過剰な服用を迅速に検出するのを支援できるので、医者にも有用である。濫用物質には様々なステロイドも含まれているので、競技の前に運動選手を試験するのに、特に有用である。
【0030】
医療用途に加えて、ここに記載しているシステム、装置、カートリッジ、キット、及び方法は、環境及び食品の試験の様な分野にも有用性を見出している。例えば、カートリッジは、或る環境的に設定された基準との整合性を判断するために、様々な環境の毒素又は汚染物質(例えば、水銀、鉛、重金属など)を検出するように構成することもできる。同様に、カートリッジは、患者のサンプル内の環境的毒素及び汚染物質を検出又は定量化するように構成することもできる。食品も、ここに記載しているカートリッジ、システム、及び装置を使って様々な汚染物質について試験することができる。後に詳細に論じるように、食品がサンプルとして用いられる例では、食品は、流体の形態とするため適切な媒体内で均質化する必要のあることが多い。
【0031】
本システム、装置、及びカートリッジは、様々な生物学的及び化学的抗血液凝固剤を検出又は定量化するように構成することができる。これは、例えば、戦争中には、様々な軍用施設で使用するのに有用である。
【0032】
以下は、ここに記載しているシステム、装置、カートリッジ、キット、及び方法を使用する検出に適した代表的な検体のリスト、並びに、それらの臨床的効用と、生物学的又は治療上の濃度範囲である(Norbert W.Tietzによる「臨床化学の手引き」W.B.Saunders社、ペンシルバニア州フィラデルフィア、1986年、から引用)。少なくとも2つの異なる検体の検出に言及している場合は、少なくとも2つの異なる検体が構造的且つ化学的には同じであるが、濃度範囲が異なっている場合を含むことに注目頂きたい。自明のように、どんな型式の検体も、ここに記載されているシステム、装置、及びカートリッジを使って試験することができる。従って、ここで用いる際に、「検体」という用語に言及している場合、そのような用語は、定量的又は定性的に検出される蛋白質、DNA(その1つのストランド又は小片)、小さな分子などのあらゆる化学的エンティティを含むことを意味しているものと理解頂きたい。以下の表は、説明のためのものであって、本発明に限定を課すものではない。
【0033】
【表1−1】

【0034】
【表1−2】

【0035】
【表1−3】

【0036】
【表1−4】

【0037】
【表1−5】

【0038】
II.システム
ここに記載のシステムは、少なくとも2つの異なる技法を使って、少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化することができる。概括的には、本システムは、装置と、メモリと、処理モジュールを備えている。本装置は、カートリッジの少なくとも一部分を受け入れるように構成されているポートと、光源と、アレイ検出器とを備えている。装置に入るカートリッジの前記部分は、2つ以上の異なる検体の内の少なくとも1つを検出又は定量化するために、2つ以上の試験部位読み取り区域の内の少なくとも1つを有している。しかしながら、以下に詳しく説明するように、実施可能又は望ましいのであれば、ここに記載されているシステム、装置、及びカートリッジを使ってどの様な数の検体でも検出することができる。
【0039】
以下、図面を参照してゆくが、同じ参照番号は同様の要素を示しており、図1Aは、システムがどの様に構成されているかを示す例である。これは、ポート(102)を有する装置(100)の外観図であり、ポートは、カートリッジ(104)の少なくとも一部分を受け入れるように構成されている。ポートは、更に、自動挿入及び排出機能を有している。装置を起動し、その幾つかの機構を制御するのに有用な様々な制御ノブとスイッチ(106)を示している。電源に繋がる配線(108)、並びに、必要に応じてコンピューター又はパーソナルコンピューター(「PC」)盤(112)の様な処理モジュール(PM)に接続できるようにするケーブル(110)が設けられている。実際、装置は、PC盤の様なPM、情報(例えば、試験結果、保守の更新、アップグレード変更など)を表示するディスプレイ(D)、試験結果を印刷するプリンタなどを含むよう構成されている。
【0040】
電力供給線(108)を示しているが、装置はバッテリーで駆動することもできるものと理解頂きたい。更に、装置は、停電の場合に装置への電力供給を助けるバッテリー(図示せず)のようなバックアップ電源を有していてもよい。このため、装置は幾つかの不揮発性メモリも有していることが望ましい。
【0041】
装置は、更に、スライド式の又は何らかの開くことのできる(例えばヒンジ式)サンプルドア(図示せず)を備えている。このように、サンプルドアは、カートリッジが装置に挿入されると、開かれ、カートリッジにアクセスできるようになる。サンプルドアは、例えば、カートリッジの場所に対応する位置に最適に配置され、カートリッジが装置に挿入された後、比較的簡単にサンプルがカートリッジ上に配置されるようになっている。代わりに、装置は、カートリッジが装置に挿入された後で、サンプルを加えることができる第2のアクセスポートを備えていてもよい。
【0042】
装置(100)は、ここでは長方形に示しているが、適していれば、又は望ましいのであれば、どの様な形状でもよいものと理解頂きたい。装置は、望ましければ、どの様な寸法でもよい。或る変形例では、装置は、作業台の混乱を最小化するのを助ける約0.0566立方メートル以下又は約0.0283立方メートル以下の寸法を有しているのが望ましい。同様に、制御ノブとスイッチ(106)は、図1Aでは装置(100)の側面に配置されているが、これらのノブとスイッチは、装置の望ましい又は好都合の場所何処にでも配置できるものと理解頂きたい。例えば、それらは、装置の正面でも、装置の背面でも、その組み合わせでもよい。これらの制御ノブとスイッチの機能の一部又は全部は、随意的に、タッチスクリーンを使って実現してもよい。
【0043】
図1Bは、装置の内側の例示的概略図である。図示のように、装置(114)は、その中にカートリッジ(116)を有している。図示の光源は、1つ又は複数のLED(118)と白熱ランプ(120)で示されている。フィルターホイール(122)を用いてもよい。図1Bに示しているように、装置内に複数の光源を収容していてもよいし、1つの光源だけを用いてもよい。光源は、光をカートリッジ(116)に向けるように構成されている。カートリッジ出力は、通常、アレイ検出器(124)に向けられる。光源は、光を、カートリッジの下から、カートリッジの上から、カートリッジの側面から、又はその組み合わせで、カートリッジに向けるように構成されている。従って、アレイ検出器は、通常、光源の入力の方向で決まる好都合な出力位置に配置される。アレイ検出器(124)は、周知の技術に加えて、CCD技術、CMOS技術などを備えている。
【0044】
図1Bには、PM(例えば、PC盤)を装置に接続できるように、随意のケーブル(126)も示されている。ディスプレイ(D)は、結果を監視し、他の情報を表示するために、PMに連結されている。同様に、無線接続(W)又は他のインターネット接続機器(例えば、モデム、ケーブルなど)もPMに連結される。配線(128)は、装置を、随意的に装置の内部にある追加の電子化学測定サブシステム(EC)と共に使用できるようにする。ECは、電子化学分析器と電気的に接続できるようにする導体を備えている。先に述べたように、随意のプリンタ(図示せず)も、装置と共に使用することができる。以上の要素(例えば、装置、EC、PM、W、D、プリンタ)の何れか又は全部は、1つのハウジング内に随意的に含まれている。
【0045】
以下に詳しく論じるように、本システムは、更に、カートリッジ上の固有の識別子タグを読み取るように構成されている。この様に、本システムは、更に、試験部位読み取り区域の型式、数、及び大凡の位置を識別し、更に、その補正、アルゴリズム、及び多数の情報を判定できるようになっている。従って、装置は、更に、タグ(商店で使用されるものと同様)を画像化する走査窓、走査又は掃引スロット(クレジットカードに使用されているものと同様)、又は、カートリッジに埋め込まれ又は接着されているマイクロチップから情報を得る非接触の電子的方法、を備えている。同様に、固有の識別子タグが上に設けられているカートリッジは、タグを完全に読み取ることができるように、装置に完全に挿入されるように構成されている。
【0046】
しかしながら、本システムは、固有の識別子タグから正確な読み取り区域情報を得る必要はない。実際、本システムは、アレイ検出器からの信号を受信し、画像分析を実施するか、又は読み取り区域の型式と位置を識別するためにカートリッジを走査するように構成されている処理モジュールを備えている。処理モジュール(PM)は、図1Aでは装置の外側にあるが、図1Bに示しているように装置の内側にあってもよい。
【0047】
処理モジュールは、ハードウェア論理(例えば、集積回路チップ、プログラム可能ゲートアレイ(PGA)、アプリケーション特定の集積回路(ASIC)など)、又は、磁気記憶媒体(例えば、ハードディスクドライブ、フロッピーディスク、テープ)、光学記憶装置(例えば、CD−ROM、光ディスクなど)、揮発性及び不揮発性メモリ装置(例えば、EEPROM、ROM、PROM、RAM、DRAM、SRAM、ファームウェア、プログラム可能論理など)の様なコンピューター読み取り可能媒体で実施されるコード又は論理である。コンピューター読み取り可能媒体内のコードは、プロセッサによってアクセスされ、実行される。
【0048】
従って、ここには、少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するための少なくとも2つの試験部位読み取り区域を備えており、少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するために少なくとも2つの異なる技法を使用するように構成されている、カートリッジの画像分析を実行するためのコードが含まれたコンピューター読み取り可能媒体も提供されている。画像分析は、少なくとも2つの試験部位読み取り区域の位置を識別する。コンピューター読み取り可能媒体は、或る変形例ではファームウェアであり、別の変形例ではソフトウェアである。
【0049】
画像分析は、マシンビジョンシステム用に開発されたアルゴリズムを使って、又は、同様の画像代数学のためのアルゴリズムによって、Neeleyの「反射率デジタルマトリックス測光法」臨床化学、第29巻第6号1038−1041(1983年)、「デジタルマトリックス測光法のための器具」臨床化学、第27巻第10号1665−1668(1981年)、及び「多重層乾式フィルムスライド上で使用するための方形のフォトダイオードアレイ検出器を備えた反射率測光法」臨床化学、第34巻第11号2367−2370(1988年)、に記載されている方式で実行される。概括的には、処理モジュールは、アレイ検出器からカートリッジの全体画像を提供する信号を受信する。測定される区域は、格子状に小さなサブユニットに二次分割される。その後、画像分析は、大きいピクセルのクラスタの外縁部内に配置され、使用されているカートリッジによって実行される試験のグループに対して略所定の位置に配置されている、同様の強度値を有するピクセルのクラスタを識別することによって、進む。
