説明

分離方法

【課題】 キノロン系合成抗菌薬についてその夾雑物、対掌体関係やジアステレオ異性体関係の異性体をも含む夾雑物、を簡便かつ正確に同定・分析し、さらには分離・精製でき、過塩素酸ナトリウムといった爆発性を有し、使用が制限される惧れのある試剤を使用しない方法を取得する。
【解決手段】 高速液体クロマトグラフィー法において、銅イオン、アミノ酸、酢酸アンモニウムおよび有機溶媒を水に含有させた移動相を使用する。オクタデシル化シリカゲルを充填したカラム分析が可能であり有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は医薬活性成分、とりわけキノロン系合成抗菌化合物、についての分離分析法および分離精製(分取)法に関する。
【背景技術】
【0002】
レボフロキサシン[(−)−(S)−9−フルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−10−(4−メチルピペラジニル)−7−オキソ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸・1/2水和物(JAN)]は下記の構造(無水物を示す。)を有するキノロン系合成抗菌薬である。その構造上の特徴は、他のキノロン化合物とは異なり三環性の母核構造を有すること、さらにキノロン母核の3位にメチル基が置換していて1個の不斉炭素があり、3−(S)−メチル構造を有する光学活性化合物であることである。
【0003】
レボフロキサシンは、それ以前のキノロン系合成抗菌薬よりも優れた抗菌薬としての特性−高い抗菌活性や良好な体内動態等の優れた特性を有し、かつ、高い安全性をも兼ね備える等−を有し(特許文献1および2)、尿路感染症だけでなく呼吸器感染症を含めた全身の感染症の治療に有効な優れた抗菌薬として認識されており、日本だけでなく全世界において汎用されている。
【0004】
【化1】

【0005】
レボフロキサシンは対掌体的異性体の一方であるが、その工業的製造は中間体段階において不斉ユニットを導入する不斉合成によって行われている(特許文献1、2、3および4)。
【0006】
レボフロキサシンは対掌体化合物であるため、他方の対掌体化合物[3−(R)−メチル異性体]が医薬原末に含まれる夾雑成分のひとつとなる。この他に、製造時の化学反応の副生成物や原料化合物由来の生成物、さらには分解生成物等の類縁物質と称される夾雑物がある(非特許文献1)。また、ラセミ体の化合物であるオフロキサシンで知られているものと同様の夾雑物があると考えられる(非特許文献2)。
化合物が医薬品として供給されるためには当然に厳格な品質規格が定められ、この規格に合致する製品のみが供給されなくてはならない。この品質規格をチェックするためには例えばレボフロキサシンの場合、上記の夾雑物が感度よく、しかも簡便に検出されることが必要である。
【0007】
レボフロキサシンに係る分離分析方法として高速液体クロマトグラフィー法が好適に使用されるが、例えば対掌体の分離分析については光学活性充填材を充填したいわゆる光学活性カラムの使用(特許文献2)や、銅イオンおよびアミノ酸を添加させた移動相を用いて分析する方法(特許文献5)がある。この他、過塩素酸ナトリウム、酢酸アンモニウムおよびリン酸を含有させた移動相を使用する方法(非特許文献3)が知られている。これらの方法のうち、光学活性カラムは高価であり汎用性に乏しく、また、特許文献5の方法であれば光学活性カラムを使用することなく対掌体関係の異性体の分離は可能であるが、いずれの方法も類縁物質等の夾雑物の同定・分離が可能であるかについては明らかでなかった。さらに、非特許文献2の方法は、対掌体関係の異性体の分析、あるいはこれ以外の夾雑物の全てについての同定・分析が可能であるかについては明らかでなかった。また、非特許文献1に記載の方法であれば夾雑物の一斉分離が可能であるものの、グラジェント法であり簡便な方法とはいえなかった。
【0008】
一方、過塩素酸ナトリウムは日本の消防法による危険物第一類として分類され、条件次第では爆発する性質を有している。このため、近年の世界規模でのテロ事件の発生等、国際情勢の緊迫化のためにこのような爆発性試剤の使用が行政当局によって規制され、単なる分析目的(非特許文献3)であってもその入手が困難となる事態の招来も予想される。
【0009】
【特許文献1】特開平4−364185号公報
【特許文献2】特開昭62−252790号公報
【特許文献3】特開平2−732号公報
【特許文献4】国際公開WO01/18005号パンフレット
【特許文献5】特開平1−13455号公報
【非特許文献1】Yoshida et al, Arzeim.-Forsch./Drug Res. 43(1), Nr.5(1993)
【非特許文献2】ヨーロッパ薬局方5.0、第2131頁
【非特許文献3】医療用医薬品品質情報集(厚生労働省医薬品局審査管理課、平成18年3月版)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明の課題は、医薬化合物、とりわけレボフロキサシンを初めとするキノロン系合成抗菌薬、についてその夾雑物、すなわち対掌体関係やジアステレオ異性体関係の異性体である夾雑物や、製造または分解に由来する類縁物質等の夾雑物、を簡便かつ正確に同定・分析し、さらには分離・精製できる方法を得ることを目的とする。より具体的には、レボフロキサシンの他方の対掌体である3−(R)−メチル化合物や製造時の副生物あるいは分解生成物といった類縁物質等の夾雑物を、感度よく、正確かつ簡便に分析できる方法を得ることを目的とする。
