説明

分析計

【課題】分析計において、マニホールドブロックの内部で分析流路の開閉を可能とすることによってデッドボリュームを減らすとともに、コンパクト化及び省メンテナンス化を図る。
【解決手段】内部に形成された分析流路10の複数の開口端11を有する一以上の凹部7が表面に形成された分析用マニホールド2と、圧力源22から加圧媒体としての流体を介して圧力が供給される一以上の供給孔14と、凹部6に圧力を導入するための凹部6と同数の導入孔15とが表面に開口され、各供給孔14といずれかの導入孔15との間を各々連通する連通流路16が形成された圧力配管用マニホールド3とが接合され、各凹部6内に、該凹部6が有する複数の開口端11と該凹部6に臨む導入孔15との間を遮断しかつ該導入孔15からの加圧の有無によって該複数の開口端11の相互間を開閉可能な遮蔽体を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体や気体等の性状や特定成分を、化学的、物理的、または光学的な方法で分析を行う分析計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体や気体の分析計として、試料導入部、前処理部、試薬添加部、反応部、測定部、廃液部など各処理工程を行う処理部を、複数の部分配管用チューブや弁装置等を介して接続すると共に、これらを定められた手順で動作させるための制御部が別途設けられている構成のものがある。このような配管用チューブを用いる分析計は、組み立てが簡易で、複雑な分析方法であっても、容易に対応することができるといったメリットがある。一方、配管用チューブのスペースを確保するためには分析計自体が大型となってしまい、さらに、チューブの老朽化、チューブ接続部の劣化などによる漏れ、チューブを定期的に交換しなければならない等の問題を抱えていた。
【0003】
そこで、アクリル樹脂などの透明プラスチック部材やガラス等からなるマニホールドブロック中に流路を形成し、この流路の一部を測定セルや攪拌槽などとして機能させる分析計も提案されている(例えば非特許文献1参照)。この種の分析計においては、配管用チューブを多用することなく、複雑な手順の分析に対応することが可能な分析計も提案されており、装置のコンパクト化及び省メンテナンス化が進んでいる。(例えば特許文献1参照)。
【非特許文献1】「BioMEMSを利用した煙道中のダイオキシン測定システムの開発、成果報告書(初年度)」、新エネルギー・産業技術総合開発機構、平成14年3月
【特許文献1】特開2005−91216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マニホールドブロック51を用いた分析計においては流路制御のために、図7に示すように、マニホールドブロック51の表面に、その内部に設けられた分析流路53を開口させ、これら開口に接続するようにして、開閉用電磁弁52をマニホールドブロック51の表面に取り付けていた。
【0005】
この場合、分析流路53が一旦マニホールドブロック51の内部から外れ、開閉用電磁弁52を通過する必要があるため、開閉用電磁弁52と分析流路53との間にデッドボリュームが生じ、そこに試料流体や液薬等が残留してしまうことによって、コンタミネーションが起こり易くなってしまうとともに、それぞれの処理間における試料流体等の応答性が低下してしまうという欠点があった。
【0006】
また、流路53の開閉を要する箇所ごとにマニホールドブロック51表面に開閉用電磁弁52を設置するためのスペースを確保する必要があるため、コンパクト化をすることが困難であるとともに、その設置密度にも限界があった。さらに、開閉用電磁弁52を用いた場合、その上流側と下流側の両側でマニホールドブロック51の内部の分析流路53と接続する必要があるため、シール箇所が増加し液漏れのリスクが高まるとともに、液漏れが発生した際には重大な損傷につながる恐れもあった。さらに、従来の開閉用電磁弁52では、開閉部が内部にあるため、その部分を直接観察することができず、開閉の良否判断をすることが不可能であった。
【0007】
