説明

分煙装置

【課題】より好適に煙の浄化処理を行うことを可能とする分煙装置を提供することである。
【解決手段】分煙装置10は、上部吸込口202を有する本体部20と、本体部20の内部に設けられ、空気中に浮遊する煙草の煙を上部吸込口202から吸引する送風部206と、上部吸込口202を含む所定の範囲の空間領域202a内に所定の意匠を表示させるようにレーザー光を照射するレーザー光源部50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分煙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
喫煙は、喫煙者本人だけでなく、周囲の人の受動喫煙も問題となる。したがって、近年、喫煙可能なスペースが区画されて、このような喫煙スペース内においてのみ喫煙可能な施設等が増加している。そして、当該喫煙スペース内において、さらに、分煙機を設置して煙草の煙を浄化処理することが望まれている。
【0003】
本発明に関する技術として、例えば、特許文献1には、キャスター付きの可動台に、煙草の煙を吸引排出するとともにそれを分解・除去ないし吸着する空気清浄化装置が内蔵されるケースを台本体として具備する構成が開示されている。さらに、この台本体ケースに、灰皿配置用の喫煙テーブルを載置するほか、中央に空洞の支柱を立設することにより喫煙テーブルの上方を覆う中央に高いパラソル状の排煙カバーを該支柱を介して設け、喫煙テーブルの中央部に喫煙テーブルの下をその上で揺らぐ煙の集煙室としてそれへの下部吸煙口を配設する構成が開示されている。一方、排煙カバーの高い内側中央部に、支柱内の空洞を昇り煙の集煙ダクトとしてそれへの上部吸煙口を配設し、台本体ケース内には、集煙室および集煙ダクトへ吸引排気ファンの吸引力が及ぶ空気浄化装置を設け、下部に押出力が及ぶ浄化排気口を設けたことが開示されている。
【0004】
本発明に関する別の技術として、例えば、特許文献2には、下テーブルと上テーブルの間に喫煙用の吸込グリルを設け、前記下テーブルの下部に箱体を形成する外郭を設け、前記外郭の内部には吸込用エアチャンバーと吹出用エアチャンバーを形成する隔壁を設け、前記吸込用エアチャンバーには電動機とファンとエアフィルターを備えた空気清浄機を配設し、前記外郭の前記吹出用エアチャンバー部分には排気口を設けた喫煙テーブルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−71551号公報
【特許文献2】特開平6−205709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、喫煙スペース内において、分煙機を設置した場合であっても、喫煙者が分煙機の吸込口に向かって煙を吹きつけないと効率よく煙を収集することができず、好適に煙の浄化処理を行うことができない。
【0007】
本発明の目的は、より好適に煙の浄化処理を行うことを可能とする分煙装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る分煙装置は、吸込口を有する本体部と、前記本体部の内部に設けられ、空気中に浮遊する煙草の煙を前記吸込口から吸引する吸引部と、前記吸込口を含む所定の範囲の空間領域内に所定の意匠を表示させるように前記レーザー光を照射する光源部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る分煙装置において、前記吸込口は、前記本体部の表面部から陥没した領域に設けられることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る分煙装置において、前記陥没した領域を覆うスリット付きカバーを備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る分煙装置において、前記煙を検知する煙センサを備え、前記光源部は、前記煙センサによって前記煙が検知されたときに、前記意匠を表示することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る分煙装置において、前記煙を検知する煙センサを備え、前記光源部は、前記煙センサによって前記煙が検知されたときに、前記意匠の内容を変更して表示することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る分煙装置において、前記意匠は、色彩を含むことが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る分煙装置において、前記意匠は、形状を含むことが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る分煙装置において、前記意匠は、模様を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上記構成によれば、所定の範囲の空間領域内を流れる煙の微粒子にレーザー光が反射して、当該レーザー光が作り出す意匠が変化する。これにより、喫煙者がこのような意匠の変化を楽しむために、吸込口付近に向かって煙を吹きかけることを誘起させることができる。したがって、効率よく煙を収集することができ、より好適に煙の浄化処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る実施の形態において、分煙装置の斜視図である。
【図2】本発明に係る実施の形態において、分煙装置の概略構成図である。
【図3】本発明に係る実施の形態において、所定の空間領域内に「タバコ」の意匠が表示された様子を示す図である。
