説明

分注装置

【課題】分注とほぼ同時に、固形成分を他の液体中へ抽出移動させながら所定の液体と固形成分を分注することができる分注装置を提供することを目的とする。
【解決手段】成分分離部とピペット部11とからなり、前記成分分離部は、固形粒子4を含む第一の溶液6を導入する導入路7と、第二の溶液9を導入する流路2と、この流路2の中間部に固形粒子4の濃度勾配を形成できる濃度勾配形成手段3と、第一の溶液6を導出する導出路8とからなり、前記ピペット部11は前記濃度勾配形成手段3によって第一の溶液6中から第二の溶液9中に移動分離した固形粒子4を含む第二の溶液9を排出できる流路2の端部に連通するように設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養液、血液、乳液などに代表されるような溶液と固形粒子が混合した混合溶液において、固形粒子の抽出、分離を行うことのできる成分分離機能を有した分注装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
細胞は遺伝子やタンパク質の発現、代謝産物の生成、免疫系及び増殖分化などの生命活動の制御を行っており、生体反応機構の解明だけでなく、医療診断分野に大きく貢献するものとして、その解析研究が進められている。
【0003】
一般的に、細胞を解析するための前処理として、培養液中で保存されている細胞を検査用の溶液に抽出する必要があり、現在は、遠心分離装置やピペットにより操作されている。しかしながら、操作時間が長い、あるいは遠心分離による細胞の破壊が起こり、貴重な細胞や高価な培養液を必要以上に大量に消費してしまうという課題があった。
【0004】
これに対して、MEMS技術を用いて作製したデバイスによって、細胞の前処理操作を行う研究が進められている。これらの細胞の前処理を行うMEMSデバイスの中で、音響波を利用したものは細胞に対して非接触で作用させることができることに加え、圧電体素子などを用いることで小型の音響波音源の構造を実現できるとともに制御性に優れたデバイスを実現している。
【0005】
この音響波を利用したデバイスを用いた細胞の前処理の方法の一例として、例えばエリーセーブでは、細胞と第一の溶液の混合溶液と、細胞を抽出したい第二の溶液とを同時に抽出機能を有する流路に導入し、音響波の作用によって細胞を第二の溶液に抽出している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2004−535912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の技術において、抽出した固形粒子が細胞などの生体である場合、培養液などから測定液あるいは薬液中へ移動させた状態で放置しておくと、細胞の活性度あるいは鮮度が低下し、細胞の生化学反応などの実際の測定時において支障をきたすという課題を有していた。
【0007】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、測定の直前まで細胞を安定な状態で維持しておくことができる培養液などの液体中にて保存しておいて、測定の直前に薬液などの測定液中に移動させながら同時に分注することができる分注装置を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の分注装置は、成分分離部とピペット部とからなり、成分分離部は、固形粒子を含む第一の溶液を導入する導入路と、第二の溶液を導入する流路と、この流路の中間部に固形粒子の濃度勾配を形成できる濃度勾配形成手段と、第一の溶液を導出する導出路とからなり、前記ピペット部は前記濃度勾配形成手段によって第一の溶液中から第二の溶液中に移動分離した固形粒子を含む第二の溶液を排出できる流路の端部に連通するように設けた構成とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の分注装置は、分注の直前まで細胞が活性度を失わずに安定した状態で保存しておくことができる培養液中から、測定の直前に細胞を移動させながら測定液中に移動分散させ、同時に測定液と細胞を測定装置の所定の場所に分注することが可能となり、活性度の高い状態で細胞の電気化学的な生理現象を測定できる分注装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における分注装置について図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態1における分注装置の構成を示す分解斜視図、図2は図1の平面図、図3は成分の分離方法を説明するための概念図である。また、図4は分注装置の実際に使用するときの外観図である。