【0050】
従って、作動時には、カートリッジ上の具体的な試験部位の型式と位置が、先ず識別される。システムは、通常次に、試験を実施できるようにするため、試験手順、アルゴリズム、及び補正値がシステムメモリ内に記憶されているか否かを確認する。処理モジュール(PM)と同じく、システムメモリ(M)は、図1Aに示しているように装置の外部にあってもよいし、図1Bに示しているように装置自体の内側にあってもよい。システムメモリも、処理モジュールの一部分である。システムが同一製造ロットからのカートリッジと以前に遭遇し(従って、同じ補正パラメーター値、試験手順、及びアルゴリズムを有し)ていれば、システムは、この情報をそのメモリ内に記憶しているであろう。従って、システムは、オペレーターに、試験を進めてよいことを通知又は信号送信する。通知は、例えば、言葉のプロンプトとしてディスプレイ(例えば、LCDスクリーンなど)上に、可聴信号で、或いはプロンプトと信号の混合体などで、発生する。
【0051】
カートリッジ用のアルゴリズムと試験手順はシステムメモリにあるが、特定のロット情報(補正パラメーター、失効日など)が無い場合、システムは、ホストサーバーコンピューターの様な遠隔ソースから、サーバー接続(例えば、地上通信線、携帯電話線などの様な直接ダイヤルアップ線、又は、ケーブル又は他の配線、無線及び衛星線などの様なインターネット接続)を介して、これらの値を自動的にダウンロードする。しかしながら、試験手順、アルゴリズム、及び補正パラメーターがシステムメモリに記憶されていない場合(試験が利用可能な試験のメニューに最近加えられたばかりの場合に起こることがある)、システムは、特定のロット情報に加えて、試験を行い解釈するために適切な試験手順とアルゴリズムの両方をダウンロードする。カートリッジが、検出するのに電子化学的方法を単独又は光学的方法と組み合わせて使用する場合、同様の方法で能動的な電気的接点とそれらの特定の機能が、入手され使用される。システムの処理モジュールには、認証された専門家による検索に備えて、システムが試験結果とサンプルのID情報をホストサーバーの機密データベースへ自動的に送るようにすることができる、実行可能コードも入っている。以上の何れの機能も、随意的にユーザーの制御下にあってもよい。
【0052】
アルゴリズム、試験手順、及びロット情報を入手した後、システムは、先に述べたように、光源とアレイ検出器を使ってカートリッジの初期「ドライ」画像(又は一連の画像)を取得する。つまり、カートリッジ表面の画像は、例えば、1つ又は複数の光源からの選択された波長の放射線を使い、検出光路内の1つ又は複数のフィルターと随意的に組み合わせて、異なる照明条件の下で取得される。システムは、画像を、後の使用に備えてそのメモリに記憶する。先に述べたように、オペレーターは、システムの信号送信に応えて、サンプルをカートリッジ内に入れる。
【0053】
(光学的に、又は、導電率又は静電容量の様な電気的変化を使った方法によって)サンプルの存在が検出されると、処理モジュールは、システムに指示して、カートリッジについて試験又は試験の組み合わせに特有の様々な測定を実行させる。この結果、3つ以上の測定モードが繰り返し起動される。例えば、2つの異なる読み取り区域での反射率測定のため605nmLEDをオンにし、次いで、3つの異なる読み取り区域で蛍光測定を実行するため500nmのLEDをオンにする(更に、そのLEDからの基本的に全ての光出力を遮断するために、フィルターを検出光路内に挿入する)。これらの2つの異なる照明条件の下で取得されたカートリッジ表面全体の画像は、記憶され、同じ条件の下で取られた次の画像と比較される。
【0054】
試験に関する全体的表面位置内のピクセル強度の変化が、所定の微々たるレベルに達したとき、又は変化の速度が定常状態に達したときに、画像の取得は停止され、計算が実行され、その試験に適した各試験領域の反射率、蛍光性など、又はその変化速度が求められる。次に、これらの数値は、記憶されているアルゴリズムと補正パラメーター値を使って検体濃度に変換され、装置又はPCのディスプレイ(D)を通して、或いは、他の適切な方法によって報告される。これらの値は、印刷され、患者のデータベース内に記憶するためにPCに通信され、或いはその両方が行われる。システムの作動は、化学発光又は電子化学的検出を必要とする試験については上記と同様であるが、これらの技法を使えば、光源は不要となる。電子化学的検出は、装置の光学能力を使用する必要がない。
【0055】
ここに記載している装置及びシステムの処理モジュールは、特定のエラー状態を検出するようにも構成されている。これらのエラー状態とは、例えば、失効したカートリッジ、不適切なサンプル量、不可能な検体値、試薬の機能不全、機械的機能不全、及びそれらの混合されたものの検出である。エラー状態を検出すると、装置は適切な信号を表示する。ディスプレイは、更に、装置の修理が必要か否かを示す。この種の通知は、故障部品の迅速な取り換えをやり易くする助けとなる。処理モジュールは、更に、サーバー接続線を介して、エラー状態をホストサーバーに送信するように構成されている。この様に、修理が必要であれば、ホストサーバーの所有者は、介入して、システム又は装置を時機に適った方法で修復する助けを行うことができる。更に、処理モジュールは、システム又は装置が機能不全である間は、所有者がそれを作動させて誤った試験結果が取得又は報告されることのないように、システム又は装置を不作動状態にするよう構成することもできる。
【0056】
或る変形例では、処理モジュールは、自動的にアップグレードすることができる。これらの変形例では、装置は、サーバー線接続を有しており、ホストサーバーの様な遠隔ソースに接続することができる。ここで、アップグレードは、装置のオペレーターが携わる必要無しに、通常の装置作動の途上で自動的に行われる。サーバー線接続は、必要に応じてホストサーバーとの自動通信も提供する。例えば、定期的な保守に関する催促、又は現行のハードウェア又はソフトウェアのアップグレードの通知の様な自動メッセージが、システムに送られる。或る変形例では、システムは、自己補正も行う。つまり、システムは、伸縮技法、内部基準、及び制御、並びに当該技術で既知の他の技法を使って、ルーチン補正を実行する。
【0057】
先に述べたシステムから明らかなように、個々の装置も提供されている。概括的には、本装置は、少なくとも2つの試験部位読み取り区域を有しているカートリッジの少なくとも一部分を受け入れるように構成されているポートであって、前記一部分は少なくとも1つの試験部位読み取り区域を有している、ポートと、光源と、アレイ検出器と、メモリと、処理モジュールとを備えている。処理モジュールは、アレイ検出器からの信号を受信して、読み取り区域の位置を識別するためカートリッジの画像分析を実行する。
【0058】
先に述べたように、光源は、1つ又は複数の半導体装置(LED、レーザーダイオードなど)を備えているか、或いは、白熱ランプ又は広範囲の波長を放出している他の放射エネルギー源(例えば、タングステン光源の場合で約300nmから約1000nm)を備えている。フィルターホイールを、随意的に使用してもよい。装置は、更に、蛍光偏光免疫学的測定法を実行できるようにする偏光技術を備えている。同様に、装置は、温度変化を検出し、温度制御を行えるように構成することもできる。
【0059】
III.カートリッジ
概括的には、カートリッジは、少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するための少なくとも2つの試験部位を備えており、少なくとも2つの検体を検出又は定量化するために少なくとも2つの異なる技法を使用するように構成されている。「試験部位」という句を使っている場合、ここで説明している所与の試験を実行するのに必要な試薬及び区域に占有されているカートリッジの1つ又は複数の区域を意味するものと理解頂きたい。明らかに、試験部位の中には試薬を使用する必要のないものもある。同様に、ここで「読み取り区域」又は「試験部位読み取り区域」という用語を使っている場合、試験の結果が得られる試験部位の1つ又は複数の区域を意味している。カートリッジ上の少なくとも1つの読み取り区域の位置は試験中にシステム又は装置によって識別されるので、少なくとも1つの試験部位及び読み取り区域の正確な位置を固定する必要はない。つまり、少なくとも1つの試験部位及び読み取り区域の位置は、対応する読み取り装置に左右されない。
【0060】
概括的には、カートリッジは、底部層、サンプル分配層、及び2つの異なる試験部位読み取り区域を備えている。底部層は、通常、非多孔質(例えば、プラスチック、ガラスなど)であり、検体の光学的透過測定が望ましい場合は透明である。サンプル分配層は、サンプルを様々な試験部位に流せるようになっている。試験サンプルは、適していればどの様な流体でもよい。例えば、試験サンプルは、血液全般、血漿、血清、汗、唾液、涙、間質液、髄液、眼球流体、膿、乳、精液、羊水、膣液、粘液質分泌物、及び尿の様な体液である。同様に、試験サンプルは、(汚染が疑われる)水でもよいし、食品でもよい。サンプルが食品の場合、食品は、通常、すり潰すか、均質にして適切な媒体と混ぜなければならない。試験に適したサンプルを準備するためには、更に操作(抽出又は精製)が必要である。試験部位は、サンプル分配層に埋め込まれていてもよいし、隣接していてもよく、2つの異なる技法を使って少なくとも2つの検体を検出するように構成されている。
【0061】
カートリッジは、20μL又は10μLの血液サンプルの様な少量のサンプルを受け入れるように構成されている。これは、少量のサンプルを使って複数の試験を実施できるという利点を提供する。しかしながら、サンプルは、大量のサンプルとするため希釈してもよい。例えば、10μL量の血液が10倍に希釈されると100μLのサンプルとなる。従って、患者から抽出した少量の血液サンプルを後で希釈したものを使って複数の試験を実行することができる。この様にすると、患者の痛みが最小限で済む。従って、カートリッジは、どの様な適したサンプル量でも受け入れることができるように構成されている。
【0062】
或る適したカートリッジの1つの変形例の分解図を図2Aに示している。ここでは、カートリッジ(200)は、底部層(202)、サンプル分配層(204)、試験部位(208)を有する試験部位層(206)、及び保持層(210)を備えている。保持層は、図では、下にある対応する試験部位から検体を光学的に検出するための透明な又は開いた窓(212)を有している。この変形例では、底部層(202)と保持層(210)は、通常、例えばプラスチック、ガラスなどの非多孔質材料で作られており、サンプル分配層(204)は、例えばプラスチックに孔を空けた開放チャネル付き毛管層である。この変形例では、サンプル分配層(204)は、底部層(202)と試験部位層(206)の間に挟まれている。
【0063】
別の適したカートリッジの変形例の分解図を図2Bに示している。ここでは、カートリッジ(214)は、底部層(216)、サンプル分配層(218)、及び試験部位(220)を備えている。この変形例では、サンプル分配層(218)は、流体がそこへ流れるのを制限又は阻止する疎水性の周囲を有する多孔質材料又は膜で作られている。例えば、疎水性の周囲は、ここでは斜線で示しているワックスなどである。底部層(216)は、通常、非多孔質材料で作られている。