さらに本願発明の別の課題は、過塩素酸ナトリウムのような爆発性を有し、使用が制限される危惧のある試剤を使用せずに、簡便かつ感度よく正確に分析でき、汎用的に使用できる方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者は上記の課題を解決するべく鋭意研究した結果、高速液体クロマトグラフィー法において、銅イオン、アミノ酸、酢酸アンモニウムおよび有機溶媒を含有させた移動相を使用することで、レボフロキサシンに係る各種類縁物質および不要な対掌体等の、ピリドンカルボン酸系合成抗菌薬であるレボフロキサシンに含まれる夾雑物を感度よく、正確かつ簡便に分析できる方法となることを見出して本願発明を完成させた。
【0012】
すなわち本願発明は、高速液体クロマトグラフィーを使用する医薬活性成分の分離分析方法及び/又は分離精製方法において、移動相として、銅イオン、アミノ酸、酢酸アンモニウム、および有機溶媒を含有させた水を使用することを特徴とする方法に関するものである。
さらに本願発明は、以下の各々にも関するものである。
(1) 分離分析方法である上記の方法;
(2) 医薬活性成分がキノロン化合物である上記の方法;
(3) 医薬活性成分が、異性体が存在する構造のキノロン化合物である上記の方法;
(4) 異性体がジアステレオ異性体関係または対掌体関係の異性体である上記の方法;
(5) 医薬活性成分がレボフロキサシンである上記の方法;
(6) アミノ酸が、天然α−アミノ酸である上記の方法;
(7) アミノ酸が、イソロイシン、バリン、アラニン、プロリン、ロイシン、またはフェニルアラニンである上記の方法;
(8) アミノ酸が、L−イソロイシン、L−バリン、D−バリン、L−プロリン、またはL−アラニンである上記の方法;
(9) アミノ酸が、L−イソロイシンまたはL−バリンである上記の方法;
(10) アミノ酸が、L−バリンである上記の方法;
(11) 有機溶媒が、水と混和するアルコール類、水と混和するエーテル類、およびアセトニトリルからなる群の有機溶媒から選ばれる有機溶媒である上記の方法;
(12) 有機溶媒がメタノールまたはアセトニトリルである上記の方法;
(13) 有機溶媒がメタノールである上記の方法;
(14) 銅イオンの供給源が無機銅塩化合物である上記の方法;
(15) 無機銅塩化合物が硫酸銅である上記の方法;
(16) 充填材としてオクタデシル化シリカゲルを充填したカラムを使用する高速液体クロマトグラフィー法である上記の方法;
(17) 硫酸銅、L−バリン、酢酸アンモニウム、メタノールおよび水からなる高速液体クロマトグラフィー用移動相;
(18) L−バリン(1.76g)、酢酸アンモニウム(7.71g)および硫酸銅(1.25g)を水に溶解して全量を1000mLとし、この水溶液1000mLにメタノール250mLを加えて調製される組成物;
(19) 高速液体クロマトグラフィーの移動相である上記の組成物;
(20) 上記の組成物の高速液体クロマトグラフィー用移動相としての使用;
(21) 高速液体クロマトグラフィーによるレボフロキサシンの分離分析方法において、オクタデシル化シリカゲルカラムを使用し、移動相として、L−バリン(1.76g)、酢酸アンモニウム(7.71g)および硫酸銅(1.25g)を水に溶解して全量を1000mLとし、この水溶液1000mLにメタノール250mLを加えた組成を有する組成物を使用し、移動相の流量を毎分1mlとしたときに、レボフロキサシンの保持時間が21分から24分である分離分析方法;
(22) 純度試験である上記の分離分析方法;
(23) N−メチルピペラジンを、(S)−9,10−ジフルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−7−オキソ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸またはそのジフルオロホウ素キレート化合物と、所望により塩基存在下に反応させてレボフロキサシンを得、この組成生物を精製した後、高速液体クロマトグラフィー法において、L−バリン(1.76g)、酢酸アンモニウム(7.71g)および硫酸銅(1.25g)を水に溶解して全量を1000mLとし、この水溶液1000mLにメタノール250mLを加えて調製される組成物を移動相として純度試験を実施することによって純度確認することを特徴とするレボフロキサシンの製造方法;
(24) 高速液体クロマトグラフィー法において使用するカラムがオクタデシル化シリカゲルカラムである上記のレボフロキサシンの製造方法;
(25) N−メチルピペラジンを、(S)−9,10−ジフルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−7−オキソ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸またはそのジフルオロホウ素キレート化合物と、所望により塩基存在下に反応させてレボフロキサシンを得、この組成生物を精製した後、高速液体クロマトグラフィー法において、L−バリン(1.76g)、酢酸アンモニウム(7.71g)および硫酸銅(1.25g)を水に溶解して全量を1000mLとし、この水溶液1000mLにメタノール250mLを加えて調製される組成物を移動相として純度試験を実施することによって純度確認されたレボフロキサシンの医薬としての使用;
