説明

判定装置、判定方法およびプログラム

【課題】所定の入力を第三者に認識され難くすることが可能な判定装置、判定方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】タッチパネル操作部101は、入力部200の移動の軌跡を検出する。タッチパネル入力・表示処理部106aは、タッチパネル操作部101の検出結果を所定の単位に分解する。認証処理部106bは、タッチパネル入力・表示処理部106aの分解結果を用いて、所定の入力が行われたかを判定する。認証処理部106bは、入力部200の移動の軌跡そのものではなく、入力部200の移動の軌跡の所定の単位での分解結果を用いて、所定の入力が行われたかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置、判定方法およびプログラムに関し、例えば、タッチパネルを備えた判定装置、判定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)のような携帯電子機器には、所有者の誤操作防止や紛失時のセキュリティ確保のために、キー入力を禁止するキーロック機能を備えているものがある。
【0003】
特許文献1には、キーロック機能を解除するための入力(パスワード)として、タッチパネルに手書き入力された特定の軌跡を用いる携帯電子機器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−257140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の携帯電子機器では、キーロック機能を解除するためには、常に、タッチパネルに同一の特定の軌跡を入力する必要がある。このため、その特定の軌跡が第三者に何度か見られると、キーロック機能を解除するための入力、つまり、所定の入力が第三者に認識されてしまう。このため、所定の入力を第三者に認識され難くする手法が望まれるという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、上述した課題を解決可能な判定装置、判定方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の判定装置は、入力手段の移動の軌跡を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果を所定の単位に分解する分解手段と、
前記分解手段の分解結果を用いて、所定の入力が行われたかを判定する判定手段と、を含む。
【0008】
本発明の判定方法は、判定装置での判定方法であって、
入力手段の移動の軌跡を検出する検出ステップと、
前記検出の結果を所定の単位に分解する分解ステップと、
前記分解の結果を用いて、所定の入力が行われたかを判定する判定ステップと、を含む。
【0009】
本発明のプログラムは、入力手段の移動の軌跡を検出する検出手段と接続されたコンピュータに、
前記検出手段の検出結果を所定の単位に分解する分解手順と、
前記分解の結果を用いて、所定の入力が行われたかを判定する判定手順と、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、所定の入力を第三者に認識され難くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態の判定装置の一例である携帯電話機100を示したブロック図である。
【図2】認証初期設定動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】8方向の直線方向成分を示した図である。
【図4】キーロック解除時の認証動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】タッチパネル操作部101とタッチパネル入力表示処理部106aと認証処理部106bからなる判定装置を示した図である。
【図6】「E」という文字の表示例である。
【図7】「田」という文字の表示例である。
【図8】「↓→→→」の直線群の一例を示した図である。
【図9】「↓→↓↓→→」という直線群の一例を示した図である。
【図10】本発明の第2実施形態の判定装置の一例である携帯電話機100Aを示したブロック図である。
【図11】ユーザが無作為に入力した直線方向成分と、その直線方向成分を順番通りに組み合わせて作成が可能な文字列の一例を示した図である。
【図12】ユーザが無作為に入力した直線方向成分と、漢字優先で生成されたパスワードと、アルファベット優先で生成されたパスワードと、を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の判定装置の一例である携帯電話機100を示したブロック図である。なお、判定装置は、携帯電話機に限らず、例えば、スマートフォン、携帯型ゲーム機、タブレット型PC(Personal Computer)、または、ノート型PCでもよい。
