分析装置
【課題】 溶液の品質、効果及び影響を維持できる分析装を提供する。
【解決手段】 分析装置1は、被検試料をサンプル容器117から反応容器104に分注するサンプルプローブ116と、試薬を試薬容器から反応容器104に分注する試薬プローブ114,115と、被検試料におけるイオンを測定する電解質測定装置130と、混合液を、所定の測定温度に保持する恒温槽150と、被検体試料の分析処理に用いられる部品のうち少なくともいずれか一つを洗浄する洗浄処理を実行する自動洗浄装置120と、恒温槽150に添加される添加剤Z、洗浄処理に用いられる洗浄液X、及び電解質測定装置130で用いられる電解質溶液Yのうちの少なくともいずれかについて分析処理を実行し、性質を表すための指標を取得する溶液分析部170と、指標が予め設定された適正範囲内であるか否かを判定する制御部162と、を備えたことを特徴とする。
【解決手段】 分析装置1は、被検試料をサンプル容器117から反応容器104に分注するサンプルプローブ116と、試薬を試薬容器から反応容器104に分注する試薬プローブ114,115と、被検試料におけるイオンを測定する電解質測定装置130と、混合液を、所定の測定温度に保持する恒温槽150と、被検体試料の分析処理に用いられる部品のうち少なくともいずれか一つを洗浄する洗浄処理を実行する自動洗浄装置120と、恒温槽150に添加される添加剤Z、洗浄処理に用いられる洗浄液X、及び電解質測定装置130で用いられる電解質溶液Yのうちの少なくともいずれかについて分析処理を実行し、性質を表すための指標を取得する溶液分析部170と、指標が予め設定された適正範囲内であるか否かを判定する制御部162と、を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検試料の成分を分析する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の成分を分析する分析装置として、被検体から採取された被検試料中の様々な成分を、測定する装置が知られている。被検体や試薬を分取、分注する各種プローブや、反応容器を所定の温度に保つ恒温槽、被検試料と試薬とを混合した混合液の光の透過量等の吸光度を測定する測光装置、混合液を撹拌する撹拌子を有する撹拌装置、電解質溶液に浸された電極でイオン濃度を測定する電解質測定装置などを備えたものがある(例えば特許文献1参照)。また、これらの被検試料間、試薬間、及び混合液間のクロスコンタミネーションを防ぐために、各種プローブ、撹拌子、反応容器を洗浄する洗浄装置を備え、水や洗浄液を用いて洗浄される。
【特許文献1】特開2004−219352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記分析装置においては以下のような問題があった。すなわち、恒温槽に添加する添加剤や、洗浄液、電解質溶液などの溶液について、予め指定されたもの以外の溶液が用いられる場合があるが、その溶液が望ましい品質を有するか否かを検出判定することができず、溶液の品質、効果及び影響を維持することが困難である。したがって、溶液の効果及び影響によって、溶液に接触する部品に故障が生じるなど、所望の装置性能が損なわれる場合がある。
【0004】
そこで、本発明は、溶液の品質、効果及び影響を維持できる分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一例は、被検試料及び試薬の混合液が収容された反応容器に光を照射し、前記反応容器からの光を検出してその混合液を測定する分析装置であって、前記被検試料をサンプル容器から前記反応容器に分注するサンプル分注機構と、前記試薬を試薬容器から前記反応容器に分注する試薬分注機構と、前記被検試料におけるイオンを測定する電解質検出ユニットと、前記混合液を、所定の測定温度に保持する恒温槽と、前記被検体試料の分析処理に用いられる部品のうち少なくともいずれか一つを洗浄する洗浄処理を実行する洗浄ユニットと、前記恒温槽に添加される添加剤、前記洗浄処理に用いられる洗浄液、及び前記電解質検出ユニットで用いられる電解質溶液のうちの少なくともいずれかについて分析処理を実行し、性質を表すための指標を取得する分析ユニットと、前記指標が予め設定された適正範囲内であるか否かを判定する制御ユニットと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、溶液の品質、効果及び影響を維持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかる自動分析装置1(分析装置)の構成を模式的に示す斜視図である。この自動分析装置1は、第1試薬庫102と、第2試薬庫103と、反応機構としての反応ディスク105と、サンプルラックとしてのサンプルディスク106と、自動洗浄装置120(洗浄装置、洗浄ユニット)と、電解質検出部(電解質検出ユニット)としての電解質測定装置130と、恒温槽150と、第1試薬庫102、第2試薬庫103とは異なる試薬庫151と、供給ポンプ152と、測光装置140と、操作入力部161と、制御部(制御ユニット)162と、表示部(表示ユニット)163と、溶液分析手段(分析ユニット)としての溶液分析部170と、を備えている。
【0008】
第1試薬庫102には、試薬が収納された複数の試薬容器107を収納可能な試薬ラック101が複数設置される。
第1試薬庫102の周りに配された反応ディスク105は円環状を成し、回転駆動機構により回転駆動される。この反応ディスク105に、複数の反応容器を保持可能な複数のホルダが円環状に設けられている。
反応ディスク105に隣接して設けられた第2試薬庫103は、第1試薬庫102と同様に複数の試薬容器107を収容可能に構成されている。
サンプルディスク106は、被検試料が収納された複数のサンプル容器117を配置可能に構成されている。
また、自動分析装置1は、第1試薬庫102に置かれた試薬容器107の試薬を吸引し、反応容器104に吐出する試薬分注機構としての第1試薬プローブ114を有する第1試薬アーム108と、第2試薬庫103に置かれた試薬容器107の試薬を吸引して反応容器104に吐出する試薬分注機構としての第2試薬プローブ115を有する第2試薬アーム109と、サンプルディスク106に置かれたサンプル容器117のサンプルを吸引して反応容器104に吐出するサンプル分注機構としてのサンプルプローブ116を有するサンプルアーム110と、を備えている。
【0009】
反応ディスク105には、撹拌装置111、自動洗浄装置120、電解質測定装置130及び測光装置140(測光ユニット)が配置されている。反応ディスク105の下方には、反応ディスク105の円軌道に沿って、恒温槽150が設けられている。
【0010】
撹拌装置111は、反応容器104に分注された液を撹拌子111aにより撹拌する機能を有する。
【0011】
自動洗浄装置120は、溶液庫としての洗浄液庫121と、廃液ノズル122、洗浄ノズル123及び反応容器104内部を乾燥させる乾燥ノズル124等を備えて構成される。洗浄液庫121は、自動分析装置1の内部下方に設けられ、複数種類の洗浄液X(洗剤)を収容する。
【0012】
廃液ノズル122は、測定後の反応容器104の液を廃液として吸引する機能を有する。洗浄ノズル123は、洗浄液庫121の各種の洗浄液Xや純水を反応容器104に吐出する機能を有する。乾燥ノズル124は、洗浄後の反応容器104の内部を乾燥させる機能を有する。
【0013】
電解質測定装置130は、収容部材を貫通する流路に被検液を流し電解質溶液Yに浸された電極でイオン濃度を測定する機能を有する。この電解質溶液Yは自動分析装置1の下方における洗浄液庫121付近に設置された溶液庫としての電解質溶液庫131に保存され、供給ポンプ132により適宜供給される。
【0014】
測光装置140は、回転移動する反応容器104の液部に光源からの光を照射して混合液の吸光度変化を測定し、その測定から得られた被検試料の分析信号を制御部162に出力する機能を有する。
【0015】
恒温槽150は、回転移動する反応容器104の円軌道に沿って上側が開口した円形の流路を形成している。この流路内に、反応容器104を一定温度に保持するように反応容器104及び恒温水が収納される。恒温槽150の外部に、恒温槽添加剤Zを保存する溶液庫としての試薬庫151が配置され、この試薬庫151から、恒温槽添加剤Zが供給ポンプ152を介して恒温槽150に供給される。或いは恒温漕150には、恒温水が供給された後、第1試薬庫102、第2試薬庫103の試薬容器107に収容された恒温槽添加剤Zが試薬プローブ114,115によって所定量添加される。恒温槽添加剤Zは恒温槽内の微生物の発生を防ぐ目的で恒温槽に添加される溶液である。
【0016】
操作入力部161は、ユーザの操作により、分析条件、各種コマンド信号など、分析処理で必要とされる様々な指令等が入力可能であり、入力に応じた信号を制御部162に送る機能を有する。
制御部162は、電解質測定装置130や測光装置140などで得られる各種データを処理するとともに、予め決められた一連の手順を実行するために、回転機構、測光装置140、自動洗浄装置120、撹拌装置111、各種アーム108〜110、各種プローブ114〜116、供給ポンプ132、152等の各機構部の動作を制御する制御回路を備えている。
【0017】
表示部163は、制御部162の制御に応じて、測定結果やメッセージを表示する機能を有する。
【0018】