(26) N−メチルピペラジンを、(S)−9,10−ジフルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−7−オキソ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸またはそのジフルオロホウ素キレート化合物と、所望により塩基存在下に反応させてレボフロキサシンを得、この組成生物を精製した後、高速液体クロマトグラフィー法において、L−バリン(1.76g)、酢酸アンモニウム(7.71g)および硫酸銅(1.25g)を水に溶解して全量を1000mLとし、この水溶液1000mLにメタノール250mLを加えて調製される組成物を移動相として純度試験を実施することによって純度確認されたレボフロキサシンの医薬品の製造のための使用;
(27) N−メチルピペラジンを、(S)−9,10−ジフルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−7−オキソ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸またはそのジフルオロホウ素キレート化合物と、所望により塩基存在下に反応させてレボフロキサシンを得、この組成生物を精製した後、高速液体クロマトグラフィー法において、L−バリン(1.76g)、酢酸アンモニウム(7.71g)および硫酸銅(1.25g)を水に溶解して全量を1000mLとし、この水溶液1000mLにメタノール250mLを加えて調製される組成物を移動相として純度試験を実施することによって純度確認されたレボフロキサシンと薬学的に許容された医薬品原料とからなる組成物;
等である。
【発明の効果】
【0013】
本願発明によれば、高速液体クロマトグラフィー法において汎用されるオクタデシル化シリカゲル充填カラムを使用した分離分離方法および/または分離性製法が実施でき、過塩素酸ナトリウムを使用することなく実施可能であり、夾雑物の種類によっても条件を変えることなく単回の操作での一斉分離を可能とし、レボフロキサシンを初めとするキノロン系合成抗菌薬について、光学異性体を含めた夾雑物の同定・定量が可能である。本願発明で使用される試剤は特段の制限もなく容易に入手可能であり、また分析に係る成分のピークの位置が十分に隔離されたクロマトグラムが得られ、正確な分析が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本願発明の方法は高速液体クロマトグラムを使用する分離方法、すなわち分離分析方法及び/又は分離精製方法(分取方法)、に係るものである。本願発明の方法で使用できる高速液体クロマトグラムのカラムは、汎用されるオクタデシル化シリカゲル充填カラムであればよい。この他に使用できるカラム用充填材としては、オクチル化シリカゲル、およびフェニル化シリカゲルを挙げることができる。この他、光学活性充填材を充填したカラムを使用することも可能である。
本願発明の方法ではカラム用充填材としては、オクタデシル化シリカゲルが好ましい。したがって、本願発明の方法によれば特殊な充填材を使用することなく所望の分析を行うことができる。
使用するカラムのサイズは、この分野で通常使用されるものであれば特に制限なく使用できる。分離分析が目的の場合、例えば粒径2.5μmから5μm、内径2.1mmから6mm、長さ5cmから25cmの範囲のものであれば好適に使用することができる。このようなカラムのうち好ましくは、粒径5μm、内径4.6mm、長さ15cmのものを挙げることができる。
【0015】
本願発明の方法は分離分析の目的だけではなく、分離精製の目的にも適用することができる。その際に必要なカラムは、特に分離精製に係る対象物の量によっても変わるが、実際に採用するべきカラムは、この分野の通常の知識に基づいて定めることが可能である。
【0016】
次に移動相について述べる。本願発明の特徴はこの移動相について、銅イオン、アミノ酸、酢酸アンモニウムおよび有機溶媒を含有させた水からなる組成の混合物を採用することにある。
【0017】
先ず銅イオンであるが、本願の場合銅イオンでなくとも他の2価の陽イオン、例えばコバルトイオンまたは亜鉛イオンを採用することもできるが、銅イオンを採用するのが最も好ましい。銅イオンの供給源としては無機銅塩化合物を使用すればよい。このような銅塩化合物としては、硫酸銅、塩化銅、および酢酸銅を挙げることができる。これらの中では硫酸銅を使用するのが最も好ましい。硫酸銅としては無水でも結晶水含有のものであってもいずれのものも採用することができる。
銅イオンの濃度は、およそ0.001から0.01mol/Lの範囲であればよく、好ましくは0.004mol/Lから0.006mol/Lの範囲である。好ましくは0.005mol/Lである。
【0018】
