説明

削孔装置

【課題】ダウンホールザハンマーを用いた削孔装置において、周辺環境を損ねることなく高精度の削孔作業を実現する。
【解決手段】削孔位置の地面上に、筒状形体を有し且つその外周に排出口26が設けられた外周壁21と該外周壁21の上端側を覆うとともにその略中心位置に円筒壁24が設けられた天井壁25を備えて構成されるユニット本体11と、上記円筒壁24内に内挿配置されるとともに上記ダウンホールザハンマー4が挿通配置される調整アダプタ12を備えた作業支援ユニット10を固定設置する。係る構成によれば、上記調整アダプタ12と上記円筒壁24との径方向における係合によってダウンホールザハンマー4の芯振れが規制され精度の高い削孔作業が実現される。また、掘削土からの粉塵の飛散が抑制されるとともに、掘削土及びエアーの噴出に伴って発生する騒音も抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ダウンザホール工法による削孔作業に供せられる削孔装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダウンザホール工法とは、圧縮空気作動式のピストンを内蔵し且つ先端にハンマービッドを備えてなるダウンホールザハンマーを使用し、上記ハンマービッドの回転と打撃によって削孔を行う工法である。そして、このダウンザホール工法での削孔作業においては、ハンマービッドによる削孔作用により発生する掘削土砂を、該ハンマービッドの先端から噴出される圧縮空気のエアリフト作用によって、削孔の内周面とダウンホールザハンマー及びこれに連結された連結ロッドの外周面との間の環状隙間を通って削孔底側から上昇移動させて削孔開口端から地上へ噴出させるようになっている。
【0003】
ところで、このダウンザホール工法による削孔作業に供せられる削孔装置においては、
(イ)削孔の直進性を確保して精度の高い削孔を得る観点から、ダウンホールザハンマーの芯振れを規制する振れ止め機能を備えることが要求されるとともに、
(ロ)削孔作業時における周辺環境の保全という観点から、エアリフト作用によって削孔から地面側へ噴出される掘削土砂からの粉塵の周辺環境への飛散を抑制する粉塵抑制機能と、
(ハ)同じく、削孔作業時における周辺環境の保全という観点から、掘削土砂の排出に伴う騒音が周辺環境に放出されるのを抑制する騒音抑制機能を備えることも要求される。
【0004】
係る要求機能に対して、例えば、特許文献1には上記(イ)に記載の振れ止め機能に関する技術が、特許文献2には上記(ロ)に記載の粉塵抑制機能に関する技術が、さらに特許文献3には上記(ハ)に記載の騒音抑制機能に関する技術が、それぞれ提案されている。
【先行技術文献】
【0005】
【特許文献】
【特許文献1】 特開2004−183312号公報
【特許文献2】 特開2003−556271号公報
【特許文献3】 特開2010−43404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に示されるものは、リーダを備えた削孔装置において、該リーダの下端部位に「振れ止め」を取り付け、この「振れ止め」によってオーガスクリュー及びその下端に備えたダウンホールザハンマーを昇降動可能に保持してこれらの芯振れを可及的に抑制するようにしたものである。しかし、この特許文献1に示される「振れ止め」は、単に振れ止め機能を発揮するに留まり、これ以外の機能は達し得ないものである。
【0007】
また、特許文献2に示されるものは、ダウンホールザハンマーが貫通する穴を備えた天井閉塞状の筒体で「覆い」を構成し、この「覆い」を削孔の開口部分に設置し、削孔側から地表側に噴出してくる空気と掘削土を上記「覆い」で取り囲むとともに、その周壁側から水を混入した空気を噴出させることで、掘削土の噴出方向を変更させて周壁に開口する排出口から排出させることで粉麈の飛散防止を図るものである。
【0008】
しかし、この開示技術は、噴射空気に混入させた水で掘削土を湿らせて粉塵発生を抑制するものであって、水の混入を必須要件とし、その構造が複雑化するという問題がある。また、ダウンホールザハンマーが貫通する天井の穴部分を弾性材で覆うようにしていることから考えて、ここにはダウンホールザハンマーの振れ止め機能に関する思想は存在せず、さらに「覆い」の外周面に設けた上記排出口が、単に側方へ向かって開口する構成であることから、上記「覆い」内への掘削土の噴出に起因する騒音を抑制する機能は極めて低いものと考えられる。
【0009】
特許文献3に示される技術は、削孔対象の地盤が軟質か硬質かによって、ウォータジエットによる削孔とビットの打撃による削孔を使い分けることで、削孔作用に伴う騒音を抑制するものである。しかし、削孔現場の周辺環境の保全という観点からすれば、削孔作用に伴う騒音よりも、むしろ掘削土が削孔上端から地面側に噴出する場合における騒音が問題となるところ、この点に関しての有効な提案はなされていない。
【0010】
以上のように、削孔精度の確保とか、削孔作業時における周辺環境の保全という観点から、ダウンホールザハンマーを用いた削孔装置に要求される三つの機能、即ち、ダウンホールザハンマーの振れ止め機能と粉塵抑制機能と騒音抑制機能を同時に実現する技術は未だ提案されていない。
【0011】
そこで本願発明は、ダウンホールザハンマーを用いた削孔装置において、振れ止め機能と騒音抑制機能及び粉塵抑制機能を併備することで、周辺環境を損ねることなく高精度の削孔作業を実現することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0013】
