説明

制御放出組成物

複数の微粒子とマトリックスとを含む制御放出組成物、およびその調製法が開示される。該複数の微粒子は第1の材料を含み、該マトリックスは第2の材料を含む。第1の材料の溶融温度は、第2の材料の溶融温度よりも高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、マトリックスと該マトリックスに動作可能に結合されている複数の微粒子とを含む新規制御放出組成物、ならびにその作製および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの疾患または状態は、最適な予防または治療効果を提供するために、一定または持続レベルの薬剤または生物学的活性剤の投与を必要とする。これは、複数回投薬計画を介して、または薬剤もしくは生物学的活性剤を持続もしくは制御方式で放出するシステムを用いることによって遂行され得る。制御放出医薬組成物を使用することの2つの主な利点は、上昇した治療レベルを長期間にわたって維持する能力、および即効性製剤と同じ効果を達成するために必要な投薬回数を低減させることによって得られる患者コンプライアンスの向上である。
【0003】
医薬品レベルを持続させるための試みは、例えば、薬剤を含有するポリマー組成物等、生分解性材料を含む制御放出組成物の使用を含む。ポリマーの制御送達は、多くの薬物療法の成功を大幅に改善させてきた。そのような送達システムにおいて、活性剤の薬物動態および生体内分布は、ポリマー担体の生理化学的特性および/または分解特性によって決まる。これらのポリマー組成物の、例えば微粒子またはマイクロスフィアの形態での使用は、薬剤の持続放出を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それにもかかわらず、いくつかの問題が微粒子ベースの制御放出組成物の適用の妨げとなっている。例えば、微粒子は、制御放出組成物の特性に大幅に影響を及ぼし得る凝集体を形成する傾向を有する。加えて、微粒子ベースの制御放出組成物には、その適用前に大量の溶媒を概してそれぞれ80〜90%:10〜20%の比率で添加する必要があり、微粒子ベースの制御放出組成物を固形腫瘍に注射する場合等の状況において非常に問題となり得る。さらに、微粒子は、その移植後に組織内で比較的容易に移動し得る。このことが、移植部位付近の組織中における薬物放出速度の測定を、不可能とは言えないまでも非実用的なものにしている。したがって、改良された微粒子ベースの制御放出組成物が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において、制御放出組成物およびそれを調製する方法が提供される。ヒトまたは動物における状態を治療/予防/診断するための、該制御放出組成物の使用方法も提供される。
【0006】
一態様において、本開示は、マトリックスに動作可能に結合されている複数の微粒子を含む制御放出組成物であって、
該複数の微粒子は第1の材料および第1の活性剤を含み、
該マトリックスは第2の材料を含み、
第1の材料は初期溶融温度THを有し、
第2の材料は完全溶融温度TLを有し、
ΔT=TH−TLであり、かつ
ΔT>0である、
制御放出組成物を提供する。
【0007】
ある特定の実施形態において、第1の材料または第2の材料は、ポリマーまたは非ポリマー有機化合物である。ある特定の実施形態において、第1の材料および第2の材料は、ポリマーまたは非ポリマー有機化合物のいずれかである。ある特定の実施形態において、第1の材料はポリマーであり、第2の材料は非ポリマー有機化合物である。ある特定の実施形態において、第1の材料は非ポリマー有機化合物であり、第2の材料はポリマーである。ある特定の実施形態において、第1の材料は、ポリマーと非ポリマー有機化合物との組合せを含む。ある特定の実施形態において、第2の材料は、ポリマーと非ポリマー有機化合物との組合せを含む。
【0008】
ある特定の実施形態において、第1の材料および/または第2の材料は、L−乳酸、サッカリド、シュウ酸エチレングリコール、p−ジオキサノン、ε−カプロラクトン、エチルシアノアクリレート、ブチルシアノアクリレート、β−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシブチレート、4−ヒドロキシバレレート、1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン、セバシン酸、D−グルコース、グルコースの酢酸エステル、ヒドロキシル基で置換されているグルコース、グリコール酸、ε−カプロラクトン(caprolacton)、1,4−ジオキサン−2−オン、セバシン酸無水物、ドデカン酸無水物、エチレングリコール、オキシエチレン、1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン、3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシバレレート、カプロラクトン、メタクリル酸メチル、ゼラチン、イソロイシン、ロイシン、アラニン、アスパラギン、リシン、メチオニン、アスパラギン酸、システイン、トリプトファン、バリン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、アデニン、グアニン、チミン、シトシンおよびジメチルシロキサンからなる群から独立に選択される少なくとも1つのモノマーによって形成されたポリマーを含む。
【0009】
ある特定の実施形態において、第1の材料および/または第2の材料は、ポリ(L−乳酸)、デキストラン、ポリ(シュウ酸エチレングリコール)、ポリ(p−ジオキサノン−co−ε−カプロラクトン)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)、コレステロール、酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼイン、ポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(1,4−ジオキサン−2−オン)、ポリ(セバシン酸無水物)、ポリ(ドデカン酸無水物)、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレン、ステアリン酸、ステアリルアルコール、エチレングリコールパルミトステアレート、セチルエステルロウ、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)、カルナウバロウ、エチルセルロース、オクタデカノール、ポリカプロラクトン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(ゼラチン)およびシリコーンゴムからなる群から独立に選択され得る。
【0010】
ある特定の実施形態において、ΔTは≧2℃であってよい。これらの実施形態のある特定のものにおいて、ΔTは≧5℃であってよく、他の実施形態において、≧10℃、≧20℃、≧30℃、≧40℃または≧50℃であってよい。
【0011】
ある特定の実施形態において、第1の材料および第2の材料の少なくとも一方は生分解性である。ある特定の実施形態において、第1の材料は生分解性である。ある特定の実施形態において、第2の材料は生分解性である。ある特定の実施形態において、第2の材料は第1の材料よりも速く分解する。
【0012】
ある特定の実施形態において、複数の微粒子の少なくとも1つは第1の添加物をさらに含む。ある特定の実施形態において、複数の微粒子の少なくとも1つはコーティングをさらに含む。
【0013】
ある特定の実施形態において、複数の微粒子の少なくとも1つは、重量で約2%から約98%の第1の材料、約2%から約98%の第1の活性剤、約0%から約30%の第1の添加物を含む。
【0014】
ある特定の実施形態において、マトリックスは第2の活性剤をさらに含む。ある特定の実施形態において、マトリックスは第2の添加物をさらに含む。
【0015】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、重量で約1%から約95%の微粒子、約2%から約98%の第2の材料、約0%から約70%の第2の活性剤、および約0%から約30%の第2の添加物を含む。
【0016】
ある特定の実施形態において、複数の微粒子は、マトリックス中に均一に分布していてよく、または埋め込まれていてよい。ある特定の実施形態において、複数の微粒子は、所定のパターンに従って、マトリックス中に分布していてよく、または埋め込まれていてよい。ある特定の実施形態において、複数の微粒子は、マトリックス中に無作為に分布していてよく、または埋め込まれていてよい。ある特定の実施形態において、複数の微粒子は、マトリックスの表面上にコーティングされていてよい。ある特定の実施形態において、複数の微粒子の一部は、マトリックス内に埋め込まれていてよく、複数の微粒子の残りは、マトリックスの表面上にコーティングされていてよい。
【0017】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物はコーティングをさらに含む。
【0018】
ある特定の実施形態において、複数の微粒子の少なくとも1つは、直径約1μmから約5000μmのサイズのものであってよい。これらの実施形態のある特定のものにおいて、複数の微粒子の少なくとも1つは、約20μmから約1000μm、他の実施形態において、約50μmから約100μm、または約120μmから約1000μmのサイズのものであってよい。
【0019】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、約0.2mmから約200mmのサイズのものであってよい。
【0020】
別の態様において、本開示は、マトリックスに動作可能に結合されている複数の微粒子を含む制御放出組成物を作製するための方法であって、
第1の材料および第1の活性剤を含む複数の微粒子を調製するステップと、
該複数の微粒子を、第2の材料を含むマトリックス形成組成物に塗布し、それによって制御放出組成物を形成するステップとを含み、ここで、
第1の材料は初期溶融温度THを有し、
第2の材料は完全溶融温度TLを有し、
ΔT=TH−TLであり、かつ
ΔT>0である、
方法を提供する。
【0021】
ある特定の実施形態において、該方法は、マトリックス形成組成物を温度Tmに加熱するステップをさらに含み、ここでTH>Tm>TLである。ある特定の実施形態において、TH−Tmおよび/またはTm−TLは、≧約5℃、≧約10℃または≧約20℃であってよい。ある特定の実施形態において、該方法は、複数の微粒子および/または制御放出組成物にコーティングを施すステップをさらに含む。
【0022】
ある特定の実施形態において、該方法は、マトリックス形成組成物を溶媒に溶解するステップをさらに含み、ここで、第2の材料は溶媒に可溶であるのに対し、第1の材料または第1の材料を含む微粒子は溶媒に実質的に不溶である。
【0023】
別の態様において、本開示は、対象における状態を治療する方法であって、該対象に本明細書において提供される制御放出組成物を投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態において、該状態は、病的状態、生理学的状態または美容状態であってよい。
【0024】
本開示の他の特色および利点は、下記の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および具体例は、本開示の好ましい実施形態を表しているが、本開示の趣旨および範囲内である種々の変更および修正がこの詳細な説明から当業者に明らかになるため、例証として与えられているだけであることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本開示の一実施形態に従う制御放出組成物を作製する際に使用するのに適した天然および半合成生分解性材料の代表的一覧を示す図である。
【図2】本開示の一実施形態に従う制御放出組成物を作製する際に使用するのに適した合成生分解性材料の代表的一覧を示す図である。
【図3】本開示の一実施形態に従う制御放出組成物を作製する際に使用するのに適した合成生分解性材料の代表的一覧を示す図である。
【図4】本開示の一実施形態に従う制御放出組成物を作製する際に使用するのに適した合成生分解性材料の代表的一覧を示す図である。
【図5】本開示の一実施形態に従う制御放出組成物を作製する際に使用するのに適した生分解性材料の代表的一覧を示す図である。
【図6】本開示の一実施形態に従う制御放出組成物を作製する際に使用するのに適した有機化合物の代表的一覧を示す図である。
【図7】本開示の一実施形態に従う制御放出組成物を作製する際に使用するのに適した非生分解性材料の代表的一覧を示す図である。
【図8】本開示の一実施形態に従う制御放出組成物を作製する際に使用するのに適したシクロデキストリン材料の代表的一覧を示す図である。
【図9】本開示の一実施形態に従う制御放出組成物を作製する際に使用するのに適した材料の代表的一覧を示す図である。
【図10】本開示の一実施形態に従う制御放出組成物を作製する際に使用するのに適したポリ(p−ジオキサノン−co−グリコリド)ポリマーの代表的一覧を示す図である。
【図11】本開示の一実施形態に従う制御放出組成物を作製する際に使用するのに適したポリ−(CPP−SA)ポリマーの代表的一覧を示す図である。
【図12】本開示の一実施形態に従う制御放出組成物を作製する際に使用するのに適したポリエチレングリコールポリマーの代表的一覧を示す図である。
【図13】本開示の一実施形態に従う制御放出組成物を作製する際に使用するのに適したポロキサマーポリマーの代表的一覧を示す図である。
【図14】制御放出組成物の構成を例証する2つの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
I.制御放出組成物
本明細書において提供される制御放出組成物は、マトリックスに動作可能に結合されている複数の微粒子を含み、ここで、該複数の微粒子は第1の材料を含み、該マトリックスは第2の材料を含み、第1の材料の溶融温度は第2の材料の溶融温度よりも高い。
【0027】
一態様において、本開示は、マトリックスに動作可能に結合されている複数の微粒子を含む制御放出組成物であって、該複数の微粒子は第1の材料および第1の活性剤を含み、該マトリックスは第2の材料を含み、第1の材料は初期溶融温度THを有し、第2の材料は完全溶融温度TLを有し、ΔT=TH−TLであり、かつΔT>0である、制御放出組成物を提供する。
【0028】
A.材料
制御放出組成物は、第1の材料、第2の材料および第1の活性剤を含む。第1の材料および/または第2の材料は、当技術分野において既知である任意の適切な材料であってよい。用語「材料」は、本明細書において使用される場合、ポリマー、非ポリマー有機化合物およびそれらの組合せを含む。ある特定の実施形態において、第1の材料または第2の材料は、ポリマーまたは非ポリマー有機化合物である。
【0029】
ある特定の実施形態において、第1の材料はポリマーを含む。ある特定の実施形態において、第2の材料はポリマーを含む。ポリマーは、1)共有結合によって結合された2つ以上の繰り返し単位を含むポリマー分子、および2)低分子から重合反応によって形成されるポリマー分子を含む。ポリマーの繰り返し単位は、化学結合を形成するのに適した任意の化学化合物であってよい。繰り返し単位はモノマーとも呼ばれる。モノマーの例証的な例は、アルカン、アルケン、アルキン、酸、アルコール、エステル、アミン、アミド、ケトン、エーテル、無水物、窒化物、ヌクレオチド、核酸、アミノ酸およびサッカリドを含む。ある特定の実施形態において、モノマー自体がポリマーであってよい。例えば、アミノ酸の繰り返し単位を含むゼラチンは、それ自体がポリマー(タンパク質)であるが、ゼラチンをさらに架橋させて、ゼラチンの共有結合凝集を含むポリ(ゼラチン)を形成することができる。
【0030】
本開示における第1の材料および/または第2の材料は、当技術分野において既知である適切なモノマーによって形成されたポリマーを含み得る。ある特定の実施形態において、モノマーは、L−乳酸、サッカリド、シュウ酸エチレングリコール、p−ジオキサノン、ε−カプロラクトン、エチルシアノアクリレート、ブチルシアノアクリレート、β−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシブチレート、4−ヒドロキシバレレート、1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン、セバシン酸、D−グルコース、グルコースの酢酸エステル、ヒドロキシル基で置換されているグルコース、グリコール酸、ε−カプロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、セバシン酸無水物、ドデカン酸無水物、エチレングリコール、オキシエチレン、1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン、3−ヒドロキシバレレート、カプロラクトン、メタクリル酸メチル、ゼラチン;イソロイシン、ロイシン、アラニン、アスパラギン、リシン、メチオニン、アスパラギン酸、システイン、トリプトファン、バリン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニンおよびグルタミン等のアミノ酸;アデニン、グアニン、チミン、シトシン等のヌクレオチド;ならびにジメチルシロキサンからなる群から独立に選択される。
【0031】
本開示における第1の材料および/または第2の材料は、当技術分野において既知である任意の適切なポリマーを含み得る。ある特定の実施形態において、第1の材料および/または第2の材料は、天然ポリマー、半合成ポリマー、合成ポリマーまたはそれらの組合せであってよい。天然ポリマーは、多糖類(デンプン、セルロースおよびガム等)、ポリペプチド、タンパク質およびポリヌクレオチドを含む。天然ポリマーの例証的な例は、デンプン、デキストリン、微結晶性セルロース、アカシア、キトサン、ヒアルロン酸、アルギネート、デキストラン、トラガカントガム、キサンタンガム、ゼイン、コラーゲン、ゼラチンおよびセラックである。天然ポリマーのさらなる例を図1において提供する。半合成ポリマーは、化学修飾された自然発生ポリマーを含む。半合成ポリマーの例証的な例は、架橋デンプン、カルボキシメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび脱アセチル化キトサンである。半合成ポリマーのさらなる例を図1において提供する。合成ポリマーは、モノマーの人工重合によって形成される任意のポリマーであってよい。合成ポリマーの例は、ポリオキシエチレン、ポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)、ポリ(乳酸)およびポリ(p−ジオキサノン−co−グリコリド)である。半合成ポリマーのさらなる例を図2〜5において提供する。
【0032】
ある特定の実施形態において、第1の材料および/または第2の材料は、同じ繰り返し単位またはモノマーによって形成されたポリマー(ホモポリマー)を含む。例えば、ポリ(エチレングリコール)は、エチレングリコールの繰り返し単位を含む。同じモノマーを含むホモポリマーは、それらの異なる重合度により種々の重量平均分子量を有し得、結果的に種々の溶融温度を有し得る。例えば、PEG1000、PEG1500、PEG2000、PEG6000およびPEG20000等のポリ(エチレングリコール)(PEG)は、広範囲で変動する重量平均分子量を有する。
【0033】
ある特定の実施形態において、第1の材料および/または第2の材料は、少なくとも2つの異なる繰り返し単位またはモノマーによって形成されたポリマー(ヘテロポリマー)を含む。例えば、ポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)は、L−乳酸およびグリコール酸両方の繰り返し単位を含む。同じモノマーを含むヘテロポリマーは、モノマーの種々のモル分率比を有し得、結果的に種々の溶融温度を有し得る。例えば、ポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)は、90:10、80:20、75:25、60:40または50:50というL−乳酸対グリコール酸の種々のモル分率比を有し得る。
【0034】
ある特定の実施形態において、第1の材料および/または第2の材料は、図1〜5および図7〜13に収載されている任意のポリマーから選択され得る。
【0035】
ある特定の実施形態において、第1の材料は非ポリマー有機化合物を含む。ある特定の実施形態において、第2の材料は非ポリマー有機化合物を含む。非ポリマー有機化合物は、繰り返し単位を含まない任意の有機化合物を含む。非ポリマー有機化合物の例証的な例は、脂肪酸(ステアリン酸、クエン酸等)、脂肪アルコール(コレステロール、ステアリルアルコール等)、脂肪エステル(エチレングリコールパルミトステレート(ethylene glycol palmitosterate)、ジエチレングリコールパルミトステレート(diethylene glycol palmitosterate)およびベヘン酸グリセリル等)、ロウ(カルナウバロウ、微結晶性ロウおよび白ロウ等)、および任意の適切な組合せを含む。ある特定の実施形態において、非ポリマー化合物は、2種以上の有機化合物を含む混合物であってよい。例えば、カルナウバロウは、約80〜85%の脂肪酸のエステル、10〜16%の脂肪アルコール、3〜6%の酸および1〜3%の炭化水素の組合せを含む。
【0036】
ある特定の実施形態において、第1の材料および/または第2の材料は、図6に収載されている任意の非ポリマー有機化合物から選択され得る。
【0037】
ある特定の実施形態において、第1の材料はポリマーを含み、第2の材料は非ポリマー有機化合物を含む、またはその逆である。
【0038】
ある特定の実施形態において、第1の材料は、ポリマーと非ポリマー有機化合物との組合せを含む。ある特定の実施形態において、第2の材料は、ポリマーと非ポリマー有機化合物との組合せを含む。
【0039】
第1の材料および/または第2の材料は、生分解性材料、非生分解性材料、またはそれらの組合せであってよい。用語「生分解性材料」は、インビボ環境、または生体内のインビボ環境のものと実質的に同様の物理的、化学的もしくは生物学的特徴を有するインビトロ環境のいずれかにさらされた際に、完全にまたは実質的に分解され、腐食し、または吸収されることができる材料を指す。材料は、例えば、生体内における加水分解、酵素分解、酸化、代謝過程、バルクまたは表面腐食等によって、次第に崩壊し、再吸収され、吸収され、かつ/または排出され得る場合、分解されるまたは腐食することができる。用語「生体」は、本明細書において使用される場合、ヒトおよび動物を指す。生分解性材料は、生体内で非毒性成分に分解し、その分解は、標的組織部位において実質的な組織刺激も壊死も引き起こし得ない。生分解性材料の例証的な例は、デンプン、ゼイン、ポリ(乳酸)、ポリ(1,3−ジオキサン−2−オン)、ポリ(セバシン酸無水物)、アルコキシ−ポリホスファゼン、ポリ(エーテルエステル)、ポリ(グルタミン酸)、ポロキサマー、コレステロール、ステアリン酸およびステアリン酸アルコールを含む。生分解性材料のさらなる例を図1〜5において提供する。非生分解性材料は、生体内で分解されることができない材料である。非生分解性材料の例証的な例は、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリウレタンおよびカルボマーを含む。非生分解性材料のさらなる例を図7において提供する。