【0064】
層を一体に保持又は維持するため、随意の保持層(図示せず)を採用してもよい。そのような層は、サンプル分配層と完全に重なっていてもよいし、その周縁又は角だけがサンプル分配層と重なっていてもよい。保持層は、メッシュ、ナイロンなどである。更に、保持層は、そこを通って蒸発するのを防ぐため、閉塞性又は密閉性を備えている。勿論、別体の密閉層又はその部分も受け入れることができる。しかしながら、先に述べたように、保持層は、随意であり、何らかの適した締結方法で各層を一体に維持することができる。例えば、各層は、機械的締め付け、スナップ嵌め、熱収縮、糊付け(適切な接着剤を使って)などを使って一体に保持することもできる。
【0065】
図2A又は図2Bには示してないが、カートリッジは、赤血球が試験部位に到達する前にそれらを取り除くために、赤血球分離器層を備えていてもよい。こうすると、或る種の光学測定を妨害する赤血球が取り除かれる。この層は、例えばサンプル分配層の直ぐ下に配置され、これと同時存在してもよいし、或いはその一部分を覆うだけでもよい。
【0066】
図2Bに示しているように、試験部位(220)は、以下に詳しく説明するように、サンプル分配層に隣接しており、所与の検体を検出するように構成されている。試験部位(220)は、ここでは、2つの層を有するように図示しているが、以下の試験部位の説明から明らかなように、実用的又は望ましければ、使用する層の数は幾つでもよい。この様に、試験部位の高さは様々である。つまり、或る試験部位は唯1つの層を有しており、一方でカートリッジ上の異なる位置の別の試験部位は2つ以上の層を有していてもよい。更に、試験部位の幅と長さは様々であってもよい。
【0067】
概括すると、サンプル分配層は、どの様な技法を使って作ってもよい。例えば、サンプル分配層は、レーザー加工、エンボス加工、リソグラフィ電鋳成形(「LIGA」)、電気めっき、電鋳、フォトリソグラフィ、反応イオンエッチング、イオンビームミリング、圧縮成形、鋳造、反応射出成形、射出成形、超精密機械加工などの様な工程を使って作られる。
【0068】
或る変形例では、フォトリソグラフィ技法を使ってサンプル分配層を作るのが望ましい。例えば、ポリマーは、負又は正のフォトレジスト型材料を使って、側方流又は濾過薄膜に組み込むことができる。フォトレジスト材料は、スクリーン印刷、スプレー噴射、浸漬、反転ローラーコーティング、グラビアコーティングなどによって薄膜に含浸させることもできる。次に薄膜を、フォトリソグラフィマスク又はレチクルを使ってUV光に曝し、或る区域を曝露から守る。次に、適切な溶剤を使って薄膜を現像し、重合されていない(例えば負のフォトレジストの場合)か、又は可溶形態に変わった(例えば正のフォトレジストの場合)材料を洗い流す。薄膜の現像は、どの様な方法で行ってもよい。例えば、薄膜は、平坦な台の上で濾過を使って、又は薄膜を適した溶剤に浸すことによって、現像することができる。
【0069】
負のフォトレジストと共に使用されるマスク又はレチクルの代表的な構成を図2Cに示している。ここでは、レジストのポリマーは、UV光に曝されている区域では架橋結合する。これらの架橋結合したポリマーは、薄膜の、現像の間に曝露されなかった領域(UE)からレジストを溶解するように選択された溶剤には溶けない。正のフォトレジストと共に使用されるマスク又はレチクルの代表的な構成を図2Dに示している。ここでは、UV光に曝された領域(E)は可溶形態(例えば、カルボキシル酸)に変わり、それは、適した溶剤(例えば、水ベースの弱アルカリ溶剤)を使って溶かすことができる。曝露されなかった領域(UE)は、溶けずに残る。
【0070】
フォトレジスト技法を使って作られたサンプル分配層は、幾つかの利点を提供する。例えば、薄膜は、或るパターンを形成するように切断又は型押する必要は無いので、難しくて精密な製造手順も必要無くなる。代わりに、製造が簡単になるので、工程は、異なる寸法形状のフォトリソグラフィのマスク又はレチクルを使って、容易に縮尺合わせすることができる。同様に、異なる試験部位の間の漏話も無くすことができる。
【0071】
先に述べたように、カートリッジは、どの様な数の試験部位と試験部位読み取り区域を備えていてもよく、どの様な数の構成を有していてもよい。例えば、カートリッジは、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、8つ以上、又は10以上の試験部位と、対応する読み取り区域などを有していてもよい。実際、実用的又は望ましければ、どの様な数の試験部位を用いてもよい。これらの試験部位の幾つかを、冗長又は制御試験目的に使用してもよい。
【0072】
図3A−3Gは、ここで説明しているカートリッジと共に使用するのに適したサンプル分配層の例示的構成を示している。サンプル分配層は、図3Aに描いているような整然とした様式で複数の試験部位の位置(黒点で示している)を設けてもよい。サンプル分配層は、図3Bに示しているように、試験部位に使える空間を最適化するため、カートリッジ全体に亘って多数の試験部位を設けてもよい。サンプル分配層は、図3Cのように、全試験部位がカートリッジの片側にあるように構成してもよい。
【0073】
サンプル分配層は、図3Dに示しているように、試験部位の無作為な分布を提供するために、無定形でもよい。星型構成を提供できるように構成されたサンプル分配層の別の変形例を図3Eに示している。サンプル分配層は、図Fに示しているように、2つ以上のサンプル入口ポートを有していてもよいことを注記しておく。こうすれば、2つの異なるサンプルを、必要に応じて同時に試験することができる(例えば、2つの血液サンプル、尿と血液のサンプルなど)。2つの異なるサンプルの入口ポートを図3Fに示しているが、使用するポートの数は幾つでもよい(例えば3、4、5、又はそれ以上)。図3Gは、試験部位と読み取り区域がサンプル入口ポート(SEP)の回りに放射状に分布している1つの変形例を示している。こうすれば、各試験部位へサンプルを均等に分配し易くなる。繰り返すが、読み取り区域の位置は、試験前にシステム又は装置によって識別されるので、部位はカートリッジの何処にでも配置することができる。
【0074】
カートリッジは、カートリッジの一部分が対応する装置のポートから突き出るように構成されるように、設計してもよい。こうすれば、例えば、装置が自動挿入及び排出機構を有していない場合に、カートリッジを装置へ挿入及び取り外し易くなる。その様なカートリッジの例示的な描写の上面図を図4A−4Fに示している。図4Aでは、突出部(400)は、その上にサンプル回収ポート(402)を有している。こうすると、カートリッジが先ず装置に挿入され、次にサンプルが、装置のポートから突き出ているサンプル回収ポート(402)に入れられる。
【0075】
同様の構成を図4Bに示している。突出部(404)とサンプル回収ポート(406)をそこに示している。サンプル回収ポート(406)内には赤血球分離器(408)がある。赤血球分離器は、当技術では周知であり、以下に説明するように、例えば、或る種の植物性蛋白質(例えば、レクチン、ダイズ血球凝集素など)、或る種の抗赤血球抗体(例えば、α−RBC)、又は或る種のポリマー材料を備えている。図4Cは、サンプル回収ポート(412)を備えた突出部(410)を示している。試験前に赤血球を分離するために、赤血球分離器障壁(414)が、サンプル分配層への入口に並んでいる。
【0076】
図4Dは、突出部(416)を有するカートリッジの別の構成を示している。図4Dに例示しているように、突出部は、どの様な型式の構成又は形状を有していてもよい。例えば、残りのカートリッジよりも幅が狭くてもよいし、図4Dに示しているように残りのカートリッジよりも幅が広くてもよい。更に、突出部は、複数のサンプル回収ポート(418)を有していてもよい。先に述べたように、これらの回収ポートは、更に、赤血球分離器を備えていてもよい。
【0077】
図4Eは、突出部(420)を有するカートリッジの図である。この変形例では、突出部は細長い楕円形であるが、先に述べたように、突出部は、どの様な望ましい形状であってもよい。図4Eの突出部は、サンプル回収ポート(422)と固有の識別子タグ(424)を有している。固有の識別子タグ(424)は、バーコードで示しているが、どの様な固有のパターンを使用してもよい。パターンは、例えば、機械的方法又は印刷によって作られる。同様に、固有の識別子タグは、マイクロチップなどでもよい。先に述べたように、固有の識別子タグは、システム又は装置が、試験前にカートリッジの試験部位及び読み取り区域の位置、数、及び型式を判断できるようにするか、或いは、直接又は間接的に補正、アルゴリズム、及び試験手順情報を提供する。先に述べたように、固有の識別子タグがポートの外側にある場合、装置は、タグを画像化する走査窓(商店で用いられているのと同様)と、走査又は掃引スロット(クレジットカードに使用するものと同様)などを備えている。この様に、タグは、挿入前に装置によって読み取られる。しかしながら、カートリッジは、固有の識別子タグを読み取れるように装置に完全に挿入され、次いで、突出部が装置のポートの外側に戻るように排出されるようにしてもよい。
【0078】
図4Fには、電子化学的分析をできるようにするコネクタ(430)を示している。例えば、コネクタ(430)は、装置内の対応するソケットに差し込まれる。同様に、コネクタは、そうではなく、対応するソケットに取り付けるためのPOGOピンでもよい。図4A−4Fは、カートリッジが対応する装置から突き出るように構成されている部分を有している様々な構成を示しているが、カートリッジは、先に述べたカートリッジの様な突出部を備えていなくてもよいものと理解頂きたい。
【0079】
図5Aは、サンプル分配層自体の中で赤血球分離器を使用する構成を示している。この様にすれば、赤血球を取り除く必要のある試験だけが赤血球分離器を有することになる。これを実現する1つの方法を図5Aに示している。ここには、5つの検体を検出できるように構成されたサンプル分配層(500)を示している。赤血球分離器障壁(502)は、試験部位開口部(504)の直ぐ前に配置されている。従って、血液全体(508)はサンプル分配層を通って流れ、赤血球分離器障壁(502)に遭遇すると、サンプルから赤血球が取り除かれ、血漿(506)だけが残る。血漿(506)は、試験するために試験部位開口部(504)を通過し続ける。同様に、赤血球分離器障壁(502)が無い場合、(510)で示しているように、血液全体が試験するために試験部位開口部(504)を通過し続ける。図5Aでは、赤血球分離器(502)を同じ一般的な性質のものとして示しているが、各赤血球分離器は、必要に応じて異なっていてもよいものと理解頂きたい。つまり、1つの赤血球分離器は植物性蛋白質を用いており、別の赤血球分離器は抗赤血球抗体を使用していてもよい。
【0080】