本願の第1の発明では、先端にハンマービッド5を備えたダウンホールザハンマー4を、昇降駆動可能に支持されたオーガ1に連結し、上記ハンマービッド5の回転及び打撃作用によって削孔を行う削孔装置において、上記ダウンホールザハンマー4を上下方向に貫通させた状態で削孔位置の地面上に固定設置される作業支援ユニット10を備えるとともに、上記作業支援ユニット10を、筒状形体を有し且つその外周の適所に排出口26が設けられた外周壁21と該外周壁21の上端側を覆うとともにその略中心位置には円筒形体の円筒壁24が設けられた天井壁25を備えて構成されるユニット本体11と、上記ユニット本体11の上記円筒壁24内に内挿配置される筒体12aで構成され且つその内周側には上記ダウンホールザハンマー4が挿通される調整アダプタ12とで構成したことを特徴としている。なお、この発明には、上記調整アダプタ12の筒部12aと該筒部12aに挿通される上記ダウンホールザハンマー4とが相対回動可能に構成されたものと、相対回動不能(即ち、非回動)に構成されたものの双方が含まれる。
【0014】
本願の第2の発明では、上記第1の発明に係る削孔装置において、上記ダウンホールザハンマー4を上記調整アダプタ12に対して非回動状態で且つ軸方向に相対摺動可能に挿通させる一方、上記調整アダプタ12を上記ユニット本体11に対して軸受15を介して相対回動可能に構成したことを特徴としている。
【0015】
本願の第3の発明では、上記第1又は第2の発明に係る削孔装置において、上記調整アダプタ12の上記筒体12aの外周面上にその径方向外方へ延出する複数の調整リブ12cを備えるとともに、該調整リブ12cの延出寸法を上記ユニット本体11の上記円筒壁24の内径と上記調整アダプタ12の上記筒体12aの外径との間の寸法差に対応して設定したことを特徴としている。
【0016】
本願の第4の発明では、上記第1、第2又は第3の発明に係る削孔装置において、上記調整アダプタ12に、該調整アダプタ12の上記筒体12aの内周面と該筒体12aに挿通配置される上記ダウンホールザハンマー4の外周面との間の環状隙間を閉塞する弾性材でなる遮蔽体13を備えたことを特徴としている。
【0017】
本願の第5の発明では、上記第1、第2、第3又は第4の発明に係る削孔装置において、上記ユニット本体11の上記外周壁21と上記天井壁25の少なくともいずれか一方を二重壁構造とし且つその壁内部には吸音材29を充填したことを特徴としている。
本願の第6の発明では、上記第1、第2、第3、第4又は第5の発明に係る削孔装置において、上記ユニット本体11の上記外周壁21に上記排出口26をその外側から覆うカバー30を設け、該カバー30と上記外周壁21の間に上記排出口26に連通し且つ該排出口26の下端よりも下側において下方へ向けて開口する排出路31を形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
(a)本願の第1の発明に係る削孔装置によれば、上記ダウンホールザハンマー4を上下方向に貫通させた状態で削孔位置の地面上に固定設置される作業支援ユニット10を備えるとともに、上記作業支援ユニット10を、筒状形体を有し且つその外周の適所に排出口26が設けられた外周壁21と該外周壁21の上端側を覆うとともにその略中心位置には円筒形体の円筒壁24が設けられた天井壁25を備えて構成されるユニット本体11と、上記ユニット本体11の上記円筒壁24内に内挿配置される筒体12aで構成され且つその内周側には上記ダウンホールザハンマー4が挿通される調整アダプタ12とで構成したので、
(a−1)上記ダウンホールザハンマー4が挿通される調整アダプタ12の上記筒体12aと上記ユニット本体11の上記円筒壁24とがその径方向において係合することで、上記ダウンホールザハンマー4の径方向への芯振れが規制され、例えば上記ハンマービッド5が硬質の岩盤に当ったような場合でも、岩盤の掘削抵抗によって上記ダウンホールザハンマー4が芯振れすることがなく、削孔方向の直進性が確保され、精度の高い削孔作業が実現される(振れ止め機能の発現)、
(a−2)上記ダウンホールザハンマー4での削孔作業により形成される掘削孔の地面側の開口端の周囲が上記作業支援ユニット10のユニット本体11と調整アダプタ12によって囲まれており、該ユニット本体11の内部空間20は外周壁21に設けた排出口26を介して外部に連通しているため、削孔作業によって掘削孔の内周面と上記ダウンホールザハンマー4の外周面の間の環状隙間を通ってエアリフト作用により掘削孔の開口端から上方へ噴き上げられる掘削土及びエアーは、そのまま外部へ放出されることなく、上記内部空間20内でその自由な動きが拘束され、上記排出口26から外部へ排出されることとなり、この結果、例えば、掘削土及びエアーが掘削孔から自由に放出される場合に比して、掘削土からの粉塵の発生及び周辺への飛散が抑制される(粉塵抑制機能の発現)とともに、掘削土及びエアーの噴出に伴って発生する騒音も上記内部空間20内での反射減衰作用によって可及的に抑制される(騒音抑制機能の発現)、
等の効果が得られる。
【0019】