【0040】
ある特定の実施形態において、第1の材料および/または第2の材料は、ポリ(L−乳酸)、デキストラン、ポリ(シュウ酸エチレングリコール)、ポリ(p−ジオキサノン−co−ε−カプロラクトン)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)、コレステロール、酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼイン、ポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(1,4−ジオキサン−2−オン)、ポリ(セバシン酸無水物)、ポリ(ドデカン酸無水物)、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレン、ステアリン酸、ステアリルアルコール、エチレングリコールパルミトステアレート、セチルエステルロウ、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)、およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシバレレート)、カルナウバロウ、エチルセルロース、オクタデカノール、ポリカプロラクトン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(ゼラチン)、およびシリコーンゴムからなる群から独立に選択され得る。
【0041】
ある特定の実施形態において、第1の材料は、2種以上の材料の組合せを含む。ある特定の実施形態において、第1の材料は、(i)ポリ(L−乳酸)と、デキストラン、ポリ(シュウ酸エチレングリコール)、ポリ(p−ジオキサノン−co−ε−カプロラクトン)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)、コレステロール、酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびゼインからなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ;(ii)ポリ(シュウ酸エチレングリコール)と、デキストラン、ポリ(p−ジオキサノン−co−ε−カプロラクトン)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)、コレステロール、酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびゼインからなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ;(iii)ポリ(β−ヒドロキシブチレート)と、デキストラン、ポリ(p−ジオキサノン−co−ε−カプロラクトン)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)、コレステロール、酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびゼインからなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ;(iv)ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)と、デキストラン、ポリ(p−ジオキサノン−co−ε−カプロラクトン)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシバレレート)、コレステロール、酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびゼインからなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ;ならびに(v)ポリ(ブチルシアノアクリレート)と、デキストラン、ポリ(p−ジオキサノン−co−ε−カプロラクトン)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)、コレステロール、酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびゼインからなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せの少なくとも1つを含む。
【0042】
ある特定の実施形態において、第2の材料は、2種以上の材料の組合せを含む。ある特定の実施形態において、第2の材料は、(i)ポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)と、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(1,4−ジオキサン−2−オン)、ポリ(セバシン酸無水物)、ポリ(ドデカン酸無水物)、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレン、ステアリン酸、ステアリルアルコール、エチレングリコールパルミトステアレート、セチルエステルロウ、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ;(ii)ポリ(ε−カプロラクトン)と、ポリ(1,4−ジオキサン−2−オン)、ポリ(セバシン酸無水物)、ポリ(ドデカン酸無水物)、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレン、ステアリン酸、ステアリルアルコール、エチレングリコールパルミトステアレート、セチルエステルロウ、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ;(iii)ポリ(1,4−ジオキサン−2−オン)と、ポリ(セバシン酸無水物)、ポリ(ドデカン酸無水物)、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレン、ステアリン酸、ステアリルアルコール、エチレングリコールパルミトステアレート、セチルエステルロウ、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ;ならびに(iv)ポリ(セバシン酸無水物)と、ポリ(ドデカン酸無水物)、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレン、ステアリン酸、ステアリルアルコール、エチレングリコールパルミトステアレート、セチルエステルロウ、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せの少なくとも1つを含む。
【0043】
ある特定の実施形態において、微粒子またはマトリックスは、同種材料または異種材料を含む。同種材料は、同じポリマー、同じ繰り返し単位または同じ非ポリマー有機化合物を含む材料である。異種材料は、異なるポリマー、異なるモノマー、異なる非ポリマー有機化合物またはそれらの組合せを含む材料である。
【0044】
B.溶融温度
第1の材料および第2の材料は、それらの溶融温度によって選択され得る。用語「溶融温度」は、本開示において、下記の温度:1)材料の固体形態が材料の液体形態と平衡にある溶融温度、2)固体材料が軟化する軟化温度、および3)材料の化学構造が変化する分解温度を含むものとして広く解釈され得る。当技術分野においては、熱暴露下にある場合、固体材料は、溶融してその液体形態に変換するか、または材料のいかなる液体形態も生成することなく軟化し分解するか、または軟化も溶融もすることなく分解することが周知である。溶融は、概して、固体がその液体と平衡にある温度範囲にわたって起こり、温度が高くなるにつれて、固体は最終的にその液体に変化する。いくつかの材料は溶融しないが、ある温度範囲にわたって軟化する。軟化温度は、概して、試験材料をある特定の変形を経るまで定荷重下でゆっくり加熱することによって決定される。分解は、材料の化学構造が変化する(例えば、崩壊するまたは酸化する)ある特定の温度よりも上で起こる。
【0045】
ポリマーの溶融温度は、その分子量およびそのモノマー組成に関係し得る。ある特定の実施形態において、異なる分子量を有するホモポリマーは異なる溶融温度を有する。例えば、103、1.5×103、2×103および3×103の分子量を有するポリ(エチレングリコール)は、それぞれ37〜40℃、44〜48℃、45〜50℃および48〜54℃の溶融温度を有する。さらなる例を図8、9、12および13において提供する。ある特定の実施形態において、モノマーの異なるモル分率比を有するヘテロポリマーは異なる溶融温度を有する。例えば、4:96、22:78、41:59および60:40という1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン対セバシン酸のモル分率比を有するポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)は、それぞれ76℃、66℃、178℃および200℃の溶融温度を有する。さらなる例を図9〜11において提供する。
【0046】
第1の材料および第2の材料は、それらの初期溶融温度(Ti)およびそれらの完全溶融温度(Tc)によって選択され得る。用語「初期溶融温度(Ti)」は、1)材料が溶融するものであれば、材料試料が最初に液化し始める温度、または2)材料が軟化するが溶融しないものであれば、材料試料が最初に軟化し始める温度、または3)材料が軟化も溶融もしないものであれば、材料試料が最初に分解し始める温度を指す。用語「完全溶融温度(Tc)」は、1)材料が溶融するものであれば、材料試料全体が液体になる温度、または2)材料が溶融しないものであれば、材料試料が最初に分解し始める温度を指す。
【0047】
ある特定の実施形態において、材料は同種であり、このとき、材料のTiおよびTcは、同種材料のTiおよびTcである。ある特定の実施形態において、材料は異種であり、材料のTiは最低Tiを有する材料成分のTiであり、かつ材料のTcは最高Tcを有する材料成分のTcである。ある特定の実施形態において、材料は異種であり、材料は共晶混合物であり、材料のTiは共晶溶融温度のTiであり、かつ材料のTcは共晶溶融温度のTcである。「共晶混合物」は、2種以上の材料成分を、任意の個々の成分の溶融温度よりも低い温度ですべての材料成分が同時に液化するような割合で含む異種材料を指す。
【0048】
TiおよびTcは、当技術分野において既知の方法、例えば、限定されるものではないが、示差走査熱量測定(総説については、D.Braunら、Polymer synthesis:theory and practice:fundamentals,methods,experiments、Springer発行、2005、第4版、124〜126頁;R.Koningsveldら、Polymer phase diagrams:a textbook、Oxford University Press発行、2001、24頁を参照されたい)、毛細管ベースの方法(例えば、R.P.Brownら、Handbook of polymer testing:physical methods、CRC Press発行、1999、348〜349頁を参照)または顕微鏡ベースの方法(例えば、A.K.Kolbら、Automatic microscopic method for determination of melting point、Anal.Chem.、1967、39(10):1206〜1208を参照)、コフラーのホットブロックベースの方法、ビカット試験、マルテンスの方法、および熱変形温度測定法(例えば、D.Braunら、Polymer synthesis:theory and practice:fundamentals,methods,experiments、Springer発行、2001、第3版、86〜88頁を参照)、分解管ベースの方法、ガスクロマトグラフィー、熱重量分析(TGA)、または質量分析と組み合わせたTGAもしくはFTIR分光法と組み合わせたTGA(例えば、D.Braunら、Polymer synthesis:theory and practice:fundamentals,methods,experiments、Springer発行、2001、第3版、93〜94頁;D.Braunら、Polymer synthesis:theory and practice:fundamentals,methods,experiments、Springer発行、2005、第4版、123〜124頁を参照)を使用して決定され得る。
【0049】
第1の材料および第2の材料は、溶融温度の差異によって選択され得る。ある特定の実施形態において、ΔTは、下記の方程式によって算出される:
ΔT=TH−TL
[式中、THは第1の材料のTiであり、TLは第2の材料のTcである]。
【0050】
ある特定の実施形態において、第1の材料および第2の材料は、それらのΔTが>0℃となるように選択され得る。ある特定の実施形態において、第1の材料および第2の材料のΔTは、≧2℃である。ある特定の実施形態において、第1の材料および第2の材料のΔTは、≧5℃である。ある特定の実施形態において、第1の材料および第2の材料のΔTは、≧10℃である。ある特定の実施形態において、第1の材料および第2の材料のΔTは、≧20℃である。ある特定の実施形態において、第1の材料および第2の材料のΔTは、≧30℃である。ある特定の実施形態において、第1の材料および第2の材料のΔTは、≧40℃である。ある特定の実施形態において、第1の材料および第2の材料のΔTは、≧50℃である。第1の材料および第2の材料の対の例証的な例ならびにそれらの各ΔTを、表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
ある特定の実施形態において、第1の材料および第2の材料は、ポリ(L−乳酸)およびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸);ポリ(L−乳酸)およびポリ(ε−カプロラクトン);ポリ(L−乳酸)およびポリ(1,4−ジオキサン−2−オン);ポリ(L−乳酸)およびポリ(セバシン酸無水物);ポリ(L−乳酸)およびポリ(ドデカン酸無水物);ポリ(L−乳酸)およびポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸);ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)およびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸);ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)およびポリ(ε−カプロラクトン);ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)およびポリ(1,4−ジオキサン−2−オン);ポリ(ブチルシアノアクリレート)およびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸);ポリ(ブチルシアノアクリレート)およびポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸);ポリ(エチルシアノアクリレート)およびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸);ポリ(エチルシアノアクリレート)およびポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸);ポリ(シュウ酸エチレングリコール)およびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸);ポリ(シュウ酸エチレングリコール)およびポリ(ε−カプロラクトン);ポリ(シュウ酸エチレングリコール)およびポリ(1,4−ジオキサン−2−オン);ポリ(シュウ酸エチレングリコール)およびポリ(セバシン酸無水物);ポリ(シュウ酸エチレングリコール)およびポリ(ドデカン酸無水物);ポリ(シュウ酸エチレングリコール)およびポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸);デキストランおよびポリ(ブチルシアノアクリレート);デキストランおよびポリ(エチルシアノアクリレート);デキストランおよびポリ(L−乳酸);デキストランおよびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸);デキストランおよびポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸);デキストランおよびポリ(セバシン酸無水物);酢酸セルロースおよびポリ(L−乳酸);酢酸セルロースおよびポリ(ブチルシアノアクリレート);酢酸セルロースおよびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸);酢酸セルロースおよびポリ(セバシン酸無水物);酢酸セルロースおよびポリ(ドデカン酸無水物);カルナウバロウおよびポリ(ラクチド−co−グリコリド);エチルセルロースおよびオクタデカノール;カルナウバロウおよびポリカプロラクトン;ポリ(メタクリル酸メチル)およびポリ(L−ラクチド);ポリ(ラクチド−co−グリコリド)およびポリ(ゼラチン);シリコーンゴムおよびポリ(L−ラクチド);エチルセルロースおよびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)とポリ(エチレングリコール)との組合せ;ポリ(L−乳酸)とデキストランとの組合せおよびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)とポリ(エチレングリコール)との組合せ;ならびに、デキストランおよびポリ(L−ラクチド)とポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)との組合せからなる群から選択される材料の対であってよい。
【0053】
ある特定の実施形態において、第1の材料および/または第2の材料は、それらの生分解速度によってさらに選択され得る。ある特定の実施形態において、第1の材料および/または第2の材料は、第2の材料が第1の材料よりも速く分解するようにさらに選択され得る。
【0054】
ある特定の実施形態において、第1の材料および/または第2の材料の生分解速度は、生体内における材料の重量損失率を測定することによって決定できる。例えば、重量損失率は、試験材料でインプラントを調製するステップと、ある特定の量のそのような材料のインプラントを生体内に移植するステップと、移植された材料の重量を規定の期間後に測定するステップとを含む方法によって測定できる。
【0055】
ある特定の実施形態において、第1の材料および/または第2の材料の生分解速度は、生体内における材料の固有粘度損失率を測定することによって決定できる。理論に束縛されることなく、固有粘度は、材料、特にポリマーの分子量に直接関係していると考えられる。材料の固有粘度損失率は、試験材料でインプラントを調製するステップと、ある特定の量のそのような材料のインプラントを生体内に移植するステップと、ある特定の量のインプラントを規定の期間後に採取するステップと、移植された試料および移植前の試料の両方の粘度を測定するステップとを含む方法によって測定できる。試料の粘度は、当技術分野において既知である任意の適切な方法を使用して、例えば、オストワルド型粘度計およびウベローデ型粘度計等のガラス粘度計を使用して測定できる(総説については、M.Chanda、Introduction to polymer science and chemistry:a problem solving approach、CRC Press発行、2006、218〜221頁を参照されたい)。
【0056】
ある特定の実施形態において、第1の材料および第2の材料は、第2の材料が第1の材料よりも速く分解するようにさらに選択され得、ここで、第1の材料はポリ(L−ラクチド酸)であり、第2の材料はポリ(ラクチド−co−グリコリド酸)であってよい。
【0057】
C.活性剤
本開示の制御放出組成物は、医薬組成物または化粧品組成物であってよい。ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、がんを治療するための医療用インプラント等であるがこれに限定されない移植可能な医薬組成物であってよい。
【0058】
本開示の制御放出組成物は、少なくとも1種の活性剤を含む。ある特定の実施形態において、制御放出組成物の微粒子は第1の活性剤を含む。ある特定の実施形態において、制御放出組成物のマトリックスは第2の活性剤をさらに含む。ある特定の実施形態において、第1の活性剤および/または第2の活性剤は、1種の活性剤を含む。ある特定の実施形態において、第1の活性剤および/または第2の活性剤は、少なくとも2種の活性剤の組合せを含む。ある特定の実施形態において、第1の活性剤および第2の活性剤は、同じであるかまたは異なっている。用語「活性剤」は、本明細書において使用される場合、医薬活性剤、化粧品活性剤、生理活性剤、またはそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。例示的な活性剤は、薬物、医療品、薬剤、医薬品、治療薬、生物学的製剤、化学物質、新たな化学物質、ワクチン、ハーブ抽出物、低分子化合物、核酸、ポリペプチド、抗体またはその機能性断片、多糖類、脂質、およびそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。当技術分野において既知である本開示の目的に適した任意の活性剤を、第1の活性剤および/または第2の活性剤として使用してよい。
【0059】
医薬活性剤の例証的な例は、局所麻酔薬、抗てんかん薬および抗けいれん薬、抗アルツハイマー病薬、鎮痛薬、抗痛風薬、抗高血圧薬、抗不整脈薬、利尿薬、肝臓疾患を治療するための薬物、膵疾患を治療するための薬物、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、グルココルチコイド薬、性ホルモン薬および避妊薬、血糖降下薬、抗骨粗しょう症薬、抗生物質、スルホンアミド、キノロンおよび他の合成抗菌薬、抗結核薬、抗ウイルス薬、抗新生物薬、ならびに免疫調節薬を含むがこれらに限定されない。例示的な活性剤を表2に詳細に収載する。化粧品活性剤の例証的な例も表2に収載する。
【0060】
【表2−1】