【0014】
携帯電話機100は、タッチパネル操作部101と、タッチパネル入力プロセッサ102と、表示部103と、メモリ部104と、キー操作部105と、制御部106と、を含む。
【0015】
タッチパネル操作部101は、一般的に検出手段と呼ぶことができる。
【0016】
タッチパネル操作部101は、表示部103と一体的に形成され、携帯電話機100の筐体外面に装備され、入力面101aを備えている。
【0017】
タッチパネル操作部101としては、物体が入力面101aに接触した際に、その物体を検出する接触タイプのタッチパネルが用いられてもよいし、物体が入力面101aに近接した際に、その物体を検出する非接触(近接検出)タイプのタッチパネルが用いられてもよい。
【0018】
以下では、タッチパネル操作部101として、接触タイプのタッチパネルが用いられた例を説明する。なお、タッチパネル操作部101として、非接触タイプのタッチパネルが用いられた場合には、後述する「接触」という語句を「近接」という語句に読み替えればよい。
【0019】
タッチパネル操作部101は、入力部200が入力面101aに接触している状況での入力部200の移動の軌跡を検出する。なお、入力部200は、例えばユーザの指またはタッチペンである。入力部200は、一般的に入力手段と呼ぶことができる。
【0020】
タッチパネル操作部101の入力面101aには、図1に示すようにxy座標が割り付けられており、タッチパネル操作部101は、xy座標を用いて入力部200の移動の軌跡(例えば、手書き文字や図形)を検出する。
【0021】
タッチパネル操作部101は、入力部200の移動の軌跡を表す位置情報を、アナログ信号でタッチパネル入力プロセッサ102に出力する。
【0022】
タッチパネル入力プロセッサ102は、アナログ/デジタル(A/D)コンバータ(図示せず)を内蔵している。タッチパネル入力プロセッサ102は、A/Dコンバータでタッチパネル操作部101からのアナログ信号の位置情報を定期的に読み取り、アナログ信号をデジタルデータに変換し、不安定データの排除やチャタリング処理を行った上で、そのデジタルデータ(位置情報)を、制御部106に出力する。なお、タッチパネル入力プロセッサ102は、タッチパネル操作部101に内蔵されてもよい。この場合、タッチパネル操作部101とタッチパネル入力プロセッサ102とで検出手段が構成される。また、タッチパネル入力プロセッサ102は省略されてもよい。この場合、タッチパネル操作部101の出力は、制御部106に入力する。
【0023】
表示部103は、一般的に表示手段と呼ぶことができる。
【0024】
表示部103は、例えば、液晶表示デバイスで実現され、携帯電話機100のユーザに視覚情報を提供する。なお、表示部103は、液晶表示デバイスに限らず適宜変更可能である。
【0025】
メモリ部104は、パスワードとなる認証用の基準情報を格納する。
【0026】
キー操作部105は、複数種類のキーを有し、ユーザのキー操作を受け付ける。図1では、説明の簡略化のため、複数種類のキーのうち、パスワード設定モードを設定するためのパスワード設定キー105aと、入力を確定するための入力確定キー105bと、OKキー105cと、NGキー105dと、キーロック対象キー105eが示されている。なお、キーロック対象キー105eは、キーロックが実行されるキーであり、例えば、文字入力用のキーである。なお、キーロック対象キー105eは、文字入力用のキーに限らず適宜変更可能である。また、キーロック対象キー105eは、1つでもよいし複数でもよい。
【0027】
制御部106は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、携帯電話機100全体の動作を制御する。
【0028】
制御部106は、タッチパネル入力・表示処理部106aと、認証処理部106bと、キーロック処理部106cと、を含む。
【0029】
タッチパネル入力・表示処理部106aは、一般的に分解手段と呼ぶことができる。
【0030】
タッチパネル入力・表示処理部106aは、表示部103の表示を制御する。タッチパネル入力・表示処理部106aは、タッチパネル入力プロセッサ102から受け付ける入力部200の移動の軌跡に基づいて、携帯電話機100のユーザが入力部200を用いてタッチパネル操作部101上に描いた図形、線または文字を表示する。つまり、タッチパネル入力・表示処理部106aは、ユーザへの描画に対する視覚的なフィードバックを提供する機能を有する。
【0031】
また、タッチパネル入力・表示処理部106aは、タッチパネル入力プロセッサ102から受け付ける位置情報、つまり、入力部200の移動の軌跡を、直線単位に分解する。なお、直線単位は、一般的に所定の単位と呼ぶことができる。
【0032】