この発明は、このような課題を解決せんと発明されたものであり、その目的は、マニホールドの内部で分析流路の開閉を可能とすることによってデッドボリュームを減少させるとともに、コンパクト化及び省メンテナンス化を図ることができる分析計の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係る分析計は、内部に分析流路が形成されるとともに、前記分析流路の複数の開口端を有する一以上の凹部が表面に形成された分析用マニホールドと、圧力源から加圧媒体としての流体を介して圧力が供給される一以上の供給孔と、前記凹部に圧力を導入するための前記凹部と同数の導入孔とが表面に開口され、各前記供給孔といずれかの前記導入孔との間を各々連通する連通流路が形成された圧力配管用マニホールドとを備えるとともに、前記分析用マニホールドと前記圧力配管用マニホールドは、各前記凹部にいずれか一の前記導入孔が臨むように着脱可能に接合され、各前記凹部内に、該凹部が有する複数の開口端と該凹部に臨む導入孔との間を遮断しかつ該導入孔からの加圧の有無によって該複数の開口端の相互間を開閉可能な遮蔽体を設けたことを特徴とする。
【0009】
圧力配管用マニホールドの供給孔に圧力が供給されると、連通流路を介して導入孔から分析用マニホールドの凹部内に設けられた遮蔽体に圧力が供給される。これによって、凹部内に位置する分析流路の開口端を閉塞し分析流路を遮断する。また、遮蔽体から圧力が排除されると、遮蔽体が分析流路を連通する機構となっている。従って、凹部と遮蔽体からなる単純な構成の分析流路の開閉機構を採用することにより、マニホールド表面に従来のような開閉用電磁弁を設けることなく、マニホールドの内部において分析流路の開閉が可能となる。また、分析流路がマニホールドの外部を経由することはないため、外部との接続箇所に設置していたシールを設ける必要がなくなり、シール箇所を少なくすることができる。また、分析流路を流れる試料流体や薬液等と接するのは分析用マニホールドの他には遮蔽体だけなので、遮蔽体だけを試料流体等に対して耐薬性、耐食性等がある材質とすればよい。
【0010】
また、前記遮蔽体が前記導入孔からの加圧の有無によって伸縮する弾性体からなるものであってもよい。弾性体が膨張し凹部に密着することによって確実な分析流路の閉鎖することが可能となる。
【0011】
また、本発明に係る分析計において、前記圧力配管用マニホールドが複数の前記供給孔を備えるとともに、さらに前記圧力源からの加圧媒体としての流体を制御する流体制御ユニットを備えるものであってもよい。流体制御ユニットは、前記圧力配管用マニホールドへ供給する流体の圧力、流量、温度等各種性状を制御したり、流路の切換または流体の流れの方向を制御するユニットであり、下記切換弁、方向弁、圧力制御弁、流量計、流体を加圧するためのポンプなどが挙げられる。
【0012】
本発明に係る分析計においては、前記流体制御ユニットは各々第1から第3のポートを備える複数の切換弁を備えるバルブユニットであり、前記第1のポートは各々圧力源に、前記第2のポートは共通の排圧路に合流する複数の排圧路のいずれかに、前記第3のポートは前記各供給孔のいずれかに、各々接続されるものであってもよい。
【0013】
切換弁の第2ポートが共通の排圧路に接続されているため、万一遮蔽体の破損等により分析流路から連通流路に試料流体等が漏れた場合であっても、試料流体等はそれぞれの供給孔及び切換弁を介して排圧路に導かれるため、試料流体が開閉機構の周辺に滞留することはない。さらに排圧路は全ての切換弁に共通のものであるため、いずれの試料流体等が漏れても必ず一の排圧路に導かれ、漏れた試料流体等を容易に除去することが可能となり、メンテナンスが容易となる。
【0014】
さらに、前記分析計においては、前記共通の排圧路に前記分析流路を流れる流体が通過したか否かを検知するセンサが設けられてもよい。これにより、遮蔽体が破損し試料流体等が漏れたことを自動的に検出することができ、メンテナンスを容易にすることができる。
【0015】