赤血球分離器は、ポリマービードに組み込んでもよい。ビードは、例えば、血液全体のサンプルと接触すると膨潤する。しかしながら、膨潤したポリマービード内の孔は、赤血球を締め出し、血漿だけを通すほど小さくすることができる。その様なビードを形成するのに適したポリマーは、例えば、pHが変化すると膨張し始める酸性又は塩基性のヒドロゲルと、イオン強度が変化すると膨張し始めるイオンヒドロゲルである。これらは、制御された状態での薬剤の投与に関わる分野では既知である。ポリビニルアルコールで作られたヒドロゲルは、例えば、米国特許第6,608,117号に記載されており、その全体を参考文献としてここに援用する。他の適したヒドロゲル材料としては、ポリアクリロニトリル加水分解物、ポリアクリルアミド、澱粉、ゼラチンなどがある。
【0081】
図5Bは、試験部位がサンプル分配層の上にどの様に配置されるかを示している。図では、カートリッジ(512)は、サンプル分配層(514)と、対応する測定装置から突き出るように構成されている部分(516)を備えている。この例では、前記部分(516)は、上にサンプルポート(518)を有している。図では、試験部位(520)を3つの層で示している。先に説明したように、試験部位に用いられる層の数は幾つであってもよい。
【0082】
先に述べたように、ここに記載のカートリッジ及び装置と共に、どの様な数の検出又は定量化技法を使用してもよい。つまり、1つの技法を1つの試験部位に用い、別の技法を他の幾つかの試験部位に用いてもよい。適した技法には、酵素分析法、免疫学的測定法、蛍光標識及び測定法、化学発光標識及び測定法、電子化学発光標識及び測定法、反射率測定法、透過率測定法、吸収率測定法、濁度測定法、電気化学法などが含まれる。図6Aと図6Bは、サンプル試験部位構成を例示している。
【0083】
図6Aは、ここに記載している装置と共に使用するのに適したカートリッジ(600)の断面図である。カートリッジ(600)は、底部層(602)と、サンプル分配層(604)と、試験部位層(606)とを備えている。図6Aに示している試験部位層(606)は、流体が中に流れ込むのを防ぐ2つの非多孔質部(608)を有している。試験部位層は、接合区域(610)も有している。ここで用いる接合区域という用語は、拡散的に不動化された接合体が占有する試験部位の区域を表す意味に用いられており、接合体は、結合している対の内の特定の結合部材に連結されている何れかの標識である。限定するわけではないが、代表的な結合部材には、検体、検体類似体、抗体、核酸又はその断片、レクチンなどが含まれる。限定するわけではないが、代表的な標識には、蛍光分子又は微粒子、着色分子又は微粒子、酵素、補助酵素などが含まれる。接合区域(610)内に示されているのは拡散的に不動化された接合体であり、関心対象の検体又は非拡散的に不動化された結合部材と結合する。
【0084】
図6Aに示している変形例では、例えば、特定の結合部材は抗体であり、試験部位は、均一な免疫学的測定法(即ち、測定前に、結合した接合体から自由な接合体を分離する必要の無い免疫学的測定法)を実行できるように構成されている。通常、接合区域には、所与の反応を行わせるのに必要な他の試薬、基質、酵素、及び標示薬も含まれている。従って、この設計では、接合区域と標示薬区域(即ち、酵素及び酵素基質の様な信号形成試薬が占有している試験部位の区域)は、同じである。これらの区域については、以下に、様々な試験部位の構成に言及して、更に詳しく説明する。
【0085】
別の変形例を、図6Bに示しており、今度は、2つの試験部位層を有している。カートリッジ(612)の断面を示している。カートリッジは、底部層(614)と、サンプル分配層(616)と、試験部位層(618)及び(624)とを備えている。試験部位層(618)は、非多孔質部(620)と接合区域(622)を有している。試験部位層(624)は、非多孔質部(626)と標示薬区域(628)を有している。図6Aに示している試験部位と同様に、図6Bの試験部位は、均一な免疫学的測定法を実行できるように構成されている。しかしながら、ここでは、接合区域と標示薬区域は分離されている。この様にすると、標示薬は特定の結合部材から分離されるので、例えば、背景色の生成を少なくするには好都合である。図6Cは、図6Aと図6Bの試験部位の上面図である。ここに示しているように、検体は、接合区域位置(630)の直ぐ上で検出されることになる。カートリッジ内のサンプル分配層は、破線を使って(632)で示している。
【0086】
図7Aは、別の適したカートリッジ構成の断面図であり、ここでは別々の接合区域と捕捉区域を備えた試験部位を有している。従って、例えば、図7Aの試験部位は、異質な免疫学的測定法(即ち、測定前に自由接合体を結合接合体から分離する必要のある免疫学的測定法)を実行するように構成されている。カートリッジ(700)は、底部層(702)と、サンプル分配層(704)と、試験部位層(706)及び(712)を備えている。試験部位層(706)は、非多孔質部(708)と接合区域(710)を有している。先に述べたのと同様に、接合区域(710)には、接合体及び/又は他の試薬(ここでは点で示している)が入っている。接合区域(710)の直ぐ上には、試験部位層(712)内の捕捉区域(716)があり、そこで接合体は結合又は反応によって捕捉される。ここで用いている「捕捉区域」という用語は、接合体が非拡散的に不動化された特定の結合部材によって結合される試験部位の区域を表すものである。非結合試薬を含む追加の流体は、試験部位層(712)を通り、非多孔質の障壁(714)に達するまで流れ続ける。
【0087】
図7Aの上面を、図7Bに示している。お分かりのように、接合体は、検出のために、捕捉区域(716)に対応する位置(718)で捕捉される。捕捉されなかった試薬と余分の試薬材料は、非多孔質領域(714)の手前の位置に相当する位置(720)に洗い流される。図7Bには、サンプル分配層(722)も示しているが、一番上の試験部位層の2層下に位置しているので斜線で示している。
【0088】
図8Aは、適したカートリッジ構成の別の断面を示している。試験部位は、接合区域(818)と捕捉区域(822)が同じ試験部位層(812)内にあることを除いて、図7Aの構成と同様に、異質な免疫学的測定法(例えば、サンドイッチ状の、競合的な、控除的な、など)を実行するように構成されている。ここでは、カートリッジ(800)は、底部層(802)と、サンプル分配層(804)と、試験部位層(806)及び(812)を備えている。試験部位層(806)は、非多孔質部(808)と、流体が通過できる多孔質部(810)を有している。この様にすると、サンプルは、サンプル分配層(804)から多孔質部(810)を通過し、試験部位層(812)の多孔質部(816)へ流れることができる。サンプルは、その後、接合区域(818)を通り、そこで、検体は中に含まれている試薬と結合又は反応する。反応した検体(例えば、検体とその標示されている特定の結合部材の間の複合体、即ち標示付き接合体)は、次に、多孔質部(820)を通って捕捉区域(822)へと流れ、そこで自由接合体又は検体::接合複合体が、反応又は結合によって捕捉される。余分の反応しなかった検体と結合しなかった試薬は、多孔質部(824)を通って流れ続けるが、非多孔質部(814)の手前の場所(826)で停止する。図8Aの上面図を図8Bに示している。検出のための読み取り区域を、位置(828)に示しており、これは捕捉区域(822)と対応している。サンプル分配層を(830)で示している。
【0089】
適したカートリッジの別の構成を図9Aに示している。図8Aに示しているカートリッジと同様に、図9Aのカートリッジの試験部位は、異質な免疫学的測定法を実行するように構成されている。ここでは、接合区域(914)は、捕捉区域(922)と同じ試験部位層(916)にはない。そうではなく、接合区域(914)は、試験部位層(910)内にある。接合区域(914)は、非多孔質領域(912)に囲まれている。この構成では、サンプルは、矢印で示すように、サンプル分配層(904)を通り、接合区域を通り、その後試験部位層(916)へ流れ込む。自由接合体又は検体::接合複合体は、その後、捕捉区域(922)で捕捉される。反応しなかった検体と結合しなかった試薬は、多孔質部(924)を通って、非多孔質領域(918)の手前の位置(926)で停止するまで流れ続ける。図9Aの上面図を図9Bに示している。検出のための読み取り区域は、位置(928)に配置されており、捕捉区域(922)と対応している。サンプル分配層を(930)で示している。
【0090】
捕捉区域は、所望の成分(例えば、抗体又は抗原)を備えた試薬の微粒子を薄膜又は他の多孔質材料上に堆積させることによって作られる。試薬の微粒子は、薄膜又は多孔質材料の表面に吸収されるか、又は化学的に結合される。また、微粒子の寸法と化学的特性は、微粒子が移動できないように調整される(例えば、微粒子の直径は、捕捉区域材料の平均的な孔の寸法より大きくなるように作られる)。捕捉区域も、当業者には良く知られている手順によって、所望の成分を薄膜又は多孔質材料へ直接結合させて作られる。
【0091】
先に述べたように、ここに記載されているシステム、装置、及びカートリッジは、2つ以上の測定技法を使って2つ以上の検体を試験できるように構成されている。つまり、カートリッジは、例えば5つの試験部位を有しており、その1つは蛍光測定法を使用するように構成されており、3つは反射率測定法を使用するように構成されており、残りの1つは化学発光測定法を使用するように構成されている。電子化学的検出を実行することのできる試験部位は、図面に詳細に示してはいないが、電子化学的検出を実行することのできる試験部位を有するカートリッジは、本発明の範囲に含まれるものと理解頂きたい(例えば、様々な電子化学的センサーを備えたカートリッジ、又は試験部位が電子化学的試薬と接触する電極を有するカートリッジ)。光学的透過率測定法を考慮した試験部位の構成も提供している。
【0092】
図10は、試験部位が光学測定法を考慮していることを示す適したカートリッジ構成の別の断面を示している。図示のように、カートリッジ(1000)は、非多孔質の底部層(1002)と、非多孔質の透明な薄膜層(1008)と、サンプル分配層(1010)と、非多孔質の透明な上部層(1014)を備えている。底部層(1002)とサンプル分配層(1010)は、それぞれ(1004)と(1012)で示す幾つかの不透明な領域を有している。この例では、不透明な領域(1012)は、サンプルが通過するのを防ぐために非多孔質でもある。この様に、光(L)は、底部層の透明部(1006)を通して当てられる。サンプルは、左からサンプル分配層(1010)へ流れ込む。
【0093】
この構成では、光(L)は、サンプル分配層(1010)を通過し、層内に入っているサンプルと検体を照らす。しかしながら、サンプルは非多孔質領域(1012)を通過しないようになっているので、透明な領域(1013)にはサンプルが、従って検体も入っておらず、制御基準として用いられる。試験領域(1011)全体を照らす光(L)は、検体をその対応する波長で検出することができ、情報を検出器(D)へ送る。同様に、制御基準領域(1013)を照らす光(L)は、制御光路(CLP)として作用する。
【0094】