また、タッチパネル入力・表示処理部106aは、通常モード状態でパスワード設定キー105aがユーザの操作を受け付けると、パスワード設定モードになり、パスワード設定モードでパスワード(認証用の基準情報)が設定されると、パスワード設定モードから認証実行モードに切り替わる。
【0033】
パスワード設定モードは、パスワード(認証用の基準情報)を設定するための設定モードの一例であり、認証実行モードは、入力の判定を行うための判定モードの一例である。
【0034】
タッチパネル入力・表示処理部106aは、パスワード設定モードのときには、入力部200の移動の軌跡の分解結果(以下、単に「分解結果」と称する)をメモリ部104に格納し、認証実行モードのときには、分解結果を認証処理部106bに出力する。
【0035】
認証処理部106bは、一般的に判定手段と呼ぶことができる。
【0036】
認証処理部106bは、タッチパネル入力・表示処理部106aからの分解結果を用いて、認証用の基準情報(パスワード)と同一の情報の入力が行われたかを判定する。なお、認証用の基準情報と同一の情報の入力は、所定の入力の一例である。
【0037】
本実施形態では、認証処理部106bは、タッチパネル入力・表示処理部106aからの分解結果が、メモリ部104内の認証用の基準情報に該当する場合に、認証用の基準情報と同一の情報の入力が行われたと判定する。
【0038】
また、認証処理部106bは、認証用の基準情報(パスワード)と同一の情報の入力が行われたかの判定結果に応じて、キーロック処理部106cの動作を制御する。
【0039】
本実施形態では、認証処理部106bは、認証用の基準情報と同一の情報の入力が行われたと判定した場合、その旨の判定通知を、キーロック処理部106cに出力する。
【0040】
キーロック処理部106cは、一般的に実行手段と呼ぶことができる。
【0041】
キーロック処理部106cは、キー操作部105内のキーロック対象キー105eでのキー操作に伴うキー入力を禁止するキーロックの設定と解除を行う。なお、キーロックを解除する動作は、所定の動作の一例である。
【0042】
次に、動作を説明する。
【0043】
図2は、パスワード設定モードでの認証初期設定動作を説明するためのフローチャートである。
【0044】
パスワード設定キー105aは、ユーザの操作を受け付けると、パスワード設定指示をタッチパネル入力・表示処理部106aに出力する。タッチパネル入力・表示処理部106aは、パスワード設定指示を受け付けると、パスワード設定モードになる。タッチパネル入力・表示処理部106aは、パスワード設定モードになると、タッチパネル操作部101を、キーロック設定処理における手書き入力待機状態にし、表示部103の画面を、パスワードを受け付ける入力画面にする(ステップA1)。この際、メモリ部104に、過去に設定されたパスワード(認証用の基準情報)が格納されていると、タッチパネル入力・表示処理部106aは、メモリ部104内の過去に設定されたパスワードを削除する。
【0045】
続いて、ユーザが入力部200をタッチパネル操作部101上で移動してパスワードとなる文字等を入力すると、タッチパネル操作部101は、入力部200の移動の軌跡を表す位置情報を、タッチパネル入力プロセッサ102に出力する。タッチパネル入力プロセッサ102は、タッチパネル操作部101からの位置情報に対して不安定データの排除やチャタリング処理を行う。その後、タッチパネル入力プロセッサ102は、不安定データの排除やチャタリング処理が行われた位置情報を、タッチパネル入力・表示処理部106aに出力する。
【0046】
タッチパネル入力・表示処理部106aは、パスワード設定モード下で、位置情報を受け付けると、位置情報が表す移動の軌跡を直線単位で分割し(ステップA2)、直線ごとに、始点座標と終点座標とを取得し(ステップA3)、始点座標から終点座標に向かう直線の方向成分を算出する(ステップA4)。
【0047】
本実施形態では、タッチパネル入力・表示処理部106aは、位置情報が表す移動の軌跡を直線単位で分割し、各直線を8方向の直線方向成分のいずれかに分類する。
【0048】
図3は、8方向の直線方向成分を示した図である。
【0049】
例えば、位置情報が表す移動の軌跡が、漢数字の「十」である場合、タッチパネル入力・表示処理部106aは、「十」を2つの直線方向成分「→↓」に分解する。
【0050】
また、位置情報が表す移動の軌跡が、漢字の「田」である場合、タッチパネル入力・表示処理部106aは、「田」を6つの直線方向成分「↓→↓↓→→」に分解する。つまり、「田」は文字数としては1字であり文字の画数としては5画だが、直線方向成分に分解すると、6つの直線方向成分に分解される。この場合、図3に示す8方向の直線方向成分の6乗=262144パターンの中から漢字の「田」に対応する1つのパターン「↓→↓↓→→」が設定されたことと同義になる。
【0051】
続いて、タッチパネル入力・表示処理部106aは、直線方向成分をメモリ部104に格納する(ステップA5)。
【0052】
