説明

切断機

【解決手段】鉄骨柱1に固定される上側支持台8と下側支持台12との間で架設した案内レール16に沿って自重により移動し得る切断ユニット17を備えている。切断ユニット17は、案内レール16に対し移動可能に支持したスライダ18と、スライダ18に取着したブラケット19と、ブラケット19に支持した駆動ローラ20、従動ローラ21及び駆動モータ22と、駆動ローラ20と従動ローラ21との間で互いに掛け渡した無端状バンドソー23とを備えている。移動許容スペースSにおいて、案内レール16に対する左右両側のうち、一方の側には駆動ローラ20及び駆動モータ22を配設するとともに、他方の側には従動ローラ21を配設している。切断ユニット17の下降に伴い、鉄骨柱1から突出する支持板を無端状バンドソー23により切断する。
【効果】切断機を小型化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築施工時に各種目的で建築物の鉄骨柱などの柱から突出して残る被切断物を切断して除去するための切断機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の切断機においては、取付フレームの四隅に取付脚が取着された取付台で、その取付フレームに対し横方向へ移動可能に支持された本体フレームには、取付フレームの上方で駆動モータにより回転する駆動ローラが支持されているとともに、取付フレームの下方で従動ローラが支持され、各取付脚間で横方向へ架設された回転軸がハンドルにより回転して本体フレームが回転軸に沿って横方向へ移動すると、この駆動ローラと従動ローラとの間で縦方向へ掛け渡されたバンドソーは、横方向へ寝かされた鉄骨柱に沿って横方向へ移動し、鉄骨柱の被切断物を切断して除去することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−266003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の切断機は、立てた鉄骨柱にも利用することはできるが、ハンドルにより回転する回転軸を駆動ローラと従動ローラとの間で取付台に支持する必要があるため、駆動ローラと従動ローラとの間の寸法が大きくなって取付台が大型化する問題があった。
【0005】
この発明は、立てた柱から突出して残る被切断物を切断して除去するための切断機のみに着目して、切断機を小型化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態の図面(図1〜12)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる切断機は、下記のように構成されている。
この切断機は、柱1に固定される上側支持台8と下側支持台12との間で上下方向Zへ延びるように架設した案内レール16に沿って上下方向Zへ移動し得る切断ユニット17を備えている。その切断ユニット17は、案内レール16に対し上下方向Zへ移動可能に支持した取付体(スライダ18と、そのスライダ18に取着したブラケット19)と、その取付体19に支持した駆動ローラ20、従動ローラ21及び駆動モータ22と、その駆動モータ22により回転する駆動ローラ20と従動ローラ21との間で互いに掛け渡した無端状バンドソー23とを備えている。上側支持台8と下側支持台12との間と、柱1と案内レール16との間と、取付体18,19の移動方向Zに対し直交する左右方向Yにおける案内レール16の両側とにより設けた移動許容スペースSにおいて、案内レール16に対する左右両側のうち、一方の側には駆動ローラ20を配設するとともに、他方の側には従動ローラ21を配設している。前記切断ユニット17の自重により、取付体18,19が駆動ローラ20や駆動モータ22や従動ローラ21や無端状バンドソー23とともに案内レール16に対し下降するようにして、柱1から突出する被切断物4,5を無端状バンドソー23により切断する。
【0007】
請求項1の発明では、立てた柱1から突出して残る被切断物4,5を切断して除去するための切断機のみに着目した設計であるため、切断ユニット17が自重により下降するだけでよく、切断ユニット17の移動手段を省略することができる。従って、上側支持台8と下側支持台12との間と、柱1と案内レール16との間と、取付体18,19の移動方向Zに対し直交する左右方向Yにおける案内レール16の両側とに設けた移動許容スペースSを、駆動モータ22と駆動ローラ20と従動ローラ21と無端状バンドソー23とを支障なく配設し得る程度に小さく設定することができる。
