説明

分析機器制御・管理システム

【課題】様々な分析機器をそれぞれ制御する複数の制御ソフトウエア毎に、ユーザ管理、セキュリティポリシー管理などのための設定を行う必要をなくすことで分析作業の効率化、ユーザの負担の軽減を図る。
【解決手段】従来、各制御ソフトウエアがそれぞれ個別に管理していたユーザ情報、セキュリティポリシー情報などを一括して管理する共通の情報管理プラットフォーム3を設け、その中のデータベース32でシステム管理情報を一括して管理する。新規の情報の登録、既存情報の削除、変更などは登録・変更制御部311を通して行い、各制御ソフトウエアは分析遂行上などシステム管理情報が必要なときに情報管理プラットフォーム3に要求を出し、それに応じて各管理機能部312〜320がデータベース32から必要な情報を読み出し又は検索して、要求元の制御ソフトウエアへと送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフ、質量分析装置、分光光度計など、様々な分析機器を制御・管理するための分析機器制御・管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液体クロマトグラフをはじめとする各種の分析機器の制御やデータ処理、データ管理などを行うために、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略す)が広く利用されている。即ち、専用の制御ソフトウエアがアプリケーションソフトウエアの一つとしてパソコンにインストールされており、パソコン上でその制御ソフトウエアを動作させることで、分析機器の制御やデータの収集・管理、データ処理などが実行されるようになっている。このような制御ソフトウエアの一例として、非特許文献1には、液体クロマトグラフを制御するための「LCsolution」という名称のアプリケーションソフトウエアが開示されている。
【0003】
最近では、単一の分析機器とパソコンとの接続だけではなく、同種又は異種の複数の分析機器と1乃至複数のパソコンとをLANなどのデータ通信ネットワークを介して接続した、ネットワーク接続型の管理形態が一般的となってきている。こうしたシステムでは、例えば、複数の分析機器で収集されたデータをサーバで一括管理したり、複数の分析機器で収集されたデータを統合して分析結果レポートを作成したりすることも容易である。
【0004】
上述したような従来の制御・管理システムでは、各パソコンにそれぞれ個別の制御ソフトウエアが搭載されている場合、各ソフトウエアが受け持っている分析機器を制御・管理するために必要なシステム管理情報は全てそのソフトウエアにより独自に保持・管理されている。ここで、制御・管理上必要なシステム管理情報とは、例えば、ユーザ情報、セキュリティポリシー情報、装置情報、表示設定情報、プロジェクト情報、ログ情報、ファイル管理情報、などである。そのため、ユーザは、こうした情報を、制御ソフトウエア毎に、つまりパソコン毎に入力設定してやる必要がある。また、一旦登録した情報を変更したい場合にも同様に、制御ソフトウエア毎に変更の操作を行う必要がある。
【0005】
一例を挙げると、全ての制御ソフトウエアについて登録されているユーザ権限を変更したい場合には、その制御ソフトウエアがインストールされているパソコン毎に、既登録のユーザ権限を変更するキー入力作業が必要になる。こうした入力操作には多大な時間が掛かり、非効率的であるとともにミスも生じ易い。また、分析機器が相違すれば制御ソフトウエアも相違するから、通常、それら制御ソフトウエアにおける情報の入力設定や変更のための操作方法も相違する。そうした場合、オペレータは各制御ソフトウエアでの操作方法を覚えたり覚えていなければいちいち調べたりする必要があり、作業は一段と面倒で煩雑になる。もちろん、こうした問題は、分析機器の数が多い、また分析機器の種類が雑多であるシステムになるほど顕著である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「LabSolutionsシリーズ ワークステーション LCsolution」、[online]、株式会社島津製作所、[平成23年4月12日検索]、インターネット<URL: http://www.an.shimadzu.co.jp/products/data-net/lcsol1.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、分析機器の制御・管理を行うために必要なシステム管理情報の入力設定や変更などに要する労力を大幅に軽減することができ、複数の制御ソフトウエアにおけるシステム管理情報の入力設定や変更のための操作方法をそれぞれ習得する不便さも解消することができる分析機器制御・管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明は、通信ネットワークで相互に接続された複数のコンピュータからなるコンピュータシステムにより、同種又は異種の複数の分析機器をそれぞれ制御・管理する分析機器制御・管理システムであって、