【0061】
【表2−2】

【0062】
【表2−3】

【0063】
【表2−4】

【0064】
【表2−5】

【0065】
【表2−6】

【0066】
C.微粒子およびマトリックス
制御放出組成物は、マトリックスに動作可能に結合されている複数の微粒子を含む。
【0067】
複数の微粒子は、第1の材料および第1の活性剤を含む。ある特定の実施形態において、該複数の微粒子の少なくとも1つは、第1の材料および第1の活性剤を含む。該微粒子中の第1の材料および第1の活性剤の重量パーセントは、任意の適切な範囲で変動し得、当業者によって適宜選択されることになる。ある特定の実施形態において、該複数の微粒子の少なくとも1つは、重量パーセント約2%から約98%の第1の材料と、約2%から約98%の第1の活性剤とを含む。ある特定の実施形態において、該複数の微粒子の少なくとも1つは、重量パーセント20%から約70%の第1の材料と、約30%から約80%の第1の活性剤とを含む。
【0068】
ある特定の実施形態において、複数の微粒子は第1の添加物をさらに含む。当技術分野において既知である本開示の目的に適した任意の添加物を使用してよい。ある特定の実施形態において、添加物は、薬学的に許容される物質、組成物またはビヒクルであってよい。添加物は、制御放出組成物の物理的および/または化学的特性を修正することに関与して、活性剤の放出速度を調節し、かつ/または身体の生理学的状態に近似している。
【0069】
各添加物は、制御放出組成物の他の成分、例えば材料および医薬活性剤と適合性であり、かつ、合理的な利益/リスク比に相応して、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、免疫原性、または他の問題もしくは混乱なく、生体の組織または臓器と接触させて使用するのに適しているという意味で、「薬学的に許容される」。
【0070】
本開示の目的に適した任意の添加物、例えば、速度修正剤、酸化防止剤、着色剤、緩衝剤、芳香族化合物、着色剤、香味改良剤、甘味剤、増量剤、滑沢剤、等張剤、抗菌剤、麻酔薬、保存剤、均質化剤、毒性調整剤、添加剤、粉末、生理食塩水、もしくは当技術分野において既知である他の添加物、またはそれらの種々の組合せが使用され得る。
【0071】
適切な速度修正剤は、例えば、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドン、解重合可能なグァーガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポラクリリンカリウム(およびアンバーライト樹脂等の他のカチオン交換樹脂)、デンプン、アルファ化デンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、アルギン酸ナトリウム、無機塩(例えば、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム)、ツイン、ミリス(myrjs)、スクロース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、フルクトース、グルコース、デキストラン、脂肪酸エステル、イノシトール、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、アラビアガムおよびアルギン酸ナトリウムを含む。
【0072】
適切な酸化防止剤は、例えば、メチオニン、アスコルビン酸、EDTA、チオ硫酸ナトリウム、プラチナ、カタラーゼ、クエン酸、システイン、チオグリセロール、チオグリコール酸、チオソルビトール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンおよび/または没食子酸プロピルを含む。酸化の低減は、結合親和性の喪失を防止または低減し、それによって組成物の安定性を改善し、かつ有効期間を最大化する。
【0073】
適切な増量剤は、例えば、タルク、二酸化チタン、デンプン、カオリン、セルロース(微結晶性または粉末)およびそれらの組合せを含む。
【0074】
適切な緩衝剤は、生体の生理学的状態に近似するために、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム等を含む。
【0075】
適切な滑沢剤は、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0076】
微粒子中の添加物の重量パーセントは、約0%から約30%までの範囲である。ある特定の実施形態において、微粒子中の添加物の重量パーセントは、約0%から約20%までの範囲である。
【0077】
ある特定の実施形態において、複数の微粒子にコーティングをさらに施してよい。いかなる理論にも束縛されないが、微粒子のコーティングは、活性剤の放出モードを修正する、または微粒子の物理的および/もしくは化学的特性を修正することができると考えられる。例えば、コーティングは活性剤の放出速度を修正する。別の例として、コーティングは微粒子の不透明度を修正する。
【0078】
任意の適切なコーティング物質を使用してよい。ある特定の実施形態において、コーティング物質は砂糖を含む。ある特定の実施形態において、コーティング物質はポリマーを含む。ある特定の実施形態において、コーティング物質は、コーティング物質中のポリマーをより軟らかくかつより柔軟ににするために可塑剤をさらに含む。ある特定の実施形態において、複数の微粒子のコーティング物質は、初期溶融温度が、マトリックス中に含有される第2の材料の完全溶融温度よりも高いポリマーを含む。ある特定の実施形態において、複数の微粒子のコーティング物質は、微粒子を露光から保護するための着色剤を含む。
【0079】
制御放出組成物中の複数の微粒子の重量パーセントは、任意の適切な範囲内で変動し得る。ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、重量パーセント約1%から約95%の複数の微粒子を含む。ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、重量パーセント約20%から約80%の複数の微粒子を含む。
【0080】
制御放出組成物のマトリックスは、第2の材料を含む。ある特定の実施形態において、マトリックスは第2の活性剤をさらに含む。マトリックス中の第2の活性剤は、複数の微粒子中の第1の活性剤と同じであってもよく、または同じでなくてもよい。ある特定の実施形態において、マトリックスは第2の添加物をさらに含む。ある特定の実施形態において、第2の添加物は、複数の微粒子中に含有される第1の添加物と同じであってもよく、または同じでなくてもよい。
【0081】
制御放出組成物中におけるマトリックスの重量パーセントは、任意の適切な範囲内で変動し得る。ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、重量パーセント2%から約98%の第2の材料を含む。ある特定の他の実施形態において、制御放出組成物は、重量パーセント20%から約80%の第2の材料を含む。ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、重量パーセント0%から約70%の第2の活性剤を含む。ある特定の他の実施形態において、制御放出組成物は、重量パーセント0%から約30%の第2の活性剤を含む。ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、重量パーセント0%から約30%の第2の添加物を含む。ある特定の他の実施形態において、制御放出組成物は、重量パーセント0%から約20%の第2の添加物を含む。
【0082】
複数の微粒子は、制御放出組成物中のマトリックスに動作可能に結合されていてよい。用語「動作可能に結合されている」または「動作可能に結合している」は、本明細書において使用される場合、マトリックスに微粒子を埋め込むこと、組み込むこと、統合すること、結合すること、組み合わせること、架橋させること、混合することおよび/またはコーティングすることを含む。ある特定の実施形態において、微粒子はマトリックス中に埋め込まれていてよい。ある特定の実施形態において、微粒子は、マトリックス中に均一にまたは無作為に分布していてよく、または埋め込まれていてよい。ある特定の実施形態において、複数の微粒子は、層状パターン等であるがこれに限定されない所定のパターンに従って、マトリックス中に分布していてよく、または埋め込まれていてよい。ある特定の実施形態において、マトリックスは、微粒子の表面上にコーティングされていてよい。ある特定の実施形態において、複数の微粒子の一部は、マトリックス内に埋め込まれていてよく、微粒子の残りは、マトリックスの表面上にコーティングされていてよい。図14の概略図は、制御放出組成物の代表的構成を示す。
【0083】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物はコーティングをさらに含む。コーティングは、当業者によって適宜決められてよく、例えば、コーティングは、制御放出組成物の生理化学的特性(例えば不透明度)を修正するために、または組成物からの活性剤の放出速度もしくは放出プロフィールを修正するために望ましい場合がある。
【0084】
複数の微粒子および/または制御放出組成物の形状およびサイズは、当業者によって適宜選択され得る。微粒子は、非晶質、管状、小板、顆粒、ブロックおよび膜等であるがこれらに限定されない、当技術分野において既知である任意の適切な形状であってよい。複数の微粒子のサイズは、広範囲内で変動し得る。ある特定の実施形態において、複数の微粒子の少なくとも1つは、約1μmから約5000μmまでの範囲のサイズ(直径)を有する。ある特定の実施形態において、複数の微粒子の少なくとも1つは、約20μmから約1000μmまでの範囲のサイズ(直径)を有する。
【0085】
制御放出組成物は、任意の不規則的形状、またはペレット、ペレットチェーン、丸環、パッチ、膜、顆粒、球、ブロック、針および円筒等であるがこれらに限定されない規則的形状のものであってよい。ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、円筒、膜、ペレットまたはペレットチェーンの形状であってよい。
【0086】
制御放出組成物は、投与経路および標的部位と適合性のある任意のサイズのものであってよく、当業者によって適宜選択され得る。ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、約0.2mmから約200mmのサイズのものであってよい。例えば、制御放出組成物は、約0.2mmから約10mmの半径および約0.3mmから約20mmの長さ、または約0.3mmから約5mmの半径および約0.4mmから約10mmの長さを有する円筒形状のものであってよい。別の例として、制御放出組成物は、約5.0mmから約150mmの半径および約0.1mmから約5mmの厚さ;約10mmから約60mmの半径および約0.3mmから約2mmの厚さ;約5.0mmから約150mmの長さ、約3.0mmから約100mmの幅および約0.1mmから約5mmの厚さ;または、約10mmから約100mmの長さ、約5.0mmから約100mmの幅および約0.3mmから約2mmの厚さを有する膜またはパッチ形状のものであってよい。また別の例として、制御放出組成物は、約0.5mmから約20mm、または約3.0mmから約10mmの半径を有する顆粒形状のものであってよい。
【0087】
別の態様において、本開示は、マトリックスに動作可能に結合されている複数の微粒子を含む制御放出組成物を提供し、ここで、該制御放出組成物は、第1の材料および第1の活性剤を含む複数の微粒子を調製するステップと、該複数の微粒子をマトリックス形成組成物に塗布し、それによって制御放出組成物を形成するステップとを含む方法に従って形成され得る。
【0088】
II.調製方法
別の態様において、本開示は、本明細書において提供される制御放出組成物を作製するための方法であって、第1の材料および第1の活性剤を含む複数の微粒子を調製するステップと、該複数の微粒子を、マトリックス形成組成物に塗布し、それによって制御放出組成物を形成するステップとを含む方法を提供する。
【0089】
本明細書において提供される複数の微粒子は、当技術分野において既知である任意の適切な方法によって調製され得る。ある特定の実施形態において、微粒子は、第1の剤に第1の材料を施し、微粒子を形成することによって調製され得る。第1の材料は、1種もしくは複数のポリマー、1種もしくは複数の非ポリマー有機化合物、または1種もしくは複数のポリマーと1種もしくは複数の非ポリマー有機化合物との組合せであってよい。ある特定の実施形態において、微粒子は、第1の剤にポリマー形成モノマーを施し、微粒子を形成することによって調製され得る。ポリマー形成モノマーは、重合されてポリマーを形成することができる。ある特定の実施形態において、微粒子を調製する方法は、得られた生成物を望ましいサイズの微粒子に分割するステップをさらに含む。
【0090】
ある特定の実施形態において、微粒子は、活性剤、ポリマー形成モノマー、ならびに場合により添加物および触媒を混合し、ポリマー形成モノマーを架橋させてポリマーを形成し、それによって活性剤をポリマー内に捕捉して微粒子を形成することによって調製され得る。本開示の目的に適したポリマーを形成するのに適したモノマーおよび方法および条件は当技術分野において既知であり、必要以上の実験をすることなく当業者によって選択され得る。重合条件は、ポリマーおよび微粒子を形成するように当業者によって適宜決定および調整され得る。例えば、第1の活性剤をメタクリレートモノマーと混合してよく、混合物を、過安息香酸の存在下、標準大気圧下80℃で反応させて、第1の活性剤が組み込まれたポリ(メタクリレート)微粒子の形成を可能にすることができる。
【0091】
例えば、単一コアセルベーションおよび複合コアセルベーション等のコアセルベーション法、エマルション固化、溶媒蒸発、溶媒抽出、架橋法、熱溶融封入、界面重合、噴霧乾燥、噴霧コーティング、流動床コーティングおよびパンコーティング、超臨界流体法、二軸押出、ならびに遠心分離ベースの方法を含む、当技術分野において既知である種々の方法を使用して、微粒子を調製することができる(総説については、J.Swarbrick、Encyclopedia of pharmaceutical technology、第4巻、第3版、Informa Health Care発行、2007、2316〜2325頁;S.Benita、Microencapsulation:methods and industrial applications、CRC Press発行、2006、2〜41頁を参照されたい)。微粒子を調製する方法は、微粒子の所望のサイズ、活性剤および/または第1の材料の生理化学的特徴、ならびに必要な機器等の要因を考慮し、当業者によって適宜選択され得る。
【0092】
一実施形態において、微粒子は、物理化学的過程を使用して調製され得る。例えば、微粒子は、凝集剤の添加により、第1の材料溶液/組成物中における第1の材料の溶解性を低減させることによって調製され得る。微粒子は、反対の電荷を有する材料が複合材料として使用され、該複合材料が架橋されて、得られた微粒子中に活性剤を封入する場合にも調製され得る。微粒子は、相分離を誘発することができる溶媒が第1の材料組成物/溶液に添加されて微粒子の形成を引き起こす場合にも調製され得る。微粒子は、第1の材料が高温で溶融または溶解され、次いで冷却される場合にさらに形成され得る。加えて、微粒子は、エマルション組成物の分散相中における揮発性溶媒を(蒸発等によって)排出して調製され得る。さらに、微粒子は、第1の材料および第1の活性剤を溶媒に溶解し、続いて溶媒を排出し、形成された粒子を粉砕することによって調製され得る。
【0093】
別の実施形態において、微粒子は、物理機械的過程を使用して調製され得る。例えば、微粒子は、第1の活性剤を第1の材料溶液に適用すること、続いて混合物を熱い慣性気流に霧化することを伴う噴霧乾燥過程を使用して調製され得る。液滴を形成し、凝縮し、乾燥させて、微粒子を形成する。微粒子は、噴霧冷却過程を使用することによって形成することもでき、ここで、第1の活性剤および第1の材料組成物(例えば、第1の活性剤を含む溶融した第1の材料)が冷却された気流中に噴霧されて、微粒子の形成をもたらす。微粒子は、遠心分離ベースの過程、流動床コーティングベースの過程または超臨界流体ベースの過程を使用してさらに形成され得る。加えて、微粒子は、押出またはパンコーティング過程を使用して調製され得、ここで、前者は、第1の活性剤および第1の材料を押出機内で混和すること、続いて混練および粉砕して微粒子を形成することを伴い、後者は、薬物粒子を材料でコーティングすることを伴う。
【0094】
また別の実施形態において、微粒子は、化学的過程を使用して調製され得る。例えば、微粒子は、分散相(例えば水)と連続相(例えば有機相)との界面において発生する重縮合反応を伴う界面重縮合過程を使用して調製され得る。微粒子は、放射線ベースの架橋過程を使用して形成することもできる。
【0095】
さらに別の実施形態において、微粒子は、溶融過程を使用して調製され得る。例えば、第1の材料および第1の活性剤、ならびに場合により添加物を混合してよく、該混合物を、溶融させ、冷却し、粉砕して、微粒子を形成することができる。微粒子は、溶融した第1の活性剤と第1の材料との混合物を混和機に添加し、激しくかき混ぜながら冷却した場合にも形成され得る。微粒子は、溶融した第1の活性剤と第1の材料との混合物を基体(例えばステンレス鋼)の表面上に塗布して急速に冷却し、得られた固体を潰し/粉砕した場合にも形成され得る。
【0096】
ある特定の実施形態において、調製された微粒子を、限定されるものではないが、パンコーティング過程または流動床コーティング過程を使用すること等によって、さらにコーティングしてよい(総説については、J.Swarbrick、Encyclopedia of pharmaceutical technology、第4巻、第3版、Informa Health Care発行、2007、2330〜2331頁を参照されたい)。例えば、コーティングは、数か月または数年の放出期間を有する制御放出組成物を作製するために望ましい場合がある。
【0097】
制御放出組成物は、マトリックス形成組成物に複数の微粒子を塗布することによって調製され得る。本明細書において使用される場合、用語「マトリックス形成組成物」は、第2の材料、ポリマー、ポリマー形成モノマー、非ポリマー有機化合物、活性剤、添加物、触媒、溶媒、および/またはそれらの組合せを含むがこれらに限定されない、マトリックスを形成するための物質を含む組成物を指す。ある特定の実施形態において、該方法は、複数の微粒子をマトリックス形成組成物と混合するステップをさらに含む。
【0098】
ある特定の実施形態において、マトリックス形成組成物は、ポリマーを形成するためのモノマーを含む。ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、微粒子、ポリマー形成モノマー、ならびに場合により、活性剤、添加物、および触媒を混合し、ポリマー形成モノマーを架橋させてポリマーを形成し、それによって微粒子をポリマー網目内に捕捉して、微粒子に動作可能に結合されているマトリックスを形成することによって調製され得る。本開示のポリマーを形成するのに適したモノマー、方法および条件は、必要以上の実験をすることなく当業者によって選択され得る。
【0099】
ある特定の実施形態において、マトリックス形成組成物は第2の材料を含む。第2の材料は、ポリマー、非ポリマー有機化合物、またはポリマーと非ポリマー有機化合物との組合せであってよい。ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、微粒子、第2の材料を混合し、制御放出組成物を形成することによって調製され得る。
【0100】
制御放出組成物は、当技術分野において既知である任意の適切な技術によって、微粒子およびマトリックス形成組成物から調製され得る。例示的な技術は、押出、押出成形、射出成形、圧縮成形、流延、コーティング、カレンダー等を含むがこれらに限定されない。
【0101】
押出法は、所望の断面の鋳型を介して微粒子およびマトリックス形成組成物を押圧または延伸することを伴う。押出過程は、スクリュー押出機、篩およびバスケット押出機、回転押出機ならびにラム押出機等の押出機を使用して実施され得る。
【0102】
押出成形法は、微粒子およびマトリックス形成組成物を押出すること、ならびに得られた材料を鋳型に送給してある特定の形状を形成することを伴う。
【0103】
射出成形法は、微粒子およびマトリックス形成組成物を容器に送給すること、ならびにそれらを成形キャビティに押し込むことを伴う。
【0104】
圧縮成形法は、微粒子およびマトリックス形成組成物を開放成形キャビティに入れること、ならびに密閉成形型に圧力を印加して材料を成形型領域全体と接触させることを伴う。
【0105】
流延法は、微粒子およびマトリックス形成組成物を成形キャビティに注ぎ入れること、ならびに材料を凝固させることを伴う。ある特定の実施形態において、流延過程は、パッチまたは膜の形状を有する制御放出組成物を作製する際に好ましい場合がある。
【0106】
コーティング法は、マトリックス形成組成物の層を微粒子の表面上に塗布することを伴う。
【0107】
カレンダー法は、微粒子およびマトリックス形成組成物を押出すること、ならびに得られた材料にローラーの下を通過させて形状を成すことを伴う。
【0108】
ある特定の実施形態において、該方法は、制御放出組成物のための形状を提供するステップをさらに含む。制御放出組成物の形状は、任意の不規則的形状、またはペレット、ペレットチェーン、丸環、パッチ、膜、顆粒、球、ブロック、針および円筒等であるがこれらに限定されない規則的形状のものであってよい。形状を提供するための任意の適切な方法が使用され得る。例えば、制御放出組成物をシリンジに充填し、針に通過させるために押圧して、円筒形状の制御放出組成物を形成することができる。
【0109】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物を調製する方法は、微粒子およびマトリックス形成組成物を所定の温度Tmに加熱するステップをさらに含み、ここで、TH>Tm>TLである。温度Tmにおいて、マトリックス形成組成物は液化されるのに対し、微粒子は液化せず、冷却するとマトリックス形成組成物の液化は反転され得ることが望ましい。温度Tmにおいて、マトリックス形成組成物が分解しないことも望ましい。TLが第2の材料の分解温度である場合、またはTLが第2の材料の1つの成分の分解温度を超える場合、制御放出組成物は、微粒子およびマトリックス形成組成物を所定の温度Tmに加熱する以外の方法を使用して調製され得る。
【0110】
本開示の種々の実施形態において使用される温度Tmは、必要以上の実験をすることなく当業者によって選択され得る。例えば、Tmは、式:(TH+TL)/2を使用して決定され得る。一実施形態において、Tmは、(TH+TL)/2±約5℃、(TH+TL)/2±約10℃、(TH+TL)/2±約15℃、または(TH+TL)/2±約20℃の範囲内の温度であってよい。別の実施形態において、Tmは、式:TH−Tm≧約5℃、TH−Tm≧約10℃、TH−Tm≧約15℃、またはTH−Tm≧約20℃を使用して決定され得る。また別の実施形態において、Tmは、式:Tm−TL≧約5℃、Tm−TL≧約10℃、Tm−TL≧約15℃、またはTm−TL≧約20℃を使用して決定され得る。さらに別の実施形態において、Tmは、(TL+約5℃)から(TH−約5℃)まで、(TL+約10℃)から(TH−約10℃)まで、(TL+約15℃)から(TH−約15℃)まで、(TL+約20℃)から(TH−約20℃)までの範囲内であってよい。
【0111】
ある特定の実施形態において、複数の微粒子がコーティングを含む場合、Tmは、微粒子のコーティング物質の初期溶融温度を下回るようにさらに選択され得る。
【0112】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物を調製する方法は、マトリックス形成組成物を溶媒に溶解するステップをさらに含む。溶媒は、第1の材料または第1の材料を含む微粒子が不溶である場合、またはそのような溶媒に実質的に不溶である場合に選択され得る。ある特定の実施形態において、溶媒を蒸発させて制御放出組成物を形成することができる。
【0113】
III.使用方法
別の態様において、本開示は、対象における状態を治療および/または予防する方法であって、該対象に、本明細書において提供される制御放出組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0114】
用語「状態」は、本明細書において使用される場合、病的状態、生理学的状態および美容状態を含むがこれらに限定されない。ある特定の実施形態において、老化関連状態等の状態は、同時に、病的状態、生理学的状態および美容状態である。
【0115】