【0008】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明においては、被切断物4,5が柱1から切断された際に無端状バンドソー23の内側に位置する分離物4a,5aを支持して吊下する吊下部材33を備えている。請求項2の発明では、吊下部材33により、被切断物4,5からの分離物4a,5aの落下を防止することができる。
【0009】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記切断ユニット17は、無端状バンドソー23による被切断物4,5の切断時に生じる移動力Fを阻止するストッパ35を有している。請求項3の発明では、ストッパ35により、切断機の横振れを防止することができる。
【0010】
請求項1または請求項2または請求項3の発明を前提とする請求項4の発明において、前記上側支持台8と下側支持台12とはそれぞれ柱1に対する載置面10a,14aを有し、下側支持台12は、上側支持台8の載置面10aと下側支持台12の載置面14aとを結ぶ想定面Pから突出する位置Aと、その想定面Pと案内レール16との間の移動許容スペースSに入り込む位置Bとを取り得る操作部材39を有している。請求項4の発明では、操作部材39を想定面Pから突出する位置Aにすることで、柱1に溶接部7等の障害物があっても切断ユニット17を柱1から浮かして案内レール16に沿って移動させることができる。
【0011】
請求項1から請求項4のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項5の発明において、前記上側支持台8は柱1に当接される押圧ピン41を案内レール16に対する左右両側に有し、その押圧ピン41の位置を調節し得る。請求項5の発明では、上側支持台8が載置される柱1の載置面に応じて押圧ピン41の位置を調節して柱1を圧接することができる。
【0012】
請求項1から請求項5のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項6の発明において、前記上側支持台8は、柱1から突出する被切断物4,5に支えられる受け部42を有している。請求項6の発明では、受け部42で切断機を支えて柱1に取り付け易い。
【0013】
請求項1から請求項6のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項7の発明において、前記切断ユニット17は案内レール16に対しばね30の弾性力により圧接されながら取付体18,19とともに上下方向Zへ移動する位置決めピン29を有し、案内レール16に形成した位置決め孔31,32に対しその位置決めピン29がばね30の弾性力により係入されて切断ユニット17の下降が阻止される。請求項7の発明では、切断ユニット17が自重により下降する際、切断ユニット17の下降を容易に阻止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、立てた柱1から突出して残る被切断物4,5を切断して除去するための切断機を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】鉄骨柱を示す部分斜視図である。
【図2】(a)は本実施形態にかかる切断機において図1(a)の鉄骨柱に対する吊下部材の取付状態を示す正面図であり、(b)は同じく吊下部材の取付状態を示す側面図である。
【図3】図1(a)の鉄骨柱に取り付けた本実施形態の切断機において切断位置にある切断ユニットの最上昇状態を示す正面図である。
【図4】同じく切断ユニットの最上昇状態を示す側面図である。
【図5】図1(a)の鉄骨柱に取り付けた本実施形態の切断機において切断位置にある切断ユニットの中間状態を示す正面図である。
【図6】(a)は同じく切断ユニットの中間状態を示す側面図であり、(b)は(a)の切断ユニットにおいて下側支持台の操作部材を平面側から見た部分断面である。
【図7】(a)は図1(a)の鉄骨柱に取り付けた本実施形態の切断機において非切断位置にある切断ユニットの中間状態を示す側面図であり、(b)は(a)の切断ユニットにおいて下側支持台の操作部材を平面側から見た部分断面である。
【図8】図1(a)の鉄骨柱に取り付けた本実施形態の切断機において切断位置にある切断ユニットの最下降状態を示す正面図である。
【図9】同じく切断ユニットの最下降状態を示す側面図である。