(b)本願の第2の発明に係る削孔装置では、上記(a)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記ダウンホールザハンマー4を上記調整アダプタ12に対して非回動状態で且つ軸方向に相対摺動可能に挿通させるようにしたので、例えば、上記ダウンホールザハンマー4と上記調整アダプタ12が相対可動する構成の場合に比して、該ダウンホールザハンマー4の外周面と上記調整アダプタ12の内周面との間の隙間を可及的に小さくして該隙間からの掘削土の外部への漏出を抑えることができ、延いては粉塵抑制機能の更なる向上が期待できる。
【0020】
係る効果は、特にダウンホールザハンマー4の外周面上にその軸方向へ延出する突条(図2の符号6を付した部材を参照)が設けられている場合において顕著なものとなる。即ち、突条が設けられたダウンホールザハンマー4を上記調整アダプタ12の筒部12a内で相対回動させる構成とした場合には、該筒部12aの内径を、少なくとも上記突条の外面を通る軌跡円の外径よりも大きくする必要があり、従って、上記突条が設けられていない部分では該突条の突出高さよりも大きな幅の隙間が生じ、この大きな隙間からの掘削土の外部漏出量が増加することになる。しかし、この発明のように上記ダウンホールザハンマー4を上記調整アダプタ12に対して非回動とすると、上記突条の突出高さに相当するような隙間を確保する必要がなく、その隙間寸法を上記ダウンホールザハンマー4と調整アダプタ12が軸方向に相対摺動できる程度の小さいものとすることができるためである。
【0021】
また、上記ダウンホールザハンマー4が上記オーガ1によって回転駆動される場合、上記調整アダプタ12も上記ユニット本体11側に支持された状態で上記ダウンホールザハンマー4と一体的に回転するため、上記調整アダプタ12と上記ユニット本体11との間の摩擦による回転抵抗によって上記ダウンホールザハンマー4の回転作用、延いては削孔作用が阻害されることが懸念されるが、この発明では、上記調整アダプタ12を上記ユニット本体11に対して軸受15を介して相対回動可能に構成したことで、係る懸念が払拭され、良好な掘削作用が担保される。
【0022】
(c)本願の第3の発明に係る削孔装置では、上記(a)又は(b)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記調整アダプタ12の上記筒体12aの外周面上にその径方向外方へ延出する複数の調整リブ12cを備えるとともに、該調整リブ12cの延出寸法を上記ユニット本体11の上記円筒壁24の内径と上記調整アダプタ12の上記筒体12aの外径との間の寸法差に対応して設定している。
【0023】
上記ダウンホールザハンマー4はその削孔能力に応じて大きさ、特に径寸法が異なるため、このダウンホールザハンマー4が挿通配置される上記調整アダプタ12も、これが適用されるダウンホールザハンマー4の大きさに応じて上記筒体12aの径寸法を異ならせることが必要であり、装置の運用に際しては、上記筒体12aの径寸法が異なる調整アダプタ12を複数種類用意することになる。しかし、例えば、上記ユニット本体11の上記円筒壁24の内径を同じとした場合、使用する調整アダプタ12の種類によっては上記ユニット本体11の円筒壁24の内周面と上記調整アダプタ12の筒体12aの外周面との間に大きな寸法差が生じる場合があり、係る場合には上記ダウンホールザハンマー4に対する振れ止め機能を発揮できないことになる。
【0024】
このような場合において、この発明のように、上記調整アダプタ12の筒体12aの外周面に上記調整リブ12cを設け、この調整リブ12cの延出寸法を上記ユニット本体11の上記円筒壁24の内径と上記調整アダプタ12の上記筒体12aの外径との間の寸法差に対応して設定することで、使用する調整アダプタ12の種類に拘らず(即ち、筒部12aの径寸法の大小に拘らず)、上記調整リブ12cと上記ユニット本体11の円筒壁24の内周面とが近接対向した状態となり、これら両者が径方向において係合することで上記ダウンホールザハンマー4の振れ止めが確実に為され、延いては振れ止め機能の更なる向上が期待できるものである。
【0025】
(d)本願の第4の発明に係る削孔装置では、上記(a)、(b)又は(c)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記調整アダプタ12に、該調整アダプタ12の上記筒体12aの内周面と該筒体12aに挿通配置される上記ダウンホールザハンマー4の外周面との間の環状隙間を閉塞する弾性材でなる遮蔽体13を備えたので、上記ダウンホールザハンマー4の動きを阻害することなく上記環状隙間を閉塞することができ、これによって上記環状隙間から粉塵が外部へ放出されることが防止され、より高い粉塵抑制効果が得られる。
【0026】
(e)本願の第5の発明に係る削孔装置では、上記(a)、(b)、(c)又は(d)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記ユニット本体11の上記外周壁21と上記天井壁25の少なくともいずれか一方を二重壁構造とし且つその壁内部には吸音材29を充填している。ここで、掘削土及びエアーの噴出しに伴う騒音としては、空気伝播による騒音と、鋼中伝播による騒音があるが、これらのうち、空気伝播騒音は、内部空間20内での反射減衰作用によって抑制されるとともに、該内部空間20が上記排出口26のみを介して外部に臨む構成であって該排出口26を通して該外部へ漏れる空気伝播量が少ないことによっても抑制される。
【0027】