次にアミノ酸であるが、本願発明の方法に使用できるアミノ酸としては不斉構造を有するアミノ酸であればよく、天然型であっても非天然型であってもいずれでも使用できる(天然型のアミノ酸とは、人工的な製造方法によってのみ得られるアミノ酸以外のアミノ酸であり、動植物が通常に生産するアミノ酸と解釈すればよい。)。また、α−アミノ酸の他にβ−アミノ酸等であってもよいが、通常はα−アミノ酸を使用するのがよい。アミノ酸としては入手の点から天然型のα−アミノ酸を使用するのが簡便であり好ましい。天然型α−アミノ酸は、L−型でも、D−型でもいずれでもよいが、同様に入手の点からL−型のものが好ましい。
本願発明の方法で使用できる天然型α−アミノ酸としては、イソロイシン、バリン、アラニン、プロリン、ロイシン、およびフェニルアラニンを挙げることができる。これらはL−型、D−型いずれでもよいが、より好ましくはL−型であるが、バリンおよびフェニルアラニンについてはD−形でもよい。
これらのアミノ酸のうち好ましくはイソロイシン、バリン、プロリン、およびアラニンであり、より好ましくはL−イソロイシン、L−バリン、D−バリン、L−プロリン、およびL−アラニンであり、さらに好ましくはL−イソロイシンおよびL−バリンであり、最も好ましくはL−バリンである。
アミノ酸の添加量は、陽イオンの濃度の2ないし3倍の濃度を目安として定めればよい。具体的にはおよそ0.002mol/Lから0.03mol/Lの範囲であればよく、より好ましくは0.01mol/Lから0.015mol/Lの範囲であり、さらに好ましくは0.15mol/Lである。
【0019】
酢酸アンモニウムは、市販のものを使用すればよい。酢酸アンモニウムの添加量は、およそ0.05mol/Lから0.15mol/Lの範囲であればよく、より好ましくは0.09mol/Lから0.11mol/Lの範囲である。
【0020】
有機溶媒は、水と混和するものであればよく、メタノールおよびエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフランおよびジオキサン等のエーテル類、そしてアセトニトリルを挙げることできる。これらのうちでは、アルコール類がよく、好ましくはメタノールである。メタノールの他にはアセトニトリルも好適に使用することができる。
本願発明の方法の特徴である移動相は水が主成分であるが、添加する有機溶媒の量はおよそ10%から50%の範囲であればよく、より好ましくは15%から25%の範囲であり、さらに好ましくはおよそ20%程度である。
本願発明の方法で使用する移動相として最も好ましいものとして、L−バリン(1.76g)、酢酸アンモニウム(7.71g)および硫酸銅(1.25g)を水に溶解して全量を1000mLとし、この水溶液1000mLにメタノール250mLを加えた組成を有するものを挙げることができる。
なお、この組成の移動相の調製については、例えば上記の配合割合の場合、1000mLのメスフラスコにおいて調製された水溶液自体にメタノール250mLを加えて調製しても本発明の目的を達成できる移動相が得られる。さらに、L−バリン、酢酸アンモニウムおよび硫酸銅を1000mLの水に溶解させて水溶液を調製しても本発明の目的を達成できる移動相を得ることができる。すなわち、本願発明の方法に使用する移動相の各成分の濃度はこのような調製方法であっても本願発明の目的を達成できる許容限度内にある。
【0021】
この移動相を高速液体クロマトグラフィーに使用する際の流速は、0.5mL/分から2.0mL/分の範囲であればよいが、より好ましくは1.0mL/分であり、この流速の場合、レボフロキサシンの保持時間は21分から24分の間となる。
【0022】
本願発明の方法で使用する検出装置としては、紫外(UV)・可視光吸光光度計、フォトダイオードアレイ(PDA)検出器、蛍光(FL)光度計、示唆屈折計(RI)および質量計(MS)などを使用することができる。これらのうちでは紫外吸光光度計がよい。
【0023】
本願発明の方法を実行する際の温度は、20℃から80℃の範囲であればよく、より好ましくは25℃から60℃の範囲であり、さらに好ましくは40℃から50℃の温度範囲で実行するのがよい。
【0024】
本願発明の方法、すなわち本願発明の組成物からなる移動相を使用した高速液体クロマトグラフィーによる分離分析方法は、医薬品製剤において活性成分として使用する医薬化合物の成分の分離分析に使用することができる。医薬活性成分に含有される夾雑物を簡便かつ正確に分析することができるので純度試験に好適に使用することができ、製造された医薬活性成分においてその定められた規格の純度であるか否かを簡便かつ正確に検定することができる。
本願発明の方法は、多くの医薬活性成分に適用することができる。本願発明の方法が適用できる医薬活性成分としてキノロン系合成抗菌薬を挙げることができる。キノロン系合成抗菌薬としては、キノリン骨格のものだけでなく、ピリドベンゾオキサジン骨格やナフチリジン骨格のキノロン化合物も含まれる。すなわち、キノロン骨格を構成するピリドンカルボン酸骨格および縮合ピリドンカルボン酸骨格を有する化合物について好適に適用することができる。
さらには本願発明の方法は,ケト基(C=O)とカルボキシル基(COOH)を有する化合物、より好ましくはC(=O)−C−COOHとなる位置に有する化合物、に対して適用できる。
【0025】