【図10】図1(a)の鉄骨柱に取り付けた本実施形態の切断機において切断ユニットのストッパを平面側から見た部分断面図である。
【図11】図1(a)の鉄骨柱に取り付けた本実施形態の切断機において上側支持台の押圧ピンを平面側から見た部分断面図である。
【図12】(a)は図1(a)の鉄骨柱に取り付けた本実施形態の切断機において切断ユニットの位置決めピンを案内レールの位置決め孔に係入した状態を側面側から見た部分断面図であり、(b)は同じく位置決めピンを位置決め孔から抜いて案内レールに圧接した状態を側面側から見た部分断面図であり、(c)は同じく位置決めピンを位置決め孔から抜いて支持筒に引掛けた状態を側面側から見た部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態にかかる切断機について図面を参照して説明する。
この切断機は、図1に示す鉄骨柱1のように、上側柱2と下側柱3とにそれぞれ取着された支持板4,5(被切断物)の基準位置に合わせ板(図示せず)を取着してそれらの支持板4,5をこの合わせ板(図示せず)により互いに連結し、その上側柱2と下側柱3とを互いにずれることなくその合わせ板(図示せず)に正確に合わせた後に溶接部7により接続した際に、鉄骨柱1から突出して残るそれらの支持板4,5を切断して除去するためのものである。下側柱3の支持板5は、上側柱2の支持板4や鉄骨柱1に対し分離された上半部で溶接部7を回避することができる切欠き6を有している。
【0017】
図3,5,8及び図4,6,9に示す上側支持台8においてT状の主体部9は左右方向Yへ延びる固定部10と前後方向Xへ延びる腕部11とからなり、下側支持台12において主体部13は固定部14から前後方向Xへ延びる腕部15を有し、それらの腕部11,15の前端部間で一本の案内レール16が上下方向Zへ延びるように着脱可能に架設され、その案内レール16に沿って切断ユニット17が上下方向Zへ移動し得る。
【0018】
前記切断ユニット17は、案内レール16に対し上下方向Zへ移動可能に支持されたスライダ18(取付体)と、そのスライダ18に取着されて左右方向Yへ延びるブラケット19(取付体)と、そのブラケット19に支持された駆動ローラ20、従動ローラ21及び駆動モータ22と、その駆動モータ22により回転する駆動ローラ20と従動ローラ21との間で互いに掛け渡された無端状バンドソー23とを備えている。この上側支持台8と下側支持台12との間で鉄骨柱1に対するそれらの固定部10,14の載置面10a,14aを結ぶ想定面Pと案内レール16との間には移動許容スペースSが設けられている。この切断ユニット17において、ブラケット19は案内レール16の後方で移動許容スペースSに配設され、スライダ18の移動方向(上下方向Z)に対し直交する左右方向Yにおける案内レール16の左右両側のうち、一方の側の移動許容スペースSで駆動ローラ20がブラケット19の上側に配設されているとともに駆動モータ22がブラケット19の下側に配設され、他方の側の移動許容スペースSで従動ローラ21がブラケット19の上側に配設されている。この駆動ローラ20の回転中心20aと従動ローラ21の回転中心21aとは上下方向Zへ延び、この駆動ローラ20と従動ローラ21との間で互いに掛け渡された無端状バンドソー23は上向きの端縁と下向きの端縁とを有している。この従動ローラ21は、駆動ローラ20の回転中心20aと従動ローラ21の回転中心21aとの間の距離Lを変更し得るように、ブラケット19に対し可動調節体24を介して支持されている。前記スライダ18は、ブラケット19が取着されたスライダ本体25と、そのスライダ本体25との間で案内レール16を挟持する蓋体26とからなる。その蓋体26は、スライダ本体25に対し案内レール16に対するスライダ18の移動を許容する程度に各止めねじ27により締め付けられ、その各止めねじ27を緩めて蓋体26の各支持孔26aを各止めねじ27から抜くことでスライダ本体25に対し着脱することができる。蓋体26をスライダ本体25から分離させると、切断ユニット17を案内レール16から取り外すことができる。
【0019】
前記切断ユニット17においてスライダ18の蓋体26に取着された支持筒28には図12に示すように位置決めピン29が支持されて案内レール16側へ圧縮コイルばね30の弾性力により付勢されている。案内レール16において上端部側と略中間部とには位置決め孔31,32が形成されている。この各位置決め孔31,32以外では位置決めピン29が案内レール16に対し圧縮コイルばね30の弾性力により圧接ながらスライダ18とともに上下方向Zへ移動する。この各位置決め孔31,32では位置決めピン29が圧縮コイルばね30の弾性力により係入されてスライダ18の移動が阻止される。