上記のように構成された自動分析装置1では、まず、各プローブ114〜116により、被検試料と試薬とが反応容器104に分注され、撹拌子111aにより混合される。混合された混合液は恒温槽150において所望の測定温度に保持される。所定温度の混合液について、測光装置140において吸光度が測定され、電解質測定装置130により電解質が測定される。
【0019】
被検試料間、試薬間、及び混合液間のクロスコンタミネーションを防ぐために、繰り返し使用される各種プローブ114〜116、反応容器104、撹拌子111aなどは、自動洗浄装置120により洗浄される。例えば、被分注毎、撹拌毎、混合液の測定終了毎、検査終了後に、水や洗浄液Xを吸引し、吐出し、乾燥させることにより自動洗浄が行われる。
【0020】
自動分析装置1における溶液分析手順について図2に示すフロー図を参照して説明する。
【0021】
なお、以下においては、説明を具体的にするため、洗浄液Xの性質(液性)を表すための指標として吸光度を用いて、溶液分析を行う場合を例とする。
【0022】
自動分析装置1で用いられる溶液として、自動洗浄装置120での自動洗浄に用いられる洗浄液Xや、恒温槽150に添加する恒温槽添加剤Z、電解質測定装置130で用いられる電解質溶液Yなどがあるが、本実施形態ではこのうち自動洗浄装置120で用いられる洗浄液Xについて成分分析を行う場合について説明する。
【0023】
本実施形態における溶液分析部170は、反応ディスク105、各種プローブ114〜116、測光装置140、判定ユニットを有する制御部162等から構成される。この溶液分析部170における溶液分析処理は、例えば装置が立ち上げられた際、被検試料の検査が行われる前に、自動的に行われる。
【0024】
まず、ST11において、洗浄液Xが反応容器104に分注される。なお、洗浄液Xには、洗浄液庫121に収容するものと、試薬庫102,103に収容するものがある。洗浄液庫121に収容された洗浄液Xを用いる場合には、自動洗浄装置120で反応容器104に分注される。試薬庫102,103に収容している洗浄液(恒温槽添加剤等)を用いる場合には、試薬プローブ114,115で反応容器104に分注される。
【0025】
ST12において、例えば16の波長について、洗浄液Xの吸光度が測定され、測光処理が行われる。ついでST13において、吸光度の測定結果が例えば図3に示すような吸光度のパターングラフとして、表示部163に表示される。
【0026】
ついでST14では、ST12で測定された吸光度と、予め設定された基準吸光度とが比較され、測定された吸光度が予め設定した適正値の範囲内であるか否かが判定される。
【0027】
ST14の判定において、適正値の範囲内であった場合には、洗浄液Xの品質が適正であるとして、自動分析装置1における被検試料分析処理が開始される(ST15)。また、ST15において、洗浄液Xの吸光度が適正範囲内であったこと、及び被検試料の分析を実行したことがログとして記録される。
【0028】
一方、適正値範囲外であった場合には、制御部162の制御により、表示部163に、例えば現在設置されている洗浄液Xの液性が適正値範囲外である旨や、「指定の洗浄液を使用して下さい」などの警告メッセージ等が表示されるとともに(ST16)、被検試料の分析処理が停止される(ST17)。また、ST17において、洗浄液Xの吸光度が適正範囲外であったこと、及び被検試料の分析を停止したことがログとして記録される。
【0029】
本実施形態にかかる自動分析装置1によれば以下のような効果が得られる。すなわち、洗浄液Xの成分を分析することができるため、使用される洗浄液の品質維持を容易とし、所望の効果及び影響が得られる。したがって、所望の装置性能を確保することができる。また、被検試料を分析処理する測光装置140や試薬プローブ114、115、サンプルプローブ116、自動洗浄装置120等を用いるため、新たな設備を追加することなく実現可能である。さらに、洗浄液Xの分析処理は、自動分析装置1における被検試料の分析処理の動作確認にもなる。
【0030】
さらに、上記分析装置によれば、純正品の洗浄液を用いた場合であっても、例えば有効期限切れて品質が変化した場合に、適正範囲外であることを検出することが可能となる。
【0031】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態における溶液分析処理について図4を参照して説明する。本実施形態の自動分析装置の構成は第1実施形態の自動分析装置1と同様であるため、説明を省略する。溶液として、自動洗浄装置120で用いられる洗浄液Xや、電解質測定装置130で用いられる電解質溶液Y、恒温槽150に添加する恒温槽添加剤Z(添加剤)などがあるが、本実施形態ではこのうち恒温槽添加剤Zについて成分分析を行う場合について説明する。
【0032】
本実施形態における溶液分析部170は、反応ディスク105、各種プローブ114〜116、測光装置140、制御部162等から構成される。この溶液分析部170における溶液分析処理は、例えば装置が立ち上げられた際、被検試料の検査が行われる前に、自動的に行われる。
【0033】
まず、ST21において、試薬プローブ114により、試薬庫102から恒温槽添加剤Zを吸出し、反応容器104に分注する。次いで反応ディスク105を回転させ、恒温槽添加剤Z入りの反応容器104を測光装置140に送る。ST22において、例えば16の波長について、恒温槽添加剤Zの吸光度が測定され、測光処理が行われる。ついでST23において、吸光度の測定結果が、吸光度のパターングラフとして、表示部163に表示される。
【0034】
ついでST24では、S22で測定された吸光度と、予め設定された基準吸光度とが比較され、測定された吸光度が予め設定した適正値の範囲内であるか否かが判定される。
【0035】
ST24の判定において、適正値の範囲内であった場合には、恒温槽添加剤Zの品質が適正であるとして、自動分析装置1における被検試料分析処理が開始される(ST25)。また、ST25において、恒温槽添加剤Zの吸光度が適正範囲内であったこと、及び被検試料の分析を実行したことがログとして記録される。
【0036】
一方、適正値範囲外であった場合には、制御部162の制御により、表示部163に例えば「指定の恒温槽添加剤を使用して下さい」等の警告メッセージが表示されるとともに(ST26)、被検試料の分析処理が停止される(ST27)。また、ST27において、恒温槽添加剤Zの吸光度が適正範囲外であったこと、及び被検試料の分析を停止したことがログとして記録される。
【0037】
本実施形態においても上記第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、恒温槽添加剤Zの成分を分析することができるため、使用される恒温槽添加剤の品質維持を容易とし、所望の効果及び影響が得られる。
【0038】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態における溶液分析処理について図5を参照して説明する。ここで、用いられる自動分析装置の構成は第1実施形態にかかる自動分析装置1と同様であるため、説明を省略する。溶液として、自動洗浄装置120で用いられる洗浄液Xや、電解質測定装置130で用いられる緩衝液や校正液等の電解質溶液Y、恒温槽150に添加する恒温槽添加剤Z、などがあるが、本実施形態ではこのうち電解質溶液Yについて成分分析を行う場合について説明する。
【0039】
本実施形態における溶液分析部170は、反応ディスク105、各種プローブ114〜116、測光装置140等から構成される。溶液分析処理は、例えば装置が立ち上げられた際、被検試料の検査が行われる前に、自動的に行われる。
【0040】
電解質溶液Yには、電解質溶液庫131に収納される校正液と試薬庫102,103に収容される緩衝液とがある。試薬庫102,103に収容されているものは、試薬プローブ114,115で反応容器104に分注される。電解質溶液庫131に収容されている校正液は、電解質測定装置130の電極ユニットの下に配置されたポットに供給され、電極ユニットがそれを吸引する(ST31)。また、校正液が試薬庫102,103の試薬容器107に収容され、試薬プローブ114,115によって、反応容器104に分注されてもよい。
【0041】
電解質溶液Y入りの反応容器104を測光装置140に送る。ST32において、例えば16の波長について、電解質溶液Yの吸光度が測定され、測光処理が行われる。ついでST33において、吸光度測定結果が吸光度のパターングラフとして、表示部163に表示される。
【0042】
ついでST34では、ST32で測定された吸光度と、予め設定された基準吸光度とを比較し、測定された吸光度が予め設定した適正値の範囲内であるか否かが判定される。
【0043】
ST34の判定において、適正値の範囲内であった場合には、電解質溶液Yの品質が適正であるとして、自動分析装置1における被検試料分析処理が開始される(ST35)。また、ST35において、電解質溶液Yの吸光度が適正範囲内であったこと、及び被検試料の分析を実行したことがログとして記録される。
【0044】
一方、適正値範囲外であった場合には、表示部163に、例えば「指定の電解質溶液を使用して下さい」などの警告メッセージが表示されるとともに(ST36)、被検試料の分析処理が停止される(ST37)。また、ST37において、電解質溶液Yが適正範囲外であったこと、及び被検試料の分析を停止したことがログとして記録される。
【0045】