また、鋼中伝播騒音は、鋼中(即ち、ユニット本体11の壁を構成する鋼の内部)を振動が伝播し、これが空気中に放出されることで生じる騒音であるが、この発明では、上記外周壁21と上記天井壁25の少なくともいずれか一方を二重壁構造とし且つその壁内部に吸音材29を充填したことで、例えば、二重壁の内壁に入力された振動エネルギー(即ち、掘削土及びエアーの噴出しに伴う振動エネルギー)は、該内壁内をその厚さ方向に伝播して上記吸音材29側へ伝達され、この内壁と吸音材29の境界において振動エネルギーが減衰された後、さらに上記吸音材29において振動エネルギーが吸収緩和される。同様の減衰作用が、上記吸音材29から二重壁の外壁側へ振動が伝播される場合、及び二重壁の外壁から外部の空気中に伝播される際にも発生し、これらの相乗作用によって鋼中伝播騒音が可及的に抑制されることになる。このように、空気伝播騒音と鋼中伝播騒音の双方が抑制されることで、高い騒音抑制効果を持つ削孔装置を提供することができる。
【0028】
(f)本願の第6の発明に係る削孔装置では、上記(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記ユニット本体11の上記外周壁21に上記排出口26をその外側から覆うカバー30を設け、該カバー30と上記外周壁21の間に、上記排出口26に連通し且つ該排出口26の下端よりも下側において下方へ向けて開口する排出路31を形成したので、上記排出口26から外部へ排出される掘削土及びエアーは、常に上記排出路31の下端開口部分から下方向に向けて噴出され、地面に、あるいは先に噴出されて堆積した掘削土に、衝突することでその運動エネルギーが減衰され、掘削土とか該掘削土から生じる粉塵の周囲への飛散が可及的に抑制される。また、空気伝播騒音も、上記排出路31から下方へ向けて放出され、周辺環境への拡散放出が可及的に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】 本願発明の実施の形態に係る削孔装置の全体構成及び使用状態を示す側面図である。である。
【図2】 図1に示した削孔装置による削孔作業状態の説明図である。
【図3】 図2に示した作業支援ユニットの分解斜視図である。
【図4】 ユニット本体の一部断面側面図である。
【図5】 図4のV−V矢視図である。
【図6】 リーダを備えない場合における作業支援ユニットの第1の固定手法を示す側面図である。
【図7】 上記作業支援ユニットの第2の固定手法を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0031】
I:上記削孔装置Zの構成
図1には本願発明の実施形態に係る削孔装置Zを示している。この削孔装置Zは、支持基台41の先端に立設状態で支持されたリーダ42に取付けられて使用されるものであって、次述のオーガ1と連結ロッド3及びダウンホールザハンマー4を備えて構成される。
【0032】
上記オーガ1は、後述のダウンホールザハンマー4を回転駆動するものであって、上記支持基台41側のワイヤーロープ44によって吊下支持されるとともに上記リーダ42に設けられたガイドレール43に掛止支持されており、上記ワイヤーロープ44の巻上・巻下操作によって上記ガイドレール43に沿って昇降駆動される。
【0033】
上記オーガ1の下端側にはスイベルジョイント2を介して連結ロッド3が連結されるとともに、この連結ロッド3の下端には、ダウンホールザハンマー4が連結されている。このダウンホールザハンマー4は、周知構造をもつものであって、圧縮空気によって駆動されるピストンを内蔵するとともに、その先端にはハンマービッド5が備えられている。
【0034】
また、上記ダウンホールザハンマー4の外周面の周方向の4等分位置には、該ダウンホールザハンマー4の軸方向へ延びる矩形の断面形状をもつ型材で構成される突条6が設けられている。なお、この突条6は、その本来的な機能は上記ハンマービッド5で順次削孔される掘削孔34の内周面と上記ダウンホールザハンマー4の外周面との間の環状隙間の大きさを保持して、エアリフト作用による掘削土の排出スペースを確保するものであるが、この実施形態では、上記ダウンホールザハンマー4と該ダウンホールザハンマー4が嵌挿される後述の調整アダプタ12との相対回転規制材として機能を持たせている。また、この突条6は、上記ダウンホールザハンマー4のみならず、これに連結される上記連結ロッド3の外周面にも設けられる。
【0035】
そして、上記ハンマービッド5を上記オーガ1によって回転駆動させるとともに、上記ピストンによる打撃力を掛けることで削孔を行うものである。また、このハンマービッド5での削孔により発生する掘削土は、上記ハンマービッド5から噴出される加圧エアーによるエアリフト作用によって、上記ダウンホールザハンマー4の外周と掘削された掘削孔34の内面との環状隙間を通って順次上方(上記掘削孔34の上端開口側)へ移送され、地面上に噴出される(図2参照)。
【0036】
なお、上記連結ロッド3は、削孔深さに応じて使用されるものであって、通常は複数本用いられるが、場合によっては連結ロッド3を用いず、上記ダウンホールザハンマー4のみで削孔作業が行われる場合もある。
【0037】
ところで、このような削孔装置Zにおいては、削孔精度の確保の観点からは上記ダウンホールザハンマー4の芯振れを抑制する「振れ止め機能」が、作業現場の周辺環境を保全するという観点からは粉塵の周囲への飛散を抑制する「粉塵抑制機能」と騒音が周囲へ放出されるのを抑制する「騒音抑制機能」が要求されることは既述のとおりであり、この実施形態においては、これら三つの要求機能を簡単な構成によって実現すべく、次述の作業支援ユニット10を備えている。以下、この作業支援ユニット10の構成等を詳述する。