a)それぞれが1乃至複数の分析機器を個別に制御・管理する専用の制御ソフトウエアがコンピュータ上で動作することで具現化される複数の制御・管理部と、
b)前記複数の制御・管理部がそれぞれ担当する分析機器の制御・管理を実行する上で、共通に利用される情報管理プラットフォームと、
を備え、前記情報管理プラットフォームは、
b1)前記複数の制御・管理部が各分析機器の制御・管理を実行する上で必要なシステム管理情報を保持しておくデータベース部と、
b2)前記データベース部に対し少なくとも、新規情報の登録、並びに、既存情報の変更、修正、及び削除を実行する情報管理部と、
b3)前記制御・管理部が分析機器の制御・管理を実行する際に該制御・管理部からの要求を受けて、該要求に応じたシステム管理情報を前記データベース部から抽出して要求元の制御・管理部に送出する情報提供部と、
を含むことを特徴としている。
【0009】
一般に「プラットフォーム」とはハードウエアやOSそのものを指すことが多いが、ここでは、アプリケーションソフトウエアの一つである分析機器用の制御ソフトウエアを動作させる際に必須となるシステム管理情報を保存・管理する機能をいい、その機能は所定のプログラムの実行によって達成される。
【0010】
本発明に係る分析機器制御・管理システムにおいて、システム管理情報とは、例えば、以下の情報を含むものとすることができる。
(1)分析機器を利用するユーザの名前(ユーザ名)、ログインパスワード、ユーザ権限などを含むユーザ情報。
(2)パスワードの有効期限や文字数、或いは不正アクセスに対するロックアウトなどのセキュリティレベルなどを定めるセキュリティポリシー情報。
(3)使用される分析機器について名称や仕様などを定めた装置情報。一般的に、分析機器の名称はユーザが管理上必要な名前をユーザ自身が命名するものであり、多くの場合、該機器の納入時などに定められる。
(4)表示部に分析結果などを表示するための表示設定情報。この表示設定情報には分析結果の項目名などを含むが、これはその分析結果を得るために使用された分析機器の種類毎に共通のものとすることができる。例えば分析機器が液体クロマトグラフであればPDA検出器のデータパラメータ項目名を表示する、また分析機器がガスクロマトグラフであればラインなどの項目名を表示するものとすることができる。
(5)分析条件や分析手順を定めるためのプロジェクト情報。これは例えば、上記装置情報として設定した機器名称をプロジェクトで使用できるか否かを設定するための情報である。
(6)ログインなどの操作やエラー発生などの履歴を管理するログ情報。一般に、履歴の保管期間などはユーザが運用によって任意に決めることができる。
(7)メソッドファイルやデータファイルの形式や保存方法などを定めるためのファイル管理情報。一般的に、分析機器を管理(制御)するソフトウエアによって、分析結果であるデータファイルの保存形式(ファイル拡張子)は異なる。
(8)分析結果を印字するプリンタの管理情報。この情報により、分析機器の種類毎に分析結果の出力先を変更することが可能となる。例えば分析機器が液体クロマトグラフであるときとガスクロマトグラフであるときとで出力先のプリンタを変更することが可能である。
(9)各プログラムの改竄チェック実施とその結果管理情報。具体的には、例えばインストーラ作成時にプログラムのチェックサムを生成し、そのチェックテーブルを作成しておく。インストール後に該テーブルを参照してチェックサムの生成結果を検証することによりプログラムの改竄の有無を検出する。チェックは例えばソフトウエアの据付け時と点検時に実行すればよい。
【0011】
上記情報管理プラットフォームは、制御・管理部を具現化する制御ソフトウエアがコンピュータにインストールされる際に、該ソフトウエアの機能により作成されるようにすればよい。また、既に情報管理プラットフォームを有しているシステムのコンピュータの1つに、別の制御ソフトウエアがイントールされる際には、該ソフトウエアは情報管理プラットフォームを新たに作成しないようにすることで、システムは唯一の情報管理プラットフォームを持つようにすることができる。
【0012】
本発明に係る分析機器制御・管理システムでは、基本的に、各制御・管理部は上述したようなシステム管理情報を保有せず、分析を遂行するため或いは既存の分析結果を利用したデータ処理などを実行するためなど、そうしたシステム管理情報が必要になった場合に、逐次、情報管理プラットフォームに対して必要なシステム管理情報を要求する。情報管理プラットフォームにおいて情報提供部はこの要求を受け、要求されたシステム管理情報をデータベース部から引き出し、要求元の制御・管理部へと送出する。これにより、各制御・管理部は、個々に上記システム管理情報を保有している場合と同様に、分析やデータ処理に係る動作を遂行することができる。
【0013】