続いて、入力確定キー105bがユーザの操作を受け付けると(ステップA6)、入力確定キー105bは、入力確定指示をタッチパネル入力・表示処理部106aに出力する。タッチパネル入力・表示処理部106aは、入力確定指示を受け付けると、メモリ部104内の直線方向成分を読み出し、その直線方向成分を表示部103に表示する(ステップA7)。
【0053】
ステップA7に続いて、ユーザが表示部103に表示された直線方向成分を確認しOKキー105cを操作し、OKキー105cがユーザの操作を受け付けると、OKキー105cは、OK指示をタッチパネル入力・表示処理部106aに出力する。タッチパネル入力・表示処理部106aは、OK指示を受け付けると、メモリ部104内の直線方向成分を認証用の基準情報(パスワード)として設定するための確認情報を、メモリ部104内の直線方向成分に付加して、メモリ部104内の直線方向成分を認証用の基準情報(パスワード)として設定する(ステップA9)。
【0054】
続いて、タッチパネル入力・表示処理部106aは、キーロック処理部106cにキーロックの指示を出してキーロック処理部106cにキーロックを設定させ、その後、パスワード設定モードを認証実行モードに切り替える。
【0055】
なお、手書き入力待機状態でタッチパネル操作部101への入力が無いと(ステップA1)、処理はステップA6に進む。また、ステップA6で入力確定キー105bがユーザの操作を受け付けないと、処理はステップA1に戻る。また、ステップA7に続いて、ユーザがNGキー105dを操作し、NGキー105dがユーザの操作を受け付けると、NGキー105dは、NG指示をタッチパネル入力・表示処理部106aに出力する。タッチパネル入力・表示処理部106aは、NG指示を受け付けると、メモリ部104内の直線方向成分を削除する認証再設定処理を実行し(ステップA10)、処理をステップA1に戻す。
【0056】
次に、キーロックが設定されている認証実行モードでのキーロック解除時の認証動作を説明する。
【0057】
図4は、キーロック解除時の認証動作を説明するためのフローチャートである。
【0058】
キーロックが設定されている認証実行モードでは、タッチパネル入力・表示処理部106aは、タッチパネル操作部101を、手書き入力待機状態にし、表示部103の画面を、パスワードと比較される認証用情報を受け付ける入力画面にする(ステップB1)。
【0059】
続いて、ユーザが入力部200をタッチパネル操作部101上で移動して認証用情報となる文字等を入力すると、タッチパネル操作部101は、入力部200の移動の軌跡を表す位置情報を、タッチパネル入力プロセッサ102に出力する。タッチパネル入力プロセッサ102は、タッチパネル操作部101からの位置情報に対して不安定データの排除やチャタリング処理を行う。その後、タッチパネル入力プロセッサ102は、不安定データの排除やチャタリング処理が行われた位置情報を、タッチパネル入力・表示処理部106aに出力する。
【0060】
タッチパネル入力・表示処理部106aは、認証実行モード下で位置情報を受け付けると、位置情報が表す移動の軌跡を直線単位で分割し(ステップB2)、直線ごとに、始点座標と終点座標とを取得し(ステップB3)、始点座標から終点座標に向かう直線の方向成分を算出し(ステップB4)、その直線方向成分を認証用情報として認証処理部106bに出力する。
【0061】
なお、ステップB2〜B4の各処理は、ステップA2〜A4の各処理と同様である。
【0062】
認証処理部106bは、認証用情報である直線方向成分を受け付けると、その直線方向成分を自己(認証処理部106b)に格納する(ステップB5)。
【0063】
続いて、ユーザがパスワード入力を終了して入力確定キー105bを操作し、入力確定キー105bがユーザの操作を受け付けると(ステップB6)、入力確定キー105bは、入力確定指示をタッチパネル入力・表示処理部106aに出力する。タッチパネル入力・表示処理部106aは、入力確定指示を受け付けると、認証処理部106bに認証開始指示を出力する。
【0064】
認証処理部106bは、認証開始指示を受け付けると、認証処理部106b内の直線方向成分(認証用情報)を、メモリ部104内の認証用の基準情報(パスワード)と比較する認証動作を開始する(ステップB7)。
【0065】
比較結果が一致を示す場合、つまり認証確認OKの場合には(ステップB8)、認証処理部106bは、認証用の基準情報と同一の情報の入力が行われた旨の判定通知を、キーロック処理部106cおよびタッチパネル入力・表示処理部106aに出力する。キーロック処理部106cは、その判定通知を受け付けるとキーロックを解除し、タッチパネル入力・表示処理部106aは、その判定通知を受け付けると認証実行モードを終了し通常モードとなる。
【0066】