病的状態の例は、老化、狭心症、アンチトロンビン欠乏症、不整脈、アテローム性動脈硬化症、心房細動、心房粗動、凝血塊、心虚血、心臓手術、心筋症、心血管の異常、頸動脈疾患、胸痛、循環障害、跛行、膠原血管病、先天性心疾患、鬱血性心不全、冠動脈疾患、糖尿病、糖尿病および高血圧、脂質異常症、リズム障害、トリグリセリド上昇、心臓欠損、心疾患、心不全、心臓弁膜症、血管腫、高コレステロール、高トリグリセリド血症、間欠性跛行、高血圧、川崎病、心臓発作、心筋虚血、起立性低血圧、末梢動脈疾患、末梢動脈閉塞性疾患、末梢血管疾患、レイノー病、禁煙、頻脈(頻拍)、血栓症、静脈瘤、血管疾患、静脈性下腿潰瘍、歯肉炎、歯肉疾患、口臭、口腔がん、歯周疾患、顎関節障害、顎関節症候群、日焼け、座瘡、皮膚老化、脱毛症、感覚消失、足白癬、アトピー性皮膚炎、床擦れ(褥瘡性潰瘍)、腱膜瘤、熱傷、熱傷後感染、単純疱疹(口唇ヘルペス感染)、先天性皮膚疾患、接触性皮膚炎、皮膚エリテマトーデス、糖尿病性足潰瘍、湿疹、多汗、ファブリー病、真菌感染、性器ヘルペス、生殖器疣、脱毛、体毛除去、手の皮膚炎、アタマジラミ、血管腫、遺伝性血管浮腫、単純ヘルペス感染、帯状ヘルペス感染、ヘルペス性神経痛、じんま疹、魚鱗癬、虚血性足潰瘍、角化症、ループス、男性型脱毛症、悪性黒色腫、医療用義肢、黒色腫、伝染性軟属腫、菌状息肉腫、爪甲真菌症、尋常性天疱瘡、ヘルペス後神経痛、褥瘡、乾癬および乾癬性障害、乾癬性関節炎、剃刀負け、酒さ、サルコイドーシス、頭皮障害、瘢痕組織、強皮症、脂漏症、脂漏性皮膚炎、帯状疱疹、皮膚がん、皮膚感染、皮膚脂肪腫、皮膚創傷、日光性色素斑、スポロトリクム症、ブドウ球菌皮膚感染、鬱滞性皮膚炎、妊娠線、全身性真菌感染、日光中毒、白癬、頭部白癬、癜風、皮膚掻痒、白斑、いぼ、創傷、先端巨大症、副腎がん、先天性副腎過形成、真性糖尿病(I型およびII型)、真性糖尿病(I型)、真性糖尿病(II型)、糖尿病性胃不全麻痺、糖尿病性腎臓疾患、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性硝子体出血、脂質異常症、女性ホルモン欠乏/異常症、フレドリクソンIII型高リポタンパク血症、成長ホルモン欠乏/異常症、女性化乳房、体毛除去、高脂血症、ホルモン欠乏症、顔面紅潮、副甲状腺機能亢進症、特発性低身長、適応症:II型糖尿病、男性ホルモン欠乏/異常症、マッキューンオルブライト症候群、更年期障害、代謝症候群、肥満、卵巣がん、膵がん、膵障害、膵炎、副甲状腺がん、副甲状腺疾患、副甲状腺障害、閉経期、下垂体障害、多嚢胞性卵巣症候群、更年期後障害、更年期後骨減少、性的早熟、原発性インスリン分泌過多、重篤な低身長、性的機能障害、甲状腺疾患、甲状腺障害、ターナー症候群、ウィルムス腫瘍、ウィルソン病、腹部がん、アカラシア、アルファ1アンチトリプシン欠乏症、裂肛、虫垂炎、バレット食道、胆道がん、腸機能障害、セリアック病、慢性下痢、クロストリジウム・ディフシレ(clostridium difficile)関連下痢症、結腸がん、結腸ポリープ、結腸直腸がん、便秘症、クローン病、糖尿病性胃不全麻痺、消化器系新生物、十二指腸潰瘍、ファブリー病、便失禁、機能性消化不良、胆嚢障害、胃がん(gastric cancer)、胃潰瘍、胃腸炎、胃食道逆流性疾患、胃腸疾患および障害、胃不全麻痺、胸やけ、ヘリコバクター・ピロリ(helicobacter pylori)、痔核、肝性脳症、肝炎、腸閉塞、感染性結腸炎、炎症性腸疾患、腹腔内感染、過敏性腸症候群、肝臓疾患、肝臓障害、非びらん性逆流性疾患、非潰瘍消化不良、移植術後の臓器拒絶反応、術後悪心および嘔吐、嘔吐、直腸がん、直腸障害、再発性下痢、胃がん(stomach cancer)、胃の不快感、潰瘍性結腸炎、異常血管、急性骨髄性白血病、貧血、貧血(非ホジキンリンパ腫)、非小細胞肺がん、貧血がん、動脈瘤、抗リン脂質症候群、アンチトロンビン欠乏症、再生不良性貧血、凝血塊、カンジダ性敗血症/カンジダ症、慢性腎性貧血、ゴーシェ病、血液がん、血液障害、発作性血色素尿症、出血、高カルシウム血症、低ガンマグロブリン血症、低ナトリウム血症、特発性血小板減少性紫斑病、島細胞がん、白血病、B細胞リンパ腫、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、心筋虚血、閉塞、血小板欠乏症、血小板障害、赤血球障害、腎性貧血、セザリー症候群、鎌状赤血球病、T細胞リンパ腫、サラセミア、血小板減少症、ビルブラント卿病、白血球障害、後天性免疫不全症候群(AIDS)、AIDS関連感染、急性鼻炎、アレルギー、喘息、肛門形成異常、細菌感染、アフタ性口内炎、セリアック病、子宮頸部形成異常、水痘、慢性疲労症候群、風邪、分類不能型免疫不全症、細菌性結膜炎、慢性閉塞性肺疾患、皮膚カンジダ症、皮膚T細胞リンパ腫、サイトメガロウイルス感染、皮膚筋炎、発熱、移植片対宿主病、肝炎、B型肝炎、C型肝炎、HIV感染、HIV/AIDS、ヒトパピローマウイルス感染、低ガンマグロブリン血症、特発性炎症性筋疾患、インフルエンザ、腹腔内感染、カポジ肉腫、ループス、ダニライム病、トリ型結核菌複合感染、髄膜炎、爪甲真菌症、鵞口瘡、肺炎、多発性筋炎(炎症性筋疾患)、ヘルペス後神経痛、原発性免疫不全障害、呼吸器合胞体ウイルス感染、リウマチ熱、アレルギー性鼻炎、ロタウイルス感染、サルコイドーシス、セプシスおよび敗血症、性伝染疾患、帯状疱疹、シェーグレン症候群、天然痘、軟部組織感染、ブドウ球菌感染、ブドウ球菌性皮膚感染、連鎖球菌性咽頭炎、全身性カンジダ症、全身性エリテマトーデス、咽頭および扁桃腺感染、皮膚掻痒、バンコマイシン耐性エンテロコッカス(enterococcus)、ウエストナイルウイルス感染、先端巨大症、強直性脊椎炎、骨量減少、スポーツ外傷、骨疾患、骨への転移、乳房痛、腱膜瘤、滑液包炎、手根管症候群、軟骨損傷、胸痛、慢性腰痛、慢性下肢痛、慢性疼痛、慢性肩痛、跛行、先天性乳酸アシドーシス、結合組織疾患、皮膚筋炎、デュピュイトラン病、線維筋痛、肩関節周囲炎、癒着性関節包炎、痛風(高尿酸血症)、特発性炎症性筋疾患、間欠性跛行、関節損傷、膝損傷、多発性硬化症、筋肉痛、筋ジストロフィー、筋骨格疾患、重症筋無力症(慢性脱力)、全身型重症筋無力症、整形、変形性関節症、骨髄炎、骨粗しょう症、骨肉腫、ページェット病、内側半月板部分切除、副甲状腺疾患、閉経後の骨減少、閉経後の骨粗しょう症、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、関節リウマチ、坐骨神経痛、脊髄障害、脊髄悪性腫瘍、脊椎関節形成、捻挫、腱損傷、テニス肘、チック障害、肛門形成異常、良性前立腺過形成、膀胱がん、膀胱障害、血がん、カテーテル合併症、慢性骨盤痛、糖尿病性腎臓疾患、遺尿症、勃起機能障害、ファブリー病、夜間頻尿、尿生殖器脱出症、糸球体腎炎、糸球体硬化症、特発性膜性腎症、インポテンス、間質性膀胱炎、腎臓がん、腎臓疾患、腎臓不全、腎臓結石、肝臓がん、低テストステロン、乳房切除術、医療用義肢、腎症、ペーロニー病、早漏、前立腺がん、前立腺障害、前立腺上皮内新生物、タンパク尿、ライター症候群、腎動脈疾患、腎細胞癌、腎不全、精巣がん、チロシン血症、尿道狭窄、尿失禁、尿路感染、尿路上皮がん、男性の勃起機能障害および女性の性機能障害、全身血圧、妊娠中絶、降圧制御、血小板凝集阻害、肺疾患、胃腸疾患、炎症、ショック、生殖、受胎能、骨量減少、骨折、骨粗しょう症、転移性骨疾患、ページェット病、歯周疾患、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫疾患、顔面紅潮、LDLコレステロールレベル上昇、心血管疾患、認知機能の低下、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、不安症、エストロゲン欠乏による鬱病、閉経期の鬱病、産後鬱病、月経前症候群、躁鬱病、不安症、認知症、強迫的行動、注意欠陥障害、睡眠障害、易刺激性、衝動性、免疫不全、自己免疫疾患、アンガーマネジメント、多発性硬化症およびパーキンソン病、炎症、炎症状態、炎症性腸疾患、呼吸器疾患、性的機能障害、高血圧、網膜変性、喘息、がん、関節リウマチ、慢性炎症性障害、糖尿病、慢性疼痛、中枢神経系疾患、心血管疾患、腎疾患、生殖器疾患、感染、てんかん、微小循環改善、薬物離脱症候群、骨髄疾患、浮腫、または対象(例えば、ヒト、動物)において内視鏡が到達し得る位置に関係する病的状態を含むがこれらに限定されない。
【0116】
ある特定の実施形態において、病的状態はがん状態であってよい。本明細書において開示される制御放出組成物を使用して治療され得るがん状態および腫瘍型は、癌腫、芽細胞腫、肉腫、胚細胞腫瘍、または白血病、リンパ腫もしくは多発性骨髄腫等の血液もしくはリンパ性悪性腫瘍を含むがこれらに限定されない。より具体的には、本明細書において開示される制御放出組成物を使用して治療され得るがん状態および腫瘍型は、扁平上皮細胞がん、肺がん(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺腺癌または肺扁平上皮細胞癌)、腹膜がん、肝臓がん(例えば、肝細胞癌/肝腫)、胃がん(gastric or stomach cancer)(例えば胃腸がん)、膵がん、脳腫瘍(例えば、膠芽細胞腫/多形性膠芽腫(GBM)、非膠芽細胞腫脳腫瘍または髄膜腫)、神経膠腫(例えば、上衣腫、星状細胞腫、未分化星細胞腫、乏突起膠腫、または乏突起星細胞腫等の混合性神経膠腫)、頸部がん、卵巣がん、子宮頸がん、肝臓がん(例えば、肝芽腫、肝細胞癌/肝腫または肝癌)、膀胱がん(例えば尿路上皮がん)、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、直腸がん、子宮内膜または子宮癌、唾液腺癌、食道癌、腎臓がんまたは腎がん(例えば腎臓の桿状腫瘍)、前立腺がん、外陰部がん、陰茎がん、肛門がん(例えば肛門扁平上皮細胞癌)、甲状腺がん、副甲状腺癌、頭頸部がん(例えば、上咽頭がん、舌体腫瘍、歯肉新生物および扁桃腺腫瘍)、皮膚がん(例えば、黒色腫または扁平上皮細胞癌)、骨肉腫、骨癌、肉腫性骨腫(osteoma sarcomatosum)、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、軟部組織肉腫(例えば、横紋筋肉腫、線維肉腫、カポジ肉腫)、カルチノイドがん、眼がん(例えば網膜芽細胞腫)、中皮腫、リンパ球性/リンパ芽球性白血病(例えば、T細胞系列および前駆B細胞系列両方の急性リンパ球性/リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ芽球性/リンパ球性白血病(CLL)、マスト細胞性白血病を含む急性骨髄性/骨髄芽球性白血病(AML)、慢性骨髄性/骨髄球性/骨髄芽球性白血病(CML)、有毛細胞白血病(HCL)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、バーキットリンパ腫(BL)、菌状息肉腫、セザリー症候群、皮膚T細胞リンパ腫、マスト細胞新生物、髄芽腫、腎芽細胞腫、孤立性形質細胞腫、骨髄異形成症候群、慢性および非慢性骨髄増殖性障害、中枢神経系腫瘍、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、未分化神経外胚葉性腫瘍、上衣腫、脈絡叢乳頭腫、真性赤血球増加症、血小板血症、特発性骨髄線維症(myelfibrosis)、ならびに小児肉腫(例えば、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫および骨肉腫)等の小児がんを含むがこれらに限定されない。加えて、腫瘍は、悪性(例えばがん)または良性(例えば、過形成、嚢胞、偽性嚢胞、過誤腫および良性新生物)であってよい。
【0117】
生理学的状態の例は、老化、避妊、創傷治癒および術後癒着を含むがこれらに限定されない。
【0118】
美容状態の例は、皮膚老化(例えば、シワ、弾力性の喪失、タルミ、色ムラ、および基底組織塊の喪失(loss of underlying tissue mass))、美容上の欠陥(例えば、妊娠線(striae gravidoram)、伸展性皮膚線条(striae distensiae)、萎縮性瘢痕、創傷もしくは手術瘢痕、または脱毛)、望ましくない色素沈着、または、例えば、ケミカルピーリング、皮膚擦傷法、レーザーリサーフェシング、アブレーションリサーフェシング、非アブレーションリサーフェシング、光線力学的療法、非コヒーレント光線療法、乳房リフト、顔リフト、眼瞼リフト、額リフト、首リフト、大腿部リフト、臀部リフト、腹部形成手術および瘢痕修正による美容的手順後の損傷を含むがこれらに限定されない。
【0119】
本明細書において開示される制御放出組成物は、任意の適切な方法を介して標的部位に投与され得る。用語「標的部位」は、状態が発生する生体内の部位を指す。制御放出組成物を標的部位に送達することにより、制御放出組成物中に含有される活性剤は、標的部位の近傍において制御方式で放出され得、状態を緩和または治療するように作用する。ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、外科的に移植され、注射され、経皮的穿刺を介して投与され、身体の開口部を通って導入され、または標的部位に局所的に塗布されてよい。
【0120】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、標的部位に外科的に移植されてよい。例えば、観血的手術において、制御放出組成物を、脳または腎臓等の必要とする組織に手で散布するかまたは鉗子等のデバイスによって配置してよい。別の例として、制御放出組成物を、手術中に特殊な針を介して固形腫瘍等の標的部位に注射してよい。また別の例として、制御放出組成物を、手術中に腔部または切開口に挿入してよい。ある特定の実施形態において、制御放出組成物を、例えばタンパク質ベースの接着剤または生分解性ガーゼを用いて標的部位にさらに固定させてよい。
【0121】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、標的部位に注射されてよい。注射は、シリンジおよび針を使用して実施され得る。制御放出組成物は、皮下、腹腔内、筋肉内、皮内、鼻腔内または眼内注射等の任意の適切な経路を介して標的部位に注射され得る。例えば、ペレット形状の制御放出組成物を筋肉組織に注射してよい。別の例として、注射に適した制御放出組成物を皮下に注射してよい。
【0122】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、経皮的穿刺を介して投与されてよい。穿刺針は、超音波、蛍光板透視、コンピュータ断層撮影(CT)またはレーザー等の撮像技術を使用することによって、標的部位に誘導され得る。穿刺針が標的部位に到達すると、制御放出組成物は針を介して送達され得る。穿刺経路は標的部位へ直進してよく、神経または血管の破損を回避すべきである。制御放出組成物は、経皮的穿刺を介して、例えば腎臓、肺および腰椎等の任意の適切な標的部位に投与され得る。
【0123】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、身体の開口部を通って導入されてよい。身体の開口部は、口等の自然な身体の開口部であってよく、または胸部もしくは腹部における切開口等、体腔における切開口であってよい。ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、身体の開口部を通って直接標的部位に挿入され得る。例えば、制御放出組成物は、該部位に切開口を作成してまたは作成せずに、歯周腔、口腔、膣腔、直腸腔もしくは鼻腔等の腔部、歯周ポケット等のポケットまたは眼に挿入され得る。ある特定の実施形態において、制御放出組成物を手で標的部位に送達してよい。ある特定の実施形態において、制御放出組成物をアプリケーターによって標的部位に送達してよい。アプリケーターは、制御放出組成物を手で標的部位に送達することが困難な場合、または制御放出組成物の均一層を標的部位に配置することが不都合な場合に使用され得る。任意の適切なアプリケーターが使用され得る。例えば、アプリケーターの一端に制御放出組成物を充填し、他端で組成物を放出するように作動することができる。ある特定の実施形態において、制御放出組成物を、ステント等の移植可能なデバイスの表面上に配置してよく、該移植可能なデバイスを標的部位に配置して制御放出組成物の送達を可能にすることができる。例えば、制御放出組成物を食道ステントの表面上に配置してよく、次いで該ステントを食道の患部に配置する。ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、送達デバイスを介し身体の開口部を通って導入されてよい。適切な送達デバイスは、例えば、内視鏡、送達カテーテル、外科的に配置されたドレーンもしくはアクセスポート、または針等の他のアプリケーターを含む。送達デバイスは、身体の開口部を通って導入され、標的部位へのアクセス経路を提供して、特定の部位への制御放出組成物の送達を可能にすることができる。ある特定の実施形態において、送達デバイスを組み合わせて使用してよい。例えば、内視鏡と移植針とを組み合わせて使用して、膵腺内のがん組織内部への制御放出組成物の導入を可能にすることができる。制御放出組成物は、送達デバイスを介して、例えば、胃腸管(例えば、食道、胃および十二指腸、小腸、大腸、結腸、胆管、直腸)、気道(例えば、鼻、下気道)、耳管、尿路、女性生殖器系(例えば、頚部、子宮、卵管)、腹腔または骨盤腔、眼、関節内部、心臓、肺、羊膜、胎児、乳房および脊椎等の、身体路(body tract)、腔部または臓器へ送達され得る。
【0124】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、標的部位に局所的に塗布されてよい。例えば、制御放出組成物を、限定されるものではないが、例えば接着剤またはガーゼを用いて固定してまたは固定せずに、表面に塗布してよい。別の例として、制御放出組成物を、標的部位の表面上に垂らすかまたは刷毛塗りしてよい。
【0125】
制御放出組成物は、ある投薬量で、ある放出期間にわたって対象に投与され得る。制御放出組成物の投薬量は、選択された放出期間にわたって活性剤を放出するのに十分なように、当業者によって選択または調整され得る。
【0126】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物の投薬量は、選択された放出期間にわたって治療有効量の活性剤を放出するのに十分であり得る。用語「治療有効量」は、標的状態を治療または予防するために有効でありながら、顕著な有害作用を示すことなく、そのような濃度を対象が忍容することが可能な、標的部位または血液中における活性剤の濃度を指す。治療有効量は、例えば、状態の程度、所望の効果、対象の健康状態、交差反応、アレルギー、過敏症および有害な副作用の可能性、既往歴、現在の医薬品治療、体重、ならびに年齢等、当技術分野において既知である種々の要因によって決まることになる。
【0127】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物からの活性剤の放出量は、同じ期間にわたる全身投与用の臨床的に承認された投薬量よりも大幅に少ない(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%少ない)にもかかわらず、同様の局所濃度に達することができる。例えば、全身投与用の臨床的に承認された1日投薬量の5倍が充填された制御放出組成物は、同様の局所濃度および同様の臨床効果を達成しながら、10日間の放出期間に十分となり得る。別の例として、2週間で4回の連続用量用の12mg/kgの投薬量での活性剤の全身投与は19%の腫瘍阻害率を達成したのに対し、2週間の放出期間にわたって5mg/kg(活性剤の観点から)の投薬量で投与された制御放出組成物は20%の腫瘍阻害率を達成し得る。
【0128】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物からの活性剤の放出量は、同じ期間にわたる全身投与用の臨床的に承認された投薬量よりも大幅に少ない(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%少ない)にもかかわらず、さらに良好な局所濃度および良好な臨床転帰を達成することができる。例えば、2週間で4回の連続投薬量用の12mg/kgの投薬量での活性剤の全身投与は19%の腫瘍阻害率を達成したのに対し、2週間の放出期間にわたって10mg/kg(活性剤の観点から)の投薬量で投与された制御放出組成物は37%の腫瘍阻害率を達成し得る。
【0129】
制御放出組成物からの活性剤の放出速度は、材料の種類、材料の分子量、コポリマー中におけるモノマーのモル分率比、組成物中におけるある特定の材料のパーセント等の異なる材料特性により変動し得る。活性剤の放出は、投与後約1日から最大約10年以上、例えば、投与後約1日から約5年まで、投与後約1日から約2年まで、投与後約1日から約2年まで、投与後約1日から約1年まで、投与後約1日から約6か月まで、投与後約1日から約3か月まで、投与後約1日から約1か月まで、投与後約1日から約2週間まで、投与後約1日から約1週間まで、投与後約1日から約5日まで、投与後約1か月から約2年まで、投与後約2か月から約2年まで、投与後約3か月から約2年まで、投与後約6か月から約2年まで、および投与後約1年から約2年までの長い持続時間にわたって継続し得る。
【0130】
制御放出組成物からの活性剤の放出は、時間依存様式であってよい。ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、投与後最初の3日間で、活性剤の総量の約85%未満、活性剤の総量の約80%未満、活性剤の総量の約70%未満、活性剤の総量の約60%未満、活性剤の総量の約50%未満、活性剤の総量の約40%未満、または活性剤の総量の約30%未満を放出する。ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、投与後最初の10日間で、活性剤の総量の約75%未満、活性剤の総量の約70%未満、活性剤の総量の約65%未満、活性剤の総量の約60%未満、活性剤の総量の約55%未満、活性剤の総量の約50%未満、活性剤の総量の約45%未満、活性剤の総量の約40%未満、活性剤の総量の約35%未満、または活性剤の総量の約30%未満を放出する。
【0131】
理論によって束縛されることなく、活性剤の放出は、材料(複数可)の腐食および/または膨張、ならびに微粒子からおよび/またはマトリックスから標的組織への活性剤の拡散によって達成され得ると考えられる。活性剤の放出は、微粒子の重量パーセント、微粒子のサイズおよび形状、制御放出組成物のサイズおよび形状、活性剤の生理化学的特性、ならびに材料の腐食および/または膨張率等の要因によって影響され得る。これらの要因は、治療目的に合わせて調整および/または選択され得る。
【0132】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物中における複数の微粒子の重量パーセントは、治療目的および/または生体系の要求に基づいて選択され得る。例えば、比較的高いパーセントの微粒子を有する制御放出組成物は、種々の疾患の治療において使用され得る。別の例として、比較的低いパーセントの微粒子を有する制御放出組成物は、外科手術中の抗癒着処置において使用され得、またはホルモン等の低用量活性剤の持続送達に使用され得る。
【0133】
ある特定の実施形態において、微粒子のサイズは、達成することが意図されている放出プロフィール、第1の活性剤の生理化学的特性および特定の治療目的等の要因に基づいて選択され得る。例えば、約50μmから約150μmまでの範囲の直径を有する微粒子は、10日未満の放出期間用に設計された制御放出組成物を調製するために使用され得る。別の例として、約120μmから約1000μmまでの範囲の直径を有する微粒子は、10日超の放出期間用に設計された制御放出組成物を調製するために使用され得る。また別の例として、約50μmから約150μmまでの範囲の直径を有する微粒子は、10日超の放出期間用に設計された、疎水性薬物を第1の活性剤として含有する制御放出組成物を調製するために使用され得る。さらに別の例として、約50μmから約150μmまでの範囲の直径を有する微粒子は、外科手術中の抗癒着処置用に設計された制御放出組成物を調製するために使用され得る。
【0134】
制御放出組成物の適切な形状は、所望の投与経路、治療目的および取り扱いの容易さ等の要因に基づいて選択され得る。例えば、円筒形状の制御放出組成物は、経皮的穿刺もしくは内視鏡検査によって、または手術中に薬物を投与するのに適し得る。別の例として、パッチ形状の制御放出組成物は、術後癒着の防止に適し得る。また別の例として、球形状の制御放出組成物は、誘導における使用に適し得る。
【0135】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、例えば、週に1回、3週間毎に2回、月毎に1回、2か月毎に1回、6か月毎に1回、年に1回、および2年毎に1回等、適切な頻度で投与され得る。
【0136】
利点
本明細書において開示される制御放出組成物は、様々な所望の特性を提供する。制御放出製剤として本明細書において提供される組成物は、従来の剤形よりも高い臨床的または実用的利点を提示する。ある特定の実施形態において、本明細書において提供される制御放出組成物は、大幅に低い投薬頻度で投与され得る。制御放出組成物の活性剤の放出期間は、数週間、数か月、さらには数年に達し、故に、頻繁な投薬の必要性を低減させ、患者のコンプライアンスを向上させる。ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、活性剤の定常濃度を長時間にわたって維持し、より均一な薬理学的応答を達成する。
【0137】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、全身投与の必要性がない状態が発生した場合、局在的に投与され得る。制御放出組成物の局所投与は、活性剤の全身投与において必要とされるよりもはるかに低い投薬量で、活性剤が同レベルの局所濃度に達することを可能にする。加えて、組成物の局所投与は、全身投与では為し得ない、または可能ならば、全身投与では大幅に高い投薬量の活性剤を必要とする、より高いレベルの局所濃度を達成する。高い局所濃度の活性剤は、状態の治療を全身送達された活性剤よりも有効にまたははるかに速く、およびこれまでには考えられず観察されてもいない新たな状態の治療を可能にする。その一方で、制御放出組成物の局所投与は、全身投与が有するよりも大幅に低い活性剤の全身暴露を有し得、したがって、全身投与による潜在的な被害、例えば、活性剤への全身暴露に関連する有害反応、および/または胃腸/腎作用を低減させることができる。
【0138】
ある特定の実施形態において、制御放出組成物は、インビボで生分解し、故に組成物中における活性剤の枯渇後に外科的に除去される必要がない生分解性材料を含有する。生分解性材料は、身体への害を引き起こすことなく、インビボで崩壊または非毒性成分に分解する。
【0139】
ある特定の実施形態において、局在的に投与された場合、制御放出組成物は、ある期間後に対象から容易に取り出され得る。これにより、対象の肉体的状況により良く適合するように、治療中に投薬量を調整することが可能になる。対象から取り出された試料は、放出曲線の測定、制御放出組成物の薬物動態特性の調査、および制御放出組成物の使用の規制認可を得るために必要とされるデータの創出も可能にする。
【0140】
加えて、伝統的な微粒子ベースの制御放出組成物と比較すると、本開示の制御放出組成物は、様々な改良された物理的、化学的および/または薬学的特性を有し、例えば、限定されるものではないが、より安定であり、より長い有効期間を有し、溶媒再構成を必要とせず、移植された場合(固形腫瘍に移植された場合等)に漏出の傾向が少ない。
【0141】
本開示を下記の実施例において記述するが、実施例は本発明の理解を助けるために説明するものであり、その後に続く請求項において定義される通りの本発明の範囲をいかようにも限定すると解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0142】
フルオロウラシル微粒子の調製:6.0gのフルオロウラシルおよび4.0gのポリ(L−乳酸)(分子量20,000;溶融範囲162〜168℃)を混合し、170℃で溶融させた。溶融した混合物を冷却し、得られた固体を粉砕して、フルオロウラシル微粒子(サイズ:約180μm)を生じた。
【0143】
フルオロウラシルインプラントの調製:20.0gのポリ(L−乳酸−グリコール酸)(75/25;分子量16,000;溶融範囲68〜76℃)、12.0gのフルオロウラシルおよび8.0gのフルオロウラシル微粒子を混合し、110℃で押出した。約φ0.9mm×4mmのサイズの円筒状顆粒が調製された(フルオロウラシル含有量:42.0%)。
【0144】
30匹の昆明マウスを、各群6匹ずつ5つの群に無作為化した。1つのフルオロウラシルインプラントを、各マウスの内側後肢筋に移植した。表3に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによるフルオロウラシルのインビボ累積放出を測定した。そして結果は表3に示す通りである。
【0145】
【表3】