なお、情報管理プラットフォームはシステムを構成する複数のコンピュータのいずれに存在していてもよい。例えば、或る1つの制御・管理部が存在するコンピュータにあってもよいし、制御・管理部が存在するコンピュータとは別のサーバにあってもよい。また、データベース部のみをサーバ上に設ける等、情報管理プラットフォームの機能を複数のコンピュータに分割してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る分析機器制御・管理システムによれば、個別の分析機器制御ソフトウエアの数や種類に依らず、共通に利用されるユーザ情報、セキュリティポリシー情報などのシステム管理上必要な情報は一元的に管理される。そのため、そうしたシステム管理情報の新規登録や変更、削除などの操作を制御ソフトウエア毎に行う必要がなくなるので、システム管理などに伴う作業が簡素化され、省力化が図れるとともに入力ミス等による不具合も軽減できる。また、制御ソフトウエア毎に相違する上記情報の入力や変更などの手順を覚える必要がなくなり、オペレータの負担が軽減される。さらにまた、個別の制御ソフトウエアには上記システム管理情報を保有したり管理したりする機能が不要になるため、新規にそうした制御ソフトウエアを開発する際に設計者やプログラマの負担も軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る分析機器制御・管理システムを用いて構成された分析システムの構成の一例を示す概略図。
【図2】本発明に係る分析機器制御・管理システムを用いて構成された分析システムの構成の他の例を示す概略図。
【図3】本発明に係る分析機器制御・管理システムを用いて構成された分析システムの構成の他の例を示す概略図。
【図4】本発明に係る分析機器制御・管理システムにおいて情報管理プラットフォームを中心とする機能ブロック構成図。
【図5】本発明に係る分析機器制御・管理システムにおいてユーザ情報の登録、変更、削除などを行う際に表示部に表示されるユーザ管理画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る分析機器制御・管理システムの実施例を、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1〜図3はそれぞれ、本発明に係る分析機器制御・管理システムを用いた分析システムの構成例である。これらシステムは、分析機器として、2台の液体クロマトグラフLC1、LC2、1台の液体クロマトグラフ質量分析計MS1、1台の分光光度計SP1を、備えるが、これは一例であり、任意の数の任意の種類の分析機器を含むシステムとすることができる。
【0018】
図1〜図3において、制御端末装置2A、2B、2Cはいずれも、接続されている(つまり制御対象である)分析機器の種類に対応した制御ソフトウエアがインストールされているパーソナルコンピュータであり、該制御ソフトウエアがパーソナルコンピュータ上で実行されることにより分析機器制御・管理部21〜23が具現化される。つまり、分析機器制御・管理部21〜23はいずれも、制御ソフトウエアの実行により具現化される機能ブロックである。制御端末装置2A、2B、2CはLANなどの通信ネットワーク1に接続されている。分析機器制御・管理部21は2台の液体クロマトグラフLC1、LC2の、分析機器制御・管理部22は液体クロマトグラフ質量分析計MS1の、分析機器制御・管理部23は分光光度計SP1の、それぞれ制御やデータ処理、データ管理などを担うものである。
【0019】
具体例を挙げると、分析機器制御・管理部21は例えば島津製作所製の「LCsolution」(非特許文献1参照)によるものであり、分析機器制御・管理部22は例えば島津製作所製の「LCMSsolution」によるものであり、分析機器制御・管理部23は例えば島津製作所製の「UVProbe」によるものである。
【0020】
図1に示した構成例では、液体クロマトグラフLC1、LC2に接続された1台の制御端末装置2Aに共通の情報管理プラットフォーム3が搭載されている。情報管理プラットフォーム3は、分析機器制御・管理部21〜23と同様に、コンピュータにインストールされた特定のプログラムがCUPやメモリなどのハードウエア資源を利用した動作を実行する際に具現化される一種の機能ブロックである。なお、情報管理プラットフォーム3は他の制御端末装置2B又は2Cに搭載されていてもよい。
【0021】
図2に示した構成例では、制御端末装置2A、2B、2Cのほかに、実体はコンピュータであるサーバ4が通信ネットワーク1に接続されており、このサーバ4に共通の情報管離プラットフォーム3が搭載されている。したがって、図1の構成例とは異なり、制御端末装置2Aには情報管理プラットフォームは存在しない。
【0022】
図3に示した構成例では、図2の構成例と同様に、サーバ4が通信ネットワーク1に接続されているが、そのサーバ4には情報管理プラットフォーム3の構成要素であるデータベース(DB)32のみが搭載されており、情報管理プラットフォーム3のそのほかの機能は制御端末装置2Aに搭載されている。即ち、情報管理プラットフォーム3の機能は、制御端末装置2Aとサーバ4とに分散して設けられている。
【0023】
以上のように、通信ネットワーク1で互いに接続されたコンピュータ(サーバを含む)を1つのコンピュータシステムと考えれば、情報管理プラットフォーム3はこのコンピュータシステム内に存在しさえすればよく、いずれのコンピュータにあるのかは重要ではない。
【0024】