【図4】本発明に係る実施の形態において、分煙装置の斜視図である。
【図5】本発明に係る実施の形態において、分煙装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を用いて、本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。また、以下では、全ての図面において、同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0019】
図1は、分煙装置10の斜視図である。図2は、分煙装置10の概略構成図である。分煙装置10は、本体部20と、枠部材30と、枠部材30に取り付けられる煙センサ40とレーザー光源部50とを備える。分煙装置10は、喫煙者8が煙草9を吸った際に吐き出す煙を吸い込んで浄化処理を行う機能を有する。
【0020】
本体部20は、上部吸込口202と、空気清浄部204と、送風部206と、下部吹出口208と、キャスター210とを有する。
【0021】
上部吸込口202は、本体部20の上部表面のほぼ中央部に設けられる網目状の開口部である。上部吸込口202は、送風部206が作動した際に、上部吸込口202の上方から空気や煙草の煙等を本体部20の内部に取り込むための開口部である。
【0022】
空気清浄部204は、送風部206が作動した際に、上部吸込口202から取り込まれた煙草の煙に含まれる微粒子等を取り除く等の浄化処理を行う機能を有する。空気清浄部204は、例えば、フィルターを用いて濾過する方式であってもよく、静電気力を用いて集塵する電気集塵式であってもよく、両者を併せたものであってもよい。空気清浄部204は、本体部20の内部のうち、上部吸込口202の近傍に設けられている。
【0023】
送風部206は、上部吸込口202から空気や煙草の煙等を本体部20の内部に取り込むために吸引し、その後空気清浄部204によって浄化された空気等を下部吹出口208から吹出すために作動するファンである。送風部206は、下部吹出口208の近傍に設けられている。
【0024】
下部吹出口208は、本体部20の下部裏面のほぼ中央部に設けられる網目状の開口部である。下部吹出口208は、送風部206が作動した際に、空気清浄部204によって浄化された空気等を本体部20の外部に排出するための開口部である。
【0025】
キャスター210は、本体部20の下部に設けられ、分煙装置10を移動可能とする車輪部材である。
【0026】
枠部材30は、本体部20の上部表面から上側に向かって突出して設けられる枠体である。そして、枠部材30の上側部材302の底面302aには、煙センサ40とレーザー光源部50が上側部材302にぶら下がるように取り付けられている。
【0027】
煙センサ40は、上部吸込口202を含む所定の空間領域202aの近傍に煙草の煙が存在するか否かを判断する機能を有する。
【0028】
レーザー光源部50は、煙センサ40が煙草の煙を検知したときに、本体部20の上方から上部吸込口202に向かってレーザー光を照射する機能を有する。具体的には、レーザー光源部50によって照射された光が空間領域202aに、予め設定されたデータに基づいたレーザー光を空気の粉塵や煙の微粒子等に照射することで意匠を表示する。ここで、空間領域202aは、例えば、上部吸込口202の長さが、縦が30cmで横が60cmである場合に、その高さを40cmとした直方体形状を有している。もちろん、これの数値は、単なる例示であって適宜変更が可能である。また、意匠とは、形状・模様・色彩又はこれらの結合をいい、例えば、「タバコ」の赤色の文字で表された形状を有している。なお、レーザー光源部50は、煙センサ40が煙を検知したときのみにレーザー光を照射するものとして説明したが、常時レーザー光を照射してもよい。また、レーザー光源部50は、煙センサ40が煙を検知していないときは「タバコ」の文字は緑色で表示し、煙センサ40が煙を検知したときに「タバコ」の文字を赤色へと変更する等のように意匠を変更してもよい。
【0029】
続いて、上記構成の分煙装置10の作用について説明する。分煙装置10において、喫煙者8が煙草9を吸った際に吐き出す煙が空間領域202aの近傍に存在することが検知されたときに、レーザー光源部50のレーザー光が所定の空間領域202aの空気の粉塵や煙の微粒子等に照射されて、図3に示されるように、空間領域202aには、例えば、「タバコ」の文字を表示する所定の形状と赤色の色彩とを有する意匠が表示される。
【0030】
そして、空間領域202a内の空気や煙草の煙は、送風部206の作動により、上部吸込口202から本体部20の内部に取り込まれる。このとき、空間領域202a内において、空気や煙の流れが形成されるため、レーザー光源部50のレーザー光によって表示される意匠が変化する。例えば、「タバコ」の文字の形状が縦長になったり、横長になったり、様々な形状に変化する。これにより、喫煙者8は、このような意匠の変化に関心を持ち、空間領域202aに向けて煙草の煙を吐き出すように誘起することができる。したがって、分煙装置10の本体部20の内部に取り込まれる煙の収集効率を向上させることができ、より好適に煙草の煙の浄化処理を行うことができる。
【0031】
次に、分煙装置10の変形例である分煙装置11について説明する。図4は、分煙装置11の斜視図である。図5は、分煙装置11の概略構成図である。分煙装置11と分煙装置10の相違は、上部吸込口202と煙センサ40とレーザー光源部50とが設けられる位置とスリット付きカバー212であるため、その相違点を中心に説明する。
【0032】