本実施形態においても上記第1又は第2実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、電解質溶液Yの成分を分析することができるため、使用される電解質溶液の品質維持を容易とし、所望の効果及び影響が得られる。
【0046】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態における自動分析装置4及び溶液分析処理について図6及び図7を参照して説明する。自動分析装置4において、屈折率検出装置171以外の構成は第1実施形態の自動分析装置1と同様であるため、説明を省略する。本実施形態では溶液としての洗浄液Xについて成分分析を行う場合について説明する。
【0047】
本実施形態における自動分析装置4は、溶液の屈折率に関する情報を検出し、制御部162に送る屈折率検出装置171を備えている。
【0048】
本実施形態の溶液分析部172は、反応ディスク105、各種プローブ114〜116、及び屈折率検出装置171等から構成される。溶液分析処理は、例えば自動分析装置4が立ち上げられた際、被検試料の検査が行われる前に、自動的に行われる。
【0049】
まず、ST41において、洗浄液庫121あるいは試薬庫102,103から洗浄液Xを吸出し、屈折率検出装置171に送る。ST42において、洗浄液Xの屈折率が測定される。ついでST33において、屈折率の測定結果がグラフとして、表示部163に表示される。
【0050】
ついでST44では、ST42で測定された屈折率と、予め設定された基準屈折率とを比較し、測定された屈折率が予め設定した適正値の範囲内であるか否かが判定される。例えば、基準屈折率を14.5%とし、その適正範囲を0.5%とすると、14.0%〜15.0%の場合には適正値の範囲内であると判定され、14.0%未満である場合や15.0%より大きい場合には適正値の範囲外であると判定される。
【0051】
ST44の判定において、測定屈折率が適正値の範囲内であった場合には、洗浄液Xの品質が適正であるとして、自動分析装置4における被検試料分析処理が開始される(ST45)。また、ST45において、洗浄液Xの屈折率が適正範囲内であったこと、及び被検試料の分析を実行したことがログとして記録される。
【0052】
一方、適正値範囲外であった場合には、表示部163に、例えば「指定の洗浄液を使用して下さい」などの警告メッセージが表示されるとともに(ST46)、被検試料の分析処理が停止される(ST47)。また、ST47において、洗浄液Xの屈折率が適正範囲外であったこと、及び被検試料の分析を停止したことがログとして記録される。
【0053】
本実施形態においても上記第1実施形態等と同様の効果が得られる。すなわち、洗浄液Xの成分を分析することができるため、使用される洗浄液の品質維持を容易とし、所望の効果及び影響が得られる。
【0054】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態における自動分析装置5及び溶液分析処理について図8及び図9を参照して説明する。自動分析装置5においてpH検出装置175以外の構成は第1実施形態の自動分析装置1と同様であるため、説明を省略する。本実施形態では溶液として洗浄液Xについて成分分析を行う場合について説明する。
【0055】
本実施形態における自動分析装置5は、溶液の水素イオン指数に関する情報を検出し、制御部162に送るpH検出装置175を備えている。本実施形態の溶液分析部176は、反応ディスク105、各種プローブ114〜116、及び屈折率pH検出装置175等から構成される。溶液分析処理は、例えば自動分析装置5が立ち上げられた際、被検試料の検査が行われる前に、自動的に行われる。
【0056】
まず、ST51において、洗浄液庫121あるいは試薬庫102,103から洗浄液Xを吸出し、pH検出装置175に送る。ST52において、洗浄液Xの水素イオン指数が測定される。ついでST53において、水素イオン指数の測定結果がグラフとして、表示部163に表示される。
【0057】
ついでST54では、ST52で測定され水素イオン指数と、予め設定された基準水素イオン指数とを比較し、測定された水素イオン指数が予め設定した適正値の範囲内であるか否かが判定される。
【0058】
ST54の判定において、適正値の範囲内であった場合には、洗浄液Xの品質が適正であるとして、自動分析装置5における被検試料分析処理が開始される(ST55)。また、ST55において、洗浄液Xの水素イオン指数が適正範囲内であったこと、及び被検試料の分析を実行したことがログとして記録される。
【0059】
一方、適正値範囲外であった場合には、表示部163に、例えば「指定の洗浄液を使用して下さい」などの警告メッセージが表示されるとともに(ST56)、被検試料の分析処理が停止される(ST57)。また、ST57において、洗浄液Xの水素イオン指数が適正範囲外であったこと、及び被検試料の分析を停止したことがログとして記録される。
【0060】
本実施形態においても上記第1実施形態等と同様の効果が得られる。すなわち、洗浄液Xの成分を分析することができるため、使用される洗浄液の品質維持を容易とし、所望の効果及び影響が得られる。
【0061】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態における自動分析装置6について図10及び図11を参照して説明する。本実施形態の自動分析装置6は溶液判別機構としての洗浄液容器125〜127や洗浄液庫121を色分けする点以外について自動分析装置1と同様であるため説明を省略する。
【0062】
本実施形態にかかる洗浄液庫121は溶液収容器としての複数の洗浄液容器125、126、127を備えている。複数の洗浄液容器125、126、127には、酸性洗浄液X1、中性洗浄液X2、アルカリ性洗浄液X3がそれぞれ収容されている。洗浄液庫121に設置された複数の洗浄液には、例えば成分に応じて色が変化する添加剤が加えられるなどにより、それぞれ、その成分に応じて着色されている。例えば酸性洗浄液X1は赤系の色に、アルカリ性洗浄液X3は青系の色となっており、色によって洗浄液の成分が見分けられるようになっている。
【0063】
洗浄液容器125〜127には、それぞれ内部に収容される洗浄液の色と対応するように色が付されている。さらに、複数の洗浄液容器125〜127が設置される洗浄液庫121の設置部分121a〜121cには、それぞれ指定の洗浄液の色に応じた色分けがなされている。例えばここでは、酸性洗浄液X1、この酸性洗浄液X1が収容される洗浄液容器125及びこの洗浄液容器125が設置される設置場所121aが赤系の色となっている。また、中性洗浄液X2、この中性洗浄液X2が収容される洗浄液容器126、及びこの洗浄液容器126が設置される設置場所121bが無色または白色になっている。アルカリ性洗浄液X3、このアルカリ性洗浄液X3が収容される洗浄液容器127、及びこの洗浄液容器127が設置される設置場所121cは青系の色になっている。
【0064】
本実施形態においても上記各実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、色分けすることにより、複数種類の洗浄液が正しい位置に設置されるように促すことができ、異なる洗浄液が設置されるのを防止することにより、溶液の品質維持が容易となる。また、色彩で区別するため、例えば画像処理装置を使用して設置を確認する場合でも、その識別が容易になるため、単純(安価)な画像処理装置を適用できる。
【0065】
[第7実施形態]
以下、本発明の第7実施形態における自動分析装置7及び溶液収容器について図12及び図13を参照して説明する。本実施形態の自動分析装置7は、使用する溶液収容器128の色の変化以外については、自動分析装置1と同様であるため説明を省略する。
【0066】
本実施形態に係る溶液収容器には、図12に示すように溶液収容器内面壁面に帯状に材質の異なる変色部128a〜128cを設けている。この帯状の変色部128a〜128cは溶液の種類、水素イオン指数などに感応し、その色が変化する物質で製造されている。例えば、酸、アルカリ、で呈色するリトマス試験に含まれる成分を含み、溶液を収容することで色が変化する。例えば酸性洗浄液の収容きに設けられた帯状の変色部128aは赤色、中性洗浄液用の変色部128bは無色、アルカリ性洗浄液用の変色部128cは青色等となる。
【0067】
図13は、洗浄液が設置される設置部129を示している。ここでは被検資料を収容するサンプルラックの場合を示す。設置部129にはその変化する色と共通する色の識別用のマーク129a〜129cが付されている。ここでは、例えば酸性洗浄液用のマーク129aは赤色、中性洗浄液用のマーク129bは無色、アルカリ性洗浄液用のマーク129cは青色等に設定する。
【0068】
サンプルプローブ116により、設置された洗浄液を吸引することによりサンプルプローブ116内の洗浄が可能となる。通常汚れを洗浄する場合は、その汚れの成分により、酸、中性、アルカリ性の洗浄液を夫々に使用する。もし、不適当な洗浄液を使用すると、汚れが落ちないばかりか、その構成膜を損なう可能性がある。したがって、洗浄液の設置は重要な操作作業となる。無臭、無色の洗浄液では、その内容がわからないため、置き間違える可能性があり、その設置に注意を要するが、本実施形態では上記のように、収容される洗浄液の種類に応じて容器の色が変化することにより、設置箇所の間違いを防止することができる。また、帯状部材128a〜cの色とマーク129a〜cの色とが異なるとすぐに認識できるため、使用者は洗浄液の設置の間違いをすぐに認識することができ、洗浄液の交換や溶液収容器の洗浄等、迅速な対応が可能となる。