また、本願発明の方法が適用できる化合物として、上記の構造部分を有する光学活性化合物を挙げることができる。このような光学活性化合物としては不斉炭素を含有することで光学活性となった構造の化合物を挙げることができ、対掌体構造、あるいはジアステレオ異性体構造の異性体を分離分析することができる。
【0026】
本願発明の方法が適用できる医薬活性成分として代表的な適用例は、対掌体関係となる異性体の存在するキノロン化合物であるレボフロキサシンを挙げることができる。レボフロキサシンの純度に関わる夾雑物としては、他方の対掌体や、反応原料や副反応に由来する副生物、そして反応中の分解生成物等を挙げることができる。またレボフロキサシンは固体状態では安定であり、溶液状態でも酸性条件下での加熱下では分解生成物が生ずるが、中性あるいはアルカリ条件では加熱下でも安定である。一方溶液状態では光に対して不安定であり、種々の分解産物が確認されている(非特許文献1)。
ヨーロッパ薬局方(非特許文献2)にはオフロキサシンの不純物に関する記載があるが、レボフロキサシンに含有される可能性のある夾雑物の構造としてはとしてはここに記載のあるものの他、光分解産物の中で生成量の多いもの(非特許文献2)を含めた次の6種のものが想定される。すなわち、脱炭酸化合物、9位脱フッ素化合物(9−H化合物)、ピペラジン−N−脱メチル化合物、9位ピペラジン置換化合物(10−F化合物)、ピペラジン−N−オキシド化合物、ジアミン化合物である。これらの標品を調製して、レボフロキサシンおよびその対掌体関係の異性体を含めた8種の化合物の混合物について本願発明の移動相を使用した高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、8成分が独立したピークとして観察され一斉分離によって分離できることが明らかとなった(図1参照)。さらにこの他、S−(−)−9,10−ジフルオロ−3−メチル−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸や2−メチル化合物等も分析できることが判明している。
本願発明の方法や移動相組成物はオフロキサシンにも好適に適用できる。
【0027】
レボフロキサシンの製造は、S−(−)−9,10−ジフルオロ−3−メチル−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸を原料として簡便に製造することができる。すなわち、この化合物に対して、好ましくは塩基の存在下で、4−メチルピペラジン(N−メチルピペラジン)を反応させることでレボフロキサシンが得られる。
この塩基は無機塩基でも有機塩機でもよく、無機塩基としては、アルカリ金属、もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩等を挙げることができる。有機塩機としてはトリアルキルアミンや含窒素複素環化合物を挙げることができる。具体的には、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等、また、4−メチルモルホリン、ジメチルアミノピリジン等、さらには4−メチルピペラジンを過剰量使用して塩基と兼用させてもよい。
この反応は溶媒を使用するのがよく、ジメチルスルホキシドを使用することができる。4−メチルピペラジンとの反応では、三環性のカルボン酸化合物ではなくこのカルボン酸のジハロゲノホウ素キレート化合物との反応を行うのがより効果的である。このジハロゲノホウ素キレート化合物は、三環性のカルボン酸化合物とトリハロゲノホウ素化合物を反応させればよいが、トリハロゲノホウ素化合物とエーテル化合物との錯体を使用するのが簡便である。例えば、ジエチルエーテル錯体やテトラヒドロフラン錯体等である。一方、トリハロゲノホウ素のハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。このエーテル錯体とカルボン酸とを各種エーテル溶媒中で攪拌することで、カルボン酸のジハロゲノホウ素キレート化合物が得られる。
このキレート化合物と4−メチルピペラジンとの反応はカルボン酸化合物自体の反応と同様にして塩基存在下、溶媒中で実施すればよい。4−メチルピペラジンとの反応後、キレートを除去(加水分解)することが必要であるが、これは、塩基存在下でプロトン性溶媒中加熱することで除去、切断することができる。例えば、アルコール溶媒中、トリアルキルアミン存在下に加熱する条件を例示することができるが、具体的にはエタノール中、トリエチルアミンの存在下に加熱攪拌すればよい。
【0028】
得られたレボフロキサシンの精製は、通常の再結晶によって実施できる他、溶媒中において結晶が懸濁状態であるスラリー状態で攪拌しても精製することができる。再結晶やスラリー精製法において使用できる溶媒は多くのものが採用でき、薬学的に許容されるものであれば特に限定はない。このような溶媒としてはアルコール類がよく、エタノール等を好適に使用することができる。またエタノールは含水溶媒としてもよい。
【実施例】
【0029】
以下に具体例を挙げて本願発明を詳細に説明するが、これらはいかなる意味においても本願発明を限定的に解釈させるものではない。
【0030】
[類縁物質および対掌体の同定・分析]