一方、比較結果が不一致を示す場合、つまり認証確認NGの場合には(ステップB8)、キーロックは解除されず、認証処理部106bは、ステップB5で記憶した直線方向成分(認証用情報)を削除する再認証処理を行い(ステップB9)、その後、処理はステップB1に戻る。
【0067】
次に、本実施形態の効果を説明する。
【0068】
本実施形態によれば、タッチパネル操作部101は、入力部200の移動の軌跡を検出する。タッチパネル入力・表示処理部106aは、タッチパネル操作部101の検出結果を所定の単位に分解する。認証処理部106bは、タッチパネル入力・表示処理部106aの分解結果を用いて、所定の入力が行われたかを判定する。
【0069】
認証処理部106bは、入力部200の移動の軌跡そのものではなく、入力部200の移動の軌跡の所定の単位での分解結果を用いて、所定の入力が行われたかを判定する。
【0070】
このため、分解結果が同一になる入力部200の異なる移動の軌跡の各々を、所定の入力として用いることが可能になる。
【0071】
よって、ユーザは、所定の入力を行う際に、分解結果が同一になる入力部200の異なる移動の軌跡を適宜選択することで、所定の入力が第三者に見られてとしても所定の入力を第三者に認識され難くすることが可能になり、所定の入力に関するセキュリティの低下を防止することが可能になる。なお、この効果は、タッチパネル操作部101とタッチパネル入力・表示処理部106aと認証処理部106bからなる判定装置でも奏する。図5は、タッチパネル操作部101とタッチパネル入力・表示処理部106aと認証処理部106bからなる判定装置を示した図である。
【0072】
また、本実施形態では、タッチパネル入力・表示処理部106aは、タッチパネル操作部101の検出結果を直線単位に分解する。この場合、直線単位で分解した結果が同一になる入力部200の異なる移動の軌跡の各々を、所定の入力として用いることが可能になる。また、所定の入力は直線で構成され、曲線が含まれる場合に比べて容易な構成となり、ユーザが覚えやすいものとなる。
【0073】
また、本実施形態では、タッチパネル入力・表示処理部106aは、タッチパネル操作部101の検出結果を、方向を有する直線単位に分解する。この場合、所定の入力は、書き順に関する成分(方向成分)を含むものとなり、所定の入力に関するセキュリティを向上させることができる。
【0074】
また、本実施形態では、タッチパネル操作部101は、所定の文字に対応する入力部200の移動を検出する。この場合、所定の入力の一例が文字となるため、所定の入力の一例をユーザが忘れ難くすることが可能になる。
【0075】
また、本実施形態では、認証処理部106bは、タッチパネル入力・表示処理部106aの分解結果が認証用の基準情報に該当する場合に、所定の入力が行われたと判定する。この場合、認証用の基準情報を用いて、所定の入力が行われたかの判定を行うことが可能になる。
【0076】
また、本実施形態では、認証処理部106bは、所定の入力が行われたかの判定結果に応じて、キーロック処理部106cのキーロック動作を制御する。この場合、セキュリティの低下を防止可能な所定の入力を用いてキーロック動作の制御を行うため、キーロック動作に関するセキュリティの低下を防止することができる。
【0077】
また、本実施形態では、検出手段としてのタッチパネル操作部101は、入力部200の接触または近接を検出することで入力部の移動の軌跡を検出する。この場合、検出手段として、タッチパネル機能を有する装置を用いることが可能になる。
【0078】
また、本実施形態では、以下の効果を奏する。
【0079】
特許文献1に記載の携帯電子機器のように、キーロック解除の際に認証時に、文字の形や筆跡など入力部200の移動の軌跡そのものを認証用情報として使用すると、ユーザ確認用に、ユーザが入力した入力部200の移動の軌跡を表示部103に表示する必要性が生まれる。例えば、「E」または「田」という文字を認証用情報として使う場合、ユーザが入力した「E」または「田」という文字を表示部103に表示する必要がある。図6は、「E」という文字の表示例である。図7は、「田」という文字の表示例である。
【0080】
一方、本実施形態では、入力部200の移動の軌跡そのものではなく、入力部200の移動の軌跡の所定の単位(例えば、方向を有する直線単位)での分解結果を認証用情報として使用するため、「E」という文字に対応する「↓→→→」という直線群または「田」という文字に対応する「↓→↓↓→→」という直線群が入力されればよい。図8は、「↓→→→」の直線群の一例を示した図である。図9は、「↓→↓↓→→」という直線群の一例を示した図である。このため、ユーザはそれぞれの直線の入力位置関係を気にする必要がなくなる。よって、表示部103に入力部200の移動の軌跡を表示する必要がなくなる。したがって、どのような認証用情報(パスワード)が入力されているかを第三者が認識することは困難となる。
【0081】
また、本実施形態によれば、ユーザが認証用情報を入力するという行為が、例えばユーザが文字を書くという簡単な行為におきかえることができる。