【0069】
[第8実施形態]
本発明の第8実施形態における溶液分析処理について図14を参照して説明する。
【0070】
なお、本実施形態の自動分析装置の構成は第1実施形態の自動分析装置1と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
また、本実施形態では、ST16でのメッセージ表示の後に、被検試料の分析処理の続行を判定するステップ(ST)81と、ST81で分析を続行すると判定した場合にST15に進む点以外の工程は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、ST11において洗浄液が分注され、ST12におい吸光度が測定され、ST13において測定結果が表示された後、ST14において測定結果が適正範囲内か否かが判定される。
【0073】
ST14で適正範囲内であった場合には(ST14のYes)第1実施形態と同様に、被検試料の分析が開始される(ST15)。一方ST14で適正範囲外であった場合(ST14のNo)、適正範囲外である旨のメッセージが表示される(ST16)。
【0074】
ついで、ST81において、被検試料の分析を続行するか否かが判定される。例えば、ST16で適正範囲外である旨のメッセージとともに、続行するか否かの入力を促すメッセージ、例えば「被検試料の分析を続行しますか?」等のメッセージが表示される。ユーザはこのメッセージに対して操作入力部16から、続行するか否かを入力指示する。
【0075】
ユーザにより継続する旨の入力がなされた場合には、ST81において継続すると判定し、ST15に進み、被検試料の分析を開始する。なお、この場合に適正範囲外であること、及び被検試料の分析を続行したことをログとして記録する。
【0076】
一方、例えばユーザから被検試料の分析処理を続行しない旨の入力があった場合には、ST17に進み、被検試料の分析を停止する。なお、この場合に、適正範囲外であること、及び被検試料の分析を停止したことをログとして記録する。さらに、ST14で適正範囲外であると判定され、ST81において続行することとなった場合には、ST15で実行する被検試料の分析結果に、適正範囲外の洗浄液であったことを表示する。例えば、「適正範囲外の洗浄液を用いました」等の表示がなされる。
【0077】
本実施形態においても上記第1実施形態等と同様の効果が得られる。さらに、適正範囲外であっても必ずしも停止する必要がないと判断した場合に分析処理を続行できることとしたため、ユーザの環境に合わせた使用が可能となる。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その構成要件を適宜変更して実施することができる。例えば、上記第1乃至第3実施形態においては、溶液を直接分析する場合について例示したが、溶液に特異的な吸収帯を有する物質(例えば、色素など)を添加し、この物質と溶液を反応させた状態の混合液を分析処理することも可能である。
【0079】
また、溶液の検査は装置立ち上げの際に行われるとしたが、これに限られず、例えばあるいは予め設定された間隔で定期的に見るようにしてもよい。さらに、オペレータが操作入力部161を介して自動分析装置1、4、5、6、7を実行してもよいし、経時的に行うようにしてもよい。また、ある決まったタイミング、例えば、装置のシャットダウン時、あるいは設定された測定検体数毎、に自動的に実行するようにしてもよい。
【0080】
液性を表すための指標として、上記実施形態で検出した吸光度、水素イオン指数、屈折率などの他に、比重、表面張力、粘度などを検出して分析処理を行ってもよい。また、第4実施形態乃至第8実施形態では洗浄液について分析を行う場合について説明したが、第2及び第3実施形態の電解質溶液Yや恒温槽添加剤Zなど、他の溶液にも適用できる。また、上記複数の分析処理を組み合わせてもよく、さらに、1つの自動分析装置において、複数種類の溶液を分析できるように構成してもよい。
【0081】
すなわち、上記実施形態においては、溶液の吸光度、水素イオン指数、屈折率、比重、表面張力、粘度のいずれか1つの指標を基準として判定する場合についてそれぞれ例示したが、これら複数の指標のうち2つ以上を組み合わせて判定を行うことも可能である。
【0082】
また指標の分析及び判定の対象とする溶液は、上述の実施形態で例示した洗浄液、恒温槽添加剤、及び電解質溶液に限られるものではない。
【0083】
本発明は、実施段階においてその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる自動分析装置の構成を模式的に示す説明図。
【図2】同自動分析装置における溶液分析処理の工程を示すフローチャート。
【図3】同溶液分析処理における測定結果の一例を示すグラフ。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる溶液分析処理の工程を示すフローチャート。
【図5】本発明の第3実施形態にかかる溶液分析処理の工程を示すフローチャート。
【図6】本発明の第4実施形態にかかる自動分析装置の構成を模式的に示す説明図。
【図7】同自動分析装置における溶液分析処理の工程を示すフローチャート。
【図8】本発明の第5実施形態にかかる自動分析装置の構成を模式的に示す説明図。
【図9】同自動分析装置における溶液分析処理の工程を示すフローチャート。
【図10】本発明の第6実施形態にかかる自動分析装置の構成を模式的に示す説明図。
【図11】は、同実施形態にかかる洗浄液庫の構成を概略的に示す斜視図。
【図12】は、本発明の第7実施形態に係る溶液収容器を示す斜視図。
【図13】は、同実施形態にかかる設置部を示す斜視図。
【図14】は、本発明の第8実施形態に係る溶液分析処理の工程を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0085】
1,4,5,6,7…自動分析装置、101…試薬ラック、102、103…試薬庫、104…反応容器、105…反応ディスク、106…サンプルディスク、
107…試薬容器、108、109…試薬アーム、110…サンプルアーム、
111…撹拌装置、111a…撹拌子、114.115…試薬プローブ、
116…サンプルプローブ、117…サンプル容器、120…自動洗浄装置(洗浄ユニット)、X…洗浄液(洗剤)、121…洗浄液庫、125、126、127…洗浄液容器(溶液収容器)、121a〜121c…設置部分、128…溶液収容器、128a〜128c…変色部材、129…設置部、129a〜129c…マーク、130…電解質測定装置(電解質検出部、電解質検出ユニット)、Y…電解質溶液、131…電解質溶液庫、140…測光装置(測光ユニット)、150…恒温槽、Y…恒温漕添加剤、151…試薬庫、162…制御部(制御ユニット)、163…表示部(表示ユニット)、170、172、176…溶液分析部(溶液分析手段、分析ユニット)、171…屈折率検出装置、175…pH検出装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検試料の成分を分析する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の成分を分析する分析装置として、被検体から採取された被検試料中の様々な成分を、測定する装置が知られている。被検体や試薬を分取、分注する各種プローブや、反応容器を所定の温度に保つ恒温槽、被検試料と試薬とを混合した混合液の光の透過量等の吸光度を測定する測光装置、混合液を撹拌する撹拌子を有する撹拌装置、電解質溶液に浸された電極でイオン濃度を測定する電解質測定装置などを備えたものがある(例えば特許文献1参照)。また、これらの被検試料間、試薬間、及び混合液間のクロスコンタミネーションを防ぐために、各種プローブ、撹拌子、反応容器を洗浄する洗浄装置を備え、水や洗浄液を用いて洗浄される。
【特許文献1】特開2004−219352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記分析装置においては以下のような問題があった。すなわち、恒温槽に添加する添加剤や、洗浄液、電解質溶液などの溶液について、予め指定されたもの以外の溶液が用いられる場合があるが、その溶液が望ましい品質を有するか否かを検出判定することができず、溶液の品質、効果及び影響を維持することが困難である。したがって、溶液の効果及び影響によって、溶液に接触する部品に故障が生じるなど、所望の装置性能が損なわれる場合がある。
【0004】