本操作は光を避けて行う。分析対象物(50mg)をメタノール−水混液(1:1,v/v;10 mL)に溶解して試料溶液とする。この溶液(1mL)を正確に量り、移動相(下記)を加えて正確に10mLとする。更にこの溶液から1mLを正確に量り、移動相を加えて正確に10mLとし、標準溶液とする。
【0031】
[試験条件]
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:340 nm)
カラム:内径4.6 mm、長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てん。
カラム温度:45℃付近の一定温度
移動相:L-バリン(1.76g)、酢酸アンモニウム(7.71g)および硫酸銅(1.25g)を水に溶解して全量を1000mLとする。この溶液1000mLにメタノール250mLを加えた。
流量:1mL/分(この条件で、レボフロキサシンの保持時間は約21〜24分となる。)
【0032】
[実施例1]
レボフロキサシンおよびレボフロキサシンのもう一方の対掌体化合物[3−(R)−メチル異性体]の他、ヨーロッパ薬局方5.0に不純物として記載された化合物で、レボフロキサシンの3−(S)−メチルピリドベンゾオキサジン骨格を有する化合物5種類(脱炭酸化合物、9位脱フッ素化合物、ピペラジン−N−脱メチル化合物、9位ピペラジン置換化合物、ピペラジン−N−オキシド化合物およびジアミン化合物、計6種の夾雑物の標品、計8化合物を混合した分析用試料(レボフロキサシンを1とし、他を0.5の割合で混合して作成した。各標品は社内で調製されたものである。)を作成して、上記の条件によって分析を実施した。その結果を図に示す。なお、化合物Dは脱メチル体である。
【0033】
[レボフロキサシンの製造]
【0034】
製造例1:
S−(−)−9,10−ジフルオロ−3−メチル−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸(14.3g)をジエチルエーテル(600ml)に懸濁し、三フッ化ホウ素ジエチルエーテルコンプレックス(70ml)を加え、室温で5時間攪拌した。上澄を傾瀉で除去し、残留物にジエチルエーテルを加えて濾取し、ジエチルエーテルで洗浄後乾燥した。このものをジメチルスルホキシド(100ml)に溶解し、トリエチルアミン(14.2ml)およびN−メチルピペラジン(7.3ml)を加え室温で18時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残留物にジエチルエーテルを加え、濾取した黄色粉末を95%メタノール(400ml)に懸濁し、トリエチルアミン(25ml)を加え、25時間加熱還流した。溶媒を減圧留去し、残留物を10%塩酸(500ml)に溶解し、クロロホルムで3回洗浄後4N水酸化ナトリウム水溶液でpH11とし、再び1N塩酸でpH7.3に調整してクロロホルム(2000ml×3)で抽出、芒硝乾燥した。クロロホルムを留去し、得られた結晶性固体をエタノール−ジエチルエーテルより再結晶し、レボフロキサシン12.0gを得た。
融点:226〜230℃(分解)
[α]=−76.9°(c=0.655,0.05N NaOH)
【0035】
製造例2:
S−(−)−9,10−ジフルオロ−3−メチル−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド−[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸(281mg)をジエチルエーテル(30ml)に懸濁し、室温攪拌下、大過剰の三フッ化ホウ素ジエチルエーテルコンプレックスを加えて、45分間反応させた。沈殿物を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄後減圧乾燥してホウ素キレート体を得た。
分解点>300℃
[α]=−9.4°(c=0.490,DMSO)
元素分析:C13BFNOとして;
計算値:C, 47.46;H, 2.46;N, 4.26
分析値:C, 47.68;H, 2.59;N, 4.32
このキレート体(310mg)をジメチルスルホキシド(6ml)に溶解し、トリエチルアミン(0.32ml)およびN−メチルピペラジン(0.13ml)を加え、室温で17時間攪拌した後減圧乾固した。残留物をジエチルエーテルで洗浄した後、トリエチルアミン(0.5ml)を含む95%エタノール(20ml)に溶解して8時間加熱還流した。冷後減圧乾固して得た残留物を、希塩酸(5%)に溶解してクロロホルムと振り分け、水層を1N水酸化ナトリウムでpH11とし、次いで1N塩酸でpH7.4に調整した。これをクロロホルム(50ml×3)で抽出して芒硝乾燥後クロロホルムを留去し、得た粉末をエタノール−ジエチルエーテルより再結晶し、透明微針晶の標記の化合物120mgを得た。
融点:225〜227℃(分解)
元素分析:C1820FN・1/2HOとして;
計算値:C, 58.37;H, 5.72;N, 11.35
分析値:C, 58.17;H, 5.58;N, 11.27
【0036】
製造例3:
S−(−)−9,10−ジフルオロ−3−メチル−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド−[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸(21mg)およびN−メチルピペラジン(30mg)を無水ジメチルスルホキシド(3ml)に溶解し,130〜140℃で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残留物にエタノール(2ml)を加え、析出した固体を濾取して少量のエタノールおよびエーテルで順次洗浄した。得られた粉末14mgを、シリカゲル5gのカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム−メタノール−水(7:3:1)の下層溶液で溶出させてS−(−)−9−フルオロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸を得た。また、上記濾取母液を分取し、薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、20×20cm、0.5mm)に付し、クロロホルム−メタノール−水(15:3:1)の下層溶液で展開して精製した。両者を合わせ目的物14mgの結晶を得た。融点:220〜228℃(分解)
元素分析:C1820FNとして;
計算値:C, 59.82;H, 5.58;N, 11.63
分析値:C, 60.01;H, 5.69;N, 11.53
MS(m/e);361(M
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.63(3H,d,J=7,C−CH),2.38(3H,s,N−CH),2.54〜2.60(4H,m,2×CHN),3.40〜3.44(4H,m,2×CHN),4.35〜4.52(3H,m,CH&CH),7.76(1H,d,芳香環C−H),8.64(1H,s,C−H)
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】レボフロキサシンおよび夾雑物の計8化合物を、オクタデシルシリル化シリカゲルを充填したカラム、銅イオン、アミノ酸、酢酸アンモニウム、および有機溶媒を含有させた水からなる移動相を使用した高速液体クロマトグラフィー法によって得られたクロマトグラムである。物質名近傍に記載の数値は保持時間である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速液体クロマトグラフィーを使用する医薬活性成分の分離分析方法及び/又は分離精製方法において、移動相として、銅イオン、アミノ酸、酢酸アンモニウム、および有機溶媒を含有させた水を使用することを特徴とする方法。
【請求項2】
分離分析方法である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
医薬活性成分がキノロン化合物である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
医薬活性成分が、異性体が存在する構造のキノロン化合物である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
異性体がジアステレオ異性体関係または対掌体関係の異性体である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
医薬活性成分がレボフロキサシンである請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
アミノ酸が、天然α−アミノ酸である請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
アミノ酸が、イソロイシン、バリン、アラニン、プロリン、ロイシン、またはフェニルアラニンである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アミノ酸が、L−イソロイシン、L−バリン、D−バリン、L−プロリン、またはL−アラニンである請求項7に記載の方法。
【請求項10】
アミノ酸が、L−イソロイシンまたはL−バリンである請求項7に記載の方法。
【請求項11】
アミノ酸が、L−バリンである請求項7に記載の方法。
【請求項12】
有機溶媒が、水と混和するアルコール類、水と混和するエーテル類、およびアセトニトリルからなる群の有機溶媒から選ばれる有機溶媒である請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
有機溶媒がメタノールまたはアセトニトリルである請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
有機溶媒がメタノールである請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
銅イオンの供給源が無機銅塩化合物である請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
無機銅塩化合物が硫酸銅である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
充填材としてオクタデシル化シリカゲルを充填したカラムを使用する高速液体クロマトグラフィー法である請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