上述したように情報管理プラットフォーム3は所定のプログラムの実行により具現化されるものであり、これは制御ソフトウエアとは別にコンピュータにインストールされるものとしてもよいが、制御ソフトウエアに付随して提供され、制御ソフトウエアが或るコンピュータにインストールされる際に、情報管理プラットフォーム3の基本的な機能を作成するようにしてもよい。この場合、1つのシステム内に複数の情報管理プラットフォームが存在することは許可されないから、既に情報管理プラットフォームが存在するシステム中のコンピュータに新たな制御ソフトウエアがインストールされる際には、情報管理プラットフォームが既に存在することを認識して新たな情報管理プラットフォームの作成をしないようにすればよい。
【0025】
図4は本実施例の分析システムにおいて情報管理プラットフォーム3を中心とした機能ブロック構成図である。
【0026】
情報プラットフォーム3は、複数の分析機器制御・管理部21、22、23、…からの要求を受け付けるとともに要求された情報を送出する送受制御部310と、データベース32に新規のデータ登録を実行したり、既に保持されているデータを変更したり或いは削除したりする登録・変更制御部311と、ユーザ管理機能部312と、セキュリティポリシー管理機能部313と、プロジェクト管理機能部314と、装置管理機能部315と、表示設定管理機能部316と、ファイル管理機能部317と、ログ管理機能部318と、プリンタ管理機能319と、改竄チェック管理機能部320と、データベース管理部321と、データベース32と、を含む。データベース32は、上述した、ユーザ情報、セキュリティポリシー情報、装置情報、表示設定情報、プロジェクト情報、ログ情報、ファイル管理情報、プリンタ管理情報、プログラム改竄チェック管理情報などのシステム管理情報をそれぞれ格納する記憶領域を有する。
【0027】
登録・変更制御部311は、制御端末装置2A〜2C又はサーバ4のユーザインターフェイスであるキーボード等からの操作・指示により、上述したシステム管理情報をそれぞれ新規に登録したり、既存のシステム管理情報を書き換えたり、削除したりする機能を有する。図5は上記システム管理情報の1つであるユーザ情報の登録、変更、削除などを行う際に表示部に表示されるユーザ管理画面の一例である。ユーザ管理が許可されたユーザ(この例ではユーザ名「Admin」)はこのユーザ管理画面で、新規ユーザの登録、既存ユーザの削除、権限グループの設定、各ユーザへの権限の付与などの、ユーザ管理に関する様々な設定が可能である。また、他のシステム管理情報についても同様に、システム管理の権限を付与された者のみが登録、変更、削除などの操作が行えるようになっている。
【0028】
例えばオペレータが分析機器を用いた分析を実行する際には、その分析機器に接続された分析機器制御・管理部22で分析条件の設定などを行う必要がある。その際には、予め付与されたユーザID、ユーザ名、パスワードなどを用いてログインする必要がある。例えば制御端末装置2Aからログイン操作を行うと、分析機器制御・管理部21が情報提供プラットフォーム3に対し入力されたデータを送信し、ユーザの照会を要求する。すると、送受信制御部310を介して要求を受けたユーザ管理機能部312が、DB管理部319に対しデータに対応する情報を検索するように指示を出す。これに応じてDB管理部319は例えばユーザIDやユーザ名に対応する情報、例えばパスワード、属する権限グループ、付与された権限内容、などの情報をデータベース32から読み出し、ユーザ管理機能部312に与える。
【0029】
例えばユーザIDが存在しないものであったりパスワードが一致しなかったりした場合には、ユーザ管理機能部312が不正アクセスであることを分析機器制御・管理部21に通知する。分析機器制御・管理部21はこれを受けて、例えば表示部の画面上にログインが不可である旨のメッセージを表示する。一方、正当なログインである場合には、ユーザ管理機能部312は上述した権限などのユーザ情報を分析機器制御・管理部21へと送る。これにより、分析機器制御・管理部21はログインを許可するとともに、そのユーザについて、例えば付与された権限の範囲の操作ボタンのみを能動化(操作可能に)する等の権限の管理をログオフされるまで実行する。
【0030】
ユーザ管理以外の他のシステム管理も同様であり、各分析機器制御・管理部21〜23がそれぞれ必要に応じて情報の送信要求やシステム管理上の問い合わせを情報提供プラットフォーム3に対して行うと、その要求や問い合わせの内容に応じて各管理機能部312〜320がDB管理部321を通してデータベース32から対応する情報を読み出し、又は検索を実行し、要求や問い合わせに対応する情報や応答を分析機器制御・管理部21〜23へと送信する。各分析機器制御・管理部21〜23はそれに応じて分析のための制御や収集したデータの処理、管理、或いは、分析結果のレポート作成、さらには印字出力などを実行する。
【0031】
したがって、各分析機器制御・管理部21〜23の動作自体は、従来のように各制御ソフトウエアがそれぞれシステム管理情報を保有している場合と同等である。一方、システム管理情報の登録、変更、削除などは、制御ソフトウエア毎に行う必要がなく一括して行えることから、その手間は従来に比べて大幅に軽減できる。また、各制御ソフトウエアは情報提供プラットフォームに相当する機能を持つ必要がないため、制御ソフトウエアを新規に開発する際の設計者やプログラマの負担も軽減できる。