【実施例2】
【0146】
フルオロウラシル微粒子の調製:6.0gのフルオロウラシル、3.0gのポリ(L−乳酸)(分子量20,000;溶融範囲162〜168℃)および1.0gのデキストラン(40)を混合し、170℃で溶融させた。溶融した混合物を冷却し、得られた材料を粉砕して、フルオロウラシル微粒子(サイズ:約180μm)を生じた。
【0147】
フルオロウラシルインプラントの調製:17.0gのポリ(L−乳酸−グリコール酸)(75/25;分子量16,000;溶融範囲68〜76℃)、3.0gのポリエチレングリコール、12.0gのフルオロウラシルおよび8.0gのフルオロウラシル微粒子を混和した。110℃での射出成形により、約φ0.9mm×4mmのサイズの円筒状顆粒が調製された。インプラント中のフルオロウラシル含有量は、42.0%であった。
【0148】
30匹の昆明マウスを、各群6匹ずつ5つの群に無作為化した。1〜2片のフルオロウラシルインプラントを、各マウスの内側後肢筋に移植した。表4に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによるフルオロウラシルのインビボ累積放出を測定した。そして結果は表4に示す通りである。
【0149】
【表4】

【実施例3】
【0150】
エトポシド微粒子の調製:6.0gのデキストラン(40)を75%エタノールに溶解し、続いて10.0gのエトポシドを添加して、混合物を作成した。エタノールを混合物から蒸発させてペーストを形成し、これを乾燥させ(80℃、−100KPa、8時間)、粉砕して、エトポシド微粒子(サイズ:約150μm)を生じた。
【0151】
エトポシドインプラントの調製:3.0gのポリ(L−乳酸)(分子量20,000;溶融範囲162〜168℃)および1.0gのポリエチレングリコール(4000)をエタノールに分散させた。混合物を乾かし、粉砕して、150μmのサイズの微粒子を調製した。微粒子を秤量し、それぞれ1:4(w/w)の比率でエトポシド微粒子と混合した。混合物を圧縮して、φ0.9mm×2mmのサイズの円筒状顆粒を調製した。調製されたエトポシドインプラント中のエトポシド含有量は、50.0%であった。
【0152】
30匹の昆明マウスを、各群6匹ずつ5つの群に無作為化した。1つのエトポシドインプラントを、各マウスの内側後肢筋に移植した。表5に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによるエトポシドのインビボ累積放出を測定した。そして結果は表5に示す通りである。
【0153】
【表5】

【実施例4】
【0154】
シスプラチン微粒子の調製:5.0gのポリ(L−乳酸)(分子量20,000;溶融範囲162〜168℃)をクロロホルムに溶解し、続いて5.0gのシスプラチンを添加した。混合物をよく撹拌し、溶媒を蒸発させた。得られた材料を粉砕し、篩にかけて、シスプラチン微粒子(サイズ:約250μm)を調製した。
【0155】
シスプラチンインプラントの調製:21.0gのポリ(L−乳酸−グリコール酸)(75/25;分子量16,000;溶融範囲68〜76℃)、6.0gのポリエチレングリコール(4000)、7.0gのシスプラチンおよび6.0gのシスプラチン微粒子を混合し、110℃で押出して、φ0.9mm×2mmのサイズの円筒状顆粒を調製した。調製されたシスプラチン微粒子中のシスプラチン含有量は、25.0%であった。
【0156】
30匹の昆明マウスを、各群6匹ずつ5つの群に無作為化した。1つのシスプラチンインプラントを、各マウスの内側後肢筋に移植した。表6に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによるシスプラチンのインビボ累積放出を測定した。そして結果は表6に示す通りである。
【0157】
【表6】

【実施例5】
【0158】
シスプラチン微粒子の調製:5.0gのポリ(L−乳酸)(分子量20,000;溶融範囲162〜168℃)をクロロホルムに溶解し、続いて5.0gのシスプラチンを添加した。混合物をよく撹拌し、溶媒を蒸発させた。得られた材料を粉砕し、篩にかけて、シスプラチン微粒子(サイズ:約125μm)を調製した。
【0159】
シスプラチンインプラントの調製:21.0gのポリ(L−乳酸−グリコール酸)(75/25;分子量16,000;溶融範囲68〜76℃)、6.0gのポリエチレングリコール(4000)、7.0gのシスプラチンおよび6.0gのシスプラチン微粒子を混合し、110℃で押出して、φ0.9mm×2mmのサイズの円筒状顆粒を調製した。シスプラチン微粒子中のシスプラチン含有量は、25.0%であった。
【0160】
30匹の昆明マウスを、各群6匹ずつ5つの群に無作為化した。1つのシスプラチンインプラントを、各マウスの内側後肢筋に移植した。表7に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによるシスプラチンのインビボ累積放出を測定した。そして結果は表7に示す通りである。
【0161】
【表7】