硫酸銅、L−バリン、酢酸アンモニウム、メタノールおよび水からなる高速液体クロマトグラフィー用移動相。
【請求項19】
L−バリン(1.76g)、酢酸アンモニウム(7.71g)および硫酸銅(1.25g)を水に溶解して全量を1000mLとし、この水溶液1000mLにメタノール250mLを加えて調製される組成物。
【請求項20】
高速液体クロマトグラフィーの移動相である請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
請求項19に記載の組成物の高速液体クロマトグラフィー用移動相としての使用。
【請求項22】
高速液体クロマトグラフィーによるレボフロキサシンの分離分析方法において、オクタデシル化シリカゲルカラムを使用し、移動相として、L−バリン(1.76g)、酢酸アンモニウム(7.71g)および硫酸銅(1.25g)を水に溶解して全量を1000mLとし、この水溶液1000mLにメタノール250mLを加えた組成を有する組成物を使用し、移動相の流量を毎分1mlとしたときに、レボフロキサシンの保持時間が21分から24分である分離分析方法。
【請求項23】
純度試験である請求項22に記載の分離分析方法。
【請求項24】
N−メチルピペラジンを、(S)−9,10−ジフルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−7−オキソ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸またはそのジフルオロホウ素キレート化合物と、所望により塩基存在下に反応させてレボフロキサシンを得、この組成生物を精製した後、高速液体クロマトグラフィー法において、L−バリン(1.76g)、酢酸アンモニウム(7.71g)および硫酸銅(1.25g)を水に溶解して全量を1000mLとし、この水溶液1000mLにメタノール250mLを加えて調製される組成物を移動相として純度試験を実施することによって純度確認することを特徴とするレボフロキサシンの製造方法。
【請求項25】
高速液体クロマトグラフィー法において使用するカラムがオクタデシル化シリカゲルカラムである請求24に記載のレボフロキサシンの製造方法。
【請求項26】
N−メチルピペラジンを、(S)−9,10−ジフルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−7−オキソ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸またはそのジフルオロホウ素キレート化合物と、所望により塩基存在下に反応させてレボフロキサシンを得、この組成生物を精製した後、高速液体クロマトグラフィー法において、L−バリン(1.76g)、酢酸アンモニウム(7.71g)および硫酸銅(1.25g)を水に溶解して全量を1000mLとし、この水溶液1000mLにメタノール250mLを加えて調製される組成物を移動相として純度試験を実施することによって純度確認されたレボフロキサシンの医薬としての使用。
【請求項27】
N−メチルピペラジンを、(S)−9,10−ジフルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−7−オキソ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸またはそのジフルオロホウ素キレート化合物と、所望により塩基存在下に反応させてレボフロキサシンを得、この組成生物を精製した後、高速液体クロマトグラフィー法において、L−バリン(1.76g)、酢酸アンモニウム(7.71g)および硫酸銅(1.25g)を水に溶解して全量を1000mLとし、この水溶液1000mLにメタノール250mLを加えて調製される組成物を移動相として純度試験を実施することによって純度確認されたレボフロキサシンの医薬品の製造のための使用。
【請求項28】
N−メチルピペラジンを、(S)−9,10−ジフルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−7−オキソ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸またはそのジフルオロホウ素キレート化合物と、所望により塩基存在下に反応させてレボフロキサシンを得、この組成生物を精製した後、高速液体クロマトグラフィー法において、L−バリン(1.76g)、酢酸アンモニウム(7.71g)および硫酸銅(1.25g)を水に溶解して全量を1000mLとし、この水溶液1000mLにメタノール250mLを加えて調製される組成物を移動相として純度試験を実施することによって純度確認されたレボフロキサシンと薬学的に許容された医薬品原料とからなる組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2009−198177(P2009−198177A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154692(P2006−154692)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000002831)第一製薬株式会社 (129)
【Fターム(参考)】