【0020】
図2に示すように、前記上側柱2の支持板4と下側柱3の支持板5とを着脱可能に挟持することができる一対の挟持板33a,33bからなる吊下部材33を備えている。その吊下部材33は、前記上側支持台8の腕部11に取着されたフック状の吊下部34に吊り下げられて無端状バンドソー23の内側に挿入され、図10に示すようにブラケット19の左右方向Yの中央部に形成された間隙19aを通して下方へ延びる。
【0021】
図10に示すように、前記切断ユニット17において、ブラケット19にはその間隙19aの付近でストッパ35が可動調節体36により上下方向Zと左右方向Yとに移動調節可能に取着されている。
【0022】
前記上側支持台8において主体部9の固定部10から帯巻掛け部37が上方へ突設されているとともに、前記下側支持台12において主体部13の固定部14から帯巻掛け部38が下方へ突設されている。この下側支持台12において、腕部15の内側で回動可能に支持された操作部材39は、図7に示すように上側支持台8の載置面10aと下側支持台12の載置面14aとを結ぶ想定面Pから突出する位置Aと、図6に示すようにその想定面Pと案内レール16との間の移動許容スペースSに入り込む位置Bとを取り得る。図11に示すようにこの上側支持台8において固定部10の左右両側には可動板40が上下方向Zへ延びる回動中心線40aを中心に回動可能に且つ長孔40bに沿って前後方向Xへ移動可能に支持され、その左右両可動板40には押圧ピン41が前後方向Xへ延びるように取着されている。この押圧ピン41は回動中心線40aを中心とする円弧軌跡に沿って移動し得る。この上側支持台8の腕部11の下側には受け部42が取着されている。
【0023】
まず、このように構成された切断機を前記鉄骨柱1に対し下記のようにして取り付ける。
図12(c)に示すように切断ユニット17においてスライダ18の位置決めピン29を圧縮コイルばね30の弾性力に抗して持ち上げて支持筒28に引掛けることで位置決めピン29を案内レール16から離すとともに圧縮コイルばね30が位置決めピン29を付勢しない状態にし、上側支持台8の付近まで切断ユニット17を案内レール16に沿って移動させ、案内レール16の上側位置決め孔31の付近で位置決めピン29の引掛けを解除して図12(a)に示すように位置決めピン29を圧縮コイルばね30の弾性力により上側位置決め孔31に係入する。従って、切断ユニット17は上側支持台8付近の上限位置で案内レール16に対し位置決めされる。
【0024】
次に、立てた切断機において、鉄骨柱1と案内レール16との間の移動許容スペースSに上側柱2の支持板4及び下側柱3の支持板5を入り込ませるとともに、切断ユニット17の無端状バンドソー23を上側柱2の支持板4の上方に位置させた状態で、上側支持台8の腕部11の受け部42を上側柱2の支持板4上に載せて切断機を支える。その後、上側支持台8における固定部10の載置面10aを鉄骨柱1の上側柱2に当てがって帯巻掛け部37に帯43を巻き掛けて上側柱2に結び付けるとともに、下側支持台12における固定部14の載置面14aを鉄骨柱1の下側柱3に当てがって帯巻掛け部38に帯43を巻き掛けて下側柱3に結び付け、上側支持台8における左右両押圧ピン41を上側柱2に押圧して位置決めする。無端状バンドソー23による切断前に、上側柱2の支持板4と下側柱3の支持板5とを吊下部材33で挟持してその吊下部材33を上側支持台8の腕部11の吊下部34に吊り下げる。
【0025】
図3,4に示すように切断機を鉄骨柱1に取り付けた後、切断ユニット17において無端状バンドソー23を回転させ、スライダ18の位置決めピン29を持ち上げて案内レール16の上側位置決め孔31から抜くと、図12(b)に示すように位置決めピン29が圧縮コイルばね30の弾性力により案内レール16に圧接されながら、切断ユニット17の自重により、スライダ18がブラケット19や駆動ローラ20や駆動モータ22や従動ローラ21や無端状バンドソー23とともに案内レール16に対し下降し、その下降時に無端状バンドソー23が鉄骨柱1の付近でまず上側柱2の支持板4を切断する。上側柱2の支持板4は、分離され、無端状バンドソー23の内側に挿入されてブラケット19の間隙19aを通して下方へ延びるが、図6に示すように上側柱2から分離された分離物4aは吊下部材33に保持されて落下しない。その切断時に、切断ユニット17におけるブラケット19のストッパ35が図10に示すように上側柱2の支持板4に当接するため、無端状バンドソー23による切断時に生じる移動力Fを阻止して切断機の横触れを防止する。