【0011】
図1〜図2において、1はシリコンからなる基板であり、この基板1の第一面に所定の幅と深さをもつ流路2を設け、さらに流路2に音響波を発生させることのできる音響波発生素子3を基板1の第二面に形成している。この音響波発生素子3は流路2の中間部に固形粒子4の濃度勾配を形成するためのものであり、濃度勾配形成手段の機能を有している。
【0012】
また、流路2の導入部には固形粒子4を含んだ第一の溶液6を導入するための導入路7を連通して形成している。そして、濃度勾配形成手段によって固形粒子4を抽出除去された第一の溶液6を導出するための導出路8を、固形粒子4の濃度勾配を形成した後の流路2の一部に形成している。この導出路8は導入路7から層流の状態で流れてきた第一の溶液6を排出するために設けているものである。このとき、導出路8には吸引手段を設けておき、送液手段と吸引手段を連携させることによって、さらに精度良くそれぞれの液体の流れを制御することができる。この送液手段と吸引手段は、主にそれぞれの溶液6、9を層流の流れとして制御維持しておく手段として有効に発揮することができる。
【0013】
また、第一の溶液6は導出路8から排出した後、第一の溶液6と第二の溶液9とが同じ組成であれば、再利用も可能であり、そのための循環機能を導出路8に付加することによって少量の液体で効率よく所定の固形粒子4を処理することができる。
【0014】
以上説明してきたような構成とすることによって、例えば細胞と培養液など異なる成分が混在した材料から特定の成分(細胞)を分離する作業を必要とした場合、ミリリットルオーダーで分離することができる。
【0015】
また、固形粒子4を含んだ第二の溶液9は濃度勾配を形成した状態で流路2の端部へ流れていくことから、この流路2の端部にはピペット部11を設けておき、このピペット部11を介して分注することができる。このピペット部11とは分注の時に最も効率よく所定の形状に液体を分注することができる先端形状を有していることが適しており、通常は先端にいくに従って細くなっていることが好ましい。特に、流路2よりピペット部11に導入する第二の溶液9の流れを層流に維持しておくような形状を考慮しておくことが好ましい。従ってピペット部11の内部の空洞の形状も層流を維持できるようなテーパ形状としておくことが好ましい。
【0016】
そして、このような分注装置を所定の間隔に複数配置し、コンピュータ制御された駆動手段を設けることによって連続的に測定用プレートなどの容器に固形粒子4を含んだ所定量の第二の溶液9を効率よく分注していくことができる。
【0017】
これによって、マイクロリットルオーダーで分注することが可能となり、非常に少量のサンプルで測定することができるとともに、リアルタイムで細胞と培養液を分離しながら分注することが可能となる。
【0018】
そして、このピペット部11の所定の位置に弁機構を設けておくことによって分注作業を効率よく行うことができる。このピペット部11の弁機構を閉じた状態ではそれぞれの溶液6、9の流れは止まることになり、それぞれの溶液6,9は混合された状態となるときがある。このような状態であっても、弁機構を開いた後、暫く第一及び第二の溶液6、9を排出しておくと定常状態となり、それぞれ第一及び第二の溶液6、9は層流となり、それぞれの流れの方向に整流させることができる。
【0019】
また、非常に少量の試料を用いて測定するとき、あるいは固形粒子4の絶対量が少ないときなどには、ピペット部11に弁機構を設けるとともに、導出部8の端部に弁機構を設けておくことによって余分な液体の消費を抑制することができる。
【0020】
また、これらの流路2、導入路7、導出路8およびピペット部11に示した溝の形状は、基板1にシリコンを用いた場合、フォトリソグラフィー法やドライエッチング法を用いることで、効率よく高精度な小型の分注装置を実現することができる。
【0021】