そこで、本発明は、溶液の品質、効果及び影響を維持できる分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一例は、被検試料及び試薬の混合液が収容された反応容器に光を照射し、前記反応容器からの光を検出してその混合液を測定する分析装置であって、前記被検試料をサンプル容器から前記反応容器に分注するサンプル分注機構と、前記試薬を試薬容器から前記反応容器に分注する試薬分注機構と、前記被検試料におけるイオンを測定する電解質検出ユニットと、前記混合液を、所定の測定温度に保持する恒温槽と、前記被検体試料の分析処理に用いられる部品のうち少なくともいずれか一つを洗浄する洗浄処理を実行する洗浄ユニットと、前記恒温槽に添加される添加剤、前記洗浄処理に用いられる洗浄液、及び前記電解質検出ユニットで用いられる電解質溶液のうちの少なくともいずれかについて分析処理を実行し、性質を表すための指標を取得する分析ユニットと、前記指標が予め設定された適正範囲内であるか否かを判定する制御ユニットと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、溶液の品質、効果及び影響を維持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかる自動分析装置1(分析装置)の構成を模式的に示す斜視図である。この自動分析装置1は、第1試薬庫102と、第2試薬庫103と、反応機構としての反応ディスク105と、サンプルラックとしてのサンプルディスク106と、自動洗浄装置120(洗浄装置、洗浄ユニット)と、電解質検出部(電解質検出ユニット)としての電解質測定装置130と、恒温槽150と、第1試薬庫102、第2試薬庫103とは異なる試薬庫151と、供給ポンプ152と、測光装置140と、操作入力部161と、制御部(制御ユニット)162と、表示部(表示ユニット)163と、溶液分析手段(分析ユニット)としての溶液分析部170と、を備えている。
【0008】
第1試薬庫102には、試薬が収納された複数の試薬容器107を収納可能な試薬ラック101が複数設置される。
第1試薬庫102の周りに配された反応ディスク105は円環状を成し、回転駆動機構により回転駆動される。この反応ディスク105に、複数の反応容器を保持可能な複数のホルダが円環状に設けられている。
反応ディスク105に隣接して設けられた第2試薬庫103は、第1試薬庫102と同様に複数の試薬容器107を収容可能に構成されている。
サンプルディスク106は、被検試料が収納された複数のサンプル容器117を配置可能に構成されている。
また、自動分析装置1は、第1試薬庫102に置かれた試薬容器107の試薬を吸引し、反応容器104に吐出する試薬分注機構としての第1試薬プローブ114を有する第1試薬アーム108と、第2試薬庫103に置かれた試薬容器107の試薬を吸引して反応容器104に吐出する試薬分注機構としての第2試薬プローブ115を有する第2試薬アーム109と、サンプルディスク106に置かれたサンプル容器117のサンプルを吸引して反応容器104に吐出するサンプル分注機構としてのサンプルプローブ116を有するサンプルアーム110と、を備えている。
【0009】
反応ディスク105には、撹拌装置111、自動洗浄装置120、電解質測定装置130及び測光装置140(測光ユニット)が配置されている。反応ディスク105の下方には、反応ディスク105の円軌道に沿って、恒温槽150が設けられている。
【0010】
撹拌装置111は、反応容器104に分注された液を撹拌子111aにより撹拌する機能を有する。
【0011】
自動洗浄装置120は、溶液庫としての洗浄液庫121と、廃液ノズル122、洗浄ノズル123及び反応容器104内部を乾燥させる乾燥ノズル124等を備えて構成される。洗浄液庫121は、自動分析装置1の内部下方に設けられ、複数種類の洗浄液X(洗剤)を収容する。
【0012】
廃液ノズル122は、測定後の反応容器104の液を廃液として吸引する機能を有する。洗浄ノズル123は、洗浄液庫121の各種の洗浄液Xや純水を反応容器104に吐出する機能を有する。乾燥ノズル124は、洗浄後の反応容器104の内部を乾燥させる機能を有する。
【0013】
電解質測定装置130は、収容部材を貫通する流路に被検液を流し電解質溶液Yに浸された電極でイオン濃度を測定する機能を有する。この電解質溶液Yは自動分析装置1の下方における洗浄液庫121付近に設置された溶液庫としての電解質溶液庫131に保存され、供給ポンプ132により適宜供給される。
【0014】
測光装置140は、回転移動する反応容器104の液部に光源からの光を照射して混合液の吸光度変化を測定し、その測定から得られた被検試料の分析信号を制御部162に出力する機能を有する。
【0015】
恒温槽150は、回転移動する反応容器104の円軌道に沿って上側が開口した円形の流路を形成している。この流路内に、反応容器104を一定温度に保持するように反応容器104及び恒温水が収納される。恒温槽150の外部に、恒温槽添加剤Zを保存する溶液庫としての試薬庫151が配置され、この試薬庫151から、恒温槽添加剤Zが供給ポンプ152を介して恒温槽150に供給される。或いは恒温漕150には、恒温水が供給された後、第1試薬庫102、第2試薬庫103の試薬容器107に収容された恒温槽添加剤Zが試薬プローブ114,115によって所定量添加される。恒温槽添加剤Zは恒温槽内の微生物の発生を防ぐ目的で恒温槽に添加される溶液である。
【0016】
操作入力部161は、ユーザの操作により、分析条件、各種コマンド信号など、分析処理で必要とされる様々な指令等が入力可能であり、入力に応じた信号を制御部162に送る機能を有する。
制御部162は、電解質測定装置130や測光装置140などで得られる各種データを処理するとともに、予め決められた一連の手順を実行するために、回転機構、測光装置140、自動洗浄装置120、撹拌装置111、各種アーム108〜110、各種プローブ114〜116、供給ポンプ132、152等の各機構部の動作を制御する制御回路を備えている。
【0017】
表示部163は、制御部162の制御に応じて、測定結果やメッセージを表示する機能を有する。
【0018】
上記のように構成された自動分析装置1では、まず、各プローブ114〜116により、被検試料と試薬とが反応容器104に分注され、撹拌子111aにより混合される。混合された混合液は恒温槽150において所望の測定温度に保持される。所定温度の混合液について、測光装置140において吸光度が測定され、電解質測定装置130により電解質が測定される。
【0019】
被検試料間、試薬間、及び混合液間のクロスコンタミネーションを防ぐために、繰り返し使用される各種プローブ114〜116、反応容器104、撹拌子111aなどは、自動洗浄装置120により洗浄される。例えば、被分注毎、撹拌毎、混合液の測定終了毎、検査終了後に、水や洗浄液Xを吸引し、吐出し、乾燥させることにより自動洗浄が行われる。
【0020】
自動分析装置1における溶液分析手順について図2に示すフロー図を参照して説明する。
【0021】
なお、以下においては、説明を具体的にするため、洗浄液Xの性質(液性)を表すための指標として吸光度を用いて、溶液分析を行う場合を例とする。
【0022】
自動分析装置1で用いられる溶液として、自動洗浄装置120での自動洗浄に用いられる洗浄液Xや、恒温槽150に添加する恒温槽添加剤Z、電解質測定装置130で用いられる電解質溶液Yなどがあるが、本実施形態ではこのうち自動洗浄装置120で用いられる洗浄液Xについて成分分析を行う場合について説明する。
【0023】
本実施形態における溶液分析部170は、反応ディスク105、各種プローブ114〜116、測光装置140、判定ユニットを有する制御部162等から構成される。この溶液分析部170における溶液分析処理は、例えば装置が立ち上げられた際、被検試料の検査が行われる前に、自動的に行われる。
【0024】
まず、ST11において、洗浄液Xが反応容器104に分注される。なお、洗浄液Xには、洗浄液庫121に収容するものと、試薬庫102,103に収容するものがある。洗浄液庫121に収容された洗浄液Xを用いる場合には、自動洗浄装置120で反応容器104に分注される。試薬庫102,103に収容している洗浄液(恒温槽添加剤等)を用いる場合には、試薬プローブ114,115で反応容器104に分注される。
【0025】
ST12において、例えば16の波長について、洗浄液Xの吸光度が測定され、測光処理が行われる。ついでST13において、吸光度の測定結果が例えば図3に示すような吸光度のパターングラフとして、表示部163に表示される。
【0026】
ついでST14では、ST12で測定された吸光度と、予め設定された基準吸光度とが比較され、測定された吸光度が予め設定した適正値の範囲内であるか否かが判定される。
【0027】
ST14の判定において、適正値の範囲内であった場合には、洗浄液Xの品質が適正であるとして、自動分析装置1における被検試料分析処理が開始される(ST15)。また、ST15において、洗浄液Xの吸光度が適正範囲内であったこと、及び被検試料の分析を実行したことがログとして記録される。
【0028】
一方、適正値範囲外であった場合には、制御部162の制御により、表示部163に、例えば現在設置されている洗浄液Xの液性が適正値範囲外である旨や、「指定の洗浄液を使用して下さい」などの警告メッセージ等が表示されるとともに(ST16)、被検試料の分析処理が停止される(ST17)。また、ST17において、洗浄液Xの吸光度が適正範囲外であったこと、及び被検試料の分析を停止したことがログとして記録される。
【0029】
本実施形態にかかる自動分析装置1によれば以下のような効果が得られる。すなわち、洗浄液Xの成分を分析することができるため、使用される洗浄液の品質維持を容易とし、所望の効果及び影響が得られる。したがって、所望の装置性能を確保することができる。また、被検試料を分析処理する測光装置140や試薬プローブ114、115、サンプルプローブ116、自動洗浄装置120等を用いるため、新たな設備を追加することなく実現可能である。さらに、洗浄液Xの分析処理は、自動分析装置1における被検試料の分析処理の動作確認にもなる。