本発明に係る分析計においては、前記分析用マニホールドと前記圧力配管用マニホールドとは、透明の材質からなるものであることが好ましい。両マニホールドが透明であることによって、分析用マニホールド内の分析流路の開閉箇所を分解することなくして直接確認することができるため、開閉の良否判断を容易にすることが可能となり、メンテナンスが容易となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る分析計によれば、凹部と遮蔽体からなる単純な構成の流路開閉機構によって、マニホールドブロック内部において分析流路の開閉を行うこと可能となる。従って、デッドボリュームは凹部内の極限られた部分のみとなり、コンタミネーションを抑制することができるとともに、試料流体の応答性を向上させることが可能となる。また、マニホールドの表面に開閉用電磁弁を実装するためのスペースを確保する必要がないため、設計の自由度が増すとともにマニホールド自体のコンパクト化が可能となる。さらに、開閉用電磁弁によって分析流路の開閉を直接行う場合に比べて開閉機構におけるシール箇所が少ないため、液漏れのリスクを低下させることができるとともに、遮蔽体のみを試料流体等に対して耐薬性、耐食性等のある材質とすればよくメンテナンス性を向上させることができる。また、両マニホールドは着脱可能に接合されているため開閉部の修繕を容易に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る分析計を実施するための形態について詳細に説明する。図1は、本発明に係る分析計の第一の実施形態の一部分の模式図である。この分析計は、アクリル樹脂等の透明プラスチックやガラス等からなる分析用マニホールド2及び圧力配管用マニホールド3によって形成されるマニホールドブロック1と、圧力の給排を行うバルブユニット4により大略構成される。該マニホールドブロック1の表面には、図示しない試料供給源とつなぐ外部流路との接続口、図示しない薬液供給源とつなぐ外部流路との接続口、図示しない排液口とつなぐ外部流路との接続口、図示しない外部センサが設けられた外部流路との接続口等が適宜設けられる。また、マニホールドブロック1の内部には、液体やガス等の試料流体や薬液等が流れ、必要に応じて分岐、合流をする複数の分析流路10が設けられるとともに、定められた手順で試料流体等に処理が施されるように該分析流路10を開閉する流路開閉機構18が形成されている。また、図1に示したマニホールドブロック1は、本発明に係る分析計に備えられた一の分析流路10を開閉する一の流路開閉機構18を示したマニホールドブロック1の表面の部分模式図であり、実際のマニホールドブロック1には複数の分析流路10とともに複数の流路開閉機構18が形成されている。
【0018】
分析用マニホールド2の上面(図1の上側)には略円柱状の凹部6が開口しており、その凹部6の開口部9の周囲に、環状のシールリング7が配設されている。また、分析用マニホールド2の内部には、試料流体や薬液等が流れる分析流路10が形成されており、凹部6の内壁面には上流側の分析流路10aが開口されて開口端11aを、凹部6の底面には下流側の分析流路10bが開口されて開口端11bが形成されている。
【0019】
また、凹部6には、圧力により分析流路10a、10bの開口端11a、11bを閉塞する遮蔽体として、上端部が開口し下端部が閉ざされ上下方向を長手方向とした袋状の弾性体からなるバルーン8が設けられている。このバルーン8はその上端部の外周において、別体のシールリング7と接合されているものであってもよく、シールリング7と一体形成されたものであってもよい。また、バルーン8はシールリング7とは別に凹部6の内周壁に固着した構成としてもよい。このバルーン8により凹部6の内部は、試料流体等が流れ込む区域と上面に開口した区域とが液密かつ気密に分離され、各々分析流路室12及び圧力室13とされている。
【0020】
圧力配管用マニホールド3には、その側面において外部から圧力を供給される供給孔14が開口され、その底面(図1の下側)においては凹部6に圧力を導入するための導入孔15が開口されている。供給孔14及び導入孔15の間は、圧力配管用マニホールド3内部に形成された、圧力を伝える加圧媒体が通過する流路である連通流路16によって連通されている。なお、加圧媒体としては、空気、油、水などの流体が挙げられる。
【0021】
以上のような構成からなる分析用マニホールド2及び圧力配管用マニホールド3は、分析用マニホールド2の上面と圧力配管用マニホールド3の下面とにおいて、圧力配管用マニホールド3の下部に開口した導入孔15が分析用マニホールド2の凹部6の中央に臨むように着脱可能に接合される。これにより、凹部6の内部に設けられた遮蔽体であるバルーン8が導入孔15からの圧力により分析流路10を開閉とする流路開閉機構18が形成される。