図11Aと図11Bは、様々な透明領域を使用しているカートリッジ構成の変形例である。図11Aに示しているように、カートリッジ(1100)は、非多孔質底部層(1102)と、サンプル分配層(1108)と、非多孔質上部透明層(1110)を備えている。この変形例では、適した光源からの光(L)は、上部透明層(1110)を通過し、サンプル分配層(1108)を通過し、次に底部層(1102)の一部分(1101)で反射される。反射光は、底部層(1102)の反対側の部分(1103)で反射し、サンプル分配層(1108)と上部透明層(1110)を通り移動し続けて戻り、検出器(D)によって検出される。底部層の光を反射するための部分は、適していればどの様な方法で作ってもよい。例えば、底部層は、様々な角度を含むように成形してもよいし、必要な角度を作るために、追加部品を底部層に接着してもよい。角度(1104)と(1106)は、反射光のパターンを必要に応じて増大、低減又は変化させるよう調整することができる。
【0095】
図11Bの構成は、光を反射するように構成されている部分が、底部層(1114)ではなくサンプル分配層(1116)にあることを除いて、図11Aの構成と同様である。従って、光を反射するように構成されている部分が底部層(1114)には無いので、底部層は、透明でなくともよい。光を反射するように構成されている部分がサンプル分配層(1116)に配置されていると、検出感度を上げるのに役に立つ。図11Aの構成の場合と同様に、図11Bの角度(1118)と(1120)は、その部分を通って反射する光の長さとパターンを調整するのに、適していればどの様な様式で調整してもよい。
【0096】
IV.接合又は標示薬区域の構成
先に述べたように、適した接合又は標示器区域の構成は数多くある。選択される構成は、通常、実行する試験の化学的性質によって変わる。概括すると、これらの構成は、測定対象検体の濃度範囲と、検体の分子量及び構造とを考慮して設計されている。
【0097】
例えば、或る種の検体は、高濃度で存在し、酵素又は着色形成試薬との反応の結果として検出することができる。これらの検体は、直接測定することもできるし、複合体の形成又は標示薬区域内の試薬との反応によって測定することもできる。この範疇に含まれる代表的な検体には、リチウム、ソジウム、ヘモグロビン、ビリルビンなどが含まれる。
【0098】
検体には、非酵素的又は酵素的に酸化還元反応するものもある。これらの型式の酸化還元反応は、発生する際に、酸化又は還元形態のニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(「NAD」又は「NADH」)、ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド・リン酸塩(「NADP」)、酸化又は還元形態のフラビン・アデニン・ジヌクレオチド(「FAD」及び「FADH」)、及び過酸化水素の様な通常の酸化還元中間体が結果的に生成される場合もされない場合もある。同様に、これらの反応は、発生する際に、電子化学的センサーからの電子の取得又は損失がある場合も無い場合もある。酸化還元中間体が作られる場合、中間体は、随意的に発色性の基質を酸化又は還元する。この様式で検出するのに適した検体には、限定するわけではないが、総コレステロール、HDLコレステロール、グルコース、βヒドロキシ酪酸塩、ヘモグロビンなどが含まれる。
【0099】
検体の中には、物理的方法(例えば、比色計、反射計、蛍光、電子化学など)によって直接検出できる特性を有するか、又は先に述べた場合(コレステロールエステル、トリグルセリドなど)と同様の酸化還元反応性を有する物質を作るために、加水分解酵素によって分割できる検体もある。上記基準では反応性ではあるが、直接の酸化還元反応又は検出を測定できないほど低い濃度で存在する検体には、免疫化学的又は他の特定の結合分析が適している。同様に、上記基準では反応性ではない検体にも、免疫化学的又は他の特定の結合分析が適している。
【0100】
抗体と結合する1つ又は少数のエピトープを有する低分子量検体には、均質又は異質な競合又は競合抑制免疫学的測定法が適している。この範疇に含まれる代表的な検体には、バルプロ酸、カルバマゼピン、コルチゾール、チロキシン(「T4」)、トリヨードチロニン(「T3」)、ジゴキシン、フェニトイン、フェノバルビタール、テオフィリンなどが含まれる。
【0101】
2つ以上のエピトープを備えた高い分子量化合物には、検体の濃度次第で、1つ又は2つの抗体(サンドイッチ、競合又は競合抑制)を使用する均質又は異質な免疫学的測定法が適している。この範疇に含まれる代表的な検体には、限定するわけではないが、ヘモグロビンAlc(「HbAlc」)、絨毛性腺刺激ホルモン(「hCG」)、甲状腺刺激ホルモン(「TSH」)、高感度TSH、脳ナトリウム利尿ペプチド(「BNP」)、心筋トロポニンI(「cTnl」)、クレアチン・キナーゼ・イソエンザイムMB(「CKMB」)、サイトカイン、マイクロアルブミン、ミオグロビンなどが含まれる。検体が非常に低い濃度で存在している場合、蛍光微粒子又は酵素標識を使用するサンドイッチ免疫学的測定法が望ましい。感度を改良するには、化学発光検出法を用いるのがよい。
【0102】
検体が酵素又は触媒活性を備えた他の高分子である場合、2つ以上の望ましい試験部位構成が考えられる。例えば、活性度分析は、1つ又は複数の基質を使用して実行され、基質は1つ又は複数の生成物に変わり、直接又は間接的に検出される。この範疇に含まれる代表的な検体には、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (「SGOT」)、アラニン・アミノトランスフェラーゼ(「ALT」)、アルカリ(性)ホスファターゼ(「ALK−P」)、アミラーゼ、クレアチン・キナーゼ(「CK」)などが含まれる。同様に、高分子量化合物に関して先に概説した質量分析(サンドイッチ、競合又は競合抑制免疫学的測定法)は、例えば、検体がCKMBなどであるときに用いられる。
【0103】
V.試験部位の構成
以下は、ここに記載のカートリッジと共に使用される様々な試験部位構成の例である。これらの例は、記載しているカートリッジと共に使用するのに適した試験部位構成の多くの変形例を網羅しているのでも、包括しているのでもないものと理解頂きたい。これらの例は、例示を目的としており、本発明に限定を課すものではない。
【0104】
A.アポ酵素再活性化免疫学的測定法システム(「ARIS」)分析
この型式の均質な免疫学的測定法は、バルプロ酸、カルバマゼピン、又はチロキシンの様な小さな分子の検体に特に向いているが、免疫グロブリンのような大きな検体を検出するのにも用いられる。接合体は、検体が、フラビン・アデニン・ジヌクレオチド(「FAD」)に共有結合され作られている。この接合体は、特定の抗体と結合するために、サンプル内の標識の付いていない検体と競合する。サンプルからの自由な検体との競合のため、抗体と結合されていないFAD接合検体は、アポグルコースオキシダーゼと自由に結合し、それを活性化させる。その結果として生成されたグルコースオキシダーゼの活性度は、サンプル内の検体の量に正比例している。
【0105】
例えば、図6Aを見ると、接合区域(610)は、アポグルコースオキシダーゼ、FAD検体::抗検体抗体の事前形成された複合体、グルコース、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(「HRP」)、及び発色性、蛍光性又は化学発光HRP基質を含んでいる。サンプルがFAD検体::抗検体抗体複合体からFAD検体を競合排除すると、FAD検体は、アポグルコースオキシダーゼと自由に結合し、それを活性化させる。図6Bでは、接合区域(622)には、アポグルコースオキシダーゼ、FAD検体::抗検体抗体の事前形成された複合体、及び、HRPが含まれており、表示薬区域(628)には、グルコースと、発色性、発光性又は化学発光HRP基質が含まれている。
【0106】
B.酵素倍加免疫学的測定法技法(「EMIT」)分析
この型式の均質な免疫学的測定法は、フェニトイン、バルプロ酸、及びチロキシンのような小さな分子の検体に特に向いているが、免疫グロブリンのような大きな検体を検出するのにも用いられる。接合体は、検体が酵素と共有結合されるように作られている。この接合体は、特定の抗体に結合するために、サンプル内の標識の付いていない検体と競合する。或る例では、抗体と結合している検体接合酵素は、活性度が下がっている。サンプル内に存在している検体は、抗体結合と競合し、検体接合酵素を放出する。従って、サンプル内の検体濃度が高くなるほど、観察される酵素の活性度は高くなる。システム又は装置によって適温を監視し補正すると、単に終点ではなく、反応速度を決めることができる。(実際、幾つかの例では、温度を監視することは、例えば、酵素の活性度が直接測定されている場合には、非常に望ましい。)
【0107】
例えば、図6Aを見ると、接合区域(610)には、検体−酵素::抗検体抗体の事前形成された複合体が、酵素基質と共に含まれている。サンプルが検体−酵素::抗検体抗体複合体から検体−酵素を競合排除すると、検体−酵素は、その発色性、蛍光性又は化学発光基質上で自由に活動する。従って、色形成速度は、サンプル内の検体の濃度に正比例する。同様に図6Bを見ると、接合区域(622)には、検体−酵素::抗検体抗体の事前形成された複合体が含まれており、表示薬区域(628)には、発色性、発光性又は化学発光酵素基質が含まれている。
【0108】
EMIT分析に用いられる代表的な酵素には、リゾチーム、グルコース−6−リン酸塩デヒドロゲナーゼ、りんご酸塩デヒドロゲナーゼ、及びβガラクトシダーゼが含まれる。
【0109】
C.競合結合分析
この型式の分析の或るバージョンでは、サンプル内の検体は、特定の結合パートナーに結合するために標識の付いた検体と競合する。分析の最後で結合パートナーと関係付けられた標識の量は、サンプル内の検体の濃度に逆比例している。例えば、図7Aでは、接合区域(710)には、標識付き検体::抗検体抗体の事前形成された複合体が含まれている。サンプルは、この複合体と接触すると、抗体結合部位用の結合標識と競合し、標識を複合体から追い出す。捕捉区域(716)には、第1抗体に抗し非拡散的に不動化された抗体が含まれている。第1抗体は、この部位で、残っている結合標識と共に捕捉される。この部位で測定される信号は、サンプル内の検体の濃度に間接比例している。バルプロエートの場合、サンプル内のバルプロエートは、ヤギの抗バルプロエート抗体に結合するために、標識付きのバルプロエート類似体と競合する。この抗体は、捕捉区域に向かって流れ、そこでロバの抗ヤギ抗体によって捕捉される。結合されていない検体と標識付き検体は、捕捉区域から放射状に流れ、捕捉区域内の信号は、サンプル内のバルプロエートの濃度に間接比例している。
【0110】
この分析型式の別のバージョンでは、特定の結合パートナーが標識を携えている。この場合、サンプルからの検体に結合していない標識付き結合パートナーは、検体、又は、例えば、捕捉区域内で不動化している検体類似体と自由に結合する。例えば、図8Aでは、接合区域(818)には、試験する検体に特定の、1つ又は複数の標識付き抗体又は他の結合パートナーが含まれている。標識付き抗体又は他の結合パートナーは、サンプル内の検体と混ざり、捕捉区域(822)へ流れ、そこで、検体に結合していない標識付き抗体又は他の結合パートナーは、そこで不動化されている検体と結合する。例えば、チロキシン場合、標識付の抗体は、抗チロキシン抗体である。サンプル内のチロキシンと反応しなかった標識付き抗体は、捕捉区域に向かって流れ、そこで不動化されているチロキシン抗原と反応する。