【0038】
II:作業支援ユニット10の構成
上記作業支援ユニット10は、本願発明の要旨を成すものであって、次述するユニット本体11と調整アダプタ12及び遮蔽体13を備えて構成される。
【0039】
「ユニット本体11」
上記ユニット本体11は、図2〜図5に示すように、所定径をもつ円筒体の一側を面摺状の平坦壁部28とした外周壁21と、該外周壁21の上端を閉塞するように配置された天井壁25で構成されており、その内部は下面側に開口する内部空間20とされる。
【0040】
上記外周壁21は、所定間隔をもって離間対向する外壁面21aと内壁面21bからなる二重壁構造とされ、この両壁面21a,21bの壁間空間には例えば、発泡樹脂材等の吸音性素材からなる吸音材29が充填されている。
【0041】
上記平坦壁部28には、上下左右の四箇所に係止部35が備えられており、上記ユニット本体11は、上記各係止部35を上記リーダ42のガイドレール43に掛止することで、該ガイドレール43に沿って昇降可能とされるとともに、その軸心に直交する面方向への移動が規制されている。
【0042】
上記外周壁21の周方向の三位置、この実施形態では図5に示すように、上記平坦壁部28に対向する位置と、該平坦壁部28から左右方向へそれぞれ略90度回転した二位置に、排出口26を設けている。この排出口26は、上記外周壁21の上端近傍から下方(軸方向)へ向けて切り欠かれた略縦長矩形の開口とされる。さらに、上記外周壁21の外面側における上記各排出口26の形成部位には、該排出口26を覆うようにしてカバー30がそれぞれ設けられており、該カバー30と上記外周壁21の外面との間には上記排出口26に連通する排出路31が形成されている。そして、この排出路31の下端は、上記排出口26の下端よりも下側の高さ位置において可能へ向けて開口されている。なお、上記排出口26の設置個数は必要に応じて設定されるものである。
【0043】
上記天井壁25は、上記外周壁21と同様に、外壁面25aと内壁面25bからなる二重壁構造とされ、この両壁面25a,25bの壁間空間には吸音材29が充填されている。また、上記天井壁25の中心位置には所定径の円筒壁24が設けられている。この円筒壁24は、後述の調整アダプタ12の筒部12a(図3参照)と直接に、あるいは調整リブ12cを介して当接係合することで、上記ダウンホールザハンマー4の振れ止め作用を為すものである。
【0044】
また、上記天井壁25には、上記天井壁25の外側を取り囲むようにして、スラスト玉軸受で構成される軸受15が締着固定されている。そして、この軸受15の下側のケーシングは上記天井壁25に固定されるが、上側のケーシングはフリーとされ、ここに次述する調整アダプタ12のフランジ部12bが載置される(図2参照)。
【0045】
「調整アダプタ12」
上記調整アダプタ12は、上記ユニット本体11の上記円筒壁24内に嵌挿配置されて、該円筒壁24の内周面とここに挿通配置される上記ダウンホールザハンマー4の外周面との間の寸法差を調整して、上記三つの機能を実現させるものであって、所定径の筒部12aと、該筒部12aの上端に設けられたフランジ部12bと、上記筒部12aの外周面の周方向の四位置に設けられた調整リブ12cで構成される。そして、この調整アダプタ12は、図2に示すように、その筒部12a側を上記ユニット本体11の円筒壁24内にその上方から嵌挿し、上記フランジ部12bを上記ユニット本体11の天井壁25に設けられた上記軸受15の上面(上側ケーシングの上面)に載置した状態で使用される。
【0046】
なお、このような上記調整アダプタ12の上記軸受15に載置状態においては、図2に示すように、上記軸受15の外周縁に設けたブラケット51と上記調整アダプタ12のフランジ部12bの外周縁に設けたブラケット52の間に抜止めピン16を差すことで、上記調整アダプタ12が、上記ダウンホールザハンマー4の上昇移動とか、上記ダウンホールザハンマー4の打撃に伴う上下方向への振動を受けて、上記ユニット本体11側から抜け出るのが確実に防止され、削孔作業における削孔装置の信頼性が向上する。
【0047】
また、上記調整アダプタ12の内周面の周方向4等分位置には、上記筒部12aの上面から上記フランジ部12bの下端面に亘って軸方向へ延びる係合溝18が設けられている。この係合溝18には、上記ダウンホールザハンマー4に設けた上記突条6が係入し、この突条6と上記係合溝18が該ダウンホールザハンマー4の回転方向において係合することで、該ダウンホールザハンマー4と上記調整アダプタ12の相対回動が規制され、これら両者は非回動状態を維持しつつ、軸方向へ相対摺動可能に組み付けられることになる。そして、この調整アダプタ12においては、上記ダウンホールザハンマー4と相対回転しないことから、上記筒部12aの内径及び上記係合溝18の溝深さを、上記ダウンホールザハンマー4の外径及び上記突条6の先端位置に近接するように設定することができる。即ち、上記調整アダプタ12の内周側と上記ダウンホールザハンマー4の外周側の間の隙間寸法をより小さくできる。
【0048】