【0022】
また、図1においては分析計のマニホールドブロック1における一つの流路開閉機構18を示し他の流路開閉機構18の図示を省略したが、本実施形態における分析計では、分析用マニホールド2には複数の凹部6が設けられ、圧力配管用マニホールド3には複数の供給孔14と、凹部6の数と同数の導入孔15とが開口し、各供給孔14といずれかの導入孔15との間を各々連通する複数の連通流路16が形成されており、分析用マニホールド2と圧力配管用マニホールド3とが、各凹部6にいずれか一の導入孔15が臨むように着脱可能に接合されことにより複数の流路開閉機構18が形成されている。
【0023】
マニホールドブロック1の外部には、圧力源22からの流体を制御するバルブユニット4が設けられている。該バルブユニット4は、第1から第3のポートを備える複数の切換弁20が並設されて構成されており、それぞれの切換弁20の第1のポート21は圧力源22から延びた加圧路23の分岐路23aのいずれかに、第2のポート24は排圧口25に連通する共通の排圧路26の分岐路26aのいずれかに、第3のポート27は、供給路28を介して圧力配管用マニホールド3に設けられた複数の供給孔14のいずれかに、それぞれが接続されている。
【0024】
また、それぞれの切換弁20が接続される共通の排圧路26の下流には、センサ30が設けられている。該センサ30は、排圧路を通過する流体の導電率や屈折率等を随時検出しており、差異を検知した場合に警報を出す構成となっている。
【0025】
ここで、分析計における流路開閉機構18による分析流路10の開閉動作について説明する。切換弁20において、第2のポート24と第3のポート27が連通されている場合、バルーン8は収縮しており、試料流体等は分析流路10a、分析流路室12、分析流路10bの順に流れている。この状態で切換弁20が第1のポート21と第3のポート27が連通されるように動作すると、圧力源22からの加圧媒体の圧力が、加圧路23、切換弁20、供給路28を介して圧力配管用マニホールド3の供給孔14に供給される。続いて圧力が連通流路16を通過し導入孔15から凹部6の圧力室13に到達すると、その圧力によりバルーン8が膨張し凹部6の内周壁及び底面に密着することによって、開口端11a、11bを閉塞し試料流路10を閉鎖する。一方、試料流路10を開通させる場合には、切換弁20の第2のポート24と第3のポート27が連通されるように動作させることによって、圧力室13の圧力を排除しバルーン8が収縮して試料流路10が開通する。
【0026】
従って、凹部6とバルーン8を備え、圧力により動作する単純な構成の流路開閉機構18によって、分析流路10の開閉を行うことができるため、従来のようにマニホールドブロック1表面に開閉用電磁弁52を設けることなく、マニホールドブロック1の内部において分析流路10の開閉が可能となる。また、分析流路10がマニホールドブロック1の開閉用電磁弁52内の流路等の外部を経由することはないため、外部との接続箇所に設置していたシールを設ける必要がなくなりシール箇所を少なくすることができる。また、分析流路を流れる試料流体や薬液等と接するのは分析用マニホールド3の他には遮蔽体となるバルーン8だけなので、バルーン8のみを試料流体等によって損なわれない材質とすればよい。
【0027】
また、万一、バルーン8が破損等し、試料流体等が分析流路室12から圧力室13側に漏れた場合には、切換弁20が第2ポート24と第3ポート27に連通して試料流路10が開通しているとき、または切換弁20が第1ポート21と第3ポート27が連通しているときは、切換弁20を第2ポート24と第3ポート27が連通するように動作させることで、試料流体等は連通流路16、供給路28、切換弁20、排圧路26を通過し、排圧口25に導くことができる。
【0028】
さらに、分析流路10を流れる液体やガス等の試料流体や薬液等が排圧路26を通過した場合には、加圧媒体としての流体のみが通過している場合とは導電率や屈折率に差異を生じるため、センサ30は警報を発し、これによりバルーン8の破損等により漏れが発生したことを検知することが可能となる。