【0111】
D.サンドイッチ結合分析
この型式の均質分析は、絨毛性腺刺激ホルモン(「hCG」)及び甲状腺刺激ホルモン(「TSH」)の様な少なくとも2つの特定結合部位を備えた大きい分子の検体に特に向いている。この分析を行うために、2つの特定の結合パートナーの一方は、標識と接合している。反応の第1段階では、サンプル内の検体は、標識付き結合パートナーと混ざり合い、それと結合する。その後、反応混合物は捕捉区域へ流れ、そこで、検体と結合した標識付き結合パートナーが、同じ検体用の第2結合パートナーを使って捕捉される。捕捉区域で読み取られる信号は、サンプル内の検体の濃度に正比例している。
【0112】
例えば、図8Aを見ると、接合区域(818)には、問題の検体に特定の、拡散的に不動化された標識付き抗体が入っている。サンプルがこの抗体に接触すると、検体がそれと結合する。混合物は、次に、捕捉区域(822)へ流れ、そこで、検体に特定の第2抗体が非拡散的に不動化される。この抗体は、検体::標識付き抗体の複合体を捕捉する。血液内のhCGの場合、接合区域内の標識付き抗体は、hCGの1つのエピトープに特定のものである。捕捉区域内で不動化された抗体は、第2エピトープに特定のものである。
【0113】
E.色を発生させるためのサンプルの処理
ここでは、試験のサンプルは、随意的に希釈され、カートリッジに加えられ、標示薬区域、希釈剤、捕捉区域、又はその3つ全てに存在する試薬で処理され、サンプルの成分と着色反応を作り出し、それが読み取り区域で検出される。血液内のヘモグロビンの場合、サンプルの希釈剤には、赤血球を溶解させる洗浄剤と、ヘモグロビンを酸化させてメトヘモグロビンにするフェリシアン化カリウムの様な酸化剤が入っている。捕捉区域で読み取られた赤茶色は、サンプル内のヘモグロビンの量に正比例している。
【0114】
F.酵素分析
ここでは、酵素の活性度が、標示薬区域内で拡散的に不動化されている酵素基質が入っているカートリッジにサンプルを加えることによって測定される。混合物は標示薬区域に流れ、そこで、色の発生(又は何れかの他の検出可能な変化)が起こる。この時点で、信号が検出される。図5に示す試験部位の構成は、この型式の分析に向いている。例えば、血液中のアラニン・アミノトランスフェラーゼ(「ALT」)を試験するときは、トランスアミナーゼ反応用の基質(ピリドキサル・リン酸補因子が入っている適切な緩衝材と共に、α−トグルタル酸及びアラニン)と、ピルビン酸オキシダーゼ及びリン酸ナトリウムと、セイヨウワサビペルオキシダーゼ及びその発色性基質TMBなどは、標示薬区域内で拡散的に不動化される。乾燥材料がトランスアミナーゼ活性度を含んでいるサンプルによって再構築されるときに、色(酸化TMB発色団の生成によって生じる反射率の変化)は、ALTの濃度に比例する速度で生成される。
【0115】
G.アルカリ性ホスファターゼ分析
アルカリ性ホスファターゼでは、4−メチルウンベリフェロン7−リン酸塩(MUP)の様な蛍光発生基質は、アルカリ性ホスファターゼの作用によって加水分解され、蛍光化合物(メチルウンベリフェロン)になる。適切な緩衝材内のMUP溶液は、標示薬区域内の薄膜上に堆積され、乾かされる。サンプルが混合物を再水和すると、MUPは、血液サンプル内のアルカリ性ホスファターゼの濃度に正比例する速度で加水分解され、比例して蛍光性を増加させる。この蛍光性の増加率が、メモリに記憶されているアルゴリズムと補正因子に従って処理モジュールにより酵素単位に変換される。
【0116】
H.総コレステロール酸化還元化学分析
総コレステロールが反応性検体である場合、カートリッジは、以下の化学反応を考慮して構成される。
【0117】
(コレステロールエステラーゼ) コレステロールエステラーゼ+HO→コレステロール+脂肪酸
(コレステロールオキシダーゼ) コレステロールO→コレステン−3−one+H
(ペルオキシダーゼ) H+標示薬→HO+酸化した標示薬
(色又は蛍光性)
【0118】
I.グルコース用の乾燥試薬試験部位を作る方法
標示薬(TMB、N,N,N,Nテトラメチルベンジジン、又は、MolecularProbes社が販売している、酸化されるとレゾルフィンになるAmplex Redの様な蛍光発生基質)、グルコースオキシダーゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、及び25mM MES緩衝材PH6の水溶液は、標示薬区域に注入される。滴の寸法は、通常、使用されるサポートの厚さによって決まり、約0.1μLから約5μLまで様々である。小滴が標示薬区域で薄膜サポートによって吸収された後で、カートリッジは、空気循環を一定にして低い相対湿度(10%より下)に維持されている乾燥オーブン(40℃)に移される。流体が蒸発すると、カートリッジは、取り出され、少量の乾燥剤(例えば、約0.5gから約1.0gの分子ふるい材料又はシリカジェル)を備えたパケットが入っている箔積層袋に移される。その後、袋は、熱密封材で密閉され、試験が必要になるまで保存される。
【0119】
ここでも、直ぐ上に述べた代表的な試験部位構成全てにおいて、読み取り区域で検出可能な変化(反射率、蛍光性、色、透過率、吸収率などの変化)は、カートリッジ上で正確な位置になくてもよいものと理解頂きたい。アレイ検出器は、処理モジュール及びその画像分析能力と協働して、システムが、試験部位読み取り区域の場所を識別し、更に、定量的な情報を抽出するのに最適な画像の部分を判定できるようにする。
【0120】
VI.キット
少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するためのキットも提供されている。例えば、キットは、システムとカートリッジを備えている。キットのシステムは、先に述べた何れのシステムでもよく、例えば、装置、メモリ、及び処理モジュールを備えたシステムである。装置は、通常、カートリッジの少なくとも一部分を受け入れるよう構成されているポートと、光源と、アレイ検出器とを備えている。
【0121】
或る変形例では、カートリッジの少なくとも一部分は、装置のポートから突き出るように構成されている。この様にして、突出部は、先に述べたように、赤血球分離器、固有の識別子タグ、又は両方の混合体を備えている。カートリッジは、例えば、1回だけ使用するように作られた使い捨てでもよい。キットのカートリッジは、密封されているが、開くことのできる耐水パッケージに包装されていてもよい。
【0122】
同様に、キットは、カートリッジ自体、又は様々なカートリッジのパケットを備えていてもよい。こうすると、各カートリッジが異なる又は同様の診断又は分析能力を有している異なるカートリッジを、まとめて出荷することができる。キットは、上に述べたカートリッジ、装置、又はシステムを使用するための指示書も備えている。
【0123】
VII.方法
以上説明してきたことから明らかなように、ここに述べてきたカートリッジ及び装置を使って少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するための方法も提供されている。概括的には、本方法は、少なくとも2つの試験部位を有するカートリッジ用の補正情報を取得する段階と、アレイ装置を使ってカートリッジの画像を取得する段階と、読み取り区域の内の少なくとも1つの位置を識別するためにカートリッジの画像分析を実行する段階と、試験に必要な特定の検出又は定量化を繰り返し行う段階を含んでいる。少なくとも2つの異なる検出技法が用いられている。更に、ここに記載している方法によって生み出される1つ又は複数の試験結果を精査する方法も提供されている。ここに記載している技法を使って病気又は状態を診断又は診断の支援をする方法も提供されている。
【0124】
以上説明してきたように、ここに記載のシステム、装置、カートリッジ、キット、コンピューター読み取り可能媒体、及び方法は、少なくとも2つの異なる技法を使って1つのサンプルで少なくとも2つの異なる検体の検出又は定量化を行うことを提供する。しかしながら、ここに記載のシステム、装置、カートリッジ、キット、コンピューター読み取り可能媒体、及び方法は、ここに記載した例そのものに限定されるものではないものと理解頂きたい。従って、当業者には自明のように、上に述べたシステム、装置、カートリッジ、キット、コンピューター読み取り可能媒体、及び方法に修正を加えることは、特許請求項の範囲に含まれるものとする。
【0125】
(参考発明1)
少なくとも2つの異なる検体を検出及び定量化するための少なくとも2つの試験部位読み取り区域を有し、前記少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するために少なくとも2つの異なる技法を使用するように構成されている、少なくとも2つの試験部位を備えているカートリッジにおいて、前記少なくとも2つの試験部位読み取り区域の内の少なくとも1つの位置は、対応する測定装置に左右されない、カートリッジ。
【0126】
(参考発明2)
前記少なくとも2つの異なる検体は、構造的及び化学的に同じであるが、異なる濃度を有している、参考発明1に記載のカートリッジ。
【0127】
(参考発明3)
前記技法は、酵素分析法、特定結合分析法、免疫学的測定法、核酸雑種形成分析法、蛍光標識法、化学発光標識法、電子化学発光標識法、蛍光測定法、化学発光測定法、電子化学発光測定法、反射率測定法、透過率測定法、吸収率測定法、濁度測定法、電気化学法、及びその組み合わせから成るグループから独立して選択される、参考発明1に記載のカートリッジ。
【0128】
(参考発明4)
少なくとも3つの試験部位読み取り区域を備えている、参考発明1に記載のカートリッジ。
【0129】
(参考発明5)
少なくとも6つの試験部位読み取り区域を備えている、参考発明1に記載のカートリッジ。
【0130】
(参考発明6)
少なくとも1つの試験部位は、治療、病気、機能不全、又は慢性疾患に特有の検体を検出又は定量化するように構成されている、参考発明1に記載のカートリッジ。
【0131】
(参考発明7)
少なくとも1つの試験部位は、濫用物質である検体を検出又は定量化するように構成されている、参考発明1に記載のカートリッジ。
【0132】
(参考発明8)
少なくとも1つの試験部位は、医薬品又はその副産物である検体を検出又は定量化するように構成されている、参考発明1に記載のカートリッジ。
【0133】
(参考発明9)
少なくとも1つの試験部位は、環境毒素又は汚染物質である検体を検出又は定量化するように構成されている、参考発明1に記載のカートリッジ。
【0134】
(参考発明10)
少なくとも1つの試験部位は、生物学的又は化学的抗血液凝固剤である検体を検出又は定量化するように構成されている、参考発明1に記載のカートリッジ。
【0135】
(参考発明11)
前記少なくとも2つの試験部位は、高さが異なる、参考発明1に記載のカートリッジ。
【0136】
(参考発明12)
固有の識別子タグを更に備えている、参考発明1に記載のカートリッジ。
【0137】
(参考発明13)