【0030】
さらに、上記分析装置によれば、純正品の洗浄液を用いた場合であっても、例えば有効期限切れて品質が変化した場合に、適正範囲外であることを検出することが可能となる。
【0031】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態における溶液分析処理について図4を参照して説明する。本実施形態の自動分析装置の構成は第1実施形態の自動分析装置1と同様であるため、説明を省略する。溶液として、自動洗浄装置120で用いられる洗浄液Xや、電解質測定装置130で用いられる電解質溶液Y、恒温槽150に添加する恒温槽添加剤Z(添加剤)などがあるが、本実施形態ではこのうち恒温槽添加剤Zについて成分分析を行う場合について説明する。
【0032】
本実施形態における溶液分析部170は、反応ディスク105、各種プローブ114〜116、測光装置140、制御部162等から構成される。この溶液分析部170における溶液分析処理は、例えば装置が立ち上げられた際、被検試料の検査が行われる前に、自動的に行われる。
【0033】
まず、ST21において、試薬プローブ114により、試薬庫102から恒温槽添加剤Zを吸出し、反応容器104に分注する。次いで反応ディスク105を回転させ、恒温槽添加剤Z入りの反応容器104を測光装置140に送る。ST22において、例えば16の波長について、恒温槽添加剤Zの吸光度が測定され、測光処理が行われる。ついでST23において、吸光度の測定結果が、吸光度のパターングラフとして、表示部163に表示される。
【0034】
ついでST24では、S22で測定された吸光度と、予め設定された基準吸光度とが比較され、測定された吸光度が予め設定した適正値の範囲内であるか否かが判定される。
【0035】
ST24の判定において、適正値の範囲内であった場合には、恒温槽添加剤Zの品質が適正であるとして、自動分析装置1における被検試料分析処理が開始される(ST25)。また、ST25において、恒温槽添加剤Zの吸光度が適正範囲内であったこと、及び被検試料の分析を実行したことがログとして記録される。
【0036】
一方、適正値範囲外であった場合には、制御部162の制御により、表示部163に例えば「指定の恒温槽添加剤を使用して下さい」等の警告メッセージが表示されるとともに(ST26)、被検試料の分析処理が停止される(ST27)。また、ST27において、恒温槽添加剤Zの吸光度が適正範囲外であったこと、及び被検試料の分析を停止したことがログとして記録される。
【0037】
本実施形態においても上記第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、恒温槽添加剤Zの成分を分析することができるため、使用される恒温槽添加剤の品質維持を容易とし、所望の効果及び影響が得られる。
【0038】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態における溶液分析処理について図5を参照して説明する。ここで、用いられる自動分析装置の構成は第1実施形態にかかる自動分析装置1と同様であるため、説明を省略する。溶液として、自動洗浄装置120で用いられる洗浄液Xや、電解質測定装置130で用いられる緩衝液や校正液等の電解質溶液Y、恒温槽150に添加する恒温槽添加剤Z、などがあるが、本実施形態ではこのうち電解質溶液Yについて成分分析を行う場合について説明する。
【0039】
本実施形態における溶液分析部170は、反応ディスク105、各種プローブ114〜116、測光装置140等から構成される。溶液分析処理は、例えば装置が立ち上げられた際、被検試料の検査が行われる前に、自動的に行われる。
【0040】
電解質溶液Yには、電解質溶液庫131に収納される校正液と試薬庫102,103に収容される緩衝液とがある。試薬庫102,103に収容されているものは、試薬プローブ114,115で反応容器104に分注される。電解質溶液庫131に収容されている校正液は、電解質測定装置130の電極ユニットの下に配置されたポットに供給され、電極ユニットがそれを吸引する(ST31)。また、校正液が試薬庫102,103の試薬容器107に収容され、試薬プローブ114,115によって、反応容器104に分注されてもよい。
【0041】
電解質溶液Y入りの反応容器104を測光装置140に送る。ST32において、例えば16の波長について、電解質溶液Yの吸光度が測定され、測光処理が行われる。ついでST33において、吸光度測定結果が吸光度のパターングラフとして、表示部163に表示される。
【0042】
ついでST34では、ST32で測定された吸光度と、予め設定された基準吸光度とを比較し、測定された吸光度が予め設定した適正値の範囲内であるか否かが判定される。
【0043】
ST34の判定において、適正値の範囲内であった場合には、電解質溶液Yの品質が適正であるとして、自動分析装置1における被検試料分析処理が開始される(ST35)。また、ST35において、電解質溶液Yの吸光度が適正範囲内であったこと、及び被検試料の分析を実行したことがログとして記録される。
【0044】
一方、適正値範囲外であった場合には、表示部163に、例えば「指定の電解質溶液を使用して下さい」などの警告メッセージが表示されるとともに(ST36)、被検試料の分析処理が停止される(ST37)。また、ST37において、電解質溶液Yが適正範囲外であったこと、及び被検試料の分析を停止したことがログとして記録される。
【0045】
本実施形態においても上記第1又は第2実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、電解質溶液Yの成分を分析することができるため、使用される電解質溶液の品質維持を容易とし、所望の効果及び影響が得られる。
【0046】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態における自動分析装置4及び溶液分析処理について図6及び図7を参照して説明する。自動分析装置4において、屈折率検出装置171以外の構成は第1実施形態の自動分析装置1と同様であるため、説明を省略する。本実施形態では溶液としての洗浄液Xについて成分分析を行う場合について説明する。
【0047】
本実施形態における自動分析装置4は、溶液の屈折率に関する情報を検出し、制御部162に送る屈折率検出装置171を備えている。
【0048】
本実施形態の溶液分析部172は、反応ディスク105、各種プローブ114〜116、及び屈折率検出装置171等から構成される。溶液分析処理は、例えば自動分析装置4が立ち上げられた際、被検試料の検査が行われる前に、自動的に行われる。
【0049】
まず、ST41において、洗浄液庫121あるいは試薬庫102,103から洗浄液Xを吸出し、屈折率検出装置171に送る。ST42において、洗浄液Xの屈折率が測定される。ついでST33において、屈折率の測定結果がグラフとして、表示部163に表示される。
【0050】
ついでST44では、ST42で測定された屈折率と、予め設定された基準屈折率とを比較し、測定された屈折率が予め設定した適正値の範囲内であるか否かが判定される。例えば、基準屈折率を14.5%とし、その適正範囲を0.5%とすると、14.0%〜15.0%の場合には適正値の範囲内であると判定され、14.0%未満である場合や15.0%より大きい場合には適正値の範囲外であると判定される。
【0051】
ST44の判定において、測定屈折率が適正値の範囲内であった場合には、洗浄液Xの品質が適正であるとして、自動分析装置4における被検試料分析処理が開始される(ST45)。また、ST45において、洗浄液Xの屈折率が適正範囲内であったこと、及び被検試料の分析を実行したことがログとして記録される。
【0052】
一方、適正値範囲外であった場合には、表示部163に、例えば「指定の洗浄液を使用して下さい」などの警告メッセージが表示されるとともに(ST46)、被検試料の分析処理が停止される(ST47)。また、ST47において、洗浄液Xの屈折率が適正範囲外であったこと、及び被検試料の分析を停止したことがログとして記録される。
【0053】
本実施形態においても上記第1実施形態等と同様の効果が得られる。すなわち、洗浄液Xの成分を分析することができるため、使用される洗浄液の品質維持を容易とし、所望の効果及び影響が得られる。
【0054】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態における自動分析装置5及び溶液分析処理について図8及び図9を参照して説明する。自動分析装置5においてpH検出装置175以外の構成は第1実施形態の自動分析装置1と同様であるため、説明を省略する。本実施形態では溶液として洗浄液Xについて成分分析を行う場合について説明する。
【0055】
本実施形態における自動分析装置5は、溶液の水素イオン指数に関する情報を検出し、制御部162に送るpH検出装置175を備えている。本実施形態の溶液分析部176は、反応ディスク105、各種プローブ114〜116、及び屈折率pH検出装置175等から構成される。溶液分析処理は、例えば自動分析装置5が立ち上げられた際、被検試料の検査が行われる前に、自動的に行われる。
【0056】
まず、ST51において、洗浄液庫121あるいは試薬庫102,103から洗浄液Xを吸出し、pH検出装置175に送る。ST52において、洗浄液Xの水素イオン指数が測定される。ついでST53において、水素イオン指数の測定結果がグラフとして、表示部163に表示される。