【0029】
以上から、分析計において、凹部6とバルーン8からなる単純な構成の流路開閉機構18によって、マニホールドブロック1の内部で分析流路10の開閉を行うこと可能となるため、デッドボリュームは凹部6内の極限られた部分のみとなり、コンタミネーションを抑制することができるとともに、試料流体の応答性を向上させることが可能となる。また、マニホールドブロック1の表面に開閉用電磁弁52を実装するためのスペースを確保する必要がないため、設計の自由度が増すとともに、分析計におけるマニホールドブロック1のコンパクト化が可能となる。
【0030】
また、各遮蔽体となるバルーン8のみを試料流体等に対して耐薬性、耐食性等がある材質とすればよく、シール箇所が少なくて済むため、液漏れのリスクを低下させることができる。さらに、マニホールドブロック1は透明な材質で構成されるため、バルーン8が伸縮して分析流路10の開閉を行う箇所を直接確認することができるとともに、分析用マニホールド2及び圧力配管用マニホールド3は着脱可能に接合されているため流路開閉機構18の修繕を容易に行うことができ、メンテナンスを容易にすることができる。
【0031】
また、切換弁20の第2ポート24が共通の排圧路26に接続されているため、万一バルーン8の破損等により分析流路10側から連通流路16側に試料流体等が漏れた場合であっても、共通の排圧路26へ速やかに導かれるため、試料流体等が流路開閉機構18の周辺に滞留することなく、漏れた試料流体等を容易に除去することが可能となる。またその際には、センサ30が液漏れを自動的に検知するため、メンテナンスが容易となる。
【0032】
次に、本発明に係る分析計の第二の実施形態のマニホールドブロック1の一部分について、図2から図4を用いて説明する。図2は該マニホールドブロック1の一部分の正面図、図3は図2におけるX方向矢視図、図4は図2におけるY方向矢視図である。図2から図4においては、図1と同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0033】
図2から図4に示すようにマニホールドブロック1は、分析用マニホールド2と圧力配管用マニホールド3とがネジ止めによって着脱可能に接合されて構成されており、具体的には、圧力配管用マニホールド2の上面から下面にかけて形成された三箇所の貫通孔31a、31b、31cと、分析用マニホールド2の上面に開口した三箇所のネジ穴32a、32b、32cに、圧力配管用マニホールド2の上面からネジ33a、33b、33cが通されることによって分析用マニホールド2と圧力配管用マニホールド3とが密着、接合されている。
【0034】
分析用マニホールド2には、内部に二つの凹部6a、6bが並設されており、その開口部9a、9bの外周にはシールリング7a、7bが設けられており、凹部6a、6bの内部にはそれぞれバルーン8a、8bが設けられている。また、分析用マニホールド3の図3、図4に示すAの面には接続管34aがはめ込まれており、該接続管34aから分析用マニホールド2の内部に向かって直線的に上流側分析流路35が形成され、該上流側分析流路35は凹部6a、6bに向けて図2、図3の左側に分岐して上流側分析流路35a、35bを構成し、凹部6a、6bの内壁面に開口端36a、36bを形成している。さらに、凹部6a、6bの底面には、それぞれ下流側分析流路37a、37bが開口した開口端38a、38bを形成している。
【0035】
圧力配管用マニホールド3には、図3、図4に示すAの面に供給孔14が開口し、該供給孔14には接続管34bがはめ込まれ、圧力配管用マニホールド3の内部に向かって直線的に連通流路39が形成されている。該連通流路39は下方に向かって分岐し連通流路39a、39bを構成し、圧力配管用マニホールド3の下面に導入孔15a、15bを開口している。
【0036】
以上のような構成からなる分析用マニホールド2及び圧力配管用マニホールド3が、分析用マニホールド2の上面と圧力配管用マニホールド3の下面とにおいて、圧力配管用マニホールド3の下部に開口した導入孔15a、15bが分析用マニホールド2の凹部6a、6bの中央に臨むように着脱可能に接合され、流路開閉機構18a、18bが形成される。
【0037】