ところで、上記調整アダプタ12の上記筒部12aの外面に設けられた上記調整リブ12cの技術的な意義は以下の通りである。即ち、上記調整アダプタ12の上記筒部12aの径寸法は、ここに挿通配置される上記ダウンホールザハンマー4の径寸法に対応して設定される(即ち、これら両者の寸法差を小さくするように設定される)ものであり、従って、使用する予定のダウンホールザハンマー4の種類に対応して上記調整アダプタ12も、上記筒部12aの径寸法が異なるものを複数種類用意する。これに対して、上記ユニット本体11は大型であってこれを多種類用意するのは経済的ではなく、従って、例えば、最大径のダウンホールザハンマー4を使用する場合において、このダウンホールザハンマー4に対応して選定される上記調整アダプタ12を嵌挿し得る径寸法の円筒壁24を備えたものを用意するのが好適である。
【0049】
この場合、上記ユニット本体11に多種類の調整アダプタ12の中から、使用しようとしているダウンホールザハンマー4の径寸法に対応した径寸法の筒部12aをもつ調整アダプタ12を選択するが、選択された調整アダプタ12の種類によっては、その筒部12aの外径と上記円筒壁24の内径との間大きな寸法差が生じ、上記調整アダプタ12内に上記ダウンホールザハンマー4を挿通させて削孔作業を行う場合に該ダウンホールザハンマー4の振れ止め機能を発揮できないことになる。
【0050】
そこで、上記調整アダプタ12の上記筒部12aの外周面に上記調整リブ12cを設けるとともに、この調整リブ12cの幅方向を異ならせた複数種類の調整アダプタ12を用意する。このようにすれば、多種類の調整アダプタ12のうち、どの種類の調整アダプタ12が選択された場合であっても、即ち、筒部12aの外径と上記円筒壁24の内径との間大きな寸法差があっても、この寸法差は上記調整リブ12cによって吸収され、常に上記調整リブ12cの先端部が上記円筒壁24の内周面に近接対向することになる。従って、上記ダウンホールザハンマー4の芯振れに起因して上記円筒壁24と上記調整アダプタ12の上記調整リブ12cが係合し、上記調整アダプタ12に外力が掛かった場合、この外力は上記円筒壁24を介して上記ユニット本体11全体で支持されることとなり、上記「振れ止め機能」が確実ならしめられる。
【0051】
「遮蔽体13」
上記遮蔽体13は、上記調整アダプタ12の内周側に上記ダウンホールザハンマー4が挿通された状態において、上記調整アダプタ12の筒部12aの内周面と上記ダウンホールザハンマー4の外周面との間に形成される環状隙間をさらに狭める観点から設けられるものであって、例えば、強化ゴム等の耐摩耗性をもつ弾性材で円盤状に形成され、且つその内周縁において上記ダウンホールザハンマー4の上記各突条6に対応する位置には、該突条6を係入させ得る大きさをもつ係合溝19が設けられている。この遮蔽体13は、上記調整アダプタ12のフランジ部12bに対してボルト締着される。
【0052】
また、上記遮蔽体13は、上記調整アダプタ12に締着固定されていることで、該調整アダプタ12と共に、上記ダウンホールザハンマー4に非回動に係合され、該ダウンホールザハンマー4と一体的に回転する、即ち、上記ダウンホールザハンマー4と相対回動することはない。従って、上記遮蔽体13においてはその内径を上記ダウンホールザハンマー4の外径よりも適宜寸法だけ小さ目に設定し、ここに上記ダウンホールザハンマー4が挿通されたとき、該遮蔽体13の内周縁部分が弾性的にダウンホールザハンマー4の外周面に押し当てられるようにしても(換言すれば、これら両者間の隙間を可及的に皆無としても)、例えば、これら両者相対回動する構成の場合のように、上記遮蔽体13の内周縁部が摩滅するというような問題は生じ得ず、この結果、上記遮蔽体13による高い遮蔽効果の実現と上記遮蔽体13の耐久性の向上を両立し得ることになる。
【0053】
III:削孔装置Zの使用状態及びその作用効果
上記削孔装置Zを用いた削孔作業に際しては、図1に示すように、削孔位置の近傍に上記支持基台41を設置し、上記リーダ42に支持させた上記作業支援ユニット10の上記ユニット本体11のみを削孔位置を覆うように地面上に載置し、且つその軸心、即ち、上記円筒壁24の軸心が削孔軸線に可及的に合致するように位置決めして設置する。この設置状態においては、上記ユニット本体11は上記リーダ42側に支持されその平面方向への移動が規制されている。
【0054】
一方、上記ワイヤーロープ44により吊下され且つ上記リーダ42側に昇降可能に支持された上記オーガ1には、上記スイベルジョイント2を介して上記連結ロッド3及びダウンホールザハンマー4が連結されている(図1の鎖線図示状態を参照)。この場合、予め、使用するダウンホールザハンマー4の大きさに合せて特定の調整アダプタ12が選択されており、この選択された上記調整アダプタ12は、上記オーガ1に上記連結ロッド3及びダウンホールザハンマー4を連結する前に、単体状態のままで上記オーガ1に吊下支持された上記ダウンホールザハンマー4の下端部、具体的には上記ハンマービッド5の直上位置に嵌挿配置されている。
【0055】
この場合、上記調整アダプタ12は、上記ダウンホールザハンマー4部分に対しては十分な隙間をもって配置されているが、上記ハンマービッド5の径寸法はその機能上、上記ダウンホールザハンマー4の径寸法よりも大きく設定されている。従って、上記ダウンホールザハンマー4に上記調整アダプタ12を装着した状態で上記ダウンホールザハンマー4を吊り上げても、上記調整アダプタ12は上記ハンマービッド5との係合によって上記ダウンホールザハンマー4から抜け出ることなく保持される。
【0056】