なお、ここでは基板1にシリコンを用いることによって、高精度に流路2、導入路7、導出路8およびピペット部11を一括して形成することができる。また、音響波を伝達することができる物質であればよく、例えば石英またはガラスなどの透明な無機材料を用いることによって固形粒子4の移動状態および流動状態を監視しながら分注することができるとともに、固形粒子4の数量をカウントすることができる分注装置を実現することができる。
【0022】
さらには、成型性に優れたプラスチックを用いることもできる。このプラスチックを用いることによって生産性に優れた分注装置とすることができる。
【0023】
また、前記音響波発生素子3を形成することによって、流路2の中間部に固形粒子4の濃度勾配を形成することができる。この濃度勾配形成手段は流路2を流れる固形粒子4に濃度勾配を形成することのできる方法であれば良く、例えば流路2の内部の固形粒子4に作用する位置に電極を配置して電気泳動現象を利用する方法、あるいは流路2の内部にピラーまたは分岐流路を設けて固形粒子4の流れ方向を制限する方法などを用いてもよい。
【0024】
このような構成とすることによって、流路2には固形粒子4の濃度勾配が形成され、流路2における抽出、分離を効率的に確実に行うことができ、回収率の高い分注装置とすることができる。
【0025】
また、濃度勾配形成手段を音響波発生素子3とすることで、固形粒子4に対して非接触で作用させることが可能であり、簡単な構造で電気的に動作を制御することによって所望の位置に固形粒子4の濃度勾配を形成することができるという利点を有する。
【0026】
また、導入路7にも必要に応じて濃度勾配形成手段を設けることも可能である。そのとき、流路2に設けた濃度勾配形成手段と導入路7に設けた濃度勾配形成手段に同じ音響波発生機構を用いても良いが、個別に音響波の特性を制御可能とすることで固形粒子4の分離、抽出に対する自由度が向上する。例えば、導入路7の流路幅と流路2の流路幅は異なっており、音響波を発生させる周波数が異なることから、個別に制御することが好ましい。また、それぞれの溶液6、9の流量を制御するときにおいても、個別に制御できるようにしておくことによって効率的に分離、抽出ができるという利点を有している。
【0027】
また、音響波発生素子3を基板1の第二面に形成することで、生産性に優れた構成とすることができる。これは第一面側には封止部10を設けることから、第一面は平坦な平面を有していることが好ましく、また、薄膜プロセスによって音響波発生素子3を形成する時、平坦な第二面に形成することが好ましい。
【0028】
なお、この音響波発生素子3は流路2の内部に音響波を発生させることができれば、基板1の第一面または基板1の側面に形成しても良い。
【0029】
また、図3では音響波発生素子3を流路2の両側に形成することによって、さらに強力な音響波を発生させることが可能となり、定在波の節5を流路2の内部に形成することができ、比較的形状あるいは重量の大きな固形粒子4を移動させるときに効果を発揮することができる。
【0030】
このように、濃度勾配形成手段として音響波発生素子3を用いて音響波を発生させることによって、流路2の内部に音響波を放射し、流路2の内部を流れる液体に定在波を発生させる構成とすることが小型化、生産性の観点より好ましい。
【0031】
ここで、流路2の幅をW、流路2に導入する溶液の音速をv、音響波を発生させる周波数をfとすると、f=(n/2)×v/W(nは自然数)の数式を満足する周波数fの音響波が流路2に照射されると、その音響波が流路2の内部で反射を繰り返し、重なり合うことで流路2の内部に定在波を発生させることができる。
【0032】
そして、この溶液中に固形粒子4が浮遊しているとすると、この固形粒子4は定在波の節5の近傍に集めることができる。
【0033】
次に、濃度勾配形成手段である音響波発生素子3の構成について簡単に説明する。この音響波発生素子は第一の電極層と圧電体層と第二の電極層からなる積層構造で構成した圧電アクチュエータとすることで、流路2などを形成したシリコン基板の一面に薄膜形成法などを利用し、小型で高精度な寸法形状の音響波発生素子3を設けることができることから、分注装置の小型化を容易に実現することができる。
【0034】
また、流路2はガラスからなる封止部10で陽極接合により封止している。ガラスを用いることで、高精度な小型の分注装置を実現できるとともに、封止部10の上面より固形粒子4の分離・移動状態を観察しながら行うことができる。
【0035】