連通流路39に供給された圧力は、連通流路39a、39bに従って分岐し、それぞれのバルーン8a、8bに送り込まれるとそれぞれのバルーンが膨張し、上流側分析流路35a、35bと下流側分析流路37a、37bを閉塞し、試料流体等の流れを遮断することができる。即ち、マニホールドブロック1に供給される一の圧力によって、流路開閉機構18において前記上流側と下流側の2箇所の流路の開閉をすることが可能となり、このような構成を分析計に組み込むことにより設計の幅が広がり様々な分析に対応することができる。
【0038】
図5に、本発明に係る分析計の第三の実施形態の部分模式図を示す。図5に示すマニホールドブロック1も、図1と同様に、一の分析流路10を開閉する一の流路開閉機構18を示したマニホールドブロック1の表面の部分模式図である。図5においては、図1と同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この実施形態の分析計は、遮蔽体が弾性体からなる遮蔽膜41で構成されており、分析流路10a、10bの両方が凹部6の底面に開口し、開口端42a、42bを形成している点で第一の形態と相違し、他は同様の構成となっている。
【0039】
遮蔽膜41は、円形の薄膜状の伸縮自在である弾性体から構成されており、凹部6の開口部9の全域を覆うように配設されている。この、遮蔽膜41はその外周においてシールリング7を備えているが、別体のシールリング7と接合されているものであってもよく、シールリング7と一体形成されたものであってもよい。また、遮蔽膜41はシールリング7とは別に凹部6の内周壁に固着した構成としてもよい。
【0040】
導入孔15から圧力が供給されると、遮蔽膜41は凹部4の底面に向かって伸張し、凹部4底面に位置する開口端42a、42bを閉塞し、分析流路10を閉鎖する。一方、圧力が排除されると、遮蔽膜11は収縮して元に戻り、分析流路10が連通する機構となっている。
【0041】
第一の実施形態では、図1に示すように凹部6の内周壁側面に及び底面に位置する開口端11a、11bを閉塞するのに対し、第三の実施形態では、図5に示すように凹部6の底面に位置する開口端42a、42bを閉塞することができる。従ってこれらを組み合わせることにより、様々な形状の分析流路6に柔軟に対応することができ、設計上の幅を広げることができる。
【0042】
図6に、本発明に係る分析計の第四の実施形態の一部分の模式図を示す。図6に示すマニホールドブロック1も、図1と同様に、一の分析流路10を開閉する一の流路開閉機構18を示したマニホールドブロック1の表面の部分模式図である。図6においては、図5と同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この実施形態の分析計においては、圧力により分析流路10を閉鎖する遮蔽体として、一定の厚さの円盤状の遮蔽板44で構成されている点で第二の実施形態と相違し、他は同様の構成となっている。
【0043】
遮蔽板44は、その側面外周を取り巻くようにリップシール45が備えられており、該遮蔽板44は、リップシール45を介して、凹部6の内周壁側面に密接しながらその上下方向に摺動可能となっている。さらに遮蔽板44は、凹部6の開口部9に臨む分析用マニホールド3の下面に固定支持されたばね46によって吊り下げされるように支持されている。
【0044】
導入孔15から圧力が供給されると、遮蔽板44は凹部6の内壁面と摺動しながら下部に移動し、凹部6底面まで到達すると開口端42a、42bを閉塞し、分析流路10を閉鎖する。一方、圧力が排除されると、ばね46の収縮力により遮蔽板44は上部に移動し、分析流路10を連通されることで、分析流路10の開閉が可能となる。
【0045】
なお、遮蔽44の外周部にリップシール45を設けたが、遮蔽板44の下面に両分開口端42a、42bの開口部周りに当接するシールリングを設けてもよい。
【0046】