【0082】
また、認証用情報として文字そのものを利用せずに文字を構成する方向成分を使用することで、認証用情報の桁数の増加が可能となり、かつ、ユーザにとって文字を用いることができるので、記憶が容易となる。
【0083】
また、認証用情報として筆跡を利用しないことから、筆跡解析等の複雑な機能の実装が不要となる。
【0084】
なお、制御部106は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体から所定のプログラムを読み取り実行することで、タッチパネル入力・表示処理部106a、認証処理部106bおよびキーロック処理部106cとして機能してもよい。
【0085】
また、タッチパネル入力・表示処理部106a、認証処理部106bおよびキーロック処理部106cは、専用のハードウェアにて実現されてもよい。
【0086】
(第2実施形態)
図10は、本発明の第2実施形態の判定装置の一例である携帯電話機100Aを示したブロック図である。なお、図10において、図1に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
【0087】
第2実施形態の携帯電話機100Aでは、第1実施形態におけるタッチパネル入力・表示処理部106aの代わりに、タッチパネル入力・表示処理部106a1が用いられる。
【0088】
以下、第2実施形態の携帯電話機100Aについて、第1実施形態の携帯電話機100と異なる点を中心に説明する。
【0089】
図10において、タッチパネル入力・表示処理部106a1は、図1に示したタッチパネル入力・表示処理部106aが有する機能に加えて、パスワード設定モードでの分解結果である直線方向成分にて構成される文字または文字列を特定し、その文字または文字列を表示部103に表示する。
【0090】
例えば、ユーザが、新たにランダムなパスワードを設定するために、入力部200にてタッチパネル操作部101に任意の回数だけランダムな方向の線分を描くと、タッチパネル入力・表示処理部106a1は、入力された線分に対応する直線方向成分を順番通りに組み合わせて作成が可能な文字または文字列を特定する。
【0091】
続いて、タッチパネル入力・表示処理部106a1は、その特定された文字または文字列を表示部103に表示する。
【0092】
図11は、ユーザが無作為に入力した直線方向成分と、その直線方向成分を順番通りに組み合わせて作成が可能な文字列「XYZ」の一例を示した図である。
【0093】
本実施形態によれば、タッチパネル入力・表示処理部106a1は、パスワード設定モードと認証実行モードとを有し、パスワード設定モードにおける分解結果である直線方向成分にて構成される文字または文字列を特定し、その文字または文字列を表示部103に表示する。この場合、ユーザが入力したパスワードが、ユーザにとってわかりやすい形で表示される。よって、ユーザは、パスワードを覚えやすくなる。
【0094】
なお、タッチパネル入力・表示処理部106a1は、直線方向成分にて構成される文字列の文字数が少なくなるように文字列を特定してもよい。この場合、ユーザが覚えなければならない文字の量を少なくすることができる。
【0095】
また、タッチパネル入力・表示処理部106a1は、直線方向成分にて構成される文字の種類(例えば、アルファベット、漢字、または、カタカナ)を統一してもよい。
【0096】
例えば、タッチパネル入力・表示処理部106a1は、優先する文字の種類を指定する指定情報をキー操作部105またはタッチパネル操作部101から受け付け、その指定情報にしたがって、直線方向成分にて構成される文字の種類を決定する。一例としては、タッチパネル入力・表示処理部106a1は、英語圏ではアルファベットを優先する指定情報を受け付け、日本語圏ではカタカナまたは漢字を優先する指定情報を受け付ければ、英語圏ではアルファベットの文字または文字列を特定し、日本語圏ではカタカナまたは漢字の文字または文字列を特定する。この場合、ユーザにとって覚えやすいパスワードを生成可能となる。
【0097】
図12は、ユーザが無作為に入力した直線方向成分と、その直線方向成分を順番通りに組み合わせて漢字優先で生成されたパスワード(文字:「本」)と、その直線方向成分を順番通りに組み合わせてアルファベット優先で生成されたパスワード(文字:「TA」)と、を示した図である。
【0098】
なお、上記各実施形態では、タッチパネル入力・表示処理部106aまたは106a1は、入力部200の移動の軌跡を、図3に示す8方向の直線方向成分に分解したが、直線方向成分は8方向に限らず適宜変更可能である。例えば、タッチパネル入力・表示処理部106aまたは106a1は、入力部200の移動の軌跡を、8方向の直線方向成分よりも少ない4方向の直線方向成分に分解してもよい。また、タッチパネル入力・表示処理部106aまたは106a1は、入力部200の移動の軌跡を、8方向の直線方向成分よりも多い16方向の直線方向成分に分解してもよい。