【実施例6】
【0162】
デキサメタゾン微粒子の調製:4.0gのデキストラン(40)を75%エタノールに溶解し、続いて10.0gのデキサメタゾンを添加して、混合物を作成した。エタノールを蒸発させてペーストを形成し、これを乾かし(80℃、−100KPa、8時間)、粉砕して、デキサメタゾン微粒子(サイズ:約150μm)を調製した。
【0163】
デキサメタゾンインプラントの調製:5.0gのポリ(L−乳酸)(分子量20,000;溶融範囲162〜168℃)および1.0gのポリエチレングリコール(4000)をエタノールに分散させた。混合物を乾かし、粉砕し、篩にかけて、150μmを下回るサイズの微粒子を調製した。これらの微粒子を秤量し、それぞれ3:7(w/w)の比率でデキサメタゾン微粒子と混合した。混合物を圧縮して、φ0.9mm×2mmのサイズの円筒状顆粒を調製した。調製されたデキサメタゾンインプラント中のデキサメタゾン含有量は、50.0%であった。
【0164】
30匹の昆明マウスを、各群6匹ずつ5つの群に無作為化した。1つのデキサメタゾンインプラントを、各マウスの内側後肢筋に移植した。表8に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによるデキサメタゾンのインビボ累積放出を測定した。そして結果は表8に示す通りである。
【0165】
【表8】

【実施例7】
【0166】
実施例2において調製したフルオロウラシルインプラントを、この実験ではイヌの腹膜および腹部大動脈に移植して、(1)フルオロウラシルインプラントの移植後の局所および全身毒性作用;ならびに(2)移植部位付近の領域における薬物濃度の経時変化を研究した。
【0167】
健康な成体雑種イヌに、手術の前に、番号を付け、駆虫し、視診し、秤量した。手術前、イヌには、水に自由にアクセスできる以外は絶食させた。3%ペントバルビタールナトリウム溶液(30mg/kg)による腹腔内麻酔後、腹膜を上腹部の中央付近で切開した。100mgのフルオロウラシルインプラントを腹部大動脈付近の部位に移植し、次いでメチレンブルー染色を使用してこれを標識化した。100mgのフルオロウラシルインプラントを、左および右腹膜下の部位にもそれぞれ移植し、ここで、該部位は切開口から5cm離れていた。その後、腹膜を縫合した。
【0168】
フルオロウラシルインプラントの移植後、3日目、5日目、7日目および10日目にそれぞれ4匹のイヌを屠殺した。移植部位を、充血、癒着、感染および壊死の兆候について検査した。その後、イヌから下記の試料を取り出した:腹部大動脈付近の移植部位から種々の距離にあるリンパ組織、左鎖骨上のリンパ組織、腹膜移植部位の0〜5cm内にある腹膜組織、末梢血試料、および門脈(portal vain)血試料。HPLCを使用して、上記試料中の薬物濃度を決定した。
【0169】
試験期間中、全身毒性作用は観察されなかった。イヌの活動は正常であり、食欲不振または拒食いずれの兆候も観察されなかった。
【0170】
移植部位における損傷:肉眼では移植部位に壊死は観察されなかった。病理検査を使用して、数例の炎症性細胞浸潤が観察された。
【0171】
移植部位付近の領域における薬物濃度の経時変化を、表9〜11に収載する。
【0172】
【表9】

【0173】
【表10】

【0174】
【表11】

【実施例8】
【0175】
塩酸リドカイン微粒子の調製:1.6gのエチルセルロースをクロロホルムに完全に溶解し、2.4gの塩酸リドカインと混合した。混合物を乾燥するまで蒸発させ、得られた固体を粉砕して、約125μmのサイズの塩酸リドカイン微粒子を生じた。
【0176】
塩酸リドカインインプラントの調製:2.4gのオクタデカノール、3.0gの塩酸リドカイン微粒子および0.6gの塩酸リドカインを混合し、65℃で射出成形した。約φ0.9mm×4mmのサイズの円筒状顆粒が調製された。塩酸リドカインインプラント中の塩酸リドカインの含有量は、40.0%であった。
【0177】
30匹の昆明マウスを、各群6匹ずつ5つの群に無作為化した。2つの塩酸リドカインインプラントを、各マウスの内側後肢筋に移植した。表12に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによる塩酸リドカインのインビボ累積放出を測定した。結果は表12に示す通りである。
【0178】
【表12】

【実施例9】
【0179】
メトトレキサート微粒子の調製:2.0gのカルナウバロウ(融点:81〜88℃)および3.0gのメトトレキサートを混合し、95℃で溶融させた。溶融した混合物を冷却し、得られた固体を粉砕して、約100μmのサイズのメトトレキサート微粒子を生じた。
【0180】
メトトレキサートインプラントの調製:3.0gのポリカプロラクトン(融点:約62℃)および3.0gのメトトレキサート微粒子を混合し、圧縮した。約φ0.9mm×2.0mmのサイズの円筒状顆粒が調製された。調製されたメトトレキサートインプラント中のメトトレキサートの含有量は、30.0%であった。
【0181】
30匹の昆明マウスを、各群6匹ずつ5つの群に無作為化した。1つのメトトレキサートインプラントを、各マウスの内側後肢筋に移植した。表13に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによるメトトレキサートのインビボ累積放出を測定した。結果は表13に示す通りである。
【0182】
【表13】

【実施例10】
【0183】
塩酸ドキソルビシン微粒子の調製:1.0gのカルナウバロウ(融点:約81〜88℃)および1.5gの塩酸ドキソルビシンを混合し、95℃で溶融させた。溶融した混合物を冷却し、得られた固体を粉砕して、約100μmのサイズの塩酸ドキソルビシン微粒子を生じた。
【0184】
塩酸ドキソルビシンインプラントの調製:2.0gのポリ(ラクチド−co−グリコリド)(L−ラクチド/グリコリド=90/10、分子量2.0×104、溶融範囲:70〜79℃)および2.0gの塩酸ドキソルビシン微粒子を混合し、圧縮した。約φ0.9mm×2.0mmのサイズの円筒状顆粒が調製された。調製された塩酸ドキソルビシンインプラント中の塩酸ドキソルビシンの含有量は、30.0%であった。
【0185】
30匹の昆明マウスを、各群6匹ずつ5つの群に無作為化した。1つの塩酸ドキソルビシンインプラントを、各マウスの内側後肢筋に移植した。表14に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによる塩酸ドキソルビシンのインビボ累積放出を測定した。結果は表14に示す通りである。
【0186】
【表14】

【実施例11】
【0187】
硫酸ゲンタマイシンの調製:1.5gのカルナウバロウ(融点:81〜88℃)および3.5gの硫酸ゲンタマイシンを混合し、95℃で溶融させた。溶融した混合物を冷却し、得られた固体を粉砕して、約100μmのサイズの硫酸ゲンタマイシン微粒子を生じた。
【0188】
硫酸ゲンタマイシンインプラントの調製:2.0gのポリ(ラクチド−co−グリコリド)(L−ラクチド/グリコリド=75/25、分子量2.0×104、溶融範囲:68〜76℃)および2.0gの硫酸ゲンタマイシン微粒子を混合し、圧縮した。約φ0.9mm×2.0mmのサイズの円筒状顆粒が調製された。調製された硫酸ゲンタマイシンインプラント中の硫酸ゲンタマイシンの含有量は、35.0%であった。
【0189】
30匹の昆明マウスを、各群6匹ずつ5つの群に無作為化した。1つの硫酸ゲンタマイシンインプラントを、各マウスの内側後肢筋に移植した。表15に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによる硫酸ゲンタマイシンのインビボ累積放出を測定した。結果は表15に示す通りである。
【0190】
【表15】

【実施例12】
【0191】
ミコフェノール酸モフェチル微粒子の調製:2.0gのポリ(L−ラクチド)(分子量:2.0×104、溶融範囲:162〜168℃)をクロロホルムに溶解し、溶液を3.0gのミコフェノール酸モフェチルと混合した。クロロホルムを乾燥するまで蒸発させ、得られた固体を粉砕して、約100μmのサイズのミコフェノール酸モフェチル微粒子を生じた。
【0192】
ミコフェノール酸モフェチルインプラントの調製:2.0gのポリ(CPP−SA)(CPP/SA=22/78、融点:66℃)および1.5gのミコフェノール酸モフェチル微粒子、0.5gのミコフェノール酸モフェチルを混合し、100℃で押出した。約φ0.9mm×2.0mmのサイズの円筒状顆粒が調製された。調製されたミコフェノール酸モフェチルインプラント中のミコフェノール酸モフェチルの含有量は、35.0%であった。
【0193】
30匹の昆明マウスを、各群6匹ずつ5つの群に無作為化した。1つのミコフェノール酸モフェチルインプラントを、各マウスの内側後肢筋に移植した。表16に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによるミコフェノール酸モフェチルのインビボ累積放出を測定した。結果は表16に示す通りである。
【0194】
【表16】

【実施例13】
【0195】
フルオロウラシル微粒子の調製:80.0gのフルオロウラシル、20.0gのメタクリル酸メチル、0.01gの過安息香酸を混合し、標準気圧下、50〜100℃で反応させた。得られた混合物を冷却し、粉砕して、約100μmのサイズのフルオロウラシル微粒子を生じた。
【0196】
フルオロウラシルインプラントの調製:10.0gのポリ(L−ラクチド)、15.0gのフルオロウラシル微粒子を165℃で射出成形した。約φ0.9mm×4.0mmのサイズの円筒状顆粒が調製された。調製されたフルオロウラシルインプラント中のフルオロウラシルの含有量は、47.8%であった。
【0197】
30匹の昆明マウスを、各群6匹ずつ5つの群に無作為化した。1つのフルオロウラシルインプラントを、各マウスの内側後肢筋に移植した。表17に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによるフルオロウラシルのインビボ累積放出を測定した。結果は表17に示す通りである。
【0198】
【表17】

【実施例14】
【0199】
塩酸リドカイン微粒子の調製:2.0gのポリ(ラクチド−co−グリコリド)(L−ラクチド/グリコリド=75/25、分子量2.0×104、溶融範囲:68〜76℃)、3.5gの塩酸リドカインを混合し、100℃で溶融させた。溶融した混合物を冷却し、得られた固体を粉砕して、約100μmのサイズの塩酸リドカイン微粒子を生じた。
【0200】
塩酸リドカインインプラントの調製:2.0gの塩酸リドカイン微粒子を15mlの15%ゼラチン溶液中で混合し、成形型に射出した。蒸発後、得られた生成物を5%グルタルアルデヒド溶液に1時間浸漬し、次いで蒸発のために取り出して、フィルムシートを調製した。調製された塩酸リドカインインプラント中の塩酸リドカインの含有量は、32.1%であった。
【0201】
リン酸緩衝液(pH=7.4)を放出媒質として使用する静的溶解法によって、インビトロ放出プロフィールを測定した。表18に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによる塩酸リドカインのインビボ累積放出を測定した。結果は表18に示す通りである。
【0202】
【表18】

【実施例15】
【0203】
この試験においては、実施例5によって調製したシスプラチンインプラントを使用した。腹水を無菌条件下のd7 H22継代マウスから採取し、該腹水を生理食塩水で希釈して、1.0×107細胞/mlの濃度の腫瘍細胞懸濁液を調製した。各マウスに、右腋窩への0.2ml腫瘍細胞懸濁液の皮下注射を行った(接種された細胞の数:2×106)。接種の翌日にマウスを6つの群に無作為化し、接種後7日目にシスプラチンインプラントまたは添加剤対照を腫瘍付近に移植した。陽性対照群には、接種の翌日にシスプラチンの腹腔内注射を、および週に2回の間隔で計4回の注射を行った。陰性対照群には、接種の翌日に生理食塩水の腹腔内注射を、および週に2回の間隔で計4回の注射を行った。接種後15日目にマウスを屠殺し、腫瘤を剥離し、秤量した。下記の方程式を使用して、腫瘍成長阻害率を算出した。
【0204】
【数1】

【0205】
【表19】

【実施例16】
【0206】
14人の非小細胞肺がん患者を、実施例5によって調製したシスプラチンインプラントで治療した。シスプラチンインプラントは、CT誘導経皮的穿刺によって腫瘍に移植した。治療後、3人の患者は病巣の有意な減少を示し、8人の患者は病巣の安定化を示したのに対し、3人の患者は疾患進行を示した。観察された有害作用には、悪心、嘔吐、食欲減退、体力不足、局所疼痛、わずかな喀血、および微熱が含まれていた。有害作用は概して対症療法後に消失した。
【実施例17】
【0207】
この試験においては、実施例2によって調製したフルオロウラシルインプラントを使用した。活発な成長段階にあるSGC−7901腫瘍組織を得て、約1.5mm3の切片に切断した。腫瘍組織片を、無菌条件下でヌードマウスの右腋窩に皮下接種した。接種後6日目にマウスを6つの群に無作為化した。3つの群を、実施例2によって調製した異なる用量のフルオロウラシルインプラントで処置した。別の群を、接種後6日目に添加剤で処置した。フルオロウラシルインプラントまたは添加剤を腫瘍付近の皮下に移植した。陽性群には、週に2回の間隔で計4回のフルオロウラシルの腹腔内注射を行った。陰性対照群には、週に2回の間隔で計4回の生理食塩水の腹腔内注射を行った。接種後21日目にマウスを屠殺し、腫瘤を剥離し、秤量した。下記の方程式を使用して、腫瘍成長阻害率を算出した。
【0208】
【数2】

【0209】
【表20】

【実施例18】
【0210】
24人の結腸直腸がん患者を、エトポシドインプラントで治療した。エトポシドインプラントは、実施例3によって調製した。約45〜65歳の患者24人に外科手術を行う計画とした。患者の病理学的診断は明瞭であり、該患者らがデュークスB〜C段階にあることを表すものであった。患者は手術および化学療法に耐えられそうであった。各患者の身内から、該患者らをエトポシドインプラント治療群に割り付けることについて同意を得た。
【0211】
性別、罹患領域、病理学的病期および病理型によって患者を対にした。患者を2つの群に分類した。群I(n=14)をエトポシドインプラントで治療した。群Iの各患者には、外科手術の7日前、直腸粘膜下に総量200mgのエトポシドインプラントを受けさせた。エトポシドインプラントは、直腸歯状線の1〜3cm上に位置する3つのチャネルに移植し、各チャネルには60〜70mgのエトポシドインプラントを移植した。群II(n=10)は従来の治療で治療した。手術前にすべての患者から生検組織ブロックを収集し、薬物が移植された組織の対照組織試料として使用した。手術は薬物移植の168時間後に実施した。手術後、約1.0cm×1.0cm×0.5cmのサイズの組織ブロックを、腫瘍部位および移植部位からそれぞれ切断した(腫瘍固定のために組織ブロックを切断できない場合は、手術後に肛門から生検試料を得た)。得られた組織ブロックを10%ホルムアルデヒド溶液によって固定し、続いて脱水し、浄化し、ロウで包埋し、埋設した。調製された組織薄片に通常のHE染色を適用し、続いて病理学的分析を行った。
【0212】
結果は、インプラント群の14人の患者が、インプラント部位の粘膜における壊死も潰瘍も示さず、粘膜下にわずかな挫傷が観察されたことを示した。結腸直腸がん組織薄片をHEで染色し、結果は、薬物移植前の病理学的形態を0度にランク付けし、化学療法後、14人の患者がI〜II等級の変化を示したことを示した(0:変化なし;I等級:がん細胞が膨張し、中空ベシクルが変性し、一部のがん細胞の核が凝縮または溶解し、腺性管(glandular tube)およびがん巣は本質的には破壊されなかった;II等級:がん細胞のほとんどが顕著な変性を示し、大部分の細胞が凝縮した核または溶解した核を示し、がん巣は腺性管から脱離した;III等級:がん細胞のほとんどが死滅し、がん巣は溶解し、ほぼ崩壊および消失した。)。薄片上の1/5を超えるがん細胞が点状(spoty)または線状(pathy)変性を示し、核は溶解または凝縮している。対照群の10人の患者は、手術の前後で病理における明らかな変化を示さなかった。
【0213】
薬物移植前、アポトーシス指数(AI、AI=(アポトーシス細胞の数/がん細胞の総数)×100%)と増殖指数(PI、PI=PCNA陽性細胞の数/がん細胞の総数)×100%)との間に有意差はなかった。非インプラント群において、AIおよびPIは治療後にいかなる有意な変化も示さなかった。インプラント群は、手術後にAIの増加およびPIの減少を示した。薬物移植前に生検において得られたがん組織のAIおよびPIを、薬物移植後の組織薄片のAIおよびPIと比較したところ、結果は、両者が統計的に有意な差(P<0.01)を有することを示した。
【0214】
【表21】

【0215】
エトポシドインプラントを結腸粘膜の下に移植した場合、インプラント部位は出血も明らかな感染も示さなかった。薬物移植の168時間後、インプラント部位に対する病理検査は、炎症性細胞の漏出のいくつかの兆候を示し、結腸粘膜または筋肉組織のいずれについても壊死は観察されず、インプラント部位において潰瘍、出血、壊死または感染のいずれも観察されなかった。血液定期検査、肝臓および腎機能検査、心電図検査において、全身的有害作用は観察されなかった。
【実施例19】
【0216】
実施例2によって調製したフルオロウラシルインプラント組成物を、膵がんに対するその効能について試験した。膵がん細胞株PC3を培養し、70匹のヌードマウスの右腋窩に1回の接種当たり2×106細胞の用量で皮下接種した。移植後4週間、腫瘍を約4mm×4mm×4mmのサイズに成長させた。同様のサイズの腫瘍を有する60匹のヌードマウスを選択し、各群12匹ずつ5つの群に無作為化した:群Aには、眼角動脈を介して生理食塩水を1匹当たり0.1mlの用量で静脈内投与し;群Bには、眼角動脈を介して生理食塩水中フルオロウラシル溶液0.1mlを10mg/kgの用量で静脈内投与し;群Cにはブランクマトリックスを移植し;群Dにはフルオロウラシルインプラント組成物を膵腫瘤に4mg/kgの用量で移植し;かつ群Eにはフルオロウラシルインプラント組成物を膵腫瘤に1mg/kgの用量で移植した。処置の前後に腫瘤のサイズを測定した。結果を表22に示す。
【0217】
【表22】