また、上述したようにマニホールドブロック1の外部には、圧力源22からの加圧媒体としての流体を制御する流体制御ユニットであるバルブユニット4が設けられている。本実施形態では流体制御ユニットは切換弁20としたが、これに限定されるものではなく、流体の流れの方向を制御する方向弁など、目的に合わせて適宜採用することができる。また、流体制御ユニットは前記弁に限定されるものではなく、これより先の圧力配管用マニホールド3へ供給する流体の圧力、流量、温度等各種性状を制御するものであってもよく、圧力制御弁(定圧弁、減圧弁)、流量計、流体を加圧するためのポンプなどが挙げられるが、目的に合わせて適したものを採用すればよい。
【0047】
以上、本発明における実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の設計変更も含まれる。即ち、本発明にかかる分析計は、凹部6に遮蔽体を備え、圧力により遮蔽体が動作し分析流路10を閉塞する流路開閉機構18を備えることを特徴としており、この特徴が備えられている限り、いかなる実施形態をも包含している。例えば、一つのマニホールドブロック1の中に図1に示す流路開閉機構18と図4に示す流路開閉機構18等、異なる流路開閉機構18が混在していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る分析計の第一の実施形態の要部模式図
【図2】本発明に係る分析計の第二の実施形態のマニホールドブロックの部分正面図
【図3】図2におけるX方向矢視図
【図4】図2におけるY方向矢視図
【図5】本発明に係る分析計の第三の実施形態のマニホールドブロックの部分模式図
【図6】本発明に係る分析計の第四の実施形態のマニホールドブロックの部分模式図
【図7】従来の流路開閉機構の模式図
【符号の説明】
【0049】
2 分析用マニホールド
3 圧力配管用マニホールド
4 バルブユニット
6 凹部
7 シールリング
8 バルーン
9 開口部
14 供給孔
15 導入孔
16 連通流路
20 切換弁
21 第1のポート
22 圧力源
24 第2のポート
26 排圧路
27 第3のポート
28 供給路
30 センサ
41 遮蔽膜
44 遮蔽板





【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に分析流路が形成されるとともに、前記分析流路の複数の開口端を有する一以上の凹部が表面に形成された分析用マニホールドと、
圧力源から加圧媒体としての流体を介して圧力が供給される一以上の供給孔と、前記凹部に圧力を導入するための前記凹部と同数の導入孔とが表面に開口され、各前記供給孔といずれかの前記導入孔との間を各々連通する連通流路が形成された圧力配管用マニホールドとを備えるとともに、
前記分析用マニホールドと前記圧力配管用マニホールドは、各前記凹部にいずれか一の前記導入孔が臨むように着脱可能に接合され、
各前記凹部内に、該凹部が有する複数の開口端と該凹部に臨む導入孔との間を遮断しかつ該導入孔からの加圧の有無によって該複数の開口端の相互間を開閉可能な遮蔽体を設けたことを特徴とする分析計。
【請求項2】
前記遮蔽体が、前記導入孔からの加圧の有無よって伸縮する弾性体からなることを特徴とする請求項1に記載の分析計。
【請求項3】
前記圧力配管用マニホールドが複数の前記供給孔を備えるとともに、さらに前記加圧媒体としての流体を制御する流体制御ユニットを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の分析計。
【請求項4】
前記流体制御ユニットは、各々第1から第3のポートを備える複数の切換弁を備えるバルブユニットであり、
前記第1のポートは、各々圧力源に、
前記第2のポートは、共通の排圧路に合流する複数の排圧路のいずれかに、
前記第3のポートは、前記各供給孔のいずれかに、各々接続されることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の分析計。
【請求項5】
前記共通の排圧路に前記分析流路を流れる流体が通過したか否かを検知するセンサが設けられたことを特徴とする請求項4記載の分析計。
【請求項6】
前記分析用マニホールドと前記圧力配管用マニホールドとは、透明の材質からなることを特徴としている請求項1から5いずれかに記載の分析計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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