【0099】
また、上記各実施形態では、入力部200の移動の軌跡を直線単位に分解したが、この直線は、完全な直線に限らず、多少うねりを持った直線(略直線)でもよい。
【0100】
また、上記各実施形態では、タッチパネル入力・表示処理部106aまたは106a1は、入力部200の移動の軌跡を、所定の単位として直線単位に分解したが、所定の単位は、直線単位に限らず適宜変更可能である。例えば、タッチパネル入力・表示処理部106aまたは106a1は、所定の単位として、入力中の所定の時間間隔で方向の変化を検出し、その検出結果に応じた円弧(カタカナの「ノ」または「オ」)などの曲線成分を追加してもよい。
【0101】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0102】
100、100A 携帯電話機
101 タッチパネル操作部
102 タッチパネル入力プロセッサ
103 表示部
104 メモリ部
105 キー操作部
105a パスワード設定キー
105b 入力確定キー
105c OKキー
105d NGキー
105e キーロック対象キー
106 制御部
106a、106a1 タッチパネル入力・表示処理部
106b 認証処理部
106c キーロック処理部
200 指示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段の移動の軌跡を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果を所定の単位に分解する分解手段と、
前記分解手段の分解結果を用いて、所定の入力が行われたかを判定する判定手段と、を含む判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の判定装置において、
前記分解手段は、前記検出手段の検出結果を、前記所定の単位として直線単位に分解する、判定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の判定装置において、
前記分解手段は、前記検出手段の検出結果を、方向を有する直線単位に分解する、判定装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の判定装置において、
前記検出手段は、所定の文字に対応する前記入力手段の移動を検出する、判定装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の判定装置において、
前記判定手段は、前記分解手段の分解結果が、前記所定の入力に対応する認証用の基準情報に該当する場合に、前記所定の入力が行われたと判定する、判定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の判定装置において、
表示手段をさらに含み、
前記分解手段は、前記基準情報を設定するための設定モードと、入力の判定を行うための判定モードと、を有し、前記設定モードでは、前記分解結果にて構成される文字または文字列を特定し、当該文字または文字列を前記表示手段に表示し、
前記判定手段は、前記判定モードにおける前記分解手段の分解結果が、前記基準情報となる前記設定モードにおける前記分解手段の分解結果に該当する場合に、前記所定の入力が行われたと判定する、判定装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の判定装置において、
所定の動作を実行する実行手段をさらに含み、
前記判定手段は、前記所定の入力が行われたかの判定結果に応じて、前記実行手段の前記所定の動作を制御する、判定装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の判定装置において、
前記検出手段は、前記入力手段の接触または近接を検出することで前記入力手段の移動の軌跡を検出する、判定装置。
【請求項9】
判定装置での判定方法であって、
入力手段の移動の軌跡を検出する検出ステップと、
前記検出の結果を所定の単位に分解する分解ステップと、
前記分解の結果を用いて、所定の入力が行われたかを判定する判定ステップと、を含む判定方法。
【請求項10】
入力手段の移動の軌跡を検出する検出手段と接続されたコンピュータに、
前記検出手段の検出結果を所定の単位に分解する分解手順と、
前記分解の結果を用いて、所定の入力が行われたかを判定する判定手順と、を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−16066(P2013−16066A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149180(P2011−149180)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】