【実施例20】
【0218】
実施例12によって調製したミコフェノール酸モフェチルインプラント組成物を、腎炎に対するその効能について試験した。
【0219】
150gから170gまでの範囲の体重を有する30匹の雌SDラットを、各群10匹ずつ3つの群に無作為化した。対照群、罹患群および治療群のそれぞれが10匹のラットを有する。罹患群のラットおよび治療群のラットには、いずれも尾静脈を介してドキソルビシンの注射1回を7.5mg/kgの用量で投与した。対照群のラットには、同量の生理食塩水の注射1回を投与した。ラットには標準飼料を与え、食糧および水には自由にアクセスさせた。ドキソルビシンの注射後2日目、治療群のラットには20mg/kgのミコフェノール酸モフェチルインプラントを左右両側の腎被膜に移植し、罹患群のラットおよび対照群のラットには、同量の蒸留水を強制飼養した。ドキソルビシン/生理食塩水の注射1日前、注射後14日目および28日目に、ラットの尿を24時間収集し、収集された尿試料中のタンパク質量を測定した。14日目に収集された尿試料中のタンパク質量が150mg/24時間を上回る場合、該ラットを成功した動物モデルとみなし、試験に取り込んだ。注射後28日目にすべてのラットを屠殺し、総タンパク質(TP)、アルブミンタンパク質(ALB)、トリグリセリド(TG)、コレステロール(Chol)、尿素窒素(BUN)およびクレアチニン(Cr)のレベルを測定した。
【0220】
【表23】

【0221】
【表24】

【実施例21】
【0222】
実施例11によって調製した硫酸ゲンタマイシンインプラントを、筋肉内移植後の局所分布および拡散について試験した。
【0223】
14匹の雌イヌおよび21匹の雄イヌを含む35匹の雑種イヌを7つの群に分け、各群に2匹の雌イヌおよび3匹の雄イヌを含めた。各イヌには、右後肢の外側の大腿二頭筋に硫酸ゲンタマイシンインプラントを10mg/kgの用量で移植した。所与の時点で1つの群のイヌを屠殺し、薬物を移植した後肢を得て、皮を取り除いて凍結させた。移植部位周辺の領域から筋肉組織試料を取り出した。移植部位を起点としてX軸およびY軸を筋肉組織上に設定した。X軸およびY軸に沿って10mmの間隔で筋肉組織を採取した。筋肉組織試料中の硫酸ゲンタマイシンの濃度を測定して、筋肉への移植後の硫酸ゲンタマイシンの分布および拡散を研究した。結果を表25に示す。
【0224】
【表25】

【実施例22】
【0225】
実施例8によって調製した塩酸リドカインインプラントを、10人の乳がん患者に外科手術中に投与し、ここで、5人の患者には50mg/患者の用量で投与し、5人の患者には100mg/患者の用量で投与した。移植後、10人の患者はいずれも手術領域における知覚できる痛みを明示しなかった。
【実施例23】
【0226】
ニフェジピン微粒子の調製:2gのエチルセルロースおよび3gのニフェジピンを混合し、クロロホルムに完全に溶解した。溶媒クロロホルムを乾燥するまで蒸発させた。得られた固体を粉砕して、約90μmのサイズの微粒子を生じた。
【0227】
ニフェジピンインプラントの調製:2gのポリ(ラクチド−co−グリコリド)(L−ラクチド/グリコリド=90/10、分子量1.6×104、溶融温度範囲:68〜76℃)、0.3gのポリエチレングリコール(4000)および3.7gのニフェジピン微粒子を混合し、圧縮して、φ0.9mm×2mmのサイズの円筒状顆粒を調製した。調製されたニフェジピンインプラント中のニフェジピン含有量は、37.0%であった。
【0228】
30匹の昆明マウスを、各群6匹ずつ5つの群に無作為化した。1つのニフェジピンインプラントを、各マウスの内側後肢筋に移植した。表26に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによるニフェジピンのインビボ累積放出を測定した。そして結果は表26に示す通りである。
【0229】
【表26】

【実施例24】
【0230】
PLGA(固有粘度:33.40)の乾燥粉末を錠剤に直接圧縮し、ラットの背部の皮下に移植した。インプラントの分解を表27に示した。
【0231】
【表27】

【実施例25】
【0232】
PLLA(固有粘度:47.21)の乾燥粉末を錠剤に直接圧縮し、ラットの背部の皮下に移植した。インプラントの分解を表28に示した。
【0233】
【表28】

【実施例26】
【0234】
フルオロウラシル微粒子の調製:シクロヘキサンを使用して5%シリコーンゴム溶液を調製し、コーティング溶液として使用した。フルオロウラシル粉末を、コーティング溶液によって10回コーティングし、凝固させた。微粒子中のフルオロウラシル含有量は、94.8%であった。
【0235】
フルオロウラシルマイクロインプラントの調製:5.0gのポリ(L−ラクチド)および9.0gのフルオロウラシル微粒子を混合した。溶融射出成形法によって、約φ0.9mm×4.0mmのサイズの円筒状顆粒が調製された。調製されたフルオロウラシルインプラント中のフルオロウラシルの含有量は、60.9%であった。
【0236】
30匹の昆明マウスを、各群6匹ずつ5つの群に無作為化した。1つのフルオロウラシルインプラントを、各マウスの内側後肢筋に移植した。表29に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによるフルオロウラシルのインビボ累積放出を測定した。そして結果は表29に示す通りである。
【0237】
【表29】

【実施例27】
【0238】
実施例26において提供されたフルオロウラシルマイクロインプラントの放出プロフィールを、第2の材料なしで調製されたフルオロウラシルマイクロインプラントの放出プロフィールと比較した。
【0239】
第2の材料のないフルオロウラシルマイクロインプラントは、下記の通りに調製した:5.0gのポリ(L−ラクチド)および7.8gのフルオロウラシルを混合した。溶融射出成形法によって、約φ0.9mm×4.0mmのサイズの円筒状顆粒が調製された。調製されたフルオロウラシルインプラント中のフルオロウラシルは、60.9%であった。
【0240】
30匹の昆明マウスを、各群6匹ずつ5つの群に無作為化した。1つのフルオロウラシルインプラントを、各マウスの内側後肢筋に移植した。表30に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによるフルオロウラシルのインビボ累積放出を測定した。そして結果は表30に示す通りである。
【0241】
【表30】

【0242】
実施例26のフルオロウラシルマイクロインプラントおよび実施例27のフルオロウラシルマイクロインプラントにおけるフルオロウラシル含有量は同じであり、いずれもインプラントの60.9%重量パーセントであった。そこで、放出されたフルオロウラシルのパーセントを比較した。表29は、実施例26のインプラントが10日後にフルオロウラシルの約31%を放出したことを示しているが、表30に示す通り、実施例27のインプラントは10日後にフルオロウラシルの約87%を放出した。実施例26のインプラントは、移植後70日たってもフルオロウラシルを放出し続けた。結果は、実施例26のフルオロウラシルインプラントが実施例27のインプラントによって達成されるよりも大幅に長い放出期間を実証したことを示した。
【実施例28】
【0243】
硫酸ゲンタマイシン微粒子の調製:3.0gのカルナウバロウ(溶融温度範囲:81〜88℃)および7.0gの硫酸ゲンタマイシンを混合し、95℃で溶融させた。溶融した混合物を冷却し、得られた固体を粉砕して、約100μmのサイズの硫酸ゲンタマイシン微粒子を生じた。
【0244】
硫酸ゲンタマイシンインプラントの調製:7.2gの(L−ラクチド−グリコリド)(L−ラクチド/グリコリド=75/25、分子量2.0×104、溶融温度範囲68〜76℃)、8.0gの硫酸ゲンタマイシン微粒子および8.0gのステアリルアルコールを混合した。混合粉末を錠剤に直接圧縮して、硫酸ゲンタマイシンインプラントを調製した。硫酸ゲンタマイシンインプラント中の硫酸ゲンタマイシン含有量は、35.0%であった。
【0245】
30匹の昆明マウスを、各群6匹ずつ5つの群に無作為化した。1つの硫酸ゲンタマイシンインプラントを、各マウスの内側後肢筋に移植した。表31に表されている通りの時点で試料を収集した。インプラントによる硫酸ゲンタマイシンのインビボ累積放出を測定した。そして結果は表31に示す通りである。
【0246】
【表31】

【実施例29】
【0247】
3匹の雌および3匹の雄を含む6匹の雑種イヌを駆虫し、12時間絶食させた。各イヌには、右後肢の外側の大腿二頭筋に硫酸ゲンタマイシンインプラントを20mg/kgの用量で移植した。所与の時点で末梢静脈から血液試料を抜き取り、抗凝固剤でコーティングした管に入れた。血液試料中の硫酸ゲンタマイシンの濃度を測定し、結果を表32に示した。
【0248】
【表32】

【0249】
3匹の雌および3匹の雄を含む6匹の雑種イヌを駆虫し、12時間絶食させた。各イヌには、右後肢の外側の大腿二頭筋に硫酸ゲンタマイシン注射を20mg/kgの用量で注射した。所与の時点で末梢静脈から血液試料を抜き取り、抗凝固剤でコーティングした管に入れた。血液試料中の硫酸ゲンタマイシンの濃度を測定し、結果を表33に示した。
【0250】
【表33】