【0057】
ついでST54では、ST52で測定され水素イオン指数と、予め設定された基準水素イオン指数とを比較し、測定された水素イオン指数が予め設定した適正値の範囲内であるか否かが判定される。
【0058】
ST54の判定において、適正値の範囲内であった場合には、洗浄液Xの品質が適正であるとして、自動分析装置5における被検試料分析処理が開始される(ST55)。また、ST55において、洗浄液Xの水素イオン指数が適正範囲内であったこと、及び被検試料の分析を実行したことがログとして記録される。
【0059】
一方、適正値範囲外であった場合には、表示部163に、例えば「指定の洗浄液を使用して下さい」などの警告メッセージが表示されるとともに(ST56)、被検試料の分析処理が停止される(ST57)。また、ST57において、洗浄液Xの水素イオン指数が適正範囲外であったこと、及び被検試料の分析を停止したことがログとして記録される。
【0060】
本実施形態においても上記第1実施形態等と同様の効果が得られる。すなわち、洗浄液Xの成分を分析することができるため、使用される洗浄液の品質維持を容易とし、所望の効果及び影響が得られる。
【0061】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態における自動分析装置6について図10及び図11を参照して説明する。本実施形態の自動分析装置6は溶液判別機構としての洗浄液容器125〜127や洗浄液庫121を色分けする点以外について自動分析装置1と同様であるため説明を省略する。
【0062】
本実施形態にかかる洗浄液庫121は溶液収容器としての複数の洗浄液容器125、126、127を備えている。複数の洗浄液容器125、126、127には、酸性洗浄液X1、中性洗浄液X2、アルカリ性洗浄液X3がそれぞれ収容されている。洗浄液庫121に設置された複数の洗浄液には、例えば成分に応じて色が変化する添加剤が加えられるなどにより、それぞれ、その成分に応じて着色されている。例えば酸性洗浄液X1は赤系の色に、アルカリ性洗浄液X3は青系の色となっており、色によって洗浄液の成分が見分けられるようになっている。
【0063】
洗浄液容器125〜127には、それぞれ内部に収容される洗浄液の色と対応するように色が付されている。さらに、複数の洗浄液容器125〜127が設置される洗浄液庫121の設置部分121a〜121cには、それぞれ指定の洗浄液の色に応じた色分けがなされている。例えばここでは、酸性洗浄液X1、この酸性洗浄液X1が収容される洗浄液容器125及びこの洗浄液容器125が設置される設置場所121aが赤系の色となっている。また、中性洗浄液X2、この中性洗浄液X2が収容される洗浄液容器126、及びこの洗浄液容器126が設置される設置場所121bが無色または白色になっている。アルカリ性洗浄液X3、このアルカリ性洗浄液X3が収容される洗浄液容器127、及びこの洗浄液容器127が設置される設置場所121cは青系の色になっている。
【0064】
本実施形態においても上記各実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、色分けすることにより、複数種類の洗浄液が正しい位置に設置されるように促すことができ、異なる洗浄液が設置されるのを防止することにより、溶液の品質維持が容易となる。また、色彩で区別するため、例えば画像処理装置を使用して設置を確認する場合でも、その識別が容易になるため、単純(安価)な画像処理装置を適用できる。
【0065】
[第7実施形態]
以下、本発明の第7実施形態における自動分析装置7及び溶液収容器について図12及び図13を参照して説明する。本実施形態の自動分析装置7は、使用する溶液収容器128の色の変化以外については、自動分析装置1と同様であるため説明を省略する。
【0066】
本実施形態に係る溶液収容器には、図12に示すように溶液収容器内面壁面に帯状に材質の異なる変色部128a〜128cを設けている。この帯状の変色部128a〜128cは溶液の種類、水素イオン指数などに感応し、その色が変化する物質で製造されている。例えば、酸、アルカリ、で呈色するリトマス試験に含まれる成分を含み、溶液を収容することで色が変化する。例えば酸性洗浄液の収容きに設けられた帯状の変色部128aは赤色、中性洗浄液用の変色部128bは無色、アルカリ性洗浄液用の変色部128cは青色等となる。
【0067】
図13は、洗浄液が設置される設置部129を示している。ここでは被検資料を収容するサンプルラックの場合を示す。設置部129にはその変化する色と共通する色の識別用のマーク129a〜129cが付されている。ここでは、例えば酸性洗浄液用のマーク129aは赤色、中性洗浄液用のマーク129bは無色、アルカリ性洗浄液用のマーク129cは青色等に設定する。
【0068】
サンプルプローブ116により、設置された洗浄液を吸引することによりサンプルプローブ116内の洗浄が可能となる。通常汚れを洗浄する場合は、その汚れの成分により、酸、中性、アルカリ性の洗浄液を夫々に使用する。もし、不適当な洗浄液を使用すると、汚れが落ちないばかりか、その構成膜を損なう可能性がある。したがって、洗浄液の設置は重要な操作作業となる。無臭、無色の洗浄液では、その内容がわからないため、置き間違える可能性があり、その設置に注意を要するが、本実施形態では上記のように、収容される洗浄液の種類に応じて容器の色が変化することにより、設置箇所の間違いを防止することができる。また、帯状部材128a〜cの色とマーク129a〜cの色とが異なるとすぐに認識できるため、使用者は洗浄液の設置の間違いをすぐに認識することができ、洗浄液の交換や溶液収容器の洗浄等、迅速な対応が可能となる。
【0069】
[第8実施形態]
本発明の第8実施形態における溶液分析処理について図14を参照して説明する。
【0070】
なお、本実施形態の自動分析装置の構成は第1実施形態の自動分析装置1と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
また、本実施形態では、ST16でのメッセージ表示の後に、被検試料の分析処理の続行を判定するステップ(ST)81と、ST81で分析を続行すると判定した場合にST15に進む点以外の工程は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、ST11において洗浄液が分注され、ST12におい吸光度が測定され、ST13において測定結果が表示された後、ST14において測定結果が適正範囲内か否かが判定される。
【0073】
ST14で適正範囲内であった場合には(ST14のYes)第1実施形態と同様に、被検試料の分析が開始される(ST15)。一方ST14で適正範囲外であった場合(ST14のNo)、適正範囲外である旨のメッセージが表示される(ST16)。
【0074】
ついで、ST81において、被検試料の分析を続行するか否かが判定される。例えば、ST16で適正範囲外である旨のメッセージとともに、続行するか否かの入力を促すメッセージ、例えば「被検試料の分析を続行しますか?」等のメッセージが表示される。ユーザはこのメッセージに対して操作入力部16から、続行するか否かを入力指示する。
【0075】
ユーザにより継続する旨の入力がなされた場合には、ST81において継続すると判定し、ST15に進み、被検試料の分析を開始する。なお、この場合に適正範囲外であること、及び被検試料の分析を続行したことをログとして記録する。
【0076】
一方、例えばユーザから被検試料の分析処理を続行しない旨の入力があった場合には、ST17に進み、被検試料の分析を停止する。なお、この場合に、適正範囲外であること、及び被検試料の分析を停止したことをログとして記録する。さらに、ST14で適正範囲外であると判定され、ST81において続行することとなった場合には、ST15で実行する被検試料の分析結果に、適正範囲外の洗浄液であったことを表示する。例えば、「適正範囲外の洗浄液を用いました」等の表示がなされる。
【0077】
本実施形態においても上記第1実施形態等と同様の効果が得られる。さらに、適正範囲外であっても必ずしも停止する必要がないと判断した場合に分析処理を続行できることとしたため、ユーザの環境に合わせた使用が可能となる。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その構成要件を適宜変更して実施することができる。例えば、上記第1乃至第3実施形態においては、溶液を直接分析する場合について例示したが、溶液に特異的な吸収帯を有する物質(例えば、色素など)を添加し、この物質と溶液を反応させた状態の混合液を分析処理することも可能である。
【0079】
また、溶液の検査は装置立ち上げの際に行われるとしたが、これに限られず、例えばあるいは予め設定された間隔で定期的に見るようにしてもよい。さらに、オペレータが操作入力部161を介して自動分析装置1、4、5、6、7を実行してもよいし、経時的に行うようにしてもよい。また、ある決まったタイミング、例えば、装置のシャットダウン時、あるいは設定された測定検体数毎、に自動的に実行するようにしてもよい。
【0080】
液性を表すための指標として、上記実施形態で検出した吸光度、水素イオン指数、屈折率などの他に、比重、表面張力、粘度などを検出して分析処理を行ってもよい。また、第4実施形態乃至第8実施形態では洗浄液について分析を行う場合について説明したが、第2及び第3実施形態の電解質溶液Yや恒温槽添加剤Zなど、他の溶液にも適用できる。また、上記複数の分析処理を組み合わせてもよく、さらに、1つの自動分析装置において、複数種類の溶液を分析できるように構成してもよい。