次に、上記オーガ1とともに上記ダウンホールザハンマー4を降下させ、該ダウンホールザハンマー4をその先端のハンマービッド5側から上記ユニット本体11の円筒壁24内に嵌挿させる。この場合、上記ダウンホールザハンマー4が上記ユニット本体11内に進入するに伴って、上記調整アダプタ12もその筒部12a側から上記円筒壁24内に進入し、該円筒壁24の上端側において上記ユニット本体11の天井壁25上固定された上記軸受15上に載置されることで該ユニット本体11側にセットされる(図2参照)。このセット状態では、上記調整アダプタ12に設けた上記遮蔽体13によって、上記ダウンホールザハンマー4の外周と上記調整アダプタ12の筒部12aの内周との間の隙間が可及的に閉塞されている。以上で削孔準備が完了する。
【0057】
次に、上記オーガ1を起動して上記ダウンホールザハンマー4を回転させるとともに、該ダウンホールザハンマー4のピストンを作動させて上記ハンマービッド5に打撃力を与えることで、該ハンマービッド5による地盤の削孔が行われる。この削孔作業においては、上記ダウンホールザハンマー4が回転するが、このダウンホールザハンマー4の回転によって上記調整アダプタ12が該ダウンホールザハンマー4と一体的に回転しても、該調整アダプタ12が上記軸受15を介して上記ユニット本体11該に支持されており、上記ダウンホールザハンマー4側の回転作用は側軸受15において吸収され、上記調整アダプタ12と上記ユニット本体11の間に上記ダウンホールザハンマー4の回転を阻害するような抵抗作用は発生せず、該ダウンホールザハンマー4による削孔作業が適正に行われることになる。
【0058】
一方、上記ダウンホールザハンマー4による削孔作業において発生する掘削土は、図2に示すように、上記ハンマービッド5の先端から噴出されるエアーのエアリフト作用によって順次掘削孔34の内周面と上記ダウンホールザハンマー4の外周面の間の環状隙間を通って地面側へ移動され、掘削孔34の開口端からエアーとともに上記ユニット本体11の内部空間20内に噴出される。そして、この内部空間20内に噴出された掘削土及びエアーは、矢印Aで示すように、上記ユニット本体11に設けられた各排出口26から上記排出路31側へ移行し、該排出路31の下端から地面側に向けて排出される。
【0059】
この場合、上記ダウンホールザハンマー4が挿通される調整アダプタ12の上記筒体12aと上記ユニット本体11の上記円筒壁24とがその径方向において係合することで、上記ダウンホールザハンマー4の径方向への芯振れが規制されるので、例えば上記ハンマービッド5が硬質の岩盤に当ったような場合でも、岩盤の掘削抵抗によって上記ダウンホールザハンマー4が芯振れすることがなく、削孔方向の直進性が確保され、精度の高い削孔作業が実現される。
【0060】
また、上記内部空間20内に噴出される掘削土及びエアーは、該内部空間20内でその自由な動きが拘束され、上記排出口26から外部へ排出されることから、例えば、掘削土及びエアーが掘削孔から自由に放出される場合に比して、掘削土からの粉塵の飛散が抑制されるとともに、掘削土及びエアーの噴出に伴って発生する騒音も上記内部空間20内での反射減衰作用によって抑制される。
【0061】
さらに、この実施形態では、上記調整アダプタ12に上記遮蔽体13を備えているので、上記ダウンホールザハンマー4の動きを阻害することなく上記環状隙間を可及的に閉塞することができ、これによって上記環状隙間から粉塵が外部へ放出されることが可及的に防止され、より高い粉塵抑制効果が得られる。
【0062】
一方、騒音抑制機能に関しては、以下のような作用効果が得られる。即ち、この実施形態では、上記ユニット本体11の上記外周壁21と上記天井壁25を共に二重壁構造とし且つその壁内部には吸音材29を充填しているので、掘削土及びエアーの噴出しに伴う騒音のうち、空気伝播騒音は、内部空間20内での反射減衰作用によって抑制されるとともに、該内部空間20が上記排出口26のみを介して外部に臨む構成であって該排出口26を通して該外部へ漏れる空気伝播量が少ないことによっても抑制される。
【0063】
さらに、鋼中伝播騒音は、上記外周壁21の外壁面21aと内壁面21b及びこれらの間に充填された上記吸音材29の各境界を通過する際における振動エネルギーの減衰作用と、上記吸音材29における振動エネルギーの吸収緩和作用によって抑制される。
【0064】
このように、空気伝播騒音と鋼中伝播騒音の双方が抑制されることで、高い騒音抑制効果を持つ削孔装置を提供することができる。
【0065】
さらに、この実施形態では、上記ユニット本体11の上記外周壁21に上記排出口26をその外側から覆うカバー30を設け、該カバー30と上記外周壁21の間に、上記排出口26に連通し且つ該排出口26の下端よりも下側において下方へ向けて開口する排出路31を形成したので、上記排出口26から外部へ排出される掘削土及びエアーは、常に上記排出路31の下端開口部分から下方向に向けて噴出され、地面に、あるいは先に噴出されて堆積した掘削土に、衝突することでその運動エネルギーが減衰され、掘削土とか該掘削土から生じる粉塵の周囲への飛散が可及的に抑制される。また、空気伝播騒音も、上記排出路31から下方へ向けて放出され、周辺環境への拡散放出が可及的に抑制される。
【0066】
その他
(1)上記実施形態においては、上記作業支援ユニット10の上記ユニット本体11を一体構成として説明したが、本願発明は係る構成に限定されるものではなく、例えば、上記ユニット本体11を半割れ型の二分割構造に構成することもできる。