【0251】
本発明をその好ましい形態で開示してきたが、下記の請求項で説明される通りの本発明およびその均等物の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正、追加および削除がその中で為され得ることが当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックスに動作可能に結合されている複数の微粒子を含む制御放出組成物であって、
複数の微粒子は第1の材料および第1の活性剤を含み、
マトリックスは第2の材料を含み、
第1の材料は初期溶融温度THを有し、
第2の材料は完全溶融温度TLを有し、
ΔT=TH−TLであり、かつ
ΔT>0である、
制御放出組成物。
【請求項2】
第1の材料または第2の材料が、ポリマーまたは非ポリマー有機化合物である、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項3】
第1の材料および第2の材料が、ポリマーまたは非ポリマー有機化合物のいずれかである、請求項2に記載の制御放出組成物。
【請求項4】
第1の材料がポリマーであり、第2の材料が非ポリマー有機化合物である、請求項2に記載の制御放出組成物。
【請求項5】
第1の材料が非ポリマー有機化合物であり、第2の材料がポリマーである、請求項2に記載の制御放出組成物。
【請求項6】
第1の材料が、ポリマーと非ポリマー有機化合物との組合せである、請求項2に記載の制御放出組成物。
【請求項7】
第2の材料が、ポリマーと非ポリマー有機化合物との組合せである、請求項2に記載の制御放出組成物。
【請求項8】
第1の材料または第2の材料が、L−乳酸、サッカリド、シュウ酸エチレングリコール、p−ジオキサノン、ε−カプロラクトン、エチルシアノアクリレート、ブチルシアノアクリレート、β−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシブチレート、4−ヒドロキシバレレート、1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン、セバシン酸、D−グルコース、グルコースの酢酸エステル、ヒドロキシル基で置換されているグルコース、グリコール酸、ε−カプロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、セバシン酸無水物、ドデカン酸無水物、エチレングリコール、オキシエチレン、1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン、3−ヒドロキシバレレート、カプロラクトン、メタクリル酸メチル、ゼラチン、イソロイシン、ロイシン、アラニン、アスパラギン、リシン、メチオニン、アスパラギン酸、システイン、トリプトファン、バリン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、アデニン、グアニン、チミン、シトシンおよびジメチルシロキサンからなる群から独立に選択される少なくとも1つのモノマーによって形成されたポリマーを含む、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項9】
第1の材料または第2の材料が、ポリ(L−乳酸)、デキストラン、ポリ(シュウ酸エチレングリコール)、ポリ(p−ジオキサノン−co−ε−カプロラクトン)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)、コレステロール、酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼイン、ポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(1,4−ジオキサン−2−オン)、ポリ(セバシン酸無水物)、ポリ(ドデカン酸無水物)、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレン、ステアリン酸、ステアリルアルコール、エチレングリコールパルミトステアレート、セチルエステルロウ、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)、カルナウバロウ、エチルセルロース、オクタデカノール、ポリカプロラクトン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(ゼラチン)およびシリコーンゴムからなる群から独立に選択される、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項10】
第1の材料が、
(i)ポリ(L−乳酸)と、デキストラン、ポリ(シュウ酸エチレングリコール)、ポリ(p−ジオキサノン−co−ε−カプロラクトン)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)、コレステロール、酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびゼインからなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ、
(ii)ポリ(シュウ酸エチレングリコール)と、デキストラン、ポリ(p−ジオキサノン−co−ε−カプロラクトン)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)、コレステロール、酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびゼインからなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ、
(iii)ポリ(β−ヒドロキシブチレート)と、デキストラン、ポリ(p−ジオキサノン−co−ε−カプロラクトン)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)、コレステロール、酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびゼインからなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ、
(iv)ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)と、デキストラン、ポリ(p−ジオキサノン−co−ε−カプロラクトン)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシバレレート)、コレステロール、酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびゼインからなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ、
(v)ポリ(ブチルシアノアクリレート)と、デキストラン、ポリ(p−ジオキサノン−co−ε−カプロラクトン)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)、コレステロール、酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびゼインからなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ、ならびに
(vi)(i)、(ii)、(iii)、(iv)または(v)の組合せ
からなる群から選択される、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項11】
第2の材料が、
(i)ポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)と、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(1,4−ジオキサン−2−オン)、ポリ(セバシン酸無水物)、ポリ(ドデカン酸無水物)、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレン、ステアリン酸、ステアリルアルコール、エチレングリコールパルミトステアレート、セチルエステルロウ、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ、
(ii)ポリ(ε−カプロラクトン)と、ポリ(1,4−ジオキサン−2−オン)、ポリ(セバシン酸無水物)、ポリ(ドデカン酸無水物)、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレン、ステアリン酸、ステアリルアルコール、エチレングリコールパルミトステアレート、セチルエステルロウ、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ、
(iii)ポリ(1,4−ジオキサン−2−オン)と、ポリ(セバシン酸無水物)、ポリ(ドデカン酸無水物)、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレン、ステアリン酸、ステアリルアルコール、エチレングリコールパルミトステアレート、セチルエステルロウ、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ、ならびに
(iv)ポリ(セバシン酸無水物)と、ポリ(ドデカン酸無水物)、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレン、ステアリン酸、ステアリルアルコール、エチレングリコールパルミトステアレート、セチルエステルロウ、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ、ならびに
(v)(i)、(ii)、(iii)または(iv)の組合せ
からなる群から選択される、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項12】
第1の材料および第2の材料が、ポリ(L−乳酸)およびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸);ポリ(L−乳酸)およびポリ(ε−カプロラクトン);ポリ(L−乳酸)およびポリ(1,4−ジオキサン−2−オン);ポリ(L−乳酸)およびポリ(セバシン酸無水物);ポリ(L−乳酸)およびポリ(ドデカン酸無水物);ポリ(L−乳酸)およびポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸);ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)およびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸);ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)およびポリ(ε−カプロラクトン);ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸)およびポリ(1,4−ジオキサン−2−オン);ポリ(ブチルシアノアクリレート)およびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸);ポリ(ブチルシアノアクリレート)およびポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸);ポリ(エチルシアノアクリレート)およびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸);ポリ(エチルシアノアクリレート)およびポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸);ポリ(シュウ酸エチレングリコール)およびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸);ポリ(シュウ酸エチレングリコール)およびポリ(ε−カプロラクトン);ポリ(シュウ酸エチレングリコール)およびポリ(1,4−ジオキサン−2−オン);ポリ(シュウ酸エチレングリコール)およびポリ(セバシン酸無水物);ポリ(シュウ酸エチレングリコール)およびポリ(ドデカン酸無水物);ポリ(シュウ酸エチレングリコール)およびポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸);デキストランおよびポリ(ブチルシアノアクリレート);デキストランおよびポリ(エチルシアノアクリレート);デキストランおよびポリ(L−乳酸);デキストランおよびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸);デキストランおよびポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−co−セバシン酸);デキストランおよびポリ(セバシン酸無水物);酢酸セルロースおよびポリ(L−乳酸);酢酸セルロースおよびポリ(ブチルシアノアクリレート);酢酸セルロースおよびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸);酢酸セルロースおよびポリ(セバシン酸無水物);ならびに酢酸セルロースおよびポリ(ドデカン酸無水物);カルナウバロウおよびポリ(ラクチド−co−グリコリド);エチルセルロースおよびオクタデカノール;カルナウバロウおよびポリカプロラクトン;ポリ(メタクリル酸メチル)およびポリ(L−ラクチド);ポリ(ラクチド−co−グリコリド)およびポリ(ゼラチン);シリコーンゴムおよびポリ(L−ラクチド);エチルセルロースおよびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)とポリ(エチレングリコール)との組合せ;ポリ(L−乳酸)とデキストランとの組合せおよびポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)とポリ(エチレングリコール)との組合せ;ならびに、デキストランおよびポリ(L−ラクチド)とポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)との組合せからなる群から選択される材料の対である、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項13】
ΔT≧約2℃である、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項14】
ΔT≧約5℃である、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項15】
ΔT≧約10℃である、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項16】
ΔT≧約20℃である、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項17】
ΔT≧約30℃である、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項18】
ΔT≧約40℃である、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項19】
ΔT≧約50℃である、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項20】
第1の材料が生分解性材料である、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項21】
第2の材料が生分解性材料である、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項22】
第2の材料が第1の材料よりも速く分解する、請求項21に記載の制御放出組成物。
【請求項23】
第1の材料および第2の材料が、ポリ(L−ラクチド酸)およびポリ(ラクチド−co−グリコリド酸)からなる群から選択される材料の対である、請求項22に記載の制御放出組成物。
【請求項24】
第1の活性剤または第2の活性剤が、局所麻酔薬、抗てんかん薬および抗けいれん薬、抗アルツハイマー病薬、鎮痛薬、抗痛風薬、抗高血圧薬、抗不整脈薬、利尿薬、肝臓疾患を治療するための薬物、膵疾患を治療するための薬物、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、グルココルチコイド薬、性ホルモン薬および避妊薬、血糖降下薬、抗骨粗しょう症薬、抗生物質、スルホンアミド、キノロンおよび他の合成抗菌薬、抗結核薬、抗ウイルス薬、抗新生物薬、免疫調節薬、ならびに化粧品活性剤からなる群から独立に選択される、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項25】
微粒子が、重量パーセント約2%から約98%の第1の材料と、約2%から約98%の第1の活性剤とを含む、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項26】
微粒子が第1の添加物をさらに含む、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項27】
微粒子中の第1の添加物の重量パーセントが約0%から約30%までの範囲である、請求項26に記載の制御放出組成物。
【請求項28】
複数の微粒子の少なくとも1つがコーティングをさらに含む、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項29】
マトリックスが第2の活性剤をさらに含む、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項30】
制御放出組成物中の第2の活性剤の重量パーセントが約0%から約70%までの範囲である、請求項29に記載の制御放出組成物。
【請求項31】
マトリックスが第2の添加物をさらに含む、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項32】
制御放出組成物中の第2の添加物の重量パーセントが約0%から約30%までの範囲である、請求項31に記載の制御放出組成物。
【請求項33】
約1%から約95%の微粒子を含む、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項34】
複数の微粒子が、マトリックス中に均一に分布しているまたは埋め込まれている、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項35】
複数の微粒子が、所定のパターンに従って、マトリックス中に分布しているまたは埋め込まれている、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項36】
コーティングを含む、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項37】
微粒子の少なくとも1つが、1μmから約5000μmまでの範囲のサイズのものである、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項38】
複数の微粒子の少なくとも1つが、約20μmから約1000μmまでの範囲のサイズのものである、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項39】
約0.2mmから約200mmのサイズのものである、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項40】
約0.5mmから約20mmのサイズのものである、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項41】
医薬組成物である、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項42】
移植可能な医薬組成物である、請求項1に記載の制御放出組成物。
【請求項43】
マトリックスに動作可能に結合されている複数の微粒子を含む制御放出組成物を作製するための方法であって、
第1の材料および第1の活性剤を含む複数の微粒子を調製するステップと、
複数の微粒子をマトリックス形成組成物に施し、それによって第2の材料を含む制御放出組成物を形成するステップとを含み、ここで、
第1の材料は初期溶融温度THを有し、
第2の材料は完全溶融温度TLを有し、
ΔT=TH−TLであり、かつ
ΔT>0である、
方法。
【請求項44】
第1の材料または第2の材料が、ポリマーまたは非ポリマー有機化合物である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
第1の材料および第2の材料が、ポリマーまたは非ポリマー有機化合物のいずれかである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
第1の材料がポリマーであり、第2の材料が非ポリマー有機化合物である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
第1の材料が非ポリマー有機化合物であり、第2の材料がポリマーである、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
第1の材料がポリマーと非ポリマー有機化合物との組合せである、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
第2の材料がポリマーと非ポリマー有機化合物との組合せである、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
第1の材料が非ポリマー有機化合物であり、第2の材料がポリマーである、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
マトリックス形成組成物を温度Tmに加熱するステップをさらに含み、ここでTH>Tm>TLである、請求項43に記載の方法。
【請求項52】
制御放出組成物にコーティングを施すステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項53】
制御放出組成物が、押出法、押出成形法、射出成形法、圧縮成形法、流延法、コーティング法およびカレンダー法からなる群から選択される方法を使用することによって形成される、請求項43に記載の方法。
【請求項54】
マトリックス形成組成物を溶媒に溶解するステップをさらに含み、ここで、マトリックス形成組成物は溶媒に可溶であるのに対し、第1の材料または第1の材料を含む微粒子はその溶媒に実質的に不溶である、請求項43に記載の方法。
【請求項55】
対象における状態を治療する方法であって、対象に制御放出組成物を投与するステップを含み、ここで、
制御放出組成物はマトリックスに動作可能に結合されている複数の微粒子を含み、
複数の微粒子は第1の材料および第1の活性剤を含み、
マトリックスは第2の材料を含み、
第1の材料は初期溶融温度THを有し、
第2の材料は完全溶融温度TLを有し、
ΔT=TH−TLであり、かつ
ΔT>0である、
方法。
【請求項56】
状態が病的状態である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
状態が、老化、狭心症、アンチトロンビン欠乏症、不整脈、アテローム性動脈硬化症、心房細動、心房粗動、凝血塊、心虚血、心臓手術、心筋症、心血管の異常、頸動脈疾患、胸痛、循環障害、跛行、膠原血管病、先天性心疾患、鬱血性心不全、冠動脈疾患、糖尿病、糖尿病および高血圧、脂質異常症、リズム障害、トリグリセリド上昇、心臓欠損、心疾患、心不全、心臓弁膜症、血管腫、高コレステロール、高トリグリセリド血症、間欠性跛行、高血圧、川崎病、心臓発作、心筋虚血、起立性低血圧、末梢動脈疾患、末梢動脈閉塞性疾患、末梢血管疾患、レイノー病、禁煙、頻脈(頻拍)、血栓症、静脈瘤、血管疾患、静脈性下腿潰瘍、歯肉炎、歯肉疾患、口臭、口腔がん、歯周疾患、顎関節障害、顎関節症候群、日焼け、座瘡、皮膚老化、脱毛症、感覚消失、足白癬、アトピー性皮膚炎、床擦れ(褥瘡性潰瘍)、腱膜瘤、熱傷、熱傷後感染、単純疱疹(口唇ヘルペス感染)、先天性皮膚疾患、接触性皮膚炎、皮膚エリテマトーデス、糖尿病性足潰瘍、湿疹、多汗、ファブリー病、真菌感染、性器ヘルペス、生殖器疣、脱毛、体毛除去、手の皮膚炎、アタマジラミ、血管腫、遺伝性血管浮腫、単純ヘルペス感染、帯状ヘルペス感染、ヘルペス性神経痛、じんま疹、魚鱗癬、虚血性足潰瘍、角化症、ループス、男性型脱毛症、悪性黒色腫、医療用義肢、黒色腫、伝染性軟属腫、菌状息肉腫、爪甲真菌症、尋常性天疱瘡、ヘルペス後神経痛、褥瘡、乾癬および乾癬性障害、乾癬性関節炎、剃刀負け、酒さ、サルコイドーシス、頭皮障害、瘢痕組織、強皮症、脂漏症、脂漏性皮膚炎、帯状疱疹、皮膚がん、皮膚感染、皮膚脂肪腫、皮膚創傷、日光性色素斑、スポロトリクム症、ブドウ球菌皮膚感染、鬱滞性皮膚炎、妊娠線、全身性真菌感染、日光中毒、白癬、頭部白癬、癜風、皮膚掻痒、白斑、いぼ、創傷、先端巨大症、副腎がん、先天性副腎過形成、真性糖尿病(I型およびII型)、真性糖尿病(I型)、真性糖尿病(II型)、糖尿病性胃不全麻痺、糖尿病性腎臓疾患、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性硝子体出血、脂質異常症、女性ホルモン欠乏/異常症、フレドリクソンIII型高リポタンパク血症、成長ホルモン欠乏/異常症、女性化乳房、体毛除去、高脂血症、ホルモン欠乏症、顔面紅潮、副甲状腺機能亢進症、特発性低身長、適応症:II型糖尿病、男性ホルモン欠乏/異常症、マッキューンオルブライト症候群、更年期障害、代謝症候群、肥満、卵巣がん、膵がん、膵障害、膵炎、副甲状腺がん、副甲状腺疾患、副甲状腺障害、閉経期、下垂体障害、多嚢胞性卵巣症候群、更年期後障害、更年期後骨減少、性的早熟、原発性インスリン分泌過多、重篤な低身長、性的機能障害、甲状腺疾患、甲状腺障害、ターナー症候群、ウィルムス腫瘍、ウィルソン病、腹部がん、アカラシア、アルファ1アンチトリプシン欠乏症、裂肛、虫垂炎、バレット食道、胆道がん、腸機能障害、セリアック病、慢性下痢、クロストリジウム・ディフシレ(clostridium difficile)関連下痢症、結腸がん、結腸ポリープ、結腸直腸がん、便秘症、クローン病、糖尿病性胃不全麻痺、消化器系新生物、十二指腸潰瘍、ファブリー病、便失禁、機能性消化不良、胆嚢障害、胃がん、胃潰瘍、胃腸炎、胃食道逆流性疾患、胃腸疾患および障害、胃不全麻痺、胸やけ、ヘリコバクター・ピロリ(helicobacter pylori)、痔核、肝性脳症、肝炎、腸閉塞、感染性結腸炎、炎症性腸疾患、腹腔内感染、過敏性腸症候群、肝臓疾患、肝臓障害、非びらん性逆流性疾患、非潰瘍消化不良、移植術後の臓器拒絶反応、術後悪心および嘔吐、嘔吐、直腸がん、直腸障害、再発性下痢、胃がん、胃の不快感、潰瘍性結腸炎、異常血管、急性骨髄性白血病、貧血、貧血(非ホジキンリンパ腫)、非小細胞肺がん、貧血がん、動脈瘤、抗リン脂質症候群、アンチトロンビン欠乏症、再生不良性貧血、凝血塊、カンジダ性敗血症/カンジダ症、慢性腎性貧血、ゴーシェ病、血液がん、血液障害、発作性血色素尿症、出血、高カルシウム血症、低ガンマグロブリン血症、低ナトリウム血症、特発性血小板減少性紫斑病、島細胞がん、白血病、B細胞リンパ腫、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、心筋虚血、閉塞、血小板欠乏症、血小板障害、赤血球障害、腎性貧血、セザリー症候群、鎌状赤血球病、T細胞リンパ腫、サラセミア、血小板減少症、ビルブラント卿病、白血球障害、後天性免疫不全症候群(AIDS)、AIDS関連感染、急性鼻炎、アレルギー、喘息、肛門形成異常、細菌感染、アフタ性口内炎、セリアック病、子宮頸部形成異常、水痘、慢性疲労症候群、風邪、分類不能型免疫不全症、細菌性結膜炎、慢性閉塞性肺疾患、皮膚カンジダ症、皮膚T細胞リンパ腫、サイトメガロウイルス感染、皮膚筋炎、発熱、移植片対宿主病、肝炎、B型肝炎、C型肝炎、HIV感染、HIV/AIDS、ヒトパピローマウイルス感染、低ガンマグロブリン血症、特発性炎症性筋疾患、インフルエンザ、腹腔内感染、カポジ肉腫、ループス、ダニライム病、トリ型結核菌複合感染、髄膜炎、爪甲真菌症、鵞口瘡、肺炎、多発性筋炎(炎症性筋疾患)、ヘルペス後神経痛、原発性免疫不全障害、呼吸器合胞体ウイルス感染、リウマチ熱、アレルギー性鼻炎、ロタウイルス感染、サルコイドーシス、セプシスおよび敗血症、性伝染疾患、帯状疱疹、シェーグレン症候群、天然痘、軟部組織感染、ブドウ球菌感染、ブドウ球菌性皮膚感染、連鎖球菌性咽頭炎、全身性カンジダ症、全身性エリテマトーデス、咽頭および扁桃腺感染、皮膚掻痒、バンコマイシン耐性エンテロコッカス(enterococcus)、ウエストナイルウイルス感染、先端巨大症、強直性脊椎炎、骨量減少、スポーツ外傷、骨疾患、骨への転移、乳房痛、腱膜瘤、滑液包炎、手根管症候群、軟骨損傷、胸痛、慢性腰痛、慢性下肢痛、慢性疼痛、慢性肩痛、跛行、先天性乳酸アシドーシス、結合組織疾患、皮膚筋炎、デュピュイトラン病、線維筋痛、肩関節周囲炎、癒着性関節包炎、痛風(高尿酸血症)、特発性炎症性筋疾患、間欠性跛行、関節損傷、膝損傷、多発性硬化症、筋肉痛、筋ジストロフィー、筋骨格疾患、重症筋無力症(慢性脱力)、全身型重症筋無力症、整形、変形性関節症、骨髄炎、骨粗しょう症、骨肉腫、ページェット病、内側半月板部分切除、副甲状腺疾患、閉経後の骨減少、閉経後の骨粗しょう症、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、関節リウマチ、坐骨神経痛、脊髄障害、脊髄悪性腫瘍、脊椎関節形成、捻挫、腱損傷、テニス肘、チック障害、肛門形成異常、良性前立腺過形成、膀胱がん、膀胱障害、血がん、カテーテル合併症、慢性骨盤痛、糖尿病性腎臓疾患、遺尿症、勃起機能障害、ファブリー病、夜間頻尿、尿生殖器脱出症、糸球体腎炎、糸球体硬化症、特発性膜性腎症、インポテンス、間質性膀胱炎、腎臓がん、腎臓疾患、腎臓不全、腎臓結石、肝臓がん、低テストステロン、乳房切除術、医療用義肢、腎症、ペーロニー病、早漏、前立腺がん、前立腺障害、前立腺上皮内新生物、タンパク尿、ライター症候群、腎動脈疾患、腎細胞癌、腎不全、精巣がん、チロシン血症、尿道狭窄、尿失禁、尿路感染、尿路上皮がん、男性の勃起機能障害および女性の性機能障害、全身血圧、妊娠中絶、降圧制御、血小板凝集阻害、肺疾患、胃腸疾患、炎症、ショック、生殖、受胎能、骨量減少、骨折、骨粗しょう症、転移性骨疾患、ページェット病、歯周疾患、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫疾患、顔面紅潮、LDLコレステロールレベル上昇、心血管疾患、認知機能の低下、脳変性障害、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、不安症、エストロゲン欠乏による鬱病、閉経期の鬱病、産後鬱病、月経前症候群、躁鬱病、不安症、認知症、強迫的行動、注意欠陥障害、睡眠障害、易刺激性、衝動性、免疫不全、自己免疫疾患、アンガーマネジメント、多発性硬化症およびパーキンソン病、炎症、炎症状態、炎症性腸疾患、呼吸器疾患、性的機能障害、高血圧、網膜変性、喘息、がん、関節リウマチ、慢性炎症性障害、糖尿病、慢性疼痛、中枢神経系疾患、心血管疾患、腎疾患、生殖器疾患、感染、てんかん、微小循環改善、薬物離脱症候群、骨髄疾患、ならびに浮腫からなる群から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
状態ががん状態である、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
がん状態が、癌腫、芽細胞腫、肉腫、胚細胞腫瘍、血液またはリンパ性悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、扁平上皮細胞がん、肺がん(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺腺癌または肺扁平上皮細胞癌)、腹膜がん、肝臓がん(例えば、肝細胞癌/肝腫)、胃がん(例えば胃腸がん)、膵がん、脳腫瘍(例えば、膠芽細胞腫/多形性膠芽腫(GBM)、非膠芽細胞腫脳腫瘍または髄膜腫)、神経膠腫(例えば、上衣腫、星状細胞腫、未分化星細胞腫、乏突起膠腫、または乏突起星細胞腫等の混合性神経膠腫)、頸部がん、卵巣がん、子宮頸がん、肝臓がん(例えば、肝芽腫、肝細胞癌/肝腫または肝癌)、膀胱がん(例えば尿路上皮がん)、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、直腸がん、子宮内膜または子宮癌、唾液腺癌、食道癌、腎臓がんまたは腎がん(例えば腎臓の桿状腫瘍)、前立腺がん、外陰部がん、陰茎がん、肛門がん(例えば肛門扁平上皮細胞癌)、甲状腺がん、副甲状腺癌、頭頸部がん(例えば、上咽頭がん、舌体腫瘍、歯肉新生物および扁桃腺腫瘍)、皮膚がん(例えば、黒色腫または扁平上皮細胞癌)、骨肉腫、骨癌、肉腫性骨腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、軟部組織肉腫(例えば、横紋筋肉腫、線維肉腫、カポジ肉腫)、カルチノイドがん、眼がん(例えば網膜芽細胞腫)、中皮腫、リンパ球性/リンパ芽球性白血病(例えば、T細胞系列および前駆B細胞系列両方の急性リンパ球性/リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ芽球性/リンパ球性白血病(CLL)、マスト細胞性白血病を含む急性骨髄性/骨髄芽球性白血病(AML)、慢性骨髄性/骨髄球性/骨髄芽球性白血病(CML)、有毛細胞白血病(HCL)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、バーキットリンパ腫(BL)、菌状息肉腫、セザリー症候群、皮膚T細胞リンパ腫、マスト細胞新生物、髄芽腫、腎芽細胞腫、孤立性形質細胞腫、骨髄異形成症候群、慢性および非慢性骨髄増殖性障害、中枢神経系腫瘍、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、未分化神経外胚葉性腫瘍、上衣腫、脈絡叢乳頭腫、真性赤血球増加症、血小板血症、特発性骨髄線維症、ならびに小児肉腫(例えば、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫および骨肉腫)等の小児がんからなる群から選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
状態が生理学的状態である、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
生理学的状態が、老化、避妊、創傷治癒および術後癒着からなる群から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
状態が美容状態である、請求項55に記載の方法。
【請求項63】
美容状態が、皮膚老化(例えば、シワ、弾力性の喪失、タルミ、色ムラ、および基底組織塊の喪失)、美容上の欠陥(例えば、妊娠線、伸展性皮膚線条、萎縮性瘢痕、創傷もしくは手術瘢痕、または脱毛)、望ましくない色素沈着、または、例えば、ケミカルピーリング、皮膚擦傷法、レーザーリサーフェシング、アブレーションリサーフェシング、非アブレーションリサーフェシング、光線力学的療法、非コヒーレント光線療法、乳房リフト、顔リフト、眼瞼リフト、額リフト、首リフト、大腿部リフト、臀部リフト、腹部形成手術および瘢痕修正による美容的手順後の損傷からなる群から選択される、請求項62に記載の方法。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−511519(P2012−511519A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539885(P2011−539885)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/CN2009/075468
【国際公開番号】WO2010/066203
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(511140552)アンフイ ジョンレン テクノロジー コーポレイション,リミテッド (1)
【Fターム(参考)】