ここで、封止部10はプラスチックあるいはシリコンを用いても良く、材料に合わせて適宜その接合方法は変更することができる。
【0036】
次に、この分注装置を用いて固形粒子4を抽出した後、分注する方法について図3を用いて説明する。
【0037】
まず始めに、流路2には第二の溶液9を所定の送液手段を用いて矢印21の方向に導入する。このとき、第二の溶液9の流れを層流にしておくことが好ましい。従って、このような層流を安定して送液できる送液手段が好ましい。
【0038】
次に、導入路7へ所定の送液手段を用いて矢印20の方向に第一の溶液6と固形粒子4の混合液を導入する。そして、この第一の溶液6の流れも第二の溶液9と同じように層流としておくことが好ましい。これによって、流路2の内部で二つの流れが境界を形成しながら流れていくことができる。このような流路2の断面形状としては矩形状の断面としておくことが好ましい。
【0039】
そして、流路2に固形粒子4の濃度勾配を形成するために、流路2の所定の中間部に定在波の節5が発生するように音響波を発生させるために圧電素子などを用いた音響波発生素子3を駆動させる。これによって、シリコンからなる基板1が振動することによって、定在波の節5が流路2のほぼ中央部に形成できる。このとき、定在波の節5が第二の溶液9中に存在するように設計しておくことが重要であり、この定在波の節5に固形粒子4が移動集中してくるようになっている。
【0040】
このように、音響波の放射圧によって固形粒子4は定在波の節5へ移動させる力が作用し、定在波の節5が存在する流路2の中央部で濃度が高まるような固形粒子4の濃度勾配を形成させることができる。
【0041】
その後、固形粒子4は流路2で形成した濃度勾配を保ちつつ、第二の溶液9とともに流路2を固形粒子4が整列した状態で流れていくことができる。前記流路2の流路形状及び流路長さを最適な設計とし、固形粒子4を含んだ第二の溶液9を矢印22の方向へ導出し、その後、この固形粒子4を含んだ第二の溶液9は流路2の端部に設けたピペット部11へと導入する。
【0042】
これによって、分注の直前に移動抽出した所定の固形粒子4と測定に必要な第二の溶液9をピペット部11の先端より測定のための容器中へ速やかに分注することができる。
【0043】
また、前記固形粒子4の移動を完了した第一の溶液6は流路2の後方に設けた導出路8へ導出される。この導出された第一の溶液6は再利用しても良いし、回収タンクなどに集めることも可能である。
【0044】
以上説明してきたように、導入路7において第一の溶液6の内部に浮遊している固形粒子4に対して濃度勾配を形成した後、流路2の内部で固形粒子4を第一の溶液6から第二の溶液9中へ抽出移動させることによって、精度良く整列させることができることから、固形粒子4の移動距離のばらつきを低減することができるため、固形粒子4の抽出を短時間で連続的に精度良く行うことが可能となる。
【0045】
さらに、この分注装置の応用例である培養液中に保存している細胞を分離抽出する場合について説明する。
【0046】
この場合、固形粒子4を細胞、第一の溶液6を細胞の培養液、および第二の溶液9を細胞外液とすることができる。そしてこの細胞外液とはK+イオンが4mM程度、Na+イオンが145mM程度、Cl-イオンが123mM程度添加された電解液であり、細胞の電気生理現象を測定するときに用いる測定液である。
【0047】
ここで、細胞は培養液中に存在している場合は長期間活性を保つことができるが、培養液中には不明瞭なイオン成分が多数存在しており、培養液中では精度の高い細胞の電気生理現象の測定を行うことはできない。精度の高い細胞の電気生理現象の測定を行うためには細胞を細胞外液中に抽出する必要がある。しかしながら、細胞は細胞外液中に存在していると徐々に活性を失っていくことから、細胞の抽出は検査に必要な量を速やかに行うことが重要である。
【0048】
これに対して、本実施の形態1にて説明してきた分注装置を用いて培養液中の細胞の分離操作を行うことによって、細胞の培養液から必要な量を細胞外液中へ細胞を速やかに分離、抽出することができることから、細胞の活性を保ちつつ精度の高い細胞の電気生理現象の測定を行うことができる。
【0049】