【0081】
すなわち、上記実施形態においては、溶液の吸光度、水素イオン指数、屈折率、比重、表面張力、粘度のいずれか1つの指標を基準として判定する場合についてそれぞれ例示したが、これら複数の指標のうち2つ以上を組み合わせて判定を行うことも可能である。
【0082】
また指標の分析及び判定の対象とする溶液は、上述の実施形態で例示した洗浄液、恒温槽添加剤、及び電解質溶液に限られるものではない。
【0083】
本発明は、実施段階においてその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる自動分析装置の構成を模式的に示す説明図。
【図2】同自動分析装置における溶液分析処理の工程を示すフローチャート。
【図3】同溶液分析処理における測定結果の一例を示すグラフ。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる溶液分析処理の工程を示すフローチャート。
【図5】本発明の第3実施形態にかかる溶液分析処理の工程を示すフローチャート。
【図6】本発明の第4実施形態にかかる自動分析装置の構成を模式的に示す説明図。
【図7】同自動分析装置における溶液分析処理の工程を示すフローチャート。
【図8】本発明の第5実施形態にかかる自動分析装置の構成を模式的に示す説明図。
【図9】同自動分析装置における溶液分析処理の工程を示すフローチャート。
【図10】本発明の第6実施形態にかかる自動分析装置の構成を模式的に示す説明図。
【図11】は、同実施形態にかかる洗浄液庫の構成を概略的に示す斜視図。
【図12】は、本発明の第7実施形態に係る溶液収容器を示す斜視図。
【図13】は、同実施形態にかかる設置部を示す斜視図。
【図14】は、本発明の第8実施形態に係る溶液分析処理の工程を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0085】
1,4,5,6,7…自動分析装置、101…試薬ラック、102、103…試薬庫、104…反応容器、105…反応ディスク、106…サンプルディスク、
107…試薬容器、108、109…試薬アーム、110…サンプルアーム、
111…撹拌装置、111a…撹拌子、114.115…試薬プローブ、
116…サンプルプローブ、117…サンプル容器、120…自動洗浄装置(洗浄ユニット)、X…洗浄液(洗剤)、121…洗浄液庫、125、126、127…洗浄液容器(溶液収容器)、121a〜121c…設置部分、128…溶液収容器、128a〜128c…変色部材、129…設置部、129a〜129c…マーク、130…電解質測定装置(電解質検出部、電解質検出ユニット)、Y…電解質溶液、131…電解質溶液庫、140…測光装置(測光ユニット)、150…恒温槽、Y…恒温漕添加剤、151…試薬庫、162…制御部(制御ユニット)、163…表示部(表示ユニット)、170、172、176…溶液分析部(溶液分析手段、分析ユニット)、171…屈折率検出装置、175…pH検出装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検試料及び試薬の混合液が収容された反応容器に光を照射し、前記反応容器からの光を検出してその混合液を測定する分析装置であって、
前記被検試料をサンプル容器から前記反応容器に分注するサンプル分注機構と、
前記試薬を試薬容器から前記反応容器に分注する試薬分注機構と、
前記被検試料におけるイオンを測定する電解質検出ユニットと、
前記混合液を、所定の測定温度に保持する恒温槽と、
前記被検体試料の分析処理に用いられる部品のうち少なくともいずれか一つを洗浄する洗浄処理を実行する洗浄ユニットと、
前記恒温槽に添加される添加剤、前記洗浄処理に用いられる洗浄液、及び前記電解質検出ユニットで用いられる電解質溶液のうちの少なくともいずれかについて分析処理を実行し、性質を表すための指標を取得する分析ユニットと、
前記指標が予め設定された適正範囲内であるか否かを判定する制御ユニットと、
を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記制御ユニットによって前記指標が適正範囲外であると判定された場合に、前記判定に基づいたメッセージを表示する表示ユニットを備えたことを特徴とする請求項1記載の分析装置。
【請求項3】
前記指標は、吸光度、水素イオン指数、屈折率、比重、表面張力粘度の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記分析ユニットは、前記反応容器からの光を検出して測定する測光ユニットにおいて前記指標としての吸光度を測定することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項5】
前記被検試料の分析結果を表示する表示ユニットと、
前記指標に応じて装置の作動状態を制御するとともに、前記表示ユニットに前記指標に応じた内容を表示させる制御ユニットと、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記指標が適正範囲外である場合に、前記被検試料の分析を停止することを特徴とする請求項1記載の分析装置。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記指標が適正範囲外である場合に、前記被検試料の分析を続行するか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の分析装置。
【請求項8】
前記指標が前記適正範囲内か否かを記録する記録ユニットをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の分析装置。
【請求項9】
前記指標が適正範囲外であって、前記被検試料の分析を続行した場合に、前記指標が適正範囲外であることを、前記被検試料の分析結果に表示する表示ユニットを備えたことを特徴とする請求項7記載の分析装置。
【請求項1】
被検試料及び試薬の混合液が収容された反応容器に光を照射し、前記反応容器からの光を検出してその混合液を測定する分析装置であって、
前記被検試料をサンプル容器から前記反応容器に分注するサンプル分注機構と、
前記試薬を試薬容器から前記反応容器に分注する試薬分注機構と、
前記被検試料におけるイオンを測定する電解質検出ユニットと、
前記混合液を、所定の測定温度に保持する恒温槽と、
前記被検体試料の分析処理に用いられる部品のうち少なくともいずれか一つを洗浄する洗浄処理を実行する洗浄ユニットと、
前記恒温槽に添加される添加剤、前記洗浄処理に用いられる洗浄液、及び前記電解質検出ユニットで用いられる電解質溶液のうちの少なくともいずれかについて分析処理を実行し、性質を表すための指標を取得する分析ユニットと、
前記指標が予め設定された適正範囲内であるか否かを判定する制御ユニットと、
を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記制御ユニットによって前記指標が適正範囲外であると判定された場合に、前記判定に基づいたメッセージを表示する表示ユニットを備えたことを特徴とする請求項1記載の分析装置。
【請求項3】
前記指標は、吸光度、水素イオン指数、屈折率、比重、表面張力粘度の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記分析ユニットは、前記反応容器からの光を検出して測定する測光ユニットにおいて前記指標としての吸光度を測定することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項5】
前記被検試料の分析結果を表示する表示ユニットと、
前記指標に応じて装置の作動状態を制御するとともに、前記表示ユニットに前記指標に応じた内容を表示させる制御ユニットと、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記指標が適正範囲外である場合に、前記被検試料の分析を停止することを特徴とする請求項1記載の分析装置。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記指標が適正範囲外である場合に、前記被検試料の分析を続行するか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の分析装置。
【請求項8】
前記指標が前記適正範囲内か否かを記録する記録ユニットをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の分析装置。
【請求項9】
前記指標が適正範囲外であって、前記被検試料の分析を続行した場合に、前記指標が適正範囲外であることを、前記被検試料の分析結果に表示する表示ユニットを備えたことを特徴とする請求項7記載の分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−133851(P2009−133851A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286850(P2008−286850)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]