【0067】
(2)上記実施形態では、上記作業支援ユニット10を上記リーダ42に設けたガイドレール43に掛止させることで該作業支援ユニット10を固定設置するようにしている。しかし、実際の削孔作業現場においては、リーダ42を備えず、削孔装置Zをクレーンによって吊下支持して削孔作業を行う場合もある。従って、このような状況下において上記作業支援ユニット10を固定設置するための技術が必要であり、ここではその具体例を示す。
【0068】
第1の具体例は、図6に示すように、バックホー等の建設機械51に備えられた排土板52に、アタッチメントとして支持材53を取付け、この支持材53に上記作業支援ユニット10の上記係止部35を掛止することで、該作業支援ユニット10の固定設置を実現するものである。
【0069】
第2の具体例は、図7に示すように、先ず、削孔位置の近傍にバイブロ55によってH型鋼等の仮杭56を打ち込む。しかるのち、この仮杭56に設けたガイドレール材57に上記作業支援ユニット10側の係止部35を掛止することで、上記作業支援ユニット10を所定の削孔位置に固定設置するものである。
【符号の説明】
【0070】
1 ・・オーガ
2 ・・スイベルジョイント
3 ・・連結ロッド
4 ・・ダウンホールザハンマー
5 ・・ハンマービッド
6 ・・突条
10 ・・作業支援ユニット
11 ・・ユニット本体
12 ・・調整アダプタ
13 ・・遮蔽体
15 ・・軸受
16 ・・抜止めピン
17 ・・固定ボルト
18 ・・係合溝
19 ・・係合溝
20 ・・内部空間
21 ・・外周壁
24 ・・円筒壁
25 ・・天井壁
26 ・・排出口
28 ・・平坦壁部
29 ・・吸音材
30 ・・カバー
31 ・・排出路
32 ・・リブ
34 ・・掘削孔
35 ・・係止部
41 ・・支持基台
42 ・・リーダ
43 ・・ガイドレール
44 ・・ワイヤーロープ
51 ・・ブラケット
52 ・・ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にハンマービッド(5)を備えたダウンホールザハンマー(4)を、昇降駆動可能に支持されたオーガ(1)に連結し、上記ハンマービッド(5)の回転及び打撃作用によって削孔を行う削孔装置であって、
上記ダウンホールザハンマー(4)を上下方向に貫通させた状態で削孔位置の地面上に固定設置される作業支援ユニット(10)を備えるとともに、
上記作業支援ユニット(10)を、筒状形体を有し且つその外周の適所に排出口(26)が設けられた外周壁(21)と該外周壁(21)の上端側を覆うとともにその略中心位置には円筒形体の円筒壁(24)が設けられた天井壁(25)を備えて構成されるユニット本体(11)と、上記ユニット本体(11)の上記円筒壁(24)内に内挿配置される筒体(12a)で構成され且つその内周側には上記ダウンホールザハンマー(4)が挿通される調整アダプタ(12)とで構成したことを特徴とする削孔装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記ダウンホールザハンマー(4)は上記調整アダプタ(12)に対して非回動状態で且つ軸方向に相対摺動可能に挿通される一方、
上記調整アダプタ(12)は上記ユニット本体(11)に対して軸受(15)を介して相対回動可能に構成されていることを特徴とする削孔装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記調整アダプタ(12)の上記筒体(12a)の外周面上にその径方向外方へ延出する複数の調整リブ(12c)を備えるとともに、該調整リブ(12c)の延出寸法を上記ユニット本体(11)の上記円筒壁(24)の内径と上記調整アダプタ(12)の上記筒体(12a)の外径との間の寸法差に対応して設定したことを特徴とする削孔装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3において、
上記調整アダプタ(12)には、該調整アダプタ(12)の上記筒体(12a)の内周面と該筒体(12a)に挿通配置される上記ダウンホールザハンマー(4)の外周面との間の環状隙間を閉塞する弾性材でなる遮蔽体(13)が備えられたことを特徴とする削孔装置。
【請求項5】
請求項1,2、3又は4において、
上記ユニット本体(11)の上記外周壁(21)と上記天井壁(25)の少なくともいずれか一方が二重壁構造とされ且つその壁内部には吸音材(29)が充填されていることを特徴とする削孔装置。
【請求項6】
請求項1,2,3、4又は5において、
上記ユニット本体(11)の上記外周壁(21)に上記排出口(26)をその外側から覆うカバー(30)が設けられるとともに、該カバー(30)と上記外周壁(21)の間には上記排出口(26)に連通し且つ該排出口(26)の下端よりも下側において下方へ向けて開口する排出路(31)が形成されていることを特徴とする削孔装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−112227(P2012−112227A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274064(P2010−274064)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(507000040)有限会社マンダイクレーン (9)
【Fターム(参考)】