【0026】
次に、図12(a)に示すようにスライダ18の位置決めピン29が案内レール16の中間位置決め孔32に圧縮コイルばね30の弾性力で係入されると、切断ユニット17の自重による下降は停止し、図5,6に示すように無端状バンドソー23は上側柱2の支持板4と下側柱3の支持板5との間で溶接部7の上方に位置する。その後、図7に示すように下側支持台12の操作部材39を固定部14の載置面14aから突出させた位置Aでその載置面14aを鉄骨柱1から浮かせると、切断ユニット17の無端状バンドソー23も鉄骨柱1から浮く。そして、図12(c)に示すようにスライダ18の位置決めピン29を圧縮コイルばね30の弾性力に抗して持ち上げて案内レール16の中間位置決め孔32から抜いて支持筒28に引掛けることで位置決めピン29を案内レール16から離すとともに圧縮コイルばね30が位置決めピン29を付勢しない状態にし、無端状バンドソー23が鉄骨柱1の溶接部7を回避して下方へ通り過ぎるまで切断ユニット17を案内レール16に沿って下降させる。その後、下側支持台12の操作部材39を固定部14の載置面14aの内側に入り込ませた位置Bにすると、切断ユニット17の無端状バンドソー23は移動許容スペースSで固定部10,14の載置面10a,14aを結ぶ想定面Pで鉄骨柱1の付近に位置する。
【0027】
次に、位置決めピン29の引掛けを解除して図12(b)に示すように位置決めピン29が圧縮コイルばね30の弾性力により案内レール16に圧接されながら、切断ユニット17の自重により、スライダ18がブラケット19や駆動ローラ20や駆動モータ22や従動ローラ21や無端状バンドソー23とともに案内レール16に対し下降し、その下降時に無端状バンドソー23が鉄骨柱1の付近で下側柱3の支持板5を切断する。下側柱3の支持板5も、上側柱2の支持板4と同様に下側柱3から分離され、無端状バンドソー23の内側に挿入されてブラケット19の間隙19aを通して下方へ延びるが、それらの分離物4a,5aは吊下部材33に保持されて落下しない。その切断時に、切断ユニット17におけるブラケット19のストッパ35が図10に示すように下側柱3の支持板5に当接するため、無端状バンドソー23による切断時に生じる移動力Fを阻止して切断機の横触れを防止する。図8,9に示すように切断ユニット17はそのスライダ18で下側支持台12の腕部15などに当接して停止する。
【0028】
このような切断後に、上側支持台8及び下側支持台12の帯巻掛け部37,38からそれぞれ帯43を外して、切断機を鉄骨柱1から取り外す。その際、上側柱2及び下側柱3の支持板4,5から分離された分離物4a,5aは、吊下部材33で挟持されて上側支持台8に吊り下げられたまま、切断機とともに鉄骨柱1から分離される。
【0029】
本実施形態は下記の効果を有する。
* 立てた鉄骨柱1から突出して残る支持板4,5を切断して除去するための切断機のみに着目した設計であるため、切断ユニット17の移動手段を省略して切断ユニット17が自重により下降するだけでよく、駆動モータ22と駆動ローラ20と従動ローラ21と無端状バンドソー23とを配設する移動許容スペースSを小さく設定して切断機を小型化することができる。
【0030】
* 支持板4,5からの分離物4a,5aを吊下部材33により上側支持台8に吊下したので、その分離物4a,5aの落下を防止して切断作業を容易に行うことができる。
* 切断ユニット17のストッパ35により切断機の横振れを防止して切断作業を容易に行うことができる。
【0031】
* 案内レール16に溶接部7による膨らみがあっても下側支持台12の操作部材39により切断ユニット17を鉄骨柱1から浮かすことでその溶接部7による膨らみを回避して案内レール16に沿って容易に移動させることができる。
【0032】
* 上側支持台8が載置される鉄骨柱1の載置面に応じて押圧ピン41が移動して鉄骨柱1を圧接することができる。
* 上側支持台8の受け部42を支持板4,5に支えて切断機を鉄骨柱1に容易に取り付けることができる。
【0033】
* 切断ユニット17が自重により下降する際、スライダ18の位置決めピン29と案内レール16の位置決め孔31,32とにより、切断ユニット17の下降を容易に阻止することができる。
【0034】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ ブラケット19に対する駆動モータ22の取付位置は特に限定されないが、前述した実施形態のように駆動ローラ20の下側でブラケット19に配設することが好ましい。