ここで、HEK細胞やCHO細胞に代表される付着性細胞は、細胞を培養中に培養容器と付着する。この付着性細胞の電気生理現象の測定を行う場合、トリプシン溶液により培養容器から剥離する必要がある。しかしながら、このトリプシン溶液は細胞の活性を著しく低下させるため、一刻も早く培養液中もしくは細胞外液中に抽出する必要がある。
【0050】
これに対して、固形粒子4を細胞とし、第一の溶液6をトリプシン溶液とし、第二の溶液9を細胞の培養液もしくは細胞外液とすることによって、細胞をトリプシン溶液から細胞の培養液もしくは細胞外液中へ速やかに抽出、分離することができる。この一旦剥離させた細胞は細胞の培養液を攪拌することで細胞の培養液中に浮遊した状態にして保存しておくことが可能であり、細胞の活性を保ちつつ保存することができる。また、前記の分注装置を用いて細胞を細胞外液中へ抽出・分注することによって、速やかに細胞の活性を維持した状態で電気生理現象の測定を行うことができる。
【0051】
次に、前記のような測定を本実施の形態1における分注装置を用いて使用する場合には、図4に示したようにホルダー12を介して実装して使用することが好ましい。図4は測定に使用する状態を示しており、図4(a)は上から見た外観図、図4(b)は下から見た外観図である。
【0052】
このようなホルダー12へ実装した状態で使用することによって、ホルダー12を介して、音響波発生素子3への電気的な配線を配線パターン13を介して行うとともに、溝加工を行って形成した流路2、導入路7および導出路8への連通も行うことによって、脱着または装着を容易に行うことができるとともに、自動機への装着も容易にできる。
【0053】
さらに、これらの分注装置を整列して配置することによってアレー状の分注装置を実現することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、例えば、細胞培養液、血液、乳液などに代表される、溶液と固形粒子が混合した混合溶液において、測定の直前に固形粒子の抽出、分離を効率的に行いながら分注できるという効果を有し、固形粒子の特性を計測するための前処理に用いる装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態1における分注装置の分解斜視図
【図2】同平面図
【図3】同成分の分離方法を説明するために概念図
【図4】同外観図
【符号の説明】
【0056】
1 基板
2 流路
3 音響波発生素子
4 固形粒子
5 定在波の節
6 第一の溶液
7 導入路
8 導出路
9 第二の溶液
10 封止部
11 ピペット部
12 ホルダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分分離部とピペット部とからなる分注装置であって、前記成分分離部は、固形粒子を含む第一の溶液を導入する導入路と、第二の溶液を導入する流路と、この流路の中間部に前記固形粒子の濃度勾配を形成できる濃度勾配形成手段と、第一の溶液を導出する導出路とからなり、前記ピペット部は前記濃度勾配形成手段によって第一の溶液中から第二の溶液中に移動分離した固形粒子を含む第二の溶液を排出できる流路の端部に連通した分注装置。
【請求項2】
第二の溶液中における固形粒子の濃度勾配を流路の流れに対して垂直方向に形成させる濃度勾配形成手段とした請求項1に記載の分注装置。
【請求項3】
濃度勾配形成手段を流路の流れに対して垂直方向に伝搬する定在波発生デバイスとした請求項1に記載の分注装置。
【請求項4】
定在波の節を第二の溶液中に流路の流れに対して平行方向に発生させる定在波発生デバイスとした請求項3に記載の分注装置。
【請求項5】
定在波発生デバイスを第一の電極層、圧電体層及び第二の電極層とからなる積層圧電デバイスとした請求項3に記載の分注装置。
【請求項6】
流路を略直線状とした請求項1に記載の分注装置。
【請求項7】
流路および導入路に送液手段を設けた請求項1に記載の分注装置。
【請求項8】
導出路に吸引手段を設けた請求項1に記載の分注装置。
【請求項9】
ピペット部に弁機構を設けた請求項1に記載の分注装置。
【請求項10】
成分分離部およびピペット部をシリコンとした請求項1に記載の分注装置。
【請求項11】
成分分離部およびピペット部を石英またはガラスとした請求項1に記載の分注装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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