前記固有の識別子タグは、バーコード、機械的パターン、マイクロチップ、及び印刷パターンから成るグループから選択される、参考発明12に記載のカートリッジ。
【0138】
(参考発明14)
前記カートリッジは、密封されているが、開くことのできる耐水パッケージ内に収納されている、参考発明1に記載のカートリッジ。
【0139】
(参考発明15)
約20μL以下のサンプル量を受け入れるように構成されている、参考発明1に記載のカートリッジ。
【0140】
(参考発明16)
体液のサンプルを受け入れるように構成されている、参考発明1に記載のカートリッジ。
【0141】
(参考発明17)
前記体液は、血液全体、血漿、血清、汗、唾液、涙、間質液、髄液、眼球流体、膿、乳、精液、羊水、膣液、粘液質分泌物、及び尿から成るグループから選択される、参考発明16に記載のカートリッジ。
【0142】
(参考発明18)
少なくとも一部分が非多孔質である底部層と、
サンプル分配層と、
少なくとも2つの試験部位読み取り区域を有する少なくとも2つの試験部位と、を備えているカートリッジにおいて、
前記試験部位は、前記サンプル分配層に隣接しているか、又は埋め込まれており、2つの異なる技法を使って少なくとも2つの検体を検出するように構成されており、
前記少なくとも2つの試験部位読み取り区域の内の少なくとも1つの位置は、対応する測定装置に左右されない、カートリッジ。
【0143】
(参考発明19)
前記少なくとも2つの異なる検体は、構造的及び化学的に同じであるが、異なる濃度を有している、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0144】
(参考発明20)
前記サンプル分配層の少なくとも一部分は、多孔質材料で作られている、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0145】
(参考発明21)
前記サンプル分配層は、開いたチャネル毛管層である、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0146】
(参考発明22)
赤血球分離層を更に備えている、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0147】
(参考発明23)
前記底部層、前記サンプル分配層、及び前記試験部位を一体に接着させるように構成されている保持層を更に備えている、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0148】
(参考発明24)
少なくとも3つの試験部位読み取り区域を備えている、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0149】
(参考発明25)
少なくとも6つの試験部位読み取り区域を備えている、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0150】
(参考発明26)
少なくとも1つの試験部位は、治療、病気、機能不全、又は慢性疾患に特有の検体を検出又は定量化するように構成されている、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0151】
(参考発明27)
少なくとも1つの試験部位は、濫用物質である検体を検出又は定量化するように構成されている、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0152】
(参考発明28)
少なくとも1つの試験部位は、医薬品又はその副産物である検体を検出又は定量化するように構成されている、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0153】
(参考発明29)
少なくとも1つの試験部位は、環境毒素又は汚染物質である検体を検出又は定量化するように構成されている、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0154】
(参考発明30)
少なくとも1つの試験部位は、生物学的又は化学的抗血液凝固剤である検体を検出又は定量化するように構成されている、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0155】
(参考発明31)
前記少なくとも2つの試験部位は、高さが異なる、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0156】
(参考発明32)
固有の識別子タグを更に備えている、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0157】
(参考発明33)
前記固有の識別子タグは、バーコード、機械的パターン、マイクロチップ、及び印刷パターンから成るグループから選択される、参考発明32に記載のカートリッジ。
【0158】
(参考発明34)
前記カートリッジは、密封されているが、開くことのできる耐水パッケージ内に収納されている、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0159】
(参考発明35)
約20μL以下のサンプル量を受け入れるように構成されている、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0160】
(参考発明36)
体液のサンプルを受け入れるように構成されている、参考発明18に記載のカートリッジ。
【0161】
(参考発明37)
前記体液は、血液全体、血漿、血清、汗、唾液、涙、間質液、髄液、眼球流体、膿、乳、精液、羊水、膣液、粘液質分泌物、及び尿から成るグループから選択される、参考発明36に記載のカートリッジ。
【0162】
(参考発明38)
少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するためのシステムにおいて、
少なくとも2つの試験部位読み取り区域を有しているカートリッジの、少なくとも1つの試験部位読み取り区域を有する部分を受け入れるように構成されているポートと、光源と、アレイ検出器と、を備えている装置と、
メモリと、
前記アレイ検出器からの信号を受信し、前記試験部位読み取り区域の内の少なくとも1つの位置を識別するために前記カートリッジの画像分析を実行するように構成されている処理モジュールと、を備えており、
少なくとも2つの異なる検出又は定量化技法を使って、前記少なくとも2つの検体を検出又は定量化できるようにする、システム。
【0163】
(参考発明39)
前記技法は、酵素分析法、特定結合分析法、免疫学的測定法、核酸雑種形成分析法、蛍光標識法、化学発光標識法、電子化学発光標識法、蛍光測定法、化学発光測定法、電子化学発光測定法、反射率測定法、透過率測定法、吸収率測定法、濁度測定法、電気化学法、及びその組み合わせから成るグループから独立して選択される、参考発明38に記載のシステム。
【0164】
(参考発明40)
前記処理モジュールは、エラー状態を判定するように構成されている、参考発明38に記載のシステム。
【0165】
(参考発明41)
前記エラー状態は、失効したカートリッジ、不適切なサンプル量、不可能な検体値、試薬の機能不全、機械的機能不全、電子的機能不全、及びそれらの組み合わせから成るグループから選択される、参考発明40に記載のシステム。
【0166】
(参考発明42)
サーバー接続線を更に備えている、参考発明38に記載のシステム。
【0167】
(参考発明43)
前記処理モジュールは自動的にアップグレード可能である、参考発明38に記載のシステム。
【0168】
(参考発明44)
前記カートリッジ上の固有の識別タグを読み取るように構成されている、参考発明38に記載のシステム。
【0169】
(参考発明45)
前記システムは自己補正する、参考発明38に記載のシステム。
【0170】
(参考発明46)
不揮発性メモリを更に備えている、参考発明38に記載のシステム。
【0171】
(参考発明47)
コンピューターを更に備えている、参考発明38に記載のシステム。
【0172】
(参考発明48)
少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するためのキットにおいて、
参考発明38に記載の前記システムと、
試験部位読み取り区域を有する試験部位を有しているカートリッジと、を備えているキット。
【0173】
(参考発明49)
前記カートリッジの少なくとも一部分は、前記装置の前記ポートから突き出るように構成されている、参考発明48に記載のキット。
【0174】
(参考発明50)
前記突出部分は赤血球分離器を備えている、参考発明49に記載のキット。
【0175】
(参考発明51)
前記カートリッジは使い捨てである、参考発明48に記載のキット。
【0176】
(参考発明52)
少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するための装置において、
少なくとも2つの試験部位読み取り区域を有しているカートリッジの、少なくとも1つの試験部位読み取り区域を有する部分を受け入れるように構成されているポートと、
光源と、
アレイ検出器と、
メモリと、
前記アレイ検出器からの信号を受信し、前記試験部位読み取り区域の内の少なくとも1つの位置を識別するために前記カートリッジの画像分析を実行するように構成されている処理モジュールと、を備えており、
少なくとも2つの異なる検出又は定量化技法を使って、前記少なくとも2つの検体を検出又は定量化できるようにする、装置。
【0177】
(参考発明53)
偏光光学部品を更に備えている、参考発明52に記載の装置。
【0178】
(参考発明54)
前記光源は少なくとも1つのLEDを備えている、参考発明52に記載の装置。
【0179】
(参考発明55)
前記光源は白熱ランプを備えている、参考発明52に記載の装置。
【0180】
(参考発明56)
前記アレイ検出器はCCD又はCMOS技術を備えている、参考発明52に記載の装置。
【0181】
(参考発明57)
前記装置は約1立方フィート以上の体積を占有しない、参考発明52に記載の装置。
【0182】
(参考発明58)
前記技法は、酵素分析法、特定結合分析法、免疫学的測定法、核酸雑種形成分析法、蛍光標識法、化学発光標識法、電子化学発光標識法、蛍光測定法、化学発光測定法、電子化学発光測定法、反射率測定法、透過率測定法、吸収率測定法、濁度測定法、電気化学法、及びその組み合わせから成るグループから独立して選択される、参考発明52に記載の装置。
【0183】
(参考発明59)
前記処理モジュールは、エラー状態を判定するように構成されている、参考発明52に記載の装置。
【0184】
(参考発明60)
前記エラー状態は、失効したカートリッジ、不適切なサンプル量、不可能な検体値、試薬の不調、機械的機能不全、電子的機能不全、及びそれらの組み合わせから成るグループから選択される、参考発明59に記載の装置。
【0185】
(参考発明61)
前記カートリッジ上の固有の識別タグを読み取るように構成されている、参考発明52に記載の装置。
【0186】
(参考発明62)
バックアップ電源を更に備えている、参考発明52に記載の装置。
【0187】
(参考発明63)