【0032】
なお、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜、変更、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
【符号の説明】
【0033】
1…通信ネットワーク
2A〜2C…制御端末装置
21〜23…分析機器制御・管理部
3…情報管理プラットフォーム
310…送受制御部
311…登録・変更制御部
312…ユーザ管理機能部
313…セキュリティポリシー管理機能部
314…プロジェクト管理機能部
315…装置管理機能部
316…表示設定管理機能部
317…ファイル管理機能部
318…ログ管理機能部
319…プリンタ管理機能部
320…改竄チェック管理機能部
321…データベース管理部
32…データベース
LC1、LC2…液体クロマトグラフ
MS1…液体クロマトグラフ質量分析計
SP1…分光光度計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークで相互に接続された複数のコンピュータからなるコンピュータシステムにより、同種又は異種の複数の分析機器をそれぞれ制御・管理する分析機器制御・管理システムであって、
a)それぞれが1乃至複数の分析機器を個別に制御・管理する専用の制御ソフトウエアがコンピュータ上で動作することで具現化される複数の制御・管理部と、
b)前記複数の制御・管理部がそれぞれ担当する分析機器の制御・管理を実行する上で、共通に利用される情報管理プラットフォームと、
を備え、前記情報管理プラットフォームは、
b1)前記複数の制御・管理部が各分析機器の制御・管理を実行する上で必要なシステム管理情報を保持しておくデータベース部と、
b2)前記データベース部に対し少なくとも、新規情報の登録、並びに、既存情報の変更、修正、及び削除を実行する情報管理部と、
b3)前記制御・管理部が分析機器の制御・管理を実行する際に該制御・管理部からの要求を受けて、該要求に応じたシステム管理情報を前記データベース部から抽出して要求元の制御・管理部に送出する情報提供部と、
を含むことを特徴とする分析機器制御・管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の分析機器制御・管理システムであって、
前記システム管理情報は分析機器を利用するユーザに関するユーザ情報であることを特徴とする分析機器制御・管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の分析機器制御・管理システムであって、
前記システム管理情報はセキュリティポリシー情報であることを特徴とする分析機器制御・管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の分析機器制御・管理システムであって、
前記システム管理情報は使用される分析機器についての装置情報であることを特徴とする分析機器制御・管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の分析機器制御・管理システムであって、
前記システム管理情報は表示部に表示するための表示設定情報であることを特徴とする分析機器制御・管理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の分析機器制御・管理システムであって、
前記システム管理情報は分析を遂行するためのプロジェクト情報であることを特徴とする分析機器制御・管理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の分析機器制御・管理システムであって、
前記システム管理情報はログ情報であることを特徴とする分析機器制御・管理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の分析機器制御・管理システムであって、
前記システム管理情報はファイル管理情報であることを特徴とする分析機器制御・管理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の分析機器制御・管理システムであって、
前記システム管理情報はプリンタ管理情報であることを特徴とする分析機器制御・管理システム。
【請求項10】
請求項1に記載の分析機器制御・管理システムであって、
前記システム管理情報はプログラムの改竄のチェックを管理するプログラム改竄チェック管理情報であることを特徴とする分析機器制御・管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−237564(P2012−237564A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104889(P2011−104889)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】