【0035】
・ 吊下部材33を上側支持台8以外に案内レール16の上端部に吊下してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…鉄骨柱、4,5…被切断物としての支持板、4a,5a…支持板からの分離物、8…上側支持台、10a…載置面、12…下側支持台、14a…載置面、16…案内レール、17…切断ユニット、18…スライダ(取付体)、19…ブラケット(取付体)、20…駆動ローラ、21…従動ローラ、22…駆動モータ、23…無端状バンドソー、29…位置決めピン、30…圧縮コイルばね、31,32…位置決め孔、33…吊下部材、35…ストッパ、39…操作部材、41…押圧ピン、42…受け部、Y…左右方向、Z…上下方向(移動方向)、S…移動許容スペース、F…移動力、P…想定面、A,B…位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱に固定される上側支持台と下側支持台との間で上下方向へ延びるように架設した案内レールに沿って上下方向へ移動し得る切断ユニットは、案内レールに対し上下方向へ移動可能に支持した取付体と、その取付体に支持した駆動ローラ、従動ローラ及び駆動モータと、その駆動モータにより回転する駆動ローラと従動ローラとの間で互いに掛け渡した無端状バンドソーとを備え、
上側支持台と下側支持台との間と、柱と案内レールとの間と、取付体の移動方向に対し直交する左右方向における案内レールの両側とにより設けた移動許容スペースにおいて、案内レールに対する左右両側のうち、一方の側には駆動ローラを配設するとともに、他方の側には従動ローラを配設し、
前記切断ユニットの自重により、取付体が駆動ローラや駆動モータや従動ローラや無端状バンドソーとともに案内レールに対し下降するようにして、柱から突出する被切断物を無端状バンドソーにより切断する
ことを特徴とする切断機。
【請求項2】
被切断物が柱から切断された際に無端状バンドソーの内側に位置する分離物を支持して吊下する吊下部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の切断機。
【請求項3】
前記切断ユニットは、無端状バンドソーによる被切断物の切断時に生じる移動力を阻止するストッパを有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切断機。
【請求項4】
前記上側支持台と下側支持台とはそれぞれ柱に対する載置面を有し、下側支持台は、上側支持台の載置面と下側支持台の載置面とを結ぶ想定面から突出する位置と、その想定面と案内レールとの間の移動許容スペースに入り込む位置とを取り得る操作部材を有していることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の切断機。
【請求項5】
前記上側支持台は柱に当接される押圧ピンを案内レールに対する左右両側に有し、その押圧ピンの位置を調節し得ることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一つの請求項に記載の切断機。
【請求項6】
前記上側支持台は、柱から突出する被切断物に支えられる受け部を有していることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一つの請求項に記載の切断機。
【請求項7】
前記切断ユニットは案内レールに対しばねの弾性力により圧接されながら取付体とともに上下方向へ移動する位置決めピンを有し、案内レールに形成した位置決め孔に対しその位置決めピンがばねの弾性力により係入されて切断ユニットの下降が阻止されることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一つの請求項に記載の切断機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−247296(P2010−247296A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100977(P2009−100977)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(398075781)ジロー株式會社 (16)
【出願人】(000205052)大見工業株式会社 (27)
【Fターム(参考)】