不揮発性メモリを更に備えている、参考発明52に記載の装置。
【0188】
(参考発明64)
少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するための少なくとも2つの試験部位読み取り区域を備えており、前記少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するために少なくとも2つの異なる技法を使用するように構成されているカートリッジの画像分析を実行するためのコードが入っているコンピューター読み取り可能媒体において、前記画像分析は、前記試験部位読み取り区域の内の少なくとも1つの位置を識別する、コンピューター読み取り可能媒体。
【0189】
(参考発明65)
前記コンピューター読み取り可能な媒体はファームウェアである、参考発明64に記載のコンピューター読み取り可能媒体。
【0190】
(参考発明66)
前記コンピューター読み取り可能な媒体はソフトウェアである、参考発明64に記載のコンピューター読み取り可能媒体。
【0191】
(参考発明67)
少なくとも2つの異なる検出又は定量化技法を使って1つのカートリッジで少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するための方法において、
少なくとも2つの試験部位読み取り区域を有するカートリッジの補正情報を取得する段階と、
アレイ検出器を使って前記カートリッジの画像を取得する段階と、
前記カートリッジの画像分析を実行して少なくとも1つの試験部位読み取り区域の位置を識別する段階と、
前記試験部位読み取り区域に必要な検出又は定量化技法に対応する特定の検出又は定量化技法を繰り返す段階であって、少なくとも2つの異なる技法が用いられている、段階と、から成る方法。
【0192】
(参考発明68)
検体を検出又は定量化するための装置において、
カートリッジの、少なくとも1つの試験部位読み取り区域を有する部分を受け入れるように構成されているポートと、
自動的にアップグレードすることのできる処理モジュールと、を備えている装置。
【0193】
(参考発明69)
前記処理モジュールは、遠隔ソースから自動的にアップグレードすることができる、参考発明68に記載の装置。
【0194】
(参考発明70)
前記遠隔ソースは、電話データ接続を介してアクセスすることができる、参考発明69に記載の装置。
【0195】
(参考発明71)
前記遠隔ソースは、インターネット接続を介してアクセスすることができる、参考発明69に記載の装置。
【0196】
(参考発明72)
前記処理モジュールは、遠隔ソースから、ロット固有の補正情報を自動的に取得する、参考発明69に記載の装置。
【0197】
(参考発明73)
前記処理モジュールは、遠隔ソースから、ロット固有の失効情報を自動的に取得する、参考発明69に記載の装置。
【0198】
(参考発明74)
前記処理モジュールは、遠隔ソースから、ソフトウェアのアルゴリズムを自動的に取得する、参考発明69に記載の装置。
【0199】
(参考発明75)
前記処理モジュールは、遠隔ソースから、整備、修理、又は機械的アップグレードに関する通知を自動的に受信する、参考発明69に記載の装置。
【0200】
(参考発明76)
少なくとも1つの検体を検出又は定量化するための方法において、
カートリッジの、少なくとも、少なくとも1つの試験部位読み取り区域を有する部分を受け入れるように構成されているポートと、自動的にアップグレードすることのできる処理モジュールと、を備えている装置を提供する段階と、
前記処理モジュールが自動的にアップグレードされるようにする段階と、
前記処理モジュールが自動的に更新されるようにする段階と、
前記アップグレードされた処理モジュールを使って、少なくとも1つの試験結果を計算する段階と、から成る方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するためのシステムにおいて、
少なくとも一部分が非多孔質である底部層と、サンプル分配層と、少なくとも2つの試験部位読み取り区域を有する少なくとも2つの試験部位とを備えているカートリッジの、少なくとも1つの試験部位読み取り区域を有する部分を受け入れるように構成されているポートと、光源と、アレイ検出器と、を備えている装置と、
メモリと、
前記アレイ検出器からの信号を受信し、前記試験部位読み取り区域の内の少なくとも1つの位置を識別するために前記カートリッジの画像分析を実行するように構成されている処理モジュールと、を備えており、
前記試験部位は、前記サンプル分配層に隣接しているか、又は埋め込まれており、
前記少なくとも2つの試験部位読み取り区域の内の少なくとも1つの位置は、対応する測定装置に左右されないものであり、
1つの前記試験部位の高さは他の試験部位の高さよりも高く、
少なくとも2つの異なる検出又は定量化技法を使って、前記少なくとも2つの検体を検出又は定量化できる、システム。
【請求項2】
前記技法は、酵素分析法、特定結合分析法、免疫学的測定法、核酸雑種形成分析法、蛍光標識法、化学発光標識法、電子化学発光標識法、蛍光測定法、化学発光測定法、電子化学発光測定法、反射率測定法、透過率測定法、吸収率測定法、濁度測定法、電気化学法、及びその組み合わせから成るグループから独立して選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理モジュールは、エラー状態を判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記エラー状態は、失効したカートリッジ、不適切なサンプル量、不可能な検体値、試薬の機能不全、機械的機能不全、電子的機能不全、及びそれらの組み合わせから成るグループから選択される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
サーバー接続線を更に備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理モジュールは自動的にアップグレード可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記カートリッジ上の固有の識別タグを読み取るように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは自己補正する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
不揮発性メモリを更に備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
コンピューターを更に備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するためのキットにおいて、
請求項1に記載の前記システムと、
試験部位読み取り区域を有する試験部位を有しているカートリッジと、を備えているキット。
【請求項12】
前記カートリッジの少なくとも一部分は、前記装置の前記ポートから突き出るように構成されている、請求項11に記載のキット。
【請求項13】
前記突出部分は赤血球分離器を備えている、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記カートリッジは使い捨てである、請求項11に記載のキット。
【請求項15】
少なくとも2つの異なる検体を検出又は定量化するための装置において、
少なくとも一部分が非多孔質である底部層と、サンプル分配層と、少なくとも2つの試験部位読み取り区域を有する少なくとも2つの試験部位とを備えているカートリッジの、少なくとも1つの試験部位読み取り区域を有する部分を受け入れるように構成されているポートと、
光源と、
アレイ検出器と、
メモリと、
前記アレイ検出器からの信号を受信し、前記試験部位読み取り区域の内の少なくとも1つの位置を識別するために前記カートリッジの画像分析を実行するように構成されている処理モジュールと、を備えており、
前記試験部位は、前記サンプル分配層に隣接しているか、又は埋め込まれており、
前記少なくとも2つの試験部位読み取り区域の内の少なくとも1つの位置は、対応する測定装置に左右されないものであり、
1つの前記試験部位の高さは他の試験部位の高さよりも高く、
少なくとも2つの異なる検出又は定量化技法を使って、前記少なくとも2つの検体を検出又は定量化できる、装置。
【請求項16】
偏光光学部品を更に備えている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記光源は少なくとも1つのLEDを備えている、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記光源は白熱ランプを備えている、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記アレイ検出器はCCD又はCMOS技術を備えている、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記装置は約0.0283立方メートル以上の体積を占有しない、請求項15に記載の装置。
【請求項21】
前記技法は、酵素分析法、特定結合分析法、免疫学的測定法、核酸雑種形成分析法、蛍光標識法、化学発光標識法、電子化学発光標識法、蛍光測定法、化学発光測定法、電子化学発光測定法、反射率測定法、透過率測定法、吸収率測定法、濁度測定法、電気化学法、及びその組み合わせから成るグループから独立して選択される、請求項15に記載の装置。
【請求項22】
前記処理モジュールは、エラー状態を判定するように構成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項23】
前記エラー状態は、失効したカートリッジ、不適切なサンプル量、不可能な検体値、試薬の不調、機械的機能不全、電子的機能不全、及びそれらの組み合わせから成るグループから選択される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記カートリッジ上の固有の識別タグを読み取るように構成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項25】
バックアップ電源を更に備えている、請求項15に記載の装置。
【請求項26】
不揮発性メモリを更に備えている、請求項15に記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図3G】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−47685(P2013−47685A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−223058(P2012−223058)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2007−511610(P2007−511610)の分割
【原出願日】平成17年5月4日(2005.5.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)
【Fターム(参考)】