上部吸込口202は、本体部20の上部表面から陥没して形成される陥没領域211の下部側の底面に設けられる。上部吸込口202の開口面積は、陥没領域211の底面の面積とほぼ等しい。陥没領域211の底面の面積は、例えば、縦が30cmで横が60cmである。なお、陥没領域211の深さは、例えば、20cmである。もちろん、これの数値は、単なる例示であって適宜変更が可能である。
【0033】
煙センサ40とレーザー光源部50とは、分煙装置10のように枠部材30に設けられるのではなく、図5に示されるように、陥没領域211の形成する本体部20の上部表面(陥没した側の面)に対向して取り付けられる。なお、煙センサ40とレーザー光源部50とは、対向する位置関係に取り付けられるものとして説明するが、同一の上部表面(陥没した側の面)に設けられてもよい。
【0034】
スリット付きカバー212は、陥没領域211を覆うように設けられるフードカバー部材である。スリット付きカバー212は、四角錐台形状を有し、各側面には、それぞれの面の長手方向に沿って形成される複数のスリット212aが設けられている。喫煙者8が煙草9を吸った際に生じる煙は、当該スリット212aを介して上部吸込口202側に吸引される。また、喫煙者8は、当該スリット212aを介して陥没領域211を見ることができる。
【0035】
続いて、上記構成の分煙装置11の作用について説明する。分煙装置11において、喫煙者8が煙草9を吸った際に吐き出す煙が陥没領域211とスリット付きカバー212の内側領域212bとあわせた空間領域の近傍に存在することが検知されたときに、レーザー光源部50のレーザー光が陥没領域211及び内側領域212bの空気の粉塵や煙の微粒子等に照射されて、陥没領域211には、例えば、「タバコ」の文字を表示する所定の形状と赤色の色彩とを有する意匠が表示される。
【0036】
そして、陥没領域211及び内側領域212b内の空気や煙草の煙は、送風部206の作動により、上部吸込口202から本体部20の内部に取り込まれる。このとき、陥没領域211及び内側領域212b内において、空気や煙の流れが形成されるため、レーザー光源部50のレーザー光によって表示される意匠が変化する。例えば、「タバコ」の文字の形状が縦長になったり、横長になったり、様々な形状に変化する。これにより、喫煙者8は、このような意匠の変化に関心を持ち、陥没領域211及び内側領域212bに向けて煙草の煙を吐き出すように誘起することができる。したがって、分煙装置11の本体部20の内部に取り込まれる煙の収集効率を向上させることができ、より好適に煙の浄化処理を行うことができる。
【0037】
なお、上記分煙装置11では、スリット付きカバー212が設けられるものとして説明したが、スリット付きカバー212が設けられずに、陥没領域211が露出した状態であってもよい。
【0038】
また、上記分煙装置10,11では、煙センサ40が設けられるものとして説明したが、煙センサ40を設けずに、常時レーザー光源部50からレーザー光が照射されるものとしてもよい。
【0039】
また、上記文献装置10,11では、レーザー光源部50のレーザー光によって表示される意匠は「タバコ」の文字であるとして説明したが、もちろん、文字に限らず、数字、模様等を組み合わせたものにすることが可能である。
【符号の説明】
【0040】
8 喫煙者、9 煙草、10,11 分煙装置、20 本体部、30 枠部材、40 煙センサ、50 レーザー光源部、202 上部吸込口、202a 空間領域、204 空気清浄部、206 送風部、208 下部吹出口、210 キャスター、211 陥没領域、212 カバー、212a スリット、212b 内側領域、302 上側部材、302a 底面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口を有する本体部と、
前記本体部の内部に設けられ、空気中に浮遊する煙草の煙を前記吸込口から吸引する吸引部と、
前記吸込口を含む所定の範囲の空間領域内に所定の意匠を表示させるように前記レーザー光を照射する光源部と、
を備えることを特徴とする分煙装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分煙装置において、
前記吸込口は、
前記本体部の表面部から陥没した領域に設けられることを特徴とする分煙装置。
【請求項3】
請求項2に記載の分煙装置において、
前記陥没した領域を覆うスリット付きカバーを備えることを特徴とする分煙装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1に記載の分煙装置において、
前記煙を検知する煙センサを備え、
前記光源部は、
前記煙センサによって前記煙が検知されたときに、前記意匠を表示することを特徴とする分煙装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1に記載の分煙装置において、
前記煙を検知する煙センサを備え、
前記光源部は、
前記煙センサによって前記煙が検知されたときに、前記意匠の内容を変更して表示することを特徴とする分煙装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1に記載の分煙装置において、
前記意匠は、色彩を含むことを特徴とする分煙装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1に記載の分煙装置において、
前記意匠は、形状を含むことを特徴とする分煙装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1に記載の分煙装置において、
前記意匠は、模様を含むことを特徴とする分煙装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate